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律子「あれ、あずささん怒ってるんですか?」あずさ「…………」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 20:30:33.63 ID:5NHuaknY0 [1/33]
千早「さあ始まりました」

『いまさら人に聞けない人の怒らせ方』

千早「司会代理の如月千早です」

教授「え~、そしてわたくし、東京東海大学 言語学教授の碑文谷 潤(ひもんや じゅん)ですぅ」

千早「教授、よろしくお願いします」

教授「はいぃ、よろしくお願いしますね」


千早「今回、律子には別室でやってもらうことがあるので、代理として私が司会を務めさせていただきます」

千早「そしてスタジオには、菊地真さんと萩原雪歩さんをお呼びしました」

真「よろしくおねがいしまーっす」

雪歩「よ、よろしくお願いしますぅ……」


千早「早速……まずはVTRを皆で見る、ということですが?」

教授「はいぃ。……以前から律子さんがおっしゃっていました、ドッキリのVTRをお見せしようかと思います」

千早「……!と、いうことはもしかしてそのVTRは……」

教授「そうです。律子さんが、自身の担当アイドル……竜宮小町の『三浦あずさ』さんを怒らせるVTRですね」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 20:37:47.63 ID:5NHuaknY0
千早「律子があずささんをドッキリで怒らせた、とは以前に本人から聞きましたが、ついにですか」

千早「……真もその場にいたけど……号泣しててそれどころじゃなかったわね」

真「あれは……や、やめてくれよぅ……恥ずかしいし、思い出してまた泣いちゃうし……」

真「アレ以来、雪歩に頭が全然上がらないんだよぉ……」

雪歩「ふふ……真ちゃん大丈夫だよ」

雪歩「どんなにカッコ悪い真ちゃんでも……私が、全部受け止めてあげるから」

真「……!」

真「だ、からぁ……雪歩にそういうこと言われると、アレ以来涙腺が……」ジワァ

雪歩「ひゃっ!?ご、ゴメン……そういうつもりじゃなくて、その……」

雪歩「真ちゃん……大丈夫、大丈夫だから」ナデナデ

真「ん……」ホワー

千早「…………」

千早「……話を振ったのが間違いでした。この二人は放っといて、早速VTRに移りましょう」

教授「ええ、そうですね」

千早「では、VTRお願いします」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 20:44:37.65 ID:5NHuaknY0
―――

律子「……」

律子「…………」


ガチャ

あずさ「おはようございます~、律子さん」

律子「おはようございます。あずささん」

あずさ「えぇと、今日の打ち合わせは私だけだって聞きましたけどぉ……」

律子「そうですよ。竜宮もそろそろ個人に焦点を当てる段階ですからね」

律子「伊織や亜美の個人活動も考えてますけど、今日はあずささんの仕事の打ち合わせです」

あずさ「へぇ~……そうなんですかぁ」

あずさ「わかりました。……どんなお仕事なんでしょう?」

律子「そう、ですねぇ……」

律子「よくテレビ番組の事前打ち合わせで、演者がアンケート書きますけど……」

律子「そのパターンで……アンケート書いてみて、向き不向きを考えてみましょうか。用意したんで」ペラッ

あずさ「はぁ……わかりました。とりあえず、やってみますね」……カキカキ

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 20:53:04.74 ID:5NHuaknY0
あずさ「…………」カキカキ

あずさ「……」チラッ

律子「あ、私は気にしなくていいですよ。あずささんのペースでどうぞ」

あずさ「は、はい……すいません」

律子「いえいえ」

あずさ「…………」カキカキ

あずさ(……トークは……得意、ではないわねぇ……。体を動かす、のもちょっと……)

あずさ(やってみたいこと……ロケ番組ですかねぇ……)

あずさ(色んなところの……コーヒーの美味しいお店に行ってみたりとか……)

あずさ「…………」カキカキ

―――

千早「空気としては全く悪くありませんね」

真「いつも通り、って感じだよなぁ」

教授「ええ、そうですね。立ち上がりは特筆すべき点はありませんね」

教授「ただ……律子さんのテクニックはここからですよぉ」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 20:57:29.57 ID:5NHuaknY0
あずさ「…………」カキカキ

律子「……」ガクガクガクガク

律子「…………」ガクガクガクガクガクガク

あずさ「……あ、あの律子さん……」

律子「」ピタッ

律子「どうかしましたか?」

あずさ「……す、いません……。私ってば本当に遅くて……すぐに書き終わらせますから」

律子「どうしたんですかぁ。あずささんのペースで大丈夫ですよ?」

律子「そんなせっかちじゃないですし、終わるまで待ってますから」

あずさ「で、でも……」

律子「……そんなこと言ってる間に書いちゃえばいいんじゃないですか?」

あずさ「!す、すいません……!」

律子「あー、でも急ぐことないですからね?本当にゆっくりで結構ですから」

あずさ「…………はい……」

あずさ「…………」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 21:02:02.69 ID:5NHuaknY0
あずさ「…………」カキカキ

律子「……」ガクガクガクガク

あずさ「……!」

律子「」ガクガクガクガクガクガク

あずさ「り、律子さん!」

律子「」ピタッ

律子「はいなんでしょう?」

あずさ「……」ハッ

あずさ(ここで話をしてたら、結局アンケートが進まないだけじゃない……)

あずさ(律子さんの機嫌も……)

あずさ「……」

あずさ「……いえ、何でもありません。……すぐに書き終えますから」

律子「もぅ~……何をそんなに急いでるんですかぁ。あずささんらしくないですよ?」

あずさ「…………」

律子「いつもマイペースなのがあずささんの良さじゃないですか。私に合わせる必要ないんですからね?」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 21:08:03.13 ID:5NHuaknY0
あずさ「……」カキカキ

あずさ「…………」カキカキ

律子「……」ガクガクガクガク

あずさ「…………」カキカキ

律子「」ガクガクガクガクガクガクガクガク

あずさ「~~~~~~!」


・怒らせるテクニック
45:貧乏ゆすり
「イラつき」や「焦燥感」を相手に伝える基本のテクニック。
『浅座』や『枝毛探し』などと組み合わせて、それぞれの怒らせる効果を増幅させることも出来る。


あずさ「……り、律子さん!」

律子「」ピタッ

律子「……どうしたんですか?さっきから」

あずさ「……」

あずさ「い、言いたいことがあれば……私に直接言ってください」

あずさ「貧乏ゆすりされるくらいなら……『遅い』って……はっきり言ってください」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 21:11:36.71 ID:5NHuaknY0
律子「……」

