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一方通行「帰ンぞ」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:46:56.06 ID:2gDQLG940
一方通行「おい、オマエそろそろマジ死ンどくかァ? 俺はいつでも準備できてンぜェ?」
打ち止め「はぁ、やれやれ。乙女心と秋の空が理解できないとは…、ってミサカはミサカは大人の女を演出してみたり!」
一方通行「オーケーオーケー、素敵に真っ赤なオブジェにしてやって秋を演出してやンぜェ」
打ち止め「またそうやってできもしないことを、ってミサカはミサカは愛されガール(笑)っぷりを……ハッ」
一方通行「クソガキがァ!! もう許さねェぞ待ちやがれェ!!!」
打ち止め「古今東西そんなことを言われて待った人が居るわけない、ってミサカはミサカは全力疾走しつつ論じてみたり!」
一方通行「ぶっ殺すっ!!!」
美琴「答えなさい、アンタは誰?」
の続きです
一方通行「おい、オマエそろそろマジ死ンどくかァ? 俺はいつでも準備できてンぜェ?」
打ち止め「はぁ、やれやれ。乙女心と秋の空が理解できないとは…、ってミサカはミサカは大人の女を演出してみたり!」
一方通行「オーケーオーケー、素敵に真っ赤なオブジェにしてやって秋を演出してやンぜェ」
打ち止め「またそうやってできもしないことを、ってミサカはミサカは愛されガール(笑)っぷりを……ハッ」
一方通行「クソガキがァ!! もう許さねェぞ待ちやがれェ!!!」
打ち止め「古今東西そんなことを言われて待った人が居るわけない、ってミサカはミサカは全力疾走しつつ論じてみたり!」
一方通行「ぶっ殺すっ!!!」
美琴「答えなさい、アンタは誰?」
の続きです
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:48:04.36 ID:2gDQLG940
佐天「はー、仲の良のいい……兄妹?」
初春「あ、佐天さん佐天さん。こっちのこれどうですか?」
佐天「お、中々いい感じのものじゃないですか初春くん。10点あげちゃおう」
初春「得点が増えるとなにかあるんですか?」
佐天「100点になると、もれなくスカートめくり券をプレゼントします」
初春「…それ、誰に使えばいいんですか?」
佐天「白井さんだと、周りがリアルにドン引きするから無しね。あ、御坂さんも却下ね、短パンとか職人として納得できないし」
初春「もう私しかいないじゃないですか…」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:49:04.01 ID:2gDQLG940
打ち止め「勢いに任せて逃げたのはいいけど、あの人とはぐれちゃった、ってミサカはミサカは現状を説明してみたり」
打ち止め「もー、ちょっとからかっただけなのに、本気で怒るんだから…、ってミサカはミサカは不満を口にしてみる」テクテク
打ち止め「それにしても…」キョロキョロ
打ち止め「ここはどこなのかな、ってミサカはミサカは……ハッ」
打ち止め「もしかして、これが噂の迷子という子供特有の不思議現象じゃあ、ってミサカはミサカは冷静に現状を分析してみたり…」
打ち止め「え、あれ? これって結構ピンチ?」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:49:59.93 ID:2gDQLG940
一方通行「クソ、あのチビどこに行きやがったンだァ」キョロキョロ
一方通行「…」キョロキョロ
一方通行「帰るか…。あのクソガキがどうなろうが、どこで野垂れ死のうが知ったことじゃねェ」キョロキョロ
一方通行「あー、せいせいするぜェ。はン、これであのクソガキともオサラバってわけだァ」キョロキョロ
女の子の声「あー! いたー!」
一方通行「―ッ」バッ
女性の声「ダメじゃない、勝手に動き回って」
女の子の声「ごめんなさーい…」
一方通行「…」
一方通行「さァって、出口はどっちだったかなァ」キョロキョロ
※巨大モールっぽい場所とかそんな感じ
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:50:48.30 ID:2gDQLG940
御坂妹「…」
打ち止め「あ! こんなところで会うなんて奇遇だね! ってミサカはミサカはry」
御坂妹「…」スタスタ
打ち止め「って、ちょっと聞いてるの!? ってミサカはミサカは自己の存在をはげしくアピール!」
御坂妹「…」スタスタ
打ち止め「ううぅー、ってミサカはミサカは10032号の冷たさに嘆いてみたり…」トボトボ
御坂妹「…」スタスタ
打ち止め「って歩くの早! ってミサカはミサカは……………とりゃ!」ガシッ
御坂妹「…チ」
打ち止め「実力行使で腕をつかんでみたり! これでもうミサカのこと無視できないでしょ、ってミサカはミサカは…え、いま舌打ちした!?」
御坂妹「気のせいでしょう。こんなところで奇遇ですね、とミサカは内心を押し隠し挨拶を返します」
打ち止め「納得いかないけど、話が進まないから許してあげる、ってミサカはミサカは大人の気配りをするわけで
こんなところで何をしてるの? ってミサカはミサカは聞いてみる」
御坂妹「散歩です、とミサカは簡潔に答えます」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:51:35.98 ID:2gDQLG940
打ち止め「そうなの…、てっきりあなたも迷子かと思ったんだけど、ってミサカはミサカはこぼしてみたり」
御坂妹「も、ということはあなたは迷子なのですね、とミサカは分かりきった推測をします」
打ち止め「そうなの、あの人がどこに居るかわからなくて、ってミサカはミサカは途方にくれてみる」
御坂妹「迷子かよwwwwフヒヒwwwwwwという本音を胸にしまって、ミサカは上位個体を心配します」
打ち止め「はぁ、ってミサカはミサカは下位個体の思いやりのなさにため息を吐く
それはともかく、きっとあの人も迷子になってると思うから探すのを手伝って欲しい、ってミサカはミサカは頼んでみたり」
御坂妹「セロリが迷子、ですか…、とミサカは確認をとります(あ、ヤベ)」
打ち止め「そうだよ! NWで検索したら『道に迷った子供』『連れからはぐれる』ってあるから
あの人は成人をしていない子供なので両者に該当する!
だからあの人も迷子なんだよ、ってミサカはミサカは論理展開!」
御坂妹「なるほど、一理ありますね、とミサカは納得します。では頑張って探してください」
打ち止め「うん! ってだからあなたも協力してよ!」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:52:23.84 ID:2gDQLG940
初春「欲しいものがいっぱいあって、困っちゃいますね」
佐天「そうなんだよねー、品揃えがいいのはありがたいけど……ん?」
初春「どうかしたました?」
佐天「ん、ほら。あの人なんだけどさ」
初春「あの杖をついてる人ですか?」
佐天「そうそう。さっき小さい女の子と一緒にいたんだけど…」
初春「人を、探してるみたいですね。その女の子のことじゃないですか?」
佐天「かも。はぐれちゃったのかな?」
初春「…困ってるみたいですし、一緒に」
佐天「え」
初春「佐天さん?」
佐天「あ、いや。その、ちょっと怖そうな人だし…声かけ辛いかなーって………あはは」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:53:15.83 ID:2gDQLG940
初春「ダメですよ佐天さん! 人を見かけで判断したりしたら!」
佐天「ちょ、ちょっと初春! ボリューム、声のボリュームを落とし」チラ
佐天「―ッ(こ、こっちを見てるし!)」
初春「きっと困ってるんです! ううん、困ってるに決まっています!
小さな女の子なんですよ! はぐれたらすごく心配するに決まってます!」
佐天「初春さーん、お願いだから声を…」
初春「若いのに白髪だったり、妙に肌が白かったり、奇抜なデザインの服装だったり!
口調とか笑い方がおかしかったり、顔が怖かったりしたとしても、見掛けで人を判断したらいけません!」
佐天「え、そこまでは……」
初春「そんな悲しいこと言わないで…」
佐天「あれ、え、ここでそれ言っちゃうの…」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:54:32.11 ID:2gDQLG940
打ち止め「ほんと、どこ行っちゃったのかな? ってミサカはミサカは首をかしげてみたり」
御坂妹「経緯を聞く限り、どこかに行ったのはあなたの方では? とミサカは訂正を促します」
打ち止め「だってあの人が悪いんだもん、ってミサカはぶーたれてみる」
御坂妹「セロ…一方通行の肩を持つわけではありませんが、それもあなたでは? とミサカは客観的事実を指摘します」
打ち止め「うー、一応血の繋がった身内みたいなものだし、もっと贔屓目に見てもいいんじゃないかな
ってミサカはミサカは10032号に愚痴をこぼしてみたり」
御坂妹「ねーよ、と返すのは思いとどまり、それもそうですね、とミサカはテキトーな相槌をうちます」
打ち止め「…なにか、すっごく冷たいような気がするんだけど気のせいじゃないよね? ってミサカはミサカは聞いてみる」
御坂妹「…」
打ち止め「うわーい、沈黙で返された、ミサカの存在全否定? ってミサカはミサカはやけくそ気味にry」
御坂妹「あ、とミサカは呟きます」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:56:28.88 ID:2gDQLG940
一方通行「…(クソ、どこ行きやがったンだァ、あのクソガキはァ)」キョロキョロ
一方通行「チッ、世話やかせやがる…あン?」
「xxxxxxx! xxxxxxxxxxxx!」
「xxxxxx! xxxxxxxxxxxxxxx」
「xxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx!」
「xxxxxxxxxxxxx」
一方通行「…(うるせェ奴らだな)」
「xxxxxxxxx xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx!!」
「xxxxxxxxxx」
「xxxxxxxxxxx」
「xxxxxxxxxxxxx」
一方通行「…(こンな無様晒す前なら真っ先に反射してやンだが…)」
一方通行「…(あー、だりィ。マジでクソガキの奴どこに………ン?)」
「あ、あの、女の子を探しているんですよね?」
一方通行「あァ?(…なンだこのガキ、頭に花なンか乗っけてイカれてンのかァ?)」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:57:10.31 ID:2gDQLG940
「よかったら、探すのを手伝わさせてください!」
一方通行「はァ?」
「きっとその子は不安だと思うから、少しでも早く見つけてあげたいんです」
一方通行「…(チッ、クソガキが居なくなったと思ったら、今度は違うガキかよ)」
「だから、手伝いたいんです!」
「う、初春」
一方通行「…(無視だ、無視)」カッカッ
「あ…。ま、待ってください!」
「や、やめなって…」
一方通行「……なンのつもりだァ?」
「わ、私ジャッジメントなんです!」
一方通行「あっそ、ご苦労さン」カッカッ
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:58:01.66 ID:2gDQLG940
「わ、私人探し得意なんです! だから絶対その子を見つけますから」
「そ、そうね、初春得意だもんね……あは、あはははは」
一方通行「わかったわかった、ジャッジメントさンよォ。俺は人探しなンかしてねェ。―――分かったか?」ギロ
「…ッ」ビク
「う、初春、行こう? 邪魔しちゃ悪いよ(初春さんマジ頼みます! このままだと私が死ぬし!)」
一方通行「ケッ」カッカッ
「じゃ、じゃあ勝手に探します!」
「」ハイシンダー
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:58:51.95 ID:2gDQLG940
一方通行「あァ?」ジロリ
「…」ジー
「」カタカタ
一方通行「…」
「…」ジー
「」カタカタ
一方通行「…………勝手にしろ」ボソッ
「はい! そうします!」
「」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:59:38.23 ID:2gDQLG940
打ち止め「え? なになにあの人見つけたのっ!? ってミサカはミサカははやる気持ちを抑えて聞いてみる!」
御坂妹「いえ、もう昼時なので昼食をとろうと思い立ったところです、とミサカは何を食べるか思案しつつ答えます」
打ち止め「そういえば…」キュルキュルキュー
御坂妹「先に断っておき」
打ち止め「いえーい! ミサカはハンバーグが食べたいな! ってミサカはミサカは先手必勝!」
御坂妹「断っておきま」
打ち止め「偉い人は言いました、腹が減っては戦はできぬ! ってミサカはミサカは格言を語ってみたり!」
御坂妹「…はぁ、わかりました。ただ、手持ちにあまり余裕がありませんので…
とミサカは昼食のランクを下げることを想定しつつ念を押します」
打ち止め「やっほー! ハンバーグ、ハンバーグ!」
御坂妹「話を聞け」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:00:40.16 ID:2gDQLG940
初春「分かりました、小学校低学年くらいの水色のワンピースの女の子ですね!」
佐天「…あ、うん。たしか水色のワンピース、だったよ」チラ
一方通行「…」
初春「さぁ、頑張って女の子を見つけましょう!」
佐天「そうだね、あは、あはは」チラ
一方通行「…チ」
佐天「…(ちょ、舌打ち! 初春さ~ん、めっちゃ怖いんだけどこの人)」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:02:05.78 ID:2gDQLG940
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…」
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…(私たちが居るからかな…。視線だけすっごく動かしてるし)」
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…(うーん、悪い人じゃないんだよねきっと。一緒にいた子も楽しそうだったし)」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:03:04.80 ID:2gDQLG940
初春「…あ」
一方通行「―ッ」バッ
佐天「」
初春「…違いますね」
一方通行「…チ」
佐天「…(やっぱり怖い)」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:03:48.17 ID:2gDQLG940
御坂妹「遠慮、という言葉は知っていますか、とミサカは上位個体に皮肉を混ぜつつ聞いてみます」
打ち止め「ちょーおいしー! ってミサカはミサカは幸せ指数が30くらいアップしてみたり!」
御坂妹「ミサカの制止を振り切り、入店早々ダブルチーズハンバーグDXセットを注文した結果
カルボナーラを諦め肉うどんを食べることになったのですが、と麺をすすりつつミサカは訴えます」ズルズル
打ち止め「んー! おいしいハンバーグ! ってミサカはミサカは体言止で感動を表現してみたり」モグモグ
御坂妹「1280円のダブルチーズハンバーグDXセットはそんなに美味しいですか?
とミサカは480円の肉うどんをすすりながら780円のカルボナーラに思いを馳せつつ聞きます」ズルズル
打ち止め「コーンスープもとろっとろでおいしー!」
御坂妹「肉うどんの汁も悪くありませんよ、と空しさを感じながらもミサカは負けじと言い返します」
打ち止め「はぁ、幸せ…。10032号も空しさを感じるくらいならハンバーグを頼めばよかったのに、ってミサカはミサカは言ってみる!」
御坂妹「大したスルースキルですね、とミサカはもう言葉がみつかりません(カルボナーラ…)」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:06:37.24 ID:2gDQLG940
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…」
初春「…むぅ、それらしい子が見つかりませんね」キョロキョロ
佐天「そ、そうね。どこに行ったのかな」
一方通行「…」キョロキョロ
初春「…」キョロキョロ
佐天「あ、案外どこかのファミレスに入って、ハ、ハンバーグなんか食べてたりして」
一方通行「…クソガキは金持ってねェよ」ボソ
佐天「そ、そうですよねー。早く見つけてあげないと、あは、ははは」
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…(…お腹減ったなあ)」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:07:46.47 ID:2gDQLG940
アリガトウゴザイマシター
打ち止め「お腹いっぱーい! ってミサカはミサカは大満足!」
御坂妹「…(懐が非常に心もとなくなっていまいました、とミサカはミサカは現状を分析します)」
打ち止め「あ、ジュースが飲みたいかも、ってミサカはミサカは言ってみる」
御坂妹「…(残金は240円、紅茶を飲むことすら困難になってしまいました、とミサカは嘆息します)」
打ち止め「そうと決まれば、ってミサカはミサカは全力疾走!」
御坂妹「…(モールを軽く散策、ランチにはパスタを食べて食後は優雅に紅茶とケーキを楽しむ完璧な計画が台無しに……)」
打ち止め「ぷはー、食後の午後ティーはたまらない! ってミサカはミサカは大人な気分!」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:08:31.31 ID:2gDQLG940
御坂妹「…………ひとつ、質問します、とミサカは上位個体に問いかけます」
打ち止め「?」ゴックゴック
御坂妹「いま、その手に持っているモノを買うお金はどうしましたか? と嫌な予感が拭えずミサカは声を震わせて尋ねます」
打ち止め「10032号のお金を借りたよ? ってミサカはミサカは正直に告白してみたり」
御坂妹「…それは幾らしましたか?」
打ち止め「130円」
御坂妹「oh...」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:11:07.72 ID:2gDQLG940
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…」
初春「…っあ! そうだ!」
佐天「―っ」ビク
一方通行「…」キョロキョロキョロ
初春「二手に分かれた方が効率いいですよね! なんで気付かなかったんだろう…えへへ」
佐天「そ、それもそう――――ハッ (まてまてまて、私は女の子の顔を知っているけど初春は知らない…こ、これはチャンスよ)」
一方通行「…」キョロキョロキョロ
初春「そういえば、まだその子の名前知らなかったです」
佐天「…(白い人の名前も知らないんだけどね…、怖くて聞けないけど)」
一方通行「…」キョロキョロ
初春「あの、その子の名前はなんて言うんですか?」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:19:01.64 ID:2gDQLG940
佐天「…(あ、なんかこういうときの初春すげーって素直に感心するわ。もう慣れたのかな? 全然物怖じしてないっていうか…)」
一方通行「…(あァ? 名前だァ? …チッ、面倒くせェな)」
初春「…」ジー
一方通行「…ッ(こ、こガキ、ケンカ売ってンのか?)」
佐天「…(うお、白い人が若干引いてる…こうと決めたときの初春つえぇ。なんか白井さんと徹底抗戦したとき思い出すわ…)」
初春「…」ジー
一方通行「…チッ…………打ち止めだ」ボソ
初春「打ち止めちゃんですね! 分かりました!!」
佐天「…え(ちょ、それ名前なの? 普通に考えて………ハッ)」
一方通行「…ァ?」ジロリ
佐天「打ち止めちゃんかぁ。い、いい名前ですねー。あは、あはははは」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:24:03.05 ID:2gDQLG940
初春「じゃあ私向こうの方を見てきますね! 佐天さんあと頼みます!」
佐天「は?」
初春「見つけたら携帯に連絡しますね!」タッ
佐天「え…、う、初春さん?」
初春「」タッタッタッ
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…(ちょ、ちょっとー、初春のばかーッ!!)」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:31:26.51 ID:2gDQLG940
御坂妹「残念です、もう10円あればジュースが飲めたのですが、と110円で購入した科学の水を飲みながらミサカは項垂れます」
打ち止め「パックジュースでも買えばよかったのに、ってミサカはミサカは選択しなかった選択肢について語ってみる」
御坂妹「小銭が残るのも癪なので、とミサカは空になったペットボトルを捨てます」
打ち止め「それにしてもあの人どこに居るのかなー、全然見つからないね、ってミサカはミサカはため息をついてみたり」
御坂妹「ああ、そういえばそんな目的もありましたね、とミサカは完全忘却していたしょぼい事実を思い出します」
打ち止め「しょぼいって…、ってミサカはミサカはまーミサカもさっきまで忘れてたんだけどねって事実を軽くスルーして言ってみたり」
御坂妹「もう帰ったのでは? とミサカはジャブを放ちます」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:36:22.43 ID:2gDQLG940
打ち止め「それはないよ! だってあの人はミサカのこと大好きだから!
