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【SSS】神「あなたにお金を好きなだけあげましょう」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:06:22.96 ID:/fDZJXIF0 [1/39]

ある日、俺は夢を見た。


神「あなたにお金を好きなだけあげましょう」

夢の中の神様は、素敵な笑顔でそう言った。


神「ただし、1円ごとに世界中から1人、無作為に選んで殺します」

神「さあ、あなたはいくら欲しいですか……?」

歪んだ唇でそう言った。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:12:36.11 ID:/fDZJXIF0 [2/39]
チュンチュン――

男「んー……、もう朝か?」

?「はいっ、朝です」

男「うわっ」ドテン

?「だ、大丈夫ですか?」

男「あ、ああ、大丈夫」

?「良かったー、心配させないでくださいよ」

男「ごめんごめん」

?「まったくもー、危なっかしいんだから」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:17:31.59 ID:/fDZJXIF0
男「はははは……――って、きききききききき、君誰!?」

?「え、私はほら、アレですよアレ、えーっと…………神?」

男「かかかかか、神様?」

神「はいっ、神様です。ゴッド、ジーオーディー、かみ、神様です」

女の子は、えっへんと言わんばかりに無い胸を張り出した。

神「えらーい、えらーい、神様なんです」

男「そ、そうなんだ……」

神「あっ、いかにも信用してなさそうな顔してますねー」

男「そ、そりゃあいきなりそんなこと言われても」

神「仕方ないですねー、じゃあ証拠を見せてあげましょう」

男「証拠……?」

神「私の服を脱がせてください」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:23:18.80 ID:/fDZJXIF0
男「へ?」

神「だから、私の服を脱がせてください」

男「ワンモア」

神「私の服を脱がせてください」

男「な、なななななななななななななななななななな」

神「あら?どうかしましたか?」

男「い、いやいやいやいやだって服をぬぬぬぬ脱がががが」

神「あー、もう。脱がせないなら自分で脱ぎますよ」

男「あ、ちょ、ちょっとまっ……」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:24:47.95 ID:/fDZJXIF0
これ、ひょっとして見てる人いなかったりする?
需要無いならやめるけど……

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:27:21.37 ID:/fDZJXIF0
>>7
ごめんね、対話型は苦手なんだ。
見難くてごめんね。

>>8
よし、頑張る

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:28:19.03 ID:/fDZJXIF0
>>9
ごめん、ABってなんぞ

>>10
ショートショートストーリー

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:31:22.63 ID:/fDZJXIF0
>>14
SSがショートストーリー、サイドストーリーだからそれより短くなると思ったので


男「なんだ……これ……」

神様が服を脱ぐと、辺りが真っ白になった。

神「私ですよ」

男「え……」

その声は、男の周りで輝いている小さな大きな四角い丸い、光から発せられていた。

神「もう…いいですよね、服を着ますよ」

男「あ、う、うん」

さっきまでの光が嘘のように消え、目の前には頬を赤くした"神様"が服を着て立っている。

神「……し、信じてもらえましたよね?」

男「あ、その、えっと、はい……」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:38:38.63 ID:/fDZJXIF0
男「それで、その神様とやらは何をしにいらっしゃったのですか?」

神「呼ぶときはちゃん付けでお願いします」

男「では、神様ちゃん」

神「何か違和感がありますけど……、とりあえず何でしょう」

男「君は何をしにここに?」

神「よくぞ聞いてくれました!私は男さんを幸せにするためにやって来たのです」

男「え、俺を幸せにするために……?」

神「はいっ、男さんを幸せにするために」

男「で、でも何でそんな」

神「理由なんていいじゃないですか、それより内容のほうが気になるんじゃないですか?」

男「まあそうだけど……」

神「では説明いたしましょう!」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:43:31.27 ID:/fDZJXIF0
神「男さんには、お金を好きなだけプレゼントしちゃいまーす!ででんっ!」

男「ナ、ナンダッテー!」

神「しかもその場で即時払い、お支払方法は現金小切手通帳などなどお好きなものから選べます」

男「なんと!」

神「しーかーしー!!」

男「おっと?」


神「1円ごとに世界中から1人、無作為に選んで殺します」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:47:02.65 ID:/fDZJXIF0
男「え……?」

