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美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2-2

美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2

164 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:08:57.53 ID:fd3lcIM0 [2/20]

―――――


―――




―――その日の夕方…

上条・一方通行・美琴・黒子・佐天・御坂妹・芳川・禁書目録・打ち止めの面々は黄泉川家で打ち上げ(?)を行っていた。





上条「―――では、本日の作戦成功を祝しまして、カンパーイ♪」



全員『―――カンパーイ♪』チン チン チン



黒子「―――と言っても、全員ジュースですが…」

美琴「当たり前よ。未成年だもん」

禁書「ジュース♪ ごっ飯♪」ゴクゴク ムシャムシャ

打ち止め「この料理お姉ちゃん達が作ったの!? ってミサカはミサカはびっくりしながら訊いてみたり」

165 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:10:50.73 ID:fd3lcIM0 [3/20]

御坂妹「いかに炊飯器と言えど、この人数で掛かればどうにでもなりますから。とミサカは飲みながら返答します」ゴクゴク

一方通行「っつーか、主役の二人はまだ来ねェのかよ?」

上条「もうそろそろじゃねーか? 垣根のヤツ、ちゃんと連れて来んのかな……初春さんも居なきゃ意味ねえぞ?」ゴクゴク

一方通行「死にたくねェンなら連れて来ンだろ。オイ芳川ァ、黄泉川はまだ戻ンねェのか?」グビグビ

芳川「さっき電話したからもうじき帰って来るんじゃないかしら」

一方通行「それにしてもよォ……ンだァこのジュース? ずいぶン変わった味だな……」(ってオイ、まさかコイツァ…)

美琴「美味しいけど……何この違和感…?」ゴクゴク



禁書「―――とうま! 私、今回はとうまのこと見直したんだよ! かきねを助けてくれてありがとうね」

上条「助けたって言うのはちょっと大げさだけどな…」

禁書「け・ど、私を仲間ハズレにしたのはどういう了見なのかなァ?」

上条「え? ……いや、それはその……」

禁書「私も協力したかったのに! どうしていつもいつも私はのけ者ルート直行なのかな!? ねぇとうま!」

上条「ま、待て! 誰ものけ者になんか―――!」

166 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:13:41.01 ID:fd3lcIM0 [4/20]


打ち止め「―――あ~あ……ミサカもお兄ちゃん救済企画に参加したかったな~。ってミサカはミサカはブーたれてみたり…」

一方通行「文句なら三下に言え。発案者はアイツだからな」

打ち止め「責任転嫁しないで! ってミサカはミサカは憤慨してみるー!」

一方通行「オマエが心配するよォな事でもねェだろォが。大体、オマエが加わっても役割なンざねェよ」

黒子「いいえ、そんな事はありませんわ!」ヌッ

佐天「そうですよ! チビミサカちゃんに謝ってください!」ヌッ

一方通行「!? オ、オマエら急に湧いて来ンな!」

打ち止め「ミサカに謝れー! ってミサカはミサカは要求してみたり」

黒子「ホラ、早くして下さいまし」

一方通行「なンで俺が謝ンなきゃなンねェンだァ!?」

美琴「……ってかアンタも主犯の一人じゃないの?」

一方通行「はァ!? オマエまで何を…」

佐天「往生際が悪いですよ? 一方通行さん」

一方通行(何だこの展開……?)

167 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:17:56.69 ID:fd3lcIM0 [5/20]

美琴「謝った方が良いんじゃない?」

一方通行「フザけンな! 意味分かンねェっつの!」

御坂妹「おっとそこまでです! これ以上この方を虐める事はミサカが許しません! とミサカは割って入ります」

一方通行「妹ォォ……俺の味方はオマエだけだァ」

御坂妹「ですが、全面的に悪いのはどう考えてもあなたなので上位個体に謝罪はした方が良いですよ。とミサカはあっさり寝返ります」クルッ

一方通行「やっぱオマエも敵ってかァァ!? こンちくしょォォおおお―――!!」



上条「―――大体、お前が参加したら失敗の結果しか生まれねーだろうが!」(逆ギレ)

禁書「な!? そんなことないかも! 私をカショーヒョウカするにも程があるんだよっ!」

上条「うっせぇ! なけなしの知恵振り絞った上条さんの発案だぞ!? どこに穴があるかも分かんねー様な作戦にお前を入れられるか!」

禁書「自分で言ってて空しいと思わないの?」

上条「ああ空しいよ! だがハッキリ言ってやる! お前が混じったら絶対失敗してた! これだけは間違いねぇ!」


禁書「!? ……い、言ってはいけないことを言ってしまったんだねぇぇ……。もう許してあげないんだよ!! こうなったらとうまも一緒に
   食べちゃうんだからぁぁ!!」グアッ


上条「あぁん!? 何がこうなったらだこの野郎! テメェ都合悪くなるといっつもそればっかりじゃねえか! いいぜぇ……俺がいつまでも
   大人しく食われると本気で思ってんなら……今日という今日こそは、そのクソふざけた幻想をブチ殺すっ!!」バッ

168 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:19:37.76 ID:fd3lcIM0 [6/20]

トウマノバカーー!! シンジャエーー!!  ガブッ ガブッ ガジガジ

イデデデ!! ギ ギャアーー!! ゴ ゴメンナサイ!! ゲンソウヲイダイテタノハオレノホウデシタ!! ドウカユルシテクダサ……アッ…



パタッ…



チ、チョット!? アンタ ダイジョウブ!?

…ミャクガアリマセンネ トミサカハレイセイニシンダンケッカヲツゲマス

フン トウマノクセニ ズニノルカラワルインダヨ ウィ~ック…



ハヤクアヤマルンデスノ

イヤダッツッテンダロォガ!

コンジョウナイデスネー

ンダトォ!? オマエモォイッペンイッテミロ!

ハヤクー! ッテミサカハミサカハセカシテミタリ

ウッセェ! クソガキハダマッテロ!




芳川(……若いって、いいわね。私もまだ若いけど)

169 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:26:03.72 ID:fd3lcIM0 [7/20]

――――――



――ガチャ



黄泉川「―――ただいま。おぉ…皆盛り上がってるじゃんね?」


芳川「あら、愛穂おかえり。えぇ、もう軽くドンチャンになりかけてるわ」




帰宅した黄泉川の目に映る光景はすでに異様だった……。

禁書目録に寄生されてテーブルに力なく突っ伏す上条。それを心配と羨望に満ちた目で見る美琴と手を合わせて祈りのポーズを
とっている御坂妹。
そして、少女達に何やら弄られている一方通行……。そんな訳で、今リビングは軽い馬鹿騒ぎ状態だ。
離れたソファで傍観する芳川だけが黄泉川の帰宅に気づいてくれた。
一瞬自宅が居酒屋に見えてしまった黄泉川は、仕事の疲労もあってか酒が飲みたい衝動を抑えられなくなる。




黄泉川「どれ、じゃあ私も一杯やるか……って!?」




冷蔵庫を開けた黄泉川は驚愕する。ある筈の酒がなかったのだから当然の反応だ……。




黄泉川「まさか……ッ!」

170 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:28:46.43 ID:fd3lcIM0 [8/20]

嫌な予感がした黄泉川はリビングの奥にいる未成年者達に近づいた。テーブルの上にあったのは……黄泉川が今まさに嗜もうとした酒だった。
ビンではなくジュース用のペットボトルで保存していたのが、どうやら仇になったようだ……。




黄泉川「あっちゃー……やっちまった…」




頭に手を当てる黄泉川はもう手遅れだと悟った。少なくとも上条、禁書目録、黒子、佐天、一方通行の顔色はすでに桜色に変色している……。
アルコールの度数が少ないのはせめてもの救いである。




黄泉川「………ま、いっか」




警備員として、教師として……この日、黄泉川愛穂は誤った結論を口に出した。




芳川「どうしたの?」

黄泉川「アイツら……私の酒飲んじまったじゃんよ」

芳川「え? あ……」

黄泉川「あんたも今気づいたんか…」

171 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:31:15.09 ID:fd3lcIM0 [9/20]

