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上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」

上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」

上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」

209 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:46:18.93 ID:BbjA87A0 [2/12]
「その、なんだ。正直、気持はすげー嬉しいよ。お前ビリビリしてなきゃ可愛いし、お嬢様だし、何でもできるし」

「………………」

「いやほんと光栄だし、俺なんかがお前を振るとかおこがましいというか……」

「じゃあ、何でだめなのよ? 付き合ってくれてもいいじゃない!? 何でだめなのよ!!!」

「い、いや! だからそれはその、なんと言うかだな……」


体を震わせ叫ぶ美琴をを見て、余計なことを言ってしまったと上条は慌てる。
どうおさめるべきかオロオロとしている上条だが、美琴は突然表情を変えクスリと笑った。


「……なーんてね」

「へ?」

「ほんとはさ、振られるんじゃないかなって何となくわかってた。アンタ私のこと女の子として見てなかったでしょ?」

「そ、そんなことは……」

「隠さなくてもいいわ。普段の私の態度を考えれば恋愛対象に見てくれるわけないし。良くて戦友ってとこかしら?」


上条から視線をそらし、美琴は少しだけ悲しそうな顔を見せた。
それもすぐに上条に向かい直し、ひどく残念なものを見るような表情を見せる。


「だから、馬鹿みたいに下手なフォローとかしなくていいわよ。アンタは馬鹿なんだから、馬鹿なりに馬鹿正直に応えてくれればそれで十分よ」

「て、てめぇ仮にも告白した相手にそこまで馬鹿馬鹿言うのか!?」

「それを引き合いに出すなんてサイッテー。振った相手にフォローされてる奴なんか馬鹿にされても仕方ないわよ。馬鹿より上級な言葉があったらそっちを使いたいぐらいよ」

「おまえなぁ……。はぁ、俺は傷つけたんじゃないかって心配してだな……」

210 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:47:14.14 ID:BbjA87A0 [3/12]
「私の心配より今日の夕飯の心配でもしてなさいよ。これからスーパーのタイムセールなんでしょ?」

「うおっ、そうだった! これを逃すとまたしばらく肉無しの生活が! …………えっと」

「ほら、早く行きなさいよ。私は『大丈夫』だから」


美琴はシッシッと犬を追い払うように上条にさっさと行けと促す。


「ああ……。なあ御坂」

「何?」

「またな」

「うん」


またね、と美琴は精一杯の笑顔で上条を見送った。
別れの挨拶を交わしスーパーへと向かう上条だが、時折後ろを振り返りその場に佇んだままの美琴を心配そうに見つめる。
そんな上条の尻を叩くように美琴はため息をつきながら電撃の槍でさっさと行けと促した。

やがて上条の姿が見えなくなった頃、美琴の目からこぼれ落ちるものがあった。
上条に心配を掛けたくない、迷惑を掛けたくない一心で憎まれ口を叩きながらも耐えていたが、すでに限界を迎えていた。


「私、失恋しちゃったんだ……」


ポツリと呟き、崩れ落ちて涙を流した。


211 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:48:17.48 ID:BbjA87A0 [4/12]
―――


美琴と別れた後スーパーに向かったはずの上条だが、買い物をするのも忘れ自宅へと戻っていた。
インデックスには夕飯は久々の肉料理だと伝えていたため、買い物を忘れた上条はあわれインデックスの牙の洗礼を受ることとなった。
だがその間も終始上条は心ここにあらずと言った感じで、さすがにインデックスも上条の態度に不審を抱いた。
何かあったのかと問いかけるインデックスに何でもないと告げ、家にある有り合わせの物で夕飯を作り始めたのだが――


「…………」

ジュージューヤサイノコゲルオトダヨ

「と、とうま! お野菜が焦げちゃってるんだよ!!」

「……へ? うおおおお! …………あ、あぶねぇ、今日の夕飯が白米のみになるところだった」

「むー、今朝は今日の夕飯はお肉だって言ってたのに……。お肉どころかお野菜までわたしに食べさせない気なのかな!?」

「ごめんなインデックス、俺がスーパーに行き忘れたばっかりに……」


やはりと言うかいつもと反応の違う上条の態度にインデックスは眉をひそめる。
いつもならインデックスが歯を見せて威嚇すれば1秒未満で土下座へと移行するはずだがそれも無い。


(やっぱりとうまがおかしいんだよ。さっきは何でも無いなんて言ったけど。心配なんだよ……)

