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唯「うるとら!」3
唯「うるとら!」
唯「うるとら!」2
唯「うるとら!」2
177 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 22:57:46.45 ID:MXadDQAO [2/17]
唯「おはよー」
律「おっはー」
澪「古っ!」
律「今日は遅刻しないでこれたな」
唯「へへーん」
唯「私はやればできる子なんだよ」
紬「あらあら」
澪「でも遅刻じゃないだけでかなりギリギリだけどな」
律「今日、休み多いから唯も休みかと思って心配したんだぞ」
唯「今日休み多いの?」
紬「ええ。立花さんに高橋さん、それに三浦さんと山本さんがお休みなの」
唯「へぇー」
唯「ってそういえば、姫子ちゃんって最近ずっと休んでるね」
澪「確かに」
ガラッ
さわ子「はーい、HR始めるわよー」
178 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:03:17.26 ID:MXadDQAO [3/17]
――――――――――――――――――
――――――――――――――
さわ子「今日の連絡はそんなところです」
みんな「はーい」
さわ子「あ。田井中さん、平沢さん、琴吹さん、秋山さんの4人は」
さわ子「用事があるからこの後ちょっと音楽室に来てちょうだい」
律「え? 私たち?」
さわ子「そうよ。よろしくね」
さわ子「それじゃ、HRはこれでおしまい」
キリーッ レー アートーゴザマシター
179 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:08:39.66 ID:MXadDQAO [4/17]
律「呼ばれて飛び出て来たのはいいけど……」
唯「誰もいないねー」
ガチャッ
律「! せんせ……
梓「失礼しまー……って先輩!?」
唯「あずにゃん!」
梓「あ、あれ? 先輩、なんでこんなとこに?」
キーンコーンカーンコーン
唯「あ。授業始まっちゃった」
澪「私たちはさわ子先生に呼ばれて来たんだけど」
紬「梓ちゃんもなの?」
梓「あ、はい。そうです」
澪「……軽音部集めて一体何をする気なんだ?」
ガチャッ
180 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:10:09.13 ID:MXadDQAO [5/17]
さわ子「みんな揃ったわね」
律「さわちゃん!」
唯「授業始まっちゃったけど用事ってなにー?」
さわ子「ええ。順を追って説明するからちょっと待ってね」
さわ子「まず、今日からみんなにはしばらく学校は休んでもらうわ」
澪「はぁ!?」
紬「な、なんでですか!」
さわ子「ここ最近、桜ヶ丘で失踪事件が相次いでるのは知ってる?」
唯「失踪事件?」
181 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:13:05.42 ID:MXadDQAO [6/17]
律「ニュースでもやってるじゃん」
唯「え? そうなの?」
梓「そうですよ」
梓「なんでも、これまで3件で40人も蒸発してる前代未聞の集団失踪事件だとか」
唯「へぇー」
澪「それでその失踪事件がどうかしたんですか?」
さわ子「ええ。その失踪事件がね」
さわ子「エイリアンの手によるものだと判明したの」
182 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:15:41.97 ID:MXadDQAO [7/17]
みんな「エイリアン!?」
さわ子「そうよ」
紬「じゃあエイリアンが人々をさらってるって言うんですか?」
澪「一体何のために……」
さわ子「それも含めてみんなに調査をしてほしいのよ」
律「なるほど。それで学校を休め、と」
さわ子「そういうこと」
唯「でも手がかりもなしに調査なんて……」
さわ子「被害者の名簿や情報はあるからそれを手がかりに調査してちょうだい」
さわ子「それと」
梓「それと?」
さわ子「被害者の1人が失踪の直前に周囲にこう言ってたそうよ」
さわ子「『私は"船"に乗るんだ』って」
183 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:21:56.95 ID:MXadDQAO [8/17]
紬「船、ですか?」
律「それってフェリーとかそういうの?」
さわ子「それはわからないわ」
澪「ふーん」
唯「……」
梓「唯先輩、どうかしたんですか?」
唯「え、あ。うん、ちょっとね」
律「ちょっとどうしたんだよ」
唯「ちょっと心当たりが、ね……」
さわ子「ええっ!」
紬「一体どんな心当たりが?」
唯「あ、いや。確実な心当たりでもないし」
唯「私、ちょっと別行動してもいいかな?」
律「その心当たりについて調べたいのか」
唯「うん」
澪「いいんじゃないか?」
澪「被害者名簿だけじゃ手がかりとしては弱いし」
澪「調べられるものがあるならなんでも調べた方がいいよ」
唯「ありがとう、澪ちゃん!」
184 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:24:15.01 ID:MXadDQAO [9/17]
律「よーし」
律「調査、始めるか!」
みんな「おーっ!」
唯「じゃあ私、ちょっと外で調べてくね」
律「おう、いってらっしゃい」
ガチャッ
さわ子「それじゃ被害者の名簿、渡しとくわね」
紬「あ、はい」
律「へぇー、こんなにいるのか」パラパラ
梓「会社員から学生まで、まさに多種多様ですね」
澪「……ん? 律、ちょっとストップ」
律「え?」
澪「……」
澪「……先生」
さわ子「なに?」
澪「ここに書いてある高橋風子って……」
さわ子「……ええ。うちのクラスの高橋さんよ」
律澪紬「!」
185 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:28:06.70 ID:MXadDQAO [10/17]
さわ子「ちなみに"船"の話をしていたというのも高橋さんよ」
澪「そ、そんな……」
さわ子「気持ちはわかるけどここでグダグダしてても始まらないわ」
さわ子「私はもう行くけど、調査頑張ってね」
ガチャッ バタン
紬「……さっそく始めましょう」
律「そうだな」
律「とりあえず、私と澪は高橋さんちに行ってみる」
律「その名簿を元に被害者の共通点とかを探してみてくれ」
梓「はい」
紬「わかったわ」
186 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:28:41.76 ID:MXadDQAO [11/17]
唯「私が単独調査なんていつぶりだろう」テクテク
唯「……」テクテク
唯(……あれは、2週間前だったかな?)テケテク
唯『お腹がなくから帰ろ~♪』テクテク
唯『……あれ?』
姫子『……』スタスタ
唯『あ、姫子ちゃんだ』
唯『おーい、姫子ちゃ――ん!』
姫子『! ……平沢さん?』
唯『あー、やっぱり姫子ちゃんだ』
唯『今日学校休んでたよね? どうしたの?』
姫子『別に何も……』
唯『ふーん』
187 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:31:49.35 ID:MXadDQAO [12/17]
唯『じゃあ体調とかは大丈夫なんだ?』
姫子『まあね』
唯『良かったぁ。安心したから私、帰るね』
姫子『あぁ、そう……』
唯『バイバーイ!』テクテク
姫子『……』
唯『~♪』テクテク
姫子『……平沢さん!』
唯『?』
姫子『ちょっと話があるんだけど』
唯『なに?』
姫子『……』
唯『?』
姫子『……"船"に、乗ってみない?』
唯『船?』
唯(……あの時は特に興味ないって言って別れたけど)テクテク
唯(姫子ちゃんが言ってた船ってこの事件に関係あるに違いないよ)テクテク
唯(だから姫子ちゃんを探し出せれば、きっと……)テクテク
188 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:33:37.44 ID:MXadDQAO [13/17]
梓「はぁー」
紬「ため息なんてついちゃって」
梓「でも、ムギ先輩」
梓「この名簿、どんなに眺めたって被害者の共通点1つ上がってこないんですよ?」
紬「それはそうなんだけどねえ」
梓「名簿に従って被害者について聞き込みしたって」
梓「みんな口を揃えて『勤勉で優等生タイプだった』なんて」
梓「そんないらないところで共通項発揮されても困ります!」
紬「私に怒られたって、私が困るわ」
189 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:35:19.14 ID:MXadDQAO [14/17]
梓「こうなれば」
紬「こうなれば?」
梓「被害者の動きを完全に監視してやりましょう!」
紬「……え?」
梓「ほら、このNo.027のマサキ ケイゴさん」
梓「この人が勤めてる会社ってセキュリティーが厳しいことで有名なんですよ」
梓「だからその会社に行って……」
紬「監視カメラの映像を見せてもらうのね!」
梓「はい!」
だがしかし
一介の女子高生風情に会社が監視カメラの映像を提供するわけもなく
紬の実家の介入(わいr)がある、これから90分後まで2人は立ち往生するハメになったのだった
190 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:36:02.05 ID:MXadDQAO [15/17]
律「ぬゃー!」
澪「……どんな発音だ、それ」
律「まさか高橋さんちがこんなに遠いとは……」
澪「そうは言ってももう着くんだけどな」
律「あのマンションに住んでるんだっけ?」
澪「名簿ではそうなってた」
律「ふーん」
澪「……ここだ。この部屋だ」
律「よし。いくぞ」
ピンポーン
191 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:37:22.81 ID:MXadDQAO [16/17]
シーン
澪「……」
律「……む」
ピンポーン ピンポピンポピンポピーンポーン
澪「人んちのチャイムで遊ぶな!」スパーン
律「あいてーっ!」
澪「まったく、律は幼稚なんだから」
律「だ、だって誰も出ないからさー」
澪「当然だよ。高橋さんは1人暮らしだったんだから」
律「……それを先に言えよ!」
澪「さ、管理人さんとこ行って鍵借りてこよ」
律「仕切るなよ!」
194 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:55:17.54 ID:WG0r.sAO [1/7]
すまない。書き方が悪かった
高橋さんは"船"のことをクラスメイトとかに話してたわけじゃなくて
"船"乗り場への移動中にタクシーの運ちゃんとかに"船"の話をしていたと考えてくださいな
195 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:55:49.46 ID:WG0r.sAO [2/7]
ガチャリ
澪「これが高橋さんの部屋か」
律「なんか散らかってるな……」
澪「いや、これは散らかってるというより……」
澪「テレビもパソコンもつけっぱなしで」
澪「ペットボトルのふたは開きっぱなしだし」
澪「慌てて飛び出して部屋がそのままって感じじゃないか?」
律「なるほど言われてみれば」
澪「うーん……」
律「?」
196 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:56:19.19 ID:WG0r.sAO [3/7]
唯「……」テクテク
唯「……」テクテ…
唯「……ここだ。この交差点で姫子ちゃんと最後に話したんだ」
唯「……」
唯「……とはいえそう都合よく姫子ちゃんが現れるわけもない、か」
唯「……」
唯「……!」
姫子「……」スタスタ
唯「姫子ちゃん!」
197 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:57:16.97 ID:WG0r.sAO [4/7]
姫子「あれ、平沢さん。また会ったね」
唯「うん。久しぶりー」
唯「ところで姫子ちゃん」
姫子「?」
唯「ちょっと話があるんだけど」
姫子「なに?」
唯「……」
姫子「?」
唯「……"船"について、聞かせてくれない?」
姫子「……ふーん」
姫子「いいよ。教えてあげる」
198 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:58:05.97 ID:WG0r.sAO [5/7]
姫子「なんでも聞いてよ」
姫子「興味があるなら乗せてあげてもいいよ」
唯「……」
唯「……"船"って一体なんなの?」
唯「どうして、"船"は、みんなをさらうの?」