芳川「ご、ごめんなさい……ジュースだとばっかり…」

黄泉川「気づかないアイツらもアイツらだが、ペットボトルを使い回しした私にも責任があるから……今日は目を瞑るじゃん」

芳川「で、どうするの?」

黄泉川「どうするって、決まってるじゃんよ」

芳川「?」



黄泉川「一緒に飲むっきゃないじゃん! っつー訳で、あんたも来い! 付き合え!」グイッ


芳川「あいっ―――!?」




言葉の前に襟首を掴まれた芳川桔梗はそのままズルズルと奥の未成年者ゾーンへと引き戻されていった……。
こうして、『飲み会』に大人二名が加わった。




――――――


―――

172 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:34:03.46 ID:fd3lcIM0 [10/20]

垣根「―――何コレ……?」



帰宅した垣根はまず固まった……。




芳川「―――あら……おかえり………うっぷ…」

垣根「ただいま。で、何この状況?」

芳川「愛穂のお酒空けちゃったのよ………うぅぅ、頭がガンガンする……」

垣根「マジっすか……」

初春「―――お邪魔しま~…って!? 佐天さん!? 白井さんも!? あと……み、御坂…さん……? え…なんで…?」

佐天「お! やっと来やがったなぁ~! 遅いぞぉ! ……ウィ~ック」

美琴「キャハハハハ♪ う~いは~るさ~ん! コッチコッチィ♪」ヒクッ

黒子「ホホホホ♪ お待ちしてましたわ初春。とりあえずそこに座れ座れろ……あら?」ヒック

佐天「白井さん呂律回ってねぇぇし! ほらぁ、初春も早く来なさいってばさ!」グイッ

初春「…さ、佐天さん酒臭っ! って、あぁ―――!?」




あっさり親友に捕まって連行された初春を、垣根は生温かい目で見つめたが……すぐに自分にも被害はやってきた。

173 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:36:05.16 ID:fd3lcIM0 [11/20]

一方通行「―――かァァきねくゥゥゥン! おっかえりィィ! まァとりあえずオマエもコッチ座れよォ! ぎゃははは」ヒック




奥の席に座っている白い顔を赤くした同居人が手招きしていた。




垣根「………ソッチも『出来上がって』んのかよ…」


一方通行「オラ起きろ三下ァ! オンマエいつまでも寝ってンじゃねェぞコラァ!」ゴス

上条「―――痛ッ!?」ムクリ




テーブルに突っ伏していた上条の頭に拳骨を落とした。その痛みで体を跳ね起こす。




垣根「よぉ…」

上条「おぉ垣根! 帰って来てたのか。……っつーか、何なんですかコレ?」




周囲を見渡して唖然とする上条……。どうやら酔いが醒めたようだ。
ひとまず首筋に食いついたまま熟睡している禁書目録を引き剥がすのには成功した。

174 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:38:48.57 ID:fd3lcIM0 [12/20]

禁書「う~ん……むにゅむにゅ」モゾモゾ




上条に引き剥がされた禁書目録は、何故かテーブルの下へ潜り込んでいった……。




上条「うーん……なんか頭痛ぇ……っつーか中も外も痛い気がする……一体何がどうしてこうなったのか上条さんに説明してくれ」

垣根「知るか! 今帰ったばっかだぞ? むしろコッチが訊きてぇよ! 何なんだこりゃあ? 軽く酔っ払い集団と化してんじゃねえか!」

上条「……やっぱこれ、酒だったのか……道理でな………インデックスに説教(?)されてる辺りから記憶がないんだが…」

一方通行「オラ垣根ェ! オマエも飲めやァ! ヒ~ック…」

垣根「うっ……寄るな! ってか酒臭ぇんだよテメェ! 黄泉川さん、酔い醒ましの薬とかはないんすか?」

黄泉川「あぁん? んなのある訳ねーじゃんよぉ……ヒック」

垣根「うわ…コッチはすでに焼酎空けてるし……芳川さん、は隣りで潰れてるし……おーい! もう収拾役がいねえじゃねーか!」

一方通行「オイ妹ォ!……って、あー……こりゃ駄目だァ」

御坂妹「Zzzzz」

黄泉川「今日は無礼講ってことにしとくじゃん。ってな訳でぇ、お前も飲めっ!」グワシッ

175 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:40:10.97 ID:fd3lcIM0 [13/20]

一方通行「そォだァー! 飲め飲めェ! ひゃは」ヒック

垣根「だぁぁぁ!! 上条ー!! こいつ等何とかしてくれぇ!!」


上条「あー……ハイ、皆ちゅうもーく!」パンパン




手を叩いて声を張る上条に視線が集まった。ただし酔い潰れて脱落した禁書目録、打ち止め、御坂妹、芳川は除く。




上条「主役の二人も来たことだし、改めて乾杯するぞー!」


垣根「へ?」


上条「ホラ垣根もコップ」トクトク


垣根「あ、あぁ……」


上条「みんなもコップ持ったか?」


全員「おーーー♪」

176 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:44:14.28 ID:fd3lcIM0 [14/20]


上条「じゃあ改めまして、垣根と初春さんのひと足早い春を祝って―――」




『―――カンパーイ♪』チン チン チン





佐天「おめでとうございまーす!」

黒子「お祝いさせていただきます」

美琴「良かったね。初春さん♪」

初春「皆さん……ありがとうございます」ジーン

黒子「垣根さん? 初春はわたくしの友人ですの。悲しませたりしたら承知しませんわよ?」

美琴「そうよ~。許さないんだからね?」

垣根「あぁ……肝に命じとくわ」

佐天「さ、という訳で初春も飲もっか? この幸せ者」ポン

初春「み、未成年ですよ!? ってか白井さん! 風紀委員としてこれはどうなんですか!?」

黒子「まぁまぁ、今日くらい別によろしいではありませんの。それに警備員の黄泉川さんも容認してることですし」

初春「そ…そういう問題じゃ―――!?」

177 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:46:38.91 ID:fd3lcIM0 [15/20]

美琴「これ美味しいわよ? ハイ初春さんもどうぞ♪」トクトク

初春「うぅ……御坂さんまでぇ…………分かりましたよぉ。飲みますよぉ」ゴクゴク



一方通行「あァー、ったく……完全に潰れてやがンなこりゃあ」

御坂妹「Zzzzz」

一方通行「……チッ、仕方ねェなクソが」カチッ

御坂妹「Zzzzz……むにゃあ…」

一方通行「―――オラよ」スクッ




御坂妹を担いだ一方通行はそのまま寝室へ向かった。




垣根「―――なんつーか……あんがとよ」

上条「気にすんな。けどホント良かったじゃねえか」

178 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:47:56.64 ID:fd3lcIM0 [16/20]

垣根「おう……」

上条「あんな可愛い彼女ができて上条さんは羨ましいぜ。泣かせたりすんなよ?」ポン

垣根「あったり前だろぉが」



一方通行「―――ケッ、俺は別にどォでも良いンだけどなァ。ま、折角だし一応祝っといてやンよ」ストン

上条「お、戻ったか……お前酔いは平気か?」

一方通行「あァ、結構醒めてきた。能力なしで酒とか飲ンだ事ねェからどォなるかと思ったがなァ」

垣根「……で、妹は?」

一方通行「クソガキと一緒によく寝てやがる。ノンキなモンだぜ、ったくよォ……」

垣根「そっか……」

一方通行「オイ、垣根ェ」

垣根「……ん?」




一方通行「………おめでとさン」

179 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:50:31.98 ID:fd3lcIM0 [17/20]

垣根「お、おう………サンキュ。へへ…」



一方通行「ふン……」



上条「…………」クスッ




黄泉川「まったく桔梗のヤツ……ちょっと強いの飲ませたらもう脱落じゃん。ホラ垣根、今日は私が許す! お前もどんどん飲むじゃんよー」

垣根「あ…いや俺は…」

一方通行「オイ、シスターはどォした? さっきまでテーブルの下に居なかったかアイツ?」

黄泉川「あぁ、打ち止めや妹と一緒の部屋へぶち込んどいた。ついでに桔梗もな。四人とも無邪気に寝てるじゃんよ」

一方通行「あァそォ……」ゴクゴク

上条「なぁ、お前も今日くらいは飲んでもいいんじゃねえか?」

垣根「けどよぉ……」

一方通行「ハッ! ンだよ? いかにもホストみてェなナリして酒のひとつも飲めねェってかァ? とンだお子様だなァオイ!」

垣根「(ムカッ)……ほう、上等じゃねえか……。なんなら今から飲み比べすっかコラ?」

一方通行「格下がイキがってンじゃねェよバァァァカ! 俺に敵うとでも思ってンのかァ!?」

180 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:52:41.54 ID:fd3lcIM0 [18/20]

