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和「そうなんだ、じゃあ私ジャッジメント行くね」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[ありがとうございます><] 投稿日:2010/07/02(金) 16:53:25.76 ID:3OcXG69bP [1/78]
和「何やってるの、唯?」

唯「あ、和ちゃん。卵立て。あと一つで一ダースなんだ~」

和「そうなんだ、じゃあ私ジャッジメント行くね」

唯「え~なんだか冷たいよ~和ちゃん。これ結構、難しいんだよ?」

和「はい、はい。すごいすごい」

唯「ぶ~」

和「あ、そうそう。今日、憂を借りていくからね」

唯「えっ!なんで!?」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 16:55:57.52 ID:3OcXG69bP
和「前から言ってたじゃない…。最近、ジャッジメントの事務処理が忙しいから人手が欲しくて」

和「それで、憂に手伝ってもらいたいなって。本人の了解もとったし」

唯「あー思い出したよ!」

唯「でもさ…」

和「なら自分も手伝うって?気持ちはとてもありがたいんだけど……。仕事はパソコンを使ってやるのよ」

唯「><」

唯「じゃあ、私にはできないや~。ごめんね和ちゃん」

和「いいのよ。その気持ちと憂だけで」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 16:58:32.84 ID:3OcXG69bP
和「あら……もうこんな時間。じゃあ私行くね」

唯「うん、気を付けてね~ あっ!」

和「?」

唯「憂に伝えといて!今日は、私が晩御飯作るからお手伝い頑張ってって!」

和「クス わかったわ」

テクテク

唯「さ~てと、もう少しだけ続きやろうかな~」


唯「あら、もう机いっぱいだ」


唯「よーし!じゃあ今度はこの畑の上に積んでいこう!」

トタ・・・

トタ・・・

トタ・・・

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:00:41.83 ID:3OcXG69bP
唯「ふぅ……そろそろ飽きたな」


唯「そろそろやめっよと、えいっ!」

唯の掛け声とともに、卵達は直立をやめ、赤い光りを纏い、空中に浮かんだ。

唯「そ~っと、そ~っと」

浮かぶ卵達は、唯の指先の指示に従い、再びパックの中に納まっていく。

唯「これでよしっ」

一連の始末を終え、念能力【サイコキネシス】を操る少女は、笑顔で駆けだした



唯「部室いこっと!」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:03:10.55 ID:3OcXG69bP
≪部室≫

ドア「ガチャ」

唯「みんなーおまたせ~ってあれ?」

梓「唯先輩、遅いですよ」

唯「う、うん。あずにゃん、ごめん~ みんなは?」

梓「今日は、皆さんアルバイトの日でお休みですよ」

唯「あ~そういえばそうだったっけ」

唯「あれ……ってことはあずにゃん」

梓「はい」

唯「ずっと一人で私のこと待ってたの?」

梓「……もう帰ろうかと思ってたところです」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:07:46.34 ID:3OcXG69bP
なんてことだ、自分が卵の塔を築いてる間に、可愛い後輩は寂しい思いをさせていたとは。唯は反省した。

唯「ううっ……あずにゃ~ん、ごめん!」

梓「うっうわ!抱きつかないでください!暑苦しいです」

唯「えへへ~」

梓「と、ともかく!二人でも練習です!練習!」

抱きつかれた梓は、顔を赤らめながらも叫ぶ。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:13:07.58 ID:3OcXG69bP
唯「でも、その前に……」

梓「『お茶にしよう!』でしょ?」

唯「うわ!あずにゃん、よくわかったね~もしかして予知能力【プレコグニッション】?」

梓「……違いますよ。それくらい、いつもと同じだからわかります。」

梓「それに……私は、レベル0ですし」

唯「あずにゃんは、可愛いからレベル0でもいいんだよ~」

梓「なんですか、それっ!」

梓「あと今日は、ムギ先輩がいないから、お茶できませんよ」

唯「ふぇ!?」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:18:10.13 ID:3OcXG69bP
唯「あーっそっかームギちゃんいないんだ~……」

梓「ですよ」

唯「ううっ……放課後のティータイムなしなんてバンド名に偽りありだよ!」

梓「仕方ないじゃないですかー」

唯「はぁ~あ」ションボリ

梓「……」

唯「……」グギュルルルルー

梓「プリンならありますけど……」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:20:47.11 ID:3OcXG69bP
唯「ぷ、プリン!?」

梓「ええ、純が買いすぎて、余らしたのを貰ったのが2つほど」

唯「あずにゃん、流石だよ!いや、純ちゃん!!純ちゃん最高だよ!」

梓「そんなに喜ばなくっても」クス

唯「わたし、スプーン用意してくるねっ!」

梓「あ、はい。お願いします」

スキップしながら戸棚に向かう先輩をよそに、梓は鞄を探った。

梓「えっ~と。確か、奥のほうに入れといたはずなんだけど」

鞄の中は、様々な物でごた混ぜで中々見つからない。

梓「仕方ない、とりあえず中身を出そう」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:28:17.69 ID:3OcXG69bP
唯「うっわ!何これ~あずにゃん」

机の上には、奇奇怪怪な品々が溢れかえっていた。

唯「あずにゃん、フリーマーケットでも始める気?」

梓「プリンがなかなか見つからなかったんですよ」

唯「こんなに鞄によく入ってたね~でも……この、ゴミ見たいのいったい何に使うの?」

梓「ゴミじゃないですよ!」

梓は興奮ぎみに、解説し始めた。

梓「それは、念動力の練習のための強化グッズです!」

唯「このパーティーの主役になれそうな鼻メガネは?」

梓「それは掛けてるだけで、透視能力が身に着くメガネです!」

唯「このどのページにもみっちり『心』としか書かれていない本は?」

梓「それのどこかに『べ』の文字が混ざってるんです!それを見つけると読心能力が身に付いくという本です!」

唯「この拳ほどの大きさの石は?」

梓「それは、AIM拡散力場を発生させているという謎の石です!」

梓「寝ている間に、予知能力が高まるCDなんてものもあります!」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:36:45.16 ID:3OcXG69bP
唯「へ、へぇ~色々あるんだね~」

梓「全部ネットで買ったんです」

唯「そうなんだ~あはは……」

梓「あ、プリンでしたね。どうぞ」

唯「うん、ありがとう!」

二人は、にぎやかな食卓の上でプリンを食べ始めた。

唯「う~ん、おいしい……!」

梓「純は、これをお腹いっぱい食べるのが夢だったそうです。ま、2個で飽きたんですけど」

唯「確かに、濃厚な味わいだからね!あ、あら……」

梓「どうしたんですか?唯先輩」

唯「スプーンが……」

唯が目の前に掲げた高級そうな匙は、柄の部分がくっきりと折れ曲がり、くの字を作っていた。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:42:47.33 ID:3OcXG69bP
唯「あ~ムギちゃんに怒られちゃうかな!?」

