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天戯弥勒「グラナ、海の家を開くぞ」 グラナ「寝言は寝てから言え」後半

天戯弥勒「グラナ、海の家を開くぞ」 グラナ「寝言は寝てから言え」前半
の続き
407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 22:49:31.86 ID:NdYaZf4hP [57/70]
グラナ「……おい、テメェ」

不審者「? なんだ、今更命乞いか?」

グラナ「まさかとは思うがよ。テメェ、幽霊……だとか言うんじゃねーだろうな?」

カンテラ法師「ヒヒヒ、今頃気付くなんて鈍感な奴だ。だが俺はただの幽霊ではない。俺の名はカンテラ法師。……陰魄さ」

グラナ「……!! なんてこった……! まさか実在してたってのかよ……!!」


グラナ《弥勒! 少しばかりまずいことになった!》

弥勒「どうした?」

グラナ《侵入してきた奴ってのは人間でもサイキッカーでもねえ》

弥勒「なに……!? どういうことだ!? グラナ!!」

グラナ《居たんだよ!! 本物の幽霊ってヤツが!!》

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 22:55:54.92 ID:NdYaZf4hP [58/70]
カンテラ法師「俺の名が聞けて満足だろう?」スッ

グラナ(カンテラを翳して……? 何を――)

カンテラ法師「爆ぜる……爆ぜる……花火のように……」ポウッ……ポウッ……

グラナ(! さっきのはこれか――)バッ

ボムッ!! ボムッ!!

フレデリカ「きゃっ!!」

カンテラ法師「全部直撃……ッ!! クク、人間め、やはり思ったよりも脆い――」

グラナ「……なるほどな。俺は幽霊だの魂だのオカルトの類なんて信じちゃいなかったが……テメェを見てその認識を改めざるを得ないみてえだ」

カンテラ法師「!? 無傷だと!? 今のは直撃だったはずだ!!」

グラナ「あァ? 俺はこの何万倍も強力な凍結能力を持ったサイキッカーを知ってるぜ? そいつの氷に比べりゃ……テメェの火なんざ屁でもねーよ」

414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 22:59:25.03 ID:NdYaZf4hP [59/70]
カンテラ法師「ぐ……!! ぐぐ……!! 人間ごときが!! ナメやがって!!」ボッ!!

グラナ「……」スッ

パァン!!

カンテラ法師「!? 俺の炎をかき消したのか!?」

グラナ「言っただろう。こんなチンケな炎じゃ当たろうが当たるまいが俺は殺せねえ」

カンテラ法師「除霊師でも案内屋でもないこんなヤツに……この俺がここまでコケにされるなど……ぬぐぐぐぐ!!」ギリリッ!!

グラナ(攻撃力もスピードもまったく大したことはねえ。だが、こっちから触れないんじゃあ倒しようが――)

ヌウッ……

フレデリカ「!! グラナ!! 上!!」

グラナ「! 上!?」

ゴッ!!

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:03:03.79 ID:NdYaZf4hP [60/70]
ドガシャン!!

グラナ「かッ! クソが!! もう一匹、別のが居やがったのか!! 油断したぜ……!!」パラパラ……

カンテラ法師「テメェは……流仙蟲か!」

流仙蟲「はははははは!! みんなまとめて食ってやる! この俺様がなあああ!!」

カンテラ法師「俺の邪魔してんじゃねーぞ! このクソ蟲野郎!!」

流仙蟲「うるさいッ!! こういうのは早いもの勝ちなんだよボケがッ!!」

フレデリカ「グラナー!!」

グラナ「お前ら……! ぼやぼやしてないで走れ!! そっちから逃げろ!! 挟まれるぞ!!」

フレデリカ「! マリー! ヴァン! こっちよ!! 早く!!」ダッダッダッ

カンテラ法師「このガキッ!! 逃がすか!!」ボウッ

グラナ「てめぇッ!」ダッ

パァン!!

カンテラ法師「!」

グラナ「同じこと何度も言わせんな。……テメーのトロ火じゃ俺の命は燃やせねえ」

417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:08:16.01 ID:NdYaZf4hP [61/70]
カンテラ法師「クヒヒ、なるほどな。確かにお前を殺すのは骨が折れそうだ。だがな――」ニヤリ

流仙蟲「俺達に触れないのにどうやってガキを守るのか?」ヒュンッ

グラナ「!?」

スウッ

グラナ(!! しまった……!! 俺をすり抜けて子供らのとこへ――!?)

ダッ

グラナ「ヴィーゴ!! 通路を作り変えて子供たちを退避させろ!! シャイナに連絡してテレポートでもいい! 早く!!」

シーン

グラナ「……!? チィ……!!」

419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:14:10.19 ID:NdYaZf4hP [62/70]
ガッ

フレデリカ「キャッ!?」

マリー「フーちゃん!?」

グラナ「! フレデリカ!!」

フレデリカ「う……!」ドクン

流仙蟲「いただきまぁす」メキメキメキ……

マリー「きゃああああ!!」

グラナ(ここからで間にあうかどうか――!!)バッ

ボンッ!!

グラナ「つ……ッ!?」

カンテラ法師「ケケケ……。お前はそこでガキどもが食われるとこを見てるんだな」ニタリ

グラナ「どけよッ!! てめええええ!!!」

421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:18:50.90 ID:NdYaZf4hP [63/70]
流仙蟲「ああ……その顔だ」ニタァ

フレデリカ「あ……あああ……ッ!! いやあああああああああ!!!」

グラナ「フレデリカーーーー!!」

ヒュッ!!

流仙蟲「! な――!?」

ボムッ!!

流仙蟲「グゲェッ!?」

グラナ「!?」

???「おーい、大丈夫か?」ザッ

フレデリカ「う……え……?」

???「ははは、びっくりして腰が抜けたか。待ってな、すぐにこいつらやっつけてやるからなぁ」

422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:21:37.42 ID:NdYaZf4hP [64/70]
流仙蟲「なッ、何者だ!? 私に触れるなん――」メリッ……

ガゴッ!! ドガッシャアン!!

流仙蟲「ふぐへぇっ!?」ズザザザザ……

???「とっととその子たちから離れろイルカ野郎。
    ……こいつらをやっつけるにはな、ちょっとしたコツがあるんだよ、白髪の兄ちゃん」

グラナ「お前は……一体……?」

ヴィーゴ「ま、間にあったか。よかったな」

グラナ「ヴィーゴ! 誰なんだアイツは!?」

ヴィーゴ「俺のヒーロー、明神だ」

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:30:48.94 ID:NdYaZf4hP [65/70]
明神「俺がヒーローね。ハハ、それも悪くないかな?」

グラナ「……! お前ら!! 生きてるか!?」ダッ

フレデリカ「う……うん。でも腰……抜けちゃった……」ヘナヘナ

グラナ「大丈夫だ。俺につかまってろ。マリー! ヴァン! お前らも俺に掴まれ!!」ガシッ

流仙蟲「ゲ……ゲフッ……! な、なんで……何で触れるんだ!?」

明神「簡単な話さ。お前らは陰魄で俺は案内屋だから。それだけだ」

カンテラ法師「!! あ、案内屋ッ!?」ビクッ

グラナ「案内屋だと……? ヴィーゴ、あの明神ってヤツは……!?」

ヴィーゴ「ヤツは陰魄退治のプロ。案内屋の……空の明神だ」

434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:35:59.97 ID:NdYaZf4hP [66/70]
明神「さーてと。んじゃ、このままちゃっちゃと終わらせちゃいますか」コキコキ

パラッ……

流仙蟲「! 黄布!! こいつ、ホンモノの!!」ヒュウンッ

ガッ!!

明神「まずはお前からだ。魚みてえな図体しやがって……スパーッっと綺麗に二枚におろしてやるよ」

流仙蟲「ま、待て――!」

明神「……剄楓」バシュッ

ズバババババババ!!

グラナ(! あの化物をあっさりと真っ二つに……!)

流仙蟲「グエエエエアアアア!!」シュワシュワシュワ……

フワァッ……

明神「あれ? 魚じゃなくイルカだったか? ま、どっちでもいいか」

436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:41:05.44 ID:NdYaZf4hP [67/70]
カンテラ法師「そ、想定外だッ!! 案内屋が来るなんて……ッ!! 覚えてろ!! この恨みは必ず晴らしてや――」ダッ

明神「飛(フェイ)」ギュオッ!!

カンテラ法師「!」

明神「俺は復讐されたくねーし……ここで終わりにしようや」ニッ

カンテラ法師「クソオッ!!」ブンッ

パシッ!

明神「とっておき……見せてやるよ。……陽魂は天帰。陰魄は地帰。陽魂は天帰。陰魄は地帰。天に属さぬ者よ大地へ帰れ」

カンテラ法師「ぐッ! 放せ!! 放せよこの――ッ!?」ガシッ

明神「ちょっと痛えぞ。我慢しな」スッ

ボコッ……

カンテラ法師「!?」

明神「頸櫻」

438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:46:19.24 ID:NdYaZf4hP [68/70]
ボコボコボコ……

カンテラ法師「グ……ギャアアアア!!!」

ボボボ……

グラナ「ヤツの体が……膨らんでいく……!」

ヴィーゴ「成仏できないならば……一つの形として地上に留まれぬ程まで分解し案内する。それがヤツら……案内屋だ」

カンテラ法師「ぐッ……!! ケケケ……! テメェ……!! 恨みの晴らし方……知ってる……かぁ!? 教えてや……クヒ、クヒヒヒヒ……!!」プシュー……

明神「梵(BOMB)!」

ボンッ フワァッ……

ヴィーゴ「う、美しい……!! まさに完成された芸術だ……!!」キラキラ

444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:54:55.54 ID:NdYaZf4hP [69/70]
明神「ふぃー。……さてと」

グラナ「……何モンだ? アンタ」

明神「む、助けてやったのに挨拶の一つも無し? それはちょっと酷いんじゃないの?」ムスッ

グラナ「あ……。そうだったな。アンタのおかげで助かった。礼を言うぜ」

明神「うん、けっこうけっこう。素直なことはいいことだぞ、天修羅のグラナくん」

グラナ「? 何で俺の名を?」

明神「そっちのヴィーゴって人が色々と教えてくれてな」

グラナ「……お前なぁ」

ヴィーゴ「こ、こまかいことは気にするな。減るもんじゃないだろう?」

445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/30(木) 23:59:06.40 ID:NdYaZf4hP [70/70]
グラナ「お前とこの明神とやらとは知り合いなのか?」

ヴィーゴ「もちろんだ。今日、俺がみえるひとって漫画の話をしたよな?」

グラナ「ああ」

ヴィーゴ「それだ。そのままなんだ」

グラナ「……ハァ?」

ヴィーゴ「り、理解しようとしないほうがいい。ただ感じればいい。これは感性の問題だ……。そしてやはり……魂は不滅……!!」キラキラ

グラナ(……何かムカつく)

447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 00:08:15.51 ID:M+2D9ILDP [1/58]
明神「お取り込み中悪いんだけどさぁ……いい年した大人が子供連れで心霊スポットなんかに来ちゃあダメだよ?
   あんたらは興味本位なんだろうけど、霊の中には生者の命と魂を狙う凶悪なのもいるんだからな」

グラナ「いや、これにはワケがあるんだがな……。あいつらは何者なんだ?」

明神「ん? ああ、だからさっきのが生者の命と魂を狙う凶悪な連中ってワケだ。あいつらは陰魄って呼ばれてる悪い幽霊。
   あまり仲良くはなれないタイプって言えば分かりやすいか? ……で、俺はそいつらをやっつける掃除屋みたいなもんさ」

グラナ「何か釈然としないが……」

ヴィーゴ「か、考えるな。感じろ」

448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 00:14:13.97 ID:M+2D9ILDP [2/58]
明神「あと気になってたんだけど……。そっちのオレンジ色の髪の……ヴィーゴさん? だっけ? アンタ、何で俺の事を知って――」

ガッシャアアアン!!