あずさ「……」

律子「フゥ……すいません。……ちょっとあずささんを試したんですよ」

あずさ「……?試す?」

律子「ちなみにアンケートは?」

あずさ「え!?えぇと……この辺りまでは……」

律子「あぁ~半分とちょっとくらいですか……」

律子「まぁ……」

律子「こんなもんで十分でしょ」

あずさ「え……えぇ!?」

律子「じゃあ早速……あずささんに向いてる仕事、考えていきますか」

あずさ「え、いや……律子さん、あの……」

律子「どうしました?」

あずさ「試すってどういうことですか……?それに、アンケートが途中なのに……」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 21:18:41.33 ID:5NHuaknY0
律子「ああ……試すっていうのは、……まぁこの業界、いろんな人がいますからねぇ」

あずさ「はぁ……」

律子「今私がやったみたいに、時間が押すとプレッシャーをかけてくる人もいる、ってことですよ」

あずさ「……それで、あんな貧乏ゆすりをしてたんですか?」

律子「まぁ、本当ならあれくらいは我慢して……割り切ってもらわないと」

律子「この厳しい芸能界、そのくらいの忍耐がなきゃ生き残れないですよ?」

律子「……って、アッコさんに教えてもらったんです」

あずさ「あ、アッコさんに……ですか」

律子「それでアンケートですけど……まぁ正直、何個も項目見てもしょうがないんで、途中で止めました」

律子「っていうか、『やってみたい番組』って欄があったんで、そこしか見ません」

あずさ「そ、そんな!たくさん書いたんですよ……!?」

律子「そこら辺は割り切ってもらわないと。取捨選択が厳しいのも、芸能界の常ですからね」

あずさ「…………」

律子「……って、タモリさんに教えてもらったんですよぉ」

あずさ「……そう、ですか…………」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 21:23:44.42 ID:5NHuaknY0
律子「……なんでまぁ、せっかくですけど……『やってみたい番組』意外の項目のところは捨てますね」

ビリビリビリッ

あずさ「な……!」

律子「まぁこれでいいか……じゃあ打ち合わせを……」

律子「……あれ、あずささん怒ってるんですか?」

あずさ「…………」

律子「ダメじゃないですかぁ。……頑張ったのに、報われないっていうんでそんな顔してるんですか?」

律子「そんなことも、芸能界じゃしょっちゅうですよ?」

律子「割り切って……割り切ってもらわないとぉ」

あずさ「…………」

律子「私が仲良くさせてもらってる……ミスチルの桜井さんも言ってましたよ?」

律子「努力が必ずしも報われるものとは限らない……って」

律子「だから割り切ってもらわないとぉ」

あずさ「…………」

あずさ「律子さん…………変わりましたね」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 21:32:46.95 ID:5NHuaknY0
―――

真「ひどすぎるだろ、律子」

雪歩「……」コクコク

千早「教授、ひょっとして律子はこの時……」

教授「はいぃ……なんと律子さんは、この時点で3つのテクニックを同時に使うという……」

教授「素晴らしい腕を見せてくれていました」


・怒らせるテクニック
46:割り切り
恐ろしく理不尽な状態に対しても、「まぁ割り切ってよ」と軽く受け流す。口調の他人事っぽさが大事。
例:「給料、半年間でないけど割り切ってよ。家賃払えない?でも割り切ってもらわないとさぁ」

47:業界人アピール
有名人とコネがあることをひけらかす。
自分にとっては日常の出来事であるように、大物をさらりと話題に出すのがポイント。
また業界用語を多用するのもこのアピールに属する。
→「今日テッペン越えそうだからさぁ、シータク呼んどいてよ」

48:どんぶりアドバイス
相手からの相談などを物凄くざっくりと受ける。
例:「長編小説書いてきました!」→「おお、じゃあ最初の3ページだけで判断するわ。残りのページ捨てといて」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 21:40:16.72 ID:5NHuaknY0
律子「変わった?私がですか?」

あずさ「……はい」

律子「自分じゃあわかりませんけど……どこか変わりました?」

あずさ「…………」

あずさ「以前の律子さんは、私なんかの相談にも、真剣に対応してくれました」

律子「まぁ、今も真剣に対応してるつもりなんですけどねぇ……」

あずさ「……」

あずさ「……きっと以前までの律子さんだったら…………」

あずさ「そんな風に、私の書いたアンケートを適当に扱ったりしません」

律子「…………」

あずさ「それに、自分の意見をハッキリと持った、確かな信念のある人だと思っていました」

あずさ「……今みたいに、誰かが言っていたから、と他人の言葉でどうこう言う人じゃなかったはずですし……」

あずさ「私の意見を無視して、無理に割り切って納得させようとも、しませんでしたよね?」

律子「……」

あずさ「律子さん、何かあったんですか?」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 21:48:53.74 ID:5NHuaknY0
あずさ「伊織ちゃんや亜美ちゃんはわからないけど……」

あずさ「私は、そんな律子さんだったから……着いていくことを決めたんです」

律子「……」

あずさ「……すいません。偉そうなことばっかり言って」

あずさ「……」

律子「……」

あずさ「……私の知らない所で、律子さんに何があったのか……計り知れないですけど……」

あずさ「少なくとも今の律子さんには、私が好きだった以前の律子さんの面影が……感じられません」

律子「……」

あずさ「…………」ジッ

律子「…………フゥ」

律子「ま、この業界も深く浸れば色々とあるんですよ……」

律子「業界の闇を見た人にしかわからない部分とか、ね」

律子「……あずささんにはわからないでしょうけど」

あずさ「………そうですね。……そんな風に言われるなら……わからなくて結構じゃないでしょうかぁ」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 21:59:02.94 ID:5NHuaknY0
律子「…………」

律子「でもそれじゃあコッチは困るんですよ……」

律子「この間もダウンタウンの松本さんとお話しさせていただく機会がありましたけど

あずさ「他の人の話は止めて下さい」

律子「…………」

あずさ「私は、『律子さん』の言葉が聞きたいんです」

律子「…………」

律子「私個人の意見が、いつでも聞ける、とは思わないで欲しいですね」

あずさ「……!」

律子「もう私も芸能界の一員ですから……思い通りに発言できないこともままありますよ」

律子「そこらへんは、割り切ってもらわないと」

あずさ「…………」ギュッ

あずさ「………………」

あずさ「……わかり……ました…………」

あずさ「律子さんがそこまで言うなら……『今日は』割り切ることにします」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:06:05.19 ID:5NHuaknY0
律子「……それで、仕事の話に移って大丈夫ですか?」