神「聞こえませんでしたか?1円ごとに1人殺すって言ったんです」

神様は、相変わらずの笑顔だった。

男「じょ、冗談はよし……」

神「冗談だと思いますか?」

男「…………」

神「わかればいいんです」

男「……ひとつ、聞いてもいいかな」

神「なんでしょう」

男「一体、どうしてそんなことを」

神「楽しいじゃないですか」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:55:58.25 ID:/fDZJXIF0
神「男さん、あなたは両親の借金を背負っていますよね?」

男「ど、どうしてそれを」

神「どうしても何も、私神ですし」

男「そう……」

神「8000万円の借金。いくら働いても返せずに、居場所がばれては夜逃げする毎日」

神「楽しいですか?」

男「…………」

神「わかりますよ、あなたの辛い気持ち」

神「だから私はあなたを助けようとしたんです。でも、タダでは助けられない……。」

神「何かしら代償を、それが全てにおける掟。これだけは覆らない」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:05:07.19 ID:/fDZJXIF0
神「さあ、いくら欲しいんです? 8000万、1億、10億?」

男「で、でもそんなことしたら……」

神「ええ、関係の無い人たちが死ぬでしょう。あなたを苦しめた両親だって死ぬかもしれません」

男「…………」

神「いいんですか?このまま両親の借金に左右されたまま生きて、何かいいことありますか?」

神「別にあなたがその人達を殺すわけではないんです。全部、私が引き受けます」

神「あなたのためを思っての決断なんです……」

男「俺の……ため……」

神「そうです、あなたのためなんです。さあ、決断を……」

男「…………」

神「さあ!」







男「――――――――――8000万を――俺に――ください――――」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:14:19.01 ID:/fDZJXIF0
その声を聞くと、神様は今までで一番の笑みを俺へと向けた。

神「支払いは?」

男「…………小切手で」

神「なんなら届けましょうか?」

男「……いや、いい」

神「8000万でしたよね、これでいいですか?」

神様の手には、いつの間にか、紛れもなく本物の小切手が握られていた。

男「……死んだのか……?」

神「何がです?」

男「…………いや……」

神「よかったですね、もう逃げ回らなくてすむんですよ。笑顔になってください、笑顔に。」

男「そう……だな…………」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:21:56.26 ID:/fDZJXIF0
無言のまま立ち尽くしていると、唐突に神様が口を開いた。

神「では、私はこれで一旦失礼しますね」

男「え?」

神「何を驚いているんですか、神様は忙しいのですよ」

男「そう……なんだ……」

神「そうなんです。それではまた、後ほどお会いできると思いますよ」

神様がそういうと、いきなり男の視界が暗転し、身体が重くなった。

男「なっ……」

神「おやすみなさい」


ドサッ

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:29:13.37 ID:/fDZJXIF0
チュンチュン――

男「…………」

気がつくと、男は布団で寝ていた。

男「ゆ、め……?」

しかし、時計に映る日付は昨日から進んでおり、その横には小切手が置いてある。

男「あぁ、そうだ……。借金、返しに行かないと……」

軽くシャワーを浴び、適当な服に着替えて小切手を財布に入れる。

たったそれだけの行為なのに、非常に時間が長く感じられた。

男「…………行くか」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:36:56.63 ID:/fDZJXIF0
家の玄関から外に一歩踏み出した。

親が借金したヤクザと同じ系統の事務所が、そう遠くない町のハズレにある。

おそらく、そこでなら事情を話せば取り合ってもらえるだろう。

男「これで……あの地獄のような日々から開放される……」

そう思うと、自然と足取りが速くなった。


――数十分歩き、目的の事務所へと辿り着く。

男「……っ」

ギュッと拳を握り締め、事務所の扉をノックして開けた。

男「失礼します」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:42:16.77 ID:/fDZJXIF0
異様な光景が、男の前に広がった。

男「え…………」

あちらこちらに"人"がいる。

もちろん、その筋の人であろう黒スーツの人達ばかりである。

そこまではいい、そこまではよかった。何も問題が無かった。

しかし――


全員が全員、いたるところを切り刻まれて死んでいた。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:50:41.85 ID:/fDZJXIF0
男「う、うわああああああああああああ」