グラナ「! 何の音だ!?」

明神「外……だな。また別なのが来たかも知れん。ったく」

ダッ

グラナ「あ! おい!! 待て!!」

ヴィーゴ「明神……!!」

449 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 00:18:56.14 ID:M+2D9ILDP [3/58]
ダッダッダッ

ウラヌス「01号! ここに居たか」ダッダッ

グラナ「! 遅すぎんだよお前ら。もう全部片付いちまったぜ」

カイル「マリー! ヴァン!!」

マリー「カイル君!」

シャオ「無事でよかった……」ホッ

遊坂「いつまで経ってもヴィーゴとテレパスが繋がらないってボスが怒ってたぜ?」

ヴィーゴ「そ、そんな下らないことなど知らん。俺には今、もっと大事な用がある。お前らは先に帰ってろ……」トプン

グラナ「おい待てヴィーゴ!! どこ行くんだ!? おい!!」

ヴィーゴ「こんなチャンス……もう二度と無いかも知れないからな……!! 待ってろ明神」ズズズズ……

グラナ「あのヤロー……。ヴィーゴは俺が連れ戻すから、お前らは子供らを連れて戻っててくれ。
    何かさっきから変なテンションなんだよ、アイツ」

450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 00:25:41.98 ID:M+2D9ILDP [4/58]
―廃墟屋外―

ザワザワ……

明神「うっはー。何だ何だこの数はぁ……」

陰魂A「この建物からカンテラの光が見えてなあ。クヒヒヒ」

明神「なるほど。で、大勢で遊びに来てくれたってワケね」

陰魄B「見ろ。案内屋、いるぞ。魂、くいてえ」

明神「あのカンテラ野郎が最後ッ屁で仲間を呼びやがったのかぁ……。ったく、友達が多すぎるのも考えものだなぁ」ポリポリ

陰魄C「ケケケ……。ここから生きては返さねーぜえ?」

明神(人間願望レベルの陰魄はいないが……この数か。中にはまだ陰魄に触れない連中が居る。俺だけでカバーしきれるかどうか――)

ザパァ

ヴィーゴ「みょ、明神。助けに来たよ……」

明神「! アンタは……」

454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 00:34:16.89 ID:M+2D9ILDP [5/58]
ダッ

グラナ「やっぱりここに居たか。おいヴィーゴ、さっさと戻らないと弥勒に――」

ザワザワ……

グラナ「……おいおい、あの化物の仲間がまだこんなにいたのかよ。どうなってんだここは?」

明神「なあ、アンタら。腕っ節には自信あるんだろ? コイツらを倒すの手伝ってくれねえか? 俺一人じゃちっとキツいんだわ」

ヴィーゴ「任せろ!! だが俺達は陰魄を触れない。だから黄布を渡せ!」

明神「……何でコレの事を知ってんの?」スッ

ヴィーゴ「い、いいから早くしろ」ウズウズ

明神「分かった分かった」ポイッ

ヴィーゴ「お、おおお! おおおおお……!! これが……!! これが本物の黄布!! 何度憧れ、何度夢見たことか……!!」ジーン

明神「その反応だと使い方も知ってるみたいだな、こいつら見えてるってことは素質もあるみたいだし……サポート頼むぜ」パシッ

グラナ(何だこの俺だけ浮いてます感は……)

456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 00:39:44.86 ID:M+2D9ILDP [6/58]
ビー……ビリッ

ヴィーゴ「グラナ、お前もこれを腕に巻け」ポイッ

グラナ「あァ? こんな黄色いガムテープを巻いてどうしろってんだ?」

ヴィーゴ「それを巻けばお前もアイツらを殴れるようになる。だから巻け」

グラナ「! ほう……!!」

ビー……ビリッ

陰魄A「たましいいいいいいいいい!!」

明神「来たぞ!!」

457 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 00:47:09.19 ID:M+2D9ILDP [7/58]
陰魄A「まずはお前から味見してや――ふべェッ!?」ゴシャッ ジュワワワ……

グラナ「ほー、こりゃ確かに優れモンだな。でもよ……どうやって作ってんだこれ?」グッ

明神「おおお! ただのパンチ1発だけでやっつけんのかよ! 白髪だからまさかとは思ってたが……予想以上だ!!」

陰魄C「ケケケ!」

ズズズズ……ガシッ

陰魄C「うおッ!?」

ヴィーゴ「い……今からお前を俺の芸術のキャンバスにしてやる。光栄に思え……」スッ

明神「ん!?」ピクッ

ヴィーゴ「……陽魂は天帰。陰魄は地帰。陽魂は天帰。陰魄は地帰。天に属さぬ者よ大地へ帰れ」

明神「嘘だろ!? アンタ! まさか頸櫻まで使えんのかッ!?」ゴクリ

ヴィーゴ「見るがいい。これが俺のPSI……潜航師・傀儡と案内屋の頸を融合させ昇華した……頸櫻だ!!」ゴッ

459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 00:49:00.13 ID:M+2D9ILDP [8/58]
ヴィーゴ「……梵(BOMB)!」キリッ

シーン……

明神「……あれ?」

ヴィーゴ「こ……これは流石に無理だったか……」ガクッ

陰魄C「何だサル真似か! 案内屋もどきが! ビビらせやが――」

ヴィーゴ「も、もういい。絶望した……。お前はもう要らないから死ね。このまま手で千切ってやる」キュ

ボギャア!! ビチャビチャ……

陰魄C「ウギャアアアア!?」ボシュッ

461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 00:56:44.53 ID:M+2D9ILDP [9/58]
―数分後―


陰魄「馬鹿な……ッ!! 案内屋でも……除霊師でもない人間ごとき……にッ!」

ベキベキベキッ……ブチッ

陰魄「ギャアアアアッ!!!」フオッ

ヴィーゴ「梵(BOMB)!!」

フワァ……

ヴィーゴ「き……決め台詞だけならできるな」

明神「……」

グラナ「終わったぜ。……そんな顔してどうした?」

明神「……あんたらスゲえな。俺の出番はほとんど無しか」ガックリ

462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:01:31.49 ID:M+2D9ILDP [10/58]
グラナ「まあ、数だけだったしな。触ることができるならあれくらい大したことはなかったぜ」

明神「いや、確かにそうだけどさぁ。いくらなんでもあの量ならフツーは時間かかると思うよ?
   しかも戦ってる最中に空飛んでたし、素手で陰魄を引きちぎったり……ありゃあ何だ?」

グラナ「あれか? PSIだよ」

明神「サイ? あの超能力とかああいう系? うさんくさー……」

グラナ「目の前で見てたんだろ? 霊能力者がいるんだから超能力者が居てもおかしくないじゃねえか。違うか?」

明神「! ハハハ、そりゃ違いねえや」ポリポリ

464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:07:42.10 ID:M+2D9ILDP [11/58]
ヴィーゴ「そ、それよりも俺に黄布を一つ俺にくれ! お前のサインを書いてだ!!」

明神「そりゃ無理。一応これ商売道具だし、俺、サインなんて書けないもん」クルクル

ヴィーゴ「梵痕(サン=スティグマ)があれば頸は操作できるし黄布なんか要らないじゃないか……! 頼む……!!」

明神「梵痕まで知ってるなんて……。アンタ、本当に何者だよ? もしかしてちょっと修行すればすぐにでも案内屋始められるんじゃないか?」

ヴィーゴ「お、俺が案内屋か……! それもいいかもな……!!」キラキラ

グラナ「何かよく分からんがあまりヴィーゴを煽動しないでくれ。これでもウチの組織の幹部なんだ」

466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:12:55.58 ID:M+2D9ILDP [12/58]
―廃墟内―

グラナ「……なるほどな。霊とか案内屋とか……だいたい分かったぜ」

明神「関係ねーけどアパートの管理人もやってるんだぜ、俺」ビシッ

ヴィーゴ「うたかた荘だな!? 俺も一緒に写真を撮りたかった……!!」ワナワナ

明神「ハッハッハ!! そこまで知られてるともう笑いしか出ねーわ。ヴィーゴさんよぉ、アンタもしかして俺のストーカー?」

ヴィーゴ「くくく……。俺が知らないのはお前の本当の苗字くらいだ」ニヤリ

明神「おっと、それは誰にも言わないって決めてるんだ。悪いな」

ヴィーゴ「い、いいんだ。謎はある程度残ってるほうが作品としては優秀だからな……」

明神「へえ……! アンタ、なかなか深いこと言うねえ」

グラナ(また俺だけ蚊帳の外な予感が)ズーン

468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:17:24.90 ID:M+2D9ILDP [13/58]
グラナ「さて……そろそろお別れだな。俺達の仲間に瞬間移動できるヤツがいるんだが
    アンタも帰るっていうなら送らせるぜ? 今なら瞬間移動の超能力を体験させてやれるぞ」

明神「んー。せっかくだが、俺はまだやることが――」

バタンッ!!

グラナ「ん? 何だ?」

???「あーッ! もう終わってんのかよ!!」

明神「……あらら」

グラナ「……知り合いか?」

明神「俺のツレ」

470 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:19:25.64 ID:M+2D9ILDP [14/58]
???「ズリーぞおっさん! 今日は俺も退治に参加させてくれるっていったじゃねえか!」

明神「まーまー。そうカッカすんなよ、次はちゃんと連れてってやるからさ」

???「いっつもそう言って俺だけ置いてけぼりにしやが――……ん? 誰だこいつら?」

明神「サイキッカーの皆さん方だ。霊退治が本職じゃないらしいんだが、ぶっちゃけお前より筋がいいかもな。はははは」

ヴィーゴ「と、冬悟まで来てたのか……!! 信じられん……!!」ワクワク

冬悟「あァ……!? おいテメー、何で俺の名前を知ってやがる!?」ギロッ

明神「他人様にいきなりガンをつけるな、馬鹿者」

ポカッ

冬悟「いでッ! 元はと言えば俺を置き去りにして抜け駆けしたのが――」

明神「あー、はいはい」


ヴィーゴ「まさか2人と出会える日が来るとはな! 黄布も巻けた……!! 今日は俺の人生の中で最高の日、奇跡の一日だ……!」ジーン

グラナ「よし、じゃあ思い出が綺麗なままのうちにさっさと帰とうぜ。弥勒が俺達を呼んでるって言ってたろ?」

???「そうですよ貴方たち。いつまで油を売ってるんですか?」

471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:24:31.94 ID:M+2D9ILDP [15/58]
グラナ「! ミスラ……」

ミスラ「事の仔細は把握しているよ。ボクはその案内屋の方たちに礼をしに来たんだ」

明神「ん? ああ、これはどうも。これくらい礼には及ばな――」クルッ

ザワッ

明神(――――!?)ゾクッ

冬悟「……? 明神? どうしたんだ?」

明神(この気配――! こいつは――何だ!?)

ジリッ……

ミスラ「……。そう警戒してほしくないな。ボクは何もしませんよ」

明神「! ……そりゃどーも」ツツ……

冬悟(汗? 明神が――……?)

473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:30:29.43 ID:M+2D9ILDP [16/58]
ミスラ「グラナ、ヴィーゴ。先に戻っててくれ。僕は少しこの方たちとお話をしたい」

グラナ「さっきは俺達に油売ってるとか言ってたくせに」

ミスラ「お礼を述べるだけだよ。そんなに時間はかからない」

グラナ「……ま、いいか。帰ろうぜヴィーゴ」

ヴィーゴ「ま、またね……明神、それに冬悟……」フリフリ

ザッザッザッ……

474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:36:13.84 ID:M+2D9ILDP [17/58]
ミスラ「では改めて礼を――――」

冬悟「何で俺の事を知ってんだアイツ? もしかして俺の事を話したのか?」

明神「話してねーよ。話してねーんだけど俺の事とか案内屋のこととか色々知ってたぞ。さっきなんて黄布にサイン書いて丸ごとくれって言ってたし」

冬悟「? おっさんが忘れてるだけで前に知り合ったとかなんじゃねーのか?」

明神「かも知れないなぁ。まあとにかく凄かったんだぞ。地面から腕生やして陰魄を引きちぎったりさあ」

冬悟「ハァ!? 腕生やして陰魄を引きちぎるだって!? 何だそりゃ!?」

明神「いやー、この世界には頸とはまた違った能力があっただなんて俺も知らなかったわ。
   おかげで今日は面白いものが見れたぜ? 改めて自分の勉強不足と認識の狭さってヤツを実感したな、うん」

冬悟「けっ! 誰かさんが置き去りにするから俺はその面白いものを見損ねたけどな!!」

明神「はっはっは。むつけんなって。きっとそのうちまた会えるだろうから」

ミスラ「……コホン」

明神「あー、悪い悪い。脱線しちまったな。続けてくれ」

476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:41:54.15 ID:M+2D9ILDP [18/58]
ミスラ「お礼といっては何ですが、アナタたちに良い話をお聞かせしましょう。きっと有益な話になる」

明神「? イイ話?」

ミスラ「ええ。まずは黒髪の方」

明神「はい?」

ミスラ「左利きの裏切り者を倒し、無縁断世を取り戻しただけでは全ての禍根は断てない。それと……アナタを慕っている水の女性を信じてあげるといい」

明神「!? な……ッ!?」

478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 01:48:16.52 ID:M+2D9ILDP [19/58]
ミスラ「そちらの白髪の方。……これは黒髪の方にも言えることだけど」

冬悟「……んだよ。さっきから何か偉そうにしてやがんな、テメェ」

ミスラ「黒い長髪、大きな輪をつけた霊には注意したほうがいい。さもなければ……貴方の判断ミスで大事な人を失うことになってしまう」

冬悟「! ああァ!? 俺がミスだァ!?」バッ

ミスラ「その者の名は……ハセ。ハセと名乗る者が現れたら頸の力を込めて全力で殴るといい」

冬悟「テメェ……!! 名前も顔も知らねえようなヤツをいきなり殴れとか……ナメてんのか!?」

明神「止せ、冬悟」ガッ

ミスラ「貴方には秘められた大きな力があるようだ。……いい身体を持ってる。いや、魂かな?
    しかし自身はそれに気付いてはいない。もっとも、そちらの黒髪の方は既に理解しているようですが――」チラッ

明神(――――!!)

冬悟「この……!! 俺を馬鹿にしてんのか!? 何が言いてえ!? はっきり言えよッ!!」

480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 02:04:54.44 ID:M+2D9ILDP [20/58]
ミスラ「信じるも信じないもあなた方の自由。しかしこれだけは言っておきましょう。ボクのかがり火に確証など不要」

冬悟「コイツ……ッ! さっきから調子に乗りやがって! ワケの分かんねえことをゴチャゴチャと……ッ!
   歯ぁ食いしばれ! 俺が殴らねえなんて思ったら大きな間違いだって教えてやる!!」グッ

ガシッ

冬悟「! おい! 放せよ! 明じ――……!?」

ググググ……

冬悟(う、動けねえ……!! なんつー力だ……!)