姫子「あーそうきたかー」
唯「答えて!」
姫子「……平沢さん」
唯「なに?」
姫子「平沢さんは誤解してるよ」
唯「えっ?」
姫子「"船"は人々を連れ去るんじゃない」
姫子「"船"を望む人のために"船"は来るんだ」
199 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:58:40.55 ID:WG0r.sAO [6/7]
梓「……」
紬「……」
梓「……」
紬「……」
梓「……ムギ先輩」
紬「なに?」
梓「せっかく手に入れたビデオですけど、無駄足な感じがプンプンします」
紬「ふふふ。私も同じ感想よ」
梓「……」
紬「……」
梓「……真面目ですね、マサキさん」
紬「そうね」
梓「……」
紬「……」
梓紬「……はぁ」
200 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:59:48.52 ID:WG0r.sAO [7/7]
澪「集団失踪は計3回起こってるけど」
澪「当然被害者は1カ所に集められ、何者かに連れ去られたわけだ」
律「今回、その何者かがエイリアンだってわかったから私たちが駆り出されたんだよな」
澪「うん」
澪「それでさ」
澪「被害者がみんな1カ所に集められてるってことは」
澪「連れ去ったエイリアン側から被害者に何か連絡とかそういう指令みたいなのがあったと思うんだ」
律「なるほど」
澪「でもな」
律「うん?」
201 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:01:40.20 ID:ALzfXEAO [1/37]
澪「さっきこの部屋見て、"慌てて飛び出した"って言ったよな?」
律「ああ、言った」
澪「だとしたら」
澪「高橋さんは集合の直前に何らかのメッセージを、この部屋で受け取ったと考えるべきだ」
澪「急いでその場所に向かわないといけない脅し文句とか」
澪「あるいは催眠効果を持つようなメッセージをね」
律「うんうん」
澪「それで、その高橋さんは慌てて部屋を飛び出したわけだからさ」
律「だから?」
澪「エイリアンからのメッセージの痕跡をこの部屋に残していった」
澪「こんな可能性は十分に考えられるんじゃないかな、リツソン君?」
律「さすが、ホームズ。名推理だ」
202 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:03:08.39 ID:ALzfXEAO [2/37]
律「で、なんか見つかった?」カタカタ
澪「なんにも」ガサガサ
律「……しかし最近はすごいねぇ」カタカタ
澪「どうした突然」ガサガサ
律「いやね、パソコン触ってて思ったんだけどさ」カタカタ
律「最近はさ」カタカタ
律「パソコン使えばボタン1つで"おすすめの曲"なんてのは表示されるわ」カタカタ
律「コンピューターが生活習慣をチェックして」カタカタ
律「各々必要な栄養素やそのためのサプリメントを教えてくれるわ」
律「人との触れ合いの少ない"孤独な人"が増えたとあれば」カタカタ
律「政府が音頭をとってペットを飼うよう推奨するわ」カタカタ
律「ものすごい便利な世の中じゃん」カタカタ
澪「そうだな」ガサガサ
律「こういうのが"健康で幸福な生活"、ユートピアを作るのかと思うと感慨深くて仕方ないのさ」カタカタ
澪「ふーん……」ガサガサ
澪「私には、ただお節介なだけにしか思えないけどな」ガサガサ
律「そんなもんかい」カタカタ
203 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:04:07.02 ID:ALzfXEAO [3/37]
唯「望む人の、ために……?」
唯「それってどういうこと、姫子ちゃん?」
姫子「どうもこうもそのままだよ」
姫子「"船"に乗りたいと思う人の前に"船"は現れる」
姫子「あなたも気付いてないだけで」
姫子「心の底では"船"に乗りたいと思ってるのかもしれないよ?」
唯「……変なこと言わないで!」
唯「"船"は実際に人をさらってるんだよ!」
姫子「だから違う……ってもう話しても意味ないか」
姫子「まだこの世界には"船"を望む人が大勢いるんだ」
姫子「私にはやることが山のようにあるんだよ」
姫子「これ以上時間を無駄にはできない」
唯「えっ」
姫子「バイバイ、平沢さん」ダッ
唯「ま、待って!」ダッ
結局
唯は姫子を捕らえることはできなかった
その後、3日間探し歩いたが姫子を見つけるには至らなかった
204 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:04:42.74 ID:ALzfXEAO [4/37]
――――――――――――――――――
――――――――――――――
律「3日経ったわけだ」
唯「うん」
律「一旦途中経過の報告会をしようと思って召集を掛けたわけだ」
紬「ふーん」
律「もちろん澪の提案なわけだ」
梓「律先輩、気持ち悪いです」
律「んなっ!?」
澪「同感」
律「……まあいいや」
律「とりあえず、わかったことを報告してくれ」
205 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:05:08.25 ID:ALzfXEAO [5/37]
紬「私たちは名簿を元に聞き込み中心にやってみたんだけど」
梓「被害者にこれといった共通点は見つかりませんでした」
梓「強いて言えばみんな真面目な人間だったというくらいですね」
律「ふーん」
紬「りっちゃんたちは?」
律「私たちは高橋さんちに行って家捜ししたあと他の被害者の家をいくつか回ったけど」
澪「特に手がかりらしきものはなかったよ」
澪「ただ」
梓「ただ?」
澪「いくつかの家ではテレビがつけっぱなしで家主が慌てて飛び出した感じだったのが気になったかな」
梓「はぁ」
律「唯は?」
唯「あ、うん」
206 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:06:17.80 ID:ALzfXEAO [6/37]
唯「私は、姫子ちゃんに会ってきた」
律「姫子って、……立花さんか?」
唯「うん」
澪「一体どうして?」
唯「実はね――――――
207 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:06:47.39 ID:ALzfXEAO [7/37]
律「な、なるほど」
澪「立花さん、ここ最近学校休んでたから何してるのかと思ったら……」
紬「エイリアンと通じていたのね……」
唯「多分」
梓「"船"を望む人のために"船"は来る、ですか……」
唯「姫子ちゃんが言うには、だけどね」
梓「じゃあ、みんな自分から"船"に乗って行ってしまうんですか?」
唯「まあ、そうなるね」
梓「……」
梓「……私には、そんな風にこの世界から出て行こうとする人の気持ちがわかりません」
唯「……」
208 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:07:58.47 ID:ALzfXEAO [8/37]
紬「気になったんだけど」
澪「?」
紬「被害者の家のテレビの電源は切られていなかったのよね?」
澪「うん。つけっぱなしのサンドノイズだった」
紬「サンドノイズ……」
律「それがどうかした?」
紬「サンドノイズってことはそのテレビは空きチャンネルに合わせてあったってことよ」
唯「うん」
紬「そしたら」
紬「エイリアンからのメッセージはその空きチャンネルに向けて発信されていたんじゃないかしら?」
梓「あ!」
澪「そうか!」
律「……よし!」
律「そのチャンネルに不審な電波が発信されていなかったか、和に調べてもらおう」
209 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:09:01.00 ID:ALzfXEAO [9/37]
和に調査を依頼して3時間が過ぎた
日は既に沈みかけ街は夜に包まれようとしていた
澪「和、遅いな……」
紬「そうね」
ウーチュウー ケイビノー タイチョウハー♪
律「電話だ!」
唯「和ちゃんから?」
律「ああ!」
ピッ
律「何かわかったのか?」
和『ええ』
和『確かに集団失踪が起こった日、その空きチャンネルに不審な電波が発信されているわ』
和『発信源はB地区第3ブロックL77ポイントよ』
律「サンキュー、和!」
ピッ
律「エイリアンからのメッセージ電波の発信源がわかった」
律「急行するぞ!」
210 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:10:23.55 ID:ALzfXEAO [10/37]
――――――――――――――――――
―――――――――――――
唯「ここなの?」
律「ああ、このアパートの404号室だ」
律「よーし……。突入!」
ドタバタドタバタ
シーン
唯「……あ、あれ?」
紬「誰もいないわ」
律「そ、そんな……」
梓「立花先輩には逃げられたみたいですね」
澪「もぬけの殻、だもんな」
律「……ちっくしょ!」
211 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:11:23.05 ID:ALzfXEAO [11/37]
部室
律「日は暮れるわ、手がかりがなくなるわ、踏んだり蹴ったりだな……」
紬「明日になったらまた聞き込みから始めないとダメね」
律「くっそー……」
梓「唯先輩」
唯「なに?」
梓「気になったんですけど」
梓「その立花先輩ってどんな人だったんですか?」
唯「……うーん」
唯「ちょっと不良っぽい見た目だったけど、根はすっごくいい人だったよ」
梓「へぇー」
唯「先生への挨拶はいつも欠かさなかったし、遅刻も全然しなかったし」
唯「本当はすっごく真面目なんだと思う」
梓「真面目、ですか」
唯「うん」
212 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:12:29.51 ID:ALzfXEAO [12/37]
律「……そういえばさ」
澪「うん」
律「高橋さんちでユートピアがどうとか言ったじゃん」
澪「言ったなぁ」
律「あれとおんなじ話題を立花さんに振ったのを思い出したよ」
澪「へぇー。なんて言ってたんだ?」
律「えっとねー」
213 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:12:57.51 ID:ALzfXEAO [13/37]
――――――――――――――――――――――――――――
姫子『それってさ。情報が氾濫して、個人が世界に管理されてるだけじゃん』
律『そう?』
姫子『そうだよ』
姫子『この世界は、そんな健康的で幸福であるための処方箋に溢れてるんだ』
姫子『模範的な幸福に近づくために、モニターを通して絶え間なく処方箋が送られてくる』
律『処方箋……?』
姫子『そう』
姫子『サプリメントを指示するコンピューターにしろペットを勧める政府にしろ』
姫子『健康とは、幸せとはこうあるべきっていう"幸福のお手本"を提示して、強要してるんだ』
姫子『示される通りの幸福を実感できない者は』
姫子『まるで不治の病であるかのようにね』
律『ふーん……』
214 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:15:45.36 ID:ALzfXEAO [14/37]
――――――――――――――――――――――――――――
澪「今日のところは一旦解散しないか?」
律「そうだな……」
ウルトラ キョウダイ ナーンバーワーン♪
律「おっ」
唯「また電話?」
梓「こんな夜中に、人気者ですね」
律「こんな時だけ人気者になっても嬉しくないし」
ピッ
律「もしもし」
和『律? 今すぐテレビをつけて!』
和『例のチャンネルにあの電波が送信されているわ!』
律「……なんだって!」
215 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:16:50.93 ID:ALzfXEAO [15/37]
律「澪、すぐにテレビを!」
澪「わかった」
ポチッ
……ザー ザー ザー ザー ザー――――――
梓「……サンドノイズですね」
律「そ、そんな馬鹿な……」
紬「電波は本当に送信されてるの?」
律「和が嘘ついたりミスしたりするとは思えないよ」
澪「でもサンドノイズでどうやって人々を誘き出すんだ?」
唯「……」
唯(……誘き出したんじゃない。少なくとも姫子ちゃんはそう思ってる)
唯「……」
216 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:17:31.48 ID:ALzfXEAO [16/37]
唯「……」
姫子『心の底では"船"に乗りたいと思ってるのかもしれないよ?』
唯(心の底 ……!)
