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美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」-3

美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」

美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」-2

453 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:07:34.07 ID:kCPl94g0 [2/16]
―――――施設内のとある林の奥



「な……なんで……?」


「まだ分からないのですか? お姉様」




――御坂美琴は能力の使えない今の状況を理解できなかった。
体内で電気生成は行えるのに、体外への放出がどういう訳か不能となっていた。
御坂妹はしばらくそんな彼女の様子を見た後、種明かしを始めた。




御坂妹「自分の体を良くご覧になってみては? とミサカは促します」

美琴「え?…………!」




自分の体に纏わりついている謎の液体を見る………やがて美琴は驚きの表情を浮かべた。




美琴「アンタ……これって……」

御坂妹「やっと気づいたのですか……まさかここまで上手くいくとは正直思っていませんでした」




美琴は、能力が使えない原因が自身に付着している液体によるものだと気づいた。
辺りの木と自分の体を交互に見渡す……。




美琴「――この液………まさか!?」

御坂妹「正解です。お姉様にぶっかけた液体の正体は――――」

454 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:09:48.97 ID:kCPl94g0 [3/16]
「―――周りを覆っている木……『ゴムノキ』の樹液です」




美琴「!!……………」


御坂妹「……どうやら形勢逆転のようですね。とミサカは表情を緩めます」

美琴「アンタ……最初からコレ狙ってた訳…?」

御坂妹「いかにも。とミサカは肯定します。まともにやり合ったのでは、ミサカの勝率は二万分の一しかありませんから」

美琴「………悪知恵働かせやがってぇ…」

御坂妹「お姉様が思った以上に単純で助かりました。ここに入った時点で気づくかも知れなかったので、ある意味賭けの
ようなものでしたが」


美琴「……!!」




――先ほど感じた違和感の正体と、電波をキャッチできなかった原因に気づくが……もう遅かった。




御坂妹「さて、これでお姉様はレベル5からただの女子中学生になった訳ですが、ご気分はいかがですか?」

美琴「―――ちっ!」




――磁力操作をしようとするが……やはり無駄だった。

455 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:13:32.47 ID:kCPl94g0 [4/16]
御坂妹「無駄ですよ? ミサカ達の周りの木には全て絶縁性が含まれます。ここでは磁力も働きません。さらにゴム成分豊富な樹液を
浴びてしまったお姉様は一切能力が使えません」

美琴「………」ギリギリ…




――唇を噛む美琴……




美琴「ふん……能力を封じたくらいで私に勝ったつもりなの?」

御坂妹「はい。ハッキリ言わせてもらいますが、能力さえ封じれば、お姉様はミサカの敵ではありません。とミサカはここに革命を宣言します」

美琴「―――な!? なんだとぉぉ……」ピキッ

御坂妹「お忘れですか? ミサカは元々『絶対能力進化(シフトプラン)』用に造られた軍用クローンですよ? 能力の強さでミサカは
お姉様に遠く及びませんが、それ以外の訓練は曲がりなりにも受けています。しょせん、運動神経が良いレベルのお姉様とでは――――ッ!?」

美琴「―――黙れぇぇえ!!!」ダッ




喋り終える前に美琴は勢い良く飛び掛かっていた。




美琴「――ウラァッッ!!」ブン


御坂妹「――フンッ!」ヒョイ




御坂妹はまるでケンカ慣れしたスキルアウトのような身のこなしで容易く美琴の放った拳を避ける。
と、同時にがら空きの腹へ向けて膝を突き刺した。



――ドスッ!

457 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:16:12.52 ID:kCPl94g0 [5/16]
美琴「――グホッッッ………!?」




重い衝撃が腹部を襲った…。
一瞬、美琴の呼吸が止まったような声が漏れる。それから数秒もしない内に、美琴は地面にうずくまった。




美琴「――ゴホ……ゲフッ……ぁ…」




膝蹴りをくらった腹を押さえて咽る美琴を…平然と見下ろす御坂妹。




御坂妹「せっかちなお姉様ですね。とミサカは呆れます」

美琴「…………ぐぅぅ…」




腹を押さえたまま顔を上げて妹を睨む。




御坂妹「分かりましたか? 今のお姉様ではミサカに勝てません」

美琴「ふふ……言ってくれるわ………」




立ち上がるが、膝が笑っているのは誤魔化せていない。




美琴「もうアッタマきた。ボッコボコにしてやる」

御坂妹「ボコボコにされるのはお姉様です。とミサカはストリートファイトの如くステップを踏みます」トン トン

458 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:19:44.67 ID:kCPl94g0 [6/16]
美琴「…………」ボキ ボキ



美琴も指を鳴らしながら妹を見据える。



御坂妹「どうぞ、ソチラから掛かって来て構いませんよ? とミサカは余裕を見せつけます」

美琴「ナメんな!!」バッ




振り上げた拳は再び空を切る。




美琴「――はッッ!?」

御坂妹「………」




後ろにチョン、と下がって避けた御坂妹は冷静に告げる。




御坂妹「まるでなっていませんね。お姉様はケンカのやり方も分からないのでしょうか?」

美琴「ぐ……調子に乗んなぁッ!!」




叫びながら掴みかかるが……逆に柔道のような投げ技であっさりと投げ飛ばされて地面を転がされた。




美琴「――うっ……!」




背中を強打して痛みにもがくが、堪えてすぐに立ち上がる。

459 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:23:08.10 ID:kCPl94g0 [7/16]
美琴「………アンタ、なんでそんな慣れてんのよ……?」

御坂妹「護身術くらいはお姉様も嗜んでいるハズですが? とミサカは問い返します」

美琴「…………」




勿論、伊達に美琴も文武両道のお嬢様学校に通っている訳ではないのだが……それでもどういう訳か明らかに御坂妹の方が護身術に優れていた。

……そしてそれは、当然美琴のプライドをさらに傷つけた。




御坂妹「先ほども言いましたが、ミサカは重要な実験のために造られたのです。それなりに格闘術はこなせます。甘く見て
かかると、今のように痛い目を見ますよ? とミサカは忠告します」


美琴「このぉッッ―――!!!」




―――再度仕掛けるも、攻撃は当たらない。




美琴(なんで……なんで当たんないのよぉぉ!!)ブン ブン




涼しい顔で拳や蹴りを防がれる事に苛立ちを覚える美琴。




美琴「――あっ!」

460 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:27:45.85 ID:kCPl94g0 [8/16]
拳を放った際に足を引っ掛けられてまたしても地面に崩れる。
姉妹の純粋な肉弾戦は、意外にも御坂妹の一方的な流れだった。



美琴「………クソォォ…」




倒れたまま悔しそうに歯を食いしばる美琴に、御坂妹が口を開く。




御坂妹「何度やっても同じです。とミサカは降伏を勧めます」

美琴「……ざ……っけんじゃないわよッッ!!!」




勢いに任せて立ち上がるが、さっきよりも膝が笑っていた。




御坂妹「―――超能力者、学園都市の第三位」

美琴「――あぁ?」




突然、意味不明に語りだした御坂妹に怪訝な顔をする。



御坂妹「自分の上に立つ者はたったの二人だけ……その強大な力は一部を除いて殆ど敵なし…」

美琴「何が……言いたいの?」


御坂妹「そんなお姉様が、ケンカのやり方など知ってるハズがなかったんですね。とミサカは納得します」

美琴「吠えてんじゃないわよぉ!!! ○○がァああ―――!!!」ダッ




頭に血を昇らせて殴りかかる。………が、

461 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:30:46.13 ID:kCPl94g0 [9/16]
御坂妹「―――シッ!」

美琴「―――が……ッ!!」




縞パンを惜しげもなく曝した上段回し蹴りの前にあえなく沈んだ。




美琴「―――………」


御坂妹「……もう終わりですか? とミサカは根性の無い姉を呆れた視線で見下ろします」


美琴「……………」




美琴は答えない。が、意識はあるようだ。




御坂妹「裁きの時が来ました」




御坂妹は、そう言いながら足で美琴を仰向けにさせる。




御坂妹「―――?」




美琴の向けられた顔を見た途端、御坂妹は驚いたような表情になった。 

462 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:32:29.85 ID:kCPl94g0 [10/16]
美琴「………フフッ…フフフフフ……」




――笑っている? 




御坂妹「……頭のネジでも飛びましたか? とミサカは心配します」


美琴「…………フフ」




―――不気味さに退いた御坂妹の隙を見て後ろに転がった美琴は、そのまま反動を利用して立ち上がった。




美琴「―――ここからが『お仕置き』の時間よ♪」




不気味な笑みを浮かべたまま、確かに美琴はそう言った……。




―――――――




一方通行&佐天……垣根&初春―――――



ついに、鉢合わせとなってしまったこの二組………四人は各々バラバラの思考を抱いて固まっていた。

463 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:35:31.11 ID:kCPl94g0 [11/16]
一方通行(この花乗っけた女……どっかで見たな……イヤ、それより横の野郎………どォ見ても……アレ…だよなァ?――)


佐天(しまったぁぁぁ……初春たちの事すっかり忘れてたぁぁ!! 佐天涙子一生の不覚! どうする? どうしたら?――)


垣根(一・方・通・行ぁぁ!!? なんで!? どうして!? テルミーホワイ!? 誰か教えてくれ!! おォ神よ!!一体
これは何の試練ですかぁぁ!!?――)


初春(あれ?……この白い人……どこかで………っていうか、横で隠れてるけど隠れきれてないこの怪しい女の人は………
もしかしなくても――)



初春「―――佐天さんですかっ!?」


一方・垣根「――は?」


佐天「………ちっ、バレちゃあしょうがない!」




――開き直った佐天は帽子とメガネを外してウィンクした。直後、先手必勝とばかりに言葉を続ける。




佐天「よっ、初春もデート中? いや~偶然だねぇ。ウチラもなんだ♪ ね? 『あ~くん』♪」




――スッ、と一方通行の腕に自分の腕を絡める佐天。その突然の行動に垣根も初春も……そして何よりも絡められた本人が一番驚きを見せた。




一方通行「…………はァ!!?」

464 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:38:44.19 ID:kCPl94g0 [12/16]
完全に虚を突かれた上に杖つきの最強能力者は、その腕から逃れる事ができなかった。




一方通行「オマ…ッ! どォいう―――」




一方通行が叫び終える前に耳打ちをする。




佐天(話合わせてください! 事情は後で説明しますから!)ボソッ


一方通行「――?」




それだけ言って再び腕に絡みつく。年齢には似つかわしくない胸が一方通行の腕に当てられる。
普通の男なら悩殺も免れない状況だが、そこは流石の一方通行である。誘惑には流されない。




一方通行(さらに面倒臭ェ事になってきやがった……何がどォしてこォなってそォなるンだよクソったれが…)


初春(佐天さんに彼氏………聞いてないですよ…)

垣根(一方通行に彼女………あれ? じゃあ御坂の妹は? ってか、『あ~くん』って……プッ…)


佐天「けどホント偶然! ビックリしちゃったよぉ! あ、どうも。私佐天涙子って言います。初春の友達っす♪」

垣根「はぁ……どぉも」

初春「さ、佐天さん!? デートなんて聞いてないですよ!? っていうか今日暇だって言ってませんでした!?」

佐天「いやぁ~……ゴメンね。言い出し辛くってさ」

465 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/19(月) 20:40:41.59 ID:kCPl94g0 [13/16]
初春「ひ、ひどいですよ! 自分は隠してたなんてぇぇ!」

佐天「あっはっは、ゴメンゴメン。あ、コッチはあ~くん。ホラ、挨拶してよあ~くん」クイ クイ

一方通行「!!!?」

垣根(あ~くん……あ~くん………くくく、だ、駄目だ俺! 笑うな! 我慢、我慢だぁぁぁ……)プルプル…


一方通行(………笑い堪えてるクソ馬鹿不審者は後でブチ殺すから良いとして…………この状況をどォする? っつか、
なンで俺がこンなくだらねェ真似しなきゃいけねェンだよォ!?)

佐天(ホラ、早くしてください!)グイ グイ

一方通行(チ……チックショォォ!!)




引きつった顔をした一方通行は……




一方通行「あ……『あァくン』だァ……よろしくゥ…」




今にも消えてしまいそうな声で垣根と初春に挨拶をした。




初春「あ……は、はい。佐天さんの友達の初春飾利です。よ、よろしくお願いします」(なんで顔赤いんだろこの人…?)

垣根「おう。よ、よろしくな……プフッ!」(お、面白ぇ! 最高すぎる! ちくしょう、カメラ持ってくんだったぜ!)


一方通行(殺す! 家に帰ったらこのクソメルヘン真っ先にぶっ殺す………ッ!)