上条(あ……ちょっと目ぇ離した隙にまた飲んだなコイツ……)



垣根「面白ぇ! じゃあドッチが先に潰れるか勝負だこの野郎! 三秒でトイレ送りにしてやらぁぁ――!!」グビグビ


一方通行「クカカ、いいねいいねェ! 最っ高だねェ! 愉快に素敵に華麗にブチ吐かせてやンぜェこのクソメルヘンがァァ――!!」グビグビ





上条「……やっぱ始まっちまったか……。さてと、不幸に巻き込まれる前に上条さんはここで戦略的撤退を計―――ってぇっ!?」ムンズッ

美琴「――ちょろっと~! アンタさっきから全然飲んでないんじゃな~い? ほらぁ、コップ持って! 私が注いであげるから」ヒック

上条「い、いや美琴サン? 一体いつの間に隣りに? っていうか、なんか目がヤバイのデスガ…?」トクトク

美琴「何よぉ? いちゃいけない訳?」ムスッ

上条「別にそういう訳では…」

美琴「えい♪」ピトッ

上条「―――ッ!!? お、おい!? くっつくなって!!」(胸! 胸当たってマスヨ!!)

美琴「良いじゃん別にぃ。とにかく! 私も今日は飲むって決めたんだから、アンタもとことん付き合いなさいよ!」

181 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/21(土) 19:53:55.89 ID:fd3lcIM0 [19/20]

上条「あのぉ……できればワタクシは遠慮s」

美琴「あぁん? 私の酒が飲めねえってのかぁああ!?」ガタン

上条「………ありがたくいただきます」チビチビ




オラオラァ! ドォシタァ!? モォオシマイカァ!? メルヘンヤロウ!

ザケンナァ! マダマダコレカラダクソッタレ!


ダイタイネェ! アンタハソウヤッテイツモイツモワタシノコトヲ……ッテ チョット! キイテンノ!?

ウッ ヤバイ キモチワルクナッテキタ……フ フコウダ……


イイゾイイゾォ イケー ミサカサン! ヒューヒュー!

コノルイジンエンガァァ!! ズルイデスワ オネエサマ! ワタクシニモゼヒツガセテクダサイマシ!

アレェ? シライサン ナンデサンニンニフエテルンデスカァ? ヒック…





結局、彼等に飲む以外の選択肢などはもはや存在しなかった。
その後はもうドンチャン騒ぎ一直線で、潰れた者から空き部屋に叩き込まれるといったルールの下、最後まで意識を保った黄泉川が常盤台
女子寮に連絡を入れた時にはすでに宴会は終わっていたそうだ……。

こうして4DLKが狭く感じる程の人数が黄泉川家で寝息を立てる中、夜は過ぎていく―――。




―――――


―――

193 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:15:50.18 ID:b9/P26I0 [2/22]

―――早朝(AM5:00)




「…………ん…」




一番先に目を覚ましたのは垣根だった。開いた目に映るのは、もうすっかり見慣れた自室の天井である。




「…………」ムクリ




いつの間に自分はベッドで就寝したのか……。確か一方通行と飲み比べ勝負になって……そこからはよく覚えていない。

体を起こしてふと横を向く。床の布団には何故か寄り添う形で寝息を立てている上条と一方通行の姿があった。一枚の
布団で仲良く眠っている二人……。前日の記憶を酒が抜け切れずに痛む頭で遡った―――。




(………そうか……俺、飾利と一緒にここまで……)




昨日の夕刻……一方通行からようやく折り返し電話が入ってきたが、約束の延期を求めようと電話を入れていたのだが、
幸せな時間がすっかりそれを忘れさせてくれていた。『彼女と付き合う事になった』『そォかい』…電話ではそれだけの
やりとりで充分だ。
しかし、すぐに通話を切ろうとした垣根を、一方通行は何故か呼び止めた―――。

194 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:19:56.79 ID:b9/P26I0 [3/22]


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






一方通行『―――オイ、待て。帰って来るンなら女も連れて来い。分かったなァ? 一人で帰って来やがったらぶっ殺すぞ』

垣根「は…? 何でだよ? イヤに決まってんだろボケ。テメェに冷やかし喰らうのなんざ真っ平だっつーの」

一方通行『あァ? 何オマエ、拒否とか通じるとでも思ってンの? 今の自分の立場よォく理解してますかァ?』

垣根「な、何だよ……?」

一方通行『約束すっぽかしたあげく、この俺を長時間も放置しておいてくれてそンな強気な態度取っちゃってイイのかなァ? 
     って言わなきゃ分っかンねェかァ?』

垣根「ぐ……テ、テメェが電話に出ねえから……っつか、『時間ぴったりに来い』っつっといて、テメェも時間内に来なかった
   じゃねえか!」

一方通行『ハッ、俺とオマエを同じ土俵に上げてンじゃねェぞ格下ァ。俺はイイに決まってンだろォが。ドッチにしろ、オマエに
     拒否権なンてご大層なモンは最初っから存在してねェンだよ』

垣根「なぁ!? テメェ! 暴論振りかざすのも大概に―――」

一方通行『とにかく、そォいうことだから晩飯までには帰って来いよォ。ンじゃあなァ―――』プツッ…

垣根「あっ! オイ! や……野郎、切りやがった……」ツー ツー…

195 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:22:00.12 ID:b9/P26I0 [4/22]

初春「カッキーさん……どうしたんですか?」


垣根「……あぁ、それがさ――――」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





―――その後、事情を聞いた初春が激しく希望したのも考慮した垣根は、結局彼女を黄泉川家へ招待する事にしたのだ。
初春の友達や上条まで居たのは、おそらく一方通行が垣根との電話後に呼んだのだと……その時は思っていた。

そう、『その時は』だ……。




「まったくよぉ……テメェらってヤツは、本当にお節介だよなぁ…」




心中だけで吐くつもりの言葉は、ボソリとだが声に出ていた。




「―――ヘッタクソな演技までしやがってよ……」フッ…

196 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:24:46.53 ID:b9/P26I0 [5/22]

……気づいていた。昨日の彼等の雰囲気、初春を助けに向かった時の腑に落ちない幾つかの点……。
何よりも決定的なのは、自分の攻撃を喰らったあの二人組が消えた事だ。手応えを全く感じられなかったのは、二人組がエスケープ
に成功した事を意味している。なら、どうやって? 自分は仮にも学園都市のナンバー2だ。チンピラに欺かれるなんてことは到底
有り得ない。
冷静に考えれば分かる事だ。初春を巻き添えにしないよう手加減したとは言え、怒りのままぶつけた自分の未元物質は確実に彼等の
息の根を確実に止めていた筈なのだから……。その末路を変える事のできる二人組と言えば……そう、目の前で無垢な面を晒して眠
っている『こいつ等』しかいない。そこまで分かれば彼女達が何らかの形で協力していた事も簡単に推測できる。

全ての辻褄も合ってしまう……。

昨日の時点でそこまで気づいた垣根は、佐天に連れて来られた事を最後まで話そうとはしなかった……。
佐天から『今日は行けなくなった』というメールが初春の携帯に入っていたからだ。垣根が佐天に会った事を話してしまったら矛盾
が生まれてしまう。きっと佐天や上条も失念しているのだろう……。気づいた以上話しても良いのかもしれないが、垣根は躊躇した。

何となく初春にはまだ知って欲しくない気がしたのだ。それに、知る必要もない。
いつか、笑って話せる日も来る……。これはその時までの『ネタ』としてとっておこうと垣根は決めた。




