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キョン「やれやれ――――それじゃあ、零崎を始めるとしますか」序章‐第一章

1 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:39:17.06 ID:HKlBtMUo [1/24]
ハルヒ×戯言ssです
需要ないかも。。。

まだあんまり書き溜めてないので時々上げに来ます

2 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:39:43.67 ID:HKlBtMUo [2/24]

『血と労苦と汗と涙のほかに、私が差し上げられるものはありません。』
                     ――ウィンストン・チャーチル―― 


――5月11日(水)――

TV 「……」
ハルヒ「……」
TV 「……」
ハルヒ「……」

キョン『いつ部室にテレビなんて置いたんだ?』

みくる『さぁ? 気づきませんでした』

古泉 『確か三日ほど前に運び入れていましたよ』

キョン『それにしても、あんなアンティークみたいなテレビどこで拾ってきたん
    だ。10インチで、しかもブラウン管だなんてうちのじいちゃん家にも
    ないぞ。来年には地デジになるから見れないじゃないか。』

TV 「……」
ハルヒ「……」

3 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:40:20.08 ID:HKlBtMUo
古泉『なかなか乙なものですよ。昭和のよさを改めて実感しますね。
   あんなに古いカラーテレビでも今でも使えているのですから』

みくる『ほぇ~、ピンク色でコロコロしててかわいいですね~。あれがブラウン
    管なんですか。もうこの時代には全部有機ELだと思ってました。』

キョン『それはまた…。けど有機ELなんて、去年の一時期だけしか売れてなか
    た気がするんですが。未来のテレビは全部有機ELなんですか?』

みくる『そ、それは禁則じ『違う』

長門 『将来的には現代のテレビジョンと呼ばれるようなものは存在しない』

キョン『何だ長門いたのか』

長門 『あなたが、よんだから』

古泉 『有希ではなく有機ですよ』

TV 「……」
ハルヒ「……」


4 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:41:00.32 ID:HKlBtMUo
キョン『それは何でですか、朝比奈さん』

みくる『えっと…それも禁そ『未来において触媒を媒介する必要がなくな
    ったため』

キョン『(そういえば朝比奈さん(大)がそんなこと言ってたっけ)』

キョン『それはつまり、テレパシーでメールするようなものなんですか、朝
    比奈さん?』

みくる『き『それは違う。感覚的には似ているが、似て非なるもの』

キョン・みくる・古泉「……」

TV 「……」
ハルヒ「……」

5 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:41:32.74 ID:HKlBtMUo
古泉 「ちぇ、チェスでもしませんか?」

キョン「あ、ああ…」

みくる「わたしはお湯沸かしますぅ」

長門「……」


TV 「…っ…」
ハルヒ「!?」

6 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:42:07.36 ID:HKlBtMUo
ハルヒ「そうだ! 京都に行こう!」

キョン「なんだ、藪から棒に」

ハルヒ「『なんだ』じゃないわよ。大事件よ大事件!」

   「あんた今京都で何が起きてるか知らないの? 連続殺人なのよ?」

キョン「朝テレビなんて見てる時間あったら寝てる時間を増やすね」

古泉 「ああ、≪京都連続通り魔殺人事件≫ですね。確か今朝には被害者が4人
   に増えていたとか」

みくる「ひぇっ」

キョン「てかお前、それ今知っただろ」

ハルヒ「私にとって今より前はすべて過去なの。3秒前も3年前も等しくね」

   「それにちょうど今5人になったところよ」

キョン「その≪ちょうど今≫はだいたい30秒前だから≪過去≫だな」

ハルヒ「うっさい、揚げ足とんなっ」

7 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:42:46.67 ID:HKlBtMUo
キョン「それで、何なんだ? その殺人事件がどうした」

ハルヒ「どうもこうも、あんたバカァ?」

   「5人も殺されていまだに犯人が捕まってないのよ、異常じゃない」

キョン「切り裂きジャックは十数人殺してたぞ」

古泉 「涼宮さん、僕が説明します」

TV 「……」
長門 「……」
TV 「……」
長門 「……」

8 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:43:15.47 ID:HKlBtMUo
古泉 「切り裂きジャックはイギリス、ジェイソンはアメリカで有名な殺人鬼です
   が、それと同レベルの事件が日本の、しかも京都で起こっているというの
   が異常なんです」

   「先進国でも治安が比較的的よい日本の一地方都市でそのような事件が起こ
   るなんて前代未聞です」

   「その犯行の手口はもはや通り魔殺人とは言えないほど残忍で、人気のいな
   いところに人を連れ込み、鋭利な凶器で刺殺した後にその場で死体を切り刻
   み、内臓を引きずり出し、解体するんです。もはや猟奇殺人ですよ」

みくる「ひょ、ひょえ~~~~~」

古泉 「それだけでなく、警察が機動隊さえも動員されてなお、犯人の手掛かり1
   つ見つかっていず、犯行が繰り返されているんです。

   「これを異常と言わず何というんでしょう」

TV「……」
長門 「……」

9 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:44:00.40 ID:HKlBtMUo
キョン「…まあ大体わかった」

   「で、ハルヒ。その事件が一体どうしたんだ。ここは兵庫県で京都府じゃ
    ないぞ」

ハルヒ「まさかきょん、ここまで話して置いてまだわかってないの?」

   「だ~か~ら~…」

キョン「(わかってるから聞きたくないんだ)」

ハルヒ「私たちが殺人鬼を捕まえるのよ」

キョン「……」

みくる「ひぇ~…」

古泉 「……」

TV 「……」
長門 「……」

10 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:44:52.72 ID:HKlBtMUo
キョン「お前正気か?」

ハルヒ「勝機に正気よ。だから捕まえに行くの」

   「だってこんな機会多分もう人生で二度とないわよ? 日本初の連続猟奇
    殺人。いいじゃない、あたしたちの相手にはちょうどいいわ。SOS
    団に勝てない相手はいないわ」

キョン「バカかお前は。相手は殺人鬼で…殺されるかも知んないんだぞ」

ハルヒ「大丈夫よ、絶対殺人鬼ごときに殺されないわよ。だって」

   「SOS団だもの」

キョン「……」

キョン「(こいつがこう言っている以上、ハルヒの能力で俺たちは守られている
    ってことだよな。それに古泉の≪機関≫もあるし…)」

TV 「……」
長門 「……」

11 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:45:38.95 ID:HKlBtMUo
キョン「まあいい、それで何か策でもあるのか?」

ハルヒ「……珍しいわね、あんたが素直にあたしの言うことを聞くなんて。団員
    としての自覚が出てきたのかしら」

キョン「じゃあ行かない」

ハルヒ「詳しいことは明日話すわ、今日のミーティングはこれで終了っ。みくる
    ちゃん、お茶頂戴」

みくる「はい、ただいまぁ~」

…………

長門 「……」ポチッ
TV「」プツン

ハルヒ「じゃあ今日の団活はこれで終わりっ。みんな帰るわよ



12 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/29(木) 12:49:33.60 ID:HKlBtMUo
――なあハルヒ、お前はいったい何を望んだんだろうな?
   ほんとに非現実なんか望んでたのか結局、わからなかったよ…
   …けどな、本当は、もしかしたらそれを俺が望んでたのかもな――

