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美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」-6
美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」
美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」-2
美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」-3
美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」-4
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美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」-5
844 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:24:27.30 ID:sVcjzAY0 [4/21]
電話の相手は一方通行だった―――。
『―――何だよ?』
垣根「よう、お前今上条と一緒か?」
『あァン? 何でオマエが知ってンだ?』
垣根「いや……今インデックスと一緒にいんだけどよ」
『はァ?』ナニィィィィ!?
『―――って、うるせェぞ三下ァ!』ボカッ
垣根「両方うるせぇよ……」
『で、オマエ今どこにいンだよ?』
垣根「○○付近のファミレスだよ。街フラついてたら偶々そこで会ったんだ」
『そォか……』
垣根「どぉする? なんならソッチ送るけど?」
『イヤ、悪りィンだがよォ……しばらくオマエが面倒見ててやってくンねェか? その方が都合良ンだわ』
垣根「………まぁそれでも良いけどよ……。今上条ん家にいるのか?」
『イヤ、俺らもメシ食いに別のファミレス来てる』
845 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:26:19.38 ID:sVcjzAY0 [5/21]
垣根「そっか……わかった。じゃあまた後で連絡くれ。そん時送るからよ」
『おォ、悪いな。そンじゃ―――イヤちょっと待て。今三下に代わっからよォ―――』
垣根「ん? あぁ……」
『―――もしもし垣根? 俺だけど……インデックスにメシ食わせてくれたり……した?』
垣根「あぁ、相変わらずすげぇ食欲だ。店員涙目になってやがら」
『すまん! 本当にゴメン!』
垣根「おい、何謝ってんだよ?……あぁー、金のことなら心配すんな。どんだけ食おうが、しょせん飲食代なんてたかが知れてっからさ」
『……おぉ……神サマがここにも…』
垣根「あ? 何? よく聞こえなかったぞ」
『いや何でもない! ……じゃあ悪いんだけど、インデックスを半日くらい頼んでいいか?』
垣根「あぁ、別に構わねぇよ」(ってか、その方が好都合なんだがな…)
ひとりでいるより誰かと一緒にいたい気分の垣根は二つ返事で了承した。これで気分も紛れると思うと、むしろ有難いことだった。
『んじゃ、一方通行からは特に無いみたいだから切るわ』
垣根「おう、後でな。―――」
―――ピッ……
846 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:28:21.54 ID:sVcjzAY0 [6/21]
禁書「……とうまと電話してたの?」
垣根「あぁ、一応言っとかねえとアイツら心配すんだろ?」
禁書「…………かきね」
垣根「ん……何だ?」
禁書「さっきから思ってたんだけど……顔色が悪いんだよ? 何かあったの?」
垣根「え?……いや、何もねえけど?」
禁書「嘘吐いても顔に出てるよ? それに……すごく、辛そうな顔してる……」
垣根「!?」
無意識の内に顔に出てしまっていたか……。
禁書目録は垣根の目を真顔で見つめた。
全てを見通すような瞳に、垣根は思わず目を逸らす。
(ははっ……シスターってのは、名前だけじゃねえってか……)
(けどよ、さすがにこの子にまで愚痴入れちまうのは……なんつーか…)
847 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:30:05.30 ID:sVcjzAY0 [7/21]
禁書「気にしなくて良いんだよ。私は修道女。悩んだり苦しんだりしている人に正しい道を教えるのが私の役目なんだから」
垣根の心を見抜くかのように言い放つ禁書目録。
禁書「話してごらん。かきねが悩んでる事を私も一緒に考えたいんだよ」ニコッ
全てを許す…そんな目で微笑んだ禁書目録に、垣根は懺悔するしかなかった……。
何もかもを包み込むような広い心と胃袋を持った小さな少女は、垣根の話を最後まで聞いていてくれた。
――――――
禁書「―――話は分かったんだよ」
垣根「……ゴメンな。生々しい話聞かせちまって……」(結局、喋っちまった……つくづく嫌な野郎だな俺って……)
禁書「ううん、いいよ。かきねは何も悪くないんだから」
垣根「いや……悪いだろ。どう考えても……」
禁書「本当に悪いのは『悪い事をしている自分』に気づかない事なんだよ」
垣根「……?」
禁書「かきねはよっぽど過去の自分が許せないんだね……」
848 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:32:19.10 ID:sVcjzAY0 [8/21]
垣根「まぁ……そうかもな。けど、今更どうしようもないんだよ……」
禁書「なんでかな?」
垣根「なんでって……そりゃそうだろ? 彼女はきっと俺に会いたくなんてねぇだろぉし、俺の立場考えたらその方が良いって皆言うぜ」
禁書「かきねの立場ってのがよくわからないんだけど……」
垣根「要するに、『クソ野郎』って意味だ」
禁書「ふ~ん……けど、かきねはそれでいいの?」
垣根「………それで良かった、ハズなんだけどな。ハハ……」
禁書「ホントはそのカノジョさんに会いたいんじゃないのかな?」
垣根「………やっぱ……そぉなんだよなぁ……」(こりゃ隠しても無駄だな……)
禁書「なら、会えばいいんだよ! 電話番号とか知ってるんならすぐ掛けるべきかも!」
垣根「無理だよ……」
禁書「なんで? その子も待ってるかもしれないんだよ?」
垣根「………いや……会っても、何言えば良いか分かんねえし……」(嘘だ……言いたい事はもう決まってる)
(ホントは……会って謝りたいんだ)
(けど、会った時の彼女の顔を見るのが……辛くて)
(彼女から掛けられるであろう言葉が………怖くて)
849 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:33:26.66 ID:sVcjzAY0 [9/21]
(それを、躊躇わせている―――)
垣根(―――なんてことまで……流石に言えねぇよなぁ……)
禁書「かきね」
垣根「ん?」
禁書「私は、かきねが悪いなんてこれっぽっちも思わないからね」
垣根「あぁ、そう言ってくれっと嬉しい…かな」
禁書「諦めちゃ、ダメなんだよ」
垣根「……ありがとな。聞いてくれて…」
禁書「あ、当たり前なんだよ! 私はシスターなんだから!」
垣根「ハイハイ、こりゃ将来が楽しみだな」
禁書「むぅぅ……かきねまで私を馬鹿にしてぇぇ……」プクー
垣根「ははははは」
禁書「……ふふっ」ニコッ
しばらく笑っている内に、垣根の心もだいぶ落ち着いてきたようだった―――。
―――――
―――
850 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:35:02.70 ID:sVcjzAY0 [10/21]
―――その頃、別のファミレス
「―――ホントにゴメンね!」バンッ
テーブルに両手をついて頭を下げる佐天涙子……。
ちなみにここは、いつも美琴や黒子などとよく来るいつものファミレスだ。
「……オカシイと思ったんですよ。佐天さんの彼氏が学園都市の頂点だなんて…」
向かいの席で細い目をして佐天を見る初春飾利は呆れたようにホットココアを啜った。
佐天は嘘によって誰もが生じる心の痛みに耐え切れず、全てを自供したのだ。心配で後を尾けていた事も一方通行に偽りの彼を演じさせた
事も全て……。
佐天「やっぱ……怒ってるよね?」
初春「当たり前ですっ!」
覚悟して吐いたとは言え、やはり辛い……。しかし、このまま嘘をずっと吐き通す事の方がもっと辛いのだ。
今佐天にできるのは、ただ平謝りする事だけである。
初春「………もう良いですよ。心配してくれたのは、正直嬉しいですから」
851 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:36:33.35 ID:sVcjzAY0 [11/21]
謝り続けてやっとこの言葉が聞けた佐天は胸のモヤモヤが一気に軽くなっていくのを感じた。
初春「ここは奢って下さいね?」
佐天「うん、もちろん!」
今の佐天にとっては、それくらい安いものだった。
―――――
初春「あの……佐天さん…」
佐天「ん? 何?」モグモグ
パフェを頬張る佐天に初春が言い難そうな声で尋ねた。
初春「―――私も、今日は佐天さんに聞いて欲しいことがあるんです……。いいですか?」
佐天「なぁに? まさか昨日の『カッキーさん』のことぉ?」ニヤニヤ
初春「……はい」
佐天(?―――おっと、笑って聞ける話じゃない雰囲気……)
852 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:39:25.61 ID:sVcjzAY0 [12/21]
初春「驚かないで、聞いて下さい……」
今度は初春が……全てを自供した。
佐天のスプーンは、話の途中で動くことは一切無かったのだった……。
―――――
佐天「―――嘘……でしょ……?」
初春「私も……夢だったらどんなに良かったか……」
佐天「前に初春を殺そうとした上に、こないだ御坂さんとも衝突した学園都市第二位の超能力者が………カッキーさん!?」
初春「………」コクリ
佐天「……………」
流石に言葉が出なかった。佐天は必死に心を整理する。
853 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:41:06.18 ID:sVcjzAY0 [13/21]
(つまり、あの場には学園都市の頂点二人が居たわけで……いや、御坂さん入れたらトップ3が揃ってた!?)
(どんな偶然よソレ!?)
(っていうか、なんでそんな大物が初春を!?)
(また……何か企んでるの…?)
(………けど―――)
ちなみに第四位も同じ施設内に居たのだが、佐天はそこまで知らなかった。
垣根がまた初春の前に現れた事は本当にただの偶然が元なのだが、話を聞いてすぐにはそうと思えず、何の目論見が彼にあったのか考えようと
する。……が、水族館での垣根と初春の雰囲気を思い返す。
(―――そんな風には……見えなかったよ……)
垣根が何か裏を持って初春に接近したとは、やはりどうしても考え難かった。
初春「佐天さんは、どう思います?」
佐天「ゴメン………私もよく分からないや」
854 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:43:07.42 ID:sVcjzAY0 [14/21]
初春「そう……ですよね」
佐天「初春はさ、カッキーさんを……やっぱりまだ恨んでる?」
初春「いえ、正直言うと……もうそんな気持ちは無いんです」
佐天「じゃあ……」
初春「分からないんです……。なんでカッキーさ……いえ、『垣根帝督さん』は…私なんかと……」
佐天「御坂さんが前に言ってた限りじゃ、一方通行さん……が倒してくれたんだよね?」
初春「レベル5の頂点に関わる話でしたから、あまり詳しくは聞けなかったですけどね……」
佐天「『第一位に助けてもらった』としか言わなかったもんね……私らがあれ以上訊ける空気でもなかったし…」
初春「それから……垣根さんに何が……」
佐天「調べて……みる?」
初春「で、でも……レベル5の情報なんて、簡単に……」
佐天「じゃあさ、もう本人に訊いちゃいなよ? 電話でもしてさ」
初春「か、簡単に言わないでくださいっ!」
佐天「……ゴメン」
初春「……いえ」
佐天「……………」
初春「……………」
855 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:46:27.92 ID:sVcjzAY0 [15/21]
佐天「……結局さ」
初春「……?」
佐天「初春は、どうしたいのかな?」
初春「どうって……?」
佐天「そりゃあ私だってさすがに驚いたけどさ。でも、やっぱりこれは初春の気持ちの問題だと思うよ?」
初春「…………」
佐天「もう会わない、会いたくない……とは思わないの?」
初春「……!」
佐天「そういう選択肢だってあるんだよ? いっそ昨日の事は『良い思い出』で割り切っちゃうとかさ」
初春「………そんな―――」
佐天「どんな人なのかも分かっちゃったんだし、ここで綺麗サッパリ忘れる……ってのは……どう?」
初春「―――そんな事ができるなら、こんなに悩まないですよぉぉぉッッ!!!」ガタン
佐天「――!?」
初春「確かに怖いと思いました!! 知らない方が良かったんじゃないかとも思いました!! 忘れようともしたんですっ!!」
佐天「う、初春。落ち着いて……」
初春「けど………けどそんなのやっぱり無理ですっっ!! だって、だって………」ポロポロ
佐天「ッッ……!」
初春「『カッキーさん』はぁ……私を……二度も助けてくれたんですよぉ。……まだ、お礼も言ってないんですよぉぉ……」グスッ
佐天「初春………」
856 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:48:29.03 ID:sVcjzAY0 [16/21]
初春「私の中では……『カッキーさん』が………グスッ………ヒーローなんですっ………うぅ」グスッ グスッ
佐天「…………逢いたいんだね?」
初春「ひくっ…………逢い…たい………」
「――――カッキーさんに………逢いたい――」
今にも消えそうな声で、初春は肯定した。
初春「忘れるなんて………できるわけないじゃないですかぁぁ……」ポロポロ
佐天「…………」スッ
黙って立ち上がった佐天は、ふわりと包み込むように………初春を抱きしめた―――。
初春「――――……う、うっ、うわぁぁあああああああああん!!!!!」ポロポロ
佐天「……………」
初春の心のダムは再び激しく崩壊した。佐天は、そんな彼女を優しく包み込む………。
店内の客が全員コッチに注目しているが……そんなの知ったことか。と佐天は思った――――。
―――――
―――
857 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:50:34.60 ID:sVcjzAY0 [17/21]
―――同ファミレス内
一方通行「………………」
上条「……………」
離れた席だが会話が届かない程の距離ではない。一方通行は注文した料理を食べ終え、食後のコーヒー中……二人の見知った少女を発見した。
上条は面識が無いので特に反応は無かったのだが、一方通行の表情が変化したのを見逃さなかった。
聞き耳を立てるというのは人聞きが悪いので、『偶々聞こえただけ』と思う事にした。
上条は一方通行に「知り合いか?」と尋ねた。一方通行はコーヒーを啜りながら「あァ、超電磁砲のな……」とだけ返した。
そして、最終的に会話を聞いていた二人は黙り込んでしまった……。
特に一方通行は歯痒さ…のようなものを何故か感じていた。
一方通行「オイ、出るぞ三下」スクッ
上条「あ、あぁ……」スクッ
二人の少女に気づかれない様に一方通行と上条は会計(上条の奢りで)を終えて店を出た。
上条「………」テクテク
一方通行「………」カツカツ
上条「……なぁ」
858 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:53:12.92 ID:sVcjzAY0 [18/21]
一方通行「……何だ?」
上条「垣根のこと……なんだが…」
一方通行「…………」
上条「俺……そこまで事情に詳しい訳じゃないけど、あの子たちの話を聞くからに……ただ事じゃないのは何となく分かる」
一方通行「…………」
上条「俺の想像通りなら………何とかしてやれないのか?」
一方通行「やめとけ。今回は俺やオマエが出る幕じゃねェ」
上条「……知ってるんなら話してくれよ」
一方通行「……聞いた所で、オマエに何とかできる話………?」
―――イヤ……待てよ。コイツなら……………もしかしたら……。
何故かふとそう思ってしまった一方通行は………帰り道がてら上条に話してしまっていた。
―――――
上条「―――……そういう訳だったのか……。そりゃ辛いな………」
859 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:54:54.79 ID:sVcjzAY0 [19/21]
全てを聞いた上条は……まるで自分の事に悩むかのような顔を見せる。……まさに予想通りの反応だった。
別に巻き込むつもりはないのだが、何か良い助言が聞けるかもしれないと期待したのだ……。今までの一方通行からは絶対に有り得ない
事だが、なんだかんだ言って彼もルームメイトを心配していたのだ。とは言え、立場的には垣根寄りの自分が一人で考えて答えが導き出
せる問題でもない。ここは一人より二人で考えた方がマシな結果が生まれそうだと一方通行は判断した。それを隠すようにこう発言する。
一方通行「……俺は別にあの馬鹿がどォ苦しもォが知ったこっちゃねェンだが、最悪なことにアイツは今俺の部屋に居候してっからなァ。
あァまで負のオーラ撒き散らされると正直言って迷惑なンだよォ」
上条「そうか。しっかし、お前も垣根を心配するとは………上条さんちょっと感動…」
一方通行「ばっ…! だからそンなンじゃねェっつってンだろォが! 部屋の空気が湿っぽくなンのがイヤなだけなンだっつーのォ!
勘違いしてンじゃねェよボケ」プイ
上条「あー、わかったわかった……」クスッ
一方通行「ケッ……」
上条「とりあえず、宿題終わったら作戦会議だな」
一方通行「……まァ、仕方ねェか。決してあのメルヘンのためにとかそンなンじゃねェが、このままキノコの生えた部屋に住むのはゴメン
だからなァ。ったく、どこまでも世話の焼ける野郎だぜあンのクソったれがよォ……」ニヤニヤ
上条(表情とセリフが全く逆だが、ツッコむと宿題時にまた地獄を見そうだから黙っておこう……)
本当は上条も一方通行に訊かなければならない事があったのだが、今はとてもそんな空気では無かった……。
上条にもそれくらいの空気を読むスキルは持っていた。
860 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:56:13.50 ID:sVcjzAY0 [20/21]
一方通行「っしゃあ! そォと決まったらさっさと戻って残りの課題終わらすぞォ! ノンストップで行くから覚悟しとけよ三下ァ!」ビシィ!
上条「あれ、コレって………どっちにしろ地獄ルート確定ってヤツですか……?」
再び鞭(どこから?)を取り出した一方通行に戦慄した上条は、足掻いてこの場で地獄に送られるか部屋に戻った後に地獄を見るかの二択を
迫られた。………当然、選んだのは後者だった―――。
―――んで、上条部屋……
一方通行「さァ早速始めンぞォ! 悪りィが、こっから先は一方通行だ! 途中の停止や引き返しは一切受け付けねェってなァ! ぎゃは」シュルッ
上条「て、停止は別にOKなのでは!? それに引き返しって何!?」
一方通行「うるせェ!! 口答えはイイからとっとと正面向けやゴルァ!!」ビシャン!!
