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美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2-3

美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2

美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2-2


―――――


―――



―――黄泉川家




垣根「―――よっ、おかえり。妹はちゃんと送ったか?」


一方通行「―――保護者みてェなこと訊いてンじゃねェよ。ちゃンと送ったっつの……オマエの方こそ、どォなンだ?」




自室に戻った一方通行に上機嫌な声を掛ける垣根。この調子なら尋ねる必要もないのだが、つい口に出てしまった。

244 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:52:40.11 ID:Rtup6Jc0 [23/35]

垣根「聞きてぇか? そうかそんなに聞きてぇのか。そんなら仕方ない。聞かせてやるよ」ニヤニヤ

一方通行「やっぱうぜェからイイ」

垣根「おいおい、つれないこと言うなよ~」

一方通行「寝ろ」

垣根「やだし。眠くねーし」

一方通行「ンなら一生起きてろ。そンで翌朝クマ作って不思議の国にでも飛ンでっちまえ」

垣根「ひっでーな。俺は素敵な世界の住人じゃねえよ」

一方通行「羽生やせるオマエならきっと歓迎されンだろォぜ」モゾモゾ

垣根「減らず口叩きながら布団潜り込むなよ。完全シャットアウトですか?」

一方通行「………疲れてンだ。俺のこたァ良いから、オマエは花女のことでも考えて鼻の下膨らませてろ」


垣根「…………お前、何かあったのか?」




そこで垣根は声の調子を変えて尋ねた。




一方通行「…………」

垣根「何か悩んでんのか? なぁ、もしそうなら―――」

245 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:55:05.99 ID:Rtup6Jc0 [24/35]

一方通行「オマエには関係ねェし、別に悩ンでる訳でもねェ」



ピシャリと布団から返ってきた返事。だが垣根は……




垣根「……話してみろよ。俺で良けりゃ力になんぜ?」

一方通行「しつけェよ。良いからとっとと寝るなりゲームやるなり勝手にしてろ」

垣根「なぁ、とりあえず布団から顔出せよ」

一方通行「…………」

垣根「めくっちまうぞ?」スクッ

一方通行「…………チッ、ンだよ?」チョコン




頭を布団から出して垣根を睨む一方通行。その目はまるで『踏み込ンで来ンな』と威嚇しているようだった……。




垣根「……打ち止めと何かあったのか?」

一方通行「違げェよ」

垣根「なら、妹の方か?」

一方通行「だから違げェっての! っつか何なンだよオマエ!? 俺に何があろォとオマエには関係ねェだろォが!」

垣根「関係なくねえよ! ルームメイトじゃねえか! 明らかに重い空気持ち込んでるお前を放っとける訳ねえだろ!?」

246 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:58:38.72 ID:Rtup6Jc0 [25/35]

一方通行「あァソイツァ悪かったなァ。ンじゃあ空気消すから俺の存在も消しとけよ」

垣根「ガキみてぇなこと言ってんじゃねぇ」

一方通行「あァン!?」ギロッ




一方通行が怒りに満ちた目を向けてくるが、垣根も怯まない。




垣根「お前言ったよな? 話聞くんなら俺にだってできんだよ。人の時は良くて自分だけは抱え込むなんて俺が許すとでも思ってんのか?」

一方通行「……許さなくて結構だ。恨まれたりすンのは慣れきってるからなァ」

垣根「それで済ます訳ねえだろ。言っとくが、お前が胸の内を吐かすまで、俺は引き下がらねえぞ?」

一方通行「……殺されてェのか?」

垣根「やれるモンならやってみろよ。それでお前の気が済むんだったら俺は一向に構わねえぜ?」

一方通行「……………」

垣根「お前のことだから、どうせひとりで抱え込もうとしてるんだろうが……そうはさせねえよ」

一方通行「知ってっかァ? そォいうのを『余計なお世話』っつゥンだよ」

垣根「そのセリフ、そっくりお前にも返すわ」

一方通行「……………」

247 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 18:01:07.13 ID:Rtup6Jc0 [26/35]

垣根「こんなお節介なんざ俺に似合わねえ事も充分に自覚してる。けどな、俺はお前がひとりで苦しむ姿をただ黙って見てるなんてできねぇ。
   うぜぇと思われようが構わねぇ。それでも俺を殺したいんなら殺せばいい」

一方通行「………ホントよォ……」

垣根「…………」




一方通行の目から……殺気が消えた。




一方通行「面倒臭ェ同居人迎え入れちまったよなァ………呆れて殺る気も失せちまった」

垣根「へ、元々そんな気がねえ事くらい知ってんだよ」




ふっと笑う垣根に、すっかり牙をもがれた表情で一方通行は溜息を吐く。




一方通行「………さっきも言ったが、俺は別に悩ンでる訳じゃねェぞ?」

垣根「ほう……で?」

一方通行「だからよォ……妹のヤツが俺に好意持ってるのは知ってンだろ?」

垣根「………そんなの知ってるっつーか、今さらだろ? それがどうした?」

一方通行「こないだ、言われたンだよ。ストレートな表現じゃなかったがなァ」

垣根「何て言われたんだよ?」

248 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 18:03:18.34 ID:Rtup6Jc0 [27/35]

一方通行「『俺をそォいう対象として意識している』…だそォだ」

垣根「またずいぶんと遠まわしな…」

一方通行「もしだぞ? アイツがこのまま俺を想い続けるなンてことになっちまったら……もォ取り返しがつかねェ。今ならまだ引き
     返せるンだ。だが、俺は今までそンな青臭い経験なンかしたことねェから、上手い言い方なンて知らねェしよォ……」

垣根「あのさ……」

一方通行「あァ?」


垣根「そういうのを『悩んでる』って言うんじゃないの?」


一方通行「」




しばし、間抜けな沈黙が流れた……。




垣根「―――っつぅか、お前はアイツのことどう思ってんだ? そういう対象としては見れねぇのか?」

一方通行「……分からねェ」

垣根「気持ちが無い訳じゃねえんだな?」

一方通行「イヤ……それ以前の問題なンだよ。俺はアイツに好意を向けられて良い人間じゃねェ」

垣根「また面倒くせぇ事を……もう良いじゃねえか。『妹達』に負い目を感じるのはやめようぜ? まだこだわってんのはきっとお前だけ
   なんじゃねえのか?」

249 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 18:05:00.01 ID:Rtup6Jc0 [28/35]

