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ナイト「ファンタジーの世界に行って就職するならナイトだな」続
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 19:33:54.77 ID:5ll6sKIa0 [1/70]
前スレ
ナイト「ファンタジーの世界に行って就職するならナイトだな」の続き
参考スレ
http://mimizun.com/log/2ch/news4vip/yutori7.2ch.net/news4vip/kako/1272/12721/1272118957.html
前スレ
ナイト「ファンタジーの世界に行って就職するならナイトだな」の続き
参考スレ
http://mimizun.com/log/2ch/news4vip/yutori7.2ch.net/news4vip/kako/1272/12721/1272118957.html
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:36:05.81 ID:5ll6sKIa0 [2/70]
▼宿▼
ナイト「王子!」
プリースト「すぐに手当てします!王子、あちらへ!」
ナイト「プリースト…頼む!」
プリースト「致命傷じゃないので大丈夫ですよ」
パタン…
ナイト「なんということだ…すまない俺のせいで…」
メイジ「私もまさかここで襲われるとは考えなかった。
今後、王子から目を離すのはやめよう」
ナイト「ああ…」
バーサーカー「なあ、取込み中悪いけどところでこいつをどう思う?」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:40:44.84 ID:5ll6sKIa0
ナイト「えっ」
どさっ
バーサーカーは机の上に、先ほど切り落としたアサシンの腕を置いた。
メイジ「うおっびっくりした」
ナイト「アサシンの腕か」
バーサーカー「あぁ、なんか役にたつかと思って拾ってみた。」
魔法戦士「拾ってみたってお前…」
メイジ「うげぇ…私はこういうのが駄目なのだ…」
バーサーカー「服の繊維とかから何かわかんねーかな?刺青があったり…」
ナイト「ふむ…」
ナイトはアサシンの腕から小手をはずしを調べ始めた。
ナイト「こ、これは…!」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:44:12.41 ID:5ll6sKIa0
ナイト「アサシンは隣国の者かもしれない…」
メイジ「なんだって!!?」
ナイト「これを見ろ」
ナイトはメイジたちに衣服に縫い付けられたタグを見せる。
タグにはこう記載されていた。
“MADE IN RINGOKU”
メイジ「隣国が王子を…」
バーサーカー「王子が魔王復活の鍵とか言ってたぜ」
ナイト「隣国は王子のことを知っていたのか…」
メイジ「これで隣国は頼れないな…」
ナイト「王子を殺せば解決すると踏んだか…どうする」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:48:31.87 ID:5ll6sKIa0
王子「…お前ら…好きにしていいよ」
ナイト「王子!」
王子「よ…」
ナイト「お体は…いや、今の話は誤解されては困ります!」
王子「わかってる。俺だって今殺されるのだけは御免だよ…
そうじゃなくて、みな自由にしていい。故郷に帰るなり隣国に行くなり…」
ナイト「!!?なんということを、滅相もございません!」
メイジ「どういう意味なのです?」
王子「俺は今から聖剣を探す。
父上は剣のもとへ行けって言った、きっと何かあるんだ。
魔法戦士、あんたは来てくれるだろ?」
魔法戦士「ん、あぁ」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:51:25.49 ID:5ll6sKIa0
プリースト「はあ…王子が剣を探すので私たちがお役御免とはこりゃまた飛びますね」
王子「俺は魔族からも、もしかしたら隣国からも追われてる…
国がこんなことになったんだ王子もクソもないじゃん」
王子「…民を捨てて一人逃がされて王子なんて滑稽だ、
お前たちはもう俺に従うことない」
ナイト「馬鹿なことを!」
ナイトは立ち上がり王子の前で剣を抜いた。
ナイト「私は貴方についてゆくと剣に誓い今まで教育して参りました。
騎士は約束を違えることはありません」
王子「だってお前ら、本当なら関係なかったのに」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:53:40.63 ID:5ll6sKIa0
メイジ「そういわれましても… この国は一応自分の国なので」
プリースト「王の存在こそ国の復興の鍵なんですよね、この世界」
ナイト「そう、貴方にできること。
城を取り戻し、街を再興する役目があるではないですか。
どうかそのようにお導きください我が主」
王子「で、でも俺は…!お前たちにできることが何もないんだ…!」
プリースト「戴冠できたら私を繰り上がり昇格してくださればいいですのでお気遣い無く」
メイジ「…私は個人の研究室が欲しいです」
ナイト「お前らな」
王子「お前たち…」
バーサーカー「いい話だなー」
魔法戦士「俺は学芸会を思い出したけどな」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:56:19.03 ID:5ll6sKIa0
▼翌日▼
ナイト「いい朝だ、さあ行くか」
王子「ん…」
ナイト「王子、どうしたんですか?」
王子「なんか言いくるめられた感が否めない」
ナイト「ははは、まあまあいいじゃありませんか」
王子「…ふん」
魔法戦士「行くのはいいけど、それでどこへ行くんだ?」
ナイト「昨夜プリーストとメイジで話したんだが
とにかくアサシンに場所がわれていた以上ここから離れようと…」
王子「俺に妙案がある!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:58:33.03 ID:5ll6sKIa0
ナイト「へ?」
王子「北のほこらへ行こう」
ナイト「北のほこら…ですか…」
王子「うん」
メイジ「ここからかなり北上します。国境が近いですね…
何故そこに?」
王子「俺が13歳になったら行くことになってた場所なんだ。
もしかしたらそこに聖剣のヒントがあるかもしれない」
ナイト「…なるほど。かなり辺境ですから追っ手も来にくいでしょうし。
ではそこへ向かいましょう」
ナイトはそれを言うと、振り返りうしろのバーサーカーに握手を求めた。
ナイト「じゃあバーサーカー、世話になったな」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:02:32.38 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「いやいやははは、俺も行っていいか?」
ナイト「えっ!」
王子「なな、なんでっ」
バーサーカー「駄目か?」
王子「駄目じゃないけどっ」
バーサーカー「兵士はいるにこしたことねえだろ?」
王子「そりゃありがたいよ…でもいいの?」
バーサーカー「ま、気まぐれってやつよ。
報酬はそうだな、お前のそのベルトのバックルでいいぜ」
王子「こんなものでいいのか?」
王子はそういうと不器用な手つきで豪奢なベルトを抜いて
それをバーサーカーに手渡す。
バーサーカー「よろしく頼むぜ、未来の王さん!」
王子「あ、ああ!」
プリースト「さて じゃれてないで行きましょうか」
王子「うん!」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:07:19.34 ID:5ll6sKIa0
▼どこかの洞窟▼
アサシン「あぐ…!ううぅ…」
暗いろうそくの下、呻くアサシンに黒い影が近づき語りかける。
?「腕を失ったか……」
アサシン「…!貴様は…」
?「王の魂は予想外に意思が強かったようだ……
罠を張ったが返って仇となった、すまなかったな……」
アサシン「あんなもの…当てになど…ぐぅぅっ…!」
?「契約は破棄するか……」
アサシン「…端から契約など関係ない…契約を切るならば…うっ…
俺は俺で戦うのみだ…っ!」
?「くっくくく…そうか、ならば契約は継続だ…
お前に新しい腕をやろう……」
アサシン「…!?」
?「自らの命が尽きようと戦い続けるがいい…」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:10:55.72 ID:5ll6sKIa0
▼道中▼
ナイト「今どのあたりだ?」
バーサーカー「もうすぐ大きな街道にかかって,商業都市につくかな」
ナイト「商業都市か、避けたいところだな…」
バーサーカー「すっげえ遠回りになるぜ?」
メイジ「大きな都市だ。大丈夫だろう。
隣国と魔族の動きの情報が手に入るかもしれないし行こう」
ナイト「確かに…」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:18:41.43 ID:5ll6sKIa0
王子「あ、大きな道にでた!」
バーサーカー「…お?」
ナイト「これは…」
王子「?どうしたんだ」
ナイト「人がいない」
メイジ「何?」
王子「人がいないと何かあるのか?」
プリースト「昼間にこれだけの街道で人がいないのは不自然なんですよ」
メイジ「これはどうしたものか」
ナイト「もう少し行ってみよう…」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:22:49.94 ID:5ll6sKIa0
▼商業都市▼
街の入り口にさしかかると
わずかではあるが数人の姿が遠目に見える。
バーサーカー「なんだこの人の少なさは…」
魔法戦士「人がいないわけじゃないが、えらく少ないな…」
メイジ「隣国からなにかアクションがあった…わりには兵士もいない…」
王子「人に尋ねてみたらどうかな」
ナイト「そうですね、行ってまいりますので王子はここに」
そう言うと、ナイトは前方に歩く老人に話しかけようと歩いていった。
ナイト「そこの御老人!少し聞きたいことがあるのだが」
ナイトが大きな声で話しかけるとゆらりと老人がこちらを向く。
そしてその声に反応するかのように、ワンテンポ遅れて周囲の人間もこちらを向きだす。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:25:30.87 ID:5ll6sKIa0
ナイト「すみませーん。ちょっとこの街のことで…」
老人「うお…」
振り向いた老人の顔を見てナイトは凍りつく。
老人『おおぉぉ…』
ナイト「た、退却ッ…!街から出ろー!」
メイジ「退却!?」
一同はナイトに言われ老人、および街の住人をよく見てみる…
その姿は皮膚が崩れ、およそ生きてる人間とは思えない。
王子「うわああっなんだあれ!!」
プリースト「リビングデッドだ!!?不味い!!」
魔法戦士「はあっ!?リビングデッド!?なんでこんなところに!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:31:34.80 ID:5ll6sKIa0
ナイト「後退しろー!!」
バーサーカー「逃げるぞ…!とっ…」
街から引き返そうとすると、さきほど来た道の地面から
10数体のリビングデッドが次々と湧出る!
メイジ「うげぇ!」
バーサーカー「どりゃあああああ」
バーサーカーはアックスを取り出し
まだ全身が出きらないリビングデッドから倒し始めた。
しかし、切り刻まれたリビングデッドの遺体はのた打ち回りながらも
こちらへ迫ってくる。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:36:23.25 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「こいつぁ やっかいだぜ」
プリースト「ここは僕らの出番ですねメイジさん、神聖魔法!」
メイジ「あぁ!火炎魔法!」
バーサーカーが切った肉片をプリーストとメイジの魔法が塵へと化していく。
魔法戦士「俺を忘れてもらっちゃ困るな、火炎魔法剣!」
魔法戦士は自らの剣を炎で包み歩み寄るリビングデッドを焼切る。
しかし、戦うしりからリビングデッドは地面から次々と現れ、
後ろから迫りくるリビングデッドの集団に囲まれてしまう。
ナイト「…囲まれた!」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:39:50.90 ID:5ll6sKIa0
プリースト「神聖魔法!!ナイトさん、この数は僕一人の手には負えないです。
操っているネクロマンサーを殺すのが一番なんですがお願いできますか?」
ナイト「わかった!メイジ、お前は俺とネクロマンサーを探すぞ!
なんとか道を開いてくれ!」
メイジ「なんとかって…ええと、浮遊魔法!」
メイジは浮遊魔法を唱えると地面からわずかに浮く。
メイジ「上空から探そう。ナイト、俺につかまれ」
ナイト「いい案だ!」
ナイトはメイジに乗りかかる。
メイジはナイトを背負ってふらふらと上空30メートルほどに浮かび上がった。
メイジ「よっ鎧が重い…!」
ナイト「今さら脱げん、諦めてくれ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:45:28.51 ID:5ll6sKIa0
メイジ「どこにいるか見当はつくのか」
ナイト「これだけのリビングデッドを扱っているんだ、必ず近くにいるはずだ」
ナイトはメイジの背中で周囲を見渡し
リビングデッドとは動きの違う、俊敏に動く人間を発見する。
ナイト「メイジ、あの赤い看板の店の前にいる黒いローブのやつだ!」
メイジ「あいつか!」
2人に発見されたことに気がついたのか、黒いローブの人間は
近くの建物に入って身を隠す。
メイジ「爆破魔法!」
メイジが放つ爆破魔法でその建物が吹っ飛ばされた!
ナイト「ナイスだ!」
メイジ「降りるぞ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:49:22.61 ID:5ll6sKIa0
地面に着地したナイトは半壊した瓦礫に埋もれる黒いローブのもとへ走る。
ナイト「寝ている者を切ることはできん!生きているなら立て!」
動かない敵に向かって語りかけるがローブは動かない。
ナイト「死んだか…」
そういって歩み寄ったところ
敵が物凄い速さで立ち上がり、ナイトの眼前に刃を走らせる!
ナイト「ぬあっ」
メイジ「ナイト!!」
とっさに体を引いたナイトに合わせて、敵は第二撃をはなつ!
激しい動きによって敵のローブのフードがはだけて、その顔がのぞいた。
ナイト「…ッ!お前はあの時のアサシン!?」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:52:02.31 ID:5ll6sKIa0
アサシン「チイッ」
メイジ「火炎魔法!」
アサシン「…!」
メイジが放つ炎から身をかわしながら
アサシンは攻撃の手を増やす。
ナイト(こいつ…切り落とされた腕が治ってる…くっ!)
ナイトはアサシンと攻防しながらも問いかける。
ナイト「もうやめるんだ!あんな子供を殺してなんになる!?」
アサシン「魔王復活を阻止できる!」
ナイト「だが王子は魔王を倒せる武器の唯一の継承者でもある!」
アサシン「…何!?」
アサシンがそれを聞いて動きが揺らいだ瞬間にメイジが間髪を入れず魔法を唱えた!
メイジ「重力魔法!」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:55:15.56 ID:5ll6sKIa0
アサシン「くそっ」
とっさに重力場からバク転して避けるが
刀を地面に落としてしまう。
アサシンは距離をとって、素早くダガーを腰のベルトから取り出し装備する。
アサシン「…それがどうした?あの子供さえいなければ魔王の復活はありえないではないか」
ナイト「王子が死んだからといって、魔王が必ず復活しないとは限らないだろう!」
アサシン「そんなものは詭弁だ」
互いに言い合っているうちにリビングデッドが周囲に集まってくる。
メイジ「これはまずい」
ナイト「俺たちは魔族の手の届かないところに王子を保護する。
魔族が首都を攻めている今しかない。頼む、手を引いてくれ」
アサシン「断る!!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:57:26.76 ID:5ll6sKIa0
▼
魔法戦士「あいつら遅いぞ!死んだんじゃないのか!?」
王子「…ッ」
プリースト「… 神聖魔法!!」
バーサーカー「ちょっとずつ街中に押されてる!どーするよ!」
プリースト「とりあえずそこの建物に篭りましょう!」
バーサーカー「俺がおとりになるから行け!!」
プリースト「すみません!王子!こちらへ!!」
王子「…!う、うん」
バーサーカー「があああああああああああああッ」
バーサーカーがリビングデッドの集団に突撃している間に
プリーストは王子の手を引いて、魔法戦士と建物に逃げ込む。
バタン!!