梓「スプーンを曲げたくらいじゃムギ先輩は、怒りませんよ」

唯「だよね~でも明日謝らないと!」

梓(超能力……)

梓「唯先輩は、念動力【サイコキネシス】が能力なんですか?」

唯「ん?違うよ~これは基本であり、応用」

唯「自分だけの現実【パーソナルリアリティ】は別かな。判定は、たいしたことないけどね」

梓「それでも……なにも持ってない私から見れば十分すごいです」

唯「あずにゃん……」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:44:56.32 ID:3OcXG69bP
梓(私もいつかは……先輩達みたいな能力者に……)

梓(なれる日がくる……のかな)

唯「うう……でもプリンどうしよう、またスプーン壊しちゃったら悪いし」

唯「かくなる上は!犬食いで!」

梓「やめてください、唯先輩。ほら」

唯「あずにゃん?」

梓「私がすくって食べさせてあげますから」

唯「えへへ~。あずにゃん~ありがと~」パクリ

梓「まったく唯先輩はー」

梓(いつか追いつきますから、待ってて下さいね……!先輩!)

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:54:00.03 ID:3OcXG69bP
≪とある駅前≫

憂「ジャッジメントのお手伝いってどこでやるの?和ちゃん」

和「普段は、私達の支部なんだけど……。今日は、ジャッジメント第一七七支部に行ってもらうわ」

和「そこで憂に、助っ人をお願いしたいの」

憂「助っ人?」

和「うん、憂なら適役だと思って、ごめんね。無理言っちゃって」

憂「ううん、全然大丈夫です!」

和「今度、御礼に何か美味しいもの食べにいきましょう。もちろん唯も連れて」

憂「はい、約束ですよ~」


和「そろそろ待ち合わせの時間なんだけど……」

シュン!

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 17:58:45.83 ID:3OcXG69bP
憂(うわ!突然、人が出てきた!?)

黒子「付きましたの」

固法「ありがとう、白井さん」

和「固法さん、白井さん。こんにちわ」

固法「あ!真鍋さん、お待たせしちゃったかしら?」

和「ううん、今来たところよ」

固法「あ、彼女が噂の?」

和「そう、紹介するわね。こちら幼馴染で後輩の平沢憂よ」

憂「は、初めまして!」

固法「こちらこそ初めまして、私はジャッジメント第一七七支部の固法美偉よ。で、こっちが」

黒子「常盤台中学校一年、白井黒子と申しますの。以後、お見知り置きを」

憂「は、はい!」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:02:32.59 ID:3OcXG69bP
固法「それにしても……いいもの持ってるじゃない」ジロジロ

憂(うわっ!すごい見られてる!)

和「ちょっと何見てるのよ」

固法「いいから、いいから」

和「もう、憂、気を付けたほうがいいわよ。彼女、透視能力【クレアボイアンス】の使い手だから」

憂「透視能力【クレアボイアンス】……?……う、うひゃぁ!」

憂は、慌てて胸を手で隠す。

固法「あはは~冗談よ。冗談。何も見てないから安心して」

憂「ううっ……」

和「もう、固法ったら」

固法「ごめんなさい、なんだか可愛くって~」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:05:01.79 ID:3OcXG69bP
固法「では、そろそろ行きますか」

和「ええ」

固法「じゃあ白井さん、お願いね」

黒子「はいな」

シュン!

憂「今度は消えた!」

シュン!

空間の中から再び現れた黒子は、和と憂の肩に手を載せた

黒子「では失礼しますの」

憂(わっ!)

シュン!

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:10:19.63 ID:3OcXG69bP
黒子「驚かせてしまいました?これは私の能力の空間移動【テレポート】ですの」

憂「空間移動【テレポート】……初めて見たかも」

和「あら、身近に使い手がいるじゃない」

憂「えっ!?」

和「知らなかったの?さわ子先生もテレポーターよ」

憂「ええっ!さわ子先生が!?」

和「そうよ、いつも会話の最中に突然現れるじゃない」

憂「確かに神出鬼没でしたけど……あれって能力だったんだぁ」

そう考えるとなんだか納得です

固法「白井さん、ありがとね。業務に戻っていいわよ」

黒子「いえいえ、固法先輩。お安いご用ですのよ」ヒュン!

固法「平沢さんは、ここで、認証登録をしてください。」

憂「は、はい!」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:16:18.03 ID:3OcXG69bP
厳重なロックを抜け通された場所は、雑多な印象を持つ部屋だった。

固法「ごめんなさいね、散らかってて」

和「ううん、どこもこんなものよ」

憂「あ、あのぅ」

固法「何かしら?」

憂「私は、何をすればいいのでしょうか。」

憂(この散らかった部屋をお掃除するとかだったらいいんだけれど)

固法「ああ。じゃあ、今日はよろしくお願いします。こっちに来て」

案内に従い部屋の奥に進んでいくと、パソコンとにらみ合ってる花飾りの少女が居た。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:20:21.00 ID:3OcXG69bP
固法「初春さん!初春さん!」

初春「あ、はい!」

憂(うわ……!すごい頭の花!)

固法「こちら、同僚の初春飾利さん。そしてこっちが今日からお手伝いしてくれる平沢憂さん」

固法は、手短に紹介をすませる

初春「はじめまして~初春飾利です。今日はよろしくお願いします~」

憂「平沢憂です!こちらこそよろしくです!」

憂(この人、お姉ちゃんに声が似てるかも!)

ここまで驚きの連続だ。なんだかジャッジメントってすごい!

固法「平沢さんには、初春さんといっしょにパソコンでの処理をお願いしたいの」

憂「あ、はい!」

固法「パソコンは得意?」

憂「あ、いえ。まったく使ったことありません!」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:22:31.27 ID:3OcXG69bP
初春「えっ」

固法「……大丈夫なの?」

憂「あ、はい。たぶん大丈夫です。初春さんは、パソコン得意なんですよね?」

初春「え、ええ……まぁ」

憂「じゃあ大丈夫です!」

和「心配しないで、憂ならなんの問題はないわよ」

固法「そ、そうなの。じゃあ、平沢さんは、こっちのパソコンを使ってね」

憂「あ、その前に」

固法「なに?」

憂「一度、初春さんがお仕事するとこ見せてもらってもいいですか?」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:26:14.98 ID:3OcXG69bP
初春「あ、はい。じゃあ」

初春は、パソコンに向かい、キーを叩き始めた。

そのよどみなく素早い手つきは、目で追うのさえ難しく、まるでその両手が別の生き物のように見える。

和「すごいわね」

固法「そうでしょ?うちの自慢なの」

憂は、その姿をただじっと観察している。

初春「ふぅ……こんなものでどうでしょうか?」

憂「……あ、はい。ありがとうございました!」

和「憂、出来そう?」

憂「うん、まかせて!」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:29:26.01 ID:3OcXG69bP
憂は、初春のとなりの席に腰かけ、目の前のパソコンに向かった。