上条「――あびいいいいいい!!??」
上条渾身のツッコミは一方通行が振るった鞭の音によってあえなく掻き消されてしまった……。
こうして、再び地獄の一方通行先生は降臨されたのだ――――。
右手に鞭(剣)を、左手に杖(盾)を持つ白い悪魔の猛威から逃れるべく、上条は幻想殺しの宿る右手を高速モードにシフトして次々と
神(紙)に書かれた幻想(問題)をブチ殺していった(解いていった)―――――。
869 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:28:22.98 ID:EAJMitI0 [2/18]
―――――
初春「―――……佐天さん、ごめんなさい。迷惑かけて………」
佐天「いいよそんなの。スッキリした?」
初春「はい……」
ひとしきり泣いた初春を支えるように…佐天は付近の公園まで移動した。
初春の顔は号泣の後が見てとれるが、それでもさっきよりは明るさが多少戻っていた。
初春「…………」
佐天「初春、私は……応援してるからね」
初春「へ…?」
佐天「好きなんでしょ? 垣根さんのこと……」
初春「……え……///」
佐天「確かに相手はすごい人かもしれないけどさ、好きになったらそんなのは関係ないじゃん」
871 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:30:52.41 ID:EAJMitI0 [3/18]
初春「…………でも…」
佐天「じゃあ、やっぱり諦める?」
初春「そ、それはイヤです!」
佐天「うん。それでこそ初春だ♪」
初春「どれでこそなんですか!?」
佐天「言葉の代わりに顔で説明できる辺り……かな」
初春「意味わかりません!」
佐天「ははっ、ところでさ。そろそろ時間大丈夫なの?」
初春「へ?……あぁ!! もうこんな時間!?」
佐天「いってらっしゃ~い♪」
初春「す、すいません! じゃあ私、行きますね!」スクッ
佐天「あ、初春!」
初春「はい?」
佐天「……諦めちゃ、ダメだからね」
佐天のウィンクと共にかけられた励ましの言葉に対し、初春は―――
872 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:33:41.43 ID:EAJMitI0 [4/18]
初春「……は、はい! ありがとうございました」ニコッ
元気な笑顔で答えた―――。
返事の後、初春は走っていった。今日は風紀委員の出勤日だ。
相方の白井黒子が急用で出れなくなったので、急遽初春が駆り出されたと言う訳だ。
佐天「…………」
初春が見えなくなった直後、佐天は腕を組んで思考モードに入った。
(初春………私も、何とかしてあげたい…)
(けど、私に何ができるんだろう……)
(う~ん………垣根さんと話でもできれば良いんだけど……そんなの無理だよねぇ。……だいいち何処にいるのかも分かんないのに……)
(御坂さんは……多分知らないんだろうなぁ……)
「―――そうだ! 一方通行さんなら知ってるかも!」
873 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:36:56.84 ID:EAJMitI0 [5/18]
頭の上に電球が点く。
「よし! そうと決まれば早速一方通行さんに電話電話っと……」パッ
だが、しかし………
「………って、私一方通行さんの番号知らねーじゃんよぉぉ……orz」
「うう……こんなことなら昨日訊いとけば良かったよぉ」
「けど、それも無理か……。学園都市で頂点に立つ人の連絡先なんておいそれと訊けないっつーの……」
「うーん………何か、何か初春にしてやれることってないのぉ?」
「一方通行さんとコンタクトがとれれば、垣根さんに繋がるかもしんないのに~………」
「やっぱり……私なんかじゃ………何にもできないのかな………」
「無能力者(レベル0)の……私なんかじゃ…―――」
874 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:38:40.75 ID:EAJMitI0 [6/18]
ベンチで膝を抱えて完全に行き詰まる佐天……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―――無能力者ってさ、欠陥品なのかな……?―――
『―――佐天さんは欠陥品なんかじゃありませんっ―――!』
『能力なんか使えなくたって、いつもいつも私を引っ張ってくれるじゃないですか―――』
『力があっても無くても、佐天さんは佐天さんです!』
『私の親友なんだから――――』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「―――…………」
「そう、だよね……」
875 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:43:36.41 ID:EAJMitI0 [7/18]
「初春が、教えてくれたんだよね……」
無能だった自分を変えようと『幻想御手』に手を出した時、初春は自分を『欠陥品じゃない』って言ってくれた……。
「そうだ……」
「私は……無能なんかじゃない!」
「私にだって、きっとできることはあるはず!」
「親友のために、何もできないなんて事なんかないっ!」
「私が、今、初春のためにできることは……垣根さんを捜すこと……けど、どこにいるかが分からない…」
「一方通行さんに居場所を聞こうにも……一方通行さんの居場所すら分からない……」
「………ええい! もうこーなったら、どっちか見つかるまで捜し回って―――!」
何故か妙に気合を入れて立ち上がりかけたところで、何かに気づいた顔をする……。
876 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:46:40.35 ID:EAJMitI0 [8/18]
「…………そうだ…」
「何で気づかなかったんだろう……」
「あの人なら、一方通行さんがどこにいるか知ってるかもしんないじゃん!」
すぐさま再び携帯電話を取り出し、どこかへ掛け始めた―――。
「お願いぃ。出て……」
数秒のコール音の後、相手が電話に応じてくれた―――。
???『はい、もしもし―――』
佐天「やったっ! もしもし……あの、私……佐天です―――」
一瞬声に出した上にガッツポーズまでとった佐天は、無理矢理落ち着きを取り戻して名乗った――――。
???『………』
877 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:49:50.07 ID:EAJMitI0 [9/18]
――――――
―――
―――路上
垣根と禁書目録は時間潰しにブラブラと歩いていた。特にアテはない。
禁書「―――かきねー! この中から賑やかな音が聞こえてくるよ! 気になるかも!」テクテク
垣根「ん? あぁ……パチンコか」テクテク
禁書「入っていい?」
垣根「ダメ! ……ったく、学生が大半の街にどぉしてこんな施設があるんだか……」
禁書「むぅ~、とうまと同じこと言う……」
垣根「当たり前だ! 十八歳以下は入場禁止なの!」(って、大学生や教員なんかは来るんだろーけどな……)
禁書「ううう……中で何やってるのか気になるぅ」
垣根「我慢しなさ―――ん?」
879 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:53:28.96 ID:EAJMitI0 [10/18]
禁書「あ……」
ハナスノデス ワタシハコドモデハナイノデスヨー!
ハイハイ オジョウチャンハハイッチャダメデス
見た目十二歳くらいの少女が店員につまみ出される現場を偶然見てしまった。
つまみ出された少女は肩を落としてコチラへ歩いて来た。
小萌「―――う~……追い出されたのです……免許証を部屋に忘れてくるなんてとんだ不幸なのですよ~…」トボトボ
禁書「っ! こもえ!」
小萌「ふぇ? ……あぁ! シスターちゃん!? どうしたのですかー? こんなところで……上条ちゃんは一緒じゃないのですかー?」
垣根「……インデックス。このお嬢さんは友達か?」(あれ? この子…どっかで会ったような……)
小萌「あぁー! そこの君はこの間の! 白い捜し人は見つかったのですかー?」
垣根「え?…………あぁ! あの時のお嬢さんか!」※一方通行家出編参照
禁書「ほぇ? 知り合いだったの?」
880 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:57:42.00 ID:EAJMitI0 [11/18]
垣根「知り合いっつーか……前に一回声かけただけなんだがな」
小萌「お嬢さんなんて言うからドキドキしたのですよ~」
垣根「っていうか、ダメじゃねえか。パチンコなんて君みたいな子供が……」
小萌「む~! だから先生は大人なんですってばぁー!」
垣根「……あ~、あん時も確かそんなこと言ってたっけ……。なぁインデックス、このお嬢さんは何処に住んでる子なんだ?」
禁書「え? 小萌はとうまの先生だよ?」
垣根「上条とも知り合いなのか……。しかし、上条もこんな子供と何ゴッコして遊んでんだよ……。オママゴトとかか?」
禁書「いや、そうじゃなくて……学校の先生なんだよ?」
垣根「ナニ? 学校ゴッコか? だったら普通上条が先生役だろ? ハハ、お嬢さん将来は先生になりたいのかい?」
小萌「もうなってるですよ……」
垣根「………ん?」
禁書「だからぁ、小萌はとうまが通ってる学校の先生なんだってば!」
垣根「…………」
小萌「はじめましてー。上条ちゃんの担任の月詠小萌です。上条ちゃんがいつもお世話になってるのです~」ペコリ
垣根「……………………ウソだ」
881 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:59:51.21 ID:EAJMitI0 [12/18]
小萌「ムキーー!! ウソじゃないのですよーっ!!」プンスカ
垣根「ぜってぇウソだ! だいたい君いくつだよ!? その格好(ナリ)で二十歳超えてる訳ないだろぉが!」
小萌「女性に年を訊くのはマナー違反ですよーっ! それに先生はれっきとした大人なのです! 君って呼ばれる覚えもないのですよ!」
垣根「はっ……またまた……勘弁してくれよ。俺の未元物質もビックリだぜオイ……そんなに言うなら証明してみせろよ。でなきゃとても
信じられねぇ」
小萌「ぐ……こんな時に身分証明書を置いてきてしまったのが悔やまれるのですぅぅ…」
垣根「ほら! やっぱりウソだ!」
小萌「本当なのですー!」
禁書「かきね……こもえの言うこと、ホントなんだけど………」
垣根「………マジなの?」
小萌「マジですぅ!」
禁書「マジなんだよ」
垣根「…………」ジー
小萌「――そっ、そんな…まじまじと見られるとぉ……照れるのですよ~…///」
垣根「…………やっぱウソだ」
小萌「ムキーーーーーーー!!!」
882 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:05:13.44 ID:EAJMitI0 [13/18]
>>878
初春さんはレベル1で『温度を一定に保つ』能力者です。
途中の独白は佐天さんです。分かりづらくてスイマセン。
――――――
垣根「やっぱオカシイ……有り得ないっつーか……イヤないわ……」ブツブツ
小萌「どうしたのですか?」
禁書「見えない何かと戦ってるみたいかも…」
垣根「まぁ………非常識なんて慣れてるし、そういうことにしても……いいか……」
禁書「?」
垣根「………えっと、さっきは失礼しました。上条君の友人(?)の垣根です。小萌先生……で良いっすよね?」
小萌「おぉー! やっと分かってくれたのですかぁ! 先生は嬉しいのですー! ところで、垣根ちゃんは何処の学校なのですか?」
垣根「え? あぁ、長点上機っすけど……」(垣根ちゃん?)
小萌「なっ!?……ま、まさか……垣根ちゃんって……あの…」
垣根「まぁ……第二位っす」(やべぇ、しくったかな……。けど上条の担任らしいし、まぁ良いか)
禁書「こもえ? どうしたの?」
883 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:10:09.19 ID:EAJMitI0 [14/18]
小萌「び、びっくりですよーっ! 七人の内のナンバー2じゃないですか! なんでシスターちゃんと一緒なのですか!?」
垣根「まぁ……上条経由……かな…」
小萌「上条ちゃん……こんな凄いことを先生に黙っていたなんて……三学期始まったらお仕置きしてやるのですよ~…」
垣根(………なんかよくわからんが、上条よ……一応すまんと言っておく…)
禁書「そうだ、こもえ。かきねの『悩み』を聞いて欲しいんだよ!」
垣根「そうそう、俺の悩みを……って、うぉぉいッッ!!??」
禁書「だいじょーぶなんだよ♪ こもえは先生なんだから、きっと良いアドバイスもらえるかも」
垣根(……見た目幼い子にばかり知られていくのは偶然? それとも必然?)
小萌「レ、レベル5の悩みなのですか……? 未元物質は専門外ですが、一生懸命頑張るのですー!」
垣根「いや……それとは全く関係ない話なんだが……」
小萌「へ?」
禁書「かきねは今、恋をしているんだよ」
垣根「そう、恋して……って、インデックス! だから勝手に明かすなってば!」
小萌「恋ですかー……青春ですねぇ~」
垣根「うわ、セリフがもう先生っぽくなってる……」
884 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:14:09.22 ID:EAJMitI0 [15/18]
小萌「先生ですってばぁ! 垣根ちゃんもしつこいですね!? 先生の経験上、そんなんじゃ好きな子と上手くいかなくなるのですよ~!」
垣根「イヤ……経験上って……」(過去の男はロリコン確定じゃねえか…)
小萌「色々あったのですよ……」トオイメ…
垣根(そのナリで男に飽きたかのような目をするのは止めて!)
禁書「かきね、早く相談した方がいいかも」
垣根「え……でもここじゃ……」キョロキョロ
小萌「なら先生の家に行くのですよー。ここからすぐですから」
垣根「……一応訊きますけど、一人暮らし…ですよね?」テクテク
小萌「いえ、違いますよ?」
垣根(だよな……自立してるようにはハッキリ言って見えねーし、きっと家族または親戚か誰かと一緒に住んでんだろ―――)
小萌「家出少女を一人養ってるのですー」テクテク
垣根「……………」
それ以上は頭が痛くなるだけなので考えるのを止めた垣根だった……。
そんなこんなでひとまず、禁書目録と共に月詠のアパートへ移動する事となった―――。
885 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:16:01.35 ID:EAJMitI0 [16/18]
――――――
―――
―――その頃、上条家では……
一方通行「ちっがァァァう!! 未然形はさっき教えただろォがァ! 聞いてたンですかコラ? 聞いてたンですかァァ?」ピシ ピシ
上条「そ、そうか……『打ち消し』か! 俺の右手と一緒って意味だな!」スラスラ
一方通行「オマエ限定の覚え方も良いけどよォ、……なら次ンとこは分かるンだろォなァ?」
上条「えーっと……『いとをかし』………お菓子?」
一方通行「よし、フザけてンのか。そォかそォかァ。是非もォ一度言ってくれよォ。回答次第じゃそれが遺言になるかもなァ」シュルッ
上条「…………」(う、マジでわからん……)
一方通行「ホラァ、時間押してンだから早く答えろよォ。さァーン、にーィ、いィーち……」
上条「!―――わかった! 『趣あり』だ!」スラスラ
一方通行(さっきから土壇場に強すぎだろォ。コイツ………)
大量にあった課題もこんな調子で残りは三分の一にまで減っていた……。頑張れ上条よ!
887 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:27:41.48 ID:EAJMitI0 [18/18]
あ、あと補足っす。
『~~~~~』は回想を意味しています。
今回の回想シーンはアニメ『とある科学の超電磁砲』の十話参照です。
896 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 19:51:55.69 ID:jG1zopk0 [2/19]
――――――
―――
佐天「もしもし? 妹さんですか? 私です。佐天です」
御坂妹『―――おや、久しぶりですね。とミサカは電話と分かりつつもお辞儀をして見せます』
―――佐天が電話を掛けた相手は、昨日友達になった御坂妹だった。
佐天「昨日会ったばっかりじゃないですかぁ! それにお辞儀しても見えませんって!」
御坂妹『これはこれは強烈なツッコミを喰らってしまいましたてへっ♪ とミサカは可愛らしく舌を出してk』
佐天「妹さん! 今、時間もらって平気ですか?」
御坂妹『……ミサカは先ほど調整を終えてただ今絶賛暇人中です。とミサカは寂しい胸中を明かします。』
佐天「ホントですか! ……調整って?」
御坂妹『(やべっ!)あ……いえ……ところで、ご用件は何でしょうか? とミサカは触れて欲しくないことを遠まわしに告げます』
佐天「……そうですか……。あの、訊きたいことがあるんですけど……」
897 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 19:57:27.41 ID:jG1zopk0 [3/19]
御坂妹『はい、何ですか?』
(初春、あの時の借り……返すからね―――!)
佐天は指に力を込めて勇気を振り絞るように声を出した。
佐天「一方通行さんが今どこに居るか、知ってたら教えてくれませんか?」
御坂妹『…………』
しばしの無言……。御坂妹がどう受け取ったのかが不安になる佐天。
御坂妹『………何故聞きたいのですか? とミサカは問い返します』
佐天(う……やっぱ理由言わないとダメだよねぇ。そりゃそうか……)
御坂妹『彼に会って、何をするつもりなんですか?』
佐天「ど、どうしても一方通行さんに訊きたいことがあるんです! せめて連絡先だけでも教えてくれませんか…?」
御坂妹『お断りします。とミサカはハッキリと拒否します』
佐天「!? お……お願いします! そこをなんとか……」
御坂妹『あの方の立場をお忘れですか? そうやすやすと連絡先を教える訳がないでしょう。とミサカは当然の回答を述べます』
佐天「分かってます……。けど、それでもお願いします! 他にアテが無いんです!」
898 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:02:08.02 ID:jG1zopk0 [4/19]
御坂妹『彼に、一体何を訊きたいのですか? 佐天さんは昨日ミサカと友好を結びましたが、もし彼へ気を向けようものなら今度は容赦
しませんよ? とミサカは徹底抗戦の構えをみせます』
佐天「そういうんじゃないです! 神に誓いますから! ………私の親友を、助けたいんです」
御坂妹『……………』
佐天「お願いします……。妹さん……」
電話でなかったら土下座している程に頼み込む佐天。そんな彼女に妹は―――
御坂妹『………ミサカは残念ながら、一方通行の連絡先を把握していません。とミサカは驚きの事実を伝えます』
佐天「え!?」
御坂妹『ですが、ミサカには特殊な方法で一方通行の居場所を推定することはできます。とミサカは補足します』
佐天「じ、じゃあ……どこにいるか分かるってことですか!?」
御坂妹『……少々お待ち下さい』
御坂妹は携帯電話を耳に当てたまま接続モードへと移行した。
899 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:03:55.87 ID:jG1zopk0 [5/19]
―――MNW内
ミサカ10032がログインしました
ちょっと尋ねたいんだが…
1:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
運営様いる?
2:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
来やがったなこの泥棒猫。相変わらず良い度胸だ
3:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
>>2
まぁ落ち着けよ
4:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13481
>>運営様ならいないよ
5:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
おい>>1てめえ今すぐ屋上来いよ。愉快に素敵にバラバラにしてやっからよォ
6:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10085
>>5はずっとこの調子だから気にすんな
7:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
>>5
すまん、お前とは今度ゆっくり話そうと思う。だが今はその前に運営様もしくは一方通行様の居場所を誰か教えろください
900 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:05:20.43 ID:jG1zopk0 [6/19]
8:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
さりげなく『様』付けで呼んでンじゃねェぞコラァ! よほど愉快な死体になりてェと見える
9:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
>>8
キャラ違いwwwww
10:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12430
つーか、あの遊びたい盛りのガキがこんな昼間っからこんなトコ来るわけねぇだろww
11:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
そうそう、クソガキはお昼寝の時間ってなァ
12:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10065
今ごろあのロリコンの腕の中でグースカピーじゃねーのww?
ミサカ20001がログインしました
13:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーん♪ ってミサカはミサカは華麗に登場してみたり。で、ミサカに何か用?
14:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12430
こんにちは運営様! 今日も良いお日和ですね!
15:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
ご無沙汰しておりました運営様、いや~今日も一段と可愛いですね!
16:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10065
どうも運営様、一方通行様にもよろしくっす!
ミサカ12430・ミサカ10039・ミサカ10065がログアウトしました
901 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:07:18.61 ID:jG1zopk0 [7/19]
17:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
逃げたww
18:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11219
逃げたな…
19:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
クソガ…じゃなくて運営様、一方通行は今一緒ですか?
20:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ううん、多分あのヒーローさんの家じゃないかな?
21:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
ほう…
22:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13277
何故そんなすぐに分かる!? ってか、運営様来てから14510が大人しくなったな
23:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
>>22 それは企業秘密♪ あの人が迷子になってもすぐ見つかるように手を打ったとだけ言っておく
24:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
さすが上位wwパネェ
25:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
あ、もう行くからログアウトするね!
ミサカ20001がログアウトしました
902 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:10:59.24 ID:jG1zopk0 [8/19]
26:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
運営様ありがとうございました
27:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
ふぅ、とんだ邪魔が入った。さて、今度はコッチの話をしようじゃないか
ミサカ10032がログアウトしました
28:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
撤退したwww
29:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
つーかこのスレどーすんだよ? 雑談スレなら腐るほどあんだぞ?
30:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
おいてめえ! ナニ逃げてんだゴルァ! まだ話は(ry
―――――
―――
御坂妹「―――お待たせ致しました。時に佐天さんは今どちらに居ますか? とミサカは尋ねます」
佐天『―――え? ○○の××公園ですけど……』
903 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:13:57.79 ID:jG1zopk0 [9/19]
御坂妹「それは好都合です。実はミサカもちょうど今その付近にいるのですぐ向かいます。そのまま動かないでお待ち下さい。
とミサカは指示して電話を切ります」―――プツッ
御坂妹「………さて、では行きますか…」テクテク
ついこの間手に入れたばかりの携帯電話を握りながら、御坂妹は佐天が待つ公園へ向けて足を動かした―――。
―――――
佐天「―――あ、来た来た。妹さ~ん!」
妹との電話から十分後、佐天の視界に御坂妹の姿が映った。立ち上がった佐天は声を飛ばす。
御坂妹「お待たせしました。とミサカは友人との再会に顔を歪めながら挨拶をします」ペコ
佐天「いえ、コッチこそ急にすいませんでした」
御坂妹「それでは行きましょうか」
佐天「え…行くって……?」
904 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:19:16.03 ID:jG1zopk0 [10/19]
御坂妹「あなたを一方通行の居る場所まで案内するのです。とミサカは答えます」
佐天「………い、いいんですか!?」
御坂妹「はい、あなたを友達として信用することにしました。とミサカは微笑みを浮かべます」
佐天「あ…ありがとう妹さん!」
御坂妹「いえ、……できれば道中にでも事情を説明して頂けると嬉しいのですが……。あ、でも話せない部分は伏せても構いませんので。
とミサカは内心気になってみたりします」
佐天「うん、わかった。話すね……」(人名は伏せとこう…)
こうして歩き出した二人……。途中の話は笑い話とは程遠い内容だったが、御坂妹はいつもの無表情で聞いていた―――。
―――――
―――
―――小萌のアパート
垣根「…………ここ?」
「お邪魔しまーす」と部屋に入った垣根の第一声がそれだった。まぁ……当然の反応だ。
905 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:21:34.78 ID:jG1zopk0 [11/19]
小萌「ありゃ? 結標ちゃんはお出かけですかー………。昨日飲み過ぎちゃったから散らかってますけど、遠慮しないで座ってくださいねー♪」
垣根(………ウソでしょ?)
禁書「こもえの家久しぶりかもー! あいさも呼びたいな~」
垣根「…………」
小萌「今お茶淹れるので、寛いでてくださいね」トテトテ
垣根(この部屋に……酒瓶や吸殻いっぱいの灰皿が散乱しているこの部屋に……あんな見た目の先生が………)ジー
禁書「かきね? どうしたの? 目が危ないんだよ?」
垣根「いや……何でも…」(もう考えるのはよそう……。頭がおかしくなりそうだ。ダークマター、ダークマター……)ブツブツ
禁書「怖い……」
小萌「お待たせですー♪」
垣根「あ…どうも」
小萌「さてと、では垣根ちゃんのお悩みを早速聞いてあげるのですよ」
垣根「はぁ……」(やっぱ言わなきゃダメか…?)
小萌「遠慮なく話してみるのですよ。先生も人生経験豊富なのですから、話して損は無いのですー」
垣根「いやぁ……かなりカッコ悪い話なんすけど…」
906 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:22:57.33 ID:jG1zopk0 [12/19]
小萌「気にすることないのですよー。若いウチは色々悩みがあって当然なのですから、どんな内容でも格好悪いことはないのです」
垣根「………じゃあ――――」
―――――
―――
小萌「……………」
垣根「―――やっぱ、呆れちゃいましたよね……」
小萌「…………うぅ…」
垣根「?」
小萌「垣根ちゃんは……とって優しい子なのですね……」ウルウル
垣根「え…?」(なんで涙ぐんでんだこの人?)
小萌「先生は……先生は、感動したのですよ~」フキフキ
いつの間にかハンカチで潤んだ目を拭う小萌……。
907 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:26:20.35 ID:jG1zopk0 [13/19]
小萌「垣根ちゃん!」
垣根「ハ、ハイ?」
小萌「諦めるなんて寂しいこと言ったら駄目なのですよー?」
垣根「はぁ……けど」
小萌「相手の女の子さんもきっと垣根ちゃんからの連絡を待ってると思います! 先生の勘に間違いはないのですよーっ!」
禁書「私もそう思うかなぁ……」
垣根「けど、俺は前にあの子を―――」
小萌「それが何だって言うのですかぁー!?」ガタン
垣根「………?」
小萌「過去に何があったって、それを超えるほどの楽しい思い出を垣根ちゃんはその子と作ったんじゃないのですか?」
垣根「いや……そりゃあ……」
小萌「過去はこの際捨てておくのです! 大事なのは未来なのですよー! 垣根ちゃんはこれからもその子と一緒に居たいと思ってるのかが
一番肝心なところなのです」
垣根「未来……か……」
禁書「かきねは、その女の子に逢いたいんだよね?」
垣根「そりゃまぁ……できるなら…」
908 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:28:57.56 ID:jG1zopk0 [14/19]
禁書「なら逢えばいいんだよ! どうして迷ってるのかな?」
小萌「垣根ちゃんが何で躊躇っているのかは先生には分かります……」
垣根「……分かってるんなら………」
小萌「けど、そんなモノは所詮ただの装飾品に過ぎないのです」
垣根「………?」
小萌「恋に必要なのは地位でも名声でもないのです。相手を愛する心、これだけあれば充分なのですよ」ニコッ
垣根「!………」
小萌「垣根ちゃんは確かにココ(学園都市)では特別な立場にいるかもしれません。けど、それが人を好きになってはいけない理由に
なんかならないのですよ」
垣根「―――!」
小萌「周りから『化け物』と呼ばれても、どんなに優れた力を持っていても、『ひとりのヒト』である事には何ら変わりはないのです。
垣根ちゃんが誰を好きになっても誰かが何かを言う資格なんてありませんし、垣根ちゃんがどんな恋愛をしようと、誰にも文句
なんて言える立場には絶対になれないのですよー。垣根ちゃんだけではありません。上条ちゃんだってもちろんそうです。恋は
人の成長を手助けしてくれる『人生の教科書』なのですよ」
垣根「……………先生………」
禁書(こもえ……さすがとうまの先生かも……)
小萌「迷ってもいいのです。それも成長に繋がるのですから……その上で自分が決めた道を後悔せずに進める日がいつかきっと来るのです。
それまでは、たくさんたくさん後悔してもいいのですよ」
909 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:32:55.30 ID:jG1zopk0 [15/19]
垣根「俺……どうしたら……」
小萌「簡単です。垣根ちゃんが『こうしたい!』と素直に思った通りにすれば良いのですー。後の事を考えるのは『後』で良いのですから」
垣根「…………」
小萌「今したい事だけをして良いと思うのですよ。たくさん悩んで苦しんだんですから、それくらいワガママになっても全然オッケーなのです♪」
垣根(今……したい事……今…俺はどうしたい……?)
垣根(……そんなの……決まってる!)
―――飾利に、逢いたい!!
(そうだ……俺は………この本心を無理矢理封じ込めようとしていた……)
(俺から飾利を遠ざけることで、飾利を守ろうとしていた……)
(―――けど………そんなのはただ都合の良い理由を付けて逃げようとしていただけだった……!)
910 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:34:58.86 ID:jG1zopk0 [16/19]
(向き合うことが……怖かったから……)
(もう一度『あの目』を向けられるのが………怖かったから)
(これ以上、悲しい思いをしたくなかったから―――)
(けど、それじゃあいけねえよな……)
(こんな『臆病』な自分を……この『俺』が許せる訳ねえよな……ッ!)
(償いとか、そんなのをあの子は求めてねぇ……)
(もしかしたら、俺のことは早く忘れようって思ってるのかもしれねぇ……)
(だが、それを気にしてこのまま何もしねぇってのか!?)
(………ざけんな)
(俺は……学園都市の超能力者、垣根帝督だ!)
911 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:39:14.78 ID:jG1zopk0 [17/19]
(―――好きになった女の子ひとりとも向き合えねぇで、何が超能力者だよ!?)
(―――何が男だよッッ!!)
(………俺は、逃げない)
(もう一度、飾利に逢うんだ!)
(どんな目を向けられても、どんな言葉をぶつけられても……)
(正面から向き合ってやる!)
(『今更よくのこのこ顔を出せたな』って思われるだろぉな……。だが、それがどうした!? 当たって砕けるのも上等! イカレタ奴と
思われたって構やしねぇ! 何故かって? そりゃ勿論、俺がそう決めたから………。そう―――)
『―――俺の未元物質に、常識は通用しねぇ!!!』
――――――
小萌「……垣根ちゃん、さっきよりも良い顔になったのですー」
912 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:42:02.88 ID:jG1zopk0 [18/19]
禁書「ホントだ! 顔色良いかも!」
垣根「先生、インデックス―――」
「―――ありがとう!」
小萌「ふふ♪」
禁書「応援してるんだよ」ニコッ
垣根「あぁ」(もう、迷わない………)
(……俺は――――)
(――――初春飾利が、好きだ!)
二人の天使に微笑んだ垣根の心には、決して揺るぐことのない想いが生まれた―――。
926 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:08:03.24 ID:Yc8ARsg0 [2/39]
―――上条宅の前
御坂妹「―――着きました」
佐天「―――ここが……一方通行さんの部屋ですか?」
御坂妹「いいえ、彼の友人の部屋です。とミサカは訂正します」
佐天「…………」
御坂妹「では。とミサカは呼び鈴に手を…―――!?」
―――その時、御坂妹の携帯電話が鳴り出した。
御坂妹「…………」
無言で着信元を確認した御坂妹は、『意外』といった表情をする……。
御坂妹「お姉……様……」
―――――
―――
927 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:09:42.46 ID:Yc8ARsg0 [3/39]
―――数分前、常盤台女子寮
美琴「はぁ……やっと終わったわ……」
黒子「他の寮生の方々が手伝ってくれたおかげで早く終わりましたわね……」
疲れたようにベッドへ腰掛ける二人、御坂美琴と白井黒子は寮内の罰掃除をようやく終えて一息吐いていたところだった。
美琴「ホント、みんなのおかげで助かったわ。今日丸一日は潰れるの覚悟してたもん…」
黒子「これもお姉様の人望ですわね」
美琴「んー、…そういうつもりじゃないんだけどね」
黒子「ご謙遜を…」
美琴「だからぁ―――ん…?」
会話の途中で美琴の目に入ったのは……ソファーに置かれたゴーグルだった。
黒子「お姉様……?」
美琴「あぁー……いっけない、返すの忘れてたわ……」
928 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:12:16.96 ID:Yc8ARsg0 [4/39]
黒子「あのゴーグル、確か妹様の物でしたわよね?」
美琴「うん……昨日借りてそのまんまだったの」
黒子「ゴーグルが無いと、ますますお姉様と間違えそうですわ。もっとも、わたくしは別ですけれど…」
美琴「ハイハイ、分かったからすり寄って来ないの! ……ごめん、ちょっと電話するね」
黒子「えぇ、構いませんの」
美琴「……………」
黒子「お姉様? 何故、携帯電話を睨んでいるんですの? 掛けないのですか?」
美琴「……う、うん……」
黒子「妹様と…何かありましたの?」
美琴「うん……ちょっと喧嘩しちゃって……」
黒子「んまぁ、姉妹喧嘩ですの? 羨ましいですわね」
美琴「そっか……アンタは…」
黒子「ええ、わたくしに姉妹はおりませんから……一度くらいはしてみたいモノですわ」
美琴「はは、オススメはできないけどね……」
苦笑しながら答える美琴……。
929 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:14:22.65 ID:Yc8ARsg0 [5/39]
黒子「折角なのですから、ゴーグルを返すついでに仲直りを望んではいかがでしょうか?」
美琴「……でも……きっと許してくれないわよ。アイツに酷いこと言っちゃったし……」
黒子「それなら尚更お姉様から掛けるべきですわ。で、具体的にはどのようなことを申しましたの?」
美琴「私、ブチ切れちゃって………アイツのこと……『欠陥品』とか……」
黒子「………とてもお姉様から発せられた言葉とは思えませんわね…」
美琴「分かってる……。最低よね、私……」
黒子「今すぐ掛けて謝られた方がよろしいのでは? 妹様はお姉様を元に造られたのでしょう? いわば『親』とも呼べる存在のお姉様から
そのように言われては……さぞかし傷つかれたでしょうに…」
美琴「全くその通りよ。ホント自分が嫌になるわ……。見損なった?」
黒子「は、お姉様こそ、わたくしを見損なわないで下さいな。わたくしはお姉様の『良き理解者』(兼オナペット)ですのよ? 過ちは誰でも
犯してしまうもの……ならば、それを正しい方向へ導くのが『理解者』としての務めですの」
美琴「黒子……」
黒子「わたくしはどんな事があってもお姉様の味方で居続けますの」ニコッ
美琴「……ありがと」
黒子「で・す・が、お姉様が悪い時にはハッキリと言わせてもらいます。それが『パートナー』ですから」
美琴「……はは……敵わないなぁ、アンタには」
930 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:16:10.63 ID:Yc8ARsg0 [6/39]
結局それから三分後、とうとう「ええい!」と、意を決したように通話ボタンを押した美琴であった……。
――purrrrr♪………
『―――はい……』ピッ
美琴「あ……もしもし? ………私だけど……」
御坂妹『………何の御用でしょうか?』
美琴(やっぱり、まだ怒ってるのかな………そりゃそうよね……)
御坂妹『用がないのでしたら切りますが?』
美琴「あ! 待って!………その…」
御坂妹『…………』
美琴「………は……めん…」ボソッ
御坂妹『聞こえませんが? とミサカは復唱を求めます』
美琴「―――昨日は……ごめんっ!」ペコッ
931 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:19:10.86 ID:Yc8ARsg0 [7/39]
黒子(お姉様……電話相手に頭を下げるのは無意味かと思いますが……)
美琴「私が悪かったわ! アンタに酷いこと……いっぱいしちゃって……本当に何て言ったら良いか……」
御坂妹『―――もう、怒っていませんよ。お姉様』
美琴「え…?」
御坂妹『ミサカの方も、少し言い過ぎました。ゴメンなさい……とミサカは電話では意味がないと分かりつつも頭を下げます』ペコッ
美琴「…アンタ……」
御坂妹『こんなミサカでも、もう一度……妹として見てくれませんか? とミサカは頼みます』
美琴「も、もちろん! っていうか、コッチのセリフよ! ……私のこと……これからも姉として、見てくれる?」
御坂妹『当然、ミサカの姉はお姉様です。とミサカは和解のエアー握手を求めます』
美琴「……ありがとう」
心で固い握手を交わした二人は、再び姉妹の絆を強めたのだった。
美琴「ねぇ、そう言えばアンタ今何処? ゴーグル返したいんだけど……」
御坂妹『あ、忘れてました。道理で今日はよくお姉様に間違えられるハズです……とミサカは納得します』
932 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:22:08.25 ID:Yc8ARsg0 [8/39]
美琴「ゴメンね、すぐ返しに行くから。で、今何処にいるの?」
御坂妹『それなんですが……上条宅まで来て頂ければ幸いです。とミサカは希望します』
美琴「はぁ? アイツん家? なんで……?」
御坂妹『実は今、佐天さんと一緒に上条宅まで来ているからです。おっと誤解すんなよ? 一方通行がいるから来ただけなんだからね!
とミサカはツンデレっぽく説明します』
美琴「佐天さんも? ……分かった。それじゃあ今からソッチ行くわね」
御坂妹『お待ちしております。とミサカは部屋主の許可などお構いなしの態度で答えます』
美琴「ふふ、じゃあ後でね――」ピッ
通話を切った美琴はスッキリした表情を隠しきれていなかった。
そんな彼女に黒子は…
黒子「どうやら無事に仲直りできたようですわね。良かった…」
美琴「うん! 黒子のおかげよ! ありがとーっ!」ギュッ
黒子「―――!!?」
美琴にいきなり抱きつかれた黒子は当然パニック状態になる。
933 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:24:11.79 ID:Yc8ARsg0 [9/39]
黒子「ついに……ついにこの時が来たんですのね!? わたくしとお姉様がひとつとなる日が! 待ち続けた甲斐がありましたわぁ!
ささ、お姉様! もっと撫で回すように! もっと抉るように、このわたくしを溺れ逝くまで壊してくだs―――」ガバッ
―――スカッ
黒子「ありゃ……?」
美琴「さて、じゃあ早速アイツん家まで……おっとその前に鏡鏡~♪」
黒子「…………」
抱き返そうとした黒子の両腕は空を抱いた……。
避けるように黒子から離れた美琴は一瞬の内に洗面台へと移動していたからだ。
美琴「あ、そうだ。どうせなら黒子も一緒に行かない?」
ヒョイ、と顔を出して尋ねる美琴に黒子は……
黒子「え?………わたくしは……う~ん、どうしましょうか………」
934 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:25:40.21 ID:Yc8ARsg0 [10/39]
悩むポーズをとった。美琴にはついて行きたいが、上条宅というのが問題だったのだ。
黒子(何故わたくしがあの低俗なサル野郎の住処になど……)
別に上条が悪い訳ではない、のだが……黒子の上条へのイメージは美琴の告白と共に大暴落していた。
美琴「良いじゃない、行こうよ? 佐天さんも居るし」
黒子「は? ……何故に佐天さんが?」
美琴「さぁ? それは分かんないけど、行けば分かるんじゃない? それより、来ないんなら置いてくけど?」
いつの間にか、すでに美琴は玄関のドアを開けていた。相変わらず上条が絡むと時々人外な素早さを発揮する美琴だった。
黒子「わ、わたくしも行きますのー!」ザザーッ
滑り込みで美琴と共に部屋を出た黒子。
935 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:27:33.69 ID:Yc8ARsg0 [11/39]
黒子(お姉様のためですの! そう! これは護衛ですの! あのサルを亡き者にして今度こそお姉様をわたくし色に染め上げてみせますわ!
それ以外の何物でもありません!)