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:59:36.19 ID:5ll6sKIa0
なんとか戸を閉めるがリビングデッドが1体、入り込んでしまう。
『あ”ぁ”ぁ”あ”ぁ”…』
魔法戦士「燃え尽きろ!!火炎魔法剣!!」
ドスッ
プリースト「神聖魔法!!」
シュオオオオッ
魔法戦士が突き刺したところをプリーストが浄化し、リビングデッドの息の根を止める。
プリースト「念のため二階へ行きましょう。」
王子「バーサーカー… はっ!」
王子は走って2階に上がり、窓を開け放ち外の様子を見る。
手前の建物を一瞥すると下を見て叫ぶ!
王子「バーサーカー!!生きてるか!?」
バーサーカー「もーやっべしんどい!!」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:01:58.29 ID:5ll6sKIa0
王子「この隣の建物に入って屋上からこっちの屋根に飛べ!!」
バーサーカー「…ッ!!やってみんよ!!」
バーサーカーは派手にアックスを一薙ぎすると、一気に走りぬけようとする!
だが、リビングデッドに捕まってしまう!
バーサーカー「くっそ…いって!」
プリースト「神聖魔法!!」
王子の後ろからプリーストが神聖魔法を放ち
バーサーカーにかぶりつくリビングデッド3体を浄化した。
バーサーカーは無言で走り隣の建物へ入り、屋上へ出る。
王子「バーサーカー、来い!!」
バーサーカー「おうっ!!」
着地と同時に、その巨体で屋根の一部を破壊してバーサーカーが王子の側へ飛び移る。
ヒュッ ドゴォオオ!
バーサーカー「…ッいっでえー!」
王子「プリースト!回復をしてやってくれ!」
プリースト「かしこまりました!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:04:46.89 ID:5ll6sKIa0
魔法戦士「あいつが無事でよかったが、ゾンビがわらわら寄ってくるぜ。
こんなボロ屋で篭城、さていつまで持つか…」
王子「悠長だな、なんか考えでもなるなら言ってくれ」
魔法戦士「ない」
王子「…」
バキバキ…
ガタン!
王子・魔法戦士「!!?」
建物一階のドアがリビングデッドにより破壊される。
魔法戦士「フッ 篭城ってほどもゆっくりさせてはくれないか。
おい!プリースト!バーサーカー!敵さんお出ましだぜ!!」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:09:06.76 ID:5ll6sKIa0
▼
ガキィィイイン
ザシュッ
ナイト「…ッ」
アサシン「…ッ」
ナイトが切りつけるのをアサシンは左腕で受け止め
そのまま右腕のダガーでナイトのわき腹の鎧の隙間を刺す!
ナイト「ぐっは…」
すぐさまナイトは左腕の剣を抜きアサシンに剣を向ける。
アサシン「浅かったか…!」
ナイト「その腕は…死人の腕か…!」
アサシン「貴様らの仲間に持っていかれたものでな!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:13:30.04 ID:5ll6sKIa0
アサシンが再びダガーを構えた瞬間…
ナイト「神聖魔法!!」
アサシン「ぐああああああああッ!」
アサシンの左腕が神聖魔法で焼かれる!
アサシン「な…!?貴様ッ神聖魔法を…!」
ナイト「…悪いな、俺は下級な神聖魔法も使用できる」
アサシン「ぐうぅっ」
ナイト「貴様もただ金のためにやっているわけではないのだろう。
ともに求めるものが同じである故…うらむなよ!」
アサシン「…」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:16:26.81 ID:5ll6sKIa0
▼
魔法戦士「階段を破壊するぞ!」
バーサーカー「まかせろ!おりゃあああああ!」
プリースト「ネクロマンサー…近くにいるはずだ…!」
王子「俺が飛んで様子を見てみる!」
プリースト「それはいけません。飛んでいる最中に万が一 狙い打ちされたら…!」
王子「それならなお好都合じゃないか。このまま嬲殺しにされるよりかは良い策だろう?
お前も内心考えてたんだろう?代わりに言ってやったぜ」
プリースト「…」
王子「どっから攻撃してくるか、ちゃんと見ておいてくれよな」
プリースト「王子、少々お待ちを――」
王子「!」
プリーストが王子に神聖魔法を施す。
王子「サンキュ」
プリースト「お気をつけてください」
王子は黙ってうなずき、浮遊魔法を唱えた。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:21:40.63 ID:5ll6sKIa0
王子「浮遊魔法!」
王子は建物の真上にフラフラと浮かび上がる。
魔法戦士「下手糞だな、大丈夫かあいつ。」
プリースト「うまけりゃとっくに一人で逃げてもらってます」
王子「どこだ、どこにいる…」
見渡していると、30メートルほど先の建物の窓から
黒い矢が王子を撃つ!
ヒュン ヒュン ヒュン!
王子「っ!」
黒い矢は王子の体に命中する。
集中力が切れた王子は一気に地面に落ちた。
ドサッ
バーサーカー「おーし、セーフ」
落ちる王子をバーサーカーが抱きとめる。
王子「ははっ…都合よく本当に撃ってくれた…いてて」
プリースト「お怪我は?」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:24:12.02 ID:5ll6sKIa0
王子「お前が直前にかけてくれた耐魔防御魔法のおかげで助かったよ。
で、場所は?」
プリースト「この並びの建物の2階です」
王子「ここから行けるか?」
プリースト「屋根伝いに」
魔法戦士「都会で感謝だな」
王子「じゃあ、あと頼む」
プリースト「お任せください。
というわけで魔法戦士さん、バーサーカーさん。頼みました」
魔法戦士「お前いかないのかよ!」
プリースト「僕は最悪の場合を想定してここで王子をお守りしますもん」
バーサーカー「ま、順当なとこだな」
魔法戦士「しょうがない、じゃあ行くぞ!」
バーサーカー「おおっ!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:27:42.04 ID:5ll6sKIa0
魔法戦士とバーサーカーは屋根を飛び移り隣の建物に移り、
次の建物へは窓へ直接その身を投げる。
バーサーカー「どりゃああああったああああ!!!!」
ガシャアアーーーン
ネクロマンサー「!!!!?」
魔法戦士「ッとっ!」
ネクロマンサー「先ほどの暗黒魔術で場所がわれたか…しまった…
残念ながらここは一時撤退…」
ネクロマンサーは背後に逃げる構えを取ろうとする。
魔法戦士「おっと逃がさないぜ!」
魔法戦士は走ってネクロマンサーに攻撃をしかける!
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:33:24.43 ID:5ll6sKIa0
ネクロマンサー「くくくっ!」
魔法戦士の剣がネクロマンサーを捕らえようと剣を振り下ろした時、
一体の死体が天井から落ちてその剣を止める!
ドサッ
『うおおおおぉぉぉ…』
魔法戦士「おうっ!?」
ネクロマンサーが呪文を唱えると一体の馬のリビングデッドが現れ
ネクロマンサーはそれにまたがる。
『ブルルルル…』
ナクロマンサー「…闇に生きる者は死してなお目的を完遂する…」
そう呟いて素早く建物内から走り去った…
バーサーカー「あっ逃げやがった…!」
バーサーカーはとっさに地面に落ちていたガラス片を取って
自らの破った窓から身を乗り出し、
逃亡する馬上のネクロマンサーに向かってそれを投げる!
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:35:51.75 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「ちくしょ!!」
ネクロマンサーはかなり遠方にいたが、ガラス片はリビングデッド馬に当たった。
馬から降りて自分の足で逃げるネクロマンサーが遠目に見えた。
バーサーカー「おっしい!」
魔法戦士「おまえけっこうすごいな…」
バーサーカー「だろう?」
魔法戦士「! おい、見ろよ、リビングデッドが!」
道路を見ると、いつの間にかあれだけいたリビングデッドは全て地に伏せ、
ただの屍と化していた…
▼
プリースト「… どうやら倒せたようですね…」
王子「うん。ナイトとメイジを探そう」
プリースト「そうですね」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:39:02.00 ID:5ll6sKIa0
▼
ナイト・メイジ「!!?」
アサシン「…!!!」
メイジ「リビングデッドが…」
ナイト「死んだ」
メイジ「いやもとから死んでる」
ナイト「どっちでもいいだろ」
アサシン(…こちらにはもう勝ち目はないな)
アサシンは煙玉を自らの足元で炸裂させる。
ナイト「あっ」
アサシン「…次は必ず仕留める!」
声が途切れ、煙が去った後にはアサシンの姿は失せていた…
ナイト「逃げられた…!」
メイジ「まあいい、王子の安否が最優先だ」
ナイト「そうだな…」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:41:29.06 ID:5ll6sKIa0
王子「ナイトー!メイジー!」
ナイト「王子!!他の者も!」
プリースト「やあ、生きてましたか」
バーサーカー「その怪我は刃傷だな。やりあってたのか」
ナイト「アサシンだ。すまない仕留め損ねた」
魔法戦士「そりゃ俺らもだ」
ナイト「ネクロマンサー…」
魔法戦士「ああ」
プリースト「両方倒せなかったとは先が思いやられますね…」
王子「でも最悪の展開じゃない。みんな生きてるし」
バーサーカー「そりゃそうだ!言うじゃないかははは!」
ナイト「王子…」
王子「しけた顔してないで早くこの街を出よう」
メイジ「異論はありません」
プリースト「では、互いの情報は歩きながら。特にアサシンとネクロマンサーが同時に出たことについて…」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:44:51.37 ID:5ll6sKIa0
▼夜、山▼
一同は街を抜けてから、大通りを避けて山側の獣道を歩く。
プリースト「単刀直入に言って、王子暗殺の件に関しては
隣国の介入はないのではないかと思います」
メイジ「ふむ」
ナイト「理由は」
プリースト「ネクロマンサーの邪教組織は隣国においてもその地位は低く
地下での法外な活動が主であり、国家としては迫害対象となっているためです」
メイジ「このたびの首都陥落を聞いてネクロマンサーと手を組んだ可能性は?」
プリースト「隣国の権力者に教会の関係者がいますから、ないと思いますけど」
ナイト「お前は前に俺に『王子暗殺は魔族が人間に依頼した』なんて言ってたからなあ」
プリースト「あ、あ、それ言っちゃいます?」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:48:39.45 ID:5ll6sKIa0
メイジ「…商業都市がこんな状況になってるなんて
隣国の勢力が及ばないとありえない気がするが」
プリースト「そこですよ。これだけの大きな商業都市ですから、
首都陥落の情報がいち早くこちらへ来て民衆大混乱。
さらにネクロマンサー率いる暗黒組織がリビングデッドで
脅しかけ街を攻め取ると」
メイジ「ぬぅ…あれから2週間と少し…あまりこういうことは詳しくないが、
それだけのことが起こる期間はあるといえばありえるの…か?」
ナイト「隣国についてははっきりするまで避けたほうが無難か」
プリースト「そうですね。」
メイジ「結局行く場所は変更なし…」
魔法戦士「…実のない会話だ」
プリースト「いえいえ、とっても大事ですよ。
もし隣国の軍隊と出会ったら命乞いをするかどうか今のうちに結論出さないと!」
魔法戦士「一応確認するけど真面目な話だったよな?」
プリースト「私はいつも大体6割ぐらいは大真面目です」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:51:42.89 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「ま、だいたい把握したしこの辺りで休むか」
ナイト「そうだな」
バーサーカー「さっきの街で食料調達できたし今日は豪勢に行こうぜ」
王子「いいのかなー」
ナイト「背に腹はかえられません…」
プリースト「そういえばナイトさんいつも『騎士は食わねどたかようじ』と言ってましたね」
ナイト「なっ」
メイジ「そういえばそうだな、ナイトは霞でも食うといい」
ナイト「いや、それはっ」
王子「騎士は真実しか語らないんだったな!」
ナイト「王子ご勘弁ください…」
バーサーカー「おめえら早く飯の用意しようぜ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:53:57.04 ID:5ll6sKIa0
▼夜▼
王子「ナイト、ちょっといいか?」
ナイト「どうされました?」
王子「剣の稽古つけてほしいんだ。ここ しばらくできてないから」
ナイト「しかし明日の体力が…」
王子「頼むよ。もし俺がひとりになっても戦えるようにならないといけない」
ナイト「…いいでしょう」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:56:08.36 ID:5ll6sKIa0
王子「また、負けた…」
ナイト「筋はよろしいですよ。問題は王子自身の成長が追いついてないところです」
王子「成長…」
ナイト「王子が大人になったら私も勝てるかわかりません」
王子「…それはどうかな」
ナイト「えらく弱気ですね」
王子「だって、弱いもん」
ナイト「強くなる見込みはあります。そろそろ休みましょう」
王子「…ん」
ナイト「と、いいたいところですが…寝る前に王子
少しお話いただきたいことが…」
王子「へ…?」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:59:36.16 ID:5ll6sKIa0
ナイト「ここしばらく度々耳にしていた、王子が13歳になったらという話。
13歳になったら何があるというのですか?」
王子「!それは…」
ナイト「戴冠の年でもなく、今までその年齢に特別な行事など聞いたことも無い。
それは此度の魔族の進軍と関係はあるのでしょうか」
王子「…一応、あるよ」
ナイト「教えていただいてもいいでしょうか…」
王子「もう、関係のないことなんだけどさ…」
ナイト「…」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:02:29.89 ID:5ll6sKIa0
王子「まず順を追って話す」
ナイト「お願いします」
王子「…聖剣、あれは魔王ダークロードを倒せる唯一の剣だ。
祖先はその剣で魔王を倒した」
王子「けど魔王は死ぬ間際に卵に返り生き延びたんだ。
そしていつか生まれる祖先の血筋の子供が自らの復活の生贄とすると呪いをかけた…」
王子「で、その呪われている子供として生まれてきたのが俺らしい。
俺だけが魔王の復活の鍵になる。
だから俺が死ねば魔王は復活しない」
王子「だけど魔王を倒せる聖剣をつかえるのは、俺の家系だけなんだって。
次の脅威に備えて、血を途絶えさせるわけにはいかない」
王子「俺を殺さないためによくできた話だろう?」
ナイト「はあ」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:20:28.41 ID:5ll6sKIa0
王子「というわけで、忌み子である俺ができた父上は
13歳になったら俺を病気ってことにして
魔族の目に触れぬように北のほこらへ監禁するつもりだった…」
ナイト「なるほど…」
王子「こうなってしまったらもう関係のない話だよ。
結局、俺を隠す前に魔族に見つかっちゃったし」
ナイト「…?」
王子「なんだよ」
ナイト「その…王子が、その…忌み子だと王はお分かりになったのでしょう?」
王子「さ、さあ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:23:01.83 ID:5ll6sKIa0
ナイト「闇祭司は「王子の存在を隠していた」と言っていた
何故、今になって魔族に知られてしまったのか…」
王子「…」
ナイト「それに、それだけ重要なことなら、初めから王子を北のほこらに
軟禁していれば魔族にはバレなかったのでは」
王子「これでバレないはずだったんだよ!