あずさ「……はい」

律子「えぇとそうですねぇ……」

律子「水着グラビアとか、どうですか?」

あずさ「……!?あ、あの……アンケートにはそんなこと一つも……」

律子「え?……えぇと……やりたい番組が……ロケ番組?」

律子「あずささぁん。ロケ番組はダメでしょぉ。すぐ迷子になっちゃうのに」

あずさ「え……確かにそうですけどぉ……」

律子「後は……グルメリポート?」

律子「これも無理ですよぉ。気の利いた料理コメントとか出来ないでしょう?」

あずさ「…………」

律子「一応捨てた方も見ますか……」ピラッ

律子「苦手なこと『運動』……ダメですってー。今時、スポーツの一つや二つできないと」

あずさ「………………」

律子「こりゃあやっぱり水着グラビアですかね。あずささんがやりたいかどうかは知らないですけど……割り切ってもらわないと」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:11:20.73 ID:5NHuaknY0
あずさ「……」ギュッ

律子「……割り切ってくれるんですよね?今日は」

あずさ「…………」

あずさ「……………………はい」

律子「グラビア水着……資料が確か……あ、あったコレだ」

律子「見てみます?どれがいいですか?」

あずさ「…………」

あずさ「………………コレ…………です」スッ

律子「えぇと……えぇ~!?地味すぎますよ!」

律子「他のにしてください」

あずさ「……」キッ

律子「……あずささんに睨まれても怖くないですよー。……ほら選んで選んで」

あずさ「…………じゃあ、コレで……」

律子「はぁー……。それもあずささんには似合いませんって」

律子「じゃあもう……生地少な目の……コレにしますよ。いいですね?」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:15:56.34 ID:5NHuaknY0
あずさ「……私には、選ばせてくれないんですね…………」

律子「え~?ちゃんと好きなモノ選ばせてるじゃないですかー」

律子「他の水着がいいんですかー?じゃあどれにします?」

あずさ「…………いい加減にしてください」

律子「そんなこと言わないで……ほら早く選んで


バシッ

バサァ!


律子「…………」

あずさ「…………」

律子「……資料、メチャクチャじゃないですか。何してくれるんですか」

あずさ「…………もう……」

あずさ「もう……こんな思いをするくらいなら……一人でなんて……仕事したくありません」

あずさ「……いえ、違いますね」

あずさ「律子さんと一緒に……仕事をしたく、ありません」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:23:12.95 ID:5NHuaknY0
律子「……何言ってるんですか。竜宮はどうする気ですか?」

律子「いきなり抜けるなんて、許されるわけないですからね?割り切ってもらわないと」

あずさ「……!律子さん!」グッ

律子(……!く、来るか!?)


ダキッ

律子「!?」

あずさ「お願いします!……以前の……以前の律子さんに戻ってください!」ギュウウ

律子「ちょ、と……あ、ずさ、さん…………?」

あずさ「もう……私の知ってる律子さんじゃない……それはわかってるんです」

あずさ「一緒に仕事をしたくない……もう律子さんから仕事の話も聞きたくないんです……」

あずさ「でも……!」

あずさ「本当は……本当は一緒にお仕事したいんです!……今の律子さんではなく、以前のような律子さんと一緒に」

あずさ「お、お願いします!私の前だけでいいんです……以前のような……」

あずさ「私が好きだった律子さんに戻ってください!」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:28:14.55 ID:5NHuaknY0
律子「…………あ、あずささん……」

あずさ「…………うふふ……ごめんなさい。……私って、本当に芸能人失格ですよね」

あずさ「律子さんの言うことも聞けない……全然割り切れない……そんなアイドルで、ごめんなさい」

律子「…………」

あずさ「……律子さん…………やっぱり戻れないんですか……?」

あずさ「…………」

律子「…………」

律子「ちょっと……まずは離してもらっていいですか?」

あずさ「……はい」

スッ

律子「ふぅ~……」

あずさ「…………」

律子「…………」

あずさ「……律子さ

律子「ていっ」チョップ!

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:31:51.47 ID:5NHuaknY0
あずさ「」コツン

あずさ「…………」

あずさ「………………え?」

あずさ「え、あの……律子さ

律子「ていっ」チョップ!

あずさ「いたっ」

あずさ「!?あ、あの律子さ

律子「ていっ」チョップ!

あずさ「い、いいかげ

律子「ていっ」チョップ!

あずさ「わたしの

律子「ていっ」チョップ!

あずさ「なんで

律子「ていっ」チョップ!

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:35:07.71 ID:5NHuaknY0
あずさ「そろそ

律子「ていっ」チョップ!

あずさ「わかりまし

律子「ていっ」チョップ!

あずさ「もうけっこ

律子「ていっ」チョップ!

あずさ「…………」

律子「ていっ」チョップ!

あずさ「…………」

律子「ていっ」チョッ


バシーン!!


あずさ「……もう、結構です。律子さんが私と真面目に話をする気がないのは、十分わかりました」

律子「……」ヒリヒリ

あずさ「……もう……アイドル、辞めさせていただきます」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:39:59.68 ID:5NHuaknY0
律子「ダメです」

あずさ「いえ。もう律子さんとは分かり合えません」

あずさ「亜美ちゃんや伊織ちゃんには悪いけど……もう、耐えられません」

あずさ「……こんな不誠実な人がプロデューサーさんだったなんて……」

あずさ「さようなら律子さん」

クルッ

律子「……!待ちなさいあずささん」

あずさ「…………」

律子「無視する気ですか」

あずさ「…………」

律子「……それならこうするまでよ!」

ギュッ

あずさ「……離れて下さい」

律子「……さっきは自分からしてきたのに?」

あずさ「……もう思い出したくもありません。離れて下さい」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:44:10.79 ID:5NHuaknY0
律子「いやです。離れません」

あずさ「いまさら何だって言うんですか?」

律子「ドッキリです」

あずさ「え?」

あずさ「……………………」

あずさ「………え、えぇとぉ……」

あずさ「…………えぇ!?」

律子「ドッキリです」

律子「あずささんを本気で怒らせたらどうなるか、というドッキリだったんです」


テーレッテレー


律子「というわけでドッキリ大成功ー!」

あずさ「……あ、あの……えぇ!?……ど、っきり……?」

あずさ「ど、ドッキリですか……?」

律子「カメラマンさんもどうぞー」
ゾロゾロ

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:49:46.98 ID:5NHuaknY0
あずさ「……」

律子「まぁ一から説明するとですね……」

あずさ「いえ、しなくて結構です……大体わかりました」

律子「あ、そうですか?それは


バシーン!!!