帰宅して鉢合わせた時が人生の終わりだという事も忘れている垣根は、今も必死に笑いを堪えていた。

486 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 19:53:47.77 ID:HHjBS9g0 [2/15]
「―――ここからが『お仕置き』の時間よ♪」




―――立ち上がった美琴は確かにそう言った。御坂妹は顔に「?」マークを浮かべる。




御坂妹「お姉様……………?」




美琴の真意が分からない。分からないが、どうやら何かあるらしい……。




美琴「アンタ……やっぱ詰めが甘いわね」ニヤァ

御坂妹「どういう意味ですか? とミサカはムッと顔をしかめます」

美琴「自分が良く分かってんじゃないの?」

御坂妹「は?」




顔の「?」マークが更に濃くなる……。




美琴「私が本気出せば、こんな遮蔽物なんて簡単に吹き飛ばせんのよ?」

御坂妹「それは承知しています。ですが、ミサカ相手に……お姉様は本気で能力を行使できますか?」

美琴「できないわ」




――美琴はあっさり即答した。億の領域に達する美琴の電圧はこんな樹液程度じゃ到底防げないことを御坂妹は無論分かっていた。
だが、それほどの電圧を美琴が放つとは思えない。美琴自身もそのコントロールはできる。もっとも、上条のように『全く効かない』
と分かっていれば話は別だが………。

487 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 19:59:42.07 ID:HHjBS9g0 [3/15]
御坂妹「この距離でお姉様が樹液をはね飛ばすほどの高電圧を起こせば、ミサカはただでは済まないでしょうね……遠慮は入りませんよ?
どうぞやれるものならやってみて下さい」




――御坂妹は、元々美琴が自分を殺したり大怪我をするようなことは絶対にしないと計算していた……。
だから、今も『この距離』をキープしている。
美琴から仕掛けてばかりだったので目立たなかったが、御坂妹は林で美琴の前に姿を現した時から常に一定の距離を保っていた。
美琴が絶縁体を跳ね除けるほどの電圧を放電すれば、ただでは済まない距離を……。




美琴「『それができない』範囲にいながら良く言うわ……にしても、アンタの計算高さにはホント呆れた…。姉として将来が心配ね」




美琴も、おそらくそれに気づいていたのだろう……。しかし、自ら距離をとるなど姉としてのプライドが許さなかったのだ。
だが……御坂妹がこれほど喧嘩に強いとまでは正直思っていなかった…。




御坂妹「ミサカを卑怯だと思いますか?……なんとでも言って貰って構いません。ミサカにはこれしかお姉様に報いる手段が
無かったのです……ミサカも、本当はこのような戦法はとりたくありませんでした。しかし、ミサカにも意地があります。
たとえお姉様が相手でも、譲れないものがあるのです」

美琴「一方通行の事……?」

御坂妹「………お姉様になんか……渡しません」




御坂妹の瞳の中には……ハッキリと自分の意志が見えた。




美琴「……………」


御坂妹「おや? 今度は言い逃れようとしないのですか?」

美琴「いくら言い訳しても、結局一緒じゃない……」

488 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:03:02.49 ID:HHjBS9g0 [4/15]
御坂妹「………ずいぶん物分かりが良くなりましたね。とミサカは意外そうに見つめます」

美琴「……確かにアイツ……一方通行に甘えたのは事実よ。アンタみたいにハッキリ恋愛感情抱いているのかって言われたら、正直
疑問だけどね……ただ、ケジメだけはしっかりつけるつもりよ。アンタの言う通り、このままフラフラしてたら……アイツ(上条)
にもホントに愛想つかされるし」

御坂妹「……ようやく少しはまともに話せるようになったみたいですね。とミサカは感心します」

美琴「…………いっちいち腹立つ妹ねぇ…」

御坂妹「褒め言葉として受け取っておきます」

美琴「ま、良いわ。じゃ……まずは散々ボコしてくれたお返しをしなきゃね…」

御坂妹「電圧を上げるんですか? しかし、樹液の絶縁範囲を知らないハズのお姉様がミサカに重傷を負わせない程度に上手く放電
できるのかが疑問です」

美琴「悪いけど、できなくもないわ。アンタ私をナメてるでしょ?」

御坂妹「―――!?」

美琴「けど安心して。ここまで来たら、もうアンタを能力で攻撃しようなんて思わないから………お、そろそろ良いかな…」シュー シュー

御坂妹「???」




美琴の体から湯気のような煙が吹き出てきた……。
瞬間、御坂妹は悪寒を感じたが…遅かった。





美琴「フフ…」――ヒュッ

御坂妹「―――ッ!?」

489 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:06:37.57 ID:HHjBS9g0 [5/15]
電気を体に纏いながら一瞬で妹との間を詰める美琴。
樹液から漏れるほどの放電をさせないように距離を縮めていたのが仇となった。




美琴「――ちぇい…さぁっっ!!!」シュッ




―――ドゴッ!




御坂妹「――ぁっ!!」




自販機で鍛えた回し蹴りが御坂妹をガードごと吹き飛ばした。
そして、地面に背中から接触した御坂妹が体を動かす前に―――




美琴「―――ハイ、つっかまーえた♪」

御坂妹「………う…」




――体に飛び乗った。いわゆるマウントポジションである。
御坂妹の両腕を両足で固定する。さらにグッ…と体重をかければ、もう立て直しは期待できそうにない状況の完成である。




美琴「………どーぉ、気分は?」

御坂妹「最悪です……とミサカはふて腐れます」

美琴「さっき言ったでしょ? 詰めが甘いっての」

490 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:12:59.32 ID:HHjBS9g0 [6/15]
御坂妹「……電熱で体に付着した液を蒸発させたのですね…………不覚です。とミサカは悔しさに顔を歪めます」

美琴「体内なら電気つくれるからね。ゆっくり電流体に流して温めたのよ」

御坂妹「外界から電気を起こさなかったのは何故ですか?」

美琴「あれ? アンタそれは計算してなかったの? さすが欠陥品」

御坂妹「うっせーんだよ、いいからさっさと教えろ。とミサカは強気に命令します」

美琴「………教えるも何も、こんな木がいっぱいあるなかで周りから電気起こしたら……火事になりかねないでしょうが」

御坂妹「あ……そっか。とミサカは納得します」

美琴「けど、アンタにここまで噛み付かれるとは正直思ってなかったわ…」

御坂妹「お姉様も知っての通り、恋愛は人をガラリと変えてしまうものです。とミサカは悟ります」

美琴「…………さぁて、じゃあもう良い? とりあえず、さっきのお返しに思いっきり引っ叩かせてもらうわ。グーでやんないから
安心してね」

御坂妹「うぅ……もはやこれまでか? とミサカは覚悟して目を閉じます」

美琴「よっしゃ!! 歯ぁ食いしばれやぁ!!」




――上に振り上げた右腕が……勢い良く御坂妹の顔目がけて下ろされようとしたその時!




「―――お前ら……何やってんだよ?」


「――!!!?」




美琴の背後から聞こえてきた低くて怒りも含まれたような聞き覚えのあり過ぎる声に、姉妹二人の思考は完全に停止した―――。

491 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:16:54.45 ID:HHjBS9g0 [7/15]
―――――――



一方通行&佐天&垣根&初春――――





(あ~くん……ぷくく……駄目だ。打ち止めや黄泉川さん、芳川さんにもこれは是非報告しなければ! 俺ひとりで楽しむには勿体ねぇ!)


「いつまで笑ってンだァ!? このメルヘン野郎!! マスクしててもバレバレなンだけどォ!?」




―――痺れを切らした一方通行は初春の隣りで肩を震わせている垣根に怒鳴った。




垣根「――あっ! バカッ!」




慌てる垣根に柵川中学の女子二人はキョトン、とする。




佐天「メルヘン……?」

初春「え…? もしかして知り合いですか?」




当然の疑問を投げかける二人に垣根は先手を打った。

492 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:19:37.21 ID:HHjBS9g0 [8/15]
垣根「ま、まぁな! よう、こんな所で会うなんて奇遇だなぁ! 元気してたかよ?」

一方通行「……あン?」




理解に遅れた一方通行の側まで一瞬で近寄った垣根は、まるで再会した親友(とも)のようなノリで肩に腕を掛けた。




一方通行「あァ? オマエまでなに訳分かンねェ事してンだコラ? オイ、さっさとこの腕離s」




―――ボグッ!




一方通行「ゲェッッ!!?」




「離せ」と言い終わる前に垣根の拳が一方通行の細く薄い腹にめり込んだ。それによって代わりに出てきた言葉はさながら潰された
カエルの断末魔と言ったところか……。




垣根「なんだよ、相変わらず華奢だなぁオイ。男なんだからちったぁ鍛えろって♪」

一方通行「~~~~~………ッッッ!!!」


初春「仲良いんですねぇ……お友達ですか?」

垣根「そうそう、俺らは無二の大親友♪ ね? あ~くん♪」

一方通行「オマ………な………ご……」

493 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:22:54.91 ID:HHjBS9g0 [9/15]
文句は脳内で溢れるほどに出てくるのだが、声に出せなければ何の意味も成さないのだ。




垣根「ん? 何? トイレ? しょうがねぇなぁ。俺も一緒に行ってやんよ。っつー訳で、お嬢さん二人はここでちょっと待っててな」

一方通行「ふざ………ゴフッ……けン………」




結局それ以上言葉を発する事もなく、一方通行は垣根に肩を組まれたまま連行されてしまった。




初春「………」


佐天「………」




残された女子二人は、ポカンと口を開けたままその様子を眺めるしかなかった……。




―――――――




―――屋内の公衆トイレ………の裏




一方通行「――ンで、何かこの世に言い残すことはあるか?」

垣根「――いや、すまん。ああするしか手が無かったんでな」

494 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:26:11.18 ID:HHjBS9g0 [10/15]
額に青筋を浮かべ、今にも電極のスイッチを入れんばかりの一方通行に垣根はとりあえず詫びた。
悪びれている様子が無い事に、一方通行の怒りは治まらない。





一方通行「俺がいつオマエの無二の親友になったンだァ!? 訳分かンねェ内に勝手に話進めたあげくに不意打ちカマしやがってよォ!?
    一瞬マジで息が止まっただろォがァ!! とりあえず俺にも一発殴らせろォ!!」

垣根「まぁまぁ落ち着けって。ジュース飲む? コーヒー奢るぞ?」

一方通行「ガキと同じ機嫌のとり方してンじゃねェぞォォ!!」

垣根「……そう言うなよ。ルームメイトじゃねえか」

一方通行「今ほど後悔したことはねェかもなァ…」

垣根「うっわ、ヒドイ………いい加減にしないとそろそろ泣くぞ?」

一方通行「泣け! タコ、ボケ、クズ、ゴミ、ブタ、死ね!」

垣根「うぉお……何て言葉の暴力だよ。そういうトコまで一位ってか……うわマジでキレそう……キレ過ぎて背中から翼生えてきそうだぜ……」

一方通行「生やせンだろォ? とっとと生やして宇宙の果てまで飛ンでっちまえ。ンで二度と帰って来ンな」

垣根「まさに未元物質だな……宇宙まで行けるか今度試してみるか…」

一方通行「もォいっそオマエ自身が未元物質になれよ。そして空から地上でも眺めてろ」

垣根「まぁ、そんな事はどうでも良いんだよ。とりあえず、ボディブローについては謝るよ。加減したつもりだったんだが、それでも
  お前の貧弱な体には強すぎたみたいだ」

一方通行「やっぱオマエ死にてェンだろ? なァ? そォだよなァ? 最初から言やァ苦しンで死なせてやンだからもォ正直に言っちまえよ」

垣根「ハイハイ、うっせうっせ。ちっとも話進まねえからもう黙ってくれる?」

一方通行(………帰ったら速攻充電しよォ……コイツを殺すためだけに)

495 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:28:29.83 ID:HHjBS9g0 [11/15]
垣根「んで、あの娘なによ?」

一方通行「あン?」

垣根「とぼけんなよ~♪ テメェにあんな彼女がいたなんて聞いてねえぞ? しかもかざりんのダチだなんてビックリだぜオイ!」

一方通行「はァ!? オマエまで信じてンじゃねェよ! …ってェか、かざりンって何だよ?」

垣根「ん? かざりんはかざりんだろ。………何? ってこたぁまだ付き合ってねえのか?」

一方通行「だからそうじゃねェ。あのアマが勝手にほざいただけだ。俺はアイツとは今日初めて会ったンだっつの」

垣根「え? そうなのか………けど何で?」

一方通行「ンなの俺が知るかよ。どォせなンか訳アリなンだろォ……ったくおかげで良い迷惑だ」

垣根「ふーん……まぁ、良いけど」

一方通行「っつかよォ………」

垣根「ん? 何だよ?」

一方通行「なンでオマエ、そンな不審者丸出しな格好してンだ?」

垣根「よくぞ聞いた! 実はお前に頼みがあんだよ!」

一方通行「……頼みだァ?」




―――垣根は初春との過去の因縁や、今ここにいるまでの経緯を一方通行にサクッと説明した。




一方通行「……面倒臭ェ」




事情を理解した一方通行の第一声がそれだった……。

496 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:30:30.17 ID:HHjBS9g0 [12/15]