明神「いやー。ウチの馬鹿がとんだ失礼をしちまってすまねーな。その言葉はありがたく頂いておくよ。
   お嬢さん……で、いいのかな。それとも……『性別なんて訊くだけ無駄』かな?」

冬悟(明……神……?)

ミスラ「どちらでも構わないさ。……もう少しゆっくり話がしたかったけどね。残念だがボクは貴方にあまり好かれてはいないようだ」

明神「……」

ミスラ「最後に一つだけ。“彼”を育てるなら早いのに越したことはない。
    あなた方に残された時間もそう長くは無いのでは? ……では。そろそろボクも失礼するよ」スッ

483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 02:16:08.91 ID:M+2D9ILDP [21/58]
――――
――

冬悟「ケッ! 生意気なクソガキだったな! あんなんじゃ将来ロクに――……あれ? 明神?」

明神「冬悟。帰ったら特訓な」キュッ

冬悟「特訓? て、今からかよ!?」

明神「だって俺、まだ死にたくねーもん。あ。あとハセって名乗るヤツと出くわしたら問答無用でブン殴れ。剄蘭かましてもいいぞ。
   ちっと早えが飛(フェイ)と剄絡と剄穴の勉強もさせておくべきかな……」バサッ

冬悟「!? もしかしてさっきのガキの言う事を信じてんのか!?」

明神「お前にとっちゃ見ず知らずの人間や霊を殴るなんて日常茶飯事だろ? どっちだって一緒だよ。だったら遠慮なくやっちまえ」

冬悟「マ、マジで言ってんのかよ……!」

明神(ヤツの話が本当なら……黒幕は壊神……ヤツだけじゃなく他にも居るってのか。
   水……は水の梵術を扱う湟神のこと……つまり澪の事だな。そして――)チラッ

冬悟「冗談だろ!? アンタらしくねーぞ!?」

明神(冬悟――。やはり俺の選択は間違っちゃいなかったな)

485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 02:21:55.02 ID:M+2D9ILDP [22/58]
明神「ま、冗談だと笑ってもいられねえレベルだったんでな。……お前も死にたくないだろ?」

冬悟「え……? 明神……?」ザワッ

明神「と言う事で!! こっから家まで競走な!! 負けたほうは朝メシ当番一週間!」ダッ

冬悟「ああッ!?」

明神「隙をつかれるなんてまだまだ修行が足らねーな! そんなんじゃ陰魄に食われちまうぞ! ぬはははははー!!」ダッダッダッ

冬悟「ふっ、不意打ちなんて汚ねえぞ!! おいッ!!」ダッ

明神「正々堂々と戦ってくれる陰魄だけじゃねーってこと! よく覚えておくんだな!! ハッハッハッ!!」ダッダッダッ

冬悟「待てコラぁ!! またカロリーメイトと白米と味噌汁の朝定にすんぞ!!」ダッダッダッ

明神(案内屋“おれ”たちとは違う力を持った超能力者“にんげん”たち……か)

531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 19:40:55.65 ID:M+2D9ILDP [25/58]
グラナ「弥勒ー。戻ったぞー」

弥勒「ご苦労。ヴィーゴ、足止め中でも俺からの連絡に応えられるようにしておけと言ったはずだ」

ヴィーゴ「……ああ。……ああ」

弥勒「ヴィーゴ……?」

グラナ「色々とあって何か感極まってるって感じでな。しばらくそっとしておいてやってくれ」

カイル「……」ムスー

グラナ「ん? どうした? お前ら、どこか具合でも悪いのか?」

フレデリカ「……だってアタシ達ってもともと敵同士じゃない。アンタらが天戯弥勒の仲間だったなんて聞いてたら……」

弥勒「まあそう言うな。今の俺たちにお前たちと対立する意思は無い」

534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 19:46:27.61 ID:M+2D9ILDP [26/58]
シャオ「この人たちが助けてくれなかったら、僕たちは今頃インハクとかいう化物に食われてたかもしれない。
    戦う気は無いって言ってるんだし、今はいいんじゃないか?」

フレデリカ「それはそうだけど」

マリー「だいたいの説明は聞きました。あの、助けてくれてありがとうございました……」

カイル「俺はあの時の事を許したワケじゃねーからな、アマギミロク!!」ギロッ

弥勒「……あの別荘の事を水に流してくれとは言わんが、今は番外編みたいなものだ。組織の枠に囚われずにやろうじゃないか」

カイル「けっ! 何が番外編だよ、都合の良い言葉でごまかしやがって!」

536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 19:52:47.94 ID:M+2D9ILDP [27/58]
スッ

ミスラ「戻ったよ。彼らには丁重に礼をしてきた」

弥勒「ご苦労。ではシャイナ」

シャイナ「わかりました。元の場所に送りますんでみなさん並んでください」

一同「はーい」

シャイナ「では……。六方転晶系(ヘキサゴナル・トランスファー・システム)」

キュウン

――――
――

カイル「ぷっはー! あー、戻ってきたんだなぁ俺達……」

537 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 19:57:54.06 ID:M+2D9ILDP [28/58]
グラナ「そういやお前らはもう帰るのか?」

フレデリカ「ううん、まだよ。花火を見に来たのが本来の目的だもの。そろそろ始まる時間に――」

ヒュー……ドン ドンドドン!!

フレデリカ「!」

カイル「あーッ! 始まっちまったァ! 早く行こうぜみんな!!」

シャオ「色々ともう手遅れだと思うけどな」

グラナ「弥勒。ちょっといいか?」

弥勒「? 何だ?」

538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 20:07:50.88 ID:M+2D9ILDP [29/58]
ワイワイ キャー

カイル「ゲッ! すっげえ人多いし!! 何だよこれー!?」

シャオ「だから言ったんだ。始まる直前に場所とっておかないといいポイントはとられるって」

カイル「あーあ。元はと言えばフーが勝手にオバケ屋敷なんかに入ったせいだよなぁ。大人しく場所とって待ってればよかったのによ」ボソッ

フレデリカ「……ハァ!? 何よそれ!? 全部アタシが悪いって言いたいの!?」

カイル「だってそうだろ? フーが無理矢理みんなを引っ張っていかなきゃ――」

フレデリカ「カイルだって乗り気だったでしょ!」

539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 20:16:29.90 ID:M+2D9ILDP [30/58]
カイル「俺のせいじゃない!」

フレデリカ「アタシのせいじゃない!」

ザッ

グラナ「お前ら何ケンカしてんだよ?」

カイル「グラナ!」

フレデリカ「……何しに来たのよ? アンタ」

グラナ「俺達もついでに花火見ようぜって話になってな。で、何でケンカしてたんだ?」

シャオ「お化け屋敷に入らずに最初から場所をとっておけばと……つまらないケンカですよ」

グラナ「ああ、道草したせいで絶好のポイントはもうとられてたってワケか」

540 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 20:21:12.24 ID:M+2D9ILDP [31/58]
グラナ「そんなんだったら周りの人間よりも高くて近いとこから見ればいいだけだろ?」

シャオ「簡単に言いますけど一体どうや――」

グラナ「こうすんだよ」パチン

ゴゴゴ……フワッ

シャオ「うわッ!?」

カイル「お! おお!! すげえ!! こっからならよく見えるじゃん!!」

ピタッ

グラナ「高さはそんくらいでいいかー? どうだ? 俺の用意した特等席からの眺めはよ」

カイル「すっげえよグラナ! 最高の眺め!!」

グラナ「そうか。そりゃなによりだ」

カイル(あ、でもこれだったら俺のマテリアル・ハイでもできたかなぁ)

543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 20:27:44.92 ID:M+2D9ILDP [32/58]
マリー「地面ごと浮かせて固定するなんて……すごいレベルのテレキネシス……」

ヴァン「うー」

ザワザワ…

見物客A「おい、何だアレ……」

見物客B「う、浮いてるぞ!?」

シャオ「……ちょっと目立ちすぎな気もするけど」

グラナ「周りの人間を傷つけたり無理矢理どかせるわけにはいかねえだろ。弥勒ー、特等席ができたぜ」

544 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 20:33:24.62 ID:M+2D9ILDP [33/58]
ドン! ドン! ドドン!

フレデリカ「たまやー」

マリー「かぎやー」

弥勒「俺達が経営する海の家が明日オープンするんだが、よかったらキミたちも来てくれ」ピラッ

マリー「あ、はい。ありがとうございます。……海の家“わいず”ですか」

カイル「そんなの受け取るなよマリー。俺達はW.I.S.Eの協力なんか絶対にしてやらな――」

弥勒「そのチラシを持ってきてくれればどれでも一品無料サービスだ。サイキッカーだけ特別にね。キミたちには人数分渡しておくよ」

カイル「よし、明日は絶対海の家“わいず”に行こうぜみんな!!」

546 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 20:45:17.50 ID:M+2D9ILDP [34/58]
ペチッ

射的屋「あー、残念!」

ドルキ「おいコラ親父、今のは当たっただろうが」

射的屋「えー? 当たっても倒れなきゃダメだよお兄さん」

後輩「ずりーぞ! どうせガムテープで粘してたりするんだろ! 当たっても全然動いてねえじゃねえか!」

射的屋「やだなぁ、イチャモンは止めてよ? 『倒れたら』って看板にも書いてあるじゃん」ニヤニヤ

ドルキ「こんな裏側の隅に小さく書きやがって……!」ガッ

射的屋「おっと。暴力で何とかしようってんならこっちも考えがあるよ?」パンパン

ズラッ……

ゴロツキA「……」クチャクチャ

ゴロツキB「へっへっへ」スパー

射的屋「兄ちゃん。濁業會ってヤクザ組織を知ってるかい?」

548 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 20:50:30.63 ID:M+2D9ILDP [35/58]
射的屋「俺たちはそのしのぎでなぁ……大人しく帰ったほうが身のためだぜ?」

ドルキ(! こいつら濁業會の連中か……。今、コイツらと揉め事起こしたら今日の契約が……ちっ)パッ

ゴロツキA「ハハハ! ビビってイモ引きやがったぜこの銀髪クソバイザー野郎」ペシペシ

ゴロツキB「何だ、威勢だけかぁ? この玉無しが」

射的屋「おいおい、あんまイジメんじゃねえよ、ハハハ」

ドルキ「……」イラッ

後輩「帰りましょうドルキさん、もうこんなとこ――」

ペチッ

ドルキ「!」

後輩「ドルキさん!?」

550 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 20:54:00.45 ID:M+2D9ILDP [36/58]
ゴロツキC「あれれ~? このでっかい的、モゾモゾ動いてるよ~?」ニヤニヤ

ゴロツキA「倒れなかったしもう一発だな! 今度は顔狙え顔!」ニタニタ

ドルキ「……クソが。祭に来てまでゴミ掃除するハメになるとはな」

ゴロツキB「え? ゴミ掃除してくれるの? じゃあ俺の吸殻を拾って片付けておいてよお兄さん」ポイッ

ゴロツキA「じゃあ俺、噛み終ったガムをお兄さんのバイザーにくっつけとくわ。ちゃんと片付けてねーギャハハ!」ベター

ドルキ「」プチン

555 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 21:00:29.04 ID:M+2D9ILDP [37/58]
スッ

ゴロツキA「あ? 何だよその手――」

ドッゴオン!! バタッ……

ドルキ「ったく。せっかくの祭気分が台無しだぜ。混んでて花火もよく見れなかったしよ」ボムッ

射的屋「! い、今のはまさか! バースト……!!」ガタッ

ドルキ「気晴らしにテメェを花火にして我慢するか。今のうちに念仏でも唱えておけ」スパー…

射的屋「ひ……ッ!」

558 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 21:03:13.85 ID:M+2D9ILDP [38/58]
グラナ「……終わっちまったなァ、花火」

カイル「うん……」

グラナ「……」

カイル「……」

シャオ「カイル、あまり長く感傷に浸ってる暇はないぞ。もうすぐ門限だし」

ドゴオオオオオオン!! ワー!! ワー!! キャー!!

