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ナイト「ファンタジーの世界に行って就職するならナイトだな」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/16(木) 20:21:28.12 ID:M8Mh2+ll0 [1/61]
プリースト「こんにちはナイトさん、アフターファイブのご予定はありますか?」

ナイト「なんだ、破戒僧」

プリースト「いきなりずいぶんですねえ」

ナイト「夕方は王子と剣の稽古だ」

プリースト「ふーんそうですか。じゃあ今夜は一日、王子と一緒にいてください」

ナイト「?なんだ」

プリースト「ビショップ様のオラクルが下りました。あなたは今夜一晩王子のおそばに」

ナイト「…神託?」

プリースト「精度が低いのでそれ以上はわかりません。お伝えすることはそれだけです。
    今夜は女メイジさんたちと合コンがあるのに…いやあ実に残念」

ナイト「ふん、くだらんな」




ナイト「…」

参考スレ
http://mimizun.com/log/2ch/news4vip/yutori7.2ch.net/news4vip/kako/1272/12721/1272118957.html

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 20:23:52.51 ID:M8Mh2+ll0
▼夕方、丘▼

ナイト「ほらほら王子、脇が甘い!」ドカッ

王子「ぐはっ」

ナイト「ははは、大丈夫ですか」

王子「大っ丈夫ですかじゃねーよ!ってー!ちょっとは手加減してくれよっ」

ナイト「騎士たるものそのような不誠実なことはいたしません。
    常に騎士は高潔さを誉れとし戦いますからね、
    正々堂々お相手いたします」

王子「騎士は弱きを助けるんじゃないのかよぉ」

ナイト「民を助け導くのが王の務めです。強くおなりください王子」

王子「ちぇー」

ナイト「さあ、立って」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 20:26:18.15 ID:M8Mh2+ll0
メイジ「王子ー」

メイジが浮遊しながらこちらへ飛んでくる。

ナイト「メイジじゃないか」

メイジ「やあナイト。王子、そろそろ魔法の授業の時間です」

ナイト「もうそんな時間か、では今日の剣技の稽古は終わりです」

王子「はあ…早くゲームして遊びたいなあ」

ナイト「では夕食後ゲームでもいかがですかな」

王子「ほんと?やったー!」

メイジ「では行きましょう王子」

王子「うん!」


01

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 20:40:50.79 ID:M8Mh2+ll0
▼夜、王子の部屋▼

王子「ま、まいりました…」

ナイト「これで9勝0敗」

王子「手加減…」

ナイト「ははは」

王子「もう寝る…」

ナイト「そうですか、それではオラクルにより今日は私もここで寝ますので。
    もうじき侍女が簡易ベッドをもってくると思います」

王子「えっ そ、そうなのか?」

ナイト「どうかしましたか?」

王子「い、いや…」


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 20:43:34.31 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「さあ寝巻きに着替えましょうか」

王子「…お、おう」

ナイト「じゃあ火を消しますよ、王子?どうしました?」

王子「別にっ」

ナイト「?」

あたりが暗闇に包まれた




▼深夜▼

ギ・・・

キイ・・・


ススス・・・


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 20:46:10.19 ID:M8Mh2+ll0
王子「すやすや」

・・・ギシ・・・

ナイト「はあ!」

ザシュ!

「ぐあ・・・ッ!」

ナイト「暗殺者・・・!?」

キン!ドカ!

ナイフを装備するアサシンはナイトのロングソードによって
すぐに壁に壁に追いやられる。

アサシン「くっ!」

ナイト「誰に雇われた!」

王子「…な、なに?」

ナイト「曲者です!避けていてください!」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 20:55:56.04 ID:M8Mh2+ll0
アサシン「ちっ」

アサシンは煙玉を使用した!

ナイト「!?…! 王子私の後ろへ!」

ナイトは王子の手を引いて自らの方へ引き寄せる

ナイト「…」

王子「…」

ナイト「どうやら逃げられたようです…
    すぐ報告を」


02


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 20:58:47.97 ID:M8Mh2+ll0
▼王の間▼
プリースト「オラクルの通りでしたね、まさか暗殺者が来るとは思いませんでしたが」

ナイト「捕らえられず面目ありません」

騎士団長「それについては後日始末をつけてもらう」

王「いや、王子を守れただけで十分である。
  神託がナイトを示したのもそれが最善であったためだろう」

プリースト「いったい誰が王子の命を狙ったのでしょう?」

騎士団長「王子が死んで得を得る者…」

ナイト「暗闇でしたが装備品はそれなりに良いものでした」

大臣「隣国ではないのか。辺境のこの国に手出しして利があるとすれば。
   我国のただ一人の跡取りである王子を亡き者にし
   混乱に乗じ一気に攻め落とす…」

プリースト「失礼ながら、それならばご健在の王を狙ったほうが良い」

騎士団長「口を慎め。お前は後ほどこれをビショップ殿に伝えるだけでいい」

プリースト「申し訳ございません」


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:01:20.03 ID:M8Mh2+ll0
王「隣国は…位置的なこともあり友好な関係を保っている。
  問題なく貿易もあり国民も恨みを持つものなどいないだろう…
  国内も比較的安定している今、考えにくかろう」

騎士団長「なにか思い当たる節が…?」

王「…魔族」

騎士団長「魔族!?」

大臣「し、しかし魔族は魔王ダークロードが滅ぼされ、力を失ったはず!」

王「…」

大臣「暗殺者は人間であったのだろう?ナイトよ」

ナイト「…はい、それは確かです」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:04:04.16 ID:M8Mh2+ll0
王「どちらにしても再び狙われるやもしれん。
  警備を厳重にし、病気静養として無期限にて王子を宮殿内に。
  このことはオラクルを聞いたもの…ここにいる者とビショップ
  王子の侍女以外には知らせぬよう」

