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唯「放課後てぃーたいむとらべらー」-4

唯「放課後てぃーたいむとらべらー」-3
続きです

679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:16:12.64 ID:3WFb6kmJ0 [103/163]
2010年5月9日 平沢家

憂「さぁ、梓ちゃん。いっぱい食べてね」ニコニコ

み梓「こ、こんなにいっぱい……なんかごめんね、急にお邪魔しちゃって」

唯「昨日もいたくせにぃ~」ヒソヒソ

み梓「唯先輩っ!!」

憂「え、どうかした?」

み梓「……な、なんでもないよ」

唯「うぇっへっへっ……」ニヤニヤ

み梓(ぐぬぬ……)ギリギリ

憂「?」


680 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:21:45.08 ID:3WFb6kmJ0 [104/163]
憂「ところで梓ちゃん。ふふっ、さっきから気になってたんだけどほっぺにシールついてるよ?」

み梓「え? あ……(すっかり忘れてた!)」

憂「大変よくできました、だって」クスッ

み梓「す、すぐ剥がすっ」

唯「えー! そのまんまがいいよー」

み梓「ずっとシール肌に貼りつけてたら肌がはれちゃいますよっ」

唯「じゃあ、いいや」

唯(明日になったらまた貼ればいいしね)フンス

憂・み梓「ん?」


681 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:26:12.44 ID:3WFb6kmJ0 [105/163]
・・・

ガチャリ

み梓「ふぅ、お風呂まで借りちゃってなんだか申し訳ないです」

唯「気にしないでよぉ。さーて、今日のところはもう寝ちゃお寝ちゃお~」

み梓「明日早いですしね」

唯「ささっ、私のお隣においで。未来あずにゃん」サ

み梓(けっきょく一緒に寝ることにはなるんだ……)

み梓「で、でも憂がせっかく布団しいてくれたんだし」

唯「いいからいいから」グイッ

み梓「ちょ!? ……もうっ」


683 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:32:28.86 ID:3WFb6kmJ0 [106/163]
「……」

唯「まだ起きてる?」

み梓「寝ました」

唯「起きてるじゃん……ねぇ、私たちうまくいくかなぁ」

み梓「大丈夫ですよ。絶対なんとかなります」

唯「あずにゃん強気だねぇ」

み梓「ここまで来て助けられなかったら私が来た意味、ありませんもん」

唯「そうだねぇ……」


685 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:40:58.96 ID:3WFb6kmJ0 [107/163]
唯「ねぇ、私たちが助かっちゃったらあずにゃんはもとの時間に帰っちゃうの?」

み梓「そりゃあ帰りますよ、なんとかして。ずっとここにいれるわけないじゃないですか」

唯「そっか……ときどき遊びに来てね?」

み梓「へ、変なこと言いますね……私が来なくてもこっちにもう1人の私がいるじゃないですか」

唯「そりゃそうだけど……それはそれ、これはこれだよぉ」

み梓「えー……」

唯「ね?」

み梓「……気が向いたら、遊びに来ます」

唯「えへへぇ」

み梓「ふふっ」


686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:44:42.10 ID:3WFb6kmJ0 [108/163]
2010年5月10日 

さわ子「みんな集まったわね」

律「あれ? 車変えたの、さわちゃん」

さわ子「借りたのよ。こんなに大人数が乗るんだから私の車じゃ入りきらないし」

紬「あら、今日は別のシールなのね!」

み梓「……///」

唯「ネコのシールだよぉ。角度によっては、ほら光るの」

澪「帽子被るとかすればいいのに。まぁ、制服だから一発でわかるけど」

梓「まぁ、いいんじゃないですか?」

律「他人事だと思って安心してるなぁ? あ、でもこの場合他人じゃないか」

さわ子「ほら、もう行くわよ? さっさと車に乗って」


687 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 18:48:24.32 ID:3WFb6kmJ0 [109/163]
2010年5月10日 さわ子おじの家

ピンポーン

おじ「おぉ、よく来た」ガチャリ

さわ子「おじさん。お久しぶりです」

おじ「いやぁ、さわ子ちゃんはいつ見てもベッピンさんで……むふふ」

律「なんかエロおやじだなぁ……」ヒソヒソ

澪「こら! そんな失礼なこと言うなよっ」ヒソ

おじ「後ろにいるのが今の教え子たちかい?」

さわ子「ええ。今日は無理言ってごめんなさい」

おじ「ははは、気にするなよ。さぁ、上がりなさい。男1人の家だから散らかっているのは気にしないでくれよ?」

さわ子「お邪魔します」
「おじゃましまーす」


691 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:00:19.47 ID:3WFb6kmJ0 [110/163]
おじ「おぉ、おぉ……こんなに可愛い子たちが俺の家を訪ねてくれるなんて嬉しいこと極まりない」ニコニコ

律「やっぱエロおや……」

澪「ふんっ」ゴンッ

律「ったぁ!?」

唯「すごーい! 本がいっぱいだよー」ウロウロ

紬「ゆ、唯ちゃんっ」

さわ子「こら! ごめんなさい、騒がしくて……」

おじ「いや、気にせんでいいよ。お嬢ちゃんは本が好きなのかい?」

唯「難しい本は嫌いです!」

さわ子「……///」

唯「でも漫画とかは大好きだよ」

おじ「はっはっはっ! 素直でいい子だね君は。いい生徒さんを持ったじゃないか、さわ子ちゃん」

さわ子「は、はぁ……おほほほほ……」


693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:05:13.69 ID:3WFb6kmJ0 [111/163]
梓「唯先輩ったら……もう」

み梓「私はある程度は覚悟してた……」

おじ「それで? 俺に話って何だい? 用があるから来たんだろう」

さわ子「は、はい……コホンっ」

さわ子「単刀直入にお聞きします。私に譲ってくれたあのギター型のタイムマシン……なにか知っていることがあるのでは?」

おじ「……ぷっ」

律・澪・紬「!」

おじ「ははは、またタイムマシンの話か! 何年か前もその話は聞かれたぞ!」

さわ子「冗談じゃありません! 真面目な話です……っ」

おじ「ははは……あー、悪いが本当に俺はなにも知らなくて」

おじ「そもそもあのギターがなんでこの家にあったのかすら覚えてないんだなぁ」

さわ子「え……?」


698 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:15:06.19 ID:3WFb6kmJ0 [112/163]
律「おじさん、本当なんですか?」

おじ「ああ。きっと以前自分が買ったことを忘れていただけだとは思うんだがね。だが、なんだか自分のもとに置いておきたくなくなって、さわ子ちゃんに譲ったんだが」

梓・み梓「一度も触ったり、弾いたりしなかったんですか!?」

おじ「おや、そちらさんは双子ちゃんかな。可愛らしいね」

梓「あ、えっと……はい、どうも」

おじ「確かに触らなかったよ。ケースにしまったままにしておいた」

紬「さわ子先生に渡すまで?」

おじ「ああ」

さわ子「でもおじさん。あのケースの中にはメモが2枚入っていたの。しかもそのうち1枚にはおじさんの名前が書かれていたわ」

さわ子「ちょうど今日2枚とも持ってきました。これを……」ス


700 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:19:16.36 ID:3WFb6kmJ0 [113/163]
おじ「……タイムマシン?」

さわ子「それ、おじさんの執筆と同じだと思うの」

おじ「確かに俺の字と似ているが」

澪「じゃあやっぱり……!」

おじ「しかし、面白いな。ここに書かれていることは」

おじ「さわ子ちゃん。俺の仕事は覚えてるかい?」

さわ子「○大で物理を専門としている教授でした……よね」

梓「物理学者?」

おじ「そんなところさね」

おじ「俺はね、タイムマシンってやつにも少しは知識……いや、興味はあるんだな」

さわ子「……初耳ですよ?」

おじ「聞かれなかったしね」


702 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:25:38.36 ID:3WFb6kmJ0 [114/163]
おじ「そんな俺から言わせてみるとだな。ここに書かれてること、面白いけど」

おじ「まずありえないんじゃないかな」

「!」

律「でも現に私たちは過去へ行ったり未来へ行ったりした!」

おじ「証拠は?」

律「……」

唯「こ、こっちのあずにゃんは未来から来たんだよ!」バッ

み梓「え!?」

紬「そうですっ、双子なんかじゃないんです!」

おじ「……確かに似ている。瓜二つだな。で、証拠あるかい?」

み梓「えっと……ご、5月19日に高速道路でトラックが横転して大きな事故が起こりますっ」

おじ「ふむ、それじゃあ19日にその事故が起きたら証拠になるね。それじゃあその日になるまで……」

み梓「そ、そんな悠長に構えている暇は……」


703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:30:18.81 ID:3WFb6kmJ0 [115/163]
澪「……そうだ!」