ってミサカはミサカは相思相愛っぷりをアピールしつつ10032号のジャブをかわしてみる!」
御坂妹「では、他の女と一緒にいるのでは? とミサカはねーだろと思いながらも上位個体にストレートをくりだします」
打ち止め「あの人のツンデレは極まってるから普通の人じゃ耐えれないよ!
ってミサカはミサカは10032号のストレートを迎え撃つ体勢をとったり!」
御坂妹「ああ、それは非常に納得できます、とミサカのくりだしたストレートが空をくります」
打ち止め「だから、あの人もミサカのことを探してる! ってミサカはミサカはカウンターを決めて1RK.O!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:38:07.28 ID:2gDQLG940
佐天「…」
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…」
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…(もう隠す気はなさそうだな、全力で探してますって感じだし)」
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…(めっちゃ愛されてるって感じだなー、あのちっこい子。けどなんだろう、兄妹とは違う気がするし親戚かな?)」
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「―っ(あ、やば)」キュルキュルキュー
一方通行「…」
佐天「」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:40:15.43 ID:2gDQLG940
一方通行「…」
佐天「…あ、あの」グゥー
一方通行「…」
佐天「…(ちょ、まじ空気読んでよ私のお腹!!)」
一方通行「…あー」
佐天「え?」
一方通行「チッ」ガッシガッシ
佐天(急に頭を掻きだしたし! え、そんなヤバイことやっちゃったの私!?)
一方通行「…もうイイから好きにしろ」
佐天「はい?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:41:31.56 ID:2gDQLG940
一方通行「あの花頭はもういねェだろォが、もう好きにしろつってンだよ
オマエが最初っから乗り気じゃねェってことくらい、流石に俺でも分かンだよ」
佐天「あ、はい(花頭って…初春ことだよね? なんとも絶妙な表現かも)」
一方通行「…」
佐天「え!? あ、いやそーじゃなくてですね。今のは、はいじゃなくていいえっていうか…その」
一方通行「はぁ、もうイイ十分だ、ありがとさン」
佐天「…」
一方通行「じゃあな」
佐天「あ…」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:44:57.31 ID:2gDQLG940
佐天(行っちゃった…。杖突いてて歩きにくそうだな…)
佐天(私、結局なにしてたんだろ…)
佐天(怖がって、真面目に探すこともしなかったし)
佐天(あの人、困ってるんだよね…)
佐天(はぁー、ダメだなぁ私)
佐天(あの白い人、怖かったけど最後のはその、なんていうかちょっと違ったな…)
佐天「…」
佐天「ん゛ー……、あーもーっ!!」ダッ
佐天(…まだ、間に合うよね?)
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:46:34.80 ID:2gDQLG940
打ち止め「子猫」
御坂妹「軽いイルカ」
打ち止め「…トマト」
御坂妹「竹薮焼けた」
打ち止め「し、新聞紙!」
御坂妹「何度も戻んな」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:52:19.28 ID:2gDQLG940
佐天「みっつけたー!」
一方通行「―ッ」バッ
佐天「あー、すみません。あなたのことです…」
一方通行「は? オマエなに言ってやがン」
佐天「さぁ! 一緒にあの子を探しましょう!」ビシッ
一方通行「…おい、どうなったらアレからそうなンだ?」
佐天「…え、流れ的にちょっと感動の場面的な感じを想像してたんですけど」
一方通行「ねェよ」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:53:22.63 ID:2gDQLG940
佐天「あはははは、ちょっと突っ走りすぎまちゃいましたね」
一方通行「…」
佐天「私も、好きにします。だから勝手に探しますね」
一方通行「はァ?」
佐天「で、なんですけど。お詫びとしてなんかあとで奢ってください!」
一方通行「意味わかンねェし、イカれてンのか?」
佐天「いや、買い物しちゃったから手持ちにあまり余裕がなくて…、けっこう切実にヤバイんです」グゥー
一方通行「」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:56:12.20 ID:2gDQLG940
打ち止め「……し、渋谷節!」
御坂妹「六日分全部皆無」
打ち止め「……ぅう」
御坂妹「つまんねェ年末」
打ち止め「」
御坂妹「耐えたニシン、死に絶えた」
打ち止め「って、なんか暗いほうにいってない? ってミサカはミサカは…」
御坂妹「気のせいでしょう。だめだ、運命だ」
打ち止め「もうやめやめっ! ってミサカはミサカはゲームの中止を宣言してみたり!」
御坂妹「ただ探すのに飽きたから、歩きながらできるゲームがしたいと誰が言い出したのやら、とミサカは呆れます」
打ち止め「回文しりとりとか言い出した10032号も相当だと思うんだけど、ってミサカはミサカは言ってみる」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 17:00:42.91 ID:2gDQLG940
一方通行「…」モグモグ
佐天「んー、空腹は最っ高の調味料ですね!」モグモグ
一方通行「…」モグモグ
佐天「歩きながら食べるってのが、また」モグモグ
一方通行「…」モグモグ
佐天「でも、よかったんですか?」
一方通行「あン?」
佐天「あの子を見つけてからでもよかったんですけど…
きっとあの子もお腹すかせてるだろうし(…初春もお腹すいてるよね)」
一方通行「いまさらンなこと気にすンじゃねェよ」ジトー
佐天「あはは、それを言われると、弱っちゃうんですけどね」モグモグ
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 17:05:10.50 ID:2gDQLG940
一方通行「…」モグモグ
佐天「…(おいしいなあ…)」モグモグ
一方通行「…クソガキにはいい薬だ」ボソ
佐天「…」モグモグ
一方通行「…」モグモグ
佐天「…(あのちっこい子が懐く理由がわかった気がするなあ…)」モグモグ
一方通行「…チ」モグモグ
佐天「…(怖いけど…)」
ちょい投下ペースが落ちる、ってミサカはミサカは煙草を買ってきたり
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:24:35.30 ID:2gDQLG940
さーせん再開します
煙草を買いに行ったのに気がつくとシグルイと宇宙兄弟の新刊と禁書5巻持ってた、ハイスピry
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:27:22.68 ID:2gDQLG940
初春「水色のワンピース、水色のワンピース…」キョロキョロ
初春「なかなか見つからないですね……あ」
初春「水色のワンピースの女の子! …あれ、誰かと一緒に」
初春「お姉さん? …あの子は違うのかなあ」
初春「んー、仲良さそうに歩いているみたいだし違う子ですねきっと」
初春「水色のワンピースの女の子…」キョロキョロ
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:32:26.89 ID:2gDQLG940
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…」キョロキョロ
一方通行「…」キョロ
佐天「…」キョロキョロ
一方通行「……」
佐天「…」キョロキョロ
一方通行「……もうイイぞ」
佐天「…え?」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:33:53.12 ID:2gDQLG940
一方通行「…こンだけ探してもでてこねェんだ。もう帰ったンだろ」
佐天「…」
一方通行「それによォ、家に居なくても、別に探すあてがあンだよ(…芳川のヤロウに電話して、妹達のNWで見つけりゃいい)」
佐天「そ、そんな、私まだなにも…」
一方通行「気にすンな」
佐天「……あ、そうだ! 何で気付かなかったんだろ」
一方通行「あン? まだなンかあンのか?」
佐天「初春です初春!」
一方通行「花頭ァ?」
佐天「ちょっと電話します!」ピポパピポ
トゥルルルー
初春『…はい、もしもし。佐天さん、見つかったんですか?』
佐天「違うの初春、そうじゃなくてカメラよカメラ!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:36:01.07 ID:2gDQLG940
佐天「すっかり忘れてたでしょ、まあもっと簡単に見つかると思ってたから考えもしなかったんだけどさ」
初春『ですね。じゃあ私ちょっと係りの人に聞いてきます』
佐天「おうよ! 風紀委員って言えば一発でしょ!」
初春『そういえば、さっき水色のワンピースを着た女の子を見つけたんですよ』
佐天「へ? 見つけたの?」
初春『はい。ただ、お姉さんと一緒にいたみたいで…違う子だと思うんですが』
一方通行「あ? 見つかったのか?」
佐天「いえ、それがお姉さんと一緒にいたらしくて、違う子かと」
一方通行「……ちょっと待て。その女はなに着てたンだ?」
佐天「あー、初春? そのお姉さんはどんな服装だった?」
初春『後姿しか見ていないんですけど、たぶん常盤台中学の制服だったと思います』
佐天「常盤台? 御坂さんと同じ学校の…」
一方通行「…そいつだ」
佐天「え?」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:40:06.31 ID:2gDQLG940
御坂妹「さて、食後の散歩も十分堪能しました、そろそろ帰ります、とミサカは上位個体に告げます」
打ち止め「えー? こんなところにミサカ一人置いていくつもりなの、ってミサカはミサカは嘆いてみる」
御坂妹「NWに繋がっている限りミサカ達が一人になることはありえません、とミサカは論じます」
打ち止め「いや、精神的にっていうか…、ってミサカはミサカは抵抗してみる」
御坂妹「例えNWで繋がっていなくとも、ミサカたちはいつだって心で繋がっています、とミサカは吐き気を催しつつも慰めます」
打ち止め「一度本気で下位個体達との距離について考える必要があるかも、ってミサカはミサカは検討してみたり…」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:42:55.94 ID:2gDQLG940
佐天「よし、っと。あとは待つだけですね!」
一方通行「…」
佐天「立っているのもなんですし、あそこで座って待ちませんか?」
一方通行「…」
佐天「あ、そうだ。ちょっと座って待っててください」
一方通行「…」ヨッコラセ
一方通行「…」
一方通行「…(なンなンですかァ、この流れは…)」
一方通行「…(クソガキを探してたらガキが増えやがる…)」
佐天「どーぞ」
一方通行「あァ?」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:43:41.51 ID:2gDQLG940
佐天「ジュースです! さっきご馳走になりましたし。これくらいのお金なら持ってますから」
一方通行「…」
佐天「要りませんか?(…余計なこと、しちゃったかな)」シュン
一方通行「……」ヒョイ
佐天(あ…)
一方通行「…貰っとく」ボソ
佐天「はいっ!」
一方通行「…」ゴクゴク
佐天「…」ゴクゴク
一方通行(クソ甘ェ……)
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:46:57.85 ID:2gDQLG940
打ち止め「やっほー! ってミサカはミサカは数時間ぶりにみるあなたにテンションMAXで抱きついてみたりっ!!」
一方通行「クソガキがァ!! ひっつくなって言ってンだろ!!!」
打ち止め「やーだーもんっ! 迷子のあなたを心配してたんだから! ってミサカはミサカは言ってみる!」
一方通行「はァ? オマエがなってたンだろうがァ!!」
打ち止め「ううん、ミサカとあなたの二人とも迷子だったんだよ! ってミサカはミサカはすでにでた結論を論じてみる!!」
一方通行「なンだそれ、つーか今すぐ離れろクソガキ!!」キャー
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:48:56.85 ID:2gDQLG940
初春「よかったですね、見つかって」
佐天「うん。にしても初春、お姉さんはどうしたの?」
初春「なんか、先に帰っちゃったみたいですよ」
佐天「ふーん」
初春「仲良いですね」
佐天「あの二人?」
初春「はい! 頑張ったかいがありましたよ!」
佐天「そうだね。(…楽しそうだなあ、ちょっとだけ羨ましいかも)」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:50:08.84 ID:2gDQLG940
打ち止め「ルイコも花頭のカザリもありがとうねー! ってミサカはミサカはお礼を言ってみたり!」
佐天「おうよ! またねちっこいの!」
初春「もう迷子にならないように気をつけてね。(花頭……)」
一方通行「…」
佐天「あのー、今日はありがとうございました」
初春「?」
一方通行「気にすンな…」
佐天「それじゃあ私たちも帰りますんで」
初春「失礼します」ペコリ
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:50:51.63 ID:2gDQLG940
一方通行「……待て」
佐天・初春「?」
一方通行「…世話ンなった」
佐天「…っ」
初春「いえ、風紀委員として当然のことをしただけですから」
一方通行「じゃァな」
初春「はい、失礼します」
佐天「…(ちっこいのが懐くわけだ、なんか敵わないなあ)」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:51:34.28 ID:2gDQLG940
打ち止め「ねー、ルイコと二人っきりでなにを話していたの? ってミサカはミサカはしつこく聞いてみる」
一方通行「はァ? なに言ってンだオマエ」
打ち止め「カザリが言ってたよ、ミサカが見つかるまで二人でベンチに仲良く座ってたって
ってミサカはミサカは動かぬ証拠を突きつけてみる!」
一方通行「くっだらねェ、帰ンぞォ」
打ち止め「あ! 待ってよー!!」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:52:20.46 ID:2gDQLG940
御坂妹「おや、こんなところで寝っ転がって黄昏てましたか。昨夜ぶりですね、とミサカは挨拶をします」
上条「あー、悪かったな黄昏てて。今は冗談に付き合える気分じゃねえぞ」
御坂妹「ええ、ミサカも冗談を言うためにあなたを探していたわけではありません、とミサカは答えます」
上条「…」
御坂妹「…」
上条「なあ、あいつは……っ」
御坂妹「途中で意味深に言葉を切らないでください、とミサカはあなたを責めます」
上条「いや、悪い。ただの泣き言だ」
御坂妹「…」
上条「インデックスの奴さ、相当参っててな。俺も学校サボっちまうし…なんだかなあ」
御坂妹「…」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:54:18.59 ID:2gDQLG940
上条「もう、御坂には言ったのか? 俺はあれからあいつとまだ会ってねえんだよ」
御坂妹「いえ、お姉さまにはまだ伝えていません、とミサカは簡潔に答えます」
上条「今日、話をするって昨日言っちまったし。いつまでも黙っておけないよなあ…」
御坂妹「それは厳しい状況ですね頑張ってください、とミサカはエールを送ります」
上条「他人事かよ…。言っとくけどな、絶対にお前らの方にも飛び火するから覚悟しとけよ?」
御坂妹「では、そうならないように善処してください、とミサカは返します」
上条「はあ、厳しいな御坂妹は」
御坂妹「それほどでもありません、とミサカは謙遜します」
上条「…らしくないな、俺」
御坂妹「らしくありませんね」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:55:33.24 ID:2gDQLG940
上条「…そう、だよな。おし! 今日はすこし奮発して豪勢な飯にするか!」
御坂妹「参考にどんな夕食を食べるのか教えてください、とミサカは尋ねます」
上条「主に豚バラ肉を…」
御坂妹「それはよかったですね、とミサカは視線を反らして答えます」
上条「家計が火の車の我が家にはこれで精一杯なんだよ! インデックスもこれで十分喜んでくれるし…
ま、あいつもうまい飯食えばちょっとくらい元気になるだろ」
御坂妹「そんなあなたに朗報です、とミサカは伝えます」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:56:29.18 ID:2gDQLG940
上条「特売のチラシとかか?」
御坂妹「ハッ、とミサカは鼻で笑います」
上条「悪かったな発想が貧困でっ!! で、朗報ってなんだよ」
御坂妹「記憶に関しては口止めをされていませんから、とミサカは先に言い訳をします」
上条「へ? なに言ってんだお前?」
御坂妹「記憶はそのままです」
上条「は? そりゃどーいう……っておい!? 」
御坂妹「帰ります、とミサカは端的に答えます」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:57:45.33 ID:2gDQLG940
御坂妹「いい加減疲れました、とミサカは訴えます」
打ち止め「じゃあベンチにでも座って少し休憩する? ってミサカはミサカは提案してみる」
御坂妹「反対すべき要素がなに一つないので座ります、とミサカは消極的同意をします」
打ち止め「ぶー、なんだかいちいち引っかかるんだけど…」
御坂妹「気にしないで下さい。突然ですが打ち止め、聞きたいことがあります、とミサカは緊張した面持ちで切り出します」
打ち止め「なにを? ってミサカはミサカは構えてみたり」
御坂妹「昨日、なぜNWを切断していたのですか? とミサカは上位個体に問いかけます」
打ち止め「女の秘密に詮索はダメなんだよ、ってミサカはミサカは口にしてみたり」
御坂妹「質問を変えます、とミサカは仕切りなおします」
打ち止め「なにを聞かれたって答えないよ、ってミサカはミサカはシラをきりとおすつもりだったり」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:58:56.65 ID:2gDQLG940
御坂妹「その返答がすでになにかあると言外に語っているわけですが、まあいいでしょう。
単刀直入に聞きます、彼女をどうしましたか? とミサカは前置きを端折って核心をつきます」