21 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:16:06.14 ID:HKlBtMUo
第1章 鼓動―(来導)


 0、「君はどうしたいの?」
              「僕はどうもしたくない」

 1、

――5月12日(木)――

ハルヒ「みんな揃った? それじゃあミーティングを始めます」

   「それじゃあみんなに今回の計画を発表するわ。みくるちゃん、これホワ
    イトボードに書いてちょうだい」

みくる「はぁ~い。…えっとぉ≪京都っ猟奇殺人鬼っ捕縛計画≫っと」

ハルヒ「いいわねみくるちゃん。どんどんエロメイドっぽくなってきてるわよ。
    特に息継ぎがエロいわね~」

TV「……」
長門 「……」

22 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:17:32.27 ID:HKlBtMUo
ハルヒ「それで誰か質問ある」

キョン「おいハルヒ、まだ名前しかわかんねーぞ」

ハルヒ「質問は挙手をし、指名されてから」

キョン「」ノ

古泉 「涼宮さん、現時点では計画名しかわからないのですが、具体的な作戦は
   あるのでしょうか?」

ハルヒ「いい質問だわ、さすが古泉君。これから説明するわ」

キョン「」プルプル

ハルヒ「明日の早朝から日曜日までの3日間、京都に2泊3日の合宿を行います」

キョン「金曜は学校じゃないか」

ハルヒ「金曜は建校記念日よ。馬鹿なんだからせめて勉強しなくてもいい日ぐら
    い覚えときなさい」

TV「……」
長門 「……」

23 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:19:03.42 ID:HKlBtMUo
ハルヒ「作戦は単純明快、人が多い場所を探し回って犯人を見つけたら縄でグル
    グルにしてあたしの前にひっ捕らえてくる。簡単でしょ?」

キョン「簡単なわけないだろ、相手は凶器を持っている殺人鬼だぞ。縄で巻く前
    に刺されちまう」

ハルヒ「そんなのお腹にジャンプかマガジン入れときなさい」

古泉 「サンデーのほうが厚い気がしますが」

ハルヒ「サンデーは絶対だめよ、あたし犬夜叉嫌いなの」

キョン「……まあ防御面はいいとして(全然よくねーけど)、どうやって縄で巻く
    んだ? 殺人鬼に『お縄頂戴いたします』って言うのか」

ハルヒ「それでもいいけど、気絶させてから縛り付けましょう」

   「はいこれみんなにあげるわ」ポイポイ

古泉 「これは…」ポン

TV「……」
長門 「……」

24 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:19:46.65 ID:HKlBtMUo
みくる「す、スタンガン…ですかぁ?」ポン

ハルヒ「その通りよみくるちゃん。よくわかったわね」

   「昨日ド○キに行って一番電圧の強くて気絶させられ奴頂戴って言った
    らそれだって言うの。シャーペン型で痴漢対策用らしいわ。」

キョン「(痴漢対策で人を気絶させるのか?)」

ハルヒ「はい有希」

TV「……」
長門 「……」ポン

キョン「(長門いたのか)」

25 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:22:19.24 ID:HKlBtMUo
ハルヒ「はいキョンにも」

キョン「ああ、ありが……」カチャ

   「なあハルヒ……」

ハルヒ「どうしたのキョン? まるで凶器でも渡されたみたいな顔して」

キョン「これ、サバイバルナイフじゃないか? なんで俺だけスタンガンじゃな
    いんだ?」

ハルヒ「あのスタンガン異様に高いのよ、4個しか買えなかったわ。だから昨日
    家の物置あさってたらサバイバル用具が出てきたの」

キョン「だからって人にこんなもの渡すな! お前が使えよ。こんなの持って職
    質かけられたら俺が犯人にされちまう」

ハルヒ「あたしも捕まりたくないわよ。それじゃスタンガン欲しかったら自分で買っ
    てきなさい。それにあんたが一番襲われそうな気がするのよね。もっといた
    ほうがいい気がするわ」

キョン「不吉なこと言うな、俺はまだ死にたくない」

ハルヒ「大丈夫よ、こっちが武装してる限りいきなり殺してきたりしないわよ」

26 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:22:57.84 ID:HKlBtMUo
キョン『おい古泉』

古泉 『何でしょう?』

キョン『お前スタンガン持ってないか? 毎週奢っってるせいで金がないんだ』

古泉 『僕は持っていませんが、≪機関≫の備品にあると思います。借りてきま
   しょう』

キョン『それでいい、頼む。間違ってもナイフなんて使いたくない』

ハルヒ「そこ何しゃべってんの? 話聞きなさい」

古泉 「すいません涼宮さん、話を続けて下さい」

ハルヒ「そう、それじゃ古泉君。宿の準備頼めるかしら」

古泉 「わかりました。知り合いに京都の旅館を営んでいる人がいるのであたっ
   てみます。多分格安で泊まれますよ」

27 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:23:30.71 ID:HKlBtMUo
ハルヒ「じゃあ今日のミーティングはお終い。明日は朝6時から行くからちゃん
    と準備しとくのよ」

…………

長門 「……」ポチッ
TV「」プツン

ハルヒ「じゃあ今日の団活はこれで終わりっ。みんな帰るわよ」

キョン「(……長門、本読むのやめたんだな)」


――――この時俺はまだ知らなかったし、この前みたいにハルヒはみんなで旅行に
    行きたいだけだろうと思っていた。それにそれは間違いではなかったんだ
    と思う。だからこそ思う。≪どうしてこうなった≫んだろう……――――

37 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 09:39:40.71 ID:ES1g07Eo [2/15]
 2、

――5月13日(金)――

――駅前――

ハルヒ「おっそーい!!」

キョン「(こいつにだけは謝るまい、ほんの少し前に走ってくところを見たぞ)」

キョン「朝比奈さん、遅れてすいません」

みくる「あ、大丈夫ですよ。私も今来たとこ」

古泉 「おはようございます。今日もいい天気ですね」

長門 「……」

ハルヒ「みんな揃ったわね。じゃあキョン、今日はいつもの喫茶店じゃなくて向
    こうのマ○ドで奢りなさい」

キョン「ヘイヘイ…」

ハルヒ「それじゃぁ、しゅっぱ~つ!」


38 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 09:40:36.34 ID:ES1g07Eo [3/15]
――京都のマ○ド――

キョン「…でだハルヒ、これからどうするんだ? 俺たちはまだ作戦も何も聞い
    いちゃいないぞ」

ハルヒ「いちいち五月蝿いわね、今から話すわよ。」

   「それじゃあこれから三日間の計画の予定を発表するわ」

   「まず、朝から昼まで各人に人気の多い所に行ってもらいます。で、昼食
    を食べるときにみんなで集まって今度は場所を変えましょう」

キョン「おいハルヒ、さすがに個人行動は危なくないか?古泉はともかく、朝比
    奈さんを1人で歩かすのは襲ってくれって言ってるようなものじゃない
    か」

ハルヒ「う~ん、そうね…。じゃあ、班を作りましょう。1人と2人の班を2個
    ね。それじゃあくじ引き!」

キョン・みくる・古泉・長門「」スッ

――結果――

キョン・古泉班  みくる・ハルヒ班  ボッチー長門

ハルヒ「それじゃあいったん旅館にいって荷物を置きましょう。あたしたちは京
    都駅から、南の稲荷大社にかけて探索ね。有希は京都駅から二条城にか
    けて、古泉君は二条城から北野天満宮にかけて捜索するのよ」

