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美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」

一方通行「友達って最高だよなァ」上条「まぁな」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1277636346/l50 4スレ目

上条「ブラック苦ッッ!」一方通行「…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276074792/l50 3スレ目

一方通行「足引っ張ンなよ三下ァ」上条「おう!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1275384032/ 2スレ目

一方通行「友達になってやンよ」上条「ハイ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1273633562/l50  1スレ目

3 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:00:06.72 ID:b2z3MdA0
と、その前に…自分なりに今までの主な人間関係を簡単にまとめてみました。



上条当麻…基本好きな子はいないが、美琴の自分への想いに気づきかけて少し意識している。

一方通行…上条と同じく誰が好きとかはない。打ち止めは親バカのようなもの。何故か最近よくフラグが建つ。

禁書目録…当麻ラブなのだが、気づいてもらえず…。美琴をライバル視しているが、よくご馳走になるので無下にもできない。

御坂美琴…コチラも当麻ラブ…のはずなのだが、最近一方通行がやたら気になるらしい。

白井黒子…お姉様(美琴)一筋。一方通行には感謝の気持ちを抱いている。その内『お兄様』とか呼びそうだ。

御坂妹(10032号)…美琴と同文だが、コッチの方はすでに重症である。そのうち14510号にガチで刺されそうだ。

打ち止め(20001号)…一方ラブ。10032号の想いに気づいているが、渋々容認している。

垣根帝督…好みのタイプは巨乳系お姉さん。固法とのデートを期待したのだが、何故か初春とデートする事に……。

初春飾利…自分を助けたカッキー(垣根帝督)に惹かれつつある…が、自分にとって因縁が深い相手だとは気づいていない。

佐天涙子…かっこいい彼氏募集中。初春を心配してデート先までついてきた。絶賛勘違い中。

浜面仕上…滝壺と交際中。

滝壺理后…はまづらの正式な彼女。

???

???


…こんなトコでしょうか。勿論、現在までですので、この後も色々進展する予定です!
いきなりちょっとだけMNWネタ入りますが……構いませんかね?

7 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:11:17.98 ID:b2z3MdA0
―――MNW内



一方×10032 in 水族館デート


230:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
っつかさぁ…最近、10032調子乗ってね?

231:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18071
>>230 まぁまぁ…あれから感覚共有ちゃんとしてるし…今は何故か切られてるけど

232:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19832
>>230 あの実験終わった記念すべき番号なんだからちっとは大目に見ようや
>>231 プライベートなんだしずっと共有するのはキツイだろ

233:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17859
ご乱心だな…

234:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11298
>>230 本人来るかもだからレス控えろとあれほどry

235:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
漏れあいつに病院で殴られたんだが…

236:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19832
>>235 お前は自業自得

まぁ気持ちは分かるが抑えとけ。
運営様も我慢してんだぞ?


8 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:14:46.57 ID:b2z3MdA0
237:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
>>234 >>236 は?そんなのミサカの知ったこっちゃねぇし

238:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11543
>>237 うわwwwばっさりwwww
こうなった14510は誰にも止められねぇ

239:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10033
けど確かに最近アイツばっかりおいしい思いしすぎじゃね?

240:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16520
>>239 便乗者はこうしてゆっくり増えていくのだった…

241:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18264
10032は明らかに図に乗ってる
闇討ちなら手伝ってやってもいいぞ

242:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16238
>>241 ご来日乙wwwwwww

243:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
スネークいる?

244:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
何だ?

245:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12743
来んの早ぇなオイ


9 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:16:15.68 ID:b2z3MdA0
246:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
アイツら今どんな感じ?どうせ遊園地ダブルデート編の時みたいに後つけてんだろ?

247:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
10032とお姉様が入れ替わった
意図は…分かるな?

248:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
……は?

どゆこと?

249:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13218
意味がわかりません

250:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19832
それよりも14510が怖い件について

251:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11231
同じボートでワニに触ったスネークに死角はなかった…

252:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10090
つまり……どぉいう事だ?

253:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17600
だぁかぁらぁ!お姉様がセロリに心傾いてるってことだよ!…多分な




―――ミサカ一同「なん…だと…?」

10 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:19:17.84 ID:b2z3MdA0
―――女子トイレ付近で待ちぼうける杖つきの男…



「――アイツ遅ェなァ。……一体いつまでかかってやがンだ?」



――少しイラついた声で呟きながら壁にもたれ掛かる一方通行。
もう十分以上も経っているのに、まだ戻って来ない御坂妹……。



「……まさか……何かあったンじゃねェだろォな…?」



見た目はレベル5のお嬢様。何か起こっても不思議ではない。



「チッ……」



仕方ねェな、と舌打ちをして歩き出そうと壁から体を離す一方通行。
しかし、足を動かす直前で彼に声がかかる。



「――よっ、待たせてゴメンなさい。とミサカはぁ……えーっと……謝罪します!」


「――!」



声のした方に首に向ける……そこにはどこかオドオドしてるように見える御坂妹の姿があった。



一方通行「……あァ?」

12 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:21:46.13 ID:b2z3MdA0
御坂妹?(うっ……気づかれた…?)




内心ビクビクしているのが見て分かる……。
彼女本人は平静と無表情のつもりらしいが、それがまた逆に滑稽だった。
ここが明るい場所で、なおかつ人の喧騒も少ない場所ならすぐに一方通行はその様子に疑惑を
抱いただろう。しかし、彼は不機嫌な顔をして「おっせェンだよォ。行くぞ」と言っただけだった。





御坂妹?(ホッ……何とかセーフだったみたい……)




―――――




美琴「アンタに……お願いがあるんだけど」ニコォ

御坂妹「………は?」




いきなり怪しい笑みを浮かべる『お姉様』に妹は戦慄した――。




美琴「アンタさぁ……アイツ(上条)に会いたくない?」

御坂妹「………どういう意味ですか?とミサカは首を傾げます」

13 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:24:27.93 ID:b2z3MdA0
美琴「実はね、今アイツと一緒に来てんのよ。二人ほどコブ(禁書・打ち止め)付きだけどね…」

御坂妹「……なんと!とミサカは恐ろしい偶然に唖然とします…」

美琴「アンタは一方通行と今一緒なのよね?とミサカは確認します♪」

御坂妹「何故急にミサカの真似を?……って、お姉様まさか!?」

美琴「勘の良い妹で助かるわ。そのまさかよ」ニィ…

御坂妹「で、ですがミサカはあの方と念願のデート中です。幾らお姉様と言えど……とミサカは弱気ながらも拒否を示します」

美琴「大丈夫♪ちょっとの間だけよ。私だって、アイツ(上条)と一緒にいたいし」(デートじゃないのが残念だけど……)

御坂妹「うぅ……」

美琴「面白そうでしょ?ホントにちょっとだけで良いから!ね?アンタもアイツに会いたいでしょ?」

御坂妹「わかり……ました…とミサカは涙をのn」

美琴「はいストップ!今からそれ禁止ね!どうせならバレない様に完璧に入れ替わるのよ!とミサカは発言します」

御坂妹「……その場合は『発言』ではなく『指摘』もしくは『提案』が的確では?とミサカはお姉様の言葉選びセンス
皆無さに呆れます」

美琴「うっ……結構難しいのね。アンタややこしい喋り方してんじゃないわよ!」

御坂妹「ミサカに当たられてもぉ……とミサカは理不尽な怒りn」

美琴「だからやめろっつってんでしょうがぁ!!……と…ミサカは激怒します」

御坂妹「………」グス

美琴「あ、あとその丁寧な喋り方も無しね?とミサカは………追加します」

御坂妹「わ……わかったわよ……これで良い?」(鬼…)

14 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:28:47.00 ID:b2z3MdA0
美琴「おぉ完璧!やれば出来るじゃない♪」

御坂妹「むしろソッチの方が心配よ。丁寧な口調なんて、果たしてアンタに出来るのかしらね…」

美琴「は!常盤台のお嬢様ナメ…ないで欲しいものです。とミサカは………胸を張ります」

御坂妹(だから間が長ぇんだよ!何だその違和感だらけの口調!?お前の方が全然出来てねぇじゃねえか!とミサカは
内心で罵言雑踏を浴びせます)

美琴「さ、早くゴーグルを頂戴(よこ)して下さい。とミサカは手を……んと……差し出します」

御坂妹(コイツいつか殺す……たとえ返り討ちにあっても殺す……こんな出来損ないミサカをあの人の所へ行かせたくない……
とミサカは納得できないままお姉様に従います……チクショォ…)




―――こうして二人の少女は入れ替わり、それぞれ反対の方向へと解散した。
御坂妹は「絶対復讐してやる…」と力んだ様子で上条達の待つ場所へ向かっていった…。




―――――



――上条達と合流した美琴(御坂妹)




禁書「短髪ー!ご飯食べに行こう!」

美琴(御坂妹)「も、もうそんな時間か……まぁ良いけど」

15 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:31:41.42 ID:b2z3MdA0
上条「よし、あそこのシーフードレストランでどうだ?」

禁書「おぉ!さすがとうま!分かってるかも♪」

上条「だろー?………ん?」

打ち止め(ねぇねぇどういう事?何で10032号が……?)

御坂妹(ミサカにも色々と事情があるのです。お願いですからどうかご内密に……)

打ち止め(よく分かんないけど……分かった。ってミサカはミサカは聞き分けの良さをアピールしてみる)

御坂妹(さすが上位個体!とミサカはグッと親指を突き立てます)


上条「おーい、二人とも何してんだ?早く来ないと置いてくぞー?」

御坂妹「い、今行くから待ちなさいよ!」(うぅ……やり辛ぇ)

打ち止め「あっ!待ってー!」(…ん?って事は、本物のお姉様はまさか……ってミサカはミサカは青ざめた顔で
不吉な展開を推測してみたり…)



打ち止め以外には何とかバレずに溶け込めたようだ。しかし――



御坂妹(問題はお姉様……とてもすごく心配です…とミサカは不安を隠せません)



寂し気な表情のまま御坂妹は、一方通行と美琴がいるであろう方向に振り向いた……が、何やら決意に満ちたような
顔つきになり、すぐ前を向いて上条達の後ろについていく……。



御坂妹(もしもあの人に変な真似をしたら……その時は……いくらお姉様でも……とミサカは闘いの覚悟を決めます)



――複雑な姉妹喧嘩の幕が下ろされそうになっている事に、ひと足先を歩く鈍感少年はまだ気づかない。
もっとも、今回は彼が当事者ではないのだが……。

16 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:33:31.62 ID:b2z3MdA0
―――――その頃…


―――御坂妹(美琴)の方も無事(?)一方通行と合流した。
妹の密かな闘争心などは眼中に入っていないのか、それとも気づいていないのかは定かではない。
そんな事よりも、ボロを出さないように必死で妹の口調を真似る姉の姿は見ていて微笑ましいものだった…。




一方通行「――オイ、オマエ腹減ってねェか?」

御坂妹(美琴)「そ、そう言えば少し空きましたね…とミサカはお腹を摩ります」

一方通行「ここら辺にレストランみてェなモンがあったろォ?そこで休憩兼ねてメシにすンぞ」

美琴「は……はい。とミサカは賛同します」



一応違和感なく出来るまでになってきた事に、内心でガッツポーズをとる美琴……。



美琴(よしっ!大丈夫!バレてないバレてない…)


一方通行「……何してンだ?オマエ」

美琴「ななな、何でもありません!とミサカは首を横に振りますっ!」

一方通行「?………なら早く行くぞ。腹減ったンだよ俺はァ」

美琴「あっ、待ってくださいー!っとミサカは慌てて後を追います!」

17 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:37:59.96 ID:b2z3MdA0
一方通行(……何考えてンだコイツ?)

