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美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2-4

美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2

美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2-2

美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2-3

333 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:25:59.59 ID:BGCOaPg0 [2/21]

―――



上条「すっかり遅くなっちまったな……」

美琴「そうね……門限とっくに過ぎちゃってるし……ハァ…」パカッ




真っ暗な夜道を並んで歩く二人……。美琴は後輩から届いた大量の着信履歴とメール数を確認して溜息を吐いた。




美琴(あ~ぁ、後が怖いわねこれは……)

上条「どうする? 俺も一緒に謝ろうか?」

美琴「いいよ。後で連絡しとくから………それよりさ…」

上条「ん…?」

美琴「今日、アンタん家に………と、と…」

上条「?」

美琴「泊まっても……いい?」

334 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:27:11.33 ID:BGCOaPg0 [3/21]

上条「え!? あ………いやでもそれは……ってかお前、明日から学校だろ!?」

美琴「アンタん家から一緒に出れば良いじゃない。制服もある(っていうか着てる)から問題ないし」

上条「いやいや! それ以外にも根本的な問題が――」

美琴「……ダメ?」(上目遣い)

上条(――ぐぼォっ!! こいつァ…き、強烈すぎるぜ……だ……だがしかし! ここで流されちまったらダメだ上条さんよ!)

美琴「ダメ……かな…?」ウルウル

上条「いーえー。大歓迎ですヨ」(嗚呼畜生……所詮俺も飢えた狼ってか……)

美琴「ホント?」パァァ

上条「あぁ、お前さえ良かったら全然構わねえぜ」(イヤ逆にここで断れるようなヤツを尊敬する……普通なら絶対無理だぞコレは……)

美琴「~~~♪」

上条(あーあー……そんな嬉しそうな顔しちゃってまぁ………可愛すぎるじゃねぇかよクソ、俺の理性は果たして今晩持つのか? って、
   インデックスも居るんだから平気か……美琴とインデックスをベッドに寝かせて俺はいつものトコで寝りゃ問題ねえだろ……)




結局、上条さんも男としての道は外れずに済んだようだ。

335 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:29:10.07 ID:BGCOaPg0 [4/21]

その時、浮かれていた美琴が上条のポケットから何かがはみ出している事に気づく。



美琴「――あ! アンタそれ!?」


上条「えっ……?」



上条の穿いているジーンズのポケットから出ていたのは、さっき美琴が上条に買ってもらったキーホルダーだった……。
慌てた動作で美琴はキーホルダーを取り出す。てっきり自分が落としたものだと思ったからだ。
しかし……自分のはちゃんと持っている………ということは――?



上条「あぁー、これか。閉店直前で危なかったけど、何とか手に入ったよ」プラーン



そう言って全く同じキーホルダーを掲げて見せる上条……。



美琴「アンタ……まさか、それで遅かったの……?」

上条「へへ、まぁな。お前があそこに行き着くなんてのは分かってたが、何も持たずにっていうのはどうかと思ってさ。つっても、必要は
   なかったけどな」

美琴「……………」

336 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:30:45.95 ID:BGCOaPg0 [5/21]

上条「ホントはもっと高くて気の利いたヤツにしてやりたかったけど……ごめんな、貧乏な彼氏で。記念品にするには価値無さ過ぎだよな……。
   けど次はもっと良い物にするから、今日はこれで……ッテ!?」

美琴「」ギュッ

上条「ッ!? オイ…ッ!? みこ…」




いきなり腕を絡めて擦り寄ってきた恋人に、上条は仰天した。




美琴「ホントにアンタってヤツは……///」

上条「……///」(だ、だから胸ぇぇぇ!! あ、良いニオイ……って違くて!!)

美琴「もう……価値なんてあるに決まってんじゃない。値段とかそういう問題じゃないことぐらい分かれっての……///」

上条「そ、そうか……なら良かった…」ドキドキ

美琴「………」ギュッ

上条「あ、あのさ……いくら人通りが無いとは言え、この状態で歩くのは不健康と言いますか何と言いマスカ……」ドックン ドックン

美琴「いいわよそんなの……ねぇ、どうしよ……」

上条「え、な、何が……?」


美琴「アンタが好き過ぎてヤバイのよ……言わせんなバカぁ/////」ギュッ

337 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:32:36.19 ID:BGCOaPg0 [6/21]

そう言いながら更に密着する美琴様。寮に着く前に上条さんはKO寸前である。




上条(うん、ゴメン。やっぱ理性持たないかもしんない)




結局、上条部屋に到着するまで二人が離れることはなかった―――。




その頃――黄泉川家・一方通行&垣根部屋



ピコピコ ピコピコ



禁書「う~……やっぱりゲームって難しいかも。っていうか、あくせられーた強すぎ!」

一方通行「オマエもだいぶコンボ覚えてきたじゃねェか。あとは仕掛けるタイミングさえ熟知すりゃそこのボケぐらい瞬殺できンだろォぜ」

垣根「よし代われインデックス。そこに直れよ一方通行。次こそテメェの鼻ボッキボキにへし折ってやるからさ」

一方通行「ブゥー、オマエじゃ弱すぎて勝負になりませン」

338 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:34:26.89 ID:BGCOaPg0 [7/21]

垣根「今の内に吼えてろ。オラ行くぞ」

打ち止め「あ! 次はミサカの番だよ! ってミサカはミサカは割り込みを阻止してみたり」

一方通行「じゃあオマエがこの勘違いメルヘンの相手になってやれ。ほらよ」ポイ

垣根「あっテメコラッ! 逃げるのか!?」

一方通行「オマエなンざァ俺が直々に手ェ下すまでもねェンだっつゥーの。クソガキ、遠慮はいらねェからボッコボコにしてやれよ」

打ち止め「うっしゃ! お兄ちゃん覚悟! ってミサカはミサカはいつの間にかアナタの手駒になってる事実に目を瞑りながらも闘志を燃やしてみる」

垣根「く……ナメやがって……よほど愉快な死体になりてぇと見える」

一方通行「断言してやる。オマエじゃ俺は愚かクソガキにすら勝てねェわ」

垣根「よーしわかった! 打ち止めぁ! 悪いが手加減はしねえからな!? 負けても泣くなよ!?」

打ち止め「ふっふ~ん♪」



Ready Fight☆



―――

339 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:35:48.59 ID:BGCOaPg0 [8/21]

You lose




垣根「ば、ばか……な………」orz(←完膚なきまでに敗北した第二位)

打ち止め「はっは~♪ まだまだだね。ってミサカはミサカは勝ち誇ってみたり」フン

禁書「らすとおーだーすご~い! なんでそんな強いの!?」

打ち止め「へへへ…この人に散々しごかれたから。ってミサカはミサカは照れ笑い…///」

一方通行「まァ上出来だな。分かったかメルヘン? ウチのクソガキを甘く見てンじゃねェよ」

垣根「」orz

打ち止め「あ、お兄ちゃん相当へこんでるよ。まるで甲子園行けなかった球児だよ。……ってミサカはミサカはやりすぎたかなぁ?
     って少し後悔してみるんだけど…」

一方通行「……そっとしといてやれ。あれァ今『絶賛絶望中』のサインだ」

禁書「遊んだらお腹空いてきたんだよ…」グー

一方通行「もォすぐ黄泉川帰って来ンだろ」

垣根「あ……俺ちょっと出かけてくる…」スクッ

禁書「あ、復活した……?」

340 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:37:21.44 ID:BGCOaPg0 [9/21]

打ち止め「お、お兄ちゃん? どこ行くのー?」

一方通行「うわァ……ガキにゲームで負けて家出とか……プッ、さすがにねェわー」

垣根「違っげぇーよバーカ!! 買いたいモンあっから出るだけなんだよっ!! 別にショックとかじゃねーんだからなっ!! ふんっ!!」――バタン


打ち止め「顔が必死だったね……」

禁書「きっとショックだったんだろうな……」

一方通行「ほンの少しだけなら同情してやってもイイか……」




――外



垣根「………さて」



何かを隠すような微笑を表した垣根は、何故か商店街とは反対方向に歩き始めた―――。



―――

341 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:42:54.57 ID:BGCOaPg0 [10/21]

――上条宅



上条「ただいま~……」ガチャ

美琴「お邪魔しま~す」

上条「あれ……インデックス……?」




部屋の電気が点いていないことを不審に思う上条と美琴……。




美琴「どっか出かけたのかしら?」

上条「聞いてないけど………ん?」




テーブルの上に置いてある置き手紙に注目する上条。紙にはこう書かれていた。




『らすとおーだーのおウチへあそびにいってくるね! たぶんそのままおとまりするかも! あしたむかえにきてくれなきゃヒドイんだよ』




上条「……………」

342 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:45:02.99 ID:BGCOaPg0 [11/21]

美琴「………ふ~ん……あの子、今日いないのね……」

上条「………みたいだな」

美琴「ね、ねぇ。先にお風呂借りていいかな?」

上条「え? あぁ……ドウゾ」

美琴「あの……着替えとかあったら借りてもいい?」

上条「あぁ、そこにある俺のスウェットでよければ……」

美琴「ありがと、借りるわね……。そ、それじゃお先」パタパタ…


上条(インデックスはイナイ インデックスはイナイ インデックスはイナイ …………それってつまり………ん?)




ふと、置き手紙の裏を見ると……そこには文字がこう書かれてあった。




『いっておくけどこんかいだけなんだからね! きょうはタンパツとなかよくするんだよ。とうまにはデリカシーってものがたりてないかも』




上条(イィィンデェェックスゥゥゥゥ!!!!!)

343 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:55:52.74 ID:BGCOaPg0 [12/21]

置き手紙は、クシャクシャに握り潰されていた。




上条(GJ☆………って違ぁぁーーう!!!)




美琴が風呂から上がるまで、色々な意味で忙しい上条さんであった……。



―――



美琴「お待たせー。空いたわ……って何してんのアンタ?」

上条「ん? 見ての通りブリッジですが?」

美琴「アンタって、そんな習慣あるの?」

上条「いやー、たまには悪くないとか思っちゃったり思ってなかったり…」

美琴「?」

上条(誰だ!? 煩悩を抑えるのにはブリッジが最適とか抜かしたヤツは!? ちっとも治まんねえどころか、美琴のブカブカスウェット姿を
   見たら……余計に熱が入って来ちまったじゃねーか!!……ってうおぉ! やべぇ! ブリッジなんかしてたら『熱』入ってんのがまる
   わか……痛ッ!?)ゴスッ


美琴(何か挙動不審ねコイツ……床に頭ぶつけてるし、どうしたんだろ?)キョトン

344 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 19:58:23.79 ID:BGCOaPg0 [13/21]

上条「アイテテ……ん、んじゃあ俺も風呂入って来るわ!」パタタタ

美琴「あ、うん…」(家入ってから慌しくなったわね………)


「………あ!」


(そうか、アイツ……二人っきりなの意識してんのかな………インデックス、いないんだもんね……)

(やだ……ちょっと……私まで意識してきちゃったじゃないのよ~///)ソワソワ

(あっ! いけない忘れてた! 寮…ってか黒子に連絡しとかないと!)ピ ポ パ




――こうして外泊及び成就報告は完了したが、意外にも後輩は大人しかった。てっきり何かしら騒ぐと覚悟していたのに……。




(なんだかんだ言ってあの子も応援してくれてたのね……ありがとう黒子)パタン

(これで心置きなくアイツと……この後はやっぱり///………ってだから何考えてんだっつーの私ってばぁぁああああ!!!)グルグル




今後の展開を想像している内に風呂から上がって来た上条に声を掛けられ、美琴の心臓は再び停止しかけた。




―――

345 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 20:00:27.91 ID:BGCOaPg0 [14/21]

――常盤台女子寮




寮生1「あら、あそこにいるのって白井さんじゃないかしら?」

寮生2「え? あ、ホントだ。白井さーん! ごきげんよ………う?」


黒子「くかきけこくくかかききこけくかきくこくきかかかかか##########~~~~~」ゴォォォ


寮生1「……………」

寮生2「……………」

寮生1「……見なかったことにしましょう」

寮生2「そうね……」




寮生全員が目撃した黒い翼のような物体は208号室から一晩中伸びていたそうな。




寮監「御坂は今日外泊っと…」カキカキ



―――

346 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 20:03:06.33 ID:BGCOaPg0 [15/21]

――上条宅




上条「――ふ~、ごちそうさん」

美琴「お粗末さま。けっこう食べたわね」

上条「美味かったからな。ホントすげーよ。俺じゃ絶対こんな味出せねえし」

美琴「当たり前じゃないの。伊達にお嬢様学校通ってないわよ」カチャ…

上条「あ、後片付けくらい俺がやるよ!」

美琴「い~から、アンタは寛いでて。私がやりたいんだから。………~~~♪」カチャカチャ

上条(機嫌良いなぁ……もしかして緊張してんのって俺だけ?)

美琴(落ち着け落ち着くのよ落ち着きなさい御坂美琴! 大丈夫! アンタはやればできる子なんだから!)カチャカチャ ジャー

美琴(う~……でも……)チラッ

上条「~~~♪」(←のんびりテレビ見て寛いじゃってます風を装っている)

美琴(アイツは……とくに意識とかしてないのかな……期待しちゃってんのって、私だけ?)



初々しい……のか?

