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【SSS】神「あなたにお金を好きなだけあげましょう」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:06:22.96 ID:/fDZJXIF0 [1/39]
ある日、俺は夢を見た。
神「あなたにお金を好きなだけあげましょう」
夢の中の神様は、素敵な笑顔でそう言った。
神「ただし、1円ごとに世界中から1人、無作為に選んで殺します」
神「さあ、あなたはいくら欲しいですか……?」
歪んだ唇でそう言った。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:12:36.11 ID:/fDZJXIF0 [2/39]
チュンチュン――
男「んー……、もう朝か?」
?「はいっ、朝です」
男「うわっ」ドテン
?「だ、大丈夫ですか?」
男「あ、ああ、大丈夫」
?「良かったー、心配させないでくださいよ」
男「ごめんごめん」
?「まったくもー、危なっかしいんだから」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:17:31.59 ID:/fDZJXIF0
男「はははは……――って、きききききききき、君誰!?」
?「え、私はほら、アレですよアレ、えーっと…………神?」
男「かかかかか、神様?」
神「はいっ、神様です。ゴッド、ジーオーディー、かみ、神様です」
女の子は、えっへんと言わんばかりに無い胸を張り出した。
神「えらーい、えらーい、神様なんです」
男「そ、そうなんだ……」
神「あっ、いかにも信用してなさそうな顔してますねー」
男「そ、そりゃあいきなりそんなこと言われても」
神「仕方ないですねー、じゃあ証拠を見せてあげましょう」
男「証拠……?」
神「私の服を脱がせてください」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:23:18.80 ID:/fDZJXIF0
男「へ?」
神「だから、私の服を脱がせてください」
男「ワンモア」
神「私の服を脱がせてください」
男「な、なななななななななななななななななななな」
神「あら?どうかしましたか?」
男「い、いやいやいやいやだって服をぬぬぬぬ脱がががが」
神「あー、もう。脱がせないなら自分で脱ぎますよ」
男「あ、ちょ、ちょっとまっ……」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:24:47.95 ID:/fDZJXIF0
これ、ひょっとして見てる人いなかったりする?
需要無いならやめるけど……
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:27:21.37 ID:/fDZJXIF0
>>7
ごめんね、対話型は苦手なんだ。
見難くてごめんね。
>>8
よし、頑張る
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:28:19.03 ID:/fDZJXIF0
>>9
ごめん、ABってなんぞ
>>10
ショートショートストーリー
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:31:22.63 ID:/fDZJXIF0
>>14
SSがショートストーリー、サイドストーリーだからそれより短くなると思ったので
男「なんだ……これ……」
神様が服を脱ぐと、辺りが真っ白になった。
神「私ですよ」
男「え……」
その声は、男の周りで輝いている小さな大きな四角い丸い、光から発せられていた。
神「もう…いいですよね、服を着ますよ」
男「あ、う、うん」
さっきまでの光が嘘のように消え、目の前には頬を赤くした"神様"が服を着て立っている。
神「……し、信じてもらえましたよね?」
男「あ、その、えっと、はい……」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:38:38.63 ID:/fDZJXIF0
男「それで、その神様とやらは何をしにいらっしゃったのですか?」
神「呼ぶときはちゃん付けでお願いします」
男「では、神様ちゃん」
神「何か違和感がありますけど……、とりあえず何でしょう」
男「君は何をしにここに?」
神「よくぞ聞いてくれました!私は男さんを幸せにするためにやって来たのです」
男「え、俺を幸せにするために……?」
神「はいっ、男さんを幸せにするために」
男「で、でも何でそんな」
神「理由なんていいじゃないですか、それより内容のほうが気になるんじゃないですか?」
男「まあそうだけど……」
神「では説明いたしましょう!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:43:31.27 ID:/fDZJXIF0
神「男さんには、お金を好きなだけプレゼントしちゃいまーす!ででんっ!」
男「ナ、ナンダッテー!」
神「しかもその場で即時払い、お支払方法は現金小切手通帳などなどお好きなものから選べます」
男「なんと!」
神「しーかーしー!!」
男「おっと?」