大臣・騎士団長・ナイト・プリースト「はっ」

王「ナイトは引き続き王子の側近で護衛を」

ナイト「かしこまりました」




プリースト「ちょっと、ナイトさんいいですか」

ナイト「なんだ」

プリースト「魔族が人間に依頼した可能性も無きにしも非ず」

ナイト「!!」

プリースト「世の中なにがあるかわかりませんからねえ、ありえるかなぁと」

ナイト「まさか!そんなことが」

プリースト「ま、気をつけてください。
    今、あなたが王子の一番おそばにいるんですから」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:06:19.39 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「失礼します」

侍女「ナイトさん」

ナイト「王子はまだ起きてらっしゃいますか」

王子「起きて待ってたんだよ、父上なんだって?犯人は?」

ナイト「王子お伝えすることが。
    先ほどの賊の正体が判明するまでしばらくの間
    王子は病気静養として行動を制限することとなりました。」

王子「え…」

王子「なっ、なんで!?それは13歳になったらって父上が…!」

ナイト「13歳?」

侍女「王子、今だけでございます。
   すぐに捕まりますから…安心してくださいませ」

王子「だってすぐ捕まらなかったら…ずっと宮殿内じゃないか」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:10:27.90 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「ははは、そんなわけないでしょう。あなたは王の後を継がれるのですから。
    他国に外遊に行けたりだってしますよ。
    仕事の都合ですがね」

王子「ナイト…」

侍女「王子、今日はもうお休みください」

王子「…はい」






▼ 一ヵ月後▼

王子「ナイト! ナイト見て!次女が口の中で爆発するお菓子をつくってくれた!」

ナイト「はあ?」

侍女「空気を圧縮した気泡を飴に練りこんだ菓子です」

ナイト「これはまた珍妙な」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:13:31.93 ID:M8Mh2+ll0
王子「最近の製菓技術ってすごいな!バチバチする!」

侍女「喜んでいただけて光栄ですわ」

ナイト「王子、お暇ですか」

王子「…だって宮殿内も一部しか動けないし…つまんないよ」

ナイト「剣の稽古でもしますか」

王子「でえええええそれこそつまんないいいいいいい」

ナイト「私に勝てれば面白い玩具を買って差し上げます」

王子「お前手加減しないもん勝てないじゃんか」

ナイト「はははっ今日こそ勝ってみて下さい」

侍女「ふふふ…」


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:16:04.17 ID:M8Mh2+ll0
王子「また負けた」

ナイト「筋はいいですぞ、将来が楽しみですな」

王子「俺に剣なんて意味ないよ…こんな青痣だらけでさ」

ナイト「ふてないでください。玩具、買ってきてさしあげますから」

侍女「よかったですね、王子」

王子「本当!?やったー!ありがとうナイトー!いっぱい買ってきてくれよっ」

ナイト「い、一個だけですよ。これでけっこう薄給なんです」

王子「いやー楽しみだなー」


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:19:00.05 ID:M8Mh2+ll0
▼ 三ヵ月後▼

王子「今日は何日だっけー」

メイジ「お、王子今日は浮遊呪文をマスターしましょう!楽しいですよ」

王子「自由に飛べないけどね」

メイジ「申し訳ございません…」

王子「やるよ、やるったら!」




王子「毎日つまらないな…いつまでこんな日が続くんだろう」

王子「あっそうだ!」

王子「侍女ー!本買ってきてー」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:21:37.97 ID:M8Mh2+ll0
王子「ナイト。今日は侍女に買ってきてもらった本を一日読んでいるから
   仮病で休みたい勉強はしたくない…」

ナイト「仮病はよくないですよ」

王子「じゃあ理由はなんでもいいから、誰にも会いたくないんだ…
   お前もできれば部屋の外にいてほしい」

ナイト(…元気がないな…さすがにこれだけ軟禁されればそりゃそうか…)

ナイト「いいでしょう、では今日は特別に」

王子「ありがとう!ナイト!」



王子「なんちゃってー!
   誰が部屋でおとなしく本なんて読んでられるかっての!」

王子「ふっふっふ。備えあれば憂いなし、勉強はしておくもんだね。
   習いたての浮遊呪文!とう!」

部屋のある7階の窓から飛び出す王子

王子「さて、このあとは裏手の用水路から庭園へ出て…」


王子(ちょっとぐらいいいよな?今しか見れないんだもん
   暗殺者だってまさか軟禁中の俺が街に一人でいるなんて思わないだろ)


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:25:59.25 ID:M8Mh2+ll0
メイジ「今日の授業は無しか…せっかく時間があいたし街にでも出るか…
    んっ?」

女メイジたち「きゃープリーストさんったらー」

プリースト「またよろしくお願いしますね」

メイジ「…女メイジ君たち、こんなところで油売ってるとまた怒られるぞ」

女メイジたち「あ、どうもメイジさん。じゃあプリーストさんまた今度ねー」

プリースト「はいまた今度―ノシ」

メイジ「・・・」

プリースト「メイジさんじゃないですか。
     どうしてここに?今は王子の授業の時間では」

メイジ「王子は体調を崩されたそうでね、今日は休みになったのだ。
    あんな離れの塔に軟禁状態じゃあしょうがないかな」

プリースト「へぇ、そうなんですか」

メイジ「まあそういうわけだ、それじゃ」

プリースト「ええ。ぼくも職場に戻ります」


03


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:28:51.43 ID:M8Mh2+ll0
プリースト「王子が休み、ねぇ」

ビショップ「おおっ プ…プリーストよ!」

プリースト「!? ビショップ様、どうされました?」

ビショップ「今しがたオラクルが!」

プリースト「!! オラクルはなんと?」

ビショップ「魔の軍勢が攻め入ってくると」

プリースト「!!?アサシンが襲ってきて今度は魔物とはまた」

ビショップ「かなりはっきりした神託だ、すぐに各方面に伝えてくれ
    わしは王に直接このことをお伝えしてまいる」

プリースト「はっ!」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:31:53.10 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「どうも侍女さん。水の交換ですか?ご苦労様です」

