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一方「いィ土下座だった」その2
715 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/10(金) 21:46:20.19 ID:.dvWuIo0 [1/6]
皆さん乙です
>>356からの土下座話(一方「いィ土下座だった」)を書いたものです
続きが書けたので、4レス頂いて投下します
引き続き、笑う犬の関東土下座組組長が出てくるので、クロス物が苦手な方は注意してください
今回は一方さん・番外個体・上条さんのお話です
皆さん乙です
>>356からの土下座話(一方「いィ土下座だった」)を書いたものです
続きが書けたので、4レス頂いて投下します
引き続き、笑う犬の関東土下座組組長が出てくるので、クロス物が苦手な方は注意してください
今回は一方さん・番外個体・上条さんのお話です
716 名前:一方「いィ土下座だった」その2 1/4[] 投稿日:2010/12/10(金) 21:47:25.23 ID:.dvWuIo0 [2/6]
ロシアの広大な雪原の中で、一人の少女が死に瀕していた。
彼女の名は番外個体。第三次製造計画で生みだされた御坂御琴のクローンである。
致命傷を負った彼女に、一方通行は治療を施していた。
ベクトル操作を応用した治療術。応急処置にしか過ぎないが、彼は全能をかけて番外個体を救おうと試みた。
しかし、それはあまりに困難であった。
治療を始めてからしばらく後、未だ容体は安定しない。
番外個体は辛うじて命をつないでいるが、それも一方通行の治療があってのことだ。
治療が中断した時、彼女は死ぬだろう。一方通行のバッテリーに残された時間は少ない。
結局は助けられない。そんな懸念が生まれた。
一方通行の心が、絶望に染まった。
身体が震え、瞳に狂気が宿る。ややあって、彼は正気を失った。
背中から、黒翼が現われた。
717 名前:一方「いィ土下座だった」その2 2/4[] 投稿日:2010/12/10(金) 21:47:56.38 ID:.dvWuIo0 [3/6]
「そこまでぇ!!」
その一喝に、彼はゆっくりと視線を上げた。
視線の先には初老の男がいた。白い着物を着、額には忘れられない大きなあざがあった。
「死力を尽くし、しかし絶望に心を砕かれ、大切なものを踏みにじられたその痛み、
果たしてどれほどのものかぁ……っ!!」
「悪となり、幾度も死線を超えてきた。傷つき倒れ、それでもまだ起き上がってきた。
それは全て大切な人を守るため。その人たちの世界を守るためっ!!」
「しかしその信念がぁ、思いがぁ打ち砕かれたらぁ……我を忘れてしまうのも御もっともなことぉ……っ!!」
「しかぁし、そちら様の行為は如何な物かぁ」
ここまでを訴えると、男は一方通行の目の前へと近づき、膝を正した。
「そちら様は、このままでは大切な命を失ってしまう。
このままではぁ、自らの正義を裏切ってしまうというものぉ!!」
「よってここは、土下座一筋四十と六年っ!! この関東土下座組組長の顔に免じてぇ!!」
「どうかぁ!! 今日のところはぁ!!」
「お気をお静めくださいませぇぇぇぇっ!!!!」
深く、額を雪にこすり付けるように、彼は土下座した。
718 名前:一方「いィ土下座だった」その2 3/4[] 投稿日:2010/12/10(金) 21:48:36.85 ID:.dvWuIo0 [4/6]
「組長」と、一方通行は言った。すでに黒翼は消え去り、瞳には理性の輝きが蘇っていた。
「いィ土下座だった」
男はゆっくりと面を上げ、笑った。満足げな柔らかい微笑だった。
一方通行は番外個体に視線を戻した。彼女の口から、弱々しい息が漏れていた。
「絶対に死なせやしねェ」
一方通行は再び演算に意識を集中させる。かつてないほどに意識が研ぎ澄まされてゆく。彼の中で、
あらゆる不可能を可能にできる確信が生まれた。
みるみる内に番外個体の傷は塞がっていく。やがて出血は収まり、呼吸も安定した。
危機は脱した。後はしかるべき施設で治療を受けさせればいい。
不意に、番外個体の唇が動いた。何かをつぶやいている。一方通行は顔を近づけて、彼女の言葉を拾った。
「……ごめん……なさい。……ありがとう……」
番外個体は、未だ意識を失っている。これは単なる寝言で、意味は無いのかも知れない。
それでも一方通行は、胸に暖かいものがこみ上げてくるのを感じた。
一方通行が顔を上げると、男の姿は見当たらなかった。幻のように消えてしまったが、雪原には
土下座の後がくっきりと残っていた。
719 名前:一方「いィ土下座だった」その2 4/4[] 投稿日:2010/12/10(金) 21:49:46.71 ID:.dvWuIo0 [5/6]
一方(だが、これからどゥする? バッテリーも残り少ねェ上、医療設備の整った場所を探すとなると……)
??「おぉーい、そこの人!」
一方「!?」
??「大丈夫ですか!? 今助けます――ってお前は!?」
一方「……三下ァ」
上条「一方通行!? 何でここに!? ってかその傷……その子は、一体?」
一方「……」
一方「……ヒーロー……頼みがある」
上条「っ!!」(あの一方通行が、頭を下げた!?)