神「1円ごとに世界中から1人、無作為に選んで殺します」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:47:02.65 ID:/fDZJXIF0
男「え……?」
神「聞こえませんでしたか?1円ごとに1人殺すって言ったんです」
神様は、相変わらずの笑顔だった。
男「じょ、冗談はよし……」
神「冗談だと思いますか?」
男「…………」
神「わかればいいんです」
男「……ひとつ、聞いてもいいかな」
神「なんでしょう」
男「一体、どうしてそんなことを」
神「楽しいじゃないですか」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:55:58.25 ID:/fDZJXIF0
神「男さん、あなたは両親の借金を背負っていますよね?」
男「ど、どうしてそれを」
神「どうしても何も、私神ですし」
男「そう……」
神「8000万円の借金。いくら働いても返せずに、居場所がばれては夜逃げする毎日」
神「楽しいですか?」
男「…………」
神「わかりますよ、あなたの辛い気持ち」
神「だから私はあなたを助けようとしたんです。でも、タダでは助けられない……。」
神「何かしら代償を、それが全てにおける掟。これだけは覆らない」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:05:07.19 ID:/fDZJXIF0
神「さあ、いくら欲しいんです? 8000万、1億、10億?」
男「で、でもそんなことしたら……」
神「ええ、関係の無い人たちが死ぬでしょう。あなたを苦しめた両親だって死ぬかもしれません」
男「…………」
神「いいんですか?このまま両親の借金に左右されたまま生きて、何かいいことありますか?」
神「別にあなたがその人達を殺すわけではないんです。全部、私が引き受けます」
神「あなたのためを思っての決断なんです……」
男「俺の……ため……」
神「そうです、あなたのためなんです。さあ、決断を……」
男「…………」
神「さあ!」
男「――――――――――8000万を――俺に――ください――――」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:14:19.01 ID:/fDZJXIF0
その声を聞くと、神様は今までで一番の笑みを俺へと向けた。
神「支払いは?」
男「…………小切手で」
神「なんなら届けましょうか?」
男「……いや、いい」
神「8000万でしたよね、これでいいですか?」
神様の手には、いつの間にか、紛れもなく本物の小切手が握られていた。
男「……死んだのか……?」
神「何がです?」
男「…………いや……」
神「よかったですね、もう逃げ回らなくてすむんですよ。笑顔になってください、笑顔に。」
男「そう……だな…………」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:21:56.26 ID:/fDZJXIF0
無言のまま立ち尽くしていると、唐突に神様が口を開いた。
神「では、私はこれで一旦失礼しますね」
男「え?」
神「何を驚いているんですか、神様は忙しいのですよ」
男「そう……なんだ……」
神「そうなんです。それではまた、後ほどお会いできると思いますよ」
神様がそういうと、いきなり男の視界が暗転し、身体が重くなった。
男「なっ……」
神「おやすみなさい」
ドサッ
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:29:13.37 ID:/fDZJXIF0
チュンチュン――
男「…………」
気がつくと、男は布団で寝ていた。
男「ゆ、め……?」
しかし、時計に映る日付は昨日から進んでおり、その横には小切手が置いてある。
男「あぁ、そうだ……。借金、返しに行かないと……」
軽くシャワーを浴び、適当な服に着替えて小切手を財布に入れる。
たったそれだけの行為なのに、非常に時間が長く感じられた。
男「…………行くか」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:36:56.63 ID:/fDZJXIF0
家の玄関から外に一歩踏み出した。
親が借金したヤクザと同じ系統の事務所が、そう遠くない町のハズレにある。
おそらく、そこでなら事情を話せば取り合ってもらえるだろう。
男「これで……あの地獄のような日々から開放される……」
そう思うと、自然と足取りが速くなった。
――数十分歩き、目的の事務所へと辿り着く。
男「……っ」
ギュッと拳を握り締め、事務所の扉をノックして開けた。
男「失礼します」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:42:16.77 ID:/fDZJXIF0
異様な光景が、男の前に広がった。
男「え…………」
あちらこちらに"人"がいる。
もちろん、その筋の人であろう黒スーツの人達ばかりである。
そこまではいい、そこまではよかった。何も問題が無かった。
しかし――
全員が全員、いたるところを切り刻まれて死んでいた。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:50:41.85 ID:/fDZJXIF0
男「う、うわああああああああああああ」