唯「……サブリミナル」
律「えっ?」
唯「サブリミナルだよ、りっちゃん!」
律「サブリミナル?」
唯「そうだよ!」
唯「サブリミナルは心の底、潜在意識に直接働きかける……」
唯「このチャンネルでエイリアンからのメッセージを受け取って、"船"に乗って行く人々は」
唯「潜在的にこの世界から抜け出したいと強く願ってた人々だけなんだよ!」
紬「なるほど!」
梓「"船"を望む人のために、"船"は来る。嘘じゃなかったってことですか……」
217 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:18:08.73 ID:ALzfXEAO [17/37]
澪「ちょっと待って」
澪「これが本当にサブリミナルだとしたら」
澪「このメッセージを解読するには、電波の発信源を特定しなくちゃいけないぞ」
律「それなら大丈夫」
澪「え?」
律「今、和から追加の連絡が入ったよ」
律「発信源はA地区第4ブロックD51ポイント、だそうだ」
澪「この近くじゃないか」
梓「すぐ行きましょう!」
律「当然!」
唯(そこに姫子ちゃんも……)
紬「唯ちゃん、行くよ?」
唯「……うん」
218 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:18:42.36 ID:ALzfXEAO [18/37]
律「よし。この倉庫だな」
律「全員、ディバイトランチャーは持ったか?」
澪「ああ、大丈夫」
律「よーし……。突入――!」
ドタバタドタバタ――――
シーン
律「……またかよ!」
梓「またですね」
唯「姫子ちゃん、逃げ足早い……」
澪「……ん?」
紬「どうかした?」
澪「なあムギ、あのパソコンみたいなやつって……」
紬「……!」
219 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:21:21.63 ID:ALzfXEAO [19/37]
澪「…………」ヒソヒソ
紬「…………!」ボソボソ
律「ん?」
律「おふたりさーん。なにこそこそやってんのー?」
澪「……うん」
澪「みんな、聞いてくれ」
紬「このパソコン地球のものじゃないわ!」
律「へっ?」
唯「……じゃ、じゃあ!」
梓「この機械からメッセージが送信されてるんですね」
澪「そうだ」
律「!」
220 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:23:12.40 ID:ALzfXEAO [20/37]
律「じゃあ、今んとこ悪いのはこの機械か」
澪「ああ」
律「こいつのせいでみんなさらわれるのか……!」
ガシャッ
律「このっ! ぶっ壊してやる!!」
唯「ええっ!?」
澪「ちょ、ちょっと待て、律! 銃を下ろせ!」
律「何で止める!」
律「今この瞬間もこの機械から不特定多数に向けてメッセージが発信されてるんだ」
律「またたくさんの人がエイリアンに連れて行かれようとしてるんだぞ!」
律「私には、許せない!!」
澪「そんなのはわかってる!!」
澪「でも、今この機械を破壊すれば送られているメッセージがわからなくなるんだ!」
澪「送信されてるサブリミナルのパルスを解析しないと!」
澪「いつどこに"船"が来るのかがわからないんだよ!!」
律「……」
澪「気持ちはわかるけど今は我慢してくれ」
律「ちくしょう……」
律「……ちっくしょお!!」ガシャン
221 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:24:06.99 ID:ALzfXEAO [21/37]
唯「……あ」
唯(パソコンの手元にコーヒー……)
唯(コーヒーがないと夜更かしできないなんて姫子ちゃんもまだまだ子どm……あれ?」
唯「このコーヒー、まだ温かい……」
唯「……」
唯「……姫子ちゃんはまだこの近くにいるんだ!」
梓「ホントですか!?」
唯「りっちゃん!」
律「……わかった」
律「私と澪、ムギはここに残ってサブリミナルのパルスを解析する」
律「唯と梓は二手に別れて立花さんを探してくれ!」
唯「うん!」
梓「了解です」
222 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:25:17.68 ID:ALzfXEAO [22/37]
―――――――――――――――――――――
――――――――――――――
唯「はぁっ……はぁっ……」タッタッタッタッ
唯「姫子ちゃん……」タッタッタッタッ
唯「…………はぁっ……」タッタッタッタッ
唯「きっとまた、あの交差点に……」タッタッタッタッ
唯「……」タッタッタッタッ
唯「……はぁっ……」タッタッタッタッ
唯「……」タッタッタッタッ
唯「……!」タッタ…
姫子「やっほー。また会ったね、平沢さん」
唯「……姫子、ちゃん」
223 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:26:08.19 ID:ALzfXEAO [23/37]
澪「……」カタカタ
紬「……」カタカタ
律「どう? 解析できそう?」
紬「ええ。それほど難しいパルスじゃないみたい」カタカタ
澪「そうだな」カタカタ
律「……」
律「……私、何すればいい?」
澪「黙っててくれればそれでいいよ」カタカタ
律「あ、うん」
紬「……」カタカタ
澪「……」カタカタ
律「……」
紬「……よしっ!」ターンッ!
澪「"船"の来る場所、時間がわかったぞ!」
律「ホントか!」
紬「A地区第4ブロックR2ポイントの河川敷ね」
澪「時間は午前3時だ」
律「わかった。すぐさわちゃんたちに連絡する!」
224 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:28:20.46 ID:ALzfXEAO [24/37]
唯「姫子ちゃん、もう終わりにしようよ」
姫子「……うーん。その感じからすると平沢さんはまだ誤解してるよね」
姫子「私は、人々を無理やり連れ去ってるワケじゃない」
姫子「"船"からのメッセージを伝えてるだけだよ」
姫子「それを本当に必要とする人にだけ届くように」
唯「……」
唯「……なら」
唯「1個だけ教えて」
姫子「なに?」
唯「"船"に乗った人たちはどうしてこの世界を捨てていくの?」
唯「あの人たちにとって、この世界はそんなにも価値のないものだったの?」
姫子「……」
姫子「……その逆だよ、平沢さん」
唯「逆?」
225 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:30:14.13 ID:ALzfXEAO [25/37]
姫子「彼らは、誰よりもこの世界を信じたんだよ」
姫子「彼らは信じた。この世界の提示する幸福を」
姫子「少しでもそれに近づこうと精一杯努力してきた」
唯「……」
姫子「本当は自分がどんなものが好きで何がしたいのか……、一度も考えるいとまもないほど懸命にね」
姫子「けれど、努力すればするほど自分が希薄になって自分自身が見えなくなっていく」
姫子「そしてあるときこう思うの。『ここにいるのは、本当の私なのか』……」
唯「……」
姫子「だけど、世界は彼らの問いに答えてはくれない」
姫子「……船は彼らに呼びかけるだけだよ――――
226 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:33:36.06 ID:ALzfXEAO [26/37]
紬「……このパルス、"船"が来る時間や場所を伝えてるだけじゃないわね」
澪「ああ。何か別のメッセージも送信されてる」
律「それの解析はできるのか?」
澪「やってるみる」カタカタ
―――――――――――――――――――――
――――――――――――――
澪「できた!」
律「おお!」
紬「今、画面に表示するわ」
228 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:35:01.16 ID:ALzfXEAO [27/37]
『帰ろう、まだ見ぬ故郷へ』
『そこで待っているのは本当の私』
229 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:39:04.71 ID:ALzfXEAO [28/37]
姫子「ねえ、平沢さん」
姫子「あなたは本当に平沢さんなの?」
唯「……そ、そうだよ、当たり前じゃん」
姫子「本当に? 本当にそう言い切れるの?」
姫子「自分は"平沢唯"を演じてるだけじゃない、そう言い切れる?」
唯「……!」
姫子「ねえ平沢さん。あなたも、"船"に乗ろうよ」
唯「えっ……」
姫子「誰にも縛られない、あなた自身が思う通りに生きていける」
唯「……」
姫子「本当の自分に会うために」
唯「……」
姫子「"船"に、乗ろうよ」
唯「わ、私は……」
姫子「……」
唯「……あ!」
姫子「あ?」
梓「唯先輩! 大丈夫ですか!」タッタッタッ
唯「あずにゃん!」
姫子「…………チッ」
ドンッ
唯「うわっ!!」
230 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:40:09.14 ID:ALzfXEAO [29/37]
姫子「……バイバイ、平沢さん!」タッタッタッ
唯「ま、待って!」
梓「大丈夫ですか、唯先輩!」
唯「うん。突き飛ばされただけだから」
唯「それより……」
梓「それより?」
唯「……レオリングが盗られた」
梓「ええっ!?」
唯「後を、追わなきゃ……!」タッタッタッ
梓「ゆ、唯先輩!」
231 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:41:13.08 ID:ALzfXEAO [30/37]
唯「……」タッタッタッタッ
唯(……)
唯(……そっか)
唯(最初からこれが目的だったんだ)
唯(レオリングを、ウルトラマンを"船"に載せること)
唯(これが、エイリアンから姫子ちゃんに与えられた本当の使命だったんだ)
唯「……」タッタッタッタッ
唯(……)
唯(……でも、それって)
唯「!」
唯「姫子ちゃ――ん!」タッタッタッタッ
姫子「……は、速っ!」タッタッタッタッ
232 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:45:20.56 ID:ALzfXEAO [31/37]
唯「姫子ちゃん、待って!」タッタッタッ
姫子「……」タッタッタッタッ
姫子「……行こう、平沢さん!」タッタッタッタッ
姫子「一緒に、一緒に"船"に乗ろうよ!」タッタッタッ…
姫子「あなたがあなたでいるために!」
唯「……」タッタッタッ…
唯「……姫子ちゃん」
唯「この"船"が本当に姫子ちゃんの言う通りのものだったら」
唯「……どうしてレオリングなんて必要なの?」
姫子「……えっ」
唯「この"船"が本当の姫子ちゃんに会わせてくれるだけのものなら」
唯「……何も持たずに行けるはずだよ!」
姫子「……!」
唯「……」
姫子「……」
唯「……姫子ちゃん」
唯「あなたは、本当にこの"船"を信じているの?」
233 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:48:03.91 ID:ALzfXEAO [32/37]
姫子「……」
唯「……」
姫子「……」
唯「……」
姫子「…………私は」
唯「……」
姫子「……私は、この"船"を信じたい!!」
姫子「私は会いたいんだ、本当の私に!!」
唯「……」
姫子「……」ニコッ
唯「……?」
姫子「……こんなものはいらないね」ポイッ
唯「あっ、と」キャッチ!