律「どうした澪?」

澪「さわ子先生、もう1つのメモの裏に゛自分を忘れるな゛って書いてあるんですよね?」

さわ子「え? ええ……それがどうかしたの?」

澪「それだけでもいいから、心当たりがないか聞きいてみませんか?」

さわ子「……そうね」

さわ子「おじさん。そっちのメモの裏を見て」

おじ「ん?」

さわ子「あなたの名前と一緒に一つの文が書かれているはず……それに覚えは?」

おじ「おお、本当だ。俺の名前じゃないか……?」

おじ「自分を忘れるな?」

おじ「自分を……忘れるな……」

唯「おじさん?」


704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:35:21.39 ID:3WFb6kmJ0 [116/163]
おじ「!」ガタッ

おじ「ううっ、あ……っぐ」

律「どうした!?」

さわ子「おじさんしっかりして!」

おじ「お、俺は! おれは! おれはっ」

澪「な、なに!? ひぃっ」

さわ子「おじさんっ!!」

おじ「…………」

おじ「は、はは……」

梓「こ、壊れた?」

紬「いったいなにが……」

おじ「うははははははは!」ゲラゲラ

おじ「くくっ……っ、笑いすぎて腹が痛むぞっ、ははは……!」


705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:40:18.44 ID:3WFb6kmJ0 [117/163]
さわ子「し、しっかりして!」

おじ「ああ、大丈夫だ。正気だよ。気違えてなんてない……」

み梓「じゃあ何がおかしくてそんなに」

おじ「思い出したんだよ……! 俺は……」

おじ「タイムマシンを使って2010年から2000年にタイムスリップしてきたんだ……」

「!?」

紬「ま、待って! どういうことですか!? 2010年は今ですよ!?」

おじ「要するに……君たちとは別の世界。パラレルワールドから来たということになるのかな」

律「はぁ!?」

み梓「じゃあ2000年のあなたはどこへ行ったんですか!? あなたの言うことが正しければあなたは二人存在することに……!」

おじ「殺したよ」

さわ子「……え?」


706 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:46:30.17 ID:3WFb6kmJ0 [118/163]
おじ「俺が殺した。そういう実験だったからね」

律「殺したって……あんたが過去のあんた自身をか?」

おじ「そう」

律「んなバカな話信じられるかよ!?」

おじ「いやぁ、そうでもないさ。聞いたことないかい?」

おじ「タイムマシンで今の自分が過去へ行って、その時間に生きている自分を殺したら……存在自体が消滅ってやつをさ」

澪「小説とか漫画とかでは……」

おじ「そいつがさ、本当なのかを確かめる為に俺は自分の身を持って実験したわけさ」

唯「でもおじさんは消えてないよね? ってことは」

おじ「そいつは違っていたってことかね。まぁ、その代わり、殺した俺自身が過去の俺となったようだが」

さわ子「つまり、予期しない入れ替わりが起きた?」

おじ「いや、俺のもしもの予想の1つにはあったさ。こういう事ってのはわからないことだらけだから」


709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:51:36.56 ID:3WFb6kmJ0 [119/163]
さわ子「ということは、私がタイムマシンを受け取ったときにはもう既に……ん?」

さわ子「ちょっと待って。なぜタイムマシンをおじさんが持っていたの!?」

梓「たしかにタイムスリップしてもタイムマシンは一緒に時間を越えてきませんもんね」

おじ「タイムマシンも俺と一緒にタイムスリップしていたら?」

唯「いっしょ?」

おじ「もともとあのギター型のタイムマシンは俺……俺と助手たちが作った物じゃあない。ある人物が所持していたのを……その、パクってね」

さわ子「な……!?」

おじ「その人らはなにも知らない素人みたいなもんだったよ。まぁ、最初に調べていたのはその人らで、俺たちは後から加わったんだが」

おじ「そんな価値もわからない連中が所持しているくらいならとね」

唯「どろぼー!」

おじ「まぁ……認めるさ」


712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 19:56:16.96 ID:3WFb6kmJ0 [120/163]
おじ「盗んだあとは俺たちがしっかりと調べさせてもらったさ」

おじ「そして、作らせてもらった。もう1つのタイムマシンを」

紬「もう1つって……」

律「またギターみたいな形のか?」

おじ「いや、しっかりしたそれこそもっとメカメカしいやつだったね」

おじ「それで後はそいつを使ってさっき言った通りさ」

澪「タイムマシンをタイムマシンで過去へ送るって……」

み梓「どうしてタイムマシンも持っていったんですか?」

おじ「もとの時間へ帰るために決まっているだろう。俺たちが作った物も既存したタイムマシン同等、片道限定だった」

み梓「だから帰り用にギター型の物を……」

おじ「今となっては無意味だったがね。こんなメモまで残しておいたのに、記憶が過去のものになってしまった俺はタイムマシンに一切触れずに、しかもさわ子ちゃんに受け渡してしまっていた」


715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:01:37.30 ID:3WFb6kmJ0 [121/163]
紬「そこから色々と繋がるわけね」

澪「でもそれがわかったからなんだって感じになるんだけれど」

律「まぁな」

唯「おじさん。私たちが使っていたタイムマシン、どうも壊れちゃったみたいでして」

おじ「なに?」

唯「だからおじさん直せないかなぁ……って」

さわ子「おじさんだけが頼りなの……お願い」

梓(こんな人に頼むのもなんか癪だけど……今は我慢しなきゃ)

おじ「……どうにかしてやりたいのも山々だが、修理するにもここでは設備がまず整っていないし、まずどう直していいのやらわからん」

律「あんたたちだって作ったんだろ!? だったら」

おじ「あのタイムマシンをバラして見よう見真似で作ったんだ。詳しいところは今一つわからんかったさ」

律「はぁ!? そんことってあるかよ……どうするんだよ……」


717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:06:29.53 ID:3WFb6kmJ0 [122/163]
おじ「俺ももとの時間へもど……いや、戻れるのか? はたして」

おじ「どうも今の2010年は俺がいた時間と少し違うようだからな。というかパラレルワールドか」

おじ「こいつはどうしようもないな。だが、タイムマシンが使えないことで君たちが困ることが何かあるのかい?」

み梓「とてもありますっ!! あれが使えなきゃ先輩たちは……先輩たちは……」

澪「梓……」

おじ「弱ったなぁ」

紬「……あ!!」

唯「どしたのムギちゃん?」

紬「電話……電話通じないかしら!?」


721 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:11:20.90 ID:3WFb6kmJ0 [123/163]
さわ子「どういうこと?」

梓「そ、そっか! 過去へ行っても未来へ行っても通じましたもんね!」

おじ「お、おい。説明してくれっ」

唯「えっとね、例えば今こっちの時間から誰かが過去にタイムスリップしたとするでしょ? んで、こっちの時間から過去に行った人に電話かけても通じちゃうんだよ」

おじ「……なんだって? そんな馬鹿なっ」

唯「その、ぱられるわーるどってのと繋がるかはよくわかんないけど」

おじ「だが今まで俺が電話をかけても俺のもといた時間に繋がることはなかったぞ」

紬「それはあなたがもといた時間の人ではなくて、過去の、こっちの時間の存在になっていたからじゃないでしょうか?」

おじ「……納得がいかない。それだと意識の問題ということになるんじゃ……」

律「ものは試しだよ! 一回あんたの助手の人たちに電話してみろって!」

おじ「あ、ああ……」


723 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:16:42.40 ID:3WFb6kmJ0 [124/163]
おじ「あれから何年も経っているんだ……繋がるかどうか……」ピッピッピ

…プルルルル

おじ「つながった……!」

さわ子「うそ!?」

律「な! 言った通りだったでしょ!?」

おじ「す、少し静かにしていてくれ……」

『……はい、もしもし?』

おじ「!!」

おじ「じょ、助手Aか……?」

『まさか……○○先生ですか!?』

おじ「あ、ああ……そうだ。こっちは今2010年の5月10日……そっちは?」

『2020年12月27日……です』

おじ「10年……経ったのか」


724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:21:28.37 ID:3WFb6kmJ0 [125/163]
唯「10年経ったって……2020年! すっごーい!」

澪「唯っ、静かに」

『先生がいつになっても帰ってこないから実験は失敗に終わったのだと思っていましたよ』

おじ「いや、成功さ。俺が存在したという記憶はそっちで消滅していなかったんだからな!」

『ですがなぜ今になって……』

おじ「そんなことはいい。それより問題が発生した。例のギター型タイムマシンが故障した」

『なんですって! だからこちらに帰って来ることができなかったんですね……ですが安心してください。先生は運がいい!』

おじ「……どういうことだ?」

『実は偶然にもタイムマシンを回収しましてね。発見したのはアパートの一室だったのですが、それが……以前、先生と一緒にそちらへ送ったタイムマシンそのままなんですよ』

おじ「なに……?」

『とにかくそちらにすぐにでも送りますよ。場所は……』

おじ「俺の家だ。すぐに頼む」

律「なんか……なんとかなりそうだぞ!?」

澪「ああ……ああ! そうだな!」


727 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:26:03.68 ID:3WFb6kmJ0 [126/163]
おじ「ん、でも待てよ」