憂「え~っと」

初春「あ、これです。この本のマークのをクリックです」

憂「はい」カチッ

初春「はい、え~とじゃあまずは、私が作ったテンプレート送るんで、それに従って作っていってくだ……」

憂「あ、大丈夫ですよ!」

初春「え?」

憂「これを……」

憂は、一呼吸を終え、画面を睨み指を操る。

その指から繰り出される作業は、さきほどの初春と一打たりとも変わらない動きだった。

憂「こうで、完成ですよね?」


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:31:36.48 ID:3OcXG69bP
初春「す、すごい!完璧です!」

憂「えへへ~」

固法「まさか……これほどとは。驚いたわね」

和「そうでしょ?これが憂の能力、機能模写【スキルコピー】」

和「観察した『技能』や『能力』を自分のものに吸収する『能力』よ」

固法「吸収……」

和「あなたのさっきのセクハラも、能力写されて仕返しされるかもよ?」

固法「反省してます……」

和「ふふ」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:34:47.23 ID:3OcXG69bP
固法「初春さんが二人になれば、効率も二倍ね。心強い。では、あともよろしくね」

和「憂、お願いね」

憂「は~い」

二人の眼鏡の先輩は、立ち去った。

憂「えっと、じゃあ改めてよろしくお願いします!」

初春「あ、は、はい!」

カタカタ カタカタ

初春「それにしても、すごい能力ですよね~。もしかして多重能力者【デュアルスキル】ってことですか? 」

憂「あ、いえ!コピーできるのは一回に一つまでで、同時には持てないんです」

初春「いやいやそれでも、十分すごいですって!」

初春「なんだか私、自信失っちゃいます……」

憂「え?」

初春「だって私の唯一の特技が一瞬で、真似されちゃったんですから」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:37:11.59 ID:3OcXG69bP
憂「ううん、違いますよ!」

憂「私の能力は、誰かが居て、初めて役に立つ能力なんです」

憂「私、一人なら何もできません。だからすごいのは、私じゃなくて初春さんなんですよ!」

憂「誰かがいるからこその自分だって……まぁ、お姉ちゃんの受け売りなんですけど!」

初春「お姉さんがいらっしゃるんですか?いいお姉さんをお持ちで羨ましいですー」

憂「えへへ」

初春「じゃあ、この調子でお仕事がんばりましょう!」

憂「はい!」

その後、仕事を終えた憂と初春はメールアドレスを交換しました。



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 18:39:26.25 ID:3OcXG69bP
区切りいいとこで飯行きますね

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:02:05.28 ID:3OcXG69bP
≪路上≫

美琴「占い?」

佐天「そうですよー!すごい当たるって、今、女の子の間で大評判なんですから!」

美琴「ふ~ん」

佐天「あれ?御坂さん、興味ないですか?」

美琴「いや、そういうわけじゃないんだけど。なんだか胡散臭いのよね~」

佐天「一回、試してみれば御坂さんにもそのすごさがわかると思いますよ!」

そう力説する佐天に引きずられ、御坂は、よく当たると評判の占い師のもとへ向かっているのだ。

美琴「で、こんな路上にいるの?その占術師とやらは」

佐天「ええ、なんでも露天で突発的にお店をだしてるって噂です」

佐天「ネットの情報では、今日はお店を出しているはずって聞いたんですけど……」

佐天「あ!」

佐天は、黒の布に包まれた、奇妙な即席の屋敷を指さした。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:07:41.40 ID:3OcXG69bP
佐天「これですよ!これ!」

美琴「うっわ……なんだか見るからに怪しいわね」

佐天「えへへ~なんだか私、緊張してきました!」

美琴「営業中。お一人づつ、ご入場ください。だって」

美琴「どうする?佐天さん、先に行く?」

佐天「う~ん!まだ心の準備ができてないんで、御坂さん、先、お願いします!」

美琴「そう、じゃあ御先にー」

美琴は、闇の中に消えていく。その後ろ姿を見送りながら、佐天は悩ましい唸り声をあげた。

佐天「ん~~~~!なに、占ってもらおうかな~!将来のこと?初春とのこと?やっぱ能力のことかな~!」マヨマヨ


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:12:16.08 ID:3OcXG69bP
美琴(うわ……薄暗いわね。なんだか不気味だわ)

しかし、そんな不気味さには、不釣り合いな景気のいい声が聞こえてきた。

「あっ!いっらっしゃいませー!」

「どうぞ、そちらに座ってください!」

美琴「あ、はい」

美琴(意外に……若いわね。私達と同じくらい?いやちょっと上くらいかな)

声の主は、笑顔で接客をはじめる。

手元に置いた水晶に、劣らないほどの輝きをはなつ額の持ち主だった。

律「今日は、どういったご相談で?」

美琴「あ、付き添いで来たので、とくに決めてなかったっけ……。」

律「いやいや!大丈夫ですよ。案外、自分のことが一番解らなかったりするものですから」

律「じゃあ、私があなたの一番聞きたいことを当ててしんぜましょう!」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:17:06.75 ID:3OcXG69bP
美琴「は、はぁ」

律「お手を拝見!」

律は、美琴の手を取り、意識を集中しはじめた

律「」ジー

美琴「」ドキドキ

律「ずばり!あなたは、今朝、納豆を食べましたね!?」

美琴「えっ」

美琴「た、確かに。そうですけど」

律「ほら~当たったー♪」

美琴「はぁ」

美琴(でも、それがなに!?)

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:19:32.36 ID:3OcXG69bP
美琴「あ、あの」

律「ははは、冗談ですよ、冗談。本当の悩みも、もう解りました」

律「あなた、今、恋をしてるでしょ?」

美琴「ドキリ!」

美琴「えっ!な、なんですかそれっ!」

律「だから恋ですよ、恋。恋愛、色恋、眷恋、ラブ。しかも、その恋は、片思いと見た!」

美琴「なっ……」

律「そして鈍感な彼と素直になれない自分にやきもきしている。違いますか?」

美琴「あ、ぐ……あっ」///

律「どうです?当たりでしょ?私の占いってすごいんですからー」

美琴(確かに当たってる……かも……。すごい……)

美琴(ん、いや、待てよ……?)