ハルヒ「それじゃ、みんな行くわよ!」

39 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 09:41:22.52 ID:ES1g07Eo [4/15]
――千本通り――

キョン「京都なんて初めて来たな」

古泉 「そうなんですか、僕は生れが関東なので小学校の修学旅行で一度来たこと
   がありますよ」

キョン「それは≪機関≫に入る前なのか?」

古泉 「そうなりますね、ええ。それこそ小学生の記憶なので、宿泊先で女の子の
   部屋を覗いたことや、脱衣まくら投げで負けて部屋から全裸で締め出され
   たことくらいしか記憶にありませんが」

キョン「なんだよ脱衣まくら投げって…。そうか、そうだよな」

古泉 「どうかしましたか?」

キョン「いや、お前も昔の…≪機関≫に入る以前の思い出もあるんだよな。俺が
    知ってるのは今のお前だけだから」

古泉 「……。そうですね、そんなときの僕もいましてね。正直、≪機関≫に入っ
   てからの記憶のほうが色濃くて、たまに忘れそうになるんですよ」

   「それに、あなたや朝比奈さんや涼宮さんに出会ってからの1年間はとても
   愉快でいい思い出ですよ」

40 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 09:56:22.79 ID:ES1g07Eo [5/15]
京都簡略図
 
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|  金閣
|   寺 | |
|                           ||
|      北野               ||     銀閣
|      天満宮             ||     寺
|        |                 ||
| 千本通り→|      京都        ||平安
|        |      御所        ||  神宮
|        |                 ||
|       二条城     新 河原     ||
|                京極 町      ||
|                            ||←鴨川


|            京都駅


42 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 09:58:27.94 ID:ES1g07Eo [7/15]
古泉 「≪機関≫に入ってからも決していい思いはしませんでしたよ。前話して時
   には……ああ、あれから一年も経つんですね、気が狂いそうになったと言
   いましたが、僕は自分の人生を恨みましたよ。勿論、涼宮さんもね」

キョン「……」

古泉 「けれど、5月に涼宮さんと出会って、あなたと出会って、SOS団に入っ
   て、ずいぶん楽しませていただきましてよ」

キョン「……お前は今でもハルヒを恨んでいるか?」

古泉 「恨んでいません。1年前はとても考えられなかったことですよ」

キョン「そうか」

古泉 「すいません、とても旅行中に喋るようなことでもなかったですね」

キョン「普段の疲れをいやす慰安旅行だと思えばいいじゃないか、少しくらい話は
    聞くぞ」

古泉 「ありがとうございます(彼も変わったんですね…)」


キョン「(俺はあいつと出会って……どう思ってるんだろな)」

43 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 09:59:19.61 ID:ES1g07Eo [8/15]
キョン「なあ俺たちは安全なんだよな?」

古泉 「ええ、≪機関≫の護衛もありますし、何より涼宮さんの加護があります」

   「僕たちは今京都で最も安全な存在でしょう」

キョン「そうか」

古泉 「そうですね、あなたとこう二人きりで話す機会も少ないですし、少し詳し
   く話しましょうか」

キョン「いやいい」

古泉 「僕たちも最初は危惧したんですよ。さすがに涼宮さんの能力があるにして
   も安全なのか、京都に来てもいいのか」

キョン「……」

古泉 「それに、一番気がかりなのは、涼宮さんと殺人鬼を邂逅させていいのだろ
   うか…という点ですね」

キョン「ハルヒは本当に殺人鬼に会いたがってるのか? 俺にはそうは思えない」

古泉 「その可能性も否定できません。ですが、≪機関≫としては最悪の場合を想
   定しなくてはいけないのです。涼宮さんが会いたがっているとしたら、何
   故会いたがっているのでしょうか」

44 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 10:00:01.53 ID:ES1g07Eo [9/15]
古泉 「ただ単に今回の事件が珍しいからとは考えられないんですよ。何故なら、
   あなたと会ってから――正確にはあなたと≪閉鎖空間≫から帰ってきてか
   らですが、涼宮さんのエキセントリックな言動は見られなくなってきてい
   るからです」

   「特にここ最近は中学生の時のように、非現実を求めるでもなくただの現実
   に甘んじてきていたはずなのに、ここにきてこのような非現実を求めるよ
   うな行動をとっているのは何故か?」

   「正直≪機関≫としては戦々恐々です。もしかしたら彼女は、日常に飽きて
   しまったかもしれないからです。そうなったらどうなるか……」

   「だからこれは≪機関≫としての総意です。たとえ神がそれを望もうとも、
   彼女と殺人鬼を合わせてはいけない…」

キョン「……お前たちの理屈だと、ハルヒが望んだらすべてなんでも起こるんだろ?
    それこそ抑えられないじゃないか」

古泉 「そうですね、だから僕たちは今、神と戦争しているようなものです」

   「京都は≪機関≫の意向が通る領域には含まれてはいませんが、幸い、≪玖
   渚機関≫の直系がいらすということなので、その人に協力を要請いたしました」

キョン「≪玖渚機関≫?」

45 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 10:00:57.21 ID:ES1g07Eo [10/15]
古泉 「ええ、そうですね…説明すると、≪機関≫の上位組織…いえ違いますね。
   スポンサー、パトロン…出資者というのが一番近いでしょう」

   「もともと≪機関≫という呼称は正式名称ではないのですが。≪玖渚機関≫
   は≪機関≫の活動資金の調達先の最も大きなところと聞いています」
 
   「≪玖渚機関≫とは、僕たちの住む西ノ宮から神戸にかけて本拠地を置く、
   日本最大の権力をもつ組織です。日本に住んでいて彼らの影響を受けてい
   ない人はいないじゃないと言われています」

   「それだけではなく、世界の4分の1をも掌握しているとも…」

キョン「そんなけったいな組織が実在するとは…それこそハルヒが好きそうだな」

古泉 「いわゆる裏の世界というやつですよ。基本的に一般人でその存在を知る者
   はいませんよ」

キョン「俺は一般人じゃないのか」

46 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 10:03:24.38 ID:ES1g07Eo [11/15]
キョン「そんな奴らが存在しているのもハルヒが望んだからじゃないか?」

古泉 「そうかもしれません。しかし、そうなると世界中の人類の7割が途上国に
   住み、2割が飢餓で苦しんでいる、多くの人々が戦争を経験しているとい
   うことも涼宮さんが望んだからということになってしまいます」

   「それに何か意味があるとしても、涼宮さんが望むことがとてもそんな風だ
   とは考えたくはないですね。」

  「古今東西、宗教には神やそれに準じる何かと、それと敵対する何かが描か
   れています。ゾロアスター教しかりイスラームしかり」

   「われらの神は一体何を敵としているのでしょうか? 彼女が望むことが平和
   ならば戦争が、混沌ならば平和が敵となるのでしょうか。おそらく彼女の考
   え方から推測するに平和=日常、混沌=非日常が成り立つと思います」

   「もっとも、彼女が敵を設定しているかどうかもわかりませんが」

    ・ ・ ・
   「僕たちの役割は先ほども言ったとおり、彼女に日常の敗北を望ませないこ
   とですよ。望まれても、たとえ背信者となってもそれを阻止することです」