姫子「……時間だよ」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオ
姫子「"船"が、来た」
234 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:49:06.15 ID:ALzfXEAO [33/37]
唯「これが、……"船"」
空には白い光をまとった美しい円盤が浮かんでいた
姫子「今度こそ」
姫子「バイバイ、平沢さん」
唯「……」
円盤から降りてきた金色の柔らかい光が、その光は立花姫子を包み込んだ
彼女は静かにまぶたを閉じて、金色の光が自分を"船"に乗せてくれる、その時を待った
その顔に微笑みをたずさえて
が、しかし
ドオオオオオオオオオオオオオオン!!!
唯「なっ!?」
迎えは来なかった
柔らかい光をなぎ払うように、赤い熱線が同じく円盤から発射され立花姫子を直撃したのだ
立花姫子の姿は跡形もなく消え、彼女が立っていた場所の草が焼けこげて赤く光っているだけだった
唯「…………!」
本当の自分に会わせてくれる、そんな"船"を信じた立花姫子はエイリアンから与えられた任務を放棄した
結果
自分が最期の一瞬まで信じ続けた"船"自身に殺されたのだ
235 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:52:21.74 ID:ALzfXEAO [34/37]
シュウウウウウウウウウウウウ
目的が失敗に終わった"船"は、地球から脱出しようとしていた
唯「……許さない」
唯「……」バッ
唯「レオ――――――!!!」
キュイイ キュイイ キュイイ
ドーン
唯『…………』キッ
唯『……!』
ドオオン! ドオオオオオン!!!
ドオオン!! ドオン! ドオオン!!
大地に佇む赤い巨人を確認した"船"が唯に向かって攻撃を開始した
だが
唯『………………』
唯は攻撃を避けることも防ぐこともせず、ただその場に立っていた
236 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:55:58.90 ID:ALzfXEAO [35/37]
シュウウウウウウウウウウウウ
残弾が尽きたのか、あるいは逃げるが勝ちと悟ったのか
"船"は光弾による攻撃を止め、逃亡することに専念し始めた
唯『…………』
それをも唯はただ見ていた
そして
唯『…………ううううう』
唯『うわあああああああああああああああ!!!!!』バッ
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
怒りの叫びと共に放たれたのはエネルギー光球
レオ最強の必殺光線だ
光線と"船"の距離はみるみる縮まり
遂に
ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
直撃
大気圏外にて、"船"は爆破四散したのであった
237 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:56:44.00 ID:ALzfXEAO [36/37]
"船"が消滅し、しばらく経ってから朝が来た
律、澪、紬はまだ例の倉庫から戻っていなかったため、部室には唯と梓の2人きりだった
梓「お疲れ様です、唯先輩」
唯「……うん」
梓「……」
唯「……」
梓「……唯先輩」
唯「なに?」
梓「……私にはやっぱり"船"を望む人たちの気持ちは分かりません」
唯「……そっか」
船はいつ、どうやって姫子と接触したのか
最後まで姫子と"船"の関係は、謎のままだった
246 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 11:51:00.52 ID:daflT.AO [2/16]
唯「宇宙にきらめくエメラルド~♪」カキカキ
憂「お姉ちゃん、何してるの?」
唯「ん~?」
唯「国語の授業中に描いた怪獣の絵がすっごくよく描けたからね」カキカキ
唯「色塗りしてるの」ヌリヌリ
憂「へぇー」
憂「あ。ホントに上手」
唯「でしょー」ヌリヌリ
憂「でももう遅いから適当なとこで寝てね」
唯「はーい」カキカキ
247 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 11:54:08.19 ID:daflT.AO [3/16]
唯「……よし、かんせーい!」ジャーン
唯「いやいや我ながら惚れ惚れする出来映えだね」
唯「そーだ。せっかくだから名前付けてあげようかな」
唯「うーん……」
唯「お」
唯「モンスー太、モンスー太にしよっ!」
唯「うーん、いい名前。私命名の才能があるのかもね ……うひひ」
唯「……名前も決まったところでそろそろ寝ようかな」
唯「おやすみ、モンスー太」
唯「……zzz」
その夜
大熊座M81星雲から謎の宇宙生命体が飛来、唯の落書き モンスー太に取り憑いた
しかし
その事実に誰も気づかないまま次の日の朝を迎えることとなるのであった
248 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 11:55:35.01 ID:daflT.AO [4/16]
唯「おはよー」
律「おはよ」
唯「今日はみんなに見せたいものがあるんだー」
紬「なになに?」
唯「ふっふっふっー。見て驚くなかれ!」
唯「最強怪獣モンスー太だよ!」ジャーン
澪「モンスター?」
唯「モンスー太!」
紬「わっ、上手!」
律「色まで塗って凝ってるなぁ」
唯「でしょでしょー?」
249 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 11:58:59.93 ID:daflT.AO [5/16]
澪「いつの間にこんなの描いたんだ?」
唯「昨日の国語の授業中に下書きして、家で色塗りしたんだー」
紬「へぇー」
律「ちゃんと授業聞けよう」
唯「ぶー。そういうりっちゃんだって60分中65分寝てたクセにー」
律「バ、バレてたか……」
澪「いや時空歪んでるし」
紬「それはそうと1時間目は体育だけど、着替えないの?」
唯律澪「……忘れてた!」
イソゲー! ワー!
ハヤクハヤク!
ドタバタドタバタ―――――――――――
ノート「……」
250 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:00:32.97 ID:daflT.AO [6/16]
ノート「……」
謎の宇宙生物がとり憑いた唯の落書き
慌てて教室を飛び出した唯たちはその落書きが描かれたノートを開いたままにしてしまった
そのため
唯の落書き、最強怪獣モンスー太に真夏の日光が降り注いだ
ズズズズズズズズズズズズズズ
なんやかんやで不思議なことが起こって
モンスー太「ピギイイイイイイ!!」
モンスー太は実体化してしまった!
251 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:03:13.77 ID:daflT.AO [7/16]
モンスー太「ピギイイイイイ!!」
ガラガラガラ―――――
茜「きゃー! 校舎から怪獣ー!!」
佐々木「こ、校舎が崩れたー!!」
キャー! ワー!
イヤー! ギャー!
律「お、おい」
澪「あれって……」
紬「さっきの……」
唯「モンスー太!」
モンスー太「ピギイイイイイ!!」
252 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:06:22.70 ID:daflT.AO [8/16]
唯「手に槍、歯に牙、足には鉤爪、肘には刃、刺々しい体表、尖った角に鋭い眼、長い尻尾と腹部のレーザー発射口……」
唯「間違いない! あれモンスー太だよ!」
律(類い希なる"ぼくの考えたさいきょうのかいじゅう"だったんだな……)
律「でも、落書きが本物の怪獣に……?」
紬「……確か別の怪獣が同じように具現化してたはず。あれは……」
澪「待って、今はそんなこと言ってる場合じゃないぞ!」
澪「体育の授業でたくさんの生徒が運動場に出てるからチェスターは発進できない」
澪「このままじゃ怪獣は暴れたい放題だ!」
律「そうだった!」
253 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:12:21.95 ID:daflT.AO [9/16]
モンスー太「ピギイイイイイイ!!」
律「い、急がなきゃ!」
律「誰か変身アイテム持ってきてるか!」
唯「体育だから教室に置いてきちゃったよ……」
紬「私も……」
律「私もリーフラッシャーはかさばるから鞄に入れっぱなしだし……」
澪「となると」
澪「今戦えるのは運動場に歯ブラシを持ってきた私だけ」
澪「久しぶりに私の出番
キュイーン
メビウス(梓「せやーっ!」バーン
唯「あずにゃん!」
澪「えっ」
254 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:16:17.30 ID:daflT.AO [10/16]
唯「頑張って、あずにゃ……メビウス!」
放課後ティータイムがウルトラマンであることはみんなには秘密なのだ
メビウス(梓『はい!』
メビウス(梓『……いくぞ!』
メビウス(梓「せやっ!」ブンッ
モンスー太「ピギイイイ!!」フッ
メビウス(梓『えっ!?』
澪「メビウスのパンチが怪獣をすり抜けた……?」
律「唯、あの怪獣にはあんな能力があるのかよ!」
唯「な、ないよ、そんな設定! 火は吹くけど」
紬「えっ」
モンスー太「ピギイイイ!」
ボオオオオオオオオオオオオオ!!!