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:26:38.12 ID:3OcXG69bP
美琴「あの、もう一度見てもらってもいいですか」

律「ん?追加料金になりますけどいいですか?」

美琴「あ、はい」

律「まいどありー!じゃあ、さっそく……」

律「…………」

美琴「…………」

律「…………」

美琴(…………ハゲ)

律「誰がハゲだぁ!!」

美琴「やっぱり!」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:29:46.99 ID:3OcXG69bP
律「あっ」

美琴「大うそつき!ただの読心能力【サイコメトリー】じゃない!こんなの占いでもなんでもないわ!」

律「なはは、ばれたか」

美琴「そんなせこい真似して女の子達からお金巻きあげてるわけ?この詐欺師!」

律「そう、確かに。これは、能力であって占いじゃない。ただのはったり」

美琴「開き直ってるんじゃないわよ!はやくお金返さないと……」ビリビリ

律「ちょ、ちょっと待ちなよ、お客さん。こっからが本命なんだって!」

律「おい、澪」

澪「うん」

美琴「うっわ!ずっとそこに居たの!?」

律とは対象的に背景と同色の地味な服を着た、澪と呼ばれた少女がいつのまにか、そこに居た。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:32:21.97 ID:3OcXG69bP
律「澪、こちらは、御坂美琴さん。20××年、○月△日、生れ。血液型は□。ご相談は片思いの恋の行方だそうだ」

澪「わかった」

美琴「ちょっと、あんた達、なにを……」

律「黙ってなって」

澪は、紙とペンを取り出す。そして用意が終わるとその左手が、青い光を帯び始め、勢いよく紙になにかを書き始める。

美琴(うわ!すごい速さ!いったい何を書いてるの……?)

澪「できた」

律「御苦労さん、はい、これ」

美琴は、渡された紙に目を落とす。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:37:37.72 ID:3OcXG69bP
────────────────────────

キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI

そしてはじけてオーバーラン☆

猫になっても、きまぐれになったりしないにゃあ

私もう、君に夢中で、君にちゅう

────────────────────────

美琴「なによ、この薄気味の悪い痛ポエムは……」

澪(ガーン!)

律「それが、占いの結果。いや……予知といったほうがいいかな」

美琴「よ、予知?」

律「そう、澪の能力、恋する預言者【スイート・フューチャー】は、対象者の未来を詩で描き出す」

律「これも、能力であって占いじゃない。これなら、信じられるだろ?」


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:43:03.28 ID:3OcXG69bP
美琴「でも、これって……まったく意味が分からないんだけど」

律「澪の感性は独特だからな……意味は本人にもわかってないよ」

澪「でも……悪い結果じゃないんじゃないか?これ、なんかポップなメロディにのりそう!」

美琴「……」

澪「あ、きっと、この夢中とちゅうってとこが韻を踏んでるんだ!」

美琴「ちゅう……?」

律「そうだな、するんじゃないの?そいつとチュー」

美琴「……」

美琴「な、な、な、な、な、な、な、な!!!!!!!!!」

律「だって預言がでてる」

美琴「だ、誰がするかああああーーーーーー!!!」

ビリビリビリ!!

暗がりな室内が、電流によって白く照らされた。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:46:02.92 ID:3OcXG69bP
佐天「うわっ、み、御坂さん!?どうしちゃったんですか!」

美琴「はぁはぁ……佐天さん……はっ!」

律「……やりやがった」

澪「× ×」

佐天が中を覗くと地味な恰好のほうの占い師が口から煙を吐いてノックダウンしている。

律「私は、なんとか避けれたけど澪が……」

美琴「ご、ごめんなさい!」

律「嫌な予感したんだよな……澪がこの調子じゃ……今日は、もう店終いかな」

佐天「ええっーー!?私、まだ占ってもらってないのにー!!」

美琴「佐天さん……ごめん」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:51:26.56 ID:3OcXG69bP
≪とある食事処≫

「はぁ……御散歩に出たのはいいけど、道に迷ってしまったんだよ」

「もう!スフィクスのせいなんだからね!」

「にゃあ?」

猫を抱えた修道服の少女は、とことこと道を歩いていた。

イン「そろそろおやつの時間かも……はぁ~お腹減った」

お腹「ぐぎゅっるうるるうるっる」

イン「もうそろそろ限界なんだよ~早く帰りたいかも」

イン「あれ……いい匂いが」

腹ペコ修道女の嗅覚がおいしそうな匂いを捉えた。

匂いは、どうやらこのファミリーレストランから流れているらしい。

イン「……このお店で道を聞いてみるかも!スフィンクスはそこで御留守番してて!」

ウィーン

「いらっしゃいませ~」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 19:59:30.43 ID:3OcXG69bP
ミルクティカラーの髪をした店員がすぐに現れた。

紬「御一人さまでしょうか?」

イン「あ、うん。一人かも」

紬「では、こちらにどうぞ~」

イン「私は……(道を聞きに来ただけなんだよ!)」

席に通され、なんとなく座ってしまった。

紬「御注文はお決まりでしょうかー?」

イン「あの、そうじゃなくて」

紬「ただいま、期間限定中でイギリスフェアを開催しておりま~す」

紬「こちらのフィッシュ・アンド・チップスが大変お得になっておりま~す」

イン「食べたい……かも」

紬「ありがとうございま~す、こちらのローストビーフはいかがでしょう?」

紬「ついでにこちらのミートパイなどもご一緒に~!」

イン「あの……!」(どれも美味しそうかも……)

でかけた訂正の言葉は、唾液とともに喉の奥に飲み込まれてしまった。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:08:27.54 ID:3OcXG69bP
紬「お待たせしました。ごゆっくりと~」

イン「うっうわ!(料理を出されちゃったんだよ!)」

イン(うう……確かに腹ペコだけど……)

イン(ごくりっ……うっ……うっ……うっ)

イン「もう我慢できないんだよー!!」

ガツガツガツ

パクパクパク

ムシャムシャムシャ

イン「おいしいんだよ~!」


・・・


イン「追加注文を頼むんだよー!」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:12:35.87 ID:3OcXG69bP
紬「あのお客さん、よく頼むわ~」

「そうだね!食いしん坊さんなんだね~」

紬「佐藤くん、頑張ってね」

佐藤「ん、ああ。琴吹お前もな」

「あ!またお客さんだよ!今度は私がいくね!」

ポニーテールの小柄な体躯の少女が、小走りに接客に向かう。

ぽぷら「いらっしゃいませ、ワグナリアにようこそ!」



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:16:54.97 ID:3OcXG69bP
ぽぷら「御一人様ですかっ?」

「……」

男は、店員に見向きもせず、店内を見回している。

ぽぷら「?」

すると突如、服から何かを取り出し男が見下ろした店員に向けて叫んだ。

怪しげな外見に相応しい定番の定型句を。

「金をだせぇ!!!」




70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:22:46.97 ID:3OcXG69bP
店内にざわめきが走る。

ざわ・・・

    ざわ・・・

ぽぷら「う、うわあっ!」

ぽぷらにナイフを突きつけ、男は怒鳴った。

強盗「おらあ!さっさとこの鞄に金を詰めろ!」

ぽぷら「うう……」

強盗「いいか、近づいたらこのチビ女、焼き殺すからなぁ!」

ぽぷら「ち、ちびじゃないよ!」

紬(強盗!?種島さんが……!なんとかしないと!)