美琴「………」ニコッ



怪訝な表情で自分を見てくる事に同情し、思わず笑って誤魔化そうとしてしまう美琴。
さらに誤魔化そうとしているのか腕に抱きついてくるが、敢えてスルーする。
シーフードレストランへと入店する二人……。
当然、この店には――




禁書「とうまとうま!鉄火丼おいしいよ♪」

上条「インデックス、お前限定で『腹二分目』という言葉を今作ったぞ」

御坂妹「何それ?語呂悪いわねー…」

打ち止め「シスターちゃん。海老食べる?」

禁書「くれるの!?ありがと、らすとおーだーッ!」

上条「インデックスならここの魚全部平らげそうで怖いな……」

御坂妹「言えてる……」

禁書「むっ!失礼なんだよ!そこまで食べないもん!」プンスカ



―――――



一方通行「何だ?奥が騒がしいな…」

18 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:40:14.06 ID:b2z3MdA0
美琴「や、やっぱり別の店にしませんか?とミサカは提案します」(まさかアイツ等……ヤ、ヤバイ!)

一方通行「あァ?何でだよ?」

美琴「イ…イヤ。何か落ち着かないというか……」

一方通行「ンなの何処行ってもおンなじだろォが。別ン所まで歩く気になンねェし、もォここで良いだろ?」

美琴「は……はい……ならこちらへ!とミサカはあなたの腕を引っ張ります!」(あぁーもう!!)

一方通行「――は?オ、オイ!?何しやがンだコラァァ!?」




―――大分離れた席




美琴(よし……ここなら…)


一方通行「何なンですか一体ィ……?」




ホッと胸を撫で下ろす美琴……しかし一方通行の言葉を聞いた途端、再び彼女の心拍数は上がる。




一方通行「ンで、これは一体何の真似ですかァ?超電磁砲(レールガン)」


美琴「―――んなッッッ!!!??」




一方通行(……オイオイ、まさかホントにバレてねェつもりだったのかよ……)




一方通行は驚愕する美琴を呆れた目で見つめた……。

19 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:43:35.15 ID:b2z3MdA0
垣根&初春……+佐天―――





――――目的の駅に到着した電車からは二人……少し離れてもう一人の若い男女が降りた所だった。
人混みに流れるように歩く三人は、駅を出てさらなる目的地マリンランドを目指して歩いていた。




佐天(着いたか……人多いけど見失わない様にしなきゃ!)




構図的には初々しいカップル(男はマスクにニット帽だが…)、そしてもう一人はそれに負けないほどに
怪しい姿(伊達メガネにニット帽)と歩き方で二人を追跡していた。見失わない様、多少距離を縮めているが、
流石に二人の会話が聞こえる位にまで接近する勇気はなかった――。


――そんな親友の影ならぬ苦労など知る術もなく、初春は垣根との会話に熱中していた。




垣根「水族館か……考えてみたらあんま行ったことねえな」

初春「そうなんですか?楽しいですよー!あそこのイルカショーは好評ですから♪あとシャチやジンベエ
ザメもいるんですよ!私シャチ大好きなんですよねぇ……カッキーさんは好きな海洋生物いますか?」

垣根「……クリオネかな」

初春「へ?」

垣根「クリオネ…いんのかな…?」

初春「いやぁ……どうでしょうね……?けど、いるなら私も見てみたいかなぁ……可愛いですよね♪
けど何でクリオネなんですか?」

20 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/04(日) 19:45:04.76 ID:b2z3MdA0
垣根「何か共感できるから…だな。ナガスクジラも捨て難いが」

初春「地球上で二番目に大きいクジラですか……それはさすがにいないですよぉ」

垣根「やっぱそぉだよなぁ……けどシャチも好きだぞ」

初春「ホントですかぁ!?どんな所が良いと思います?」

垣根「昔見た自然番組か何かでさぁ…」

初春「うん、うん!」

垣根「アシカみてぇなのが数匹くらい砂浜にいたんだが、シャチがいきなり砂浜までやってきてそいつ等に
グアーッと襲い掛かって行ったんだよ!あれ見てビビッと来たね俺!」

初春「あー!それ分かりますっ!海にそのまま引きずり込んだヤツですよね?」

垣根「そうそう、ビックリだよな?あんなデケェのが砂浜までやってくるなんて普通思わねえもん」

初春「初めて見た時は衝撃受けましたよ~」

垣根「俺もだよ。あれこそ『海の殺し屋』にふさわしいよなぁ……飼いならすのって難しいんだろぉな」

初春「イルカさんも野生のは人を噛むみたいですよ?」

垣根「マジで!?それビックリだわ!イルカは完全に人間の仲間ってイメージなのによぉ…」

初春「頭が良いから、すぐ無害な人間は分かるみたいなんですけどね」

垣根「……なぁ、俺思うんだけどさぁ。イルカなら能力使えたりできんじゃね?」

初春「さぁ、どうなんでしょうね」




――話題が尽きる事もないまま、二人は水族館に到着した。
そこまでついてきて、佐天は今頃あることに気づく。




佐天(はっ!…よく考えたら……一人で入るのって何か恥ずかしいかも……)




気づいた所で、もうどうしようもなかった……。

74 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 22:05:15.85 ID:RvcT41E0 [2/17]
一方通行&御坂妹(美琴)―――



――トイレで偶然遭遇した御坂妹と面白半分(?)で入れ替わった美琴だが……一方通行にあっさりと
見抜かれてしまった。
「とりあえずメシだ」と一方通行が告げてから会話もなく、若干の気まずさを漂わせながら昼食を済ませた二人。


※ちなみに、同じレストランにいた上条組は二人に気づく事なくすでに店を出た。


――食後のコーヒーで喉を潤した一方通行は、美琴に切り出す。



一方通行「……とりあえず訊くが、オマエはこンなトコで何してる訳?」

美琴「……えーっと………あはは♪」

一方通行「オイ、笑って誤魔化すな。正直に言え」

美琴「………」




もはや誤魔化しの通じる空気ではなかった……。観念した美琴は白状する。




美琴「アイツと……一緒に来てたのよ……」

一方通行「!……オイ……つまり三下もここに来てンのか?」

75 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 22:10:12.14 ID:RvcT41E0 [3/17]


美琴「……うん」

一方通行(…っつー事は、クソガキもここに来てるって訳か……マジかよクソォ…)




刑事さながらに頭を抱える一方通行……それに対し、美琴はどこか低姿勢で前かがみ気味になる。
そんな取り調べ室のような空気に居心地の悪さを覚えるが、一方通行の尋問は続く。




一方通行「ンで、本物の妹は……まさか三下と一緒か…?」

美琴「………うん」




まるでサスペンスドラマに出てくる犯人が最後に逮捕された時のような表情で肯定する美琴。
一方通行は目をさらに鋭くして尋ねる。




一方通行「何でこンな真似をした?」

美琴「言わなきゃ……ダメ?」

一方通行「はァ?ダメに決まってンだろォ」




正直なところ、美琴は遊び半分とは言え普段こういったイタズラはあまりしない。
美琴自身、何故入れ替わりを御坂妹に提案したのか……よく考えれば謎だった。
確か、その時は『面白そう』だからといった気持ちが強かったのだが、今は何故かそれだけではない気がする……。

76 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 22:19:32.62 ID:RvcT41E0 [4/17]
美琴「ゴメン………ちょっとからかってみようって思って……」

一方通行「あン?要はただのイタズラって訳かァ?」

美琴「そ、そんなつもりじゃ……とにかくゴメン」




しょぼん…と俯いたまま謝罪する美琴を見ている内に、一方通行も居心地の悪そうな顔になって横を向いた。
ここまで素直な美琴は一方通行にとって珍しいので、調子が狂う。しかし、結果的に言えばデートの邪魔をした美琴が悪いのも
また事実だった。




美琴「………ちょっと待ってて。すぐ、アイツ(妹)とチェンジしてくるから―――」




そう言って席を立とうとする美琴を一方通行が呼び止めた。




一方通行「――まァ待てよ。誰も『今すぐ戻れ』なンつってねェだろォが」

美琴「――?」




美琴は立ち上がらずに一方通行の顔を見つめる……。意外な声を聞いた…とばかりに首を傾げている。
そんな彼女に一方通行は、少し穏やかな表情になって口を開いた。




一方通行「……オマエ、三下と上手くいってねェのか?」

77 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 22:31:32.65 ID:RvcT41E0 [5/17]
美琴「えぇ!?ちょっとい、いきなり何訊いてんのよ!?別に私はアイツとまだ付き合ってる訳じゃ――」

一方通行「俺が訊いてンのは、『あれから全く進展がねェのか』って事だ。…ンで、どォなンだよ?」

美琴「どうって………」



それから少し考え込む美琴。一方通行も再び彼女の口が開くのを待つ。
だが……次第に美琴の表情はどんどんと曇っていった……。そして、彼女は表情から読み取れる分かりやすい結論を口に出す…。




美琴「………何も…ない……かも…」ズーン…



どうやら思い返して落ち込んでしまったようだ。その彼女の様子に一方通行は「はァ…」と溜息を吐く。



一方通行(やっぱりなァ………コイツは普段ならこンなくだらねェ真似するよォなヤツじゃねェ。つまり、自分で気づかない内に
相当参ってンのか………仕方ねェ。ここはとりあえずコイツの愚痴でも聞いて―――――?)




そこまで考えてふと美琴を見ると……何やら様子がおかしい事に気づく。
心なしか、彼女の周りに黒いオーラのようなものが見えている……気がした。




美琴「アイツ……やっぱり私なんかには興味ないのかな…」



フッ…と、何かを諦めたように吐く美琴。その目はどこか虚ろだった。



一方通行「オイ、何弱気になってンだよ?……らしくねェぞ?」

美琴「ううん…………何となくだけど……分かるんだ。アイツの目には、今……私なんか映ってないんだって…」




それをきっかけに、まるで何かの栓が抜けてしまったかのように負のオーラを纏い始めた。
彼は今までこんな後ろ向きな彼女を見た事がない。一方通行は嫌な予感に内心で冷や汗をかき始めた。

79 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 22:39:50.30 ID:RvcT41E0 [6/17]
美琴「そりゃそうよ……もう出会って半年以上も経ってんのに……私のこと未だに名字で呼ぶし……私もアイツの名前
呼べないし……用がない時しか連絡くれないし……コッチから勇気出してメールしても無視するか適当だし………私に
何も言わないで危険に首突っ込むし…………結局、何も…相談してくれないし…」

一方通行「オ…オイ」



雲行きがどんどん怪しくなってくる……が、美琴は今までよっぽど我慢していたのか、更にぼやき続ける。




美琴「そりゃあね……私みたいな敬語もまともに使えないガキなんかに……魅力なんて感じないかもしれないけどさ……
一緒にいたって……楽しくなんかないかも……しれないけどさ……」

一方通行「……な、なァ……オマエ」

美琴「…けど……それでも………アイツと…一緒にいると嬉しくて……ヒクッ……うれ……しく…て…」ポロポロ


一方通行「――!?」


美琴「どうし……てよぉ……どうして……アイツは…気づいてくれない……のよぉ……うぅ…グスッ……うううう」ポロポロ


一方通行(な、何ィィィィいいい!!?)