心で必死にそう言い訳する白井黒子だった……。こうして二人も上条宅へ―――。
―――――
―――
―――上条宅
上条「―――終わ…ったぁぁぁ」グデー
机に体を沈める上条。その横には解き終えた問題集が綺麗に積み重ねられている。
何も無い綺麗な机が全ての終わりを物語っていた……。
936 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:29:08.23 ID:Yc8ARsg0 [12/39]
一方通行「思ってた以上の早さだったぜ三下ァ。良く頑張ったな」
一方通行の顔にも微笑みが伺える。
上条「いつもの三倍は頭良かったんじゃねえか俺…?」
一方通行「そォでなきゃ、俺が居る意味なンてねェだろォがよ」
上条「上条さん一人じゃ絶対に終える事は出来なかっただろぉな……ホントにありがとう一方通行。俺の三学期はお前に救われたよ」
一方通行「大げさなンだよ。俺は分かンねェ箇所を教えただけで、殆どはオマエが解いたンじゃねェか」
上条「いや! お前が居なかったら絶対こうは行かなかった! サンキューな!」ガシッ
一方通行「オイ! 手ェ握ンなよ! 放せ気色悪りィ!」ブンブン
上条「いや、放さない! 俺、ホントにお前には感謝してるんだ……」(これでインデックスの晩飯を買う時間もできた)
一方通行「それは分かったから放せってンだよ!」ブンブンブン
上条「……ていうか、お前の手って…触り心地良いな……石鹸みたいにツルツルしてる」サワサワ
一方通行「~~~~~!!??」
937 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:31:43.43 ID:Yc8ARsg0 [13/39]
サーッ…と、一方通行の顔が青ざめていく……。
一方通行「オ、オイ! 何フザけた事ぬかしてンだコラァ! 早く放せェ! 変な考え起こすンじゃねェぞ!?」
上条「何こんくらいで照れてんだよ? ダチなんだから良いじゃねえか」
一方通行「オマエ普段ダチとこンな事してンのかァ!?」
上条「いや、しねえけど……何だろうな。お前だから……かな?」(反応が面白いから)
一方通行「意味分かンねェンだよ!!」
上条「俺じゃ……イヤか?」キリッ
一方通行「……………」
上条(お、固まってる固まってる……。ホント面白ぇ反応するなぁコイツ……)
ピンポーン♪………ガチャ
佐天「ちょっと! 妹さん! 勝手に上がっちゃって良いんですかぁ!?」
御坂妹「大丈夫ですよ。今のミサカは大変気分が良いので、多少の細かい事は気にしないようにします。とミサカはアポ無しの上に許可無しで
足を踏み入れます」ズカズカ
佐天「あ、待ってくださいよぅ! って………?」
上条・一方通行「…………………………」
御坂妹・佐天「…………………………」
938 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:33:14.16 ID:Yc8ARsg0 [14/39]
一方通行の失敗は、さっさと上条の手を振りほどかなかった事だった。
御坂妹「………これは………細かい事は気にしないと言って見逃せる状況では……ないですね。とミサカは鼻血が出そうな鼻を、押さえて……うっ」
一方通行「ま、待て! 違う! ってか、何勝手に入ってきてンだオマエらァ!」
佐天「一方通行さんって……ソッチ方面の人だったんですね……。ちょっと、いやかなり意外でした…」ジトー
一方通行「そしてなンでオマエもいンだよォ!?」
上条「あー………一方通行。あのな、こぉいう時は黙ってこぉ言うんだよ。さぁ、共に叫ぼうぜ」ポン
「せーの……―――」
上条・一方通行「―――不幸だァァああああああああッッ!!!!!」
佐天「うわ、うるさっ……」
御坂妹「実に愉快な方々ですね。とミサカは息ピッタリな二人を微笑ましく見つめます」
佐天(っつか黙ってないし……)
耳を塞ぐ佐天と若干ニヤケ顔の御坂妹は、男二人が叫び終えるのを待った。
この叫びの後に彼等の口から出た言葉が弁明の嵐であった事は言うまでもない―――。
939 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:36:06.34 ID:Yc8ARsg0 [15/39]
とりあえずここで切ります。
書き溜め終わり次第続きを投下しに来ますんで。
確かにていとくん……良く考えたらロリコンじゃんww
941 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:33:45.50 ID:Yc8ARsg0 [16/39]
ども。
それでは続き投下していきます。
942 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:35:15.02 ID:Yc8ARsg0 [17/39]
―――――
―――弁明し終えてさらにそれから約十分後
一方通行「つーかよォ……オマエら結局何しに来たンだよ?」
御坂妹「はい、実は佐天さんがあなたにどうしても尋ねたいことがあると…」チラッ
後ろにいる佐天に視線を向ける御坂妹。
佐天「あ…どうも。お邪魔します。っていうかお邪魔してます」ポリポリ
考えてみれば男の部屋に入ったのが初めてだった佐天は、今更気まずそうに笑う。
上条「……今度からは勝手に入るのは遠慮してくれよ?」
御坂妹「そうですね。心臓の動悸がまだ治まりません。それにしても、プレイ前で本当に良かった。とミサカは…」
943 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:37:21.88 ID:Yc8ARsg0 [18/39]
一方通行「誤解だって何度言わせる気だァオイ? 燃やされてェのか?」
御坂妹「ジ、ジョークですよやだなぁ。とミサカは怯えて撤回しますっ」
馬鹿なやりとりをする一方通行と御坂妹を横目に佐天は上条に目を向けた。
佐天「あのぉ……」
上条「あぁ、俺は上条当麻。どこにでもいる普通の高校生ですよ」
佐天「わ、私は佐天涙子って言います。勝手に上がってすいませんでした」
上条「気にすんなよ。そんなことで怒ってなんかいないからさ」
一方通行(どこにでもいる普通の高校生ねェ……。ハッ、よく言うぜ)
佐天「……どうも。あの、上条さんって……御坂さんの知り合いなんですか?」
上条「え? そうだけど……何で?」
佐天「やっぱり! 御坂さんがよく『あのツンツン頭~~』とか言ってたからまさかな~って…」
上条「うぐ……アイツめ…」
944 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:39:23.18 ID:Yc8ARsg0 [19/39]
佐天「御坂さんと仲良いんですよね?」
上条「あぁ……まぁ……」(考えてみたら、そういうのも俺に好意があったからこそなんだよな……。女の子ってのは難しいぜ…)
一方通行「ンでよォ、俺に訊きたい事ってのは何だ?」
いつの間にか御坂妹とのやりとりを切り上げて佐天を見る一方通行に、佐天は一瞬ビクッとなるがすぐに尋ねた。
佐天「あ、すいません。それでそのぉ……一方通行さん。垣根帝督さんが今何処にいるのか知ってますか?」
一方通行「………聞いてどォすンだよ?」
佐天「一方通行さんは、昨日初春……あの花を頭に咲かせた私の友達と一緒にいたのが垣根帝督さんだって分かってたんですよね?
あの二人の『事情』も……ホントは知ってるんじゃないですか?」
一方通行「だったらどォした?」
上条「おい一方通行……」
一方通行「オマエはアイツに会って何がしてェンだ? 俺はソレを訊いてンだがなァ」
覚悟を試すかのような視線をぶつけてくる一方通行。だが、それでも佐天は物怖じしなかった。
945 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:41:40.43 ID:Yc8ARsg0 [20/39]
佐天「決まってるじゃないですか! 初春と会ってくれるように頼み込むんです! 初春は……垣根さんに会いたがってるんですから!」
御坂妹「…………」
一方通行「…………」
上条「…………」
佐天「初春は親友なんです! その親友が……あんなに苦しんでるのを、黙って見てなんかいられませんっ!」
一方通行「俺がンな簡単に教えるよォなお人好しに見えンのかよ?」
佐天「…見えません。だからお願いしたいんです。一方通行さん、お願いっ!」ガバッ
上条「お、おい! やめろって! なぁ一方通行! もういいだろ!?」
佐天が地面に膝をつけ、頭を屈めようとする。さすがにこれには上条が黙っていられなかった。
上条「佐天さん! 頭上げてくれ! もう分かったから……。そういうのは上条さんの専売特許ですよ」
佐天「でもぉ……」ウルウル
946 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:44:07.82 ID:Yc8ARsg0 [21/39]
顔を上げた佐天の目は……涙ぐんでいた。一方通行は「チッ…」と舌打ちして目を逸らす。
上条「一方通行……俺が話すぞ? 女の子を泣かせるのは感心しないからな…」
一方通行「……勝手にしろ」
目を逸らしたままそう言った一方通行。
上条「佐天さん、すまないな……。実は―――」
昼食時、ファミレスでの一部始終を見ていたことを告げる上条……。
これから二人の恋を実らせるために話し合いをする予定だったこともついでに明かした。
―――――
佐天「―――ひどいですよ一方通行さんっ! 近くにいたなら声かけてください!」
一方通行「そンな雰囲気じゃ無かったろォがよ!」
上条「まぁまぁ落ち着け二人とも。とりあえず、佐天さんと御坂妹にも一緒に考えてもらえたらありがたいんだが……。
やっぱ女の子側の意見も欲しいし……」
947 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:45:55.73 ID:Yc8ARsg0 [22/39]
御坂妹「それは構いませんが……具体的にはどのように考えているのですか? とミサカは尋ねます」
上条「それが、まだ何も……。最終的に決めるのは当人同士だからなぁ……。俺達にできることって言ったら……何なんだろう?」
佐天「あの二人を……何とかして巡り会わせましょう」
上条「どうやって?」
佐天「初春は私が呼び出して、一方通行さんが垣根さんを呼び出すんです」
一方通行「そりゃ無駄だと思うぜ?」
佐天「な、なんでですか?」
一方通行「垣根の方は、その初春ってヤツと二度と会う気はねェだろォよ……」
『――――できるんなら………もう一度逢いてぇ。あの無邪気なツラをもう一度見てぇよ……けど、それはもう叶わねえんだ――――』
―――もう……叶わない。確かに垣根はそう言った。あの言葉には決別の意味がハッキリと感じられたのだ。
佐天「……そんな…」
948 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:49:43.54 ID:Yc8ARsg0 [23/39]
一方通行「仮に会わせたとしても、垣根はすぐ逃げちまうだろォな……。そンなことになっちまったら、初春ってヤツに
無駄な傷が増えるだけなンじゃねェのか?」
上条「ただ偶然を装って引き会わせるだけじゃダメってことか……」
佐天「何とか……ならないんですか?」
一方通行「ソレを今考えてンだよ――」
―――ピンポーン♪
一方通行「――あン?」
上条「……誰だ?」
御坂妹「あ、多分お姉様です。とミサカはすっかり忘れてました」
一方通行「……とにかく出てやれよ」
上条「あぁ」スクッ
立ち上がって玄関へ向かう上条。
―――ガチャ
949 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:51:44.93 ID:Yc8ARsg0 [24/39]
美琴「――お……おっす」
黒子「――こんにちは…」ムスッ
上条「お、おう。……どうした?」
美琴「妹、来てない?」
上条「あぁ、来てるぞ。とりあえず二人とも上がれよ」
美琴「う…うん。お邪魔しま~す…」
黒子「……お邪魔致します」ツン
上条(やっぱ、美琴のことは意識しちまうよなぁ……。にしても、何で白井は不機嫌なんだ…?)トタトタ
美琴「あ、一方通行……」
一方通行「……よォ」
美琴「おっす……」
黒子「第一位様。お久しぶりですわね」
一方通行「おォ、……オマエ何か機嫌悪くねェか?」
黒子「気のせいですの。……妹様もご無沙汰ですわね」
御坂妹「おっす。とミサカはお姉様風に挨拶してみます」
950 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:54:40.83 ID:Yc8ARsg0 [25/39]
黒子「―――そして…」
佐天「あはは~……どうも~」
黒子「佐天さん。どういう事ですの?」
佐天「いや~、話すと長いですよ?」
美琴「佐天さんも、昨日はゴメンね…」
佐天「あぁ、いいですよそんなの。仲直りできて良かったですね」ニコッ
美琴「うん。あ、そうそう。ハイこれ」スッ
御坂妹にゴーグルを返す美琴……。
御坂妹「これでようやくミサカは完全なミサカに戻りました。とミサカは一日ぶりのゴーグル姿を一方通行に見せつけます」チョロチョロ
一方通行「顔の回りをチョコマカすンなうっとォしい。……わァったよ。オマエはソッチの方が似合ってっから、大人しく座れ」
御坂妹「………/////」
黒子「これは一体どういう事なんですの? お姉様」
上条「?……何かよく分からんが、御坂に白井も知恵を貸してくれるとありがたいんだが…」
美琴「は?」
黒子「???」
951 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:56:45.08 ID:Yc8ARsg0 [26/39]
上条「実は―――」
~~~美琴&黒子へ説明中~~~
黒子「―――ま……まさか……そのような事になっていたとは……」
美琴「………初春さん……」
初春と垣根の事情とこれから二人のためにどうしたら良いのかを話し合っていた事を二人の常盤台生に説明した上条。
さすがに二人とも衝撃を隠せなかったようだ。特に風紀委員の相棒の上、初春との付き合いも長い黒子にとってはそのショックは
大きかった筈……。
黒子「初春め……。何故、わたくしには一言も相談しないんですの……。水くさいにも程がありますわ。頭の花抜き取るだけじゃ
済まされませんわね……」グヌヌヌ
美琴「多分、アンタに余計な心配させたくなかったんだと思うよ。私や佐天さんはあの場で会ってたから……」
黒子「―――ですがっ!」バンッ
上条(あ、上条さんの椅子が……)
黒子「それでは、わたくしだけ蚊帳の外ではありませんか! ……初春がそんなに苦しんでるなんて知って、黙ってなどいられません!」
佐天「白井さん……」
黒子「第一位様! 今すぐ第二位の殿方を呼んで下さいまし! わたくしが直接申してやりますの!」
美琴「黒子……」
952 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:58:37.52 ID:Yc8ARsg0 [27/39]
一方通行「…………」
黒子「今すぐ初春に会うべきですわ! こういう場合、殿方の方から出向くのがセオリーではありませんの!?」
一方通行「……無理だ」
黒子「何故!?」
一方通行「アイツの立場をよく考えてみろよ……。俺やオマエらが直接言ったからどォにかなるって本気で思ってンのか?」
黒子「それは………」
一方通行「超電磁砲も知ってるとは思うが、超能力者(レベル5)なンてのは『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』が尋常じゃねェ。
それこそ『頑固者』なンてレベルじゃ到底許されねェ程に我が強ェンだ。人から強制されるなンてのは有り得ねェンだよ」
美琴「………人にも寄るんじゃないかしら?」
一方通行「さっきも言った通り、垣根は花頭とは二度と会う気がねェのは間違いねェ。………昨日、本人の話しを聞いた限りじゃな……」
佐天「でも、さっき一方通行さん言ったじゃないですか! 『垣根さんも本当は初春に会いたがってる』って! それなら……会えば良いんじゃ
ないんですか?」
一方通行「だからこそ余計にアイツの決意は固いだろォし、尚更会うのは無理だろォな……」
佐天「なんで……?」
一方通行「オマエには理解できねェかもしンねェがな……。俺には分かるンだよ」
美琴「意地張るのとは……ちょっと違うわよね……」
953 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:03:06.30 ID:Yc8ARsg0 [28/39]
上条「そんなレベルじゃないだろぉ……。男として覚悟決めたって言ったら聞こえは良いが…」
御坂妹「……まさにテコでも動かない意志……ですか。難しいですね。とミサカは思考を捻ります」
美琴「結局は、本人達次第だからね……。私達にできる事なんて……あるのかな……」
黒子「………ですが、このまま初春を放っておくなんて……わたくしにはできませんわ…」
上条「俺らも同じだよ白井。みんなで考えようぜ? きっと何か方法があるハズだ」
黒子「……えぇ」
上条、一方通行、美琴、黒子、御坂妹、佐天……それぞれがそれぞれの友人のためにと精一杯の思考を唸らす。
そうして出来上がった無言の空間を打ち破ったのは――――
上条「―――みんな! 聞いてくれ!」
―――上条だった。
当然、全員が上条に注目する……。
佐天「上条さん……?」
954 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:05:48.26 ID:Yc8ARsg0 [29/39]
一方通行「………?」
美琴「何か良い手でも浮かんだの?」
上条「あぁ、名案だ」ニヤリ
含み笑いを浮かべてハッキリそう言った上条に、周りからは期待の空気が生まれる。
上条「話す前に聞きたいんだが、この作戦には皆の力が必要不可欠だ。俺に協力してくれないか? そうすればきっと上手くいく…」
美琴「あったり前じゃないの。友達のためなら是非協力させてもらうわ!」
黒子「右に同じですの!」
御坂妹「流れに逆らう訳にはいきませんね。とミサカも協力の姿勢を見せます」
佐天「ってか、そんなの聞くまでもないじゃないですか~!」
上条「一方通行……」チラ
一方通行「……ンな分かりきった事ァ良いから、早く話してみろよ」
955 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:08:28.35 ID:Yc8ARsg0 [30/39]
上条「ああ! んじゃ詳細を説明するぞ。―――――」
こうして、上条の口から垣根と初春を再び引き会わせてくっつけるための作戦が発表された―――。
―――――
一方通行「………」
上条「――どうだ? 完璧だろ?」
黒子「……類人猿にしては名案だと思いますが……ホントにそれで上手くいきますの?」
上条「絶対大丈夫だ! むしろこれ以外にあるか?」
美琴「確かに……他には考えられないけど……」
佐天「……それで、いつやるんですか?」
上条「そうだな……。できれば早い方が良いだろ。明日とか、皆空いてるか?」
黒子「当然ですわ!」
956 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:13:32.61 ID:Yc8ARsg0 [31/39]
美琴「私もちょうど空いてるわね」
佐天「冬休み中ですからね。全然問題ないっす!」
一方通行「…………」
上条「一方通行も、いいな?」
一方通行「おォ……っつゥか、本当にソレで上手くいくのかが正直疑問だがなァ…」
上条「失敗することを考えてたら、前には進めないぜ?」
一方通行「そりゃそォだが……ぶっつけ本番でやるつもりかよ?」
上条「下手に練習入れたりしたら、アクシデントが起こった時に対応し辛くなるだろ? この作戦のテーマは『臨機応変』がカギなんだよ。」
黒子「役割は分かりましたが……果たしてどうなるか……」
上条「お前の空間移動が無いとダメなんだ。頼むぜ白井」
黒子「……初春のためですから仕方ありませんわね。乗りましたわ」ニヤリ
上条「佐天さん、初春さんの予定は大丈夫かな?」
佐天「無理矢理にでも来させます」
上条「……よろしく」
御坂妹「では、ミサカは早速準備に掛かりますので、これで失礼します。とミサカは明日に備えて骨を鳴らします」ポキポキ
上条「おう、御坂妹も悪いな。頼んだぞ?」
御坂妹「お任せ下さい。とミサカは親指を立てます」グッ
957 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:15:26.21 ID:Yc8ARsg0 [32/39]
美琴「それじゃ、私達も今日は帰るわね」
黒子「そうですわね。明日に備えますわ」
佐天「よし、じゃあ私も!」
上条「決行時間は明日の十時で、九時に家集合な? 御坂も佐天さんも、予定通り頼んだぜ? 白井もな」
美琴「オッケー♪」
佐天「任せてください♪」
黒子「ええ! こうなったらわたくしも腹を括りますわ! では、明日―――」
上条に向けて「任せとけ」とばかりに自信満々の笑みを返した女子達は、上条宅を後にする。
―――バタン
一方通行(……なンかすげェ事になっちまったなァ……。けど、ここまで来たら俺も腹ァ括ンねェと……元々俺が持ちかけた話だしなァ)
上条「よし、俺らも打ち合わせくらいはしときますか?」
一方通行「……そォだな」
958 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:16:49.44 ID:Yc8ARsg0 [33/39]
上条「……さっきからテンション低いな。どうした?」
一方通行「別に。なンでアイツらのためにそこまでしてやれンのか……ちっと疑問に思っただけだ」
上条「まだそんな事言ってんのか? お前だってもう知ってるハズだぞ?」
一方通行「……あ?」
上条「誰かを助ける事に、理由なんか要らねぇ」
一方通行「………ふン」
上条「そうだろ?」
一方通行「………あァ、そォだったな。ったく、オマエはいつもそォいうヤツだよなァ」
上条「今は『お前も』、だろ?」ニヤリ
一方通行「………チッ」
上条「フッ……」
一方通行「……あーァ、やンなるぜェ。……すっかりオマエに毒されちまった……。前の俺なら、こンなのどォでもイイとしか思え
なかったってのによォ」ニヤリ
959 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:18:27.60 ID:Yc8ARsg0 [34/39]
上条「へへへ……」
一方通行「ククク……」
上条「―――よっしゃあ!! いっちょ派手にやってやろうぜぇ!!」
一方通行「―――ったりめェだろ三下がァァ!! 足引っ張りやがったらブチ殺すからなァ!!」
上条「はん! コッチのセリフだ! ……いいぜ、アイツらがこのまま別々の道に進んじまうって言うんなら―――」グッ…
一方通行「アイツらがすれ違う想いを引きずったままこの先を生きるって言うンなら―――」グッ…
『――――まずは、そのフザけた幻想をブチ殺す!!!!!』
気合を込めて叫んだ二人の主人公(ヒーロー)は握った拳を合わせる。互いを見据える二人の顔は紛れもなく『友を認める顔』だった。
そして、それはこの作戦の『成功』をも意味している。少なくとも、今の二人の頭には『失敗』の文字は少しも見当たらなかった―――。
続きます
電話の相手は一方通行だった―――。
『―――何だよ?』
垣根「よう、お前今上条と一緒か?」
『あァン? 何でオマエが知ってンだ?』
垣根「いや……今インデックスと一緒にいんだけどよ」
『はァ?』ナニィィィィ!?