おじ「おい、そっちとこっちはおそらくパラレルワールドだ。送ったとしても届くのは……」

『ええ。ですからもっと前の時間……こちらとそちらの世界が別れる、つまりパラレルワールドになるであろう前の時間に、2000年に先生の家の倉庫へ送らせていただきました』

おじ「ぐ、グッジョブだ! おい、さわ子ちゃん! すぐにここの倉庫の中を見てきてくれ!」

さわ子「え? あ、はい!」タタタ…

『おそらくどこかにはあると思います。間違いありません』

おじ「そうか……ふぅ」

み梓「どうなったんですか!?」

おじ「ああ、タイムマシンはなんとかなりそうだ」

唯「よ、よかったぁ……」

紬「やっぱりここに来てよかったね」

唯「うん!」


728 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:34:48.57 ID:3WFb6kmJ0 [127/163]
さわ子「あったわ! タイムマシン!」

律「おぉ! ってほこりっぽい……うっ」パタパタ

澪「げほげほっ」

おじ「タイムマシンを確認できた。ありがとう助手A」

『いえいえ。ですが……先生。先生はもうこちらに帰ってくることは……』

おじ「ああ、無理だと思う。俺が2020年に行ったとして、そこはお前たちが待つ世界ではない」

おじ「これで、これでいいんだ俺は。とくに不自由なこともないしな」

さわ子「おじさん……」

律「さわちゃん、忘れんなよ。あの人は自分を殺したって一応の犯罪者でもあるし、そんな狂った実験をした人でもあるんだから」

さわ子「……」


729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:38:52.59 ID:3WFb6kmJ0 [128/163]
み梓「全ての元凶はタイムマシンを持ってきたあの人……私、少し許せません」

紬「でも使ったのは私たちよ。私たちも悪いとは思う」

み梓「っ……」

澪「とにかく無事にタイムマシンが手に入ったんだ。これで」

唯「にしてもほんとそっくりだよねー」

梓「私たちが最初に使っていた物と同じですよね」

律「まぁ、細かいことはいいっしょ」

おじ「……じゃあな、元気でやるんだぞ」ガチャ、ツーツー

おじ「……さて、俺はいつまでこうやってもとの自分を覚えていられるかな」

さわ子「どういうこと?」

梓「また未来から来た自分を忘れてしまうかもしれないってことですか?」

おじ「確証はも――――」

おじ「……うん?」


730 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:43:02.70 ID:3WFb6kmJ0 [129/163]
車内

「……」

唯「おじさん、寂しくないのかな」

紬「あの大きな家に1人だったもんね」

梓「……ていうかよく考えると、この世界で1人ぼっちって見解もできますよね」

さわ子「あの人、ああ見えて案外1人になるのが好きな人なのよ」

澪「あ、案外って……」

さわ子「それだけ強い人ってこと。なんせ自分を……殺しちゃってる人だし」

律「あ、あははは……それはあんまり笑えないや」

さわ子「とにかく、今やるべきことだけあなたたちは考えていなさい」

み梓「……」

梓「……心配?」

み梓「べ、別にっ!」


731 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 20:48:02.72 ID:3WFb6kmJ0 [130/163]
・・・

律「なんで今日さっそくやらないんだよ? 善は急げって言うじゃん」

さわ子「色々あったし、あなたたちも疲れているでしょ?」

み梓「そんなことは!」

さわ子「無理しないの。とにかく、やるのは明日、学校で。ね?」

み梓「……」

紬「それじゃあ今日のところはおうちに帰ろっか?」

澪「そうだな」

唯「私、色々考えたから頭いっぱいいっぱいだよぉ」

梓「それ昨日も言ってましたよね」

唯「そだっけ?」

さわ子「とりあえず、私がタイムマシンを預かっておくわね。それじゃあまた明日」ブロロロ…

律「行っちゃったぁ……私らも帰るか」

732 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:00:08.68 ID:3WFb6kmJ0 [131/163]
平沢家

み梓「ごめんね、二日も連続で泊っちゃって……」

憂「ううん、全然気にしなくていいよ。私も梓ちゃんがうちにいてくれて楽しいもん」

唯「私もだよ~」

み梓「そ、そっか……えへへ」

憂「このままうちの子になっちゃおっか! 梓ちゃん」ニコニコ

み梓「ど、どこぞのお母さんみたいなこと言わないでよっ」

唯「平沢梓も悪くないと思うんだぁ。名前の響き的に」

憂「私は中野の方が似合ってると思うんだけどなぁ」

み梓(こ、この姉妹は……)


734 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:04:01.62 ID:3WFb6kmJ0 [132/163]
・・・

チャポン

み梓「はぁ……」

み梓「やっと、かぁ……」

み梓(長かったようで短かったような)

――――……

梓「唯先輩っ! 唯先輩起きて!! 死んじゃダメ!」

唯「あ……あ……」

「君、離れて!」

梓「いや、いやぁっ!! どうして!? どうして助けられないの!?」

梓「澪先輩も律先輩もムギ先輩も……どうして私を1人にして死んじゃうのよ!?」

梓「1人に、しないでよ……私を1人ぼっちにしないでよぉ…………」

……――――


み梓「……」


735 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:08:10.34 ID:3WFb6kmJ0 [133/163]
み梓「あんなこと、認めない」

み梓「絶対に……」

ガチャリ

唯「おっす、未来あずにゃん」

み梓「ゆ、唯先輩!? な、なんで……」

唯「たまには裸のお付き合いもいいじゃなーい」ゴシゴシ

唯「いやだった?」

み梓「はい」

唯「あ、あーずにゃあぁん……」


738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:12:07.60 ID:3WFb6kmJ0 [134/163]
俺も一旦風呂へ

み梓「冗談ですよ。それに泊めてもらっている身でそんな生意気なこと言えません」

唯「律儀だなぁ。別にそんなこと気にしなくていいのに」

み梓「……ねぇ、唯先輩」

唯「ん?」

み梓「私……もう1人ぼっちになることなんて……ないですよね」

み梓「あ! こ、こんなこと言ってもわけわかんないですよねっ。ごめんなさい」

唯「大丈夫だよ」

唯「1人ぼっちだなんて寂しいことにはぜっっったいならないよ!」

み梓「……」

唯「いくらいた時間が違っても、未来あずにゃんは私の大切な後輩」

唯「だから大丈夫! ねっ」

み梓「……」クスッ

み梓「なんですかそれ。わけわかんないです」

唯「えー、わかんないかなぁ?」ゴシゴシ


744 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:44:43.10 ID:3WFb6kmJ0 [135/163]
・・・

唯「くーっ、風呂のあとのアイスは格別ですなぁ!」

憂「お姉ちゃんおやじくさい~」クスクス

み梓「……おいひぃ」モグモグ

唯「天下のハーゲンダッツさんだからね!」

み梓「さん?」

唯「ほら、ガリガリくんはガリガリくんでしょ?」

唯「だからハーゲンダッツさん!」

み梓「憂、唯先輩大丈夫?」

憂「あはは……いつもどおりだよ……」

み梓「そ、そっか」


746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:48:15.92 ID:3WFb6kmJ0 [136/163]
ガチャリ

唯「さーて、今日も早めに寝るよー」

み梓「はい」

唯「今日で未来あずにゃんと寝るのも最後かなぁ……?」

み梓「そうですね」

唯「あ、最後じゃないや!」

み梓「え?」

唯「また未来あずにゃんが遊びに来てくれたときにうちに泊ってくれればいいんだよ」

唯「だから最後じゃない!」フンス

み梓「……」

み梓「ふふふ、あはははっ」

み梓「あはははは!」

唯「あ、あずにゃん? どっかに頭打っちゃった?」


749 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:51:09.82 ID:3WFb6kmJ0 [137/163]
み梓「あ、あー……お腹痛い、ふふふっ」

唯「未来あずにゃん?」

み梓「ご、ごめんなさい! でもおかしくって」

み梓「……遊びに来れたらいいなぁ」

唯「来れるよぜったい!」

み梓「ふふっ、そうですね。来れますよね、ぜったい」

唯「ほら、おしゃべりは終わりだよ。もう寝ないと!」

み梓「……はい」

唯「さっきの、約束だからね!」

み梓「はいはい」クスッ


751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:54:01.53 ID:3WFb6kmJ0 [138/163]
2010年5月11日 軽音部室

