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キョン「やれやれ――――それじゃあ、零崎を始めるとしますか」第二章

キョン「やれやれ――――それじゃあ、零崎を始めるとしますか」序章‐第一章

119 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/21(土) 17:00:20.43 ID:vEBwZhco [9/13]

第2章 物語の終わり―(■■■■■■)

 0、「じゃんけんしましょう」
                  「いいよ」

   「それじゃあ…」

    「「さいしょは」」

   「パー」          「チョキ」

 1、

――5月15日(日)――

――午前8時――

ハルヒ「じゃあ班分けしましょ。昨日はみんなでまとまって、結局何も見つからなかったから、もう一度
     3つの班に分けることにするわ」スッ

キョン・みくる・古泉・長門「」スッ

――結果――
ハルヒ・長門班  みくる・古泉班  キョン班


ハルヒ「今日は外縁部を中心に捜索するわ。さすがの犯人も、町にあんなに警官がいたんじゃ恐れ
     慄いて逃げ出すと思うのよ。だから、一度市街地から離れるわ

     古泉君たちは北野天満宮から金閣寺の北のほうまでを散策して、あたしと有希は平安神宮
     から哲学の道を通って銀閣寺まで行ってみるわ

     それから、キョンには太秦へ言ってもらうわ」

キョン「そこは古泉が初日に行ってなかったか?」

ハルヒ「昨日の夜にね、太秦で7人目が殺されてたの。それに、京都に着いたばっかでニュースとか
     見てなかったから築かなかったけど、初日にも稲荷大社の近くで殺されてたわ。

     まさに失態よ、せっかく行ってたのに会えなかったなんて。こっちについてから忙しかったから
     テレビをつけてなかったせいで、情報収集を怠っていたのよ。今必要なのは情報なのよ

     だから、あんたが太秦に行って犯人の手掛かりになるような情報を探してくるの。犯人の使っ
     た凶器とか、指紋とか、最低限写真とかでもいいからなんか掴んでくるの。いいわね?」

キョン「無茶苦茶言うなよ」

ハルヒ「どーせ昨日はみくるちゃんと遊んでただけなんだから、今日はちゃんとやるの!!

     いいから行って来い!!」

120 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/21(土) 17:01:08.07 ID:vEBwZhco [10/13]

ハルヒ「じゃあ行ってくるわ。あんたたちも準備ができたらすぐに行くのよ。もう今日しか時間がない
     んだから」



キョン「………」

古泉 「少し厄介なことになりましたね」

キョン「お前代わってくれないか?」

古泉 「そうしたいところですが、そういう訳にも行きません。それに、あなたが金閣寺に行ったところで
     何も変わらないと思いますよ。何故なら涼宮さんが望んだのですから」

キョン「……俺は死ぬのか」

古泉 「それもありえません。≪玖渚機関≫からの情報も少しずつ上がってきていますし、それを見て
     も、やっぱり今回の事件は異常なのです

     第一に、被害者に一切の共通点が存在しないのです」

キョン「共通点?」

古泉 「はい。年齢や性別、出身地域を問わず、老若男女に多岐にわたって殺害されています。他に
     は殺害現場なども今のところ重複はしていません。まるで、あえてずらしているかのように

     唯一の共通点は、みな金品を盗まれているということですが、強盗殺人なら、何も解体する
     必要はありませんから、その説は薄いでしょう

     第二に、先ほどもいましたが、解体されていることです。頭の先から足の爪まで、例外なく、
     切り刻まれています。死体はまるでゲルかぞるかの区別がつかないほどにです」

キョン「同じ現場では二度と殺さない……か」

121 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/21(土) 17:01:57.06 ID:vEBwZhco [11/13]
キョン「それだって、今犯人が『気まぐれ』でやっているだけであって、『気まぐれ』でそれを止めるこ
    とも限らないじゃないか」
                            ・ ・ ・ ・
古泉 「勿論です。あなたは今、涼宮さんのあの言葉によって≪呪わ≫れています

     ですが、涼宮さんとて、あなたに死んでほしいと願っていることは絶対にありえません」

キョン「………」

古泉 「機関もできるだけバックアップに回ります。それでも涼宮さんを信じてもらえませんか?」

キョン「………

     分かったよ。ハルヒを信じよう。そうだよな、あいつが人が死ぬのを望まないって言ったのは
     俺だったな」

古泉 「ありがとうございます」

みくる「キョンくん!! あの…、がんばってください。私も応援してますから」

キョン「朝比奈さん… ええ、がんばって生き残ってきますよ

    生きて帰ってこれたら、今度はちゃんとした着物でも買って、2人でお茶でもいかがですか」

みくる「私なんかでよければ、いつでも…」

古泉 「それでは、がんばってきてくださいね」

みくる「いってらっしゃい」

キョン「ああ、行ってくるよ」

122 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/21(土) 17:02:47.62 ID:vEBwZhco [12/13]

――午前11時半――

――太秦――

キョン「とはいったものの、やっぱり不安だよな・・・

    (映画村の近くは騒がしかったが、このあたりまで来ると静かだな。この2日間のことを整理す
     るには最適だな

     古泉は言った。ハルヒが殺人鬼と接触することは、ハルヒに非日常という要素を付け加える
     こととなり、ハルヒを完全な神へと昇華させる。そしてそれは、現在を、世界を変えることと同
     義であるため、絶対に2人を邂逅させてはならない