 「すいません、ただの戯言です。聞き流してください」

キョン「それは、…」

古泉 「おっと、北野天満宮につきましたね。ここは菅原道真を祀っていることで有
   名ですね。人もたくさんいます。来年は僕たちも受験生ですし、お守りでも
   買っていきませんか? 朝比奈さんは今年受験ですし」

キョン「……ああそうだな」

47 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 10:03:58.74 ID:ES1g07Eo [12/15]
―――午後1時ごろ―――

――モス○ーガー――

ハルヒ「それじゃあ昼食も済んだし、午後の部、再開しましょう」

   「みんなくじ引いて」パッ

――結果――

キョン・ハルヒ班  みくる・長門班  ひとり古泉

ハルヒ「今度は、みくるちゃんたちは八坂神社から清水寺周辺ね。古泉君は太秦を
    よろしく」

みくる「はぁ~い」

古泉 「わかりました」

長門 「……」

ハルヒ「あたしたちは京都御所から河原町にいるから、ひっ捕まえたらすぐ連絡す
    るのよ」


48 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 10:04:28.78 ID:ES1g07Eo [13/15]
ハルヒ「元皇居っていうくらいだからもっと雅だと思ってたのに、意外と薄ぼけ
    てるのね」

キョン「趣があるんだよ。平安時代に何を求めてるんだよ」

ハルヒ「舞妓さんがもっとたくさん歩いてるもんだと思ってたわ」

キョン「偏見だな。俺はこういう落ち着いた雰囲気が好きだがな」

ハルヒ「ふぅん…。そうね、あんまり悪くないわね」

   「そうだ。後でみんなで着物買って明日はそれで回りましょう」

キョン「(いい感じに事件のことを忘れてるな。このままいけば…)」

   「(??? 俺は何考えてるんだ。いつから古泉たちに協力してるんだ。俺は
    いつも巻き込まれてるだけで…)」

   「(俺はどうしたいんだか。ハルヒと犯人は合わせないほうがいいのか)」

   「(俺はいったい何を考えてるんだ。合わせないほうがいいに決まってる。
    俺の周りでもう非日常なことが起きるのはもうこりごりなはずだ。そう
    思ってるはずだろ…。そう思ってたはずだ)」

   「(…そうなのか? いつも変なことに巻き込まれてる時、俺は嫌がってい
    たか? 嫌だった。鬱陶しいかった。面倒くさかった。それじゃあ)」

   「(楽シカッタカ?)」

   「……」

ハルヒ「…ね……ねぇキョ…。……キョン!」

キョン「…ん? ああ、悪い。ボーっとしてた」

ハルヒ「もおちゃんとしなさいよ!」ペチペチ

49 名前: ◆cBdDqHBBvg[] 投稿日:2010/07/30(金) 10:05:48.47 ID:ES1g07Eo [14/15]
キョン「(そのあとハルヒの機嫌はあまり良くなかった)」

ハルヒ「いいから次のところ行くわよ」

キョン「ヘイヘイ」

――午後4時――

――河原町通り――

ハルヒ「ここが有名な河原町界隈ね」

   「新京極か河原町。先にどっちに行こうかしら」

新京極か河原町

65 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 17:51:50.67 ID:h.p3MGAo [6/17]
 3、 ――新京極編――

キョン「新京極がいいんじゃないか?」

ハルヒ「じゃあ河原町から行きましょう。新京極は後回し」

キョン「……」

ハルヒ「どうせあんた運ないでしょ。だったらあんたが言わなかったほうに何か
    いいことがあるかもしれないわ」

   「あたしこの前商店街のガラガラで1等賞引き当てたわよ」エッヘン

キョン「それ籤運使ってないか?」

66 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 17:53:32.78 ID:h.p3MGAo [7/17]
――河原町――

ハルヒ「ねえねえ見て。この小物すっごくかわいくない?欲っし―」パタパタ

ハルヒ「どうキョン? この着物似合ってるでしょ。このお店に後でみんなで来ま
    しょう」キセキセ

ハルヒ「キョン早く! 八つ橋、試食のくせにおいしいわよ」モグモグ

キョン「―はぁ――はぁ――はぁ――」ドッサリ

    「俺ここに何しに来たんだっけ? 少なくとも荷物持ちじゃなかった気がする」

ハルヒ「ねえキョン、こっちこっち」

キョン「なんだ?」

ハルヒ「この巾着みたいなのとってもかわいいな~。とっても欲しいな~あたし
    に似合うと思わない?」キラキラ

キョン「……」
 
    「ああ似合ってるよ」

ハルヒ「ほんと? じゃあ奢って」

キョン「やだ」


67 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 17:54:48.59 ID:h.p3MGAo [8/17]
キョン「(結局買わされたけどな)」ハァ

ハルヒ「ルンルンルン♪」

キョン「(いつの間にかに機嫌は直ってるな)」


――午後5時――

――新京極――

ハルヒ「じゃあ新京極にも行くわよ」

キョン「ハイハイ」

ハルヒ「あーっ!! あそこのお店かわいい~」ピュ――

キョン「…はぁ。つかれた。少し休みたいな」

「「どん」」ガシャ

キョン「あ、すいません。大丈夫ですか?」

×××「いえ、そちらこそ袋が倒れて中身が出ていますよ」

パシパシパシ

キョン「すいません、拾うのまで手伝ってもらっちゃって」

×××「こちらもうっかりしてたので申し訳ありません」

    「観光ですか」

68 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 17:55:37.36 ID:h.p3MGAo [9/17]
キョン「ええ、連れの買い物に付きあってるんです。最初はショッピングなんて
    するつもりはなかったんですがね」

ハルヒ「キョン―!早くこっち来なさいよ―」

キョン「連れが呼んでるんで、それじゃあ」

×××「そうですか。それじゃあ気を付けて下さいね」


――午後6時――

――ケ○タ――

ハルヒ「ごめ~ん。遅くなっちゃった」ドッシリ

キョン「――はぁ――はぁ――はぁ――」ドッシリドッシリ

長門 「……」

古泉 「ふふっ」

みくる「ほぇ~」

――ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ――

ハルヒ「それでね、せっかく京都に来たんだから、明日から着物で回るわよ。
    さっき良さそうなお店見つけてからみんなで行きましょう」

みくる「いいですね、着物って可愛くて好きなんですよ」

69 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 17:56:52.34 ID:h.p3MGAo [10/17]
――お店の中――

ハルヒ「ペチャクピャ」
みくる「キャッキャウフフ」
長門 「……」


古泉 『そういえば』

キョン『ん?』

古泉 『あなたに頼まれていた物です。先ほど渡しそびれてしまいました。』ポン

キョン『そういやこんなのお前に頼んでたんだっけ。……なんだ? この≪No.1≫
 ってテープ。お前こんなのたくさん持ってるのか』

古泉 『いえ、それは≪機関≫の備品です。使い方を説明しときましょう』

   『その本体の側面についているのが起動スイッチです。そしてその隣にあるの
   がリミッタ―スイッチです。扱いは非常に簡単です』

   『起動スイッチを押している間電流が流れます。リミッタ―のオンオフはリミ
   ッタ―スイッチでしてください。今はオフにしてあります』

70 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 17:57:32.99 ID:h.p3MGAo [11/17]
キョン『スタンガンなんてを直に持つ日が来るとわな。それにリミッタ―て何だ?』

