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唯「平沢唯復活だよ!」
一応、閲覧注意です
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:31:02.28 ID:VVXrJcsS0 [1/37]
澪「唯!」
律「唯!」
紬「唯ちゃん!」
梓「……」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:31:02.28 ID:VVXrJcsS0 [1/37]
澪「唯!」
律「唯!」
紬「唯ちゃん!」
梓「……」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:33:38.57 ID:VVXrJcsS0 [2/37]
梓(生きてたです)
唯「えへへ~」
澪「元気そうだな!」
律「おっ!その右目、どこで売ってた?」
紬「ゆいちゃーん」
梓(……あの日、確実に殺されたのに)
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:36:46.42 ID:VVXrJcsS0
―中野梓の記憶―
私たちはあの暑い日、ムギ先輩に招待されて、彼女の会社の系列の動物園へ遊びに出かけていました
なんでも、経営が苦しくなった地元の寂れた動物園を買取り、改築して新しい動物園にしたらしいです
唯先輩は楽しそうに、行きのバスではしゃいでいました
澪先輩は、受験が近いからって言って、バスの中でも勉強してました
律先輩は、勉強が大変そうで、時々唯先輩とはしゃぎながら、英単語帳を澪先輩に叱られながら見ていました
ムギ先輩は、それを見て、楽しそうに笑っていました
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:41:12.91 ID:VVXrJcsS0
動物園は、新しく改装されたと聞いていたのですが、門がとても古かったです
塗装が所々剥がれていて、赤い文字で大きく掲げられた〇〇動物園という看板も、昭和のセンスでした
夏休みだというのに、家族連れの客も見かけません。
客は時々は見るのですが、なんだか精気がありません
一人で動物を見に来たしわがれた大学生風の男や、陰気くさい老夫婦、浮浪者風の男……
デートに来た若いカップルや、健やかな子供なんて一人もいませんでした
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:44:00.20 ID:VVXrJcsS0
私たちは、ムギ先輩から渡された招待券を使って中に入りました
唯先輩は大はしゃぎで動物の檻に近づいて、檻の中の動物に話しかけています
律先輩も、澪先輩を引っ張って、動物に近づきます
私は気持ちが悪かったです
動物園の中も、閑散としていました。日はギンギンと照りつけ、動物たちもぐったりとしていました
檻の中の動物の中に、物珍しいものはいませんでした
イノシシやタヌキなんかがたくさんいる檻があって、少し先に行くと、シマウマやアリクイなど、日本にいない動物がいました
それでも、動物園なら当たり前の動物で、すごい地味な展示動物でした
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:47:36.58 ID:VVXrJcsS0
動物園の真ん中まで、そんな調子でした
ちょうど真ん中にあたる、檻で唯先輩たちはなにやら面白そうに中を見ていました
『さる』とかいた看板の檻の中に、小さなサルが何匹か飼育されていました
ニホンザルではありません。大きなイヌくらいの、大きさのサルでした
体色が真っ黒で、尻尾が長く、手足が長く、樹の瘤の上に座ってキョロキョロしています
顔は人間の顔そっくりです。黒目がキョロりと大きくて、顔の毛が薄く、そして歯が真っ白。
サルの数は……1,2…5匹です
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:49:38.85 ID:VVXrJcsS0
猿たちは唯先輩たちに興味を持ったらしく、キャッキャと手を伸ばして、唯先輩が檻の中に出す餌を長い腕で受け取っています
行きましょう、私は叫ぼうと思いました。この動物園は変です。
隣の檻の前に、母親に手を引かれた子どもがいました
男の子か女の子かもわからない奇形の顔
その子は、右手と顎がありませんでした。そして黒目が大きくて、私は目が合うと、すぐに顔を背けました
その子は十歳くらい、ひどい障害を背負っているようでした。足はびっこをひいていました
私は障害者を差別したりはしませんが、この時、ひどい嫌悪感が私をおそったのを正直に告白します
ムギ先輩の方を見ると、向こうも私の方を見ていました
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:53:24.87 ID:VVXrJcsS0
「ムギ先輩!」私は彼女を問いただそうとしました
「あの猿はなんですか!」
「新世界ザルの一種よ。私たちは旧世界ザルから進化した狭鼻下目のヒト科のヒト属ヒトだから、大分、進化系統的には隔たっているわ」
「そんな事を聞きたいわけじゃありません」
「珍しいわよね。南米から連れてきたらしいのよ。梓ちゃんももっと進化の勉強をすると、違いがよく分かるわ」
「まず鼻の向きが違うわ。それに……」
この後、ムギ先輩が何を言ったのか覚えていませんが、程なくして私たちは次の檻へ向かうことになります
最後に。障害児が私の方をじーっと見つめていました。指をちゅばちゅばしゃぶって、何か言いたげに見つめていました。
母親は疲れた顔で、檻の中の動物を見ていました
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:58:12.08 ID:VVXrJcsS0
そこから先の檻にはたくさんのサルが飼育されていました。
手の長いサル、尻尾の長いサル、目が大きいサル、小さくて可愛いサル、人間のように大きなサル…
どの檻のサルも5匹でした。5匹。初め、私は珍しがって少しだけ楽しそうに振舞っていましたが、この数字に気がついてから、寒気がしていました
気がつけば、澪先輩は気分が悪そうにしていましたし、律先輩も無口になっていました
唯先輩は相変わらずはしゃいでいました。ムギ先輩はニタニタ笑っていました