     長門は云う。殺人鬼は新たな進化の可能性をもたらす者。ハルヒと同様に観察対象となりえ
     る異端。そして、ハルヒが殺人鬼と遭遇することを望んでいる。それこそが新たな進化かもし
     れないのだから。例え、ハルヒが殺されたとしても

     朝比奈さんも謂った。この事件は未来から見たら、何の事件性も存在しない。ハルヒと殺人
     鬼が対面しようとも、しまいとも、それは同値に他なず、究極的に無意味。何故なら、未来は
     すでに決まっているのだから。それが故に無関心)

     ………

     一体どうなってんだよ…

    (まさに三者三様。行っていることが見事にバラバラじゃないか)」

×××「おい」

キョン「(これじゃあ何がどうなっているのかさっぱり分からねぇ。考えれば考えるほど頭が狂いそうだ)」

×××「おいお前」

キョン「(これこそ、神のみぞ知るってことか)」

×××「いつまでシカトぶっこいてんだよ!! 」

キョン「うわっ!

    あれ、ここは?」

×××「ち、うぜぇ奴だな。人のことガン無視やがって」

キョン「あなたは……?」

×××「ああ、俺か?俺はなぁ…

     殺人鬼だ」

126 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 19:04:18.18 ID:HFIUSKAo [1/13]
キョン「さつじんき…?」

サツジンキ?「おうよ、そのとおりだ」

キョン「(オイオイ、マジかよ。こんな真昼間からこんな場所で…ってここどこだよ!! 何時の間にこ
    んな如何にもな袋小路に入ってたんだ? 路地裏でばったり殺人鬼とこんにちはとか漫画かよ…)」


―――古泉『その犯行の手口はもはや通り魔殺人とは言えないほど残忍で、
                                人気のいないところに人を連れ込み』―――


サツジンキ?「そしてこれも、玩具じゃないんだぜ」チャキンッ


―――古泉『鋭利な凶器で刺殺した後にその場で死体を切り刻み、
                               内臓を引きずり出し、解体するんです』―――


キョン「(ナイフ!? ………ウソだろ、おい)」

サツジンキ?「クックックッ」

127 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 19:06:20.45 ID:HFIUSKAo [2/13]
キョン「(マジかよ! くそ、マジでヤベーじゃねーかよ、どうすんだ!! )」

サツジンキ?「お前は今から殺されるんだよ。はは、馬鹿だな。こんな時に町をぶらぶら歩いてるなんて、
      自分の愚行を恨むんだな

      だがな、俺もそこまで鬼畜じゃねーんだよ。さっき1人殺っちまったからな、今日はもう殺す
      気がないんだよ。だから、ありったけの金を置いてくってんだったら見逃してやんよ」


――ト…ン――


キョン「(古泉は? ≪機関≫はどうしたんだ? 護衛をつけてくれてるんじゃなかったのかよ!! 長門
    でもいいから、助けてくれ?)」

サツジンキ?「あぁん? 人の話聞いてんのか~?もしも~し?」


――トクン――


キョン「(ヤバいヤバいヤバい!! どうすんだ?どうすんだよ!?

 相手はナイフを持っていて、後ろは袋小路、出口はあいつによって塞がれている・・・ どうする?)」

サツジンキ?「また無視かよ… いい加減にしろよ。さっさと金を出さねーと殺すぞ、この糞野郎!」


――ドクン――


キョン「(スタンガンはどこだ? クソっ、体が動かねぇ、………死ぬ!! )」



―― そして、 ナイフの、 刃が、 首筋に、 触れ? ――





                     ――   ドクン!!   ――

128 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 19:06:56.99 ID:HFIUSKAo [3/13]
――……――

キョン「………

    (………ん?)

    あ……?

    何だこれ? 俺は死んでない?

    (何でこいつはこんな所に転がってるんだ?

     こいつはさっきまで俺の首にナイフを押し当ててなかったか?

     何で胸のところだけ服が焦げてんだ?

     何で変な臭いがするんだ?


     ニオイ?


何だこの臭いは、何処からこんな臭いがするんだ?

     まるで、髪の毛が焦げたような臭い。

     ん? なんで、こいつ、胸の肉が、焦げて、いるんだ?


     肉…… 肉……… これが肉の焦げる匂いか?

     肉……… 肉…… 肉… 肉、肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉!!