垣根「おま、一蹴かよ!」

一方通行「っつかさァ、オマエ馬鹿じゃねェのか? そォやって先延ばしにしちまったら余計名乗り辛くなるだけだろォがよ」

垣根「そ…そりゃあ俺だって早く名乗ってスッキリしてぇよ。………けど、あの無邪気なツラ見たら………言えねえんだよ」

一方通行「はァ? まさか惚れちまったとか言うンじゃねェだろォな?」

垣根「そ、そういうんじゃねぇ! そうじゃなくて……その……なんだ……う~ん…」

一方通行「あァー、ハッキリしねェなァ! で、オマエはどォすンだよ? 帰りに『俺は垣根帝督です。あの時はゴメンなさい』
     ってちゃンと言えンのか?」

垣根「それまでには覚悟決める!……つもり 」

一方通行「………………」ジーーー

垣根「な、なんだよ! その疑いの眼差しはぁ!? 心配ねぇって! ケジメもつけらんねえ様な男じゃねえぞ俺はぁ!」

一方通行「……あァ分かった分かった。ンで、俺にどォして欲しいンだよ?」


垣根「・かざりんこと、初春飾利の前で俺の名前は禁句。
   ・俺とお前は心の友と書いて『心友』設定。
   ・俺はレベル0の無能力者。
   ・彼女の前で俺をいたぶる真似はするべからず。
   ・俺に対しては尊敬と忠s―――」


一方通行「待て待て待てェェェ!!! もはやオカシイどころの話じゃねェぞ!? 何から突っ込ンでイイのか分からねェだろボケ!!」

垣根「あんだよ? まだ途中だろぉが」

497 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:37:01.93 ID:HHjBS9g0 [13/15]
一方通行「もォイイ!! 要するに、オマエが垣根帝督だって事があの花つけた女に分からなきゃ良いンだろ!?
     ってェか、意味不明な注意事項みてェなモン作ってねェで、最初っからそォ言や良いだろォが!!」

垣根「まぁ……そうだが、頼むぞ? お前を信用して頼むんだからな?」

一方通行「適当に話合わせるだけだかンなァ。後は勝手にしろ」

垣根「バレそうになったら助けてくれ」

一方通行「はァ? なンで俺がそこまで面倒見なきゃなンねェンだ!? 知らねェよ!」

垣根「そんなこと言ってもなんだかんだで助けてくれる優しいあ~くんに激しく期待してるぜ!」ビシッ

一方通行「指立てて『期待してる』とか言われても知ったこっちゃねェけどなァ。何が『なンだかンだで』だよ……あとオマエ、
     次『あ~くン』って呼ンだら問答無用で地中深くに埋めてやっから覚えとけ」

垣根「なんで? 良いあだ名じゃん。黄泉川さんも気に入るとおm」

一方通行「――あとで俺からも『注意事項』渡しとくわ。命を大事にしてェンならしっかりと読ンどくンだな……」ギロリ

垣根「……ねぇ、目が怖いよ? マジで殺意こもってるよ? 分かった、分かったから睨むのやめて」

一方通行「……………」

垣根「言いません! 打ち止めにも黄泉川さんにも芳川さんにも! どうだ!? これで満足か!? あぁ!?」

一方通行「……よろしい」(なンで逆ギレしてンだコイツ……)

垣根「うっし! ほんじゃあ戻った時の段取り決めんぞ!」

一方通行「あァ? そこまでする必要あンのかよ?」

垣根「万一のためだ。何事も計画持っていかねえと、思わぬトコで足すくわれっからな」

一方通行「………似合わねェ。っつかそのカッコで言っても犯罪計画にしか聞こえねェぞ…」

498 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/20(火) 20:39:34.25 ID:HHjBS9g0 [14/15]
垣根「うるっせぇ! 俺も好きでこんなカッコしてんじゃねえんだ! オラ、とっとと合わせやるぞ。まず―――」




―――――戻った時の打ち合わせ中―――――




垣根「―――よし、じゃあそろそろ戻るか。すっかり遅くなっちまった……あのコら怒ってなきゃ良いけどな」

一方通行「オマエが途中でくだらねェ話混ぜるからだろォが……てか今更だが、なンで一緒に行動すンだよ? すぐ別れりゃ簡単じゃねェか」

垣根「イヤ、向こうもダチ同士らしいし、折角会ったんだからしばらくは一緒って流れだろ?」

一方通行「……俺には良く分かンねェが、普通そォはならねェンじゃねェのか?」

垣根「そうか? まぁずっと一緒って訳にもいかねえし、適当に見たら頃合つけて別れようぜ?」

一方通行「……そォだな。よし、もォそれで良いからさっさと戻ンぞ」

垣根「あ、念押しとくけど、マジで頼んだぞ? 今度フライドチキン奢ってやっからさ」

一方通行「………ぜってェだぞ? 約束したからなァ?」

垣根「そうこなくっちゃな♪ っつー訳で、悪いが予定通りに頼むわ」

一方通行「しつけェ、分かってンだよ。ったく……」

垣根「じゃ、行こうぜ。………クソしてたって思われたらイヤだからな」スタスタ

一方通行「…………はァ…」カツカツ




―――時計を見ながら歩き出す垣根。その姿は電車に乗り遅れそうになるサラリーマンのようにどこか慌しかった。
その後ろでは、杖と溜息を同時にツキながらトボトボと歩く一方通行の姿もあった。
美琴と御坂妹の事を彼が思い出すのはもう少し先である……。

508 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 19:55:36.59 ID:276JGPc0 [2/14]
―――ここでちょーっとだけ時を戻してみたり―――




上条当麻は広場で立ちつくしていた。




目を覚ましてみれば空が暗く、周囲には自分以外誰もいない……。一瞬、閉園時間を過ぎてしまったのかと危惧したが、すぐ近く
の柱時計がその可能性を否定してくれた。
それについて安堵する間もなく目の前に飛び込んだ同じ顔、同じ服装の少女を追いかける少女の図……。
まずはこの展開に追いつく事と、自分がノビてる間に進んだ今の状況を把握する事が自分の使命だ。と上条は結論付けた。


そのためにはどうすれば良いのか……と考える所だが、上条は考えるより動くタイプだ。例えば自分が車に轢かれそうになる事も考え
ずに轢かれそうな子供を守る……。彼はそんな人間だった。
よって、彼は脳より足が先に動いた事は上条にとって……そして上条を知る人間にとっては何の違和感もない結果だった。





上条「ど……どこ行ったんだ……ッ!?」




それでも出遅れたものは仕方がない。普通の人間ならもっと考えてから動き、もっと出遅れるものだ。




上条「ハァ、ハァ……クソッ!」




周囲に目を向けながら、姉妹の消えた付近を走り回る上条。まだ昼過ぎで夕方にもなっていないのに何故これほど人が少ない
のか? とまでは考えなかった。

510 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 19:59:18.60 ID:276JGPc0 [3/14]
上条「――――ん?」



走っている途中、何かに気づき立ち止まる上条。



上条「……………」




神経を集中させ、目の前の林に注意を向ける…………少し離れた場所だが、確かに音が聞こえた。それも、争いから生まれる
生々しい音までハッキリと耳に入ってきた。



上条「ここか!」



―――確信すると同時に、上条の全身は林の中に隠れた。




―――――――




上条「……………」




上条は目覚めて再度の硬直を余儀なくされた。と言っても、先とは理由が違う。
今度の硬直の理由は『目の前の光景が信じられない…』と言ったところか……そんな目だった。

何も知らない立場の上条にとっては無理もないだろう………目の前で喧嘩と呼ぶにはあまりに一方的な肉弾戦が映っているのだから……。

もう一人が御坂妹であることは上条でも分かる。何故ここにいるのかは本人に訊けば良い。それも分かる。
では、何故二人はまるで互いを憎み合うかの如く争っているのだろうか……それも本人達に訊けば分かると思うが、とてもそんな
空気ではなかった……。

まだ少し距離もある。これ以上近づけば気づかれるだろう……。しかし、上条の足は止まっていた。
もう一度言うが、彼は何も知らないのだ。これですぐ足が動くのなら、上条が脳から失っているのは記憶だけではないという事になる。

511 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:01:48.82 ID:276JGPc0 [4/14]
上条「…………なん…で…」




ようやく動いた口から漏れたかすかな声は、誰の耳に入る事もなかった……。





―――――――




「―――ハイ、つっかまーえた♪」


「………う…」




上条「――あ!」




状況は一気に変わった。
この後はおそらく一方的な展開になるという事は誰が見ても明白……。
いくらこの状況が信じられないとは言え、その展開には流石にこれ以上じっとしていられる上条ではない。
上条は分からない答えを一旦放置して、僅かな二人との距離を一気に詰めた―――。




―――そして、覚悟を決めるまでもなく彼は少女の背中に声をかけた。




―――――――

512 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:05:35.89 ID:276JGPc0 [5/14]
――で、現在に至るんだよ!――




美琴「……………」クルリ




おそるおそる振り返る美琴………。上条が良く見知った少女は、まるで万引きがバレたかの様な表情をしていた。




御坂妹「…………」




上条に足を向ける形だが、すぐに誰がそこにいるのかは御坂妹もすぐ理解した。その表情は姉ほどではないが、どこか複雑そうだ……。
例えるなら…母の留守中にイタズラをしてしまい、帰ってきた後にそれがバレて怒られている姉妹と言ったところである。




美琴「ア……」




「アンタ」と言おうとしたが、その前に上条が口を開く。




上条「なんでだよ……」


美琴「………」




悲しそうな顔で自分を見る上条に、美琴は口が開けなかった……。

513 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:08:39.26 ID:276JGPc0 [6/14]
上条「なんでこんなことになってんだよ!!!」




―――林の中一帯に上条の叫びが響いた。




上条「美琴!! なんでだ!? なんでこんな……」



美琴「―――ッッ…!!」




『美琴』と言われて一瞬驚くも、今はそんな場合ではない。
上条の目は真っ直ぐ自分に向けられていた……。早く何か言わないといけないのだが……この場面で現れる事を全く想定していなかった
超能力者少女の頭は完全にパニックに陥っていた。
『一番見られたくない少年に、一番見られたくないシーンを見られた』……思考がそれでいっぱいになった美琴が妹から体を離して立ち
上がると同時に駆け出してしまう事を、上条は予想できなかった。




上条「お…おい!! 美琴っ!!」




もの凄い勢いでその場から走り去る美琴を慌てて追いかけようとするが、倒れたままの妹をそのまま放置する事もできなかった。




上条「大丈夫か? 御坂妹…」


御坂妹「…………」ムクリ




複雑そうな表情のまま、御坂妹は無言で起き上がった。

514 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:12:18.50 ID:276JGPc0 [7/14]
上条「なんでお前がここに………イヤそんなこと今はどうでもいい! なんでお前らがこんなことになってんだよ!? 事情を説明してくれ!」

御坂妹「…………」




上条の問いに御坂妹は答えない……。その目は美琴が走っていった方向をずっと見つめてなにか考え込んでいるかのようだった。




上条「お前ら……何があったんだよ?」




少し冷静な声でもう一度訊く上条に、御坂妹はようやく顔を向けた。………今度はひどく悲しそうな目をしているように見える。
そして、一言……目の前の少年に―――



御坂妹「お姉様を……追ってあげて下さい」




―――と、告げた。命令とも頼みともとれるその口調に、上条は迷う。




上条「……え……でも」

御坂妹「ミサカの事は気にしなくて構いません。それよりも、お姉様の側にいてあげて下さい。と…ミサ……カは……」




―――そこで御坂妹の言葉は途切れた。崩れそうな表情を上条から反らし、肩をかすかに震わせながら……上条に背中を向けた。




上条「お、おい!? どうした?」

御坂妹「はやく……行って下さい……」

515 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:21:27.17 ID:276JGPc0 [8/14]
早く行くように後ろを向いたまま手で示す御坂妹………しかし――



上条「……今のお前を放って行けねえよ! だってお前泣いてんじゃねえか!」

御坂妹「………お姉様も………泣いています……」

上条「――!……なんで……」

御坂妹「ミサカは………あなたに慰めて欲しく……ありません………ですが……おねえ……さまは……違います…」

上条「……………」

御坂妹「おねえさまは………あなたに……」



―――上条はそこでハッとするが……やがてゆっくりと俯いた。



上条「……やっぱり……そうか……」

御坂妹「……?」

上条「ゴメン……俺、美琴を追う。確認しなきゃ……ならねえ事があるんだ…」

御坂妹「ミサカの心配は要りません……早く……行ってください……」



上条「………あぁ……分かった。……ゴメン!」




―――言うと同時に、上条は美琴の走った道を勢い良く走り出す。あっという間にその姿は木の影に消えていった……。




御坂妹「………………」




しばらく上条の体を隠した木を濡れた瞳で眺めていた御坂妹も、やがてフラリ…とその場を静かに立ち去っていった―――。

516 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:24:29.90 ID:276JGPc0 [9/14]
――――――