347 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 20:04:55.20 ID:BGCOaPg0 [16/21]

美琴「あっ!」ツルッ  パリン

上条「ッ!? ど、どうした!? 大丈夫か!?」パタタタ

美琴「ご、ごめん……手が滑っちゃった…」

上条「皿の一枚や二枚気にすんな。それより怪我しなかったか?」

美琴「う、うん。ごめんね! すぐ片付けるから…」

上条「あ、オイ! 素手で触ると――」

美琴「――痛ッ!」

上条「あー…やっぱり」

美琴「いった~……」タラー

上条「うわ、結構深く切ったな……待ってろ今絆創膏………って、切らしてたんだった…」

美琴「だ、大丈夫よこれくらい……」

上条「そのままにしとくワケにもいかないだろ? しょうがねぇ……とりあえず」パク (←美琴の指を銜えた上条さん)

美琴「!!!!????」

上条「………」ペロペロ

美琴「~~~~~~///」フニャー

348 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 20:06:39.67 ID:BGCOaPg0 [17/21]

上条「――ん、何とか血は止まったか……」

美琴「あ……り……が……と…」プシュー

上条「美琴? 何か顔赤いけど大丈夫か?」

美琴「……誰のせいよ」

上条「………?」

美琴(鈍感なのは相変わらずか……ホント、罪作りすぎなヤツ…)


(――でもっ!!)ガバッ


上条「オ、オイ! 急に抱きつくなって!……危ねえ…だろ?」


美琴(コイツは……上条当麻はもう、私の恋人なんだ! これ以上嬉しいことなんてないっ!)ギュッ


上条「……お前ってさぁ、意外と甘えんぼなのな」

美琴「何よぉ? 甘えちゃ悪いっての?」

上条「いや、むしろ大歓迎だな。可愛いよ、美琴…」ナデナデ

美琴「………///」

上条(くぅーー!! その顔は反則だろォォ!! イカン! 上条さんの理性が……)

美琴「///」ゴロゴロ

349 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 20:09:31.81 ID:BGCOaPg0 [18/21]

上条(マ、マズイ。マジでマズイ。おいおい待てよ、相手はまだ中学生だぞ? いくらなんでも付き合っていきなり事に及ぶのは
   その……上条さんのモラルに反するワケで……)


美琴「……いいよ」


上条「へ…?」

美琴「私は……アンタとなら……怖くない…から…」モジモジ

上条「!?」(なぬィーーーー!!??)

美琴「………///」

上条(おいおいおいおい、いいのかよ? これって断っちまう方が逆に失礼なんだよな? 確か『女に恥を~』ってヤツだろ? 
   イヤでも………嗚呼ぁぁ、俺はどうすれば正解で、どうすれば間違いなんだーっ!? 誰かこの未経験者(ドー・テー)に
   教えてくれぇぇ!!)

美琴「……私のこと、好き?」

上条「――え?」

美琴「……私は、大好き。アンタが…当麻が、誰よりもいちばん好き! ……だから――」

上条「………」

美琴「―――アンタと、ひとつになりたい」

上条「美琴…」


上条(………そうだよ、俺は何を迷う必要があったんだ。美琴にここまで言われなきゃ分からねえなんて、とんだ間抜け野郎じゃねえか……。
   俺が美琴の想いに答えたんじゃない。俺が美琴を好きになったんだ! ……なら、俺が選ぶ道なんて最初っからひとつしかねえだろ!)

350 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 20:11:06.91 ID:BGCOaPg0 [19/21]

上条「俺も、好きだよ……お前以外に目が行くことなんて有り得ない」

美琴「……嬉しい」ニコッ

上条「俺の女は、お前だけだ」

美琴「じゃあ………」

上条「あぁ、今……証明してやるよ」




※上条さん視点に一時切り替わります


美琴が見上げてきた。この上目遣いで俺の鼓動はさらに波打つ。
俺も顔を下ろして、彼女の顔をまじまじと見つめた。ヤロウ、耳まで真っ赤にしやがって……きっと相当勇気出したんだろうな。

これに答えないヤツを、俺は男と思わない。
コイツが可愛くて、愛しくて……どうしようもない気持ちになってきた。
今まで色んなラッキーハプニングを味わってきたけど、こんな気分になったのは勿論初めてである。
もう……無理だ。
自分の中にもあった男としての欲望が……今、完全にコイツを求めている。

俺は、ゆっくり顔を近づけた。

美琴は……俺の方を見上げたまま、そっと瞼を閉じた。

351 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/30(月) 20:12:21.66 ID:BGCOaPg0 [20/21]

心の準備が、決まったようだな……。



ドクン……ドクン……



……いよいよ上条さんも一人前の男になる時がやって来たか……。緊張し過ぎのせいか、心臓の音がうるさく聞こえる。

もう、後には引けねぇ……ってか引かねぇ。

土御門、青ピ……悪いが上条さんはひと足先に大人の階段を昇らせてもらうぜ。恨むのは俺だけにしてくれよな……。

上条当麻………いざ、参るっ!!!


唇が、重なr




――ピンポーン♪



「!!!!!」




今ほど……今この時ほど呼び鈴が恨めしいと思った事はなかった……。





――上条部屋の外



垣根「ん…? 呼び鈴押した瞬間に伝わって来たこの様々な殺気は何だ……?」ブルッ

363 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:15:03.37 ID:2TfWY1s0 [2/19]

―――



上条「…………」

美琴「…………」




こういうシチュエーションでは、少しでも邪魔が入ると二人の世界はいとも簡単に現実へ引き戻してしまうものである。
要するに我に返るという意味だ。




上条「……誰だろうな?」

美琴「さ、さあ? 出てくれば?」

上条「おう…」


上条(まさかインデックスか…? くぅぅ、こんな一番良い時に帰って来ちまうなんて……不幸だな)パタタタ



――ガチャ

364 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:17:59.82 ID:2TfWY1s0 [3/19]

ドアの前にいたのは、やはり何食わぬ顔で立っている垣根だった。




垣根「よぉ、来てやったぜ」

上条「ってお前かよ!」

垣根「うわ、いきなりひでえ言い種だな……ってかお前、なんで電話返して来ねーんだよ?」

上条「は? 電話…?」

垣根「いや、昼に電話しただろぉが」

上条「えぇ? ケータイ……って、あれ? ない…」ゴソゴソ


美琴「ちょろっとー。アンタのケータイ、ベッドに置きっ放しになってたんだけど?」

上条「……もしかして、出かける前からすでに忘れてたってオチか……」

垣根「んだよ……まぁ、んなこったろうとは思ったがな……って、御坂も来てたんか?」

美琴「なんだ、誰かと思ったら垣根さんかぁ……ハァ」

垣根「何なんだその顔見た瞬間に漏れたあからさまな溜息は?」

美琴「べっつに~、ただ空気が読めてないどこかのチャラチャラしたおにーさんにほんのちょこーっと呆れただけよこの大馬鹿っ!!」

垣根「……へ? いや何で俺がキレられてんの?」

365 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:19:29.69 ID:2TfWY1s0 [4/19]

上条「すまんが垣根、今回は俺も美琴派だ。そしてできればこのまま何も聞かずに一発だけ殴られて欲しい。切に」グッ

垣根「あれ? ひょっとして二人とも怒ってらっしゃる? ………ん? あぁ、そういう事か。お前ら付き合ったんだな。おめでとう」

上条「――っ!?」

美琴「うっ、さすが私の上に立つだけあって頭の回転が無駄に速い……」

垣根「はっはっは、俺の新★脳味噌は伊達じゃないってね♪」キラーン


「「ってね♪ じゃなーいっ!!」」ブォン


垣根「―――ビブルチ!!?」Crash☆



二人が付き合って初めての共同作業は、招かれざる来客に放たれたダブルパンチだった……。




―――



上条部屋



上条「――んで、結局お前は何の用で来たんだよ?」ムスー

366 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:21:48.76 ID:2TfWY1s0 [5/19]

結局部屋へと上げたのだった……。




美琴「つまんない用だったらただじゃ済まさないわよ?」ビリ…

垣根「そう膨れるな電気を散らすな帰れオーラを無言で出すな。良い雰囲気だったトコ邪魔したのは謝っからさ。実はちょっと
   相談っつーか……聞いて欲しい事があって来たんだよ」

上条「聞いて欲しい事?」

垣根「そ、一方通行の事なんだが……」

美琴「一方通行? アイツと何かあったの?」

上条「また喧嘩したとかだったら張っ倒すぞ」

垣根「いや、ちょっと……な」チラッ

美琴「何よ? 私が居たら邪魔だとでも言いたげなその視線は?」

垣根「……う~ん………ま、いっか」

美琴「」イラッ

上条「美琴、気持ちは分かるが部屋での能力使用は固く禁じます」

垣根「ホントは上条だけの方が良いのかもしんねえが、まぁこの際だ。お前もついでに聞いてくれ」

美琴「誰がついでだゴルァァ!!!」ビリリッ

上条「わわわ、早く話せ垣根!! 上条さん家の電化製品が全滅する前にぃぃぃ!!」

367 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:25:38.75 ID:2TfWY1s0 [6/19]

垣根「お……おう、じゃあ率直に訊くぞ? 上条、お前はアイツの……一方通行の闇をぶっ壊せるか?」

上条「は……?」

美琴「……どういう意味?」

垣根「実は昨日……アイツの本音っつうのを聞いちまったんだよ。いや、それより"見た"って言う方が正しいかな…」

上条「……何があったんだよ? 内容によっては力になるぜ」

垣根「あぁ、それがさ―――」




昨日の出来事について垣根は語った。美琴がいたのは予想外だったが、ここで何も言わずに帰るという選択肢など、無駄足嫌いの
垣根には最初から頭に入っていない。




垣根「―――って訳だ。」

上条「………そうか、アイツ……まだ気にしてたんだな。『妹達』の件……」

美琴「……………」




流石に『当事者』と『凍結させた本人』の顔は複雑そうだった……。

368 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:28:17.36 ID:2TfWY1s0 [7/19]

室内は若干重苦しい空気に包まれていた。




垣根「最後のアイツは……正直言って見てられなかった。もしかしたら『禁句(タブー)』だったのかももしれねぇな…」

上条「……美琴、どう思う?」

美琴「………私は」

上条「…………」

垣根「…………」

美琴「むしろそれが当たり前だと思う……。悪いけど…」

垣根「ま、お前の立場からすりゃあそうだよな……」

上条「でもお前、アイツの事は許したんじゃ…」

美琴「勘違いしないで。私は一言も『許す』なんて言ってないわ……。『恨んでない』とは言ったけどね」

上条「えっ…?」

美琴「アイツが『妹達』を助けた事は知ってる。アイツの中で何かが変わったのもね……。けど、アイツのした事を許す許さないってのは
   全く別の話よ」

垣根「……どういう意味だ? 結局同じなんじゃ…」

美琴「うーん……微妙に違うのよね。もう憎い気持ちとかは無いけど、だからってアイツがやった事を許すつもりはない。これは多分……
   打ち止めもそうなんじゃないかしら…」

369 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:33:12.63 ID:2TfWY1s0 [8/19]

上条「恨みとかはないけど罪は許さないってことか?」

美琴「そう、アイツのしてきた事を許すってことは、あの実験を『認める』って事になる気がするの……。それじゃあ
   今まで犠牲になってきた妹達はいったい何なの? ってなるでしょ……」

上条「…………」

美琴「だから、アイツが罪について苦しむのは当然のことよ。私はあの時の気持ちを一生忘れられない……。逆にもし
  『忘れた』とか言われたら、能力使われる前にチョーカー引きちぎってボコボコにしてるでしょうね」

垣根「………やっぱ、許せねえか?」

美琴「『アイツのした事』はね。けど『今』のアイツはもう友達みたいなモンだし、いつまでもウジウジしていて欲し
   くはないかな」

上条「美琴……」

美琴「罪を背中に背負って生きるのは当たり前。けど、苦しんで終わりってのは望んでない。それでも前向きに生きて
   いってもらうのが、アイツに出来る『償い』だと私は思うけど?」

垣根「アイツからしてみれば相当辛いだろうぜ……けど、それは俺も同意だな。いつまでも過去にとらわれてクヨクヨ
   してるヤツは見てて虫唾が走る」

美琴「つっても、一方通行の性格考えると厳しいでしょうね……。いつも何か抱えてるように見えるから」

垣根「俺、アイツとは立場が一緒って思ってたんだがな……背負ってるモンとか、境遇とか……思った以上に深かった
   みてぇだ。俺は……結局アイツに何も言ってやれなかった……」

上条「…………」

美琴「……垣根さんは、直接『実験』に関わった訳じゃないんだし、気にしなくて良いと思う……」

370 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:39:07.93 ID:2TfWY1s0 [9/19]

垣根「アイツ(お前らもだが…)にはデカイ借りがあるからな。何とかしてアイツの『闇』を少しでも取り除いてやりてぇん
   だよ。あの馬鹿は自分に幸せはいらねぇとかほざいてやがる……。けどそんなのオカシイだろ? あの野郎がどんだけ
   の『悪党』だっつっても、幸せになることに理由が必要なんて馬鹿げた話だと思わねえか?」

上条「…………」

垣根「このまんまってのは、俺ん中でも何か後味悪くてよ……けど残念ながら、俺にはどうしたら良いのか分からねぇ。
   だから上条、多分お前だったら何とかできるんじゃねぇか、って思ったんだ。アイツの闇(幻想)、何とかぶっ壊して
   やって欲しい……」

上条「まぁ……話は分かったけど……何でそこまで……上条さんはただの学生さんですよ? そりゃアイツとは友達だけどさ…」

垣根「一方通行も、なんだかんだでお前の言うことなら聞くしな。それにアイツは言ってたぜ? 『アイツは俺ン中じゃ手を
   いくら伸ばしても届かねェヒーローみてェな存在(モン)なンだ』って……」

美琴「ヒーローか……そこは同意ね」

上条「いやいや、俺はそんな大それたモンなんかじゃねーって……」

垣根「……何とか、してやれないか?」

上条「………別に、アイツの幻想なんてブチ壊す必要はないと思うぜ?」

垣根「?」

上条「上手く言えねえけどさ、それはアイツがこれから生きていく上で『答え』を見つけなきゃならない問題だと思うんだ。
   だから今すぐにどうこうするってのは、正直間違いな気がする」

垣根「………」

上条「何年かかってでも、一方通行自身で導き出した『答え』じゃないと意味がない気がするんだ……」

371 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:41:29.42 ID:2TfWY1s0 [10/19]

美琴「誰かが介入する問題じゃないって訳ね……」

上条「まぁ、そういうことだな。俺はアイツが道を外れそうになったら殴ってでも連れ戻してやるつもりだし、もしアイツが助けを
   求めてきたら勿論助けに行く。けど、この場合はそれじゃダメなんだよ」

垣根「そうかもしれねぇ……けど、妹の事はどうすんだよ? 一方通行が妹の気持ちに応えるのに何年も見守るってのは……それじゃ
   妹も可哀相だろ?」

上条「ははは、それなら任せろ。上条さんに考えがある」

美琴「アンタ……ここんトコやけに冴えてるけど、どうしちゃったの?」

上条「ん? ……そうだな、最近頭良くなった気がしなくも…………あ!」

垣根「どうした?」

上条「いや、何でも…」(多分、アレだ。一方通行と一緒に課題終わらせた時からだ……)