澪「い、いよいよだな」

梓「これでどうもできなかったら打つ手なし……」

紬「かどうかはまだよくわからないわよね。今までもなんとかなってきたし」

み梓「む、ムギ先輩……結構楽観視してるんですね」

紬「えへっ」

律「まぁ、これぐらいのほうが気楽でいいよ」

唯「だねぇ~」

さわ子「いや、ちょっと気楽過ぎるのもよくないわよ……適度に緊張感持ってよね。あなたたちのこれからのためなんだから!」

唯・律「はーい」

澪「大丈夫かな……」


752 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 21:57:08.58 ID:3WFb6kmJ0 [139/163]
梓「それで、誰が4日に行くんですか?」

律「前に決めたとおり、私でいいっしょ。原因作ったの私かもしれないんだし」

唯「りっちゃんかっくいいー!」

澪「一応は責任感じてるんだ?」

律「当たり前だろ!」

さわ子「本当は私がやってあげたいのだけれど……」

律「いいよ、さわちゃん。これは私たちの問題だよ」

さわ子「またそうやって除け者にするっ」

み梓「私たちの中に……私って含まれますか?」

唯「もっちろーん!」

梓「除外してほしかったの?」

み梓「と、とんでもないっ。むしろ……よかった」

律「そんなことよりさっさと始めるぞー!」


755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:00:02.19 ID:3WFb6kmJ0 [140/163]
2010年5月4日 教室

「うん。それじゃそろそろ切るぞ」

「さて、みんな待ってることだし! そろそろ帰ってやるかぁ。にしてもビックリしたな……」タタタ…

ガチャリ

律「よし、うまく行った」

澪『あとは落書きを処分するだけだな』

唯『ゴミ箱にポイするだけでいいの?』

紬『それだとちゃんと処分できたことにならないかもしれない』

梓『焼却処分しちゃえばいいんじゃないですか?』

律「えー、面倒くさいなぁ……」

澪『ここまで来て面倒くさがることはないだろ? やれることはやってきなさい』

律「ちぇー……はいはい。んじゃ、電話切るぞー」ピッ


758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:08:47.81 ID:3WFb6kmJ0 [141/163]
律「さてと、確か澪の机の中に入れたんだったよな」スタスタスタ…

律「よいしょっと」

律「お、見つけた! ったく、過去の私も面倒なことしてくれたなぁ……」

ス…

律「……ん?」

ス…

律(あ、あれ? おかしいな、机の中に手を入れられない……)

ス…

律「んんっ!? なんで!?」

律「……こ、このぉっ!」シュッ…

ドンッ

律「!?」ヨロヨロ…ドテッ

律「え……え……?」

律(お、押された……? でも誰もいないぞ!?)

律「そんな……」


759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:13:05.48 ID:3WFb6kmJ0 [142/163]
律「も、もしもし!」

澪『どうした律? 上手くいったのか!?』

律「それが……」

梓『ま、まさか……』

律「手がのばせないんだ……机の中に……」

律「ていうか押されたんだ! よくわかんないけどこっち来んなーって感じで!」

み梓・さわ子『……』

紬『り、りっちゃん! 落ち着いてっ』

律「おかしいんだよっ!? なにもできないんだ! ど、どうして!? え!?」

唯『りっちゃん! りっちゃんてば!』

さわ子『りっちゃん!!』

律「!」

さわ子『一度……こっちに戻ってきなさい』

律「……うん」


761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:18:02.51 ID:3WFb6kmJ0 [143/163]
2010年5月11日 軽音部室

律「……」

唯「り、りっちゃん。気にしないで……?」

律「……気にするよ。ダメだったんだ」

澪「……律が悪いわけじゃない」

律「悪いよ。全部私のせいだ……」

紬「お、お茶でも!」

律「いらない」

紬「ううっ……」

梓「いや、いやあぁぁ……」ガクン


762 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:23:22.48 ID:3WFb6kmJ0 [144/163]
律「……さわちゃんの言うとおりだったな。簡単にはいかないって」

さわ子「そう、ね……」

律「ダメだった。私ダメだったよ、ははは」

律「はぁ……」

さわ子「落書きを処分しようとして、力が働かれたということはそれが原因でたぶん間違いないわ。つまり……」

梓「打つ手なし、ですか」

紬「私たち、死んじゃうのね」

澪「やだ……死にたくないっ、死にたくないっ、死にたくないっ!!」ブルブル

唯「わ、わたしだ、って……や、だよぉおお……まだいき……で、だい゛……」ポロポロ

律「っっ……」




み梓「まだ諦めるのは早いですよ」


764 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:28:04.72 ID:3WFb6kmJ0 [145/163]
唯「ふぇ……?」

紬「いまなんて……」

み梓「諦めるのは早いって言ったんです」

律「でも、もう……」

み梓「弱気になるなんてらしくありませんよ。律先輩」

梓「ひっ、ぐ……あうっ……」

み梓「ほら、もう1人の私も。泣かないで」

澪「なんで、なんでそんな……」

み梓「諦めない限り、なんとかなります。絶対に」

さわ子「なにか他に原因を取り除く方法があるっていうの?」

み梓「……はい」


768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:33:10.79 ID:3WFb6kmJ0 [146/163]
み梓「世界を変えた原因を取り除こうとすれば確実に妨害される。なら、取り除くんじゃなくて」

み梓「また変えてしまえばいいんです」

紬「逆転の発想……?」

律「でもそんなことしてまた変なことになったらどうするんだよ!?」

み梓「最後まで話を聞いてください」

み梓「変えるといってもタイムマシンがもともと存在しなかった世界に、です」

唯「……どういうこと?」

さわ子「まさか……」

み梓「そう。過去へ行ってタイムマシンを壊すんです。二度と使えないように」


769 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:38:26.22 ID:3WFb6kmJ0 [147/163]
み梓「そしたらそのスクラップはどこかに埋めてしまいましょう。それで全部終わりです」

紬「たしかにタイムマシンがなければりっちゃんが作った原因……というか過去に行ったという事実がなくなるもんね! それにさわ子先生のお友達も死なずに済むわ!」

澪「でも……壊すのはいいんだけど、どうやってもとの時間に戻ってくるんだ?」

律「そっか、あれがなきゃ戻るに戻れないもんな」

み梓「……私が行ってきます」

唯「そ、そんなのダメだよ!」

み梓「でもこれしか方法は……!」

さわ子「あわてる必要はないわ」

み梓「え?」

さわ子「私がタイムマシンを学校に初めて持ってきた日……この日にタイムスリップして過去の私にタイムマシンの破壊を頼んでから戻ってくればいいの」


773 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:44:20.74 ID:3WFb6kmJ0 [148/163]
さわ子「私がタイムマシンを使ってから壊すんじゃ、タイムマシンがあったという記憶が私に残るでしょ? だから壊すならその前……」

さわ子「おじさんの方は過去の自分を殺してタイムマシンのことを忘れているから……申し訳ないけど」

さわ子「それにあの人の家まで行くには相当の距離を行かなきゃいけないし、どちらにせよタイミング的にはこっちの方がいいわ」

梓「確かにそれならなんとかなりますけど……」

律「見ず知らずの人間にいきなりお前の持っているギターを壊せって言うのか? ちょっと無理あるんじゃ」

さわ子「大丈夫よ! 私なんだから」

み梓「ほ、ほんとですか……」

唯「でもこれしかないってのなら、やるっきゃないよ!」

澪「そう、だな……私もそう思う!」


775 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:49:10.92 ID:3WFb6kmJ0 [149/163]
さわ子「ていうか私が行かせてもらうわ。これ以上あなたたちを危ない目に会わせるわけにはいかない!」

み梓「いえ、やっぱり私が!」

唯「待って!」

さわ子・み梓「?」

唯「わ、私が行くよ!」

律「お前が!?」

梓「無茶言わないでくださいよっ」

唯「うぅ……でも」

唯「みんなこんなに頑張ってるのに、ぼーっとしてるだけだなんて我慢できないの」

紬・澪・梓(それ言うなら私もそうなんだけど……)

唯「だから行かせて?」

み梓「で、でも……」

律「行ってこい! 唯隊員!」

澪「律!?」


778 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 22:54:01.58 ID:3WFb6kmJ0 [150/163]
梓「そんな簡単に託さないでくださいよ!」

澪「律! お前なぁ……」

律「隊長命令だから、絶対な」

さわ子「りっちゃん。ふざけな――」

律「ふざけて言ってるわけじゃないよ。唯がやるって言ってるんだから私は唯の意思を尊重してるの」

唯「りっちゃぁん……」

律「行ってこい。こんなの誰が行ったって同じだよ。だったら私は唯に全てを委ねてしんぜよう!」

紬「そうね、私もりっちゃんに賛成」

梓「……もう好きにしてください」

澪「唯、いいのか? ほんとにいいのか?」

唯「まっかせなさーい!」


780 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:00:04.88 ID:3WFb6kmJ0 [151/163]
唯「よっこいしょっと……」