グラナ「何だァ!? 何の騒ぎだ?」

ウラヌス「どっかの出店でガス爆発でも起きたんじゃないのか」


プスプス……

ドルキ「へっ! きたねえ花火だ」

後輩「ドルキさんドルキさん、気分転換に飲みに行きましょうよ。コイツらの金でパーっと」

ドルキ「……お前もけっこうスレてきたよなぁ」

563 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 21:12:08.37 ID:M+2D9ILDP [39/58]
グラナ「弥勒ー。俺達ももう解散でいいだろ?」

弥勒「そうだな。“ウロボロス”も営業できる状態では無いからな。今日のところは解散にしよう」

グラナ「よし、じゃあ俺が子供らを家まで送ってくるわ」

カイル「別に俺達だけでも大丈夫だぜ?」

グラナ「巡回中の警官とかに見つかるとめんどくせえぞ。家までついてってやるから遠慮すんな」

ウラヌス「俺も行く。文句は言わせない」

グラナ「……何でお前まで来るんだよ?」

ウラヌス「出番が欲しいだけだ」

――――
――

ジュナス「……あの子供らからペナルティ料金とやらは回収したのか?」

弥勒「あ」

564 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 21:18:32.06 ID:M+2D9ILDP [40/58]
―帰り道―


グラナ「そういやフレデリカ、お前さっき俺がアゲハに似てるとかって言ってたけど……誰のことだ?」

フレデリカ「……」ソワソワ

グラナ「? どうかしたのか?」

フレデリカ「え!? あ、ああ! アゲハ、アゲハのことね……? えっと……マリー、グラナに説明してあげなさい」

マリー「私たちのところで一緒に暮らしてる人なんです。あまり一緒に家にはいませんが……」

カイル「アゲハは黒いバーストを使うサイキッカーなんだぜ。ズバババー!ってのとかズゴゴゴゴ!って感じのでさ。何でも消しちゃうんだ!」

ウラヌス「消滅能力を持つ黒いバースト……? まさか暴王の事か?」ピクッ

565 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 21:20:36.77 ID:M+2D9ILDP [41/58]
グラナ「知ってるのか!? 03号!」

ウラヌス「うむ。あれは01号、俺はアンタが脱走した後にPSI知識に関する講習を受けさせられた時だ。その時に聞いた話に出てきた。
     19世紀イギリスの超心理学者にして生粋のサイキッカーでもあったブライスという男がいて
     その男が持つPSI能力の名が『暴王の月』だった。もっとも、その男は力を制御できないまま脳にダメージを負い――」

グラナ「……なげーよ。手短に話せ。カイルなんかもう頭から煙ふいてんぞ」

ウラヌス「その黒いバーストは対PSI能力に特化したPSI能力のようなものだ」

グラナ「ほう。そりゃあ面白そうじゃねえか」

ウラヌス「ただし……」

グラナ「まだ続くのかよ」

フレデリカ「……」ソワソワ

566 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 21:25:15.68 ID:M+2D9ILDP [42/58]
ウラヌス「そのブライスという男は『私の頭の奥に潜む“メルゼー”という悪魔が破壊と狂気に駆り立てる』
     というメッセージを残して死んだんだ。自分の能力を制御しきれず、脳へのダメージが原因でな」

グラナ「あまりの高負荷で使用した本人すら死に至らしめるバーストか。かなりピーキーな能力だな」

カイル「そ、それじゃあ、もしかしたらアゲハも?」

ウラヌス「本当にその“メルゼー”という悪魔が存在するとすれば。悪魔に魅入られてしまうということもあるだろう」

シャオ「まさか。アゲハさんに限ってそんなことは」

マリー「そうだよね。アゲハさんならきっと……」

ウラヌス「著書を読んだだけであってこれ以上の事は俺も知らない。そのアゲハという男がもし、黒いバースト……暴王の使い手なら個人的に興味が湧く」

グラナ「幽霊ってのがいるなら悪魔ってのもアリかもな。俺もそのアゲハってのに興味が湧いたぜ」ウズウズ

ウラヌス「グリゴリ実験体として生まれた血は争えんな」ウズウズ

567 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 21:33:31.34 ID:M+2D9ILDP [43/58]
マリー「アゲハさんなら大丈夫だよね? フーちゃん」

フレデリカ「……」ソワソワ

マリー「フーちゃん?」

フレデリカ「えッ!? あ、ああー大丈夫よ大丈夫。アゲハなら大丈夫よきっと」アタフタ

ヴァン「……」

――――
――

ウラヌス「あれだな。あの巨大な邸宅がエルモア邸だろう?」

グラナ「! すっげーなこりゃ。ウチのオンボロアパー……アジトとはえらい違いだぜ」

マリー「ここまでくれば大丈夫です。お見送りまでしてもらって……ありがとうございました」

カイル「じゃーなー! 今度ウチに遊びに来いよ! グラナなら歓迎するぜー」

グラナ「おう。そのうちにな」

570 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 21:44:07.71 ID:M+2D9ILDP [44/58]
―エルモア邸―

エルモア「おかえり。祭りは楽しめたかの?」

カイル「うん。でも疲れたー……」ゴロッ

エルモア「これ、こんなとこで寝ないで自分の部屋で寝なさい」

カイル「もうだめー……」

エルモア「やれやれ。じゃあワシも寝るからの。各自ちゃんと寝るんじゃよ」

一同「はーい」

574 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 21:50:52.65 ID:M+2D9ILDP [45/58]
フレデリカ「ア、アタシはちょっとお風呂入ってくるわ」

シャオ「あれ? さっき出かける前に風呂入ったんじゃなかったのか」

フレデリカ「お、乙女を磨くためよ! 外出して帰ったらお風呂で汚れを落とすのは乙女として当然のことなんだから!!」

ダッダッダッ

シャオ「?」

ガチャ バタン

ヴァン「……」

576 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:00:15.29 ID:M+2D9ILDP [46/58]
―脱衣所―


フレデリカ(まさか……ね)ゴクリ

モゾモゾ

フレデリカ(! うあー……やっぱりやっちゃってたんだぁ……。腰が抜けちゃったときにかしら……? それとも帰り道で?)

ヌギヌギ

フレデリカ(うそでしょー……カンペキにシミになってるとかカンベンしてよもー)

スルッ

フレデリカ(……よし。誰にも見つからないうちにこのパンティーを洗濯機へ……)スッ

パカッ

フレデリカ(はっ!! ダメじゃない! 洗濯機に入れてても明日、誰かがここを開けたら
      アタシがおもらししちゃったってバレちゃうじゃないの! どうしよう……!!)

578 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:05:50.65 ID:M+2D9ILDP [47/58]
フレデリカ(いい? 焦ってはダメよフレデリカ。こういう時こそセクシー・ローズの名にふさわしい冷静な――)

コンコン

フレデリカ「!?」ビクッ

マリー「フーちゃん、私も一緒にお風呂はいっていいかな……?」

フレデリカ「マ、ママ、マリー!?」ドキドキドキ

マリー「私も驚いたら汗かいちゃって……。でも1人でお風呂に入るのが怖いから……。ね、一緒に入ろ? フーちゃんも今から入るんでしょ?」

フレデリカ(!? ここに入ってくる気!? そうはさせないわ! この証拠を何とかするまでは!)ダッ

ガコガコ

マリー「あ、あれ? 開かない? ねぇ、フーちゃん、ここ開けてよぉ……私1人でお風呂に入りたくないよぉ……」

フレデリカ「だ、だだ、ダメよ! 今日はアタシ1人でゆっくり入りたい気分なの! アタシがあがるまで部屋に戻ってなさいマリー!!」バクンバクンバクン

580 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:10:10.41 ID:M+2D9ILDP [48/58]
マリー「そんなぁ~! 1人じゃ怖くて入れないよぉ! さっきは一緒に入ってくれたのにぃ!」グイグイ

フレデリカ「ぜ、絶対にイヤよ! ホントにダメなんだってば!!」グイグイ

マリー「フーちゃんのイジワル! フーちゃんが私を無理矢理お化け屋敷に連れて行ったのに!」

フレデリカ「そ、そうよ!! アタシはイジワルなのよ!! アンタは1人で恐怖に震えながらお風呂に入るといいわ!」

マリー「もぉー! フーちゃんってば! ホントに怒るよ!?」

フレデリカ「うるさいわね! さっさと諦めなさいッ!!」

マリー「む~! こうなったら……!」

582 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:16:05.04 ID:M+2D9ILDP [49/58]
シーン……

フレデリカ(……? 諦めたのかしら……?)

マリー「おばあ様ー! フーちゃんが脱衣所で何かしようとしてますー!!」

フレデリカ「!? ちょっ! 止めなさいマリー! ババ様はもう寝ているのよ! 静かになさい!!」

フブキ「どうかしたの? 大声上げて?」

マリー「あっ、フブキさん! 脱衣所の中でフーちゃんが――」

フブキ「えぇ? ……ん、あれ? 何か焦げ臭くない?」クンクン

メラメラ……

フレデリカ(お願いだから早く燃え尽きて! 早く灰になって……! 私のパンティー!!)

584 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:22:50.22 ID:M+2D9ILDP [50/58]
ヴァン「……」カリカリ


「8月某日」


今日はみんなが楽しみにしてた花火大会だ。
出店にならんだたこやき、りんごあめ、どれもこれもおいしそうだ。

カイルが金魚すくいをしたいといったが
カイルにすくわれた金魚は世話をしてもらえず、やがて死んでしまうだろう。
金魚すくいなのに金魚はすくわれないのである。
1ぴきもとれなくて本当によかった。せっしょうはよくないもんね。

587 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:29:37.57 ID:M+2D9ILDP [51/58]
少しあきてきたころ、フレデリカがお化けやしきを見つけた。
そこはただのお化けやしきじゃなかった。
あのわいずが作ったお化けやしきで、はく力まん点のお化けやしきだったのだ。

カイルとフレデリカがきょうふのあまりリタイヤしてしまったらしい。
シャオだけ気絶してたんだって。男のくせになさけない。


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お化けやしきでは本物のお化けもいた。
ゆうれいが実在したというのはとてもきょうみ深いことだ。

みょうじんとかいうへんなおじさんも入ってきたらしいが、正義のみかたなんだって。
人は見かけによらないのだ。かげとらさんだってそう。

588 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:34:07.88 ID:M+2D9ILDP [52/58]
外にもどると、すぐに花火大会がはじまった。
もう人がいっぱいになってて、せの低いボクたちじゃぜんぜん見えなかった。
そこへ、グラナがやってきてテレキネシスで特とうせきを作ってくれた。
おかげでとてもながめがよかった。

でも、まわりの人たちからも注目されてちょっとはずかしかった。


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わいずの人たちといっしょに花火を見ながらいろいろと話をした。
もしかしたら彼らはそんなに悪い人たちじゃないのかもしれない。
彼らも人間なのだ。ここで少し彼らをしょうかいしよう。

591 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:40:59.15 ID:M+2D9ILDP [53/58]
いつもいっしょにいるのはジュナスとカプリコと名のっていた。
黒かみ同士だが兄弟ではないらしい。でもなんでいつもべたべたくっついてるのだろう?
もしかしたらジュナスは『ろりこん』なんじゃないだろうか?

でもおばあ様は『こいに年なんて関係ない』って言ってたことがある。
あれが真実のあいなのか、今のボクにはまだ分からない。


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そのとなりにいた色黒のお兄さんは『ゆさかあおい』と名のった。
この人はガスで虫を作ることができるんだって。
カブトムシが見たい、と言ったらカブトムシのよう虫を出した。いじわるな人だ。

はだが黒い人は、はらも黒いんだ。かみも黒かった
とにかく頭の先から足の先までまっ黒な人だったのはおぼえている。

592 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:47:13.71 ID:M+2D9ILDP [54/58]
マフラーをまいた人は『だい3星しょうウラヌスちゃんとよんでくださいよ』と言った。
男なのに、ちゃんをつけてだなんて、へんな人だなぁとおもった。
夏にマフラーをしてるくらいだからふつうの人じゃないんだと思う。

めずらしいクリオキネシス使いだったし。
でも話が長いとカイルにきらわれちゃうよ、ウラヌスちゃん。


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ミスラって人とはほとんど話していない。
目がぐるぐるしてて、じっと見つめていると目が回りそうだった。

こちらは女の子なのに自分のことを『ボク』ってよんでた。
ウラヌスちゃんとミスラって人はたましいが入れちがいにでもなったのかな?

マリーのことをいい体だとも言っていた。あやしげなにおいがぷんぷんしてくる。

594 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 22:53:00.90 ID:M+2D9ILDP [55/58]
シャイナって人はあまり目立たないタイプらしい。
シャイだからシャイナなのかなと思ったがとんでもない。ボクには分かる。
あの人もはら黒だ。ああいう笑い方をする人は、はら黒が多いのである。

しゃべり方からも、いんぎんぶれいさが伝わったので友だちにはなりたくない。
ゆさかって人とはことなる、むっつりはら黒タイプだ。


-----------------------------------------------------------------------------


ヴィーゴという人も、あまり近づきたくないタイプだった
マリーのことをじっと見つめてて、フレデリカに『へんたい』と、けられていた。
彼がお化けやしきに同化していたせいでシャオのフーチが働かなかった。

ボクたちはずっとこの人の体の中を歩ってたのかと思うと
あまりいい気分にはなれないよね。きせい虫みたい。

595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 23:00:24.78 ID:M+2D9ILDP [56/58]
わいずのリーダーであるミロクはイケメンだ。
グラナの話では、「ろしゅつへき」という困ったくせがあるらしい。
ぜんらでグラナと殺し合いをしたけど今は友情でつながっているんだって。
ボスとしてのそしつは十分なのかもしれない。

実はいい人かもしれないが、カイルはミロクのことをまだうらんでる。
でもビラ1枚で少しだけ歩みよった。カイルの未来がしんぱいになった。


-----------------------------------------------------------------------------


最後にグラナをしょうかいしたい。
非じょうしき人ばかりのわいずの中でグラナだけは、じょうしき人なのである。
面どう見がよく、決だん力があり、他人にも優しくて
ものすごいテレキネシスを使う。わいずのかじ取り役なんだろう。

見た目はゴツくてこわいが中身はいい人。かげとらさんと同じ。
彼のしらがは、苦労によるものなのかもしれない。今度、キュアで心をいやしてあげよう。


ヴァン「……」カリカリ パタン

599 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/01(金) 23:05:38.06 ID:M+2D9ILDP [57/58]
ヴァン「……!」ピラッ カリカリ……

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ついき。

フレデリカがおもらししたようだ。帰り道でのソワソワっぷりといい
帰るなりおふろにちょっ行するなど、どう見てもおもらしだ。

みんなは気付いていないようだが、ぼくの目はごまかせない。
帰ってからも何とかごまかせたようだったが、ぼくの目はごまかせない。
『デリカシーがない』とは言われたくないので今回はだまっていてあげよう。