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:03:13.24 ID:VVXrJcsS0
「引き返しましょう」私は先輩方にそう提案しました。この先に進んではいけない気がしてなりませんでした
四人とも、小声で何か呟きました。私は踵を返して、元きた道を戻り始めました。
ヒヒやゴリラ、チンパンジーの檻の手前まできており、もう少しで終点だと思われました
私は最後の展示物を見る勇気はありませんですし、物凄い恐怖を見に感じていました
どん、と何かにぶつかりました
ひっと私は悲鳴をあげました。
五歳くらいの男の子とぶつかったのですが、その子の顔を見ると、目が一つありません
この動物園は気色が悪い
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:13:33.87 ID:VVXrJcsS0
「大丈夫、あずにゃん?」
目が覚めると、私は唯先輩の膝の上にいました。私は顔を真赤にして、そこから飛び退き、先輩に謝りました
空は赤く焼けて、動物園の客は殆どいなくなっていました
広場のような場所でした
「すみませんです。もう夕方ですか?」
「うん」
唯先輩は元気がありませんですが、他の先輩は何かの檻の側で、アイスクリームを食べていました
私は少しほっとしました。出口が向こう側にみえたからです
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:16:28.93 ID:VVXrJcsS0
「行こうかあずにゃん」
唯先輩に連れられて、私は澪先輩達の方へ向かいました
その檻は柵が随分と低く、大人の腰ほどもなくて、簡単に乗り越えられそうな柵でした
そして、柵の位置はすり鉢の淵のようで、その柵を超えると急斜面を降り、随分と下に落ちてしまいそうでした
私はその柵に腰をかけている律先輩を見て、肝がひんやりとしました
ペロペロアイスクリームを舐める先輩に余り恐怖感はないようですが、落ちたら動物の檻の中に入ってしまいます
「りっちゃん、何の檻?」
「ペリカンだよ」クスっと律先輩は笑いました。目元は夕日で見えませんでした
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:20:05.62 ID:VVXrJcsS0
唯先輩は律先輩の側に近寄りました。私は「危ない!」と叫びました。
唯先輩は、何かに引き込まれるように、その檻の中に落ちていきました
「たすけてぇー」と大声をあげながら、すり鉢状の檻をずるずると滑り落ちていきました
私は大声をあげて、周囲に助けを求めましたが、近くに職員はいませんでした。私達の他は誰もいませんでした
律先輩と澪先輩は落ちていくあの人を覗き込んでいました。
ムギ先輩はも覗き込んでいました。
唯先輩は底に落ちました。誰も助けようとしません。私は、飛び込もうとしました
しかし、その時です
嘴が異常に大きく、目がギョロッとした鳥たちが、唯先輩に集まりました
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:23:42.36 ID:VVXrJcsS0
唯先輩の叫び声は途端に聞こえなくなりました
ぐえぐえと、ペリカンの鳴き声が、夕日に照らされた動物園に響きました
私が見たのは。大きな嘴でつつかれて、血を流している唯先輩でした
腹が裂け、そこから色とりどりの臓器がつまみ出され、ペリカンは大きな口でそれらを飲み込んでいました
まず、嘴の先で掴んだ臓器を持ち上げて、何度か嘴を開いてつまみ直すと、頭を空に向けて、ずるっと丸飲みするのです
目玉が引きぬかれました。私は悲鳴を上げ、両手で顔を覆いました。
さすがにその檻の中に飛び込む勇気は萎えていました
一匹のペリカンが私の方を大きな目で見続けていました
―以上、梓が唯の死の根拠としてあげた記憶―
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:29:04.66 ID:VVXrJcsS0
梓「私は唯先輩を見捨てました」」
紬「梓ちゃんは悪く無いわ」
律「おう。梓は何もしてない」
梓「何もしてないから、悪いんですよ!!」
澪「人間はこんな理解不能な出来事にはどうしようもないんだ」
梓「澪先輩まで!それに先輩方は何なんです!唯先輩が、死んで……なんで平然としてられるんです?」
紬「別に悲しくはないわ」
律「おう」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:33:56.72 ID:VVXrJcsS0
梓「ふざけないで下さい!帰ります!そもそも、唯先輩の家族もおかしいです、娘が死んだのに、仕事で帰ってこない」
梓「憂は一晩中泣いていたのに」
梓「それに、なんで次の日に、いきなり大事な話があるから集まれって!!いつものようにまったりティータイムしてるじゃありませんか!おかしいですよ!!」
紬「人は死んだらおしまいよ」
律「死んだ人間の面倒なんて見てられない」
澪「私たちは生きているから」
梓「……」
律「それに、あと二日で帰ってくるだろ、唯なら」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:40:37.52 ID:VVXrJcsS0
澪「さあ、練習しよう」パンパン(手を叩いて澪は立ち上がる)
紬「そうねえ」(カチャカチャと音を立てて、紬はティーセットを片付ける)
律「……まあ、そろそろ真面目になりますかね」(律は気だるそうに立ち上がる)
梓「……やってられませんね。頭おかしいです」(梓は乱暴にギターケースを引っ張り上げて、音楽室をあとにする)
律「おーいーあずさー。あと二日だぞー」
梓が階段を降りているとき、不意に演奏がはじまた
梓は腰を抜かしそうになった。
彼女たちは、仲間が死んだのに、カノン(※ペッへルベル?のクラシックの曲)を演奏し始めた。
それは、人が死んだことよりもおぞましい行為だった
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:47:01.30 ID:VVXrJcsS0
美しいメロディ、心地良いコード進行、同じ和音の繰り返し……しかし、リズムギターを欠いて主役となるのは、紬のキーボードだった。
キーボードの下に敷かれた、澪のベースの重低音が機械音にからみ合う。二つの音の結婚だった。