このこと知ってたのは俺と父上とビショップだけだったんだ!」
ナイト「13歳というのも繋がりが見えないのです。
13歳までなら王宮にいても問題ないという判断は何故か。
まだ何か隠しておられることがあるのでは…?」
王子「そ、それは…」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:25:11.26 ID:5ll6sKIa0
プリースト「本当にナイトさんはひどい人ですね。
王子を赤子の時から監禁ですかー。へー」
王子「うわあ!プリースト!」
ナイト「なっ…!? いや今のは考えのひとつとしであって!」
プリースト「2人とも早く寝ないと明日がつらいですよ、ねえ王子」
王子「そ、そうだな」
ナイト「…うむ…、王子行きましょう」
王子「う、うん」
プリースト「…」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:28:10.05 ID:5ll6sKIa0
▼2週間後、北のまち▼
ナイト「地図によると、この街のすぐ上にある山に北のほこらがあるみたいだ」
魔法戦士「あっという間だったな」
メイジ「何をいってるんだ。商業都市から2週間も歩いたのだぞ」
バーサーカー「低級魔族が襲って来たときはピンチだったなぁ。空を飛ぶやつで」
プリースト「あれはメイジさんとバーサーカーさんがいなかったらナスがママきゅうりがパパでした」
魔法戦士「そうだったそうだった…聖剣にうかれていたせいか一瞬で来たような気分だったぜ」
王子「疲れてるんじゃないか?」
魔法戦士「そうかもな」
王子「しっかりしろよー」
その時、街の入口で一同が会話していると、少年の叫び声が聞こえた。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:30:33.26 ID:5ll6sKIa0
少年「はなせ!ちくしょう!!」
兵士A「あいつが何人殺したと思ってるんだ!あれはもう駄目だ!」
兵士B「大人に任せて家にいろクソガキ!」
少年「やめてよ!あいつは必ず正気にもど…うわあ!」
2人の若い兵士にかつがれて、少年が納屋へ放り込まれる。
ナイト「あれは…隣国の兵士だ…!」
メイジ「…まずいな、こっちに来るぞ」
プリースト「落ち着いて、ナチュラルに対応を」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:33:46.36 ID:5ll6sKIa0
兵士A「おいっ貴様らこの村の者ではないな、どこから来た」
ナイト「我々は…」
兵士B「あ、この鎧…この人はこの国の騎士だよ。
メイジもプリーストも紋章がついてるし」
兵士A「えっ逃亡兵…!?」
ナイト「いや、王の命を受けてここまで旅をしてきたものだ」
兵士B「…あんたら何が起こってるかしらないのか?」
ナイト「…何故ここに隣国の兵士がおられるのか?詳しくお話お聞かせ願えるか?」
兵士A「何故って、この国への援軍ですよ援軍、な」
ナイト「援軍?」
兵士B「ああ、首都が魔族にやられたと聞いて3週間ぐらいまえに」
ナイト「なんだって首都が!!」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:36:22.49 ID:5ll6sKIa0
兵士A「俺らはその途中、この街で暴れドラゴンが出たってことで
ずっと駐留してんです」
ナイト「ドラゴン?」
兵士A「さっきのガキの飼ってたドラゴンらしいんすけど
魔族の気にあてられて凶暴化したらしいすよ。
俺らも小隊いっこ急襲くらっちゃって」
兵士B「北のほこらを住処にしてるようなんで、
街を拠点にしてるんだ」
ナイト「なんだと…っ!」
兵士A「あんたたち当然これから首都に戻るんすよね?
ドラゴン倒したら俺らの隊と行けば…」
ナイト「それは有難い申し出だが、ここへの任務を先に終わらせたい」
兵士A[そっすか、んじゃま気が変わったら街のすぐ西に拠点はってますんで」
ナイト「ああ、ありがとう…」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:39:07.06 ID:5ll6sKIa0
プリースト「ナイス演技でしたね」
ナイト「騎士の戒めに従って嘘はついていない」
王子「隣国が援軍だってさ」
プリースト「領土を手に入れる好機ですからね。開拓次第では有益な土地ですから。
魔族が占拠と言っても弱体化してる今なら叩ける」
メイジ「しかしどうする。北のほこら」
ナイト「ドラゴンか…正直俺たちの手には負えないな」
魔法戦士「隣国軍らがドラゴン討伐してくれるのを待てばいいじゃないか」
プリースト「そうですね、じゃ しばらくはここの街の宿に滞在しましょうか」
ナイト「そうしよう」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:41:33.05 ID:5ll6sKIa0
兵士B「どう思う?」
兵士A「なにが」
兵士B「さっきのやつらだよ、やっぱ逃亡兵だったんじゃないか?
傭兵みたいなのもいたし、しかも子連れだぞ」
兵士A「違うって言ってたぞ」
兵士B「お前本当に馬鹿だな。嘘だよ逃亡兵なんて言ったら
後で戻った時に罰せられるかもしれねーじゃねーか」
兵士A「なんだよ馬鹿じゃねーよ。
じゃ一応は隊長に言っとくかよ」
兵士B「おお」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:44:02.30 ID:5ll6sKIa0
▼宿屋▼
宿屋主「あんたら他所もんだね、どっから来たんだ」
ナイト「首都からだ」
宿屋主「はーそりゃえらい所からまた… ほれ部屋の鍵だ3階で3室な
晩飯は3時間ぐらいしたら下の食堂へ来な」
ナイト「わかった、ありがとう」
王子「ナイトナイト。時間あるから一緒に道具屋へ行こう」
ナイト「そうですね、包帯と聖水が欲しい」
プリースト「僕らは先に部屋で休んでますね」
メイジ「いってらっしゃい」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:46:58.03 ID:5ll6sKIa0
▼薬局の外▼
王子「あんまり数がなかったな」
ナイト「ドラゴンのせいでしょう、死傷者がでてるようですので」
王子「うん。…あ、あいつ」
王子が言うとその先にはさきほど納屋に放り込まれていた少年がワラまみれででてくる。
王子「あいつなんかかわいそうだな」
ナイト「隣国の兵士も彼のドラゴンにやられたようですから仕方ありません」
王子「…うん」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:49:07.65 ID:5ll6sKIa0
▼食事▼
バーサーカー「肉だ肉だ」
魔法戦士「普通だな」
プリースト「ああ、はやくおいしいご飯が食べたいものですね」
メイジ「現状ではまともな寝食ができるだけだけ有難いと思うべきだ」
王子「な、なあ…あんまり言うなよ。店主に聞こえるだろ…」
ナイト「王子の細やかなお心遣い将来が頼もしいですな」
王子「ナイトぉ。こういうのはお前が言ってくれよ…」
ナイト「民を指導する明日のためのその1。それは王子の仕事です」
王子「はー?」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:51:43.29 ID:5ll6sKIa0
メイジ「それにしてもまともなベッドで寝られてよかった」
ナイト「そろそろ体力も限界だったからな」
プリースト「しばらく滞在できるのはよかったかもしれませんね」
魔法戦士「あとは手っ取り早くドラゴンさえ倒されてくれたらなあ」
王子「そうだな…いつまでも宿に留まることはできないし。
先立つものにも限りがあるし」
ナイト「…確かに」
プリースト「では路銀のためにみなさんで神に祈りましょうか」
魔法戦士「祈るのは神じゃなくて隣国軍だろうが」
バーサーカー「そりゃそうだ!」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:53:52.75 ID:5ll6sKIa0
プリースト「あっはっはっ不信心ですねえ」
ナイト「お前が言うなって…あ、この破戒僧、また酒飲んでるのか。最低だな」
プリースト「バレなきゃ魔法にも出世にも関係ありませんからね!」
メイジ「あとで懺悔だな」
プリースト「正直面倒くさいです」
王子「…」
ナイト「王子?」
王子「むぅ」
ナイト「どうされました!」
メイジ「王子!」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:56:53.91 ID:5ll6sKIa0
王子「すぅすぅ…」
ナイト「寝てる…」
魔法戦士「ふっ、人にあれこれ注意しておいてこのザマか。所詮子供ということか」
プリースト「お疲れなのでしょう」
バーサーカー「ふわぁ…そういやなんか眠いな…
まだ9時くらいのはずなんだが…」
メイジ「空腹が満たされたからだろう」
ナイト「そういえば…眠い…」
プリースト「今日はもう寝ましょう…」
ナイト「…ああ」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:59:07.27 ID:5ll6sKIa0
・・・・・・・・
ナイト(…ううう……)
ナイト(頭が…痛い…風邪でもひいたか…)
ナイト(………)
ナイト「はっ!!!」
ナイトはとっさに飛び起きる。
ナイト「っあ!ぐおぉぉぉ…痛!頭痛!」
ひどい頭痛に頭をおさえつつナイトは周囲を見渡す。
そこは昨日寝ていた宿屋のベッドではなく、体を丸めないと入れないような
竹でできた一人用の檻だった。
ナイト「な、なんじゃこりゃ!!」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:01:33.14 ID:5ll6sKIa0
混乱しながらナイトは横を見る。
そこには似たような檻が数個あった。
各檻には自分のパーティが眉間にしわを寄せて寝ている。
しかしその中に王子の姿はない。
ナイト「…!! おい!起きろ!起きろ!!」
ナイトは檻を揺らして隣のバーサーカーの檻にガンガンぶつける。
バーサーカー「ああああうるせー」
ナイト「おはよう!」
バーサーカー「おお、おは…なんだこりゃ」
ナイト「起きたらこういう状態だったんだ、お前もあいつら起こすの手伝ってくれ!」
バーサーカー「はあ?なんかようわからんけどわかった…」
バーサーカーはそう言うと自分の入った檻を勢いで回転させ
他の檻に襲撃をしかける。
バーサーカー「おらおらおらおらおらー!」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:04:13.31 ID:5ll6sKIa0
ナイト「みんな目を覚ませ!」
メイジ「な…なにするんだよ…」
プリースト「…なんですかここ。なんで僕こんなところにいるんですか…」
魔法戦士「あったまいてええ…」
バーサーカー「起きた起きた」
メイジ「…?一体全体なんなんだ?なんだこの檻…」
バーサーカー「俺にもわかんねー」
ナイト「朝起きたらこういう状況だった、そして王子がいない!
なんとかしてここから脱出しないとならない。策を練れ!」
メイジ「なんだと…!?っぁ”!ぁたまぃたぃ…」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:06:22.60 ID:5ll6sKIa0
プリースト「宿の店主に薬でも盛られましたかね…はあ…神聖魔法で回復!」
プリーストは全体に頭痛回復の神聖魔法をかけた。
魔法戦士「あーすっきりした!」
プリースト「さてさてどうしますか。これは抜け出せませんよ」
バーサーカー「竹の檻でこんなに狭いんじゃ俺はお手上げだ」
魔法戦士「武器がありゃなんとかなるけど全員寝巻きのままじゃあなあ」
ナイト「そうだな…メイジ、炎の魔法で檻を燃やしてみてくれ」
メイジ「私の魔力じゃ人間も一緒に燃えてしまうぞ」
プリースト「そんな拷問がありましたね」
ナイト「駄目か… なにか…なにか方法…」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:08:52.68 ID:5ll6sKIa0
▼1時間後▼
シャシャシャシャシャ…
ナイト「……」
シャシャシャシャシャ…
ナイトは地道に爪で竹を削っている。
しかしまだ数ミリしか進んでいない。
ナイト「…」
シャシャシャシャ…シャ…
ナイト「うおーーーーやってられるかーーーー!!」
魔法戦士「うおびっくりした」
ナイト「どうなってるんだ犯人は何が目的だどうして俺はここのところ失敗ばかりだ!!」
プリースト「…」
ナイト「メイジもういい!俺は駄目だクソ俺ごとこのクソ竹檻を燃やせ!!!王子が!!」
メイジ「落ち着け、落ち着けナイト!」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:11:45.40 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「あー便所いきてえな…」
魔法戦士「お前ここでするなよ!絶対するなよ!」
バーサーカー「俺だけじゃねーだろそのうちお前らも…」
プリースト「それにしてもなんだって王子だけなんでしょうね」
プリーストのつぶやきにうるさかったナイトは耳をかたむける。
メイジ「国境も近いし人さらいかもしれないが…」
プリースト「これ組織ぐるみですよ」
バーサーカー「じゃあ俺らも後で売られちゃうんじゃないんか」
魔法戦士「あんたが一番良い労働力だわなははは」
ナイト「王子の身に何かあったら俺は腹を切る…メイジ介錯たのむ」
メイジ「だ、だから落ち着けと」
プリースト「まあ、犯人が誰か目的がなにか…
今、言ったところでどうにもなりませんね…」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:13:56.41 ID:5ll6sKIa0
一同が檻の中で話していると、ボロボロの木の扉の隙間から
人影が動くのが見える。
ナイト「誰だ!」
人影はそっと扉をあけて中へ入る。
少年「あの」
メイジ「君は…」
ナイト「…もしかして我々が街へ入ったときに
隣国兵に暴行を受けていた少年か?」
少年「そうだよ…あの、ぼく…」
ナイト「君と同じくらいの子供を知らないか?何か知ってるなら教えてくれ!」
ナイトが問い詰めると少年は思いつめたように口を開く。
少年「その子、ギガガンガーに…ぼくのドラゴンのエサにつれていかれたんだ…」
ナイト「なんだと…ど、どういうことだ!」
少年「隣国兵の言ってるの聞いて、ぼく…」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:16:31.54 ID:5ll6sKIa0
ナイト「要領を得ないな」
メイジ「ひとつずつ聞こう。王子を連れ去った理由はドラゴンのエサなのか?」
少年「うん。ギガガンガー…人間を食べるようになったから…」
メイジ「王子をドラゴンに食べさせてどうするつもりなんだ?」
少年「あの子に毒を塗って食わせるって」
メイジ「王子を連れ去ったのは誰だ?」
少年「隣国兵とぼくの父さん…町長もグルだった」
メイジ「なぜ王子を選んだ?」
少年「あんたたちなら、もとからいない人間だから死んでも平気だからって。
あと、子供なら小さくて運べるからって」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:18:41.22 ID:5ll6sKIa0
メイジ「なるほど、だいたいわかった」
プリースト「これはまずい」
ナイト「少年!頼む!ここから出してくれ!」
少年「うん、ぼくもそのつもりで来たんだ。
おっちゃんたち、ぼくもドラゴンのところへ連れて行って欲しいんだ」
メイジ「君を?」
少年「あのドラゴンはぼくのドラゴンなんだ。
ぼくの声が届けば助けられるかもしれない」
ナイト「いいだろう」
少年「じゃああけるよ」
「きゃあああああああああああああ!!」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:20:50.22 ID:5ll6sKIa0
少年が鍵を開けようとした時、外から悲鳴が聞こえる!