大声を上げて、全速力で逃げ出した。

一目散に、転びそうになりながら、ひたすらに走った。


男「……はぁ、はぁ、っ」

近くの公園まで一目散に逃げ、公園の水道で頭から水を被った。

少しだけ冷静さを取り戻し、大きく深呼吸をする。

?「お兄ちゃん、だいじょうぶ?」

いきなり声をかけられ、心臓が止まりそうになった。

男「うわっ」

?「きゃっ」

振り向くと、そこにいたのは、まだ幼稚園児程度であろう小さな女の子だった。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:01:00.21 ID:/fDZJXIF0
少女「だ、だいじょうぶ?」

不安そうな目で見つめる少女に、心底ほっとする。

男「あ、あぁ、大丈夫。大丈夫だよ」

少女「そっか、よかったー」

男「君は、こんなところでどうしたんだい?」

少女「えっとねー、おきたら、お母さんもお父さんも眠ったままなのー」

男「……え?」

少女「だから、あさごはん食べられなくて、おなかすいちゃったの」

男「そう……なんだ……」

自分のせいでこの少女の両親が死んでしまった。

そう思うと、とめどなく涙があふれてきて止まらなくなった。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:07:16.10 ID:/fDZJXIF0
少女「えっ、お、おにいちゃんなんで泣いてるの?」

男「…………」

少女「おにいちゃん、泣いちゃやだよ。泣いちゃ……やだ……」

男「ごめんね……ごめんね…………」

少女「な、なんであやまるの?泣かないで、おにいちゃん」

男「俺のせいで……俺のせいで…………」

そう言って、少女の顔を見上げる。

男「俺が君の」


視界が赤に染まった。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:16:50.11 ID:/fDZJXIF0
目の前の少女は首が無い。

なら、クビはどこ?

あぁ、あった。

あんなところに空高く……。


男「うわああああああああああああああああああああああああ」

目の前の小さな身体から生暖かな鮮血が噴出して、視界をその色に染めていた。

辺り一面の血、血、チ、チ、血、チ、血、チ、チ、血、チ

?「あははははははははははははははははははははははははは」

その時、後ろから大きな笑い声が聞こえた。

声のするほうに、ゆっくりと振り返る。


神「68億5994万354人目だ♪」


あの時に見せた笑顔のままの、神様がそこに立っていた。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:26:05.24 ID:/fDZJXIF0
男「ロクジュウ……ハチオク…………?」

神「68億5994万354」

男「なんだよそれ……」

神「例えるならば、世界の人口から1を引いた数?」

男「そうじゃねえだろおっ!」

神「ひっ……、男さん怖いですよ」

男「何でだよ!8000万だったんじゃねぇのかよ!」

神「ちゃ、ちゃんと8000万でしたよっ!」

男「じゃあなんでだよ!なんで皆殺したんだよ!」

神「…………」

男「答えろよっ!」






神「これを願ったのが、アナタだけだとでも思いましたか?」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:37:06.57 ID:/fDZJXIF0
少しの沈黙と、空白の時間。

理解に至るまで時間がかかった。

神「男さん、アナタだけじゃないんですよ、お金を願った人は」

男「どういう……意味だ…………」

神「そのままの意味です。男さん以外にも、たくさんの人々がお金を必要としました」

神「だから殺しました」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:38:05.78 ID:/fDZJXIF0
男「ふざけんなああああああ!」

神「ふざけてませんよ、事実を言ったまでです」

男「うるせぇ!お前は……お前はっ!」

感情に任せて神様の胸倉を掴み上げる。

しかし、神様は酷く冷静なまま、話を続けた。

神「それと、もう一つ男さんに言うことがあります」


目の前の視界が揺らぎ、胸倉を掴んだ手からは力が抜け落ちた。

腹部に激痛が走り、それが胸、頭、足へと広がっていく。

そうして、神様は一言だけ呟いた。

神「……68億5994万355人目」



ドサッ

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:50:16.58 ID:/fDZJXIF0
チュンチュン――

男「…………」

強烈なデジャヴを感じた。

いつかもまた、今と同じように布団で寝ていた気がする。

それ以前に、自分は今まで何をしていた?

?「おはようございます」

男「うわっ」

?「だ、大丈夫ですか?」

見たことがある顔だった。

神「実はまだ、男さんに言うべきこと言ってなかったんですよね」

あぁ、そうだ。こいつは確か――





神「男さん……。1000万人足りなかったので、あと1000万回殺しますね」


――"神様"だ

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:51:45.45 ID:/fDZJXIF0
以上で 神「あなたにお金を好きなだけあげましょう」 は終了です!

最後までお付き合いしてくださって、本当にありがとうございました

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