美琴「?」

垣根「……んで、どうする気?」

上条「要は一方通行が御坂妹の気持ちに応えてやれば良いんだろ?」

垣根「まぁ…そうだが……」

上条「じゃあ話は簡単だ。一方通行が御坂妹にこう言えば良いのさ」

垣根「?」

372 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:43:02.91 ID:2TfWY1s0 [11/19]

美琴「何て言わせるのよ?」

上条「あぁ、それはな―――」



―――



その頃、黄泉川家…




打ち止め「……お兄ちゃん遅いね。ってミサカはミサカは不安になってみたり…」

禁書「ホントに家出しちゃったのかな?」

一方通行「ンなワケねェだろォ。そォだとしたら、アイツの精神年齢いくつだっつの…」

打ち止め「アナタはお兄ちゃんを少しイジメすぎだよ! ってミサカはミサカはお説教してみたり!」

一方通行「あァ!? なンでそォなンだよ!? 手ェ下したのはオマエだろォが!」

打ち止め「仕向けたのはアナタじゃん! ってミサカはミサカは負けずに反論してみるっ!」

373 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:45:52.51 ID:2TfWY1s0 [12/19]

一方通行「大体、イイ年こいて家出するとか有り得ねェっつーの! 反抗期なガキじゃあるめェしよォ!」(←家出経験者)

打ち止め「アナタが言うな!! ってミサカはミサカは皆の気持ちを代弁して叫んでみる!」

一方通行「架空人物作ってンじゃねェ! 皆って誰だよ!?」



ギャーギャー ワーワー




禁書(あくせられーたが幼く見えるかも…)



打ち止め「子供相手に何ムキになってんの!? ってミサカはミサカは大人気ないアナタに幻滅してみたり!」

一方通行「オマエがくだらねェ事言うからじゃねェか! あとムキになってねェよ!」

打ち止め「なってんじゃん! 声荒げてるじゃん! 目が鋭くなってるじゃーんっ!!」

一方通行「だァァ!! じゃンじゃンうっせェンだよォ!! ただでさえムカつく口調のレパートリー増やしてンじゃねェェ!!」

打ち止め「ッ!? ムカつく口調って言った!? ってミサカはミサカは信じられないって顔をしてみたり…」

一方通行「あ……イヤ、待て。今のは言葉のアヤ――」(しまった……)

374 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:48:26.87 ID:2TfWY1s0 [13/19]

打ち止め「アクセラレータの馬鹿ぁぁーーー!!! ってミサカはミサカは強制解除っっ!!」

一方通行「だからまhdwkdjloksmpwp;kdmぇ@dweoiぺdjnowndnぇsiqps,;:ンjn,d~~~~」ドサッ


禁書「ッッ!? あくせられーたが糸の切れた人形みたいに崩れちゃった!」


打ち止め「アナタが悪いんだからね? ミサカを怒らせたらどういう事になるか忘れちゃったんなら思い出させてあげる!
     ってミサカはミサカは『お仕置きモード』発動♪」


禁書「あ……らすとおーだーの顔に悪魔が見える………修道女の私にとってこれは天敵かも」


打ち止め「ムフフフフ~♪ さぁ観念してね。ってミサカはミサカは早速実行に移ってみる――!」

一方通行「dmend:a]:x/]:w..x.//s:s;kdnfhjekhryuryu8~~~~~」




※刺激が強すぎますので省かせて頂きます




打ち止め「ふ~、スッキリした。どう? 少しは反省した? ってミサカはミサカは確認を取ってみる」


一方通行「」


禁書「ワタシハナニモミテマセン ワタシハナニモミテマセン ワタシハナニモミテマセン…」ブツブツ

375 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:51:25.57 ID:2TfWY1s0 [14/19]

打ち止め「あれ? 演算補助再開したのに……ってミサカはミサカは首を傾げてみたり……おーい、聞こえてるー?」

一方通行「アァ、キコエテル」

禁書「あくせられーた……目が現実を見てないよ。しかも口調がロボットみたいだよ……」

一方通行「ゴメンナサイ。ハンセイシマシタ。ダカラモウ『ソレ』ダケハシナイデクダサイ」

打ち止め「アナタのご主人さまは誰?」

一方通行「ラストオーダーサマデス」

打ち止め「わーい♪ ってミサカはミサカはまさかの下克上に歓喜してみたりー! 今日からアナタはミサカの下僕決定ー♪」ピョンピョン

一方通行「カシコマ――って、だァァれが下僕だァゴルァァァ!!」グリグリ

禁書「あ、帰ってきた」

打ち止め「――ぎゃあーっ!! ってミサカはミサカは予想外の反撃になすがままだったりー!! イタイイタイ!! た、助けてー!」

一方通行「オマエ『ソレ』二度とやンなっつったよなァ? なァ? 言ったよなァ? オイ?」グーリ グーリ

打ち止め「じ、時間差で低速グリグリはヤメテ!? すっごく痛い! 地味な痛みがスローテンポでやって来る!」ジタバタ

禁書(この光景、クレヨン○んちゃんで見たかも……)

一方通行「さァてェ、約束を破った悪い子ちゃンにはお仕置きしてあげないとなァァ」ニタァ

禁書(うわっ、悪そうな顔……凶悪犯罪者とヒケを取ってない…)

376 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:53:46.53 ID:2TfWY1s0 [15/19]

打ち止め「うわ~ん! ごめんなさ~い! もう許してよぉ~」

一方通行「ダァァァメェェ! もォ二度と逆らおうなンて思わない様、俺の恐怖を身体にたっぷりと覚えさせてやンよォ」グリグリ

打ち止め「ひいいい! ってミサカはミサカは本気で身の危険を探知してみたり~!」



――Pipipipipi♪



一方通行「あン?……誰だよクソが……」パカッ


「……三下かよ………」ピッ


「おォ、何の用だ三下ァ。つまンねェ用事だったら………何? オイ、今何つった!?」バタン




電話に出たと思ったら血相を変えて部屋から飛び出して行ってしまった一方通行に、打ち止めは安堵の息を吐く。




打ち止め「ふーっ、何か知らないけど助かった……ってミサカはミサカは命拾いしたり」

禁書「電話の相手、とうまっぽかったね……」(短髪と一緒じゃないのかな……?)

377 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:55:24.29 ID:2TfWY1s0 [16/19]

打ち止め「そうみたい……どうしたんだろ? ってミサカはミサカは気になってみたり」



――ぐぎゅるるるるる……



打ち止め「な、何今の音っ!?」

禁書「私の腹の虫はもう限界突破寸前かもぉ……」


オーイ メシデキタジャンヨー


禁書「――はーいっ♪」ギュン

打ち止め「……縮地!?」



―――



――上条宅



上条「――これでよし、んじゃ俺も行きますかっと…」スクッ

美琴「……ホントに『それ』で大丈夫なのぉ? すっげー不安…」

378 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 21:57:20.15 ID:2TfWY1s0 [17/19]

上条「大丈夫かどうかは分かんねえよ。けど今よりはマシになるハズだし、アイツが前を向いていけるきっかけぐらいになら、
   なるかもしれねぇ」

垣根「………ある意味賭けみてぇなモンだな……けど何で一方通行が前向きになるきっかけなんだ?」

上条「…気づいてるか? 一方通行が御坂妹と喋る時……俯いたり目を逸らしたりするんだよ。多分無意識なんだろうけど……。
   せめて、その癖だけでも出なくなれば、少しはアイツも前向きになるんじゃねえかってさ……」

垣根「確かに、アイツの負担ってか…背負う十字架も少しぐらいは軽くなるかもしんねえな」

美琴「……っていうか鈍感なアンタが…よく気づいたわね?」

上条「はは、実はさっき垣根から聞いた話で思い出しただけなんだけどな」

垣根「それで、一方通行の事は……お前に任せていいんだな?」

上条「あぁ、任せろ! ……なんてデカイ口は叩けないけど、とりあえず言ってみるよ」

垣根「頼む…」

上条「おう、安心してくれて良いと思うぜ? アイツならきっと大丈夫な気がするんだ……なんとなくだけど」

垣根「はっ、さすが『マブダチ』ってかぁ? 何かよぉ……最近お前らがやたら羨ましく見えてくるわ。俺にも『親友』っての?
   少しだけだが欲しくなっちまったぜ」

上条「俺も一方通行も、お前の『ダチ』だ。少なくとも俺はそう思ってるぞ?」

垣根「なんか面と向かって言われっと、逆に返しづれぇな…」

379 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/31(火) 22:00:24.00 ID:2TfWY1s0 [18/19]

上条「まぁ、本当に必要なのは『親友』とかって肩書きより、自分の良い部分や悪い部分をしっかり理解してくれて…
   互いに成長し合える様な人の存在だろ? 俺や一方通行じゃ不足か?」

垣根「ケッ……もぉ充分足りてるっつーの。あのタコには口が裂けても言ってやらねえがな」ニヤ

上条「ははは、じゃあそろそろ出るぞ? 美琴、今日はゴメンな…」

美琴「いいわよ! 別に今日じゃなきゃいけないってことでもないし、寮にはまた連絡すれば平気だから気にしないで」

上条「ありがとう。この埋め合わせは後日果たすぜ。垣根、悪いけど美琴を送ってやってくれないか?」

垣根「あぁ、わかった。なんか……俺のせいで悪いな二人とも」

美琴「だから気にしなくて良いってば。別にいつでも来れるんだし」

上条「そういうこった。お前が謝る必要なんて何処にもねえよ。………お、マジで時間ヤバイな……。じゃ、いい加減
   行くとしますか――」



――バタン




寮の入り口で二人と別れた上条は、一方通行が待つ『あの場所』へと向かった。
一方通行の抱えている闇を、上条は一体どうするつもりなのか……。
いずれにせよ、もうじき『答え』は出る―――。

387 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:06:23.21 ID:mb0LH8I0 [2/15]

―――



「………」カツン カツン




ここは、西の郊外にある列車操作場。そう……一方通行が約半年前に最後の実験を行った場所であり、上条当麻と
最初に出会った因縁の深い場所でもある。




「……チッ、何処にいンだァ? 三下のヤロォ………」




線路の上を歩きながらそう呟く一方通行。辺りに呼び出した本人の姿は見えない……。




「…………!」




更にしばらく進んだ後、前方からコチラに向かって歩いてくる人影を確認した。

………上条当麻だ。

388 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:09:35.04 ID:mb0LH8I0 [3/15]

上条は、まるで学校帰りのようないつもと変わらない足取りで一方通行の側までやって来た。




上条「――よう、悪かったな。急に呼び出して」

一方通行「どォいうつもりだよ三下ァ。『妹が危ねェ』って切羽詰まった声出してたワリにはずいぶンと
     涼しげな表情じゃねェか?」

上条「あ~、悪い。あれ嘘」

一方通行「ふゥン………で、遺言は?」スッ

上条「ストップストップ! まずは聞いてくれ!」




スイッチに手を近づけた一方通行に慌てて対応する上条。




上条「あぁでも言った方が早く来てくれると思ってさ……悪かったよ。ってか、懐かしいな。この場所に
   お前と居ると思い出すよ……」

一方通行「……ふン」

上条「あれからもう半年も経ったんだよなぁ……。あん時のお前、相当恐ろしかったぜ」フフッ




いつもの軽い調子で喋る上条だが、一方通行は付き合う気になれなかった……。場所を考えればそれも当然
かもしれない。

389 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:11:54.76 ID:mb0LH8I0 [4/15]

一方通行「っつーかよォ、……なンで『ここ』なンだ? まさか、これから思い出巡りでもしよォとか言う気
     じゃねェだろォなァ…」

上条「……直に分かるよ。あと、御坂妹がもうすぐここに来るのは本当だ」

一方通行「………オマエ俺に何させる気だァ?」

上条「単刀直入に言う。……御坂妹の気持ちに応えてやれよ。イエスでもノーでも、ハッキリさせておくべきだ」




真剣な表情へとシフトした上条が意図を告げることで、一方通行は眉を顰めた。
この少年は、少なくとも御坂妹の心変わりを知らない筈だ……。




一方通行「……………垣根か」




そこに行き着くのは彼にとって容易な事だった…。




一方通行(あのメルヘン野郎……余計な真似しやがって。よりによって一番知られたくねェコイツに……)ギリッ…


上条「おっと、垣根を責めるのはやめろよ? アイツはお前のことをすげえ心配してたんだからな。良い
   ルームメイトじゃねえか」

390 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:19:04.15 ID:mb0LH8I0 [5/15]

一方通行「ケッ……知ったこっちゃねェよ。ンでェ、ナニ? 俺がソイツに大人しく乗るとか思っちゃってる
     訳ですかァ?」

上条「あぁ」コクリ

一方通行「……オマエ、俺を誰だと思ってンだ? 垣根の成功で図にでも乗り出したかァ? 生憎だがよォ、
     コイツは俺の問題だ。いくらオマエでもこれ以上の詮索は許さねェ」

上条「そうだな、確かにお前の問題だ。どんな答えを出そうとお前の勝手だ。だがお前は悩んでる……答えを
   決めかねている。…そういう時に誰かから背中押されるなり助言もらうなりすれば、少しは楽になるん
   じゃねえのか?」

一方通行「楽になろォとか思ってねェし、俺は誰かさンと違って『余計な世話』ってヤツが嫌いなンだよォ」

上条「バーカ、友達ってのはその『余計な世話』をするためにいるんじゃねえか。…相手は良くて自分だけが
   イヤだなんて不公平だろ?」

一方通行「…………」

上条「『一方通行』だからなんて言うなよ? そんなシャレで誤魔化そうったって無駄だからな?」

一方通行「あっそォ……悪りィがなァ、今はオマエの説教聞く気分じゃねェンだ。ンな話なら帰ンぜ?」

上条「昨日のこと、覚えてるか?」

一方通行「あァ?」

上条「『守りたい者のために身を引くなんて考えは臆病者の選ぶ道だ』」

一方通行「!?」

391 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:21:16.80 ID:mb0LH8I0 [6/15]

上条「『いい加減自分の幸せを掴んだって良いんじゃねえのか?』」

一方通行「………!!」

上条「分かるか? 全部お前が俺に言ったことだ」

一方通行「オマエ……何が言いてェンだ?」

上条「なーに簡単だよ。今の言葉、お前にも返すっつってんだ」

一方通行「チッ……付き合ってらンねェ」クルリ




背を向けて引き返し始めた一方通行に、上条の声が刺さる。




上条「逃げるなよ、一方通行」


一方通行「――あァ?」クルッ




ありったけの苛立ちを込めた目で、上条に振り返る……。その目は、『これ以上余計な事はするな』と警告
している様にも見えたが、上条はそれでも臆さない。

392 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:26:20.47 ID:mb0LH8I0 [7/15]