それを祝福するかのような、律の力強いドラムの音。いつもは走り過ぎと評されるドラムが完璧に演奏されている。
梓は階段の下で立ち止まって聞き入ってしまった。
そして、演奏の最中に「アハハ」と間の抜けた笑い声が、何度も聞こえてきた。音楽室で、三人は笑っているのだ。
梓は頭を抱えて、その場でうずくまった。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:52:10.51 ID:VVXrJcsS0
憂「……」
梓(憂……目が真っ赤。一人でずっと、ここで泣いてたんだね)
梓(唯先輩が死んだのに、誰も来ない。誰も、悲しんでいない。けど、この子だけは泣いている)
梓(憂……)ぎゅ(梓は憂の後ろから彼女を抱きすくめた)
憂「きゃ」(憂はびくっと震えて、首を回して梓を見た)
憂「お姉ちゃんかと思った……」
梓「憂……何も出来なくて、ごめんね」
憂「いいのよ、梓ちゃん」
梓「お父さんとお母さんが帰ってくるまで、一緒にいよ」
憂「うん。あと二日後までね……」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:54:40.46 ID:VVXrJcsS0
和「ねえ、ちょっと」
二日後、軽音部の部室に生徒会長の真鍋和が血相を変えて飛び込んできた
和「預かってた、唯の死体がないんだけど」
梓を除く、三人はいつものように机を並べてティータイムをしていた
律「まあ、慌てなさんな、生徒会長殿」
和「唯の死体がないのは、大変なことなのよ」
澪「……」
紬「まあまあ、お茶でも~」
和「ちょっと!!あなたたち、事の重大さに気がついてるの!?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:02:14.22 ID:VVXrJcsS0
澪「……唯なら、復活したよ」
和「……」
律「ところで、和。唯の死体、どこに保管していた?」
和「腐って、虫に食いつぶされないよう、知り合いの寺の土倉の冷たいところに安置していたわ」
律「アハハ、ほらみろ」紬「うふふ」澪「あは」
和「あなた達、怖いわ」
律「あんたもな」
和「……じゃあ、私生徒会行くね」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:07:56.93 ID:VVXrJcsS0
和は震えながら、音楽室を後にした。扉を閉じると、部屋の中から笑い声が聞こえてきた。
和「あら、あなた」
階段の下に、梓がちょこんと柱に隠れるように立っていた
和「まだけいおん部員なの?」
梓「唯先輩は、あの部屋にいましたか?」
和「自分で見てくるといいわ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:10:14.23 ID:VVXrJcsS0
紬「あら~梓ちゃん。おかえり~」
律「こら!梓、遅刻はよくないぞ」
澪「……」
梓(この人達、笑ってるです。それより、先輩は…え…?何、この匂い)
梓(人間一人、腐ってる。いや、ここで何人死んだです?)
梓「……」ドカ(梓は乱暴に自分の席に着く)
音楽室の床は、碧褐色の泥でぐずぐずになっていた。昨日までは艶やかに光を弾いていた床が、一日でこんなに汚れるだろうか?
梓は、強烈な腐敗臭に、痛烈な吐き気を催した。
一分も立たないうちに、息を吸うことも我慢できなくなり、口を抑えて窓の方へ駈け出した
梓は何かに躓いた。頭からおもいっきり、汚れた床に転ぶと、そのまま嘔吐した。
吐瀉物による喉の酸っぱさを忘れさせるくらい、床の泥は強烈だった。
目が床から十センチの所で泥の正体に気がついた。汚れた白い硬いものが、散らばっていた。
人間の腐肉が、軽音部の部室の床をどろどろに溶かしていた。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:13:55.91 ID:VVXrJcsS0
律「安心しなよ。その泥の中に唯はいないよ」
澪「いらない部分を溶かしたら、案外たくさん残ったんだ」
紬「劇物で溶かしたのよ~腐食性が強い、王水で。」
律「王水!!カッコいい響き!!」
澪「……王水を使った、淡い女子高生の恋心を表現した歌詞が浮かんできたぞー」
律「これだけ、探しても、唯にぴったりな右目は見つからなかったんだ……でも、体の大部分は見つかった」
紬「昨日、夜遅くまでみんなで頑張ったのよ。憂ちゃんの体を使えればすぐだけど、きっと唯ちゃん、悲しむから」
律「赤の他人ならいいだろ。輸入したんだぜ」
紬「さて、そろそろ主役登場の時間ね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:17:12.43 ID:VVXrJcsS0
梓は起き上がり、全速力で音楽室の扉を目指した。
―少しでも早く、逃げ出すんだ
三人は静かに立ち上がり、扉を向いた
梓は、全力で逃げ出そうとしたが、足が何かに挟まって抜けなかった。
階段を足音が登ってきた
ゆっくり、踏みしめるような足音だった
梓「ひぇえええ」
梓は失禁した。小水が、大腿をツーっと伝い、腐肉の床に流れていった。
転んだせいで、制服は泥だらけだ。梓は人間肉に塗れていたのだ、今更、糞尿を塗りたくられたところでどうということはあるまい
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:19:06.60 ID:VVXrJcsS0
扉が元気よく開かれた
唯「平沢唯復活だよ!」
梓(……あの日、確実に殺されたのに)
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:25:49.54 ID:VVXrJcsS0
三人は、体をつんのめって唯の方に飛び込んだ
唯の顔はぼろぼろだった。腕も、ホッチキスでばちんばちん止めた、稚拙な縫合後が痛々しかった
唯は笑っていた
紬「だいすきー」
澪「だいすきー」
律「だいすきー」
梓は震えながら、唯を見ていた
唯は笑っていた。唯は笑っていた。唯は梓に向かって口をパクパク動かした
「に げ て」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:32:14.89 ID:VVXrJcsS0
三人は唯を後ろに倒しこむような勢いで、抱きついた
すると、唯はこう言った
「ありがとーみんなー」
律「ぴぎゃああああああああああ」
まず律の絶叫が教室に響いた