メビウス(梓『にゃ―――! 熱っ、熱っ!!』ジタバタ
255 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:19:23.86 ID:daflT.AO [11/16]
メビウス(梓『このお……』グッ
メビウス(梓『メビュームブレード!』シャキーン
メビウス(梓「しぇあっ!」ブンブン
モンスー太「ピギイ!」フッ
メビウス(梓『……くぅっ!』
律「ダメだ、メビウスの攻撃が通用しない!」
紬「このままじゃメビウスが……」
メビウス(梓『あっ!』ピコンピコン
モンスー太「ピギイイイ!」
257 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:25:37.75 ID:daflT.AO [13/16]
紬「カラータイマーが!」
澪「……」キョロキョロ
澪「……律! 校庭に人がいなくなった。チェスターが出せるぞ!」
律「そうか。よし! 全員部室に移動だ、梓を援護する!」
唯「待って!!」
律「ん?」
唯「見て」
モンスー太「ピギイイイ!」
メビウス(梓『……ん?』ピコンピコン
モンスー太「―ギイ――!」スー
メビウス(梓『……なんか色が薄くなってく』ピコンピコン
―ンス――「―ギ―イイ――」スー
――「――イ―」スー
―「」
メビウス(梓『……き、消えた?』ピコンピコン
258 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:29:08.05 ID:daflT.AO [14/16]
紬「消えちゃった……」
律「どういうことだ?」
澪「さぁ?」
梓「せんぱーい、大丈夫でしたかー!」タッタッタッ
唯「あずにゃん!」
梓「しかしあの怪獣一体なんだったんですかね」
梓「攻撃はすり抜けますし、最後には消えますし」
唯「……そ、それがねぇ」
梓「?」
唯「おはよー」
律「おっはー」
澪「古っ!」
律「今日は遅刻しないでこれたな」
唯「へへーん」
唯「私はやればできる子なんだよ」
紬「あらあら」
澪「でも遅刻じゃないだけでかなりギリギリだけどな」
律「今日、休み多いから唯も休みかと思って心配したんだぞ」
唯「今日休み多いの?」
紬「ええ。立花さんに高橋さん、それに三浦さんと山本さんがお休みなの」
唯「へぇー」
唯「ってそういえば、姫子ちゃんって最近ずっと休んでるね」
澪「確かに」
ガラッ
さわ子「はーい、HR始めるわよー」
178 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:03:17.26 ID:MXadDQAO [3/17]
――――――――――――――――――
――――――――――――――
さわ子「今日の連絡はそんなところです」
みんな「はーい」
さわ子「あ。田井中さん、平沢さん、琴吹さん、秋山さんの4人は」
さわ子「用事があるからこの後ちょっと音楽室に来てちょうだい」
律「え? 私たち?」
さわ子「そうよ。よろしくね」
さわ子「それじゃ、HRはこれでおしまい」
キリーッ レー アートーゴザマシター
179 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:08:39.66 ID:MXadDQAO [4/17]
律「呼ばれて飛び出て来たのはいいけど……」
唯「誰もいないねー」
ガチャッ
律「! せんせ……
梓「失礼しまー……って先輩!?」
唯「あずにゃん!」
梓「あ、あれ? 先輩、なんでこんなとこに?」
キーンコーンカーンコーン
唯「あ。授業始まっちゃった」
澪「私たちはさわ子先生に呼ばれて来たんだけど」
紬「梓ちゃんもなの?」
梓「あ、はい。そうです」
澪「……軽音部集めて一体何をする気なんだ?」
ガチャッ
180 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:10:09.13 ID:MXadDQAO [5/17]
さわ子「みんな揃ったわね」
律「さわちゃん!」
唯「授業始まっちゃったけど用事ってなにー?」
さわ子「ええ。順を追って説明するからちょっと待ってね」
さわ子「まず、今日からみんなにはしばらく学校は休んでもらうわ」
澪「はぁ!?」
紬「な、なんでですか!」
さわ子「ここ最近、桜ヶ丘で失踪事件が相次いでるのは知ってる?」
唯「失踪事件?」
181 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:13:05.42 ID:MXadDQAO [6/17]
律「ニュースでもやってるじゃん」
唯「え? そうなの?」
梓「そうですよ」
梓「なんでも、これまで3件で40人も蒸発してる前代未聞の集団失踪事件だとか」
唯「へぇー」
澪「それでその失踪事件がどうかしたんですか?」
さわ子「ええ。その失踪事件がね」
さわ子「エイリアンの手によるものだと判明したの」
182 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:15:41.97 ID:MXadDQAO [7/17]
みんな「エイリアン!?」
さわ子「そうよ」
紬「じゃあエイリアンが人々をさらってるって言うんですか?」
澪「一体何のために……」
さわ子「それも含めてみんなに調査をしてほしいのよ」
律「なるほど。それで学校を休め、と」
さわ子「そういうこと」
唯「でも手がかりもなしに調査なんて……」
さわ子「被害者の名簿や情報はあるからそれを手がかりに調査してちょうだい」
さわ子「それと」
梓「それと?」
さわ子「被害者の1人が失踪の直前に周囲にこう言ってたそうよ」
さわ子「『私は"船"に乗るんだ』って」
183 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:21:56.95 ID:MXadDQAO [8/17]
紬「船、ですか?」
律「それってフェリーとかそういうの?」
さわ子「それはわからないわ」
澪「ふーん」
唯「……」
梓「唯先輩、どうかしたんですか?」
唯「え、あ。うん、ちょっとね」
律「ちょっとどうしたんだよ」
唯「ちょっと心当たりが、ね……」
さわ子「ええっ!」
紬「一体どんな心当たりが?」
唯「あ、いや。確実な心当たりでもないし」
唯「私、ちょっと別行動してもいいかな?」
律「その心当たりについて調べたいのか」
唯「うん」
澪「いいんじゃないか?」
澪「被害者名簿だけじゃ手がかりとしては弱いし」
澪「調べられるものがあるならなんでも調べた方がいいよ」
唯「ありがとう、澪ちゃん!」
184 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:24:15.01 ID:MXadDQAO [9/17]
律「よーし」
律「調査、始めるか!」
みんな「おーっ!」
唯「じゃあ私、ちょっと外で調べてくね」
律「おう、いってらっしゃい」
ガチャッ
さわ子「それじゃ被害者の名簿、渡しとくわね」
紬「あ、はい」
律「へぇー、こんなにいるのか」パラパラ
梓「会社員から学生まで、まさに多種多様ですね」
澪「……ん? 律、ちょっとストップ」
律「え?」
澪「……」
澪「……先生」
さわ子「なに?」
澪「ここに書いてある高橋風子って……」
さわ子「……ええ。うちのクラスの高橋さんよ」
律澪紬「!」
185 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:28:06.70 ID:MXadDQAO [10/17]
さわ子「ちなみに"船"の話をしていたというのも高橋さんよ」
澪「そ、そんな……」
さわ子「気持ちはわかるけどここでグダグダしてても始まらないわ」
さわ子「私はもう行くけど、調査頑張ってね」
ガチャッ バタン
紬「……さっそく始めましょう」
律「そうだな」
律「とりあえず、私と澪は高橋さんちに行ってみる」
律「その名簿を元に被害者の共通点とかを探してみてくれ」
梓「はい」
紬「わかったわ」
186 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:28:41.76 ID:MXadDQAO [11/17]
唯「私が単独調査なんていつぶりだろう」テクテク
唯「……」テクテク
唯(……あれは、2週間前だったかな?)テケテク
唯『お腹がなくから帰ろ~♪』テクテク
唯『……あれ?』
姫子『……』スタスタ
唯『あ、姫子ちゃんだ』
唯『おーい、姫子ちゃ――ん!』
姫子『! ……平沢さん?』
唯『あー、やっぱり姫子ちゃんだ』
唯『今日学校休んでたよね? どうしたの?』
姫子『別に何も……』
唯『ふーん』
187 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:31:49.35 ID:MXadDQAO [12/17]
唯『じゃあ体調とかは大丈夫なんだ?』
姫子『まあね』
唯『良かったぁ。安心したから私、帰るね』
姫子『あぁ、そう……』
唯『バイバーイ!』テクテク
姫子『……』
唯『~♪』テクテク
姫子『……平沢さん!』
唯『?』
姫子『ちょっと話があるんだけど』
唯『なに?』
姫子『……』
唯『?』
姫子『……"船"に、乗ってみない?』
唯『船?』
唯(……あの時は特に興味ないって言って別れたけど)テクテク
唯(姫子ちゃんが言ってた船ってこの事件に関係あるに違いないよ)テクテク
唯(だから姫子ちゃんを探し出せれば、きっと……)テクテク
188 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:33:37.44 ID:MXadDQAO [13/17]
梓「はぁー」
紬「ため息なんてついちゃって」
梓「でも、ムギ先輩」
梓「この名簿、どんなに眺めたって被害者の共通点1つ上がってこないんですよ?」
紬「それはそうなんだけどねえ」
梓「名簿に従って被害者について聞き込みしたって」
梓「みんな口を揃えて『勤勉で優等生タイプだった』なんて」
梓「そんないらないところで共通項発揮されても困ります!」
紬「私に怒られたって、私が困るわ」
189 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:35:19.14 ID:MXadDQAO [14/17]
梓「こうなれば」
紬「こうなれば?」
梓「被害者の動きを完全に監視してやりましょう!」
紬「……え?」
梓「ほら、このNo.027のマサキ ケイゴさん」
梓「この人が勤めてる会社ってセキュリティーが厳しいことで有名なんですよ」
梓「だからその会社に行って……」
紬「監視カメラの映像を見せてもらうのね!」
梓「はい!」
だがしかし
一介の女子高生風情に会社が監視カメラの映像を提供するわけもなく
紬の実家の介入(わいr)がある、これから90分後まで2人は立ち往生するハメになったのだった
190 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:36:02.05 ID:MXadDQAO [15/17]
律「ぬゃー!」
澪「……どんな発音だ、それ」
律「まさか高橋さんちがこんなに遠いとは……」
澪「そうは言ってももう着くんだけどな」
律「あのマンションに住んでるんだっけ?」
澪「名簿ではそうなってた」
律「ふーん」
澪「……ここだ。この部屋だ」
律「よし。いくぞ」
ピンポーン
191 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/10(土) 23:37:22.81 ID:MXadDQAO [16/17]
シーン
澪「……」
律「……む」
ピンポーン ピンポピンポピンポピーンポーン
澪「人んちのチャイムで遊ぶな!」スパーン
律「あいてーっ!」
澪「まったく、律は幼稚なんだから」
律「だ、だって誰も出ないからさー」
澪「当然だよ。高橋さんは1人暮らしだったんだから」
律「……それを先に言えよ!」
澪「さ、管理人さんとこ行って鍵借りてこよ」
律「仕切るなよ!」
194 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:55:17.54 ID:WG0r.sAO [1/7]
すまない。書き方が悪かった
高橋さんは"船"のことをクラスメイトとかに話してたわけじゃなくて
"船"乗り場への移動中にタクシーの運ちゃんとかに"船"の話をしていたと考えてくださいな
195 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:55:49.46 ID:WG0r.sAO [2/7]
ガチャリ
澪「これが高橋さんの部屋か」
律「なんか散らかってるな……」
澪「いや、これは散らかってるというより……」
澪「テレビもパソコンもつけっぱなしで」
澪「ペットボトルのふたは開きっぱなしだし」
澪「慌てて飛び出して部屋がそのままって感じじゃないか?」
律「なるほど言われてみれば」
澪「うーん……」
律「?」
196 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:56:19.19 ID:WG0r.sAO [3/7]
唯「……」テクテク
唯「……」テクテ…
唯「……ここだ。この交差点で姫子ちゃんと最後に話したんだ」
唯「……」
唯「……とはいえそう都合よく姫子ちゃんが現れるわけもない、か」
唯「……」
唯「……!」
姫子「……」スタスタ
唯「姫子ちゃん!」
197 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:57:16.97 ID:WG0r.sAO [4/7]