打ち止め「なんの事か分からないかも、ってミサカはミサカはしらばっくれてみる」
御坂妹「惚けても無駄です、とミサカは問い詰めます。19090号に一方通行の部屋を見張っていてもらいました
NWを切断していたことが仇となりましたね、とミサカは皮肉を言います」
打ち止め「はぁ…」
御坂妹「…」
打ち止め「ヒント…ううん、ミサカからのお願いだけどいいかな? ってミサカはミサカは聞いてみる」
御坂妹「…」
打ち止め「沈黙は肯定と取るよ? 聞いたからには必ず実行してほしい、ってミサカはミサカは念を押す」
御坂妹「常識的範囲であれば、とミサカは答えます」
打ち止め「これは命令じゃなくて、お願いだから今ならまだ…」
御坂妹「構いません」
打ち止め「それじゃあ言うね、彼女は生きてるよ、ってミサカはミサカはさらっと驚愕の事実を語ってみたり」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:00:24.21 ID:2gDQLG940
御坂妹「予測範囲内ではありますが、確かに驚くべき事実ですね、とミサカは言います」
打ち止め「ただ、このことは他言しないで欲しい、ってミサカはミサカはお願いする。妹達になら話してもいいけど」
御坂妹「約束は守ります、他言はしません、とミサカは自己の義理人情の厚さを強調します
ついでと言っては何ですが、もうひとついいですか?」
打ち止め「記憶のこと?」
御坂妹「はい、とミサカは肯定します」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:02:06.59 ID:2gDQLG940
打ち止め「まだ、そのままだよ、ってミサカはミサカはポツリとこぼしてみる。それはミサカ達が決めることじゃないから
ミサカ一人一人にも価値があるって、だから…」
御坂妹「その意見には賛成します、とミサカは答えます」
打ち止め「どうすればいいんだろうねー、ってミサカはミサカは投げやりに呟いたり」
御坂妹「それも、彼女が決めることですね、とミサカは分かりきったことを言います」
打ち止め「…」
御坂妹「それではミサカは帰ります、とミサカはベンチから立ち上がります」
打ち止め「絶対に秘密だからね、ってミサカはミサカは再度念を押す」
御坂妹「約束は必ず守ります、とミサカは改めて誓います」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:07:21.51 ID:2gDQLG940
これは 美琴「答えなさい、アンタは誰?」 の続き物
正確には上記の合間のエピソードであって、物語の導入部分だったりする
上のを読むに当たっての注意というなの忠告
・前半は試練(笑) 読み流し推奨
・インデックス無双
・一方さんがでたら本気出す
自分用まとめにあるから、まあ探してくれ
続けます
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:11:44.01 ID:2gDQLG940
「あんたたちって、いっつもこんななわけ?」
打ち止め「へ? なにが?」
一方通行「…」
「なにその、わたしが間違ったこと言ってるみたいな反応は…」
打ち止め「え? だっていつもこんな感じだよ、ってミサカはミサカはこの家における日常を語ってみたり」
一方通行「…ふぁ…ねみぃ」
「…朝食べて二度寝して昼食べて昼寝って、どんだけ自堕落してんのよ…」
打ち止め「? 二度寝もお昼寝最高だよ?ってミサカはミサカ即答してみたり」
「いや、もういいわ。っていうか、あんたさ、今日は予定が詰まってるとか言ってなかった?」
>>81
一方さん大活躍するぜ 悪役に徹して
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:13:09.75 ID:2gDQLG940
一方通行「あン? オマエいつのこと言ってンだよ」
打ち止め「買い物のこと? それなら昨日行ってきたよ! それでお昼に食べたハンバーグがすっごく美味しかった
ってミサカはミサカは評価してみたり!」
「え…、じゃあわたしって…」
打ち止め「昨日は一日中寝てたよ? ってミサカはミサカは昨日を振り返ってみる」
「いや、こんな状態のわたしを放って買い物って、あんたたちの神経を疑うわ…」
打ち止め「大丈夫だよ、なんもなかったし! ってミサカはミサカは過去を振り返らない女の姿勢をアピールしてみたり!」
一方通行「クソガキ、うるせェ………ねみぃ…」
「…(なんなのこいつら、緩すぎるんだけど。こんなのが第1位とか…)」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:14:48.48 ID:2gDQLG940
「…」
一方通行「おい、なンだその目は? オマエ、本気でケンカ売ってンだろ? 売ってるよなァ?」
打ち止め「察しのいいミサカは大体なにが言いたいのか分かるけど、ってミサカはミサカは出来る女をアピールしてみる」
「インスタント、コンビニ弁当、ファミレスねえ。あ、別に文句があるわけじゃないわよ? 結構好きだし」
一方通行「あー、そろそろマジで箱詰めの用意しとくかァ…」
打ち止め「んー! このハンバーグはいつ食べてもちょーおいしー! ってミサカは改めて評価の星を4つ付けてみたり!」
「…っていうかさ、わたしがこんな平然と外にでていいの?」
一方通行「インスタントが食いたいンなら遠慮すンな、とっとと店を出ろ」
「悩むのがバカバカしくなるわね…。ま、いっか」モグモグ
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:18:32.43 ID:2gDQLG940
打ち止め「xxxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxxxx!!」
一方通行「xxxxxxxxxxxxxx」
打ち止め「xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx xxxxxxx」
一方通行「xxxxxx!!」
(…わたし、一方通行のこともっと嫌ってたはずなんだけどなあ)
(イメージと違いすぎてるってのもあるけど…。)
打ち止め「xxxxxxxxxx? xxxxxxxxxxxxxxxxxxx」
一方通行「xxx」
打ち止め「xxxxxxx!? xxxxxxxxxxxxxxx!」
(まるで兄妹ね。騒がしい妹に口が悪いけど世話焼きの兄。はまりすぎで、気持ち悪いわ…。)
打ち止め「…………………てる?」
(兄弟、か……)
打ち止め「…………てますかー? おーい、ってミサカはミサカはあなたのスルースキルに悪戦苦闘」
「――え? あ、わたし?」
打ち止め「そう、まさにあなたに言ってるの、ってミサカはミサカはようやく会話が成立したことに安堵したり」
「ああ、ごめん。ちょっと考え事してたわ」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:21:06.25 ID:2gDQLG940
打ち止め「ねえねえ、明日買い物に行かない? ってミサカはミサカは誘ってみる!」
「買い物?」
打ち止め「うん! だっていつまでもその格好って訳にはいかないでしょ?」
「あー、確かに正直気持ち悪いのよね…。でも、お金なんて持ってないわよ?」
打ち止め「大丈夫、そんな心配いらないよ! ってミサカはミサカは太っ腹な得意顔をしてみたり!」
一方通行「俺の金だろォがっ!!!!」
「あ、そーだ。ここの支払いも頼むわね」
一方通行「」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:23:02.11 ID:2gDQLG940
「あの子どうしてるかな…」
打ち止め「あの子ってだれ? ってミサカはミサカは窓際で黄昏てるあなたに抱きつながら聞いてみる!」ダキ
「って、こら、やめなさいよっ!」ジタバタ
打ち止め「スキンシップは大切だよ? 幼年期のスキンシップ不足はその後の人格形成に多大な影響を及ぼすって
ミサカはミサカはテレビでみた知識を鵜呑みにしてみたり!」ギュー
「はあ…(まるで黒子ね…)」
「…あの子ってのは、シスターよ」
打ち止め「シスター?」
>>91
御坂美琴の記憶を持った妹達の一人
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:24:24.61 ID:2gDQLG940
「大混乱だったわたしを助けてくれた恩人。あんまりいいイメージなかったけど180度変わっちゃったわね」
打ち止め「まあ、あなたの立場が180度っていうか急行直下反転宙返りって感じだし、ってミサカはミサカはナイスな表現描写」
「なによそれ…。ともかく、いまわたしがこうして居られるのもあの子のおかげ、かな」
打ち止め「へぇー、ミサカも会ってみたいかも」
「たぶんすぐに仲良くなれるわよ。…ほんと、あの子が一緒に居てくれたから自分を見つめなおせたし、覚悟が持てたから」
一方通行「覚悟ォ? はン、よく言うぜ。相当イイ感じにネジが緩ンで逝ってた奴がよォ
狂ってるなンて言葉がかわいく見えンぜェ。あァ、自覚できねェからこそ狂ってンのか。こりゃ傑作だ」
打ち止め「だからそういうこと言わないの! せっかくいい感じにまとまってたのに…
ってミサカはミサカは乙女心を読めない一方通行に憤慨してみたり!」
「あー、いいのよ、こいつがそういう奴だってのは身をもって知ってるから」
一方通行「そりゃどうも」
「言うの忘れてたからいま言うわ。アレ見つけてくれて、ありがと」
一方通行「」
打ち止め「あ、照れた」
一方通行「ぶっ殺すぞクソガキッ!!!!!!!」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:28:18.51 ID:2gDQLG940
「ふぁー、……ねむぃ」
眠たい目をこすりながら、同じベッドで寝むる小さな同居人を起こさないようにしてわたしは洗面所へむかう。
新品同様の歯ブラシつかい、洗顔を済ませてわたしは服を着替えた。
「こいつらは、まだ起きるわけないわよね…」
そう言ってわたしは軽くため息を吐く。
同居人となってから2日。正確には3日だが、彼らの生活パターンをわたしはほぼ把握していた。
昼前に起きて昼食をとり軽く睡眠、遅ければ日が暮れる頃に起き出して夕食の買い出し、もしくは外食で済まし就寝である。
昼寝がゲームになるか出掛けて遊ぶかテレビを見るかくらいしか変わらないというものだった。
「どうしようかな」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:30:12.52 ID:2gDQLG940
いつもの習慣から遅くても8時には目が覚めてしまう。
自身の記憶ではないが、こればかりはどうしようもないと、わたしは一人ごちる。
わたしは学校へ行かないことに後ろめたさを感じていた、いつかは慣れてしまうのかもしれないのだが。
そうはいっても、友人に会えないことに慣れてしまう残念でならない。
事情が事情なだけに会うわけにもいかないのだから、仕方の無いことだがとわたしは無理やり納得した。
「散歩でもしよっか」
気分を変えるようにわたしは自分に言い聞かせる。
カーテンを閉め切った室内にいても気分が落ち込むだけだから。
8時30分過ぎ、朝の早い学生ならとっくに登校を終えている時刻である。
この時間に登校している学生は、焦って走っているか、開き直ってだるそうに歩いている遅刻の常連者のどちらか。
私服で悠々と歩いているわたしの姿をみて首を傾げるもの、あからさまに視線を向けるものさまざまだ。
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:00:53.42 ID:2gDQLG940
家を出て20ほど歩いただろうか。気がついたら見慣れた景色の中に立っていた。
そこは、いつだったかツンツン頭の男の子と戦った河川敷だった。
ふと、思いつ能力を使用してみた。
「これじゃあ、剣というよりナイフね…」
不思議とショックはなかった。わたしの記憶ではもっと能力の強さにこだわっていたはず。
単純にまだ実感がわいていないだけなのかもしれないが。
砂鉄の剣は長さもさることながら、形状が安定しない。気を抜くとすぐに形が保てずに崩れてしまうことが簡単に予想できた。
身体検査をしていないので、正確なことは分からないがレベルは3~4といったところだろう。
妹達の能力が、強くても3であることからそれよりやや強いくらいか。
「これじゃあ超電磁砲は名乗れないわ」
そういってわたしは苦笑した。
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:07:09.93 ID:2gDQLG940
「あ、帰ってきた。おっかえりー! どこいってたの? ってミサカはミサカは聞いてみる!」
帰ってくると小さな同居人、打ち止めは目を覚ましていた。
人懐っこい笑顔を浮かべわたしに話しかけてくる。
「散歩よ、ただの散歩」
「えー、それならミサカも誘ってくれたらよかったのに」
「何時に起きたの?」
「さっき! ってミサカはミサカは正直に告白する!」
それじゃあどうやっても誘えないでしょ、という言葉を飲み込んでわたしは苦笑する。
聞くところによると、打ち止めは元々それなりに早く起きていたようだが
もう一人の同居人である妙に白い少年(年上)、一方通行に生活のペースにあわせている内に朝遅く起きるようになったらしい。
今の惨状を見る限り、甚だ疑問だが。
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:10:12.16 ID:2gDQLG940
「朝はもう食べた?」
「ううん、あの人が起きたら食べようと思ってるんだけど」
打ち止めはそう言って、もう一人の同居人がベッド変わりに使っているソファーに目を向けた。
どうやら一方通行はまだ寝ているらしい。もっとも予想していたことであるが。
「じゃあ、さっさと起こしてきて。用意するから」
「おっけー! ってミサカはミサカは任務を遂行する!」
さて、何を食べようか。お湯をいれてお手軽につくれるインスタントでもいいのだが、少々飽きてきた。
幸い昨日の買い物で食パンを購入しているので、ジャムでも塗って食べようかと思案し少し迷ったが決定。
わたしは冷蔵庫からジャムを取り出し食器を用意をする。
「起っきろー! ってミサカはミサカは問答無用の実力行使!!」
ドスン、という大きな音が聞こえてきて、それから数秒もしないうちに一方通行の怒鳴り声が聞こえた。
「こンのクソガキがァ! 朝っぱらからなにしやがンだっ!! ぶっ殺すぞォ!!」
「ふふーん、いくら声をかけても起きないあなたが悪い、ってミサカはミサカは開き直ったり」
いつものやり取りだ。
剣呑な雰囲気の一方通行もそう見えるだけで、結局幼い少女に勝てないのだから。
わたしは一方通行たちのやりとりを聞き流し、朝食の準備をすすめた。
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:13:53.67 ID:2gDQLG940
騒がしい朝食が終わり、打ち止めに朝食の後片づけを任せてわたしは紅茶を飲みながらテレビを見ていた。
一方通行もソファーに転がって興味なさそうにテレビを眺めている。
見ているのは普通のニュース番組で、ペットの特集だとか美味しいレストランの紹介といった内容である。
特に内容に興味があるわけではないので、ボーっと見ていたら、わたしはふと思い出したことを口に出した。
「今日なんかあるって言ってなかった?」
「あン? まるで記憶にねェな」
一方通行は心底どうでもよさそうに言葉を返す。
「そういうと思ったわ…」
一方通行の態度にわたしはため息を吐く。
この少年、一方通行は言葉や口調の汚さとは裏腹に以外に良い奴であるというのが、わたしの一方通行に対する評価である。
実際一方通行がいなければ、わたしはどこかで野垂れ死んでいたかもしれないのだから。
施設では口汚く罵られもしたが、それはまあお互い様で。わたしも相当言いたい放題言ったのだ。
というわけで、一方通行は案外高評価ではあるのだが、普段の態度はどうにかならないものかとわたしは嘆息する。
「…」
気持ちを切り替えるべく、わたしは紅茶を一気に飲みほした。
一方通行は相変わらず興味なさそうにテレビを眺めている。
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:20:00.42 ID:2gDQLG940
「片付け終ったよー、ってミサカはミサカは退屈な作業から解放されてホッと一息」
「ん、ごくろうさんってナチュラルに足を割って間にはいるな!」
「えー、別に減るもんじゃないしいいじゃん、ってミサカはミサカは言ってみる」
この少女はスキンシップが大好きなようで、事あることにわたしに引っ付いてくる。
手の掛かる妹ができたようで、悪い気はしないのだが。
わたしは仕返しにと、打ち止めの体を包むようにしてもたれ掛かった。
「ちょっと重いかも…ってミサカはミサカは………ハッ」
「言うじゃない。この口が悪いのかしら?」
「ひはひって…」
結局わたしもこのスキンシップを楽しんでいたりする。
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:26:01.72 ID:2gDQLG940
「暑っ苦しいンだよオマエら。盛ってンなら外へいけ」
「なに、あんたもやって欲しいの?」
わたしがそう返すと、一方通行はソファーに寝っ転がったまま視線だけをこっちに向けて、口を開いた。
「頭がイカれてンじゃねェのか?」
「何よ今更、とっくにイカれてるんでしょ?」
「あァ、そういやそうだったな。イカれた欠陥電気さンよォ」
「そういや、それ気になってたんだけどさ、『欠陥電気』ってなに?」
「あン? オマエのことに決まってンだろ」
何を言ってるんだこいつ、という顔をする一方通行。
打ち止めは二人の会話にまるで興味がないようで、いつの間にチャンネルを切り替えたのか子供向けの教育番組を見ていた。
シュールな着ぐるみたちがダンボールとか厚紙をつかっておもちゃを作ったりする、アレだ。
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:31:03.90 ID:2gDQLG940
「そうじゃなくて、その『欠陥電気』の由来よ」
「オマエらのことだろ」
「もしかして妹達のこと?」
「他に誰がいンだよ」
一方通行はそう言うと立ち上がり、冷蔵庫から缶コーヒーをとりだしソファーへ戻る。
ドスンと乱暴に座り込むとプルトップをあけて一口。
「もうオマエ、欠陥電気でイイだろ」
「はぁ!? なんでそれがわたしの名前になるのよ!!」
一方通行の物言いにカチンと来てわたしが怒鳴り返すと、すぐさま教育番組を熱心にみていた打ち止めから無言のブーイング。
とっさのことで、随分と大声をだしてしまったことをわたしは反省しつつ目の前の一方通行に恨みがましい目を向けた。
「…意味わかんないんだけど、なに言ってんのあんた」
「名前がないと不便だと思って気を利かせてやったンだが、迷惑でしたか欠陥電気さン」
一方通行にしては信じられないほどバカ丁寧な口調。完全にバカにしている。
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:34:11.76 ID:2gDQLG940
「じゃああんたはいっそ『能力制限(リミッター)』とかに改名したら、第一位さん」
「欠陥電気が気に入らねェなら他にも色々あンぜェ?