「………やっぱ、ここは気づかないフリしとくのが……『礼儀』ってモンだよな…」




垣根は自分のために影で奮闘してくれた友二人を優しく見つめてそう呟いた。
そして、ベッドから立ち上がって離れる……。




「感謝するぜ。ホントによ……」ファサ…




乱れた布団を、二人に掛け直してやった……。一枚の掛け布団から彼等の顔だけが見える形になる。

197 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:26:29.30 ID:b9/P26I0 [6/22]

「……オヤスミ…っと」




ギィィ…と音を立ててドアを開く。自室を出る直前で垣根は眠る二人に振り返り、笑みを零しながらこう言った。




「この借りは……いつか必ず返すからな―――」バタン




閉められたドア……再び訪れる『静』の空間。




部屋を出た垣根には、まだ気づいていないことがひとつだけあった……。
上条と仲良さそうに眠る一方通行の目が――――



――――薄く、開いていたことに………。




「…………」パチ

198 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:28:06.88 ID:b9/P26I0 [7/22]

目を開いた一方通行は……垣根の『捨て台詞』にこう答えるように呟いてやった。




「借りなンて作った覚えはねェよボケ……。『俺ら』がやりたくて勝手にやっただけだっつの―――」フッ…




僅かに笑みを浮かべてそのまま再び目を閉じる……。彼の意識はまた……ゆっくりと闇に落ちていく。

と…その前に―――




(ってか、近ェンだよこの三下がァ……)ズル…




―――上条との距離を少し離しておくのは勿論忘れなかった。




――――――


―――



―――そして、二時間後…

199 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:30:12.39 ID:b9/P26I0 [8/22]

―――リビング




打ち止め「―――おはよー! お兄ちゃん。ってミサカはミサカは朝から元気に振舞ってみたり」

初春「―――アホ毛ちゃ~ん……元気なのは良いですけど、頭に響きますぅ~」




部屋から揃って出てきたのは打ち止めと初春……。

リビングのソファーでウトウトしていた垣根はその声に目を覚ます。




垣根「よぉ、おはよ」

初春「おっ、おはよぉ…ございますっ!///」タッタッタッタ バタン




挨拶と同時に洗面所へ飛び込んで行く初春に垣根はクスッと笑う。上条なら初春の行動に疑問を持つかもしれないが、垣根は違った。




垣根「ふっ、可愛いヤツだ…」

打ち止め「お姉ちゃんどうしたんだろ……?」

垣根「『女の準備』ってヤツさ。打ち止めもその内分かるぜ」

200 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:32:37.54 ID:b9/P26I0 [9/22]

打ち止め「ふ~ん……」

垣根「ところで、お前は頭痛くないのか?」

打ち止め「うん♪ ジュース飲もうとしたら、あの人が『クソガキにはまだ早ェからコッチにしとけ』ってオレンジジュース飲まされた
     から。ってミサカはミサカは大人の階段を昇り損ねてみたり」

垣根「そうか……ま、打ち止めも今後飾利とは仲良く……って、お前らはもう知り合いだったっけな…」

打ち止め「え? お兄ちゃん知ってたんだ? ってミサカはミサカは意外な事実を発見したり」

垣根「あぁ…」(っつーか、始まりは『そこ』だしな……運命ってのはホント、分かんねえモンだ…)




――――――


―――




美琴「―――う~……頭痛い……あれ? まだ垣根さんと打ち止めだけ?」

黒子「―――まだガンガンしますわ……。あら、おはようございます。ところで初春が部屋におりませんでしたが…?」

打ち止め「あ! お姉さまたちだー! おはよー。ってミサカはミサカは(ry」

201 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:34:27.72 ID:b9/P26I0 [10/22]

美琴「おはよぉ……」

垣根「んだよ、二人揃って二日酔いか? 飾利なら洗面所に居るからお前らも行ってくれば?」

美琴「そうね、まず顔洗いたいわ……」フラフラ

黒子「では、わたくしも行って参りますの……」フラフラ




ダルそうにフラつきながら洗面所へ向かった美琴と黒子……。二人が外泊届けを寮に出し忘れていた事を思い出して蒼白するのはもう数分先
のことである。




佐天「―――おはよ~ございまぁす。いや~、結局泊まっちゃいましたねぇ……」

垣根「―――お? お前は頭平気か?」

佐天「聞き方に悪意を感じるんですけど!? ……私は割りと平気ですね。少しダルいですけど…」

垣根「意外な酒豪がここにいたか……」



黄泉川「―――おはよ~」バタン

佐天「あ、黄泉川先生どうも…」

垣根「おはよっす」

202 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:36:05.98 ID:b9/P26I0 [11/22]

黄泉川「お、みんな起きるの早いじゃんね~。って、馬鹿二人はまだか…」

垣根「まだ起こすには早いっすよ。もう少し寝かしといてやりましょう」

黄泉川「そうだな……んじゃ、とりあえず朝メシ作るとすっか。人数多いから大変じゃん。桔梗にも機動してもらわねば」




そう言って移動する黄泉川に、佐天が「手伝いますよ~」とか言いながら後に続いて行った。




垣根「―――さて…」




たまには自分も手伝うか……と、垣根も席を立った―――。

御坂妹と禁書目録、上条、一方通行が起きてきた時には朝と呼ぶ量ではないほどの朝食が出来上がっていた。




禁書「―――だいじょーぶ! 食べ物が残るような粗相は絶対阻止してみせるんだよ!」

上条「粗相の意味を根本的に取り違えてるぞ!? そしてお前の食欲増加にそろそろ制限は付かねえのかよ!? 朝メシくらいはこう……
   適度にだな……」

203 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:38:03.97 ID:b9/P26I0 [12/22]

禁書「育ち盛りだもん! それに適度まで届くほど食べられることの方が少ないかも!」

上条「まずお前の場合は盛り過ぎだ! ってか、横に膨れる人体の定義を無視した上でそんな都合良く育つんなら、お前は研究所に行く
   べきだと思うぞ?」

禁書「むぅ……朝から愉快な骨になりたいのかな?」ギラッ

上条「テメェはサバンナの肉食動物か!! しかもどっかで聞いた風なセリフを―――!?」




……朝から元気なことだ。




打ち止め「―――あれ? あなたのお箸が進んでないよ? ってミサカはミサカは指摘してみたり」

一方通行「っつーか、今朝はコーヒーだけで充分なンだけどよォ……」

御坂妹「朝はしっかり食べないと体が育ちませんよ? あなたは一生虚弱体質のままでいる気ですか? とミサカはコーヒーを取り上げます」スッ

一方通行「あっ! オマエ何しやがンだ!? 返せコラ!」

御坂妹「返して欲しければご飯もちゃんと食べて下さい。とミサカは心を鬼にします」

打ち止め「今回はアナタの負けだね。ってミサカはミサカは諦めるよう促してみたり」

一方通行「チッ……わァったよォ。食えば良いんだろォ……ったく、コーヒーと米は合わねェってのに…」ムシャムシャ

204 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:39:43.14 ID:b9/P26I0 [13/22]

黄泉川「それで良いじゃん。あんたの場合は脂肪もちょっとはつけなきゃな♪」

芳川「『脱☆女性体型』目指してみたら? ふふふ」

一方通行「………」ムスッ


黒子「―――それにしても本当に感謝致しますの。わたくし、先ほどまで冗談抜きに死を覚悟していましたわ」

黄泉川「構わないじゃん。酒飲ませたの私みたいなモンだし。私が泊めたって言っといたから心配するな」

美琴「黄泉川さんが連絡してくれなかったらと思うとゾッとするわ……ホントにありがとうございます」

黄泉川「アイツ、そんなに怖いじゃんか…?」

黒子「そりゃもう末恐ろしいですわ。血の繋がっていない事が幸いですの」

美琴「私もああいう母親は遠慮したいわ。けど、寮監と黄泉川さんが知り合いってのはビックリよね……」

黄泉川「世間は意外と狭いじゃんよー。佐天は覚えてる? 私のこと」

佐天「え…?」

黄泉川「ひどいなぁ。忘れちゃったか? ほら……去年の講習」

佐天「あ……あぁーー!! あの時の先生!!」

初春「……?」

黄泉川「お? やっと思い出してくれたじゃん♪」

205 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:41:23.00 ID:b9/P26I0 [14/22]