だがここにはきっちり書いておく。


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ヴァン「……」パタン

618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 00:28:20.02 ID:d9Hll481P [1/70]
グラナ「さぁて、子供らの見送りもすんだことだし……これからどうする?」

ウラヌス「もう何もすることはない。帰るだけだ。アンタも一緒に帰るだろ?」

グラナ「どうせ隣の部屋同士だからな、俺達」

――――
――

後輩「ドルキさぁ~ん……次行きましょう次~、俺の行きつけの……ヒック……あ、あれ? ドルキさぁ~ん……?」フラフラ


ウラヌス「そんなに凄かったのか……」

グラナ「すげえなんてもんじゃねえよ。あの時のヴィーゴったらそりゃもう子供みてえに目を輝かせてよお――」

ウラヌス「だが常に子供っぽいところはあるだろう、ヤツは」


後輩「ド……ドル……お、おえっぷ!!」オロロロ……

ビチャビチャ

グラナ「うわあッ!? 危ねえッ!?」

ウラヌス(今のをモロに浴びれば面白かったのに。惜しいな)

619 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 00:31:10.18 ID:d9Hll481P [2/70]
後輩「うへへぇ……もう飲めないれすぅ」フラフラ バタン

グラナ「おい、アンタ大丈夫か?」ユサユサ

後輩「ふひぇひぇ……」

ウラヌス「……かなり飲んでいるな。冷やせば酔い覚ましになるだろうか?」ピキピキ……

グラナ「死んじまうだろ。止めとけ」

ドルキ「お! ったく、ここに居たのか。俺が用を足し終えるまで待ってろって――……ん?」

グラナ「!? おまえ……!」

ドルキ「グ、グラナ!? 何でこんなとこに……!?」

グラナ「ドルキ……だよな?」

ウラヌス(! この男が爆塵者の……)

626 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 00:42:48.49 ID:d9Hll481P [3/70]
――――
――

グラナ「そうか……。久しぶりに会ったと思ったら、まさか社長をやってるとはなァ。しばらく会わないうちにお前も偉くなったもんだ」

ドルキ「俺もな、ちょうどお前に会いたかったんだ」

グラナ「なに?」

ドルキ「単刀直入に言うぞ。……グラナ。お前、俺のトコで働く気はねえか?」

グラナ「お前のところ? 日本イクスプロジア工業でか?」

ドルキ「ああ。お前のテレキ建築と俺の爆塵者解体があればあっという間に世界一の企業にのし上がってザックザクよ。
    どうだ? お前にその気があるならナンバー2の椅子を用意して磨いておくぞ?」

グラナ「……」

ドルキ「お前にとっても悪い話じゃねえだろ? こう言っちゃなんだけどな……
    いつまでもうだつのあがらないW.I.S.Eで暮らしていけると思ってるほどお前も馬鹿じゃねえだろ? だからよ――」

グラナ「……せっかくだが……俺はまだ弥勒んとこは離れられねえよ」

629 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 00:52:56.28 ID:d9Hll481P [4/70]
ドルキ「……まぁ、今すぐに返事をくれとはいわねえよ。お前もW.I.S.Eに義理立てとかあるだろうからな」

グラナ「義理立てってワケでもねえんだがな……ま。まだしばらくは腰を落ち着けておくつもりだわ」

ドルキ「だが、俺はお前を諦めたわけじゃねえぞ? 気が向いたらすぐにでも俺に連絡しろ」

グラナ「連絡っつったって俺とお前じゃ連絡網が――」

ドルキ「俺の名刺を渡しておく。何かあったら連絡しろ。……きっとだぞ」スッ

グラナ「ん……。じゃあ俺からはこれを……お前にやるよ。俺の分だけどな」スッ

ドルキ「ビラ? 何のビラだこれ?」ピラッ

631 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 00:58:56.03 ID:d9Hll481P [5/70]
グラナ「俺らの店のビラだ。明日オープンでな……弥勒が作ったんだぜ、それ」

ドルキ「海の家“わいず”……か」

グラナ「お前が居ない内に新しいヤツらも入ってよ。俺の隣にいるのは新しい第3星将のウラヌスってヤツだ。
    俺のダチなんだが……ああ、俺は03号って呼んでるんだけどな。実はコイツ、俺と同じグリゴリの実験体でよ」

ウラヌス「ダチ? 勘違いしないでください」

グラナ「……こんな感じだからな。コイツ、なかなか友達できねーんだわ」

ドルキ(第3星将はシャイナが務めてたはずだが……そうか、俺の居ない間にW.I.S.Eも色々と変わったんだな……)

633 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 01:03:56.79 ID:d9Hll481P [6/70]
グラナ「たまにはお前も顔を出せよ? あのオンボロアパートにまだみんな居るからよ。他の連中もきっと――」

ドルキ「……」

グラナ「ドルキ?」

ドルキ「……悪いな。俺は明日も仕事があるんだ」クシャッ

グラナ「……。……そうか」


――――
――


ウラヌス「良かったのか?」

グラナ「アイツはもう星将でもW.I.S.Eでもねえ。自分の生きる道ってのを見つけたんだろう」

ウラヌス「自分の生きる道、か。……ヤツは俺達とは違うんだな」

グラナ「……ああ」

635 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 01:17:24.35 ID:d9Hll481P [7/70]
―翌朝・エルモア邸―


エルモア「これカイル、起きんか。海に行くのではなかったのか?」

カイル「うぅーん……? あと5分だけ~。バアちゃん……むにゃむにゃ……」

エルモア「やれやれ。すまんが起こしてくれんかの?」

フブキ「はーい。カイルー起きなさーい。みんなもう起きてるわよー」ユサユサ

カイル「うぅーん……? あと10分だけ寝かせてよ~バアちゃん……」

フブキ「私がバアちゃん……ですって……? ……大きく振りかぶってぇッ!!」グオッ

カイル「! いッ!? ま、待った! 起きた!! もう起きたから――」ガバッ

フブキ「グー!!」

ドゴォッ!!

カイル「ギャー!!!」

フブキ「コラ! かわすな!!」

636 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 01:18:39.46 ID:d9Hll481P [8/70]
カイル「ぼ、暴力反対だぞー!」

フブキ「ほほう。私のこれが暴力とな……。これは愛の鉄拳じゃー!!」ゴゴゴゴ

カイル「うひー!!」バッ

ドタドタドタ!!

フブキ「こら! 待ちなさいカイルッ!! ちゃんと着替えるの!!」

エルモア「ほっほっほ。どの目覚まし時計よりも効果があるのお」

638 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 01:33:50.69 ID:d9Hll481P [9/70]
カイル「はー……」

シャオ「おはよう」

カイル「フブキねーちゃんに殺されるとこだったぜ……。さっさと出かける用意して海に行こう」

フブキ「ダメよ」キラン

カイル「ええッ!? 何で!?」

フブキ「自分の部屋の掃除と宿題! 全部終わらせてから行きなさい!」

フレデリカ(しまった……燃やすんじゃなく掃除の時にこっそり捨てればよかった……!!)

639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 01:41:39.82 ID:d9Hll481P [10/70]
フブキ「いいわね? 終わるまでは屋敷内から外へは一歩たりとも出しません!!」

カイル「えーッ!? 帰ってきてからでいいじゃん、そんなの!」

フブキ「帰ってきてからじゃ何もしないでしょ? だからさっさとやる!!」

マリー「はーい」

シャオ「1時間もあれば全部終わるだろ。行く前に済ませてしまおう」

カイル「うぬぬぬ……!!」

640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 01:45:16.06 ID:d9Hll481P [11/70]
―カイルの部屋―


カイル「ねーちゃんはああ言ってたけど」

ガラッ

カイル「適当に終わったってことにして外に出ちゃえばいいんだよな。俺って頭イイ!」

ガッ

カイル「!?」

フブキ「ホント、カイルは賢い子ねえ」ニコニコ

641 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 01:48:22.30 ID:d9Hll481P [12/70]
カイル「!! ね、ね、ねね、ねーちゃん……!! いつからそこに……?」

フブキ「頭の良いカイルならきっと適当に終わったーとか言って、外に出るんじゃないかと思って。そういうとこ、小さい頃のアゲハに似てるわー」ニコニコ

カイル(い、一歩でも部屋の外に出たら……絶対殺される!!)

フブキ「そうそう。はい、机に向かってー。はい、良い子ねー。カイルは」ニコニコ

カイル(昨日のお化け屋敷よりずっと怖ええ……!!)ガクガク

フブキ「終わるまで見ててあげるから。ずーっとね」ニコニコ

カイル(アゲハの苦労ってのが分かった気がするぜ……)ブルブル

642 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 01:59:03.55 ID:d9Hll481P [13/70]

>>624
アストラル・ナーヴァ(仮)部屋割り

┏━━━━┳━━━━┳━━━━┳━━━━┳━━━━┓
┃ウラヌス...┃グラナ.......┃弥勒......... ┃ジュ&カ. ┃...     ┃
┣━━━━╋━━━━╋━━━━╋━━━━╋━━━━┫
┃シャイナ...┃遊坂......... ┃ミスラ....... ┃...     ┃ ヴィーゴ ┃
┗━━━━┻━━━━┻━━━━┻━━━━┻━━━━┛

678 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 17:37:11.24 ID:d9Hll481P [15/70]
一般人A 「ねぇねぇ、海の家“わいず”って知ってる?」

一般人B 「超能力がどうとかって店だろ? なんか嘘くせーなぁ」

一般人A 「ちょっと行ってみようよ。何か気になるじゃない」


――――
――

ワイワイ ガヤガヤ

ウラヌス 「ディープフリーズ」 ビキビキビキビキッ!!

客A 「す、すげえ! ホントにただの水だったのが一瞬で氷になった……!!」 ゴクッ

客B 「お兄さん、これ手品?」

ウラヌス 「超能力」

ジュナス 「神刃!!」 ゴッ!!

ザッパァーン!!

サーファーA 「よーし来たなぁ! 今度こそ……」

679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 17:38:42.25 ID:d9Hll481P [16/70]
グラナ 「思ったよりも繁盛してるじゃねえかウチの店。最初はオープンすらできねえんじゃねえかとヒヤヒヤしてたが……」

弥勒 「ここの海岸には俺達の店しかないからな。さらにビラの宣伝効果もある」

グラナ 「ほう……。03号やジュナスを使ってパフォーマンスしてるのも全部計算づくか?」

弥勒 「当然だ。PSIの力は客寄せにもなる。俺達の能力を駆使した海の家ならば大型レジャー施設にも引けはとるまい。
    すでにこの浜は俺達W.I.S.Eの物と言っても過言じゃない」

グラナ 「でもよ、ぶっちゃけ金稼ぎが目的だったら強盗でもしたほうが早いんじゃねえか? 俺が今更こんなこと言うのも何だけどよ」

弥勒 「フ……確かにな。だがそんなことを言ってしまっては身も蓋もないだろう? 前回はそれで失敗しているからな」

グラナ 「すっかり真人間……いや、真サイキッカーだなァ、お前も」

681 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 17:46:34.62 ID:d9Hll481P [17/70]
―日本イクスプロジア工業事務所―


ドルキ 「よぉし今回はこれで終わりだ! お前らは午後から半休なー」

作業員一同 「うーっす」

後輩 「予定してた工期よりも早く仕上がっちゃいましたね」

ドルキ 「だな。今日の分の弁当とっちまったから、食いたいヤツは事務所に戻って食っていいぞ」


――――
――

後輩 「ふぃー……あれ? 何やってんスかドルキさん?」

ドルキ 「事務の仕事だよ。俺の決裁待ちのとか」ドサッ

後輩 「なるほどー。あ、弁当いただきます」

ドルキ 「おう。勝手にとって食え」カリカリ

682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 17:51:17.19 ID:d9Hll481P [18/70]
後輩 「そういえば、昨日の件で何か濁業會からは……?」

ドルキ 「幸い何もなくてな。昨日引き受けた契約も生きたままだ」

後輩 「良かったッスね。連中、まだドルキさんがやったって気付いてないんじゃ?」

ドルキ 「気付いててもメンツってモンを立ててるのかもな。ヤクザやってんなら特によ」 カリカリ ペタッ


――――
――

グラナ 「で、俺は何もしなくていいのか? さっきから俺だけ待機しっぱなしなんだけど……」

弥勒 「これから働いてもらおうと思っている。実はこの隣にある海水浴場にも支店を立ててあるんだが……
    お前にはしばらくそっちのヘルプに行ってもらいたい」

グラナ 「あァ? 支店だァ? いつの間に作ったんだよ?」

弥勒 「今朝。俺が急遽準備したんだ。昨晩のお化け屋敷でのロスを取り戻すためにな」

グラナ 「ここでほぼ全員が動いてるのに支店なんか立てたのか? 人手が足らねーだろ?」

弥勒 「ジュナスからスカージを借りて店員として充てている。こちらより小さな店だ。5人でも問題ない」

グラナ 「あいつらか……。分かったぜ」

683 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 17:57:06.97 ID:d9Hll481P [19/70]
―海の家“わいず”スカージ支店―