     …………)」


キョン「おれが、こいつを、ころし、たのか…?」



×××「―――傑作だぜ」

129 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 19:27:01.38 ID:HFIUSKAo [4/13]

 2、


×××「まったくもって理解不能だぜ。目撃されるのみならず、先に獲物を殺されちまうなんて。京都
     に来てからこんなことばっかだしよぉ。やっぱこれって、あいつのせいなのかねぇ

     それにしても、スタンガンなんつー物を得物にしてる≪零崎≫がいるなんて初めて聞いたぞ。
     つーか俺ってば、≪一賊≫のことなんてどーでもいいから、全然知らないんだけどな。カハハ」

キョン「………」

×××「ん? どうした? あんた、≪零崎≫だろ。どーせあのクソ兄貴から頼まれて俺んとこに来た
     ってとこか。だとすんと、兄貴もこのあたりまで来てるっつーことだよな。まだ探し終えてねー
     ってのにマジ勘弁なんですけど」

キョン「これは……なんだ?」

×××「一体何言ってんだよ。あんた、こいつを殺ってたじゃんかよ。首にナイフを突き付けられた状態
     から一発なんて、あんた見た目によらずなかなかやんじゃん」

キョン「俺が殺した…」

×××「……おいおい、マジかよ。今さら実は夢遊病でしたとか言わないよな? あんたまさか…

     成り立てか?」

キョン「……(俺が一体何に成ったって言うんだ?)」

×××「マジっすか? もはや傑作じゃねえ、戯言だ。よりにもよって≪一賊≫から最も外れた俺が
     見つけたのかよ。兄貴だったら喜ぶかも知んねーけど……

     ま、いいか。何事も諦めが肝心だし。んじゃあんた、ちょっとそこで待っててくれよ。こいつを
     殺して解して並べて揃えて、晒してるから。あ、殺しはあんたが殺っちまったんだっけか。
     どうでもいいけどよぉ」

――グチュゥ――グチャァ――ギチッ――

キョン「(そうか、こいつが連続通り魔殺人鬼か

    それにしても、人間ってのはああも気持ちの悪いものだったんだな。

    血の、肉の臭い、吐きそうだ。でも不思議だ、吐き気がない…)」

130 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 19:43:09.74 ID:HFIUSKAo [5/13]

――公園――

キョン「(さすがにいつまでも殺人現場に居る訳にもいかないから、移動してきたけど、

    それにしてもすごい格好だな。歳は少し上ってところか? スタイリッシュなサングラスにまるで
    軍用のような安全靴。パーカーは普通だが、黒のクリティカルベルトが低い身長にあまりにも
    似合ってない。それに何だよ、顔面刺青に、まだらで後ろを纏めた長髪。右耳には三連ピアス
    で、左耳には明らかに携帯ストラップって…… ふた昔前のヤンキーだってましな格好だ)」

零崎 「俺は零崎人識――あんたは何だ? 甚平なんかを着ている所から見ると、現地民か?」

キョン「いや、俺はただの旅行客で、訳があって……というか殺人鬼、つまりあんたを探していた」

零崎 「ふぅん、殺人鬼の尻をおっかれるったぁ図太い根性してんじゃん。刑事か探偵ってことか?」

キョン「ただの部活でだ。うちの団長があんたに会いたいって言うから、わざわざ京都に出張って来た
    んだよ」

零崎 「なになに? 俺ってばいつの間にかにファンクラブまで創られちゃってる感じ? かはは、もてる
    男はつらいね~」



132 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 20:02:55.46 ID:HFIUSKAo [6/13]
キョン「それじゃあ零崎、質問してもいいか?」

零崎 「あぁ、別にいーぜぇ。俺ぁ仏のように広ーい心を持ってるからな。気分がよかったら10個位
    なら聞いてやんよ」

キョン「俺のことを≪零崎≫って言ったよな。≪零崎≫ってのはなんなんだ?」

零崎 「あー、まためんどくせぇ質問だな。まぁ約束しちまったし、答えてやる

    ≪零崎≫っつーのは殺人鬼のことだ。それもただの殺人鬼のことじゃあ無い。目的もなく、怨恨
    もなく、意義もなく、意味もなく、理由もなく、ただ生きているだけで呼吸をするように人を殺す、
    殺意だけの殺人鬼。殺人衝動しかない殺人鬼。それが、零崎だ」

キョン「で、俺はその≪零崎≫に成ったって言うのか」

零崎 「そ。≪零崎≫は血縁でも地縁でもなく、流血でつながる一賊で、≪零崎≫が集まった集団を
    ≪零崎一賊≫っつーんだ。兄貴は家族って言ってるけど、俺はそーいうの好きじゃねーんだ」

キョン「てことは、他にもお前みたいなのがたくさんいんのかよ…… 世も末だな」

零崎 「かはは、違いねぇ。つっても、あんたも≪零崎≫だがな」

キョン「何で俺が≪零崎≫に成ったってわかったんだ?」

零崎 「じゃあ聞くぜ。お前は何故、あのあんちゃんを殺した?」

キョン「それは…… 殺されそうだったから、正当防衛で」

零崎 「違うね。それはお前が≪零崎≫だっただからさ。≪零崎≫ってのは殺意の塊だからさ、殺意に
    敏感なんだよ。だから、あんちゃんの殺意に中てられて、お前の≪零崎≫が目覚めた。そして、
    殺しちまっただけなのさ。」

134 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 20:56:42.75 ID:HFIUSKAo [8/13]
キョン「だが、俺は今まで人を殺しそうになんてなったことは今まで一度もないぞ」

零崎 「それはなぁ…、んっと、兄貴はなんて言ってたっけ?本質、いや資質だっけか。≪零崎≫に
    成るのは一般人なんだよ。それまで一般人やってた素質のある奴が、急に≪零崎≫に成る
    んだ。なんでも、どっかの零崎が≪零崎≫に成った時には、町1個がぶっ飛んだらしいぜ」