佐天涙子と初春飾利は……それぞれのパートナーの帰還を今や遅しと待っていた。
と言っても、親友の二人にとっては何の苦もない時間だったが……。





初春「………遅いですねぇ……」

佐天「……大きい方かな?」

初春「さ、佐天さん! そんな下品なこと言わないでくださいっ!」

佐天「ゴメンゴメン。でもさ、初春の彼氏って……何かどっかで見たことある気がするんだけど…」

初春「まだ彼氏じゃありません!」

佐天「まだ……ねぇ」ニヤリ

初春「うぅ……あ…///」

佐天「ハハハ♪ まぁ良いとして、マジであの人何か見覚えあるんだよね~……思い出せないけど…」

初春「………佐天さんもですか? 私も気になってるんです……やっぱりどこかで会ってる気がして……」


佐天(よく考えてみたら……学園都市最強の一方通行さんと友達なんだよね………ってことは…本当はすごい人なのかも…)


初春「………佐天さん?」

佐天「え? あ~ゴメン。ってことはさぁ……もしかして……やっぱり芸能人!?」

初春「ありえませんって!……そういうのとは何か違うんですよねぇ……」

佐天「そ~お? 『ひとついはじめ』にちょっと似てない?」

517 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:27:14.04 ID:276JGPc0 [10/14]
初春「似てません!」

佐天「輪郭も髪型も分からないときたもんだ……あの人って『対人恐怖性』か何かなの?」

初春「風邪引いてる上に寒がりって言ってましたけど…」

佐天「……それすっごい怪しいと思わない?」

初春「でもすっごく良い人ですよ♪ ちょっと変なトコありますけど……悪い感じは全くしないです」

佐天「おお! 脈アリですなぁ? お花が一段と輝いてるぞっと♪」スッ

初春「さり気なくスカートに手を伸ばさないでください!」ペシッ

佐天「む……キサマ抵抗するか………仕方ない……下が駄目なら上から攻めるまでよっ!」ワシャ

初春「や…白井さんみたいな戦法をとらないでぇぇ!!」

佐天「逃がすかこの幸せ者ぉ!」

初春「さ、佐天さんだってぇ! このっ!」

佐天「ひゃっ! わ、わき腹くすぐるの無しっ!」

初春「お返しですっ!」




―――しばらくいつも通り戯れた後……




初春「そう言えば、佐天さんいつ来たんですか? あの後帰ってすぐですか? 帽子被ってたなんて珍しいですね…」

佐天「そ、そうそう。急いで準備して出たから髪セット出来なくてさ~」(本当は尾けてたなんて言えないよなぁ…)

初春「なら言ってくれれば良かったじゃないですか~」

佐天「ゴメンね。何か恥ずかしくってさ……本当ゴメン!」

518 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:30:51.11 ID:276JGPc0 [11/14]
初春「もう良いですよ。ところで、彼氏さんとはどこで知り合ったんですか?」

佐天「うっ……」(やっべ! 全然考えてなかった! 『ついさっき知り合った』なんて言えないし……どうしよ……)

初春「……どうしたんですか?」

佐天「え~と……こ、こないだ道で不良に絡まれてるトコ偶然助けてもらったの!」

初春「へぇ~、そうなんですか。全然知らなかったです………彼って学生ですよね?」

佐天「うん、まぁね…」

初春「……言ったら悪いですけど……個性的な方ですよね……目の色とか髪の色とか……」

佐天「そ、そう? 私は素敵だと思うけどな~…」

初春「佐天さん、……さっきから挙動不審ですよ?」

佐天「え? ハハ、な~に言ってんの初春ぅ。誰がキョドってるってぇ?」

初春「…………」

佐天(ヤバイヤバイ! 話変えないと!………え~と、そうだ! ここはひとつ御坂さんの恋の話題でも!………………ん?)

初春「佐天さん?」




急に何か思い出したかのように表情を変えた佐天に初春は不審な目を向ける。




佐天「―――ぁぁぁああああああっっっ!!!」


初春「ひゃっ!!?」




急に大声を上げた佐天に仰天する初春。

519 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:33:57.61 ID:276JGPc0 [12/14]
佐天(御坂さん達のこと……すっかり忘れてたぁぁぁ!! こんなことしてる場合じゃないよぉぉ!!)


初春「さ…佐天さん!? いきなりどうしたんですか!?」オロオロ


佐天「初春っ!!」クルッ

初春「は、はい!?」

佐天「御坂さん達さがすの手伝って! ほら早く!」ガシッ

初春「ふぇ? みさ―――ッッ!?」




初春の返事も待たずに手を掴んで走り出した。




初春「な、なにがどういうことなんですかーっ!?」




半ば引きずられるような体勢のまま初春は叫んだが、それは空しく響いただけだった……。




―――その数分後




垣根「――あれ? アイツら何処いった?」


一方通行「――……知るかよ。待たせ過ぎて怒っちまったンじゃねェのか?」

520 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/21(水) 20:36:11.07 ID:276JGPc0 [13/14]
少し前まで確かに佐天と初春はここにいたのだが、佐天が御坂姉妹捜索に復帰したことなど知らない超能力者二人は無人となったクレーター
場所で佇んでいた。




一方通行「…………………」




クレーターを見て固まっている一方通行に垣根は声をかけた。




垣根「オイ、どぉした?………あぁ、それか? 多分どっかの能力者がやったヤツだろ? つっても、御坂以外でこんなことできるヤツに
   心当たりはねえけどな。……お前何か知ってんのか?」

一方通行「面倒なこと思い出しちまった……」

垣根「は?」




額に手を当てて頭痛を我慢しているように見える一方通行を垣根は当然ながら疑問に思った。




一方通行「はァ……多分さてンとか言う女もソレ思い出したンだな……」

垣根「オイ、何ひとりで納得してんだ? 訳が分からねえぞ……説明しろよ」

一方通行「ソイツは後だ。それよりオマエも手伝え」

垣根「はぁ? 何を?」

一方通行「超電磁砲をさがすンだよ。オラ、行くぞ」

垣根「へ? 御坂のヤツ来てんの? ってオイ! ちょ、ま、待てって―――!」




すでに先を歩き始めた一方通行を垣根は慌てて追った。

525 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:21:44.36 ID:P6JwgoE0 [2/16]
―――ちょうどその頃、館内の電気はようやく復旧した。
ゆっくりと……建物全体に光が戻る―――。




――パチッッ……




ザワザワ ガヤガヤ…




麦野「――お? ようやく電気ついたわね」


滝壺「あ……」

浜面「い……」


絹旗「あー! 二人ともなぁぁに抱き合ってんですかぁぁー!?」

フレンダ「結局、止めても無駄だった訳ね……」

麦野「オイオイはーまづらぁ……私の前でイチャつくたぁ良い度胸してんじゃーん?」

浜面「イ…イヤ! これはその…」

滝壺「はまづら……後でね?///」ボソッ

浜面「お、おう///……って、ちょっと待て! だからちが―――!」

526 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:25:38.80 ID:P6JwgoE0 [3/16]
必死に否定しようとするが、三人のオーラが「無駄だ」と答えていた。





麦野絹旗フレンダ「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね(ですね)(って訳よ)♪」


浜面「」





それ以上、抗議の余地はどこにもなかった……。野次馬が見守る中、ひとりの無能力者に非情な実刑判決が下ったのだった……。





―――――――




浜面だったモノ「」シュー…



絹旗「全く……浜面の節操無しぶりには超あきれますね。滝壺さんも大変なんじゃないですか?」

滝壺「大丈夫………刺激的なのも、好きだから」

フレンダ「染まってるね……この廃人と化したキモ猿に心まで染められちゃったんだね…」

麦野「純だった滝壺が今や……はぁ、お姉さんは悲しいわ…」

滝壺「はまづらは優しいけど、ときどきオオカミになる……」

絹旗「こいつ(浜面)にトドメ刺してもいいですか?」

527 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:27:52.72 ID:P6JwgoE0 [4/16]
麦野「……滝壺が悲しむから今日のところはやめときなさい」

絹旗「はーい」

フレンダ「っていうか、もう必要ない気がするけど……」チラッ

麦野「さて……ちょっと化粧直しに行ってくるわ」ガタッ

絹旗「あれ? 話の続きは?」

麦野「あぁ、戻ったらね―――」

フレンダ「いってら♪」




―――麦野は席を立ち、手をヒラヒラ振りながらその場を離れて行った。




滝壺「はまづら……生きてる?」ツン ツン

浜面らしきモノ「」シュー…

絹旗「店壊さないようにやるのも超一苦労ですね」

フレンダ(麦野も丸くなったなぁ……)




―――――




―――それから数分後、幼女と少女は未だ広い館内を彷徨っていた……。
銀髪碧眼の少女は叫ぶ。

528 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:31:02.47 ID:P6JwgoE0 [5/16]
禁書「やっと電気ついたのは良いけど……ここがどこだか分からないんじゃ同じことかもーっ!」




海洋生物はもうどこにもいない。代わりに周囲に映るのは、複数のレストランやゲームセンターといった…地下街などで
よく見る光景だった……。




打ち止め「……お魚さんたちもいなくなっちゃったし……これからどうしよう。ってミサカはミサカは不安になってみたり…」

禁書「よし! こーなったらひとまず腹ごしらえしよう! と言うワケで、まずはココから制圧開始ーっ!」




勢い良く真横に体を向け、ちょうどそこにあった和食系のレストランへ突撃しようとする禁書目録を打ち止めはたった一言で止めた。




打ち止め「お金あるの? ってミサカはミサカは一応訊いてみる……」

禁書「―――うっ……」




あと一歩で店のノレンをくぐる……寸前で走るポーズのまま停止した禁書目録。




禁書「…持ってないんだよ………うぅ…これじゃ休憩もできないかも…」

打ち止め「休憩=レストランって認識は間違いじゃないかな? ってミサカはミサカは指摘してみたり」

禁書「……こんなとき、あくせられーたがいればなぁ…」




そう呟きながら禁書目録はガックリと肩を落とした。

529 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:33:57.42 ID:P6JwgoE0 [6/16]
打ち止め「……そう言えば……あの人もどきっとどこかにいるハズなんだけど……どこなんだろ? ってミサカはミサカは歩きながら
      目でふと周囲を探索してみぎゃ―――!?」ドン


「ったく……店内のお手洗いが満員なんてついてないわ………ん? おぉっと―――!」ドン




―――前を見ずにキョロキョロチョロチョロしていた打ち止めは、何やら愚痴りながら歩いてきた人にドンッ!と正面からぶつかった。




「――な、何!?」




突然打ち止めから体当たりを受けた麦野沈利は目線を下に向けた。
打ち止めは床に座り込んだまま麦野を見上げる。




打ち止め「――ご、ごめんなさい! ってミサカはミサカは頭を下げて謝ってみたり!」


麦野「――え、あぁ、気にしないで。お嬢ちゃんこそ大……丈………?」


打ち止め「?」


禁書「――らすとおーだー! どうしたの?」パタパタ




――駆け寄って来た禁書目録は、顔を見合わせたまま口を開かない両者に首を傾げた。

530 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:35:37.45 ID:P6JwgoE0 [7/16]
禁書「?」


麦野「………………」


打ち止め「……あのぉ…ってミサカはミサカはどうかしたのかな? って尋ねてみたり」


麦野(この子って………まさか例の実験の……?)