古泉 『実はそれは既製品を改良しているようで、とても電圧が高くなっています。
   それこそリミッタ―を外せば人を殺せるほどに』

キョン『すんげー危険じゃねーかよ、これ。マジかよ…。やっぱいらない』

古泉 『そのためのリミッタ―です。それに当りどころが悪くないと人なんて簡単
   に殺せませんよ』

   『一応受け取っておいてもらいませんか? それでなくとも、あなたは≪呪わ≫
   れているんですから』


―――それにあんたが一番襲われそうな気がするのよね。
                  もっといたほうがいい気がするわ―――


キョン『……』

   『人を呪うのか、それとも守るのか。はっきりしてほしいぜ。こっちは命
    が掛かってるんだ』

古泉 『それが今の涼宮さんの心境ですよ。限りなく日常と非日常が近づいてるん
   です。もっとも、だからこそつけいる隙かあるんです』

   『それとも、もうすでに結果は出てしまっているのかもしれませんが』

キョン『ふーん…』

71 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 17:58:36.98 ID:h.p3MGAo [12/17]
古泉 『それにしても、今日あなたとこんな話せるなんて思ってもいませんでした。
   いつも適当にはぐらかされていましたからね』

   『どうして話を聞いてくれるんですか』

キョン『どうもこうも、いつも通りお前が喋りかけてくるだけじゃねーか』

古泉 『そうですね。確かにいつもこうだった気がします。それでも何か違う気
   がしますのは何故でしょう』

キョン『何故もこうも、お前と話すのが面倒だから突っ込みを入れてないせい
    じゃないか?』

古泉 『確かに、いつものあなたはもっと突っ込みを入れていたかもしれませんね。
   だとしたら、何故いつもいつも通りにしないんですか』

キョン『さあな。俺はいつもと変わってないつもりだ』

古泉 『何も変わっていない…気もしますね? だとしたら何故僕はここまで落ち
   着かないのでしょう。今とても…非科学的ですが、嫌な予感がするんです』

キョン『ハルヒを神と崇めている時点で科学的考察を捨ててるじゃないか』

古泉 『勘なんて信じちゃいないですが、とてもいい気はしません。それをあなた
   から感じる気もするんですよ』

   『それこそ涼宮さんの意思かもしれません。今世界はとてもよくない方向へ
   加速している気がします』

   『……』

72 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 18:00:24.62 ID:h.p3MGAo [13/17]
古泉 『少し仮説をいいですか?』

キョン『……』

      ・・・・
古泉 『僕はあの事件以来考えていることがあるんです』

   『涼宮さんは世界であり、また世界の一部でしかないのではないか…』

   『前に涼宮さんを≪未完成の神≫と称したことがありますよね。神というも
   のはキリスト教やユダヤ教、イスラーム教などを参考に見ても解るとおり、
   世界そのものを表している場合が多いです。我々もそのように≪知覚≫して
   います。涼宮さんから与えられた能力によってね』

   『しかし、我々は彼女が≪未完成の神≫とも知っているのです。つまり、
   未完成が故に彼女は世界すべてを掌握しているわけでない。彼女の意思が
   介入しない世界も存在するということです』

   『彼女が構築して世界。その中にある彼女の知らないもの。そして彼女が
   追い求めるもの……』

   『僕はここからこう推測します。彼女は≪完全なる神≫となるために、彼女
   に把握できていない世界を知ろうとしている。否、取り戻そうとしている。
   そして、その世界こそ非日常なのだと。』

   『つまり、今僕たちが知覚していない非現実が存在する、ということです。
   それと涼宮さんを併せてしまったら…』

キョン『………』

73 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 18:03:07.13 ID:h.p3MGAo [14/17]
古泉 『……ふっ』

   『なんて、ただの戯言ですよ。言葉遊び、狂言です』

   『涼宮さんの行動理念が≪完全なる神≫になるためだなんてわかりませんし、
   この理屈が正しいとなると、僕たちの主張よりも、朝比奈さんの主張が正しい
   ことになります。彼女たちは涼宮さんの能力を≪再発見≫と言っていました
   からね』

   『僕らとしてはあまり芳しくないんですよ、それは』

キョン『………』

古泉 『どちらにせよ、≪機関≫も僕たちの総意も現状維持です。彼女に世界のすべ
   てを≪知覚≫されるわけにはいかないのです』

   『だから今回の旅は何もなしに終わらせたいのです』

キョン『………』

   『………ぐぅ』

   『……………』スーピース―ピー

古泉 『……………………………………………………』

74 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 18:04:09.75 ID:h.p3MGAo [15/17]
古泉 「あのー、すいません?」

キョン「………」スーピー

古泉 「…………」

   「」ピーン (何か思いついた音)

   『もしもし、お客さん。終点ですよ』

キョン「んなっ!!」

   「……んー?」



古泉 「…………」イライラ

キョン「……ああ、朝か…?」

古泉 「…………」イライライライラ

75 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/07/31(土) 18:04:37.29 ID:h.p3MGAo [16/17]
キョン「おっ。古泉。長ったらしい話は終わったのか」

古泉 「……」イライラ

キョン「そういや今何時だ? ……げっ、こうすぐ閉店時間じゃねーか。さっさと
    買って旅館に帰らないと」

   「おーい! 決まったかー?」


88 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/15(日) 17:12:01.96 ID:mRNp.Tko [1/5]
ハルヒ「キョン、古泉くんっ 早くこっち来なさい」

    「はいこれ、甚平。 着物は高かったからこっちにしたわ。あたしのおごりだから感
    謝しなさい」

古泉 「ありがとうございます」

ハルヒ「じゃあこっちの黒いのがキョンので、こっちが古泉くんのね」

古泉 「……」

ハルヒ「古泉くんは黄土色にしたわ。髪の毛の色に合わせてみたの」

古泉 「……」

キョン「……ウンコ色」ボソッ

古泉 「」ピキ

89 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/15(日) 17:16:43.60 ID:mRNp.Tko [2/5]
キョン「髪から服までウンコ色だな」ボソボソッ

古泉 「」ピキピキッ

ハルヒ「じゃあちょっと着替えてきなさいよ」

キョン「もう閉店だろ」

ハルヒ「それぐらい大丈夫よ。 試し着しないとサイズ合ってるかわかんないでしょ」

キョン「サイズ確認してから買えよ」

ハルヒ「もぉうっさいわね。いいから着替えてきなさいよ」

90 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/15(日) 17:24:02.46 ID:mRNp.Tko [3/5]
――数分後――

キョン「着替えてきたぞ」

古泉 「……」

ハルヒ「やっぱり見立て通り、古泉くん似合ってるわよ」

古泉 「ありがとうございます」パァー

ハルヒ「――それに比べてキョンは……」

    「予想してた以上に普通ね。似合ってるとはじゃないわ、違和感無いもの」
   
    「なんか、ドラ○エの村人その2って感じね」



91 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/15(日) 17:32:21.93 ID:mRNp.Tko [4/5]
古泉 「プッ…」