――美琴の中で、今まで押さえていた気持ちが……ついに崩壊した。
目から大量の涙が零れ、両手で顔を押さえるが……嗚咽交じりの泣き声は全く押さえられていない。
周りの席からの痛い視線が一方通行に突き刺さる。


ナンダヨ? ケンカカ?
オイオイ、アンナカワイイコナカセテルヨ…
シュラバカヨー?


一方通行(う、嘘だろォ!?俺なンか悪い事訊いちまったのかァ……?オイオイ待てよ……っつーか………どォ…
どォすりゃ良いンだ!?こンな展開望ンでねェぞ俺はァ!)

80 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 22:47:25.80 ID:RvcT41E0 [7/17]
目の前で号泣する女子中学生。周囲からの厳しい視線……。どうやら彼は完全に地雷を踏んでしまったらしい……。
軽く相談に乗ってやるつもりだったのだが……一体どうしてこうなったのか?と、一方通行は思うが……ひとまずは、
この今までで全く味わった事のないシチュエーションに自分はどうしてやるのが一番良いのかを真剣に考える事にした。
そして、しばらく思考した後――――




一方通行「………………」スクッ カチッ




―――突然立ち上がり、首元のスイッチを能力使用モードにする。直後に伸縮自在の杖も縮める。
それから……一方通行はテーブルの上に食事代を置くと、号泣中の美琴の腕を掴んで立ち上がらせた。




美琴「――ヒック……な…なにすんのよぉ…?」


一方通行「……イイから、ついてこい」




涙声で抗議する美琴の声を無視し、一方通行は美琴の腕を掴んで歩き出す。抵抗する気力は今の彼女に無かった…。
そのまま店を出た二人は、人から見えなくて暗い場所までやってきた。もっとも、少し歩けばすぐに館内のルート、
つまり通路に出るのだが、一方通行はわざと美琴の姿が他の通行人から見えないように立った。美琴の体が一方通行
と壁に挟まれる。暗いせいで泣き顔はうっすらとしか見えない。




一方通行(ここなら良いだろ……)


美琴「――ヒクッ……グス……もぉ……なんなのぉ……」




美琴は依然泣き止まない。一方通行はそんな彼女の体を―――



美琴「―――ッッ!!?」

81 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 22:55:18.91 ID:RvcT41E0 [8/17]
――包み込むように…優しく抱きしめた。




一方通行「………泣けよ」


美琴「///………えっ?」




突然の抱擁に涙で濡れる目をパチクリさせる美琴。


驚いて一方通行を見上げようとするが……がっちりと、力強く……それでいて優しく抱きしめている彼の細腕のおかげで
それ以上頭を動かせなかった。




一方通行「今なら誰もオマエを見てねェし、俺が誰にも見せねェ。だから思う存分泣けよ」


美琴「…ア……クセラ………レータ?……///」




見下ろさずに、正面を見ながら美琴の頭を優しく撫でる一方通行。その表情は美琴からは見えない……。




美琴「あ………」


一方通行「安心しろ。俺も見ねェ………見ねェけど、そばにいてやるよ」


美琴「…………」


一方通行「今はこれ以上何も訊かねェし、オマエが泣き止むまでずっといてやっから……もォ何も心配すンな」

83 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 23:01:46.69 ID:RvcT41E0 [9/17]
美琴「―――――ッッ」ポロポロ




肩を震わせて、再び溢れ出した涙を隠すように、美琴は一方通行の胸に顔を埋めた―――――。

一方通行は……それ以上何も言わず、抱きしめた腕にぎゅっと力を込めた―――――。




―――――――




―――それから十分後




一方通行「――オイ……そろそろイイだろォ?もォ離すぞ?」

美琴「……ん……もぉちょっと…」

一方通行「オマエもォ泣き止ンでるだろォが」

美琴「……ひどい顔してるから………ヤだ」

一方通行「ヤだ、じゃねェ!おら、イイ加減離れろっての!」

美琴「ば、馬鹿何すんのよ!?顔見えちゃうじゃないの!」

一方通行「暗くてろくに見えやしねェよ。っつか、トイレ行きゃ良いだろ?」

美琴「無理。遠い。そこまで行けない。ってか、それじゃ見えるでしょ?アンタ馬鹿?」

一方通行「もォ知るか!俺は先行くから、後は勝手にしろよ」

美琴「ち、ちょっと!アンタ、私をこんな所に一人で置いてく気!?一体どぉいう神経してんのよ!?」

84 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 23:09:34.34 ID:RvcT41E0 [10/17]
一方通行「………オマエなァ……」




「はァ…」と本日何度目かの溜息を吐きながらも、美琴の頭をなんだかんだ言って離さない一方通行……。




一方通行(三下の役回りは……俺にはちっと…イヤかなり荷が重いぜ。ったくよォ……大体なンだってこの俺がこンな
照れ臭ェことしなきゃなンねェンだ?どこぞのスカシ野郎じゃあるまいし………あァ、全部三下のせいだ。とりあえず
会ったら一発殴っとくか……)





――そんな事を考えていると、美琴が突然訊いてきた。




美琴「――ねぇ、アンタ……何で私が妹の方じゃないって分かったの?」




――ちゃんとこれも借りてきたのに……と美琴は額のゴーグルをアピールする。
が、すぐに答えは返ってきた。




一方通行「馬鹿が。俺を誰だと思ってンだ?どっかの鈍感野郎と一緒にすンな。オマエと妹じゃ、
そもそも質が全く違うだろォが」

美琴「何よ……それ…」ムッ

一方通行「オマエらの見分け方なンざ腐るほどあるっつー訳だ。『最強』を嘗めンなっつの…」

美琴「アイツも……そんぐらい鋭かったら良いのに……」

一方通行「ハッ、ソイツは生まれ変わっても無理だろォな」

86 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 23:16:59.10 ID:RvcT41E0 [11/17]
美琴「…………だよね」ギュッ

一方通行「オイ、なァに力込めてンだァ?っつーかマジでそろそろ離れてくれませンかァ?」

美琴「それにしてもアンタ細っそいわねー。せめてもうちょっと胸板が欲しいわ。ちょっとは鍛えたら?」

一方通行「つか聞けよ。あと余計なお世話だ。そしてホント離れろコラ。オマエもォすっかり元気じゃねェかよ!」グイグイ

美琴「や…ちょっと押さないでよ!」

一方通行「なら今すぐ離れろ」

美琴「……フン…///」ギュッ

一方通行「……あァ……もォ好きにしろォ」

美琴「言われなくても好きにするわよ馬鹿」

一方通行「ずいぶン口の悪いお嬢様だなァ…」

美琴「うっさい」

一方通行「……チッ、……もォ少しだけだかンな」

美琴「………ホント……アンタがアイツだったら良かったのに…」ボソッ

一方通行「あァ?何か言ったか?」

美琴「な……何でもないわよ!/////」

一方通行「………?」

美琴「い、良いからホラ!もっとぎゅーってしなさい!/////」

一方通行「してるっつの……ったく」ギュッ




――結局、それからさらに数分ほど二人は抱き合ったままだった。

87 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 23:21:10.61 ID:RvcT41E0 [12/17]
上条&美琴(御坂妹)&禁書目録&打ち止め―――




御坂妹(ムッ、何やら嫌な予感が……とミサカは身震いします)

上条「――ん?御坂、どうかしたのか?」

御坂妹「え?あ、あぁ…何でもないわ。それより次は何がいるかしらね~♪」

上条(……何か挙動不審だな御坂のヤツ……さっきの店で変な魚にでも当たったのか…?)





――レストランを出て先を進む四人。上条は自然と美琴(御坂妹)を見るのだが、その違いに若干の
違和感を覚えていた。と言っても、「急に物腰が柔らかくなったな…」程度の違和感である。
まさか中身そのものが別人である事にはまだ気が付いていないようだった。





禁書「――あ!見て見て!外だよ!」

打ち止め「ホントだー!ってミサカはミサカは前からの光に目を細めてみる!」

禁書「暗い所より、やっぱりお日様の下が良いかも♪」

打ち止め「そうだね♪ってミサカはミサカは同意してみたり」




上条と美琴(御坂妹)は元気に先へ進む幼女二人の後ろをゆっくり歩く。
少し距離はあるが、禁書目録と打ち止めの先からは確かに外の光が見えた。
ここから屋外へ一旦出る訳だ。いわば館内の中庭である。





上条「お、外に出るのか……何か不幸な予感がしなくもないが……とにかく出ますか」

御坂妹「………」(外に出たらバレないでしょうか…?とミサカは危惧します)

88 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 23:24:43.02 ID:RvcT41E0 [13/17]
上条「……御坂?」

御坂妹「あ……あぁうん、そうね。やっと外の空気が吸えるわ」

打ち止め「…………」

禁書「とうま。外なんだよ!」

上条「あー、ハイハイ分かってるよ」




―――禁書目録と打ち止めを先頭に、一同屋外へ。


――屋外では、いきなり人気の動物が上条達を出迎えた。




禁書「あぁー!ペンギンさんがいるよ!」

打ち止め「うわー!可っ愛いぃー♪ってミサカはミサカは駆け寄ってみたり」




先頭を行く二人の少女は無邪気である。
前方に見えるペンギン広場に元気良く走っていく姿は見ているだけで和む。
上条はその様子に温かい笑みを浮かべていた。




上条「ったくアイツら……転んでも知らねえぞ。……御坂、俺らも行こうぜ!」

御坂妹「う、うん!」(信じてますよ、お姉様…)




――上条達は、しばらくペンギン広場で心を癒していた。

89 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 23:28:57.31 ID:RvcT41E0 [14/17]
垣根&初春…+佐天――




――初春と垣根はすっかり打ち解けたようである。水族館に入った後も二人に沈黙は殆どなかった。
垣根も自分を偽るのを忘れて素になってしまう程に楽しい時間が続いた。実際、この初春という少女は自分が
思っていたより話しやすいし、一緒にいて落ち着く。普段は気弱だが強い心を持っていることは垣根も知って
いたが、こうして近くで喋っているとまた違った一面も見えてくる。
自分とは違い、本当の意味でこの子が天使に見えるくらいだ……。
過去が無ければ……あんな出会い方じゃなければ………と垣根は後悔していた。
そう、彼は………彼女にまだ『素顔』を曝していない。いや、曝せない――――。




垣根「白黒イルカってあんな泳ぐの速ぇんだな」スタスタ…

初春「さっきからカッキーさんの歩くペースも速いですよ!もう少しゆっくり行きません?」

垣根「俺は焦らされんのは嫌いなんだよ。カッキーの『K』は攻撃の『K』だからな」

初春「さっぱり意味分かんないです!」

垣根「……自分でも分かんねえや。――――お?次は熱帯魚か……ニ番目にしては意外とソフトだな」


――さりげなく二番目にこだわるカッキーこと垣根帝督。



初春「うわぁぁ……綺麗ですねぇ~……」ウットリ

垣根「これほどデカくはねえが、俺の前住んでたトコも魚買ってたぞ」

初春「何て魚ですか?」

垣根「グッピー」

初春「………ぷっ」クスクス

垣根「えっ?俺なんかおかしいこと言った?」

91 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 23:33:37.50 ID:RvcT41E0 [15/17]
初春「だって……そんな見た目のカッキーさんから……『グッピー』だなんて……ククッ………垣根さん自分の
服装自覚してますか?」

垣根「もちろんだ、自覚はある」

初春(なんか言い慣れてるなー……)



―――約数メートル背後



佐天「あ!ネオンテトラだ!これ欲しいな~、前から買ってみたかったんだよね~♪…………ってそうじゃなくて!」



何やら一人漫才を始めているのは、ニット帽に伊達メガネのパッと見地味な少女。その正体は―――



佐天「――ズバリ私、佐天涙子でありますっ♪」キラーン


初春「――え?」クルッ


佐天「――ッッ!!!」サッ



――振り返った初春の目には、見知らぬ他人しか映っていなかった。



垣根「ん?急に振り返ってどぉした?」

初春「いえ……何か聞き覚えのある声が……」

垣根「友達でも来てんのかもよ?」

初春「………?」

垣根「お、デケェ水槽発見!行こうぜかざりん」タタタタ

初春「え?あ、待ってくださいよ~!」タタタタ

92 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/06(火) 23:38:54.26 ID:RvcT41E0 [16/17]
ハヤクコイヨ! サメガイルゼ!