律子「~~~っつー……」

あずさ「ばかぁ……」

あずさ「りつこさんのばがぁ……!」

律子「……あずささん…………」

あずさ「わ、わたしが……どれだけしんぱいして……どれだけのおもいで……け、ぇつだんしたかぁ…・・」

あずさ「おおばかです……りつごさんは……おおばがですぅ……」

あずさ「あうっ……うぅ……グスッ…………り、つこさぁん……」

あずさ「うわぁあぁ……よ、よかったです……ドッキリで……どっきりでほんとうに……」

あずさ「よ、かったですぅ……りつこさん……」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 22:53:56.81 ID:5NHuaknY0
あずさ「う、うぅ…………」

律子「あずささん……」

律子「…………」

律子「本当にごめんなさい。……そして、ありがとうございます」

ギュッ

律子「絶対に、あずささんの意見を無視したりしません」

律子「絶対に、自分勝手なプロデュースはしません」

律子「絶対に、あずささんが好きでいてくれた私のままでいます」

あずさ「あうぅ……うぁう……ほんど……ですかぁ…………?」ギュウウ

律子「ええ、本当です」ギュゥ

あずさ「は、はいぃ…………」


―――

真「…………」グスッ

千早(真……あの一件以来涙もろくなったわね)

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 23:01:09.90 ID:5NHuaknY0
教授「え~、今見ていただいたVTR……最後の2つのテクニックについては、こうなります」


・怒らせるテクニック
49:選択肢クラッシュ
あらかじめ選択肢を提示しておいて、相手が選ぶものをことごとく否定する。
最終的には一つを除いてすべて否定し、無理やりその一つを仕方なく選ばせる。

50:ていチョップ
話しかけてきた人に対して、「てい」という言葉とともにチョップをお見舞いする。
発言をことごとく遮り、ひたすらにチョップをお見舞いする。


教授「途中……あずささんが律子さんを抱きしめたあたりで、流石に失敗かと思ったのですが……」

教授「律子さんはあの状態すらも利用し、見事に相手を怒らせることに成功しました」

千早「……確かに。律子から聞いてなかったら、まず失敗したものとして見てたわ」

雪歩「どうやってあずささんを怒らせるのかってドキドキしながら見てましたぁ……」


教授「えー、そしてですね。ここからは……そのあずささんも一緒に番組に参加していただきましょう」

教授「どうぞ、お入りください」

あずさ「は、はい……よろしくお願いします」ペコリ

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 23:11:26.75 ID:5NHuaknY0
千早「……あずささん…………」

千早(……さっきのVTRで大号泣してたとは思えない……)

あずさ「あ、あらあらー……やっぱりあんなの見られたら、恥ずかしいですよぉ///」

雪歩「り、律子さんとは……もう大丈夫なんですかぁ?」

あずさ「うふふ……はい~。色々ありましたけど、もう仲直りしたわよ」

真「へぇ~……一番どこが、ムカついたんです?」

あずさ「そう、ねぇ……」

あずさ「普段、あんなに怒ったことってなかったから……」

あずさ「最初に抱きしめた時も、すっごく怒ってたのよ?」

千早「そ、そうだったんですか……」

あずさ「あの後も、色んな感情がグチャグチャになっちゃって……」

あずさ「律子さんに抱きしめられたままドッキリが終わって、あの……」

あずさ「あ、安心しちゃったみたいで……そのまま寝ちゃったの///」

雪歩「あの楽屋でですかぁ!?」

あずさ「そうみたい……よ、よく覚えてないのよ…………///」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 23:18:57.26 ID:5NHuaknY0
あずさ「そ、その後も律子さんがついてくれてたみたいで……」

あずさ「真夜中になって起きて……そのあと、律子さんと一緒に帰ったのよぉ」

千早「……このあずささんを……怒らせた上にそこまで泣かせるなんて…………」

教授「はいぃ。正にこの番組のMCにふさわしい業績だったと言えるのではないでしょうかぁ」

あずさ「…………あの、えーと」

あずさ「それで……私は、何をすればいいんでしょう?」

教授「はい。あずささんはですねぇ。わたくしたちと一緒に、これから行われる実演を見ていただきたいんですよぉ」

あずさ「はぁ、実演ですか……」

真「誰の実演なんですか?」

千早「私も聞いてませんね。……教授、誰なんですか?」

教授「それはですねぇ……」

教授「萩原雪歩さんですよぉ」

雪歩「……!」ビクゥ!

雪歩「わ、わたわ、わたし、で、ですかぁ!?」

千早「雪歩が誰かを怒らせる……っていうの?」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 23:25:11.39 ID:5NHuaknY0
教授「はいぃ~そうです」

真「誰を怒らせるんですか?」

教授「真さんです」

雪歩「え!?」

真「えええ!?」

真「ぼ、ボクですかぁー!?」

真「ど、どうやって!?ボクはここにいるのに……どうやって雪歩が、ボクを怒らせるんですか!?」

教授「はいぃ~、それはですね。とてもシンプルな答えですよぉ」

教授「真さんは、以前雪歩さんを怒らせた経験がおありです」

教授「その経験を活かして、『決して怒らない』ように振る舞ってください」

真「……は、はぁ…………」

教授「そして雪歩さんには、これから特別講義で怒らせ方を学んでもらいます」

教授「講義の内容を踏まえ、『決して怒らない』と構えている……このドッキリのタネも仕掛けも知っている真さんを、怒らせていただきます」

雪歩「ま、真ちゃんを…………怒らせるんですかぁ……」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 23:32:04.34 ID:5NHuaknY0
教授「真さんには、こちらをお貸しします」