禁書「………らすとおーだー?…このお姉さん知り合いなの?」


打ち止め「ううん。ってミサカはミサカは否定してみる」


麦野「あぁ、たまたまぶつかってね……大丈夫だった?」

打ち止め「ミサカは平気だよ! ってミサカはミサカは元気に立ち上がって丈夫なところをアピールしてみたり」スクッ

禁書「うぅ……」グウ

麦野「……なに今の音…?」

禁書「おなかへったんだよぉ……」

打ち止め「ミサカもぉ……ってミサカはミサカはひょっこりさりげなく便乗してみたり」

麦野「はぁ?」



「だから―――」

531 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:37:47.17 ID:P6JwgoE0 [8/16]





禁書打ち止め「―――ご飯食べさせてくれると嬉しいな♪」(ってミサカはミサカは声を合わせてみたり)



麦野「へ?……………いや、何でよ?」




天使のようの目をキラキラ光らせておねだりしてくる幼女と少女に、麦野は惑わされる事なく冷静に至極もっともな
ツッコミを入れた―――。




――――――




――屋外





一方通行&垣根帝督は当てもなく歩きまわるのが非効率である事に気づいて立ち止まっていた。



御坂美琴に御坂妹、更には佐天涙子や初春飾利をも捜さなくてはならないとなると……このまま無闇に歩くのは
かなり苦だと気づいたのだ。
結局一方通行は、ひとまず垣根にもサクッと今の状況を説明する事にしたのだった―――。




垣根「―――マジかよ……そんなことになってたのか……そりゃ確かに一大事だな」

一方通行「それほど大事になるとは思えねェが……このまンまじゃアイツらの仲違いは免れねェかもなァ…」

532 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:41:51.85 ID:P6JwgoE0 [9/16]
垣根「っつーかよぉ……ミサカの妹って、そんなキャラだったっけ…?」

一方通行「もォアイツもひとりの『人間』として自己を確立してるってことだろ……姉(オリジナル)に喧嘩ふっかける
     なンざァ、少し前までのアイツからは考えられねェからな」

垣根「………まぁ……話は分かったが、どぉすんだよ? もう結構時間経ってんぞ……?」

一方通行「そこでオマエの出番ってワケだ」

垣根「……へ?」




急に話が変わったかのような一方通行の調子に垣根は『?』を顔に浮かべた。




一方通行「オマエ、俺を乗せたまま空飛べるか?」

垣根「は?……どういう…」

一方通行「モノ分かり悪い野郎だなァ。このまま歩くのも手間だから、空からさがすンだよ。その方がすぐ見つかンだろォ?」

垣根「あぁ、なるほど」




――ポン、と手を打つ垣根。




一方通行「…で、出来ンのか? 出来ねェのか?」

垣根「いや、そりゃ出来ないこたぁねぇけどよ……人乗せて飛んだことはさすがにねえから何とも……」

533 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:43:36.18 ID:P6JwgoE0 [10/16]
一方通行「問題ねェだろ。俺ひとり分の体重も支えられないほど、オマエの未元物質が脆いっつゥンなら話は別だけどなァ」ニヤ

垣根「(ムカッ)…ほぉ………言ってくれんじゃねぇか………よぉし上等だぁ! 俺の未元物質に不可能はねえぞぉ! 
    おぉ…りゃあ!!」――ブァサッッ!!




何故か気合のこもった声を出しながら背中から翼を生やした垣根に、一方通行は―――



一方通行(扱いやすさはガキレベルだなコイツ……)




―――と、冷めた目を向けていた。




垣根「―――っしゃ! 乗りな一方通行!」

一方通行「は? オイ待て、どこに乗れってンだよ……羽に掴まったら振り落とされンだろ?」

垣根「なんならお姫様抱っこしてやろうか?」ニヤ

一方通行「……………」スッ

垣根「ジョーク! ジョークだからな? ジョークだから無言で首のスイッチに手を掛けるな!」

一方通行「………仕方ねェ。ちと背中借りンぞ?」

垣根「へ?……ぎゅむ―――!?」

534 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:45:27.19 ID:P6JwgoE0 [11/16]
背後へ回った一方通行に首を腕でホールドされて息が詰まった垣根の表情は、疑問から苦痛へと一瞬で変化した。
絵的には一方通行が後ろから垣根の首に腕を回している…と言った方が分かりやすいか。




一方通行「オラ、早く飛べよメルヘン」

垣根「く、首……クビ……絞まって………ッ!」

一方通行「あン……?」




何を言っているか分からないので、一旦腕を離す一方通行。




垣根「―――ハァッ……こ…殺す気かぁっっ!?」ゲホゲホ

一方通行「……………」




「まァな」と思わず言いそうになったが、それはとりあえずやめておいた。




一方通行「……ンで、どォすりゃ良い? 肩に掴まるンじゃ不安定過ぎるから却下だぞ?」

垣根「…うーん………」

一方通行「………」イライラ




埒が明かないので、もうここは垣根だけに任せようか? と考え始めた時―――




垣根「……ったく……仕方ねぇな……ホラ」

535 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:48:40.15 ID:P6JwgoE0 [12/16]
翼の生えた背中を見せながらしゃがみ込む垣根に一方通行は尋ねる。
転んだ子供や歩き疲れた子供とその保護者の場面でよく見る絵だった。




一方通行「オイ……一応訊くがよォ、ソレは何だ?」

垣根「何って……おんぶだよ、お・ん・ぶ。もうソレ以外ねえだろぉが」

一方通行「はァァ? 何で俺がオマエにおンぶされなきゃならねェンだよ!?」




当然、一方通行はごねるが……




垣根「つっても、他にはもう思いつかねえし……お前なんか良い案あるのか?」

一方通行「っ………」




そう言われては立場が悪くなる……。考えてみるが、どうやらここは一方通行が妥協しなければならないようだ。




一方通行「………はァ……やっぱソレ以外ねェのか……」




これだけ溜息を吐けば、頭が白髪交じりになってもおかしくはないのだが……その心配は要らない。
彼はすでに頭部全域が白髪(ホワイトヘアー)だ。若いうちからこれほど苦労しているなんてレベルじゃないほどに……。
今までの生き方をふと振り返るが、上条と出会ってから自分は未知の道ばかり進んでいるのではないか? と一方通行は思った。


そんな彼の思考など知ったことではない垣根は、後ろの手をクイクイと動かしながら催促した。

536 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:50:44.20 ID:P6JwgoE0 [13/16]
垣根「ホラ、何してんだ? 早く乗れよ。急ぐんだろ?」

一方通行「……………」




もう抵抗するのも面倒になった一方通行は、遺憾な顔のまま……垣根の背中にその細い体を預けた。




一方通行「……なァ、これで飛べンのか?」




垣根におんぶされたまま訊く。何ともシュールな絵だ。




垣根「あぁ、これなら演算にも支障はねぇ。んじゃあ飛ぶぞ? いいか?」


一方通行「オイ、ゆっくり飛べよ? コッチは今、風のベクトル操れねェンだからな! 荒っぽく飛ンだら後で地獄見ンぞ」


垣根「へいへい……うるさい姫様だな。よし、行くぞ! しっかりつかまってろよ!―――――」ブァサァ!


一方通行「あァ!? 姫ってどォいう意味だァ!? オイコラこの――――ッ!?」




―――グオン!!!




文句の途中で二人の体は颯爽と地上に別れを告げた。

537 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:52:58.24 ID:P6JwgoE0 [14/16]
―――上空




垣根「――うわぁ……お前軽いなぁ………言っちゃ悪いが、女背負ってんのとほとんど変わんねぇわ…」

一方通行「――うるせェ! 余計な感想はイイからもっとゆっくり飛べ! 落ちンだろォが! うお危ね……ッ!」

垣根「キャーキャーうっせぇなぁ……黙ってつかまってろよ。舌噛むぞ?」

一方通行「オマエ下降りたら覚えてろよォ……」

垣根「ハイハイ分かった分かった…………お?」

一方通行「ン? どォした? いたのか?」




――ひょい、と垣根の横から顔を出す一方通行に垣根はビクッとする。




垣根「お、おい! 顔近ぇんだよ! 離れろ気色悪ィ!」

一方通行「あァン!? 仕方ねェだろォが! こォしねェと下が見えねンだよ! 気色悪ィのァお互い様だボケ!」

垣根「………分かったから耳元で吠えんな。演算狂うだろ…」

一方通行「ちっ……クソが………」





垣根の背中に乗ったまま悪態をつく一方通行と、耳に指を当てて迷惑そうな顔をする垣根帝督は上空からの捜索を続行した。

538 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/22(木) 19:57:21.62 ID:P6JwgoE0 [15/16]
……やがて、空からひとりの『少女』の姿を確認した。




垣根「―――オイ、誰かいるぞ?」

一方通行「―――ン? あそこにいンのは……」

垣根「御坂か……それとも妹か……? どっちかは分からねえが、ひとりだな………とにかく行ってみるか」




―――ギュン!




一方通行「うおっ!………オイ! 急に角度下げンな! 危ねェだろォが!」

垣根「おぉ悪い……っつかさぁ、考えてみたらお前も空飛べんじゃん?」

一方通行「あン? さっき言わなかったかァ? もォ電池がほとンど残ってねェンだよ。これ以上能力は行使できねェ」

垣根「あぁ、そっか……どおりでさっきから震えてるワケだ」

一方通行「ンなこたァ良いから早く降りろ! つまンねェこと考えやがったら後でヒデェ事になンだからなァ!」

垣根「分かりましたよぉ……」(ったくギャアギャアうるさいウサギさんだぜ……不利なウサギほどよく吠えるってかぁ…)ヒューン




――後は口に出さずに、垣根は少女へ向けてゆっくりと下降を始めた。




常盤台制服の上に指定コートを着込んだ少女は木に体を預ける形で下を向いて立っていた。
一方通行と垣根が目の前に降りて来るまで、少女はその存在に気づく事はなかった……。

544 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:26:05.53 ID:V5LOasI0 [2/13]
――――――――





浜面「――………んあぁ……?」

滝壺「あ、生き返った」

絹旗「生きてたんですか!?」

フレンダ「結局生きてたって訳ね」





目を覚ました浜面を驚いた目で見る三人の美少女。





浜面「くそう……ひどい目にあったぜ。お前らよくも…」

絹旗「浜面が超悪いんですよ!」

浜面「ざけんな! 一瞬マジでお花畑が見えたぞ!」

フレンダ「私らの前でイチャイチャするからよ」

絹旗「そうです! 何ですか? 見せつけのつもりですか? 浜面のくせに超生意気な…」

浜面「だからって、三人でフルボッコはねえだろ! 窒素パンチに一点集中ビームに………フレンダお前体分かれてなかった?」

フレンダ「へ? 分かれてないけど?」

絹旗「フレンダは浜面の超単細胞な頭踏みまくっただけですよ?」

545 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:30:11.85 ID:V5LOasI0 [3/13]
浜面「………おっかしいな……」

絹旗「なるほど。すでに途中で頭イってたんですね」

フレンダ「いや、元々だと思うけど?」

滝壺「ときどき…」

浜面「滝壺まで………おっまえらぁ!! 黙って聞いてりゃ調子に乗りy」

絹旗「ん? 何ですか?」ギロリ

浜面「………いえ、何でもアリマセン。……ところで麦野は?」

フレンダ「お化粧直しに言ってる訳よ」

浜面「アイツの収縮版原子崩しが一番効いたぞ……分かるか? 虫メガネで太陽光をこう……」

絹旗「超どうでもいいです!」

滝壺「はまづら……太陽に焼かれるのと麦野の能力は微妙に違うかも…」

浜面「え、いや……何ていうか……ものの例えっていうか…」

絹旗「馬鹿の浜面にマジツッコミは超かわいそうですよ」

フレンダ「しょせんスキルアウトだもんねぇ…」

浜面「うるせえな! 今は違ぇよ! ってかスキルアウト馬鹿にすんなよ!」

滝壺「はまづらは今の方がいい……」

絹旗「うわぁ……浜面! 滝壺さん泣かせたりしたら超殺しますから!」

フレンダ「全国の少年少女を敵に回すと考えた方がいい訳よ」

546 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:32:52.67 ID:V5LOasI0 [4/13]
浜面「お、お前らに言われるまでもねえよ……滝壺は俺にとって何よりも大事な――」


絹旗フレンダ「ちょうしにのるなぁーーー!!!」グァッ!


浜面「何なんですかぁーーーー!!?」




そんな風に戯れている内に、我らが元リーダーがどこか重い足取りで帰ってきた。




麦野「―――ただいまぁ……」

絹旗「あ! いいところに戻ってきました! コイツ(浜面)ったらまだ懲りてないみたいなんですよ!」

浜面「あっ! テメッ…」

フレンダ「麦野、もう一度フクロにしちゃおうよ」

滝壺「ふぁいと、はまづら」

浜面「………どうした? 麦野……」

麦野「いや……」クイッ




目を気まずそうに反らして後ろを親指で示す麦野……そこからは無邪気な少女達の元気な声が聞こえてきた。




禁書「この人たちがあなたのお友だちさんかな? はじめまして! 私の名前はインデックスって言うんだよ!」


打ち止め「こんにちはー! ミサカの名前はミサカだけど、みんなはラストオーダーって呼ぶよ! ってミサカはミサカは
     自己紹介してみたり!」

547 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:36:10.55 ID:V5LOasI0 [5/13]

「………………」




声とともに麦野の後ろから姿を現した打ち止めと禁書目録。
麦野以外の面子はしばらく同じような表情で固まっていた……。




麦野「――えぇっと……ゴメン、席詰めてやってくれる?」




ペロッと舌を出しながら麦野はそう言った。




絹旗「え……あ……」

フレンダ(……このアホ毛の子……どっかで……)


禁書「わーい♪ ご飯! ご飯~!」

打ち止め「おじゃましまーす♪ ってミサカはミサカは丁寧な言葉のワリに遠慮なく着席してみたり~!」


浜面「……何だこの子たち……麦野、まさか誘拐してきたんじゃ?」

麦野「んな訳ないでしょ! ちょっとそこで色々あってね……腹減ってるって言うから仕方なく連れてきたのよ」


滝壺「私は滝壺理后、よろしく。ええと…」

禁書「インデックスだよ。よろしくね、りこう」




浜面・滝壺の隣りに禁書目録、絹旗・フレンダの隣りに打ち止めが着席した。

548 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:37:47.04 ID:V5LOasI0 [6/13]
麦野はいわゆる『お誕生日席』に何食わぬ顔で腰を下ろすと―――。




麦野「はい、メニュー」




――と、メニュー表を渡してきた。




禁書「ホントにご馳走になっていいのかな? もう後には引けないんだよ!?」ジュル

麦野「構わないわ。好きなだけ食べなさい」

打ち止め「あ! その言葉シスターちゃんには禁句! ってミサカはミサカは忠告しようとするけど時すでに遅かったり……」




打ち止めの慌てた発言で麦野達が「?」を浮かべている間に禁書目録は早押しクイズの回答者さながらの動きで素早く注文ベルを押していた。





―――――――





――――バサァッッ………





背中の翼をはばたかせて着地した垣根帝督と一方通行。
地面に足がついたと同時に一方通行は垣根の背中から降りた。

549 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:39:32.72 ID:V5LOasI0 [7/13]

「………………」




驚いた顔で少女はコチラを見ている……。
距離は十数メートルほど離れているが、表情はよく分かった。


翼を消した垣根と一方通行はゆっくりと少女に近づいていく。
少女は木にもたれたままコッチを見ていた。逃げる気配はない……。




垣根「ゴーグルつけてるってこたぁ、妹の方か……」

一方通行「イヤ…」

垣根「――?」




確信めいた表情が否定される……。垣根は「えっ?」という顔を一方通行に向けた。




一方通行「さっき超電磁砲と妹が入れ替わった話しただろォが……あれァ超電磁砲だ」

垣根「……あぁ、そういうことか…」


美琴「……………」

550 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:42:51.63 ID:V5LOasI0 [8/13]
御坂妹愛用のゴーグルをつけた御坂美琴は近づく二人を見つめて言葉を失くしていた……。




美琴(一方通行………と……?)