キョン「つまり、お前も元々は一般人だったってことか。お前みたいなぶっ飛んだ奴が、どんな生き方
    してたのかなんて見当もつかないな」

零崎 「はは、そうだな。俺は成ったっつーより、させられたって感じだったがな、そこら辺は突っ込む
    なよ。≪零崎≫に成って、俺は1つの名前を捨てさせられたんだ。だから、お前も≪零崎≫に
    成った今、名前を考えなきゃいけねーんだよ」

キョン「自分で自分に名前をつけるのか、気持ち悪いな。それより、さっき俺が殺しちまった奴は何だ
    ったんだ? あいつも殺人鬼って言ってたぞ」

零崎 「あんちゃんはただの騙りだよ。まったく、肝っ玉がでけぇって言うんか、怖いもの知らずだよな。
    この零崎人識様に成り替わって人を脅して金を取る。ただの恐喝犯だが、そんなことをする奴
    は初めてだったからな、期待してたんだが、やっぱりそんなことをする奴は心ねー奴だったよ」

キョン「お前が言うな」

零崎 「かはは、まったくだ。それより、あんた名前はなんつーんだ?」

キョン「俺か? 俺は…」

――prrrrrrr――prrrrrrr――

キョン「あ、わりぃ零崎。電話出ていいか?」

零崎 「いいぜ、どーせ夜まで暇なんだ。それまでだったら付き合うぜ」

135 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 21:19:20.73 ID:HFIUSKAo [9/13]

――カチャ――

キョン『もしもし』

ハルヒ『キョン!! 何か見つかった!! 』

キョン『おいハルヒ、大声出すな。耳がいてぇ。超音波で殺す気か?』

ハルヒ『いちいち突っかかってくんじゃないわよ、バカキョン!!

    そうそう、言い忘れてたけど、昼は京都御所に集合だから。午後はみんなでもう一回河原町に
    行くわよ。今度は錦通りまで行くんだから。

    それから集合時間は12時までだから。遅れたら罰金だからね。あんた一番遠くに居るんだか
    ら、せいぜい遅れないことね』

キョン『は? 後30分もねーじゃねぇえか。遅刻確定にさせといて、何言って……』

――ブツッ…――phooo、phooo、phooo…――

            ・ ・・
零崎 「だってよ、キョン。これからどうすんだ?」

キョン「どうするも何も、一旦戻ろうかと思うが…」

零崎 「やめとけ、やめとけ。だってお前、そいつらんとこ行ったら、―――そいつらを殺すぞ」

キョン「なっ… まさか、俺だって自制くらいできるさ」

零崎 「いや、無理さ。何度も言うが、今のお前は≪零崎≫なんだよ。じゃあお前はさ、食欲を我慢で
    きるか? 睡眠欲を我慢できるか? 性欲は……出来ないこともないが、それでも、それと同じ
    で、お前は我慢できず殺しちまう。それからどうする? 警察に自首でもするか? 無駄さ。あん
    たはそこでも殺す。そんでもって次はどこに行こうか。家か? そしたら床一面血まみれだ」

キョン「………」

零崎 「もしも、そのハルヒって奴を殺したくないなら、行くな。いや、愛する人って言うなら止めないぜ。
    兄貴は『殺したい気持ちってのは、愛から生まれる』みたいなことも言ってたし。だがあんたは、
    殺したら絶対後悔するぜ」

キョン「………」

零崎 「だから、名前を捨てるんだ。お前はお前の世界へはもう戻れねーんだ」



137 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 21:33:17.76 ID:HFIUSKAo [10/13]
キョン「(俺はもうあいつらの所へ戻れないのか? 戻れない…

   ――おい、何悲しんでるんだよ。俺は元々あいつら―ハルヒ―に巻き込まれただけ
                           じゃないか。俺はいやいや付き合ってたんだろ?――

     ちがう…

   ――なら、よかったじゃねーか。もうあいつらに巻き込まれるれることはねーんだからよ――

     ちがうだろ

   ――今まで通りの日常とは行けなそうだけどよ、それでも、万能宇宙人とも、
           頼りない未来人とも、ニヒルな超能力者のいない世界なら、まだましだろ?――

     ちがうのか?

   ――俺はいつも言ってたじゃねーか。もう巻き込むなって、
                           徹頭徹尾、俺は被害者で、傍観者だったはずだ――

     そうだな…… じゃあ戻らないほうがいいな

   ――それがいい、そうすればせめて殺さないでおいてやれる。
                          立つ鳥跡を濁さず、だ。それが礼儀ってやつだろ?――

     ……俺はもう俺じゃない、俺は≪零崎≫だ。)」



キョン「俺は戻らない」

138 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 21:41:57.83 ID:HFIUSKAo [11/13]

――午後5時半――

――新京極――


キョン「……で、何でこんな人の多い所に来たんだ?」

零崎 「俺はこう見えても結構忙しい身でね、この後友達と会う約束してんだよ」

キョン「殺人鬼でも友達はできるんだな」

零崎 「けどよ、俺この辺あんま詳しくねーからさ、待ち合わせのカラオケが何処にあんのかわから
    ねーんだわ。だから今、道を聞いてくるから、この路地で待ってな。話の続きは向こうでな