『―――って、うるせェぞ三下ァ!』ボカッ
垣根「両方うるせぇよ……」
『で、オマエ今どこにいンだよ?』
垣根「○○付近のファミレスだよ。街フラついてたら偶々そこで会ったんだ」
『そォか……』
垣根「どぉする? なんならソッチ送るけど?」
『イヤ、悪りィンだがよォ……しばらくオマエが面倒見ててやってくンねェか? その方が都合良ンだわ』
垣根「………まぁそれでも良いけどよ……。今上条ん家にいるのか?」
『イヤ、俺らもメシ食いに別のファミレス来てる』
845 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:26:19.38 ID:sVcjzAY0 [5/21]
垣根「そっか……わかった。じゃあまた後で連絡くれ。そん時送るからよ」
『おォ、悪いな。そンじゃ―――イヤちょっと待て。今三下に代わっからよォ―――』
垣根「ん? あぁ……」
『―――もしもし垣根? 俺だけど……インデックスにメシ食わせてくれたり……した?』
垣根「あぁ、相変わらずすげぇ食欲だ。店員涙目になってやがら」
『すまん! 本当にゴメン!』
垣根「おい、何謝ってんだよ?……あぁー、金のことなら心配すんな。どんだけ食おうが、しょせん飲食代なんてたかが知れてっからさ」
『……おぉ……神サマがここにも…』
垣根「あ? 何? よく聞こえなかったぞ」
『いや何でもない! ……じゃあ悪いんだけど、インデックスを半日くらい頼んでいいか?』
垣根「あぁ、別に構わねぇよ」(ってか、その方が好都合なんだがな…)
ひとりでいるより誰かと一緒にいたい気分の垣根は二つ返事で了承した。これで気分も紛れると思うと、むしろ有難いことだった。
『んじゃ、一方通行からは特に無いみたいだから切るわ』
垣根「おう、後でな。―――」
―――ピッ……
846 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:28:21.54 ID:sVcjzAY0 [6/21]
禁書「……とうまと電話してたの?」
垣根「あぁ、一応言っとかねえとアイツら心配すんだろ?」
禁書「…………かきね」
垣根「ん……何だ?」
禁書「さっきから思ってたんだけど……顔色が悪いんだよ? 何かあったの?」
垣根「え?……いや、何もねえけど?」
禁書「嘘吐いても顔に出てるよ? それに……すごく、辛そうな顔してる……」
垣根「!?」
無意識の内に顔に出てしまっていたか……。
禁書目録は垣根の目を真顔で見つめた。
全てを見通すような瞳に、垣根は思わず目を逸らす。
(ははっ……シスターってのは、名前だけじゃねえってか……)
(けどよ、さすがにこの子にまで愚痴入れちまうのは……なんつーか…)
847 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:30:05.30 ID:sVcjzAY0 [7/21]
禁書「気にしなくて良いんだよ。私は修道女。悩んだり苦しんだりしている人に正しい道を教えるのが私の役目なんだから」
垣根の心を見抜くかのように言い放つ禁書目録。
禁書「話してごらん。かきねが悩んでる事を私も一緒に考えたいんだよ」ニコッ
全てを許す…そんな目で微笑んだ禁書目録に、垣根は懺悔するしかなかった……。
何もかもを包み込むような広い心と胃袋を持った小さな少女は、垣根の話を最後まで聞いていてくれた。
――――――
禁書「―――話は分かったんだよ」
垣根「……ゴメンな。生々しい話聞かせちまって……」(結局、喋っちまった……つくづく嫌な野郎だな俺って……)
禁書「ううん、いいよ。かきねは何も悪くないんだから」
垣根「いや……悪いだろ。どう考えても……」
禁書「本当に悪いのは『悪い事をしている自分』に気づかない事なんだよ」
垣根「……?」
禁書「かきねはよっぽど過去の自分が許せないんだね……」
848 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:32:19.10 ID:sVcjzAY0 [8/21]
垣根「まぁ……そうかもな。けど、今更どうしようもないんだよ……」
禁書「なんでかな?」
垣根「なんでって……そりゃそうだろ? 彼女はきっと俺に会いたくなんてねぇだろぉし、俺の立場考えたらその方が良いって皆言うぜ」
禁書「かきねの立場ってのがよくわからないんだけど……」
垣根「要するに、『クソ野郎』って意味だ」
禁書「ふ~ん……けど、かきねはそれでいいの?」
垣根「………それで良かった、ハズなんだけどな。ハハ……」
禁書「ホントはそのカノジョさんに会いたいんじゃないのかな?」
垣根「………やっぱ……そぉなんだよなぁ……」(こりゃ隠しても無駄だな……)
禁書「なら、会えばいいんだよ! 電話番号とか知ってるんならすぐ掛けるべきかも!」
垣根「無理だよ……」
禁書「なんで? その子も待ってるかもしれないんだよ?」
垣根「………いや……会っても、何言えば良いか分かんねえし……」(嘘だ……言いたい事はもう決まってる)
(ホントは……会って謝りたいんだ)
(けど、会った時の彼女の顔を見るのが……辛くて)
(彼女から掛けられるであろう言葉が………怖くて)
849 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:33:26.66 ID:sVcjzAY0 [9/21]
(それを、躊躇わせている―――)
垣根(―――なんてことまで……流石に言えねぇよなぁ……)
禁書「かきね」
垣根「ん?」
禁書「私は、かきねが悪いなんてこれっぽっちも思わないからね」
垣根「あぁ、そう言ってくれっと嬉しい…かな」
禁書「諦めちゃ、ダメなんだよ」
垣根「……ありがとな。聞いてくれて…」
禁書「あ、当たり前なんだよ! 私はシスターなんだから!」
垣根「ハイハイ、こりゃ将来が楽しみだな」
禁書「むぅぅ……かきねまで私を馬鹿にしてぇぇ……」プクー
垣根「ははははは」
禁書「……ふふっ」ニコッ
しばらく笑っている内に、垣根の心もだいぶ落ち着いてきたようだった―――。
―――――
―――
850 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:35:02.70 ID:sVcjzAY0 [10/21]
―――その頃、別のファミレス
「―――ホントにゴメンね!」バンッ
テーブルに両手をついて頭を下げる佐天涙子……。
ちなみにここは、いつも美琴や黒子などとよく来るいつものファミレスだ。
「……オカシイと思ったんですよ。佐天さんの彼氏が学園都市の頂点だなんて…」
向かいの席で細い目をして佐天を見る初春飾利は呆れたようにホットココアを啜った。
佐天は嘘によって誰もが生じる心の痛みに耐え切れず、全てを自供したのだ。心配で後を尾けていた事も一方通行に偽りの彼を演じさせた
事も全て……。
佐天「やっぱ……怒ってるよね?」
初春「当たり前ですっ!」
覚悟して吐いたとは言え、やはり辛い……。しかし、このまま嘘をずっと吐き通す事の方がもっと辛いのだ。
今佐天にできるのは、ただ平謝りする事だけである。
初春「………もう良いですよ。心配してくれたのは、正直嬉しいですから」
851 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:36:33.35 ID:sVcjzAY0 [11/21]
謝り続けてやっとこの言葉が聞けた佐天は胸のモヤモヤが一気に軽くなっていくのを感じた。
初春「ここは奢って下さいね?」
佐天「うん、もちろん!」
今の佐天にとっては、それくらい安いものだった。
―――――
初春「あの……佐天さん…」
佐天「ん? 何?」モグモグ
パフェを頬張る佐天に初春が言い難そうな声で尋ねた。
初春「―――私も、今日は佐天さんに聞いて欲しいことがあるんです……。いいですか?」
佐天「なぁに? まさか昨日の『カッキーさん』のことぉ?」ニヤニヤ
初春「……はい」
佐天(?―――おっと、笑って聞ける話じゃない雰囲気……)
852 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:39:25.61 ID:sVcjzAY0 [12/21]
初春「驚かないで、聞いて下さい……」
今度は初春が……全てを自供した。
佐天のスプーンは、話の途中で動くことは一切無かったのだった……。
―――――
佐天「―――嘘……でしょ……?」
初春「私も……夢だったらどんなに良かったか……」
佐天「前に初春を殺そうとした上に、こないだ御坂さんとも衝突した学園都市第二位の超能力者が………カッキーさん!?」
初春「………」コクリ
佐天「……………」
流石に言葉が出なかった。佐天は必死に心を整理する。
853 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:41:06.18 ID:sVcjzAY0 [13/21]
(つまり、あの場には学園都市の頂点二人が居たわけで……いや、御坂さん入れたらトップ3が揃ってた!?)
(どんな偶然よソレ!?)
(っていうか、なんでそんな大物が初春を!?)
(また……何か企んでるの…?)
(………けど―――)
ちなみに第四位も同じ施設内に居たのだが、佐天はそこまで知らなかった。
垣根がまた初春の前に現れた事は本当にただの偶然が元なのだが、話を聞いてすぐにはそうと思えず、何の目論見が彼にあったのか考えようと
する。……が、水族館での垣根と初春の雰囲気を思い返す。
(―――そんな風には……見えなかったよ……)
垣根が何か裏を持って初春に接近したとは、やはりどうしても考え難かった。
初春「佐天さんは、どう思います?」
佐天「ゴメン………私もよく分からないや」
854 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:43:07.42 ID:sVcjzAY0 [14/21]
初春「そう……ですよね」
佐天「初春はさ、カッキーさんを……やっぱりまだ恨んでる?」
初春「いえ、正直言うと……もうそんな気持ちは無いんです」
佐天「じゃあ……」
初春「分からないんです……。なんでカッキーさ……いえ、『垣根帝督さん』は…私なんかと……」
佐天「御坂さんが前に言ってた限りじゃ、一方通行さん……が倒してくれたんだよね?」
初春「レベル5の頂点に関わる話でしたから、あまり詳しくは聞けなかったですけどね……」
佐天「『第一位に助けてもらった』としか言わなかったもんね……私らがあれ以上訊ける空気でもなかったし…」
初春「それから……垣根さんに何が……」
佐天「調べて……みる?」
初春「で、でも……レベル5の情報なんて、簡単に……」
佐天「じゃあさ、もう本人に訊いちゃいなよ? 電話でもしてさ」
初春「か、簡単に言わないでくださいっ!」
佐天「……ゴメン」
初春「……いえ」
佐天「……………」
初春「……………」
855 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:46:27.92 ID:sVcjzAY0 [15/21]
佐天「……結局さ」
初春「……?」
佐天「初春は、どうしたいのかな?」
初春「どうって……?」
佐天「そりゃあ私だってさすがに驚いたけどさ。でも、やっぱりこれは初春の気持ちの問題だと思うよ?」
初春「…………」
佐天「もう会わない、会いたくない……とは思わないの?」
初春「……!」
佐天「そういう選択肢だってあるんだよ? いっそ昨日の事は『良い思い出』で割り切っちゃうとかさ」
初春「………そんな―――」
佐天「どんな人なのかも分かっちゃったんだし、ここで綺麗サッパリ忘れる……ってのは……どう?」
初春「―――そんな事ができるなら、こんなに悩まないですよぉぉぉッッ!!!」ガタン
佐天「――!?」
初春「確かに怖いと思いました!! 知らない方が良かったんじゃないかとも思いました!! 忘れようともしたんですっ!!」
佐天「う、初春。落ち着いて……」
初春「けど………けどそんなのやっぱり無理ですっっ!! だって、だって………」ポロポロ
佐天「ッッ……!」
初春「『カッキーさん』はぁ……私を……二度も助けてくれたんですよぉ。……まだ、お礼も言ってないんですよぉぉ……」グスッ
佐天「初春………」
856 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:48:29.03 ID:sVcjzAY0 [16/21]
初春「私の中では……『カッキーさん』が………グスッ………ヒーローなんですっ………うぅ」グスッ グスッ
佐天「…………逢いたいんだね?」
初春「ひくっ…………逢い…たい………」
「――――カッキーさんに………逢いたい――」
今にも消えそうな声で、初春は肯定した。
初春「忘れるなんて………できるわけないじゃないですかぁぁ……」ポロポロ
佐天「…………」スッ
黙って立ち上がった佐天は、ふわりと包み込むように………初春を抱きしめた―――。
初春「――――……う、うっ、うわぁぁあああああああああん!!!!!」ポロポロ
佐天「……………」
初春の心のダムは再び激しく崩壊した。佐天は、そんな彼女を優しく包み込む………。
店内の客が全員コッチに注目しているが……そんなの知ったことか。と佐天は思った――――。
―――――
―――
857 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:50:34.60 ID:sVcjzAY0 [17/21]
―――同ファミレス内
一方通行「………………」
上条「……………」
離れた席だが会話が届かない程の距離ではない。一方通行は注文した料理を食べ終え、食後のコーヒー中……二人の見知った少女を発見した。
上条は面識が無いので特に反応は無かったのだが、一方通行の表情が変化したのを見逃さなかった。
聞き耳を立てるというのは人聞きが悪いので、『偶々聞こえただけ』と思う事にした。
上条は一方通行に「知り合いか?」と尋ねた。一方通行はコーヒーを啜りながら「あァ、超電磁砲のな……」とだけ返した。
そして、最終的に会話を聞いていた二人は黙り込んでしまった……。
特に一方通行は歯痒さ…のようなものを何故か感じていた。
一方通行「オイ、出るぞ三下」スクッ
上条「あ、あぁ……」スクッ
二人の少女に気づかれない様に一方通行と上条は会計(上条の奢りで)を終えて店を出た。
上条「………」テクテク
一方通行「………」カツカツ
上条「……なぁ」
858 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:53:12.92 ID:sVcjzAY0 [18/21]
一方通行「……何だ?」
上条「垣根のこと……なんだが…」
一方通行「…………」
上条「俺……そこまで事情に詳しい訳じゃないけど、あの子たちの話を聞くからに……ただ事じゃないのは何となく分かる」
一方通行「…………」
上条「俺の想像通りなら………何とかしてやれないのか?」
一方通行「やめとけ。今回は俺やオマエが出る幕じゃねェ」
上条「……知ってるんなら話してくれよ」
一方通行「……聞いた所で、オマエに何とかできる話………?」
―――イヤ……待てよ。コイツなら……………もしかしたら……。
何故かふとそう思ってしまった一方通行は………帰り道がてら上条に話してしまっていた。
―――――
上条「―――……そういう訳だったのか……。そりゃ辛いな………」
859 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:54:54.79 ID:sVcjzAY0 [19/21]
全てを聞いた上条は……まるで自分の事に悩むかのような顔を見せる。……まさに予想通りの反応だった。
別に巻き込むつもりはないのだが、何か良い助言が聞けるかもしれないと期待したのだ……。今までの一方通行からは絶対に有り得ない
事だが、なんだかんだ言って彼もルームメイトを心配していたのだ。とは言え、立場的には垣根寄りの自分が一人で考えて答えが導き出
せる問題でもない。ここは一人より二人で考えた方がマシな結果が生まれそうだと一方通行は判断した。それを隠すようにこう発言する。
一方通行「……俺は別にあの馬鹿がどォ苦しもォが知ったこっちゃねェンだが、最悪なことにアイツは今俺の部屋に居候してっからなァ。
あァまで負のオーラ撒き散らされると正直言って迷惑なンだよォ」
上条「そうか。しっかし、お前も垣根を心配するとは………上条さんちょっと感動…」
一方通行「ばっ…! だからそンなンじゃねェっつってンだろォが! 部屋の空気が湿っぽくなンのがイヤなだけなンだっつーのォ!
勘違いしてンじゃねェよボケ」プイ
上条「あー、わかったわかった……」クスッ
一方通行「ケッ……」
上条「とりあえず、宿題終わったら作戦会議だな」
一方通行「……まァ、仕方ねェか。決してあのメルヘンのためにとかそンなンじゃねェが、このままキノコの生えた部屋に住むのはゴメン
だからなァ。ったく、どこまでも世話の焼ける野郎だぜあンのクソったれがよォ……」ニヤニヤ
上条(表情とセリフが全く逆だが、ツッコむと宿題時にまた地獄を見そうだから黙っておこう……)
本当は上条も一方通行に訊かなければならない事があったのだが、今はとてもそんな空気では無かった……。
上条にもそれくらいの空気を読むスキルは持っていた。
860 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/08(日) 20:56:13.50 ID:sVcjzAY0 [20/21]
一方通行「っしゃあ! そォと決まったらさっさと戻って残りの課題終わらすぞォ! ノンストップで行くから覚悟しとけよ三下ァ!」ビシィ!
上条「あれ、コレって………どっちにしろ地獄ルート確定ってヤツですか……?」
再び鞭(どこから?)を取り出した一方通行に戦慄した上条は、足掻いてこの場で地獄に送られるか部屋に戻った後に地獄を見るかの二択を
迫られた。………当然、選んだのは後者だった―――。
―――んで、上条部屋……
一方通行「さァ早速始めンぞォ! 悪りィが、こっから先は一方通行だ! 途中の停止や引き返しは一切受け付けねェってなァ! ぎゃは」シュルッ
上条「て、停止は別にOKなのでは!? それに引き返しって何!?」
一方通行「うるせェ!! 口答えはイイからとっとと正面向けやゴルァ!!」ビシャン!!