『廃棄番号(ロストナンバー)』『自殺未遂(デッドオアライブ)』『偽超電磁砲(ローエンドクラス)』とかよォ」
バカにしているわけでなく、一方通行はどうやらわたしにケンカを売っているようだ。
しかも人の過去を抉るようなドギツイケンカを。ならばこっちも容赦はしない。いやそんなものは必要ない。
過去を抉るなら、こちらも過去をえげつなく抉り出すまで。とわたしも口火をきる。
「ああ、そうだったわね。『快楽殺人者(ハニーキラー)』『性格破綻者(モンスタースタイル)』
『一万人殺して後悔(サイレンスヘルプ)』とか候補がまだいっぱいあったわ」
「…」
一方通行は目を瞑り眉間をピクピクと器用に動かし、ややあって口を開いた。
「…どうやら本気で死にたいンだな欠陥電気」
「…はぁ? ケンカ売ってるならいくらでも買うわよ『一万人殺しの後悔』」
「あァ? 上等だァ、今ここで跡形もなくぶっ殺してやンぜ」
「やれるもんならやってみなさいよっ!! あんたなんか―――」
「うるさーい!!! ケンカするなら外でやって!! ってミサカはミサカは至福の時間を邪魔されて大激怒!!!」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:35:56.67 ID:2gDQLG940
「で、追い出されたわけなんだけど、どーしてくれるのよ?」
怒った打ち止めに追い出され廊下に立ち尽くす二人。
互いに我に返ると、飽きもせず責任のなすりつけあいをはじめた。
「はァ? そもそも俺の家なンだぞ? あのクソガキをどうにかしろよ超電磁砲」
「都合のいいときだけその名前で呼ばないでくれる『一万人殺しの後悔』」
「…」
「…」
無言の睨み合いが続く。
永遠かと思われた時間は思ったよりも早く終わりを告げた。
「…チ」
「…ハァ」
有り体に言えば疲れた。
何が悲しくて朝っぱらから幼い少女に怒られて家を追い出されるのか。
売り言葉に買い言葉とはいえ、随分と言葉が汚くなってしまったものだとわたしは反省した。
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:38:12.28 ID:2gDQLG940
「…これからどうすんのよ?」
打ち止めの機嫌が直るまで、しばらく時間が必要だろう。
まあ、時間といっても今の番組が終わる頃にはこのことをすっかり忘れているはずだ。実に単純な幼女である。
とりあえず、件の共犯である一方通行に今後の方針をわたしは尋ねてみることにした。
「…」
無言。
口を開く素振りすら見せない。
まるで返事を返そうとしない一方通行に呆れてわたしが口をひらこうとしたとき、突然杖をついて一方通行は歩き出す。
わたしは心の中で一方通行に文句をいいつつ、慌ててあとを追った。
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:00:17.60 ID:2gDQLG940
「…」
「…」
杖をついて小器用に歩く一方通行の2,3歩後ろをついてわたしは歩いていた。
先ほどから二人の会話は皆無である。
(考えてみたら、別に一方通行について行く必要はないのよね)
潰す時間といってもせいぜい長くても1時間くらいなもので、どこで時間を潰そうとわたしの勝手なのだが
不思議と一方通行と離れて行動するという選択肢はわたしになかった。
(なんでだろう?)
一方通行とわたしの間柄を考えたらありえないものだ。
もちろん記憶の中での話しだが、それを完全に切り離して物事を割り切ることができるほどわたしは器用ではない。
実に不思議だとわたしは思う。自分には、一方通行にとくに恨みとかはない、はずだ。
一方的に助けられたし、今は移住食すら世話になっている身の上。
記憶では妹達の仇で、この体にとっては死ぬ寸前まで追いやられた敵であったりしたが。
わたしがそんなことを考えていると馴染みのファミレスが見えてきた。どうやらあそこで時間を潰すようだ。
考え事で歩くのが遅くなっていたのか、一方通行との距離が開いていたのでわたしは駆け足でつめた。
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:04:47.73 ID:2gDQLG940
「ブラック」
「わたしはアイスティー」
馴染みのファミレスの馴染みの席を陣取り、二人は注文を済ます。
とくに他に注文するつもりではないのだが、わたしはメニューを手にとって眺める。
一方通行はテーブルに肘を置いて手に顎のせ、どうでもよさげに外を見ていた。
「…」
「…」
店内に人は少ない。時間が時間なのでこんなものだろう。
こんな時間にファミレスにいるのはサボりの学生か、夜勤勤務の人くらいだろう。
「…」
「…」
わたしは店員さんには自分たちがどう見えるのかと、ふと気になった。
兄弟には見えないだろうし、友達も厳しそうだ。恋人だとすると相当末期な関係に見えるだろう。
これが打ち止めだと、最早犯罪か。とそこまで考えて笑ってしまった。
わたしが来るまでは、一方通行と打ち止めの二人でこの店に着ていた筈だから。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:06:11.83 ID:2gDQLG940
「あン? なに笑ってンだオマエ」
わたしが突然笑い出したことを不審に思ったのか、一方通行が視線だけを向けて言った。
「別に? ただあんたとわたしがこうしている事がおかしくなって笑っただけよ」
「あっそ」
自分から話を振っておいて、わたしの回答など初めから興味がないかのような素っ気無い返事。実にらしい反応だ。
店内にはのんびりとした優しい音楽が流れている。注文の品はそろそろやってくるだろうか。
そう思っていたら、タイミングよく店員がやってきた。
「…」
「…」
コクリと一口。悪くない。すごく美味しいわけではないが、十分満足できる味だ。
わたしはアイスティーを飲みながら、いい加減見飽きたメニューを片付け唐突に一方通行に聞いた。
「なんでさ、わたしを助けたの?」
「…」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:07:25.75 ID:2gDQLG940
反応なし。
質問を無視しているのか、単に聞いてないのか判断に迷うところだ。
圧倒的に前者だと思うんだけども。同じ質問を2度するほうもするほうではあるが。
わたしがそんなことを考えていたら反応が返ってきた。
「あのガキに聞け」
非常に簡潔に答え、期待していた回答は得られない。
わたしは違う質問を重ねた。
「これからどうしたらいいと思う?」
「はァ? なンだそりゃ」
だと思う。自分でもなに言ってるんだこいつって思える内容だとわたしは思った。
そもそも自分で決めると言っておいてこれだ。一方通行が呆れても仕方ない。
「結構真面目な話なんだけど」
「おいおい、人生相談ならよそでやれ」
「人生相談、そうかもね」
わたしはそう言ってアイスティーに口をつけた。
一方通行は相変わらずよそを向いている。
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:11:53.93 ID:2gDQLG940
「わたしはもう自分が御坂美琴だとは思えない。でも、黒子たちとの距離は変わったとも思えないの。なんだろこれ」
「知らねェよ」
「朝散歩してたときさ、能力がどれくらいか試してみたんだけどてんでダメだったわ」
「ご苦労さン」
「あんたと会う前に超電磁砲ともやりあったんだけど、まるで歯が立たなかったし」
「ご愁傷さまァ」
気がつけばわたしが一方的に話し続け、一方通行は面倒くさそうに投げやりな返事をする。
そんなやり取りが続いたが、わたしは特に気にならなかった。
「…オマエ、さっきから何が言いたいンだ?」
「さあ? ただ話して整理したかっただけかもね」
「あっそ」
一方通行はやる気なさげに呟いてから、続けた。
「クソガキにも言ったンだがよォ、オマエらはどういう神経してンだ?」
「なにが?」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:13:37.32 ID:2gDQLG940
わたしは一方通行の意図が分からずに聞き返す。
平然と返したつもりだが、逆に質問されるとは思っていなかったので内心驚いていた。
「俺がオマエらに、もっともオマエの場合はオマエ自身にだがよォ、何したか知ってンだろ?」
そう言った後に、理解できねえよと一方通行は呟いた。
一方通行の言ったとおりわたしは全て知っている。
超電磁砲だったときには知らなかったことも、NWに繋がったことで実験の詳細な結果すら把握していた。
「NWに繋がったんだから当然知ってるわよ。ずいぶんとエグイ殺し方したとか色々ね」
「あァ、やり甲斐あったぜェ」
「でもそんなことはどーでもいいの」
「…どォでもいいの一言で済ます神経が、理解できねェっつってンだよ」
「むしろこっちが聞きたいのよ。どうしてわたしたちを助けたのか」
「知るかンなもン」
一方通行は一瞬顔を歪めたかと思うと、そっぽ向いたそう吐き捨てた。
一体どんな理由で、何を考えて一方通行は助けたのか。
(打ち止めは知ってるのかな。私には―――)
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:15:55.36 ID:2gDQLG940
「はっきり言って、今更すぎて全っ然わかんない」
「ンなこと、どォでもイイだろ」
「打ち止めを助けた代償であんたはハンデを負ったのに、恨むどころか大事にしてる」
「…」
「今回の件も、あの施設を潰したことも…」
「くっだらねェ」
そう吐き捨てて一方通行が立ち上がろうテーブルに手をかけ、動きが止まる。
お店の出入り口を見たまま顔を僅かに引きつらせる一方通行。
何事かと思ったときに、声が聞こえた。
「お? ああ! 白いおにーさんっ!!」
「さ、佐天さん店内は静かに……あっ」
わたしは、聞き覚えのある声の主に視線を向けると、一方通行と同じように顔を盛大に引きつらせた。
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:18:16.24 ID:2gDQLG940
「あはは、すみません騒がしくしちゃって。その、お久しぶりです。
改めてこの前はありがとうございました」
「ありがとうございました。わざわざ私の分のお金まで…」
「…気にすンなつったろ」
声の主は間違いなく御坂美琴の友人。佐天涙子、初春飾利であった。
どういった経緯で一方通行と知り合ったのかはわたしにはまるで想像できなかったが、これは非常にまずい状況だ。
まずわたし自身の存在がまずい。そして一方通行と一緒にいるところというがまずい。
恋人だどうだという以前に、このことが御坂美琴の耳にでも入ったら、打ち止めの情報規制が台無しになる。
わざわざNWを切断までしているというのに。
今更であるが、現状維持か記憶消去を決めるまでは、わたしは誰とも会うつもりはなかった。
いろいろと手遅れになってしまったが。
「いえ、大したことはしてませんから…………って、御坂さん!?」
「え? み、御坂さん!?」
「あ、あはは。はい、美琴さんですよー……」
いっそ妹達を演じてやろうとも考えたが、わたしはいろいろ無理そうなのでやめた。
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:23:46.30 ID:2gDQLG940
「御坂さんとお兄さんは知り合いだったんですね」
「…ええ」
「どこで知り合ったんですか?」
「ど、どこだったかな、ちょっと覚えてないかも…」
たった3日前に凄惨な実験があった施設の地下で出会ってすぐ殺し合いました、とは流石に答えられない。
むしろ、二人がどうやって一方通行と知り合い、こうして席をともにしようと考えられる間柄になったのかわたしは知りたかった。
「そうなんですか、私たちは――」
会いたかった、もう手を伸ばしても届かない存在だと諦めていた友達が目の前にいる。
そんな夢のような景色は、今のわたしにとっては隙間なく設置された地雷原に見えた。
「あれ? そういえば今日お休みなんですか? ウチの学校は2限で終わりだったんですけど」
「えーっと、初春さん、黒子何か言ってなかった?」
「まだ、白井さんから連絡ないんです。御坂さん、やっぱり事情は話してもらえないですか?」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:26:39.37 ID:2gDQLG940
話を反らそうとして、どうやら特大の地雷を踏んでしまったようだ。わたしは胸中で舌打ちした。
いま黒子がどういう状態か、そんなことは少しでも考えれば分かることだ。
迂闊に黒子の名前を出したわたしは自分を殴りたくなった。
どういう状況なのかわからない以上、下手なことは口にだせない。
「初春! 昨日も遅くまで御坂さんと話して納得したんでしょ? 無理言っちゃダメだよ」
「そう、ですね。すみません御坂さん…」
「ううん、わたしの方こそ」
御坂美琴は思ったより上手くやっているようだ。
黒子のことがわたしは気に掛かったが、今はどうにもできない。正体を明かして慰めるなど論外だ。
「そ、そうそう! あのちっこいのは元気にやってますか?」
「あァ、うぜェくらいにな」
場の空気を読んだのか、佐天に同調するかのように一方通行にしては珍しく即答した。
元気にやってます。テレビ番組のために同居人を追い出すほど元気です、と。
相変わらず、覇気の欠けたやる気のなさそうな声ではあるが。
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:03:48.20 ID:2gDQLG940
「あはは、私も小さい頃よく見ましたよそれ。中々いい仕事するんですよ」
「私もよく見てました。御坂さんはどうですか?」
先ほどの暗い表情から一転し、初春は楽しそうにわたしに話題をふる。
(気を使わせちゃったかな…)
と、考えながら話に乗るべくわたしは話題に入った。
「そうね…、あんまり見たことなかったけど、大好きだったわよ」
「糸電話とか空気砲とか作ったりしませんでした? 初春はどうよ?」
「佐天さんはむしろ、新聞紙でちゃんばらごっことかしてそうなイメージなんですけど…」
「確かにそれは言えるわね」
「御坂さんまで!?」
その通り、サルさんぱねぇ
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:06:18.67 ID:2gDQLG940
太陽がすっかり昇りきった昼時。
当初の予定よりも長いしてしまったファミレスをでて、わたしは背筋を伸ばした。
「んー、笑いすぎてちょっと肩こっちゃったかも」
「長々とすみませんでした。なんか引き止めちゃったみたいで」
「佐天さんが話題を引っ張るから…」
「いいわよ、久々だったから楽しかったわ」
すっかり盛り上がってしまい、2時間程話し込んでしまった。
驚くべきは、その話題の中に少し、ほんの少しではあるがあの一方通行が入ってきたことだ。
主に否定的な意見だったり、罵倒にも似た突っ込みばかりだが。
「あはは、また奢ってもらっちゃいましたね」
「そんなこと全然気にしないでいいわよ」
「オマエが言ってンじゃねェよ」
「す、すみません」
佐天がお礼をいい、わたしが謙遜し、一方通行が突っ込み、初春が慌てて謝る。
この面子で盛り上がったことに内心驚きつつも、わたしはまたこうして集まって話がしたいと思った。
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:10:13.08 ID:2gDQLG940
「じゃ、私たち帰りますんで」
シュタ、と手を挙げて佐天は言い、初春は軽く会釈をする。
「うん、またね。わたしたちも家に――」
痛恨のミス。またも致命的な自爆をしたことに気付き、わたしは慌てて言葉を止めた。
一方通行は二人に気付かれない位置から、なにやってんだオマエ、的な視線でこっちを見ている。
「えっと…御坂さんは寮ですよね?」
「あはは、なにを言ってるのかしらねわたし」
わたしは笑って誤魔化すことにした。
2時間にもおよぶ談笑の中で幾度となく地雷を踏み抜いているので、今更であるが。
「あ、二人ともちょっと待ってくれる?」
「なんですか?」
「?」
わたしは背を向けて歩きだそうとした二人を呼び止める。
すっかり忘れてしまっていたが、非常に重要なことだ。
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:11:56.98 ID:2gDQLG940
「…今日話したこととかさ、黙っといてもらえないかな?」
「…白井さん、にですか?」
その言葉に、初春は訝しげな表情を浮かべ、ポツリと呟く。
彼女は心底黒子のことが心配なんだろう。呟いた顔は、まるで納得する理由を下さいと言わんばかりである。
友人思いな初春をくすぐったく思いつつ、こんなことを言うとまた変な顔されるだろうな、と考えながらわたしはきっぱりと言った。
「私に黙っといて欲しいの。できれば、黒子にもだけど」
その言葉に二人はどう反応を返すべきか迷っているといった顔をした。
「えっと、どういうことなのか聞いてもいいですか?」
佐天は当然の疑問を口にする。
もちろんそれに答えることはわたしにはできなかった。何を言ったところで二人には迷惑しかかからないのだから。
わたしは心苦しさを感じながら言う。
「言えない、かな。ごめん」
「そう、ですか…」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:14:01.71 ID:2gDQLG940
佐天の表情に、後ろめたさで胸がいっぱいになる。
理由を言えないまま彼女たちに一方的に約束を取り付けなければならない。
「…」
「…」
初春は会話に入らずに、何かを考えるかのように視線を地面に向けたまま動かさない。
正体に気付かれたのだろうか。ありえないと内心呟きながらも、その様子にわたしは背筋が凍る気がした。
永遠とも思える沈黙に突然終わりがやってきた。
「わかりました。今日のことは御坂さんにも白井さんにも喋りません」
「初春!?」
「え、いいの? 自分で言うのもなんだけど、相当変なこと言ってんのよ?」
「事情はわかりませんが、白井さんと、そのことは関係あるんですよね?」
「…うん。だから――」
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:17:29.60 ID:2gDQLG940
「あーもー! いいです御坂さん! その先はもう言わなくて!!」
「え?」
「初春だけにいい格好はさせないよ! 友達のことは、信じなくっちゃね」
「佐天さん…」
それじゃー、と大きく手を振って駆け足で去っていく二人を見送ったわたしはぽつりと呟いた。
「ありがと、佐天さん、初春さん」
これからどうなるかまるで分からないが、なんとかしてやろうと改めてわたしは思った。
いつまでも二人が去っていった方を見ていても仕方がないので
わたしは打ち止めがお腹を空かせて待っているであろう家に戻るべく、振り返る。
「なにボーっとしてやがンだァ?」
「べっつにー。あんたには関係ないわよ」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:20:01.97 ID:2gDQLG940
一方通行は、あっそ、と言って歩き出した。
結局こいつが何故自分を助けたのか分からずじまいだったが、根はいいやつなんだろうとわたしは勝手に納得した。
わざわざこうして二人を見送るわたしを待っているあたりに。
まだ足をとめて動かないわたしを不審に思ったのか、一方通行は振り返って訝しげな視線を送る。
そしてこう言った。
「さっさと帰ンぞ、欠陥電気」
「へいへい」
一方通行の思わぬ物言いに驚きながらも、欠陥電気は家に帰るべく歩き出した。
つづく
前作 美琴「答えなさい、アンタは誰?」
http://asagikk.blog.2nt.com/blog-entry-541.html
佐天「はー、仲の良のいい……兄妹?」
初春「あ、佐天さん佐天さん。こっちのこれどうですか?」
佐天「お、中々いい感じのものじゃないですか初春くん。10点あげちゃおう」
初春「得点が増えるとなにかあるんですか?」
佐天「100点になると、もれなくスカートめくり券をプレゼントします」
初春「…それ、誰に使えばいいんですか?」
佐天「白井さんだと、周りがリアルにドン引きするから無しね。あ、御坂さんも却下ね、短パンとか職人として納得できないし」
初春「もう私しかいないじゃないですか…」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:49:04.01 ID:2gDQLG940
打ち止め「勢いに任せて逃げたのはいいけど、あの人とはぐれちゃった、ってミサカはミサカは現状を説明してみたり」
打ち止め「もー、ちょっとからかっただけなのに、本気で怒るんだから…、ってミサカはミサカは不満を口にしてみる」テクテク
打ち止め「それにしても…」キョロキョロ
打ち止め「ここはどこなのかな、ってミサカはミサカは……ハッ」
打ち止め「もしかして、これが噂の迷子という子供特有の不思議現象じゃあ、ってミサカはミサカは冷静に現状を分析してみたり…」
打ち止め「え、あれ? これって結構ピンチ?」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:49:59.93 ID:2gDQLG940
一方通行「クソ、あのチビどこに行きやがったンだァ」キョロキョロ
一方通行「…」キョロキョロ
一方通行「帰るか…。あのクソガキがどうなろうが、どこで野垂れ死のうが知ったことじゃねェ」キョロキョロ
一方通行「あー、せいせいするぜェ。はン、これであのクソガキともオサラバってわけだァ」キョロキョロ
女の子の声「あー! いたー!」
一方通行「―ッ」バッ
女性の声「ダメじゃない、勝手に動き回って」
女の子の声「ごめんなさーい…」
一方通行「…」
一方通行「さァって、出口はどっちだったかなァ」キョロキョロ
※巨大モールっぽい場所とかそんな感じ
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:50:48.30 ID:2gDQLG940
御坂妹「…」
打ち止め「あ! こんなところで会うなんて奇遇だね! ってミサカはミサカはry」
御坂妹「…」スタスタ
打ち止め「って、ちょっと聞いてるの!? ってミサカはミサカは自己の存在をはげしくアピール!」
御坂妹「…」スタスタ
打ち止め「ううぅー、ってミサカはミサカは10032号の冷たさに嘆いてみたり…」トボトボ
御坂妹「…」スタスタ
打ち止め「って歩くの早! ってミサカはミサカは……………とりゃ!」ガシッ
御坂妹「…チ」
打ち止め「実力行使で腕をつかんでみたり! これでもうミサカのこと無視できないでしょ、ってミサカはミサカは…え、いま舌打ちした!?」
御坂妹「気のせいでしょう。こんなところで奇遇ですね、とミサカは内心を押し隠し挨拶を返します」
打ち止め「納得いかないけど、話が進まないから許してあげる、ってミサカはミサカは大人の気配りをするわけで
こんなところで何をしてるの? ってミサカはミサカは聞いてみる」
御坂妹「散歩です、とミサカは簡潔に答えます」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:51:35.98 ID:2gDQLG940
打ち止め「そうなの…、てっきりあなたも迷子かと思ったんだけど、ってミサカはミサカはこぼしてみたり」
御坂妹「も、ということはあなたは迷子なのですね、とミサカは分かりきった推測をします」
打ち止め「そうなの、あの人がどこに居るかわからなくて、ってミサカはミサカは途方にくれてみる」
御坂妹「迷子かよwwwwフヒヒwwwwwwという本音を胸にしまって、ミサカは上位個体を心配します」
打ち止め「はぁ、ってミサカはミサカは下位個体の思いやりのなさにため息を吐く
それはともかく、きっとあの人も迷子になってると思うから探すのを手伝って欲しい、ってミサカはミサカは頼んでみたり」
御坂妹「セロリが迷子、ですか…、とミサカは確認をとります(あ、ヤベ)」
打ち止め「そうだよ! NWで検索したら『道に迷った子供』『連れからはぐれる』ってあるから
あの人は成人をしていない子供なので両者に該当する!