ひとつの悲鳴が聞こえたかと思うと次々と至るところから叫び声が響きはじめる。
少年「え…!?」
ナイト「少年!はやくあけろ!!」
少年「う…うん!」
少年が全員の鍵をあけ、ナイトたちが建物の外へ出ると
数名の隣国兵たちが血まみれでドラゴンと応戦していた!
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:23:00.01 ID:5ll6sKIa0
ドラゴン『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオ』
少年「ギガガンガー!!」
少年が叫ぶがドラゴンは少年の声に反応しない。
メイジ「危ない離れるんだ!」
少年「ギガガンガー!やめろー!…くあっ」
ドラゴンが仕留めた兵士の鎧の破片が少年の頭に直撃する!
少年は呻いて地面にひざをついた。
少年「くっぐうう…」
メイジ「少年!」
町中に響く叫び声に反応して、西の拠点から隣国兵が集まってくる。
隣国兵「あっちだー!街で襲われてるぞー!」
隣国兵「加勢しろー!!」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:25:10.70 ID:5ll6sKIa0
ナイトは黙って地面に目を向ける。
下にはいくらかの肉塊がころがっていた。
そのうちのいくつかは兵士ではなく街の住人のもののようだ。
ナイト(…ッ)
そこに説明する隣国兵の話が耳に入る。
隣国兵「すみません!北のほこらに着いたら急にドラゴンが襲ってきて…
そのまま逃げて来てしまって…」
ナイト「!!」
プリースト「どうやらまだ食べられちゃいないようですね…
毒に効果があったのならばですけど」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:10:46.47 ID:ZJ+u8u4b0 [1/21]
ナイト「よし、北のほこらへ向かう!」
バーサーカー「おう!」
プリースト「メイジさんその少年かついでいくんですか」
メイジ「助けてもらって放っておけまい」
プリースト「そうですね。でもメイジさん体力は」
メイジ「言っておくが普通の成人男子くらいの体力はあるぞ。それに…」
メイジは浮遊魔法で足を地上から10cmほど浮かせてみせる。
メイジ「魔法があるのだ」
プリースト「でしたね。じゃあよろしくお願いしますよ」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:13:05.96 ID:ZJ+u8u4b0 [2/21]
「…………………」
魔法戦士「…?」
ナイト「どうした魔法戦士」
魔法戦士「何か呪文の詠唱のようなものが聞こえないか…?」
メイジ「呪文?」
プリースト「!これは…」
「………………………………………………」
「……さあ、生ける屍になれ…!」
語尾の大きくなった声の聞こえた方向を一斉に見る。
街の中心の教会の屋根に、ネクロマンサーが街を見下ろしていた。
ネクロマンサー「くくくっ…!」
プリースト「ネ、ネクローマンサーです!!」
ナイト「こんな時に!!?」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:16:39.56 ID:ZJ+u8u4b0 [3/21]
バーサーカー「おいおいおい街は絶賛死体生産中だぞっ!!」
ネクロマンサー「貴様らはここで足止めだ…
未来の糧となりてここで死に絶え滅びるがいい!」
魔法戦士「なかなかカッコイイ演出だぜ…ちくしょう!」
ネクロマンサーが手を振り上げると周囲の死体が起き上がり始める。
戦友の遺体が蘇るのを見て、ドラゴンと交戦中の兵士たちはあちこちで絶叫をあげた。
ナイト「早くここから抜けろ!!」
バーサーカー「んなこといっても…リビングデッドの数は多いわドラゴンはいるわ
おまけに俺たちゃ寝巻きのまんまだぞ!!」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:18:48.20 ID:ZJ+u8u4b0 [4/21]
ナイト「メイジ!先に行け!」
メイジ「…すまん!」
メイジは空を飛ぼうと高く飛ぶが、そこへドラゴンの意識が向く!
メイジ「げ!」
ドラゴンの旋回でメイジは羽にブチあたり地面に叩きつけられる!
バチン!
ずしゃ…ッ
メイジ「げはっ…!!」
ナイト「メイジ!!」
プリースト「大丈夫ですか?」
メイジ「ヒュー…腕と…たぶん肋骨らしき骨が…がは…」
プリースト「神聖魔法!!回復は今はこれで我慢してください!」
メイジ「…はあ…はあ… ああ…ありがとう」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:20:57.12 ID:ZJ+u8u4b0 [5/21]
ナイト「隙を見て行けるやつは逃げろ!!いいな!!
とにかく生きて王子の元へ行け!!」
ナイトは近くに落ちている隣国の兵士の剣を手に取り叫ぶ。
ナイト(ネクロマンサーがここで足止めしてるということは…
おそらくアサシンか他のネクロマンサーかが王子のもとへ向かっている…)
ナイト「王子…!どうかご無事でいてください…!!」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:24:16.47 ID:ZJ+u8u4b0 [6/21]
▼北のほこら▼
王子「……」
王子「侍女…いつもうるさいなぁ…」
王子「もうちょっと…寝させ………」
王子「…」
王子「…あれ」
王子は焦点の合わない目で天井を見上げる。
しかし、そこにあったのは宿屋の天井ではなく、木々の枝と空だった。
王子「ここ…森…?」
ゆっくり起き上がると周りを見渡し異常に気づく。
王子「!!?」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:26:27.09 ID:ZJ+u8u4b0 [7/21]
王子「なんだここ…うわっ」
立ち上がろうとして、ふらついて倒れてしまう。
王子「痛… あれ…服…が…」
王子が自分の服にも違和感を感じる。
見ると自分は着た覚えのないドスい紫のシミズを着ていた。
しかもそれは生臭い匂いを放ち塗れていた。
王子「あれ?これ女もの?…なんで…」
フラフラしながら目の前の建物に気付く。
森の中にひっそりと建てられた石造りのほこら。
王子「ここは…!まさか…北のほこら
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:29:42.86 ID:ZJ+u8u4b0 [8/21]
王子は仲間が誰もいないことを確認する。
王子(俺ひとり…何があったかわからないけど…)
王子が戸惑っていると背後に気配がする。
王子「はっ…」
後ろを向くとその先に見覚えのある姿が見えた。
わずか50メートルほど先の森の斜面に黒装束の姿。
王子「アッアサシン!!?」
アサシン「…勘の良い子供だっ!」
アサシンは王子が気付いた瞬間に失踪してきた。
王子「うわっわあ!!」
王子はとっさに北のほこらへ入る。
王子(ドラゴンなんか気にしてられるか!!)
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:32:01.24 ID:ZJ+u8u4b0 [9/21]
石でできたほこらの中を走り進むと、大きなホールを抜け
10ほどの扉のある通路に出た。
その奥の突き当たりにひとつ、錆びた1mほどの小さな扉が見えた。
王子は導かれるようにその扉へと向かう。
王子「はあっ!はあっ!」
扉には ”つるぎの間” とだけ書かれていた。
王子「つるぎの間!?
ここ、まさか…っ」
扉の取っ手に指が触れたとき、後ろからアサシンがつかみかかる。
ガシッ
王子「ひっ」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:35:11.38 ID:ZJ+u8u4b0 [10/21]
王子は逃れようと身をよじるが転んでしまい、アサシンが上に乗りかかられた。
アサシンは王子の襟元を掴んで動けないよう固定し、
ナイフで切りつけようと右腕を上げる、が…
アサシン「…ッ!!?」
王子「…ッ」
アサシンは振り上げた手を止め、動揺の色を見せる。
王子「…?」
アサシン「貴様…」
アサシンは王子の顔と体、服を見る。
アサシン「貴様… 女…?」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:00:09.47 ID:ZJ+u8u4b0 [11/21]
王子「…だ、だったらなんだよ…」
アサシン「…なッ」
王子「…」
アサシン「…ッ」
アサシンはナイフを上げたまま硬直してし、困惑した表情で王子を見つめる。
王子は視線を逸らそうとしてアサシンの胸元に輝くペンダントに気付く。
揺れるペンダントの中には小さな女の子の写真が見えた。
王子(女の子の写真…)
アサシン「ックソ!」
王子「!」
アサシンは意を決するために深呼吸をして、ナイフを強く握り締め
王子の心臓めがけて一気に一突きにする!
王子「くぅッ」
ナイフが王子の胸の皮膚に触れたその時、
アサシンの腕が後ろに体ごと引っ張られ
壁に叩きつけられる!
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:03:49.93 ID:ZJ+u8u4b0 [12/21]
アサシン「あぐっ」
王子「!?」
通路の奥には何者かの気配があった。
アサシン「何…者だ…」
背中を強打され身動きできないアサシンが問いかける。
影はその声に見向きもせず言う。
『探しましたぞ…王子…』
王子「…ッ!!?」
『お久しぶりでございます王子、いや…王女というべきか』
王子「闇祭司…ッ」
暗闇から悪魔の姿をした闇祭司の姿が浮かび上がる。
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:06:06.95 ID:ZJ+u8u4b0 [13/21]
闇祭司『ファファファ…お迎えに上がりましたぞ』
王子「なんでお前がここに…!」
闇祭司『お忘れですかな?数日前に低級魔族と戦ったのを…
あれであなた方の所在を知ることが出来たのですよ…』
王子「あんなので…」
闇祭司『安全にお連れで着るよう私自らお出向かえしたのです。
何しろ魔王様を御産みになる大切なお体ですから…』
アサシン「…!?」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:08:43.37 ID:ZJ+u8u4b0 [14/21]
王子「黙れ!!だれがんなもん産むか!」
闇祭司『口汚い王族だ…さあ参りますよ…』
王子「く…来るな!ひっ」
ガッ
王子「な、離せ!!」
闇祭司は王子の体を巨大な手で掴むと、出口へと向かう。
アサシン「ま、まて…!まて…!!」
ほこらを出たところで闇祭司は翼を広げ、
そのまま空に舞い上がって行った…
アサシン「…そんな…」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:11:22.88 ID:ZJ+u8u4b0 [15/21]
▼北のまち▼
街は依然、混乱の最中であった。
ドラゴンは町人、隣国兵、ナイト達、リビングデッド構わず攻撃し、
同じようにリビングデッドも見境なく襲っていた。
プリースト「神聖魔法!!隣国兵さんたちがいるおかげで我々だけが狙われずにすんで
よかったですね…!」
メイジ「火炎魔法!!…全くだ!」
バーサーカー「どりゃ!!どりゃああああ!!」
ナイト「はっ…はっ…くそ!しかしキリがない!!」
魔法戦士「火炎っ魔、法、剣っ!!」
魔法戦士が剣に炎を宿らせ、リビングデッドに切りかかる!
魔法戦士「たあっ!」
しかしその剣は切るとすぐになまくら刀へとなってしまう。
魔法戦士「…ッこれで3本目だぞ!!?」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:13:53.63 ID:ZJ+u8u4b0 [16/21]
魔法戦士(やっぱそこらの兵士の普通の剣じゃ魔法剣に耐えられない…
俺の剣か…魔法剣専用の剣…あー聖剣が欲しいぜ)
メイジ「大丈夫か魔法戦士…」
魔法戦士「駄目だ駄目だ!こんな剣じゃ戦えないぜ!!」
メイジ「剣…剣か…!!そうか!!」
魔法戦士「なんだよ!」
メイジ「そこの武器屋へ入れ!剣があるに違いない!!」
魔法戦士「なるほど!!」
魔法戦士はなまくらになった剣で、横にあった武器屋のドアをぶち破り中に入る。
魔法戦士「見繕ってるから入口守ってくれよ!」
バーサーカー「まかせとけえええええ」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:18:04.20 ID:ZJ+u8u4b0 [17/21]
魔法戦士「剣!剣!…ほおぉ、なかなか良い品揃えじゃないか…ふぅん」
ごそごそ
魔法戦士「こっちは駄目だなデザインがダサい…」
ごそごそ
ナイト「早くしろー!」
遠くでナイトの叫び声が聞こえた気がした。
魔法戦士「わかってるって!!これはまあまあ…これにするか…ん?」
武器屋の奥にもうひとつ小部屋があるのが見える。
魔法戦士「なんだこの部屋」
その部屋には、手前の商品とは違う、質の良い剣がキレイに並べて展示されていた。
中でもひとつ、ガラスケースに入った剣が見える。
魔法戦士「こ、これは…!」
その剣の姿は黒く、刃には竜の倶利伽羅が刻まれていた。
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:21:47.82 ID:ZJ+u8u4b0 [18/21]
バーサーカー「魔法戦士帰ってこねえええええええええ」
ナイト「あいつマジで信じられん…!」
ナイト達は苦戦していた。全員の寝巻きはすでにボロボロだった。
メイジ「火炎魔法!!」
少年「…ん」
メイジ「少年、気がついたか!」
少年「ぼく…あっギガガンガーは!?」
メイジ「…生きている。あっちで隣国兵が相手してる」
ドラゴンは致命傷には至らないが、小さな傷を作られ血まみれになっていた。
少年「…!!」
隣国兵の数名が、建物の上からドラゴンにロープをかけて
身動きを封じる作戦に出る姿が見える。
メイジ「隣国兵は50人ぐらいかな…なんとか倒すことができるだろう…」
少年「ギガガンガー…」
メイジ「火炎魔法!!悲しむ暇はない。今はリビングデッドから生き残ることだけ考えるんだ」
少年「…」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:26:23.88 ID:ZJ+u8u4b0 [19/21]
バーサーカー「ガキ!そのおっさんから離れるなよ!」
少年「…わ、わかった」
隣国兵「うわああああああああああ」
隣国兵「ヤバイ!逃げろ!」
ナイト「!!なんだ!?」
バーサーカー「 !! ドラゴンがこっちに来るぞ!! 逃げろおおおおおおおお!!!!」
ロープを絡められたドラゴンがそれから逃れようと暴れ
ナイト達に向かって突進してくる!
ドラゴン「グオオオオオオオオオオオオオオオ」
少年「ギガガンガーッ!!!!ギガガンガーやめろおおおおお」
少年は突進するドラゴンに向かって叫ぶ!
メイジ「少年!!駄目だー!!」
その時ひとつの影がドラゴンの目前に躍り出た!
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:30:00.77 ID:ZJ+u8u4b0 [20/21]
ヒュッ
ドラゴン「!!」
ザシュ!
ドラゴン「グギャアアアアアアア」
少年「えっ」
メイジ「な…」
魔法戦士「フッ!」
ナイト「魔法戦士!」
顔面を切りつけられ激しくもだえ暴れるドラゴンの背に飛び乗り
魔法戦士は再び禍々しい剣で一突きする!!
ザクッ
ドラゴン「ギャアアアアアアアアアアアアアアア」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:00:37.16 ID:ZJ+u8u4b0 [21/21]
魔法戦士「…これは素晴らしい魔剣だ!」
ナイト「お前、遅いぞ!」
魔法戦士「フフン!まあな!」
ドラゴンは魔法戦士の攻撃により、その軌道を変えて再び突進する。
プリースト「あっちの方向は…!!」
ネクロマンサー「!!? 何…ッ」
ドラゴンはそのまま転がるように、ネクロマンサーのいた教会に激突してしまった!