侍女「ええ、そちらも今日は大変ですね、一日部屋の外で護衛なんて」

ナイト「いえ、交代もありますし。これも勤めですから」

侍女「ふふ、それではちょっとお部屋に失礼しますね」

ナイト「はいどうぞ」

キイ・・・パタン


侍女「…ッおっ王子!? 王子ー!?」

ナイト「…!?侍女さんどうかされましたか!?」

侍女「な、ナイトさん大変です!」

侍女「王子が…!王子が部屋にいません!!」

ナイト「!!!!? くそっまさか…!!」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:39:06.32 ID:M8Mh2+ll0
プリースト「ナイトさん!!」

ナイト「プリーストいいところに!お…」プリースト「それより魔の軍勢が攻め入ってくるとオラクルが下されました!」

ナイト「なんだと…」

プリースト「魔王がうち倒された今、どの程度の力を持っているかはわかりませんが
とりあえず王子を安全な場所へとのお達しです」

ナイト「…ッ王子はいない!」

プリースト「…」

ナイト「おそらく街に逃げられた!お前も探してくれ!」

プリースト「ちっやはりか…」

ナイト「俺の配慮がいたらないばかりに…すまんが頼む!」

プリースト「しょうがありませんね、貸しひとつですよ」

ナイト「王子さえ無事ならなんでもする!今はとりあえず街へ!」

プリースト「はい!」


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:42:01.05 ID:M8Mh2+ll0
▼街▼

王子「あー楽しいなあ!」

王子(ストリートファイトにえっちいお店にゲーム屋さん。珍妙な服装の若者。街は刺激でいっぱいだ)

王子(みんなこういうところで生活してるんだなあ)

ぐぎゅるるるる

王子「おなか減ったな…」

王子「次なにしよう…
    あ!酒場だ!酒場に行ってみよう!
    お酒飲むところなら食事もできるよな」


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:46:16.58 ID:M8Mh2+ll0
・・・・・・

マスター「ガキはとっとと家に帰ってママの手伝いでもしてな!」

王子「わっわっはなせ!何するんだ!」

マスター「ここはガキの来るところじゃねーんだよ、おらっ」

王子「いで!」

王子「くそーお金ならあるのにっ」

王子「これはなんとかして入りたいな…あ!」

王子の目の前を一人の剣士が通り過ぎていく。

王子「ちょ、ちょっとそこの旦那旦那!」

魔法戦士「ん?俺か? なんだ子供」

王子「ちょっと雇われてくれないか」


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:49:28.44 ID:M8Mh2+ll0
魔法戦士「あいにく子供の冗談に付き合う暇はないぜ」

王子「ままま待って!金は払う!50G!」

魔法戦士「子供の小遣いにしては大金だな」

王子「しかもあそこの酒場で飲み放題付き!」

魔法戦士「無駄遣いせず漫画でも買ってな」

王子「ケチ野郎!いいよ、じゃああそこのおっさんに頼むから」

魔法戦士「へ?あ! コラ待て子供! あほか、あいつ人買いだぞっ」

王子「話ぐらい聞いてくれる?」

魔法戦士「う…話ぐらいは…」

王子「ふ…ふふふ、じゃあとりあえずあの酒場で」

魔法戦士(な、なんか変なのに捕まってしまったぜ…)


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:52:32.02 ID:M8Mh2+ll0
▼酒場▼

王子「へー、魔法戦士は剣を探してこの国まで旅して来たのか」

魔法戦士「ふっそうだ、この国には魔王を倒した伝説の聖剣が眠っていると聞いてな、
       コレクションとしてあわよくばくすね…見れればと思ったのさ」

王子「その剣は王室が管理してて旅人なんかとてもじゃないけど見れないよ」

魔法戦士「ああ、どうもそうらしい…で?」

王子「でって、なにが」

魔法戦士「なにがってお前の言っていた依頼だ。そろそろ話せよ」

王子「ああ、それならすでに完了だよ」

魔法戦士「は?」

王子「いやあ。酒場って憧れてて入ってみたかったんだけど、子供だけだと追い出されてさ」

魔法戦士「は?」

王子「ありがとう、堪能できたよ。ま、もっと飲んでくれ」

魔法戦士「なっなんだと・・・」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:55:15.29 ID:M8Mh2+ll0
魔法戦士「ばかな…、なんだってこんな荒んだ酒場に好き好んで…
      俺はてっきり子供が50Gも出すからには
      何かかわいそうな事情でもあるものと…」ブツブツ

ガタッ

王子「あっ どこいくの」

魔法戦士「子供の遊びに付き合ってられるか」

王子「待って報酬!」

魔法戦士「いらん、はよ帰れ」

王子「そういうわけにはいかないよ、約束破ると怒られるんだ」

魔法戦士「だまくらかしといて何が約束だ」


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 21:58:23.91 ID:M8Mh2+ll0
メイジ「さーてレトルトカレーも裏技魔法大技林の最新刊も買ったし次は…」

ドンッ

王子「ご、ごめんなさい!あっ魔法戦士まって!」

メイジ「ああ、こちらこそすみませんっ…て、おおおおお」

王子「!! ぎゃー!」

メイジ「えっ!?えええ?」

魔法戦士「どうした!」

王子「助けて!あいつが!俺を誘拐しようと!」

メイジ「ええ??」

魔法戦士「誘拐だと? なんだ貴様は」

メイジ(???名前を呼んだらまずいのか!?)