だからあの人も迷子なんだよ、ってミサカはミサカは論理展開!」
御坂妹「なるほど、一理ありますね、とミサカは納得します。では頑張って探してください」
打ち止め「うん! ってだからあなたも協力してよ!」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:52:23.84 ID:2gDQLG940
初春「欲しいものがいっぱいあって、困っちゃいますね」
佐天「そうなんだよねー、品揃えがいいのはありがたいけど……ん?」
初春「どうかしたました?」
佐天「ん、ほら。あの人なんだけどさ」
初春「あの杖をついてる人ですか?」
佐天「そうそう。さっき小さい女の子と一緒にいたんだけど…」
初春「人を、探してるみたいですね。その女の子のことじゃないですか?」
佐天「かも。はぐれちゃったのかな?」
初春「…困ってるみたいですし、一緒に」
佐天「え」
初春「佐天さん?」
佐天「あ、いや。その、ちょっと怖そうな人だし…声かけ辛いかなーって………あはは」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:53:15.83 ID:2gDQLG940
初春「ダメですよ佐天さん! 人を見かけで判断したりしたら!」
佐天「ちょ、ちょっと初春! ボリューム、声のボリュームを落とし」チラ
佐天「―ッ(こ、こっちを見てるし!)」
初春「きっと困ってるんです! ううん、困ってるに決まっています!
小さな女の子なんですよ! はぐれたらすごく心配するに決まってます!」
佐天「初春さーん、お願いだから声を…」
初春「若いのに白髪だったり、妙に肌が白かったり、奇抜なデザインの服装だったり!
口調とか笑い方がおかしかったり、顔が怖かったりしたとしても、見掛けで人を判断したらいけません!」
佐天「え、そこまでは……」
初春「そんな悲しいこと言わないで…」
佐天「あれ、え、ここでそれ言っちゃうの…」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:54:32.11 ID:2gDQLG940
打ち止め「ほんと、どこ行っちゃったのかな? ってミサカはミサカは首をかしげてみたり」
御坂妹「経緯を聞く限り、どこかに行ったのはあなたの方では? とミサカは訂正を促します」
打ち止め「だってあの人が悪いんだもん、ってミサカはぶーたれてみる」
御坂妹「セロ…一方通行の肩を持つわけではありませんが、それもあなたでは? とミサカは客観的事実を指摘します」
打ち止め「うー、一応血の繋がった身内みたいなものだし、もっと贔屓目に見てもいいんじゃないかな
ってミサカはミサカは10032号に愚痴をこぼしてみたり」
御坂妹「ねーよ、と返すのは思いとどまり、それもそうですね、とミサカはテキトーな相槌をうちます」
打ち止め「…なにか、すっごく冷たいような気がするんだけど気のせいじゃないよね? ってミサカはミサカは聞いてみる」
御坂妹「…」
打ち止め「うわーい、沈黙で返された、ミサカの存在全否定? ってミサカはミサカはやけくそ気味にry」
御坂妹「あ、とミサカは呟きます」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:56:28.88 ID:2gDQLG940
一方通行「…(クソ、どこ行きやがったンだァ、あのクソガキはァ)」キョロキョロ
一方通行「チッ、世話やかせやがる…あン?」
「xxxxxxx! xxxxxxxxxxxx!」
「xxxxxx! xxxxxxxxxxxxxxx」
「xxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx!」
「xxxxxxxxxxxxx」
一方通行「…(うるせェ奴らだな)」
「xxxxxxxxx xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx!!」
「xxxxxxxxxx」
「xxxxxxxxxxx」
「xxxxxxxxxxxxx」
一方通行「…(こンな無様晒す前なら真っ先に反射してやンだが…)」
一方通行「…(あー、だりィ。マジでクソガキの奴どこに………ン?)」
「あ、あの、女の子を探しているんですよね?」
一方通行「あァ?(…なンだこのガキ、頭に花なンか乗っけてイカれてンのかァ?)」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:57:10.31 ID:2gDQLG940
「よかったら、探すのを手伝わさせてください!」
一方通行「はァ?」
「きっとその子は不安だと思うから、少しでも早く見つけてあげたいんです」
一方通行「…(チッ、クソガキが居なくなったと思ったら、今度は違うガキかよ)」
「だから、手伝いたいんです!」
「う、初春」
一方通行「…(無視だ、無視)」カッカッ
「あ…。ま、待ってください!」
「や、やめなって…」
一方通行「……なンのつもりだァ?」
「わ、私ジャッジメントなんです!」
一方通行「あっそ、ご苦労さン」カッカッ
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:58:01.66 ID:2gDQLG940
「わ、私人探し得意なんです! だから絶対その子を見つけますから」
「そ、そうね、初春得意だもんね……あは、あはははは」
一方通行「わかったわかった、ジャッジメントさンよォ。俺は人探しなンかしてねェ。―――分かったか?」ギロ
「…ッ」ビク
「う、初春、行こう? 邪魔しちゃ悪いよ(初春さんマジ頼みます! このままだと私が死ぬし!)」
一方通行「ケッ」カッカッ
「じゃ、じゃあ勝手に探します!」
「」ハイシンダー
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:58:51.95 ID:2gDQLG940
一方通行「あァ?」ジロリ
「…」ジー
「」カタカタ
一方通行「…」
「…」ジー
「」カタカタ
一方通行「…………勝手にしろ」ボソッ
「はい! そうします!」
「」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 15:59:38.23 ID:2gDQLG940
打ち止め「え? なになにあの人見つけたのっ!? ってミサカはミサカははやる気持ちを抑えて聞いてみる!」
御坂妹「いえ、もう昼時なので昼食をとろうと思い立ったところです、とミサカは何を食べるか思案しつつ答えます」
打ち止め「そういえば…」キュルキュルキュー
御坂妹「先に断っておき」
打ち止め「いえーい! ミサカはハンバーグが食べたいな! ってミサカはミサカは先手必勝!」
御坂妹「断っておきま」
打ち止め「偉い人は言いました、腹が減っては戦はできぬ! ってミサカはミサカは格言を語ってみたり!」
御坂妹「…はぁ、わかりました。ただ、手持ちにあまり余裕がありませんので…
とミサカは昼食のランクを下げることを想定しつつ念を押します」
打ち止め「やっほー! ハンバーグ、ハンバーグ!」
御坂妹「話を聞け」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:00:40.16 ID:2gDQLG940
初春「分かりました、小学校低学年くらいの水色のワンピースの女の子ですね!」
佐天「…あ、うん。たしか水色のワンピース、だったよ」チラ
一方通行「…」
初春「さぁ、頑張って女の子を見つけましょう!」
佐天「そうだね、あは、あはは」チラ
一方通行「…チ」
佐天「…(ちょ、舌打ち! 初春さ~ん、めっちゃ怖いんだけどこの人)」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:02:05.78 ID:2gDQLG940
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…」
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…(私たちが居るからかな…。視線だけすっごく動かしてるし)」
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…(うーん、悪い人じゃないんだよねきっと。一緒にいた子も楽しそうだったし)」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:03:04.80 ID:2gDQLG940
初春「…あ」
一方通行「―ッ」バッ
佐天「」
初春「…違いますね」
一方通行「…チ」
佐天「…(やっぱり怖い)」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:03:48.17 ID:2gDQLG940
御坂妹「遠慮、という言葉は知っていますか、とミサカは上位個体に皮肉を混ぜつつ聞いてみます」
打ち止め「ちょーおいしー! ってミサカはミサカは幸せ指数が30くらいアップしてみたり!」
御坂妹「ミサカの制止を振り切り、入店早々ダブルチーズハンバーグDXセットを注文した結果
カルボナーラを諦め肉うどんを食べることになったのですが、と麺をすすりつつミサカは訴えます」ズルズル
打ち止め「んー! おいしいハンバーグ! ってミサカはミサカは体言止で感動を表現してみたり」モグモグ
御坂妹「1280円のダブルチーズハンバーグDXセットはそんなに美味しいですか?
とミサカは480円の肉うどんをすすりながら780円のカルボナーラに思いを馳せつつ聞きます」ズルズル
打ち止め「コーンスープもとろっとろでおいしー!」
御坂妹「肉うどんの汁も悪くありませんよ、と空しさを感じながらもミサカは負けじと言い返します」
打ち止め「はぁ、幸せ…。10032号も空しさを感じるくらいならハンバーグを頼めばよかったのに、ってミサカはミサカは言ってみる!」
御坂妹「大したスルースキルですね、とミサカはもう言葉がみつかりません(カルボナーラ…)」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:06:37.24 ID:2gDQLG940
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…」
初春「…むぅ、それらしい子が見つかりませんね」キョロキョロ
佐天「そ、そうね。どこに行ったのかな」
一方通行「…」キョロキョロ
初春「…」キョロキョロ
佐天「あ、案外どこかのファミレスに入って、ハ、ハンバーグなんか食べてたりして」
一方通行「…クソガキは金持ってねェよ」ボソ
佐天「そ、そうですよねー。早く見つけてあげないと、あは、ははは」
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…(…お腹減ったなあ)」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:07:46.47 ID:2gDQLG940
アリガトウゴザイマシター
打ち止め「お腹いっぱーい! ってミサカはミサカは大満足!」
御坂妹「…(懐が非常に心もとなくなっていまいました、とミサカはミサカは現状を分析します)」
打ち止め「あ、ジュースが飲みたいかも、ってミサカはミサカは言ってみる」
御坂妹「…(残金は240円、紅茶を飲むことすら困難になってしまいました、とミサカは嘆息します)」
打ち止め「そうと決まれば、ってミサカはミサカは全力疾走!」
御坂妹「…(モールを軽く散策、ランチにはパスタを食べて食後は優雅に紅茶とケーキを楽しむ完璧な計画が台無しに……)」
打ち止め「ぷはー、食後の午後ティーはたまらない! ってミサカはミサカは大人な気分!」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:08:31.31 ID:2gDQLG940
御坂妹「…………ひとつ、質問します、とミサカは上位個体に問いかけます」
打ち止め「?」ゴックゴック
御坂妹「いま、その手に持っているモノを買うお金はどうしましたか? と嫌な予感が拭えずミサカは声を震わせて尋ねます」
打ち止め「10032号のお金を借りたよ? ってミサカはミサカは正直に告白してみたり」
御坂妹「…それは幾らしましたか?」
打ち止め「130円」
御坂妹「oh...」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:11:07.72 ID:2gDQLG940
初春「…」キョロキョロ
一方通行「…」チラチラ
佐天「…」
初春「…っあ! そうだ!」
佐天「―っ」ビク
一方通行「…」キョロキョロキョロ
初春「二手に分かれた方が効率いいですよね! なんで気付かなかったんだろう…えへへ」
佐天「そ、それもそう――――ハッ (まてまてまて、私は女の子の顔を知っているけど初春は知らない…こ、これはチャンスよ)」
一方通行「…」キョロキョロキョロ
初春「そういえば、まだその子の名前知らなかったです」
佐天「…(白い人の名前も知らないんだけどね…、怖くて聞けないけど)」
一方通行「…」キョロキョロ
初春「あの、その子の名前はなんて言うんですか?」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:19:01.64 ID:2gDQLG940
佐天「…(あ、なんかこういうときの初春すげーって素直に感心するわ。もう慣れたのかな? 全然物怖じしてないっていうか…)」
一方通行「…(あァ? 名前だァ? …チッ、面倒くせェな)」
初春「…」ジー
一方通行「…ッ(こ、こガキ、ケンカ売ってンのか?)」
佐天「…(うお、白い人が若干引いてる…こうと決めたときの初春つえぇ。なんか白井さんと徹底抗戦したとき思い出すわ…)」
初春「…」ジー
一方通行「…チッ…………打ち止めだ」ボソ
初春「打ち止めちゃんですね! 分かりました!!」
佐天「…え(ちょ、それ名前なの? 普通に考えて………ハッ)」
一方通行「…ァ?」ジロリ
佐天「打ち止めちゃんかぁ。い、いい名前ですねー。あは、あはははは」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:24:03.05 ID:2gDQLG940
初春「じゃあ私向こうの方を見てきますね! 佐天さんあと頼みます!」
佐天「は?」
初春「見つけたら携帯に連絡しますね!」タッ
佐天「え…、う、初春さん?」
初春「」タッタッタッ
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…(ちょ、ちょっとー、初春のばかーッ!!)」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:31:26.51 ID:2gDQLG940
御坂妹「残念です、もう10円あればジュースが飲めたのですが、と110円で購入した科学の水を飲みながらミサカは項垂れます」
打ち止め「パックジュースでも買えばよかったのに、ってミサカはミサカは選択しなかった選択肢について語ってみる」
御坂妹「小銭が残るのも癪なので、とミサカは空になったペットボトルを捨てます」
打ち止め「それにしてもあの人どこに居るのかなー、全然見つからないね、ってミサカはミサカはため息をついてみたり」
御坂妹「ああ、そういえばそんな目的もありましたね、とミサカは完全忘却していたしょぼい事実を思い出します」
打ち止め「しょぼいって…、ってミサカはミサカはまーミサカもさっきまで忘れてたんだけどねって事実を軽くスルーして言ってみたり」
御坂妹「もう帰ったのでは? とミサカはジャブを放ちます」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:36:22.43 ID:2gDQLG940
打ち止め「それはないよ! だってあの人はミサカのこと大好きだから!