紬(だけど……この距離じゃ……店内にお客様もいる……)

紬(私の『能力』は使えない……!)

強盗「とっとと、しねぇか!!」

強盗は、少女の髪をひっぱりレジまで引き寄せる。

ぽぷら「う、い、痛いよ!ひっぱらないで!」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:30:53.32 ID:3OcXG69bP
強盗「ほら、はやく!」

ぽぷら「ううう……;;」

レジを開け、ぽぷらは震える手で御札を取り出していく。

強盗「ひゃっひゃっひゃっ、いいぜ。とっととそれよこしな!」

強盗は、ぽぷらの手から無理やり金を引きぬこうとしたが、

その固く握りしめられた小さな拳からは、何も奪えなかった。

ぽぷら「で、できないよ!」

ぽぷら「このお金はみんなで頑張って働いて稼いだ、汗の結晶なんだよ!」

ぽぷら「それを……それを渡すなんて絶対にできない!!」

彼女と強盗ではその紙切れの重みが違う。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:33:07.59 ID:3OcXG69bP
強盗「ちっ……労働厨が」

強盗「なら、これでも喰らってな」

強盗は、右手の手のひらに雷球を作りあげた。

ぽぷら(電気……!電撃使い 【エレクトロマスター】……!)

強盗は、能力によって生み出した半径五センチほどの球を、少女に向けて振り落とす。

拍手のように鳴る青白い球体がぽぷらを襲う。

ぽぷら「><」

バチバチバチバチ!!

閃光。

そして、白煙。

強盗(ふん、女だからって容赦すると思ったかよ)


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:38:19.18 ID:3OcXG69bP
しかし、煙が晴れ、発電系能力者の彼が見たのは意外なものだった。

強盗「なっ……!」

そこにあったのは決意を秘めた瞳でこちらを強く睨む少女の姿。

そして、その手前には、黒く焼き焦げた何かがそびえていた。

ぽぷら「……この威力、レベル3ってところかな」

強盗「手前のそいつは……『木』か」

ぽぷら「ごめんね……こんな姿にさせちゃって」

ぽぷらは自身を守った木に、慈しみの視線を送った。

店内の床に根を張り、急速に成長したポプラの木が身を呈して彼女を庇ったのだ。

ぽぷら「成長促進【グロウアップ】。これが私の能力だよ。」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:43:15.71 ID:3OcXG69bP
強盗「ちっ。だがなぁ」

強盗は、両手で十センチほどのナイフを握りしめる。

すると、ナイフが不気味に白く光りはじめ高温と閃光の剣となる。

強盗「木ごとき威力を挙げれば、なんてこたぁねぇ」

ぽぷら(確かに……この人と私では能力の相性が悪いんだよ……!)

強盗「今度は、殺すつもりでいくぜ」

青白い刃がぽぷらに切りかかる。

ぽぷら「みんな!私を守って!!」

ぽぷらは、胸の谷間から種を取り出しばら蒔いた。

先よりも大きく、電流が弾ける音が店内に響き渡った。

バリバリバリバリバリ!!

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:48:13.27 ID:3OcXG69bP
再度、白煙が辺り飲み込む。


強盗「今度は……手ごたえあったぜぇ」

ぽぷら「
……」

小規模のジャングルを思わせる木々達の半分は無残に焼け落ちている。

そして、その中心には衣服の一部を千切とられ、横たわるポプラの姿があった。

強盗「放電の威力には、すこし自信があってよぉ。残念だったな」

強盗「あっ。今の攻撃のせいで、金が幾つか燃えてやがる!!」

強盗「ちくしょう!この糞チビのせいだ!このがきがぁ!」

強盗は、ポプラの頭を踏みつけ、怒鳴った。

強盗「くそっ!くそっ!くそっ!」

ポン

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:52:31.44 ID:3OcXG69bP
強盗「あん?」

頭に何らかの違和を感じた。

振りかえると、背後に眼鏡を掛けた一人の少年が居た。その眼鏡の奥の瞳に、深い怒気を漂わせて。

強盗「な、なんだぁ!てめぇ!やんのかぁ!」

ゴス!

強盗「へぶちっ!!」

眼鏡男の右ストレートが、豪快に顔面を殴打し、強盗の歯を砕いた。

強盗「あ……あががあ……」

ぽぷら「か……かたなしくん!」

小鳥遊「先輩、大丈夫ですか!」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:54:45.94 ID:3OcXG69bP
小鳥遊「うわ……先輩、酷い怪我だ……」

ぽぷら「だ、大丈夫だよっ!けほっ……ちょっと痺れてるだけだからっ」

小鳥遊「……許さない」

強盗(はぁ……はぁ……油断したぜ)

強盗(だがなぁ、力はまだまだある。二人まとめて焼死体にしてやらぁ!!)

体内から電気を放流するイメージを組み立て、現実に適用させようとする。

強盗(くそっ……なんか上手くいかねえぞ……)

強盗(やべぇ!あの男がこっちに向かってくるぞ!)

強盗(ていうか、なんだあの男!さっきは同じ背くらいだったのに……)

強盗(いまじゃ、三メートルくらいじゃねぇか!?体型操作がやつの能力か……!?)

やがて、彼は気づく。

強盗(ち、違う!俺が、小さくなっているんだ!!)

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 20:57:48.73 ID:3OcXG69bP
矮小愛好【ミニチュア・コンプレックス】

撫でたものを撫でた分だけ小さくする小鳥遊の能力。

これにより、強盗は、六歳児ほどの背丈へと変更されていた。

小鳥遊「覚悟はいいか?」

強盗「あっ……あ……あ……」

小鳥遊がゆっくり、強盗に近づいていく。

小鳥遊「子供の姿のやつを殴るのは、気が引けるが……。中身がお前のような屑野郎なら別だ」

強盗「ひ、ひぃ!」

小鳥遊「可愛い先輩を傷つけた罪、あの世で償え!」

小鳥遊は、固めた拳を振り上げた。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:01:22.38 ID:3OcXG69bP
ジバババババババ!

小鳥遊「な、なんだ!?」

突如として謎の怪音が耳を襲う。

小鳥遊「なっなんだ!?」

ぽぷら「うごかないよー!」

小鳥遊は床に、ぽぷらは壁に吸い寄せられるかのように引きついた。

強盗「おせーぞ!こらぁ!」

「ちっ、手前が店員ごときに手間取ってるからだろろうが」

ぽぷら「……お客さんに紛れてもう一人!?」

小鳥遊「くそっ。体が全然動かない!」

「無駄だ。すでにこの店内は、俺の結界になっている」

小鳥遊「体がピッタリくっついて……この力……磁力か!?」

店の奥

紬「むぎぎぎ、動けないわ」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:04:18.02 ID:3OcXG69bP
磁力「その通り、俺の能力は磁力を強化する。」

強盗「あんま偉そうにしてんなよー!俺が電気を撒いたからこそこの威力なんだからな」

小鳥遊(放電能力によって店内に電気を満たした後、磁力強化で動きを縛る作戦……!)