マッテクダサイッテバァ!



佐天(……あっぶねぇぇ~~!もう少しで見つかるトコだったじゃん……っていうか私、誰の声に
反応したんだろ……?)



咄嗟に水槽の陰に隠れて難を逃れた佐天はバクバクいってる胸を手で押さえながら安堵の息を吐いた。
ひょい、と顔だけ出して二人の様子を見る。



佐天(初春……本当に楽しそうだな………もしかして、私の思い過ごしだったのかも……あの人、
服装は変だけど、今んトコ初春を騙してるような感じはしないし………)



垣根の表情は分からない……というか見えないが、感じられる雰囲気からか…佐天は自分の起こした
アクションは、ひょっとして無駄だったのではないか?と思い始めた。



佐天(初春があんなに楽しんでるんだもん……きっと悪い人なんかじゃないよ。………あの人のこと…
私も信じよっかな…)



佐天はそのまま…二人に背を向ける。自分がもうここに居る意味はない…と悟ったのだろう。
最後に、もう一度二人の方へ振り向く。



佐天(私もいつか彼氏できたら、あんな風に……なれるといいなぁ…)



遠くから初春の表情を眺めながら佐天は羨ましそうな……そしてどこか寂しそうな顔をした。



佐天(と、言う訳で、私の任務はここまで!あとは……上手くやんなよ!初春)



――心の中で親友を激励した佐天は、ゆっくりとその場を後にした…。

103 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:19:26.26 ID:sJ3G/iw0 [2/18]
一方通行&美琴―――――



―――女子トイレ前




「――クソったれが……上着がビショ濡れじゃねェか」




美琴の涙ですっかり染みついてしまった黒いコートを一方通行は見ながら言う。
彼の服に染みをつけた小悪魔は化粧室からまだ出てこない。
一方通行は壁に寄りかかって待っていた。



―――――



美琴「――ゴメン、待った?」

一方通行「別に。もォ良いのかよ?」

美琴「うん。顔、変じゃないよね?」

一方通行「俺が知るか」

美琴「ムッ、何よアンタ。さっきから何怒ってんの?」

一方通行「別に怒ってねェよ」プイ

美琴「………バッテリー消費したのは悪いと思ってるけど、……アンタがd」

一方通行「うるせェ黙れそれ以上言うな。っつかもォ忘れろ今すぐ忘れろ……」




――心なしか、ソッポを向く一方通行の顔が若干赤く見える。
とある主人公(ヒーロー)よりは鋭い美琴はポンと手を打ってニヤつく。

104 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:21:30.63 ID:sJ3G/iw0 [3/18]
美琴「ふーん………アンタ、恥ずかしいんでしょ?キャラに合わないことしちゃったもんだから、
照れ臭いんでしょお?」ニヤニヤ

一方通行「……うぜェ」




――だが図星。もし今ひとつだけ願いを叶えられるとしたら、彼は迷うことなく「時間を巻き戻したい」
と願うだろう……。
目の前で…それも他人のいる場所で泣かれるという『イレギュラー』があったとは言え、あの対処は
やはりするべきではなかった。
自分がしたことながら思い出したくもないが……美琴にいつもの笑顔が戻ったのでまぁ良しとしよう…
と、無理矢理思考を止める。




美琴「あー、何か久々に泣いたらすっきりしたわ。みんなには内緒だからね?」

一方通行「そりゃそンだけ出しゃあなァ……オマエも、余計な事言うンじゃねェぞ?特にあのツインテールにはな」

美琴「……言わないわよ。じゃあ二人だけの秘密…ってことで」

一方通行「……まァ良い。ンで、オマエはこれからどォすンだ?」

美琴「一応、また入れ替わる時は妹に連絡して呼ぶことになってるけど……」




「妹と一緒が良いなら戻るけど?」とでも言うように携帯電話を取り出す美琴。しかし、一方通行は―――



一方通行「……行くぞ」

美琴「――え?」




――背を向けて、一緒に来るよう促した。

105 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:23:19.51 ID:sJ3G/iw0 [4/18]
一方通行「折角だから、このままもォ少し付き合ってやンよ。オマエが俺と一緒でイヤじゃなかったらなァ」

美琴「…………ない」

一方通行「あァ?」

美琴「イヤなわけないっつってんのよ馬鹿!何度も言わすな!///」

一方通行「……そォかい。ンじゃあとっとと行くぞ。どォせならとことン楽しまねェと損だろ?」

美琴「う…うん」ニコッ




――ギュッ




一方通行「………オイ」

美琴「何よ?」

一方通行「誰も『腕組ンで歩こう』なンて一言も言ってないンですけどォ……」

美琴「ありがたく思いなさい。この美琴様が、今からアンタとデートしてあげるって言ってんの。デートって言ったら普通、
腕組んで歩くもんでしょ?」

一方通行「ンだそりゃあ……」

美琴「~~~♪」




一気に上機嫌になったお嬢様は、横で呆れ顔をする一方通行にべったり寄り添ったまま歩き出す。

106 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:25:14.49 ID:sJ3G/iw0 [5/18]
一方通行「歩き辛ェ……」

美琴「ちょっと!しょっぱなから何失礼なこと言ってんのよ!?普通そういうのは口に出さないもんでしょうが!」

一方通行「仕方ねェだろ!右は杖で左はオマエだぞ!?しかもオマエくっつき過ぎなンだよォ!ちったァ周りの目とか
気にしねェのか!?このあばずれ!」

美琴「だ・れ・が・あばずれだぁ~~……」バチ バチ

一方通行「うぉ!馬鹿オマ…密着状態で放電すンな!チクチクすンだろォが!!」

美琴「………ふんっ」




プイッと横を向くが、体がしっかり密着したままなのはご愛嬌。勿論、腕が離れることもなかった。




一方通行(…………なァンでこンなことになってるンですかァ?誰か教えてくれェ…)




一方通行は非常に困っていた。が、無理矢理振りほどく事もできるはずがないので、結局このままにしておくしか無かった……。





上条&美琴(御坂妹)&禁書目録&打ち止め―――



「――ペンギンさんと別れるのは辛いかも…」




――そう呟いたのは禁書目録。上条達は水中を泳ぎまわったり、氷の滑り台を仲良く順番に滑ったり、ヨチヨチと歩いたり
するペンギン達にすっかり癒されていた。

107 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:26:47.83 ID:sJ3G/iw0 [6/18]
上条「まぁ、確かに可愛かったよなぁ……」

御坂妹「ぬいぐるみみたいだったわねぇ…」

打ち止め「また会いたい!ってミサカはミサカは再会を志願してみる」

上条「帰りにまた通るから、その時な」

打ち止め「うん!」

御坂妹「さて……この先は何があんのかしら?」

禁書「あっちに大きなカメさんがいるよ♪」

上条「そっちにはホッキョクグマだ……デケェ、ホントにクマかよ…」




上条&打ち止めがゾウガメ、美琴(御坂妹)と禁書目録がホッキョクグマへと分かれる。




打ち止め「ねぇ、あのカメさんに乗れるかなぁ?ってミサカはアナタの手を引いてみたり」

上条「え?……うわ!デカッッ!!これカメなのか!?確かに甲羅被ってるけど……まるでガメラだ」

打ち止め「あ!一匹コッチに来た♪ってミサカはミサカは手を伸ばしてみたり」




御坂妹(ホッキョクグマ……この子の名前は……『ウシ』…クマなのに、『ウシ』……へへ)ニヤニヤ

禁書(……何か短髪が気持ち悪いんだよ)

108 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:33:08.60 ID:sJ3G/iw0 [7/18]
美こ……いや、御坂妹が怪しい笑いを浮かべている後ろでは―――




上条「お、おい打ち止め!危ないからダメだって…」

打ち止め「大丈夫だよ。そこに『是非おさわり下さい』って書いてあるもん。ってミサカはミサカは看板を指してみたり」

上条「あ…本当だ」

カメさん「…………」ノソノソ

打ち止め「………うわ、かたーい…ってミサカはミサカは立派な甲羅を撫でてみる…」サワサワ

上条「………おぉー、これ何で出来てんだろ?殴っても壊れなさそうだ…」サワサワ

カメさん「…………」クルリ

打ち止め「あ、コッチに首向けた」

上条「え?」

カメさん「」カプッ

打ち止め「あ」

上条「」




不幸少年上条は、『学園都市が生んだ混合生物・ゾウワニガメ!危険ですので手を伸ばして触れるのはおやめ下さい!』
と「正しい字」で書かれた真横の看板に最後まで気づく事はなかった……。

109 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:36:33.57 ID:sJ3G/iw0 [8/18]
禁書「短髪ぅ……なにがおかしいのかな?不気味なんだよ?」

御坂妹「いえ、あの真っ白なシロクマさんの姿をあの人に重ねたら、脳内でとんでもない駄作になりました。とミサカは表情を緩めて答えます」

禁書「その言葉使い……もしかしてクールビューティー!?」

御坂妹「――し、しまった!とミサカは口に手を押さえます…」

禁書「なんで?どういうことなの?短髪は?」

御坂妹「………いえ、実は―――」



~~説明中~~



御坂妹「――と言う訳です。とミサカは全ての自供を終了します」

禁書「あくせられーたもここに来てるなんてすごい偶然だね…」

御坂妹「ミサカも化粧室でお姉様と鉢合わせた際はさすがに驚きました。それにしても、イタズラ好きな姉で困ったものです」

禁書「とにかく、とうまには内緒ってことでいいんだよね?」

御坂妹「はい。上位個体はもう知ってますし……ミサカの予想では、お姉様の方ははすでにバレているでしょう。とミサカは
推測します」

禁書「あくせられーたはとうまと違って鋭いもん。多分私もバレてると思う」

御坂妹「……………」

禁書「あれ?ってことは、二人が入れ替わってること知らないのってとうまだけじゃないかな?」

御坂妹「そうなりますね。とミサカは肯定します」



ギャァァァアアアアア!!! フコウダァァァァァ!!! イテテテテテテ!!!

ダ、ダイジョウブ!? ッテ、ミサカハミサカハサリゲナクソノバカラヒナンシテミタリ



禁書「とうまはたぶん気づかないと思うよ……」

御坂妹「同感です。とミサカは叫び声を敢えてスルーします。何があったのか大体想像つきますし」

110 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:42:01.23 ID:sJ3G/iw0 [9/18]
禁書「少しはハンセイした方がいいかも。とうまは無神経なんだから」



テ、テガァァァァァ!!! イデデデデ!! コ、コイツハナサネエ!! ナンテチカラダ!!