美琴「世間って……ホントに案外狭いのかもね…」

黒子「そうですわね……」


禁書「―――うぅ……頭がズキズキしてあんまり食べられないかも……やっぱ今日はこの辺にしておくね」カチャ

上条「つっても、もう七杯おかわりしてやがりますけどね」

一方通行「もォ今さらそンぐれェじゃ驚かねェよ」

垣根「むしろインデックスが小食な事に驚く」


禁書「うわ~ん! 男が三人掛かりで寄ってたかって私をいじめる~!」


上条「たまには普段の自分についてほんの少しでも良いから振り返ってみろ!」




―――こうして、人数が過去最大となった黄泉川家の朝は賑やかに過ぎていった。



―――――


―――

206 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:43:14.84 ID:b9/P26I0 [15/22]

上条「―――なぁ…」

一方通行「何だ?」





黄泉川家付近の街路樹をブラブラと並んで歩くツンツン頭の少年と杖をついた白髪の少年……。
上条と一方通行は只今二日酔いを醒ますついでのお散歩中である。





上条「俺……そろそろ美琴に返事しなきゃヤバイよなぁ……」

一方通行「なンで俺にいちいちンなこと確認すンだよ?」

上条「まぁ、そうなんだけどさ……昨日の垣根と初春さんの件で、俺にも少なからず思うことがあったりしたんだ……」

一方通行「…………」

上条「幸せそうな二人見てると羨ましかったっていうか……なんていうか…」

一方通行「オマエは俺になンつって欲しいンだ?」

上条「いや、ただ聞いて欲しいだけだよ。ついでに言うと……それについて上条さんちょっと悩んでるのでご意見頂けると嬉しいのデスガ…」

一方通行「知ってるたァ思うが、俺は誰かの肩押してやるのは慣れてねェし向いてねェし、したいとも思わねェ。あの馬鹿にも言ったこと
     だがなァ、結局はソイツの自身が決めることだろォが」

207 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:45:06.69 ID:b9/P26I0 [16/22]

上条「あぁ……それは分かってるんだ。けどさぁ…」

一方通行「……何迷ってンだよ? らしくねェ……オマエ俺の前でハッキリ言ったじゃねェか? 超電磁砲が………スキ………だってよォ…」

上条「ん? 途中よく聞こえなかったぞ?」

一方通行「うるせェ。ンで、一体何に悩ンでるっつーンだ? 肩押す気はねェが、話くれェ聞く分には構わねェぞ」

上条「いやぁ……だからさ」

一方通行「……まさかとは思うけどよォ、まだ俺のこと気にしてるってンなら今度は本気でスクラップにすンぞ?」

上条「ち、違う違う! そういうんじゃねえよ!」

一方通行「……じゃあ何だよ?」

上条「だから……その、俺って不幸じゃん? 俺だけなら全然良いんだ! いや、良くないけど……」




歯切れの悪い上条に一方通行は若干イラつく。




一方通行「なァーにが言いたいンですかァ? ハッキリしろよ!」


上条「……美琴が俺と一緒にいたら、美琴まで不幸に巻き込んじまうかもしれねぇだろ……」


一方通行「…………」

208 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:47:34.79 ID:b9/P26I0 [17/22]

上条「ほら、俺は色々慣れてるから良いとして……もし、アイツを危険に曝すようなことにでもなったりしたら……俺、多分付き合った
   こと後悔すると思うんだ……。インデックスでも守りきれるか分かんねえのに、俺は美琴を守りきれるのかな……ってさ」




おそらく本音であろう上条の言葉に、一方通行は眉を顰める。




上条「俺、前に『ある人』と約束したんだ。『美琴とその世界を守る』って…。その時は、こんな気持ちじゃなかったから……どんなこと
   があったとしても守ってやるって思ったけど……付き合ったりして距離が縮まると、危険にもっと近づかせてしまうんじゃないかな
   ってさ……勿論、美琴を危険から守りたい。けど……守りたいか守れるかってのは別の話だろ?……俺が美琴を守るために死んだと
   しても、結局その後美琴が無事に生きていてくれなきゃ意味ねぇんだ……」


一方通行「つまり、今後何かあった時アイツを守りきれるか自信がねェって訳か?」


上条「そう……かもしれねぇ。美琴が好きな気持ちは変わらない……だからこそ、美琴には幸せに生きて欲しい……。いつ危険に巻き込ま
   れるかも分からねえ俺といたらアイツも不幸になっちまうんじゃねえか……って考えたら、どうしても悪い方向に行っちまうんだよ。
   好きって気持ちだけで付き合ったらダメなんじゃないのかなぁってさ…」


一方通行「…………」


上条「こういうの……ホントはダチにもあんま言いたくはないんだけどな。で、お前はどう思う?」


一方通行「―――くっだらねェ……」


上条「へ…?」

209 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:50:54.20 ID:b9/P26I0 [18/22]

一方通行「くだらねェっつったンだよ!!」




―――バキィッッ!……




上条「―――ッッ!!??」




上条は一瞬、何が起きたのか理解できなかった……。突然一方通行が自分に向かって怒声を浴びせたと同時に、強い衝撃を左頬に
受けたのだ。




上条「……え…?」




殴られたことへの怒りや痛みよりも……驚きが勝った顔で上条は顔を歪ませた一方通行を見上げる。
そんな上条に一方通行は言葉をぶつける。




一方通行「さっきから聞いてりゃあ悲劇の主人公(ヒーロー)みてェな台詞ペラペラ吐きやがってよォ!! のぼせ上がンのも
     大概にしろォ!!」


上条「な……」

210 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:54:28.72 ID:b9/P26I0 [19/22]

一方通行「オマエが今までどンな厄介事に巻き込まれてきたかは知らねェが、なンでそこで『守る』って言葉が出てこねェンだァ!? 
     オマエはいつもそォやって考えて人助けしてきたってのかァ!? 違うだろォォ!! オマエはそンな考え持つ必要なンざ
     ねェンだよォォ!!」


上条「アクセラ……レータ…?」


一方通行「本当に不幸なヤツが人を幸せになンてできるハズがねェ!! 『誰もが笑って過ごせる世界』なンざ夢のまた夢だ!! 
     オマエは自分でソレを認めちまうのかよォ!?」

上条「―――!?」


一方通行「守りてェモンのために身を引くなンて考えは臆病モンの選ぶ道だろォが!! オマエはソレで良いのか!? 守りてェモン
     はテメェで守ンのが当然じゃねェのか!? なァ三下ァ!? オマエそンな根性ねェクソ野郎だったってのかァ!?」


上条「………俺は…」


一方通行「『自分より他人』……ああ結構な事じゃねェか! 否定はしねェよ! だがなァ、イイ加減自分の幸せを掴ンだって良いン
     じゃねェのか!? たまには人の事より自分の事優先で動いたって良いンじゃねェのかァ!?」


上条「…………」


一方通行「イイぜェ……それでもオマエが他人の幸せばっかり願うってンなら―――」


上条「お、おい……」


一方通行「まだ愛する女を守る自信がねェとか反吐の出る台詞を吐き続けるってンなら―――」

211 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:56:15.35 ID:b9/P26I0 [20/22]

上条「まさか……や、やめろ!」




一方通行「―――まずはァ!! そのクッソふざけた幻想をブチ殺ォォォす!!!!!」




上条「―――!!??」




道のど真ん中……野次馬が見守る中、上条に二度目の鉄槌が振り下ろされた。


ちなみに意識を落とす前、上条はこう思ったそうだ。




『そうか、コイツ……まだ……根に持っていたのか……』と―――。




――――――




上条「―――んん……?」パチッ

一方通行「―――お? 気がついたか?」

上条「あぁ……悪かったな」

212 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/23(月) 19:58:06.54 ID:b9/P26I0 [21/22]

一方通行「………あ?」

上条「お前の言葉……すげぇ効いたよ。何を迷ってんだろうな……俺」

一方通行「……………」

上条「そうだよ……美琴を守るって誓ったってのに、アイツから遠ざけようとか考えちまうなんて……ホントに、どうかしてたぜ―――」スクッ



「―――ありがとうな……一方通行。おかげで目が覚めたよ」



一方通行「そ……そォか」

上条「まさかお前に教えられるとは夢にも思わなかったけどな」

一方通行「うるせェよ」

上条「家―――戻ろうぜ?」

一方通行「おォ……」(俺の右手も……たまには捨てたモンじゃねェってかァ? ドッチにしろ似合わねェ事には変わりねェが…)