キョン「お前が選んだんだろうが。何だよ、『その2』って。『その1』もいんのかよ。第一ド○
    クエは和服じゃねーよっ」

ハルヒ「違和感無いってのは褒めてんのよ。ほら、みくるちゃんも何か言ってあげなさいよ。
    そろそろセリフがないと忘れられちゃうわよ(読者に)」

みくる「えぇ~。それじゃあ、え~とぉ…」

    「水戸黄門の悪代官に苛められてる町人って感じですね」

キョン「………」

古泉 「町人(笑)」プップー

95 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/16(月) 22:57:41.91 ID:6Ja0bn.o [1/5]
キョン「ん? なんか背中に書いてあるのか」

長門 「『馬鹿』…」

古泉 「」ププゥー

キョン「なっ!!」

    「なんだよ、『馬鹿』って!! いじめかよ!!」

ハルヒ「違うわよ。『バカ』じゃなくて『うましか』よ」プッ

キョン「読み方替えただけじゃねえか」

ハルヒ「ちなみに、『しか』は『キョン』に掛けてるのよ」

キョン「もういいよ!! 全然うまくねえよ、返品してくる」

ハルヒ「ちょっとだめよ。 せっかくあたしが選んであげたのに!!」

キョン「じゃあもっとましなの選べよ!!」

みくる「キョンくん」

キョン「ん、朝比奈さんも何か言ってやって下さいよ」

みくる「にっ、似合ってますよ…」ヒクヒク

古泉 『プッ…だ、駄目ですよ、涼宮さんを怒らせてしまっては。今そうなってしまってしま
    ったら大変ですよ――ププッ』

キョン『(いっそこのまま世界滅ぼしてやろうか…)』


96 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/16(月) 23:10:27.49 ID:6Ja0bn.o [2/5]
みくる『キョンくん!!』

キョン『………わかりました、朝比奈さん』

    「――まぁ、せっかく買ってくれたんだ、似合ってるみたいだから着てもいいか」

古泉 「……男のツンデレってとても気持ち悪いですね」ボソボソ

キョン「」ピクッ

店員 「お客様、まことに申しませんが、閉店時間になってしまいましたので…」プッ

キョン「」ピクピクッ


店員 「またおいでやす…」プッ

キョン「……」

――通り――

―ヒソヒソ……ヒソヒソ―

キョン「」ソワソワ

ハルヒ「ちょっとキョン、何キョロキョロしてるのよ。誰もあんたの格好なんて見てないわよ。
    気にしてないでちゃんと荷物持ちなさいよ」

キョン「ああ…(お前や朝比奈さんが注目浴びるから俺まで見られてるんだろうが)」ソワソワ

―ヒソヒソ……『バカ』プッ―

キョン「」ビクッ

古泉 「ブハッ」

97 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/16(月) 23:21:14.53 ID:6Ja0bn.o [3/5]
――旅館――

ハルヒ「いや―、疲れて疲れた!!」

キョン「疲れたっていてる割には元気だな」ドンヨリ

ハルヒ「そんなことないわよ。荷物たっくさん持ちながら歩いてたから肩がこっちゃったわ」

キョン「(荷物のほとんどを俺に持たせていたくせに)」

みくる「わたしもですぅ」

ハルヒ「古泉君、もうお風呂って入れるの?」

古泉 「入れますが、夕食が来るまであと40分程しかありませんが」

ハルヒ「そんなの作るの遅らすよう言っとけばいいわ。古泉君よろしくっほら、みくるちゃん、
    有希も行くわよ。それじゃあキョン、あたしたちの荷物運んどきなさいよ」

みくる「キョンくんごめんなさい」

長門 「……」




98 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/16(月) 23:33:15.76 ID:6Ja0bn.o [4/5]
古泉 「それでは部屋に行きますか?」

キョン「……」

古泉 「ああ。先ほどは申し訳ございませんでした。あなたの気に障るようなことをして
     しまいましたね」

    「言い訳がましいですが、あなたもそれなりのことをしていたのですよ。お互い痛
     み分けにしませんか? 正直とても子供っぽい真似をしてしまいました」

キョン「…あぁ、そうだな」

古泉 「それに、多分これからはそれどころではないと思いますよ」

キョン「?」

――部屋――

――20時――

キョン「……お前わざとか?」

古泉 「いえ、僕が部屋を決めたわけではありませんよ。ただ単に涼宮さんを退屈させな
    いように、と言うそうです」

キョン「今から部屋を変えてこい」

古泉 「無茶ですよ、この旅館はそれなりに有名でなかなか予約が取れないのですから」

キョン「……」

99 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/16(月) 23:46:46.52 ID:6Ja0bn.o [5/5]
――数分後――

ハルヒ「ふぅー。お風呂はそれなりに大きかったし、まあまあね。明日の朝も入りに行こうかしら」

みくる「気持ちよかったですぅ」

長門 「……」

ハルヒ「それにしてもなかなか大きい部屋ね。あれ、古泉君まだいたの? それとも夕食
    はこの部屋でみんなでみんなで食べるの? てかキョン、まさか隠しカメラとかし
    かけてないでしょうね」

古泉 「すいません、涼宮さん。部屋についてなのですが、実は少し手違いがあったようで
    五人で一部屋となってしまったのです」

みくる「ふぇ~!!」

ハルヒ「ちょっとどうするのよ、キョンと一緒の部屋なんて…ゴニョゴニョ…」

    「それに、キョンに襲われたらどうするのよ!!」

キョン「襲わねぇよ」

古泉 「そこは彼に押し入れに入ってもらうなり縄で縛るなりすれば大丈夫でしょう」

ハルヒ「さすが古泉君。それなら安全ですね」

古泉 「ええ」

キョン「この野郎…」


100 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/17(火) 00:00:31.92 ID:FuoKcoco
――21時――

ハルヒ「さすが古泉君が見つけてきてくれた旅館なだけあって料理もおいしかったわね」

古泉 「恐縮です。それでは明日はどうしましょう」

ハルヒ「ん~、それは明日決めるわ。それより2人ともちゃっちゃとお風呂入ってきちゃい
    なさいよ。男湯と女湯が同じ造りかどうか知らないけどかなり大きかったわよ。出
    てきたら古泉君に持ってきてもらったモノポリーやるんだか。もちろん90分ルール
    はなしなしのエンドレスゲームね。あたし以外が破産するまでやめないわよ」

キョン「明日起きれねーぞ」

ハルヒ「大丈夫よ、どうせあたしが優勝するんだから。モノポリー終わったら人生ゲーム
    でもやりましょう」

103 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/19(木) 23:31:36.15 ID:q9WoWXEo [1/5]
キョン「(結局)」

ハルヒ「んがぁー」
みくる 「すぅ~すぅ~」
長門 「……」

キョン「(モノポリーが終わってすぐ、零時を回る前に寝ちまったな)」

古泉 「みなさん寝てしまいましたね」

キョン「あぁそうだな。(長門は眼は閉じてはいるが、寝てるのだろうか?)」

古泉 「涼宮さんもなんだかんだ言っても疲れたのでしょうね。僕は徹夜慣れしているつ
    もりでしたが、正直今話してるのもつらいです。」

キョン「じゃあ寝ればいい」

古泉 「ええ、そうさせてもらいますよ。けれど少しあなたと話をさせてもらってからです」

    「今日は結局、旅館に帰ってから探索の反省もミーティングもしなかったですよね。
    ましてや、殺人鬼の話も一度もしませんでした。それほど彼女の意識をそらすこと
    に成功している印です。もちろんあなたとデートをしていたっていうのも大きいで
    しょうが」