スッ

真「?なんですか、コレ。スイッチ?」

教授「どうしても雪歩さんの言動に我慢できない。もう怒ったぞ。という時には、そちらを押してください」

教授「時間内にスイッチが押されなければ、真さんの勝ち、といたします」

千早「……ちなみに教授、スイッチの存在すら忘れるくらい激怒した場合は…………」

教授「こちらで判断しまして、我を忘れているのを確認し次第、真さんの負けといたします」

教授「無いことを祈りますが、雪歩さんに危害が及ぶようでしたら……」

教授「わたくし自身が止めに入ります」

千早「…………」

真「…………」

雪歩「…………」

教授「……おや?どうかしましたか?」

千早「いや、まぁ……何でもいいのですけれど」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/06/09(土) 23:38:46.42 ID:5NHuaknY0
…………

教授「はい、ということで雪歩さんに教えるテクニックは以上ですね」

雪歩「わ、わかりました」

千早「…………萩原さん」

雪歩「はい?」

千早「以前、真から怒らされたこと……萩原さんは少しも気にしていないでしょうけど……」

千早「ここは言わば、あの時されたことを……遺恨も無く仕返しできる唯一の場よ」

雪歩「い、遺恨……」

千早「そうでしょう?真だって、萩原さんが怒らせてくるのは承知してるわ」

千早「我を忘れて怒った所で、自分が以前に同じことをしてた以上、萩原さんを恨むようなことはないはずよ」

千早「だから……テクニックの全てを出しつくす勢いで行くべきね」

萩原「……」ゴクリ

萩原「わかった、千早ちゃん。精一杯、真ちゃんを怒らせてくるよ」

千早「ええ、頑張ってね」

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/09(土) 23:42:54.50 ID:k+/tBw/30

教授死亡でこのシリーズも終わりか・・・

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:11:09.38 ID:5KpzSfGX0

―――

教授「さて、真さんには雪歩さんが来たら『世間話でもして下さい』と伝えてあります」

千早「あくまで普段通りというスタンスなんですね」

あずさ「心なしか……真ちゃんも緊張してるみたいですね」

―――

真「……」

真「…………」

ガチャ

真「!」

雪歩「お、お邪魔しまーす……」

真「お、おう……いらっしゃい」

雪歩「は、はい……」

真「……」

雪歩「…………」

真(こんな状況でどうやって世間話すればいいんだよ……)

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:15:55.68 ID:5KpzSfGX0

真「…………」チラッ

雪歩「……?」ニコッ

真「……ハァー」

雪歩「真ちゃん……困ってるね」

真「……当たり前だろ?」

雪歩「『当たり前』とか言っちゃってるね」

真「え……。い、いや、別に言ったっていいだろぉ?」

雪歩「いいわけないよね?」

真「へ?」

雪歩「……今度はとぼけてるんだね?」

真「え?と、とぼけてなんかいないよっ!……じゃあなんか話そうよ、ほらほらぁ!」

雪歩「無理やり会話を終わらせたんだね」

雪歩「しかもなんか話そうとしてるんだね」

真「」ムカッ

真「い、いいだろぉ別に何話したって!」

93 :>>91 栗井ムネ男は尊敬に値する:2012/06/10(日) 00:20:03.12 ID:5KpzSfGX0

雪歩「じゃあ何か話すんだね?」

真「あ……ああ話そうよ雪歩!…………」

真「…………えーと……」

雪歩「結局何も思い浮かばないんだね」

雪歩「えーと、とか言ってすごく困ってるんだね」

雪歩「気まずいね」

真「ちょっとちょっとぉ!……や、やめてくれよイチイチぃ!」

雪歩「やめて欲しがってるね」

真「だからそれだってば!止めろって雪歩!」

雪歩「雪歩とか言っちゃってるね」

真「言って何が悪いんだよ!」

雪歩「真ちゃん怒ってるね」

真「そりゃあ怒って

真「」ハッ

真(そ、そうだ……怒っちゃダメなんだよ……。……あ、ぶない所だった…………)

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:26:16.83 ID:5KpzSfGX0

真「……フゥー」

真「……で、そうだね。……そう言えば雪歩、実際に男のスタッフの人とは仲良くなれそうかい?」

雪歩「え?え、えと…………」

雪歩(はうぅ……し、失敗しちゃいましたぁ……)

―――

教授「惜しいですねぇ。一発目でアウトも狙えましたが」

あずさ「真ちゃん、踏みとどまったみたいですね」

千早「……と言うか、明らかに真が弱い……怒りやすいだけなんじゃ……」

教授「そうですね。番組の知識なしで、『外見・状態+だし』をやられていたら一発アウトだったでしょうね」

千早「…………怒らせの初心者向け、ですか」


・怒らせるテクニック
51:外見・状態+だし
相手の状況をイチイチ口に出して報告する。
「スーツだし」「ネクタイしてるし」「山本のこと呼んでるし」「なんか怒ってるし」
ちなみに雪歩は、口調に合わせて「だね」で挑んだ。

98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:31:40.53 ID:5KpzSfGX0

―――

雪歩(ちょ、ちょっとタイミングを間違えたみたいですぅ……)

雪歩(……うん。後に引きずらないで、次の手を打たなきゃ!)

真「……で、どうなんだい?」

雪歩「うーん……。でも私って、男の人は苦手だけど……」

雪歩「それだけじゃなくて、犬も苦手だし、ひんそーでちんちくりんだし……」

雪歩「私みたいなダメダメなゴミ虫がスタッフさんに話しかけること自体が、おこがましいよぉ」

真「……は?……え、え?」

雪歩「どうしたの?真ちゃん」

真「え、だって……ゆ、雪歩?」

雪歩「なに?」

真「い、いやいやぁ……雪歩だってそこまでダメダメじゃないよ。自分を悪く言いすぎだって」

雪歩「そんなことないよ……」

雪歩「私みたいなゴミ虫は、掃き溜めでジメジメと暮らすのがお似合いなんだよ……」

真「いや、言いすぎだってば……」

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:37:27.50 ID:5KpzSfGX0

雪歩「……本当なら、真ちゃんみたいな……」

雪歩「カッコよくて、運動神経も良くて、どんな人からも人気が出て……」

真「雪歩?ゆ、雪歩?」

雪歩「トップアイドル一直線の、稀代のスーパースターみたいな人と一緒にいれることが……」

雪歩「そもそも、おかしなことなんだよ……」

真「そ……いやぁ、だから言い過ぎだって。ボクはそんな凄い人じゃないし、雪歩だってそこまで

雪歩「真ちゃんは女の子からも、男の人からも人気だし……」

雪歩「事務所にいてもみんなの輪の中心になれるムードメーカーだし……」

雪歩「街を歩いていてもファンが波のように押し寄せて、交通規制がかかっちゃうくらいだし……」

真「だ……いいい言い過ぎなんだってばぁ……!」

雪歩「それなのに私は……いつまでも芽の出ないゴミ虫アイドル……」

雪歩「水たまりの水を吸って生きるのがお似合いなんですぅ……」

真「……言い過ぎなんだってばどっちもどっちもぉ!」

バンッ

真「いい加減にしろって雪歩!」

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:44:49.95 ID:5KpzSfGX0

雪歩「きゃっ」ビクッ

真「な、何もそこまで自分を悪く言うことないだろぉ!?」

真「それにボクのことも良く言い過ぎなんだよ!……言われ過ぎてハードルが

真「」ハッ

真(そ、そうかコレは……!)