唯「準備おっけー。いつでもいけるよー」

さわ子「あっちに着いたらすぐに私に会うと思うわ。いい? 私はとても慌てると思うけど焦らずに事情を話してあげて。でもタイムマシンについては言わないように」

さわ子「たぶん、わかってくれるかもしれないから」

梓「たぶんでかもですか……不安だなぁ」

澪「唯、がんばって。お前が私たちの希望なんだ」

唯「あいよー!」

澪「……あぁ、やっぱり心配すぎるっ」

紬「み、澪ちゃんっ」

唯「も、もう行ってよろしい……?」


782 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:03:21.67 ID:3WFb6kmJ0 [152/163]
み梓「唯先輩……」

唯「お、未来あずにゃーん」

唯「あ! そういえば!」ガサゴソ

み梓「どうしたんですか?」

唯「ほい!」ペタン

み梓「なっ!?」

唯「今日のシール、貼り忘れたよぉ。あ、でもあとみんなシールなくてもどっちがどっちだか区別ついてたね」

み梓「そういえば、そうですね……」

唯「でもこれがあっての未来あずにゃんって感じだから。今日は温泉マークシールだよぉ」

み梓「ど、どうも……」


784 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:08:04.38 ID:3WFb6kmJ0 [153/163]
律「よし、みんな! 重大な任務を果たしてくる唯隊員にむけて~」

律「敬礼!」ビシッ

唯「敬礼っ」ビシッ

「……」

律「だぁーっ! みんな乗り悪いなぁ。ここはやっとくべきだろ!?」

澪「いや、それは恥ずかしい」

梓・み梓「同じく」

紬「あははは……」

さわ子「バカなことやってないでさっさと行ってきなさい!」

唯「は、はいぃ!」

ポーン、ポーン、ピーン


785 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:13:03.87 ID:3WFb6kmJ0 [154/163]
2000年4月28日 軽音部室

ガチャリ

さわ子(過去)「私が一番乗りかぁ」

唯「あのぉ」

さわ子「きゃあ!?」

唯「お、驚かせちゃってごめんね!」

さわ子(上級生? でもこんな人いたっけ?)

さわ子「あの、もしかして軽音部に入部希望とか……?」

唯「えっと、ていうか既に入部してるんだけどね」

さわ子「え? でも……」

唯(な、なんて説明しましょうかぁ……)ウズウズ


786 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:18:16.62 ID:3WFb6kmJ0 [155/163]
さわ子「上級生の方、ですよね? 名前は?」

唯「平沢唯だよー」

唯「そ、そんなことより! あのね!」

唯「それ!」ビシィッ

さわ子「え……?」

さわ子「このギターですか?」

唯「それは……えっとね」

唯「呪いのギターなんだよ!」

さわ子「……はい?」

789 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:23:02.60 ID:3WFb6kmJ0 [156/163]
唯「あ、えっと、えっとぉ……」

唯(勢いで言っちゃったけど変だったかなぁ!)

さわ子「ふふっ」

唯「え?」

さわ子「面白い人ですね。平沢先輩」

唯「あ、よく言われるよ。それ」

さわ子「あはははっ」

さわ子「呪いのギターでも、私にとってはこれはおじさんから譲ってもらった大事なギターなの」

唯「そ、そっかぁ。でもね、それ使っちゃったら大変なことになるんだよ……」

さわ子「大変なこと?」

唯「さわちゃんの友達がね、死んじゃうの」

さわ子「わ、私の?」


795 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:31:22.48 ID:3WFb6kmJ0 [157/163]
さわ子「ていうかさわちゃんって……私のこと知ってるんですか?」

唯「うん。だってさわちゃんは先生でもあって、軽音部の顧問でもあるんだもん」

さわ子「先生? 顧問? あの、人違いじゃ……それに私、まだ学生ですよ」

唯「今はそうだけど、さわちゃんは先生になるの。この学校の音楽の先生」

さわ子「な、なんでそんなこと言えちゃうんですか?」

唯「それは私がみら――――」

唯「なななな、なんでもない! やっぱなんでもないよ!?」

さわ子「えぇー……」

さわ子「ていうか私の友達が死んじゃうっていうのは……」

唯「紀美さん、だっけ。その人が事故で……亡くなっちゃうの」

さわ子「え!? 紀美!?」


798 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:35:02.10 ID:3WFb6kmJ0 [158/163]
さわ子「じょ、冗談でも言っていいことと悪いことがあるわっ!!」

唯「ご、ごめんね! でも本当なのっ、信じてっ」

さわ子「初対面の人をそう簡単に信じられると思えますか!?」

さわ子「おまけにさっきから変なことばかり言うしっ」

唯「へ、変じゃないよぉ……」

さわ子「出ていってください! 」

唯「そういうわけにもいかないの!」

さわ子「出ていって!」

唯(さ、さわちゃんのばかぁ! 全然分かってくれないじゃんっ)

唯「ど、どうしよう……」

Prrr…


802 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:40:05.78 ID:3WFb6kmJ0 [159/163]
さわ子「ん?」

唯「あ、携帯……ちょっとごめんね」ピッ

さわ子(携帯って……なんでそんな……)

唯「はいはい、もしもし?」

さわ子『もしもし、唯ちゃん』

唯「あ、さわちゃーん!」

さわ子(過去)「え?」

唯「あ、そっちのさわちゃんじゃなくて……と、とりあえず気にしないで!」

さわ子(過去)「?」

唯「さわちゃん大変だよ、こっちのさわちゃん私の言うこと全然信じてくれないっ」ヒソヒソ

さわ子『そっか……電話かけて正解だったわ』

律『やっぱりなんとかならないじゃん』

唯「ほんとだよっ」プンスカ

さわ子(過去)(本当になんなのこの人……)


804 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:43:01.58 ID:3WFb6kmJ0 [160/163]
唯「でもどうするの? このままじゃ」

さわ子『唯ちゃん。ちょっとそっちの私と電話代わって』

梓『そ、それって大丈夫なんですか!?』

さわ子『たぶん大丈夫よ。タイムマシンのことさえ言わなければいいんだから』

唯「……んじゃあ、代わるよ? おーい、さわちゃん。電話代わってだって」クイクイ

さわ子(過去)「え、私!? だ、誰からですか……?」

唯「それは出てからのお楽しみ」サ

さわ子(過去)「……も、もしもし」

さわ子『もしもし』

さわ子(過去)「どなたですか……?」

さわ子『山中さわ子よ』


805 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:46:22.59 ID:3WFb6kmJ0 [161/163]
さわ子(過去)「あ、同じ名前……」

さわ子『そりゃそうよ。私はあなた、あなたは私なんだから』

さわ子(過去)「は?」

さわ子『私は未来のあなたよ』

さわ子(過去)「またそんな冗談を……だれ? なんのつもり?」

さわ子『私はね、今桜高の教師やってるのよ。びっくりでしょ?』

さわ子(過去)「……平沢さんから聞きました。それがなんですか」

さわ子『DEATH DEVILは色々あって続かなかったのよねぇ……ちょっと残念だけど』

さわ子(過去)「な、なんでまだ誰にも教えてないバンド名をあなたが!?」

さわ子『ふふふ……(なんかちょっと面白くなってきたかも)』


809 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:51:05.29 ID:3WFb6kmJ0 [162/163]
さわ子『まだ信じられない? 私が未来のあなたなんだってこと』

さわ子(過去)「あ、あたり前ですっ」

さわ子『じゃあ今度は振られた男の数でも言っちゃおうかな~?』

さわ子(過去)「いっ!? や、やめてぇっ」

唯(なんかよくわかんないけど学生さわちゃんが押されてる……!)