大声を上げて、全速力で逃げ出した。
一目散に、転びそうになりながら、ひたすらに走った。
男「……はぁ、はぁ、っ」
近くの公園まで一目散に逃げ、公園の水道で頭から水を被った。
少しだけ冷静さを取り戻し、大きく深呼吸をする。
?「お兄ちゃん、だいじょうぶ?」
いきなり声をかけられ、心臓が止まりそうになった。
男「うわっ」
?「きゃっ」
振り向くと、そこにいたのは、まだ幼稚園児程度であろう小さな女の子だった。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:01:00.21 ID:/fDZJXIF0
少女「だ、だいじょうぶ?」
不安そうな目で見つめる少女に、心底ほっとする。
男「あ、あぁ、大丈夫。大丈夫だよ」
少女「そっか、よかったー」
男「君は、こんなところでどうしたんだい?」
少女「えっとねー、おきたら、お母さんもお父さんも眠ったままなのー」
男「……え?」
少女「だから、あさごはん食べられなくて、おなかすいちゃったの」
男「そう……なんだ……」
自分のせいでこの少女の両親が死んでしまった。
そう思うと、とめどなく涙があふれてきて止まらなくなった。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:07:16.10 ID:/fDZJXIF0
少女「えっ、お、おにいちゃんなんで泣いてるの?」
男「…………」
少女「おにいちゃん、泣いちゃやだよ。泣いちゃ……やだ……」
男「ごめんね……ごめんね…………」
少女「な、なんであやまるの?泣かないで、おにいちゃん」
男「俺のせいで……俺のせいで…………」
そう言って、少女の顔を見上げる。
男「俺が君の」
視界が赤に染まった。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:16:50.11 ID:/fDZJXIF0
目の前の少女は首が無い。
なら、クビはどこ?
あぁ、あった。
あんなところに空高く……。
男「うわああああああああああああああああああああああああ」
目の前の小さな身体から生暖かな鮮血が噴出して、視界をその色に染めていた。
辺り一面の血、血、チ、チ、血、チ、血、チ、チ、血、チ
?「あははははははははははははははははははははははははは」
その時、後ろから大きな笑い声が聞こえた。
声のするほうに、ゆっくりと振り返る。
神「68億5994万354人目だ♪」
あの時に見せた笑顔のままの、神様がそこに立っていた。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:26:05.24 ID:/fDZJXIF0
男「ロクジュウ……ハチオク…………?」
神「68億5994万354」
男「なんだよそれ……」
神「例えるならば、世界の人口から1を引いた数?」
男「そうじゃねえだろおっ!」
神「ひっ……、男さん怖いですよ」
男「何でだよ!8000万だったんじゃねぇのかよ!」
神「ちゃ、ちゃんと8000万でしたよっ!」
男「じゃあなんでだよ!なんで皆殺したんだよ!」
神「…………」
男「答えろよっ!」
神「これを願ったのが、アナタだけだとでも思いましたか?」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:37:06.57 ID:/fDZJXIF0
少しの沈黙と、空白の時間。
理解に至るまで時間がかかった。
神「男さん、アナタだけじゃないんですよ、お金を願った人は」
男「どういう……意味だ…………」
神「そのままの意味です。男さん以外にも、たくさんの人々がお金を必要としました」
神「だから殺しました」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:38:05.78 ID:/fDZJXIF0
男「ふざけんなああああああ!」
神「ふざけてませんよ、事実を言ったまでです」
男「うるせぇ!お前は……お前はっ!」
感情に任せて神様の胸倉を掴み上げる。
しかし、神様は酷く冷静なまま、話を続けた。
神「それと、もう一つ男さんに言うことがあります」
目の前の視界が揺らぎ、胸倉を掴んだ手からは力が抜け落ちた。
腹部に激痛が走り、それが胸、頭、足へと広がっていく。
そうして、神様は一言だけ呟いた。
神「……68億5994万355人目」
ドサッ
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:50:16.58 ID:/fDZJXIF0
チュンチュン――
男「…………」
強烈なデジャヴを感じた。
いつかもまた、今と同じように布団で寝ていた気がする。
それ以前に、自分は今まで何をしていた?
?「おはようございます」
男「うわっ」
?「だ、大丈夫ですか?」
見たことがある顔だった。
神「実はまだ、男さんに言うべきこと言ってなかったんですよね」
あぁ、そうだ。こいつは確か――
神「男さん……。1000万人足りなかったので、あと1000万回殺しますね」
――"神様"だ
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:51:45.45 ID:/fDZJXIF0
以上で 神「あなたにお金を好きなだけあげましょう」 は終了です!