「ねぇとうま、やっぱり何かあったのかな? 悩み事ならイギリス清教のシスターたるわたしが聞いてあげないこともないんだよ?」

「はは、ありがとなインデックス。でも大丈夫だ、もう全部終わった事だからさ」

「はぁ……、やっぱりとうまはわたしには何にも話してくれないんだね。わたしはこれでもとうまの事を心配してるんだよ?」

「……ごめん、本当に大丈夫だから。ほら、いつもみたいに荒事に巻き込まれてるわけじゃないからそんなに心配すんなって! ……さ、飯にしようぜ」

「……うん、わかったんだよ」

212 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:48:52.65 ID:BbjA87A0 [5/12]
完成した料理(若干コゲあり)をテーブルに並べインデックスと共に席に着く上条。
しかし上条は料理に手をつけることなく考え事をはじめる。
今日受けた美琴からの告白、それを断った事での今後の彼女との関係。


(御坂がまさか俺の事好きだなんて、な……。はは、女の子を振るのは結構辛いんだな)

(それでも御坂には俺とは比べられないぐらい辛い思いをさせちゃったんだよな。『私は大丈夫』って無理してるの丸分かりだっつーの)

(またな、なんて言って明日から俺はあいつの顔をちゃんと見られるのか? こんな事なら受け入れたほうが良かったのか? そうすればアイツを傷つける事も無かったはずだ)

(………………違う、それは違う! あの時俺はきちんと自分の気持と向き合ってそれを伝えたんだ! すぐ撤回出来るようないい加減な気持ちでこたえたんじゃないんだ……)

(くそ! こんなんでどうすんだよ俺は! これ以上御坂を悲しませる訳にはいかないってのに!)


美琴のまっすぐな気持ちに上条も真剣にこたえた。それに嘘はない。
だが、美琴を傷つけてしまったという思いだけが、上条の頭をグルグルといつまでも回り続ける。
ままならない自らの感情に上条は沸々と怒りを感じた。


「ちくしょう!!!」


ドン!!!!と上条はテーブルの上の物が一瞬浮き上がるほどの強さでテーブルに拳を叩きつけていた。
その拳の痛みと、激昂する上条を心配そうに見つめるインデックスに気づいたことで上条は我に返った。


「とうま……」

「――っ! ごめんインデックス、驚かせちまって」

「ううん大丈夫なんだよ。…………あれ? とうまの右手なんか大きくなってない?」

「へ? あ、あれ? そう言えばだんだん痛くなってきたような……」

213 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:49:42.11 ID:BbjA87A0 [6/12]
―――

時間が経つほどに痛みが増す右手に我慢できなくなり、夜遅いにもかかわらずに上条はいつもの病院へと向かった。
出迎えたカエル医者には「君が意識を保って病院に来るなんて珍しいね?」と言われ、上条はなんとも微妙な気持ちになった。
そうして出た診断結果は――

「全治1ヶ月、と言ったところかな? 右手の親指以外の骨が全部折れるなんて、今度は一体何をしたんだい?」

「は、ははは……」


イラついて机を殴りました、とは言えずに笑ってごまかす上条。


「とにかく治るまでは右手は使わないようにね? 家の事もなるべくあの子に任せて君はおとなしくしてるんだよ?」

「い!? イ、インデックスにはちょっと無理じゃないかなーと……」

「それじゃあ左手で頑張って生活するか、さもなくば知り合いを頼りなさい。下手に右手を使って骨が変にくっついても僕は知らないからね?」

「は、はい……」

214 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:50:22.88 ID:BbjA87A0 [7/12]
―――

病院からの帰り道、固定された自らの右手を見て上条は途方にくれていた。
こんな状態では唯一の武器である幻想殺しを振るうことはおろか、日々の生活を送ることすら支障をきたしてしまう。
特に利き手である右手が使えなければ食事や勉強もままならない。…………まあ勉強は普段からしているわけではないのだが。


(インデックスに家事は、やっぱ無理だよなぁ……。誰かに頭を下げるしか……)

「ほんとどうしよう……」

「とうまとうま! とうまの怪我が治るまでは掃除も洗濯も料理もわたしに任せるんだよ!」

「……え、えーっとインデックスさん?」

「なにかな?」

「つかぬことを伺いますが、インデックスさんは家事をなさった事はおありで?」

「………」

「………」


二人の間をなんともいえない空気が漂う。
漫画やアニメならヒュー、と木枯らしが吹き抜けるところだろうか。


「だ、だいじょうぶなんだよ! わたしの完全記憶能力と10万3000冊の魔道書の力を合わせれば家事の2つや3つどうって事ないんだよ!」

(とうまは今苦しんでいるんだからわたしが頑張らないと、なんだよ!)