    お、ちょうど良さそうなきれーなおねーさん発見っ!! じゃ、行ってくんな」

キョン「ちょ… ま、いいか

    (にしても人が多いな。うっかりすると人を殺しに行きそうだ)」

警察官「おい君」

キョン「へ?」

139 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/22(日) 21:58:37.43 ID:HFIUSKAo [12/13]
警察官「君だよ、君。そんな路地で何をしているんだ?」

キョン「くっ (やべぇ、今殺しちまいそうになった。こんな所で殺すわけにいかねえ、抑えないと…)」

警察官「? どうした、顔色が悪いぞ?」

キョン「だ、だいじょうぶ、です」

警察官「そうか、じゃあなんでこんな所に居たんだい?君も通り魔事件を知っているだろ」

キョン「はい。ですが、友達と待ち合わせをしてて…」チラッ


   零崎『~~~~』

   沙咲『~~~~』


キョン「(零崎の奴、まだ女の人と話しこんでやがる。早く助けやがれ)」

警察官「何でこんな所で待ち合わせてるんだい? 新京極でも1人殺されているし、それに今日の昼
     には太秦で8人目が発見されたんだ。もっと用心したらどうだい?」


   零崎『~~、~~』

   沙咲『~~』


キョン「すいません…(いつまで話してんだ…)」


   沙咲『』ピラッ

   零崎『っ!』ダダダッ


キョン「っ!? (あいつ、急に走り出してどこに気やがった)

    ちょっ、殺されたくなかったらどいてください! 友達がいたんでっ! 」タタタッ

警察官「な、待ちたまえ、君!! 」

150 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:02:54.06 ID:b7rmgZo0 [2/12]

――カラオケ――

零崎 「ふー、あぶなかったぜ…」

キョン「はぁ、はぁ、はぁ… おい、零崎。急に走り出すなよ」

零崎 「お。キョン、ついてきてたのか」

キョン「お前が綺麗なお姉さんと楽しそうに話している間、俺は警官に話しかけられてたんだ。危うく
    殺すところだったんだぞ」

零崎 「そりゃ奇遇だな、実はさっきのおねーさんも警察だったんだよ。あぶねー。

    ……ん? てことは殺さなかったのか?」

キョン「あぁ、殺したくなりはしたが、何とか抑えきったよ」

零崎 「ふーん… で、ここまで来るまでにたくさん通行人がいたはずだが、何人殺したんだ?」

キョン「殺してないさ。お前を追うのに必死だったから、抑えんのもきつかったが、殺した覚えが
    ないから殺してないと思う」

零崎 「そうか… いや、まぁいい、さっさとボックスに入っちまおう」


受付 「いらっしゃいませー。何名様ですか?」

零崎 「2人で」

キョン「………」

受付 「はい、それでは、24号室でございます」

零崎 「キョン、行くぞ?」

キョン「あぁ…」


零崎 「そういや、これ渡すの忘れてたわ」ポン

キョン「…これ、俺の財布じゃないぞ」

零崎 「お前が殺した奴の財布だよ。だいぶ儲けてるみたいだし、20万は入ってそうだぞ」

キョン「何で俺に渡すんだ?」

零崎 「お前が殺したからさ。20万だぞ、欲しくないのか?家には帰れねーんだ、金はもっといた
    ほうがいいんじゃないか? いらないなら俺が貰うが」

キョン「いや、貰っとくよ」

151 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:06:04.43 ID:b7rmgZo0 [3/12]

――ボックス――
                                ものがたり
零崎 「―――かはは。キョン、お前もなかなか傑作な物語だな。俺の 人 生 もそこそこおもし
    れーと思ってたんだが、お前のほうがぶっ飛んでるよ。

    全知全能が故に進化できない宇宙人に、未来を創るために来た未来人、もはや狂信者と化し
    た超能力者。極めつけは、時空を歪めるほどの可能性を持った神様ときやがった。
    こいつぁ――マジもんの傑作だな。

    で、その涼宮ハルヒってのが、さっきの電話を掛けてきた奴か?」

キョン「そうだ。ケータイは電話が掛かってくると面倒だから、電源はきったよ」

零崎 「最高だぜ、キョン。で、お前は一般人の傍観者ってか?

    ……ん? あ、そうか」

キョン「どうした零崎」

零崎 「いや、キョンと初めて会った時から気になってたんだ。お前が誰かに似てるなって。今それ
    がわかった。お前、あの≪戯言使い≫に似てんだ。その経歴といい、態度といい、雰囲気も」

キョン「≪戯言使い≫? 何だそれ、狂言回しの仲間か?」

零崎 「この後会う奴のことだよ。お前みたいに何もしてないのに異常で異端な奴らが寄ってきて、
    いつの間にかに異常で異端な事件に巻き込まれてるくせして、一般人ぶって、傍観者を気取
    ってる奴なんだが、お前もあいつも、一般人でも傍観者でもねーんだよ。お前らは主人公だ」