キョン「ハルヒの名誉のために言っておいてやるが、デートなんかじゃねーよ」

古泉 「そういうことにしておきましょうか、それでも、あと2日間この状態を維持したいも
    のです。できればこれからもあなたには涼宮さんとペアになってほしいです」

キョン「断る」

古泉 「ふふ、それは涼宮さんが決めることですよ。けれどペアになった時はよろしく頼み
    ますよ」

キョン「ん」

古泉 「それでは電気を消させてもらいますよ」

カチッ

古泉 「…………すー」

キョン「(俺も寝るか)」

104 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/19(木) 23:32:31.28 ID:q9WoWXEo [2/5]
4、

カタッ

キョン「(……ん?)」

カサコソ

キョン「(ん、何だもう朝か?……いや、まだ暗いな。何時だ?)」ガサガサ

    「(まだ3時じゃないか…)」

長門 「……」テクテク

    「」ガラッ、ピシャ

キョン「(…今のは長門か?こんな時間にどこに行ったんだ?)」

    「追いかけてみるか」


――午前3時――

――旅館前――

長門 「……」

キョン「おい長門。こんな時間にどうしたんだ?さすがに危なくないか」

長門 「……そう」

キョン「……長門、なにかあったのか?」

105 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/19(木) 23:33:12.01 ID:q9WoWXEo [3/5]
長門 「私の…」

キョン「は?」

長門 「私の出番が少ない」

キョン「……」

長門 「この話の冒頭でも、私がまるで空気も読めないかわいそうな子のように扱われて
    いる。非常に不愉快」

キョン「……」

長門 「このスレに読み手がつかないのは作者に文才がないのもあるが、間違いなく私
    をぞんざいに扱っているため。しかしハルヒ識者の多くは長門厨であることも事実。
    作者のように橘京子や乳女のファンというのは稀。それだけではなく、作者はあまり
    私に好意を持っていいないと言う。『一時期長門厨がウザかったから長門厨を嫌っ
    てたら、長門も嫌いになってた』と言っている。ひどい言い訳。これを見て、さらに
    私のファンの読者が離れていくことに気付いていない」

キョン「……」

長門 「マイノリティーがマジョリティーに勝ることがないのは社会の不変の原則。だから、
    乳女が私よりも登場しているこの作品は敬遠されている。そのため作者は、ここにき    て私の出番を用意した。」

キョン「……」

長門 「しかし私は寛大な心を持っているので、重要な役割ならば、今さらながらであるが
    その無礼を許してあげないこともない」

キョン「……」

長門 「ヘイ台本プリーズ」

106 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/19(木) 23:45:04.39 ID:q9WoWXEo [4/5]
キョン「なぁ長門」

長門 「何?」

キョン「今回の連続殺人事件について、お前はもうすでに分かっているんじゃないか?例えば、
    誰が犯人だとか」

長門 「分かっている」

キョン「ならどうしてそれをハルヒに教えないんだ? そうしたら見つけるのも簡単だろ」

    「それをしないってことは、つまり、お前の親玉たちも殺人鬼とハルヒを合わせたくない
    ってことでいいんだよな?」

長門 「それは違う。情報統合思念体は今回の事件の犯人に対し、非常に興味を抱いている。
    情報統合思念体も犯人の意図までは把握できていないため。理解できていないことは
    進化の新たなる可能性として犯人を浮上させた。そのため干渉を行わないことを決定
    した」

    「さらに言えば、情報統合思念体は、涼宮ハルヒと犯人が接触することに期待している」

キョン「何でだ。古泉は大変なことになるって言ってたぞ」

長門 「私の役割は観測だから。涼宮ハルヒにとって、既知外の情報とかかわりを持つことは
    とても意味のあること。情報統合思念体は、それにより涼宮ハルヒに新たな大きな変化
    が生じることを期待している。古泉一樹の言う可能性やその危険性をを踏まえるとしたら
    それは観測するに値すると判断された」

107 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/19(木) 23:56:22.18 ID:q9WoWXEo [5/5]
キョン「……それじゃあハルヒと殺人鬼が近づいたら……」

長門 「私は介入することはできない。」

キョン「……」

    「じゃあハルヒが殺人鬼に殺されそうになったら…」

長門 「現時点において、涼宮ハルヒと犯人の価値順位を情報統合思念体は判断することができて
    いない。何故なら犯人について明確な解明を行うことができないため。犯人は接触した他の
    ヒューマノイドインターフェイスを排除している」

キョン「なら長門は。長門はその時はどうするんだ?」

長門 「分からない……」

キョン「……そうかよ」

長門 「…ごめんなさい」

キョン「………」

長門 「お休みなさい」スタスタ


キョン「――クソッ、結局何なんだよ…」

――    ――

キョン「(丹色の月か…不気味だな。まるでどこかで殺人事件が起こっていそうな…)」

キョン「何言ってんだろな。・・・寝よう」スタスタ

108 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/20(金) 00:22:55.63 ID:zY1Yuzwo [1/2]

――5月14日(土)――

――午前7時――

――部屋――

バタバタ――ドタドタ――ガヤガヤ

キョン「(……ん?)」

ヒソヒソ――キュッキュッ――あははは――ガヤガヤ

キョン「――朝か…」

ハルヒ「こらキョン! いつまで寝てるのよ。団長が起きてるんだから、さっさと起きなさい…ップ」

キョン「ん?今何時だ?」

みくる「朝の7時ですよ」フフフ

キョン「――じゃあ二度寝する」

ハルヒ「いいから起きなさい! さっさと顔でも洗ってきなさいよ」プププ

キョン「……あぁ、そういうことか。懲りずに落書きしたのか。しょうもないことを」

ハルヒ「なーんだ気づいちゃったの。みくるちゃんが笑ってるからよ」

みくる「ふ、ふぇ~?だって涼宮さんのほうが笑ってまし…」

ハルヒ「一体どの口が言い訳してるのかしら?」グニグニ

みくる「ひゃめひぇくだひゃい~ひょっぺたをひっぱらひゃいで」ビョーンビョーン
    (やめて下さい~ほっぺたを引っ張らないで)

キョン「こらハルヒ。人のせいにするな。てか人の顔に落書きするなよ」

ハルヒ「いーっだ! いつまでも寝てるキョンが悪いのよ。あたしたちは六時に起きてもうお風呂も
    入ってきちゃったのに」

みくる「キョンくんもお風呂入ってきたらいかがですか? まだ朝食まで時間もありますし、気持ちい
    ですよ」

キョン「じゃあそうしてきます」

    「(早起きしていれば朝比奈さんの寝姿や寝起きのかをがみられてのか。クソッ。惜しいこと
    をしたな)」

109 名前: ◆cBdDqHBBvg[sage] 投稿日:2010/08/20(金) 00:42:59.63 ID:zY1Yuzwo [2/2]