ってミサカはミサカは相思相愛っぷりをアピールしつつ10032号のジャブをかわしてみる!」
御坂妹「では、他の女と一緒にいるのでは? とミサカはねーだろと思いながらも上位個体にストレートをくりだします」
打ち止め「あの人のツンデレは極まってるから普通の人じゃ耐えれないよ!
ってミサカはミサカは10032号のストレートを迎え撃つ体勢をとったり!」
御坂妹「ああ、それは非常に納得できます、とミサカのくりだしたストレートが空をくります」
打ち止め「だから、あの人もミサカのことを探してる! ってミサカはミサカはカウンターを決めて1RK.O!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:38:07.28 ID:2gDQLG940
佐天「…」
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…」
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…(もう隠す気はなさそうだな、全力で探してますって感じだし)」
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…(めっちゃ愛されてるって感じだなー、あのちっこい子。けどなんだろう、兄妹とは違う気がするし親戚かな?)」
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「―っ(あ、やば)」キュルキュルキュー
一方通行「…」
佐天「」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:40:15.43 ID:2gDQLG940
一方通行「…」
佐天「…あ、あの」グゥー
一方通行「…」
佐天「…(ちょ、まじ空気読んでよ私のお腹!!)」
一方通行「…あー」
佐天「え?」
一方通行「チッ」ガッシガッシ
佐天(急に頭を掻きだしたし! え、そんなヤバイことやっちゃったの私!?)
一方通行「…もうイイから好きにしろ」
佐天「はい?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:41:31.56 ID:2gDQLG940
一方通行「あの花頭はもういねェだろォが、もう好きにしろつってンだよ
オマエが最初っから乗り気じゃねェってことくらい、流石に俺でも分かンだよ」
佐天「あ、はい(花頭って…初春ことだよね? なんとも絶妙な表現かも)」
一方通行「…」
佐天「え!? あ、いやそーじゃなくてですね。今のは、はいじゃなくていいえっていうか…その」
一方通行「はぁ、もうイイ十分だ、ありがとさン」
佐天「…」
一方通行「じゃあな」
佐天「あ…」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:44:57.31 ID:2gDQLG940
佐天(行っちゃった…。杖突いてて歩きにくそうだな…)
佐天(私、結局なにしてたんだろ…)
佐天(怖がって、真面目に探すこともしなかったし)
佐天(あの人、困ってるんだよね…)
佐天(はぁー、ダメだなぁ私)
佐天(あの白い人、怖かったけど最後のはその、なんていうかちょっと違ったな…)
佐天「…」
佐天「ん゛ー……、あーもーっ!!」ダッ
佐天(…まだ、間に合うよね?)
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:46:34.80 ID:2gDQLG940
打ち止め「子猫」
御坂妹「軽いイルカ」
打ち止め「…トマト」
御坂妹「竹薮焼けた」
打ち止め「し、新聞紙!」
御坂妹「何度も戻んな」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:52:19.28 ID:2gDQLG940
佐天「みっつけたー!」
一方通行「―ッ」バッ
佐天「あー、すみません。あなたのことです…」
一方通行「は? オマエなに言ってやがン」
佐天「さぁ! 一緒にあの子を探しましょう!」ビシッ
一方通行「…おい、どうなったらアレからそうなンだ?」
佐天「…え、流れ的にちょっと感動の場面的な感じを想像してたんですけど」
一方通行「ねェよ」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:53:22.63 ID:2gDQLG940
佐天「あはははは、ちょっと突っ走りすぎまちゃいましたね」
一方通行「…」
佐天「私も、好きにします。だから勝手に探しますね」
一方通行「はァ?」
佐天「で、なんですけど。お詫びとしてなんかあとで奢ってください!」
一方通行「意味わかンねェし、イカれてンのか?」
佐天「いや、買い物しちゃったから手持ちにあまり余裕がなくて…、けっこう切実にヤバイんです」グゥー
一方通行「」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 16:56:12.20 ID:2gDQLG940
打ち止め「……し、渋谷節!」
御坂妹「六日分全部皆無」
打ち止め「……ぅう」
御坂妹「つまんねェ年末」
打ち止め「」
御坂妹「耐えたニシン、死に絶えた」
打ち止め「って、なんか暗いほうにいってない? ってミサカはミサカは…」
御坂妹「気のせいでしょう。だめだ、運命だ」
打ち止め「もうやめやめっ! ってミサカはミサカはゲームの中止を宣言してみたり!」
御坂妹「ただ探すのに飽きたから、歩きながらできるゲームがしたいと誰が言い出したのやら、とミサカは呆れます」
打ち止め「回文しりとりとか言い出した10032号も相当だと思うんだけど、ってミサカはミサカは言ってみる」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 17:00:42.91 ID:2gDQLG940
一方通行「…」モグモグ
佐天「んー、空腹は最っ高の調味料ですね!」モグモグ
一方通行「…」モグモグ
佐天「歩きながら食べるってのが、また」モグモグ
一方通行「…」モグモグ
佐天「でも、よかったんですか?」
一方通行「あン?」
佐天「あの子を見つけてからでもよかったんですけど…
きっとあの子もお腹すかせてるだろうし(…初春もお腹すいてるよね)」
一方通行「いまさらンなこと気にすンじゃねェよ」ジトー
佐天「あはは、それを言われると、弱っちゃうんですけどね」モグモグ
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 17:05:10.50 ID:2gDQLG940
一方通行「…」モグモグ
佐天「…(おいしいなあ…)」モグモグ
一方通行「…クソガキにはいい薬だ」ボソ
佐天「…」モグモグ
一方通行「…」モグモグ
佐天「…(あのちっこい子が懐く理由がわかった気がするなあ…)」モグモグ
一方通行「…チ」モグモグ
佐天「…(怖いけど…)」
ちょい投下ペースが落ちる、ってミサカはミサカは煙草を買ってきたり
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:24:35.30 ID:2gDQLG940
さーせん再開します
煙草を買いに行ったのに気がつくとシグルイと宇宙兄弟の新刊と禁書5巻持ってた、ハイスピry
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:27:22.68 ID:2gDQLG940
初春「水色のワンピース、水色のワンピース…」キョロキョロ
初春「なかなか見つからないですね……あ」
初春「水色のワンピースの女の子! …あれ、誰かと一緒に」
初春「お姉さん? …あの子は違うのかなあ」
初春「んー、仲良さそうに歩いているみたいだし違う子ですねきっと」
初春「水色のワンピースの女の子…」キョロキョロ
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:32:26.89 ID:2gDQLG940
一方通行「…」キョロキョロ
佐天「…」キョロキョロ
一方通行「…」キョロ
佐天「…」キョロキョロ
一方通行「……」
佐天「…」キョロキョロ
一方通行「……もうイイぞ」
佐天「…え?」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:33:53.12 ID:2gDQLG940
一方通行「…こンだけ探してもでてこねェんだ。もう帰ったンだろ」
佐天「…」
一方通行「それによォ、家に居なくても、別に探すあてがあンだよ(…芳川のヤロウに電話して、妹達のNWで見つけりゃいい)」
佐天「そ、そんな、私まだなにも…」
一方通行「気にすンな」
佐天「……あ、そうだ! 何で気付かなかったんだろ」
一方通行「あン? まだなンかあンのか?」
佐天「初春です初春!」
一方通行「花頭ァ?」
佐天「ちょっと電話します!」ピポパピポ
トゥルルルー
初春『…はい、もしもし。佐天さん、見つかったんですか?』
佐天「違うの初春、そうじゃなくてカメラよカメラ!」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:36:01.07 ID:2gDQLG940
佐天「すっかり忘れてたでしょ、まあもっと簡単に見つかると思ってたから考えもしなかったんだけどさ」
初春『ですね。じゃあ私ちょっと係りの人に聞いてきます』
佐天「おうよ! 風紀委員って言えば一発でしょ!」
初春『そういえば、さっき水色のワンピースを着た女の子を見つけたんですよ』
佐天「へ? 見つけたの?」
初春『はい。ただ、お姉さんと一緒にいたみたいで…違う子だと思うんですが』
一方通行「あ? 見つかったのか?」
佐天「いえ、それがお姉さんと一緒にいたらしくて、違う子かと」
一方通行「……ちょっと待て。その女はなに着てたンだ?」
佐天「あー、初春? そのお姉さんはどんな服装だった?」
初春『後姿しか見ていないんですけど、たぶん常盤台中学の制服だったと思います』
佐天「常盤台? 御坂さんと同じ学校の…」
一方通行「…そいつだ」
佐天「え?」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:40:06.31 ID:2gDQLG940
御坂妹「さて、食後の散歩も十分堪能しました、そろそろ帰ります、とミサカは上位個体に告げます」
打ち止め「えー? こんなところにミサカ一人置いていくつもりなの、ってミサカはミサカは嘆いてみる」
御坂妹「NWに繋がっている限りミサカ達が一人になることはありえません、とミサカは論じます」
打ち止め「いや、精神的にっていうか…、ってミサカはミサカは抵抗してみる」
御坂妹「例えNWで繋がっていなくとも、ミサカたちはいつだって心で繋がっています、とミサカは吐き気を催しつつも慰めます」
打ち止め「一度本気で下位個体達との距離について考える必要があるかも、ってミサカはミサカは検討してみたり…」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:42:55.94 ID:2gDQLG940
佐天「よし、っと。あとは待つだけですね!」
一方通行「…」
佐天「立っているのもなんですし、あそこで座って待ちませんか?」
一方通行「…」
佐天「あ、そうだ。ちょっと座って待っててください」
一方通行「…」ヨッコラセ
一方通行「…」
一方通行「…(なンなンですかァ、この流れは…)」
一方通行「…(クソガキを探してたらガキが増えやがる…)」
佐天「どーぞ」
一方通行「あァ?」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:43:41.51 ID:2gDQLG940
佐天「ジュースです! さっきご馳走になりましたし。これくらいのお金なら持ってますから」
一方通行「…」
佐天「要りませんか?(…余計なこと、しちゃったかな)」シュン
一方通行「……」ヒョイ
佐天(あ…)
一方通行「…貰っとく」ボソ
佐天「はいっ!」
一方通行「…」ゴクゴク
佐天「…」ゴクゴク
一方通行(クソ甘ェ……)
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:46:57.85 ID:2gDQLG940
打ち止め「やっほー! ってミサカはミサカは数時間ぶりにみるあなたにテンションMAXで抱きついてみたりっ!!」
一方通行「クソガキがァ!! ひっつくなって言ってンだろ!!!」
打ち止め「やーだーもんっ! 迷子のあなたを心配してたんだから! ってミサカはミサカは言ってみる!」
一方通行「はァ? オマエがなってたンだろうがァ!!」
打ち止め「ううん、ミサカとあなたの二人とも迷子だったんだよ! ってミサカはミサカはすでにでた結論を論じてみる!!」
一方通行「なンだそれ、つーか今すぐ離れろクソガキ!!」キャー
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:48:56.85 ID:2gDQLG940
初春「よかったですね、見つかって」
佐天「うん。にしても初春、お姉さんはどうしたの?」
初春「なんか、先に帰っちゃったみたいですよ」
佐天「ふーん」
初春「仲良いですね」
佐天「あの二人?」
初春「はい! 頑張ったかいがありましたよ!」
佐天「そうだね。(…楽しそうだなあ、ちょっとだけ羨ましいかも)」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:50:08.84 ID:2gDQLG940
打ち止め「ルイコも花頭のカザリもありがとうねー! ってミサカはミサカはお礼を言ってみたり!」
佐天「おうよ! またねちっこいの!」
初春「もう迷子にならないように気をつけてね。(花頭……)」
一方通行「…」
佐天「あのー、今日はありがとうございました」
初春「?」
一方通行「気にすンな…」
佐天「それじゃあ私たちも帰りますんで」
初春「失礼します」ペコリ
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:50:51.63 ID:2gDQLG940
一方通行「……待て」
佐天・初春「?」
一方通行「…世話ンなった」
佐天「…っ」
初春「いえ、風紀委員として当然のことをしただけですから」
一方通行「じゃァな」
初春「はい、失礼します」
佐天「…(ちっこいのが懐くわけだ、なんか敵わないなあ)」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:51:34.28 ID:2gDQLG940
打ち止め「ねー、ルイコと二人っきりでなにを話していたの? ってミサカはミサカはしつこく聞いてみる」
一方通行「はァ? なに言ってンだオマエ」
打ち止め「カザリが言ってたよ、ミサカが見つかるまで二人でベンチに仲良く座ってたって
ってミサカはミサカは動かぬ証拠を突きつけてみる!」
一方通行「くっだらねェ、帰ンぞォ」
打ち止め「あ! 待ってよー!!」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:52:20.46 ID:2gDQLG940
御坂妹「おや、こんなところで寝っ転がって黄昏てましたか。昨夜ぶりですね、とミサカは挨拶をします」
上条「あー、悪かったな黄昏てて。今は冗談に付き合える気分じゃねえぞ」
御坂妹「ええ、ミサカも冗談を言うためにあなたを探していたわけではありません、とミサカは答えます」
上条「…」
御坂妹「…」
上条「なあ、あいつは……っ」
御坂妹「途中で意味深に言葉を切らないでください、とミサカはあなたを責めます」
上条「いや、悪い。ただの泣き言だ」
御坂妹「…」
上条「インデックスの奴さ、相当参っててな。俺も学校サボっちまうし…なんだかなあ」
御坂妹「…」
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:54:18.59 ID:2gDQLG940
上条「もう、御坂には言ったのか? 俺はあれからあいつとまだ会ってねえんだよ」
御坂妹「いえ、お姉さまにはまだ伝えていません、とミサカは簡潔に答えます」
上条「今日、話をするって昨日言っちまったし。いつまでも黙っておけないよなあ…」
御坂妹「それは厳しい状況ですね頑張ってください、とミサカはエールを送ります」
上条「他人事かよ…。言っとくけどな、絶対にお前らの方にも飛び火するから覚悟しとけよ?」
御坂妹「では、そうならないように善処してください、とミサカは返します」
上条「はあ、厳しいな御坂妹は」
御坂妹「それほどでもありません、とミサカは謙遜します」
上条「…らしくないな、俺」
御坂妹「らしくありませんね」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:55:33.24 ID:2gDQLG940
上条「…そう、だよな。おし! 今日はすこし奮発して豪勢な飯にするか!」
御坂妹「参考にどんな夕食を食べるのか教えてください、とミサカは尋ねます」
上条「主に豚バラ肉を…」
御坂妹「それはよかったですね、とミサカは視線を反らして答えます」
上条「家計が火の車の我が家にはこれで精一杯なんだよ! インデックスもこれで十分喜んでくれるし…
ま、あいつもうまい飯食えばちょっとくらい元気になるだろ」
御坂妹「そんなあなたに朗報です、とミサカは伝えます」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:56:29.18 ID:2gDQLG940
上条「特売のチラシとかか?」
御坂妹「ハッ、とミサカは鼻で笑います」
上条「悪かったな発想が貧困でっ!! で、朗報ってなんだよ」
御坂妹「記憶に関しては口止めをされていませんから、とミサカは先に言い訳をします」
上条「へ? なに言ってんだお前?」
御坂妹「記憶はそのままです」
上条「は? そりゃどーいう……っておい!? 」
御坂妹「帰ります、とミサカは端的に答えます」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:57:45.33 ID:2gDQLG940
御坂妹「いい加減疲れました、とミサカは訴えます」
打ち止め「じゃあベンチにでも座って少し休憩する? ってミサカはミサカは提案してみる」
御坂妹「反対すべき要素がなに一つないので座ります、とミサカは消極的同意をします」
打ち止め「ぶー、なんだかいちいち引っかかるんだけど…」
御坂妹「気にしないで下さい。突然ですが打ち止め、聞きたいことがあります、とミサカは緊張した面持ちで切り出します」
打ち止め「なにを? ってミサカはミサカは構えてみたり」
御坂妹「昨日、なぜNWを切断していたのですか? とミサカは上位個体に問いかけます」
打ち止め「女の秘密に詮索はダメなんだよ、ってミサカはミサカは口にしてみたり」
御坂妹「質問を変えます、とミサカは仕切りなおします」
打ち止め「なにを聞かれたって答えないよ、ってミサカはミサカはシラをきりとおすつもりだったり」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 18:58:56.65 ID:2gDQLG940
御坂妹「その返答がすでになにかあると言外に語っているわけですが、まあいいでしょう。
単刀直入に聞きます、彼女をどうしましたか? とミサカは前置きを端折って核心をつきます」