ぽぷら(電撃使い 【エレクトロマスター】のコンビ!)

磁力「後は、金の場所だけ磁場を解除してゆっくり逃げればいい」

磁力(俺達の能力で、電波を乱しているんで連絡もさせねえ)

強盗「はっはっはー!俺たちはレベル3だがな。二人力を合わせればレベル6になるんだぜぇ!」

磁力「今の俺たちだったらあの忌々しいレベル5にだって勝てるだろうな」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:08:11.66 ID:3OcXG69bP
強盗「おい、お前。俺の身長を元に戻せよ」

小鳥遊「……体を動かせないと無理だ」

強盗「なぁに?そうやって逃れよってか?ざけんじゃねーぞっ!」

ガシッ!

小鳥遊「くっ!」

小鳥遊(子供の力だから全然痛くないけど)

磁力「ほっとけ、一生そのままなわけねぇ。いずれ勝手に元に戻る。」

強盗「そうかぁ?」

磁力「それに、そのまま戻らなくても若返ったと思えばいいじゃねーか。お前は童顔だしな」

強盗「それもそうかー」

磁力「それにしてもお前……小さくなったなぁ」

強盗「ちっちゃくないよ!」


90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:12:55.41 ID:3OcXG69bP
小鳥遊(くっ……このままでは逃げられてしまう!)

磁力「ふん、まぁこんなとこだろ。そろそろずらかるぞ」

強盗「おう」

二人組は、閉じられた自動ドアを電力操作によって開けた。

磁力「ちょろいもんだ……ん?」

ドアを開けると、ヘアピンをしたショートカットの少女が口に手を当て、立ちすくんでいる。

磁力「あん?この店は今、閉店中ですよっと……」

「嫌ああああああああああああああああああああああああああああ!お~と~こ!!!」

磁力「へ、ぐわっっっっっ!!!」

強盗「う、うわぁ!」

少年(強盗)が見たのは、空高く舞いあがり、再び店内に飛ばされた相棒の姿だった。

甲高い嬌声をあげた少女に十メートルほど殴り飛ばされたのだ。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:15:16.93 ID:3OcXG69bP
「あれ!?やだ、私……お客さん殴っちゃった?」

小鳥遊「伊波さん!」

ぽぷら「伊波ちゃん!」

伊波「あ、小鳥遊くんと種島さん。遅れてごめんなさい!でも、なんでそんなところで寝転がってるの……?」

小鳥遊「好きでこうしてるわけじゃないですよ!強盗に襲われたんですよ!」

伊波「ご、強盗!?」

ぽぷら「伊波ちゃん!その男の子も強盗の一人だよ!捕まえて!」

伊波「えっ!?」

強盗(こ、この女やばい!なんとか誤魔化さないと……)

強盗「ぼ、僕は違うよ。お母さんとはぐれちゃっただけだよぉ」

ぽぷら「あ、ずるい!伊波ちゃん、騙されちゃだめー!」

伊波「え……でも私、捕まえるのなんて無理だよ!」

強盗(よし!作戦成功!)

伊波「殴り殺すのはできるけど……」

強盗「えっ!?」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:17:25.95 ID:3OcXG69bP
小鳥遊「じゃあ、それでいいです」

ポン!

強盗「うおっ!体が元に戻った!」

伊波「や、やああああああああああああああ!!」

強盗「へっ?」

バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!
バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!
バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!
バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!
バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!
バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!

強盗「あぎゃああああああああああああああああああ!!」


ぽぷら「すごいねぇ。伊波ちゃんの筋力増強【パワー・アップ】」

小鳥遊「毎回、受け止めてる俺の身にもなってください」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:20:40.99 ID:3OcXG69bP
ぽぷら「伊波ちゃん!もうそろそろやめてあげて!死んじゃうよ!」

伊波「はっ!わたし!」

強盗「」

小鳥遊「うわ……ちょっとやりすぎですよ、伊波さん」

伊波「だ、だって……ビックリしたんだもん!」

ぽぷら「なんだかちょっと可哀想だねぇ」

小鳥遊「まぁ自業自得ってやつですよ」

小鳥遊「そしてもう一人不幸なやつが奥に……」



磁力「ぐぇ……はぁ……はぁ……な、なんだあの女の馬鹿力は……」

紬「こんにちわ~」

磁力「え?」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:23:50.36 ID:3OcXG69bP
磁力「そ、その眉毛……!まさか常盤台の「元」エース、液体還し(リクエド・リバース)!?生きてやがったのか!?」

紬「うふふふふ」

磁力「や、やべてください!!許じてくだ……あっ!ふ、服が溶けて……」

紬「ゲル状がいいの~」

磁力「やめ……あっあっ……」

服と皮膚の一部が液体と個体の中間に変貌していく。

磁力「あっ……(声がだ……せねぇ……)」

紬「むぎゃあはっはっはっはっははっはははははは!溶けろ!溶けろ!溶けろ!!」

磁力「…………………………」

佐藤「琴吹、その辺にしとけ」

紬「
はっ……そ、そうね。佐藤君。あの、もうこんなことしないって約束しますか?」

頷けば、そのまま頭がどろりと落ちてしまいそうなので彼は必死の形相で哀願した。

紬「
一件落着ね~♪」

佐藤(こいつは怒らせないほうがいいな……)

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:27:09.56 ID:3OcXG69bP
イン(なんだか騒がしい店なんだよ!物を食べてるときは静かにして欲しいんだよ!)





電撃使い(放電担当)……全身複雑骨折のため三か月入院。

電撃使い(磁力強化)……服を全部溶かされてしまい全裸で投降。

ぽぷら・伊波・小鳥遊・紬……通常業務に戻る。

インデックス……無銭飲食がばれ、しばらくワグナリアでバイトすることに。


To Be Continued!


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 21:34:39.98 ID:3OcXG69bP
とある軽音部の能力紹介 編 おわり



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 22:21:02.39 ID:3OcXG69bP
≪中野邸≫

梓(なになに……発火能力(パイロキネシス) が身に着くかも知れない蝋燭?)

梓(カートに入れる)ポチッ

梓(脳を活性化させる十二の栄養素が入った能力上昇パン? )

梓(カートに入れる)ポチッ

梓(高位能力者の爪の垢入りサプリメント?)