やはり……この少年はどこか自分に似ているのかもしれない……と、一方通行は少し思った。
形は違えど、守りたい者のために自己の感情を犠牲にしようと考え始めていた上条の姿が……自分と被って見えた気がしたのだ。
だからこそ、つい熱くなってしまったのかもしれない……。思わず影響丸出しで本人を二度殴るという強行に及んでしまった訳だが、思い出し
てみると自分も同じような事を以前されていたので、そこら辺は仕返しということで簡単に割り切る。
幻想殺しなど宿っていない自分の拳が上条の幻想を変えられたのかは定かではないが、彼の表情からはもう迷いが消えていたので、一方通行は
ひとまずよしと思うことにした―――。

223 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:11:38.33 ID:Rtup6Jc0 [2/35]

―――黄泉川家




美琴「あれ? アイツら居ないけど、どこ行ったの……?」

芳川「ちょっと酔いを醒ましに出るって言ってたわよ」

美琴「え? ……そうですか」(私も連れてけっつーの! ホント気が利かないんだから………あの馬鹿……)

黒子「お姉様? どうかなさいまして?」

美琴「何でもないわよ……」


垣根「飾利、米粒ついてんぞ」スッ…パク

初春「あ、どうも……へへ/////」

佐天「く~、見せつけやがってぇ~!」

禁書「何か変なオーラが見えるんだよ…」

打ち止め(あの人にもあんなことされたいなぁ……ってミサカはミサカは無駄な幻想に縋り付いてみたり)

御坂妹(ミサカもいずれはあのようにイチャイチャ……ってこれもあの方のガラではありませんね…とミサカは諦めの息を吐きます)ハァ



――ガチャ



上条「―――おう、ただいま。もうメシは食い終わったか?」

禁書「もうとっくなんだよ!」

打ち止め「今日はどこかお出かけしたいなー! ってミサカはミサカは希望してみる」

224 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:13:40.67 ID:Rtup6Jc0 [3/35]

上条「そうだな……みんな今日この後は暇か?」

黒子「あと二日で冬休みも終わりですし、風紀委員の仕事もありませんが…」

初春「私も今日は元々非番です」

美琴「私は……も、もちろん平気よ」

佐天「以下同文で~す♪」

御坂妹「言うまでもなく暇人ですが何か? とミサカは懐かしいネタを引用します」

上条「じゃあさ―――これから皆でどっか遊びに行かねえか?」

垣根「ま、学校始まるまで予定はねえし、良いんじゃねえの?」

一方通行「……俺も似たよォなモンだ」(今日は仕事の電話来ンなよ…)

美琴「それいいわね! 私乗ったー!」

黒子「お姉様の乗った船にこのわたくしが乗らないとでも?」

御坂妹「大所帯ですね……それも男女比が明らかにおかしいですが、ミサカも是非同行を希望します」

打ち止め「みんなでお出かけかぁ。楽しそー♪」

禁書「食べ歩きツアーも悪くないかも!」

初春「男女比っていうか……もう、メンバーが凄いですよね……豪華を通り越してる気が…」

佐天「考えてみたら超能力者のトップがワン、ツー、スリー、って揃ってるんだよね……私ら、とんでもない派閥に入っちゃったんじゃ……?」

上条「んなこと気にすんなよ。レベルが五だろうが零だろうが、友達には変わりねえだろ? 結局さ、一緒にツルむのにレベルなんて関係
   ないんだよ」

225 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:14:48.56 ID:Rtup6Jc0 [4/35]

佐天「……そうですよね……うん………決めた! 私も行きます!」

初春「わ、私も行きたいです!」

垣根「飾利は最初から決定だろ!」

佐天「え~? 私は~?」

初春「佐天さん? 先に言っておきますけど、ちょっかいかけたりしたら……分かってますよね?」

佐天「か、かけないよ~! ってか、どんだけイヤなヤツなのよ私って!? んなことする訳ないじゃん!」

初春「クスッ……」

垣根「フフッ……」

上条「はははは♪ んじゃ、出かける準備できたら行こうぜ!」

美琴「ねぇ、どこ行くの?」

禁書「食べ歩きツアーまたは食い倒れツアー♪」

上条「ひとりで食い倒れてて下さい。……そうだなー、ゲーセンとかボーリングとか……ビリヤードとか?」

禁書「むぅぅ……らすとおーだー、お出かけに備えてシャワー浴びに行こ?」

打ち止め「うん♪ 昨日は入れなかったもんね。ってミサカはミサカは体の汚れが気になってみたり」

御坂妹「ではミサカもご一緒します。子供だけでは危ないので―――」




御坂妹、打ち止め、禁書目録は浴室へ。




佐天「ボーリングとか良いですね~!」

黒子「当然勝負……ですわよね?」

上条「何故に俺を睨む? 白井」

226 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:16:27.13 ID:Rtup6Jc0 [5/35]

黒子「この白井黒子! お姉様を懸けて貴方に決闘を申し込みますの!」ビシッ

上条「ハイ?」

美琴「んなっ!?」

黒子「わたくしが勝ったら貴方はお姉様と縁を切って下さい。ですがもし貴方が勝ったらお姉様はわたくしが頂いてて差し上げますわ」ニヤリ

上条「なんかよく分かんねーが……勝負を挑まれた以上引けねえな! その勝負受けてt――」

美琴「乗るなぁぁーー!! ドッチが勝っても私が黒子のモノになること決定な未来に何で気づかないのよこんのボケがぁぁあああ!!」

黒子「チッ……もう少しだったのに……」

垣根「おい、俺らも勝負すっか? 昨日の決着まだついてなかったしよ」

一方通行「種目変えりゃ俺に勝てるっていうその自信はどっから湧いてくンだよ……何やってもオマエじゃ俺には勝てねェってのがまァだ
     分かンないのかなァ?」ニヤ
 
垣根「そぉいうセリフは勝ってから言うんだなぁ」ニヤ

一方通行「ひゃは、上等ォォ」

上条「あ、言っとくけど能力使うのナシだぞ? 使ったら右手で殴るからな」

一方通行「ンだとォ!?」

垣根「ふっふっふ……勝ったな」

一方通行「フっザけンな三下ァ!! オマエ俺に生き恥かかせよォってのかァァ!?」ガシッ

上条「うっ……わ、わかった。なら……店や機械を壊さない程度に頼む。力の調整はお手のモンだよな? 超能力者」

一方通行「ハッ! 誰に言ってンだボケ」

垣根「チッ……まぁドッチにしろ結果は同じだがな」

美琴「……まぁ程々にしとくわ。ってか、遊びに能力使用ってどうなのよ?」

227 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:18:44.48 ID:Rtup6Jc0 [6/35]

黒子「わたくしの場合は遊びではございませんわ。上条さん、全力で行かせてもらいますの。お姉様は渡しませんわよ?」

上条「はは、お手柔らかに頼むぜ? もっとも、俺だって負ける気はないけどな」

美琴「え? それって……///」ポー

黒子「キーーー!! サル野郎の分際で生意気な!」

初春(あ…御坂さんが可愛い……)


打ち止め「―――上がったよー! ってミサカはミサカは隙ありとばかりにアナタに飛びついてみるっ! ってやっぱり避けやがったよ!」スカッ

一方通行「アホか」サッ

禁書「スッキリしたんだよ~♪」

御坂妹「お姉様方もいかがですか? 二日酔いも完全に醒めますよ? とミサカは勧めます」

美琴「じゃ、私らもシャワー借りるわね」

佐天「御坂さん、一緒に行きましょうよ♪」

美琴「うん♪」

黒子「ぐふふ……ではわたくしもご一緒n―――「ふんっ!!」―――ヘブルッ!?」

美琴「あ、初春さん。私と佐天さんが上がったらこの変態と一緒にアンタも入ってきなさいよ」

初春「は~い♪」

黒子「」ピクピク




そんな訳で無事に女子達の準備も整い、一同は残りの休みを充分に満喫しようと遊びに繰り出した―――。

ゲーセンで垣根と一方通行が火花を散らしたり、ボーリング場で上条と黒子が死闘を繰り広げたり、ダーツでは御坂妹と美琴が再び姉妹バトルに
突入したり、カラオケでは垣根が初春に向けてバラードを贈ったり、佐天は超能力者のスーパープレイに酔いしれたり、打ち止めと禁書目録は眩
しいほどにハシャイだりと………それはそれは本当に楽しい時間だった。滅茶苦茶な面子には違いないが、少年少女たちの表情はイキイキとして
おり、周囲にも心の底から楽しそうに見えた―――。