垣根「まだ……何か隠してんだな? 言えよ」

一方通行「…………」

垣根「…………」




真剣な垣根の表情に、一方通行は―――




一方通行「そンなに聞きてェンなら………教えてやるよ」




―――胸の内を『少しだけ』曝す決意をした。




一方通行「妹……イヤ、『検体番号10032号』だけは……俺に好意を向けるなンて事は、あっちゃいけねェンだ」

垣根「どういう事だ…?」

一方通行「実験が何で凍結したかは知ってるよな?」

垣根「上条が……確か実験中に乱入したからだろ?」

一方通行「あァ。なら、そン時の実験相手が誰だったのか………もォ分かンだろ?」

垣根「……まさか!?」

一方通行「そォ………検体番号10032号……俺らが『妹』って呼ンでる、アイツだよ……」

垣根「…………!!」

250 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 18:08:50.17 ID:Rtup6Jc0 [29/35]

一方通行「上条が来なけりゃ……イヤ、来るのがちょっとでも遅かったら……妹は一体どォなってたンだろォなァ」


垣根「…………」


一方通行「あの馬鹿、いっちょ前に善戦しやがってよォ……俺も心底楽しンで追い回したンだ。能力使って殴り飛ばしたらもォ後は無様な
     モンだったぜェ……」


垣根「一方通行……」


一方通行「もォ抵抗すらできねェ無防備な腹ァしこたま蹴りつけてさァ、飽きたからそろそろ終わらしてやろォかなァって思った時だった……
     あの三下……上条が、俺の前に初めて姿を現したのは……。ンで、その後完全に叩きのめされて終了ォーってなァ」


垣根「そうか……」


一方通行「他の『妹達』同様、俺はアイツを虐殺しようとした……。何の躊躇いもなくな―――」



「―――上条は……そンなアイツを救った。現に妹は、上条に気があったハズだ。それがどォ間違ったのかは知らねェがよォ……」


「俺は、アイツに好意を向けられて良い存在じゃねェ。むしろ恨まれていて当然なンだよ。他の『妹達』にも言えることだが、『アイツ』は
 特にだ」


「クソガキは何べン言っても聞かねェだろォからもォ諦めてっけどよォ………妹は、直接手に掛けよォとしたンだぜェ? 『いつも通り』に、
 何の情もなく、俺はアイツを……『妹』を殺すつもりだった!」


「なァ、オマエには分かるかァ? 俺がアイツに感じてるのは『負い目』だなンて生易しいモンじゃねェンだよ――――ッッ」

251 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 18:13:32.15 ID:Rtup6Jc0 [30/35]

垣根「お、おい! 急にどうした!? 落ち着け! とりあえず落ち着けよ!」




どうやら……開けてはいけない蓋を開けてしまったらしい。狂ったように笑いながら語り始めた一方通行。その目は、完全にイっていた……。




一方通行「アイツを殴り飛ばした時は能力使ってたのにさァ、何故か未だにあン時の感触が手に残ってンだよねェ。なンで? なンでかなァ? 
     何なのコレ? コレナニ? ナニがどォしてこォなってンだァ? アイツが好きになるのなンてカミジョォ以外有り得ないってのに
     さァァ! なンかもォワケ分っかンねェよォ!」



垣根「アクセラレータァ!! だから落ち着けって!! 気をしっかり持てよ!!」ユサユサ



一方通行「俺は落ち着いてンだよォ。けどさァ、もォ考え過ぎちゃって頭イタインだよねェ。これってさァ、妹が俺を精神的に追い詰めるため
     に復讐してるとかってンじゃねェよなァ? ははっ、だとしたら効果バツグンってかァ! なァ、どォ思うゥ? 俺は何でアイツと
     仲良く遊園地とか水族館とか出かけちゃったりしてンのォ? オカシくね? オカシイよなァ? だってアイツに俺何したと思う?      殴って蹴って虫ケラみたいにブチ殺そォとしたンだぜェ? それこそ今までの妹達とおンなじよォにさァ。イヤもっと残酷にやって
     たかもしンねェ―――」



垣根「―――やめろアクセラレータァァッッ!!!」




バキッッ!!




一方通行「―――ゥッッ!!??」




ひとまず落ち着かせるため、垣根は拳を放つ……。

252 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 18:16:46.80 ID:Rtup6Jc0 [31/35]

垣根「お、おい! 急にどうした!? 落ち着け! とりあえず落ち着けよ!」




どうやら……開けてはいけない蓋を開けてしまったらしい。狂ったように笑いながら語り始めた一方通行。その目は、完全にイっていた……。




一方通行「アイツを殴り飛ばした時は能力使ってたのにさァ、何故か未だにあン時の感触が手に残ってンだよねェ。なンで? なンでかなァ? 
     何なのコレ? コレナニ? ナニがどォしてこォなってンだァ? アイツが好きになるのなンてカミジョォ以外有り得ないっての
     にさァァ! なンかもォワケ分っかンねェよォ!」



垣根「アクセラレータァ!! だから落ち着けって!! 気をしっかり持てよ!!」ユサユサ



一方通行「俺は落ち着いてンだよォ。けどさァ、もォ考え過ぎちゃって頭イタインだよねェ。これってさァ、妹が俺を精神的に追い詰めるため
     に復讐してるとかってンじゃねェよなァ? ははっ、だとしたら効果バツグンってかァ! なァ、どォ思うゥ? 俺は何でアイツと
     仲良く遊園地とか水族館とか出かけちゃったりしてンのォ? オカシくね? オカシイよなァ? だって俺アイツに何したと思う?
     殴って蹴って虫ケラみたいにブチ殺そォとしたンだぜェ? それこそ今までの妹達とおンなじよォにさァ。イヤもっと残酷にやって
     たかもしンねェ―――」



垣根「―――やめろアクセラレータァァッッ!!!」




バキッッ!!