最後までお付き合いしてくださって、本当にありがとうございました
ある日、俺は夢を見た。
神「あなたにお金を好きなだけあげましょう」
夢の中の神様は、素敵な笑顔でそう言った。
神「ただし、1円ごとに世界中から1人、無作為に選んで殺します」
神「さあ、あなたはいくら欲しいですか……?」
歪んだ唇でそう言った。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:12:36.11 ID:/fDZJXIF0 [2/39]
チュンチュン――
男「んー……、もう朝か?」
?「はいっ、朝です」
男「うわっ」ドテン
?「だ、大丈夫ですか?」
男「あ、ああ、大丈夫」
?「良かったー、心配させないでくださいよ」
男「ごめんごめん」
?「まったくもー、危なっかしいんだから」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:17:31.59 ID:/fDZJXIF0
男「はははは……――って、きききききききき、君誰!?」
?「え、私はほら、アレですよアレ、えーっと…………神?」
男「かかかかか、神様?」
神「はいっ、神様です。ゴッド、ジーオーディー、かみ、神様です」
女の子は、えっへんと言わんばかりに無い胸を張り出した。
神「えらーい、えらーい、神様なんです」
男「そ、そうなんだ……」
神「あっ、いかにも信用してなさそうな顔してますねー」
男「そ、そりゃあいきなりそんなこと言われても」
神「仕方ないですねー、じゃあ証拠を見せてあげましょう」
男「証拠……?」
神「私の服を脱がせてください」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:23:18.80 ID:/fDZJXIF0
男「へ?」
神「だから、私の服を脱がせてください」
男「ワンモア」
神「私の服を脱がせてください」
男「な、なななななななななななななななななななな」
神「あら?どうかしましたか?」
男「い、いやいやいやいやだって服をぬぬぬぬ脱がががが」
神「あー、もう。脱がせないなら自分で脱ぎますよ」
男「あ、ちょ、ちょっとまっ……」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:24:47.95 ID:/fDZJXIF0
これ、ひょっとして見てる人いなかったりする?
需要無いならやめるけど……
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:27:21.37 ID:/fDZJXIF0
>>7
ごめんね、対話型は苦手なんだ。
見難くてごめんね。
>>8
よし、頑張る
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:28:19.03 ID:/fDZJXIF0
>>9
ごめん、ABってなんぞ
>>10
ショートショートストーリー
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:31:22.63 ID:/fDZJXIF0
>>14
SSがショートストーリー、サイドストーリーだからそれより短くなると思ったので
男「なんだ……これ……」
神様が服を脱ぐと、辺りが真っ白になった。
神「私ですよ」
男「え……」
その声は、男の周りで輝いている小さな大きな四角い丸い、光から発せられていた。
神「もう…いいですよね、服を着ますよ」
男「あ、う、うん」
さっきまでの光が嘘のように消え、目の前には頬を赤くした"神様"が服を着て立っている。
神「……し、信じてもらえましたよね?」
男「あ、その、えっと、はい……」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:38:38.63 ID:/fDZJXIF0
男「それで、その神様とやらは何をしにいらっしゃったのですか?」
神「呼ぶときはちゃん付けでお願いします」
男「では、神様ちゃん」
神「何か違和感がありますけど……、とりあえず何でしょう」
男「君は何をしにここに?」
神「よくぞ聞いてくれました!私は男さんを幸せにするためにやって来たのです」
男「え、俺を幸せにするために……?」
神「はいっ、男さんを幸せにするために」
男「で、でも何でそんな」
神「理由なんていいじゃないですか、それより内容のほうが気になるんじゃないですか?」
男「まあそうだけど……」
神「では説明いたしましょう!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:43:31.27 ID:/fDZJXIF0
神「男さんには、お金を好きなだけプレゼントしちゃいまーす!ででんっ!」
男「ナ、ナンダッテー!」
神「しかもその場で即時払い、お支払方法は現金小切手通帳などなどお好きなものから選べます」
男「なんと!」
神「しーかーしー!!」
男「おっと?」
神「1円ごとに世界中から1人、無作為に選んで殺します」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:47:02.65 ID:/fDZJXIF0
男「え……?」
神「聞こえませんでしたか?1円ごとに1人殺すって言ったんです」