姫子「あれ、平沢さん。また会ったね」
唯「うん。久しぶりー」
唯「ところで姫子ちゃん」
姫子「?」
唯「ちょっと話があるんだけど」
姫子「なに?」
唯「……」
姫子「?」
唯「……"船"について、聞かせてくれない?」
姫子「……ふーん」
姫子「いいよ。教えてあげる」
198 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:58:05.97 ID:WG0r.sAO [5/7]
姫子「なんでも聞いてよ」
姫子「興味があるなら乗せてあげてもいいよ」
唯「……」
唯「……"船"って一体なんなの?」
唯「どうして、"船"は、みんなをさらうの?」
姫子「あーそうきたかー」
唯「答えて!」
姫子「……平沢さん」
唯「なに?」
姫子「平沢さんは誤解してるよ」
唯「えっ?」
姫子「"船"は人々を連れ去るんじゃない」
姫子「"船"を望む人のために"船"は来るんだ」
199 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:58:40.55 ID:WG0r.sAO [6/7]
梓「……」
紬「……」
梓「……」
紬「……」
梓「……ムギ先輩」
紬「なに?」
梓「せっかく手に入れたビデオですけど、無駄足な感じがプンプンします」
紬「ふふふ。私も同じ感想よ」
梓「……」
紬「……」
梓「……真面目ですね、マサキさん」
紬「そうね」
梓「……」
紬「……」
梓紬「……はぁ」
200 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/16(金) 23:59:48.52 ID:WG0r.sAO [7/7]
澪「集団失踪は計3回起こってるけど」
澪「当然被害者は1カ所に集められ、何者かに連れ去られたわけだ」
律「今回、その何者かがエイリアンだってわかったから私たちが駆り出されたんだよな」
澪「うん」
澪「それでさ」
澪「被害者がみんな1カ所に集められてるってことは」
澪「連れ去ったエイリアン側から被害者に何か連絡とかそういう指令みたいなのがあったと思うんだ」
律「なるほど」
澪「でもな」
律「うん?」
201 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:01:40.20 ID:ALzfXEAO [1/37]
澪「さっきこの部屋見て、"慌てて飛び出した"って言ったよな?」
律「ああ、言った」
澪「だとしたら」
澪「高橋さんは集合の直前に何らかのメッセージを、この部屋で受け取ったと考えるべきだ」
澪「急いでその場所に向かわないといけない脅し文句とか」
澪「あるいは催眠効果を持つようなメッセージをね」
律「うんうん」
澪「それで、その高橋さんは慌てて部屋を飛び出したわけだからさ」
律「だから?」
澪「エイリアンからのメッセージの痕跡をこの部屋に残していった」
澪「こんな可能性は十分に考えられるんじゃないかな、リツソン君?」
律「さすが、ホームズ。名推理だ」
202 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:03:08.39 ID:ALzfXEAO [2/37]
律「で、なんか見つかった?」カタカタ
澪「なんにも」ガサガサ
律「……しかし最近はすごいねぇ」カタカタ
澪「どうした突然」ガサガサ
律「いやね、パソコン触ってて思ったんだけどさ」カタカタ
律「最近はさ」カタカタ
律「パソコン使えばボタン1つで"おすすめの曲"なんてのは表示されるわ」カタカタ
律「コンピューターが生活習慣をチェックして」カタカタ
律「各々必要な栄養素やそのためのサプリメントを教えてくれるわ」
律「人との触れ合いの少ない"孤独な人"が増えたとあれば」カタカタ
律「政府が音頭をとってペットを飼うよう推奨するわ」カタカタ
律「ものすごい便利な世の中じゃん」カタカタ
澪「そうだな」ガサガサ
律「こういうのが"健康で幸福な生活"、ユートピアを作るのかと思うと感慨深くて仕方ないのさ」カタカタ
澪「ふーん……」ガサガサ
澪「私には、ただお節介なだけにしか思えないけどな」ガサガサ
律「そんなもんかい」カタカタ
203 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:04:07.02 ID:ALzfXEAO [3/37]
唯「望む人の、ために……?」
唯「それってどういうこと、姫子ちゃん?」
姫子「どうもこうもそのままだよ」
姫子「"船"に乗りたいと思う人の前に"船"は現れる」
姫子「あなたも気付いてないだけで」
姫子「心の底では"船"に乗りたいと思ってるのかもしれないよ?」
唯「……変なこと言わないで!」
唯「"船"は実際に人をさらってるんだよ!」
姫子「だから違う……ってもう話しても意味ないか」
姫子「まだこの世界には"船"を望む人が大勢いるんだ」
姫子「私にはやることが山のようにあるんだよ」
姫子「これ以上時間を無駄にはできない」
唯「えっ」
姫子「バイバイ、平沢さん」ダッ
唯「ま、待って!」ダッ
結局
唯は姫子を捕らえることはできなかった
その後、3日間探し歩いたが姫子を見つけるには至らなかった
204 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:04:42.74 ID:ALzfXEAO [4/37]
――――――――――――――――――
――――――――――――――
律「3日経ったわけだ」
唯「うん」
律「一旦途中経過の報告会をしようと思って召集を掛けたわけだ」
紬「ふーん」
律「もちろん澪の提案なわけだ」
梓「律先輩、気持ち悪いです」
律「んなっ!?」
澪「同感」
律「……まあいいや」
律「とりあえず、わかったことを報告してくれ」
205 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:05:08.25 ID:ALzfXEAO [5/37]
紬「私たちは名簿を元に聞き込み中心にやってみたんだけど」
梓「被害者にこれといった共通点は見つかりませんでした」
梓「強いて言えばみんな真面目な人間だったというくらいですね」
律「ふーん」
紬「りっちゃんたちは?」
律「私たちは高橋さんちに行って家捜ししたあと他の被害者の家をいくつか回ったけど」
澪「特に手がかりらしきものはなかったよ」
澪「ただ」
梓「ただ?」
澪「いくつかの家ではテレビがつけっぱなしで家主が慌てて飛び出した感じだったのが気になったかな」
梓「はぁ」
律「唯は?」
唯「あ、うん」
206 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:06:17.80 ID:ALzfXEAO [6/37]
唯「私は、姫子ちゃんに会ってきた」
律「姫子って、……立花さんか?」
唯「うん」
澪「一体どうして?」
唯「実はね――――――
207 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:06:47.39 ID:ALzfXEAO [7/37]
律「な、なるほど」
澪「立花さん、ここ最近学校休んでたから何してるのかと思ったら……」
紬「エイリアンと通じていたのね……」
唯「多分」
梓「"船"を望む人のために"船"は来る、ですか……」
唯「姫子ちゃんが言うには、だけどね」
梓「じゃあ、みんな自分から"船"に乗って行ってしまうんですか?」
唯「まあ、そうなるね」
梓「……」
梓「……私には、そんな風にこの世界から出て行こうとする人の気持ちがわかりません」
唯「……」
208 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:07:58.47 ID:ALzfXEAO [8/37]
紬「気になったんだけど」
澪「?」
紬「被害者の家のテレビの電源は切られていなかったのよね?」
澪「うん。つけっぱなしのサンドノイズだった」
紬「サンドノイズ……」
律「それがどうかした?」
紬「サンドノイズってことはそのテレビは空きチャンネルに合わせてあったってことよ」
唯「うん」
紬「そしたら」
紬「エイリアンからのメッセージはその空きチャンネルに向けて発信されていたんじゃないかしら?」
梓「あ!」
澪「そうか!」
律「……よし!」
律「そのチャンネルに不審な電波が発信されていなかったか、和に調べてもらおう」
209 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:09:01.00 ID:ALzfXEAO [9/37]
和に調査を依頼して3時間が過ぎた
日は既に沈みかけ街は夜に包まれようとしていた
澪「和、遅いな……」
紬「そうね」
ウーチュウー ケイビノー タイチョウハー♪
律「電話だ!」
唯「和ちゃんから?」
律「ああ!」
ピッ
律「何かわかったのか?」
和『ええ』
和『確かに集団失踪が起こった日、その空きチャンネルに不審な電波が発信されているわ』
和『発信源はB地区第3ブロックL77ポイントよ』
律「サンキュー、和!」
ピッ
律「エイリアンからのメッセージ電波の発信源がわかった」
律「急行するぞ!」
210 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:10:23.55 ID:ALzfXEAO [10/37]
――――――――――――――――――
―――――――――――――
唯「ここなの?」
律「ああ、このアパートの404号室だ」
律「よーし……。突入!」
ドタバタドタバタ
シーン
唯「……あ、あれ?」
紬「誰もいないわ」
律「そ、そんな……」
梓「立花先輩には逃げられたみたいですね」
澪「もぬけの殻、だもんな」
律「……ちっくしょ!」
211 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:11:23.05 ID:ALzfXEAO [11/37]
部室
律「日は暮れるわ、手がかりがなくなるわ、踏んだり蹴ったりだな……」
紬「明日になったらまた聞き込みから始めないとダメね」
律「くっそー……」
梓「唯先輩」
唯「なに?」
梓「気になったんですけど」
梓「その立花先輩ってどんな人だったんですか?」
唯「……うーん」
唯「ちょっと不良っぽい見た目だったけど、根はすっごくいい人だったよ」
梓「へぇー」
唯「先生への挨拶はいつも欠かさなかったし、遅刻も全然しなかったし」
唯「本当はすっごく真面目なんだと思う」
梓「真面目、ですか」
唯「うん」
212 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:12:29.51 ID:ALzfXEAO [12/37]
律「……そういえばさ」
澪「うん」
律「高橋さんちでユートピアがどうとか言ったじゃん」
澪「言ったなぁ」
律「あれとおんなじ話題を立花さんに振ったのを思い出したよ」
澪「へぇー。なんて言ってたんだ?」
律「えっとねー」
213 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:12:57.51 ID:ALzfXEAO [13/37]
――――――――――――――――――――――――――――
姫子『それってさ。情報が氾濫して、個人が世界に管理されてるだけじゃん』
律『そう?』
姫子『そうだよ』
姫子『この世界は、そんな健康的で幸福であるための処方箋に溢れてるんだ』
姫子『模範的な幸福に近づくために、モニターを通して絶え間なく処方箋が送られてくる』
律『処方箋……?』
姫子『そう』
姫子『サプリメントを指示するコンピューターにしろペットを勧める政府にしろ』
姫子『健康とは、幸せとはこうあるべきっていう"幸福のお手本"を提示して、強要してるんだ』
姫子『示される通りの幸福を実感できない者は』
姫子『まるで不治の病であるかのようにね』
律『ふーん……』
214 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:15:45.36 ID:ALzfXEAO [14/37]
――――――――――――――――――――――――――――
澪「今日のところは一旦解散しないか?」
律「そうだな……」
ウルトラ キョウダイ ナーンバーワーン♪
律「おっ」
唯「また電話?」
梓「こんな夜中に、人気者ですね」
律「こんな時だけ人気者になっても嬉しくないし」
ピッ
律「もしもし」
和『律? 今すぐテレビをつけて!』
和『例のチャンネルにあの電波が送信されているわ!』
律「……なんだって!」
215 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:16:50.93 ID:ALzfXEAO [15/37]
律「澪、すぐにテレビを!」
澪「わかった」
ポチッ
……ザー ザー ザー ザー ザー――――――
梓「……サンドノイズですね」
律「そ、そんな馬鹿な……」
紬「電波は本当に送信されてるの?」
律「和が嘘ついたりミスしたりするとは思えないよ」
澪「でもサンドノイズでどうやって人々を誘き出すんだ?」
唯「……」
唯(……誘き出したんじゃない。少なくとも姫子ちゃんはそう思ってる)
唯「……」
216 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:17:31.48 ID:ALzfXEAO [16/37]
唯「……」
姫子『心の底では"船"に乗りたいと思ってるのかもしれないよ?』
唯(心の底 ……!)