一方通行「―――ゥッッ!!??」




ひとまず落ち着かせるため、垣根は拳を放った……。

253 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 18:18:06.06 ID:Rtup6Jc0 [32/35]
>>251はナシでお願いします。改行ミス

254 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 18:19:49.67 ID:Rtup6Jc0 [33/35]

ベッドに吹き飛び、体を沈めた一方通行は……やがて、ムクリ…と体を起こした。




一方通行「―――あ……」


垣根「ハァ、ハァ……………落ち着いたか?」


一方通行「……あァ……?」




キョトン、と垣根を見上げる一方通行。まるで何が起こったのか理解していない様子だった……。




垣根「知らなかったぜ………。そこまで思い詰めてたなんてよぉ………」

一方通行「………悪かった。……今のは忘れてくれ」

垣根「やっぱり、お前は実験なんて………」

一方通行「あァ、……したくなかった………のかもしれねェ。俺は今、妹達に生かされている身だ……。俺は妹達を守りてェと思ってる……。
     けど、ソイツは俺が勝手に決めた事だ。アイツらに許してもらおうだなンて思っちゃいねェ……。むしろ憎ンでてくれた方がまだ
     楽だったンだよ……」

255 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 18:20:57.28 ID:Rtup6Jc0 [34/35]


―――――アナタは本当は『実験』なんてしたくなかったと思う―――――




一方通行「…………今なら、クソガキに言われた事の意味も少しは分かる……分かるが、耐えられそォにねェ。やった事への償いだなンて考える
     のも馬鹿らしい程に、手を染めちまった………コイツはもォ手遅れなンてモンじゃねェンだ」

垣根「………………」


一方通行「オマエからすりゃあ小せェ事なのかもしれねェけどなァ、コイツは俺が一生背負っていかなきゃならねェ『十字架』みてェなモンだ。
     アイツの想いに堂々と向き合っていくなンて、今の俺に許される事じゃねェ」

垣根「それで……お前は幸せなのかよ?」

一方通行「幸せなンて望まねェ。むしろ幸せになっちまう方が耐えられねェよ……。誰が許したとしても俺が許せねェ」

垣根「そんなの、悲し過ぎんだろぉが……」

一方通行「それが俺の選ンだ道なンだよ。………付き合わせちまって悪かったなァ……。もォ寝るわ」

垣根「…………ッ」





垣根は声を出せなかった……。同じ境遇、同じ立場だと思っていた『最強の男』は、自分が思っていたよりも遥かに重い『十字架』を背中に
背負っていたのだ。おそらく彼の苦悩は、垣根ですら想像もつかない程に深いものであろう……。
初めて心の内を見せた最強の男が背負うその信念は、あまりに重く………悲しかった―――――。

266 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:30:03.54 ID:sx0ESLc0 [2/24]

――――常盤台女子寮・深夜……




美琴「…………」


黒子「あぁん……Zzz……お姉様ぁ……ダメですのぉ………Zzzzz」スヤスヤ




いつもの寝言が木霊する208号室……。美琴は布団の中で自分の携帯電話をじーっと見つめていた。
開かれた画面に表示されている文章はたったの一行。




『明日会えるか? 二人だけで話がしたい   from:上条当麻』




この唐突な呼び出しメールを見た瞬間、美琴は察した。
明日、彼は自分の告白に返事をくれるつもりだろう……と。




(明日……か)




ずっと想い続けていたあの少年への恋心は成就するのか、はたまたその逆か……美琴には予想ができなかった。

267 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:31:57.12 ID:sx0ESLc0 [3/24]

(明日には……この気持ち……どうなっちゃうんだろう…)


(アイツは……何て言うつもりなのかな…)


(呼び出したってことは……もう答えは決まってるのよね?)


(もしフラれたら…………どうしよう………)


(私、立ち直れるのかな…?)


(今さら怖くなるなんて……ダメよ美琴! 覚悟決めないと!)



美琴の脳内と周囲の空間は、恐ろしいほどに反比例していた。



美琴「そうよ……私が自分から告白したんだから、その返事を聞くだけよ……怖くなんか……」ガクガク



言葉とは裏腹な手つきで美琴は携帯電話を操作し始めた―――。



―――――


―――

268 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:34:09.31 ID:sx0ESLc0 [4/24]

佐天「―――お~い、初春ぅ! コッチコッチィ!」




冬休み最後の日、時刻はすでに正午を過ぎていた。佐天はオープンテラスでカフェラテを飲んでいると、通りに見慣れた少女を見つけて声を飛ばす。




初春「―――お待たせしました~!」




早歩き気味で佐天の席までやって来た初春は向かいの席に腰を下ろす。




佐天「おっす、今日も寒いね~。何か飲む?」

初春「そうですね……ホットココアにします」




そのまましばらくマッタリモードへ……。




佐天「――でも、昨日はホント楽しかったね。っつか、あのメンバーはインパクトあり過ぎ」

初春「はは……でも今考えると、確かに凄い面子でしたよね~」

269 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:37:02.19 ID:sx0ESLc0 [5/24]

佐天「第一位なんて、素性が謎だったんでしょ?」

初春「っていうか、御坂さん以外の超能力者って何故か情報が機密になってたり少なかったりで……」

佐天「まぁ有名になったらなったで大変そうだよね。一方通行さんとかチヤホヤされるの嫌いっぽいし」

初春「カッキーさんも見た目と性格違いますからね~」

佐天「おっ、早速ノロケですか~? っていうか、初春の彼氏って第二位なんだよね!? それってすご――」

初春「さ、佐天さん! あまり大きい声で言わないでください!」

佐天「あ…ゴメン」

初春「言っておきますけど、私はカッキーさんが『どんな人』でも良いんです。ただ表面だけを見て好きになったんじゃないんですよ?」

佐天「わかってるって。優しく抱きしめられて耳元で甘く囁かれて、頭のお花がギンギンに開花しちゃったんでしょ?」

初春「なぁ………ッ///」ボフン

佐天「あれぇ? 当たっちゃったかにゃ~?」ニヤニヤ


初春「んんんんんなワケないじゃないですかぁぁっっ!!!」




両手を振って否定する初春の大声に、人々は一瞬注目した。

270 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:39:18.82 ID:sx0ESLc0 [6/24]

―――――



三十分後、二人は街中を並んで歩いていた……。ちなみに初春の頬はまだ膨れたままである。




佐天「―――ゴメンってぇ……そろそろ許してくんなきゃ泣くよ?」

初春「泣いて猛省してください」プンプン

佐天「初春~、ねぇってば」

初春「知りません」

佐天「クレープ奢るからさ~、機嫌直してよ」

初春「食べ物に釣られたりなんかしませんよ」

佐天「そりゃあ、年に合わず下品な発言しちゃったことは認めるけど……」

初春「ホントに同級生なのか疑いたくなりました!」

佐天「ははは~♪」

初春「笑って誤魔化さないでくださいよぉ~……すっごく恥ずかしかったんですからもう人前であんなこと言わないでくださいね?」

佐天「わかってま~す♪」

初春「………クスッ」

佐天「あ、何か気に入らない笑顔だね~? 頭の花むしりかスカートめくりならドッチのが良い?」

初春「―――ドッチも嫌に決まってんでしょ!!」ダッ

271 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:42:05.88 ID:sx0ESLc0 [7/24]