律の腹を突き抜けるように、唯の腕が飛び出していた。
律「唯ーこれじゃ、まるで人造人間にど出っ腹に穴をあけられたヤムチャだ」
澪と紬はドッと笑い声をあげた。唯はにこにこしていた
澪と紬は静かに唯から離れた。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:34:15.10 ID:VVXrJcsS0
唯は、律の皮膚、腹直筋、腹膜を引きちぎり、内臓を固定する筋をちぎる力強く、臓器を引っ張り出した。まず、黄土色の大腸が飛び出た
続いて小腸を引き抜き、一本釣りをするように消化器を引き出していく
律は喉から肛門にかけて、縦一文字に裂け目を入れられて、消化器を抜かれた。
唯は、それを自分の腹に取り込んだ。
自分の腹にも、穴をあけ、底から、ずぶずぶと律の消化器を入れ込んだ。
残った、肝臓や膵臓、腎臓、心臓、肺、筋肉、腱、皮膚、眼球、内耳、は音を立てて食べ始めた唯の小さな口に飲み込まれていく
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:38:09.07 ID:VVXrJcsS0
紬は悲鳴をあげた。
すると、唯は紬の頭に手を突っ込んだ
そして、ぶよぶよした灰褐色色の張りのある脳を引きずりだした
脳髄液で、それはぬらぬらてかり、唯は手のひら大のある部分をすくい上げるようにして持ち上げたかと思うと、
自分の頭に穴をあけ、そこに紬から取り出した脳の一部分をぶちぶち音を立ててめり込ませ始めた
唯は白目をむいていた。紬は口をだらしなく開けて死んでいた
唯「なるほろなるほろー」
そして唯はその他の部分の脳みそを口でついばんでずるずる音を立てて、吸い上げた。
澪は怖い話を聞いた時のように、震えていた
梓はあまりの光景に呆然としていた
唯は笑っていた
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:40:00.11 ID:VVXrJcsS0
澪「助けて……そんなつもりはなかったんだ!!」
唯「えへへ」
澪「そうだ、そうだ!!この眉毛が、眉毛がっ!!こいつが教えてくれたんだよ、私はただ、怖くて便乗してただけだ」
唯「もうかんけーないよー」
澪「ゆい~信じてくれえ~と、ともだ」
唯「さばおり!」
澪の背骨が折れた。次々に唯は澪の骨をその華奢な体で砕いていった。澪の腹に穴が開き、彼女の血肉がそこから止めどなくこぼれた
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:42:36.43 ID:VVXrJcsS0
唯は三人の骸の中に直立していた
仲間の生々しい死体から、臓物が溢れ、唯はまさしく『臓物池』に足を突っ込んでいるようだった
唯は変わり果てた姿をしていた。今にも、体が崩れ落ちそうだった
梓は目を背けたくなる思いを必死に堪え、彼女に語りかけようとした
すると、先に唯が口を開いた
唯「あずにゃん。こっち来て」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:44:44.58 ID:VVXrJcsS0
唯は手を広げて梓を待っていた
梓は生まれたての子馬のようによろよろ唯の方に歩いていった
すると唯は不思議そうな顔をして、笑うのをやめた
唯「なんでわたしに向かってくるの?窓の外に逃げたほうがまだ安全だよ」
梓は歯を食いしばりながら、泥床を突き進む。
唯は悲しそうな顔をして、梓を見た
唯「むぎちゃんから何も聞いてない??」
梓「関係ないです」
唯「わたしは虫だよ」
梓「関係ないです!!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:46:37.42 ID:VVXrJcsS0
梓が無理やり、唯に飛びつくと、唯は目をつむって一歩後ずさり、指を突き立てて梓の目に突き刺した
片方の眼球には、眼球を支持・固定し、動かす目的を持つ六つの筋肉がへばりついている
だから容易に眼球を繰り抜くことは実際にやると難しいとわかる
それらの筋肉は外眼筋とよばれ、上直筋・下直筋・上斜筋・下斜筋・内直筋・外直筋といい、眼球のスムーズな運動に関与している
唯は梓の左目の上直筋と上斜筋、右目の下直筋と内直筋を抑えつけた。
すると、梓の眼は別々の方向を向き、びくんびくん痙攣した
梓「痛い!痛いよ!!唯先輩!」
梓は間抜けな顔になった。しかし、唯は笑わなかった。
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:49:31.96 ID:VVXrJcsS0
唯は正気を取り戻したようにはっと眼を向き、眉をふんすとあげ、手を素早く引っ込めた
梓は唯にもたれかかった
唯は足の力が抜け、床に倒れ込んだ。
唯は梓に押し倒された。
しかし、その衝撃で、無理やりつなぎとめていた各部の縫合が外れ、唯の体のありとあらゆる部分から、肉と、腹綿と、血と、脂肪のようなものが垂れ流しになった
唯はもう体を動かすことさえ出来なかった
顔は判別が出来ないくらい、無残に潰れていた
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:52:34.69 ID:VVXrJcsS0
梓「唯……先輩」
唯はぴくぴくと各部を微細に震わせて反応した
唇が動いた。奇跡的に声帯は無事だった。ボーカルにとって喉は命だ。
唯「……に……げ…て」
梓「もう、逃げません。唯先輩が、ばらばらのどろどろになっても、ここから一歩も引きません」
唯「あ…あずにゃん」
梓「唯先輩」
唯「なら世界が終わっても、また会おうね。ばいばーい」
梓「あーめん!」
第一部完
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:59:31.63 ID:VVXrJcsS0
これは18部構想の、大長編のさわり部分です
でも、今第一部を書きながら気が付きました。時間も容量も足らないことに。
明日提出の計算ドリルもまだ終わってませんし。
夜は寝ないとお母さんがうるさいですし。
うちの学校だけ、勉強始まるの早すぎですよぉ←ゆとり教育の弊害者がここにBOKUのことだよ
アイディアは波のように浮かびますよ
でもそれを形に残すって大変だね
第三部から、けいおん!らしくなるのに、そのギャップ萌えを狙った第一部なのに
ただの中身のないスプラッタになっちまった。
スプラッタはスクラップ…うふふ
さようならかな?