メイジ「ちがう!誘拐じゃない、私はその方の知合いというかなんというか…」



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:00:49.27 ID:M8Mh2+ll0
魔法戦士「トラブル続きで困ったもんだぜ、まったく。
       だがこの間 手に入れたこの剣の使い勝手が知りたかったところだ」

ギラッ

メイジ「ちょ待っ」

魔法戦士「くっくっくっ! 俺の魔剣は血を欲している!」

王子「!?殺しはだめだぞ!」

魔法戦士「刃背打ちだ!安心しろ!火炎魔法剣!」

ズバァ!

メイジ「だああああちっあちっローブが燃える!冷却魔法!」

魔法戦士「なかなかやるな!」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:07:06.75 ID:M8Mh2+ll0
メイジ「くそっ…なめるな!重力魔法!」

魔法戦士に身動きできないほどの重力がかかる!

魔法戦士「ぐあっ」

メイジ「やれやれなんだっていうんだ…
    何故こんなことになったかはわかりませんけど。さあ、こちらへ」

王子「う、ううー …はい」

魔法戦士「ま、まて…!この変態!人攫い!」

メイジ「な…おいっ人聞きの悪いことをいうなっ」

ざわ・・・ざわ・・・

魔法戦士「人殺し!童貞!誰かこいつを止めろ!今まさに青少年がたぶらかされている!!」

メイジ「わあっやめろ!!!やめてくれ!!!!買い物に来れなくなる!!」

おばちゃん「少年!なんだかよくわからないけどあんたはやくこっちに逃げておいでー!」

王子「あ…あわわわわメイジごめん!」

メイジ「何故こんな目に!」

04


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:12:33.99 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「なんの騒ぎだ!」

メイジ「ああああナイト!助かった!」

ナイト「メイジ何してるんだ」

王子「ナイト!」

ナイト「王子ッ!!!!!!!!!!」

ナイトは王子を発見すると瞬時に王子の前に跪いた。
王宮騎士の鎧を身にまとう男が名乗った名前に周囲はどよめく。

魔法戦士「お…王子ぃ…?」

ナイト「探しましたぞ!」

王子「ごめん…ものすごく反省してます」

ナイト「ご無事でなによりでございます」


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:15:32.51 ID:M8Mh2+ll0
ナイトは立ち上がり集まった十数人の民衆に叫ぶ。

ナイト「皆のもの!このたびは騒がせた!
    事情は病床にふせる王子が忍びで薬湯にいかれる途中
    熱にうなされ徘徊してしまわれ現在に至る!
    すぐにお連れいたすので静まってくれ!」

メイジ「助かった…」

魔法戦士「あの子供が王子…?」

メイジ「そういうことだ。わかっただろう」

魔法戦士「…」

ナイト「さあ参りましょう王子」

王子「うん」

王子がナイトの手にふれようとした瞬間

ズウウウウウウウンンンン・・・・・・

突如周囲の街全体が闇に包まれた!


05



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:19:10.39 ID:M8Mh2+ll0
ナイト・メイジ「ッ!?」

王子「なんだ、急に空が…地面も…地面から影がひかってるみたいだ…」

ナイト「まずい!こんなに早くなのか…!?」

メイジ「どういうことだ!?」

ナイト「皆、逃げろ!魔族が来るのだ!ぐずぐずするな!」

メイジ「ま、魔族ぅ!?」

ナイト「説明は後だ!メイジ、王子をお連れして城へ向かうぞ!」

メイジ「…わかった!」

王子「わあ!」

ナイト・メイジ「!!」

闇に染まった地面からわきたつように低級な魔物があらわれる!

ナイト「ちぃっメイジ!俺が道を切り開く!後ろで王子の護衛を頼む!」

メイジ「王道だ、了解」


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:21:36.14 ID:M8Mh2+ll0
・・・・・・

▼町外れ▼

うらぶれた街のはずれを駆けていく三人。

ところどころ炎上している街中のあちこちで叫び声が聞こえる
城から派遣されたであろう兵士たちの戦う声も

ナイト「だあっ!」

メイジ「火炎魔法!」

ナイト「はあっはあっ くそ…きりがないな」

王子「俺のせいで… ごめん二人とも…」

ナイト「ご安心ください、必ず城へお連れいたします」

王子「ごめんなさい…」

メイジ「しかしすごいな、この広範囲な暗黒魔法。
    街はずれを通れば力が及ばないかと思ったけど、これはおそらくこの城下町一帯やられてる」

ナイト「ああ…」



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:23:50.42 ID:M8Mh2+ll0
王子「城は大丈夫かな…父上…」

メイジ「城内は強力な神聖魔法がかかってるからたぶん大丈夫だと思います」

ナイト「なんで今なんだ・・・魔族がこの国を襲うなんて」

メイジ「先の王に魔王を倒された恨みにしてはもう何代も前の話だしな」

王子「…」


ナイト「!?」

先に進むナイトが突然止まる

その足には地面から湧き出るどどめ色の触手がからみついている!

魔物『おおおおおお…』

ナイト「くそ!」

王子「ナイト!!」


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:26:28.59 ID:M8Mh2+ll0
メイジ「まずい!氷結呪文!」

メイジの放つ氷結呪文が地面の触手を凍てつかせる!

ナイトはそれを剣でなぎ払う…が、
湧き出る触手の量に追いつかずナイトの足は地面に沈んでゆく。

ナイト「…!メイジ!王子を頼む!」

メイジ「わかった…っ 王子っ」

メイジが王子の手を引き場を離れようとする。

王子「ナイトそんな!駄目だあきらめるな!」

ナイト「王子!」



「その通り、あきらめるのはまだ早い…!」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:29:11.32 ID:M8Mh2+ll0
メイジ「!?誰だ… あ!お前…!!」

王子「ま、魔法戦士!?」

魔法戦士「どりゃああああああ」

魔法戦士の燃える剣で近くの納屋がふっとばされ
その解体された柱がナイトの足元に落とされる!