言うな否や先手必勝とばかりに駆け出す初春を、佐天は追い回す。これが彼女達の日常だった……。



――――




佐天「――ねぇ、初春」

初春「――何ですか?」

佐天「さっきから気になってたんだけどさ、そのネックレスいつ買ったの? すごく綺麗じゃん」

初春「あぁ、これですか……」

佐天「どこに売ってたの?」

初春「どこにも売ってませんよ」

佐天「え~、私も欲しいなそれ~」


初春「ダメです。これは私にとって―――」



―――いちばん大事な『宝物』なんですから―――。



―――――


―――

272 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:44:11.82 ID:sx0ESLc0 [8/24]

―――公園




美琴「~~~~……」




美琴はいつも蹴りを入れていたあの自販機の付近で佇んでいた……。彼女の様子はひと目見て分かるほどにソワソワしている。




(あと……三十分かぁ……)




上条との待ち合わせ時間は三十分後……。




(アイツ……何て言うんだろう? 『これからよろしく』? それとも『ゴメンなさい』? いや、『お友達でいましょう』?)ウーン


(あぁー! 全く予想つかないっ! っつーかアイツなら全部言いそう! どんだけ普段私に無関心なのよあの馬鹿はぁぁ!!)クネクネ


ネーネー アノオネエチャンウゴキガヘンダヨー 

シッ ミチャイケマセン! 


(せめて、友達………って嫌よそんなの! それが嫌だから告白したんじゃないの! アイツとはもう進むか切るか……しかないのよね…)ハァ

273 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:47:17.67 ID:sx0ESLc0 [9/24]

(切る……つまり、もう会わないってことよね……アイツの性格考えると、それはなさそう…)


(ってことは、やっぱ『友達でいよう』とか……よく考えたらアイツがいちばん言いそうなのはコレかもね……)


(どうしよう……友達のままなんて……イヤよそんなの…)


(周りの女の子と同じなんて……イヤ)


(私だけ……私だけ見てて欲しい…)



美琴「……………はぁ、ってか、こんなこと今さら考えても仕方ないっか……」


上条「何が仕方ないんだ?」


美琴「―――――ヒッッッ!?!?!?」




止まりかけた心臓を無意識な電気ショックで正常に戻した……。
振り返った目に映る上条の姿に、美琴の心拍数は以前静まらない。

274 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:48:57.68 ID:sx0ESLc0 [10/24]

美琴「アアアア、アンタいつからそこに!?」

上条「いや、今来たばっかだけど……お前が何かブツブツ言ってるから声掛けづらかったんだよ」

美琴「…………」




どうやら全部口に出ていたようだ。顔がみるみるトマト化していく……。




美琴「~~~~/////!!!」ビリッ…

上条「ヤバッ!」ポン

美琴「!!!!!」




漏電寸前のところで上条は右手を彼女の頭に乗せる。つまりそれは頭を撫でられているように見える訳だが……。




美琴「ななななな……/////」パクパク




声が出ない心理状態とはまさにこの事だろうか……。口がまるでエサを求める魚だ。

275 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:51:57.36 ID:sx0ESLc0 [11/24]

上条「とりあえず物騒な電気はしまえ。あ、だからって肉弾戦に持ち込むのもナシな?」

美琴「わわ、わかった! わかったから……手、どけて……」(いや、嬉しいけど……さすがに急に……ってか、恥ずかしいっつーの!///)

上条「え? ……ああ、悪い」パッ

美琴「…………バカ」

上条「……悪かったって。けど、お前いつから来てたんだ? まだ時間まで二十分近くあんのに…」

美琴「い、良いじゃないの! っていうか、アンタこそ早いわね?」

上条「まあ……俺もちょっと緊張してるっつーか……つい早出しちまった」

美琴「………そう」


上条「……………」

美琴「……………」




気まずい空気がしばし流れた後……、上条は意を決したように口を開こうとした―――



上条「御坂、それであのさ………こないだの返事n――」

美琴「ねえ! アンタこの後時間平気?」



―――が、しかし……美琴の唐突な質問がそれを遮った。

276 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:53:58.44 ID:sx0ESLc0 [12/24]

上条「え……? あぁ、平気だけど……」

美琴「じゃあさ! ちょっと付き合ってよ!」

上条「ハ、ハイ……?」

美琴「ホラ早く!」グイッ

上条「――うぉっ!? ちょ!?」



呆気にとられる上条の腕を掴んで歩き出す美琴……。



上条「お、おい! どこ行くんだよ!? ってゆーか引っ張るなって!」

美琴「うっさい! つべこべ言わずに付き合いなさいよ!」



どうやら冬休み最後の思い出は、彼女との甘い(?)ひとときで締めくくりとなりそうだ―――。



―――――


―――

277 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:56:18.04 ID:sx0ESLc0 [13/24]

上条「………で? 何なんでせうか? この棚に並んだ無数のゲコ太様方は?」

美琴「だからゲコ太はあの子! んで、アッチはピョン子にヒキ助にアマ―――」

上条「知らねえよ! っていうか、どれも一緒じゃねえか!」

美琴「違うわよ馬鹿ッ! 服装とかよく見れば分かるでしょ!?」




―――ここはとあるキャラクターグッズの専門店。何のキャラクターなのかはもう言うまでもない。




美琴「あ♪」パッ




いきなりこの趣味全開な店に連れ込まれてやや不満気な上条だったが、グッズを手に取って子供のような表情を浮かべる美琴を見ている内に
自然と己の顔も緩んでいた。




美琴「~~~♪」キラキラ

上条(まったく……あんなに目ぇキラキラさせちゃって……………可愛いじゃん)


美琴「ねぇねぇ、ドッチが可愛い?」

278 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 21:58:11.14 ID:sx0ESLc0 [14/24]

そう言いながら見せてきた二つの商品(サイフとキーホルダー)。ドッチを買うか迷っているのだろう……。
以前なら「両方買っちゃえば?」とか適当に言っていたのだろうが、この日の上条さんは違う。




上条「う~ん……そうだな。キャラ的にはコッチのサイフの方が可愛いと思うけど、今持ってるサイフは?」

美琴「え? ……こ、これだけど……」サッ

上条「ふむ………前の方も良いけど、新しい方が俺的には良いかな…。キーホルダーは?」

美琴「あ……これ………」(な、何よ? まさか……真面目に考えてくれてるの…? あのコイツが……?)