打ち止め「なんの事か分からないかも、ってミサカはミサカはしらばっくれてみる」
御坂妹「惚けても無駄です、とミサカは問い詰めます。19090号に一方通行の部屋を見張っていてもらいました
NWを切断していたことが仇となりましたね、とミサカは皮肉を言います」
打ち止め「はぁ…」
御坂妹「…」
打ち止め「ヒント…ううん、ミサカからのお願いだけどいいかな? ってミサカはミサカは聞いてみる」
御坂妹「…」
打ち止め「沈黙は肯定と取るよ? 聞いたからには必ず実行してほしい、ってミサカはミサカは念を押す」
御坂妹「常識的範囲であれば、とミサカは答えます」
打ち止め「これは命令じゃなくて、お願いだから今ならまだ…」
御坂妹「構いません」
打ち止め「それじゃあ言うね、彼女は生きてるよ、ってミサカはミサカはさらっと驚愕の事実を語ってみたり」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:00:24.21 ID:2gDQLG940
御坂妹「予測範囲内ではありますが、確かに驚くべき事実ですね、とミサカは言います」
打ち止め「ただ、このことは他言しないで欲しい、ってミサカはミサカはお願いする。妹達になら話してもいいけど」
御坂妹「約束は守ります、他言はしません、とミサカは自己の義理人情の厚さを強調します
ついでと言っては何ですが、もうひとついいですか?」
打ち止め「記憶のこと?」
御坂妹「はい、とミサカは肯定します」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:02:06.59 ID:2gDQLG940
打ち止め「まだ、そのままだよ、ってミサカはミサカはポツリとこぼしてみる。それはミサカ達が決めることじゃないから
ミサカ一人一人にも価値があるって、だから…」
御坂妹「その意見には賛成します、とミサカは答えます」
打ち止め「どうすればいいんだろうねー、ってミサカはミサカは投げやりに呟いたり」
御坂妹「それも、彼女が決めることですね、とミサカは分かりきったことを言います」
打ち止め「…」
御坂妹「それではミサカは帰ります、とミサカはベンチから立ち上がります」
打ち止め「絶対に秘密だからね、ってミサカはミサカは再度念を押す」
御坂妹「約束は必ず守ります、とミサカは改めて誓います」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:07:21.51 ID:2gDQLG940
これは 美琴「答えなさい、アンタは誰?」 の続き物
正確には上記の合間のエピソードであって、物語の導入部分だったりする
上のを読むに当たっての注意というなの忠告
・前半は試練(笑) 読み流し推奨
・インデックス無双
・一方さんがでたら本気出す
自分用まとめにあるから、まあ探してくれ
続けます
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:11:44.01 ID:2gDQLG940
「あんたたちって、いっつもこんななわけ?」
打ち止め「へ? なにが?」
一方通行「…」
「なにその、わたしが間違ったこと言ってるみたいな反応は…」
打ち止め「え? だっていつもこんな感じだよ、ってミサカはミサカはこの家における日常を語ってみたり」
一方通行「…ふぁ…ねみぃ」
「…朝食べて二度寝して昼食べて昼寝って、どんだけ自堕落してんのよ…」
打ち止め「? 二度寝もお昼寝最高だよ?ってミサカはミサカ即答してみたり」
「いや、もういいわ。っていうか、あんたさ、今日は予定が詰まってるとか言ってなかった?」
>>81
一方さん大活躍するぜ 悪役に徹して
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:13:09.75 ID:2gDQLG940
一方通行「あン? オマエいつのこと言ってンだよ」
打ち止め「買い物のこと? それなら昨日行ってきたよ! それでお昼に食べたハンバーグがすっごく美味しかった
ってミサカはミサカは評価してみたり!」
「え…、じゃあわたしって…」
打ち止め「昨日は一日中寝てたよ? ってミサカはミサカは昨日を振り返ってみる」
「いや、こんな状態のわたしを放って買い物って、あんたたちの神経を疑うわ…」
打ち止め「大丈夫だよ、なんもなかったし! ってミサカはミサカは過去を振り返らない女の姿勢をアピールしてみたり!」
一方通行「クソガキ、うるせェ………ねみぃ…」
「…(なんなのこいつら、緩すぎるんだけど。こんなのが第1位とか…)」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:14:48.48 ID:2gDQLG940
「…」
一方通行「おい、なンだその目は? オマエ、本気でケンカ売ってンだろ? 売ってるよなァ?」
打ち止め「察しのいいミサカは大体なにが言いたいのか分かるけど、ってミサカはミサカは出来る女をアピールしてみる」
「インスタント、コンビニ弁当、ファミレスねえ。あ、別に文句があるわけじゃないわよ? 結構好きだし」
一方通行「あー、そろそろマジで箱詰めの用意しとくかァ…」
打ち止め「んー! このハンバーグはいつ食べてもちょーおいしー! ってミサカは改めて評価の星を4つ付けてみたり!」
「…っていうかさ、わたしがこんな平然と外にでていいの?」
一方通行「インスタントが食いたいンなら遠慮すンな、とっとと店を出ろ」
「悩むのがバカバカしくなるわね…。ま、いっか」モグモグ
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:18:32.43 ID:2gDQLG940
打ち止め「xxxxxxxx! xxxxxxxxxxxxxxxx!!」
一方通行「xxxxxxxxxxxxxx」
打ち止め「xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx xxxxxxx」
一方通行「xxxxxx!!」
(…わたし、一方通行のこともっと嫌ってたはずなんだけどなあ)
(イメージと違いすぎてるってのもあるけど…。)
打ち止め「xxxxxxxxxx? xxxxxxxxxxxxxxxxxxx」
一方通行「xxx」
打ち止め「xxxxxxx!? xxxxxxxxxxxxxxx!」
(まるで兄妹ね。騒がしい妹に口が悪いけど世話焼きの兄。はまりすぎで、気持ち悪いわ…。)
打ち止め「…………………てる?」
(兄弟、か……)
打ち止め「…………てますかー? おーい、ってミサカはミサカはあなたのスルースキルに悪戦苦闘」
「――え? あ、わたし?」
打ち止め「そう、まさにあなたに言ってるの、ってミサカはミサカはようやく会話が成立したことに安堵したり」
「ああ、ごめん。ちょっと考え事してたわ」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:21:06.25 ID:2gDQLG940
打ち止め「ねえねえ、明日買い物に行かない? ってミサカはミサカは誘ってみる!」
「買い物?」
打ち止め「うん! だっていつまでもその格好って訳にはいかないでしょ?」
「あー、確かに正直気持ち悪いのよね…。でも、お金なんて持ってないわよ?」
打ち止め「大丈夫、そんな心配いらないよ! ってミサカはミサカは太っ腹な得意顔をしてみたり!」
一方通行「俺の金だろォがっ!!!!」
「あ、そーだ。ここの支払いも頼むわね」
一方通行「」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:23:02.11 ID:2gDQLG940
「あの子どうしてるかな…」
打ち止め「あの子ってだれ? ってミサカはミサカは窓際で黄昏てるあなたに抱きつながら聞いてみる!」ダキ
「って、こら、やめなさいよっ!」ジタバタ
打ち止め「スキンシップは大切だよ? 幼年期のスキンシップ不足はその後の人格形成に多大な影響を及ぼすって
ミサカはミサカはテレビでみた知識を鵜呑みにしてみたり!」ギュー
「はあ…(まるで黒子ね…)」
「…あの子ってのは、シスターよ」
打ち止め「シスター?」
>>91
御坂美琴の記憶を持った妹達の一人
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:24:24.61 ID:2gDQLG940
「大混乱だったわたしを助けてくれた恩人。あんまりいいイメージなかったけど180度変わっちゃったわね」
打ち止め「まあ、あなたの立場が180度っていうか急行直下反転宙返りって感じだし、ってミサカはミサカはナイスな表現描写」
「なによそれ…。ともかく、いまわたしがこうして居られるのもあの子のおかげ、かな」
打ち止め「へぇー、ミサカも会ってみたいかも」
「たぶんすぐに仲良くなれるわよ。…ほんと、あの子が一緒に居てくれたから自分を見つめなおせたし、覚悟が持てたから」
一方通行「覚悟ォ? はン、よく言うぜ。相当イイ感じにネジが緩ンで逝ってた奴がよォ
狂ってるなンて言葉がかわいく見えンぜェ。あァ、自覚できねェからこそ狂ってンのか。こりゃ傑作だ」
打ち止め「だからそういうこと言わないの! せっかくいい感じにまとまってたのに…
ってミサカはミサカは乙女心を読めない一方通行に憤慨してみたり!」
「あー、いいのよ、こいつがそういう奴だってのは身をもって知ってるから」
一方通行「そりゃどうも」
「言うの忘れてたからいま言うわ。アレ見つけてくれて、ありがと」
一方通行「」
打ち止め「あ、照れた」
一方通行「ぶっ殺すぞクソガキッ!!!!!!!」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:28:18.51 ID:2gDQLG940
「ふぁー、……ねむぃ」
眠たい目をこすりながら、同じベッドで寝むる小さな同居人を起こさないようにしてわたしは洗面所へむかう。
新品同様の歯ブラシつかい、洗顔を済ませてわたしは服を着替えた。
「こいつらは、まだ起きるわけないわよね…」
そう言ってわたしは軽くため息を吐く。
同居人となってから2日。正確には3日だが、彼らの生活パターンをわたしはほぼ把握していた。
昼前に起きて昼食をとり軽く睡眠、遅ければ日が暮れる頃に起き出して夕食の買い出し、もしくは外食で済まし就寝である。
昼寝がゲームになるか出掛けて遊ぶかテレビを見るかくらいしか変わらないというものだった。
「どうしようかな」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 19:30:12.52 ID:2gDQLG940
いつもの習慣から遅くても8時には目が覚めてしまう。
自身の記憶ではないが、こればかりはどうしようもないと、わたしは一人ごちる。
わたしは学校へ行かないことに後ろめたさを感じていた、いつかは慣れてしまうのかもしれないのだが。
そうはいっても、友人に会えないことに慣れてしまう残念でならない。
事情が事情なだけに会うわけにもいかないのだから、仕方の無いことだがとわたしは無理やり納得した。
「散歩でもしよっか」
気分を変えるようにわたしは自分に言い聞かせる。
カーテンを閉め切った室内にいても気分が落ち込むだけだから。
8時30分過ぎ、朝の早い学生ならとっくに登校を終えている時刻である。
この時間に登校している学生は、焦って走っているか、開き直ってだるそうに歩いている遅刻の常連者のどちらか。
私服で悠々と歩いているわたしの姿をみて首を傾げるもの、あからさまに視線を向けるものさまざまだ。
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:00:53.42 ID:2gDQLG940
家を出て20ほど歩いただろうか。気がついたら見慣れた景色の中に立っていた。
そこは、いつだったかツンツン頭の男の子と戦った河川敷だった。
ふと、思いつ能力を使用してみた。
「これじゃあ、剣というよりナイフね…」
不思議とショックはなかった。わたしの記憶ではもっと能力の強さにこだわっていたはず。
単純にまだ実感がわいていないだけなのかもしれないが。
砂鉄の剣は長さもさることながら、形状が安定しない。気を抜くとすぐに形が保てずに崩れてしまうことが簡単に予想できた。
身体検査をしていないので、正確なことは分からないがレベルは3~4といったところだろう。
妹達の能力が、強くても3であることからそれよりやや強いくらいか。
「これじゃあ超電磁砲は名乗れないわ」
そういってわたしは苦笑した。
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:07:09.93 ID:2gDQLG940
「あ、帰ってきた。おっかえりー! どこいってたの? ってミサカはミサカは聞いてみる!」
帰ってくると小さな同居人、打ち止めは目を覚ましていた。
人懐っこい笑顔を浮かべわたしに話しかけてくる。
「散歩よ、ただの散歩」
「えー、それならミサカも誘ってくれたらよかったのに」
「何時に起きたの?」
「さっき! ってミサカはミサカは正直に告白する!」
それじゃあどうやっても誘えないでしょ、という言葉を飲み込んでわたしは苦笑する。
聞くところによると、打ち止めは元々それなりに早く起きていたようだが
もう一人の同居人である妙に白い少年(年上)、一方通行に生活のペースにあわせている内に朝遅く起きるようになったらしい。
今の惨状を見る限り、甚だ疑問だが。
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:10:12.16 ID:2gDQLG940
「朝はもう食べた?」
「ううん、あの人が起きたら食べようと思ってるんだけど」
打ち止めはそう言って、もう一人の同居人がベッド変わりに使っているソファーに目を向けた。
どうやら一方通行はまだ寝ているらしい。もっとも予想していたことであるが。
「じゃあ、さっさと起こしてきて。用意するから」
「おっけー! ってミサカはミサカは任務を遂行する!」
さて、何を食べようか。お湯をいれてお手軽につくれるインスタントでもいいのだが、少々飽きてきた。
幸い昨日の買い物で食パンを購入しているので、ジャムでも塗って食べようかと思案し少し迷ったが決定。
わたしは冷蔵庫からジャムを取り出し食器を用意をする。
「起っきろー! ってミサカはミサカは問答無用の実力行使!!」
ドスン、という大きな音が聞こえてきて、それから数秒もしないうちに一方通行の怒鳴り声が聞こえた。
「こンのクソガキがァ! 朝っぱらからなにしやがンだっ!! ぶっ殺すぞォ!!」
「ふふーん、いくら声をかけても起きないあなたが悪い、ってミサカはミサカは開き直ったり」
いつものやり取りだ。
剣呑な雰囲気の一方通行もそう見えるだけで、結局幼い少女に勝てないのだから。
わたしは一方通行たちのやりとりを聞き流し、朝食の準備をすすめた。
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:13:53.67 ID:2gDQLG940
騒がしい朝食が終わり、打ち止めに朝食の後片づけを任せてわたしは紅茶を飲みながらテレビを見ていた。
一方通行もソファーに転がって興味なさそうにテレビを眺めている。
見ているのは普通のニュース番組で、ペットの特集だとか美味しいレストランの紹介といった内容である。
特に内容に興味があるわけではないので、ボーっと見ていたら、わたしはふと思い出したことを口に出した。
「今日なんかあるって言ってなかった?」
「あン? まるで記憶にねェな」
一方通行は心底どうでもよさそうに言葉を返す。
「そういうと思ったわ…」
一方通行の態度にわたしはため息を吐く。
この少年、一方通行は言葉や口調の汚さとは裏腹に以外に良い奴であるというのが、わたしの一方通行に対する評価である。
実際一方通行がいなければ、わたしはどこかで野垂れ死んでいたかもしれないのだから。
施設では口汚く罵られもしたが、それはまあお互い様で。わたしも相当言いたい放題言ったのだ。
というわけで、一方通行は案外高評価ではあるのだが、普段の態度はどうにかならないものかとわたしは嘆息する。
「…」
気持ちを切り替えるべく、わたしは紅茶を一気に飲みほした。
一方通行は相変わらず興味なさそうにテレビを眺めている。
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:20:00.42 ID:2gDQLG940
「片付け終ったよー、ってミサカはミサカは退屈な作業から解放されてホッと一息」
「ん、ごくろうさんってナチュラルに足を割って間にはいるな!」
「えー、別に減るもんじゃないしいいじゃん、ってミサカはミサカは言ってみる」
この少女はスキンシップが大好きなようで、事あることにわたしに引っ付いてくる。
手の掛かる妹ができたようで、悪い気はしないのだが。
わたしは仕返しにと、打ち止めの体を包むようにしてもたれ掛かった。
「ちょっと重いかも…ってミサカはミサカは………ハッ」
「言うじゃない。この口が悪いのかしら?」
「ひはひって…」
結局わたしもこのスキンシップを楽しんでいたりする。
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:26:01.72 ID:2gDQLG940
「暑っ苦しいンだよオマエら。盛ってンなら外へいけ」
「なに、あんたもやって欲しいの?」
わたしがそう返すと、一方通行はソファーに寝っ転がったまま視線だけをこっちに向けて、口を開いた。
「頭がイカれてンじゃねェのか?」
「何よ今更、とっくにイカれてるんでしょ?」
「あァ、そういやそうだったな。イカれた欠陥電気さンよォ」
「そういや、それ気になってたんだけどさ、『欠陥電気』ってなに?」
「あン? オマエのことに決まってンだろ」
何を言ってるんだこいつ、という顔をする一方通行。
打ち止めは二人の会話にまるで興味がないようで、いつの間にチャンネルを切り替えたのか子供向けの教育番組を見ていた。
シュールな着ぐるみたちがダンボールとか厚紙をつかっておもちゃを作ったりする、アレだ。
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:31:03.90 ID:2gDQLG940
「そうじゃなくて、その『欠陥電気』の由来よ」
「オマエらのことだろ」
「もしかして妹達のこと?」
「他に誰がいンだよ」
一方通行はそう言うと立ち上がり、冷蔵庫から缶コーヒーをとりだしソファーへ戻る。
ドスンと乱暴に座り込むとプルトップをあけて一口。
「もうオマエ、欠陥電気でイイだろ」
「はぁ!? なんでそれがわたしの名前になるのよ!!」
一方通行の物言いにカチンと来てわたしが怒鳴り返すと、すぐさま教育番組を熱心にみていた打ち止めから無言のブーイング。
とっさのことで、随分と大声をだしてしまったことをわたしは反省しつつ目の前の一方通行に恨みがましい目を向けた。
「…意味わかんないんだけど、なに言ってんのあんた」
「名前がないと不便だと思って気を利かせてやったンだが、迷惑でしたか欠陥電気さン」
一方通行にしては信じられないほどバカ丁寧な口調。完全にバカにしている。
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:34:11.76 ID:2gDQLG940
「じゃああんたはいっそ『能力制限(リミッター)』とかに改名したら、第一位さん」
「欠陥電気が気に入らねェなら他にも色々あンぜェ?