ワイワイ

ネッカ 「海の家“わいず”スカージ支店だよー。いらっしゃいませー」

ジャッジャッ……

客A 「あー……いい匂い~」

アッシュ 「あいよ、ヤキソバ一人前あがりぃ!! ネッカ! 4番席にもってけ!」 カンカンッ

客B 「カキ氷まだー?」

ガリガリガリガリ……

バーリィ 「お待たせ。お買い上げサンキュー」 ゴトッ

ネッカ 「いらっしゃいませー。空いてる席にどうぞー。アッシュー、ヤキソバ大盛り追加ねー」

アッシュ 「はいはい。いらっしゃいませー……っと」 ジャッジャッ

686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 17:59:24.79 ID:d9Hll481P [20/70]
バーリィ 「フー……。満員御礼とはこのことだネェ。オープン直後から客足がなかなか途切れない」

ネッカ 「材料は尽きそうにもないのが救いね。これで品切れなんかになったら目も当てられないわ」

アッシュ 「おーい! ネッカ! お前も焼くの手伝えよ!! 長時間鉄板の前にいるとクソあちーんだ!」

ネッカ 「汗で化粧崩れるから嫌よ。客寄せや配膳、レジはアタシの役目って決めたでしょ。
     バーリィ、皿の数が減ってきたから皿洗いお願い。あとテーブルの布巾も洗っておいて」

バーリィ 「オーケイ」

アッシュ 「んだよ、俺は交代なしかよチクショー」

ネッカ 「お会計、全部で1400円ですね。ありがとうございましたー」 チーン

688 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:01:17.35 ID:d9Hll481P [21/70]
コトコト……

デルボロ 「オド」

オド 「……?」

デルボロ 「この真夏にそのスーツを着てても暑くないのか? 寝る時もずっとそのスーツを着てるようだが」

オド 「……」 コクリ

デルボロ 「そうか……。いや、少し気になっただけだ」 グツグツ

アッシュ 「デルボロ隊長も突っ立ってねえで手伝ってくれよ! キャベツがもう無くなるからさぁ! 早いとこ切ってくれ!」

デルボロ 「別に休んでるわけではない。こっちは補充用のカレーを調理中だ。キャベツはオドに切らせるから後はそっちで何とかしろ」

アッシュ 「あーもう! 何で俺がずっと鉄板担当なんだよ、ったく、……こんなんじゃ服も身体も油臭くなっちまうぜ」

オド「……」 ザクッ トントントントントン……

アッシュ「おいオド! キャベツ切ったら俺と代われよ!!」 ジャッジャッ

オド 「……」プイッ

アッシュ 「お前もかよお! 熱ッ! 油はじいた!!」

689 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:05:28.17 ID:d9Hll481P [22/70]
バーリィ 「ジャンケンで負けたお前が悪いんだろう。アッシュ」

ネッカ 「文句無しでって言ったのに。いつまでも女々しいわね」

デルボロ 「規則は規則だ。適当な仕事をしたらスカージを除隊にするからな」

アッシュ 「ちくしょー! よってたかって俺をイジメやがって……!!
      もし俺が熱中症でぶっ倒れたら隊長とジュナス様相手に訴訟起こすからな!! 監督不行き届きだ!」

ネッカ 「調理中に吠えないでよ。アンタのツバがはいったらどうすんの」

アッシュ 「暑いんだよ! 俺だけ特に!」

バーリィ 「わかったわかった。扇風機をお前の方に向けてやるからこれで我慢しろ」

ブオオオオオ……

アッシュ 「! おい馬鹿止めろバーリィ! そっからだと青海苔が俺に飛ん――ぶえっくしゅん! ぶえっーくしゅん!!」

バーリィ 「……注文の多いヤツだネェ」 グイッ

デルボロ (ジュナス様のご命令とはいえ……中々ハードな任務だな)

690 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:14:14.24 ID:d9Hll481P [23/70]
ガシャーン!!

デルボロ 「!」

ゴロツキA 「おいコラ! ふざけんじゃねえぞ!!」

ゴロツキB 「おーおー、店長出せや店長!」

ネッカ 「隊長ー。ちょっと面倒なのが来ちゃって……」 ビキビキ

デルボロ 「俺が出る。そう怒るな」

691 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:16:37.70 ID:d9Hll481P [24/70]
デルボロ 「……何か?」

ゴロツキA 「何か? じゃねーよ!! 見ろよこれ! ここ! てめーんとこのカレーのせいで俺のシャツにシミができたんだよ!」

デルボロ 「お前の食べ方が悪いだけだろう。その程度の汚れならば洗えば済むことだ。それにカレーを注文したお前の自己責任だろう」

ゴロツキB 「あぁ!? テメエ、誰に向かってモノ言ってんだコラ! 俺達は泣く子も黙る濁業會だぜ!?」

デルボロ 「知らん。店の中で騒ぐと他のお客さまの迷惑になる。邪魔になるから出て行け」

ゴロツキA 「テメ……日本語わかんねえ奴だな。ナメんじゃねえぞ! オトシマエつけろオトシマエをよお!」

デルボロ 「俺が日本語を理解できないんじゃない。お前らが満足な日本語を話せていないだけだ」

ガシャーン!!

ゴロツキB 「ゴチャゴチャうるせえよ! さっさと表にでろや!」

デルボロ 「……お前らはそのまま仕事を続けろ。俺が話をつけてくる」

アッシュ 「手加減しろよ隊長ー。うっかり殺したりなんかしたらジュナス様にバッサリやられるぜー」 ジャッジャッ

695 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:21:45.50 ID:d9Hll481P [25/70]
――――
――

ゴロツキA 「テメエが店長か? カッコつけてくれるじゃねえか、ええ?」

デルボロ 「正確には俺は店長じゃない。支店長代理だ」

ゴロツキB 「てんめー……余裕ぶっこいてんじゃ――」ガッ

デルボロ 「馬鹿の相手は疲れる」 グリッ

ゴロツキB 「いででででで!! お、折れる!! は、放して……!」

ゴロツキA 「野郎ッ! こん……あぎゃああああ!?」 ギリギリ

デルボロ 「俺達に因縁をつけて金でもタカる気だったのか? 馬鹿なヤツらだ」 グググ

ゴロツキA 「もうしません! もうしませんから!! 許してください!! お願いします!!」

パッ

デルボロ 「さっさと失せろ。言っておくが俺以外の4人も相当強いぞ。次また俺達の前に出てきたら……」 グッ

ゴロツキA 「ク、クソッ! 昨日からこんなヤツばっかだ!! 何なんだよチクショウ!」 ダッダッダッ

ゴロツキB 「このままで済むと思うなよ! バーカバーカ! ペッペッ!!」 ダッダッダッ

697 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:27:56.01 ID:d9Hll481P [26/70]
客A 「ここのヤキソバうめええええ!!」 ズルズル

客B 「他の店にもある普通のメニューなのに何でこんなにおいしいんだろうな?」 モグモグ

客C 「何かわかんねえけどクセになる味だよな、俺なんかもう他のもの食えそうにないぜ」 パクパク

アッシュ 「……」 ジー

ネッカ 「? 調味料の瓶なんか見てどうしたのアッシュ」

アッシュ 「いやぁ、味の決め手に使ってるこの調味料……何が入ってんのかなぁって思ってよ。何にでもふりかけてるじゃん?」

バーリィ 「隊長の話だと“甘き毒薬”特製のスパイスだそうだ。カレーやラーメンにも使える万能品だとか」

アッシュ 「げっ……! 何が入ってるか分かったもんじゃねえな……。俺だったらぜってー食わねえ」

デルボロ 「片付けてきた」

ネッカ「あ、おかえりなさい」

デルボロ「まさかカレーは焦がしてないだろうな?」

オド「……」 ビシッ!

デルボロ「ご苦労、オド」

698 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:34:50.27 ID:d9Hll481P [27/70]
――――
――


海の家店長 「それですごすごと戻ってきたのか! だらしのねえヤツらだ!!」

ゴロツキA 「すいませんアニキ……なにせ病み上がりの身体じゃ……」

海の家店長「堂々とパフォーマンスしてる本店と違って、こっちの支店は地味で小さい店だったからいけると思ったのに……くそったれめ!!」 ガンッ!!

ゴロツキB「あの店の連中も昨日のヤツみてえに馬鹿強えのなんのって……なぁ?」

海の家店長 「なに!? まさか支店までサイキッカー揃いだってのか!?
       昨日の昼は黒髪の根暗小僧に店を流されて!! 夜は変なクソバイザー野郎にボコられて店をぶっ壊されて!! くそおおおお!!」

ゴロツキA「お、落ち着いてください。アニキだって傷は塞がっててもまだ身体が……」

海の家店長「落ち着けるかってんだよ! クソッ、こんなとこオーナーに見られたら――」

??? 「ワタシがどうかしましたか?」

海の家店長 「!! く、黒滝オーナー!!」

699 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:39:06.06 ID:d9Hll481P [28/70]
黒滝 「やぁねぇ。何よこのザマ。閑古鳥が鳴くどころか閑古鳥すら見向きもしてないじゃないの」

海の家店長「め、面目ねえ。せめてしのぎの邪魔をしている店にオトシマエつけさせようとしたんですが……」

黒滝「こんなんじゃ天下の濁業會の名が泣きますわ。アナタたちのCURE代金だってツケのままなのよ?
    ……このままだとアナタには責任をとってもらうしか」

海の家店長 「も、申し訳ありません。せめて話だけでも聞いていただきたく――」

黒滝 「話? 話してごらんなさい」

701 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:44:40.24 ID:d9Hll481P [29/70]
黒滝 「――フゥン。確かにこのままじゃ引き下がれないわね。
    やられっぱなしじゃヤクザとしての濁業會も、企業として濁業會もナメられてしまうわ」

海の家店長 「しかしどうすれば……。あいつら、めっぽう強えの何のって。黒滝オーナーみてえにサイキッカーなんですよ、連中」

黒滝 「大丈夫。ワタクシに秘策があるから」

海の家店長 「秘策……ですか?」

黒滝 「フフフ……昨日、面白いのを見つけたのよ。本当はビジネスだけのつもりだったんだけど。ソイツを使ってメチャクチャに……」 ピッ

703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 18:49:58.93 ID:d9Hll481P [30/70]
―日本イクスプロジア工業・事務所―


prrrrr……

ドルキ 「っと。ちっと手が放せねえ。出てくれ」

後輩 「了解ッス」

ガチャ

後輩 「はい、こちらは日本イクスプロジア工業事務所の……え? あ、はい。おりますが……」

ドルキ 「……俺への電話か?」

後輩 「はい。濁業會の黒滝さんからです」

ドルキ 「! そうか。……ゴホン」

705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 19:00:44.21 ID:d9Hll481P [31/70]
ドルキ 「お電話代わりました。日本イクスプロジア代表取締役のドルキです」

黒滝 「お仕事中に申し訳ありません。ワタクシ、濁業會の黒滝と申しますが……」

ドルキ 「これはこれは! 先日はお世話になりました」

黒滝 「今日は少しお話したいことがあるのですが……お時間よろしいでしょうか?」

ドルキ (! 昨日のことがバレたのか……?)

黒滝 「社長?」

ドルキ 「あ、ええ。もちろんです。……して、その話というのは?」

黒滝 「我が社の重役が是非ともドルキ社長の実力を直接見物したいということでして……」

ドルキ 「……!?」

707 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 19:07:27.46 ID:d9Hll481P [32/70]
黒滝 「それで急遽、爆破解体のデモンストレーションをお願いしたいと思っているのですが、ご都合のほどはと思いまして……
    重役はドルキ社長の宣伝する爆破解体技術に一目惚れしてしまいまして」

ドルキ 「そういうことでしたら……。お任せください、ご期待に添えるよう全力で取り掛かります。もちろん火薬や重機など要りません」

黒滝 「! そうですか。ありがとうございます。それでは解体の対象物だけを用意しておきますので、こちらの指定した場所と時間に――」

ピッ

黒滝 「フフフ……」 ニヤリ

海の家店長 「オーナー、一体何を?」

黒滝 「ワタクシの指示通りに動きなさい。いいわね?」

海の家店長「はあ……」

708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 19:09:29.85 ID:d9Hll481P [33/70]
後輩 「……昨日の一件ッスか?」

ドルキ 「違う。濁業會のお偉いさんが直々に俺の爆破解体を見たいんだとよ」

後輩 「このタイミングで? ……何かくせえッスね」

ドルキ 「しかし本当なら濁業會に一気に接近するチャンスだ。昨日の事が伝わってないのであれば尚更な」

後輩 「確かにそうかも知れませんが」

ドルキ 「では行ってくる。待たせるワケにはいかないからな」

後輩 「あ、俺も――」

ドルキ 「ダメだ。もし連中の罠だったらお前は足手まといになる。ここに残れ」

後輩 「……分かりました」

ドルキ 「留守はお前に任せたぞ。……おい、車を用意しろ!」

710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 19:19:16.86 ID:d9Hll481P [34/70]
――――
――

ネッカ 「いらっしゃー……あ! グラナ様!」

グラナ 「よー、お前ら。元気でやってっか?」

デルボロ 「ご覧のとおり。大繁盛してますよ」

グラナ 「そりゃ何よりだ。……よっと。こいつは03号からの差し入れでな。好きに使えよ」 ゴトン バキン

バーリィ 「こんなにも巨大なロックアイスを……。ありがたいネェ」 ヒンヤリ

アッシュ 「あぢー……口の中に入れるとあっという間に水蒸気になっちまうぜ……」 ジュワワワワ……

グラナ 「しばらくの間は俺が代わってやるから休んでな。お前らに休憩を取らせるために俺がヘルプで派遣されたんだ」

711 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 19:21:33.00 ID:d9Hll481P [35/70]
デルボロ 「しかし、いくらグラナ様とはいえ1人で店を切り盛るなど」