魔法戦士「その柱に飛び移って走って来な!」

ナイト「恩にきる…!」

ナイトは渾身の力で柱に足を乗せると、一気に柱を駆けて触手を逃れた。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:32:05.63 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「本気で死ぬかと思った」

王子「よかった!魔法戦士ありがとう!」

魔法戦士「ふっ…」

メイジ「私からも礼を… では」

魔法戦士「まて、俺も連れて行け」

ナイト「何?」

魔法戦士「俺は役に立つ」

ナイト「恩があるのに悪いが、部外者を連れて行くわけにはいかん」

魔法戦士「ならば勝手についていかせてもらおう」

ナイト「…勝手にしてくれ。ただし変なマネはするなよ」

魔法戦士「ふっ」


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:36:03.12 ID:M8Mh2+ll0
▼城門▼

なんとか辿りつくナイトたち
だが城の門の前には倒れる兵士たちの姿が

ナイト「…ッ おいしっかりしろ!!」

魔法戦士「この死体、外傷がないな」

メイジ「即死魔法だ… 城にかかってた神聖魔法の結界が消えてる」

ナイト「城内まで… そんな馬鹿な!」

メイジ「どうする?」

ナイト「ここまで来てしまったら城内からの抜け道を使ったほうが早い。入ろう」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:38:17.55 ID:M8Mh2+ll0
メイジ「そんな道を知っているのかい」

ナイト「このたびの王子の護衛のおかげでね」

王子「城のみんなどうするんだ?」

ナイト「申し訳ございません。今の私には貴方をお守りするのが精一杯なのです。
    王もきっと同じ道で逃げていらっしゃるでしょう」

王子「…」

魔法戦士「」そー…

ナイト「? おい魔法戦士どこへいくんだ」

魔法戦士「え!? いやいや別に」

ナイト「抜け道はこっちだ」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:42:03.30 ID:M8Mh2+ll0
▼城内▼

魔法戦士「城の中も魔物が大漁だぜ、まったく」

ナイト「はあっはあっ… 王子、もうしばらく我慢ください」

王子「うん…」

その時、突然に聞きなれた声が響く。

「誰か生きてるものがいるのか!?」



ナイト「!!? 白の者か!?俺だ!騎士団のナイトだ!!」

プリースト「ナイトさん…!?それに王子!
     よくぞご無事で… …こいつは誰です?」

プリーストは素早く身構え魔法戦士にメイスを向ける。

魔法戦士「おいおいよしてくれ。街に出たあんたらの王子と知り合いになったものだ。」

メイジ「一応、街中で王子を守ろうとしたり、さっきナイトの命を助けてくれた。」

王子「たぶん大丈夫だよ。俺に騙される程度には人が良かった」

魔法戦士(…このガキ)

06


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:45:29.46 ID:M8Mh2+ll0
ナイトがプリーストに耳打ちする。

ナイト「さっき城の中に入ってからこっそり離脱しようとしていた。良くて火事場泥棒だ」

プリースト「…わかりました。
    ああそうそう、すぐあちらに王とビショップ様、大臣がいらっしゃいます。
    それと王子の侍女もね。共に行きましょう」

王子「父上と侍女も!?よかった!
    父上!侍女!俺だよー!」

王子がプリーストの指す部屋へ駆けて行くと、通路の先で
その声を聞いた侍女が王子の前にあらわれ王子を抱きしめた。

続いて王子は王の方へ抱きつき「ごめんなさい」と発していた。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:48:27.68 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「王…、…申し訳ございませんでした…」

王「いや…、城にいなかったおかげで王子を失わずにすんだ」

王子「そうなのですか父上?」

王「そうだ、しかしこのような勝手は今後は慎むのだぞ。
  今回はたまたま結果がよかったが必ず良い結果になるとは限らない」

王子「…はい」

王「お前たちもよく生き残っていてくれた。そして王子を守ってくれたこと礼を言う」

ナイト「もったいないお言葉でございます」

ビショップ「王よ、あまり長居はできませぬぞ…」

王「そうであるな、では皆のもの、行こう。」


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:52:52.50 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「プリースト、今の状況どの程度把握している」

プリースト「さて… 城内は何者かに神聖魔法の防御が破壊され、
     広範囲の即死魔法をくらって魔法耐性のない者は一気にやられたようです。
     その後の魔族襲撃… 残ったメイジやプリーストも大半はそれで」

メイジ「…誰かが手引きしたのだろうな」

ナイト「騎士団長らは」

プリースト「王を逃がすために王の間で戦っています。生死不明」

ナイト「…」

プリースト「ま、わかるのはこのぐらいですかね」

ナイト「そうか、お前も侍女もよく無事だったな」

プリースト「彼女は王子脱走の件で王のもとにいたので助かったようです。
    ぼくも街の様子がおかしくなったのですぐに城へ戻り今に至るというわけです。
    …この期におよんで王子探しをさぼったりなんかしませんよ。疑り深いですね」

ナイト「わかってる。探ってるわけじゃない」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:55:51.50 ID:M8Mh2+ll0
メイジ「しかしこれだけの大規模な魔力、すごいぞ…」

プリースト「ええ、そうですね。
     よほど前から準備していたと見える」

魔法戦士「というか、国を落とされてお前らこれからどうするんだ」

ナイト「どうするもこうするも、今は王をお守りするだけだ」

魔法戦士「そりゃ律儀だな」

王子「みんな、何を話してるんだ?」

ナイト「王子に命を助けていただいたことを話していたのですよ」

王子「ふーん?」

侍女「そうですよ。一時はどうしましょうかと思いましたがお蔭様で…ありがとうございます王子」

王子「よ、よせよ皆して。悪いことして褒められるなんてなんか気持ち悪いよ」

ナイト「その正しきお心、私は教育係としてうれしく思います」

王子「よせって!」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 22:58:18.21 ID:M8Mh2+ll0
大臣「あとどのくらいなのだ。本当に大丈夫なのか」