上条「―――うん、やっぱキーホルダーの方が良いな。値段も手頃だし、俺が買ってやろうか?………って、どうした御坂?」

美琴「!? な、何でもない! そ、そう? じゃあコッチにするわね! わわわ、私…お会計してくるから―――!」ビュン


上条「………何慌ててんだアイツ?」




上条の意外な反応に美琴は混乱した。

もっとも、レジでお金を出そうとした瞬間に上条が横からスッとお金を出した事で更に混乱させられるのだが………。

279 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 22:00:26.26 ID:sx0ESLc0 [15/24]

―――――




美琴「~~~♪」




場面変わって、ここは地下街。冬休みの最終日ということもあってか、人はさほど多くない。最後の休日くらいは家でのんびり派が多い
のだろうか。




上条「それ、そんなに気に入ったのか?」

美琴「え? うん……まあね」

上条「そっか、なら良かったな」

美琴(そりゃそうよ………当たり前じゃない)




たかがキーホルダーでここまで浮かれるハズもないのだが、少年は気づいているのか気づいていないのか分からない態度でブラブラと
横を歩く。




美琴(アンタが買って……しかもアンタが選んでくれたんだから………嬉しいに決まってんじゃないのよ馬鹿!///)

280 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 22:03:41.90 ID:sx0ESLc0 [16/24]

上条「―――ってか、あんまし人いねえな。……ま、明日からまた気だるい日常が始まるんだし、仕方ねえっちゃ仕方ねえのか」

美琴「早いモンね……もうすぐ春かぁ」

上条「んでまた夏か。去年の夏は色々あったよなぁ……」

美琴「ねぇ……アンタって、いつから……その……記憶ないの?」

上条「ん? あー言ってなかったっけ? 夏休み入る前からかな……確か」

美琴「そう…」

上条「……どうした?」

美琴「………ううん、ゴメン。変なこと訊いちゃって……」(私との出会いとか、やっぱ覚えてないのよね……コイツはコイツだから良いけど…)

上条「気にすんなよ。そりゃ思い出がないのは寂しいけど、……その分新しい思い出作りゃあ良いだけなんだからさ」

美琴「うん…」

上条「だー! そんな顔すんなって! 記憶がなくたって俺は俺だぞ?」

美琴「分かってるわよ……けど…」

上条「お前は笑ってる顔の方が良いんだから、いつもみたいに笑ってろよ」

美琴「へ?」

上条(――うわっ! やっべ……俺ってヤツはまた意味不明なことを……)サー

281 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 22:05:08.59 ID:sx0ESLc0 [17/24]

美琴「………クスッ」

上条「あ?」

美琴「ホント恥ずかしいヤツよね~。アンタって」

上条「う、うるせぇ!」

美琴「そうやって女の子いっぱい引っ掛けたりすんなよ?」

上条「しねえっての!」

美琴「ふふふ♪ あ! ねぇ、服見たいからここ寄ってこ?」

上条「え? あぁ……いいけど常盤台通ってんなら着る機会なんてあんまねーんじゃ…」

美琴「デリカシー無いこと言ってないでさっさと来る!」

上条「へいへい………」



その後も、二人の楽しいデート(?)は続いた―――。



―――――



美琴「……ここ…」

上条「―――ん? 何だ?」

282 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 22:07:19.20 ID:sx0ESLc0 [18/24]

ふと足を止めた美琴……。街から少し離れた川辺を歩いていた二人の目線は、何の変哲もない原っぱに向いた。




美琴「アンタは覚えてないだろうけど、私達、前にここで一度対決したのよ」

上条「対決?」

美琴「そ、私が売った喧嘩を珍しくアンタが買った日……アンタはここで私と戦ったの」

上条「マ…マジで?」

美琴「うん、けど……結局私の負け」

上条「なぁ………お、俺もしかして……手ぇ上げたりしてないよな……?」

美琴「痛かった……」


上条「――!!??」


美琴「痛かったなぁ……」ニコッ


上条「……………す」


美琴「?」

283 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 22:09:52.62 ID:sx0ESLc0 [19/24]

上条「すいませんでしたぁぁっっ!!」ガバッ(奥義・『空中土下座』)


美琴「…………」


上条「記憶がないとは言え……女の子に手を出すなんて………俺ってヤツは何てことを……」


美琴「…………ぷっ」


上条「………?」


美琴「あははははははは♪ 馬鹿ね、冗談よ! アンタが女の子殴ったりする訳ないじゃないの」


上条(いや、実は殴ることもあったりして………ってそれより―――!!)

「―――テ、テメェ騙しやがったなぁぁ!!」ムクッ


美琴「ははは、ホントーにアンタってば単純よねぇ! あー面白いわ♪」タタタタ


上条「ま、待てこのヤロウ!!」ダッ


美琴「―――こっこまでおいで~♪」



顔を真っ赤にして追いかける上条と笑いながら逃げる美琴……。いつもとは逆の光景がそこにあった。

284 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 22:11:59.94 ID:sx0ESLc0 [20/24]

―――――



上条「――――捕まえたぞ!」

美琴「―――キャッ!?」




走る美琴の肩を掴んで笑みを浮かべる上条だが、すぐにその笑みは消える。
美琴が体勢を崩して転びそうになったからだ。




上条「あ、危ない御坂!」

美琴「あぁっ―――!?」

上条「い!? おわぁっ―――!?」




ドデン! と、間抜けな音が川辺に響いた……。




美琴「…………いたた……ッッ!!!」

上条「……ウーン…………はっ!!!」

285 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 22:14:12.55 ID:sx0ESLc0 [21/24]

目が合ったまま固まる二人………上条が見上げて美琴が見下ろすこの形は……。



「―――!!!!!」




まぁ説明の必要もないと思うが一応説明しよう。
転びそうになった美琴を庇おうと、咄嗟に上条が地面と美琴の間に滑り込んだ。
それによって美琴が仰向けで寝そべる上条に馬乗りをする状況が生まれた。ただそれだけの事である。




美琴「………/////」

上条「み、御坂サン………?」

美琴「な……なに…よ?」

上条(顔……近い……///)



おっと補足。今、二人の顔の距離は数十センチ程しかない。熱い吐息が頬に触れ合うぐらいは近いだろう。




美琴(やだ………コイツの顔が……こんなに近くに/////)

上条「アノ……ハヤクドイタホウガヨロシイノデハ……?」

美琴(けど………不思議。今までこんなに近づいたら意識が飛んでもおかしくなかったのに……何妙に落ち着いてるんだろ? 私…)

モシモーシ? ミサカサーン?

美琴(そんなの通り越して、逆に冷静になっちゃったのかな………)

上条「御坂? 聞いてます……?」

286 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 22:15:41.38 ID:sx0ESLc0 [22/24]

美琴「―――え!? あ、あ、あ、………」

上条「………?」

美琴「アンタは……どいて欲しいの?」(って何言ってんのよ私ィィ!!)

上条「え……?」

美琴「お、重いかな……?」(え……えーい!! も、もうこうなりゃヤケよ!! イクとこまでイってやるわ!!)