グラナ 「俺のテレキネシスを知らないわけじゃないだろ? 少し休めスカージ。いい働きだった!」

デルボロ 「……ではお言葉に甘えて」

バーリィ (それだったらヘルプだなんて言わずに最初からグラナ様を支店長にして欲しかったんだが……)

客A 「タコヤキくださーい」

客B 「カキ氷ー。レモンで」

グラナ 「おっ、早速来たな」

712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 19:26:19.70 ID:d9Hll481P [36/70]
グラナ 「空いてるとこに適当に座っててくれや。すぐに作るから」クイクイッ

ジュー…ジャッジャッ
ジャコジャコジャコ……

グラナ 「タコヤキ、カキ氷、カレー、ヤキソバ2つお待ち。カキ氷のシロップはレモン味だったな?」 トプトプトプ

ネッカ 「すご……。アタシら5人でやるよりもグラナ様1人で支店やったほうが効率良かったんじゃないの? これじゃアタシら用無しじゃん」

デルボロ 「ジュナス様があえて俺達に社会勉強をさせてくれているのだ。愚痴るな」

バーリィ (という口実なだけな気がするけどネェ。本来なら今日はオフだったのに急に呼び出されたし……手当ても出ないし……)

オド 「……」 ヒンヤリ

デルボロ 「……やはり暑かったんだな。オド、スーツの中に氷をいれてやろうか?」

オド 「……!」 フルフル

714 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 19:37:48.32 ID:d9Hll481P [37/70]
バーリィ 「グラナ様、本店の方はどうなんです?」

グラナ 「んー? ああ、浜辺の客はほぼ全て掴んでるみたいだぜ? 全部弥勒の計画通りだとよ」

デルボロ 「ジュナス様はどちらに?」

グラナ 「ジュナスか……。あいつなら今頃海を割って波を起こす仕事でもしてんじゃねえか?」

デルボロ 「海を割る……? なぜそのような事を?」

グラナ 「昨日のことなんだけどな、アイツがとんでもねーことしてよ。カプリコが一人でどっかに行って迷子になったんだけど……」

アッシュ 「? 何かあったんです?」

グラナ 「実は最初から海の家の中にいたってオチでな……。ジュナスは血相変えて飛び出した挙句、神刃で海を割って大津波起こしちまってよ」

デルボロ 「……あまり笑えない光景ですね」

グラナ 「だがそれを聞いた弥勒は怒るどころかジュナスにサーファー相手に波起こす商売させてんだわ。
     ちょっと前のアイツだったら考えられない話だがな。発想の転換って言えばいいのか? こういうのは」

715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 19:40:12.38 ID:d9Hll481P [38/70]
デルボロ 「グラナ様、そろそろ我々が……」

グラナ 「おう。少しは休めたか?」

バーリィ 「おかげさまで」

グラナ 「そっか……。んじゃ俺も一旦弥勒んとこに戻るわ、後はお前らに任せるぜ」

デルボロ 「はい。世話になりました」

グラナ 「また忙しくなったり休憩したくなったら弥勒に連絡して俺を呼ぶといい。じゃあな、無理と遠慮はするなよー」

ザッザッ……

ネッカ 「……」

デルボロ 「……どうした、ネッカ」

ネッカ 「グラナ様は手伝いに来てくれたし、ウラヌス様は差し入れをしてくれたのに……ジュナス様は何も……」

デルボロ 「言うな。……それ以上は言うな。……もう何も言うな」

716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 19:46:58.20 ID:d9Hll481P [39/70]
ブロロロロロ……

黒滝 「! 来たわね」

キキッ!! ガチャッ

ドルキ 「お待たせしました。黒滝さん」

黒滝 「いえいえ。わざわざご足労頂き感謝感激です」

ドルキ 「して、そのご希望のデモンストレーション披露というのは?」

黒滝 「簡単なことですワ。我々の目の前で露店を一軒、爆破して欲しいのです」

ドルキ 「……? それだけですか?」

黒滝 「解体技術世界一のドルキ社長にとっては簡単すぎるくらいのお仕事でしょう?」

ドルキ 「まあ……そうですが」

724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 20:01:57.29 ID:d9Hll481P [40/70]
ドルキ 「それで対象の露店とやらはどこに?」

黒滝 「あそこです」

ドルキ 「あそこ?」 チラッ

――――

ネッカ 「いらっしゃいませー」

――――

ドルキ 「人が出入りしている……? どう見ても営業中にしかみえませんが」

黒滝 「ええ。そうですわね」

728 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 20:15:52.53 ID:d9Hll481P [41/70]
ドルキ 「……冷やかしは困りますね黒滝さん。ウチは建物は爆破解体できても人間までは爆破解体できませんよ」

黒滝 「おや? まだ察してもらえませんか? 海の家の営業中に事故が起きてしまう……なんてこともありえますよね?」

ドルキ 「……! つまり、あの店が邪魔だから潰せ。と? 俺にそう言いたいんですか?」


黒滝 「いえいえ。そんなことは言ってませんワ。でももしあの店で『何らかの事故が起きて営業できなくなる』なんてことがあれば、
    我々にとってありがたいことなのですよ。ドルキ社長は火薬や重機無しでも建築物を解体できると豪語しておりましたよね?
    一応、こちらでダイナマイトや解体に必要な道具は取り揃えておりますが。……まさかあの言葉に嘘偽りはありませんよねぇ?」ニヤニヤ


ドルキ (なるほど。俺に悪事の片棒を担がせようって魂胆か。もし断れば業界内でのバッシングでも企んでやがるだろうな……)


黒滝 「貴方もまっとうな経営者なら分かるでしょう? 綺麗事だけでは会社経営は成り立ちませんワ。必要なのは持ちつ持たれつの法則ですよ。
    これが上手く行けば、濁業會は日本イクスプロジア工業とより密接な関係を築きたいと重役も仰ってますし。
    必要であれば今からそちらの人員を呼んでくださっても構いませんよ?」


ドルキ (こんなクソつまらねえことでわざわざこの俺様を呼び出したなんて……ふざけた連中だ) イラッ

黒滝 「今日はその重役もいらしてましてね。まさかここまでお膳立てした濁業會に恥をかかせるなんてことはできませんよね?」

ドルキ (濁業會の重役か。一体どんなヤツが……?)

730 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 20:22:05.24 ID:d9Hll481P [42/70]
海の家店長 「……」

黒滝 「こちらが濁業會の重役である――」

ドルキ 「! てめえは昨日のテキ屋!」

海の家店長 「おっ、お前は……昨日のクソバイザー男!!」

黒滝 「……え?」

海の家店長 「黒滝オーナー! コイツ、テキ屋のしのぎを邪魔をしやがった野郎です!!」

黒滝 「何ですって!? そんな話、聞いてなかったわよ!?」

海の家店長 「も、申し訳ねえ! さっき話したのとは別に、昨日の夜にも実は……」

黒滝「今更言うな、この役立たずめ!」

731 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 20:27:26.16 ID:d9Hll481P [43/70]
ドルキ 「フン……。最初から何かクセーとは思ってたが、こんな三文芝居で俺をハメようとは浅はかな連中だ。
     そっちの野郎にせっかくお偉いさんっぽい格好させたのに残念だったな? テメェらのやろうとしてることはもう分かった。あばよ」


黒滝 「ま、待って! あなたも経営者なら分かるでしょう!? 時には汚い仕事も必要だって!」


ドルキ 「確かにそうだな。だが、俺は積極的に汚れ仕事を引き受けて手を汚すようなゲス経営者になったつもりはない。
     テメェらのように喜んで汚れ仕事をやるプライドの欠片もクソもねえ三流以下のチンピラどもは大嫌いなんだよ俺は」


黒滝 「ち……言わせておけば! おい! 何をボサッとしてる! 囲め! そいつを逃がすな!!」

ザッ……

ドルキ 「どけよ。俺はさっさと戻って残った仕事をしねえとならないんだ」

黒滝 「フフフ! 仕事ですって!? 馬鹿ね! アンタはもう逃げられないのよ!!」

海の家店長 「おいおめえら! コイツをさらって海に沈めちまえ!」

ゴロツキA 「昨日の借りは返すぜクソバイザー……!!」

ゴロツキB 「俺達もさっきよりは動けるようになってるぜ!」

ドルキ 「企みがバレた途端に今度は口封じか。クズどもが……また俺に掃除されてぇのか」 イライラ

735 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 20:36:06.37 ID:d9Hll481P [44/70]
海の家店長 「オーナー! コイツもサイキッカーです! 物を爆発させるタイプの……!」

黒滝 「……! なるほど。あの爆破迅速、火薬無用の言葉はまんざら嘘ではないようね? ズバリ、お前のバースト能力を謳ってたのかしら?」

ドルキ 「ほう、中々頭が回るな。……理解できたんなら止めとけ」

黒滝 「随分と……余裕ですわねぇッ!」ボッボッボッ!!

ドルキ 「ん……?」

黒滝 「指弾(フィンガー・ボム)!!」 ボッ

ドゴォッ!!

ドルキ 「っ!!」 ズザザザザ!!

黒滝 「先手必勝の理!! 思い知らせてやるワ!!」

741 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 20:44:00.47 ID:d9Hll481P [45/70]
ドルキ 「ちっ……。このクソ暑いのに着てきた、とびっきりの一張羅にこんな穴を……このクソアマが」 ギロッ


黒滝 「! ……少しはライズが出来るようね? でも今のは1発、しかもフルパワーじゃないのよ。
    一度耐えたからっていい気になるんじゃない!」


ドルキ 「だが、それ以上に腹が立つのはな。……この俺にクソつまらねえライズなんぞを使わせやがったことだ……!!」 ギリッ

黒滝 「今度はフルパワーで全弾まとめてお見舞いしてやるわ! そうすればアンタの身体は一瞬で穴だらけになる!!」

ドルキ 「人間は爆破しないとは言ったが……テメェらのようなゴミを始末するときは別だ」

黒滝 「お前がワタクシを始末するって!? ハン、まだ自分の置かれてる立場が分からないようね?
    死ぬのはアンタはの方なのよ! アンタはここでワタクシに敗れて惨めに死ぬのよッ!!」

プチン

ドルキ 「治療費は自分らで持てよ。……爆塵者」スウッ

黒滝 「!」 ダッ

カッ!! ドッゴオオオオオオオ!!

海の家店長 「ぎゃああああああ!」

744 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 20:48:49.71 ID:d9Hll481P [46/70]
パラパラパラ……

黒滝 「くうっ! なんてバーストを……!」

ドルキ 「フン。脆いな、木造のボロアパート以下だ」 スッ


黒滝 「でもこれくらいで勝った気になるのはまだ早いワ!!
    いくら威力がすさまじくとも、ワタクシのライズを捉えて当てることができないんじゃ意味がない!」


ドルキ 「……何を勘違いしているんだ? お前がかわしたんじゃない。俺がわざと外してやったんだ。気付かなかったのか?」

黒滝 「えっ?」

747 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 20:54:48.68 ID:d9Hll481P [47/70]
ドルキ 「キサマのようなヤツは……クソをクソほど浴びて死ぬのが相応しいと思ってな。そうだろうが?」

黒滝 「! ほざくなッ!! 幾多の修羅場をくぐってきたワタクシが、お前のような青瓢箪に負けるとでも――」

ドルキ 「クソ以下のお前だけは特別に……“これ”でカタをつけてやる」スッ

ゴゴゴゴ……

黒滝 「……な、何よ……この地鳴りは……ッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴ……

黒滝(!? 大気まで震えだして……!?)

748 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 20:58:26.07 ID:d9Hll481P [48/70]
ドルキ 「我が力“爆塵者”の終極を味わえ……」

黒滝 「ふ、ふん! 口先だけは一流のようね! そんなコケオドシにワタクシが怯むと――」

ドルキ 「爆塵者・星船形態」 ドドドドドド……

黒滝 「!!」

ズドドドドドドドドド…………!!!

749 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:01:09.96 ID:d9Hll481P [49/70]
ドルキ「……どうした? この姿を見て竦んだか?」

黒滝 「う……ッ! 見た目が変わったところで! ワタクシの指弾(フィンガー・ボム)で貫けないワケがッ!!」 ボッボッ

バシュウン!

黒滝 「!?」

ドルキ 「爆塵者・星船形態は攻防一体の要塞。お前が知っている軟弱なバーストとはワケが違うぞ」

黒滝 「ま、まさか!? 弾かれたの……? ワタクシの渾身の……!! フルパワー斉射の指弾(フィンガー・ボム)が!?」

ドルキ 「当然だ。バースト波動の極致たる爆塵者の前ではいかなるバーストも無力」

黒滝 「あ! ああああ……!! ありえない! こんな! こんなことって!! クソッ! クソッ!!」 ワナワナ

751 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:03:13.81 ID:d9Hll481P [50/70]
ドルキ 「最期に俺の名を覚えておけ。俺の名は……日本イクスプロジア工業の社長、ドルキ」

黒滝 「うるせえッ!! そんな弱小企業なんざ興味ねえッ!!」ダッ

ドルキ 「…………。いや、違うな。俺は……元・W.I.S.E第5星将ドルキだ」

黒滝 「死ねええええええええええええええええええ!!!!」 ボッボッボッ

ドッ

ズッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン!!!



バーリィ 「!!」

ネッカ 「!?」

オド 「……!」

アッシュ 「な、何だよ、今の爆音――」

デルボロ 「……俺が見てくる」

757 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:09:27.77 ID:d9Hll481P [51/70]
ザッ!!