――お風呂場――

キョン「……」

古泉 「おや、あなたも起きたのですね。僕も少し遅く起きていればあなたとご一緒で来たのに」

キョン「ウザい醜い気持ち悪い。裸で近づくな気色悪い」

古泉 「んっふ、嫌われてしまいましたね」

    「それでどうですか? 長門さんは何と言っていましたか」

キョン「夜中まで俺をつけていてのかよ…。本当に気持ち悪い、お前もう俺の半径5メートル以内に
    入るなよ」

古泉 「いえ、後を憑けていた訳ではありませんよ。偶然眼を覚ましたら、偶然あなたと長門さんが
    部屋から出て行くのが見えただけです」

キョン「……吐き気がするな、お前」

古泉 「うふふふふ、それでどうでした?長門さんは我々に協力してくれると?」

キョン「いや、あいつの親玉が殺人鬼に興味を持っているらしく、ハルヒを守りもしないと言っている」

古泉 「ふぅ、まあそうなるのでしょう」

キョン「知ってたのか」

古泉 「前にも言いましたが、長門さんサイドには長門さん以外の脈もあるのですよ」

    「ですが、こんな状況、現地に赴いているのにその態度は変わりませんか。情報統合思念体
    の意思がどうやら、現状維持から変革へと変わりつつあるようですね。困りました」

キョン「ってことは、また朝倉のような奴が来るのか?」

古泉 「いえ、すぐには変わらないとは思います。いつか代わってしまうという可能性が大きく
    なっただけです」

    「ですが、やはり長門さんの助けを得られませんか… もはや≪殺し名≫にボディーガード
    を依頼するしかありませんか」

キョン「≪殺し名≫?」

古泉 「いえ、こっちの話です」

    「そろそろ朝ごはんの時間ですよ。僕は先に帰っているので早めにシャワーを浴びてきてくだ
    さいね。」ガラッ

111 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/21(土) 00:01:10.50 ID:vEBwZhco [1/13]
――8時――
ハルヒ「それじゃあ朝食も食べたし、班分けしましょう。今回は、鴨川公園に行く2人班と、二条城周辺
     に行く3人班に分けてるわ。ほら、引いた引いた」

キョン・みくる・古泉・長門「」ヒョイ

――結果――

キョン・みくる班  ハルヒ・古泉・長門班

みくる「よろしくお願いしますぅ」

キョン「こちらこそ…」テレテレ

ハルヒ「むーー イライラ

    エロキョン! 何度も言うけどデートじゃないんだからね。遊んでたら殺すわよっ!」

キョン「昨日だって遊んでいたようなものじゃないか」

ハルヒ「それはあたしとだったからいいの! いや、そうじゃなくて……、んー、んー !!

     いいからまじめにやればいいよ。ふんっ!」



112 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/21(土) 00:18:36.40 ID:vEBwZhco [2/13]

――鴨川公園――

キョン「それにしても、まだ五月だってのに暑いですね」

みくる「ですね。もう夏みたいです」

キョン「そういえば去年、初めての不思議探索の時朝比奈さんと歩いた道も川沿いでしたね」

みくる「ふふっ、懐かしいですね。もう1年も前なんですか」

キョン「俺も、やっとこさって感じです

    けど今回は、名も知れない川から、かの有名な鴨川にランクアップしてますが。今日は土曜日
    なだけあって人が多いですね」 

みくる「それに、私たちは着物を着てますしね」

キョン「(そういや結構、着物を着たカップルが多いな…カップル?

    もしかして俺達も周りからはカップルに見られているのか?いや、そうに違いない。なんてことだ
    俺はいつの間にかに、朝比奈さんと着物デートをしていたのか)」

    「フフフフッ」

みくる「あれ、どうかしたんですか?」

キョン「(いやまて俺、朝比奈さんは着物だが俺は甚平だから、和服デートになるか…甚平っ!?

    そういえば、俺の背中にはアノ2文字が…!! くそっ、だからさっきから周りから目線が…)」

    「 orz 」

みくる「ちょっとキョンくん、どうしたんですか?顔色が少し悪いですよ?」

キョン「いえ、なんでもありません。大丈夫です

    (これじゃあデートなんかにはならないじゃないか。くそハルヒめ、後で締める)」   

113 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/21(土) 00:32:18.22 ID:vEBwZhco [3/13]
キョン「……そういえば、朝比奈さん」

みくる「はい、何でしょう」

キョン「朝比奈さんは、今回の連続殺人事件についてどれくらい知っているんですか?」

みくる「いえ、……全然知らないんです…」

キョン「未来から来たのに? ……あ、いえ、失礼しました。それはどうしてなんですか?」

みくる「ええっと…、詳しくは禁則事項に引っかかってしまいますけど、私たちは過去に来るときに必要
    最低限の情報しか教えてもらえないんです。それは過去になんらかの影響を与えてしまうから
    なんです

    けど、どうしても必要な指令や、重要な情報などは後で未来から通信で教えてくれるんです」

キョン「それで、今回はそれが来てないと」

みくる「はい。これほどの出来事なら何かあってもおかしくはないいんですが。多分、今回の事件は、
    規定事項なんです。他にも、私が下っ端だからかも知れませんが…」

キョン「そんなことありません。朝比奈さんが言ってたんじゃないですか、最近は少しずつ規制が解
    けてきているって。だから朝比奈さんの言う通り、とるに足らない事件なんですよ」

みくる「キョンくん……ありがとうございます」

114 名前: ◆cBdDqHBBvg[saga] 投稿日:2010/08/21(土) 00:50:09.51 ID:vEBwZhco [4/13]

――午後11時半すぎ――

――旅館――

キョン「結局、あれからすぐ朝比奈さんと鴨川公園を抜けて、祇園にまでいってお茶をした。つまり
    デートをした。ハルヒへのせめてもの反抗ってわけだ。我ながら小さい男だ

    午後は、不機嫌なハルヒがみんなで周ろう、と言い出した。そのまま京都駅まで行ってその
    界隈をぶらぶらして、旅館へ帰った

    そのあとも特に何も起きずに、夕食後には、寝床を掛けてみんなで人生ゲームをした。勿論、
    ハルヒの独壇場となって、他の4人はどっこいどっこいな貧民戦争を繰り広げたが、こっちも
    やっぱり俺がビリになった

    布団は、真ん中にハルヒが居座り、俺は、ハルヒと古泉に挟まれる形となった。前日、右端を
    とったハルヒは左端まで転がっていた。俺が夜中に目が覚めたのはそのせいなのか? どっち
    にしろ、ハルヒがすぐ隣にいると俺の安眠は危ぶまれるが、取り合えず俺達は今、川(州)の字
    になって布団に入っている」

古泉 「一体誰に話しているのですか?」

キョン「さあな、ただの独白だよ」

古泉 「こんなこと(文章)になるのなら、初めから地の文を使っておけばよ方じゃないですか」

キョン「ほんとだよ。そのせいで俺はいま非常にのどが痛い」

古泉 「内輪ネタはもういいのでもう寝ませんか?さすがに疲労がたまってきていてとても眠いです」

キョン「それには同感だ。じゃあ寝るからな」カチッ




―――俺達の、SOS団の活動は楽しかった―ああ、今までかなり楽しかったさ。文句ある
     か?―が、それはここまでだったんだ。結局ハルヒが望んだからか、それとも望
     んでなくても起こったのか分からないが、分かるのは、ここからはただの、
              
            血と肉と肺腑と傑作の物語だったってことだけだ         ―――

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