上条「――あびいいいいいい!!??」
上条渾身のツッコミは一方通行が振るった鞭の音によってあえなく掻き消されてしまった……。
こうして、再び地獄の一方通行先生は降臨されたのだ――――。
右手に鞭(剣)を、左手に杖(盾)を持つ白い悪魔の猛威から逃れるべく、上条は幻想殺しの宿る右手を高速モードにシフトして次々と
神(紙)に書かれた幻想(問題)をブチ殺していった(解いていった)―――――。
869 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:28:22.98 ID:EAJMitI0 [2/18]
―――――
初春「―――……佐天さん、ごめんなさい。迷惑かけて………」
佐天「いいよそんなの。スッキリした?」
初春「はい……」
ひとしきり泣いた初春を支えるように…佐天は付近の公園まで移動した。
初春の顔は号泣の後が見てとれるが、それでもさっきよりは明るさが多少戻っていた。
初春「…………」
佐天「初春、私は……応援してるからね」
初春「へ…?」
佐天「好きなんでしょ? 垣根さんのこと……」
初春「……え……///」
佐天「確かに相手はすごい人かもしれないけどさ、好きになったらそんなのは関係ないじゃん」
871 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:30:52.41 ID:EAJMitI0 [3/18]
初春「…………でも…」
佐天「じゃあ、やっぱり諦める?」
初春「そ、それはイヤです!」
佐天「うん。それでこそ初春だ♪」
初春「どれでこそなんですか!?」
佐天「言葉の代わりに顔で説明できる辺り……かな」
初春「意味わかりません!」
佐天「ははっ、ところでさ。そろそろ時間大丈夫なの?」
初春「へ?……あぁ!! もうこんな時間!?」
佐天「いってらっしゃ~い♪」
初春「す、すいません! じゃあ私、行きますね!」スクッ
佐天「あ、初春!」
初春「はい?」
佐天「……諦めちゃ、ダメだからね」
佐天のウィンクと共にかけられた励ましの言葉に対し、初春は―――
872 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:33:41.43 ID:EAJMitI0 [4/18]
初春「……は、はい! ありがとうございました」ニコッ
元気な笑顔で答えた―――。
返事の後、初春は走っていった。今日は風紀委員の出勤日だ。
相方の白井黒子が急用で出れなくなったので、急遽初春が駆り出されたと言う訳だ。
佐天「…………」
初春が見えなくなった直後、佐天は腕を組んで思考モードに入った。
(初春………私も、何とかしてあげたい…)
(けど、私に何ができるんだろう……)
(う~ん………垣根さんと話でもできれば良いんだけど……そんなの無理だよねぇ。……だいいち何処にいるのかも分かんないのに……)
(御坂さんは……多分知らないんだろうなぁ……)
「―――そうだ! 一方通行さんなら知ってるかも!」
873 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:36:56.84 ID:EAJMitI0 [5/18]
頭の上に電球が点く。
「よし! そうと決まれば早速一方通行さんに電話電話っと……」パッ
だが、しかし………
「………って、私一方通行さんの番号知らねーじゃんよぉぉ……orz」
「うう……こんなことなら昨日訊いとけば良かったよぉ」
「けど、それも無理か……。学園都市で頂点に立つ人の連絡先なんておいそれと訊けないっつーの……」
「うーん………何か、何か初春にしてやれることってないのぉ?」
「一方通行さんとコンタクトがとれれば、垣根さんに繋がるかもしんないのに~………」
「やっぱり……私なんかじゃ………何にもできないのかな………」
「無能力者(レベル0)の……私なんかじゃ…―――」
874 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:38:40.75 ID:EAJMitI0 [6/18]
ベンチで膝を抱えて完全に行き詰まる佐天……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―――無能力者ってさ、欠陥品なのかな……?―――
『―――佐天さんは欠陥品なんかじゃありませんっ―――!』
『能力なんか使えなくたって、いつもいつも私を引っ張ってくれるじゃないですか―――』
『力があっても無くても、佐天さんは佐天さんです!』
『私の親友なんだから――――』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「―――…………」
「そう、だよね……」
875 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:43:36.41 ID:EAJMitI0 [7/18]
「初春が、教えてくれたんだよね……」
無能だった自分を変えようと『幻想御手』に手を出した時、初春は自分を『欠陥品じゃない』って言ってくれた……。
「そうだ……」
「私は……無能なんかじゃない!」
「私にだって、きっとできることはあるはず!」
「親友のために、何もできないなんて事なんかないっ!」
「私が、今、初春のためにできることは……垣根さんを捜すこと……けど、どこにいるかが分からない…」
「一方通行さんに居場所を聞こうにも……一方通行さんの居場所すら分からない……」
「………ええい! もうこーなったら、どっちか見つかるまで捜し回って―――!」
何故か妙に気合を入れて立ち上がりかけたところで、何かに気づいた顔をする……。
876 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:46:40.35 ID:EAJMitI0 [8/18]
「…………そうだ…」
「何で気づかなかったんだろう……」
「あの人なら、一方通行さんがどこにいるか知ってるかもしんないじゃん!」
すぐさま再び携帯電話を取り出し、どこかへ掛け始めた―――。
「お願いぃ。出て……」
数秒のコール音の後、相手が電話に応じてくれた―――。
???『はい、もしもし―――』
佐天「やったっ! もしもし……あの、私……佐天です―――」
一瞬声に出した上にガッツポーズまでとった佐天は、無理矢理落ち着きを取り戻して名乗った――――。
???『………』
877 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:49:50.07 ID:EAJMitI0 [9/18]
――――――
―――
―――路上
垣根と禁書目録は時間潰しにブラブラと歩いていた。特にアテはない。
禁書「―――かきねー! この中から賑やかな音が聞こえてくるよ! 気になるかも!」テクテク
垣根「ん? あぁ……パチンコか」テクテク
禁書「入っていい?」
垣根「ダメ! ……ったく、学生が大半の街にどぉしてこんな施設があるんだか……」
禁書「むぅ~、とうまと同じこと言う……」
垣根「当たり前だ! 十八歳以下は入場禁止なの!」(って、大学生や教員なんかは来るんだろーけどな……)
禁書「ううう……中で何やってるのか気になるぅ」
垣根「我慢しなさ―――ん?」
879 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:53:28.96 ID:EAJMitI0 [10/18]
禁書「あ……」
ハナスノデス ワタシハコドモデハナイノデスヨー!
ハイハイ オジョウチャンハハイッチャダメデス
見た目十二歳くらいの少女が店員につまみ出される現場を偶然見てしまった。
つまみ出された少女は肩を落としてコチラへ歩いて来た。
小萌「―――う~……追い出されたのです……免許証を部屋に忘れてくるなんてとんだ不幸なのですよ~…」トボトボ
禁書「っ! こもえ!」
小萌「ふぇ? ……あぁ! シスターちゃん!? どうしたのですかー? こんなところで……上条ちゃんは一緒じゃないのですかー?」
垣根「……インデックス。このお嬢さんは友達か?」(あれ? この子…どっかで会ったような……)
小萌「あぁー! そこの君はこの間の! 白い捜し人は見つかったのですかー?」
垣根「え?…………あぁ! あの時のお嬢さんか!」※一方通行家出編参照
禁書「ほぇ? 知り合いだったの?」
880 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:57:42.00 ID:EAJMitI0 [11/18]
垣根「知り合いっつーか……前に一回声かけただけなんだがな」
小萌「お嬢さんなんて言うからドキドキしたのですよ~」
垣根「っていうか、ダメじゃねえか。パチンコなんて君みたいな子供が……」
小萌「む~! だから先生は大人なんですってばぁー!」
垣根「……あ~、あん時も確かそんなこと言ってたっけ……。なぁインデックス、このお嬢さんは何処に住んでる子なんだ?」
禁書「え? 小萌はとうまの先生だよ?」
垣根「上条とも知り合いなのか……。しかし、上条もこんな子供と何ゴッコして遊んでんだよ……。オママゴトとかか?」
禁書「いや、そうじゃなくて……学校の先生なんだよ?」
垣根「ナニ? 学校ゴッコか? だったら普通上条が先生役だろ? ハハ、お嬢さん将来は先生になりたいのかい?」
小萌「もうなってるですよ……」
垣根「………ん?」
禁書「だからぁ、小萌はとうまが通ってる学校の先生なんだってば!」
垣根「…………」
小萌「はじめましてー。上条ちゃんの担任の月詠小萌です。上条ちゃんがいつもお世話になってるのです~」ペコリ
垣根「……………………ウソだ」
881 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 20:59:51.21 ID:EAJMitI0 [12/18]
小萌「ムキーー!! ウソじゃないのですよーっ!!」プンスカ
垣根「ぜってぇウソだ! だいたい君いくつだよ!? その格好(ナリ)で二十歳超えてる訳ないだろぉが!」
小萌「女性に年を訊くのはマナー違反ですよーっ! それに先生はれっきとした大人なのです! 君って呼ばれる覚えもないのですよ!」
垣根「はっ……またまた……勘弁してくれよ。俺の未元物質もビックリだぜオイ……そんなに言うなら証明してみせろよ。でなきゃとても
信じられねぇ」
小萌「ぐ……こんな時に身分証明書を置いてきてしまったのが悔やまれるのですぅぅ…」
垣根「ほら! やっぱりウソだ!」
小萌「本当なのですー!」
禁書「かきね……こもえの言うこと、ホントなんだけど………」
垣根「………マジなの?」
小萌「マジですぅ!」
禁書「マジなんだよ」
垣根「…………」ジー
小萌「――そっ、そんな…まじまじと見られるとぉ……照れるのですよ~…///」
垣根「…………やっぱウソだ」
小萌「ムキーーーーーーー!!!」
882 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:05:13.44 ID:EAJMitI0 [13/18]
>>878
初春さんはレベル1で『温度を一定に保つ』能力者です。
途中の独白は佐天さんです。分かりづらくてスイマセン。
――――――
垣根「やっぱオカシイ……有り得ないっつーか……イヤないわ……」ブツブツ
小萌「どうしたのですか?」
禁書「見えない何かと戦ってるみたいかも…」
垣根「まぁ………非常識なんて慣れてるし、そういうことにしても……いいか……」
禁書「?」
垣根「………えっと、さっきは失礼しました。上条君の友人(?)の垣根です。小萌先生……で良いっすよね?」
小萌「おぉー! やっと分かってくれたのですかぁ! 先生は嬉しいのですー! ところで、垣根ちゃんは何処の学校なのですか?」
垣根「え? あぁ、長点上機っすけど……」(垣根ちゃん?)
小萌「なっ!?……ま、まさか……垣根ちゃんって……あの…」
垣根「まぁ……第二位っす」(やべぇ、しくったかな……。けど上条の担任らしいし、まぁ良いか)
禁書「こもえ? どうしたの?」
883 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:10:09.19 ID:EAJMitI0 [14/18]
小萌「び、びっくりですよーっ! 七人の内のナンバー2じゃないですか! なんでシスターちゃんと一緒なのですか!?」
垣根「まぁ……上条経由……かな…」
小萌「上条ちゃん……こんな凄いことを先生に黙っていたなんて……三学期始まったらお仕置きしてやるのですよ~…」
垣根(………なんかよくわからんが、上条よ……一応すまんと言っておく…)
禁書「そうだ、こもえ。かきねの『悩み』を聞いて欲しいんだよ!」
垣根「そうそう、俺の悩みを……って、うぉぉいッッ!!??」
禁書「だいじょーぶなんだよ♪ こもえは先生なんだから、きっと良いアドバイスもらえるかも」
垣根(……見た目幼い子にばかり知られていくのは偶然? それとも必然?)
小萌「レ、レベル5の悩みなのですか……? 未元物質は専門外ですが、一生懸命頑張るのですー!」
垣根「いや……それとは全く関係ない話なんだが……」
小萌「へ?」
禁書「かきねは今、恋をしているんだよ」
垣根「そう、恋して……って、インデックス! だから勝手に明かすなってば!」
小萌「恋ですかー……青春ですねぇ~」
垣根「うわ、セリフがもう先生っぽくなってる……」
884 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:14:09.22 ID:EAJMitI0 [15/18]
小萌「先生ですってばぁ! 垣根ちゃんもしつこいですね!? 先生の経験上、そんなんじゃ好きな子と上手くいかなくなるのですよ~!」
垣根「イヤ……経験上って……」(過去の男はロリコン確定じゃねえか…)
小萌「色々あったのですよ……」トオイメ…
垣根(そのナリで男に飽きたかのような目をするのは止めて!)
禁書「かきね、早く相談した方がいいかも」
垣根「え……でもここじゃ……」キョロキョロ
小萌「なら先生の家に行くのですよー。ここからすぐですから」
垣根「……一応訊きますけど、一人暮らし…ですよね?」テクテク
小萌「いえ、違いますよ?」
垣根(だよな……自立してるようにはハッキリ言って見えねーし、きっと家族または親戚か誰かと一緒に住んでんだろ―――)
小萌「家出少女を一人養ってるのですー」テクテク
垣根「……………」
それ以上は頭が痛くなるだけなので考えるのを止めた垣根だった……。
そんなこんなでひとまず、禁書目録と共に月詠のアパートへ移動する事となった―――。
885 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:16:01.35 ID:EAJMitI0 [16/18]
――――――
―――
―――その頃、上条家では……
一方通行「ちっがァァァう!! 未然形はさっき教えただろォがァ! 聞いてたンですかコラ? 聞いてたンですかァァ?」ピシ ピシ
上条「そ、そうか……『打ち消し』か! 俺の右手と一緒って意味だな!」スラスラ
一方通行「オマエ限定の覚え方も良いけどよォ、……なら次ンとこは分かるンだろォなァ?」
上条「えーっと……『いとをかし』………お菓子?」
一方通行「よし、フザけてンのか。そォかそォかァ。是非もォ一度言ってくれよォ。回答次第じゃそれが遺言になるかもなァ」シュルッ
上条「…………」(う、マジでわからん……)
一方通行「ホラァ、時間押してンだから早く答えろよォ。さァーン、にーィ、いィーち……」
上条「!―――わかった! 『趣あり』だ!」スラスラ
一方通行(さっきから土壇場に強すぎだろォ。コイツ………)
大量にあった課題もこんな調子で残りは三分の一にまで減っていた……。頑張れ上条よ!
887 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/10(火) 21:27:41.48 ID:EAJMitI0 [18/18]
あ、あと補足っす。
『~~~~~』は回想を意味しています。
今回の回想シーンはアニメ『とある科学の超電磁砲』の十話参照です。
896 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 19:51:55.69 ID:jG1zopk0 [2/19]
――――――
―――
佐天「もしもし? 妹さんですか? 私です。佐天です」
御坂妹『―――おや、久しぶりですね。とミサカは電話と分かりつつもお辞儀をして見せます』
―――佐天が電話を掛けた相手は、昨日友達になった御坂妹だった。
佐天「昨日会ったばっかりじゃないですかぁ! それにお辞儀しても見えませんって!」
御坂妹『これはこれは強烈なツッコミを喰らってしまいましたてへっ♪ とミサカは可愛らしく舌を出してk』
佐天「妹さん! 今、時間もらって平気ですか?」
御坂妹『……ミサカは先ほど調整を終えてただ今絶賛暇人中です。とミサカは寂しい胸中を明かします。』
佐天「ホントですか! ……調整って?」
御坂妹『(やべっ!)あ……いえ……ところで、ご用件は何でしょうか? とミサカは触れて欲しくないことを遠まわしに告げます』
佐天「……そうですか……。あの、訊きたいことがあるんですけど……」
897 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 19:57:27.41 ID:jG1zopk0 [3/19]
御坂妹『はい、何ですか?』
(初春、あの時の借り……返すからね―――!)
佐天は指に力を込めて勇気を振り絞るように声を出した。
佐天「一方通行さんが今どこに居るか、知ってたら教えてくれませんか?」
御坂妹『…………』
しばしの無言……。御坂妹がどう受け取ったのかが不安になる佐天。
御坂妹『………何故聞きたいのですか? とミサカは問い返します』
佐天(う……やっぱ理由言わないとダメだよねぇ。そりゃそうか……)
御坂妹『彼に会って、何をするつもりなんですか?』
佐天「ど、どうしても一方通行さんに訊きたいことがあるんです! せめて連絡先だけでも教えてくれませんか…?」
御坂妹『お断りします。とミサカはハッキリと拒否します』
佐天「!? お……お願いします! そこをなんとか……」
御坂妹『あの方の立場をお忘れですか? そうやすやすと連絡先を教える訳がないでしょう。とミサカは当然の回答を述べます』
佐天「分かってます……。けど、それでもお願いします! 他にアテが無いんです!」
898 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:02:08.02 ID:jG1zopk0 [4/19]
御坂妹『彼に、一体何を訊きたいのですか? 佐天さんは昨日ミサカと友好を結びましたが、もし彼へ気を向けようものなら今度は容赦
しませんよ? とミサカは徹底抗戦の構えをみせます』
佐天「そういうんじゃないです! 神に誓いますから! ………私の親友を、助けたいんです」
御坂妹『……………』
佐天「お願いします……。妹さん……」
電話でなかったら土下座している程に頼み込む佐天。そんな彼女に妹は―――
御坂妹『………ミサカは残念ながら、一方通行の連絡先を把握していません。とミサカは驚きの事実を伝えます』
佐天「え!?」
御坂妹『ですが、ミサカには特殊な方法で一方通行の居場所を推定することはできます。とミサカは補足します』
佐天「じ、じゃあ……どこにいるか分かるってことですか!?」
御坂妹『……少々お待ち下さい』
御坂妹は携帯電話を耳に当てたまま接続モードへと移行した。
899 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:03:55.87 ID:jG1zopk0 [5/19]
―――MNW内
ミサカ10032がログインしました
ちょっと尋ねたいんだが…
1:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
運営様いる?
2:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
来やがったなこの泥棒猫。相変わらず良い度胸だ
3:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
>>2
まぁ落ち着けよ
4:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13481
>>運営様ならいないよ
5:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
おい>>1てめえ今すぐ屋上来いよ。愉快に素敵にバラバラにしてやっからよォ
6:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10085
>>5はずっとこの調子だから気にすんな
7:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
>>5
すまん、お前とは今度ゆっくり話そうと思う。だが今はその前に運営様もしくは一方通行様の居場所を誰か教えろください
900 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:05:20.43 ID:jG1zopk0 [6/19]
8:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
さりげなく『様』付けで呼んでンじゃねェぞコラァ! よほど愉快な死体になりてェと見える
9:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
>>8
キャラ違いwwwww
10:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12430
つーか、あの遊びたい盛りのガキがこんな昼間っからこんなトコ来るわけねぇだろww
11:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
そうそう、クソガキはお昼寝の時間ってなァ
12:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10065
今ごろあのロリコンの腕の中でグースカピーじゃねーのww?
ミサカ20001がログインしました
13:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーん♪ ってミサカはミサカは華麗に登場してみたり。で、ミサカに何か用?
14:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12430
こんにちは運営様! 今日も良いお日和ですね!
15:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
ご無沙汰しておりました運営様、いや~今日も一段と可愛いですね!
16:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10065
どうも運営様、一方通行様にもよろしくっす!
ミサカ12430・ミサカ10039・ミサカ10065がログアウトしました
901 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:07:18.61 ID:jG1zopk0 [7/19]
17:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
逃げたww
18:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11219
逃げたな…
19:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
クソガ…じゃなくて運営様、一方通行は今一緒ですか?
20:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ううん、多分あのヒーローさんの家じゃないかな?
21:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
ほう…
22:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13277
何故そんなすぐに分かる!? ってか、運営様来てから14510が大人しくなったな
23:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
>>22 それは企業秘密♪ あの人が迷子になってもすぐ見つかるように手を打ったとだけ言っておく
24:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
さすが上位wwパネェ
25:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
あ、もう行くからログアウトするね!
ミサカ20001がログアウトしました
902 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:10:59.24 ID:jG1zopk0 [8/19]
26:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
運営様ありがとうございました
27:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
ふぅ、とんだ邪魔が入った。さて、今度はコッチの話をしようじゃないか
ミサカ10032がログアウトしました
28:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
撤退したwww
29:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
つーかこのスレどーすんだよ? 雑談スレなら腐るほどあんだぞ?
30:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
おいてめえ! ナニ逃げてんだゴルァ! まだ話は(ry
―――――
―――
御坂妹「―――お待たせ致しました。時に佐天さんは今どちらに居ますか? とミサカは尋ねます」
佐天『―――え? ○○の××公園ですけど……』
903 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:13:57.79 ID:jG1zopk0 [9/19]
御坂妹「それは好都合です。実はミサカもちょうど今その付近にいるのですぐ向かいます。そのまま動かないでお待ち下さい。
とミサカは指示して電話を切ります」―――プツッ
御坂妹「………さて、では行きますか…」テクテク
ついこの間手に入れたばかりの携帯電話を握りながら、御坂妹は佐天が待つ公園へ向けて足を動かした―――。
―――――
佐天「―――あ、来た来た。妹さ~ん!」
妹との電話から十分後、佐天の視界に御坂妹の姿が映った。立ち上がった佐天は声を飛ばす。
御坂妹「お待たせしました。とミサカは友人との再会に顔を歪めながら挨拶をします」ペコ
佐天「いえ、コッチこそ急にすいませんでした」
御坂妹「それでは行きましょうか」
佐天「え…行くって……?」
904 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:19:16.03 ID:jG1zopk0 [10/19]
御坂妹「あなたを一方通行の居る場所まで案内するのです。とミサカは答えます」
佐天「………い、いいんですか!?」
御坂妹「はい、あなたを友達として信用することにしました。とミサカは微笑みを浮かべます」
佐天「あ…ありがとう妹さん!」
御坂妹「いえ、……できれば道中にでも事情を説明して頂けると嬉しいのですが……。あ、でも話せない部分は伏せても構いませんので。
とミサカは内心気になってみたりします」
佐天「うん、わかった。話すね……」(人名は伏せとこう…)
こうして歩き出した二人……。途中の話は笑い話とは程遠い内容だったが、御坂妹はいつもの無表情で聞いていた―――。
―――――
―――
―――小萌のアパート
垣根「…………ここ?」
「お邪魔しまーす」と部屋に入った垣根の第一声がそれだった。まぁ……当然の反応だ。
905 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:21:34.78 ID:jG1zopk0 [11/19]
小萌「ありゃ? 結標ちゃんはお出かけですかー………。昨日飲み過ぎちゃったから散らかってますけど、遠慮しないで座ってくださいねー♪」
垣根(………ウソでしょ?)
禁書「こもえの家久しぶりかもー! あいさも呼びたいな~」
垣根「…………」
小萌「今お茶淹れるので、寛いでてくださいね」トテトテ
垣根(この部屋に……酒瓶や吸殻いっぱいの灰皿が散乱しているこの部屋に……あんな見た目の先生が………)ジー
禁書「かきね? どうしたの? 目が危ないんだよ?」
垣根「いや……何でも…」(もう考えるのはよそう……。頭がおかしくなりそうだ。ダークマター、ダークマター……)ブツブツ
禁書「怖い……」
小萌「お待たせですー♪」
垣根「あ…どうも」
小萌「さてと、では垣根ちゃんのお悩みを早速聞いてあげるのですよ」
垣根「はぁ……」(やっぱ言わなきゃダメか…?)
小萌「遠慮なく話してみるのですよ。先生も人生経験豊富なのですから、話して損は無いのですー」
垣根「いやぁ……かなりカッコ悪い話なんすけど…」
906 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:22:57.33 ID:jG1zopk0 [12/19]
小萌「気にすることないのですよー。若いウチは色々悩みがあって当然なのですから、どんな内容でも格好悪いことはないのです」
垣根「………じゃあ――――」
―――――
―――
小萌「……………」
垣根「―――やっぱ、呆れちゃいましたよね……」
小萌「…………うぅ…」
垣根「?」
小萌「垣根ちゃんは……とって優しい子なのですね……」ウルウル
垣根「え…?」(なんで涙ぐんでんだこの人?)
小萌「先生は……先生は、感動したのですよ~」フキフキ
いつの間にかハンカチで潤んだ目を拭う小萌……。
907 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:26:20.35 ID:jG1zopk0 [13/19]
小萌「垣根ちゃん!」
垣根「ハ、ハイ?」
小萌「諦めるなんて寂しいこと言ったら駄目なのですよー?」
垣根「はぁ……けど」
小萌「相手の女の子さんもきっと垣根ちゃんからの連絡を待ってると思います! 先生の勘に間違いはないのですよーっ!」
禁書「私もそう思うかなぁ……」
垣根「けど、俺は前にあの子を―――」
小萌「それが何だって言うのですかぁー!?」ガタン
垣根「………?」
小萌「過去に何があったって、それを超えるほどの楽しい思い出を垣根ちゃんはその子と作ったんじゃないのですか?」
垣根「いや……そりゃあ……」
小萌「過去はこの際捨てておくのです! 大事なのは未来なのですよー! 垣根ちゃんはこれからもその子と一緒に居たいと思ってるのかが
一番肝心なところなのです」
垣根「未来……か……」
禁書「かきねは、その女の子に逢いたいんだよね?」
垣根「そりゃまぁ……できるなら…」
908 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:28:57.56 ID:jG1zopk0 [14/19]
禁書「なら逢えばいいんだよ! どうして迷ってるのかな?」
小萌「垣根ちゃんが何で躊躇っているのかは先生には分かります……」
垣根「……分かってるんなら………」
小萌「けど、そんなモノは所詮ただの装飾品に過ぎないのです」
垣根「………?」
小萌「恋に必要なのは地位でも名声でもないのです。相手を愛する心、これだけあれば充分なのですよ」ニコッ
垣根「!………」
小萌「垣根ちゃんは確かにココ(学園都市)では特別な立場にいるかもしれません。けど、それが人を好きになってはいけない理由に
なんかならないのですよ」
垣根「―――!」
小萌「周りから『化け物』と呼ばれても、どんなに優れた力を持っていても、『ひとりのヒト』である事には何ら変わりはないのです。
垣根ちゃんが誰を好きになっても誰かが何かを言う資格なんてありませんし、垣根ちゃんがどんな恋愛をしようと、誰にも文句
なんて言える立場には絶対になれないのですよー。垣根ちゃんだけではありません。上条ちゃんだってもちろんそうです。恋は
人の成長を手助けしてくれる『人生の教科書』なのですよ」
垣根「……………先生………」
禁書(こもえ……さすがとうまの先生かも……)
小萌「迷ってもいいのです。それも成長に繋がるのですから……その上で自分が決めた道を後悔せずに進める日がいつかきっと来るのです。
それまでは、たくさんたくさん後悔してもいいのですよ」
909 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:32:55.30 ID:jG1zopk0 [15/19]
垣根「俺……どうしたら……」
小萌「簡単です。垣根ちゃんが『こうしたい!』と素直に思った通りにすれば良いのですー。後の事を考えるのは『後』で良いのですから」
垣根「…………」
小萌「今したい事だけをして良いと思うのですよ。たくさん悩んで苦しんだんですから、それくらいワガママになっても全然オッケーなのです♪」
垣根(今……したい事……今…俺はどうしたい……?)
垣根(……そんなの……決まってる!)
―――飾利に、逢いたい!!
(そうだ……俺は………この本心を無理矢理封じ込めようとしていた……)
(俺から飾利を遠ざけることで、飾利を守ろうとしていた……)
(―――けど………そんなのはただ都合の良い理由を付けて逃げようとしていただけだった……!)
910 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:34:58.86 ID:jG1zopk0 [16/19]
(向き合うことが……怖かったから……)
(もう一度『あの目』を向けられるのが………怖かったから)
(これ以上、悲しい思いをしたくなかったから―――)
(けど、それじゃあいけねえよな……)
(こんな『臆病』な自分を……この『俺』が許せる訳ねえよな……ッ!)
(償いとか、そんなのをあの子は求めてねぇ……)
(もしかしたら、俺のことは早く忘れようって思ってるのかもしれねぇ……)
(だが、それを気にしてこのまま何もしねぇってのか!?)
(………ざけんな)
(俺は……学園都市の超能力者、垣根帝督だ!)
911 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:39:14.78 ID:jG1zopk0 [17/19]
(―――好きになった女の子ひとりとも向き合えねぇで、何が超能力者だよ!?)
(―――何が男だよッッ!!)
(………俺は、逃げない)
(もう一度、飾利に逢うんだ!)
(どんな目を向けられても、どんな言葉をぶつけられても……)
(正面から向き合ってやる!)
(『今更よくのこのこ顔を出せたな』って思われるだろぉな……。だが、それがどうした!? 当たって砕けるのも上等! イカレタ奴と
思われたって構やしねぇ! 何故かって? そりゃ勿論、俺がそう決めたから………。そう―――)
『―――俺の未元物質に、常識は通用しねぇ!!!』
――――――
小萌「……垣根ちゃん、さっきよりも良い顔になったのですー」
912 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/11(水) 20:42:02.88 ID:jG1zopk0 [18/19]
禁書「ホントだ! 顔色良いかも!」
垣根「先生、インデックス―――」
「―――ありがとう!」
小萌「ふふ♪」
禁書「応援してるんだよ」ニコッ
垣根「あぁ」(もう、迷わない………)
(……俺は――――)
(――――初春飾利が、好きだ!)
二人の天使に微笑んだ垣根の心には、決して揺るぐことのない想いが生まれた―――。
926 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:08:03.24 ID:Yc8ARsg0 [2/39]
―――上条宅の前
御坂妹「―――着きました」
佐天「―――ここが……一方通行さんの部屋ですか?」
御坂妹「いいえ、彼の友人の部屋です。とミサカは訂正します」
佐天「…………」
御坂妹「では。とミサカは呼び鈴に手を…―――!?」
―――その時、御坂妹の携帯電話が鳴り出した。
御坂妹「…………」
無言で着信元を確認した御坂妹は、『意外』といった表情をする……。
御坂妹「お姉……様……」
―――――
―――
927 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:09:42.46 ID:Yc8ARsg0 [3/39]
―――数分前、常盤台女子寮
美琴「はぁ……やっと終わったわ……」
黒子「他の寮生の方々が手伝ってくれたおかげで早く終わりましたわね……」
疲れたようにベッドへ腰掛ける二人、御坂美琴と白井黒子は寮内の罰掃除をようやく終えて一息吐いていたところだった。
美琴「ホント、みんなのおかげで助かったわ。今日丸一日は潰れるの覚悟してたもん…」
黒子「これもお姉様の人望ですわね」
美琴「んー、…そういうつもりじゃないんだけどね」
黒子「ご謙遜を…」
美琴「だからぁ―――ん…?」
会話の途中で美琴の目に入ったのは……ソファーに置かれたゴーグルだった。
黒子「お姉様……?」
美琴「あぁー……いっけない、返すの忘れてたわ……」
928 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:12:16.96 ID:Yc8ARsg0 [4/39]
黒子「あのゴーグル、確か妹様の物でしたわよね?」
美琴「うん……昨日借りてそのまんまだったの」
黒子「ゴーグルが無いと、ますますお姉様と間違えそうですわ。もっとも、わたくしは別ですけれど…」
美琴「ハイハイ、分かったからすり寄って来ないの! ……ごめん、ちょっと電話するね」
黒子「えぇ、構いませんの」
美琴「……………」
黒子「お姉様? 何故、携帯電話を睨んでいるんですの? 掛けないのですか?」
美琴「……う、うん……」
黒子「妹様と…何かありましたの?」
美琴「うん……ちょっと喧嘩しちゃって……」
黒子「んまぁ、姉妹喧嘩ですの? 羨ましいですわね」
美琴「そっか……アンタは…」
黒子「ええ、わたくしに姉妹はおりませんから……一度くらいはしてみたいモノですわ」
美琴「はは、オススメはできないけどね……」
苦笑しながら答える美琴……。
929 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:14:22.65 ID:Yc8ARsg0 [5/39]
黒子「折角なのですから、ゴーグルを返すついでに仲直りを望んではいかがでしょうか?」
美琴「……でも……きっと許してくれないわよ。アイツに酷いこと言っちゃったし……」
黒子「それなら尚更お姉様から掛けるべきですわ。で、具体的にはどのようなことを申しましたの?」
美琴「私、ブチ切れちゃって………アイツのこと……『欠陥品』とか……」
黒子「………とてもお姉様から発せられた言葉とは思えませんわね…」
美琴「分かってる……。最低よね、私……」
黒子「今すぐ掛けて謝られた方がよろしいのでは? 妹様はお姉様を元に造られたのでしょう? いわば『親』とも呼べる存在のお姉様から
そのように言われては……さぞかし傷つかれたでしょうに…」
美琴「全くその通りよ。ホント自分が嫌になるわ……。見損なった?」
黒子「は、お姉様こそ、わたくしを見損なわないで下さいな。わたくしはお姉様の『良き理解者』(兼オナペット)ですのよ? 過ちは誰でも
犯してしまうもの……ならば、それを正しい方向へ導くのが『理解者』としての務めですの」
美琴「黒子……」
黒子「わたくしはどんな事があってもお姉様の味方で居続けますの」ニコッ
美琴「……ありがと」
黒子「で・す・が、お姉様が悪い時にはハッキリと言わせてもらいます。それが『パートナー』ですから」
美琴「……はは……敵わないなぁ、アンタには」
930 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:16:10.63 ID:Yc8ARsg0 [6/39]
結局それから三分後、とうとう「ええい!」と、意を決したように通話ボタンを押した美琴であった……。
――purrrrr♪………
『―――はい……』ピッ
美琴「あ……もしもし? ………私だけど……」
御坂妹『………何の御用でしょうか?』
美琴(やっぱり、まだ怒ってるのかな………そりゃそうよね……)
御坂妹『用がないのでしたら切りますが?』
美琴「あ! 待って!………その…」
御坂妹『…………』
美琴「………は……めん…」ボソッ
御坂妹『聞こえませんが? とミサカは復唱を求めます』
美琴「―――昨日は……ごめんっ!」ペコッ
931 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:19:10.86 ID:Yc8ARsg0 [7/39]
黒子(お姉様……電話相手に頭を下げるのは無意味かと思いますが……)
美琴「私が悪かったわ! アンタに酷いこと……いっぱいしちゃって……本当に何て言ったら良いか……」
御坂妹『―――もう、怒っていませんよ。お姉様』
美琴「え…?」
御坂妹『ミサカの方も、少し言い過ぎました。ゴメンなさい……とミサカは電話では意味がないと分かりつつも頭を下げます』ペコッ
美琴「…アンタ……」
御坂妹『こんなミサカでも、もう一度……妹として見てくれませんか? とミサカは頼みます』
美琴「も、もちろん! っていうか、コッチのセリフよ! ……私のこと……これからも姉として、見てくれる?」
御坂妹『当然、ミサカの姉はお姉様です。とミサカは和解のエアー握手を求めます』
美琴「……ありがとう」
心で固い握手を交わした二人は、再び姉妹の絆を強めたのだった。
美琴「ねぇ、そう言えばアンタ今何処? ゴーグル返したいんだけど……」
御坂妹『あ、忘れてました。道理で今日はよくお姉様に間違えられるハズです……とミサカは納得します』
932 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:22:08.25 ID:Yc8ARsg0 [8/39]
美琴「ゴメンね、すぐ返しに行くから。で、今何処にいるの?」
御坂妹『それなんですが……上条宅まで来て頂ければ幸いです。とミサカは希望します』
美琴「はぁ? アイツん家? なんで……?」
御坂妹『実は今、佐天さんと一緒に上条宅まで来ているからです。おっと誤解すんなよ? 一方通行がいるから来ただけなんだからね!
とミサカはツンデレっぽく説明します』
美琴「佐天さんも? ……分かった。それじゃあ今からソッチ行くわね」
御坂妹『お待ちしております。とミサカは部屋主の許可などお構いなしの態度で答えます』
美琴「ふふ、じゃあ後でね――」ピッ
通話を切った美琴はスッキリした表情を隠しきれていなかった。
そんな彼女に黒子は…
黒子「どうやら無事に仲直りできたようですわね。良かった…」
美琴「うん! 黒子のおかげよ! ありがとーっ!」ギュッ
黒子「―――!!?」
美琴にいきなり抱きつかれた黒子は当然パニック状態になる。
933 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:24:11.79 ID:Yc8ARsg0 [9/39]
黒子「ついに……ついにこの時が来たんですのね!? わたくしとお姉様がひとつとなる日が! 待ち続けた甲斐がありましたわぁ!
ささ、お姉様! もっと撫で回すように! もっと抉るように、このわたくしを溺れ逝くまで壊してくだs―――」ガバッ
―――スカッ
黒子「ありゃ……?」
美琴「さて、じゃあ早速アイツん家まで……おっとその前に鏡鏡~♪」
黒子「…………」
抱き返そうとした黒子の両腕は空を抱いた……。
避けるように黒子から離れた美琴は一瞬の内に洗面台へと移動していたからだ。
美琴「あ、そうだ。どうせなら黒子も一緒に行かない?」
ヒョイ、と顔を出して尋ねる美琴に黒子は……
黒子「え?………わたくしは……う~ん、どうしましょうか………」
934 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:25:40.21 ID:Yc8ARsg0 [10/39]
悩むポーズをとった。美琴にはついて行きたいが、上条宅というのが問題だったのだ。
黒子(何故わたくしがあの低俗なサル野郎の住処になど……)
別に上条が悪い訳ではない、のだが……黒子の上条へのイメージは美琴の告白と共に大暴落していた。
美琴「良いじゃない、行こうよ? 佐天さんも居るし」
黒子「は? ……何故に佐天さんが?」
美琴「さぁ? それは分かんないけど、行けば分かるんじゃない? それより、来ないんなら置いてくけど?」
いつの間にか、すでに美琴は玄関のドアを開けていた。相変わらず上条が絡むと時々人外な素早さを発揮する美琴だった。
黒子「わ、わたくしも行きますのー!」ザザーッ
滑り込みで美琴と共に部屋を出た黒子。
935 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:27:33.69 ID:Yc8ARsg0 [11/39]
黒子(お姉様のためですの! そう! これは護衛ですの! あのサルを亡き者にして今度こそお姉様をわたくし色に染め上げてみせますわ!
それ以外の何物でもありません!)