ビショップ「あと少し行けば地下通路に入れますゆえ今しばらく」

大臣「そうか…しかし王子がご無事で本当によかったですな。
   王宮にいないと知ったときは肝が冷えた」

ビショップ「そうですな。」

大臣「魔王を倒した聖剣の唯一の継承者だからな…」

大臣「聖なる血の流れを絶やしてはいけない」

大臣「それが忌み子であっても」

ビショップ「大臣どの、他のものに聞こえますぞ…今、何故それを…」

ドスッ



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:03:43.09 ID:M8Mh2+ll0
ビショップ「がはっ

大臣「そう、やっと生まれた聖なる血の生贄だ」

ビショップ「き、さま…ぐふっ」

プリースト「!!!?ビショップ様!!?」

王「大臣なにを!!」

大臣「本当に王子がご無事でよかった…」

ビショップを刺した短剣を放り投げ、邪悪な笑みを浮かべる大臣は
みるみる身丈2メートルほどになり
翼手と牙を生やした五つ目の悪魔へと変貌する!

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:06:48.35 ID:M8Mh2+ll0
侍女「ひっ」

ナイト「大臣が魔族…だと!?」

メイジ「まずい…なんて魔力だ…」

魔法戦士「お前らのところの大臣やばいぞ…!どういうことだっ」

ナイト「貴様が城の結界を…!」



『ファファファ…そのとおり。我は魔王ダークロード様に仕えるもの…闇祭司!!!』


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:09:16.41 ID:M8Mh2+ll0
闇祭司『時は満ちたり…魔王様復活の生贄よ…』

王「・・・ッ」

闇祭司『この時を待ちかねたぞ、よくも隠してくれたな王よ。
    まさかすでに生まれていたとはな…』

王「黙れ!みなワシはよい!王子を守れ!
  ナイト!道は知っておるな!?」

ナイト「はっ」

王「王子を連れて逃げろ!!」

ナイト「…ッ!?は、はい!!王子!」

王「そして王子を聖剣のもとへ…」

ナイト「聖剣…!?」

闇祭司『そうはさせぬっ』

闇祭司はすばやく王の頭を掴み上げる!

王「ぐっ!!」

王子「父上!?」

ナイト「王!!」


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:24:07.14 ID:M8Mh2+ll0
闇祭司『親しき者たちを殺されたくなくば 大人しくこちらへおいで下さい、王子よ』

王子「え…!?」

闇祭司『我が手にかかれば意図も簡単に、ここにいる者を全て殺し連れゆくこともできるのですよ
    このように!』

パキパキパキ…!

侍女「あっ、あぁっ…」

闇祭司がもう片方の手をかざし呪文を放つとわずか3秒ほどで
足元から侍女が凍りつく。

氷の彫像はバランスを崩し倒れ、その場でいくつかに割れ散った。

王子「あ」

ナイト「…ッ」

闇祭司『侍女と王子は仲がよろしかったですな、確か。
     次は誰がよろしいか?』

王「ナイト早く王子を連れてゆけ!!」

ナイト「…王子!失礼いたします!!」

ナイトは王子をかつぎあげ走り出す!


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:26:36.31 ID:M8Mh2+ll0
王子「じ、侍女…侍女ッ…ナイトはなせ…!はなしてくれ!!!」

ナイト「っ…暴れないでください!」

王子「父上が!助けなきゃ!俺が行かないと!!」

闇祭司『逃げてもらっては困るぞ。雑魚騎士が!』

闇祭司が今度はナイトに手をかざすと、地面から3本ほどの槍のような細い円錐の石が突き出し
ナイトの左大腿部が貫かれる。

ナイト「ぐわっ」

メイジ「ナイト!!くそ…っ火炎魔法!!」

闇祭司『私に向けて攻撃とは、人質がいるのだぞ?』

メイジは闇祭司に向かって火炎魔法を放とうとするが、
闇祭司は手に持つ王をメイジが放つ火炎魔法の盾にしようする。

メイジ「王ッ」

とっさにメイジは放とうとした火炎を霧散させる。

王「馬鹿め…!」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:29:28.16 ID:M8Mh2+ll0
ビショップ「け、…結界魔法!」

そのときか細い声で神聖魔法の呪文がはなたれる!

闇祭司『!?』


横たわるビショップが自らと闇祭司を光の結界で包み込んだ。

ビショップ「これで小一時間はこやつをここへ留められよう…ぐ…
     プリースト、私の回復はもうよい…お前も行け…ッ」

プリースト「ビショップ様!」

闇祭司『この死に損ないが…!』

魔法戦士「おい、せっかく言ってくれてんだ行くぞお前ら!」

メイジ「…行こうプリースト」

プリースト「わかっていますとも…!」

三人はナイトのもとへ走る。

プリースト「ナイトさんすぐ回復します」

プリーストが回復魔法をナイトにかける。

ナイト「すまない!行こう!」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:32:46.50 ID:M8Mh2+ll0
ビショップ「王よ、お守りできなく…もうしわ…け…」

うつろな目でビショップのその言葉が終わると同時に
闇祭司は怒りに震える手に力を込め、王の頭を潰した。

通路を走るナイトの背で王子はそれを見る。

王子「父上、父上!!ナイト離せ!」

ナイト「…ッ」

王子「こんなのいやだ…     こんなのやだああああ!!」



07



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:35:33.46 ID:M8Mh2+ll0
▼街から離れた森の中▼