ヒッパルヨリ オシタホウガイイカモ ッテミサカハミサカハアドバイスシテミル



御坂妹「…………どうします?とミサカは同居人に処置を問います」

禁書「…………うーん、しょうがないから助けてあげよっか」




――結局、三人がかりで引っ張ってようやく上条の手はカメの口から離れた。
神(カミ)の力をはね返す『幻想殺し』もカメの前では無力だったようだ……。




垣根&初春――――(佐天離脱)




―――巨大水槽『海景色』前




「――この神秘な空間の前に常識は通用しねぇ……」




――思わず、目の前の光景にそう口走った垣根に初春は吹き出す。




初春「ぷっ……何ですかぁ?その感想……っ」

垣根「いやぁ、こりゃ目の保養になるわ。さすがに言葉がねえよ」

111 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:44:58.09 ID:sJ3G/iw0 [10/18]
初春「ホントですよね~。綺麗………あ!サメが来ましたよ!」

サメ「………」スィーー…

垣根「眼光ハンパねぇな……」

初春「ちょっと怖いですね」

垣根「お、ダイバーがエサ上げてるぞ!」

初春「うわ~……すぐ横にサメいますよ。怖くないんですかねぇ…」

垣根「そりゃ慣れてんだろ。……けど良いな………俺もやりてぇ」

初春「私はイヤですけど…」

垣根「―――あ、すんません」

係員「はい、どうされましたか?」

初春「?」




たまたま近くにいた係員に声をかける垣根に、初春は嫌な予感を感じる。




垣根「俺もあんな感じでサメにエサやりたいんすけど」

初春「――はぁ!?ち…ちょ、カ、カッキーさぁぁん!?」

係員「お客様……申し訳ございませんがそれは…」




係員の至極当然な反応。しかし、そこで引き下がる垣根帝督ではない。
驚いた顔の初春を尻目に垣根は係員に何やら耳打ちをした。そして―――

112 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:49:46.31 ID:sJ3G/iw0 [11/18]
垣根「っつー事で、よろしく♪」

係員「……かしこまりました。では、こちらへどうぞ」

初春「――えぇぇぇぇ!!?」



――訳が分からない内に勝手に話が進み、ついていけない初春の手を引いて垣根は係員の後についていく。
そして、係員を含む三人は『関係者以外立ち入り禁止』と書かれた扉へ入っていった……。




初春「カッキーさん……どういう事ですか……?」

垣根「ここの経営者は俺の親戚なんだよ」(って事にしておこう)

初春「そ、そうだったんですかぁ!?……で、でもぉ……大丈夫なんですか?それにこういうのって……」

垣根「細けぇこたぁいいんだよ。それより折角の貴重な体験だぜ?どぉせならサメにチューでもしてみなよ」

初春「え……それってまさか……」

垣根「ん?」

初春「――私もやるんですかぁぁああ!!?」

垣根「当然♪」




――しれっと答える垣根帝督。忘れてはならないが、この男に常識は通用しない。
全く予想外の展開に、初春は口をただパクパクさせるしかなかった。

113 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 20:56:15.99 ID:sJ3G/iw0 [12/18]
佐天―――



(はぁ~あ……けど、お金払ってここまで来たんだし……それじゃあ何か勿体無いよなぁ…)




――親友がサメ入りの水槽送りにされそうになっている事など知る由もない佐天涙子はひとり入り口付近で立ち
つくしていた。もう追跡の必要はないと勝手の判断した佐天は、一人でこんな場所にいても意味はない。と帰
るつもりでここまで戻ってきたのだが……何故か彼女はゲートを潜れずにいた。




佐天(折角だし………どうせなら、お魚いっぱい目に焼き付けて帰ろっかな。イルカやシャチも見たいし!一人だけど!)




―――もう開き直る事にしたらしい。

―――その場でクルリと反転し、再び館内を進もうとする佐天はいきなり誰かとぶつかった。




――ドンッ!




??「イタッ!」

佐天「あうっ!」




――正面からもろにぶつかり、思わず両者から声が漏れた。
数秒後、ぶつかった頭を押さえる佐天に声がかかる。




??「―――ゴメンなさい。怪我はないかしら?」

佐天「――は、はい!コッチこそすいません!」

114 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 21:00:59.57 ID:sJ3G/iw0 [13/18]
聞こえてきた『落ち着いた声』に佐天も慌てて謝罪する。
佐天と向かい合うように立っていたのは、自分よりは間違いなく年上であろう、大人びた女性だった。



佐天(うわぁ……綺麗な人ぉ……)




思わず見とれている佐天に女性が声をかけた。



??「…あの…大丈夫?」

佐天「は……はい」

??「そう、ちょーっと貴方に訊きたいことあるんだけど…」

佐天「な…なんですか?」

??「コイツ、見なかったかしら?確かここに来てるハズなんだけど……」



――そう言いながら見せてきた写真には、チンピラのような風貌の若い男が写っていた。
当然、佐天はその男に見覚えがない。



佐天「……すいません。ちょっと見てないですね」

??「そう……わかったわ。……時間とらせてゴメンなさいね。それじゃ――」



――そのまま颯爽と去っていく女性。佐天が「あ…」と声を出した時にはすでに姿が見えなくなっていた。



佐天(大人っぽい人だったなぁ……大学生かな?)



――佐天は館内を再び進み始める。女性も館内へ歩いていったから、また見かけるかも知れない。
その時はまた声をかけてみよう。と何故か意気込んでいたが……案外その時は近い事を彼女はまだ知らなかった。

117 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 21:06:11.09 ID:sJ3G/iw0 [14/18]
――――マリンランド内の広いレストラン




――この水族館内は、かなり広い。故に幾つもの施設が設けられている。ゲームセンターやショップなどは勿論、映画館まで
あるほどだ。それだけ豊富に備わったこの施設はまさにデートスポットである。カップルが多いのも当然と言えば当然だ。
勿論、複数のレストランも各所に備わっている。浜面仕上と滝壺理后は、その中でも特に多い客席数を誇るレストランの奥席
にいた。彼等も周りのカップル同様、今日は確かにデートでここに来たのだが……実はこの二人、これからある『人物達』と
会うという別の目的があったのだ。何故この場所なのかは無論理由があるのだが……。
ともあれ、もうすぐ待ち合わせの時間が近づいている。浜面は落ち着きなさそうに時計を見た。




浜面「――もうすぐか……何か緊張してきた……『アイツら』本当に来んのかな?」

滝壺「――大丈夫。もうすぐ来る。あと四、五分くらいかな………」




二人ともどこか落ち着かない空気を放っている。
ドリンクを飲むペースも、そのせいか少々早い気がした。




――そして、数分後……浜面と滝壺が向かい合う席へ、止まる事なく進んでいく二人の姿があった。―――




??「――あれ?結局お二人の方が早かったって訳?」

??「――うわー、超お久しぶりですね!二人とも!元気してました?」




――金髪碧眼の女子高生と、ニットのワンピースにコートを羽織った少女が奥席のカップルに遠慮なしに声をかけた。

118 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 21:10:45.49 ID:sJ3G/iw0 [15/18]
フレンダ…能力不明。元『アイテム』の構成員。麦野に真っ二つにされ、死んだはずだが………?


絹旗最愛…『窒素装甲(オフェンス・アーマー)』の大能力者。元『アイテム』の構成員。




――二人の少女は彼等が座っている広いスペースのある席に迷う事なく着席した。
その動作は速く、浜面と滝壺は反応が遅れるも二人に笑顔を向ける。





浜面「――おぉっ!来たか!二人とも元気そうだな!」

滝壺「――きぬはた、フレンダも久しぶり……」ニコッ

絹旗「なっ!?……た、滝壺さんが……笑ってます……超奇想天外です…」

フレンダ「……しかも、心なしか前より色気が出てる気がするんだけど……」

浜面「オ、オイ?何で俺を睨むんだ……?」

絹旗「浜面!滝壺さんをここまで変えたのは浜面なんですね!?浜面の癖に超生意気過ぎます!」

浜面「……は?」

フレンダ「結局、二人はもう誰も入り込めないほどラブラブって訳か……」

浜面「イヤ、お前ら……何ヶ月ぶりかの再会でいきなりそれっすか!?それってどうなの!?」

絹旗「滝壺さん!浜面に超変な事されてませんか!?」

浜面「するかッッ!!」

滝壺「はまづらは優しいよ?……いつも優しくしてくれる……///」

119 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/07(水) 21:14:37.98 ID:sJ3G/iw0 [16/18]
――頬を赤く染める滝壺の隣りでフレンダは額に手を置いて残念そうな表情をした。





フレンダ「あちゃー、すでにもう手遅れって訳ね…」

浜面「だぁぁあ!?お前も何言ってんだ!?」

絹旗「バニープレイは……?」

滝壺「………」コクリ

絹旗「浜面超殺す!!」

浜面「何故今のやりとりだけで!?」

フレンダ「結局、浜面は相変わらずキモいって訳よ」

浜面「えぇぇぇ……」

滝壺「大丈夫……バニープレイが好きなはまづらも、私は好きだから…」


絹旗・フレンダ「わーお♪」


浜面「え///あ……」

絹旗「おやぁ?…顔が超赤いですよ。今のは肯定と捉えて良いんですね?」

フレンダ「フフフ♪詳しく訊く必要があるよコレは…」

浜面「」





一応周囲の席にもお客さんはいるのだが……彼女達を相手にするとそんなことは完全に忘れてしまう浜面であった。
周りの注目にも気づかずに大声で必死に自分を弁護しているその姿が何よりの証拠である。

189 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 18:46:41.94 ID:GLeG4ro0 [2/19]
垣根&初春―――――



――初春飾利は窮地を迎えていた。自分は今、どういう訳か関係者しか来ることはないであろう場所に居る。




初春「……………」




初春はダイバースーツを着用している。ゴーグル越しに見えるその目は、どこか現実を忘れたような……
そんな目だった。彼女の目の前には生簀、というよりは釣り堀のような『海景色の入り口』が映っていた。
綺麗に透き通っている水の中には無数の魚影が見える。時々にょきっ、と突き出るサメの背びれが初春の
恐怖心を余計に刺激した。今から自分はこの中に入るのだ。




初春(どぉしてこうなった……んでしょう…?)