上条「い、いや全然……むしろ軽い、ってそーじゃなくて! 何ていうかこの体勢はイロイロとマズイ気がするんデスガー!?」

美琴「なにが………マズイの?」

上条「へっ……?」


美琴「私は、嬉しいけどな………だって――――」




「―――アンタの事、好きなんだから」




上条「………み、美琴」ドクン

287 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/27(金) 22:17:15.32 ID:sx0ESLc0 [23/24]

目が……妙に色っぽく見えた。少なくとも、上条が今までに見た事がない彼女がそこにいた……。

心臓の鼓動が一気に加速する……。

誘うような、しおらしいような………頬を真っ赤にした少女の顔が―――更に近づく。



上条「……………」ドクン ドクン

美琴「……………」ドクン ドクン



二人の距離は、あと……三十センチに迫っていた――――。

295 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:13:16.09 ID:doNy/is0 [2/29]

――――二人の顔が………重なっていく。



上条「……………」ドクン ドクン

美琴「……………」ドクン ドクン



―――あと……三十センチ………二十センチ………十セn―――。




「―――御坂」


「!?」



チッ………もう少しで重なりかけた唇が上条の声と共に離れた。いや、驚いた美琴が咄嗟に離れたのだ。



「な……何よ?」



名前で呼ばれない事に不満そうな顔を作るが、上条が次に発した言葉でまたその表情は変わった。

296 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:15:33.35 ID:doNy/is0 [3/29]

「―――こないだの返事を……させてくれ」



いつの間にか真剣な表情の上条は、無言で美琴にどくよう伝える……。
ひとまず、美琴はそれに従うことにした。



「さすがに、こんな見下ろされた格好のままはキツイからな……っと」スクッ



そう言いながら、立ち上がった上条に……美琴は―――



(もう………限界か……)



―――諦めたように笑った。



(答えなんて……もういいよ…………今、気づいた)


(私は、アンタと一緒に居れたら……それでいい……)

297 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:18:11.62 ID:doNy/is0 [4/29]

(……………)


(さっきまではそう思ってた……けど―――)


(―――所詮それはただの『逃げ道』……自分が傷つかないために無理矢理作った選択肢……)


(このまま引き伸ばせば自然と一緒に居るのが当たり前になる……そう思って作った卑怯な道……)


(でも、そんなの………コイツが許すハズもない……そんないい加減な道についてきてくれるようなヤツなら、私は好きになって
 いなかった……)


(あと数分後、私は笑っているのかな? それとも――――)



「御坂………いや、『美琴』」



上条の声を聞いた瞬間、全ての意識をソチラに向ける。この少年が出した答えを――――今からこの耳で聞くのだ。



美琴は震える体を抑えようと……力を込めた。

298 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:19:44.39 ID:doNy/is0 [5/29]

上条「―――まず………俺の話を聞いたら、お前は怒るかもしれない……悲しむかもしれない」


美琴「…………」


上条「それでも、聞いてくれるか?」


美琴「………うん」コクリ




頷く美琴に、上条も覚悟を決めた。




上条「……インデックスの、事なんだけど…」


美琴「……?」



―――なんで? なんであの子の名前がそこで出てくんのよ? ……まさか?



少女の予感は……的中した。

299 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:22:13.23 ID:doNy/is0 [6/29]




上条「俺は、あいつと離れたくない」




美琴「!!!!!………」




その言葉を聞いた瞬間、美琴の表情は驚きと悲しみで染まる………が。




(―――あぁ、やっぱり……か…)




ある意味、いちばん予想していた答えでもあった……。だからこそ、考えるのを避けていたのかもしれない。




上条「俺には、あいつと出会った時の記憶がない……。けど、一緒に過ごしている内に、インデックスは俺の中で『大切な存在』に
   なっていたんだ……」

美琴「…………」

上条「だから………許して欲しい」

300 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:25:29.76 ID:doNy/is0 [7/29]





美琴「……わかった」



深い沈黙の後、美琴は俯いたまま……力のない声でそう言った。上条は続けようとしたが―――



上条「……それでな、みさ―――」


美琴「いいわよ、もうわかったから。………答えてくれて……ありがと………ッッ」


上条「え……いや御坂、だから―――」


美琴「それじゃっっ!!」ダッ


上条「―――お、おいっ!?」




それ以上聞きたくないと言わんばかりに駆け出した美琴を上条は一瞬遅れて追う……。

301 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:27:08.67 ID:doNy/is0 [8/29]

上条「―――待てよ! 御坂! 待ってくれ!!」ダダダダ


美琴「―――――ッッ!!!」ダダダダ




不意をつかれたのに加えて、漏電しながら前方を走る美琴の速度はどんどん上がっていく……。
二人の距離は開いていく一方だった。




「―――ハァ、ハァ、ハァ! み、御坂ぁぁあああっっ!!!」




上条が放つ渾身の呼びかけにも、美琴が立ち止まることはなかった………。




「ちくしょうっっ!!」ガンッ!!




街中で美琴を見失い、壁を殴る。
体温の上がった体で、肩で息をしながら立ち尽くす上条は人々の目線など気にも止まっていない様子だった。

302 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:29:08.97 ID:doNy/is0 [9/29]
すいません、>>295から上条さん『御坂』って呼んでますが、全部『美琴』に変更で
お願いします。

303 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:31:01.03 ID:doNy/is0 [10/29]

――――さよなら………ッッ――――



(あいつ………泣いてた……)


(クソ……何やってんだよ俺は……)


(インデックスの事から話しちまったら……こうなるに決まってんじゃねえか……ッ!)


(ほんとバカだよな……俺って…)


(美琴………俺の答えはまだ終わってないんだ)


(だから聞いてくれよ………。いや、意地でも伝えてやるからなっ!!)ダッ



少年は、再び走り出した―――――。



(――――待っててくれ!!!)