神様は、相変わらずの笑顔だった。
男「じょ、冗談はよし……」
神「冗談だと思いますか?」
男「…………」
神「わかればいいんです」
男「……ひとつ、聞いてもいいかな」
神「なんでしょう」
男「一体、どうしてそんなことを」
神「楽しいじゃないですか」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 20:55:58.25 ID:/fDZJXIF0
神「男さん、あなたは両親の借金を背負っていますよね?」
男「ど、どうしてそれを」
神「どうしても何も、私神ですし」
男「そう……」
神「8000万円の借金。いくら働いても返せずに、居場所がばれては夜逃げする毎日」
神「楽しいですか?」
男「…………」
神「わかりますよ、あなたの辛い気持ち」
神「だから私はあなたを助けようとしたんです。でも、タダでは助けられない……。」
神「何かしら代償を、それが全てにおける掟。これだけは覆らない」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:05:07.19 ID:/fDZJXIF0
神「さあ、いくら欲しいんです? 8000万、1億、10億?」
男「で、でもそんなことしたら……」
神「ええ、関係の無い人たちが死ぬでしょう。あなたを苦しめた両親だって死ぬかもしれません」
男「…………」
神「いいんですか?このまま両親の借金に左右されたまま生きて、何かいいことありますか?」
神「別にあなたがその人達を殺すわけではないんです。全部、私が引き受けます」
神「あなたのためを思っての決断なんです……」
男「俺の……ため……」
神「そうです、あなたのためなんです。さあ、決断を……」
男「…………」
神「さあ!」
男「――――――――――8000万を――俺に――ください――――」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:14:19.01 ID:/fDZJXIF0
その声を聞くと、神様は今までで一番の笑みを俺へと向けた。
神「支払いは?」
男「…………小切手で」
神「なんなら届けましょうか?」
男「……いや、いい」
神「8000万でしたよね、これでいいですか?」
神様の手には、いつの間にか、紛れもなく本物の小切手が握られていた。
男「……死んだのか……?」
神「何がです?」
男「…………いや……」
神「よかったですね、もう逃げ回らなくてすむんですよ。笑顔になってください、笑顔に。」
男「そう……だな…………」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:21:56.26 ID:/fDZJXIF0
無言のまま立ち尽くしていると、唐突に神様が口を開いた。
神「では、私はこれで一旦失礼しますね」
男「え?」
神「何を驚いているんですか、神様は忙しいのですよ」
男「そう……なんだ……」
神「そうなんです。それではまた、後ほどお会いできると思いますよ」
神様がそういうと、いきなり男の視界が暗転し、身体が重くなった。
男「なっ……」
神「おやすみなさい」
ドサッ
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:29:13.37 ID:/fDZJXIF0
チュンチュン――
男「…………」
気がつくと、男は布団で寝ていた。
男「ゆ、め……?」
しかし、時計に映る日付は昨日から進んでおり、その横には小切手が置いてある。
男「あぁ、そうだ……。借金、返しに行かないと……」
軽くシャワーを浴び、適当な服に着替えて小切手を財布に入れる。
たったそれだけの行為なのに、非常に時間が長く感じられた。
男「…………行くか」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:36:56.63 ID:/fDZJXIF0
家の玄関から外に一歩踏み出した。
親が借金したヤクザと同じ系統の事務所が、そう遠くない町のハズレにある。
おそらく、そこでなら事情を話せば取り合ってもらえるだろう。
男「これで……あの地獄のような日々から開放される……」
そう思うと、自然と足取りが速くなった。
――数十分歩き、目的の事務所へと辿り着く。
男「……っ」
ギュッと拳を握り締め、事務所の扉をノックして開けた。
男「失礼します」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:42:16.77 ID:/fDZJXIF0
異様な光景が、男の前に広がった。
男「え…………」
あちらこちらに"人"がいる。
もちろん、その筋の人であろう黒スーツの人達ばかりである。
そこまではいい、そこまではよかった。何も問題が無かった。
しかし――
全員が全員、いたるところを切り刻まれて死んでいた。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 21:50:41.85 ID:/fDZJXIF0
男「う、うわああああああああああああ」
大声を上げて、全速力で逃げ出した。
一目散に、転びそうになりながら、ひたすらに走った。
男「……はぁ、はぁ、っ」
近くの公園まで一目散に逃げ、公園の水道で頭から水を被った。