土や枯草の乗せられた蓋が開けられ、ナイトたちがでてくる。

魔法戦士「やっと地上か」

メイジ「森…ここはどのあたりなのだ?」

ナイト「西の森だ。」

プリースト「山ひとつ越えてますね。どうりで疲れたわけだ…」

ナイト「星が出てるうち、明け方までは歩く」

メイジ「どちらへ向かうのだ?」

ナイト「…わからん、とりあえず近くの村へ向かおうかと思う」

ナイト「王は王子を聖剣のもとへとおっしゃったが、
    今はとてもじゃないが王宮には戻れない。
    体勢をたてなおし…」

魔法戦士「! そうだ、悪いが俺はここで…」

王子「…剣は、王宮にはない…」

ナイト「王子…!」




73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:39:49.87 ID:M8Mh2+ll0
王子「ナイト…もう降ろしてくれて平気だ。自分で歩く。」

ナイト「…」

魔法戦士「お、おい。聖剣は王宮にあるんじゃないのか?」

王子「王宮にはない。場所は俺も知らない。父上とビショップだけが知ってた。
   13歳になったら教えてもらうはずだったから」

ナイト「そうなのですか」

王子「うん」

プリースト「そういうことなら、一刻も早くここを離れ村へ行きましょう。
    剣の話は村についてから。」

ナイト「あぁ…そうだな」

魔法戦士「悪いが俺はこれからもよろしくさせていただくぜ。」

ナイト「勝手にしてくれ」



王子「…」


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:43:11.26 ID:M8Mh2+ll0
一同は夜の森をゆっくり進んでゆく。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:45:42.51 ID:M8Mh2+ll0
▼ 5日後 ▼

ナイト「…」

メイジ「…ナイト、言いたくないが道はあってるのかい?」

ナイト「…正直…どこかで獣道に入ったみたいだ」

魔法戦士「おいおい…勘弁してくれよ…」

プリースト「山道で地図すらないんじゃしょうがないですね。準備不足が悔やまれます…」

ナイト「大まかな位置しか把握してなかった…いけると思ったのだが…すまない」

メイジ「迷ってることがわかっただけでいい。こんな山道誰も知らないし、どの道同じ結果だったろう」




76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:49:28.60 ID:M8Mh2+ll0
魔法戦士「問題は食事だな」

王子「やもりってはじめて食べたよ…俺…。」

ナイト「…うっ」

ナイト「王子、私どものせいで…!申し訳ございません!!」

王子「お、おいナイト、別に皮肉じゃないぞ」

ナイト「私に代わりがいれば今この場で腹を切るのですが…切るのですが!」

王子「なんだよっやめろって気持ち悪い」



プリースト「ナイトさんの疲れもずいぶん溜まってるみたいですね…」

メイジ「…そのようだ」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:52:16.28 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「ん?」

王子「どうした?」

ナイト「あちらに火が…」

王子「焚き木…?」

ナイト「人がいるようだ、行ってみよう」

ガサガサ

木々を進んだ先にはナベに火がかけてある。

王子「スープだ」

ナイト「まだ沸騰してないから近くにいるな…」

ドスッ

ナイト「は…!!」

突然ナイトの足元にボウガンの矢が突き刺さる!

「お前ら俺の飯に何かようか?」

暗闇からボウガンを構えた大男があらわれた。


08


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:55:46.75 ID:M8Mh2+ll0
ナイト「…道に迷って困ってる。火が見えたから来た、それだけだ」

バーサーカー「ほおーそれはそれは」

ナイト「貴殿の装備は賊じゃないな。傭兵か…
    武器を下ろしてくれるとありがたいが」

バーサーカー「よくわかるな。お前らはその紋章付きの装備からして、王宮仕えか?」

ナイト「そのとおりだ」

バーサーカー「俺もちょうど城に用があったんだ。」

バーサーカーは武器を下げニヤリと笑う。

ナイト「何?」

バーサーカー「傭兵募集してないかと思って来たんだけどよ、いやぁちょうどいい」

プリースト「あなたこれから首都へ向かうおつもりで?」

バーサーカー「そうだよ。迷ってるってお前ら、今から城へ戻るんだろ?
       採用の口添えしてくれりゃ連れて帰ってやるぜ!」

ナイトたち一同は陽気に話すバーサーカーを見て目をあわす。


メイジ「あー…実は―…」


79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/16(木) 23:57:59.14 ID:M8Mh2+ll0
・・・・・・・・・・

バーサーカー「マジかよ。」

メイジ「非常に残念なことに。」

バーサーカー「はーついてねえ。ここまで来て首都が陥落してるとは…」

ナイト「近くの村まで連れて行ってくれれば礼金ぐらい払おう」

バーサーカー「いーよ。俺も戻るつもりだから…いくらでも連れていってやらぁ」

王子「ありがとう。バーサーカー」

バーサーカー「おーおー。ところでその王子ってのはこの小娘か?」

王子「は、はあっ!?誰が小娘だ!」

ナイト「おいっさすがに無礼だぞ」



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/17(金) 00:01:45.06 ID:M8Mh2+ll0 [61/61]
プリースト「というかそもそもその方は娘じゃありませんけど」

バーサーカー「え、まじか。本気で女かと思ったわ」

王子「なにを!!」

メイジ「いくら身なりが良くても、王子って呼んでいるのだからわかりそうなものだ…」

バーサーカー「知るかよそう思ったんだよ…あー勘まで鈍ってやがる」

魔法戦士「…勘で性別わけるなよ…」

王子「まったくだ!」

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 00:04:05.55 ID:5ll6sKIa0
▼近くの村、食堂▼

ナイト「宿も確保できたし一段落つけるな。
    まず無事、村につけたことに乾杯を」

ナイトがコップをかかげると皆もそれに合わせて乾杯する。

ナイト「そして功労者であるバーサーカーに感謝を。今日の宿ぐらいは面倒見させてくれ」

バーサーカー「おう。じゃあそれは世話になるかな」

ナイト「では久々の食事を楽しもう」

カチャカチャ…

王子「おいしい」

プリースト「ええ」

王子「首都とはずいぶん違うね」

プリースト「田舎のわりには大きいほうですよ」



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 00:07:23.99 ID:5ll6sKIa0
王子「あれから何日かたったけど、どうなってるだろう…」