その疑問の答えとなる人物、垣根帝督は隣りにはいない。ダイバースーツを着るのに何故か彼は、個室に
入っていってしまったのだ。初春は垣根が戻るまで、水槽の真上で呆然としながら魚影を目で追っていた。
しばらくそうしていると―――




垣根「お待たせ~♪」




――向こうからダイバースーツを身に纏った垣根が戻って来た。初春動揺すでにゴーグルを装着している
垣根はすっかり上機嫌だった。初春は垣根に対し、許しを請うかの様な目で訴える。




初春「………やっぱり無理ですよぉ…」

垣根「大丈夫大丈夫、怖くねぇって」

190 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 18:52:05.58 ID:GLeG4ro0 [3/19]
これから危険地帯に入るというのに、まるで緊張感のかけらも見せない垣根に初春はなおも
食い下がる。



初春「だって……サメもいるんですよぉ…?」

垣根「はい、これそのサメのエサ」




そう言って渡されたのはバケツに入った大量のフライドチキンになる前の様な生肉だった。




初春「えぇぇ!? わ、私があげるんですかぁぁ!?」

垣根「ん? そうだが?」




またもしれっと答える垣根に初春は今すぐ突き落としたい衝動に駆られる。




初春「い、言い出したのはカッキーさんなんですよ!? …ここはカッキーさんがやるべきだと…」

垣根「いやぁ、俺もそう思ったんだが……折角の機会なんだし体験させてやろうかなと…」

初春「じじじ冗談じゃないですよぉぉ!! 絶対無理ですぅ!!」




首を横に振り、必死に拒否する初春。

191 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 18:57:23.55 ID:GLeG4ro0 [4/19]
しかし、垣根は軽い調子を崩さない。




垣根「まぁまぁ、サメに餌付けなんてそうそうできる事じゃないぜ? 良かったなぁ、かざりん」

初春「ちっとも良くないし、やりたくありません!!」

垣根「わ、わかった。わかったからそんな怒んなよ……」




本気で…というか死に物狂いで抗議する初春の剣幕に、流石の垣根もたじろいだようだ。




初春「……わかってくれれば良いんです」

垣根「しょうがねぇ。んじゃ半分肉貰うか…」

初春「全然わかってないぃぃぃいいいい!!!」




ダイバースーツ姿で地団駄を踏む初春の滑稽な抗議も空しく、ついにその時は来た。
酸素ボンベと足ヒレを装着し、係員の注意も受けてようやく準備が完了した。もう逃げ場はどこにもない。
垣根は、覚悟を決めたのか隣りで断続的に深呼吸している初春の手を掴む。




垣根「――んじゃ、行くか。レッツダイビング♪」グイ

初春「――え? ちょ! ま、まだ心のじゅ―――!?」



―――ドボン ドボン



そして、初春の心の準備が終わらない内に垣根は彼女の手を引いたまま水槽の中へと消えていった。
初春の最後の悪あがきは、着水音と共に儚く消えたのだった―――。

192 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:03:25.68 ID:GLeG4ro0 [5/19]
―――水中




――ゴボゴボ……ゴボッ




初春(うわぁ………)




一般の客ではまず見ることはない景色に、初春は言葉を失くしていた。
人口施設だというのに、どこか神秘的な……そんな光景が目の前で広がっている。
それに、垣根が自分の手を引いて水中をどんどん進んでくれるおかげで、彼女に殆ど負担は無かった。




初春(きれい………)ゴボッ…




様々な色をした魚がすぐ間近にいる。手を伸ばせば届きそうなほどに……。
そんな初めての体験に思わず顔が緩む……………が、夢の時間は短かった。




初春(ひいっ!? サ、サメ―――!!)ゴボゴボゴボ…


垣根(すげぇ……こりゃあすげぇわ…)




一方、後ろでサメと睨めっこ状態になり気絶寸前になっている初春を尻目に、垣根は自分の世界に浸っていた。

193 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:06:59.49 ID:GLeG4ro0 [6/19]
垣根(なんつーの……こう………あぁ、とにかくすげぇ…)ゴボッ




今までグロテスクなものや、汚いもの、総称して『闇』を見て生きてきた垣根にとって、目の前の景色はあまりに
美し過ぎた。そんな彼が、この光景に対して言葉が出てこないのも無理はないのかも知れない……。
ここで翼でも生やせば、彼は間違いなく神のように見えるだろう。周りの風景はそれを引き立てるのには充分だった。
ダイバースーツである事を除けばだが……。




垣根(っと……そろそろだな)サッ




――突然水中のド真ん中で泳ぎを止め、肉を取り出す垣根。サメがうようよいる場所(ポイント)までやって来たのだ。
あっという間に二人は無数のサメに囲まれる形になる。




初春(―――ッッッ!!?)ゴボボ…




おそらく、本人は叫んだつもりなんだろうが……出てきたのは泡(あぶく)だけである。




垣根(ほーれ…)




垣根は骨のついた肉を聖火ランナーのように上に掲げる。――すると、真横から突然現れた一匹の大きなサメがすぐさま
肉(エサ)に食いついた。

194 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:09:38.03 ID:GLeG4ro0 [7/19]
垣根(――!!)


サメ「……」ムシャ ムシャ


垣根(おぉー…びっくりした。一瞬手まで食われるかと思ったぜ……よし、ほんじゃもういっちょ――)




そのまま二回、三回と餌付けに成功する垣根。ここのサメは知能でもあるのか、垣根の手や体には目もくれずに真っ直ぐ
エサだけを取っていく。おそらく、サメにとっては毎日の習慣にでもなっているのだろう。




垣根(やべぇ……楽しい♪……っと、いけねぇ。俺だけ楽しむのは不公平だよな…)




四度目の餌付けに成功した垣根は、そのまま百八十度反転した。




初春(…………?)




突然自分の方を向いた垣根に、初春は嫌な予感しかしなかった。




垣根(ほら)サッ




自分に肉(サメのエサ)を差し出してくる垣根。初春にとって、その目は「さぁ、次は君の番だ」と言っている様に見えた。

195 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:12:21.19 ID:GLeG4ro0 [8/19]
初春(―――無 理 で す ッッッ!!)




――初春は垣根からの好意に、腕をクロスさせて首を横にぶんぶんと振る事で答えた。





―――――





一方通行&美琴――――




美琴「――……/////」

一方通行「ったく……そンなに後悔してンなら最初からやンなっつーの…」

美琴「う…うっさい!」




一方通行と御坂美琴の距離は、若干離れている。周りからの視線に気づいた美琴は、我に返ったかのように
サッと一方通行から離れた。そして、あとは一人で勝手に気まずそうにしていると言う訳だ。




美琴「ア、アンタはよく平然とできるわよね。ちょっとは恥ずかしいとか思ったりしないの?」

一方通行「は? 馬鹿じゃねェのか? オマエが勝手に暴走して、勝手に自爆しただけだろォが」

美琴「なっ……」

196 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:18:58.38 ID:GLeG4ro0 [9/19]
一方通行の正論に、反論の言葉が出なかった。




一方通行「ベタベタくっつきてェンなら三下にしとけ」

美琴「――!! なな……べ、別に誰かとくっつきたいなんて……」

一方通行「じゃあさっきのは何だ?」

美琴「あ……あれは…」




一瞬言葉が詰まり、目を泳がせる美琴。




一方通行「しっかし、オマエがあンな軽い女だったとは知らなかったなァ」ニヤァ

美琴「だ、だから! さっきのは気の迷いよ!すっきりしてついテンション上がっちゃったっていうか……ゴ、ゴメンね!
勘違いさせたんなら謝るわよ! とにかく! アンタがさっきした『こっ恥ずかしいこと』は忘れるから、アンタももう忘れて!///」

一方通行(はァ? 割りに合ってねェぞ………こォいう年頃の女ってのはホント面倒臭ェな……扱い方が分かンねェ…)ハァ…

美琴「な……何…?」

一方通行「いやァ別に………っつかさァ、三下にもあンな感じで攻めりゃ良いだろ? いくらアイツが鈍感王国出身っつっても、
あそこまでやりゃあ流石に気づくと思うがなァ…」



その言葉に、美琴は少し考えたものの……やっぱり駄目だ言うようにと両手を下げた。




美琴「……そうかもね……けど無理よ。緊張しちゃって、そんな事できる訳…」

一方通行「あ? 俺にできて、なンでアイツにできねェンだよ?」

197 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:24:06.78 ID:GLeG4ro0 [10/19]
美琴は下を向いて聞こえるか聞こえないかの声で呟く。




美琴「アンタには分かんないわよ……」

一方通行「…………?」

美琴「…………」




そのまましばらく無言で歩く二人。少し空気が気まずくなる。……と、ふいに一方通行が話題を変えてきた。




一方通行「オマエ、俺の他に野郎の知り合いはいねェのか?」

美琴「え?…………」




――その時、美琴の脳裏に浮かんだのは、つい最近和解した垣根帝督と、夏頃によく誘われた海原光貴の顔……
だけだった。
女子しかいない常盤台中学に在籍する美琴には、男友達と言えるような存在は少なかった。




美琴「あんまいないってか……女子校だし、それがむしろ普通かな…」

一方通行(………なるほどねェ……やっぱそォか…)

美琴「何よ? それがどうしたの?」

一方通行「……イヤ、何でもねェよ」

美琴「?」




一人で何か納得したような表情をする一方通行に首を傾げる美琴。
そして、しばらく歩き………二人はようやく『海景色』の水槽まで戻ってきた。

※入り口にしかないトイレまで一度戻っているため。

198 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:32:07.35 ID:GLeG4ro0 [11/19]
一方通行「―――あァ? 何だァあの人だかりは……?」

美琴「さっきより人増えてる……何かやってんのかしら?」




オイオイ アノシイクインダイジョウブカヨ…

ッツーカ、アレオンナノコダヨナ? チッチャクネ?

サメニスゴクビビッテナイ? ナンカアブナッカシイワヨ…ミテテコワイワ

アノコシンジンカナ? ガンバレー




―――ざわざわと人が野次馬のように水槽内に注目している。
一方通行と美琴も自然とその中に混ざった。しばらく周りと共に注目した後、一方通行が口を開く。




一方通行「オイ、あのダイバーさっきから何やってンだ?」

美琴「さぁ……サメにエサあげようとしてるん……じゃない?……多分」




二人の視線の先には……周りをサメが群がる中、肉を持った手を出しては引っ込め、出しては引っ込め…を繰り返している
小柄なダイバーと、後ろでそれを温かく見守っているかの様に見える大柄なダイバーの姿があった。
腰どころか全身が震えている様に見える小柄のダイバーは、すっかり見世物と化していた……。




美琴「……ねぇ、あれ大丈夫なの?」




その姿は……無理矢理やらされている感じがしなくもなかった。

199 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:35:27.00 ID:GLeG4ro0 [12/19]
一方通行「……さァ……っつかアレ完全にビビってねェか?」

美琴「まだ慣れてないんじゃないの? 後ろの人は同伴してる先輩みたいね…」




――それがまさか知人だとは夢にも思わない二人………。
さらに、御坂美琴は後ろで自分を「信じられない」といった顔で凝視している友達の存在に気づいていなかった。




―――――




「……あれ………やっぱ御坂さん……だよね?」





―――私、佐天涙子は今大変驚いています。なんと! 目の前に御坂美琴さんとその恋人(らしき人)がいたのです!
いや~、びっくりしましたよ~……まさか御坂さんも来てたなんて……しかし、そのおかげで私は今! ついに御坂さんの
『想い人』をこの目で拝見する事ができた訳なのですが………なんか白井さんから聞いていた『噂の方』と違うような……。
まず、黒髪ツンツンヘアーじゃありません。頭は黒髪どころか真っ白だし……短めのツンツンした髪でもなく耳までかかった
長めの髪だし…何かマイクスタンドみたいな杖?持ってるし……優しそうな感じは…申し訳ないですが全くしません。むしろ
怖いです。でも、顔は悪くないですね。目つき悪いけど……ってか御坂さん、ああいったのがタイプなのか………。
まぁ結局何が言いたいかと言うと、今日このまま帰らなかったのは正解って事ですね。こんな機会(チャンス)もうないかも
しれません。 と、言う訳で! 今から私は接触を試みたいと思います。
あ、骨は誰か拾っておいてくださいね♪  では……スー、ハー(深呼吸)…………よし!佐天涙子、いざ参る!――――




――ツカ ツカ ツカ ツカ




「―――あのぉ~……御坂さんですよね?」


「――え?」クルッ


「――あァ?」クルッ

200 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:39:04.70 ID:GLeG4ro0 [13/19]

上条&御坂妹&禁書目録&打ち止め―――




※上条は美琴と御坂妹が入れ替わっている事をまだ知りません。





上条「――うぅ……上条さんはもう動物と接するのが怖い…」

禁書「右手無くならなくてよかったね」

御坂妹「にしても、本当にアンタって不幸よね?」(とミサカは芝居続行モードに入ります)