唯「……サブリミナル」
律「えっ?」
唯「サブリミナルだよ、りっちゃん!」
律「サブリミナル?」
唯「そうだよ!」
唯「サブリミナルは心の底、潜在意識に直接働きかける……」
唯「このチャンネルでエイリアンからのメッセージを受け取って、"船"に乗って行く人々は」
唯「潜在的にこの世界から抜け出したいと強く願ってた人々だけなんだよ!」
紬「なるほど!」
梓「"船"を望む人のために、"船"は来る。嘘じゃなかったってことですか……」
217 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:18:08.73 ID:ALzfXEAO [17/37]
澪「ちょっと待って」
澪「これが本当にサブリミナルだとしたら」
澪「このメッセージを解読するには、電波の発信源を特定しなくちゃいけないぞ」
律「それなら大丈夫」
澪「え?」
律「今、和から追加の連絡が入ったよ」
律「発信源はA地区第4ブロックD51ポイント、だそうだ」
澪「この近くじゃないか」
梓「すぐ行きましょう!」
律「当然!」
唯(そこに姫子ちゃんも……)
紬「唯ちゃん、行くよ?」
唯「……うん」
218 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:18:42.36 ID:ALzfXEAO [18/37]
律「よし。この倉庫だな」
律「全員、ディバイトランチャーは持ったか?」
澪「ああ、大丈夫」
律「よーし……。突入――!」
ドタバタドタバタ――――
シーン
律「……またかよ!」
梓「またですね」
唯「姫子ちゃん、逃げ足早い……」
澪「……ん?」
紬「どうかした?」
澪「なあムギ、あのパソコンみたいなやつって……」
紬「……!」
219 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:21:21.63 ID:ALzfXEAO [19/37]
澪「…………」ヒソヒソ
紬「…………!」ボソボソ
律「ん?」
律「おふたりさーん。なにこそこそやってんのー?」
澪「……うん」
澪「みんな、聞いてくれ」
紬「このパソコン地球のものじゃないわ!」
律「へっ?」
唯「……じゃ、じゃあ!」
梓「この機械からメッセージが送信されてるんですね」
澪「そうだ」
律「!」
220 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:23:12.40 ID:ALzfXEAO [20/37]
律「じゃあ、今んとこ悪いのはこの機械か」
澪「ああ」
律「こいつのせいでみんなさらわれるのか……!」
ガシャッ
律「このっ! ぶっ壊してやる!!」
唯「ええっ!?」
澪「ちょ、ちょっと待て、律! 銃を下ろせ!」
律「何で止める!」
律「今この瞬間もこの機械から不特定多数に向けてメッセージが発信されてるんだ」
律「またたくさんの人がエイリアンに連れて行かれようとしてるんだぞ!」
律「私には、許せない!!」
澪「そんなのはわかってる!!」
澪「でも、今この機械を破壊すれば送られているメッセージがわからなくなるんだ!」
澪「送信されてるサブリミナルのパルスを解析しないと!」
澪「いつどこに"船"が来るのかがわからないんだよ!!」
律「……」
澪「気持ちはわかるけど今は我慢してくれ」
律「ちくしょう……」
律「……ちっくしょお!!」ガシャン
221 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:24:06.99 ID:ALzfXEAO [21/37]
唯「……あ」
唯(パソコンの手元にコーヒー……)
唯(コーヒーがないと夜更かしできないなんて姫子ちゃんもまだまだ子どm……あれ?」
唯「このコーヒー、まだ温かい……」
唯「……」
唯「……姫子ちゃんはまだこの近くにいるんだ!」
梓「ホントですか!?」
唯「りっちゃん!」
律「……わかった」
律「私と澪、ムギはここに残ってサブリミナルのパルスを解析する」
律「唯と梓は二手に別れて立花さんを探してくれ!」
唯「うん!」
梓「了解です」
222 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:25:17.68 ID:ALzfXEAO [22/37]
―――――――――――――――――――――
――――――――――――――
唯「はぁっ……はぁっ……」タッタッタッタッ
唯「姫子ちゃん……」タッタッタッタッ
唯「…………はぁっ……」タッタッタッタッ
唯「きっとまた、あの交差点に……」タッタッタッタッ
唯「……」タッタッタッタッ
唯「……はぁっ……」タッタッタッタッ
唯「……」タッタッタッタッ
唯「……!」タッタ…
姫子「やっほー。また会ったね、平沢さん」
唯「……姫子、ちゃん」
223 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:26:08.19 ID:ALzfXEAO [23/37]
澪「……」カタカタ
紬「……」カタカタ
律「どう? 解析できそう?」
紬「ええ。それほど難しいパルスじゃないみたい」カタカタ
澪「そうだな」カタカタ
律「……」
律「……私、何すればいい?」
澪「黙っててくれればそれでいいよ」カタカタ
律「あ、うん」
紬「……」カタカタ
澪「……」カタカタ
律「……」
紬「……よしっ!」ターンッ!
澪「"船"の来る場所、時間がわかったぞ!」
律「ホントか!」
紬「A地区第4ブロックR2ポイントの河川敷ね」
澪「時間は午前3時だ」
律「わかった。すぐさわちゃんたちに連絡する!」
224 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:28:20.46 ID:ALzfXEAO [24/37]
唯「姫子ちゃん、もう終わりにしようよ」
姫子「……うーん。その感じからすると平沢さんはまだ誤解してるよね」
姫子「私は、人々を無理やり連れ去ってるワケじゃない」
姫子「"船"からのメッセージを伝えてるだけだよ」
姫子「それを本当に必要とする人にだけ届くように」
唯「……」
唯「……なら」
唯「1個だけ教えて」
姫子「なに?」
唯「"船"に乗った人たちはどうしてこの世界を捨てていくの?」
唯「あの人たちにとって、この世界はそんなにも価値のないものだったの?」
姫子「……」
姫子「……その逆だよ、平沢さん」
唯「逆?」
225 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:30:14.13 ID:ALzfXEAO [25/37]
姫子「彼らは、誰よりもこの世界を信じたんだよ」
姫子「彼らは信じた。この世界の提示する幸福を」
姫子「少しでもそれに近づこうと精一杯努力してきた」
唯「……」
姫子「本当は自分がどんなものが好きで何がしたいのか……、一度も考えるいとまもないほど懸命にね」
姫子「けれど、努力すればするほど自分が希薄になって自分自身が見えなくなっていく」
姫子「そしてあるときこう思うの。『ここにいるのは、本当の私なのか』……」
唯「……」
姫子「だけど、世界は彼らの問いに答えてはくれない」
姫子「……船は彼らに呼びかけるだけだよ――――
226 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:33:36.06 ID:ALzfXEAO [26/37]
紬「……このパルス、"船"が来る時間や場所を伝えてるだけじゃないわね」
澪「ああ。何か別のメッセージも送信されてる」
律「それの解析はできるのか?」
澪「やってるみる」カタカタ
―――――――――――――――――――――
――――――――――――――
澪「できた!」
律「おお!」
紬「今、画面に表示するわ」
228 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:35:01.16 ID:ALzfXEAO [27/37]
『帰ろう、まだ見ぬ故郷へ』
『そこで待っているのは本当の私』
229 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:39:04.71 ID:ALzfXEAO [28/37]
姫子「ねえ、平沢さん」
姫子「あなたは本当に平沢さんなの?」
唯「……そ、そうだよ、当たり前じゃん」
姫子「本当に? 本当にそう言い切れるの?」
姫子「自分は"平沢唯"を演じてるだけじゃない、そう言い切れる?」
唯「……!」
姫子「ねえ平沢さん。あなたも、"船"に乗ろうよ」
唯「えっ……」
姫子「誰にも縛られない、あなた自身が思う通りに生きていける」
唯「……」
姫子「本当の自分に会うために」
唯「……」
姫子「"船"に、乗ろうよ」
唯「わ、私は……」
姫子「……」
唯「……あ!」
姫子「あ?」
梓「唯先輩! 大丈夫ですか!」タッタッタッ
唯「あずにゃん!」
姫子「…………チッ」
ドンッ
唯「うわっ!!」
230 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:40:09.14 ID:ALzfXEAO [29/37]
姫子「……バイバイ、平沢さん!」タッタッタッ
唯「ま、待って!」
梓「大丈夫ですか、唯先輩!」
唯「うん。突き飛ばされただけだから」
唯「それより……」
梓「それより?」
唯「……レオリングが盗られた」
梓「ええっ!?」
唯「後を、追わなきゃ……!」タッタッタッ
梓「ゆ、唯先輩!」
231 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:41:13.08 ID:ALzfXEAO [30/37]
唯「……」タッタッタッタッ
唯(……)
唯(……そっか)
唯(最初からこれが目的だったんだ)
唯(レオリングを、ウルトラマンを"船"に載せること)
唯(これが、エイリアンから姫子ちゃんに与えられた本当の使命だったんだ)
唯「……」タッタッタッタッ
唯(……)
唯(……でも、それって)
唯「!」
唯「姫子ちゃ――ん!」タッタッタッタッ
姫子「……は、速っ!」タッタッタッタッ
232 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:45:20.56 ID:ALzfXEAO [31/37]
唯「姫子ちゃん、待って!」タッタッタッ
姫子「……」タッタッタッタッ
姫子「……行こう、平沢さん!」タッタッタッタッ
姫子「一緒に、一緒に"船"に乗ろうよ!」タッタッタッ…
姫子「あなたがあなたでいるために!」
唯「……」タッタッタッ…
唯「……姫子ちゃん」
唯「この"船"が本当に姫子ちゃんの言う通りのものだったら」
唯「……どうしてレオリングなんて必要なの?」
姫子「……えっ」
唯「この"船"が本当の姫子ちゃんに会わせてくれるだけのものなら」
唯「……何も持たずに行けるはずだよ!」
姫子「……!」
唯「……」
姫子「……」
唯「……姫子ちゃん」
唯「あなたは、本当にこの"船"を信じているの?」
233 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:48:03.91 ID:ALzfXEAO [32/37]
姫子「……」
唯「……」
姫子「……」
唯「……」
姫子「…………私は」
唯「……」
姫子「……私は、この"船"を信じたい!!」
姫子「私は会いたいんだ、本当の私に!!」
唯「……」
姫子「……」ニコッ
唯「……?」
姫子「……こんなものはいらないね」ポイッ
唯「あっ、と」キャッチ!