梓(生きてたです)
唯「えへへ~」
澪「元気そうだな!」
律「おっ!その右目、どこで売ってた?」
紬「ゆいちゃーん」
梓(……あの日、確実に殺されたのに)
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:36:46.42 ID:VVXrJcsS0
―中野梓の記憶―
私たちはあの暑い日、ムギ先輩に招待されて、彼女の会社の系列の動物園へ遊びに出かけていました
なんでも、経営が苦しくなった地元の寂れた動物園を買取り、改築して新しい動物園にしたらしいです
唯先輩は楽しそうに、行きのバスではしゃいでいました
澪先輩は、受験が近いからって言って、バスの中でも勉強してました
律先輩は、勉強が大変そうで、時々唯先輩とはしゃぎながら、英単語帳を澪先輩に叱られながら見ていました
ムギ先輩は、それを見て、楽しそうに笑っていました
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:41:12.91 ID:VVXrJcsS0
動物園は、新しく改装されたと聞いていたのですが、門がとても古かったです
塗装が所々剥がれていて、赤い文字で大きく掲げられた〇〇動物園という看板も、昭和のセンスでした
夏休みだというのに、家族連れの客も見かけません。
客は時々は見るのですが、なんだか精気がありません
一人で動物を見に来たしわがれた大学生風の男や、陰気くさい老夫婦、浮浪者風の男……
デートに来た若いカップルや、健やかな子供なんて一人もいませんでした
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:44:00.20 ID:VVXrJcsS0
私たちは、ムギ先輩から渡された招待券を使って中に入りました
唯先輩は大はしゃぎで動物の檻に近づいて、檻の中の動物に話しかけています
律先輩も、澪先輩を引っ張って、動物に近づきます
私は気持ちが悪かったです
動物園の中も、閑散としていました。日はギンギンと照りつけ、動物たちもぐったりとしていました
檻の中の動物の中に、物珍しいものはいませんでした
イノシシやタヌキなんかがたくさんいる檻があって、少し先に行くと、シマウマやアリクイなど、日本にいない動物がいました
それでも、動物園なら当たり前の動物で、すごい地味な展示動物でした
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:47:36.58 ID:VVXrJcsS0
動物園の真ん中まで、そんな調子でした
ちょうど真ん中にあたる、檻で唯先輩たちはなにやら面白そうに中を見ていました
『さる』とかいた看板の檻の中に、小さなサルが何匹か飼育されていました
ニホンザルではありません。大きなイヌくらいの、大きさのサルでした
体色が真っ黒で、尻尾が長く、手足が長く、樹の瘤の上に座ってキョロキョロしています
顔は人間の顔そっくりです。黒目がキョロりと大きくて、顔の毛が薄く、そして歯が真っ白。
サルの数は……1,2…5匹です
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:49:38.85 ID:VVXrJcsS0
猿たちは唯先輩たちに興味を持ったらしく、キャッキャと手を伸ばして、唯先輩が檻の中に出す餌を長い腕で受け取っています
行きましょう、私は叫ぼうと思いました。この動物園は変です。
隣の檻の前に、母親に手を引かれた子どもがいました
男の子か女の子かもわからない奇形の顔
その子は、右手と顎がありませんでした。そして黒目が大きくて、私は目が合うと、すぐに顔を背けました
その子は十歳くらい、ひどい障害を背負っているようでした。足はびっこをひいていました
私は障害者を差別したりはしませんが、この時、ひどい嫌悪感が私をおそったのを正直に告白します
ムギ先輩の方を見ると、向こうも私の方を見ていました
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:53:24.87 ID:VVXrJcsS0
「ムギ先輩!」私は彼女を問いただそうとしました
「あの猿はなんですか!」
「新世界ザルの一種よ。私たちは旧世界ザルから進化した狭鼻下目のヒト科のヒト属ヒトだから、大分、進化系統的には隔たっているわ」
「そんな事を聞きたいわけじゃありません」
「珍しいわよね。南米から連れてきたらしいのよ。梓ちゃんももっと進化の勉強をすると、違いがよく分かるわ」
「まず鼻の向きが違うわ。それに……」
この後、ムギ先輩が何を言ったのか覚えていませんが、程なくして私たちは次の檻へ向かうことになります
最後に。障害児が私の方をじーっと見つめていました。指をちゅばちゅばしゃぶって、何か言いたげに見つめていました。
母親は疲れた顔で、檻の中の動物を見ていました
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 18:58:12.08 ID:VVXrJcsS0
そこから先の檻にはたくさんのサルが飼育されていました。
手の長いサル、尻尾の長いサル、目が大きいサル、小さくて可愛いサル、人間のように大きなサル…
どの檻のサルも5匹でした。5匹。初め、私は珍しがって少しだけ楽しそうに振舞っていましたが、この数字に気がついてから、寒気がしていました
気がつけば、澪先輩は気分が悪そうにしていましたし、律先輩も無口になっていました
唯先輩は相変わらずはしゃいでいました。ムギ先輩はニタニタ笑っていました
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:03:13.24 ID:VVXrJcsS0
「引き返しましょう」私は先輩方にそう提案しました。この先に進んではいけない気がしてなりませんでした
四人とも、小声で何か呟きました。私は踵を返して、元きた道を戻り始めました。
ヒヒやゴリラ、チンパンジーの檻の手前まできており、もう少しで終点だと思われました
私は最後の展示物を見る勇気はありませんですし、物凄い恐怖を見に感じていました
どん、と何かにぶつかりました
ひっと私は悲鳴をあげました。
五歳くらいの男の子とぶつかったのですが、その子の顔を見ると、目が一つありません
この動物園は気色が悪い