梓(カートに入れる)ポチッ



梓「はぁ~あ、お金がいくらあっても足りないや」


自分の部屋でネットショッピングをしていた梓は、空手の両手を見ながら呟く。

梓「能力……欲しいな……」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 22:23:15.44 ID:3OcXG69bP
梓「ん……なんだろうこれ」

梓は、画面に映し出された猫のアイコンに目を引かれた。

梓「ストレイ・キャッツ……?低能力者向けの能力開発セミナーへのお誘いだって」


猫達といっしょに楽しく能力開発してみませんか?

今なら説明会参加者全員に肉球ストラップをプレゼント中です!

日時・○月△日 場所・学園都市第七学区 ○×ビル1F



梓「……行ってみようかなぁ」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 22:25:24.35 ID:3OcXG69bP
後日、梓は学園都市第七学区、某所へときていた。廃れきった場所だった。

梓「場所は……ここらへんのはずなんだけど。こんなところに本当にあるのだろうか……」

地図から顔をあげ、ふと前方を向くと、女の子が同じく一人で歩いている。

梓「ちょっと……聞いてみようかな」

テクテク

梓「あ、あのぅ!」

「……」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 22:27:42.47 ID:3OcXG69bP
梓(無視されたっ!?)

一瞬、梓は悲しい気持ちになったが、よく見ると様子が違うようだ。

梓(あ、音楽を聴いているのか)

後ろからだと伸ばした髪の毛に隠れて見えなかったが、彼女はイヤホンをしていたのだ。

梓(何、聴いてるんだろう?)

梓は、一音楽好きの興味からこっそりとプレイリストを覗き見る。

梓(あ、このグループ私も好き!この人センスいいかも!)

「……ん?な、なんですかっ」

梓「あ、す、すいません///」

梓「あの……○×ビルってどこにあるんでしょうか?」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 22:30:29.94 ID:3OcXG69bP
「偶然ですねー。私もそこに行こうと思ってたところなんです」

梓「え!じゃ、じゃあ、貴方もセミナーに?」

「あ、はい。一応。よければ一緒に行きましょうかー」

梓「あ、はい。お願いします!」

佐天「あ、私、佐天涙子っていいまーす!よろしくー!」

梓「中野梓です!こちらこそよろしくです」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 22:32:39.42 ID:3OcXG69bP
佐天「よかったー。一人じゃなんだか心細かったんですよ」

梓「私もです!」

佐天「あはは~。よかった中野さんに会えて」

二人が雑談しながら道を歩いていると、一台の車が横を通り過ぎた。

そして、二人の目的地のビルの前で止まり、中からレストランの制服を着た青色の髪の少女が降りてきた。

「さ~と~う、送ってくれてありがとうなんだよ~」

佐藤「ああ、お前も頑張ってこいよ」

梓「あ、あの子も」

佐天「そうなのかな?」

イン「ん?なに~君たちも今日のお勉強会にでるの?」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:08:44.96 ID:3OcXG69bP
イン「私は、インデックスって言うんだよ!ワグナリアってところでバイトしてるんだよ」

佐天「あ!行ったことありますよ」

梓「私もありますー」

イン「そう?じゃあ今度、また来て欲しいんだよ!私が、ご飯運んであげるから!」

インデックスは、笑顔で続ける。しかし、その目は真剣さを宿している。

イン「それでね~。働いてるとなんだか自分のいたらないところがよくわかってね~」

イン「これじゃあ駄目だって、落ち込むこともあるんだよ」

イン「それでね、私の周りのみんなは、すごいな~って思うんだよ」

佐天「あーなんだか……わかるかもっ」

佐天(御坂さんや白井さんと接しているとたまに感じる……比べても意味ないってわかってても)

梓「わ、わたしもです!」

梓(私も……周りの人がすごすぎて、私は本当にここにいていいのかなって思うときがある)

イン「だから今日の勉強会を頑張ってさらにパワーアップするんだよ!」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:17:40.35 ID:3OcXG69bP
佐天「変だね……。なんで誰もこないんだろう」

梓「まさか受講者、私達だけ三人とか?」

イン「貸し切りなんだよ~」

梓「にしてもおかしいですね。だれか説明してくる会のかたがきてくれてもいいのに」

その時、突然、扉が開き、猫背の男が現れた。

「どうも遅れちゃって、すいません」

「おや!なんと三人もお客さんが来てる!感激ですねー!」

男は、背中をさらに丸めながら、まくし立てる。

猫背「私が、ストレイ・キャッツ代表の高木と申します!いや名前なんてどうでもいい」

猫背「道行く野良猫を見てごらんなさい、彼らは名前などなくても人生を謳歌しているのです!」

猫背「私達はいまこそ、彼らを見習うべきなのです!」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:19:49.13 ID:3OcXG69bP
猫背「ああ、気がきかなくてすいません。今、飲み物を」

猫背の男は、牛乳を取り出し、それを皿に満たし配った。

梓(こ、これをペロペロしろと?)

佐天(ね、猫じゃないんだからっ!)

イン(なんだか、この人怖いんだよ)

佐天「あの……。私達、能力が身につくって聞いてきたんですけど……」

猫背「ん……?ああ、能力。うん、能力ね。はいはい、そうでした」

後ろに置いてあった段ボールを持ちあげた男は言った。

猫背「では、いまから皆さんに、特別品をおくばりします!」

佐天「な、何これ……」

梓「うわぁ!」

彼女達の前にだされたのは、猫耳のカチューシャとしっぽ付きバンドだった。

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:21:57.61 ID:3OcXG69bP
しぶしぶ、三人は、猫耳としっぽをつける。

佐天「うう……結構恥ずかしい」

梓「佐天さん、よく似合ってますよ」

佐天「あ、ありがとう。中野さんもよくお似合ですよ~」

イン「へへ~。スフィンクスといっしょなんだよー」


猫背「よろしい!では私が言ったことを復唱してください!」

猫背「んでんでんでー!」


佐天(はぁ?)ポカーン

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:24:07.10 ID:3OcXG69bP
イン「んでんでんでー!」

梓「んでんでんでー……」

佐天「んで……んでんで……」



猫背「構って構って欲しいのー!」

イン「かまってかまってほしいのー!」

梓「かまってかまってほしいのー」

佐天「かまってかまってほしいの……」

佐天(やべぇ……ここ。来るとこ間違えたかな……)