・怒らせるテクニック
52:ハードル上げ
相手を必要以上に褒めて、その相手の言動に対する第三者からの期待値を勝手に上昇させる。
例:「この先輩、すっげー面白いギャグ今からするから。もう絶対、絶対笑い転げるよ」


真(そうだ、『ハードル上げ』!教授から教えてもらったヤツだ!)

真(……あ、危ない…………!とっさに思い出さなかったら勢いで怒ってた……)

真(多分……教わってないけど……自分を悪く言うのもテクニックの一つなんだろうな)


53:卑屈
必要以上に自分のことを悪く言う。
相手が何もしていなくても、まるで「責めてしまった」ような状況を作り出せる。


雪歩(は、はうぅ……また失敗みたいですぅ……)

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:50:16.25 ID:5KpzSfGX0

―――

教授「怒りそうで、ギリギリのところで踏みとどまっている感じですね」

あずさ「やっぱり、テクニックを知っているのが大きいんですかねぇ」

千早「でしょうね。でなきゃ真はとっくにキレてるはずだわ」

―――

真「は、はは……まったくもう雪歩ってば。……でも、雪歩からそんなに良く見られてたなんて嬉しいなぁ」

真「だから雪歩もさぁ……自分に自信を持っていいと思うよ?」

雪歩「う、うん……」

雪歩(…………)

雪歩「わ、私……ちょっとトイレに行ってくるね」

真「ああ……いってらっしゃい」


ガチャ

バタン


真「…………ハァーあ~……」ヘロヘロ

105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:57:48.61 ID:5KpzSfGX0

真「やばいよぉ~……すぐドッキリなの忘れちゃうよぉ~……」

真「もぉお~ボクのバカ!バカ!」

真「…………ハァ」

真「……雪歩に良いようにやられちゃってるなぁ」

―――

教授「しかし……ここでこういう時間を与えてしまうと、真さんもクールダウンしてしまう危険がありますよねぇ」

千早「ええ、そうなんですよ。萩原さんが、何を考えているのか……」

―――

ガチャ

雪歩「ただいまぁ……」

真「あ、おかえり……」

雪歩「……」ハァ

真「…………ど、どうしたのさ、雪歩」

雪歩「……私のハンカチが、なくなってたの」

雪歩「お気に入りのハンカチだったのに……ショックだよ…………」ハァ

106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:02:44.65 ID:5KpzSfGX0

真「え、トイレに行ってから気づいたの?」

雪歩「うん……それまではあったはずなのに……」

真「そうか、災難だったね……」

真(ん?じゃあこの部屋にあるかもしれないな)

真「……じゃあさ、雪歩、ひょっとしたら

雪歩「あ!」

真「え?」

雪歩「わ、私のハンカチ……ここに……」

真「え、どこ……?」

真(……なぁんだ。雪歩の椅子の上かぁ)

真「よかったじゃんゆき

ダダダッ

雪歩「……はぁ~…………」チラッ

真「…………」

真「………………え?ボク?」

107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:09:07.57 ID:5KpzSfGX0

雪歩「……良かったぁ、間に合って。……隠されてたらどうしようかと思ってたけど……」

真「え……い、いや!違うよ!」

雪歩「…………」チラッ

真「!?」

雪歩「真ちゃん…………」

雪歩「今回は、許してあげる」

真「んな……!」

雪歩「そのかわり……もうしないでね?」

雪歩「…………はぁ、よかった。間に合って」

真「……………ふ……」


真「ふざけるなよ!」


真「ボクはやってない!ていうか一緒に見つけてあげようと思ったんだ!」

真「なんでボクが犯人みたいに言われなきゃいけないんだよ!」

雪歩「……はぁ。真ちゃん……もう今日は疑わないであげるから。終わりにしよ?」

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:12:58.43 ID:5KpzSfGX0

真「う、疑わないで、って……」

真「だからボクはやってない!どうして信じてくれないんだよ!」

雪歩「……もう、いいよ。この話はここでオシマイ。……ね?」

真「……!」

真「ふざけるなって!」

バンッ

真「納得行かない!こんなの、ボクは納得行かない!」

雪歩「…………」

雪歩「……真ちゃん…………」

真「なんだよ雪歩!」

雪歩「…………」

雪歩「……これね、『濡れ衣』って言うの」

真「…………」

真「……え?」

真「…………………あ」

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:18:57.09 ID:5KpzSfGX0

・怒らせるテクニック
54:濡れ衣
その名の通り、相手に濡れ衣を被せる。相手が正しい場合も、かたくなに自分の非を認めないのが重要。
雪歩のように、「自分は心が広いから許してあげる」と上から目線になれれば上級者。