デルボロ 「!! これは……!」

ドルキ 「! お前は確かスカージの……。ああ、勘違いするなよ。ここに転がってるのは濁業會というゴミ以下の連中だ」

デルボロ 「知っている。さっきウチの店に因縁をつけてきた連中だ。それより何故ここへ?」

ドルキ 「…………。たまたまだよ。たまたま」

デルボロ 「……」 スッ

ドルキ 「? ん?」

760 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:14:45.45 ID:d9Hll481P [52/70]
デルボロ 「あちらの海岸にはジュナス様ら、W.I.S.Eのメンバーが集まっている。挨拶の1つでもしてい――」

ドルキ 「……興味ねえな。俺はもうW.I.S.Eでも星将でもねえんだよ」

デルボロ 「……そうか」


――――
――


ザッザッザッ……

ドルキ 「……ちっ、気分悪いぜ。ヤニでも吹かして――」 スッ

カサッ

ドルキ「……?」

761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:20:39.37 ID:d9Hll481P [53/70]
――――
――

フレデリカ 「グラナー、遊びに来てやったわよ」

グラナ 「ん? おお。来てたのか、お前ら。遅かったじゃねえか」

カイル 「フブキねーちゃんが外に出してくれなくてよー。なあなあ、俺達と遊ぼうぜ? ビーチフラッグしようぜー!」

グラナ 「ああ、遊んでやりたいとこだがな……俺にはまだ仕事が――」

ポンッ

グラナ「弥勒……?」

弥勒 「海の家“わいず”は一時休憩だ」パタン

グラナ 「お前……」

遊坂 「行ってやれよ。ボスが良いって言ってんだ。俺達も休憩もらえるんだろ?」

弥勒 「もちろんだ」

764 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:26:20.30 ID:d9Hll481P [54/70]
グラナ 「おっしゃ、じゃあ遊ぶかァ!! ビーチフラッグっつったな?」

ウラヌス 「俺も混ぜてもらおうか、01号。どんな些細な勝負であれ……アンタには負けない」

シャオ 「僕もだ。いいよな? カイル」

カイル 「オッケー! ただし、PSIはナシな! ぜってー俺達が勝てなくなるから!!」

グラナ 「へッ……いいぜ。たまにはガチンコで勝負してやらぁ」ギュッ

シャイナ 「それじゃあ僕が審判をしましょう。位置について……よーい……ドン!!」

バッ!!

766 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:31:13.72 ID:d9Hll481P [55/70]
グラナ 「っしゃあ! もらッ――」

ボコッ!!

グラナ 「!? ぬああああああ!? お、落とし穴だとおおおおおおお!?」ズザザザザザ

シャイナ 「あ、僕のルールで勝手に落とし穴だらけにしておきました。足元は気をつけてくださいね」ニコッ

グラナ 「なにいいい!? くっそおおおおおおおお…………シャイナアアアアアアァァァァ……!!」ズザザザザ……

カイル 「深ッ! どんだけ掘ったんだよこれ!!」

シャイナ 「んー、ほんの50mくらいですかね。僕のテレポートなら一瞬ですし。もっと深くしますか?」

シャオ 「あ、あがってこれるんですかこれ……?」

シャイナ 「じゃあ、上から砂を落としてあげましょうか。埋まれば出てくるでしょう」ザッザッ


\コラー!! ウエカラ スナヲ オトスンジャネエヨ シャイナー!!/


シャイナ 「何か聞こえた気もしますが構いません。みんなでガンガン砂を落としてあげましょう」ザッザッ

ウラヌス 「よし! もらったぞッ!!」バッ

768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:36:17.89 ID:d9Hll481P [56/70]
ウラヌス 「ハァ……ハァ……!! や、やった!! 勝った! 勝ったぞ!! とうとう01号に勝っ――」

カイル 「……」ジー

シャオ 「……」ジー

ウラヌス 「?」

カイル (大人気ないよなぁウラヌスちゃん。全然空気読めてないし)ヒソヒソ

シャオ (何を必死になってるんだろう。見てて恥ずかしいな、この人)ヒソヒソ

シャイナ (大目に見てあげてください。グラナさんに勝つことだけがこの人の生きがいなんです)ヒソヒソ

ウラヌス 「……今回はノーコンテストでいい」ポイッ

772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:44:04.89 ID:d9Hll481P [57/70]
カプリコ 「ジュナスーひだりひだりー」

ジュナス 「ここか?」フラフラ

マリー 「あっ、行きすぎですジュナスさん! もうちょっと後ろへ……」

ジュナス 「後ろ……?」ヨタヨタ

フレデリカ 「あー、もう。また行きすぎよ。少しずつ動きなさいジュナス。スイカは逃げないんだから」

ジュナス 「……ああ。努力する」

遊坂 「すっかり両手に花だな。可愛い幼女たちに囲まれるのがお前の夢だったんだろう?」

ジュナス 「黙れ腹黒。集中力が乱れる」

773 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:47:52.32 ID:d9Hll481P [58/70]
ザプン ズズズ……

ヴィーゴ 「マ、マリー……砂風呂……してあげる……」

マリー 「キャーーー!?」ビクッ

ヴィーゴ 「驚かないで。まずは俺と話をしよ――」ガシッ

フレデリカ 「いきなり砂から湧いてきてマリーに触んなこの変態!!」

ヴィーゴ 「お前……。大人になってもペッタンコのままだな……。俺には分かる。美しくない……」

フレデリカ 「やかましいわボケェ!!」ブンッ

ズプッ

ヴィーゴ 「あ、当たらないよ♪」レロレロレロレロレロレロレロ

フレデリカ 「こいつムカつくー!!」

778 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:53:05.24 ID:d9Hll481P [59/70]
遊坂 「ハハハ。ヴィーゴの言うとおり、マリーはよく成長しそうだな。フレデリカは残念な――」

フレデリカ 「かましたれパイロクィーン!」ボッ!!

遊坂 「うおッ!? あちちちッ!! てめっ! アフロになんだろコラァ!」

マリー 「あああ……大丈夫ですか? 遊坂さん」


ジリッ……

ジュナス 「む……!? ここかッ!」バッ

カプリコ 「うーにー! ジュナスー! 違うよそこは――」

メコッ!!

ヴィーゴ 「ガッ……! かァ……ッ!」ズブズブズブ……

ジュナス 「! しまった……! ヴィーゴだったのか!? ヴァン! キュアを頼む!!」

ヴァン 「うー」トテトテトテ

遊坂 「お……俺にも頼む……ぜ……ヴァン……」ガクッ

780 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 21:58:41.13 ID:d9Hll481P [60/70]
弥勒 「……」

??? 「もし。カキ氷をもらえんか?」

弥勒 「すいませんね。今は休憩中で店を閉めて――」

エルモア 「何じゃい。ケチケチしとるのお」

弥勒 「! アンタは……」

エルモア 「ほっほっほ。今日は子供らの引率じゃよ」

弥勒 「フ……そうか。なら特別に俺が削ろう」

ガリガリガリ……ポンッ トプトプトプ……

弥勒 「300円な」

エルモア 「こんな年寄りからでも金は取るんかい……ちゃっかりしとるわ」パチッ

弥勒 「大金持ちなんだろ? アンタこそ300円くらいでケチケチするなよバーさん」

エルモア 「生意気じゃのう」チャリン


781 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 22:03:19.92 ID:d9Hll481P [61/70]
ザッ……

ドルキ 「……」

ミスラ 「……やはり戻ってきましたか、爆塵者」

ドルキ 「へっ、少し暇ができたから顔を出しにきてやっただけだ。勘違いすんな」

ミスラ 「そうかい。わざわざグラナから受け取ったビラをそのポケットに隠して?」

ドルキ 「……! けっ、やっぱりお前に隠し事なんて出来ねえな」 カサッ

ミスラ 「でも来てくれて嬉しいよボクは。ホントに久しぶりだ」

ドルキ 「そんなしおらしいことを言えば俺がこの貧乏組織に戻るとでも思ってんのか?」

ミスラ 「まさか。イチ企業の社長である男がそんな馬鹿な真似はしないだろう?」

ドルキ 「違いねえ。……じゃあちょっくら他の連中に顔出したら帰るわ。じゃあな」

ザッザッ……

ミスラ 「あの部屋はそのままにしてあるよ。……キミが居なくなった時のままにね」

ドルキ 「……! ……フン」ボムッ スパー……

782 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 22:07:43.54 ID:d9Hll481P [62/70]
――――
――

ミスラ 「このままだと何事もなくハッピーエンドだね」

弥勒 「ああ」

ミスラ 「何か面白いオチが欲しいとは思わないかい?」

弥勒 「フ……たまにはオチがつかない。そんなエンドがあってもいいんじゃないか?」

ミスラ 「……そうかも知れないね」

弥勒 「それじゃあ俺も少し泳いでくるか」 ヌギヌギ

ミスラ 「でもだからといって全裸になるのは止めてほしいな?」

弥勒 「こまけぇこたぁいいんだよ! エビバディエンジョーイ!!」 ダッ

ミスラ 「やれやれ……。ま、今回は楽しかったし大目に見ておこうか」

791 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 22:17:21.47 ID:d9Hll481P [63/70]
おわったおわった
書いてて気付いたんだけど今回ちょっと長すぎたね

読んでくれてありがとう。保守も支援も助かった
さるさんくらいまくったけど書ききれてよかったよ

798 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 22:19:01.44 ID:d9Hll481P [64/70]
いやちょっと待った
この長さでこのオチは酷すぎるな
もうちょっと綺麗に片付きそうなの少し書いてくる

815 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 23:05:24.71 ID:d9Hll481P [65/70]
―エルモア邸・ヴァンの部屋―


ヴァン 「……」カリカリ


今でもこの季節になると思い出す。そう、あの夏の日のことを。
シャオはマリーの水着姿ばかり見ていたなぁ。あんな小さい頃から……もー。あのスケベ。
そんなマリーも今やナイスバディの乙女になった。そのせいでシャオはいつも目のやり場に困ってる。
それに対し、当時セクシー・ローズを自称していたフレデリカは……うん、まあ、ここは察してほしい。


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あの時、海の家“わいず”に行って思ったことは
やはりW.I.S.Eの人達は根っからの悪人だという訳ではないんだということだ。
ああやって僕達にも優しく接してくれたし、僕達も心を開いて接することが出来たんだから。
あの人達が人類滅亡を企んでるなんて何かの間違いだったんだ。少なくとも僕はそう信じたい。

816 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 23:06:43.08 ID:d9Hll481P [66/70]
あの夏から10年。おばあ様はまだまだ元気だ。この前なんて
「ワシを年寄り扱いしおって! まだまだモウロクしとらんわ!」とカイルを一喝していたなあ。
でも、僕達はみんなそれが嬉しいんだ。おばあ様が元気に毎日を永らえてくれることが――

アゲハさんらも普通の日常に戻った。グラナさんらと初めて出会った時はもう色々と大変で……
ここに書きたいがそれはまた別の機会にしよう。結論だけ言えば和解できたんだけどね。


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そうそう。今ではW.I.S.Eは人類を助ける巨大なサイキッカー組織として活動を広げている。
あの後、日本イクスプロジア工業という会社がW.I.S.Eのスポンサーとなったのだ。
莫大な資金と優秀な人材を得たW.I.S.Eが成長するまでに時間はかからなかった。

だけど僕達だって負けてられない。
僕は今、エルモア創立総合病院“天の樹”に医者として務め、人々を癒している。

819 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 23:08:49.49 ID:d9Hll481P [67/70]
そして今日――久しぶりの交流会。もちろん、エルモア・ウッドとW.I.S.Eの。弥勒さんやミスラさん……
話したいことは山ほどあるんだ。弥勒さんはあの夏、逮捕されたんだっけ。露出癖は今も変わらずだろうか。
スカージのみなさんも何でかんでであれからもずっとW.I.S.Eに務めている。もちろん上司はジュナスさんだ。

マリーなんかグラナさんに会ったら泣きながら抱きついてしまうかもしれない。
それを見たシャオは複雑そうな顔をするんだろうなぁ。

カイルは遊坂さんにカブトムシのことを言い出すかな?遊坂さんの頭はフレデリカに燃やされて以来、
縮れ毛しか生えてこなくなったんだとか。さすがにボクのキュアでも治せないかなー


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フレデリカは案外、ヴィーゴさんと気が合うのかも。あの海での出来事を見るとどうしても、ね。
ジュナスさんとカプリコさんはもう恋人同士になってるだろうか。愛に年の差なんて関係ないんだ。

ウラヌスちゃ……ウラヌスさんはやはりこの暑い夏でもマフラーを巻いて来るかな?
あれからグラナさんとの勝負はどうなったんだろう。とても気になっている。

シャイナさんはすっかり毒気が抜けたってグラナさんからの手紙に書いてあったなぁ。
あの手紙を受け取った時は『まさかあの人が……』と驚いたものだ。
新たなメンバーに加わったというドルキさんという人に会うのも楽しみだ。うん。

さて。この続きは帰ってきてから記すことにしよう。
エルモア・ウッドとW.I.S.E……僕達が争う必要なんて無かったんだ。そう、最初から――――

822 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 23:10:42.00 ID:d9Hll481P [68/70]





ヴァン「……おわり!」 パタン


コメント

No title

イイハナシダナー
普通に面白かった
つかPHYRENそろそろ終わりそうだよな

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