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:13:33.87 ID:VVXrJcsS0
「大丈夫、あずにゃん?」
目が覚めると、私は唯先輩の膝の上にいました。私は顔を真赤にして、そこから飛び退き、先輩に謝りました
空は赤く焼けて、動物園の客は殆どいなくなっていました
広場のような場所でした
「すみませんです。もう夕方ですか?」
「うん」
唯先輩は元気がありませんですが、他の先輩は何かの檻の側で、アイスクリームを食べていました
私は少しほっとしました。出口が向こう側にみえたからです
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:16:28.93 ID:VVXrJcsS0
「行こうかあずにゃん」
唯先輩に連れられて、私は澪先輩達の方へ向かいました
その檻は柵が随分と低く、大人の腰ほどもなくて、簡単に乗り越えられそうな柵でした
そして、柵の位置はすり鉢の淵のようで、その柵を超えると急斜面を降り、随分と下に落ちてしまいそうでした
私はその柵に腰をかけている律先輩を見て、肝がひんやりとしました
ペロペロアイスクリームを舐める先輩に余り恐怖感はないようですが、落ちたら動物の檻の中に入ってしまいます
「りっちゃん、何の檻?」
「ペリカンだよ」クスっと律先輩は笑いました。目元は夕日で見えませんでした
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:20:05.62 ID:VVXrJcsS0
唯先輩は律先輩の側に近寄りました。私は「危ない!」と叫びました。
唯先輩は、何かに引き込まれるように、その檻の中に落ちていきました
「たすけてぇー」と大声をあげながら、すり鉢状の檻をずるずると滑り落ちていきました
私は大声をあげて、周囲に助けを求めましたが、近くに職員はいませんでした。私達の他は誰もいませんでした
律先輩と澪先輩は落ちていくあの人を覗き込んでいました。
ムギ先輩はも覗き込んでいました。
唯先輩は底に落ちました。誰も助けようとしません。私は、飛び込もうとしました
しかし、その時です
嘴が異常に大きく、目がギョロッとした鳥たちが、唯先輩に集まりました
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:23:42.36 ID:VVXrJcsS0
唯先輩の叫び声は途端に聞こえなくなりました
ぐえぐえと、ペリカンの鳴き声が、夕日に照らされた動物園に響きました
私が見たのは。大きな嘴でつつかれて、血を流している唯先輩でした
腹が裂け、そこから色とりどりの臓器がつまみ出され、ペリカンは大きな口でそれらを飲み込んでいました
まず、嘴の先で掴んだ臓器を持ち上げて、何度か嘴を開いてつまみ直すと、頭を空に向けて、ずるっと丸飲みするのです
目玉が引きぬかれました。私は悲鳴を上げ、両手で顔を覆いました。
さすがにその檻の中に飛び込む勇気は萎えていました
一匹のペリカンが私の方を大きな目で見続けていました
―以上、梓が唯の死の根拠としてあげた記憶―
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:29:04.66 ID:VVXrJcsS0
梓「私は唯先輩を見捨てました」」
紬「梓ちゃんは悪く無いわ」
律「おう。梓は何もしてない」
梓「何もしてないから、悪いんですよ!!」
澪「人間はこんな理解不能な出来事にはどうしようもないんだ」
梓「澪先輩まで!それに先輩方は何なんです!唯先輩が、死んで……なんで平然としてられるんです?」
紬「別に悲しくはないわ」
律「おう」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:33:56.72 ID:VVXrJcsS0
梓「ふざけないで下さい!帰ります!そもそも、唯先輩の家族もおかしいです、娘が死んだのに、仕事で帰ってこない」
梓「憂は一晩中泣いていたのに」
梓「それに、なんで次の日に、いきなり大事な話があるから集まれって!!いつものようにまったりティータイムしてるじゃありませんか!おかしいですよ!!」
紬「人は死んだらおしまいよ」
律「死んだ人間の面倒なんて見てられない」
澪「私たちは生きているから」
梓「……」
律「それに、あと二日で帰ってくるだろ、唯なら」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:40:37.52 ID:VVXrJcsS0
澪「さあ、練習しよう」パンパン(手を叩いて澪は立ち上がる)
紬「そうねえ」(カチャカチャと音を立てて、紬はティーセットを片付ける)
律「……まあ、そろそろ真面目になりますかね」(律は気だるそうに立ち上がる)
梓「……やってられませんね。頭おかしいです」(梓は乱暴にギターケースを引っ張り上げて、音楽室をあとにする)
律「おーいーあずさー。あと二日だぞー」
梓が階段を降りているとき、不意に演奏がはじまた
梓は腰を抜かしそうになった。
彼女たちは、仲間が死んだのに、カノン(※ペッへルベル?のクラシックの曲)を演奏し始めた。
それは、人が死んだことよりもおぞましい行為だった
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:47:01.30 ID:VVXrJcsS0
美しいメロディ、心地良いコード進行、同じ和音の繰り返し……しかし、リズムギターを欠いて主役となるのは、紬のキーボードだった。
キーボードの下に敷かれた、澪のベースの重低音が機械音にからみ合う。二つの音の結婚だった。
それを祝福するかのような、律の力強いドラムの音。いつもは走り過ぎと評されるドラムが完璧に演奏されている。
梓は階段の下で立ち止まって聞き入ってしまった。
そして、演奏の最中に「アハハ」と間の抜けた笑い声が、何度も聞こえてきた。音楽室で、三人は笑っているのだ。
梓は頭を抱えて、その場でうずくまった。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:52:10.51 ID:VVXrJcsS0
憂「……」
梓(憂……目が真っ赤。一人でずっと、ここで泣いてたんだね)
梓(唯先輩が死んだのに、誰も来ない。誰も、悲しんでいない。けど、この子だけは泣いている)