カンカンカーン

菊地真……強制失格


真「し、しまったぁー!!!」

真「くっそぉ~!!あんだけ注意したのにぃー……」

―――

千早「……あれで注意してたつもりなのかしら…………」

あずさ「ま、まぁまぁ……真ちゃんが怒るのも、しょうがないんじゃ……」

教授「まぁ真さんは初心者向けでしたが……雪歩さんの方も呑み込みが早かったですね」

千早「そうですね。テクニックだけでなく演技力の面でも、萩原さんの方が一枚も二枚も上手だったみたいね」

あずさ「でも、そうですねぇ。たぶんあのハンカチ、『濡れ衣』のために元から置いていたんでしょうけど……」

あずさ「雪歩ちゃんが帰ってきたときは、本当になくしたんだとばっかり……」

千早「……私もそう思いました」

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:25:10.15 ID:5KpzSfGX0

―――

雪歩「ふふふ……真ちゃん」

真「……なんだよぉ、雪歩」

雪歩「これで、おあいこだね」ニコッ

真「う、あぅ……」

真「…………」グスッ

真「よ、よかった……ゆ、雪歩が……」

雪歩「ま、真ちゃん!?」

真「雪歩が……なんでボクのこと信じてくれないんだろうって……」

真「そしたら……怒ったのもあるけど……そしたらすっごく悲しくなって……」

真「でもそうだよ、ドッキリだったんだよ…………そうだよぉ」

雪歩「ま、真ちゃん……」

雪歩「うん、大丈夫……私は真ちゃんのこと、ちゃんと信じてるよ」

真「ありがとう、雪歩。うん……。……ありがとう…………」

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:28:36.46 ID:5KpzSfGX0

―――

千早「なんかすっかり……以前の関係から逆転してるわね」

あずさ「真ちゃんって、あんなに雪歩ちゃんをリードしてる姿しか見たことなかったのに……」

教授「んふふ。友情を発展させることもまた、怒らせ方の極意の一つなのです」

千早「…………」

千早「……そうですか」

教授「そうですよぉ。……さて、では最後の実演をご覧いただきましょう」

あずさ「最後の……?」

教授「はいぃ。……まずは別室のモニターに繋げましょう」


ピッ


律子「…………」

律子「……ん?あ、やっと私たちの番ですか」

教授「はい、お待たせいたしました」

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:33:18.49 ID:5KpzSfGX0

千早「律子」

律子「ああ千早。どう、番組の司会代理は?」

千早「え?……まぁそれなりに。……それで、律子は何をするの?」

律子「私はねぇ……」

律子「……さっきまで、雪歩と真のヤツ、見てたでしょ?」

千早「ええ、まぁ」

律子「今度は、一方が『怒らされる』んじゃないわ」

律子「『両方が怒らせて両方が怒らされる』……つまり怒らせのガチバトルよ」

あずさ「が、ガチバトルですか……」

律子「あ、あずささんヤッホー。その節はどうも~」

あずさ「あぅ、り、律子さん……///」

律子「……ま、そんなわけで、私と、もう一人とが、お互いのテクニックを使って怒らせあうわけよ」

千早「相手は?」

律子「美希よ」

116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:38:47.59 ID:5KpzSfGX0

あずさ「美希ちゃん……!」

千早「……すごいですね。小鳥さんと美希とのVTRは以前見させてもらいましたが……」

千早「まさに『人を怒らせるために生まれてきた』と言ってしまいたくなるような怒らせ方でした」

あずさ「……小鳥さん、割り切った、って言ってましたけど……」

あずさ「今でもちょっと美希ちゃんには当たりが厳しいですよ」

律子「……まぁ~。あれ以外にもテクニックはあったわけだからねぇ」

律子「アレを選んで怒らせた、美希の責任よ」

律子「で、そんなわけで今回は……『天才』VS『MC』の頂上決戦ってところかしらね」

教授「わたくしとしては……非常に楽しみな一戦ですねぇ」

千早(……かなり見てみたいわね。普段から美希に厳しい律子と、タガの外れた美希との対戦……)




118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:45:05.59 ID:5KpzSfGX0

教授「ルールは、さきほどの真さんたちのものとほとんど一緒です」

教授「一つ違うのは、今回は律子さん、美希さん、どちらも怒らせるテクニックを使えるということ」

教授「そして『怒らせられたら勝ち』であり、同時に『怒らされたら負け』であるということ」

律子「はい、わかっています」

教授「美希さんにも同様の説明を行いました」

教授「スイッチも支給していますが……おそらくは判定での勝負になるでしょう」

千早(……どっちとも、怒ってる時にスイッチ何て気づかないでしょうしね……)

教授「では、頑張ってください」

律子「はい。……美希がこっちの部屋に来る、んでいいんですよね?」

教授「はい」

律子「わかりました。精一杯やります」

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:50:33.63 ID:5KpzSfGX0

あずさ「い、いったいどうなるんでしょう……」

千早「どちらが勝つのか……注目の一戦ですね」

―――


ガチャ

美希「おっはよー律子!」

律子「さんを付けなさい、さんを」

美希「律子ってばイチイチそんなことでやかましいの。そんなこと気にしてたら、シワ増えるよ?」

律子「増えません。まったく……」

美希「ねぇねぇ律子!」

律子「どうしたの?」

美希「…………晩ごはん食べようよ!」

律子「はぁ?晩ごはん?……まぁそろそろ良い時間だけど……何食べるのよ?」

美希「へっへ~ん」

バサッ

美希「ちゃあんと、晩ごはん買ってきたの!」

122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:00:48.55 ID:5KpzSfGX0

律子「……二人分なんでしょうねぇ?」

美希「あったりまえなの!」

美希「律子の分が無いとか……そんなしょーもないことで、律子が怒るとは思ってないもん!」

律子「……ハァ、そうですか。……で、晩ごはんって何よ?」

美希「えっとねー……」ガサガサ

美希「美希のがオニギリで、律子のはエビフライ弁当なの!」


ドジャジャーン!


律子「…………」

美希「あれ、怒った?」

律子「いや……別に」

美希「……ほんとに?」ジッ

律子「いいから。さっさと食べましょう」

美希「……じゃ、いただきますなのー!」

律子「はい、いただきます」

123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:05:35.85 ID:5KpzSfGX0

律子「……」モグモグ

美希「……」モグモグ

律子「……けっこー美味しいわね」

美希「へへっ、そう?……あ、ねぇねぇ律子」

律子「なに?」モグモグ

美希「エビフライにソースかかってないよ。美希がかけてあげる!」

律子「はぁ?何それ。自分でかけられるわよ」

美希「いいからいいからぁ~!美希がかけたいんだってばー!」

律子「あーもう……」

美希「かけるの~!美希がかけるの~!」

律子「わかったわかったから。……好きにかけなさいよ、ほれ」

スッ

美希「うん、ありがとう律子!……よぉ~っし!」

ブピュッ

ビシャ

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:11:34.63 ID:5KpzSfGX0

律子「…………」

美希「あ、ごめ~ん律子。ちょっと手元が狂ったの」

律子「…………」

美希「スーツに付いちゃったけど……律子だったら、そのソース付いたスーツも、バッチリ似合ってるの!」

律子「……そうですか。…………それはどうも」


・怒らせるテクニック
55:ダイナミック
ソースやケチャップを有り得ない角度で発射させる。
周りに及ぼす被害は甚大であり、家族の食卓でやると100%の確率で怒られる。