―――――


―――

304 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:32:18.32 ID:doNy/is0 [11/29]

―――とある橋の上…



車も通らない鉄橋の上にポツンと佇む少女がひとり……。



「……………はぁー」



流れる川を虚ろな表情で見つめる少女、美琴は深く息を吐いた。



(わかってた………わかってたわよ。アイツは……やっぱり私のことなんて……)



あの後に続く言葉が「お前とは一緒にいれない……だからゴメン」だと予測した途端、体は勝手に動き出していた。

それだけは、聞きたくない……と、本能が訴えたのだ。どれだけ覚悟を決めていたとしても、やはり心の奥底では怯えていたのだ。

そんな自分への嫌悪感……そして失恋のショック……。

さっきまでの楽しかった時間が、すでに懐かしくさえ感じていた――――。

305 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:35:26.02 ID:doNy/is0 [12/29]

(もう……アイツとは、会えないよね…)


(アイツのことだから、きっと私を捜してくれてんだろうなぁ………何でだろう、嬉しいのに………つらい)ジワァ


(今はアイツの優しさが―――――つらいよ………ッ)ポロポロ



落ちていく涙が、下の川へと次々に飲み込まれていく………。冷たい風と川の流れる音が、彼女の嗚咽と重なっていた。



(これが………失恋ってヤツかぁ……)


(こんなに嫌なものだなんて、知らなかったなぁ………)


(思ってた……以上)



「―――うぅっ……グスッ、ヒグッ―――」


「―――やだよ………そん……なのっ……無理………だよぉっ……」



『もう会えない』………この言葉だけで美琴の目は充分過ぎるほどに潤う。何度でも、いつまでも―――――

306 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:38:07.96 ID:doNy/is0 [13/29]

――――気づけば、陽が落ちていた………。




「………………帰ろう」



枯れた声で呟いた美琴はゆっくりと歩き出す……。目は真っ赤で頬は扱けており、憔悴といった様子だった。



「……………」トボトボ



頭の中はすっかり空っぽだ。何も考えたくないし、何もしたくない。
歩くのさえ億劫だ。このまま部屋に戻れば、おそらく明日の始業式に出席することはないだろう……。



(また、黒子に心配掛けるんだろうな……)



それだけが一瞬だけ頭に浮かんだが、もはや精神的に余裕など皆無だ。
嫌悪感さえも、いつの間にか捨てていた―――。

307 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:40:00.17 ID:doNy/is0 [14/29]

「……………」ピタッ



橋の端まで歩いた所で、足が止まる………。

この橋を渡り切ったら………もう終わってしまう。この『橋』で待っていれば、いつかのように『アイツ』はきっと来てくれる……。

心のどこかでそう願っていたが……どうやらそれも、所詮淡い夢だったようだ……。いや、美琴の精神を繋ぎとめる最後の希望だった
のかもしれない。

だいいち、会ったところで自分が傷つくだけなのに………だから逃げたのに………今になって会いたい気持ちはそれを凌駕していた。

会えないことが………やはり一番辛いのだ。

しかし、涙が枯れるまで待っても……彼の声は聞こえなかった。

抱いていた僅かな希望は、もう消えかけている………。



(なによ……なんなのよ私………)


(自分から逃げといて、まだアイツに期待してるなんて………最悪じゃない)


(私って、こんなに弱かったの?)


(もう………嫌だ…………)

308 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:42:44.37 ID:doNy/is0 [15/29]

「………ッッ」クルッ



でも……それでもまだ最後の希望に縋るかのように………美琴は断腸の思いで振り返った。
いないだろうと分かりつつも…………だが―――



「………………ぁ」



――――その直後、彼女の顔には再び生気が戻る。


橋の向こうから、コッチに向かって走って来る人影がひとつ………。



希望を捨てかけていた自分を、救ってくれた少年。


超能力者である自分を、いとも容易くあしらう少年。



そして―――――



――――自分が今、世界でいちばん好きな少年……。

309 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:46:46.38 ID:doNy/is0 [16/29]

「―――よう」



遅れて来たヒーローは自分の目の前までやって来て、いつもの顔を見せた―――。



美琴「…………」



どういう事だろう……。彼が目の前に現れた瞬間、喪失感や絶望……そういった負の感情が馬鹿みたいに消し飛んでしまっていた。

本当に、不思議な少年だ………。



上条「ハァ…ハァ……間に合って良かった…」



相当走ったのだろう……体じゅうは汗だくだ。まだ息が整っていない。



美琴「―――遅いのよ………馬鹿」

上条「ハァ、お前なぁ……いきなり走り出すヤツがあるかよ」

310 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:49:14.06 ID:doNy/is0 [17/29]

美琴「うっさいわね……」

上条「まぁ、お前がもう帰ってたらどうしようかと思ったから……良いけどな」

美琴「良くないわよ………ずっと待ってたんだから……」



やっぱり……やっぱり無理だ。この少年と会えなくなるのだけは耐えられそうにない。
上条の『答え』が全部終わったらこの際『友達』でも良い――――。最終的にそこへ行き着いた。



美琴(もう、逃げない。最後まで聞いてやる!)グイッ



涙を拭いて上条を見据える……。無言で続きを促す美琴の雰囲気を上条は察知した。



上条「―――ええっと………まず、ゴメン!」



(―――ふぅん……先に謝るとかコイツらしいけどさ……断り方くらい勉強しなさいよ。ホントにコイツってば女心が分かってないわね……)

311 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:51:01.26 ID:doNy/is0 [18/29]

上条「紛らわしい言い方して、本当にゴメン! 俺が悪かった!」



―――あら? 自覚あったんだ………もう、だったら直しなさいってのよ。この馬鹿……



上条「俺が言いたかったのはそうじゃなくて………あぁもう一回しか言わないからな? いいかよく聞けよ?」



―――えぇ……煮るなり焼くなり好きにしなさいよ。もう逃げも隠れもしないから……






「俺は……いや、俺もお前が好きだ!!」






―――ほら……そうよね………やっぱり無理よね…………………………






………………………え?

312 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:52:34.70 ID:doNy/is0 [19/29]


(ちょっ……え? 今………なんて?)



「インデックスとは絶対に間違いは犯さない! 神にだって誓う! もし、信じてくれるなら―――」




「―――――俺と、付き合って欲しい!!」





(え……え…? あれ?) 


(…………なにコレ夢?)



まだよく理解できていない美琴であった……。



上条「……すまん、最初からこう言ってれば良かったんだよな…」

美琴「」ポケー

上条「………ってオーイ? 美琴サーン?」ツンツン

313 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:54:11.59 ID:doNy/is0 [20/29]

美琴「―――ふぇっ!?」



頬をつつかれてようやく正気に戻るが、それと引き換えに間抜けな声が出てしまった。



上条「お、戻ってきたか?」

美琴「あ、あ、あ、あ、――――」パクパク

上条「ん……?」

美琴「アンタ今言ったのどういう事!? ちゃんと分かるように説明して!」

上条「あ、あぁ……」

美琴「え? ちょっと待って! なに!? 一体なにがどうなってんの!? あぁもう整理しきれないってか訳分かんないーーっ!!」

上条「は、話す! 今説明するから落ち着けって!」



―――――



上条「――――と、言う訳なんだ」

314 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:56:08.98 ID:doNy/is0 [21/29]