228 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:20:05.61 ID:Rtup6Jc0 [7/35]

―――――


―――




初春「―――送ってくれて、ありがとうございます……」




楽しい時間とはあっという間に過ぎてしまうもの……。辺りはすっかり暗くなっていた。解散した一同はそれぞれの帰路についている。
途中まで一緒だった佐天とも別れ、初春は寮の前まで送ってくれた垣根に名残惜しそうな顔を見せた。




初春「今日は……本当に楽しかったです」

垣根「あぁ、俺もだ」ニッ

初春「ふふっ」




笑いあう二人……。その姿は初々しい空気に包まれていたが、初春は表情が曇る前に背を向ける。




初春「じゃあ……私、これで―――」




これ以上一緒にいるとまた離れたくなくなってしまう……そう思った初春はすぐに行こうするが――

229 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:21:17.71 ID:Rtup6Jc0 [8/35]

垣根「あ、ちょっと待ってくれ」




――垣根はそれを止めた……。




初春「……はい?」




足を止めて垣根に振り返る。彼はゆっくりと近づいてきて―――言った……。




垣根「手ぇ……出してくんねえか?」


初春「え?……はぁ」




言われるままに右手を垣根に差し出す。すると彼は、その手に自分の手を重ねた。『何か』が、手に乗せらているのが初春には分かった……。




初春「………!?」




渡された物を見た初春は驚いた。自分の手に乗っていたのはネックレス……なのだが、普通のとは少し違う。
キラキラと輝く中央の宝石みたいな石は見惚れるほどに綺麗で、まるでこの世の『物質』で作られたとは思えないような………?

230 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:22:34.39 ID:Rtup6Jc0 [9/35]

初春「まさか……これって!?」


垣根「あぁ、俺の『未元物質』で作ったんだ……。ソイツは、この世にたった二つしか存在しねぇ。一つはお前の手に……そして―――」




「―――もう一つは、ここにある……」




見せられた首元には初春が受け取った物と同じネックレスが付けられていた。




垣根「これ、俺のお気に入りなんだ。なんか押し付けみたいで悪いけどさ……。もし、お前さえ良ければ……受け取って欲しい…」


初春「………」ウルッ




思わず目が潤んでしまう……勿論嬉しさによって。




初春「―――ッ!」ギュッ




予期せぬサプライズに感激した初春は……垣根の胸に飛び込む。




初春「―――ありがとうございます……。私……一生大事にしますから…」

垣根「ホントか? ……そりゃ良かった。気に入ってもらえて嬉しいよ」

231 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:24:49.60 ID:Rtup6Jc0 [10/35]

初春「これって……本当に私とカッキーさんしか持ってないんですよね?」

垣根「あぁ、そうだ。それは俺専用に作ったヤツだからな……。けど、飾利にも持って欲しいと思ったんだ」

初春「どうしてですか…?」


垣根「そんなの、飾利が特別だからに決まってんじゃねえか」


初春「……ずるいですよ……こんなの、不意打ち過ぎます」

垣根「………はは」

初春「離れたく……なくなっちゃったじゃないですかぁぁ」ギュウ

垣根「そろそろ人通るかもな……」

初春「じゃあ、その前に…………ん…」ソッ




上目遣いで目を閉じた初春……その意味が分かった垣根は一瞬戸惑った顔をしたが、やがて恥を隠すような笑みを浮かべて―――




垣根「…………」スッ




―――彼女の願いに、優しく答えた……。二つの唇が、今ゆっくりと重なっていく―――。



―――この日以降、初春が垣根に貰ったネックレスを肌身離さず持ち続けることになったのは言うまでもない。

232 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:26:52.33 ID:Rtup6Jc0 [11/35]

―――――


―――



―――常盤台女子寮前




上条「―――じゃあな御坂。あと白井も」

美琴「送ってくれてありがとうね……」

上条「気にすんな」

黒子「……別にわたくし達だけで平気でしたのに……貴方というお方はどこまでもお世話焼きですのね」

上条「はは……返す言葉もねえな」

禁書「短髪もツインテールもまたね! 今日は楽しかったんだよ!」

黒子「えぇ、シスターさんもごきげんよう」

美琴「またね~」ヒラヒラ

上条「じゃあな~」ヒラヒラ




二人のお嬢様は、寮へと姿を消していった……。それを見送った上条と禁書目録も寮へ向けて歩き出す。




禁書「―――今日は楽しかったな~」

上条「そうだな。俺も久々にハシャイだよ」

233 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:28:12.52 ID:Rtup6Jc0 [12/35]

禁書「学園都市の人たちって……みんな良い人ばかりだね」

上条「ははは、今ごろ気づいたのか?」

禁書「ううん、改めてそう思っただけなんだよ。………あ! そう言えば、とうまとこんな風に歩くのって久しぶりかも」

上条「あぁ、そう言やそうかもな……」




夜空に散らばる無数の星を見上げながら話す二人……。




禁書「ねぇとうま……」

上条「ん? 何だ?」



禁書「『短髪』のこと……好きなんだよね?」



上条「え………?」




周りを流れる冷たい空気が……ゆっくりと変わっていくのを感じた―――。




上条「インデックス……?」

禁書「もう、隠さなくてもいいんだよ……。とうま」

234 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:30:36.51 ID:Rtup6Jc0 [13/35]

上条「どうして……」

禁書「そんなの見てれば分かるんだよ。分からないのはきっととうまぐらいなんじゃないのかな……?」

上条「…………」

禁書「あ、別にとうまを困らせたい訳じゃないんだよ!? そうじゃなくて……その…」




寂しそうな顔から一転して慌てふためく禁書目録……。上条はそんな彼女になんて言えば良いのか迷った。




禁書「ただ……私に遠慮だけはして欲しくないかなぁ…って思ったりして…」

上条「…………」

禁書「とうまが誰を好きになるかはとうまの自由だもん。私がどうこう言えることじゃないんだから、私に気を遣うのは……やめて欲しい」

上条「イン…デックス……」

禁書「私は大丈夫だよ? とうまがいなくたって全然平気なんだから。とうまのおかげでいっぱい家事覚えたし……って言っても、とうま
   に比べたらまだまだ危なっかしいかもだけどね。えへへ…」




無理矢理に見えるその笑顔に、上条の心は見えない何かによって締めつけられる……。




上条「やめろよ………」

235 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:32:13.12 ID:Rtup6Jc0 [14/35]

禁書「でも大丈夫! もうとうまのお世話にならなくても私は―――」


上条「―――インデックス!!!」


禁書「―――ッ!? ……とうま…?」




突然声を張り上げた上条にビクッとする禁書目録。上条の目は『それ以上言うな』と訴えているように見えた……けど―――。




上条「何でそんな寂しいこと言うんだよ!? 俺は―――」

禁書「無理だよ……」

上条「な、何がだよ……? 何が無理なんだよ!?」

禁書「もう……とうまと一緒にいるのは……いけない気がするんだ…」

上条「だから何でだよ!?」




禁書「……だって……インデックスは――――」




「―――とうまの事が……大好きなんだよ」

236 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:34:36.71 ID:Rtup6Jc0 [15/35]