ドゴンッ!
ゴゴゴゴゴ…
ネクロマンサー「うわああああっ」
ネクロマンサーは屋根から落ちてドラゴンの真横に落ちる。
次さるになったら寝る
朝にまた立てる
▼宿▼
ナイト「王子!」
プリースト「すぐに手当てします!王子、あちらへ!」
ナイト「プリースト…頼む!」
プリースト「致命傷じゃないので大丈夫ですよ」
パタン…
ナイト「なんということだ…すまない俺のせいで…」
メイジ「私もまさかここで襲われるとは考えなかった。
今後、王子から目を離すのはやめよう」
ナイト「ああ…」
バーサーカー「なあ、取込み中悪いけどところでこいつをどう思う?」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:40:44.84 ID:5ll6sKIa0
ナイト「えっ」
どさっ
バーサーカーは机の上に、先ほど切り落としたアサシンの腕を置いた。
メイジ「うおっびっくりした」
ナイト「アサシンの腕か」
バーサーカー「あぁ、なんか役にたつかと思って拾ってみた。」
魔法戦士「拾ってみたってお前…」
メイジ「うげぇ…私はこういうのが駄目なのだ…」
バーサーカー「服の繊維とかから何かわかんねーかな?刺青があったり…」
ナイト「ふむ…」
ナイトはアサシンの腕から小手をはずしを調べ始めた。
ナイト「こ、これは…!」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:44:12.41 ID:5ll6sKIa0
ナイト「アサシンは隣国の者かもしれない…」
メイジ「なんだって!!?」
ナイト「これを見ろ」
ナイトはメイジたちに衣服に縫い付けられたタグを見せる。
タグにはこう記載されていた。
“MADE IN RINGOKU”
メイジ「隣国が王子を…」
バーサーカー「王子が魔王復活の鍵とか言ってたぜ」
ナイト「隣国は王子のことを知っていたのか…」
メイジ「これで隣国は頼れないな…」
ナイト「王子を殺せば解決すると踏んだか…どうする」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:48:31.87 ID:5ll6sKIa0
王子「…お前ら…好きにしていいよ」
ナイト「王子!」
王子「よ…」
ナイト「お体は…いや、今の話は誤解されては困ります!」
王子「わかってる。俺だって今殺されるのだけは御免だよ…
そうじゃなくて、みな自由にしていい。故郷に帰るなり隣国に行くなり…」
ナイト「!!?なんということを、滅相もございません!」
メイジ「どういう意味なのです?」
王子「俺は今から聖剣を探す。
父上は剣のもとへ行けって言った、きっと何かあるんだ。
魔法戦士、あんたは来てくれるだろ?」
魔法戦士「ん、あぁ」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:51:25.49 ID:5ll6sKIa0
プリースト「はあ…王子が剣を探すので私たちがお役御免とはこりゃまた飛びますね」
王子「俺は魔族からも、もしかしたら隣国からも追われてる…
国がこんなことになったんだ王子もクソもないじゃん」
王子「…民を捨てて一人逃がされて王子なんて滑稽だ、
お前たちはもう俺に従うことない」
ナイト「馬鹿なことを!」
ナイトは立ち上がり王子の前で剣を抜いた。
ナイト「私は貴方についてゆくと剣に誓い今まで教育して参りました。
騎士は約束を違えることはありません」
王子「だってお前ら、本当なら関係なかったのに」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:53:40.63 ID:5ll6sKIa0
メイジ「そういわれましても… この国は一応自分の国なので」
プリースト「王の存在こそ国の復興の鍵なんですよね、この世界」
ナイト「そう、貴方にできること。
城を取り戻し、街を再興する役目があるではないですか。
どうかそのようにお導きください我が主」
王子「で、でも俺は…!お前たちにできることが何もないんだ…!」
プリースト「戴冠できたら私を繰り上がり昇格してくださればいいですのでお気遣い無く」
メイジ「…私は個人の研究室が欲しいです」
ナイト「お前らな」
王子「お前たち…」
バーサーカー「いい話だなー」
魔法戦士「俺は学芸会を思い出したけどな」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:56:19.03 ID:5ll6sKIa0
▼翌日▼
ナイト「いい朝だ、さあ行くか」
王子「ん…」
ナイト「王子、どうしたんですか?」
王子「なんか言いくるめられた感が否めない」
ナイト「ははは、まあまあいいじゃありませんか」
王子「…ふん」
魔法戦士「行くのはいいけど、それでどこへ行くんだ?」
ナイト「昨夜プリーストとメイジで話したんだが
とにかくアサシンに場所がわれていた以上ここから離れようと…」
王子「俺に妙案がある!」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 19:58:33.03 ID:5ll6sKIa0
ナイト「へ?」
王子「北のほこらへ行こう」
ナイト「北のほこら…ですか…」
王子「うん」
メイジ「ここからかなり北上します。国境が近いですね…
何故そこに?」
王子「俺が13歳になったら行くことになってた場所なんだ。
もしかしたらそこに聖剣のヒントがあるかもしれない」
ナイト「…なるほど。かなり辺境ですから追っ手も来にくいでしょうし。
ではそこへ向かいましょう」
ナイトはそれを言うと、振り返りうしろのバーサーカーに握手を求めた。
ナイト「じゃあバーサーカー、世話になったな」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:02:32.38 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「いやいやははは、俺も行っていいか?」
ナイト「えっ!」
王子「なな、なんでっ」
バーサーカー「駄目か?」
王子「駄目じゃないけどっ」
バーサーカー「兵士はいるにこしたことねえだろ?」
王子「そりゃありがたいよ…でもいいの?」
バーサーカー「ま、気まぐれってやつよ。
報酬はそうだな、お前のそのベルトのバックルでいいぜ」
王子「こんなものでいいのか?」
王子はそういうと不器用な手つきで豪奢なベルトを抜いて
それをバーサーカーに手渡す。
バーサーカー「よろしく頼むぜ、未来の王さん!」
王子「あ、ああ!」
プリースト「さて じゃれてないで行きましょうか」
王子「うん!」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:07:19.34 ID:5ll6sKIa0
▼どこかの洞窟▼
アサシン「あぐ…!ううぅ…」
暗いろうそくの下、呻くアサシンに黒い影が近づき語りかける。
?「腕を失ったか……」
アサシン「…!貴様は…」
?「王の魂は予想外に意思が強かったようだ……
罠を張ったが返って仇となった、すまなかったな……」
アサシン「あんなもの…当てになど…ぐぅぅっ…!」
?「契約は破棄するか……」
アサシン「…端から契約など関係ない…契約を切るならば…うっ…
俺は俺で戦うのみだ…っ!」
?「くっくくく…そうか、ならば契約は継続だ…
お前に新しい腕をやろう……」
アサシン「…!?」
?「自らの命が尽きようと戦い続けるがいい…」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:10:55.72 ID:5ll6sKIa0
▼道中▼
ナイト「今どのあたりだ?」
バーサーカー「もうすぐ大きな街道にかかって,商業都市につくかな」
ナイト「商業都市か、避けたいところだな…」
バーサーカー「すっげえ遠回りになるぜ?」
メイジ「大きな都市だ。大丈夫だろう。
隣国と魔族の動きの情報が手に入るかもしれないし行こう」
ナイト「確かに…」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:18:41.43 ID:5ll6sKIa0
王子「あ、大きな道にでた!」
バーサーカー「…お?」
ナイト「これは…」
王子「?どうしたんだ」
ナイト「人がいない」
メイジ「何?」
王子「人がいないと何かあるのか?」
プリースト「昼間にこれだけの街道で人がいないのは不自然なんですよ」
メイジ「これはどうしたものか」
ナイト「もう少し行ってみよう…」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 20:22:49.94 ID:5ll6sKIa0
▼商業都市▼
街の入り口にさしかかると
わずかではあるが数人の姿が遠目に見える。
バーサーカー「なんだこの人の少なさは…」
魔法戦士「人がいないわけじゃないが、えらく少ないな…」
メイジ「隣国からなにかアクションがあった…わりには兵士もいない…」
王子「人に尋ねてみたらどうかな」
ナイト「そうですね、行ってまいりますので王子はここに」
そう言うと、ナイトは前方に歩く老人に話しかけようと歩いていった。
ナイト「そこの御老人!少し聞きたいことがあるのだが」
ナイトが大きな声で話しかけるとゆらりと老人がこちらを向く。
そしてその声に反応するかのように、ワンテンポ遅れて周囲の人間もこちらを向きだす。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:25:30.87 ID:5ll6sKIa0
ナイト「すみませーん。ちょっとこの街のことで…」
老人「うお…」
振り向いた老人の顔を見てナイトは凍りつく。
老人『おおぉぉ…』
ナイト「た、退却ッ…!街から出ろー!」
メイジ「退却!?」
一同はナイトに言われ老人、および街の住人をよく見てみる…
その姿は皮膚が崩れ、およそ生きてる人間とは思えない。
王子「うわああっなんだあれ!!」
プリースト「リビングデッドだ!!?不味い!!」
魔法戦士「はあっ!?リビングデッド!?なんでこんなところに!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:31:34.80 ID:5ll6sKIa0
ナイト「後退しろー!!」
バーサーカー「逃げるぞ…!とっ…」
街から引き返そうとすると、さきほど来た道の地面から
10数体のリビングデッドが次々と湧出る!
メイジ「うげぇ!」
バーサーカー「どりゃあああああ」
バーサーカーはアックスを取り出し
まだ全身が出きらないリビングデッドから倒し始めた。
しかし、切り刻まれたリビングデッドの遺体はのた打ち回りながらも
こちらへ迫ってくる。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:36:23.25 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「こいつぁ やっかいだぜ」
プリースト「ここは僕らの出番ですねメイジさん、神聖魔法!」
メイジ「あぁ!火炎魔法!」
バーサーカーが切った肉片をプリーストとメイジの魔法が塵へと化していく。
魔法戦士「俺を忘れてもらっちゃ困るな、火炎魔法剣!」
魔法戦士は自らの剣を炎で包み歩み寄るリビングデッドを焼切る。
しかし、戦うしりからリビングデッドは地面から次々と現れ、
後ろから迫りくるリビングデッドの集団に囲まれてしまう。
ナイト「…囲まれた!」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:39:50.90 ID:5ll6sKIa0
プリースト「神聖魔法!!ナイトさん、この数は僕一人の手には負えないです。
操っているネクロマンサーを殺すのが一番なんですがお願いできますか?」
ナイト「わかった!メイジ、お前は俺とネクロマンサーを探すぞ!
なんとか道を開いてくれ!」
メイジ「なんとかって…ええと、浮遊魔法!」
メイジは浮遊魔法を唱えると地面からわずかに浮く。
メイジ「上空から探そう。ナイト、俺につかまれ」
ナイト「いい案だ!」
ナイトはメイジに乗りかかる。
メイジはナイトを背負ってふらふらと上空30メートルほどに浮かび上がった。
メイジ「よっ鎧が重い…!」
ナイト「今さら脱げん、諦めてくれ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:45:28.51 ID:5ll6sKIa0
メイジ「どこにいるか見当はつくのか」
ナイト「これだけのリビングデッドを扱っているんだ、必ず近くにいるはずだ」
ナイトはメイジの背中で周囲を見渡し
リビングデッドとは動きの違う、俊敏に動く人間を発見する。
ナイト「メイジ、あの赤い看板の店の前にいる黒いローブのやつだ!」
メイジ「あいつか!」
2人に発見されたことに気がついたのか、黒いローブの人間は
近くの建物に入って身を隠す。
メイジ「爆破魔法!」
メイジが放つ爆破魔法でその建物が吹っ飛ばされた!
ナイト「ナイスだ!」
メイジ「降りるぞ」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:49:22.61 ID:5ll6sKIa0
地面に着地したナイトは半壊した瓦礫に埋もれる黒いローブのもとへ走る。
ナイト「寝ている者を切ることはできん!生きているなら立て!」
動かない敵に向かって語りかけるがローブは動かない。
ナイト「死んだか…」
そういって歩み寄ったところ
敵が物凄い速さで立ち上がり、ナイトの眼前に刃を走らせる!
ナイト「ぬあっ」
メイジ「ナイト!!」
とっさに体を引いたナイトに合わせて、敵は第二撃をはなつ!
激しい動きによって敵のローブのフードがはだけて、その顔がのぞいた。
ナイト「…ッ!お前はあの時のアサシン!?」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:52:02.31 ID:5ll6sKIa0
アサシン「チイッ」
メイジ「火炎魔法!」
アサシン「…!」
メイジが放つ炎から身をかわしながら
アサシンは攻撃の手を増やす。
ナイト(こいつ…切り落とされた腕が治ってる…くっ!)
ナイトはアサシンと攻防しながらも問いかける。
ナイト「もうやめるんだ!あんな子供を殺してなんになる!?」
アサシン「魔王復活を阻止できる!」
ナイト「だが王子は魔王を倒せる武器の唯一の継承者でもある!」
アサシン「…何!?」
アサシンがそれを聞いて動きが揺らいだ瞬間にメイジが間髪を入れず魔法を唱えた!
メイジ「重力魔法!」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:55:15.56 ID:5ll6sKIa0
アサシン「くそっ」
とっさに重力場からバク転して避けるが
刀を地面に落としてしまう。
アサシンは距離をとって、素早くダガーを腰のベルトから取り出し装備する。
アサシン「…それがどうした?あの子供さえいなければ魔王の復活はありえないではないか」
ナイト「王子が死んだからといって、魔王が必ず復活しないとは限らないだろう!」
アサシン「そんなものは詭弁だ」
互いに言い合っているうちにリビングデッドが周囲に集まってくる。
メイジ「これはまずい」
ナイト「俺たちは魔族の手の届かないところに王子を保護する。
魔族が首都を攻めている今しかない。頼む、手を引いてくれ」
アサシン「断る!!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:57:26.76 ID:5ll6sKIa0
▼
魔法戦士「あいつら遅いぞ!死んだんじゃないのか!?」
王子「…ッ」
プリースト「… 神聖魔法!!」
バーサーカー「ちょっとずつ街中に押されてる!どーするよ!」
プリースト「とりあえずそこの建物に篭りましょう!」
バーサーカー「俺がおとりになるから行け!!」
プリースト「すみません!王子!こちらへ!!」
王子「…!う、うん」
バーサーカー「があああああああああああああッ」
バーサーカーがリビングデッドの集団に突撃している間に
プリーストは王子の手を引いて、魔法戦士と建物に逃げ込む。
バタン!!
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:59:36.19 ID:5ll6sKIa0
なんとか戸を閉めるがリビングデッドが1体、入り込んでしまう。
『あ”ぁ”ぁ”あ”ぁ”…』
魔法戦士「燃え尽きろ!!火炎魔法剣!!」
ドスッ
プリースト「神聖魔法!!」
シュオオオオッ
魔法戦士が突き刺したところをプリーストが浄化し、リビングデッドの息の根を止める。
プリースト「念のため二階へ行きましょう。」
王子「バーサーカー… はっ!」
王子は走って2階に上がり、窓を開け放ち外の様子を見る。
手前の建物を一瞥すると下を見て叫ぶ!