梓(憂……)ぎゅ(梓は憂の後ろから彼女を抱きすくめた)
憂「きゃ」(憂はびくっと震えて、首を回して梓を見た)
憂「お姉ちゃんかと思った……」
梓「憂……何も出来なくて、ごめんね」
憂「いいのよ、梓ちゃん」
梓「お父さんとお母さんが帰ってくるまで、一緒にいよ」
憂「うん。あと二日後までね……」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 19:54:40.46 ID:VVXrJcsS0
和「ねえ、ちょっと」
二日後、軽音部の部室に生徒会長の真鍋和が血相を変えて飛び込んできた
和「預かってた、唯の死体がないんだけど」
梓を除く、三人はいつものように机を並べてティータイムをしていた
律「まあ、慌てなさんな、生徒会長殿」
和「唯の死体がないのは、大変なことなのよ」
澪「……」
紬「まあまあ、お茶でも~」
和「ちょっと!!あなたたち、事の重大さに気がついてるの!?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:02:14.22 ID:VVXrJcsS0
澪「……唯なら、復活したよ」
和「……」
律「ところで、和。唯の死体、どこに保管していた?」
和「腐って、虫に食いつぶされないよう、知り合いの寺の土倉の冷たいところに安置していたわ」
律「アハハ、ほらみろ」紬「うふふ」澪「あは」
和「あなた達、怖いわ」
律「あんたもな」
和「……じゃあ、私生徒会行くね」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:07:56.93 ID:VVXrJcsS0
和は震えながら、音楽室を後にした。扉を閉じると、部屋の中から笑い声が聞こえてきた。
和「あら、あなた」
階段の下に、梓がちょこんと柱に隠れるように立っていた
和「まだけいおん部員なの?」
梓「唯先輩は、あの部屋にいましたか?」
和「自分で見てくるといいわ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:10:14.23 ID:VVXrJcsS0
紬「あら~梓ちゃん。おかえり~」
律「こら!梓、遅刻はよくないぞ」
澪「……」
梓(この人達、笑ってるです。それより、先輩は…え…?何、この匂い)
梓(人間一人、腐ってる。いや、ここで何人死んだです?)
梓「……」ドカ(梓は乱暴に自分の席に着く)
音楽室の床は、碧褐色の泥でぐずぐずになっていた。昨日までは艶やかに光を弾いていた床が、一日でこんなに汚れるだろうか?
梓は、強烈な腐敗臭に、痛烈な吐き気を催した。
一分も立たないうちに、息を吸うことも我慢できなくなり、口を抑えて窓の方へ駈け出した
梓は何かに躓いた。頭からおもいっきり、汚れた床に転ぶと、そのまま嘔吐した。
吐瀉物による喉の酸っぱさを忘れさせるくらい、床の泥は強烈だった。
目が床から十センチの所で泥の正体に気がついた。汚れた白い硬いものが、散らばっていた。
人間の腐肉が、軽音部の部室の床をどろどろに溶かしていた。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:13:55.91 ID:VVXrJcsS0
律「安心しなよ。その泥の中に唯はいないよ」
澪「いらない部分を溶かしたら、案外たくさん残ったんだ」
紬「劇物で溶かしたのよ~腐食性が強い、王水で。」
律「王水!!カッコいい響き!!」
澪「……王水を使った、淡い女子高生の恋心を表現した歌詞が浮かんできたぞー」
律「これだけ、探しても、唯にぴったりな右目は見つからなかったんだ……でも、体の大部分は見つかった」
紬「昨日、夜遅くまでみんなで頑張ったのよ。憂ちゃんの体を使えればすぐだけど、きっと唯ちゃん、悲しむから」
律「赤の他人ならいいだろ。輸入したんだぜ」
紬「さて、そろそろ主役登場の時間ね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:17:12.43 ID:VVXrJcsS0
梓は起き上がり、全速力で音楽室の扉を目指した。
―少しでも早く、逃げ出すんだ
三人は静かに立ち上がり、扉を向いた
梓は、全力で逃げ出そうとしたが、足が何かに挟まって抜けなかった。
階段を足音が登ってきた
ゆっくり、踏みしめるような足音だった
梓「ひぇえええ」
梓は失禁した。小水が、大腿をツーっと伝い、腐肉の床に流れていった。
転んだせいで、制服は泥だらけだ。梓は人間肉に塗れていたのだ、今更、糞尿を塗りたくられたところでどうということはあるまい
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:19:06.60 ID:VVXrJcsS0
扉が元気よく開かれた
唯「平沢唯復活だよ!」
梓(……あの日、確実に殺されたのに)
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:25:49.54 ID:VVXrJcsS0
三人は、体をつんのめって唯の方に飛び込んだ
唯の顔はぼろぼろだった。腕も、ホッチキスでばちんばちん止めた、稚拙な縫合後が痛々しかった
唯は笑っていた
紬「だいすきー」
澪「だいすきー」
律「だいすきー」
梓は震えながら、唯を見ていた
唯は笑っていた。唯は笑っていた。唯は梓に向かって口をパクパク動かした
「に げ て」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:32:14.89 ID:VVXrJcsS0
三人は唯を後ろに倒しこむような勢いで、抱きついた
すると、唯はこう言った
「ありがとーみんなー」
律「ぴぎゃああああああああああ」
まず律の絶叫が教室に響いた
律の腹を突き抜けるように、唯の腕が飛び出していた。
律「唯ーこれじゃ、まるで人造人間にど出っ腹に穴をあけられたヤムチャだ」
澪と紬はドッと笑い声をあげた。唯はにこにこしていた
澪と紬は静かに唯から離れた。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:34:15.10 ID:VVXrJcsS0
唯は、律の皮膚、腹直筋、腹膜を引きちぎり、内臓を固定する筋をちぎる力強く、臓器を引っ張り出した。まず、黄土色の大腸が飛び出た