上条「お前が御坂妹に後ろめたさを感じているのも充分わかってるつもりだ。けど、お前はこれからも
   アイツに背を向けて生きていくつもりなのか? 『アイツは俺なんかに妙な気を持っちゃいけねぇ』
   なんて体の良い理由付けて、アイツから逃げたままこの先を生きていくつもりなのかって聞いてんだよ」


一方通行「うっせェよ……俺がどンな生き方しよォがどンな道進もォが、俺の勝手だろォが。オマエだ
     ってそォ言ったろォがよ?」


上条「あぁそうだな。けど、お前が道から外れようとしてるのを俺が黙って見てるようなヤツじゃない
   ってことも知ってんだろ?」


一方通行「そもそも俺は逃げるつもりはねェ。ただ、アイツに俺は相応しくねェって思ってるだけだ」


上条「何で相応しくないんだ?」


一方通行「ンなの……分かンだろォ? 俺はアイツの姉妹みてェな存在だったヤツらを一万人以上ブチ
     殺してきた男だぜ? 誰がスキ好ンでそンなヤツと一緒に居てェって思うンだ? アイツには
     他にマシなのがそこら辺にゴロゴロしてンだろォ? 少なくとも、俺以下なヤツはいねェハズだ。
     『よりによって』ってのはまさにこの事なンだよォ」


上条「それじゃ理由になってねえよ。いちばん肝心な、お前の気持ちが抜けてんじゃねえか」


一方通行「俺の気持ちィ? ……ハッ、オマエ頭平気かよ? 気持ちってのはつまり『個人的私情』って
     ヤツだよなァ? そンなモン割り込ませてオーケーな話じゃねェだろォ!? 俺の気持ちがどォ
     転ンだって、してきた過去が変わるハズはねェ! 都合よくリセット出来る訳もねェ! 結局俺
     がどォ思おォが、どンな感情抱こォが、アイツを残虐非道に殺そォとした事実だけは決して消え
     やしねェンだよォ!!」

393 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:29:34.59 ID:mb0LH8I0 [8/15]

上条「…………」

一方通行「オマエ、『充分わかってる』とかほざいたよなァ? 全然!! 全っっ然わかってねェよ!!
     俺が何度悪夢に魘されたか分かンのかァ!? 俺が妹と顔合わせる度に何度逃げ出したくなった
     かオマエには分かるってのかよォォ!!?」




夜の工業地帯に、第一位の抱えた闇が姿を現し始めた………。しかし、上条は全く動じていない。
ただ、隠し続けた心中を吐露する『友』の姿を、熱く見つめるだけだった……。
そして、上条はそんな彼の闇を否定するかの如く声を発した。まるで、心を鬼にしたような表情で……。




上条「いつまでも甘ったれてんじゃねえよ。馬鹿野郎が」


一方通行「――ッ!!!」


上条「悪夢? 逃げ出す? ……何だよそれ? テメェは自分のケツも自分で拭けねえ様な甘ちゃん
   だったのか?」


一方通行「………!!」


上条「全部お前がしてきた事だろ? 耐える覚悟もねえんなら、始めっからやんなきゃ良かっただけ
   の話じゃねえか」


一方通行「そンなの今さら言っても……もォ手遅れなンだよォ!」

394 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:34:11.28 ID:mb0LH8I0 [9/15]

上条「手遅れって何だよ? それはお前ひとりが決める事じゃねえだろ。自分勝手なのも大概にしとけよ?」

一方通行「オマエ……ナニ? さっきから何なの? 死にてェの? 今のはさすがにシャレとして聞き流すって
     ワケにはいかねェよなァ」ギラッ

上条「…………」




殺意を込めた目で睨んでくる一方通行……。彼の表情はすでに少し錯乱しているようだった。




上条(二人には余計な心配させると思ったから敢えて言わなかったが、やっぱりこうなっちまうよな………
   けどまぁ、仕方ねぇか…)


(フッ……なんか、コイツにこんな目ぇ向けられんのも久しぶりだよな……でも――)


(―――もう後には、引けねえ……ッ!!)グッ



上条「あぁ、じゃあハッキリ言ってやる。お前は罪の意識を理由に逃げようとしてるだけなんだよ! 自分が
   許せないんだか何だか知らねえが、御坂妹の気持ちから目を背けてんじゃねえよ! お前の決めた答えに
   とやかく言いたくはねーがな、逃げるってのはちょっとカッコ悪すぎんじゃねえのか!? お前に少しでも
   償いたい気持ちがあるんなら、逃げようとしないで真っ直ぐ妹と向き合ってやれよ!」


一方通行「………ッッ!!!」

395 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:36:33.15 ID:mb0LH8I0 [10/15]

「一方通行……お前がこれから重い十字架を背負って生きていくことを、俺は否定しない」


「お前の宿命を、とやかく言うつもりもない………それはお前自身で答えを見つけないと意味がねえんだからな」


「俺は……お前の『信念』を殺すような事は、しない。…………だがな」


「お前が、それを理由にして逃げるってんなら………話は別だ。これからもそうやって逃げ続けるって言うのなら、
 悪いが今すぐブチ殺してやるよ……」




「お前のその―――甘ったれた幻想(闇)を!!!!!」グッ




強い意志と共に、右拳を力強く握る上条……。

一方通行は上条から強く発せられた言葉を聞いた途端、突如豹変する。





『闇』が……ついに姿を現した。





「…………ひヒっ」

396 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:39:22.62 ID:mb0LH8I0 [11/15]

上条「……!」


「ひはっ、きひひっ――」ユラァ


上条「………!?」




「―――あはハハハひゃハきハはははきひひひはははカハハハはヒャははハははははははァァァッッ!!!!!」




ゴォォォォ!!!!!




背中から瞬く間に出現する漆黒の翼……。辺りの空間が、とてもこの世のものとは思えないほど、深い『闇』に
包まれていく……。




上条「…………」




完全に曝け出された『一方通行の全て』を、上条はじっと見据えた。

397 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:42:48.90 ID:mb0LH8I0 [12/15]

~~~~~




垣根「――けどよ、上条…」

上条「ん? 何だ?」

垣根「アイツのことだ……きっと簡単には行かないと思うぜ?」

上条「だろうな……分かってる」

垣根「どうする気だよ…?」

上条「お前の話が本当なら、アイツがどうするのかは見当がつく。もし実際にそうなっちまった時は――」


「―――お前がさっき言ったように、アイツの闇を俺がブチ壊す」


垣根「………本当は…そうならねえのが、一番だよな…」

上条「まぁな、けど……アイツが間違った道を進んでいくのを黙ってる訳にもいかねえよ。そのために俺(友達)
   がいるんだからな」

美琴「……無茶だけは、しないでよ?」

上条「心配するな、美琴……。一方通行は大事な『友達』だ。想いが届かない訳ねえよ。それに……」




「『友達』って言うのは、ぶつかればぶつかった分……『絆』は深まっていくモンなんだからさ―――」



~~~~~

398 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:46:48.79 ID:mb0LH8I0 [13/15]

~~~~~




「―――ぎゃははははははははひはははははきひははははははははははははははっっっ!!!!!」ゴォォォオ




狂い、笑う……。そんな彼(友)の変わり果てた姿から上条は目を背けなかった。




(実験の時ともロシアの時とも違う……)


(これが、アイツの今まで抱えていた……誰も見たことのない『闇』……)


(アイツの中では、まだ終わっていない過去……)


(いいぜ……お前がその『闇』に篭もったまま、この先も偽りの仮面を被り続けるって言うのなら――)




(―――俺がお前を、闇から引きずり出してやるよ!!! 友達としてな!!!)カッ




目に……魂を燈した。

399 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/01(水) 19:49:03.70 ID:mb0LH8I0 [14/15]

変貌した一方通行へ向かって勇ましく立ちはだかる上条……。


固く握りしめた右拳を、ぶつけるために。


闇に落ちた友を、正しい道へと戻すために。


最初に激しくぶつかり合った、この場所で……。




ヒーローと悪党は今まさに、三度目に渡る決戦の時を迎えようとしていた―――。

405 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:14:59.50 ID:kgZc/.o0 [2/21]

――常盤台女子寮前




美琴「あ……もうここで良いわよ?」

垣根「そうか。んじゃ、またな」




上条と別れ、世間話を交えながら常盤台中の学生寮前までやって来た二人。
垣根は挨拶もそこそこに背を向けたが、美琴はそんな彼の背中に声を掛ける。




美琴「……ねえ!」


垣根「ん…?」クルッ




振り返る垣根に、美琴は何やら複雑そうな表情で問いかけた。




美琴「アイツの『闇』って……何なんだろ…?」

406 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:17:01.61 ID:kgZc/.o0 [3/21]

垣根「…………」


美琴「私もアンタも、超能力者ってだけで……周りからは特別な目で見られるのはよく知ってる……きっと一方通行も……
   それは分かるの! でも………」

垣根「理解……できねえか?」

美琴「……一方通行が抱えてるモノって、『妹達』の件だけじゃないのよね……?」

垣根「まあ……そうだな」

美琴「分からない……。私……私だって同じ超能力者なのに、何も知らない……。『闇』っていうのが、そもそも理解
   できない……」

垣根「ある意味……お前は超能力者の中では一番恵まれてるってだけだ。あんな『世界』になんか来ねえ方が良いに決
   まってる。お前は知らなくて良い事なんだよ。……その方が幸せだ」

美琴「けど……」

垣根「俺もアイツほどじゃねえが、『闇の世界』については知ってるつもりだ。少なくとも帰る気にすらなれねえクソ
   みてぇな世界だよ。……だから、お前は知ったらいけねぇ。知らないで生きていけるんなら、それに越したこと
   はねえんだ……」

美琴「…………」

垣根「愛しのダーリンが心配か?」

美琴「…………」コクリ

垣根「信じてやれ。『アイツなら大丈夫』ってな」

美琴「それもあるけど……」

407 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:19:09.35 ID:kgZc/.o0 [4/21]

垣根「ん?」

美琴「一方通行も、今は『友達』みたいなモンだし……心配よ。当麻なら何とかしてくれるだろうけど、やっぱり……」

垣根「………はは、アイツもモテ男になったモンだ」

美琴「そういうんじゃないの! ただ、私も『頂点』に立ちたいって思ったことがない訳じゃないし………実際そこに
   立ってるアイツは、一体どんな気持ちなんだろって……」

垣根「…………」

美琴「……ごめん、変な事で止めちゃって………もう行くね。送ってくれてありがと!」

垣根「あぁ……気にすんな」

美琴「アンタも寄り道しないで帰んのよー? でないと初春さんにあること無いこと言いふらしちゃうんだから♪」

垣根「なっ!? テメェ! 何て恐ろしいことを!?」

美琴「あはは♪ じゃあねー!」タッタッタ




無理矢理明るい(?)雰囲気を作って寮へと入っていった美琴……。
垣根は最後の最後で肩透かしを喰らったような感覚に陥った。




垣根「………ったく、お嬢様ってのは相手にしづらいぜ……飾利の友達ってんだから特に…」



こりゃあ迂闊に弱みでも握られたりしたら最高に面倒臭ぇな…と呟いて、垣根はその場を後にした―――。

408 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:20:53.48 ID:kgZc/.o0 [5/21]

――寮内



美琴「~~♪」




スキップでもしそうな足取りで自室へと向かう美琴………初恋が実ったのだから無理もない事だ。
心配ではあるが、それよりも信頼が勝っている。アイツらならきっと大丈夫。美琴はそう結論付けた。
機嫌も良いし、今日は黒子にサービスしてやってもいいかなぁ、とか思いながら歩いている途中、後輩の
寮生達が全員慌てふためいた顔で美琴の下へと走り寄ってきた。




寮生1「みみみみ、御坂様~~!!」パタパタ

寮生2「御坂様が帰って来ましたわ!!」パタパタ

寮生3「お待ちしておりました~!!」パタパタ


美琴「ん?……アンタ達どうしたの? そんな血相変えて…」


寮生1「ししし、白井さんがぁぁ…」

寮生2「大変なんです!」


美琴「!?………………あー…」




彼女達の説明が終わる前に美琴は自室へズカズカと歩を進めた。もう話を聞くまでもなく、おおよその見当
が付いてしまったからだ。

後輩へのサービスは、いつもよりほんのちょこっとだけ電圧を上げてやる事でカタをつけてやった―――。

409 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:23:17.30 ID:kgZc/.o0 [6/21]

――西の工業地帯・電車操作場




再三対峙する上条当麻(最弱)と一方通行(最強)……。


一方通行は理性を飛ばした表情で上条を、上条は逆に魂を宿した表情で一方通行を見据えていた……。




上条「………」グッ


一方通行「ォォォォォ……」




地獄から聞こえてきそうな低い声で唸る一方通行に対し、上条は拳に最大の力を込めて………踏み出した。


先に動いたのは、上条だった―――。




上条「おォォォおおおおおおおおおおッッッ!!!」ダッ




咆哮と共に、一直線に突撃する。だが……すでに一方通行も迎撃の体勢に入っていた。

410 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:25:36.32 ID:kgZc/.o0 [7/21]

一方通行「ァァァああああああああああああああッッッ!!!」ブォォォ


上条「ッッ!!!?」




上条が間合いに入る前に、黒い翼が頭上から轟音と共に振り下ろされる……。




上条「―――んぎぃっ!!!」ブァッ




咄嗟に右手を空へと翳し、翼を受け止めた。右手が黒い物質に触れた途端、周囲に『黒』が散乱していく……
上条の右手を中心にして。




バシュウウウゥゥゥ……




上条の右手から半径十メートルの空間から、『黒』が消えた。上条の『幻想殺し』は一方通行の黒翼にも有効である。



「!!?」



しかし、一方通行は怯むことなく追撃を続ける。

411 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:31:42.24 ID:kgZc/.o0 [8/21]


一方通行「ォおおおお!!!」ブォン


上条「お……らぁぁッ!!」バァァン




横からもう片方の翼が迫ってくる。だが、今度は冷静に見極めた上条。そのまま真横に拳を振るい、翼を乱暴にぶん殴った。


直後、翼が弾け飛ぶと同時に旋風が巻き起こる―――。




一方通行「!?」


上条「…………ッッッ!!」




両翼の長さが左右非対称に変わる……が、すぐに背中から再生し、元の長さへと戻っていく。

やはり、いくら翼を捥いでも埒が明かなそうだ……。


何とか懐に飛び込まねば、目を醒まさせる前にコチラがやられる。

だが、もう自分の能力が知れてる以上……それはおそらく容易ではない。

412 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:33:39.56 ID:kgZc/.o0 [9/21]

方法をじっくり考える間もなく、一方通行が次手に移る。




一方通行「うおあァァァァああああああああッッ!!!」




シャアァァァッッ!!




上条「――ッッッ!!??」




今度は無数の『黒い杭』が地面から生えてきた。伸びきった黒い杭は上条の半径約十メートルを
中心に続々と出現する。




上条「ちぃっ!!」バッ




頭を素早く回転させた上条は、迷わずしゃがんで右手を真下の地面につける。
それから三秒もしない内に下から凄まじい衝撃がやって来た。




上条「………ッ!!」

413 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:37:29.40 ID:kgZc/.o0 [10/21]

上条「ぐぉぉおお!!」シュウウウ…



右手一本で何とか衝撃には堪えた……。
しかし、休む暇もなく周りから生えた『黒い杭』が間髪入れずに上条へと降り注ぐ。
それらを転がりながらも回避しつつ、右手を振るい杭にぶつけて一つずつ消していく……。




上条「うっ!! ぐぅっ!!」バシュ バシュ




上下左右から次々と襲い掛かる杭を、決して華麗とは言えない動きながらも確実に捌いていく上条……。




上条「だぁぁああああああああああ!!!!!」バリィィン




やがて生えていた全ての杭を消した頃には、上条の息も相当上がっていた。




上条「ハァ、ハァ、ハァ……ッッ」


一方通行「……ひひっ…ひはははァ…」




一方通行はまだ怪しい笑みで上条を見ていた。
やはり、理性はどこかへ飛んでいるのだろう……。ならば、なおさら自分がここで止めなくてはならない。

414 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:39:38.04 ID:kgZc/.o0 [11/21]

が……しかし。




上条(クソッ……これじゃあ近づけねぇ…)




今も一方通行の背中には巨大な翼が広がっている……。付近のコンテナなどは戦闘の余波で吹き飛んでしまっていた。
確かに威力そのものは凄まじいが、上条の幻想殺しに威力の際限はない。よって、杭そのものの力ならいくら増幅されていようと防げる。威力の強さによって生じた二次災害までは防げないが、今までの戦歴で培われた身体能力や直感、予測などを駆使し、何とかここまでは凌げていた。……しかし、上下から無数に襲い掛かってくる変形版黒翼に翻弄され……
肝心の右手が届く距離まで接近できないのもまた事実…。
近づけばあの変幻自在な黒翼が容赦なく牙を剥いて襲ってくる。
捌けないことはないとは言え、流石にこのまま続けていては体力の消耗も免れない……。
正にジリ貧と言うやつだ。
闇に包まれた一方通行から目を離さないまま、何か手はないかと突破口を探る上条だが………




「―――なァあ? 三下ァァあ?」




そんな中、恐怖を誘う悪魔(アクセラレータ)が、タガの外れた声で上条に問いかけてきた……。




上条「………?」

415 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:40:57.86 ID:kgZc/.o0 [12/21]

一方通行「わかるかァ? わかるかよォォ!?」


上条「何…を……?」


一方通行「俺はなァ、こンなに深いモノを今まで抱えてきたンだよォ……。『絶対能力進化実験(シフトプラン)』だけじゃねェ。今まで俺が受けた開発やら他の実験やら……発散しきれずに貯めてきた『ツケ』が全部!
  俺をひと思いに埋め尽くそォと抗って来るンだよォォ! オマエじゃ想像も付かないよォな、馬鹿デケェ
  『闇』が……俺ン中から溢れンばかりに湧き上がって来てるンだよォォおおお!! これでもオマエは俺に『逃げるな』ってのかァァ!!? 俺が今まで受けてきた『地獄の片鱗』しか目撃してねェオマエがァ!?
  『一部垣間見た』だけのオマエが、それでも俺に『逃げるな』って言うのかよォォおおおおお!!!??」



上条「…………」


一方通行「呆れっだろォ? 学園都市の頂点に立っていたこの俺が、実は逃げ出してェぐれェ学園都市に嫌気がサシていたンだぜェ? 弱くて 幼くて臆病な自分が、常に心のどこかにずーっと居座ってたってンだぜェ?
     ひひっ、笑えてくるよなァ? どンだけ優れたチカラァ持ってても、どンだけ無敵に近づこォとしてもォ、所詮はそこいらのガキと全く変わンねェほどに弱かったってかァ? ぎゃははははははァァ!! あァー愉快だなァオイ! 傑作だァ! なァ、オマエ、今の俺を見てどォ思う? こンな風にボタンひとつ押されたぐれェで呆気なくタガァ外れてブッ壊れちまうよォな俺を見てもよォォ、まァだオマエは『ダチ』だなンて思えンのかァ? なァァ、どォなンだよォォお!?」




上条「…………」




一方通行「答えろよォ! 何とか言えよヒーローォォお!!」

416 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:43:42.11 ID:kgZc/.o0 [13/21]

上条「当たり前だろ! むしろそれが『人間』じゃねえか! お前が本当に何も感じないようなヤツだったら、俺とダチになろうだなんて言うハズがねえからな! 結局お前も俺達と何ら変わらないんだよ! 環境や育ち方がちょっと違うってだけで、俺達とお前の間に差なんてモンは存在しねえんだよ!! そんなことぐらい、本当はもう判ってるんじゃないのか!? 」


一方通行「………!!」


上条「闇を全部捨てろとは言わねぇ!! けどな、せめて自分が今までしてきた事にぐらい、正々堂々と向き合ってみろ!! 現実から目を背けて逃げようとするんじゃねぇ!! ほんの『ちょっと』ぐらい暴走したって別に構やしねえよ! それを止めてやるために、俺や垣音みたいな『友達』がいるんじゃねえか!! 自分を隠すぐらいなら曝け出せ!! 受け止めきれねえなんて結論を、自分で勝手に導いてんじゃねえよ!!!」


一方通行「!!………ははっ……ホント、なンなンだよォ……なンなンだよォォ!? まるでヒトの事を全部知ったよォなその口はァァ!? あああ………そォだよ、オマエは眩しいンだよォ。俺にとってオマエ達は眩しすぎるンだよォ!! 俺の抱えてるモノをオマエ達が受けきれるってンならァ、頼むからそこに俺も連れてってくれよォ!! 俺をオマエ達のいる『世界』にまで連れていってくれよォォォおおおおおお!!!」







上条「………いいぜ、わかったよ」




「連れていってやる………いや――」




「―――もうお前も『そこ』にいるんだってことを、今から俺が教えてやる!!!」グッ

417 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:45:53.22 ID:kgZc/.o0 [14/21]

直後、夜空に轟く絶叫がふたつ………


上条当麻と一方通行………


二人の『主人公(ヒーロー)』は、最後の激突へ向けて勢いよく……地面を蹴った!


拳を握り、雄叫びを上げながら駆け出した二人の距離は、徐々に縮まっていく。

418 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:46:53.95 ID:kgZc/.o0 [15/21]


一方通行「おォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