王子「バーサーカー!!生きてるか!?」
バーサーカー「もーやっべしんどい!!」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:01:58.29 ID:5ll6sKIa0
王子「この隣の建物に入って屋上からこっちの屋根に飛べ!!」
バーサーカー「…ッ!!やってみんよ!!」
バーサーカーは派手にアックスを一薙ぎすると、一気に走りぬけようとする!
だが、リビングデッドに捕まってしまう!
バーサーカー「くっそ…いって!」
プリースト「神聖魔法!!」
王子の後ろからプリーストが神聖魔法を放ち
バーサーカーにかぶりつくリビングデッド3体を浄化した。
バーサーカーは無言で走り隣の建物へ入り、屋上へ出る。
王子「バーサーカー、来い!!」
バーサーカー「おうっ!!」
着地と同時に、その巨体で屋根の一部を破壊してバーサーカーが王子の側へ飛び移る。
ヒュッ ドゴォオオ!
バーサーカー「…ッいっでえー!」
王子「プリースト!回復をしてやってくれ!」
プリースト「かしこまりました!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:04:46.89 ID:5ll6sKIa0
魔法戦士「あいつが無事でよかったが、ゾンビがわらわら寄ってくるぜ。
こんなボロ屋で篭城、さていつまで持つか…」
王子「悠長だな、なんか考えでもなるなら言ってくれ」
魔法戦士「ない」
王子「…」
バキバキ…
ガタン!
王子・魔法戦士「!!?」
建物一階のドアがリビングデッドにより破壊される。
魔法戦士「フッ 篭城ってほどもゆっくりさせてはくれないか。
おい!プリースト!バーサーカー!敵さんお出ましだぜ!!」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:09:06.76 ID:5ll6sKIa0
▼
ガキィィイイン
ザシュッ
ナイト「…ッ」
アサシン「…ッ」
ナイトが切りつけるのをアサシンは左腕で受け止め
そのまま右腕のダガーでナイトのわき腹の鎧の隙間を刺す!
ナイト「ぐっは…」
すぐさまナイトは左腕の剣を抜きアサシンに剣を向ける。
アサシン「浅かったか…!」
ナイト「その腕は…死人の腕か…!」
アサシン「貴様らの仲間に持っていかれたものでな!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:13:30.04 ID:5ll6sKIa0
アサシンが再びダガーを構えた瞬間…
ナイト「神聖魔法!!」
アサシン「ぐああああああああッ!」
アサシンの左腕が神聖魔法で焼かれる!
アサシン「な…!?貴様ッ神聖魔法を…!」
ナイト「…悪いな、俺は下級な神聖魔法も使用できる」
アサシン「ぐうぅっ」
ナイト「貴様もただ金のためにやっているわけではないのだろう。
ともに求めるものが同じである故…うらむなよ!」
アサシン「…」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:16:26.81 ID:5ll6sKIa0
▼
魔法戦士「階段を破壊するぞ!」
バーサーカー「まかせろ!おりゃあああああ!」
プリースト「ネクロマンサー…近くにいるはずだ…!」
王子「俺が飛んで様子を見てみる!」
プリースト「それはいけません。飛んでいる最中に万が一 狙い打ちされたら…!」
王子「それならなお好都合じゃないか。このまま嬲殺しにされるよりかは良い策だろう?
お前も内心考えてたんだろう?代わりに言ってやったぜ」
プリースト「…」
王子「どっから攻撃してくるか、ちゃんと見ておいてくれよな」
プリースト「王子、少々お待ちを――」
王子「!」
プリーストが王子に神聖魔法を施す。
王子「サンキュ」
プリースト「お気をつけてください」
王子は黙ってうなずき、浮遊魔法を唱えた。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:21:40.63 ID:5ll6sKIa0
王子「浮遊魔法!」
王子は建物の真上にフラフラと浮かび上がる。
魔法戦士「下手糞だな、大丈夫かあいつ。」
プリースト「うまけりゃとっくに一人で逃げてもらってます」
王子「どこだ、どこにいる…」
見渡していると、30メートルほど先の建物の窓から
黒い矢が王子を撃つ!
ヒュン ヒュン ヒュン!
王子「っ!」
黒い矢は王子の体に命中する。
集中力が切れた王子は一気に地面に落ちた。
ドサッ
バーサーカー「おーし、セーフ」
落ちる王子をバーサーカーが抱きとめる。
王子「ははっ…都合よく本当に撃ってくれた…いてて」
プリースト「お怪我は?」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:24:12.02 ID:5ll6sKIa0
王子「お前が直前にかけてくれた耐魔防御魔法のおかげで助かったよ。
で、場所は?」
プリースト「この並びの建物の2階です」
王子「ここから行けるか?」
プリースト「屋根伝いに」
魔法戦士「都会で感謝だな」
王子「じゃあ、あと頼む」
プリースト「お任せください。
というわけで魔法戦士さん、バーサーカーさん。頼みました」
魔法戦士「お前いかないのかよ!」
プリースト「僕は最悪の場合を想定してここで王子をお守りしますもん」
バーサーカー「ま、順当なとこだな」
魔法戦士「しょうがない、じゃあ行くぞ!」
バーサーカー「おおっ!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:27:42.04 ID:5ll6sKIa0
魔法戦士とバーサーカーは屋根を飛び移り隣の建物に移り、
次の建物へは窓へ直接その身を投げる。
バーサーカー「どりゃああああったああああ!!!!」
ガシャアアーーーン
ネクロマンサー「!!!!?」
魔法戦士「ッとっ!」
ネクロマンサー「先ほどの暗黒魔術で場所がわれたか…しまった…
残念ながらここは一時撤退…」
ネクロマンサーは背後に逃げる構えを取ろうとする。
魔法戦士「おっと逃がさないぜ!」
魔法戦士は走ってネクロマンサーに攻撃をしかける!
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 21:33:24.43 ID:5ll6sKIa0
ネクロマンサー「くくくっ!」
魔法戦士の剣がネクロマンサーを捕らえようと剣を振り下ろした時、
一体の死体が天井から落ちてその剣を止める!
ドサッ
『うおおおおぉぉぉ…』
魔法戦士「おうっ!?」
ネクロマンサーが呪文を唱えると一体の馬のリビングデッドが現れ
ネクロマンサーはそれにまたがる。
『ブルルルル…』
ナクロマンサー「…闇に生きる者は死してなお目的を完遂する…」
そう呟いて素早く建物内から走り去った…
バーサーカー「あっ逃げやがった…!」
バーサーカーはとっさに地面に落ちていたガラス片を取って
自らの破った窓から身を乗り出し、
逃亡する馬上のネクロマンサーに向かってそれを投げる!
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:35:51.75 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「ちくしょ!!」
ネクロマンサーはかなり遠方にいたが、ガラス片はリビングデッド馬に当たった。
馬から降りて自分の足で逃げるネクロマンサーが遠目に見えた。
バーサーカー「おっしい!」
魔法戦士「おまえけっこうすごいな…」
バーサーカー「だろう?」
魔法戦士「! おい、見ろよ、リビングデッドが!」
道路を見ると、いつの間にかあれだけいたリビングデッドは全て地に伏せ、
ただの屍と化していた…
▼
プリースト「… どうやら倒せたようですね…」
王子「うん。ナイトとメイジを探そう」
プリースト「そうですね」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:39:02.00 ID:5ll6sKIa0
▼
ナイト・メイジ「!!?」
アサシン「…!!!」
メイジ「リビングデッドが…」
ナイト「死んだ」
メイジ「いやもとから死んでる」
ナイト「どっちでもいいだろ」
アサシン(…こちらにはもう勝ち目はないな)
アサシンは煙玉を自らの足元で炸裂させる。
ナイト「あっ」
アサシン「…次は必ず仕留める!」
声が途切れ、煙が去った後にはアサシンの姿は失せていた…
ナイト「逃げられた…!」
メイジ「まあいい、王子の安否が最優先だ」
ナイト「そうだな…」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:41:29.06 ID:5ll6sKIa0
王子「ナイトー!メイジー!」
ナイト「王子!!他の者も!」
プリースト「やあ、生きてましたか」
バーサーカー「その怪我は刃傷だな。やりあってたのか」
ナイト「アサシンだ。すまない仕留め損ねた」
魔法戦士「そりゃ俺らもだ」
ナイト「ネクロマンサー…」
魔法戦士「ああ」
プリースト「両方倒せなかったとは先が思いやられますね…」
王子「でも最悪の展開じゃない。みんな生きてるし」
バーサーカー「そりゃそうだ!言うじゃないかははは!」
ナイト「王子…」
王子「しけた顔してないで早くこの街を出よう」
メイジ「異論はありません」
プリースト「では、互いの情報は歩きながら。特にアサシンとネクロマンサーが同時に出たことについて…」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:44:51.37 ID:5ll6sKIa0
▼夜、山▼
一同は街を抜けてから、大通りを避けて山側の獣道を歩く。
プリースト「単刀直入に言って、王子暗殺の件に関しては
隣国の介入はないのではないかと思います」
メイジ「ふむ」
ナイト「理由は」
プリースト「ネクロマンサーの邪教組織は隣国においてもその地位は低く
地下での法外な活動が主であり、国家としては迫害対象となっているためです」
メイジ「このたびの首都陥落を聞いてネクロマンサーと手を組んだ可能性は?」
プリースト「隣国の権力者に教会の関係者がいますから、ないと思いますけど」
ナイト「お前は前に俺に『王子暗殺は魔族が人間に依頼した』なんて言ってたからなあ」
プリースト「あ、あ、それ言っちゃいます?」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:48:39.45 ID:5ll6sKIa0
メイジ「…商業都市がこんな状況になってるなんて
隣国の勢力が及ばないとありえない気がするが」
プリースト「そこですよ。これだけの大きな商業都市ですから、
首都陥落の情報がいち早くこちらへ来て民衆大混乱。
さらにネクロマンサー率いる暗黒組織がリビングデッドで
脅しかけ街を攻め取ると」
メイジ「ぬぅ…あれから2週間と少し…あまりこういうことは詳しくないが、
それだけのことが起こる期間はあるといえばありえるの…か?」
ナイト「隣国についてははっきりするまで避けたほうが無難か」
プリースト「そうですね。」
メイジ「結局行く場所は変更なし…」
魔法戦士「…実のない会話だ」
プリースト「いえいえ、とっても大事ですよ。
もし隣国の軍隊と出会ったら命乞いをするかどうか今のうちに結論出さないと!」
魔法戦士「一応確認するけど真面目な話だったよな?」
プリースト「私はいつも大体6割ぐらいは大真面目です」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:51:42.89 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「ま、だいたい把握したしこの辺りで休むか」
ナイト「そうだな」
バーサーカー「さっきの街で食料調達できたし今日は豪勢に行こうぜ」
王子「いいのかなー」
ナイト「背に腹はかえられません…」
プリースト「そういえばナイトさんいつも『騎士は食わねどたかようじ』と言ってましたね」
ナイト「なっ」
メイジ「そういえばそうだな、ナイトは霞でも食うといい」
ナイト「いや、それはっ」
王子「騎士は真実しか語らないんだったな!」
ナイト「王子ご勘弁ください…」
バーサーカー「おめえら早く飯の用意しようぜ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:53:57.04 ID:5ll6sKIa0
▼夜▼
王子「ナイト、ちょっといいか?」
ナイト「どうされました?」
王子「剣の稽古つけてほしいんだ。ここ しばらくできてないから」
ナイト「しかし明日の体力が…」
王子「頼むよ。もし俺がひとりになっても戦えるようにならないといけない」
ナイト「…いいでしょう」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:56:08.36 ID:5ll6sKIa0
王子「また、負けた…」
ナイト「筋はよろしいですよ。問題は王子自身の成長が追いついてないところです」
王子「成長…」
ナイト「王子が大人になったら私も勝てるかわかりません」
王子「…それはどうかな」
ナイト「えらく弱気ですね」
王子「だって、弱いもん」
ナイト「強くなる見込みはあります。そろそろ休みましょう」
王子「…ん」
ナイト「と、いいたいところですが…寝る前に王子
少しお話いただきたいことが…」
王子「へ…?」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:59:36.16 ID:5ll6sKIa0
ナイト「ここしばらく度々耳にしていた、王子が13歳になったらという話。
13歳になったら何があるというのですか?」
王子「!それは…」
ナイト「戴冠の年でもなく、今までその年齢に特別な行事など聞いたことも無い。
それは此度の魔族の進軍と関係はあるのでしょうか」
王子「…一応、あるよ」
ナイト「教えていただいてもいいでしょうか…」
王子「もう、関係のないことなんだけどさ…」
ナイト「…」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:02:29.89 ID:5ll6sKIa0
王子「まず順を追って話す」
ナイト「お願いします」
王子「…聖剣、あれは魔王ダークロードを倒せる唯一の剣だ。
祖先はその剣で魔王を倒した」
王子「けど魔王は死ぬ間際に卵に返り生き延びたんだ。
そしていつか生まれる祖先の血筋の子供が自らの復活の生贄とすると呪いをかけた…」
王子「で、その呪われている子供として生まれてきたのが俺らしい。
俺だけが魔王の復活の鍵になる。
だから俺が死ねば魔王は復活しない」
王子「だけど魔王を倒せる聖剣をつかえるのは、俺の家系だけなんだって。
次の脅威に備えて、血を途絶えさせるわけにはいかない」
王子「俺を殺さないためによくできた話だろう?」
ナイト「はあ」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:20:28.41 ID:5ll6sKIa0
王子「というわけで、忌み子である俺ができた父上は
13歳になったら俺を病気ってことにして
魔族の目に触れぬように北のほこらへ監禁するつもりだった…」
ナイト「なるほど…」
王子「こうなってしまったらもう関係のない話だよ。
結局、俺を隠す前に魔族に見つかっちゃったし」
ナイト「…?」
王子「なんだよ」
ナイト「その…王子が、その…忌み子だと王はお分かりになったのでしょう?」
王子「さ、さあ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:23:01.83 ID:5ll6sKIa0
ナイト「闇祭司は「王子の存在を隠していた」と言っていた
何故、今になって魔族に知られてしまったのか…」
王子「…」
ナイト「それに、それだけ重要なことなら、初めから王子を北のほこらに
軟禁していれば魔族にはバレなかったのでは」
王子「これでバレないはずだったんだよ!