―――そして、会話するには充分な距離で二人は止まった。
先に口を開いたのは、一方通行だった……。




一方通行「―――よォ、オマエひとりか? 妹は?」




自然に……あくまで普段の調子で彼は話しかけた。




美琴「………知らないわよ……アイツと……一緒じゃないの…?」




コチラを見ずに、下を向いて答える美琴。




一方通行「三下……上条が来たのか?」

美琴「………」コクリ

一方通行「なら……オマエのこと探してンじゃねェのか?」

美琴「……それは……どうだろ……もしそうだとしても、どんな顔してアイツに会えばいいのか……」

551 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:48:48.09 ID:V5LOasI0 [9/13]
俯いたままモジモジし出す美琴に、一方通行は……。




一方通行「いつも通りで良いンだよ。オマエが悪い訳じゃねェし、オマエがそォやって考え込む必要なンざァどこにもねェ」

美琴「で、でも! 私……アイツに……見られたの…」

一方通行「何見られたかは知らねェが、別にオマエが気にすることは何もねェだろ?」

美琴「な…何でそんなこと言えんのよ?」

一方通行「ンなの決まってンだろォが。オマエらはただ『姉妹喧嘩』してただけだろォ?」

美琴「え……?」

一方通行「ンなモン、兄弟いるヤツなら誰でも経験することじゃねェか。一体それに何の問題があるっつーンだ?」

美琴「………慰めとかのつもりなら良いのよ? 私……もう、自分が嫌で嫌で……」

一方通行「……俺から言わせりゃあ、何でオマエがそこまで悲劇のヒロイン演じてンのかが分からねェな」

美琴「………?」

一方通行「オマエも妹も、誰も悪いことをした訳じゃねェ。それでもぶつかり合うこたァあンだろ? 当たり前だ。
     二人とも自分の意志を持った立派な人間なンだからなァ」

美琴「でも……私……限度を超えて…」

一方通行「それも人間なら必ずやっちまう事だ。それでオマエが特別ってことにはならねェよ」


美琴「けど………アイツは……そう思ってないかも…」

一方通行「あ?」




美琴の言葉に首を傾げる一方通行……。

552 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:51:24.77 ID:V5LOasI0 [10/13]
美琴「アイツ………私のこと見損なってるわよ……きっと…」


一方通行「……はァ? オマエ本気で言ってンのか?」


美琴「だってそうじゃない! 多分アイツの目には『私が妹を痛めつけようとしていた』部分しか見えてないのよ!?
   アイツのことだから、絶対に妹から理由を聞きだしちゃうわよ! そんなことになったら………もう駄目……
   何でそうなったのかまでアイツが知ったら……もう…全部終わりよ……」


一方通行「……………」


美琴「今ごろ……アイツは私に幻滅してるかも………下手したら……もう……顔も合わせてくれないかもね……」




―――そこまで言って再び俯き黙り込んでしまう美琴………しばらくの沈黙後、一方通行がゆっくりと美琴に問いかけた。




一方通行「……オマエ、あの三下のどこに惚れたンだ? あの野郎は、オマエを特別な目で見たりなンかしない。本当の
     御坂美琴(オマエ)をしっかり理解してくれる。だからオマエはアイツに惚れたンじゃねェのか?」


美琴「………」


一方通行「俺が言えた事じゃねェかも知れねェが、上条当麻はオマエをあっさり見損なう様な人間じゃない。むしろ、
     オマエがありのままで接してくる事をアイツは望ンでるハズだ」


美琴「………」


一方通行「人間なら誰でも汚れた部分ってのを持ってンだ。そォでなきゃ生きていけねェよォになってンだよ!」


垣根(あれ? 何コレ? 何かこいつスイッチ入ってね?)

553 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:54:40.82 ID:V5LOasI0 [11/13]
一方通行「ちょっと汚れた自分を見られたぐらいで逃げ腰になってンじゃねェよ! 俺から見れば、オマエらは全然マシな方だ!
     むしろ今どきオマエらほど輝いてるヤツのほォが珍しいくれェだ! ヒトとして生きてるンだったら、もォ少し素直に
     なってみろよ! ワガママになってみろよ! 甘えたいヤツに遠慮なく甘えてみろよォ!!」


美琴「!!……ッ」


垣根(いや、何でこいつキレてんの……?)


一方通行「俺みてェなクソッたれに代理を頼む必要なンざどこにもねェンだ! 受け止めてやった俺が言えた義理じゃねェがなァ、
     オマエには本当に甘えたい人間がちゃンといるンだろ! だったらソイツに甘えろ! 振り向いてくれないンなら振り
     向くまで当たり続けろ! オマエはまだハッキリ上条に想いを告げた訳じゃねェ! つまりまだ始まってすらいねェンだ!
     逃げ腰ンなるにァちィっと早すぎると……俺は……思うぜェ…?」


垣根(あ、失速……)


美琴「一方通行……」


一方通行「……まァ、つまりよォ……妹と喧嘩したところを三下に見られたってだけで、何もそこまで卑屈になる必要はねェンじゃねェかって
     ちっと思っただけだァ……」


垣根(えぇ!? 冷めんの早っ!)


美琴「…………」

554 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/23(金) 20:56:07.34 ID:V5LOasI0 [12/13]

一方通行(クソったれがァァ!! 何言ってンだ俺はァ!? 何だァこのいかにも三下が言いそォな台詞はァ!? フザっけンなよ畜生ォ!
     何だってこンな臭すぎて屁も凍りそォな台詞が俺の口から出てきたンだよオイ!? 一体どこの熱血くンだっつのォ……。
     あァ……穴あったら埋まりてェ………こンなの絶対俺じゃねェ……時を戻してェ……)ズーン



垣根(『言った後の後悔』ってヤツを体じゅうで表現してんな………こりゃさすがに何て声かけてやったら良いのか分かんねえや……)




別の意味で黒いオーラを纏いながら現実逃避する一方通行を、心から同情した目で見る垣根。そんな彼等の様子を美琴はしばらく
あ然と見つめていたが……やがて―――。




美琴「―――フフッ……」


一方通行・垣根「………?」


美琴「―――アハハハハハハハ!!」





突然、腹を抱えて笑い出した美琴に疑問の目を向ける一方通行と垣根。
美琴の笑顔には、ドス黒さの感じられない無邪気さが戻っていた……。

564 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 19:56:23.42 ID:wSsCnGc0 [2/15]
―――――――





「――それでね。とうまったらひどいんだよ! 私がおなかすかせてるのに、無視して勉強ばっかり!」プンスカ


「そう……かわいそうだね。はまづら」


「いや……俺は勉強できねえから何とも言えねえけど…」(その『とうま』ってヤツに共感しちまうのは何故だろうか…?)



「――だいたい、あの人はミサカを子供扱いしすぎなんだよー! ってミサカはミサカは愚痴を続けてみたり!」プンスカ


「どう見ても子供じゃん……」


「わかりますよ! 私もたまに超子供扱いされますから! 超腹立ちますよね~!」


「はぁ……結局、どっちも子供って訳よ」




――ワイワイ ガヤガヤ……




すっかり、居酒屋のような雰囲気が出来上がっていた……。



料理にアルコールでも入っているのか疑いたくなる程に、二人の招かれざるゲストの愚痴はエスカレートしていった。
ちなみに、禁書目録の異常な胃袋については十分前に驚かされたばかりである……。
少しは大食いに自信のある絹旗でさえ、挑戦することが馬鹿馬鹿しく感じてしまったのがつい七分前のことだ。

未成年でなければ、とっくに酒が必要な空間だ。

565 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 19:59:23.50 ID:wSsCnGc0 [3/15]

禁書「―――ホントにとうまはぁ……ねぇ、しあげはどう思う?」

浜面「へ? いやいや……俺は…」

滝壺「しあげ……」ボソッ

禁書「オフロで寝かせるの悪いかなって思っていつもベッド空けてるのに全然来てくれないし……毎晩寝る前に準備を決めてる
   私の心を返して欲しいかも!」

浜面「し……紳士なんだよきっと…」

滝壺「はまづら。紳士と意気地なしは違う……」

浜面「い…意気地なしって……」

滝壺「以前のはまづらだね」

浜面「」

禁書「……二人はコイビトさんなのかな?」

浜面「え? あぁ……まぁ…」

滝壺「はまづら。そこはハッキリ公言するところ……」

禁書「しあげのそういう部分、とうまにちょっと似てるかも」

浜面「え、えぇ!?」

禁書「男は強引でハッキリものが言える方がいいんだよ。とうまはいざとなったらそれができるのに……普段はダメダメかも」

浜面「普段がダメでも、いざって時にできるヤツの方が俺はいいと思うけどな……」

禁書「それなら普段もしっかりして欲しいかも! 最近は補習行ったりデートに行っちゃったり『かだい』しちゃったりで、全然構
   ってもらえなかったんだよ」

滝壺「その『とうま』って人に、彼女はいるの?」

566 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:03:07.09 ID:wSsCnGc0 [4/15]

禁書「いないよ」

浜面「……もしかして、かなり女たらしなヤツか?」

禁書「それならまだいいんだけど……とうまは自覚なしに女の子を自分の世界に引き込むんだよ」

浜面「何ソレ? 能力? うはぁ……うらやまs――――ハッ!?」

滝壺「」ジロ…

浜面「オホン………そ、そりゃ厄介な性質だな。それで彼女がまだいないってのもすげぇけど…」

禁書「だからとうまには自覚がないんだよ。もし自覚しちゃったら……世の女の子は全員とうまに食べられちゃうかも…」

浜面「な!?」クルッ

滝壺「大丈夫……私は食べられないから……コッチ見なくて大丈夫」

浜面(脅威!? これはもしかして脅威ってヤツじゃないんでしょうかーー!? 絶対滝壺には会わせられん!!)