続いて小腸を引き抜き、一本釣りをするように消化器を引き出していく
律は喉から肛門にかけて、縦一文字に裂け目を入れられて、消化器を抜かれた。
唯は、それを自分の腹に取り込んだ。
自分の腹にも、穴をあけ、底から、ずぶずぶと律の消化器を入れ込んだ。
残った、肝臓や膵臓、腎臓、心臓、肺、筋肉、腱、皮膚、眼球、内耳、は音を立てて食べ始めた唯の小さな口に飲み込まれていく
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:38:09.07 ID:VVXrJcsS0
紬は悲鳴をあげた。
すると、唯は紬の頭に手を突っ込んだ
そして、ぶよぶよした灰褐色色の張りのある脳を引きずりだした
脳髄液で、それはぬらぬらてかり、唯は手のひら大のある部分をすくい上げるようにして持ち上げたかと思うと、
自分の頭に穴をあけ、そこに紬から取り出した脳の一部分をぶちぶち音を立ててめり込ませ始めた
唯は白目をむいていた。紬は口をだらしなく開けて死んでいた
唯「なるほろなるほろー」
そして唯はその他の部分の脳みそを口でついばんでずるずる音を立てて、吸い上げた。
澪は怖い話を聞いた時のように、震えていた
梓はあまりの光景に呆然としていた
唯は笑っていた
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:40:00.11 ID:VVXrJcsS0
澪「助けて……そんなつもりはなかったんだ!!」
唯「えへへ」
澪「そうだ、そうだ!!この眉毛が、眉毛がっ!!こいつが教えてくれたんだよ、私はただ、怖くて便乗してただけだ」
唯「もうかんけーないよー」
澪「ゆい~信じてくれえ~と、ともだ」
唯「さばおり!」
澪の背骨が折れた。次々に唯は澪の骨をその華奢な体で砕いていった。澪の腹に穴が開き、彼女の血肉がそこから止めどなくこぼれた
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:42:36.43 ID:VVXrJcsS0
唯は三人の骸の中に直立していた
仲間の生々しい死体から、臓物が溢れ、唯はまさしく『臓物池』に足を突っ込んでいるようだった
唯は変わり果てた姿をしていた。今にも、体が崩れ落ちそうだった
梓は目を背けたくなる思いを必死に堪え、彼女に語りかけようとした
すると、先に唯が口を開いた
唯「あずにゃん。こっち来て」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:44:44.58 ID:VVXrJcsS0
唯は手を広げて梓を待っていた
梓は生まれたての子馬のようによろよろ唯の方に歩いていった
すると唯は不思議そうな顔をして、笑うのをやめた
唯「なんでわたしに向かってくるの?窓の外に逃げたほうがまだ安全だよ」
梓は歯を食いしばりながら、泥床を突き進む。
唯は悲しそうな顔をして、梓を見た
唯「むぎちゃんから何も聞いてない??」
梓「関係ないです」
唯「わたしは虫だよ」
梓「関係ないです!!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:46:37.42 ID:VVXrJcsS0
梓が無理やり、唯に飛びつくと、唯は目をつむって一歩後ずさり、指を突き立てて梓の目に突き刺した
片方の眼球には、眼球を支持・固定し、動かす目的を持つ六つの筋肉がへばりついている
だから容易に眼球を繰り抜くことは実際にやると難しいとわかる
それらの筋肉は外眼筋とよばれ、上直筋・下直筋・上斜筋・下斜筋・内直筋・外直筋といい、眼球のスムーズな運動に関与している
唯は梓の左目の上直筋と上斜筋、右目の下直筋と内直筋を抑えつけた。
すると、梓の眼は別々の方向を向き、びくんびくん痙攣した
梓「痛い!痛いよ!!唯先輩!」
梓は間抜けな顔になった。しかし、唯は笑わなかった。
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:49:31.96 ID:VVXrJcsS0
唯は正気を取り戻したようにはっと眼を向き、眉をふんすとあげ、手を素早く引っ込めた
梓は唯にもたれかかった
唯は足の力が抜け、床に倒れ込んだ。
唯は梓に押し倒された。
しかし、その衝撃で、無理やりつなぎとめていた各部の縫合が外れ、唯の体のありとあらゆる部分から、肉と、腹綿と、血と、脂肪のようなものが垂れ流しになった
唯はもう体を動かすことさえ出来なかった
顔は判別が出来ないくらい、無残に潰れていた
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:52:34.69 ID:VVXrJcsS0
梓「唯……先輩」
唯はぴくぴくと各部を微細に震わせて反応した
唇が動いた。奇跡的に声帯は無事だった。ボーカルにとって喉は命だ。
唯「……に……げ…て」
梓「もう、逃げません。唯先輩が、ばらばらのどろどろになっても、ここから一歩も引きません」
唯「あ…あずにゃん」
梓「唯先輩」
唯「なら世界が終わっても、また会おうね。ばいばーい」
梓「あーめん!」
第一部完
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/23(月) 20:59:31.63 ID:VVXrJcsS0
これは18部構想の、大長編のさわり部分です
でも、今第一部を書きながら気が付きました。時間も容量も足らないことに。
明日提出の計算ドリルもまだ終わってませんし。
夜は寝ないとお母さんがうるさいですし。
うちの学校だけ、勉強始まるの早すぎですよぉ←ゆとり教育の弊害者がここにBOKUのことだよ
アイディアは波のように浮かびますよ
でもそれを形に残すって大変だね
第三部から、けいおん!らしくなるのに、そのギャップ萌えを狙った第一部なのに
ただの中身のないスプラッタになっちまった。
スプラッタはスクラップ…うふふ
さようならかな?
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ゆとりはホント気持ち悪いな
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最初から続ける気も先の話も考えて無くてこれで終わりってのがよく分かる。