~~~~~




『離れろよ……テメェ、今すぐ御坂妹から離れろ』


『グチャグチャ言ってねえで離れろって言ってんだよ!! 三下!!』


『あらゆる敵を一撃で倒し、どんな攻撃も反射する。そんなヤツが……喧嘩の仕方なんて知ってるハズがねえよな!』



――――



『お前が選べよ……このままお前の手で守り続けるのか、他人に全部預けて逃げるのか、それとも俺の手を借りて
 協力して欲しいのか――!!』



『―――傲慢だろうが何だろうが、お前自身が胸を張れるものを自分で選んでみろよ!!!』



~~~~~


~~~

419 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:49:04.05 ID:kgZc/.o0 [16/21]

上条「うあァァあああああああああああああああああああああ!!!!!」




~~~~~




『オマエ、ナニサマァ? ……七人しかいねェ超能力者、その中でも頂点って呼ばれてるこの俺に向かって三下ァ? ハッ、笑えねェ』



『面白ェ……最高だよオマエ。最っ高に、面白ェええぞォォおおおおお!!!』




――――




『何でだよォ!! 何で誰もあのガキを助けてくれねェンだよ!!? オマエはヒーローだろォが!!』


『何をどォしたって、俺は血みどろの解決方法しか選べねェンだよ!! オマエみてェなヒーローが駆けつけて
 くれたら、最初っからこンな間違いなンか起こらなかったンだ!!!』


『何で今ので死なねェンだよヒーローォォ!! ………ここで死ななきゃ、全部破綻しちまうだろォがよォォお
 おおおおおおおおお!!!』




~~~~~


~~~

420 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:51:32.84 ID:kgZc/.o0 [17/21]

一方通行「――――――――――――――!!!!!」



~~~~~~~



『仕方ねェなァ!! この学園都市最強、一方通行がオマエの友達ンなってやンよォ!! 感謝しろやァ!!』


『………ハイ?』



――――



『足引っ張ンなよォ! 三下共ォォ!!』


『おうっ!!』



――――



『だよなァ! 友達って最高だよなァ!』


『まぁな! ははははは!』



あっはははははははは――――



~~~~~~~


~~~~

421 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:52:34.72 ID:kgZc/.o0 [18/21]


上条「――――――――――――――!!!!!」



~~~~~~~



『ははは、お前って……ホント素直じゃないのな』


『……うるせェ』


『まぁいいや。んじゃホラ、握手』


『…あァ?』


『俺らは今日からダチになったんだから、ん』スッ


『………ン』ガシッ



――――



『っつーか、ブラック苦っっ!! お前よくこんなの飲めるよな~?』


『はっはァ、お子様な三下くンにはまだ早かったみてェだなァ』ゴクゴク

422 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:53:50.46 ID:kgZc/.o0 [19/21]

――――



『いよっしゃあああ!!! いっちょ派手にかましてやろうぜぇ!!』


『ったりめェだろ三下がァァ!! 足引っ張りやがったらブチ殺すからなァァ!!』


絶対成功させてやるぞォ!! おォォォおおおおおお――――




~~~~~~~


~~~~~


~~~






上条「―――アクセラレェェタァァァアアアアアアアアアアア!!!!!」――グァァァ



一方通行「―――トォォウマァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!」――グォォォ

423 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/02(木) 19:55:07.14 ID:kgZc/.o0 [20/21]

二人の距離は、すでに両者の射程圏内に突入していた。





「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!!!」」





激突の瞬間が………一気に訪れる。


ありったけの想いと想いが今、交差した。





ドゴォォンッッッ!!!!!





その瞬間、『闇』は完全に消えて無くなり……辺り一面に『夜』だけが残る。


月や星の光と離れた街の夜景が、彼らとその周囲を……うっすらと照らしていた―――。

441 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 02:57:18.97 ID:Ii1SZAs0 [2/17]

―――



……嵐が過ぎたかのように静まり返った操作場。


そこに立っている者は、いない。


二人とも、さほど遠くない距離で仰向けに倒れていた……。


一方通行が背負う闇の形状となっていた黒翼は……激突の寸前で消えていた。


彼が最後に使った武器は、なんと己の拳である。


上条の伸ばした右腕と自らの右腕がクロスし、互いの顔面に深々と突き刺さったのだ。


一方通行は、能力を『ON』にしていない。


黒い杭を消す直前に軸にして反動をつけただけだ。あとは、完全に『生身』……。


右拳の一撃だけに、全てを込めた。それは上条とは似ているようで全く異なる、『想い』だった……。

443 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 02:58:49.38 ID:Ii1SZAs0 [3/17]

結果は、見事な相打ちだ……。最終的には単純に素手と素手でぶつかり合ったのだから、二人の吹っ飛ばされる距離が
短いのも裏付ける。


何故一方通行は直前で翼をしまい、上条と同じ……自らの拳で直接ぶつかってきたのだろうか……。それは、『無意識』。
おそらく本人すらよく理解してはいない筈である。それほどに一瞬だった。




上条「一方通行……」




寝そべったまま上条は声を掛ける。
すぐに一方通行は返事した。どうやら二人とも意識はあるようだ。




一方通行「……なンだよ?」

上条「気分は、どうだ?」

一方通行「………最悪だ、クソったれが…」

上条「無様な姿を見られたからか? それとも……『裸』の自分を見られたからか?」

一方通行「…………両方だ」

445 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:01:16.90 ID:Ii1SZAs0 [4/17]

上条「ははっ……」

一方通行「けど……よォ」

上条「ん…?」

一方通行「死にてェ気分になってるハズなのによォ……今ァすっげェ不思議な気分なンだよなァ……。ン……なンつゥか、
     詰まってたモンがこォ、とれたみてェな……よく分かンねェがそンなトコだ。なァンか妙にサッパリしてンだよ」

上条「ははは、まぁ……お前にとっては初めてだろーしな。そりゃそうだろ………俺も同じだよ」

一方通行「初めて? そりゃ違うだろ? オマエとはもォ何度かやり合ってンじゃねェか」

上条「あぁ、そうだな。けど今のはそういう意味じゃねえんだ」

一方通行「……?」


上条「………これは『友情の確認』ってヤツだよ。とは言っても俺達の場合、青春には程遠いけどな」


一方通行「ハッ……あンなスポ根みてェなモンとこれが、一体どォ結びつくっつーンだか……」

上条「でも、スッキリしただろ?」

一方通行「……今まで何度もオマエには殴られたが、さっきのは一番キタぜ」

上条「へへっ……」

446 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:04:42.03 ID:Ii1SZAs0 [5/17]
一方通行「……ふふっ…」




顔を見合わせ、二人は確かに一瞬だけ―――笑い合った。

ようやく二人は……本当の意味で『友達』になれたのかもしれない。そんな風に思わせるワンシーンだった。




上条「……イテテ、うぅー……体じゅうが痛ぇや……立てるか?」スッ




立ち上がった上条が、一方通行に手を差し伸べてきた。




一方通行「…………」




一瞬、躊躇う顔を見せた。だが……あくまで『一瞬』だけだ。

447 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:07:02.69 ID:Ii1SZAs0 [6/17]