浜面が上条に驚異的な妄想を描いている中、向かいの席では―――




打ち止め「つまり、ミサカの検体番号は20001号で、実験が打ち切られちゃって製造途中に培養器から放り出されちゃったから
     こんな姿なの。ってミサカはミサカは自分の生い立ちを詳しく説明してみるんだけど、お姉ちゃん達はどうして実験
     のことを知っているのかな? ってミサカはミサカは新たに生まれた疑問をぶつけてみたり」



麦野「そりゃあ……ねぇ?」

絹旗「まぁ……直接ではないですけど……」

フレンダ「結局、実験は途中で終わったって訳ね……」

567 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:05:19.18 ID:wSsCnGc0 [5/15]

麦野「ま、私らは関係あるようで無いようなモンよ。ってことは、最終信号(ラストオーダー)以外にもう妹達の製造はされてないのね?」

打ち止め「第三次製造計画(サードシーズン)で生み出されたミサカがひとり……あとは知らないかな」

フレンダ「サード…シーズン?」

絹旗「何ですかソレ?」

打ち止め「あっ! ってミサカはミサカはうっかりクチが滑ってしまう自分を呪ってみたり!」

麦野「……まぁ良いじゃないの。んで、あなたはご飯食べたらどうするの? 呼び出しでもしてもらう?」

打ち止め「そ、それは非常にマズイかも! ってミサカはミサカは却下を申し出てみたり!」

フレンダ「なんで?」

打ち止め「迷子になったってあの人に知られたら……よく考えてみると恥ずかしいよ。ってミサカはミサカは複雑な乙女の心を
     暴露してみる」

麦野「フフ……おませさんねぇ……あのクソ生意気な小娘も、こんぐらいのガキの頃はなかなか可愛いんじゃないの」ナデナデ

打ち止め「ん……お姉さまと知り合い? ってミサカはミサカは撫でられながら訊いてみたり」

麦野「まぁね。できれば会いたくないけど……」

フレンダ「私はもう絶対会いたくないわ!」

絹旗「右に同じ!」


打ち止め(お姉さまとこの人たちとの間に何かあったのかな……? ってミサカはミサカは気になってみたり)




―――打ち止めがそんな事を考えている間にも、禁書目録の「おかわりー♪」という元気な声が店に響いていた。




麦野「いや、あんたまだ食うのかよ!?」

禁書「ふぇ?」

568 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:08:21.18 ID:wSsCnGc0 [6/15]
―――おそらく、御坂美琴は泣くのを我慢していたのだろう―――




涙を流しながら笑い続ける少女を見て一方通行と垣根帝督はそう思った。
そのまま涙とともにしばしの時が流れ………ようやく少女は光に満ちた顔をコチラに向けた。




「―――ふふ……あー、スッキリした」




その表情はまるで雨が振った後に晴れた空のようだった。……澄みわたる笑顔の似合う少女がそこにいた。




「……そォかい」




いつの間にか羞恥の闇に溺れかけた一方通行も復活し、垣根も空気を読んだのか…結局美琴が声をかけるまで
一言も口を開かなかった……。




美琴「らしくないトコ見せちゃったわね」

一方通行「…おォ、気にすンな」

美琴「ふふふ……けどアンタ、何で途中で照れんのよ? まるでアイツみたいだったのに…」

一方通行「あァー、頼むからソレはもォ忘れろ。思い出したくもねェ……」




目を反らす一方通行……。

569 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:10:46.80 ID:wSsCnGc0 [7/15]

美琴「アンタもずいぶんと似てきたのねぇ……アイツに」ニヤニヤ

一方通行「あ? 俺とあの三下がァ? どこがだよ……」

美琴「そういう熱いトコよ」

一方通行「ば…だからアレは違ェンだっつのォ!」

美琴「ん~、でも途中で照れ入っちゃったのが残念かな♪ アイツへの道のりはまだまだ遠いわね」

一方通行「だァクソ! 違ェっつってンだろォが! 聞けよオマエ! だいいち俺はあンな三下なンざァこれっぽっちも
     目指してねェぞ!」

美琴「ハハハ♪ ……ねぇ、ところでさぁ…」




ある程度からかった美琴の目線がふいに方向を変える。
彼女の視線の先にはすっかり傍観者と化した垣根の姿があった……。




美琴「なんで垣根さんがここにいる訳?」ジー…


垣根「―――んなっ!!? な、なんで分かったんだよ!? 完璧な変装してんのに!?」




久方ぶりに開かれた口から出てきたのは驚きのみが含まれた言葉だった……。
美琴は突然慌てだす垣根にビクッとする。本当は背中から生えた翼を見た時に分かったのだが……敢えてそれは言わずに
呆れた顔を作って答えた。

570 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:13:52.61 ID:wSsCnGc0 [8/15]

美琴「イヤ……完璧…ではないでしょ。まるでこれからどっかの家にでも放火しに行くみたいじゃない……」

一方通行「まったくだ。オマエもォこのまま出頭しちまえよ。『指名手配されてた凶悪犯が自首してきた』って
     喜ンで出迎えてくれンだろォぜェ」

垣根「テェンメェはさっき事情説明しただろぉがゴルァァ!! 炭クズにされてぇのかぁ!?」

一方通行「あァ? 上等だァ。やれるモンならやってみr」

美琴「ね、ねぇ! 事情って? 垣根さんって今日初春さんとデートだったんじゃないの?」




何やら良くない展開に転びそうな所で慌てて割り込む美琴。冗談ではない。格上二人の喧嘩に巻き込まれるのだけは御免だった。




垣根「べ、別にデートってわけじゃ……って、俺お前に話したっけ?」

美琴「こないだ電話した時に『初春さん助けた』って言ってたでしょ? で、佐天さんって友達がいるんだけど、前にそのコから
   初春さんが誰かとデートする事聞いたのよ。相手って言ったらアンタしかいないじゃない」

垣根「なるほど………ん? …さてん……って、さっきテメェと一緒にいたコだよな?」

一方通行「あ……あァ」

美琴「そう言えば一方通行! アンタ佐天さんはどうしたのよ? 一緒じゃなかったの?」

一方通行「どォもしてねェよ。オマエら捜してた時に、このメルヘンカップルと偶然鉢合って、便所から戻ってきた時にァいなく
     なってたンだァ。多分今もオマエと妹捜してンじゃねェのか?」

571 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:17:16.37 ID:wSsCnGc0 [9/15]

美琴「ってことは……佐天さんと一緒に初春さんもいるのか……」

垣根「オイちょっと待て。メルヘンカップルって何だよ? 俺のこたぁ何て言ってもいいが、かざりんの悪口だけは
   許さねえぞコラ」ギロリ

一方通行「きめェ。怒りの理由も考慮した上できめェ。総合評価してもやっぱきめェ」

垣根「さ…三回も言うことねえだろ!? 何だぁ? テメェまださっきの事気にしてんのかぁ? 大人になれよ第一位」

一方通行「うっせェンだよ味噌っカス。俺とたいして年変わンねェのに大人ぶってンじゃねェぞコラ?」

垣根「あぁ? さっきまで空でガタガタ震えてたヤツの台詞たぁ思えねえなぁ。怖がりなウサギさんは土管の下にでも潜ってろよ」

一方通行「能力使えりゃ俺も飛べンだっつーの。 大丈夫ゥ? 理解力が乏しくなってませン? なンなら介護士でもつけましょォかァ?」

垣根「……そのうざってぇクチ今すぐ永久に開けなくしてやろぉか?」

一方通行「はァ? なンか言ったァ? いくら俺の脳が優秀たァ言っても豚の言語は理解できないンですよォ。ざァンねンでしたァ」ヘラヘラw




―――プチッ!




垣根「ぶっ殺す!!!!!!!」―――ブァサァッッ!!!


一方通行「ハッ! やる気かァ? 上等上等ォ! 残り少ねェから一瞬で片付けてやンよォ!!」カチッ



美琴「………ち、ちょっとぉ!? 二人とも……」



一方・垣根「―――死ねェェええええええええ!!!!!」ウラァァァァァ

572 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:21:16.84 ID:wSsCnGc0 [10/15]

―――ドゴッ! バキャ! ズガン! メリッッ……




美琴「わわわわ………ど、どうしたらいいってのよ……」




二人の乱闘を見慣れていない美琴はオロオロする。結局、美琴では能力開発やら実験やら暗部やらで青春に飢えた二人の怪物を
止めるのには荷が重すぎた……。

――と、そんな彼女の横にはいつの間に現れたのかもう一人の影が………




上条「テメェら………性懲りもなく……」




―――コレ(乱闘)を唯一止められる主人公(ヒーロー)の右拳は、ワナワナと怒りで震えていた。




美琴「―――!?」




美琴が隣りにいる事に気づいて声をかける前に、上条は学園都市ツートップの乱闘で巻き起こった粉塵へと足を踏み出していた。
ここから先の事はもう説明するまでもない………。




――――――

573 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:26:11.90 ID:wSsCnGc0 [11/15]

「――しっかし……たまたまにしては出来すぎじゃねえか? ここまでカブるなんてさ……」





―――いつも通り右拳で暴動を鎮圧してからニ十分後、状況をザッと理解した上条の第一声がそれだった……。
ちなみに、美琴と御坂妹の喧嘩の原因については『食い違った意見のすれ生じた口論』とだけ説明した。
『垣根と初春の状況』『一方通行と御坂妹はショッピングデートを変更』『美琴は上条を気絶させた後に鉢合わせて口論』
『見失った姉妹を捜索している内に垣根達と鉢合わせ』
……上条が知ったのはこんなところだ。
なお、姉妹が入れ替わったことなどの面倒な話は一切省略した。
脚色は多少アリだが、上条はこの説明でとりあえず納得してくれた。咄嗟に上手く美琴の気持ちなどを隠した説明が出来る辺り、
流石は第一位だ。
内心で一方通行に精一杯感謝するものの、美琴は上条の目をまだ見れずにいた……―――。






一方通行「――俺も驚いたわ。いきなりコイツ(超電磁砲)が俺らの前に現れンだからよォ」

垣根「――けどまぁ、大事になんなくて良かったじゃねえか」

上条「………すまん、御坂。俺…誤解してたみたいだ。てっきりお前がどうかしちまったんじゃないかって……」

美琴「ううん……私こそ、ゴメン……つい熱くなっちゃって…」


一方通行「ンで、妹はどォした?」

上条「あぁ、多分まだ林の方にいるんじゃねえかな……御坂、アイツにも後で謝っとけよ?」

美琴「うん……分かってる…」




俯いたまま美琴は答えた。

574 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:28:42.74 ID:wSsCnGc0 [12/15]

一方通行「………」

垣根(何か知らねえが……上手いこと収まったみてぇだな。それは良いとして、かざりん達は結局どこ行ったんだ?)


上条「でさ……あの、後で……話があるんだけど……いいか?」

美琴「えっ……う、うん……何?」

上条「後でな。二人だけで……話したいんだ……ダメか?」

美琴「わ……わかった…」(な、何何何!? 何なの!? すごい気になる……)


一方通行「―――オイ、ところでよォ三下ァ」


上条「(ビクッ)……ハ、ハイ! 何でしょうか……?」(嫌な予感……)



一方通行「クソガキはどォしたァ?」ギロリ



上条「」




――上条には、言い訳をするための莫大な時間が必要とされたが、目の前の白き友はそれを待ってくれそうに無かった……。

575 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:31:23.72 ID:wSsCnGc0 [13/15]

~~オマケ~~




※本編とは関係ねェンだよォォ!!





上条「なぁ……お前、俺とだんだんカブってきてねえか?」

一方通行「はァ? どこがだよ?」

上条「イヤ、どこがって……自分の頭見てみろよ」

一方通行「頭? 何か問題あンのか?」

上条「あるだろ! 色は白いままだけど、何で髪の毛ツンツンさせてんだ!?」

一方通行「これァ……気分だ」

上条「嘘つけ! 長さも毛量も! まんま俺の髪型と色違いじゃねえか!!」

一方通行「ンだよ。悪ィのかァ? イイじゃねェか『白ウニ』」

上条「イメチェンは良いけど……このタチ具合……どう見ても俺だよなぁ…」サワサワ

一方通行「あ!? オマ…ッ! 触ンなよ馬鹿! 潰れンだろォが!」

上条「くっそォ! 俺の十八番(オハコ)の説教スキルまで身につけやがってぇぇ……お前はどこまで俺に依存する気
   だぁぁぁ!?」

一方通行「周囲に誤解生むから言葉選ンでくンねェ? あと、身についたワケじゃねェぞ? やってはみたが……俺にァ
     無理だった。とても恥ずくて最後まで言えたモンじゃねェわ。やっぱオマエすげェよ」

上条「ほう、中身が真似れないからって外面を真似る気かぁ? だからオマエもウチの高校の制服着てんのかぁぁ!?」

一方通行「イヤ……コイツはよォ……っつか、俺はたださァ…」

576 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/24(土) 20:34:14.47 ID:wSsCnGc0 [14/15]

上条「この上髪を黒く染めるようなことだけはすんなよ!? お前がお前じゃなくなるぞ!?」

一方通行「………ダチってのは……互いのファッション真似たりとかもすンのかなァ…って思っただけなンだがよォ…」

上条「―――え……?」

一方通行「……やっぱ……違ったみてェだな……悪り。着替えてくるわ。髪も寝かしてくっからm」

上条「ま、待て! 俺が悪かったよ! ………そうだったなんて知らなくてさ…」

一方通行「いンや、気にすンな。いくらダチって言ってもよォ。よく考えりゃこンなン気持ち悪いだけだよなァ」

上条「………イヤ……すまん。けど何で急に?」

一方通行「あァ、あのメルヘンが『真の友達ってのは互いの格好を真似r』」


上条「よし、わかった。それなら今からソイツを殴りにいこうか」




―――――三十分後




垣根「」チーン






                                  ~~終~~…?

585 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 19:37:16.46 ID:1CiqVVQ0 [2/16]
―――上条当麻は冷や汗を悟られないように一方通行からの問いに答えた―――



上条「えーっと………その……なんと言いますか………」




―――ハズだった……。




一方通行「……まさかオマエ……クソガキとシスター放っぽり出したまンま存在忘れてましたとかほざく気じゃあねェだろォなァ?」ギロッ


上条「あ………アハハ…」




後頭部から背中まで、滝のような冷や汗で埋め尽くされる。




美琴「そう言えば……姿見ないわね……」

垣根「マジかよ……そりゃあヤバイぞ上条…」




後ろから他人事のように呟く二人……。




一方通行「―――さ・ン・し・たァァァ……」

586 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 19:39:34.31 ID:1CiqVVQ0 [3/16]

上条「も、申し訳ありm―――ぶべ!!?」




――ゴッ!