このこと知ってたのは俺と父上とビショップだけだったんだ!」
ナイト「13歳というのも繋がりが見えないのです。
13歳までなら王宮にいても問題ないという判断は何故か。
まだ何か隠しておられることがあるのでは…?」
王子「そ、それは…」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:25:11.26 ID:5ll6sKIa0
プリースト「本当にナイトさんはひどい人ですね。
王子を赤子の時から監禁ですかー。へー」
王子「うわあ!プリースト!」
ナイト「なっ…!? いや今のは考えのひとつとしであって!」
プリースト「2人とも早く寝ないと明日がつらいですよ、ねえ王子」
王子「そ、そうだな」
ナイト「…うむ…、王子行きましょう」
王子「う、うん」
プリースト「…」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:28:10.05 ID:5ll6sKIa0
▼2週間後、北のまち▼
ナイト「地図によると、この街のすぐ上にある山に北のほこらがあるみたいだ」
魔法戦士「あっという間だったな」
メイジ「何をいってるんだ。商業都市から2週間も歩いたのだぞ」
バーサーカー「低級魔族が襲って来たときはピンチだったなぁ。空を飛ぶやつで」
プリースト「あれはメイジさんとバーサーカーさんがいなかったらナスがママきゅうりがパパでした」
魔法戦士「そうだったそうだった…聖剣にうかれていたせいか一瞬で来たような気分だったぜ」
王子「疲れてるんじゃないか?」
魔法戦士「そうかもな」
王子「しっかりしろよー」
その時、街の入口で一同が会話していると、少年の叫び声が聞こえた。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:30:33.26 ID:5ll6sKIa0
少年「はなせ!ちくしょう!!」
兵士A「あいつが何人殺したと思ってるんだ!あれはもう駄目だ!」
兵士B「大人に任せて家にいろクソガキ!」
少年「やめてよ!あいつは必ず正気にもど…うわあ!」
2人の若い兵士にかつがれて、少年が納屋へ放り込まれる。
ナイト「あれは…隣国の兵士だ…!」
メイジ「…まずいな、こっちに来るぞ」
プリースト「落ち着いて、ナチュラルに対応を」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:33:46.36 ID:5ll6sKIa0
兵士A「おいっ貴様らこの村の者ではないな、どこから来た」
ナイト「我々は…」
兵士B「あ、この鎧…この人はこの国の騎士だよ。
メイジもプリーストも紋章がついてるし」
兵士A「えっ逃亡兵…!?」
ナイト「いや、王の命を受けてここまで旅をしてきたものだ」
兵士B「…あんたら何が起こってるかしらないのか?」
ナイト「…何故ここに隣国の兵士がおられるのか?詳しくお話お聞かせ願えるか?」
兵士A「何故って、この国への援軍ですよ援軍、な」
ナイト「援軍?」
兵士B「ああ、首都が魔族にやられたと聞いて3週間ぐらいまえに」
ナイト「なんだって首都が!!」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:36:22.49 ID:5ll6sKIa0
兵士A「俺らはその途中、この街で暴れドラゴンが出たってことで
ずっと駐留してんです」
ナイト「ドラゴン?」
兵士A「さっきのガキの飼ってたドラゴンらしいんすけど
魔族の気にあてられて凶暴化したらしいすよ。
俺らも小隊いっこ急襲くらっちゃって」
兵士B「北のほこらを住処にしてるようなんで、
街を拠点にしてるんだ」
ナイト「なんだと…っ!」
兵士A「あんたたち当然これから首都に戻るんすよね?
ドラゴン倒したら俺らの隊と行けば…」
ナイト「それは有難い申し出だが、ここへの任務を先に終わらせたい」
兵士A[そっすか、んじゃま気が変わったら街のすぐ西に拠点はってますんで」
ナイト「ああ、ありがとう…」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:39:07.06 ID:5ll6sKIa0
プリースト「ナイス演技でしたね」
ナイト「騎士の戒めに従って嘘はついていない」
王子「隣国が援軍だってさ」
プリースト「領土を手に入れる好機ですからね。開拓次第では有益な土地ですから。
魔族が占拠と言っても弱体化してる今なら叩ける」
メイジ「しかしどうする。北のほこら」
ナイト「ドラゴンか…正直俺たちの手には負えないな」
魔法戦士「隣国軍らがドラゴン討伐してくれるのを待てばいいじゃないか」
プリースト「そうですね、じゃ しばらくはここの街の宿に滞在しましょうか」
ナイト「そうしよう」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:41:33.05 ID:5ll6sKIa0
兵士B「どう思う?」
兵士A「なにが」
兵士B「さっきのやつらだよ、やっぱ逃亡兵だったんじゃないか?
傭兵みたいなのもいたし、しかも子連れだぞ」
兵士A「違うって言ってたぞ」
兵士B「お前本当に馬鹿だな。嘘だよ逃亡兵なんて言ったら
後で戻った時に罰せられるかもしれねーじゃねーか」
兵士A「なんだよ馬鹿じゃねーよ。
じゃ一応は隊長に言っとくかよ」
兵士B「おお」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:44:02.30 ID:5ll6sKIa0
▼宿屋▼
宿屋主「あんたら他所もんだね、どっから来たんだ」
ナイト「首都からだ」
宿屋主「はーそりゃえらい所からまた… ほれ部屋の鍵だ3階で3室な
晩飯は3時間ぐらいしたら下の食堂へ来な」
ナイト「わかった、ありがとう」
王子「ナイトナイト。時間あるから一緒に道具屋へ行こう」
ナイト「そうですね、包帯と聖水が欲しい」
プリースト「僕らは先に部屋で休んでますね」
メイジ「いってらっしゃい」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:46:58.03 ID:5ll6sKIa0
▼薬局の外▼
王子「あんまり数がなかったな」
ナイト「ドラゴンのせいでしょう、死傷者がでてるようですので」
王子「うん。…あ、あいつ」
王子が言うとその先にはさきほど納屋に放り込まれていた少年がワラまみれででてくる。
王子「あいつなんかかわいそうだな」
ナイト「隣国の兵士も彼のドラゴンにやられたようですから仕方ありません」
王子「…うん」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:49:07.65 ID:5ll6sKIa0
▼食事▼
バーサーカー「肉だ肉だ」
魔法戦士「普通だな」
プリースト「ああ、はやくおいしいご飯が食べたいものですね」
メイジ「現状ではまともな寝食ができるだけだけ有難いと思うべきだ」
王子「な、なあ…あんまり言うなよ。店主に聞こえるだろ…」
ナイト「王子の細やかなお心遣い将来が頼もしいですな」
王子「ナイトぉ。こういうのはお前が言ってくれよ…」
ナイト「民を指導する明日のためのその1。それは王子の仕事です」
王子「はー?」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:51:43.29 ID:5ll6sKIa0
メイジ「それにしてもまともなベッドで寝られてよかった」
ナイト「そろそろ体力も限界だったからな」
プリースト「しばらく滞在できるのはよかったかもしれませんね」
魔法戦士「あとは手っ取り早くドラゴンさえ倒されてくれたらなあ」
王子「そうだな…いつまでも宿に留まることはできないし。
先立つものにも限りがあるし」
ナイト「…確かに」
プリースト「では路銀のためにみなさんで神に祈りましょうか」
魔法戦士「祈るのは神じゃなくて隣国軍だろうが」
バーサーカー「そりゃそうだ!」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:53:52.75 ID:5ll6sKIa0
プリースト「あっはっはっ不信心ですねえ」
ナイト「お前が言うなって…あ、この破戒僧、また酒飲んでるのか。最低だな」
プリースト「バレなきゃ魔法にも出世にも関係ありませんからね!」
メイジ「あとで懺悔だな」
プリースト「正直面倒くさいです」
王子「…」
ナイト「王子?」
王子「むぅ」
ナイト「どうされました!」
メイジ「王子!」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:56:53.91 ID:5ll6sKIa0
王子「すぅすぅ…」
ナイト「寝てる…」
魔法戦士「ふっ、人にあれこれ注意しておいてこのザマか。所詮子供ということか」
プリースト「お疲れなのでしょう」
バーサーカー「ふわぁ…そういやなんか眠いな…
まだ9時くらいのはずなんだが…」
メイジ「空腹が満たされたからだろう」
ナイト「そういえば…眠い…」
プリースト「今日はもう寝ましょう…」
ナイト「…ああ」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:59:07.27 ID:5ll6sKIa0
・・・・・・・・
ナイト(…ううう……)
ナイト(頭が…痛い…風邪でもひいたか…)
ナイト(………)
ナイト「はっ!!!」
ナイトはとっさに飛び起きる。
ナイト「っあ!ぐおぉぉぉ…痛!頭痛!」
ひどい頭痛に頭をおさえつつナイトは周囲を見渡す。
そこは昨日寝ていた宿屋のベッドではなく、体を丸めないと入れないような
竹でできた一人用の檻だった。
ナイト「な、なんじゃこりゃ!!」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:01:33.14 ID:5ll6sKIa0
混乱しながらナイトは横を見る。
そこには似たような檻が数個あった。
各檻には自分のパーティが眉間にしわを寄せて寝ている。
しかしその中に王子の姿はない。
ナイト「…!! おい!起きろ!起きろ!!」
ナイトは檻を揺らして隣のバーサーカーの檻にガンガンぶつける。
バーサーカー「ああああうるせー」
ナイト「おはよう!」
バーサーカー「おお、おは…なんだこりゃ」
ナイト「起きたらこういう状態だったんだ、お前もあいつら起こすの手伝ってくれ!」
バーサーカー「はあ?なんかようわからんけどわかった…」
バーサーカーはそう言うと自分の入った檻を勢いで回転させ
他の檻に襲撃をしかける。
バーサーカー「おらおらおらおらおらー!」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:04:13.31 ID:5ll6sKIa0
ナイト「みんな目を覚ませ!」
メイジ「な…なにするんだよ…」
プリースト「…なんですかここ。なんで僕こんなところにいるんですか…」
魔法戦士「あったまいてええ…」
バーサーカー「起きた起きた」
メイジ「…?一体全体なんなんだ?なんだこの檻…」
バーサーカー「俺にもわかんねー」
ナイト「朝起きたらこういう状況だった、そして王子がいない!
なんとかしてここから脱出しないとならない。策を練れ!」
メイジ「なんだと…!?っぁ”!ぁたまぃたぃ…」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:06:22.60 ID:5ll6sKIa0
プリースト「宿の店主に薬でも盛られましたかね…はあ…神聖魔法で回復!」
プリーストは全体に頭痛回復の神聖魔法をかけた。
魔法戦士「あーすっきりした!」
プリースト「さてさてどうしますか。これは抜け出せませんよ」
バーサーカー「竹の檻でこんなに狭いんじゃ俺はお手上げだ」
魔法戦士「武器がありゃなんとかなるけど全員寝巻きのままじゃあなあ」
ナイト「そうだな…メイジ、炎の魔法で檻を燃やしてみてくれ」
メイジ「私の魔力じゃ人間も一緒に燃えてしまうぞ」
プリースト「そんな拷問がありましたね」
ナイト「駄目か… なにか…なにか方法…」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:08:52.68 ID:5ll6sKIa0
▼1時間後▼
シャシャシャシャシャ…
ナイト「……」
シャシャシャシャシャ…
ナイトは地道に爪で竹を削っている。
しかしまだ数ミリしか進んでいない。
ナイト「…」
シャシャシャシャ…シャ…
ナイト「うおーーーーやってられるかーーーー!!」
魔法戦士「うおびっくりした」
ナイト「どうなってるんだ犯人は何が目的だどうして俺はここのところ失敗ばかりだ!!」
プリースト「…」
ナイト「メイジもういい!俺は駄目だクソ俺ごとこのクソ竹檻を燃やせ!!!王子が!!」
メイジ「落ち着け、落ち着けナイト!」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:11:45.40 ID:5ll6sKIa0
バーサーカー「あー便所いきてえな…」
魔法戦士「お前ここでするなよ!絶対するなよ!」
バーサーカー「俺だけじゃねーだろそのうちお前らも…」
プリースト「それにしてもなんだって王子だけなんでしょうね」
プリーストのつぶやきにうるさかったナイトは耳をかたむける。
メイジ「国境も近いし人さらいかもしれないが…」
プリースト「これ組織ぐるみですよ」
バーサーカー「じゃあ俺らも後で売られちゃうんじゃないんか」
魔法戦士「あんたが一番良い労働力だわなははは」
ナイト「王子の身に何かあったら俺は腹を切る…メイジ介錯たのむ」
メイジ「だ、だから落ち着けと」
プリースト「まあ、犯人が誰か目的がなにか…
今、言ったところでどうにもなりませんね…」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:13:56.41 ID:5ll6sKIa0
一同が檻の中で話していると、ボロボロの木の扉の隙間から
人影が動くのが見える。
ナイト「誰だ!」
人影はそっと扉をあけて中へ入る。
少年「あの」
メイジ「君は…」
ナイト「…もしかして我々が街へ入ったときに
隣国兵に暴行を受けていた少年か?」
少年「そうだよ…あの、ぼく…」
ナイト「君と同じくらいの子供を知らないか?何か知ってるなら教えてくれ!」
ナイトが問い詰めると少年は思いつめたように口を開く。
少年「その子、ギガガンガーに…ぼくのドラゴンのエサにつれていかれたんだ…」
ナイト「なんだと…ど、どういうことだ!」
少年「隣国兵の言ってるの聞いて、ぼく…」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:16:31.54 ID:5ll6sKIa0
ナイト「要領を得ないな」
メイジ「ひとつずつ聞こう。王子を連れ去った理由はドラゴンのエサなのか?」
少年「うん。ギガガンガー…人間を食べるようになったから…」
メイジ「王子をドラゴンに食べさせてどうするつもりなんだ?」
少年「あの子に毒を塗って食わせるって」
メイジ「王子を連れ去ったのは誰だ?」
少年「隣国兵とぼくの父さん…町長もグルだった」
メイジ「なぜ王子を選んだ?」
少年「あんたたちなら、もとからいない人間だから死んでも平気だからって。
あと、子供なら小さくて運べるからって」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:18:41.22 ID:5ll6sKIa0
メイジ「なるほど、だいたいわかった」
プリースト「これはまずい」
ナイト「少年!頼む!ここから出してくれ!」
少年「うん、ぼくもそのつもりで来たんだ。
おっちゃんたち、ぼくもドラゴンのところへ連れて行って欲しいんだ」
メイジ「君を?」
少年「あのドラゴンはぼくのドラゴンなんだ。
ぼくの声が届けば助けられるかもしれない」
ナイト「いいだろう」
少年「じゃああけるよ」
「きゃあああああああああああああ!!」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:20:50.22 ID:5ll6sKIa0
少年が鍵を開けようとした時、外から悲鳴が聞こえる!
ひとつの悲鳴が聞こえたかと思うと次々と至るところから叫び声が響きはじめる。
少年「え…!?」
ナイト「少年!はやくあけろ!!」
少年「う…うん!」
少年が全員の鍵をあけ、ナイトたちが建物の外へ出ると
数名の隣国兵たちが血まみれでドラゴンと応戦していた!