一方通行の闇は、完全に消えていないだろう。完全に消え去る日が来るまで何年かかるかは判らない。


しかし、一方通行の表情はスッキリしていた。

ようやく彼は、自分自身と向き合い……自分の中に潜む『闇』と戦える位置に立てたのだ。

更に、そこにいるのは彼ひとりだけではない。

暴走して道から外れそうになる自分を止めてくれる『ヒーロー』であり、一番の『友達』……。

そして、自分の周りを囲んでくれるかけがえのないお節介な仲間達……。


他人の存在を心強く思う……これもまた、一方通行にとって初めての経験である。


人間は、決してひとりでは生きていけないのだと……今までで最も強く実感する日になった―――。





上条「に、しても……ずいぶん派手にやったなぁ…」



周囲の惨状を見渡しながらそんな感想を漏らす上条。

448 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:09:12.49 ID:Ii1SZAs0 [7/17]

一方通行「あン時もかなり派手だったがなァ」

上条「けど、爆発とかはあん時のが凄かったよな」

一方通行「……なァ、三下」

上条「ん?」

一方通行「妹は……いつ来ンだ?」

上条「あー、もうちょっと後だな。今九時前だから……あと三十分くらいか」

一方通行「は? まだ結構あンじゃねェか……」

上条「場所も少し違うんだ。ここを歩いてった所に海が見えるだろ? そこに来るよう頼んだんだけど…」


一方通行「………どォすりゃ良い?」


上条「へ?」


一方通行「どォ応えりゃ良いかって訊いてンだよォ!」

上条「いや……そんなのお前が決めろよ。あ、逃げるのはナシな?」

一方通行「今さら逃げやしねェよ! だからどォ応えてやったら良いのか訊いてンだっつの!」

449 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:12:25.16 ID:Ii1SZAs0 [8/17]

上条「……正直な気持ちで応えてやれば良いだろ?」

一方通行「オマ!………ンな簡単に言うンじゃねェよ!!」

上条「お…おいおい、何ムキになってんだよ?」

一方通行「アホかオマエよく考えりゃ分かンだろォが! 俺が今までこォいった経験をどっかで積ンでるとでも
     思ってンのかよォ!? 上手い言い回しなンざ知ってる訳ねェっつーの!」

上条「だから別に上手く言う必要なんてないだろ? 普通に思ってる事をそのまま口にすりゃ良いんだよ」

一方通行「俺をオマエと一緒の物差しで計ンなァ! ってかそもそも、そンな場面でそォいう立場に立ったこと
     すらねェってのに、まともなクチ開ける方がどォかしてンだよォ!!」

上条「うわ、まさかのチェリー発言!?………ふーん……そうか、そういう事か。わかった!」

一方通行「あン……?」

上条「ははは♪ つまり女の子から告白どころか恋愛経験すら皆無の一方通行さんは緊張しちゃってる訳ですか。
   なるほどなるほど、いやー純粋ってか、初々しい限りですなぁ。よし、そういう事なら今から上条さんが
   恋愛のノウハウを伝授してやろうか?」ニヤニヤ


一方通行「………………」


上条「あ、あれ…………?」


一方通行「……きひっ」

450 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:14:24.34 ID:Ii1SZAs0 [9/17]

上条「あ……あのー? 一応言っておきますケド、今のはホンの軽い冗d」


一方通行「……そォかそォか。オマエが死にてェのはよォく分かった。ンだよォ、だったら早く言えばイイのに。
     いつでも喜ンで手伝ってやンだからさァ」ニヤァ


上条「いや……できれば全力で遠慮したいんですケド……っていうか、何なんでせうか? この不穏な空気は……」


一方通行「ははは、やだなァ。何水臭ェこと言ってンだよ? 俺とオマエの仲じゃねェか。遠慮なンてこれっぽっち
     も必要ねェから安心して楽になれって」カチッ


上条「いぃぃ!? ちょっ!? オイ待て待て待て冗談だから怒るな線路を飛ばすな電車投げてくんなコンテナ爆発
   させんなぁああ!!!」ダッ


一方通行「待ァァちィィやァァがァァれェェえええ!!! 三下ァァァあああああっっ!!!」ダダッ


上条「だぁーもぉぉぉ!! 結局こういうオチかよーっ!!? ちくしょおおおっっ!! なんでいつも最後は必ず
   こーなるんですかぁぁあああああ!!??」ダダダダ 


一方通行「逃げンなコラァ!! やっぱりオマエは俺が今すぐこの手でブチ殺すっっ!! だから望み通りとっとと
     くたばれこの三下がァァあああああ!!!」ブン ブン


上条「ひいいいいいい!!!? 危ねっ!!? チョット!!??  し、死ぬ死ぬっっ!!! これはマジで冗談
   抜きに死ぬぅぅううううう!!!」ダダダダ


一方通行「殺すっつってンだろォォおおお!!!? 観念して大人しく死ねェェェえええええええええ!!!」ブォォォン




上条「だっはぁぁああああ!!??―――――や……やっぱり、不幸だぁぁぁあああああああああ!!!!!」チュドーン


451 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:18:31.06 ID:Ii1SZAs0 [10/17]

――三十分後、工業地帯埠頭




「………ミサカは疑問に思います。何故、途中通りかかった操作場が事故でも起きたかのように崩壊していたのでしょう?」




幾つもの商業船が停泊する薄暗い埠頭に一人佇むは検体番号10032号、通称「御坂妹」。
上条から『一方通行が話があるってさ』と言う内容の電話を受けてから、彼女は何処か緊張した面持ちを消し切れていなかった。
先ほどから妙に独り言が多いのも多分そのせいだろう……。




「………ハァー」




大きく息を吐いて心を落ち着ける……。もうすぐ指定された時間だ。いつ彼が現れてもおかしくはない。




「―――よォ」




………そう思った矢先に、来た。

後ろから杖をつく音に混ざった足音が耳に入り、御坂妹は振り返る。

452 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:21:13.48 ID:Ii1SZAs0 [11/17]

そこに、彼はいた。

気づけばもう会話の届く距離まで近づいていた彼に、御坂妹はどもってしまう。




御坂妹「――こ、こんばんは……とミサカは……」

一方通行「………なァに神妙なツラしてンだァ?」

御坂妹「べ、別に……それより、話とは何でしょうか? とミサカは何故この時間にこの場所なのかという疑問よりも内容を
    優先して問います」

一方通行「…あァ、そのォ……」



今度は一方通行が言葉を濁した。



御坂妹「?」


一方通行「………こないだ、水族館行った時……オマエ言ったよなァ?」

御坂妹「……何をですか? とミサカは尋ねます」

一方通行「だからよォ、俺を……い……し……って///」ゴニョゴニョ

453 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:25:36.77 ID:Ii1SZAs0 [12/17]

御坂妹「よく聞こえませんでしたのでもう一度大きな声でお願いします。とミサカは復唱を要求します」ニヤニヤ

一方通行「………顔がニヤけてるってこたァ何言ってンのか分かってンだよなァ!?」

御坂妹「も~一回♪ も~一回♪」パンパン

一方通行「だからァ! オマエ『俺の事がスキだ』って言ったよなァ、っつったンだよォォ!!」ヤケクソ


御坂妹「………あのぉ」


一方通行「………あァ?」


御坂妹「ハッキリ『好き』と言った覚えはありませんが……とミサカは訂正します」


一方通行「!!!??」


御坂妹「ふふ……自ら墓穴を掘りましたね。とミサカは予想外の収穫に顔が綻びます」


一方通行「~~~~~/////」カーッ




自分の発言を撤回したいと思った事は誰にでもある筈だ。
無論、この男も例外ではない…。


454 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:27:40.63 ID:Ii1SZAs0 [13/17]

御坂妹「真っ赤になってる……可愛い。とミサカは貴方の頬をツンツンしながら悦に浸ります」ツンツン


一方通行「うがァァああああああ!!! だからイヤだったンだよォォおお!!! 大体この俺がこンなピンク一色の
     イベントなンて迎えちまうのが間違いだったンだクソったれがァァあああ!!!」




やはり逃げていれば良かった……と、心の底から後悔した一方通行。
学園都市最強の超能力者もこうなってしまっては形無しである。




一方通行「あああ畜生、俺は何を口走ってンだァ? 向いてねェ、やっぱこンなの向いてねェ……」グルングルン

御坂妹「獅子舞みたいに頭を揺らしている所悪いのですが……」

一方通行「………あァ?」

御坂妹「訂正はしましたが、否定してはいない事を忘れていませんか? とミサカは今にも泣きそうな顔で振り返った
    貴方に告げます」

一方通行「………?」

御坂妹「これ以上…ミサカの口から言わせるつもりですか? と言いたいところですが、貴方にソッチ方面は期待でき
    そうにないので、ここはミサカが譲歩します」

一方通行「……な、何?」

御坂妹「まぁ聞いて下さい。まず……ミサカが貴方に抱いていた『感情』は、今も冷めることなく熱を増しています」

一方通行「!」

455 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:32:26.45 ID:Ii1SZAs0 [14/17]

御坂妹「どうしてか……貴方を前にすると胸が苦しくて、張り裂けそうになるのです。とミサカは古いセリフを引用しつつ
    自分の心情を吐露します。あの少年の前では、こんな事は無かったのに……不思議です」

一方通行「……オマエ…本気なのか? 俺がオマエに何したか、ちゃンとハッキリ覚えてンのかァ!?」

御坂妹「……勘違いしているようなので、言っておきますが…」

一方通行「あン、勘違いだと……?」

御坂妹「貴方は何も間違った事などしていません……。貴方は学園都市の研究機関の下で行われた『実験』に、学園都市の
   『超能力者』として臨んだだけです。とミサカは釈明します」

一方通行「! ……けど、俺のやった事がそンなンで正当化できる訳ねェ…。っつーか、あンな『実験』が正当に行われたとでも思ってンのかァ? 結局汚ねェ連中が考えた計画(プラン)に俺は便乗したンだよ。今じゃチンケにしか思えないモノのためになァ……。だいいち、俺がオマエにした事は変わらねェ……。全て事実だ」

御坂妹「貴方には確かに拒否権はあったかもしれない……。でも貴方が首を縦に振らなかったら、ミサカは生まれない……。
    これもまた、事実では?」

一方通行「…………」

御坂妹「実験そのものは残酷な内容だったのかもしれませんが、ミサカは今では感謝すらしています。命がある素晴らしさ
    というものを学べたのですから……。おかしな話ですね、元々殺されるためだけに造られた複製品が、今では死ぬ
    ことをいちばん恐れている……。これは全てのミサカにも当てはまりますが…」

一方通行「…………」

御坂妹「憎しみといった感情を貴方に抱いたミサカも複数存在します。そして、実験を阻止してくれたあの少年に対し恋心
    を抱いたミサカも勿論います……。ミサカはもう、『ひとりの人間』として確立しているのです」

456 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:35:58.61 ID:Ii1SZAs0 [15/17]

一方通行「……知ってるよ。ンな事ァ…」

御坂妹「なら、ミサカが貴方を想う事の一体何処におかしい部分があるのでしょうか? とミサカは問います」

一方通行「………さっきまで」

御坂妹「?」

一方通行「さっきまでは、『そンなの絶対オカシイ』の一点張りだったンだ……」

御坂妹「…………」

一方通行「俺にそンな資格はねェって思った。最初はオマエを……いや、オマエ達を遠くから見守るだけで……充分だった。
      それ以上は踏み込ンじゃいけねェって思ってたンだよ」

御坂妹「…………」

一方通行「けどよォ、いつからか分っかンねェが、三下やオマエや垣根の馬鹿に超電磁砲まで……。ははっ、ホント…訳が
      分かンねェ内に、大勢の人間から周りを囲まれちまって……俺もすっかり丸くなっちまった。ま、いちばン角を
      削ったのは言うまでもなく、あのクソガキだがなァ」

御坂妹「……貴方の居場所は紛れもなく今居る場所ですよ。とミサカは微笑みます」

一方通行「それを、さっき……改めて実感できた。そして、オマエから逃げよォとした臆病な自分も…そン時『ぶっ殺した』」

御坂妹「ミサカから、逃げる……?」

一方通行「あァ……情けねェ話だが、俺はオマエから逃げてた。……いや、オマエだけじゃねェ。自分自身からも逃げてたンだ」

御坂妹「…………」

一方通行「闇に引き篭もっちまうクソ弱ェ『俺』がココ(心)にいたンだよ」

御坂妹「……今は、もういないのですね?」

457 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/05(日) 03:39:04.94 ID:Ii1SZAs0 [16/17]

一方通行「まァな、『ダチ』と一緒にブチ殺しといた」


御坂妹「では……」


一方通行「おォ、もうオマエからも自分からも逃げねェ。俺は俺の中にある闇と、これからはキッチリ向き合って生きてやる。
     だから……今日オマエを呼ンだ。言いてェことがあったからな……」


(ホントは三下が勝手に呼ンだンだが……この際どォでもイイか)



御坂妹「……それって…」


一方通行「……一度しか言わねェからよく聞けよ?」コホン


御坂妹「は、はいっ! と……ミサカは急激に高鳴る胸の鼓動を抑えきれずに手を胸に……翳し……ます」ドクン ドクン




一方通行「……俺と―――――」




御坂妹「………!!!///」




ドクン……ドクン………




その場の空気が、急速に変わっていた―――。

474 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:02:07.07 ID:.ay2Uyk0 [3/35]