少しだけ冷静さを取り戻し、大きく深呼吸をする。
?「お兄ちゃん、だいじょうぶ?」
いきなり声をかけられ、心臓が止まりそうになった。
男「うわっ」
?「きゃっ」
振り向くと、そこにいたのは、まだ幼稚園児程度であろう小さな女の子だった。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:01:00.21 ID:/fDZJXIF0
少女「だ、だいじょうぶ?」
不安そうな目で見つめる少女に、心底ほっとする。
男「あ、あぁ、大丈夫。大丈夫だよ」
少女「そっか、よかったー」
男「君は、こんなところでどうしたんだい?」
少女「えっとねー、おきたら、お母さんもお父さんも眠ったままなのー」
男「……え?」
少女「だから、あさごはん食べられなくて、おなかすいちゃったの」
男「そう……なんだ……」
自分のせいでこの少女の両親が死んでしまった。
そう思うと、とめどなく涙があふれてきて止まらなくなった。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:07:16.10 ID:/fDZJXIF0
少女「えっ、お、おにいちゃんなんで泣いてるの?」
男「…………」
少女「おにいちゃん、泣いちゃやだよ。泣いちゃ……やだ……」
男「ごめんね……ごめんね…………」
少女「な、なんであやまるの?泣かないで、おにいちゃん」
男「俺のせいで……俺のせいで…………」
そう言って、少女の顔を見上げる。
男「俺が君の」
視界が赤に染まった。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:16:50.11 ID:/fDZJXIF0
目の前の少女は首が無い。
なら、クビはどこ?
あぁ、あった。
あんなところに空高く……。
男「うわああああああああああああああああああああああああ」
目の前の小さな身体から生暖かな鮮血が噴出して、視界をその色に染めていた。
辺り一面の血、血、チ、チ、血、チ、血、チ、チ、血、チ
?「あははははははははははははははははははははははははは」
その時、後ろから大きな笑い声が聞こえた。
声のするほうに、ゆっくりと振り返る。
神「68億5994万354人目だ♪」
あの時に見せた笑顔のままの、神様がそこに立っていた。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:26:05.24 ID:/fDZJXIF0
男「ロクジュウ……ハチオク…………?」
神「68億5994万354」
男「なんだよそれ……」
神「例えるならば、世界の人口から1を引いた数?」
男「そうじゃねえだろおっ!」
神「ひっ……、男さん怖いですよ」
男「何でだよ!8000万だったんじゃねぇのかよ!」
神「ちゃ、ちゃんと8000万でしたよっ!」
男「じゃあなんでだよ!なんで皆殺したんだよ!」
神「…………」
男「答えろよっ!」
神「これを願ったのが、アナタだけだとでも思いましたか?」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:37:06.57 ID:/fDZJXIF0
少しの沈黙と、空白の時間。
理解に至るまで時間がかかった。
神「男さん、アナタだけじゃないんですよ、お金を願った人は」
男「どういう……意味だ…………」
神「そのままの意味です。男さん以外にも、たくさんの人々がお金を必要としました」
神「だから殺しました」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:38:05.78 ID:/fDZJXIF0
男「ふざけんなああああああ!」
神「ふざけてませんよ、事実を言ったまでです」
男「うるせぇ!お前は……お前はっ!」
感情に任せて神様の胸倉を掴み上げる。
しかし、神様は酷く冷静なまま、話を続けた。
神「それと、もう一つ男さんに言うことがあります」
目の前の視界が揺らぎ、胸倉を掴んだ手からは力が抜け落ちた。
腹部に激痛が走り、それが胸、頭、足へと広がっていく。
そうして、神様は一言だけ呟いた。
神「……68億5994万355人目」
ドサッ
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:50:16.58 ID:/fDZJXIF0
チュンチュン――
男「…………」
強烈なデジャヴを感じた。
いつかもまた、今と同じように布団で寝ていた気がする。
それ以前に、自分は今まで何をしていた?
?「おはようございます」
男「うわっ」
?「だ、大丈夫ですか?」
見たことがある顔だった。
神「実はまだ、男さんに言うべきこと言ってなかったんですよね」
あぁ、そうだ。こいつは確か――
神「男さん……。1000万人足りなかったので、あと1000万回殺しますね」
――"神様"だ
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/11(日) 22:51:45.45 ID:/fDZJXIF0
以上で 神「あなたにお金を好きなだけあげましょう」 は終了です!
最後までお付き合いしてくださって、本当にありがとうございました
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