打ち止め「でも、あのカメさんの歯が鋭くなくて良かったかも! ってミサカはミサカは不幸中の幸いに安堵してみたり」




おそらく、もしものために飼育員が歯を削っていたのだろう。そして、ゾウガメのDNAが混ざっていたせいか、強い顎の
力で右手を切断される事もなく、手の甲に歯型の跡がついただけで済んだ。もしただのワニガメだったら、この程度では
済まなかったのは言うまでもない。




上条「クソォ……それにしても一体誰だ? こんなイタズラ書きしたヤツは…」




そう言ってキッと『是非おさわり下さい』と手書きで書かれた偽看板を睨んだ。
ちなみに、その少し隣にはしっかり『危険』を示す看板があったのだが……今更である。

201 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:40:50.57 ID:GLeG4ro0 [14/19]
御坂妹「まぁまぁ、無事だったんだしもう良いでしょ? ねぇ、『ウシ』見に行こ?」

上条「ウシ……?」




――御坂妹に手を引かれながら首を傾げる上条。




禁書「あ! クールビ……短髪! ずるいんだよ!私も行くー!」

打ち止め「あ! 向こうにアザラシさん発見ー! ってミサカはミサカはひとり抜け出してみたり」

禁書「え?んーと……」




キョロキョロと反対方向へ行く打ち止めと上条&御坂妹を交互に見る禁書目録――。




禁書「待って、らすとおーだー! 私もアザラシが見たいんだよぉ~!」パタパタ


――結局、打ち止めについて行った。




――――――




御坂妹「どう? 立派な『ウシ』でしょ?」

上条「イヤ……シロクマだろどう見ても…」

202 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:47:01.35 ID:GLeG4ro0 [15/19]
至極もっともな感想を述べる上条。
御坂妹はそんな上条の様子に拙いと思ったのか、取り繕い始めた。




御坂妹「そ、それはこの子の名前よ。どう、わ、悪くないでしょ?」アセアセ

上条「………うーん…………やっぱ今日のお前、何かおかしいぞ?」

御坂妹「な、なに言ってんのかしらぁ。私はいつも通りよ」

上条「……………」ジーーー

御坂妹(……もう限界でしょうか……この方を騙すのは余りに心が痛みます。とミサカはいっそ喋ってしまって楽になりたいと願います)

上条「―――!」ハッ

御坂妹「!!」ビクッ




――突然、何かに気づいた顔をする上条に内心で冷や汗をかく御坂妹。




上条「…………お前……まさか……」


御坂妹(バ…バレた!? とミサカは胸の鼓動を抑えます……)ドキドキ



―――上条の目は真っ直ぐ御坂妹を捉えていた。



上条「……………」


御坂妹「……………」ドッキン ドッキン




心音は激しさを増すばかりだった――――。

203 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:50:58.10 ID:GLeG4ro0 [16/19]
浜面&滝壺&絹旗&フレンダ―――




――まず、ここは第七学区にあるいつものファミレスではない。レジャー施設のちょっと上品なイメージのレストランだ。
お昼を過ぎた時間帯にも関わらず、客足が途切れないせいでウェイターやウェイトレスは未だ慌しく店内を行き来し
ている。そんな忙しい状況の中、奥の目に付きにくい席でフレンダは缶詰を、絹旗はパンフレットのようなものを
取り出した。


フレンダは相変わらず、「やっぱカレーよね」と言いながら鯖の缶詰を開けている。いつの間に缶切りを
使いこなせるようになったのか、すっかり慣れた手つきであっさりと蓋を開けてしまっていた。


絹旗はすでに映画のパンフレットに夢中になっていた。滝壺に話題を振りつつも目はパンフレットを凝視
したままだ。


どこか懐かしむような表情の浜面に、突然絹旗は見ていたパンフレットをしまって声をかけた。




絹旗「――それで浜面は、今は何してるんですか?」

浜面「……え? 何って…?」

フレンダ「あれからどうしてるって訳よ? スキルアウトにでも戻ったの?」




いきなり訊かれて戸惑う浜面でも分かるように、鯖缶の中身に手をつけながらフレンダが繋げた。




浜面「あぁ、今はスキルアウト時代の先輩んトコ(職場)で世話になってるよ」

204 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 19:56:03.74 ID:GLeG4ro0 [17/19]
質問の意味を理解した浜面は、特に隠す様子もなく答える。




絹旗「ウソでしょ!? 真面目に働いてるんですか!?……超意外です」

浜面「うっせぇ!」

滝壺「きぬはたは学校行ってるの?」

絹旗「はい、今は超普通の中学生ですよ」

浜面「はぁ!? お前が『普通』ぅ!?……」

絹旗「何か文句でもあるんですかぁ?」ギロリ

浜面「いいえ、滅相もない。…フレンダは?」

フレンダ「私も今は華の高校生やってるよ。結局『あの頃』とは百八十度違う生活って訳ね」

滝壺「懐かしいね……」



上を見上げて、何か思い出しているかの様な表情の滝壺に浜面が言う。




浜面「オイオイ、そんな何年も経ったみたいに言うなって………っつか、アイツ遅いな」

絹旗「道にでも超迷ってるんじゃないですか? 来たことないって言ってましたし」

フレンダ「浜面。この場所教えたの?」

浜面「え?俺はマリンランドに行くとしか言ってないぞ?お前が連絡したと思ったんだけど…」




さっぱり知りませんけど?と告げる浜面にサーッ…と顔色を変えるフレンダ。

205 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/10(土) 20:03:29.14 ID:GLeG4ro0 [18/19]
フレンダ「……嘘……? わ、私は浜面が教えたと思ってたから連絡してないよ!?」

絹旗「っていうか、そういうのは超浜面の仕事じゃないですか! 浜面、自分の立場超忘れてますね…」

浜面「それは『アイテム』の時の話だろ!?」

絹旗「何言ってるんですか? 浜面は一生、私たちの超パシリですよ」

浜面「おめぇが何言ってんだ!?」

滝壺「信号が…来てる」

フレンダ「とにかくヤバイよ!私、『後で浜面から連絡来ると思うけど?』って言っただけだもん!」

浜面「マ、マジで!? って事は……俺のせいかよ!? マジ勘弁してくれよぉ……アイツ超怖ぇの知ってるだろぉぉ…」

フレンダ「結局、浜面が全部悪いって訳ね。後で線香買っておこっかな?」

絹旗「私、超知りませんからね? ビームの一、ニ発は覚悟した方が良いですよ?」

浜面「死ぬわ!! もう『アイツ』とガチバトルすんのは懲り懲りなんだよぉ!!」

滝壺「うん、もう……来る。頑張って、はまづら」

浜面「えぇ!? イヤ、ちょ―――!?」




――そこで浜面の視界は完全に塞がれた。反応する間もなく後ろから聞こえた声に浜面の肩がビクッ!と跳ね上がる。




「――だぁーれだ?  はーまづらあ」




「――!!!?」

217 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:18:57.32 ID:MhRQjdQ0 [2/16]
一方通行と美琴に接触した佐天―――。




――突然声をかけられ、振り返る美琴と一方通行。




一方通行「―――あン?……何だコイツ? オマエの知り合いか?」

美琴「―――……その声………まさか!?」

佐天「―――えへへ~、こんにちは」




スッ…と伊達メガネを外して可愛らしくウインクする佐天。




美琴「――佐天さん!? な、なんで……?」

佐天「へへへ、こんにちは♪」

一方通行「………知ってるヤツか……チッ、面倒臭ェ」

佐天「お邪魔しちゃってすいませんね~♪」

美琴「佐天さん……ってか、なんでここに……?」

佐天「いやぁ、色々と事情があったりするんですよ~」

美琴「事情って?」

佐天「ゴメンなさい。それはちょっと言えないんです…」

218 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:20:52.61 ID:MhRQjdQ0 [3/16]
美琴「……?」

佐天(話したら、また初春怒らせちゃうしね……ゴメンなさい御坂さん!)

美琴「……まぁ良いけど、何そのカッコ?」

佐天「それも残念ですが言えません。似合いますか?」

美琴「ゴメン……ちょっとコメントし難いわ…」

佐天「それより! この人が御坂さんの『想い人』なんですか? ……何か聞いてた人と違う気がするけど………まぁいっか♪」




一人で話を進めて一方通行の方を向く佐天。『想い人~~』辺りから美琴の思考がストップしたのは言うまでもなかった。




佐天「どうもはじめまして。私、御坂さんの友達やらしてもらってます、佐天涙子って言います♪」




――さりげなく握手される。佐天の意外な社交性に一方通行の思考も一瞬止まった。




一方通行「」

佐天「いつも御坂さんがお世話になってます。あの~、ところで御坂さんとはどこで知り合ったんですか? 学生なんですか?」

一方通行「」

佐天「やっぱり御坂さんと付き合ってるからにはそれなりにレベルもあるんですよね? いいな~、私無能力者だから……」

一方通行「」

佐天「告ったのはどっちからですか? あ、御坂さんからは無理そうか……付き合ったきっかけってどんな感じですか?」




止まらない質問の嵐に、流石の一方通行も固まるしかなかった……。が、握られたままの手をとりあえず振りほどく。

219 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:24:23.26 ID:MhRQjdQ0 [4/16]
一方通行「――オイ。いつまでも馴れ馴れしく触れてンじゃねェよ。オマエ礼儀ってのを知らねェのか?」

佐天「あ……すいません。怒っちゃいました……?」

一方通行「……別に怒っちゃいねェから、まず俺の話を聞け」

佐天「はい……あ、御坂さんの惚気話は勘弁ですよ~?」

一方通行「オイ超電磁砲! 固まってないでコイツどォにかしろ! もォ付き合いきれねェ!」

佐天「通り名で呼ぶなんて変わってますね? まぁそれも二人の問題n」

一方通行「オマエそれ以上口開いたらブチ殺すぞ?」




そう言ってギロリと睨みつけた。すると、流石にビビったのか……。



佐天「ゴゴゴ、ゴメンなさい!」



低姿勢になって謝罪してきた。




佐天「二人の事に色々と首突っ込んだりしてホントにゴメ―――」


一方通行「やっぱコイツぶっ殺す!」




美琴が現実に戻ってきたのは、その直後だった。

220 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:32:26.23 ID:MhRQjdQ0 [5/16]
―――約十分後




中では落ち着いて話せないと判断し、ひとまず屋外(中庭)まで移動した一方通行&美琴&佐天―――




佐天「御坂さん……彼氏さんって、結構怒りっぽいんですね…」

御坂「あの…佐天さん。さっきから誤解してるってば……」

佐天「誤解……?」

一方通行「コイツ(美琴)と俺は一切付き合ってねェ。これで気が済ンだか?」

佐天「………えぇ!? そうなんですかぁ!?」




ようやく勘違いに気づいた佐天涙子。恥ずかしさのあまりに顔を赤くする。




佐天「――ほ、本当にすいませんでしたぁッッ!! 私、てっきり……」

美琴「やっと分かってくれたみたいね……良いのよ佐天さん。コイツがさっさと誤解を解かないのが悪いんだから」

一方通行「はァ? オマエが変な想像して固まったりするからだろォが」

美琴「だだ、誰が変な想像したってのよ!?」

一方通行「ツラ見りゃ分かンだよ。妄想も大概にしとけ」

美琴「な、何ですってぇぇ…」



――今にもバトルに突入しそうな二人。
だが、佐天はあまり気にせずに口を出す。



佐天「……何か変だと思ったんですよぉ。白井さんから聞いてた人と全然違うから……」

221 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:35:06.41 ID:MhRQjdQ0 [6/16]
一方通行「俺と三下をどォ見間違えるってンだよ……」