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:23:00.01 ID:5ll6sKIa0
ドラゴン『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオ』
少年「ギガガンガー!!」
少年が叫ぶがドラゴンは少年の声に反応しない。
メイジ「危ない離れるんだ!」
少年「ギガガンガー!やめろー!…くあっ」
ドラゴンが仕留めた兵士の鎧の破片が少年の頭に直撃する!
少年は呻いて地面にひざをついた。
少年「くっぐうう…」
メイジ「少年!」
町中に響く叫び声に反応して、西の拠点から隣国兵が集まってくる。
隣国兵「あっちだー!街で襲われてるぞー!」
隣国兵「加勢しろー!!」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:25:10.70 ID:5ll6sKIa0
ナイトは黙って地面に目を向ける。
下にはいくらかの肉塊がころがっていた。
そのうちのいくつかは兵士ではなく街の住人のもののようだ。
ナイト(…ッ)
そこに説明する隣国兵の話が耳に入る。
隣国兵「すみません!北のほこらに着いたら急にドラゴンが襲ってきて…
そのまま逃げて来てしまって…」
ナイト「!!」
プリースト「どうやらまだ食べられちゃいないようですね…
毒に効果があったのならばですけど」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:10:46.47 ID:ZJ+u8u4b0 [1/21]
ナイト「よし、北のほこらへ向かう!」
バーサーカー「おう!」
プリースト「メイジさんその少年かついでいくんですか」
メイジ「助けてもらって放っておけまい」
プリースト「そうですね。でもメイジさん体力は」
メイジ「言っておくが普通の成人男子くらいの体力はあるぞ。それに…」
メイジは浮遊魔法で足を地上から10cmほど浮かせてみせる。
メイジ「魔法があるのだ」
プリースト「でしたね。じゃあよろしくお願いしますよ」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:13:05.96 ID:ZJ+u8u4b0 [2/21]
「…………………」
魔法戦士「…?」
ナイト「どうした魔法戦士」
魔法戦士「何か呪文の詠唱のようなものが聞こえないか…?」
メイジ「呪文?」
プリースト「!これは…」
「………………………………………………」
「……さあ、生ける屍になれ…!」
語尾の大きくなった声の聞こえた方向を一斉に見る。
街の中心の教会の屋根に、ネクロマンサーが街を見下ろしていた。
ネクロマンサー「くくくっ…!」
プリースト「ネ、ネクローマンサーです!!」
ナイト「こんな時に!!?」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:16:39.56 ID:ZJ+u8u4b0 [3/21]
バーサーカー「おいおいおい街は絶賛死体生産中だぞっ!!」
ネクロマンサー「貴様らはここで足止めだ…
未来の糧となりてここで死に絶え滅びるがいい!」
魔法戦士「なかなかカッコイイ演出だぜ…ちくしょう!」
ネクロマンサーが手を振り上げると周囲の死体が起き上がり始める。
戦友の遺体が蘇るのを見て、ドラゴンと交戦中の兵士たちはあちこちで絶叫をあげた。
ナイト「早くここから抜けろ!!」
バーサーカー「んなこといっても…リビングデッドの数は多いわドラゴンはいるわ
おまけに俺たちゃ寝巻きのまんまだぞ!!」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:18:48.20 ID:ZJ+u8u4b0 [4/21]
ナイト「メイジ!先に行け!」
メイジ「…すまん!」
メイジは空を飛ぼうと高く飛ぶが、そこへドラゴンの意識が向く!
メイジ「げ!」
ドラゴンの旋回でメイジは羽にブチあたり地面に叩きつけられる!
バチン!
ずしゃ…ッ
メイジ「げはっ…!!」
ナイト「メイジ!!」
プリースト「大丈夫ですか?」
メイジ「ヒュー…腕と…たぶん肋骨らしき骨が…がは…」
プリースト「神聖魔法!!回復は今はこれで我慢してください!」
メイジ「…はあ…はあ… ああ…ありがとう」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:20:57.12 ID:ZJ+u8u4b0 [5/21]
ナイト「隙を見て行けるやつは逃げろ!!いいな!!
とにかく生きて王子の元へ行け!!」
ナイトは近くに落ちている隣国の兵士の剣を手に取り叫ぶ。
ナイト(ネクロマンサーがここで足止めしてるということは…
おそらくアサシンか他のネクロマンサーかが王子のもとへ向かっている…)
ナイト「王子…!どうかご無事でいてください…!!」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:24:16.47 ID:ZJ+u8u4b0 [6/21]
▼北のほこら▼
王子「……」
王子「侍女…いつもうるさいなぁ…」
王子「もうちょっと…寝させ………」
王子「…」
王子「…あれ」
王子は焦点の合わない目で天井を見上げる。
しかし、そこにあったのは宿屋の天井ではなく、木々の枝と空だった。
王子「ここ…森…?」
ゆっくり起き上がると周りを見渡し異常に気づく。
王子「!!?」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:26:27.09 ID:ZJ+u8u4b0 [7/21]
王子「なんだここ…うわっ」
立ち上がろうとして、ふらついて倒れてしまう。
王子「痛… あれ…服…が…」
王子が自分の服にも違和感を感じる。
見ると自分は着た覚えのないドスい紫のシミズを着ていた。
しかもそれは生臭い匂いを放ち塗れていた。
王子「あれ?これ女もの?…なんで…」
フラフラしながら目の前の建物に気付く。
森の中にひっそりと建てられた石造りのほこら。
王子「ここは…!まさか…北のほこら
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:29:42.86 ID:ZJ+u8u4b0 [8/21]
王子は仲間が誰もいないことを確認する。
王子(俺ひとり…何があったかわからないけど…)
王子が戸惑っていると背後に気配がする。
王子「はっ…」
後ろを向くとその先に見覚えのある姿が見えた。
わずか50メートルほど先の森の斜面に黒装束の姿。
王子「アッアサシン!!?」
アサシン「…勘の良い子供だっ!」
アサシンは王子が気付いた瞬間に失踪してきた。
王子「うわっわあ!!」
王子はとっさに北のほこらへ入る。
王子(ドラゴンなんか気にしてられるか!!)
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:32:01.24 ID:ZJ+u8u4b0 [9/21]
石でできたほこらの中を走り進むと、大きなホールを抜け
10ほどの扉のある通路に出た。
その奥の突き当たりにひとつ、錆びた1mほどの小さな扉が見えた。
王子は導かれるようにその扉へと向かう。
王子「はあっ!はあっ!」
扉には ”つるぎの間” とだけ書かれていた。
王子「つるぎの間!?
ここ、まさか…っ」
扉の取っ手に指が触れたとき、後ろからアサシンがつかみかかる。
ガシッ
王子「ひっ」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:35:11.38 ID:ZJ+u8u4b0 [10/21]
王子は逃れようと身をよじるが転んでしまい、アサシンが上に乗りかかられた。
アサシンは王子の襟元を掴んで動けないよう固定し、
ナイフで切りつけようと右腕を上げる、が…
アサシン「…ッ!!?」
王子「…ッ」
アサシンは振り上げた手を止め、動揺の色を見せる。
王子「…?」
アサシン「貴様…」
アサシンは王子の顔と体、服を見る。
アサシン「貴様… 女…?」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:00:09.47 ID:ZJ+u8u4b0 [11/21]
王子「…だ、だったらなんだよ…」
アサシン「…なッ」
王子「…」
アサシン「…ッ」
アサシンはナイフを上げたまま硬直してし、困惑した表情で王子を見つめる。
王子は視線を逸らそうとしてアサシンの胸元に輝くペンダントに気付く。
揺れるペンダントの中には小さな女の子の写真が見えた。
王子(女の子の写真…)
アサシン「ックソ!」
王子「!」
アサシンは意を決するために深呼吸をして、ナイフを強く握り締め
王子の心臓めがけて一気に一突きにする!
王子「くぅッ」
ナイフが王子の胸の皮膚に触れたその時、
アサシンの腕が後ろに体ごと引っ張られ
壁に叩きつけられる!
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:03:49.93 ID:ZJ+u8u4b0 [12/21]
アサシン「あぐっ」
王子「!?」
通路の奥には何者かの気配があった。
アサシン「何…者だ…」
背中を強打され身動きできないアサシンが問いかける。
影はその声に見向きもせず言う。
『探しましたぞ…王子…』
王子「…ッ!!?」
『お久しぶりでございます王子、いや…王女というべきか』
王子「闇祭司…ッ」
暗闇から悪魔の姿をした闇祭司の姿が浮かび上がる。
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:06:06.95 ID:ZJ+u8u4b0 [13/21]
闇祭司『ファファファ…お迎えに上がりましたぞ』
王子「なんでお前がここに…!」
闇祭司『お忘れですかな?数日前に低級魔族と戦ったのを…
あれであなた方の所在を知ることが出来たのですよ…』
王子「あんなので…」
闇祭司『安全にお連れで着るよう私自らお出向かえしたのです。
何しろ魔王様を御産みになる大切なお体ですから…』
アサシン「…!?」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:08:43.37 ID:ZJ+u8u4b0 [14/21]
王子「黙れ!!だれがんなもん産むか!」
闇祭司『口汚い王族だ…さあ参りますよ…』
王子「く…来るな!ひっ」
ガッ
王子「な、離せ!!」
闇祭司は王子の体を巨大な手で掴むと、出口へと向かう。
アサシン「ま、まて…!まて…!!」
ほこらを出たところで闇祭司は翼を広げ、
そのまま空に舞い上がって行った…
アサシン「…そんな…」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:11:22.88 ID:ZJ+u8u4b0 [15/21]
▼北のまち▼
街は依然、混乱の最中であった。
ドラゴンは町人、隣国兵、ナイト達、リビングデッド構わず攻撃し、
同じようにリビングデッドも見境なく襲っていた。
プリースト「神聖魔法!!隣国兵さんたちがいるおかげで我々だけが狙われずにすんで
よかったですね…!」
メイジ「火炎魔法!!…全くだ!」
バーサーカー「どりゃ!!どりゃああああ!!」
ナイト「はっ…はっ…くそ!しかしキリがない!!」
魔法戦士「火炎っ魔、法、剣っ!!」
魔法戦士が剣に炎を宿らせ、リビングデッドに切りかかる!
魔法戦士「たあっ!」
しかしその剣は切るとすぐになまくら刀へとなってしまう。
魔法戦士「…ッこれで3本目だぞ!!?」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:13:53.63 ID:ZJ+u8u4b0 [16/21]
魔法戦士(やっぱそこらの兵士の普通の剣じゃ魔法剣に耐えられない…
俺の剣か…魔法剣専用の剣…あー聖剣が欲しいぜ)
メイジ「大丈夫か魔法戦士…」
魔法戦士「駄目だ駄目だ!こんな剣じゃ戦えないぜ!!」
メイジ「剣…剣か…!!そうか!!」
魔法戦士「なんだよ!」
メイジ「そこの武器屋へ入れ!剣があるに違いない!!」
魔法戦士「なるほど!!」
魔法戦士はなまくらになった剣で、横にあった武器屋のドアをぶち破り中に入る。
魔法戦士「見繕ってるから入口守ってくれよ!」
バーサーカー「まかせとけえええええ」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:18:04.20 ID:ZJ+u8u4b0 [17/21]
魔法戦士「剣!剣!…ほおぉ、なかなか良い品揃えじゃないか…ふぅん」
ごそごそ
魔法戦士「こっちは駄目だなデザインがダサい…」
ごそごそ
ナイト「早くしろー!」
遠くでナイトの叫び声が聞こえた気がした。
魔法戦士「わかってるって!!これはまあまあ…これにするか…ん?」
武器屋の奥にもうひとつ小部屋があるのが見える。
魔法戦士「なんだこの部屋」
その部屋には、手前の商品とは違う、質の良い剣がキレイに並べて展示されていた。
中でもひとつ、ガラスケースに入った剣が見える。
魔法戦士「こ、これは…!」
その剣の姿は黒く、刃には竜の倶利伽羅が刻まれていた。
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:21:47.82 ID:ZJ+u8u4b0 [18/21]
バーサーカー「魔法戦士帰ってこねえええええええええ」
ナイト「あいつマジで信じられん…!」
ナイト達は苦戦していた。全員の寝巻きはすでにボロボロだった。
メイジ「火炎魔法!!」
少年「…ん」
メイジ「少年、気がついたか!」
少年「ぼく…あっギガガンガーは!?」
メイジ「…生きている。あっちで隣国兵が相手してる」
ドラゴンは致命傷には至らないが、小さな傷を作られ血まみれになっていた。
少年「…!!」
隣国兵の数名が、建物の上からドラゴンにロープをかけて
身動きを封じる作戦に出る姿が見える。
メイジ「隣国兵は50人ぐらいかな…なんとか倒すことができるだろう…」
少年「ギガガンガー…」
メイジ「火炎魔法!!悲しむ暇はない。今はリビングデッドから生き残ることだけ考えるんだ」
少年「…」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:26:23.88 ID:ZJ+u8u4b0 [19/21]
バーサーカー「ガキ!そのおっさんから離れるなよ!」
少年「…わ、わかった」
隣国兵「うわああああああああああ」
隣国兵「ヤバイ!逃げろ!」
ナイト「!!なんだ!?」
バーサーカー「 !! ドラゴンがこっちに来るぞ!! 逃げろおおおおおおおお!!!!」
ロープを絡められたドラゴンがそれから逃れようと暴れ
ナイト達に向かって突進してくる!
ドラゴン「グオオオオオオオオオオオオオオオ」
少年「ギガガンガーッ!!!!ギガガンガーやめろおおおおお」
少年は突進するドラゴンに向かって叫ぶ!
メイジ「少年!!駄目だー!!」
その時ひとつの影がドラゴンの目前に躍り出た!
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:30:00.77 ID:ZJ+u8u4b0 [20/21]
ヒュッ
ドラゴン「!!」
ザシュ!
ドラゴン「グギャアアアアアアア」
少年「えっ」
メイジ「な…」
魔法戦士「フッ!」
ナイト「魔法戦士!」
顔面を切りつけられ激しくもだえ暴れるドラゴンの背に飛び乗り
魔法戦士は再び禍々しい剣で一突きする!!
ザクッ
ドラゴン「ギャアアアアアアアアアアアアアアア」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:00:37.16 ID:ZJ+u8u4b0 [21/21]
魔法戦士「…これは素晴らしい魔剣だ!」
ナイト「お前、遅いぞ!」
魔法戦士「フフン!まあな!」
ドラゴンは魔法戦士の攻撃により、その軌道を変えて再び突進する。
プリースト「あっちの方向は…!!」
ネクロマンサー「!!? 何…ッ」
ドラゴンはそのまま転がるように、ネクロマンサーのいた教会に激突してしまった!
ドゴンッ!
ゴゴゴゴゴ…
ネクロマンサー「うわああああっ」
ネクロマンサーは屋根から落ちてドラゴンの真横に落ちる。
次さるになったら寝る
朝にまた立てる
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