心で必死にそう言い訳する白井黒子だった……。こうして二人も上条宅へ―――。
―――――
―――
―――上条宅
上条「―――終わ…ったぁぁぁ」グデー
机に体を沈める上条。その横には解き終えた問題集が綺麗に積み重ねられている。
何も無い綺麗な机が全ての終わりを物語っていた……。
936 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:29:08.23 ID:Yc8ARsg0 [12/39]
一方通行「思ってた以上の早さだったぜ三下ァ。良く頑張ったな」
一方通行の顔にも微笑みが伺える。
上条「いつもの三倍は頭良かったんじゃねえか俺…?」
一方通行「そォでなきゃ、俺が居る意味なンてねェだろォがよ」
上条「上条さん一人じゃ絶対に終える事は出来なかっただろぉな……ホントにありがとう一方通行。俺の三学期はお前に救われたよ」
一方通行「大げさなンだよ。俺は分かンねェ箇所を教えただけで、殆どはオマエが解いたンじゃねェか」
上条「いや! お前が居なかったら絶対こうは行かなかった! サンキューな!」ガシッ
一方通行「オイ! 手ェ握ンなよ! 放せ気色悪りィ!」ブンブン
上条「いや、放さない! 俺、ホントにお前には感謝してるんだ……」(これでインデックスの晩飯を買う時間もできた)
一方通行「それは分かったから放せってンだよ!」ブンブンブン
上条「……ていうか、お前の手って…触り心地良いな……石鹸みたいにツルツルしてる」サワサワ
一方通行「~~~~~!!??」
937 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:31:43.43 ID:Yc8ARsg0 [13/39]
サーッ…と、一方通行の顔が青ざめていく……。
一方通行「オ、オイ! 何フザけた事ぬかしてンだコラァ! 早く放せェ! 変な考え起こすンじゃねェぞ!?」
上条「何こんくらいで照れてんだよ? ダチなんだから良いじゃねえか」
一方通行「オマエ普段ダチとこンな事してンのかァ!?」
上条「いや、しねえけど……何だろうな。お前だから……かな?」(反応が面白いから)
一方通行「意味分かンねェンだよ!!」
上条「俺じゃ……イヤか?」キリッ
一方通行「……………」
上条(お、固まってる固まってる……。ホント面白ぇ反応するなぁコイツ……)
ピンポーン♪………ガチャ
佐天「ちょっと! 妹さん! 勝手に上がっちゃって良いんですかぁ!?」
御坂妹「大丈夫ですよ。今のミサカは大変気分が良いので、多少の細かい事は気にしないようにします。とミサカはアポ無しの上に許可無しで
足を踏み入れます」ズカズカ
佐天「あ、待ってくださいよぅ! って………?」
上条・一方通行「…………………………」
御坂妹・佐天「…………………………」
938 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:33:14.16 ID:Yc8ARsg0 [14/39]
一方通行の失敗は、さっさと上条の手を振りほどかなかった事だった。
御坂妹「………これは………細かい事は気にしないと言って見逃せる状況では……ないですね。とミサカは鼻血が出そうな鼻を、押さえて……うっ」
一方通行「ま、待て! 違う! ってか、何勝手に入ってきてンだオマエらァ!」
佐天「一方通行さんって……ソッチ方面の人だったんですね……。ちょっと、いやかなり意外でした…」ジトー
一方通行「そしてなンでオマエもいンだよォ!?」
上条「あー………一方通行。あのな、こぉいう時は黙ってこぉ言うんだよ。さぁ、共に叫ぼうぜ」ポン
「せーの……―――」
上条・一方通行「―――不幸だァァああああああああッッ!!!!!」
佐天「うわ、うるさっ……」
御坂妹「実に愉快な方々ですね。とミサカは息ピッタリな二人を微笑ましく見つめます」
佐天(っつか黙ってないし……)
耳を塞ぐ佐天と若干ニヤケ顔の御坂妹は、男二人が叫び終えるのを待った。
この叫びの後に彼等の口から出た言葉が弁明の嵐であった事は言うまでもない―――。
939 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 00:36:06.34 ID:Yc8ARsg0 [15/39]
とりあえずここで切ります。
書き溜め終わり次第続きを投下しに来ますんで。
確かにていとくん……良く考えたらロリコンじゃんww
941 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:33:45.50 ID:Yc8ARsg0 [16/39]
ども。
それでは続き投下していきます。
942 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:35:15.02 ID:Yc8ARsg0 [17/39]
―――――
―――弁明し終えてさらにそれから約十分後
一方通行「つーかよォ……オマエら結局何しに来たンだよ?」
御坂妹「はい、実は佐天さんがあなたにどうしても尋ねたいことがあると…」チラッ
後ろにいる佐天に視線を向ける御坂妹。
佐天「あ…どうも。お邪魔します。っていうかお邪魔してます」ポリポリ
考えてみれば男の部屋に入ったのが初めてだった佐天は、今更気まずそうに笑う。
上条「……今度からは勝手に入るのは遠慮してくれよ?」
御坂妹「そうですね。心臓の動悸がまだ治まりません。それにしても、プレイ前で本当に良かった。とミサカは…」
943 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:37:21.88 ID:Yc8ARsg0 [18/39]
一方通行「誤解だって何度言わせる気だァオイ? 燃やされてェのか?」
御坂妹「ジ、ジョークですよやだなぁ。とミサカは怯えて撤回しますっ」
馬鹿なやりとりをする一方通行と御坂妹を横目に佐天は上条に目を向けた。
佐天「あのぉ……」
上条「あぁ、俺は上条当麻。どこにでもいる普通の高校生ですよ」
佐天「わ、私は佐天涙子って言います。勝手に上がってすいませんでした」
上条「気にすんなよ。そんなことで怒ってなんかいないからさ」
一方通行(どこにでもいる普通の高校生ねェ……。ハッ、よく言うぜ)
佐天「……どうも。あの、上条さんって……御坂さんの知り合いなんですか?」
上条「え? そうだけど……何で?」
佐天「やっぱり! 御坂さんがよく『あのツンツン頭~~』とか言ってたからまさかな~って…」
上条「うぐ……アイツめ…」
944 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:39:23.18 ID:Yc8ARsg0 [19/39]
佐天「御坂さんと仲良いんですよね?」
上条「あぁ……まぁ……」(考えてみたら、そういうのも俺に好意があったからこそなんだよな……。女の子ってのは難しいぜ…)
一方通行「ンでよォ、俺に訊きたい事ってのは何だ?」
いつの間にか御坂妹とのやりとりを切り上げて佐天を見る一方通行に、佐天は一瞬ビクッとなるがすぐに尋ねた。
佐天「あ、すいません。それでそのぉ……一方通行さん。垣根帝督さんが今何処にいるのか知ってますか?」
一方通行「………聞いてどォすンだよ?」
佐天「一方通行さんは、昨日初春……あの花を頭に咲かせた私の友達と一緒にいたのが垣根帝督さんだって分かってたんですよね?
あの二人の『事情』も……ホントは知ってるんじゃないですか?」
一方通行「だったらどォした?」
上条「おい一方通行……」
一方通行「オマエはアイツに会って何がしてェンだ? 俺はソレを訊いてンだがなァ」
覚悟を試すかのような視線をぶつけてくる一方通行。だが、それでも佐天は物怖じしなかった。
945 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:41:40.43 ID:Yc8ARsg0 [20/39]
佐天「決まってるじゃないですか! 初春と会ってくれるように頼み込むんです! 初春は……垣根さんに会いたがってるんですから!」
御坂妹「…………」
一方通行「…………」
上条「…………」
佐天「初春は親友なんです! その親友が……あんなに苦しんでるのを、黙って見てなんかいられませんっ!」
一方通行「俺がンな簡単に教えるよォなお人好しに見えンのかよ?」
佐天「…見えません。だからお願いしたいんです。一方通行さん、お願いっ!」ガバッ
上条「お、おい! やめろって! なぁ一方通行! もういいだろ!?」
佐天が地面に膝をつけ、頭を屈めようとする。さすがにこれには上条が黙っていられなかった。
上条「佐天さん! 頭上げてくれ! もう分かったから……。そういうのは上条さんの専売特許ですよ」
佐天「でもぉ……」ウルウル
946 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:44:07.82 ID:Yc8ARsg0 [21/39]
顔を上げた佐天の目は……涙ぐんでいた。一方通行は「チッ…」と舌打ちして目を逸らす。
上条「一方通行……俺が話すぞ? 女の子を泣かせるのは感心しないからな…」
一方通行「……勝手にしろ」
目を逸らしたままそう言った一方通行。
上条「佐天さん、すまないな……。実は―――」
昼食時、ファミレスでの一部始終を見ていたことを告げる上条……。
これから二人の恋を実らせるために話し合いをする予定だったこともついでに明かした。
―――――
佐天「―――ひどいですよ一方通行さんっ! 近くにいたなら声かけてください!」
一方通行「そンな雰囲気じゃ無かったろォがよ!」
上条「まぁまぁ落ち着け二人とも。とりあえず、佐天さんと御坂妹にも一緒に考えてもらえたらありがたいんだが……。
やっぱ女の子側の意見も欲しいし……」
947 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:45:55.73 ID:Yc8ARsg0 [22/39]
御坂妹「それは構いませんが……具体的にはどのように考えているのですか? とミサカは尋ねます」
上条「それが、まだ何も……。最終的に決めるのは当人同士だからなぁ……。俺達にできることって言ったら……何なんだろう?」
佐天「あの二人を……何とかして巡り会わせましょう」
上条「どうやって?」
佐天「初春は私が呼び出して、一方通行さんが垣根さんを呼び出すんです」
一方通行「そりゃ無駄だと思うぜ?」
佐天「な、なんでですか?」
一方通行「垣根の方は、その初春ってヤツと二度と会う気はねェだろォよ……」
『――――できるんなら………もう一度逢いてぇ。あの無邪気なツラをもう一度見てぇよ……けど、それはもう叶わねえんだ――――』
―――もう……叶わない。確かに垣根はそう言った。あの言葉には決別の意味がハッキリと感じられたのだ。
佐天「……そんな…」
948 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:49:43.54 ID:Yc8ARsg0 [23/39]
一方通行「仮に会わせたとしても、垣根はすぐ逃げちまうだろォな……。そンなことになっちまったら、初春ってヤツに
無駄な傷が増えるだけなンじゃねェのか?」
上条「ただ偶然を装って引き会わせるだけじゃダメってことか……」
佐天「何とか……ならないんですか?」
一方通行「ソレを今考えてンだよ――」
―――ピンポーン♪
一方通行「――あン?」
上条「……誰だ?」
御坂妹「あ、多分お姉様です。とミサカはすっかり忘れてました」
一方通行「……とにかく出てやれよ」
上条「あぁ」スクッ
立ち上がって玄関へ向かう上条。
―――ガチャ
949 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:51:44.93 ID:Yc8ARsg0 [24/39]
美琴「――お……おっす」
黒子「――こんにちは…」ムスッ
上条「お、おう。……どうした?」
美琴「妹、来てない?」
上条「あぁ、来てるぞ。とりあえず二人とも上がれよ」
美琴「う…うん。お邪魔しま~す…」
黒子「……お邪魔致します」ツン
上条(やっぱ、美琴のことは意識しちまうよなぁ……。にしても、何で白井は不機嫌なんだ…?)トタトタ
美琴「あ、一方通行……」
一方通行「……よォ」
美琴「おっす……」
黒子「第一位様。お久しぶりですわね」
一方通行「おォ、……オマエ何か機嫌悪くねェか?」
黒子「気のせいですの。……妹様もご無沙汰ですわね」
御坂妹「おっす。とミサカはお姉様風に挨拶してみます」
950 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:54:40.83 ID:Yc8ARsg0 [25/39]
黒子「―――そして…」
佐天「あはは~……どうも~」
黒子「佐天さん。どういう事ですの?」
佐天「いや~、話すと長いですよ?」
美琴「佐天さんも、昨日はゴメンね…」
佐天「あぁ、いいですよそんなの。仲直りできて良かったですね」ニコッ
美琴「うん。あ、そうそう。ハイこれ」スッ
御坂妹にゴーグルを返す美琴……。
御坂妹「これでようやくミサカは完全なミサカに戻りました。とミサカは一日ぶりのゴーグル姿を一方通行に見せつけます」チョロチョロ
一方通行「顔の回りをチョコマカすンなうっとォしい。……わァったよ。オマエはソッチの方が似合ってっから、大人しく座れ」
御坂妹「………/////」
黒子「これは一体どういう事なんですの? お姉様」
上条「?……何かよく分からんが、御坂に白井も知恵を貸してくれるとありがたいんだが…」
美琴「は?」
黒子「???」
951 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:56:45.08 ID:Yc8ARsg0 [26/39]
上条「実は―――」
~~~美琴&黒子へ説明中~~~
黒子「―――ま……まさか……そのような事になっていたとは……」
美琴「………初春さん……」
初春と垣根の事情とこれから二人のためにどうしたら良いのかを話し合っていた事を二人の常盤台生に説明した上条。
さすがに二人とも衝撃を隠せなかったようだ。特に風紀委員の相棒の上、初春との付き合いも長い黒子にとってはそのショックは
大きかった筈……。
黒子「初春め……。何故、わたくしには一言も相談しないんですの……。水くさいにも程がありますわ。頭の花抜き取るだけじゃ
済まされませんわね……」グヌヌヌ
美琴「多分、アンタに余計な心配させたくなかったんだと思うよ。私や佐天さんはあの場で会ってたから……」
黒子「―――ですがっ!」バンッ
上条(あ、上条さんの椅子が……)
黒子「それでは、わたくしだけ蚊帳の外ではありませんか! ……初春がそんなに苦しんでるなんて知って、黙ってなどいられません!」
佐天「白井さん……」
黒子「第一位様! 今すぐ第二位の殿方を呼んで下さいまし! わたくしが直接申してやりますの!」
美琴「黒子……」
952 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 21:58:37.52 ID:Yc8ARsg0 [27/39]
一方通行「…………」
黒子「今すぐ初春に会うべきですわ! こういう場合、殿方の方から出向くのがセオリーではありませんの!?」
一方通行「……無理だ」
黒子「何故!?」
一方通行「アイツの立場をよく考えてみろよ……。俺やオマエらが直接言ったからどォにかなるって本気で思ってンのか?」
黒子「それは………」
一方通行「超電磁砲も知ってるとは思うが、超能力者(レベル5)なンてのは『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』が尋常じゃねェ。
それこそ『頑固者』なンてレベルじゃ到底許されねェ程に我が強ェンだ。人から強制されるなンてのは有り得ねェンだよ」
美琴「………人にも寄るんじゃないかしら?」
一方通行「さっきも言った通り、垣根は花頭とは二度と会う気がねェのは間違いねェ。………昨日、本人の話しを聞いた限りじゃな……」
佐天「でも、さっき一方通行さん言ったじゃないですか! 『垣根さんも本当は初春に会いたがってる』って! それなら……会えば良いんじゃ
ないんですか?」
一方通行「だからこそ余計にアイツの決意は固いだろォし、尚更会うのは無理だろォな……」
佐天「なんで……?」
一方通行「オマエには理解できねェかもしンねェがな……。俺には分かるンだよ」
美琴「意地張るのとは……ちょっと違うわよね……」
953 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:03:06.30 ID:Yc8ARsg0 [28/39]
上条「そんなレベルじゃないだろぉ……。男として覚悟決めたって言ったら聞こえは良いが…」
御坂妹「……まさにテコでも動かない意志……ですか。難しいですね。とミサカは思考を捻ります」
美琴「結局は、本人達次第だからね……。私達にできる事なんて……あるのかな……」
黒子「………ですが、このまま初春を放っておくなんて……わたくしにはできませんわ…」
上条「俺らも同じだよ白井。みんなで考えようぜ? きっと何か方法があるハズだ」
黒子「……えぇ」
上条、一方通行、美琴、黒子、御坂妹、佐天……それぞれがそれぞれの友人のためにと精一杯の思考を唸らす。
そうして出来上がった無言の空間を打ち破ったのは――――
上条「―――みんな! 聞いてくれ!」
―――上条だった。
当然、全員が上条に注目する……。
佐天「上条さん……?」
954 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:05:48.26 ID:Yc8ARsg0 [29/39]
一方通行「………?」
美琴「何か良い手でも浮かんだの?」
上条「あぁ、名案だ」ニヤリ
含み笑いを浮かべてハッキリそう言った上条に、周りからは期待の空気が生まれる。
上条「話す前に聞きたいんだが、この作戦には皆の力が必要不可欠だ。俺に協力してくれないか? そうすればきっと上手くいく…」
美琴「あったり前じゃないの。友達のためなら是非協力させてもらうわ!」
黒子「右に同じですの!」
御坂妹「流れに逆らう訳にはいきませんね。とミサカも協力の姿勢を見せます」
佐天「ってか、そんなの聞くまでもないじゃないですか~!」
上条「一方通行……」チラ
一方通行「……ンな分かりきった事ァ良いから、早く話してみろよ」
955 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:08:28.35 ID:Yc8ARsg0 [30/39]
上条「ああ! んじゃ詳細を説明するぞ。―――――」
こうして、上条の口から垣根と初春を再び引き会わせてくっつけるための作戦が発表された―――。
―――――
一方通行「………」
上条「――どうだ? 完璧だろ?」
黒子「……類人猿にしては名案だと思いますが……ホントにそれで上手くいきますの?」
上条「絶対大丈夫だ! むしろこれ以外にあるか?」
美琴「確かに……他には考えられないけど……」
佐天「……それで、いつやるんですか?」
上条「そうだな……。できれば早い方が良いだろ。明日とか、皆空いてるか?」
黒子「当然ですわ!」
956 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:13:32.61 ID:Yc8ARsg0 [31/39]
美琴「私もちょうど空いてるわね」
佐天「冬休み中ですからね。全然問題ないっす!」
一方通行「…………」
上条「一方通行も、いいな?」
一方通行「おォ……っつゥか、本当にソレで上手くいくのかが正直疑問だがなァ…」
上条「失敗することを考えてたら、前には進めないぜ?」
一方通行「そりゃそォだが……ぶっつけ本番でやるつもりかよ?」
上条「下手に練習入れたりしたら、アクシデントが起こった時に対応し辛くなるだろ? この作戦のテーマは『臨機応変』がカギなんだよ。」
黒子「役割は分かりましたが……果たしてどうなるか……」
上条「お前の空間移動が無いとダメなんだ。頼むぜ白井」
黒子「……初春のためですから仕方ありませんわね。乗りましたわ」ニヤリ
上条「佐天さん、初春さんの予定は大丈夫かな?」
佐天「無理矢理にでも来させます」
上条「……よろしく」
御坂妹「では、ミサカは早速準備に掛かりますので、これで失礼します。とミサカは明日に備えて骨を鳴らします」ポキポキ
上条「おう、御坂妹も悪いな。頼んだぞ?」
御坂妹「お任せ下さい。とミサカは親指を立てます」グッ
957 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:15:26.21 ID:Yc8ARsg0 [32/39]
美琴「それじゃ、私達も今日は帰るわね」
黒子「そうですわね。明日に備えますわ」
佐天「よし、じゃあ私も!」
上条「決行時間は明日の十時で、九時に家集合な? 御坂も佐天さんも、予定通り頼んだぜ? 白井もな」
美琴「オッケー♪」
佐天「任せてください♪」
黒子「ええ! こうなったらわたくしも腹を括りますわ! では、明日―――」
上条に向けて「任せとけ」とばかりに自信満々の笑みを返した女子達は、上条宅を後にする。
―――バタン
一方通行(……なンかすげェ事になっちまったなァ……。けど、ここまで来たら俺も腹ァ括ンねェと……元々俺が持ちかけた話だしなァ)
上条「よし、俺らも打ち合わせくらいはしときますか?」
一方通行「……そォだな」
958 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:16:49.44 ID:Yc8ARsg0 [33/39]
上条「……さっきからテンション低いな。どうした?」
一方通行「別に。なンでアイツらのためにそこまでしてやれンのか……ちっと疑問に思っただけだ」
上条「まだそんな事言ってんのか? お前だってもう知ってるハズだぞ?」
一方通行「……あ?」
上条「誰かを助ける事に、理由なんか要らねぇ」
一方通行「………ふン」
上条「そうだろ?」
一方通行「………あァ、そォだったな。ったく、オマエはいつもそォいうヤツだよなァ」
上条「今は『お前も』、だろ?」ニヤリ
一方通行「………チッ」
上条「フッ……」
一方通行「……あーァ、やンなるぜェ。……すっかりオマエに毒されちまった……。前の俺なら、こンなのどォでもイイとしか思え
なかったってのによォ」ニヤリ
959 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/13(金) 22:18:27.60 ID:Yc8ARsg0 [34/39]
上条「へへへ……」
一方通行「ククク……」
上条「―――よっしゃあ!! いっちょ派手にやってやろうぜぇ!!」
一方通行「―――ったりめェだろ三下がァァ!! 足引っ張りやがったらブチ殺すからなァ!!」
上条「はん! コッチのセリフだ! ……いいぜ、アイツらがこのまま別々の道に進んじまうって言うんなら―――」グッ…
一方通行「アイツらがすれ違う想いを引きずったままこの先を生きるって言うンなら―――」グッ…
『――――まずは、そのフザけた幻想をブチ殺す!!!!!』
気合を込めて叫んだ二人の主人公(ヒーロー)は握った拳を合わせる。互いを見据える二人の顔は紛れもなく『友を認める顔』だった。
そして、それはこの作戦の『成功』をも意味している。少なくとも、今の二人の頭には『失敗』の文字は少しも見当たらなかった―――。
続きます
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