いつからか涙を滲ませた目で笑みを浮かべたままそう言った禁書目録……。




上条「………!!」




この言葉は、前にも聞いたことがある……そう、『彼』が『初めて』禁書目録と会った時に言われた言葉だ……。




禁書「私はぁ……とうまの……幸せの『足かせ』になっちゃうんだよぉ……」ポロポロ




ついに堪えきれなくなったのか……禁書目録の顔は悲しみに歪んだ。涙は次から次へと頬を伝う―――。




上条「バカ……ヤロウ…」スッ


禁書「―――と、とうま!?」




驚くのも無理はない。上条が禁書目録の頭を包むように抱いたのだから……と言っても恋人の絵には程遠く、子供をあやすような抱き方
だが……。




禁書「だ……だめだよとうま……離して」

上条「ダメだ」

237 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:38:00.63 ID:Rtup6Jc0 [16/35]

禁書「私に同情とか……そういうのはいらないんだよ!!」




逃れようと暴れるも、それは空しい抵抗に過ぎなかった……。




禁書「私のことは……もう気にしなくていいんだよ!? 放っといていいんだよぉ!! お願いだから離して……ッッ!」

上条「―――放っとけるかよ!!」

禁書「―――!?」

上条「放っとける訳ねえっつってんだ!!」

禁書「………とうまは、優しいから……けど、優しいから残酷な時もあるんだよ?」

上条「んなの知らねえよ!! 俺が優しいとかそんなのも知らねぇ!! なんで誰かが幸せになるために誰かが泣かなきゃいけねえんだよ!!
   確かに俺はアイツが好きだ!! けど、だからってお前のことを俺が邪魔者扱いするとでも思ってんのかよ!? フザけんな!!」

禁書「………とうま……」

上条「お前も俺にとって大事な存在なんだ!! 俺だってお前と離れたくなんかない!! 俺たち、もう『家族』だろ!? 違うのか!?」

禁書「家族……?」

上条「あぁ、そうだよ! お前はもう俺の家族なんだ! いつかお前が俺より良い人を見つけるまで、俺はお前の側にいる! 美琴だって
   きっと解ってくれる! だから……お前は何も心配しなくて良いんだよ!」

禁書「グスッ……うぅ……ホント? 私、ヤキモチ焼くかも……いっぱいとうまに酷いこと言っちゃうかもしれないんだよ……?」

上条「上等だ。全部受け止めてやるよ。俺を甘く見てんじゃねえぞ?」

238 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:40:47.04 ID:Rtup6Jc0 [17/35]

禁書「とうまぁ………」ポロポロ


上条「みんなが幸せにならなきゃ意味ねえんだ。そこに『お前』もいなきゃ、俺が幸せじゃねぇんだよ…」


禁書「うっ……グスッ……本当……に……私、とうまといてもいいのかな……?」


上条「あぁ、もちろんだ。当たり前だろ?」


禁書「――――うぅ……うわあああああああ~~~~~~ん!!!」ガバッ


上条「…………」ギュッ




(―――ホントに……とうまはずるいんだよぉ……けど……けど私は――――)



(――――とうまのそういうところを、好きになっちゃったんだね……)




夜道に響く禁書目録の泣き声……。上条は少女が泣き疲れて寝てしまうまでそうしていた。
上条はある意味……男として辛い道を選択してしまったのかもしれない……。
しかし、彼の表情から後悔の文字は見られなかった―――。

自分が、そう決めたのだから―――――。

239 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:42:06.74 ID:Rtup6Jc0 [18/35]

上条「ごめんな……」


謝罪した相手は美琴か禁書目録か……その答えは眠りについた禁書目録を背負って家路へと再び歩き出した上条にしか判らない事だった―――。


―――――


―――



―――病院前




御坂妹「―――では、ミサカはここで。とミサカは送ってくれたお二人に感謝の言葉を述べます」


一方通行「おォ、ンじゃあな……」

打ち止め「バイバーイ! ってミサカはミサカはお別れの挨拶をしてみるの」




病院前で御坂妹を見送った一方通行と打ち止めは、揃って歩き出した。




一方通行「オラ、帰ンぞ」

打ち止め「うん♪」

240 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:44:35.11 ID:Rtup6Jc0 [19/35]

―――――




打ち止め「うわー……今日も星がキレイだね~。ってミサカはミサカはアナタに同意を求めてみる」

一方通行「あァ、そォ……」

打ち止め「むぅ~…アナタは相変わらず天邪鬼さんだね。ってミサカはミサカはやっぱりこの人はこの人だ…って肩を落としてみる。
     アナタにはロマンが少しどころか相当足りてないよ~」

一方通行「ンなモン要らねェっつの。オイ、危ねェからチョロチョロすンな。コケンぞ?」

打ち止め「ふふ、そのくせミサカには弱いんだからぁ~、照・れ・屋・さん♪ ってミサカはミサカはアナタを知り尽くした発言を
     してみたり」

一方通行「チッ……勝手にコケてろ」カツカツカツ

打ち止め「あぁー! 待ってよぉ! ミサカを置いてかないでー! ってミサカはミサカは慌てて後を追いかけるのー!」タタタタ


一方通行「…………」

打ち止め「ねぇねぇ、ところでアナタ、10032号とはどうするの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

一方通行(なンだかンだで俺が待っててやった事については結局スルーかよこのガキ……)

打ち止め「ねぇ! 聞いてるの!?」

一方通行「っせェなァ、聞こえてるっつゥの。別にどォもしねェよ……っつか、何でンな事訊く?」

打ち止め「またまたぁ~、ミサカには全部お見通しだよってミサカはミサカはウィンクしてみたり♪」パチッ

一方通行「意味分かンねェ……」

打ち止め「ウソ。アナタだってもう知ってるんでしょ? だって……10032号はアナタのことがs――」



一方通行「―――オイ黙れ。それ以上言うンじゃねェ」ギロッ

241 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:46:35.56 ID:Rtup6Jc0 [20/35]

打ち止め「――ッ!? な…なんで? ってミサカはミサカは……急に恐い顔になったアナタにビックリしながらおそるおそる……その…」

一方通行「ガキがンなくだらねェ事心配してンじゃねェよ」

打ち止め「……なんか急に雰囲気変わったね……さっきまであんなに楽しそうにしてたのに、一体どうしたの? ってミサカはミサカはアナタに
     説明を求めてみたり」

一方通行「オマエに言うほどの事じゃねェ。余計な詮索はすンな」

打ち止め「アナタ………もしかしてまだ……」

一方通行「…………」




打ち止めは……それ以上訊けなかった。
一方通行の放つ異様なオーラは、幼い少女にもハッキリと判るほどに明確だったから―――。



―――――


―――



―――上条宅




上条「……………」




ベッドでスヤスヤと眠る禁書目録の側に座り込んだ上条はその寝顔を優しく見つめていた。

242 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:49:47.95 ID:Rtup6Jc0 [21/35]

上条「まったく……変な心配しやがってよ………」




いくら美琴と交際を始めるからと言って、禁書目録をすぐ家から追い出すことなど上条にはできる訳がない。
ここは自分の口から美琴に事情を説明する必要がある……。




(美琴は、許してくれるだろうか……)




正直不安が無いと言えば嘘になる。自分の恋人が自分以外の異性と同棲を続けたいだなんて……普通なら納得できる話ではないからだ。
座り込んだ上条はどう切り出そうかと頭を抱える。




上条「う~ん……」




どう言えば納得してくれる? そもそも納得してくれるのか? 電撃の雨で済むならまだ安いものだが、美琴がもし悲しんだら?
勿論、過ちなど犯すつもりはないが、彼女が信用してくれなければその信念も意味が無くなる。




(ドッチかを選ぶ………いや、そんな贅沢な身分じゃねぇよな。俺がどうしたいかだ……)




それなら答えは決まっている。美琴は『恋人』、禁書目録は『家族』。美琴が恋人になった時点で禁書目録が所属しているイギリス清教
『必要悪の教会(ネセサリウス)』に連絡を取って迎えをよこす選択肢などは上条の頭に存在しない。

243 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2010/08/24(火) 17:51:08.06 ID:Rtup6Jc0 [22/35]

上条「……ははっ、こんなこと土御門や青ピなんかに相談したら血ダルマの刑だよな…」




乾いた笑いを含めた声で呟いた。




(とにかく、これ以上美琴を待たせる訳にはいかない……俺の答えはもう決まってる……あとは、なるようになるだけだ―――!)




決戦の日は……明日だ―――。


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