キョン「俺が主人公だって? そんなけったいな者じゃないさ。ただ訳の分かんないうちにうろうろして
    るだけの、ただの凡人さ」

零崎 「違うね。お前から見たらそうなのかもしれねーが、外から見たら、お前たち以外主人公はい
    ねーよ。その涼宮だか朝比奈だか古泉だか長門だったか、メインヒロインか脇役って違いは
    あるかもしれねーが、ただの盛り上げ要員でしかない。

    物語に何もしない、何も特徴のない奴がいるとしたら、そいつは主人公かモブキャラしかいね
    ーんだよ。そしてそいつが物語にずっと関わり続けてるのに、主人公じゃないはずがない。わ
    かったか?これでQ.E.D.だ」

キョン「……だとしても、俺は普通がよかったさ」
                ・・・・・・・
零崎 「まぁいいさ、どーせお前は物語から外れたんだ。もう主人公じゃねーよ。安心しな」

152 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:08:34.79 ID:b7rmgZo0 [4/12]

零崎 「じゃあさ、その最高に傑作な涼宮ハルヒの物語を俺に語ってくれないか? 正直、その話は
    そんじょそこらの小説なんかよりもずっと面白いぜ。お前は小説家になったらいい。絶対に
    儲かる。ペンネームは『谷川 流』な。設定はハゲで行こう」

キョン「やめとく。そんなことして、≪機関≫に目をつけられたくないからな」

零崎 「残念だ」


キョン「(それから零崎はハルヒの物語を1から10まで聞いてきた。どうやらかなりハルヒのことが気
    にいったらしい。まるで、夜寝る前に絵本を読むのをねだる子供みたいに。しまいには、


   零崎 『そのハルヒっつー奴は、お前のことが好きだったんじゃんーか? いや、ハルヒだけでなく
       朝比奈も長門も古泉も。まるで恋する乙女みてーだぜ、そいつら』


    などと言い出した。明らかに乙女とはなりえない奴も入ってるよなって言ったら、


   零崎 『いや、間違いなく古泉もほれてるな。好きでもねー奴に顔近づけたり、裸ですり寄ったり
      しないだろ。ひゅーひゅー、モテモテだねーおにーさん』


    吐き気がした。

    その代わり、零崎は『そっち』についていろいろ話してくれた


   零崎 『んで、こっちには≪殺し名≫っつーのがあってだな』

   キョン『≪殺し名≫? そういや、古泉がそんなこと言ってたな』

   零崎 『古泉はそんなことまで知ってんのか。ま、≪玖渚機関≫の下っ端なら知っててもおかし
       くはない話だが』

   キョン『お前も≪玖渚機関≫を知っているのか』

   零崎 『それなりにな。それだけで政治の世界を形成する、バカみてーにでかい組織さ』

153 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:12:35.96 ID:b7rmgZo0 [5/12]
   零崎 『で、何処まで話したんだっけ? …あぁ、≪殺し名≫についてだったな。

       ≪殺し名≫ってのは、俺たちみたいな人殺しの奴らのことさ。その中にもいろいろあって、
       その1つが、序列第3位の≪零崎一賊≫だ』

   キョン『序列?』

   零崎 『オリコンみたいなもんだ。別に強さとか量れねーけど、無理やり量ったとして、規模とか
       残忍さとかを基準にランク付けしたんだよ。第1位から順に、
           ≪殺し屋≫の≪匂宮雑技団≫
           ≪暗殺者≫の≪闇口衆≫
           ≪殺人鬼≫の≪零崎一賊≫
           ≪始末番≫の≪薄野部隊≫
           ≪虐殺師≫の≪墓守司令塔≫
           ≪掃除人≫の≪天吹正規庁≫
           ≪ 死神 ≫ の≪石凪調査室≫
       って訳だ』

   キョン『3位ってすげーじゃねーか』

   零崎 『だから、あくまでも目安だっつてんだろ。序列が下だからって甘くみんな。どっちにしろ
       ド素人のあんたがプロのプレイヤーに勝てる訳ねーよ。だからせめて会わねーように
       しろよ、殺されたくなかったらな。ま、零崎を襲おうってバカはいねーだろうけど。それか
       兄貴か大将か曲識のにーちゃんに稽古でもつけてもらいな』

   キョン『兄貴って、零崎、お前一賊のことは家族と思ってなかったんじゃないのか?』

   零崎 『兄貴以外はな。あれには会えばすぐに分かるさ。針細工みてーにほっそ長ノッポで、真っ当な
       格好してるくせに、でっけー鋏を振り回しながら、「妹が欲しい~」って言ってる変態だからな』

   キョン『そんな奴には出来れば関わりたくはないな』

   零崎 『同感だ。だから兄貴に会っても、俺が京都に居ることは言わないでくれ』

   キョン『わかった。でもどうやって他の零崎を探すんだ?』

   零崎 『ん~、なんつったらいいのかね。勘、みたいな? ≪零崎≫は他に奴が何処に居るか
       大体分かるんだよ。ま、詳しいことは兄貴に聞け』  

154 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:15:01.22 ID:b7rmgZo0 [6/12]
キョン「(そのあとも、他の≪零崎≫についてや、匂宮出雲って奴にも零崎について話すなって言われた
    り、サバイバルナイフの柄にはコンテナって収納があることとか、いろんな訓示をいただいた)」