「ソウデシタカ、ソレハタイヘンケッコウデスネ」

(だめだコイツ、早く誰かに頼まないと……)


ただでさえ気持ちに余裕のない上条に、怪我とインデックスの暴走の2つの悩み(ほぼ自業自得)が追加されることになった。
不幸だ、と言う彼のつぶやきは誰にも拾われる事もなく夜道に消えていった。

215 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:51:10.79 ID:BbjA87A0 [8/12]
―――

日も完全に落ち辺りも暗くなった頃、夕方上条と別れた場所で美琴はベンチに座ったまま天を仰いでいた。
涙は大分前に止まっていたようで、頬には乾いた涙の跡が残っていた。

ふと美琴が現在時刻を確認すると寮の門限は既にオーバーしていた。


「やっば! 私ったら何時間ここにいたのよ。…………ったく、悲劇のヒロインかっつーの」


髪をクシャクシャと掻き上げて大きなため息をつく。
携帯の確認をすると白井からの着信とメールの受信記録が表示されていた。


「黒子からのメールは……今日は風紀委員の仕事で遅くなる、か」

(まあ、丁度よかったかな……。多分今私は酷い顔してるだろうし、あの子に心配かけちゃうからね)

(さすがに今は心配かけないように気を使う余裕は無いし……)

「さしあたっての問題はと言えば――」


216 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:51:57.16 ID:BbjA87A0 [9/12]
―――

「おや御坂、随分と遅いお帰りじゃないか」

(寮監よね……)

門限を破る、白井の助力は得られない。
この二つの事象から導きだされる答えは、美琴がただ一人で寮監と相対せねばならないという事だ。
圧倒的な威圧感を持って立ちはだかる寮監を前に美琴は嫌な汗が背中を伝うのを感じた。
感じる恐怖はあの第一位を上回るのではないかと思うほどだ。


「覚悟はできて……ん?」

「……? あの、寮監?」


不意に寮監が放つ雰囲気が柔らかくなる。
眼鏡が反射して表情は読み取りづらいが、明らかに普段の厳しい寮監の様子ではないように思える。


「いや、何でもない。門限破りの罰則は追って通達するから早く部屋に戻りなさい」

「へ?」


当然この後お仕置き(半殺し)されると思っていた美琴は間抜けな声を出し、しばし呆然とする。


「どうした? 意識を刈り取られないと部屋にも戻れないのか? ん?」

「いいいいいいえ! しししし失礼します!」


復活した寮監の威圧感に恐怖し、もつれそうな足を叱咤して美琴は自室へと逃げ込んだ。
寮監は美琴の走り去った方を少し心配そうに見つめ、深くため息を吐く。


「…………やれやれ、私もまだ甘いな」


――罰は、少し軽めにしてやるか

その顔からは普段の厳しい鬼寮監の表情は消えていた。

217 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:52:29.60 ID:BbjA87A0 [10/12]
―――

美琴は部屋に着くなりボスン、と音を立てベッドへと倒れこんだ。
泣くと言う行為は存外体力を使うようで、一晩中走りまわったような疲労感が美琴を襲う。
泣いた時に体温が上がり汗を掻いたが、それを洗い流すためのシャワーを浴びるのも億劫なほどだ。


(疲れた……別に何したってわけでも無いのに……)

(いや、あの馬鹿についに告白したっけ。こっちは一大決心して告白したって言うのに、アイツはあっさり振ってくれちゃって……)

「……………………グス……なんでよ…………なんでだめなのよ…………私はこんなに……なんで、なんで……う、ううう…………」


自分は彼には受け入れられなかった、美琴も頭では嫌という程分かっている。
分かってはいるが、未だ彼女の心はそれを受け入れきれてはいなかった。

218 名前:上条「ごめん、御坂とは付き合えない……」美琴「……そっか」[sage] 投稿日:2010/08/26(木) 03:57:20.71 ID:BbjA87A0 [11/12]
以上です。

地の文こんな感じでいいのか自分で見ても分かんないんですよね。
描写がきちんと伝わるのかとか、しつこすぎないのかとか。


これ書いてる時に再提出くらったレポートを直して教授に持って行くを思い出した。


Tag : とあるSS総合スレ

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