一方通行「俺と――――」


御坂妹「………///」ドキン ドキン




「―――友達になれ」




御坂妹「………ハイ?」




その瞬間、ヤカンでも落ちたかのように間抜けな効果音が夜の埠頭に虚しく響いた……。




~~~~~



一方通行「…………」

上条「うう……本当に死ぬかと思った……生きてるってスバラシイ…」ボロボロ

一方通行「次はマジでブチ殺すぞ?」ギロリ

上条「肝に銘じてオキマス……」

475 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:03:39.31 ID:.ay2Uyk0 [4/35]

一方通行「ンでェ、何て言や良いンだ?」

上条「はぇ……?」

一方通行「妹に何て言えば良いかって訊いてンだよォ!! やっぱ死ンどくかコラ!?」スッ

上条「ひいいい!! 言います!! 言いますからもうヤメテ!? 死にたくない!!」

一方通行「…………」スッ

上条「ったく、しょうがねえなぁ……。まぁお前のことだからそうじゃねぇかとは薄々思ってたけどさ」

一方通行「なーンかムカつくなァオマエ……」

上条「よし! そんな時のために最良の答えを上条さんが御教授してしんぜよう」

一方通行「あンなら始めから言えっつの……」

上条「いいか? 発展したい気持ちが少しでもあるんなら無理に拒否する必要はない」

一方通行「ンじゃあ……受け入れろってかァ?」

上条「その可能性も含めた答えだよ。お前の場合ストレートな表現は合わないっぽいし、実際自分でもよく分かってないんだろ?」

一方通行「まァ……そォいう事になンのか……」


上条「だったら『友達から始めよう』。……これでいいんじゃねーか?」


一方通行「―――!?」

476 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:05:55.46 ID:.ay2Uyk0 [5/35]

上条「『友達』ってのは、過去にイロイロあったヤツ同士の方がすぐになれるモンだ。それなら文句ナシだと思わないか?」

一方通行「……たし……かに。……でもよォ、それって断る時の決まり文句じゃなかったか?」

上条「何言ってんだよ? そりゃ『友達』以上進まない場合だろーが。少なくとも、恋仲になるための『準備期間』だと思えば
    また少し意味が違ってくるだろ」

一方通行「……イヤ……分かる、何となく分かるが……ホントにそれで大丈夫なンかァ?」

上条「美琴や垣根にも言ったけど、アイツらだって最後は納得してたぜ?」(ウソだけど)

一方通行「マジかよォ……」

上条「お前らはまず、『そこ』から始めた方が上条さん的には良いと思うぞ? まぁ参考にしといてくれ。じゃあ俺は先に帰る
    から、後は上手くやれよ~」ヒラヒラ

一方通行「…………」



~~~~~




御坂妹「ミサカは、失恋してしまったのですね……と、ミサカは悲しい気持ちを…コントロールでき……グスッ」ジワァ

一方通行「!? ち、違げェ! そォじゃねェよ! まずは友達って意味で別にオマエがイヤとかそォいうンじゃ……」

御坂妹「……へ?」

478 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:07:34.00 ID:.ay2Uyk0 [6/35]

一方通行「だから……その、なンつーンだァ……俺は正直、そォいったのとは無縁で生きてきたからよォ……まだよく分かって
      ねェンだわ」ポリポリ

御坂妹「…………」

一方通行「っつゥ訳でよォ……いきなりそォいう目でオマエを見ろってのも、まだ無理なンだ。……悪りィな」

御坂妹「あの方(上条)への好意と、貴方への好意の種類が違うことは、以前説明しましたね?」

一方通行「あァ……」

御坂妹「……ミサカはこの感情の扱いをどうコントロールして良いのか、まだ分かりません。ですので、素直に……思うままに
     動こうと、今決めました―――!」ダッ




言い終わると同時に駆け出した御坂妹……。目的地はすぐ目の前にあった。




一方通行「おわっ!? オ、オイ―――!?」バフッ




御坂妹が突然自分の胸に飛び込んで来た。杖つきの彼がいきなりそんなことをされたら当然……




……ドサッ!!

479 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:12:39.27 ID:.ay2Uyk0 [7/35]

一方通行「―――ッテェ!?」

御坂妹「キャッ!?……うぅ……しっかり受け止めろよこの軟弱が……とミサカは強打した鼻を摩りながら涙目で抗議します」ヒリヒリ

一方通行「あァ!? オマエがいきなり飛び込ンで来るからだろォが!! っつーか早く退けってンだよ!」

御坂妹「マウントを取られている分際でそんな口を叩ける度胸については賞賛します」

一方通行(なンで押し倒されるパターンが最近多いンだァ? 誰の趣味だっつの……)

御坂妹「うーん……やはりこの薄い胸板ではさすがに不満を隠せません。少し鍛えてみては? とミサカは勧めます」

一方通行(うわァ……姉妹揃って同じこと言われた………死にてェ)

御坂妹「あれ? ……もしもし?」

一方通行「あァ……分かった。もォ分かったからこれ以上俺を追い詰めンな。そして早く退け」

御坂妹「イヤです。とミサカは拒否します」

一方通行「シチュエーション的にやべェから退け。問答無用で退け。オイコラふざけンな。オマエが退くまで言い続けンぞ?
      退け退け退け退け退け」

御坂妹「お断りします」ピシッ

一方通行「意味分かンねェぞォ!?」

御坂妹「周りに誰もいない……よく考えたらこれはチャンス! とミサカは………」


一方通行「………」スーー…

480 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:15:44.00 ID:.ay2Uyk0 [8/35]

御坂妹「――おっと!! っとミサカは貴方の能力使用阻止に成功します」ガシッ

一方通行「ンなァッ!!??」

御坂妹「これでもう貴方はミサカから逃れる術を失いました。さて……ここからどうしましょうか……とミサカは舌なめずりを
     しながら想像(妄想)に胸を膨らませm」

一方通行「放せェ!! 退けェェ!! こンのォォおおお!!」グググ

御坂妹「……あの……もしかしてそれで全力ですか? とミサカは一応確認を取ります」グググ

一方通行「あァァ!? だったら何だァ!?」グググ

御坂妹「弱すぎる……とミサカは率直な感想を漏らします」

一方通行「だとォ!? このアマァ!! 重てェンだからさっさと退けっつってンだろォがァ!! でねェと後でヒド―――!?」

御坂妹「ッ!? ……よくも、言ってはいけないことを……言いましたね……とミサカは怒りに身を震わせます……」ワナワナ

一方通行「」

御坂妹「……どうやら、少しお仕置きが必要のようですね。とミサカは指を鳴らします」パキポキ

一方通行(あれェ? このパターンってさァ……)


御坂妹「―――いざ!!!」


一方通行「」(やっぱりかよ……)

481 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:17:11.93 ID:.ay2Uyk0 [9/35]

こうして、人気のないとある埠頭で二人はめでたく『お友達』になった。
これによって一方通行に新たなトラウマが生まれるのだが、それはまた別の機会に―――。




―――




「………で、結局オマエはこンな答えで納得できたのかよ?」


「はい、友達"から"よろしくお願いします。……で、良いんですよね? とミサカは希望を捨てていない目で貴方を見つめます」


「………おォ」




―――友達"から"、か………。コイツといつかそンな関係になっちまう日が果たして来ンのかねェ……今は想像できねェわ。


「――よろしくゥ」スッ




―――貴方との『約束』は……ミサカと貴方が結ばれて、初デートを迎えるその日まで………『延期』ですね。……とミサカは
    今日の所はひとまずこれで妥協します。


「――はい、こちらこそ。とミサカは握手に応じます」ガシッ




いつか、その時まで………

482 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:18:50.56 ID:.ay2Uyk0 [10/35]

『実験動物』と『実験道具』……初めはそんな関係でしかなかった筈の二人に今、小さな小さな芽が咲いた。

芽はいずれ成長し、蕾となり……やがて綺麗な花を咲かす。

彼等の間に生まれた芽も、やがてはそうやって成長を遂げていくのだろうか………。

それは、今後の二人にしか分からない事だ―――。

483 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:20:06.13 ID:.ay2Uyk0 [11/35]

―――それから数日後……





打ち止め「―――早くぅー! 時間に遅れちゃうよー! ってミサカはミサカは急かしてみたり」

御坂妹「まだでしょうか…? とミサカは上位個体に便乗します」

一方通行「うるせェなァ、分かってるっつゥの。オイ垣根ェ、いつまで洗面所に居ンだよ? 早くしねェと置いてくぞォ?」

御坂妹「……こういう時は普通女性が男性を待たせるものでは? とミサカは指摘します」

一方通行「だとよ。聞こえたかァメルヘン?」


垣根「ま、待て。……どうも襟足がなぁ………クソ、やっぱこのワックスじゃ合わねえのか……?」ワシャワシャ

一方通行「ったく、女みてェにいつまでも髪いじくってンじゃねェよ。オラ、もォ行くぞ」グイッ

垣根「あっ! テメッ! コッチはテメェと違って『お気軽ベクトルヘアーセット』とかできねえんだぞぉぉ!?」ズルズル

黄泉川「お~う、準備できたか? それじゃ出発じゃーん♪」

芳川「ふふふ、焼肉とか久しぶりね」

484 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:21:42.72 ID:.ay2Uyk0 [12/35]

打ち止め「レッツゴー♪」バタバタ

一方通行「ハシャギ過ぎンじゃねェぞ打ち止めァ」


垣根「あ、俺先迎えに行ってくるわ。……んじゃ後でな~」タッタッタ

黄泉川「校門前で彼女を出迎え…か。青春じゃんね~」

打ち止め「最近お兄ちゃんますます変わったよね……笑顔がニ割り増しで怖くなった。ってミサカはミサカは愛されすぎるのも
     どうかと思ってみる」

一方通行「ってか、アイツどンだけ女中心になってンだよ……頭の花が脳内にでも移されたンだなありゃ。身も心もメルヘンに
     なっちまったってかァ…」

芳川「ふふ~ん~♪ 早く『これ』見せて驚かせてやりたいわ……」ウズウズ

一方通行(コイツはコイツでずーっとイキイキしてるしよォ………まァ分からなくもねェがな)

485 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:22:48.63 ID:.ay2Uyk0 [13/35]

―――――




禁書「―――とうまぁぁ………私がこもえのおウチでご飯食べてる間、みことと何してたのかな? かなァ?」

上条「最近見たアニメの真似して迫って来るな! ……べ、別に何もしてねえよ」

禁書「またウソ吐く気だね!? トボけたって無駄なんだから! あからさまに消臭剤のニオイで部屋中が天国なんだよ!」

上条「だぁー!! 別に疚しいことなんてしてねえぞ!? ちゃんと合意の………あ…」シマッタ

禁書「…………」(←汚いモノを見る目)

上条「あー………その……何と言いますか…」

禁書「不潔……ふしだら……節操ナシ……あぁぁ、純粋だったあの頃のとうまはもう何処にもいないんだねぇ…」ハァー

上条「ま、待て! いくら何でも言い過ぎってモンだろ!? 何で俺を犯罪者みてぇな目で見る!?」

禁書「私が留守になるのを見計らうなんて、計画犯もいいトコかも……」

上条「完全無計画だっ! あの後たまたま美琴から電話掛かってきて、メシ作りに来てくれるってなって……」

禁書「ご飯食べただけじゃないんだね?」ジトー

上条「うっ……」アセアセ

禁書「とうまのケダモノ!! ぶちまかしてやるぅぅっ!!」ガァッ

上条「うおぁぁ!! だから変な影響を―――!?」




――ピンポーン♪

486 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:24:31.80 ID:.ay2Uyk0 [14/35]

上条「おおっと! 天の助け♪」シュバッ

禁書「うわ~ん! なんでいつも良い所でぇ~!?」




――ガチャ




美琴「―――おっす! 準備できた?」

上条「あぁ、いつでも出れるぜ。おーい! 行くぞインデックス!」

禁書「みことーー!」パタパタ

美琴「インデックスもおっす♪」

禁書「おっす♪ ってそれより大丈夫だった!? とうまに汚されちゃったんだよね!? ヒドイことされなかった~!?」

美琴「――んなっ!?///」

上条「あ……これは死亡フラグだな……もう俺でも分かる………せーの―――」


美琴「ア・ン・タ・はぁぁぁ!! なぁぁにバラシてんのよぉぉーーー!!!」ビリビリビリィッ


上条「―――不幸ーーだぁぁーーー!!!」

487 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:25:38.54 ID:.ay2Uyk0 [15/35]

―――――




佐天「―――う~い~はるっ♪」ピラッ

初春「ひゃっ!? さ、佐天さん!!」

佐天「お? 久々に縞々来たか……」

初春「もぉぉぉーーー!!」ブンブン

佐天「あっはははは♪ ゴメンってば。……あ…」

初春「え?………ッッ!!?」


垣根「…………」


佐天「あっちゃ~……グッド…いや、バッドタイミングですね~」

初春「………見ました?」


垣根「見てマセン」タラー


佐天「あ、鼻血……」

488 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:27:54.26 ID:.ay2Uyk0 [16/35]


初春「うわぁぁん!! やっぱり見られたぁぁ!! 佐天さんのせいですよっ!!」

佐天「う~ん、ドンマイドンマイ♪ 遅れてる二人に私からのささやかなプレゼント~♪」

初春「意味分かんないですっ!!」

垣根「あー……飾利、迎えに来たぞ」

佐天「おぉ、強引に戻した! さすが常識知らずの垣根さん」

初春「カッキーさん、痴女は放っといて行きましょう」スタスタ

垣根「え、あ……」


佐天「ちょっとコラ! 甘いオーラ出すな! 二人の空間作るなっ! ずるいぞ~! 私も仲間に入れてよ~!」


初春「……」クスッ

垣根「……」クスッ


佐天「意味有り気に笑い合うなぁぁ! 待ってってば~! ……あーチクショウ! 私も彼氏が欲しいよぉぉーーー!!」

489 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:29:49.84 ID:.ay2Uyk0 [17/35]

―――――



上条「―――あ! 悪い! 俺ちょっとCD返して来る!」タッタッタ


禁書「じゃ、私その間面白い本が無いか見てよーっと♪」


美琴「私もそうしよっかな……まだ余裕あるし、どーせアイツのことだから受付混んでるだろうしね」




―――――




禁書「―――あ! みこと、この本面白そうかも!」


美琴「ん~、どれ―――?」




「―――とある主人公(ヒーロー)の友情物語……? 何これ?」

490 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:30:39.68 ID:.ay2Uyk0 [18/35]

禁書「……正義の味方と悪い人が仲良くなって友情を育むお話……って書いてあるんだよ」

美琴「ふーん、……まるで『アイツら』みたいじゃない。ちょっと面白そうね……」

禁書「読みたいかも!」

美琴「じゃあ私買うから、あとで一緒に見ようね」

禁書「わ~い♪」



上条「ハァ~……受付があんなに混んでるなんて不幸だぜチクショウ………ん? アイツら絵本コーナーで何やってんだ…?」

491 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:31:55.99 ID:.ay2Uyk0 [19/35]

