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( ^ω^)は人助けをしたいようです 1話

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/29(木) 00:03:25.60 ID:mutndw7h0

春。改造していない真新しい制服を着て学生達が登校します。
はるうららな陽気に当てられ、初日にいじめと言うものは発生しません。

一週間経てば大体のグループが作られます。
それに入れらなかったコミュ力皆無のクズは集団からハブられます。
絶好のいじめターゲットです。標的です。的です。獲物です。
顔がグロかったりキモかったり、雰囲気が根暗だったりすると更にヒット。

一ヵ月経つと、もういじめは開始されています。
最初はシカトだったり、廊下でわざとぶつかってきたり。

半年経つと、お金を要求したり、クラス全員がいじめに協力したり。
服に隠れているところを殴ったり、筆箱を隠したり、教科書を捨てたり。
靴の中に画鋲を入れたり、体育館裏に呼び出してフルボッコにしたり。
教師までもがいじめを黙認して、いじめっ子達が更にヒートアップします。

( ^ω^) +

待っていました。僕はこれを待ち望んでいました。
僕の目の前には屋上の鉄柵から身を乗り出している人がいます。
きっと、新世界へ行こうとしているのでしょう。

今こそ、僕が人助けをする時です。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/29(木) 00:05:27.18 ID:mutndw7h0

①新世界へダイビング


( ^ω^)「あいや待てェい!」


僕は彼を背後から呼びかけました。
がりがりに痩せ細った体は、僕の呼気にすら吹き飛びそうです。


('A`)「んあ?」


振り返った顔はキモいです。グロいです。顔面崩壊しています。
心の中でうわぁと言ってしまいました。心の中なので、キモ面には聞こえていません。

街角インタビューで100人に「こいつキモい?」と聞いたら100人がYESです。
これでは屋上に立っていても、告白シーン待ちと思う奴はいないでしょう。
もし見つけても、人助けをしたいと思う人でなかったら写メを構えてしまいます。

飛び降りる瞬間を撮影する為に。


('A`)「何か用?」


おっと、自分の世界にトリップしていました。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/29(木) 00:09:45.65 ID:mutndw7h0

( ^ω^)δ「君ィ、命は粗末にするモンじゃないお」

('A`)「お前に俺の何がわかるってんだよ」


来ましたテンプレ。どうやらこいつはテンプレなようです。
まずはその幻想をぶち壊、テンプレをぶち壊します。


( ^ω^)「じゃあ、僕の何が君にわかるってんだお?」

(;'A`)「え?」


くっくっく、圧されていますね。
僕が素直に自殺を止めるよう言うと思ったのですか?


( ^ω^)「あと、さっきの君の言葉もおかしいお」


このまま自分のペースに持ち込んでやります。


( ^ω^)「『命は粗末にするモンじゃない』に『俺の何がわかる』って会話が成り立ってないお」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/29(木) 00:13:11.86 ID:mutndw7h0

( ^ω^)「君は簡単な会話のキャッチボゥルもできないのかお? もしかして知障?
      支離滅裂な会話ほどウザいものはないんだおwwwもしかして自覚なし?
      だったら君がいじめられるのも当然だおねwwwwwwその顔だしwwww」

('A`)「…お前、何しに来たんだよ」

( ^ω^)「人助け」

('A`)「……」


あれ? あれれれ?
ブサ面がすごい陰湿な目で睨んできます。どうしてでしょう。

そこは「メシアが舞い降りた!」と叫びながら鼻水を垂らし、失禁するところです。
そして、救世主に抱きつこうとして僕の華麗なカウンターを食らい、鉄柵の向こうへ。
空中にきらきらと体液を撒き散らし、涙で虹を作りながら地面へ行きます。

救われたと思い込んだ幸福の絶頂のまま、新世界へ行くことができるのです。


('A`)「別に、飛び降りる気なんてないぞ」

( ^ω^)「えー」

('A`)「今日のは下準備みたいなものだよ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/29(木) 00:15:49.29 ID:mutndw7h0

('A`)「人助けなら、俺が飛び降りたいと思う前に助けてみろよ」

( ^ω^)「なら僕の胸に飛び込んでおいで、救ってあげよう」

('A`)「誰が喜んで野郎の胸に飛び込むんだ」


そう言って、彼は鉄柵を乗り越えました。
向こう側から、こちら側へ。これから青春を謳歌する側へ。


('A`)「でもまあ、助けてくれるの期待してるぞ」

( ^ω^)「へ?」


なんでコイツこんな偉そうなんだ。

去り際に、肩をぽんと叩かれました。
まるで上司が部下に「期待してるぞ」と言いながら肩に重圧をかけるアレです。


彼はそのまま階段のほうへ行き、彼は段を踏み外して落ちました。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/29(木) 00:18:13.76 ID:mutndw7h0

ξ;゚⊿゚)ξ「いっ、いやぁあああああああ!!


おやおや、どうやら女子に見られてしまったようです。
一応言っておきますが、僕が突き落としたんじゃありませんからね。

って、聞いてません。
肉食獣もびっくりの瞬発力で走り去って行きます。

彼女に弾き飛ばされた男子生徒が壁に陥没して動かなくなりました。


( ^ω^)「どれ」


向こうで壁に頭をめり込ませて生死の境を彷徨っている男子生徒はよしとします。
問題は、階段の踊り場で首を奇妙な方向に向かせている根暗野郎です。


( ^ω^)「ふむ、脈は…ないな」


一人でやっておきながら何ですが、当たり前です。
素人目で見ても、即死ですもん、これ。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/29(木) 00:21:28.35 ID:mutndw7h0

骨格を無視したアレで、ジョジョを思い出してしまいました。
彼の今のポゥズは、明らかにジョジョです。骨格を無視しています。

折れ曲がった首とか、歪んでピースサインをしている両手とか。
がに股とか、マトリックスばりの仰け反り具合とか。まさにジョジョ。

そう思ったら、僕は笑いが止まらなくなりました。


( ^ω^)「ぶひょひょひょひょひょwwwwwおひゃひゃひゃひゃひゃびゃるぁ」


笑いながら、静かに涙を流します。

彼は、屋上から地面へ飛び降りれませんでした。
たった13段の階段の一番上から、踊り場までしか落ちれなかったのです。

きっと、スカイダイビングのような気分を味わえなかったでしょう。
走馬灯すら見ることはできなかったでしょう。
いじめっ子達を呪い殺す念を飛ばす暇もなかったでしょう。

ああ、また尊い命を一つ、救うことができませんでした。




① 終

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