一方「こいつらには、今すぐ治療が必要だ。特に打ち止めには、もう猶予がねェ」
一方「俺一人じゃこいつらを助けらンねェ。……力を貸してくれ」
上条「……頭を上げてくれ、一方通行」
上条「協力するよ。そこまでされて無視なんでできねぇよ。第一、そのつもりで来たんだぜ」
上条「一緒に二人を助けよう。それにお前もだ、傷だらけじゃないか」
一方「……悪ィ」
上条「行くぞ一方通行! もう一分張り、頑張れよ!」
720 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/10(金) 21:51:04.18 ID:.dvWuIo0 [6/6]
以上です
ちなみに、この番外個体は憎悪フィルターが外れて素直になりました
組長さんの土下座が起こした奇跡です
ロシアの広大な雪原の中で、一人の少女が死に瀕していた。
彼女の名は番外個体。第三次製造計画で生みだされた御坂御琴のクローンである。
致命傷を負った彼女に、一方通行は治療を施していた。
ベクトル操作を応用した治療術。応急処置にしか過ぎないが、彼は全能をかけて番外個体を救おうと試みた。
しかし、それはあまりに困難であった。
治療を始めてからしばらく後、未だ容体は安定しない。
番外個体は辛うじて命をつないでいるが、それも一方通行の治療があってのことだ。
治療が中断した時、彼女は死ぬだろう。一方通行のバッテリーに残された時間は少ない。
結局は助けられない。そんな懸念が生まれた。
一方通行の心が、絶望に染まった。
身体が震え、瞳に狂気が宿る。ややあって、彼は正気を失った。
背中から、黒翼が現われた。
717 名前:一方「いィ土下座だった」その2 2/4[] 投稿日:2010/12/10(金) 21:47:56.38 ID:.dvWuIo0 [3/6]
「そこまでぇ!!」
その一喝に、彼はゆっくりと視線を上げた。
視線の先には初老の男がいた。白い着物を着、額には忘れられない大きなあざがあった。
「死力を尽くし、しかし絶望に心を砕かれ、大切なものを踏みにじられたその痛み、
果たしてどれほどのものかぁ……っ!!」
「悪となり、幾度も死線を超えてきた。傷つき倒れ、それでもまだ起き上がってきた。
それは全て大切な人を守るため。その人たちの世界を守るためっ!!」
「しかしその信念がぁ、思いがぁ打ち砕かれたらぁ……我を忘れてしまうのも御もっともなことぉ……っ!!」
「しかぁし、そちら様の行為は如何な物かぁ」
ここまでを訴えると、男は一方通行の目の前へと近づき、膝を正した。
「そちら様は、このままでは大切な命を失ってしまう。
このままではぁ、自らの正義を裏切ってしまうというものぉ!!」
「よってここは、土下座一筋四十と六年っ!! この関東土下座組組長の顔に免じてぇ!!」
「どうかぁ!! 今日のところはぁ!!」
「お気をお静めくださいませぇぇぇぇっ!!!!」
深く、額を雪にこすり付けるように、彼は土下座した。
718 名前:一方「いィ土下座だった」その2 3/4[] 投稿日:2010/12/10(金) 21:48:36.85 ID:.dvWuIo0 [4/6]
「組長」と、一方通行は言った。すでに黒翼は消え去り、瞳には理性の輝きが蘇っていた。
「いィ土下座だった」
男はゆっくりと面を上げ、笑った。満足げな柔らかい微笑だった。
一方通行は番外個体に視線を戻した。彼女の口から、弱々しい息が漏れていた。
「絶対に死なせやしねェ」
一方通行は再び演算に意識を集中させる。かつてないほどに意識が研ぎ澄まされてゆく。彼の中で、
あらゆる不可能を可能にできる確信が生まれた。
みるみる内に番外個体の傷は塞がっていく。やがて出血は収まり、呼吸も安定した。
危機は脱した。後はしかるべき施設で治療を受けさせればいい。
不意に、番外個体の唇が動いた。何かをつぶやいている。一方通行は顔を近づけて、彼女の言葉を拾った。
「……ごめん……なさい。……ありがとう……」
番外個体は、未だ意識を失っている。これは単なる寝言で、意味は無いのかも知れない。
それでも一方通行は、胸に暖かいものがこみ上げてくるのを感じた。
一方通行が顔を上げると、男の姿は見当たらなかった。幻のように消えてしまったが、雪原には
土下座の後がくっきりと残っていた。
719 名前:一方「いィ土下座だった」その2 4/4[] 投稿日:2010/12/10(金) 21:49:46.71 ID:.dvWuIo0 [5/6]
一方(だが、これからどゥする? バッテリーも残り少ねェ上、医療設備の整った場所を探すとなると……)
??「おぉーい、そこの人!」
一方「!?」
??「大丈夫ですか!? 今助けます――ってお前は!?」
一方「……三下ァ」
上条「一方通行!? 何でここに!? ってかその傷……その子は、一体?」
一方「……」
一方「……ヒーロー……頼みがある」
上条「っ!!」(あの一方通行が、頭を下げた!?)
一方「こいつらには、今すぐ治療が必要だ。特に打ち止めには、もう猶予がねェ」
一方「俺一人じゃこいつらを助けらンねェ。……力を貸してくれ」
上条「……頭を上げてくれ、一方通行」
上条「協力するよ。そこまでされて無視なんでできねぇよ。第一、そのつもりで来たんだぜ」
上条「一緒に二人を助けよう。それにお前もだ、傷だらけじゃないか」
一方「……悪ィ」
上条「行くぞ一方通行! もう一分張り、頑張れよ!」
720 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/10(金) 21:51:04.18 ID:.dvWuIo0 [6/6]
以上です
ちなみに、この番外個体は憎悪フィルターが外れて素直になりました
組長さんの土下座が起こした奇跡です
Tag : とあるSS総合スレ
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