美琴「ふぅん……つまりアンタは私っていうモンがありながらそれでもあの子と一緒に住みたいと……?」バチッ



前髪から軽く電気を発しながら薄く笑う美琴……。



上条「べ、別にやましい意味とかはないんだって! インデックスはなんつーか……妹みたいっつーか……『家族』みたいなモンなんだ!」


美琴「……………」ジー


上条「あいつ……せっかく学園都市(コッチ)の生活にも馴染んできて、友達も出来たっていうのに……今追い出すなんて、そんなのって……
   あんまりだろ? インデックスも、ここに居たいって言ってる……」


美琴「……………」


上条「都合良い話かもしれない。右手は使わないから好きなだけ電撃ぶつけても構わない。だから―――」



「―――頼む美琴!! インデックスを家に置くことを許可してくれ!! この通りだ!!」ガバッ



もはやどんな姿勢で頼んでいるかは言うまでもないだろう……。美琴が黙っている内に上条は畳み掛ける。

315 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:58:34.03 ID:doNy/is0 [22/29]

上条「なぁ頼むよ美琴! お前だって今じゃインデックスと仲良くしてくれてるじゃねえか! あいつも俺らの仲間だろ!? せっかくこれから
   みんなで楽しく過ごせるってのに、あいつだけイギリスに帰しちまうなんて………そんなの残酷すぎるじゃねえか!」


美琴「……………」


上条「俺が女の子として好きなのはお前だけだ! 間違っても浮気なんかしない! 約束するから―――!」



「―――だから頼む!! 俺を信じてくれ!!」




ここまで言えば、後は相手の反応を待つだけだ……。上条は地面と向き合って堅く目を閉じたまま、ただその時を待つ。
しかし、返ってきた答えは―――


「――――言いたい事は、それだけ?」



上条「……ッッ!!」



どうすれば……どう言えば彼女は信用してくれる!? 上条の思考がそれでいっぱいになった次の瞬間―――



「――――なーんてね♪」



上条「………は?」

316 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 19:59:48.27 ID:doNy/is0 [23/29]

次に聞こえた愉快気な声に思わず顔を上げる。上条の目の前にいたのは、般若でも雷神様でもなかった……。
イタズラが成功した子供っぽい笑みを浮かべてコッチを見ている少女がひとり……そこにいるだけだった。



美琴「あははは♪ 引っかかってんじゃないわよバーカ!」

上条「……………………」




今度は上条の思考が止まる番だった……。




美琴「アンタ、私のことずいぶん見くびってない?」

上条「え……?」

美琴「アンタがあの子を追い出すなんて…できるワケないってことぐらい、知ってるに決まってんじゃないの」

上条「美琴……」

美琴「私は……てっきりアンタがあの子を『女』として好きなんだって思った……けど、違うんでしょ?」

上条「………あぁ、違う。インデックスはそういう対象としては見れない……」

317 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 20:02:24.68 ID:doNy/is0 [24/29]

美琴「なら、最初からそう言いなさいよ馬鹿」

上条「ごめん………けど、それでもお前が許してくれるのか、正直不安だったんだ…」

美琴「勝手に人を見定めてんじゃないわよ。私だって、あのシスター……ううん、インデックスがいなくなったら寂しいっつーの」

上条「………美琴」



上条の顔が、みるみると喜びに満ちていく……。



上条「ありがとうな」

美琴「お礼とかそういうのいいから……もう一度言って」

上条「…へ?」

美琴「さっきの『返事』よ。もう一度聞きたいから言えっつってんの」

上条「い……一度で充分だろ……それでもかなり恥ずかったんだが…」

美琴「『今』聞きたいの! さっきみたいな不意打ちじゃなくて今!」

上条「イヤ、しかしだなぁ………」ポリポリ

美琴「あーもう! ハッキリしないわねぇ! アンタの覚悟ってのはその程度なの!?」


上条「!!!?」

318 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 20:04:19.71 ID:doNy/is0 [25/29]

美琴「私への気持ちはその程度なのかって聞いてんのよっ!!」

上条「……よ、ようし……上等だ。もう一度言ってやる……いいか? こんなこと滅多に言えねえんだから今度こそ永久保存しろよ?」

美琴「…………」ドキドキ

上条「スー……ハー……」



深呼吸後、ついに上条が男を見せた―――。




上条「―――――好きだ美琴!! 俺と付き合ってくれ!!」




美琴「―――――うんっっ!!」




険しいような怒ったような……そんな少女の表情が、喜一点に染まる。
足が、動き出す……。自分がずっと想い続けていた少年に向かって……一直線に。
少年は、両手でその小さな体と溢れ出ている彼女の気持ちを……しっかりと受け止めた。

319 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 20:05:46.98 ID:doNy/is0 [26/29]

上条「待たせちまって、ごめんな…」

美琴「まったくよ馬鹿ぁ…」

上条「はは……」

美琴「ねぇ、ひとつ約束して」

上条「何だ?」


美琴「アンタのことだから……きっとこれからも危険に飛び込んでいくんでしょうね………それについては許すわ。けど―――」




「―――その時は、絶対に私も連れて行くこと。私はアンタの彼女なんだから、もう無関係だなんて言わせない……」




上条「………………」


美琴「約束……してよ」

上条「………あぁ、約束する」

美琴「ホント? 破ったりしたら後が怖いんだからね?」

320 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 20:07:04.95 ID:doNy/is0 [27/29]

上条「ったりめぇだろ? お前に寂しい思いなんてさせるかよ」

美琴「………///」

上条「これからも……よろしくな」ナデナデ

美琴「うん……私こそ――――ぁ///」



頭を撫でられただけで力が抜けて溶けそうになる………。いわゆる『幸せの絶頂』というヤツだ。
何故か返事をしたのが美琴という形になっていたが、上条的には自分から告白の方が良いらしい。
男のよく分からない意地みたいなものだろう……。



上条「……美琴…」スッ

美琴「あ……んん――――」




「――――大好き……当麻」




橋の端で………二つのシルエットが今、やっと一つになった―――――。

それは、少女の長い片想いが無事に成就したことを意味している―――――。

321 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/28(土) 20:08:36.52 ID:doNy/is0 [28/29]
長くなりましたが、以上で『成就編』完です
次から最終章『不滅友情(ラスト・フレンズ)編』に入ります。(タイトルは、好きなドラマから取りました)
五月から書き始めてだいぶ長くなってしまったこの話もあと投下四~五回分ってとこでしょうか…
ミスも多くてかなり見苦しいとは思いますが、もう少しなので最後までお付き合い頂けたら嬉しいです
明日はちょっと無理っぽいんで明後日からまた投下していきます
それでは

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