メイジ「…首都は壊滅でしょう。
    情報がすぐに伝わる大きな地方はいまごろ混乱の最中ではないかと。
    ただ今の魔族にはこれ以上の侵攻する勢力はないはず…。
    おそらく隣国は今頃、兵をこちらへ向かわせてると思われます」

王子「そう…そっか」

プリースト「一旦、王子を隣国へ保護していただくのがいいかもしれませんね」

王子「でもさ、今の状況で俺を保護なんてしてくれるかな。」

ナイト「…それは。掛け合ってみないことには」

メイジ「私はそういう掛け合いは苦手だからな」

魔法剣戦士「おい、聖剣はどうするんだ」

ナイト「聖剣は…場所がわからんのでどうしようもない…
    とにかく今日は寝て、地図を買ったら情報を得つつ隣国方面へ向かおう。」


85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 00:12:03.36 ID:5ll6sKIa0
▼夜▼

王子「なあ、ナイト」

ナイト「なんですか王子」

王子「聖剣があればあいつを倒せるかな」

ナイト「闇祭司ですか、あの化物は…確かに普通では倒すことは難しそうですね。
    魔王すら倒したという聖剣がればわかりませんけど」

王子「…」

ナイト「明日も歩きます、早く寝ないと」

王子「…うん」

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 00:15:00.99 ID:5ll6sKIa0
▼宿屋の横▼

王子「はあっはあっ」

王子(女か…俺はそんなに弱そうなのかな…)

王子(ちくしょう…俺はみんなの足手まといだ…)

王子(どうしたらいい…)

王子「父上、侍女…」

名前をつぶやいた時に王と侍女の死に目を思い出してしまう。

王子は頭を振り、暗闇を睨み付け再び剣を振る。

王子「…?」

あたりの緊迫した雰囲気にふと気がついた。

どこからともなく漂ってきた霧に王子は剣を降ろす。

王子「なに…」

暗がりの霧の濃い方から人影が浮かび上がる。

王子「…ッ!!」



88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 00:18:09.40 ID:5ll6sKIa0
人影はぼんやりと形を成し、王子に語りかけた。

『王子…よ…』

王子「そんな…」

王『会いたかったぞ…王子…』

王子「父上…」

王『こちらへ…』

王子「幻覚…?父上なのか…?」

王『ぐっ…』

王の影が苦痛に歪む。

王『王子…ッ来るな…逃げ…!』

王が告げると王の影は霧散した。



89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 00:21:14.66 ID:5ll6sKIa0
王子「父上!?…は!」

キィン!

王子「うわっ」

左から切り込まれた剣を受け止めるが、その反動で王子の体は吹っ飛んだ。

アサシン「使えぬ魂だ…」

王子「アサシン…!」

王子はなにが起こったのかわからず混乱しながらも
アサシンを確認すると身を返して宿屋へ走り出す!

が、背後から足にヒモが引っ掛けられすっ転ばされた。

王子「ぎゃっ」



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 00:24:54.30 ID:5ll6sKIa0
アサシン「貴様に恨みは無い、だがその命はいただく…」

王子「だれかっ…」

アサシンは声を出そうとした王子の口を塗れた布で強く押さえつけ
首に短刀をあてる。

アサシン「忌み子として生まれたことを恨め…」

王子「くぅっ」

ドスッ

アサシン「ぐぁッ!?」

短刀を持つアサシンの左手をボウガンの矢が貫いた!

アサシンが矢の飛んできた方を睨み付ける。

バーサーカー「かわやに行ったらこれだもん。やっぱ俺って勘がいいよなあ」

王子「バーサーカー!」

バーサーカー「ガキんちょ相手に穏やかじゃないぜっと!」

バーサーカーは背に掛かるアックスを取り出すと
アサシンに切りかかる!



91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 00:27:31.84 ID:5ll6sKIa0
アサシン「馬鹿め!」

アサシンは素早く避け、代わりに木が犠牲になった。

アサシンはバーサーカーの背後に回りこみ短刀を振り上げる。

アサシン「この子供は魔王復活の鍵だ…生かせておくわけにはいかない!」

バーサーカー「理由は後で聞くぜ!!どりゃあああ」

アサシン「ちっ…!」

アサシンはバーサーカーから距離を離し、王子に切りかかった!

バーサーカー「てめ…!」

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 01:01:12.92 ID:5ll6sKIa0
王子「わっあっ!」

王子は剣で防御をするが、アサシンの刃は王子の左胸、脇、腕を裂く!

王子「あっ…!」

アサシン「チィッ」

バーサーカー「がああああああっ」

王子を切りつけたアサシンの手が浮いた所を狙って、バーサーカーのアックスが振り下ろされる!

グシャ!

アサシン「…ッッッ!!!!」

アサシンの左腕はアックスによって叩ききられ、アサシンは地に伏せた。

09


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 01:04:23.13 ID:5ll6sKIa0
アサシンは身を転がしてバーサーカーから離れた。

アサシン「ぐぅ…うう…ぉお!」

うめき声を殺しながらアサシンは高く飛び、闇に消えた…

バーサーカー「おいガキんちょ、大丈夫か?見せてみろ」

王子「大丈夫だ…自分でできる…っ」

バーサーカー「はぁ?お前らの中にプリーストがいるだろうが。」

王子「…自分で…」

バーサーカー「ガキんちょは黙ってろ!」

王子はバーサーカーに宿へ抱えられていった。

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/17(金) 01:07:11.56 ID:5ll6sKIa0
一旦終了

ここでスレ落ち

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