律子「……」モグモグ

美希「……」ムーッ

美希(さすが律子……いつもならすっごく怒られることばっかりしてるのに……全然手ごたえが無いの)

律子「美希、あんたのオニギリちょっと食べさせてくれない?」

美希「え?」

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:17:36.04 ID:5KpzSfGX0

律子「こっちのエビフライもあげるわよ。ちょっとだけちょうだい?」

美希「え~?オニギリは美希のだけなのー!」

律子「……人のスーツ汚しといて、その言い草はどうかしら?」キラリ

美希「む……」

美希(……ここであげなくても……たぶん律子は怒らない……っていうか普通なら、あげなくて当たり前なの)

美希(普通にやってちゃ、律子は怒らせられないの……)

美希(…………)

美希「じゃあ、エビフライと交換するなら……いいよ?」

律子「はいはい、どうもね」

スッ

美希「……ありがとうなの」

律子「……」モグモグ

美希「……」モグモグ

律子「うわー、このオニギリまずいわぁ」

129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:25:53.93 ID:5KpzSfGX0

美希「!?」

律子「これ……モグモグ……まずいわねぇ」

美希「そ、そんなことないの!すっごく美味しかったよ!?」

律子「えぇ~?……いや、これ……モグモグ……まずいわよぉ」

律子「ていうか美希……他のもまずいんじゃないの?」

美希「!?そん、そんなことあるわけないの!」

律子「だってわかんないじゃない」

美希「じゃあ食べてみればいいの!食べたら美味しさがわかるはずなの!」

スッ

律子「そう?じゃあ……モグモグ……うわ、このオニギリもまずいわねぇ」

美希「う……うそなの!そんなことあるわけないの!でたらめなの!」

律子「いやぁ……このオニギリもまずいわねぇ……なにこれ、全部まずいじゃない」

美希「ていうか律子、そろそろ返してなの」

律子「……モグモグ……まっず……」



130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:31:34.46 ID:5KpzSfGX0

美希「律子ぉ……」

律子「……モグモグ……モグモグ…………」

美希「……」ワナワナ

律子「あぁーあ……まずかったわ……」


ドガッ


律子「いだっ!」

律子「……何すんのよ」

美希「……」プルプル

美希「何すんのはこっちのセリフなの!」

美希「美希が美味しく食べてたおにぎり『まずいまずい』言って……」

美希「しかも全部食べちゃうなんて酷すぎるの!」

美希「律子のバカ!律子の鬼!青鬼!赤鬼!」

美希「もう知らないの!」

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:36:42.83 ID:5KpzSfGX0

カンカンカーン

星井美希……強制失格


美希「え?」

律子「はぁ~あ……どうせ『ダイナミック』目当てのお弁当だったんだろうけど……」

律子「自分の小道具で留め刺されてちゃ意味ないわよ」

美希「…………」

律子「もうちょっと持久戦になると思ったけど……」

律子「あんたの自爆のおかげで早くおわったわ。オニギリ、美味しかったわよ」

美希「…………」

美希「んも~~~~~!!!」

美希「律子のバカ!バカバカバカバ!」ポカポカポカポカ

律子「痛い痛い痛い痛い!ちょ、……勝負はもう終わりでしょ!?」

美希「そんなの知らない!勝負は終わってもオニギリは帰ってこないの!」ポカポカポカポカ

美希「全部食べられちゃうし、オニギリもブジョクされたの!しかも負けたの!悔しすぎるのぉ!」

135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:42:54.05 ID:5KpzSfGX0

律子「あーあーあーあー、もうもう」

律子「そんなにオニギリが食べたきゃあ、いくらでも買ってあげるわよ」

美希「」ピタッ

美希「ホントっ!?」

律子「おぉ!?」

美希「ミキねー、さっきの食べられちゃったのはまた全部欲しいな!」

美希「あと欲しいのはねー……」

律子「ハァ……」

律子(一応あの時の判定では怒ってる、ってことだったけど……)

律子(まだまだ『勝ち負けつかず』って所かしらね)

律子(しっかしまぁ……『否定奪取』はやっぱり強いわ、ほんと)


・怒らせるテクニック
56:否定奪取
相手のものを否定しながら、最終的に自分のものにする。食べ物が効果的。
「まずい」を連呼しながら目の前で最後まで食べきってしまえば、相手の怒気は最高潮に。

137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:48:44.32 ID:5KpzSfGX0

律子「美希、オニギリ買ってあげるけど、とりあえず……」

律子「さっきまでのはあくまで『勝負』よ?……今後、日常に持ち込まない」

律子「……いいわね?」

美希「うん、わかってるよー律子!」

美希「……さん」

律子「はい、よろしい」

美希「……えっへへー!」

―――

教授「というわけで、今回の放送、いかがだったでしょうか」

千早「最後はあっけなく決まりましたが……それもまた律子の腕なんでしょうね」

あずさ「美希ちゃんもすぐ元気になってよかったわ~」

教授「はいぃ。怒らせから始まる師弟愛がある……今後に期待しましょう」

千早(まぁ、でも二人とも……確かに、怒ったり怒られてばっかりの割には、仲が良いわよね)

138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:55:36.49 ID:5KpzSfGX0

教授「さて、来週からは通常通り、律子さんを司会に進めていきたいと思います」

教授「千早さん。今回は代理として来ていただき、ありがとうございましたぁ」

千早「いえいえ。こちらとしても、興味深い映像がたくさん見れたので、良い体験ができました」

千早「あと、あずささんもお疲れ様でした。今回のゲストとしてだけでなく、ドッキリの方も」

あずさ「あ、あらあら~……そう、ですねぇ」

あずさ「ほんと~に、すっごく悲しくなっちゃうんで……」

あずさ「あんまりああいうことは、しない方がいいですよ?」

教授「……」

千早「……」

あずさ「きょ、教授はともかく……千早ちゃんは『そうですね』って言ってちょうだい~?」

千早「す、すいませんでした……ふふふ……空気に呑まれて……」

教授「んふふ……そういうわけで、本日はこの辺でお別れいたしましょう」

教授「それではみなさん。……また逢う日まで」ニッコリ



おわり

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