零崎 「なぁキョン。どうしてお前は受付のねーちゃんを殺さなかったんだ?」

キョン「は?」

零崎 「それだけじゃねぇ、話しかけてきた警官も、通りを歩いてた通行人もよ」

キョン「いや、殺したいとは思ったんだけど、それを抑えたっていうか…」

零崎 「成り立てのお前がそんなことできるのか?曲識のにーちゃんだって禁欲主義っつったって殺さ
    ない訳じゃない、殺しはするし、何よりメンタルがよほど強くなくちゃ出来ねーんだよ」

キョン「曲識? あぁ、少女しか殺さない、小腸を体に巻きつけて笑って喜ぶ殺人鬼だっけか。それでも
    出来んもんは出来るとしか言いようがないんだけど」

零崎 「現実出来てるからそれ以上何も言えねーな。まぁいい、ハルヒに苛められてる内にメンタルが
    強くなったってことにしといてやるよ」ニヤニヤ

キョン「なら、どうしてお前は人を殺すんだ?」

零崎 「殺人鬼が人を殺すのに理由が必要か?」

キョン「いや、いらないな。だったら何故お前は人間を解体するんだ? あのあんちゃんは俺が殺した
    んだ、解体する必要はなかったんじゃないのか?」

零崎 「……そうだな、そっちには理由が必要だな。じゃあそうだな…… 探し物をしてたってことで」

キョン「人体の中にか? まさか人間のハツを食べたいとか言わないよな。…まぁいいさ、お前がそう言
    うなら、そういうことにしといてやるよ」ニヤニヤ

零崎 「はん、傑作だな」

キョン「まったくだ」

155 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:18:51.87 ID:b7rmgZo0 [7/12]
零崎 「そろそろ≪戯言使い≫が来るんだけどよ、そいつとは2人っきりで会う約束になってんだ。それ
    じゃ、ここいらでお開きにしようぜ、兄弟」

キョン「そうだな、じゃあ最後に一つだけ。カッコイイつもりかもしれないけど、服のコーディネートダサ
    すぎだぜ、兄ちゃん。久々に楽しかった」

零崎 「うっせーよ、バカ。お前の甚平の≪馬鹿≫ってあだ名の『キョン』と掛けてるのか? おいおい、
    ギャグにしちゃあ寒すぎだぜ。そして俺より身長が高いからって、見下ろしながら『兄ちゃん』
    なんて言うんじゃねーよ、ムカつくぜ、馬鹿弟。お前といるのは楽しいから、また≪縁≫があった
    ら会おうぜ』



――午後8時――

――ガチャ――

零崎 「おっ?  よぅ、欠陥製品」


戯言使い「やぁ、人間失格」

156 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:21:11.83 ID:b7rmgZo0 [8/12]
一姫 「やっと師匠が出てきましたね。だけどもう2章の終盤ですよ」

崩子 「て言っても、戯言使いのお兄ちゃんの出番はこれで終わりですけどね」

一姫 「何という扱いっ」

崩子 「それに、一応設定上は>>67‐68の×××もお兄ちゃんなんですよ。主人公なのにひどい待遇
    ですね。

    他にも、本当は>>2であげるはずだった登場人物表とかも成行きのままなかったことになり
    かけていますけど、どうしましょうか」

一姫 「とりあえず、今ここであげるのはネタばれになっちゃいますから、頃合を見ながらあげるで
    す。戯言シリーズのすごいところは、人物表を先に見ても展開が分からずに楽しめるところ
    ですよね。下手な推理小説ですと目次と登場人物とあらすじで犯人がわかっちゃいますから。

    原作のそういう感じも出したかったですが、今さらで、まして作者が中途半端なので、結局
    こうなっちゃうんです。

    それでも読んでくださている皆さん、に胸いっぱいの感謝をこめてっ」

崩子 「17歳のくせに幼児体型の姫姉さまの胸なんてたかが知れているんですけどね」

一姫 「うううぅー!! そっちの方がま○板のくせに生意気なんですー! 」

崩子 「ふんっ、所詮中[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]な癖して[ピーーー][ピーーー][ピーーー]ですしね。
    それに、>>82も言ってるじゃないですか。いい加減それ辞めたらどうですか?[ピーーー]ですよ」

一姫 「言わせておけば… ウルテク(ネタばれ)まで使って、そっちこそいい加減にするですお!」


――ドタドターバタバタ――


作者 「少し休んできます」

157 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:43:23.28 ID:b7rmgZo0 [9/12]

――同時刻――

――鴨川公園――

キョン「さて、零崎と別れて、何もすることがないな。とりあえず、今日の寝床でも探すか。

    (一応金はあるが、何かって時のためにとって置いた方がいいよな。それに人のいるところ
    で寝て、朝になったら人を殺してましたなんて嫌だし。てっことは野宿か。風呂は… ネット
    カフェのシャワーでいいか。それくらいの間なら殺すのも我慢できるだろし、さっさと将来
    を考えなくてはな。……何で俺、こんな年で未来のことなんて考えてんだ? 考えてみれば、
    今のこの状況っておかしいよな、何でこんなことになったんだ……)」ブツブツ