姫子「……時間だよ」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオ
姫子「"船"が、来た」
234 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:49:06.15 ID:ALzfXEAO [33/37]
唯「これが、……"船"」
空には白い光をまとった美しい円盤が浮かんでいた
姫子「今度こそ」
姫子「バイバイ、平沢さん」
唯「……」
円盤から降りてきた金色の柔らかい光が、その光は立花姫子を包み込んだ
彼女は静かにまぶたを閉じて、金色の光が自分を"船"に乗せてくれる、その時を待った
その顔に微笑みをたずさえて
が、しかし
ドオオオオオオオオオオオオオオン!!!
唯「なっ!?」
迎えは来なかった
柔らかい光をなぎ払うように、赤い熱線が同じく円盤から発射され立花姫子を直撃したのだ
立花姫子の姿は跡形もなく消え、彼女が立っていた場所の草が焼けこげて赤く光っているだけだった
唯「…………!」
本当の自分に会わせてくれる、そんな"船"を信じた立花姫子はエイリアンから与えられた任務を放棄した
結果
自分が最期の一瞬まで信じ続けた"船"自身に殺されたのだ
235 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:52:21.74 ID:ALzfXEAO [34/37]
シュウウウウウウウウウウウウ
目的が失敗に終わった"船"は、地球から脱出しようとしていた
唯「……許さない」
唯「……」バッ
唯「レオ――――――!!!」
キュイイ キュイイ キュイイ
ドーン
唯『…………』キッ
唯『……!』
ドオオン! ドオオオオオン!!!
ドオオン!! ドオン! ドオオン!!
大地に佇む赤い巨人を確認した"船"が唯に向かって攻撃を開始した
だが
唯『………………』
唯は攻撃を避けることも防ぐこともせず、ただその場に立っていた
236 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:55:58.90 ID:ALzfXEAO [35/37]
シュウウウウウウウウウウウウ
残弾が尽きたのか、あるいは逃げるが勝ちと悟ったのか
"船"は光弾による攻撃を止め、逃亡することに専念し始めた
唯『…………』
それをも唯はただ見ていた
そして
唯『…………ううううう』
唯『うわあああああああああああああああ!!!!!』バッ
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
怒りの叫びと共に放たれたのはエネルギー光球
レオ最強の必殺光線だ
光線と"船"の距離はみるみる縮まり
遂に
ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
直撃
大気圏外にて、"船"は爆破四散したのであった
237 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/17(土) 00:56:44.00 ID:ALzfXEAO [36/37]
"船"が消滅し、しばらく経ってから朝が来た
律、澪、紬はまだ例の倉庫から戻っていなかったため、部室には唯と梓の2人きりだった
梓「お疲れ様です、唯先輩」
唯「……うん」
梓「……」
唯「……」
梓「……唯先輩」
唯「なに?」
梓「……私にはやっぱり"船"を望む人たちの気持ちは分かりません」
唯「……そっか」
船はいつ、どうやって姫子と接触したのか
最後まで姫子と"船"の関係は、謎のままだった
246 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 11:51:00.52 ID:daflT.AO [2/16]
唯「宇宙にきらめくエメラルド~♪」カキカキ
憂「お姉ちゃん、何してるの?」
唯「ん~?」
唯「国語の授業中に描いた怪獣の絵がすっごくよく描けたからね」カキカキ
唯「色塗りしてるの」ヌリヌリ
憂「へぇー」
憂「あ。ホントに上手」
唯「でしょー」ヌリヌリ
憂「でももう遅いから適当なとこで寝てね」
唯「はーい」カキカキ
247 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 11:54:08.19 ID:daflT.AO [3/16]
唯「……よし、かんせーい!」ジャーン
唯「いやいや我ながら惚れ惚れする出来映えだね」
唯「そーだ。せっかくだから名前付けてあげようかな」
唯「うーん……」
唯「お」
唯「モンスー太、モンスー太にしよっ!」
唯「うーん、いい名前。私命名の才能があるのかもね ……うひひ」
唯「……名前も決まったところでそろそろ寝ようかな」
唯「おやすみ、モンスー太」
唯「……zzz」
その夜
大熊座M81星雲から謎の宇宙生命体が飛来、唯の落書き モンスー太に取り憑いた
しかし
その事実に誰も気づかないまま次の日の朝を迎えることとなるのであった
248 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 11:55:35.01 ID:daflT.AO [4/16]
唯「おはよー」
律「おはよ」
唯「今日はみんなに見せたいものがあるんだー」
紬「なになに?」
唯「ふっふっふっー。見て驚くなかれ!」
唯「最強怪獣モンスー太だよ!」ジャーン
澪「モンスター?」
唯「モンスー太!」
紬「わっ、上手!」
律「色まで塗って凝ってるなぁ」
唯「でしょでしょー?」
249 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 11:58:59.93 ID:daflT.AO [5/16]
澪「いつの間にこんなの描いたんだ?」
唯「昨日の国語の授業中に下書きして、家で色塗りしたんだー」
紬「へぇー」
律「ちゃんと授業聞けよう」
唯「ぶー。そういうりっちゃんだって60分中65分寝てたクセにー」
律「バ、バレてたか……」
澪「いや時空歪んでるし」
紬「それはそうと1時間目は体育だけど、着替えないの?」
唯律澪「……忘れてた!」
イソゲー! ワー!
ハヤクハヤク!
ドタバタドタバタ―――――――――――
ノート「……」
250 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:00:32.97 ID:daflT.AO [6/16]
ノート「……」
謎の宇宙生物がとり憑いた唯の落書き
慌てて教室を飛び出した唯たちはその落書きが描かれたノートを開いたままにしてしまった
そのため
唯の落書き、最強怪獣モンスー太に真夏の日光が降り注いだ
ズズズズズズズズズズズズズズ
なんやかんやで不思議なことが起こって
モンスー太「ピギイイイイイイ!!」
モンスー太は実体化してしまった!
251 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:03:13.77 ID:daflT.AO [7/16]
モンスー太「ピギイイイイイ!!」
ガラガラガラ―――――
茜「きゃー! 校舎から怪獣ー!!」
佐々木「こ、校舎が崩れたー!!」
キャー! ワー!
イヤー! ギャー!
律「お、おい」
澪「あれって……」
紬「さっきの……」
唯「モンスー太!」
モンスー太「ピギイイイイイ!!」
252 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:06:22.70 ID:daflT.AO [8/16]
唯「手に槍、歯に牙、足には鉤爪、肘には刃、刺々しい体表、尖った角に鋭い眼、長い尻尾と腹部のレーザー発射口……」
唯「間違いない! あれモンスー太だよ!」
律(類い希なる"ぼくの考えたさいきょうのかいじゅう"だったんだな……)
律「でも、落書きが本物の怪獣に……?」
紬「……確か別の怪獣が同じように具現化してたはず。あれは……」
澪「待って、今はそんなこと言ってる場合じゃないぞ!」
澪「体育の授業でたくさんの生徒が運動場に出てるからチェスターは発進できない」
澪「このままじゃ怪獣は暴れたい放題だ!」
律「そうだった!」
253 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:12:21.95 ID:daflT.AO [9/16]
モンスー太「ピギイイイイイイ!!」
律「い、急がなきゃ!」
律「誰か変身アイテム持ってきてるか!」
唯「体育だから教室に置いてきちゃったよ……」
紬「私も……」
律「私もリーフラッシャーはかさばるから鞄に入れっぱなしだし……」
澪「となると」
澪「今戦えるのは運動場に歯ブラシを持ってきた私だけ」
澪「久しぶりに私の出番
キュイーン
メビウス(梓「せやーっ!」バーン
唯「あずにゃん!」
澪「えっ」
254 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:16:17.30 ID:daflT.AO [10/16]
唯「頑張って、あずにゃ……メビウス!」
放課後ティータイムがウルトラマンであることはみんなには秘密なのだ
メビウス(梓『はい!』
メビウス(梓『……いくぞ!』
メビウス(梓「せやっ!」ブンッ
モンスー太「ピギイイイ!!」フッ
メビウス(梓『えっ!?』
澪「メビウスのパンチが怪獣をすり抜けた……?」
律「唯、あの怪獣にはあんな能力があるのかよ!」
唯「な、ないよ、そんな設定! 火は吹くけど」
紬「えっ」
モンスー太「ピギイイイ!」
ボオオオオオオオオオオオオオ!!!
メビウス(梓『にゃ―――! 熱っ、熱っ!!』ジタバタ
255 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:19:23.86 ID:daflT.AO [11/16]
メビウス(梓『このお……』グッ
メビウス(梓『メビュームブレード!』シャキーン
メビウス(梓「しぇあっ!」ブンブン
モンスー太「ピギイ!」フッ
メビウス(梓『……くぅっ!』
律「ダメだ、メビウスの攻撃が通用しない!」
紬「このままじゃメビウスが……」
メビウス(梓『あっ!』ピコンピコン
モンスー太「ピギイイイ!」
257 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:25:37.75 ID:daflT.AO [13/16]
紬「カラータイマーが!」
澪「……」キョロキョロ
澪「……律! 校庭に人がいなくなった。チェスターが出せるぞ!」
律「そうか。よし! 全員部室に移動だ、梓を援護する!」
唯「待って!!」
律「ん?」
唯「見て」
モンスー太「ピギイイイ!」
メビウス(梓『……ん?』ピコンピコン
モンスー太「―ギイ――!」スー
メビウス(梓『……なんか色が薄くなってく』ピコンピコン
―ンス――「―ギ―イイ――」スー
――「――イ―」スー
―「」
メビウス(梓『……き、消えた?』ピコンピコン
258 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/24(土) 12:29:08.05 ID:daflT.AO [14/16]
紬「消えちゃった……」
律「どういうことだ?」
澪「さぁ?」
梓「せんぱーい、大丈夫でしたかー!」タッタッタッ
唯「あずにゃん!」
梓「しかしあの怪獣一体なんだったんですかね」
梓「攻撃はすり抜けますし、最後には消えますし」
唯「……そ、それがねぇ」
梓「?」
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