『廃棄番号(ロストナンバー)』『自殺未遂(デッドオアライブ)』『偽超電磁砲(ローエンドクラス)』とかよォ」
バカにしているわけでなく、一方通行はどうやらわたしにケンカを売っているようだ。
しかも人の過去を抉るようなドギツイケンカを。ならばこっちも容赦はしない。いやそんなものは必要ない。
過去を抉るなら、こちらも過去をえげつなく抉り出すまで。とわたしも口火をきる。
「ああ、そうだったわね。『快楽殺人者(ハニーキラー)』『性格破綻者(モンスタースタイル)』
『一万人殺して後悔(サイレンスヘルプ)』とか候補がまだいっぱいあったわ」
「…」
一方通行は目を瞑り眉間をピクピクと器用に動かし、ややあって口を開いた。
「…どうやら本気で死にたいンだな欠陥電気」
「…はぁ? ケンカ売ってるならいくらでも買うわよ『一万人殺しの後悔』」
「あァ? 上等だァ、今ここで跡形もなくぶっ殺してやンぜ」
「やれるもんならやってみなさいよっ!! あんたなんか―――」
「うるさーい!!! ケンカするなら外でやって!! ってミサカはミサカは至福の時間を邪魔されて大激怒!!!」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:35:56.67 ID:2gDQLG940
「で、追い出されたわけなんだけど、どーしてくれるのよ?」
怒った打ち止めに追い出され廊下に立ち尽くす二人。
互いに我に返ると、飽きもせず責任のなすりつけあいをはじめた。
「はァ? そもそも俺の家なンだぞ? あのクソガキをどうにかしろよ超電磁砲」
「都合のいいときだけその名前で呼ばないでくれる『一万人殺しの後悔』」
「…」
「…」
無言の睨み合いが続く。
永遠かと思われた時間は思ったよりも早く終わりを告げた。
「…チ」
「…ハァ」
有り体に言えば疲れた。
何が悲しくて朝っぱらから幼い少女に怒られて家を追い出されるのか。
売り言葉に買い言葉とはいえ、随分と言葉が汚くなってしまったものだとわたしは反省した。
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 20:38:12.28 ID:2gDQLG940
「…これからどうすんのよ?」
打ち止めの機嫌が直るまで、しばらく時間が必要だろう。
まあ、時間といっても今の番組が終わる頃にはこのことをすっかり忘れているはずだ。実に単純な幼女である。
とりあえず、件の共犯である一方通行に今後の方針をわたしは尋ねてみることにした。
「…」
無言。
口を開く素振りすら見せない。
まるで返事を返そうとしない一方通行に呆れてわたしが口をひらこうとしたとき、突然杖をついて一方通行は歩き出す。
わたしは心の中で一方通行に文句をいいつつ、慌ててあとを追った。
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:00:17.60 ID:2gDQLG940
「…」
「…」
杖をついて小器用に歩く一方通行の2,3歩後ろをついてわたしは歩いていた。
先ほどから二人の会話は皆無である。
(考えてみたら、別に一方通行について行く必要はないのよね)
潰す時間といってもせいぜい長くても1時間くらいなもので、どこで時間を潰そうとわたしの勝手なのだが
不思議と一方通行と離れて行動するという選択肢はわたしになかった。
(なんでだろう?)
一方通行とわたしの間柄を考えたらありえないものだ。
もちろん記憶の中での話しだが、それを完全に切り離して物事を割り切ることができるほどわたしは器用ではない。
実に不思議だとわたしは思う。自分には、一方通行にとくに恨みとかはない、はずだ。
一方的に助けられたし、今は移住食すら世話になっている身の上。
記憶では妹達の仇で、この体にとっては死ぬ寸前まで追いやられた敵であったりしたが。
わたしがそんなことを考えていると馴染みのファミレスが見えてきた。どうやらあそこで時間を潰すようだ。
考え事で歩くのが遅くなっていたのか、一方通行との距離が開いていたのでわたしは駆け足でつめた。
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:04:47.73 ID:2gDQLG940
「ブラック」
「わたしはアイスティー」
馴染みのファミレスの馴染みの席を陣取り、二人は注文を済ます。
とくに他に注文するつもりではないのだが、わたしはメニューを手にとって眺める。
一方通行はテーブルに肘を置いて手に顎のせ、どうでもよさげに外を見ていた。
「…」
「…」
店内に人は少ない。時間が時間なのでこんなものだろう。
こんな時間にファミレスにいるのはサボりの学生か、夜勤勤務の人くらいだろう。
「…」
「…」
わたしは店員さんには自分たちがどう見えるのかと、ふと気になった。
兄弟には見えないだろうし、友達も厳しそうだ。恋人だとすると相当末期な関係に見えるだろう。
これが打ち止めだと、最早犯罪か。とそこまで考えて笑ってしまった。
わたしが来るまでは、一方通行と打ち止めの二人でこの店に着ていた筈だから。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:06:11.83 ID:2gDQLG940
「あン? なに笑ってンだオマエ」
わたしが突然笑い出したことを不審に思ったのか、一方通行が視線だけを向けて言った。
「別に? ただあんたとわたしがこうしている事がおかしくなって笑っただけよ」
「あっそ」
自分から話を振っておいて、わたしの回答など初めから興味がないかのような素っ気無い返事。実にらしい反応だ。
店内にはのんびりとした優しい音楽が流れている。注文の品はそろそろやってくるだろうか。
そう思っていたら、タイミングよく店員がやってきた。
「…」
「…」
コクリと一口。悪くない。すごく美味しいわけではないが、十分満足できる味だ。
わたしはアイスティーを飲みながら、いい加減見飽きたメニューを片付け唐突に一方通行に聞いた。
「なんでさ、わたしを助けたの?」
「…」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:07:25.75 ID:2gDQLG940
反応なし。
質問を無視しているのか、単に聞いてないのか判断に迷うところだ。
圧倒的に前者だと思うんだけども。同じ質問を2度するほうもするほうではあるが。
わたしがそんなことを考えていたら反応が返ってきた。
「あのガキに聞け」
非常に簡潔に答え、期待していた回答は得られない。
わたしは違う質問を重ねた。
「これからどうしたらいいと思う?」
「はァ? なンだそりゃ」
だと思う。自分でもなに言ってるんだこいつって思える内容だとわたしは思った。
そもそも自分で決めると言っておいてこれだ。一方通行が呆れても仕方ない。
「結構真面目な話なんだけど」
「おいおい、人生相談ならよそでやれ」
「人生相談、そうかもね」
わたしはそう言ってアイスティーに口をつけた。
一方通行は相変わらずよそを向いている。
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:11:53.93 ID:2gDQLG940
「わたしはもう自分が御坂美琴だとは思えない。でも、黒子たちとの距離は変わったとも思えないの。なんだろこれ」
「知らねェよ」
「朝散歩してたときさ、能力がどれくらいか試してみたんだけどてんでダメだったわ」
「ご苦労さン」
「あんたと会う前に超電磁砲ともやりあったんだけど、まるで歯が立たなかったし」
「ご愁傷さまァ」
気がつけばわたしが一方的に話し続け、一方通行は面倒くさそうに投げやりな返事をする。
そんなやり取りが続いたが、わたしは特に気にならなかった。
「…オマエ、さっきから何が言いたいンだ?」
「さあ? ただ話して整理したかっただけかもね」
「あっそ」
一方通行はやる気なさげに呟いてから、続けた。
「クソガキにも言ったンだがよォ、オマエらはどういう神経してンだ?」
「なにが?」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:13:37.32 ID:2gDQLG940
わたしは一方通行の意図が分からずに聞き返す。
平然と返したつもりだが、逆に質問されるとは思っていなかったので内心驚いていた。
「俺がオマエらに、もっともオマエの場合はオマエ自身にだがよォ、何したか知ってンだろ?」
そう言った後に、理解できねえよと一方通行は呟いた。
一方通行の言ったとおりわたしは全て知っている。
超電磁砲だったときには知らなかったことも、NWに繋がったことで実験の詳細な結果すら把握していた。
「NWに繋がったんだから当然知ってるわよ。ずいぶんとエグイ殺し方したとか色々ね」
「あァ、やり甲斐あったぜェ」
「でもそんなことはどーでもいいの」
「…どォでもいいの一言で済ます神経が、理解できねェっつってンだよ」
「むしろこっちが聞きたいのよ。どうしてわたしたちを助けたのか」
「知るかンなもン」
一方通行は一瞬顔を歪めたかと思うと、そっぽ向いたそう吐き捨てた。
一体どんな理由で、何を考えて一方通行は助けたのか。
(打ち止めは知ってるのかな。私には―――)
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:15:55.36 ID:2gDQLG940
「はっきり言って、今更すぎて全っ然わかんない」
「ンなこと、どォでもイイだろ」
「打ち止めを助けた代償であんたはハンデを負ったのに、恨むどころか大事にしてる」
「…」
「今回の件も、あの施設を潰したことも…」
「くっだらねェ」
そう吐き捨てて一方通行が立ち上がろうテーブルに手をかけ、動きが止まる。
お店の出入り口を見たまま顔を僅かに引きつらせる一方通行。
何事かと思ったときに、声が聞こえた。
「お? ああ! 白いおにーさんっ!!」
「さ、佐天さん店内は静かに……あっ」
わたしは、聞き覚えのある声の主に視線を向けると、一方通行と同じように顔を盛大に引きつらせた。
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:18:16.24 ID:2gDQLG940
「あはは、すみません騒がしくしちゃって。その、お久しぶりです。
改めてこの前はありがとうございました」
「ありがとうございました。わざわざ私の分のお金まで…」
「…気にすンなつったろ」
声の主は間違いなく御坂美琴の友人。佐天涙子、初春飾利であった。
どういった経緯で一方通行と知り合ったのかはわたしにはまるで想像できなかったが、これは非常にまずい状況だ。
まずわたし自身の存在がまずい。そして一方通行と一緒にいるところというがまずい。
恋人だどうだという以前に、このことが御坂美琴の耳にでも入ったら、打ち止めの情報規制が台無しになる。
わざわざNWを切断までしているというのに。
今更であるが、現状維持か記憶消去を決めるまでは、わたしは誰とも会うつもりはなかった。
いろいろと手遅れになってしまったが。
「いえ、大したことはしてませんから…………って、御坂さん!?」
「え? み、御坂さん!?」
「あ、あはは。はい、美琴さんですよー……」
いっそ妹達を演じてやろうとも考えたが、わたしはいろいろ無理そうなのでやめた。
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:23:46.30 ID:2gDQLG940
「御坂さんとお兄さんは知り合いだったんですね」
「…ええ」
「どこで知り合ったんですか?」
「ど、どこだったかな、ちょっと覚えてないかも…」
たった3日前に凄惨な実験があった施設の地下で出会ってすぐ殺し合いました、とは流石に答えられない。
むしろ、二人がどうやって一方通行と知り合い、こうして席をともにしようと考えられる間柄になったのかわたしは知りたかった。
「そうなんですか、私たちは――」
会いたかった、もう手を伸ばしても届かない存在だと諦めていた友達が目の前にいる。
そんな夢のような景色は、今のわたしにとっては隙間なく設置された地雷原に見えた。
「あれ? そういえば今日お休みなんですか? ウチの学校は2限で終わりだったんですけど」
「えーっと、初春さん、黒子何か言ってなかった?」
「まだ、白井さんから連絡ないんです。御坂さん、やっぱり事情は話してもらえないですか?」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 21:26:39.37 ID:2gDQLG940
話を反らそうとして、どうやら特大の地雷を踏んでしまったようだ。わたしは胸中で舌打ちした。
いま黒子がどういう状態か、そんなことは少しでも考えれば分かることだ。
迂闊に黒子の名前を出したわたしは自分を殴りたくなった。
どういう状況なのかわからない以上、下手なことは口にだせない。
「初春! 昨日も遅くまで御坂さんと話して納得したんでしょ? 無理言っちゃダメだよ」
「そう、ですね。すみません御坂さん…」
「ううん、わたしの方こそ」
御坂美琴は思ったより上手くやっているようだ。
黒子のことがわたしは気に掛かったが、今はどうにもできない。正体を明かして慰めるなど論外だ。
「そ、そうそう! あのちっこいのは元気にやってますか?」
「あァ、うぜェくらいにな」
場の空気を読んだのか、佐天に同調するかのように一方通行にしては珍しく即答した。
元気にやってます。テレビ番組のために同居人を追い出すほど元気です、と。
相変わらず、覇気の欠けたやる気のなさそうな声ではあるが。
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:03:48.20 ID:2gDQLG940
「あはは、私も小さい頃よく見ましたよそれ。中々いい仕事するんですよ」
「私もよく見てました。御坂さんはどうですか?」
先ほどの暗い表情から一転し、初春は楽しそうにわたしに話題をふる。
(気を使わせちゃったかな…)
と、考えながら話に乗るべくわたしは話題に入った。
「そうね…、あんまり見たことなかったけど、大好きだったわよ」
「糸電話とか空気砲とか作ったりしませんでした? 初春はどうよ?」
「佐天さんはむしろ、新聞紙でちゃんばらごっことかしてそうなイメージなんですけど…」
「確かにそれは言えるわね」
「御坂さんまで!?」
その通り、サルさんぱねぇ
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:06:18.67 ID:2gDQLG940
太陽がすっかり昇りきった昼時。
当初の予定よりも長いしてしまったファミレスをでて、わたしは背筋を伸ばした。
「んー、笑いすぎてちょっと肩こっちゃったかも」
「長々とすみませんでした。なんか引き止めちゃったみたいで」
「佐天さんが話題を引っ張るから…」
「いいわよ、久々だったから楽しかったわ」
すっかり盛り上がってしまい、2時間程話し込んでしまった。
驚くべきは、その話題の中に少し、ほんの少しではあるがあの一方通行が入ってきたことだ。
主に否定的な意見だったり、罵倒にも似た突っ込みばかりだが。
「あはは、また奢ってもらっちゃいましたね」
「そんなこと全然気にしないでいいわよ」
「オマエが言ってンじゃねェよ」
「す、すみません」
佐天がお礼をいい、わたしが謙遜し、一方通行が突っ込み、初春が慌てて謝る。
この面子で盛り上がったことに内心驚きつつも、わたしはまたこうして集まって話がしたいと思った。
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:10:13.08 ID:2gDQLG940
「じゃ、私たち帰りますんで」
シュタ、と手を挙げて佐天は言い、初春は軽く会釈をする。
「うん、またね。わたしたちも家に――」
痛恨のミス。またも致命的な自爆をしたことに気付き、わたしは慌てて言葉を止めた。
一方通行は二人に気付かれない位置から、なにやってんだオマエ、的な視線でこっちを見ている。
「えっと…御坂さんは寮ですよね?」
「あはは、なにを言ってるのかしらねわたし」
わたしは笑って誤魔化すことにした。
2時間にもおよぶ談笑の中で幾度となく地雷を踏み抜いているので、今更であるが。
「あ、二人ともちょっと待ってくれる?」
「なんですか?」
「?」
わたしは背を向けて歩きだそうとした二人を呼び止める。
すっかり忘れてしまっていたが、非常に重要なことだ。
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:11:56.98 ID:2gDQLG940
「…今日話したこととかさ、黙っといてもらえないかな?」
「…白井さん、にですか?」
その言葉に、初春は訝しげな表情を浮かべ、ポツリと呟く。
彼女は心底黒子のことが心配なんだろう。呟いた顔は、まるで納得する理由を下さいと言わんばかりである。
友人思いな初春をくすぐったく思いつつ、こんなことを言うとまた変な顔されるだろうな、と考えながらわたしはきっぱりと言った。
「私に黙っといて欲しいの。できれば、黒子にもだけど」
その言葉に二人はどう反応を返すべきか迷っているといった顔をした。
「えっと、どういうことなのか聞いてもいいですか?」
佐天は当然の疑問を口にする。
もちろんそれに答えることはわたしにはできなかった。何を言ったところで二人には迷惑しかかからないのだから。
わたしは心苦しさを感じながら言う。
「言えない、かな。ごめん」
「そう、ですか…」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:14:01.71 ID:2gDQLG940
佐天の表情に、後ろめたさで胸がいっぱいになる。
理由を言えないまま彼女たちに一方的に約束を取り付けなければならない。
「…」
「…」
初春は会話に入らずに、何かを考えるかのように視線を地面に向けたまま動かさない。
正体に気付かれたのだろうか。ありえないと内心呟きながらも、その様子にわたしは背筋が凍る気がした。
永遠とも思える沈黙に突然終わりがやってきた。
「わかりました。今日のことは御坂さんにも白井さんにも喋りません」
「初春!?」
「え、いいの? 自分で言うのもなんだけど、相当変なこと言ってんのよ?」
「事情はわかりませんが、白井さんと、そのことは関係あるんですよね?」
「…うん。だから――」
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:17:29.60 ID:2gDQLG940
「あーもー! いいです御坂さん! その先はもう言わなくて!!」
「え?」
「初春だけにいい格好はさせないよ! 友達のことは、信じなくっちゃね」
「佐天さん…」
それじゃー、と大きく手を振って駆け足で去っていく二人を見送ったわたしはぽつりと呟いた。
「ありがと、佐天さん、初春さん」
これからどうなるかまるで分からないが、なんとかしてやろうと改めてわたしは思った。
いつまでも二人が去っていった方を見ていても仕方がないので
わたしは打ち止めがお腹を空かせて待っているであろう家に戻るべく、振り返る。
「なにボーっとしてやがンだァ?」
「べっつにー。あんたには関係ないわよ」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/26(金) 22:20:01.97 ID:2gDQLG940
一方通行は、あっそ、と言って歩き出した。
結局こいつが何故自分を助けたのか分からずじまいだったが、根はいいやつなんだろうとわたしは勝手に納得した。
わざわざこうして二人を見送るわたしを待っているあたりに。
まだ足をとめて動かないわたしを不審に思ったのか、一方通行は振り返って訝しげな視線を送る。
そしてこう言った。
「さっさと帰ンぞ、欠陥電気」
「へいへい」
一方通行の思わぬ物言いに驚きながらも、欠陥電気は家に帰るべく歩き出した。
つづく
前作 美琴「答えなさい、アンタは誰?」
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