美琴「ちょっと待った! 佐天さん……アナタ今、『黒子から聞いた』って言ったわね?」

佐天(やべっ! またやっちゃった……『お姉様には絶・対・に・内緒ですの!』って言われてたのに~…)




慌てて口を両手で覆うが、もう遅い。




美琴「くぅ~ろぉ~こぉ~……」バチッ バチッ




――とりあえず、寮に帰ったら真っ先にやる事が決まった。
今から白井黒子のご冥福を祈れる方は祈っておこう。




一方通行(あばよォツインテール……次に生まれてきた時はもォ少し真っ当に生きる事をオススメするわ…)




ここ最近の交流で、『白井黒子』という人間をすっかり知り尽くした一方通行もまた、その内の一人だった……。




―――――――




―――そこから少し離れた場所では、御坂妹がピンチを迎えていた。




上条「御坂………お前まさか……」

222 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:38:39.42 ID:MhRQjdQ0 [7/16]
全ての謎が解けた探偵のような上条の目に圧倒された御坂妹は、耐え切れなくなったのか自白を決めようとした。




御坂妹「もはやこれまで…とミ―――」

上条「さっきの昼飯で食あたりしたんだな!?」




だが…その前に出された上条の言葉で、自白は途中で止まってしまった。




御坂妹「――は…?」

上条「何が当たったんだ? フグ料理なんてなかったし……ってか御坂。お前、昼は何食ってたっけ?」




キョトン、とする御坂妹を尻目に真剣な表情で腕組みをしながら原因を探る上条。
だんだんと状況が認識出来てきた御坂妹は、みるみる顔色を赤く変えていく。
握りしめた拳がワナワナと震え出す……。




上条「オイ……顔色悪いぞ……ホントに大丈夫か? 腹痛むんなら無理しないでトイレ行ってきて良いぞ?」




――プチッ!と何かが切れた。




御坂妹「――こんの大馬鹿がぁぁぁああああああああ!!!!!」(とミサカは渾身の右アッパーを放ちます)


上条「――カバチッッッッ!!!!?」



―――ぶべしっっ!!と鈍い音がした直後、上条は約三メートル上空へ舞い上がった。
そのまま変則的な回転をしながら地面に顔から落下した彼は、硬いコンクリートの床と不本意の接吻を交わすハメになった。

223 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:44:57.57 ID:MhRQjdQ0 [8/16]
上条「」



うつ伏せで倒れ伏した上条。御坂妹は、肩で息をしながら動かない少年を見下ろした。



御坂妹「ハァ、ハァ……全く、貴方にはいつもながら呆れて言葉が出ません。とミサカは未だ手応えの残る拳をさすります」



無論、上条からの反応はない。



上条「」


御坂妹「―――っ!?」




その時、何かを感じたように顔を明後日の方向へ向ける。




御坂妹「お姉様が近くにいます……この電磁波……間違いありません…」




美琴から放たれる僅かな電磁波を感じ取った御坂妹は、本来のデート相手である一方通行の存在を思い出す。




御坂妹「はっ! こうしてはいられません! とミサカは今日の目的を思い出します!」ダッ




ピクリとも動かない上条を残し、その場を颯爽と去っていく御坂妹。
上条の周りにはどこか冷たい風が吹いていたそうな……。

224 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:48:36.27 ID:MhRQjdQ0 [9/16]
――――その頃




打ち止め「ねぇねぇ……ここ何処? ってミサカはミサカは訊いてみる」

禁書「分かんないかも……」



何故か館内を彷徨っている二人の幼女。ちなみに、この施設はA館とB館に大きく分けられ、それを繋ぐ中間地点が屋外
という構造になっている。
来て最初に入ったのはA館、そして今彼女達がいるのはB館である。



打ち止め「面白そうな建物だからって入ってみたのは間違いだったかも…ってミサカはミサカは後悔してみる」

禁書「とうまたち、何処に行ったのかな?」

打ち止め「お外に出ればきっと分かるよ!ってミサカはミサカは勇気づけてみたり!」

禁書「うん、けど…お外は何処なんだろ……?」

打ち止め「うーんと……アッチな気がする! ってミサカはミサカは直感頼りに前進あるのみ!」




――外に出るどころか、ますます迷い込む二人。



禁書「……この辺、全然見覚えないんだよ」

打ち止め「もぉこうなったら人に道訊いてみよっか? ってミサカはミサカは最後の手段を提案してみたり」

禁書「そぉだね。もぉお腹すいたんだよ……」グウー…

打ち止め「よし!早速いってみよー♪ ってミサカはミサカは空元気ながら右手を大きく上へ!」

禁書「お腹すき過ぎて元気が出ない……んだよ」




―――無理矢理に元気ぶる打ち止めと歩き回ってすでに空腹の限界に近づきつつある禁書目録。
二人の受難はまだ続きそうだ。

225 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:52:07.73 ID:MhRQjdQ0 [10/16]
―――初春飾利は久しぶりに『生命』について考えさせられた。



それは人工的な擬似海で優雅に泳ぎ回る魚達の姿に魅せられたから……ではない。
単純に、己自身の生命について真剣に考えざるを得ない体験をしたからに他なかった。
ついでに今年に入って最大の羞恥心までも味わった初春は、陸上へ生還を果たしたと同時に垣根帝督に凄い剣幕で噛み付いた。





初春「――もうっ!! だからイヤだって言ったのにぃぃいいい!!」




キーーッ! と躾のなってない猫のような雄叫びを上げる初春に垣根は――



垣根「ハハハ、けど楽しかったろ?」



――と、潜る前と何ら変わらない調子で笑いかけてきた。




初春「いつの間にかすっごい人がガラス越しでコッチ見てました!」

垣根「どうせ誰だか分かんねえから」

初春「そぉいう問題じゃありませんっ!! 恥ずかし過ぎてサメに食われかけました! いっそひと思いに食われたかったです!」

垣根「まま、落ち着いて…」

初春「知りません!」プンスカ




―――脹れてソッポを向く初春。やはり少しやり過ぎたか…と、垣根にしては珍しく反省する。
何とか機嫌を直してもらおうと声をかける。

226 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 21:57:19.47 ID:MhRQjdQ0 [11/16]
垣根「なぁ、俺が圧倒的に悪かったよ。だから機嫌直せって…」

初春「………」プクー

垣根「あー……その……そうだ! あとでアイス奢ってやるよ」

初春「……この時期にですか? 馬鹿は死んでから直してください」

垣根(うっ……やべぇ……完全に『黒モード』になってやがる……どうしよ…)

初春「………」プクー

垣根「あぁもう! わかった! こうなりゃ何でも言う事聞いてやっから許せ!」

初春「………」チラッ

垣根(お? コッチ向いた……これは手応えあり! ………しかし、頭踏み砕こうとしたヤツの言う事何でも聞くって……勢いで言った
ものの、考えてみたらシュールだよな……チッ、俺もずいぶん優しくなったモンだぜ…)

初春「何でも……ですか?」

垣根「お、おう! 男に二言はねぇ! 何でも言いやがれ! 今ならフラフープにも挑んでやんぜ!」ヤケクソ

初春「……わかりました。許してあげます。その代わり……」




突然、真剣な顔で垣根を見る初春。誤魔化しや冗談を一切遮断するかのような初春の目に、思わず垣根は生唾を飲む。


少しの間の後……初春は垣根に要求を告げた。




「カッキーさんの『素顔』、見せてください」


「―――!?」




垣根を真っ直ぐ見たままハッキリとした声で、初春は確かにこう言った―――。

227 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 22:02:12.89 ID:MhRQjdQ0 [12/16]
??「だぁーれだ? はーまづらぁ…」



―――突然視界を塞がれた浜面仕上は、自分の目を覆っているのが人間の手だと認識するのに時間はかからなかった。
要するに良く恋人が待ち合わせの時にやっているアレである。
浜面は、おそるおそる自分の目を塞ぐ人物の名を当てる。



浜面「むむ……麦野さん……ですよね?」


??「正解♪」




周りが見えないせいか、弱気に答える浜面。後ろから聞こえる明るい声が逆に怖い。
そっと手がどけられ、浜面に光が戻る。



麦野沈利…学園都市第四位の超能力者。能力は『原子崩し(メルトダウナー)』。右目と左腕は何故か元通り。



元『アイテム』の構成員がここに全員集合した。




麦野「――よ! 皆久しぶりね♪」

絹旗「うわ~、全員揃うなんて超久しぶりですね!おかえりなさい、麦野」

フレンダ「そりゃそうでしょ? ずっといなかったもん。おかえり~♪」

滝壺「おかえり。むぎの」

浜面「いきなり脅かすなよ~。椅子から落ちかけたぞ……まぁともかく、おかえり」

麦野「ただいま。あ、これお土産ね」

228 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 22:06:43.94 ID:MhRQjdQ0 [13/16]
――ドサッとテーブルに置かれたのは、日本ではまず売ってないような物ばかりだった。




浜面「お、またずいぶん買ったんだなぁ………にしても、よくここが分かったよな?」

麦野「へ? あぁ、そのこと……そりゃそうよ。滝壺から連絡受けたもの。そもそもココに場所指定したの私だし」

フレンダ・絹旗・浜面「は???」

滝壺「ごめん……」




何故かそう呟いて俯く滝壺。鳩が豆鉄砲食らった表情の三人に麦野が続ける。




麦野「実はさ……私、どうしてもココが良かったのよ…」

フレンダ「……何で電話の時言わなかった訳さ?」

麦野「ゴメンね。ちょっと言いにくかったの……滝壺には黙っててもらっちゃった」

絹旗「……別に…超気にしませんけど、何でココだったんですか?」

滝壺「………」




少し気まずそうな顔をする麦野と滝壺……。やがて、麦野が何かを取り出した。




麦野「………実は……コレ…」

229 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/07/11(日) 22:12:10.73 ID:MhRQjdQ0 [14/16]
――そう言って、ピラッとチラシを見せた麦野。その内容に全員が納得した。


チラシからは『ココ限定! ココでしか食べられない高級かつ新鮮な鮭料理!』と書かれた文字が三人から見えたのだが、
もうそれだけで充分だった。



絹旗「あ、超納得です…」

フレンダ「なるほど、そういう訳だったのね……最初から言えばいいのに」

麦野「ゴメンゴメン、あの時はなんか言い辛かったのよ………さて、注文していい?」

絹旗「えぇ!?」

浜面「注文すんの!?」

フレンダ「……麦野、いつものシャケ弁は?」

麦野「何言ってんの? 今日はココのシャケが食べたくて来たんだから、必要ないでしょ?」

滝壺「むぎの、偉くなった…」

絹旗「シャケ弁持参してない麦野なんて…麦野じゃないです……」

浜面「飲食店で料理を注文する……すげぇ当たり前の事なのに、こんなに感動できるのは何故なんだろぉな……」

麦野「あれ?っていうか、アンタらもうメシ食ったの?」

絹旗「あ、そう言えばまだですね…」

浜面「俺らも…まだだったな」

滝壺「お腹…空いた…」

フレンダ「鯖缶飽きたし、たまには私も何か頼もうかな」




――積もる話もあるが、とりあえず腹ごしらえしようと麦野以外はメニューを見始めた。


美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」-2
に続く

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