さわ子『じゃあ信じてくれるわね?』

さわ子(過去)「信じる! 信じるからっ!」

さわ子『そう、よかった。じゃあまた唯ちゃんに電話代わって?』

さわ子(過去)「……はい」ス

唯「ほえ?」


811 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:56:16.02 ID:3WFb6kmJ0 [163/163]
さわ子『もしもし唯ちゃん。上手くいったわ。これでだいぶ話は聞いてくれるとは思う』 

唯「ほんとぉ!? さっすがさわちゃん先生~」

さわ子(過去)「あの……」

唯「ん?」

さわ子(過去)「まさか、平沢さんも未来の人だとか……言いませんよね?」

唯「そのまさかです!」

さわ子(過去)(あ、頭痛くなってきた……)フラ

さわ子(過去)「どうやって未来からここに来たんですか。まさかタイムマシンとか?」

唯「それは内緒ー。それ言っちゃダメって言われてるからね」

さわ子(過去)「……じゃあ、なんで未来からわざわざ? 何か用でも?」

唯「そのギターに用事があって来たんだよ」

さわ子(過去)「呪いのギター?」

唯「ああ……それもう忘れてよぉ……」

813 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:00:05.55 ID:xmu1na1Z0 [1/41]
さわ子(過去)「まさか、このギターをよこせとか言いだすんじゃないでしょうね?」

唯「ううん。ぶっ壊してほしいの」

さわ子(過去)「……」

さわ子(過去)「……は?」

唯「だから――」

さわ子(過去)「ちょ、ちょっと待って! 本当にあなた私をばかにしてるんですか!?」

さわ子『ゆ、唯ちゃん。ちょっともう一度私と電話代わってくれるかしら?』

唯「え? あ、うん。はい、さわちゃん」ス

さわ子(過去)「……もしもし、どういうこと!? 説明して!」

さわ子『あのね、落ち着いて聞きなさい。あのギターについて詳しいことは教えられないけど、とにかく今、私たちの時間で大変なことが起きてしまいそうなの』

さわ子(過去)「あのギターが原因でってこと……?」

さわ子『そう。それにあれをあなたが使うことで紀美が死んでしまうのよ』

さわ子(過去)「また紀美……」


814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:04:04.02 ID:xmu1na1Z0 [2/41]
さわ子(過去)「本当、なんですか? にわかには信じがたいですよ」

さわ子『本当よ。ウソじゃない。……とりあえずあのギターを絶対に弾かないで』

さわ子『それだけでも紀美の死は回避できるわ』

さわ子(過去)「だったらわざわざ壊さなくても……」

さわ子『……あれがあると、私の教え子が死ぬのよ。そこにいる唯ちゃんがその1人』

さわ子(過去)「え……」

唯「ん?」ヒョコ

さわ子『あなたがおじさんから譲ってもらったあのギターこそが全ての元凶。あれを壊して二度と使えなくすることで、おそらく唯ちゃんたちの死は回避される』

さわ子(過去)「どうしておじさんから貰ったって……」

さわ子『何度も言わせないで頂戴。とにかく、あとはそこにいる唯ちゃんの言うことをしっかり聞いて。……それじゃあ』ブチッ、ツーツー

さわ子(過去)「え、あ、ちょっ……まだ聞くことが……」


815 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:08:04.69 ID:xmu1na1Z0 [3/41]
さわ子「はい、電話。返します」

唯「あれ? さわちゃん電話切っちゃったの?」

さわ子「私じゃなくて、向こうの私が切りました……それより」

さわ子「あのギターを壊さなきゃ、あなた死んじゃうんですか?」

唯「んー……まだよくわかってないけど、そうみたいだよ。あはは……」

唯「それ教えてくれたのは未来から来たあずにゃんなんだけどね。あ、あずにゃんっていうのは私たちの後輩の1人で」

さわ子「そこまで聞いてない。……あなた、私の教え子にあたる生徒さんだったんですね」

唯「そだよぉ~。さわちゃんはねぇ、なんだかんだ言っていい先生なんだよ! あ、最近だと彼氏が全然できないって泣いてた」

さわ子「……そういうことは教えなくていいですっ!! それで軽音部の顧問と?」

唯「あんまり顧問らしいことしてないけどね。あ、でもギターすごく上手くて私も色々教えてもらったよぉ。歯ギターとか!」

さわ子(未来の私はいったい何をしているの……!?)


818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:13:16.88 ID:xmu1na1Z0 [4/41]
唯「でもね」

さわ子「え?」

唯「みんなさわちゃんのこと大好きだよ」

さわ子「……あ、ありがとう」

さわ子「って、私に言ったんじゃなくて未来の私ですよね……あ、でも私には変わりないのか」

唯「ふふふっ」

さわ子「な、なに?」

唯「さわちゃん若いなぁって。さわちゃんも私たちと同じときがあったんだなって思って」

さわ子「そりゃ、誰だって学生のときはありますよ」

唯「でもなんか変な感じして、えへへ」

さわ子「……ふふっ」


821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:18:02.49 ID:xmu1na1Z0 [5/41]
さわ子「それで? 私はなにをすればいいの?」

唯「え?」

さわ子「あなた、何のために未来からやってきたんですか」

唯「あ、そだったね。えっと……」

さわ子「やるなら早くしたほうがいいと思います。もうすぐここに誰か来ちゃうかもしれないし」

唯「そ、そだね! それじゃあ……」

唯(まずギターケースに入ってるおじさんが書いたメモを……)ジィーッ、ガサゴソ

さわ子「?」

唯「あった! えっとこれを……どうしよう?」

さわ子「なんですかそのメモ?」

唯「み、見ちゃダメだよ!」


823 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:22:02.33 ID:xmu1na1Z0 [6/41]
さわ子「でもそれ……」

唯(ど、どうやって処分しよう……そうだ!)

唯「あむっ」パクッ、ムシャムシャ

さわ子「は!? え、ちょっと!? なに食べてるんですか!」

唯「ほうふふひははいんはほ~(こうするしかないんだよ~)」

ゴクン

唯「はぁ……まずっ」

さわ子「と、とんでもない人……」

唯「よし、メモはこれでおっけー。後は」ガシッ

さわ子「こ、今度はなんですか?」

唯「ちょっとこのギター使わせてもらうねぇ。あ、見られないようにしなきゃダメか」

唯「物置部屋借りるよー!」

さわ子「え? えぇっ?」


824 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:27:11.18 ID:xmu1na1Z0 [7/41]
さわ子「あ、あのちょっと!」

唯「いい? 今から3分ぐらい経ったらここ開けてギター持っていって」

唯「そしたら何があってもかならずギターぶっ壊しちゃってね! いい? かならずだよっ」

さわ子「壊すのはわかりましたけど……なんでそんな」

唯「それと、私と会ったことは忘れてね!」

さわ子(こんな強烈なキャラ中々忘れられないと思うけど……)

唯「んじゃね! 頼んだよ、学生さわちゃん!」

ガチャリ

さわ子「あ! も、もぉ……なんなのよ……」

829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:31:25.63 ID:xmu1na1Z0 [8/41]
唯「ふぅ、疲れたぁ……」

唯(あとは私がみんなのところに帰ってタイムマシン太が壊れるのを待つだけだね)

唯「よーし、んじゃ――」

唯「……」

唯「待って、タイムマシン太壊れちゃったらたしかに世界変わるけど……」

唯「……」


832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:34:21.68 ID:xmu1na1Z0 [9/41]
Prrr…

唯「もしもし」

澪『唯? どうした』

唯「ちょっと未来あずにゃんに代わって」

澪『え? あ、うん』

み梓『もしもし、今代わりました。どうしました?』

唯「タイムマシン太壊れちゃったら……未来あずにゃんこっちにまた来れなくなるじゃん」

み梓『そうですね』

唯「……約束したじゃん。遊びに来てくれるって」

み梓『……そうですね』


834 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:38:01.62 ID:xmu1na1Z0 [10/41]
唯「来れないどころか、タイムマシン太ない世界になっちゃったら……私たちの今までの思い出ってどうなっちゃのかな」

み梓『もともとなかったことになるんだから、タイムマシンを見つけてからの記憶はたぶんなくなるかと』

唯「そうなると……未来あずにゃんってどうなっちゃうの?」

み梓「そもそもタイムマシンのせいで先輩たちが死んだという世界から私は来たんですから……たぶん消えちゃったり、とか」

唯「そ、そんなのやだよ……!」

み梓「じゃあこのままにして唯先輩たちが死んじゃってもいいんですか」

唯「あう……」

み梓『私はそんなのいや。耐えられません。もう1人の私だってそうです』

唯「……」

み梓『電話切りますよ。……早く戻ってきてください』

ブチッ、ツーツー


837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:43:00.47 ID:xmu1na1Z0 [11/41]
唯「……」

唯「……」

唯「……」

唯「……」

唯「……」

唯「……っ」


>>840
戻る? 戻らない?

844 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:47:45.05 ID:xmu1na1Z0 [12/41]
唯「無理だよ……そんなことできない」

未来あずにゃんが消えちゃうだなんて悲しいこと、私には耐えられない。

だって、そうだよ。

未来から来たって未来あずにゃんはあずにゃんに変わりはないんだもん。
みんなだってきっとそう思うに違いない。
私たちが死んじゃうか、未来のあずにゃんが消えちゃうか。
どっちかを秤にかけて、さぁどっちを選ぶって言われても……

唯「選べるわけ、ないよぉ……」

そうだ、もう一度電話をかけてみんなと相談を――

『3分経った。よし、開けますよー』

外から学生さわちゃんの声が。

もう3分経った……!?