―――――



ガヤガヤ ワイワイ




黄泉川「―――お、垣根たちが来たじゃん」

打ち止め「ホントだー! ってミサカはミサカはひと足早くダッシュで近づいて行ってみる~♪」タッタッタ

芳川「あらあら、本命さんとそのお友達引き連れて両手に花状態ね……まるで悪い男の子みたい」

御坂妹「絵的にはそうとしか見えませんね。とミサカは率直な感想を述べます」

一方通行「『女泣かせのホスト』ってかァ。お、ガキがプラスされて更に複雑な関係に見えてきたぜェ」

黄泉川「……ぷっ」


垣根「―――どーも、遅くなりやした~」

黄泉川「コッチも今来たトコじゃんよ」

初春「こんにちは、ご無沙汰してます」

佐天「こんにちはー、何か私まで……本当にいいんですか?」

黄泉川「おう、二人とも元気にやってるじゃん? な~に、今日はめでたい日なんだから人数多いに越したことはないじゃんよー」

初春「えっ?」

492 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:33:13.92 ID:.ay2Uyk0 [20/35]

佐天「何かあったんですか……?」

黄泉川「もうすぐであいつらも来るだろうから、全員揃った時のお楽しみじゃん♪」

芳川「あぁ早く来ないかしら……言いたいのに…」ウズウズ

打ち止め「ヨシカワ、もうすぐだから落ち着こうね。ってミサカはミサカは立場を逆転させてみたり」

御坂妹「お気持ちは察しますが……と言いつつミサカも上位個体に加勢します」


一方通行「ったくよォ、イイ年こいてみっともねェ…」

垣根「ははは……んで、上条御一行様はまだかよ?」

一方通行「もォすぐ来ンじゃねェの……」

493 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:35:26.20 ID:.ay2Uyk0 [21/35]

―――――




美琴「―――やばっ! 集合時間まであと五分切ってるじゃない!? 急ぎましょ!」タッタッタ

禁書「わわ! 急に走ると危ないんだよ~!」

上条「大丈夫だって、このペースならピッタリには着くから―――って!?」


黒子「―――キェェェエエエエエエエッッ!!!」シュン


上条「―――はっ!!」サッ


美琴「!? ……く、黒子!……」

黒子「なっ…!? か、かわされましたの!?」

上条「へっ! ここ数日、毎回顔合わせる度にドロップキック続きですからね! いい加減イヤでも学習するわ!」

黒子「ぐぬぬ……これは戦法を変える必要がありますわね」

上条「それ以前に攻撃を止めろ!……ってか白井お前、まだ認めてくんねーのか?」

黒子「いえ、お姉様の殿方ともあろうものがあの程度で音を上げるようではたかが知れますから。わたくしはあくまで貴方
    がお姉様に相応しいか試しているだけですの」

上条「………試用期間は?」

黒子「無論、貴方が死ぬまで♪」

上条「不幸だ……」

494 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:38:19.10 ID:.ay2Uyk0 [22/35]


禁書「あー! 悪い人を取り締まるツインテールだ! お久しぶり~♪」

黒子「わたくしを髪型で呼ぶのはいい加減止めてくださいましシスターさん! わたくしには白井黒子というレッキとした
    名前がございますのよ!」

禁書「私にもインデックスっていうちゃんとした呼び名があるんだよ」

上条「………ちゃんとした、ねぇ…」


黒子「それはそうとお姉様ぁ! わたくしを置いて行くなんてあんまりではございませんのぉぉ!?」

美琴「いや………アンタ風紀委員の仕事で先に寮出たんじゃん?」

黒子「!?……はて、そうでしたかしら……わたくし今日はお休みですが?」シレッ

美琴「勝手に都合良く設定変えてんじゃないっつーの! アンタ朝から仕事でいなかったでしょーが!」

上条「今日、皆集まるから黄泉川先生が気を利かせてくれたんだとよ……」

美琴「え?………なーんだ、そうだったの…」

黒子「と、言う訳ですの。上条さん、せめてわたくしの前で睦まじい空気を作るのはご遠慮願います。でないと御食事中に
    何時ウッカリ手が滑るか分かりませんので」キラッ

上条「………肝に銘じておくよ」ブルッ


美琴「―――あっ、ねぇあそこ! もう皆揃ってるわよ?」

495 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:39:47.33 ID:.ay2Uyk0 [23/35]

―――――



ザワザワ




黄泉川「やっと全員集合したな」

一方通行「遅せェぞ三下共ォ」

上条「はは、悪い悪い。……ってか、またずいぶん大人数だな……なんでまた?」

垣根「いちおう口実があるんだが…」

美琴「口実って……?」

一方通行「あァ、ちょっとした『事件』だな……」

黒子「事件……?」

佐天「そう言えばさっき、そんなこと言ってましたね」

初春「何なんですか? 気になります~」

芳川「事件とはずいぶん御挨拶ね」ムッ

黄泉川「ほら、桔梗。早く言うじゃんよ」グイグイ

芳川「分かってるわよ。……実はね、今日は愛穂が皆を集めてお祝いしてくれるって言ったのがきっかけなの」

496 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:41:30.24 ID:.ay2Uyk0 [24/35]

佐天「お祝いって……」

初春「まさか……」


芳川「えぇ、そのまさかよ。ほらっ!」ジャーン



「――!?」



美琴「『○○研究所採用通知書』……って、ウソ!? マジで!?」


上条「芳川さんついに就職先が決まったんですか!?」

芳川「ふふ~ん、まぁね~♪ これでもうニートだなんて呼ばせないわ♪」

黒子「確かにそれはめでたい事件ですの。是非お祝いさせて下さいな!」

美琴「ビックリした~……おめでとーございます!」

佐天「良かったですね! おめでとうございます~!」

芳川「ふふっ、ありがと」

497 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:42:59.12 ID:.ay2Uyk0 [25/35]

初春「ここって、能力開発に相当力を入れてる所の一つじゃないですか!? ホントにすごいですよ!」

芳川「実はそこの担当者とすっかり意気投合しちゃってね………ちょっと変な人だけど」

黄泉川「っつー訳だ。今日は『芳川桔梗・再就職記念』ってことでパーッと騒ぐじゃん! 幸い明日は日曜だしな」


おーーー♪


禁書「わーい♪ 久しぶりにお腹いっぱい食べるんだよ~!」

御坂妹「この人数で入れる店はあるのですか? とミサカは確認を取ります」

黄泉川「何とかなる! よって問題ナシ! そんじゃ、早速移動するじゃんよ~」


―――こうして、歩き出す一同…

498 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:44:42.79 ID:.ay2Uyk0 [26/35]

ゾロゾロ




「―――あらら、何かすげー大所帯だぜい」

「ほう、御坂さんも一緒か……これは是非行くしかありませんね」

「えぇー? 焼肉食べ飽きたのよねぇ………ま、良いけど」



「―――早く行きましょうよ~。超お腹ぺこぺこです!」

「結局、今日は浜面の奢りって訳よ」

「はいそれ採用! ご馳走様、はーまづらぁ♪」

「おいちょっと待て!! 何だその意味不明すぎる流れは!?」

「大丈夫、スッカラカンなはまづらも私は応援してる」



「―――な、何やあれは!? ぜ……全ジャンル揃ってんで!? カミやんが……ついに神やんになってもうた!!」



「―――あれから全然連絡来ないと思ったら……第一位を殺すんじゃなかったのかしら? 女の子まではべらせちゃって……
     まさかあの中に本命なんていないわよね……?」



「―――久々に様子を見に来ましたが……どうやら必要なかったみたいですね」

「そうだな。けど、あんな楽しそうな『彼女(インデックス)』の姿が見られただけでも充分来た甲斐はあるよ」

499 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:46:34.75 ID:.ay2Uyk0 [27/35]

ゾロゾロ



一方通行「……………」



大勢の人が流れる道の中、ふと足を止める一方通行……。

彼は、今……何を思う?




一方通行(…………これが、『光の世界』ってヤツかよ)


(眩しい……)




美琴「一方通行~! 何止まってんのよ?」


黒子「おや? お兄様……?」


初春「どうしたんですか~?」


佐天「ちょっと~? 置いてっちゃいますよ~?」

500 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:47:57.49 ID:.ay2Uyk0 [28/35]

黄泉川「あの馬鹿は、またなぁ~に物思いに耽った顔してるじゃんか~?」


芳川「……ふふっ」


打ち止め「早くおいでよー! また迷子になっちゃうよー? ってミサカはミサカは呼び掛けてみたり!」


禁書「あくせられーた! 早くしないとご飯逃げちゃうんだよ~?」


御坂妹「もっとも、迷子になったとしてもミサカがすぐに見つけますので別に問題はありませんが……。とミサカも早く
     来るよう目で訴えます」


垣根「ったく、おーい! いつまでも思考停止モードに入ってねえでとっとと来いってんだよ。マジで置いてくぞー?」




全員が振り返って彼を呼んでいる……。眩しくてくすぐったくて……以前はとても居座れなかった自分の『居場所』。

自分は今、紛れも無く『ここにいる』。




(ホント、オマエら………いつ見ても反吐が出るぐれェに眩しいわ)



(けど………けどよォ―――)

501 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:49:13.68 ID:.ay2Uyk0 [29/35]




上条「どうした一方通行? 早く行こうぜ!」




一方通行「……あァ、今行くよ」


(―――よォやく少しだけ、目が慣れてきたぜ……)




少年は顔に笑みを戻し……再び杖をついてゆっくりと前へ歩き出す。


自分を待っていてくれる、大切な仲間達の元へ……。


自分を呼んでくれる、かけがえの無い友の元へ………。


皆が笑顔を向けて、彼を待っていてくれた――――。

502 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:50:08.76 ID:.ay2Uyk0 [30/35]


完結編(エピローグ)

503 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:51:22.63 ID:.ay2Uyk0 [31/35]

―――それから更に月日は流れ……寒い冬が終わり、学園都市に再び春が訪れた。





「―――なぁ、いいじゃねえかよぉ。へへへ……」



少女「―――私……もう帰る所だから、遠慮しとく」


不良A「そんなこと言わねえで、ちょっとだけ俺達に付き合えよ。なぁ~に、帰りは送ってやっから心配すんなって」


不良B「俺らが覚えていたらの話だけどなぁ。はははは!」




そんな学園都市では今日も事件が起こる。治安の悪さは更に増したようだ……。




不良C「髪キレイだね~、ちょっと触っていい?」


不良D「大和撫子みたいで良いね~。黒髪でロングとか清楚系じゃん」


少女「いや……や、やめて………」

504 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:52:50.55 ID:.ay2Uyk0 [32/35]

表通りから離れた裏路地で、数人の若い男が一人の少女を囲んでいる。
少女はしつこいナンパにすっかり辟易していた。………と、そこへ―――



「―――おい、やめろよお前ら。その子……嫌がってんじゃねえか」ザッ


「―――ンだァ?、群れなきゃ女一人も相手にできねェってかァ? オイオイ、こりゃ終わってンなァ」ザッ



不良達「――ッ!?」クルッ




いっせいに振り返った男達の後方にいたのは……どうやら二人組の少年のようだ。
街灯も殆ど無く、表通りから漏れる僅かな光が二人のシルエットを作り出していた。





「悪いけどな、そこから先は一方通行だ。それ以上は俺達が進ませねえぜ。………放してやれよ」


「っつーかよォ……オマエら、ちっとは恥ずかしいとか思ったりしねェのか? 悪党の風上にも置けねェなァ……」



少女「!?」

505 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:54:44.04 ID:.ay2Uyk0 [33/35]

不良A「あぁ!? なんだテメェらぁ!?」


不良B「邪魔しようってのかコラ!?」



「ごちゃごちゃ言ってねえでその子を放してやれって言ってんだよ! 三下共!」


「まァ、どォすっかはオマエ達の自由だがなァ。ひゃははァ!」



不良C「この野郎……上等じゃねえか!」


不良D「へへへ、五対二かよ。こりゃ楽勝だな……。おい、さっさと片付けて続きといこうぜぇ!」




少女を隠すように立ち塞がった男達を、二人の少年はジッと見据える……。





「―――いいぜ……」



「テメェらが、力で人を支配できるって言うのなら……」グッ


「数さえ勝ってりゃ俺達に勝てるなンて、本気で思ってンのならァ……」グッ

506 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:55:55.72 ID:.ay2Uyk0 [34/35]

並んだ二つのシルエットは、固く握った拳を男達の方へと向けていた。
激昂した男達は声を荒げるが、薄く見える少年達の表情は決して臆してなどいない。


そして、二人の少年は力強く男達に向かって……こう叫んだ―――。






「「まずは、そのふざけた『幻想』をぶち殺す!!!!!」」






主人公(ヒーロー)達の物語は、この先も終わることなく……続いていく―――。





―――いつまでも、永遠に………。






~~完~~

507 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/09/07(火) 19:57:18.49 ID:.ay2Uyk0 [35/35]

以上で終幕となります。
本当に、長かった……。けどこうして終わってみると、何だか寂しいです。
当初は勢いで立ててしまいました。
正直このまま完結まで行けるか不安でした。叩かれまくったらどうしよう……とかビクビクしながら毎回投下してました。
少しでも面白くしようと色んな人の書いてるssを参考にしました。その度に、俺なんてまだまだ下手クソだなぁ…と実感
させられて、挫折しそうになりました。
途中では何度もグダってしまいました。
けど、こんな駄文でも読んでくれている方もいるんだなと思うと、何故か途中で止める気にはなれませんでした。

始まりから終わりまで読んでくれた方も、軽く暇つぶし程度にスレ開いてくれた方も、飽きても途中まで見てくれた方も、
支援して下さった方も、厳しい指摘や意見をくれた方も、本当に今までありがとうございました!
心から感謝しています。皆様のおかげで何とか完走できました。
納得できなかった方についてはホント謝罪するしかない……。
上手い終わらせ方ができなくてすいません……。自分にはこれが精一杯でした。どうかお許しを……。
あとスレずいぶん余らせちゃってすいません……。
何か最後なのに謝ってばっかりですいません……。

至らなかったことについては重ね重ねお詫び致します。

あとがき長くなりましたが最後にもう一度……。


これまで長い間お付き合い頂いた方々、本っ当にありがとうございましたぁぁっ!! 皆さんマジ最高っす!!!(涙声)


あ、また近い内にスレ建てるかもしれません。その時は『またお前かァァ!!』とか言ってやってくれたら嬉しいです。


今日はこの辺りで失礼させて頂きます。
それでは…。

コメント

No title

映画化決定

No title

このシリーズ個人的に最高でした
編集お疲れ様でした&ありがとうございます

No title

最高です。

No title

本 編 化 決 定

No title

感動をありがとう

No title

すごくよかった

No title

すげー熱かった!!
大作でした、超乙

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