――ドンッ――


キョン「あ、すいません (おっと、殺さないように規制規制っと)」

×××「ふん。『あ、すいません』か、もっとマシな謝り方は出来ないのか、兄ちゃん?」

キョン「……ごめんなさい」

×××「『ごめんなさい』。ふん。それでいい、今の俺はだいぶ機嫌が悪いからな、気を付けとけ」

キョン「……そうですか。
    (何で見ず知らずの奴の機嫌なんて気にしながら歩かなくちゃいけないんだよ。何でこんな
     人もいない夜の公園でぶつかったんだ? そもそも俺の近く人が歩いていた気配はなかったは
     ずだし、どっから沸いてきたんだ、こいつ)」

×××「まあいい、お前とはぶつかった≪縁≫だ、少し俺の話を聞け」

キョン「は?」

158 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:44:46.71 ID:b7rmgZo0 [10/12]
×××「『は?』。ふん。俺は機嫌が悪いって言ったんだよ。何でか分かるか?」

キョン「……いや、わかりませんが 。
   
   (普通、人の考えてることなんて分かんないに決まってるだろ。…あれ、京都ってこんなに変
    人と会える場所なのか? だったら初めから京都にハルヒを連れてけばよかったな)」

×××「『いや、わかりません』か、少しは頭を使え。ふん。こんな背中に『馬鹿』なんて書いてる
    バカと≪縁≫を持っちまうとは、今回は外れだな。だが≪縁≫は≪縁≫だ、話はしてやる。

    俺はある奴を探しに来たんだ。普段なら理澄あたりを使うところだが、生憎≪手足≫は全部
    使っちまってるから、因果から外されたこの俺が直々に来てやったんだ。なのにそいつは、
    もう京都に着いてから一時間たつのに現れない。俺は暇だが、その暇を他の奴に取られるの
    は嫌いだ」

キョン「………。

   (なんだこいつ、頭がおかしいのか? それに、今まで暗くてよくわかんなかったがこいつ、
    『狐』のお面なんて被ってやがる。まじで痛い奴かよ。しかも、いきなり人のことをバカ
    呼ばわりにしたよな。確かに、背中に『馬鹿』とは書かれているが、俺だって好き好んで
    これを着てるわけじゃないんだ。何で殺人衝動を抑えてんだ? 殺してやりたい)」

×××「ん? この殺気、…まさかお前、≪零崎≫か?」

キョン「……そうだが、お前、殺しち… 「…くっくっくっ」 」


×××「あははははははははは、あはははははははははは。つまんねぇ、つまんねぇぞ!」


キョン「――ひっ」ゾゾゾッ

×××「ははははははは…。所詮日本を震撼させるっつぅ殺人鬼ってのは、こんなひょろっちいガキな
    ≪零崎≫っだって言うのか? ホントくだんねぇな。興醒めだ」

    なんてくだらねぇ≪縁≫だ。こんなんだったら、初めから無かった方がまだマシだ。こんな糞
    暑ぃ所に来る事も無かったんだからな。ちっとばかし異端な奴だからって、過大評価していたか」

キョン「……… (こいつ、≪最悪≫なまでに狂ってる…)」


159 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:53:40.05 ID:b7rmgZo0 [11/12]
×××「確かに、≪零崎≫は希少種だ。さらに、≪零崎≫特有の殺人衝動を今も押さえてるのは確かに
    珍しい。殺人衝動を抑えられる≪零崎≫は≪少女趣味≫だけと聞いていたからな。だがな、お前
    はそれだけだ。それしかない。≪零崎≫ってことだけしかお前には価値がない。それを除いちま
    えば、お前に残るのはただの殻と罪悪感ぐらいだろう。そんな奴に、俺は興味はない。

    くっくっくっ、まぁいいさ。運命は受け流すもの、今回のアプローチはこれでしまいだ。こん
    な、≪なんでもないところ≫で≪たまたま≫会った平凡そうなこの男が――俺の敵に成り得るは
    ずが無いからな。お前自身がまるで何ともない、平凡なガキの周りには、何も無い。周囲にある
    のはただの無虚、混沌も何もない。まるで物語から追放された、平凡が取り柄の主人公みたいだ」

キョン「………」

×××「それでもいい、さっさとこの≪縁≫を切っちまって次に進もう。

    ……ああ、そうだ。こんなんでも≪縁≫だからな、名乗ってはやるよ。俺はなぁ…


     ―― 西東 天、人類最悪の遊び人だ ――


    お前は名乗んなくてもいいぜ。お前とこれ以上≪縁≫を絡ます気は無いからな。じゃ、あばよ」


キョン「何だったんだ、あいつ……」

160 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/23(月) 17:58:32.35 ID:b7rmgZo0 [12/12]
ということで、第2章が終わりました。公約通り『破』までは何とか書き上げることが出来ました。
なので、今日は区切りがいいのでこれで終わりです。
それでは、読んでくださった方に、感謝と、息災と、友愛と、再会を

P.S. 今日で書きだめを使い切ってしまいました。それに、実はまだ登場人物が出きっていないと
   いうこの状況、私は如何にするべきなのでしょう… まだ、夏休みは1週間以上残っているの
   で、がんばれる所まではがんばります……

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これ早く完成しないかな?

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