849 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:51:33.41 ID:xmu1na1Z0 [13/41]
ドアを開けて部屋に入って来たさわちゃんは不思議そうな顔で私を見た。

さわ子「いったい中でなにしてたんですか?」

唯「……」

なんて言えばいいんだろう。
言ったところでわかってくれるのかな。

さわ子「それじゃあ約束通り、壊しましょう……不本意ですけど」

唯「ま、待って! だめ! 壊しちゃだめぇっ!」

タイムマシン太を庇うように抱いた。
でもそんな行為も無意味だったみたい。

さわ子「……なんとしてでも壊せって言ったのは平沢さんじゃないっ」

ひったくるようにして無理矢理タイムマシン太を奪われた。


853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:54:13.61 ID:xmu1na1Z0 [14/41]
唯「か、返して……!」

さわ子「ダメです! やれって言われたことはきちんとやるわ」

唯「ダメなのっ、壊しちゃったら未来あずにゃんが消えちゃう!」

さわ子「またわけのわからないことを……そもそもこれを壊さなかったらあなたが死んじゃうんでしょう!?」

唯「それは……」

さわ子「だったら尚更壊さなきゃダメです。あなたが死んじゃったら未来の私が悲しむもの! それに私だって……!」

唯「でも……」

ダメだ。
話を聞いてくれない……。


856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 00:57:08.60 ID:xmu1na1Z0 [15/41]
一息つくと、タイムマシン太のネックを持って、学生さわちゃんは上に振り上げた。

だめ! やめて!

唯「壊さないで! お願いさわちゃんっ」

さわ子「……」

無視だ。
もうあれを壊すって決心をきめた顔をしてる。
だめ。あれを壊したらあずにゃんが。
私は考えるよりもさきにさわちゃんを押さえつけにかかった。

さわ子「なにをするの!?」

唯「だめぇーっ!」

さわ子「っ……!」


860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:00:04.70 ID:xmu1na1Z0 [16/41]
さわ子「邪魔、しないでっ!」

学生さわちゃんは腕に絡みついていた私を強引に払いのけた。
バランスを崩した私はそのまま壁に叩きつけられる。
痛いっ、痛いよさわちゃん……。

さわ子「おじさん……ごめんねっ――」

唯「やめて……っ」

――ゴンッ。

壁に思いっきり叩きつけられたタイムマシン太はボディが傷つき、塗装がはげていた。
壁から離されると、パラパラと小さな破片が床に落ちる。

まだ、まだ完全に壊れてない……!
なんとかしなきゃ……なんとかしなきゃ……

唯「壊さな――」

――バキィッ。


865 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:03:10.98 ID:xmu1na1Z0 [17/41]
さわ子「はぁ、はぁ……お、折れた……!」

二撃目。もう一度同じようにして壁に叩きつけられていた。
今度はネックが折れ、ボディもズタズタ。

唯「やめ、て……」

さわ子「……次で」

ボディを持って窓辺に歩いていくさわちゃん。

まさか……。

窓を開けると、持っていたタイムマシン太を……外に向かって放り投げた。

唯「あ、あ……ああ…………」

しばらくして、外から大きな音が―――――――――――

・・・

・・・

・・・


867 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:06:02.99 ID:xmu1na1Z0 [18/41]
?年?月?日 ?

眠りから覚めると、知らない天井がまず最初に目がついた。
体を起こしてまわりを見渡せばこれまた知らない部屋。

どこなんだろう、ここは。

「あ、起きたんですね! 急に倒れて気を失っていたからビックリしちゃいましたよ」

眼鏡をかけた女の子だ。
髪は長くて艶々。きれいだと思う。

「さっきはごめんなさい。でもあれを壊さなきゃって思ったら必死になっちゃって……」

「窓から投げちゃったし……おかげで先生にも怒られちゃって。でも安心して! きちんと壊れましたよ。あのギター」

なんの話かな?
覚えがないよ。
あなたはだぁれ?

「え、なに言ってるんですか? 山中さわ子ですよ。さっきまでさわちゃんって私のこと呼んでたじゃない……」

さわちゃん?


869 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:09:06.53 ID:xmu1na1Z0 [19/41]
「ど、どうしちゃったんですか? 何か、様子が変……」

どうもこうも、よくわかんないんだよ。

「わからないって……なにが?」

何もかも。なーんにもわかんないんだぁ。
ねぇ、ここはどこ?

「ちょ、ちょっと……平沢さん?」

ヒラサワさん?
だれ?

「誰って、あなたの名前……」

私の名前?


870 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:12:02.37 ID:xmu1na1Z0 [20/41]
私はヒラサワ?

「自分でそう言ってたでしょ!? 本当にどうしちゃったんですか!」

「やっぱりさっき頭打ったときにでも……ほ、保健室に行きましょう!」

えー、やだよ。

「やだとかそういうのじゃなくて!」

どうしてここに私はいるの?
どうして私はこうしてさわちゃんと話してるの?
私は本当にヒラサワなの?
どうして? ねぇ、どうして?

「いいから保健室に――」

いや! 離して!

「ちょっ、どこへ行くの!? 待って!!」


874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:15:02.17 ID:xmu1na1Z0 [21/41]
?年?月?日 

あの場所から抜け出してからどれくらいの時間が経ったんだろう。
1日? 3日? それとも一週間かな。

とても長い時間に思えた。

……私はだれなんだろう。

私はあそこで何をしていたんだろう。
何にもわからない。
何にもわからないの。


879 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:18:10.89 ID:xmu1na1Z0 [22/41]
?年?月?日

あれから何年かの時間が過ぎていった。

未だに私は何も思い出すことができない。

だけど、そんな私を支えてくれる人が現れた。

彼は数年前、路頭に迷っていた私に声をかけてくれて、優しく接してくれた。
それから私は彼のアパートに住まわせてもらっている。
彼は私のことを気味が悪いとか頭がおかしいんだと嘲笑うことなく、私を命一杯愛してくれた。
私も彼の愛に応えようと精一杯頑張った。

私には今彼だけ。彼の存在だけが私の全て。


881 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:21:05.19 ID:xmu1na1Z0 [23/41]
?年?月?日

私は彼と結婚した。

親族がわかっていない私のことを察して、式は挙げずに戸籍上のみの結婚だ。
結婚をきっかけにアパートから一軒家を立て、住むことになった。
とてもいい家だと思う。

彼の趣味は外国旅行。
私も彼に着いていって、あちこちの国へ行った。
結婚した今でもよく旅行をする。
そのたびに新婚旅行の気分になって、私と彼はいつまでも愛しあえる気がした。


885 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:24:11.60 ID:xmu1na1Z0 [24/41]
?年?月?日

ついに彼との間に子どもを授かった。

私たちはそのことをとても喜んだ。
1人目は女の子。
とても可愛らしい女の子。
もしかしたら彼は男の子を欲しがっていたんじゃないかと私は心配した。
だけど娘に優しく接している笑顔の彼を見て、それは杞憂だったんだなと思った。

1年後、もう1人の子が生まれた。
また女の子。
最初に生まれた子とまるでそっくり。
彼は、どちらの子も君によく似てとても愛らしいと言ってくれた。

私も彼同様に、子どもたちを可愛がり、命一杯の愛情を注いで育てた。


890 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:27:03.14 ID:xmu1na1Z0 [25/41]
2010年5月26日 公園

今日はとても天気がよくて、ついつい子どもたちを連れて公園へ足を伸ばしてしまった。
彼は仕事で夜まで帰って来ることはない。

「今日はいい天気だね、お姉ちゃん」

「そだねぇ~。お昼寝日和だよー」

「もうお姉ちゃんったら」

ベンチに座って子どもたちとうたた寝をしていると、向こうから二人の女の子がやってきた。
二人ともよく似ている。まるで双子のよう。

「あいてっ」

あ、こけた。

「お姉ちゃんっ。だ、大丈夫!?」

「あいててて……大丈夫だよぉ」

「よかったぁ……」

なんて微笑ましい姉妹なんだろう。
私はその光景に自然と笑みを浮かべた。


892 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:30:04.10 ID:xmu1na1Z0 [26/41]
「あ、見てみて~。ほら、あの赤ちゃんたち可愛い~」

「ほんとだ……ふふっ」

姉妹は私の娘たちに気がついたのか、こっちに近寄り、私に挨拶をした。
挨拶を返すと間髪いれずに姉の女の子が、

「可愛い~可愛いよぉ~……」

うっとりと眺め、娘の1人と遊び始めた。

「ご、ごめんなさい。でも本当に可愛いですね」

ありがとう、と返すと。

「名前はなんていうの、お姉さん? この子たちの名前」

なまえ?