―――謝罪に入り始めた直後、上条の視界は白い右拳で塞がれた。




―――――――




一方通行「………オマエ、無責任って言葉くらい聞いた事あるよなァ?」

上条「返す言葉もございません……」




殴られた額を押さえながら反省の態度を見せる上条……。




一方通行「クソガキもそォだけどよォ、シスターから目ェ離しちまうたァどンだけ抜けてンだよ? なァ?」

上条「……………」




上条が一方通行に説教されているというこの珍しい光景を、垣根と美琴は黙って見守った。

587 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 19:43:34.30 ID:1CiqVVQ0 [4/16]

一方通行「この前シスターが拉致されたばっかなの、もォ忘れたンかァ? この上クソガキまで誘拐でもされてみろォ……
     どォだ? オマエの行き着く先が見えてきたかァ?」

上条「あの世……です」

一方通行「ン。で? あの世までの護送担当は?」

上条「一方通行……です」

一方通行「オーケェ。そこまで頭が回るンなら、ソレを回避するためにオマエが今やらなきゃならねェ事も当然分かってるよなァ?」

上条「ぜ、全力で打ち止め! 及びインデックス捜索活動に入ります!」

一方通行「……減点5」

上条「―――必ず見つけます!!」

一方通行「ン、プラス5点。……ハイ、あとクチより先に動かすのはナンでしょう?」

上条「―――足ですっっ!!」ピューーーーー




その台詞をきっかけに、上条は短距離走選手も顔負けのスタートダッシュでその場から駆け出していった……。
一方通行はそれを見送ると、美琴の方を向き―――




「オイ、三下ひとりじゃアテにならねェ。オマエも一緒に行ってやれ」




―――と、言った。

588 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 19:46:08.38 ID:1CiqVVQ0 [5/16]

美琴「ホントに……ありがと…」

一方通行「ばァか。気にすンなってさっき言ったろォ。ホラ、さっさと行けよ。三下見えなくなっちまうぞ?」

美琴「う、うん!―――」




――こうして、美琴も上条の後を追いかけていった……。残された垣根と一方通行は二人の姿が消えた直後、ゆっくり息を吐く。




垣根「やれやれ。上条もしっかりしてるようでどっか抜けてるよなぁ……ま、とりあえずは落ち着いたか…」

一方通行「オマエは何もしてねェだろォが…」

垣根「はぁ!? ひっで! お前おんぶして空から捜してやっただろぉ!?」

一方通行「あァハイハイ。感謝してやる。してやるからとっとと忘れろ」

垣根「むぅ………あ、ところでお前、バッテリーは大丈夫なのか?」

一方通行「オマエのせいでだいぶ無駄にした」

垣根「そりゃテメェが悪いんだろ?」

一方通行「オマエもな。………まァ、帰るまではもつだろ。心配ねェよ」

垣根「そっか、ならいい。テメェを背負って帰るのなんざご免だからな」

589 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 19:50:55.96 ID:1CiqVVQ0 [6/16]

一方通行「気が合うなァ。俺もオマエに背負われて帰るくらいだったら路上で野たれ死ンだ方がまだマシってモンだ」

垣根「あ?」

一方通行「おォ?」



………………。



垣根「ちっ……今はこんなことしてる場合じゃねえな」

一方通行「……あァ、そォだな」

垣根「とりあえず、俺はかざりん達を捜しに行くが…お前は?」

一方通行「……俺は妹を捜す。今日は元々アイツと約束してたンだ。放っておく訳にはいかねェよ」

垣根「んじゃ、またs――」


「――あぁー!! いましたよ!」

「――ホントだ! お~い!!」


一方通行「……あン?」

垣根「お?」




振り向いた視線の先には、遠くからコチラに向かって走ってくる佐天と初春の姿があった。
こうして、四人は再び再会を果たす……。

590 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 19:52:35.87 ID:1CiqVVQ0 [7/16]
―――――




初春「さ、捜しましたよ~!」

一方通行「はァ? 戻って来たらオマエらがいなくなってたンだろォがよ」

佐天「いや~、すいません。つい思い出しちゃって……」

垣根「今までどこ行ってたんだ?」

佐天「え? そりゃあ御坂さんと妹さんを全力で捜してたに決まってるじゃないですか~」

初春「佐天さん、事情も分からない私のことグイグイ引っ張って行くんですもん……」

佐天「ゴメンゴメン。私も慌ててたからさ。けどちゃんと止まって話したじゃん」

初春「百メートルは引きずらされましたけどねっっ!!」

佐天「アハハー…」




いつもの調子でやりとりをする佐天と初春に、二人とも内心で安堵した。
プンプンと頬を膨らませる初春を適当にいなした佐天は思い出したかのように二人の方を見る。




佐天「あ! そうだ、御坂さんと妹さんは?」

一方通行「超電磁砲の方はもォ心配要らねェが、妹はまだだ」

591 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 19:54:32.78 ID:1CiqVVQ0 [8/16]

初春「え……?」

佐天「終わったんですか?」

一方通行「まァな。とりあえず安心しろ」


佐天「…………」


一方通行「ってワケだ。後は俺ひとりでアイツ捜すからオm」


佐天「じゃあ私も手伝います!」ガシッ


一方通行「……は?」




いきなり腕を掴んでそう言った佐天に一方通行の思考が止まる。




佐天「だって、私にもすこ~しばかり責任があるじゃないですか! このまま妹さんを放っておくなんてできません!」




真剣な表情で佐天は言う……が。




一方通行「……オマエに何の罪があンだよ? 超電磁砲にも言ったが、オマエらが気にする事は何もねェ。後のフォローも
     俺がしっかりやっとくから、心配すンな」

592 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 19:58:16.43 ID:1CiqVVQ0 [9/16]

佐天「そぉいう問題じゃないんです! とにかく私も一緒に捜しますから! イヤって言っても聞きませんよ?」




言っても無駄! とばかりに佐天の腕に力が込められる……。能力オフの状態なので、若干痛い。




一方通行「はァ………っつかよォ」

佐天「そ・れ・に! 私達は恋人(嘘)なんですよ? 彼女を放って他の女の子を捜しに行くなんて感心しませんねぇ……あ~くん♪」

一方通行「――!?」

垣根「ぷっ……」




そこで一方通行は、佐天との架空の関係を思い出した。
吹き出す垣根の方はひとまず後回しにする。




一方通行(オイィ!! それが嘘だってことは言ってねェのかよ!? このアマァァ!!)

佐天「ね♪ だから一緒に捜しましょう」

一方通行(ぐ……ちっきしょォォォ……)




―――と、その時……黙って聞いていた初春も便乗しようとする。

593 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 20:01:07.98 ID:1CiqVVQ0 [10/16]

初春「あの…それなら私達も一緒に…」

佐天「ダーメ。初春達は初春達で楽しみなよ。『私ら』のことは心配しなくて良いからさ♪」

一方通行(この女……)

初春「でも! ここでサヨナラじゃ気になって楽しめないですよ! それに、人数多い方が早く見つかります!」

佐天「う……」



初春「ですよね? カッキーさん」



一方通行「!?」

垣根「あぁ、まぁ……って!?」

一方通行「カッキーさン……だァ?」

垣根(し、しまった…ッ!)

初春「……?」

佐天「へ…?」





一方通行の反撃タイムは思わぬところからやってきた……。

594 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 20:03:52.20 ID:1CiqVVQ0 [11/16]

一方通行「ふゥン……カッキーさン……カッキーさンねェ…」ニヤリ




その目は最高のイタズラを思いついた少年のように怪しく輝いていた。




一方通行「まァ確かに。頭数多い方が早く見つけられンのァ事実だよなァ。そうは思いませン? カッキーさァン?」

垣根(テメこのやろ……ここぞとばかりに……)




コメカミをピクピクさせるも……帽子で見えない。引きつった口元も、マスクでしっかりと隠されていた。




初春「?」

佐天(何この空気…)


一方通行「ンじゃあまァ悪いけどォ、そこまで言うンなら協力してもらおォかなァ。文句はねェよな? カッキーさンよォ」

垣根(な、殴りてぇ……こ、こいつ…)




完全に先ほどとは逆の構図となっていた……。




垣根「…オイ、あんま調子に乗ってんじゃねえぞ? あーくんよぉ」

一方通行「え? なンか言った? カッキーさン」

垣根「……ッ」ピキッ

595 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 20:07:56.13 ID:1CiqVVQ0 [12/16]

佐天「あ…あの~……妹さん捜しに行かないんですかぁ…?」




何やらよく分からない内に一触即発の空気が生まれている中、おそるおそる佐天が発言する。
ちなみに初春は佐天の後ろで小さくなっていた。




一方通行「おっと、そォだ。こォしちゃいられねェわ。じゃあ行くか……あの馬鹿妹捜しに―――」




そう言って一歩踏み出そうとしたまさにその時―――――。




「―――それには及びません。……と、ミサカは存在を主張します」


「!!!?」




全員その声に驚いて顔を向けると……確かにそこには御坂妹が立っていた。立っていたのだが………。




御坂妹「馬鹿で悪かったですね……ってかお前に言われたかねーよ。とミサカは黒モードに移行します」


一方通行「オマエ……いつからそこにいたァ!?」

596 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 20:12:50.15 ID:1CiqVVQ0 [13/16]

御坂妹「……実は、先ほどからこっそりと潜んでいました。途中からですが、会話もしっかりと聞かせていただきました。
    しかし驚きです。まさかあなたに…すでに『恋人』がいらっしゃったとは……いやちっとも知りませんでしたよ。
    とミサカは内心怒りを………クッ……残念ながら……もう抑えきれそうにありません……………ッッ!!」





いつの間に拾ってきたのか……御坂妹はさっき落としたはずの銃をコチラに向けて、指を震わせていた。
コメカミもよく見るとピクピク震えており、唇は強く噛みしめられていた……。
そんな妹の憎悪に満ちたオーラを見れば、この状況が非常にヤバイという事を理解しない者は誰一人としていなかった。




一方通行(あァ……なンかさっき見たなァこのパターン…)


佐天(……デジャブ…)


初春「ひいっ! な、な、な…」


垣根「あー……こりゃあ……」




もはや考えるまでもないと言った顔で諦めたかのように内心呟く一方通行……。

『一難去って、また一難』という言葉を表情で語る佐天涙子……。

完全に腰を抜かしていてもはや考えるどころではない初春飾利……。

ポリポリと顔を掻きながらこの先の展開を予想して言葉を失う垣根帝督……。




―――それぞれがそれぞれの反応をしている内に……『核』は投下された。

597 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 20:15:11.24 ID:1CiqVVQ0 [14/16]

御坂妹「―――こうなったら、あなた達を殺してミサカも死んでやるゥゥううううううッッッ!!!!!!!」


「―――!!!?」ダッ




御坂妹の突然の叫びとともに、四人は一目散にその場から走り出した。(初春は垣根に抱きかかえられた)




――――ドパラタタタタ!!!




初春「――ひえぇぇ!!? う、撃ってきましたぁぁ!!!」

佐天「――あ、あれライフルじゃなかったんですかぁ!? マシンガンじゃないですかぁぁ!!」

一方通行「――知るかァ!! ンなことイイから早く逃げろォ!!」

垣根「――うわぁっ!! な、なんで俺までぇぇ!!?」


御坂妹「うわぁぁああああああああああああああ!!!!!」ドパラタタタタ…


佐天「説明しなくて良いんですかぁ!? あ、でもやっぱそれは……」チラッ

初春「な、何ですか佐天さん!? ってきゃあっ!? 危な…っ!!」

598 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/25(日) 20:16:47.28 ID:1CiqVVQ0 [15/16]

一方通行「どっちにしろ今は聞く耳持っちゃいねェだろォ! だァあ!? 掠ったァ!!」

佐天「ひゃああ!! こ、殺されるゥゥううう!!!」

垣根「うおぉ!? オイ一方通行ぁぁ! なんとかしろぉぉ!!」

一方通行「だからもォ電池切れ寸前だっつってンだろォがァ!! って、うわァあ――!?」


御坂妹「みんな、みんないなくなれぇぇぇえええええ!!!」ドパパパパパ……




「ーーーーーーー!!!」ドドドドド

「~~~~~~~!!!」ダダダダダ




逃げる四人を滅茶苦茶に乱射しながら追い回す御坂妹……この鬼ごっこが約十分余りも続く事を想定できる程余裕のある人間は
今この場にいなかった。




―――あァ、もォ………ほンっとうにめンどくせェ―――




ちなみに、今日一日で一方通行がいちばんそう思ったのは、まさにこの時だったそうだ……。





~『姉妹喧嘩編』・完~

美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」-4
に続く

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