そっちが唯で、こっちが憂っていうの。

「すごーい! 私たちと同じ名前だね、憂!」



BADEND6


896 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:33:04.13 ID:xmu1na1Z0 [27/41]
>>837から

2010年5月11日 軽音部室

シュッ

唯「……」

律「唯ー! 無事だったな! よかったぁ……」

澪「みんなすごく心配してたんだからな?」

唯「そう、なんだ」

紬「お疲れ様、唯ちゃん」

梓「これで一安心ですね!」

さわ子「あっちの私にタイムマシンの破壊は頼んだのよね?」

唯「うん、バッチリ……」

律「あとは壊してくれるのを待つだけか!」

み梓「そうですね」

唯「……ねぇ、未来あずにゃん」


902 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:36:25.33 ID:xmu1na1Z0 [28/41]
み梓「はい」

唯「本当にこれでいいの!? 消えちゃうかもしれないんだよ!?」

「……」

み梓「……はい」

み梓「私の目的はそもそも先輩たち死なせないことです。その目的のために壊れちゃったタイムマシンでわざわざ時間を越えて来たんですから」

み梓「一種の賭けでしたよ。まぁ、無事につけなかったことなんて微塵にも考えてませんでしたけど」

梓「そんな……」

さわ子「どうして未来の私はそれを止めなかったの?」

み梓「内緒で来たんです。言えばどうせ止められると思ってましたし」

さわ子「……ばか」


905 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:39:03.72 ID:xmu1na1Z0 [29/41]
紬「そこまでして私たちのことを」

み梓「だって私、先輩たちのこと」

み梓「大好きですから」

梓「ちょ、ちょっとっ……///」

澪「梓……」

律「なんか、照れるな」

ギュッ

唯「あ、ずにゃあ……ん……」

み梓「はい」

唯「ごめん、ごめんね、ごめんねぇ……っ」

み梓「唯先輩はなにも悪くありませんよ」ナデナデ

唯「だっ、でぇっ……」


907 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:42:12.82 ID:xmu1na1Z0 [30/41]
み梓「それになにも悲しむことないじゃないですか。そこに私はいるんだから」

梓「あ……」

み梓「私も、そっちの私も、同じ中野梓ですよ」

唯「おん、なじ……だけどっ、ちがうんだよぅ……っ」

澪「……」

律「……」

紬「……」

さわ子「……そろそろかしらね」

唯「やああぁぁっ! やだよおおぉっ!」

梓「ワガママ言わないでください!!」

唯「!」


913 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:45:16.44 ID:xmu1na1Z0 [31/41]
梓「そんなに、そんなに言われちゃったら……つらくなっちゃうじゃないですか」

唯「あずにゃん……?」

み梓「ありがと、私」

梓「別にっ」

梓「……私ね、正直あなたに嫉妬してた。あなたが来てからみんな私を見てくれなくなっちゃったんだもん」

紬「あ、梓ちゃん。そんなことは」

梓「私が勝手にそう思い込んでいただけかもしれない。でも……」

み梓「ごめん……気づかなかった……」

梓「でも許す! 私の方こそごめんなさいっ」

み梓「そんな、謝らなくたって……」

梓「ううん、謝らせてっ」


916 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:48:36.07 ID:xmu1na1Z0 [32/41]
み梓「なんか、ごめんなさい。私のせいで皆さんに」

さわ子「いいのよ、気にしなくて。あなたは唯ちゃんたちを助けてくれたんだから」

み梓「大したことしてませんよ。伝えに来ただけみたいなものです」

律「でもタイムマシン壊すって考えはお前の発想なんだぞ」

律「なにもできないと思ってた私たちにお前は希望くれたんだ。ちゃんと助けられたよ」

み梓「……えへへ」

唯「……未来あずにゃん。私、待ってるからね。遊びに来てくれるの」

み梓「そう、ですね……約束しましたもんね」

唯「……指きりげんまんウソついたら針千本のーますっ、ゆ……ゆびきっ、たぁ」

唯「やく、そく…………だよぉっ……?」

み梓「……」

み梓「はい! ……約束です!」


917 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:51:28.64 ID:xmu1na1Z0 [33/41]
2000年4月28日 軽音部室

さわ子「平沢さん……どこに消えちゃったのかしら?」

さわ子「言われたとおり待ってて開けたらいないんだもん……まさか未来に帰った?」

さわ子「と、とりあえず壊すんだっけ」ガシッ

さわ子(うっ……いざとなったら……なんだか)

紀美「さわ子、そんなとこでなにしてんの?」

さわ子「ひっ、きゃあああっ!!?」シュッ…

ズガァァンッ!

紀美「いっ!? な、なにしてんの!?」

さわ子(こ、壊しちゃった……)

紀美「それおじさんからもらったギターでしょ!? な、なんつーことを……!」

さわ子「……こ」

紀美「え?」

さわ子「これが私のロックなんだよおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」ドカン、ドカンッ、バキィッ

紀美「ちょ、ちょっと!? さ、さわ子ぉっ!!」

921 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:55:06.11 ID:xmu1na1Z0 [34/41]
・・・

・・・

・・・

2010年5月25日

さわ子「ふふっ、ほんと久しぶりよね」

紀美「さわ子が先生になってからだいぶ会う機会減ったからねぇ」

紀美「どう? しっかり先生やれてんのかよっ、キャサリン」

さわ子「おうっ! じゃなくて、ええ。生徒たちのハートもがっしり掴んでるわ」

紀美「そりゃあおっかないね」クスッ

さわ子「えぇ~! なんでよっ、いい方で掴んでるのよ? 美人でおしとやかで優しい先生ってな感じで!」

紀美「ふふっ、そりゃあいつ本性がバレるか今から楽しみだね~」

さわ子「もうっ……!」


922 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:58:09.94 ID:xmu1na1Z0 [35/41]
2010年5月25日 軽音部室

梓「……」

梓「……んんっ」

梓「……」

梓「すぅーっ…………」

梓「……」ジャンジャンジャンジャカ、ジャン

梓「ふぅ……」

梓「……」

梓「はぁ……」

ガチャリ

梓「あ!」

925 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:01:02.41 ID:xmu1na1Z0 [36/41]
唯「あ~ずにゃん!」ギュッ

梓「ひっ」

唯「1人ぼっちで寂しかったかぁい~?」スリスリ

梓「いっ、いきなり抱きつかないでくださいよっ!」

唯「今さら何を言うかぁ、このこのぉっ」スリスリ

梓「うぇー……」グニグニ


928 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:04:52.58 ID:xmu1na1Z0 [37/41]
澪「お、梓が一番乗りだったのか」

紬「遅れちゃってごめんねぇ」

梓「い、いえ! そんな気にしないでください」

紬「すぐにお茶の用意しちゃうから」

梓「は、はぁ……」

唯「あずにゃんのほっぺプニプニぃ~」スリスリ

梓「あぅぅ……」

律「お前らまたやってんのかよー? あいかわらず仲良いですこと」

梓「ち、違いますっ」

唯「え!? 違うのぉ……?」

梓「あ、いや! えっと……」


929 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:09:43.65 ID:xmu1na1Z0 [38/41]
紬「はい。今日は紅茶とクッキー」

律「お、シンプルにきたぞ」

澪「美味しそう……は、でも」

律「なんだよ、またダイエット? だったら澪の分も私がもらっちゃおー」

澪「や、やめろ!」

紬「いっぱいあるから慌てなくていいわよぉ」

唯「あ、あずにゃん! 私たちも食べいこっ」

梓「え!? あ、はいっ」

唯「ティータイム~、ティータイム~♪」

梓「それもいいですけど。練習、そろそろ真面目に頑張りましょうね?」

唯「気が向いたらするよ~」

梓「……はぁ」

932 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:13:27.17 ID:xmu1na1Z0 [39/41]
唯「あ、そういえば聞いてよー」

澪「なんだ?」

唯「昨日いい夢みたんだぁ」

律「なんだよ、夢の話か……」

紬「どんな夢を見たの?」

唯「あずにゃんがうちに遊びに来たって夢」

律「おーおー、中野ぉ。好かれてんのぉ?」

梓「う、うるさいですっ!」

933 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:18:07.43 ID:xmu1na1Z0 [40/41]
唯「えへへぇ」

澪「……もしかしてそれだけ?」

唯「そうだよ?」

律「おっもしろくねー! どうでもいいっての」

紬「まぁまぁ」

梓「……それで、私はなんで唯先輩のところへ遊びに来たんですか?」

唯「えっとね」

唯「約束通り、ちゃんと遊びに来たって言ってた」

梓「約束? 約束してたんですか?」

唯「うん!」



おしまい

952 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 02:29:05.19 ID:xmu1na1Z0 [41/41]
ようやく終わったよー。お疲れ様でした!
見てくれた方、支援、保守してくれた方、安価につきあってくれた方、ありがとうね

実はおまけちょっと書いといたんだが
残りレス数の都合上書かないで立ち去ることにするぜ

よいお年を!

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