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:26:22.03 ID:3OcXG69bP
十分後

イン「いい子じゃない~」

梓「と~きのわたし」

佐天「可愛いとかってありえな~い!」

イン「それそれそれ!」

梓「LOVE~」

イン「もらってもらってください」

佐天「非常事態が日常です~!」

梓「好きって言ったらTHE ENDにゃ」

佐天「にゃあ!」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:28:43.79 ID:3OcXG69bP
          __/ ̄/_       迷 い 猫    ___「 ̄| | ̄:!
         /_   _/___┌┬┬n___ l___l─┘|   !
        _ノ /  /  /___/| l| |┴|__||__ ├─┘  l
       /_,ノ_/       [_八_]         |__|____,〉
                          _
        __    _        /フ´ ⌒ヾ\          [l{≫=≪}!
      [>´  「:ンr<ム      t:く.〈〈! リNソハ_rァ         刃'⌒ `゙マ
     /巛Nル|-イ爪ビ      \>|!|゚ο゚|iK/       (ム/ iハルlrァ
    └|N!゚- ゚ム|†|ハ†〉_     ,八げ丞!け )ヽ       _,リiW゚ -゚リウ
      (\レ<⌒゙∨ lレ' て_     (( ノく∩_,」>レソ    ーz '/,/にエィ「、
     `ljサΖ厂>、  _))       []┤        '乏_<ム_,>リノ)
         ヒl ̄`<ユ         └'          ∠>'  Z〉



イン「おーーーーほっほほほほ!下僕達、私を梅ノ森千世様とお呼び!」

梓「にゃあ。お腹減った」

佐天「二回死ね!!」


猫背(純真な少女達には、よく効くなあ……俺の洗脳術【マインドコントロール】)

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:30:56.53 ID:3OcXG69bP
≪唯の家≫

唯「あーーーー!暇だな~」

唯は、居間で一人、伸びをしながら叫んだ。

唯「なにか面白いことないかなー」

唯「そうだ!あずにゃんにメールでもしてみよう」


From 唯

あずにゃん☆☆今、何してるの?

暇ならどこか遊びに行こうよ(* ´` *)


唯「送信っと」ピッ


………

唯「返ってこない……」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:34:33.92 ID:3OcXG69bP


唯「家のほうに電話してみようかな?」

ツーツーツー

唯「でない……」

唯「憂は今日もジャッジメントのお手伝いだし……純ちゃんは田舎に帰ってるっていったなぁ」

唯「あずにゃんってそれ以外に友達いないし……」

唯「ま、まさか失踪!?」

唯「あわわ……こりゃ大変だよぉ!」


唯は震える手で、電話のボタンを押す。


唯「もしもし!」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/02(金) 23:36:43.57 ID:3OcXG69bP
≪りつみおの館≫

律「貴方は、ずばり!このまま楽しく過ごせたらなーって思ってますね?」

「そうだね!当たってる。結局、人生に暑苦しい努力とか不要な訳よ」

律「ええ、そうですね、同感です。ただ……近々、人生を揺るがす重大な決断に迫られるときがありそうです」

「えっ!気になるんだけど」

律「では、名前と血液型と生年月日を書いて、こちらの澪まで」

律「ん……」ブルブルブルブル

律(唯からか……なんだろ……)

律「ちょっと失礼」

律は、ベレー帽の金髪碧眼の女子高生と彼女を占う澪を残し、外に出た。

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 00:10:03.05 ID:UpXnzn8NP [2/31]

律「もしもし、なんだ?今、仕事中だぞ」

唯「あ、律っちゃん!あのね……あずにゃんがね!」

・・・・・・

律「はぁ……?どっか出かけてるだけじゃねーの。ほっとけよ」

唯「そんなっ!こうしてる間にもあずにゃんが凌辱されてるかも知れないんだよ!あずにゃんはレベル0なんだよ!」

律「んな、馬鹿な」

唯「はやく!律っちゃんの能力なら探せるでしょ!!」

律「わかったよ、いったん切るぞ。しばらく待ってろ」

律「はぁ……まったく唯は心配性だな」

律「えーっと、梓の写真はっと……」

律「あったあった……」

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 00:13:47.07 ID:UpXnzn8NP [3/31]
律「はっ!」

律は両目を閉じ、意識を統一させた。すると、その前髪をあげた額に、燃えるような真紅の色の瞳が浮かびあがる。

律(ここは……使われてないビルか……)

律(他にも女の子が二人いるぞ……?)

律(な、梓なにやってんだ!!)

律(や、やめろ!そんな恥ずかしいこと!!)///

律(この男がやらせてるのか……!こいつはやばい!)

律の能力、第三の眼【サード・アイ】は、眼に関する力を備えている。

開眼したその眼は、予見、読心、透視、監視etcを状況に応じて使い分けることが可能。

その基本能力の高さからレベル4の判定を受けている。

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 00:15:59.00 ID:UpXnzn8NP [4/31]
律「はやく助けに行かないと……」

律「だが……『眼』に何か凶兆めいたものを感じる……」

「ねぇー結局、この詩どういう意味な訳よ?特に最後の『宝物と離ればれ』ってところ」

澪「ご、ごめんさい……私にもそれはわからなくて」

律「お客さん、それは自分で考えるのがうちの楽しみの一つなんだよ(嘘)、用がすんだらお代置いて帰ってね」

「なにそれー!」

不満顔のベレー帽女を無理やり追い返し、律は澪のほうを向き直り、言った。

律「澪、私を占え」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 00:18:39.59 ID:UpXnzn8NP [5/31]
澪「う、うん。わかった」

澪の左手が光り出し、恋する預言者【スイート・フューチャー】が律の未来を詩っていく。

律(私の能力は……『予感』程度だが、澪の能力は『予知』だ……念には念をいれておいて間違いはない)

澪「できた」

律「ああ、さんきゅ」

────────────────────────

猫達の王国は、迷いがいっぱい

右もにゃあ 左もにゃあ 貴方も私もにゃあにゃあにゃあ

向かうなら一人がいい お気に入りのCD1枚もって

そうすれば、きっと天使に出会えるから

────────────────────────

律「相変わらず意味解らん!」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 00:21:01.51 ID:UpXnzn8NP [6/31]
律(だが、まぁ、こっちは伊達に幼少期から澪の詩を読みこんでない。解読してやる!)

律(まず一行目だ。猫の王国……何かの隠語か……?だがよくわからんので無視だ)

律(二行目……これも無視)

律(最後……天使……?私、死ぬってことか!?と、とりあえず無視だ)

律(となると……解るのは三行目だけか。私、単身で乗り込めって事だよなぁ……)

律「とりあえず……唯に連絡するか」

プープープー

律「あれ……電話中だ……待ってろって言ったのに!もう一回」

唯「あ、律っちゃん!ごめん、憂にも連絡してた」

律「いいよ。それより梓の居場所がわかったぞ!」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 00:23:10.45 ID:UpXnzn8NP [7/31]
唯「えっ!本当!?」

律「ああ、○×ビルだ。お前の言う通りかなーり大変なことになっている」

唯「や、やっぱり!はやく助けに行こうよ!」

律「待て!行くのは私一人だけだ。唯は手前のビルで待機してろ」

律(どんなに意味不明でも……澪の詩は絶対だ。感じ取れるものは実行しておかないと)

唯「えーー!!なんでーー!!」

律「澪の占いでそうでたんだよ!わかったらさっさと準備しろ!」

唯「澪ちゃんの……はぁーい、わかったよ……じゃあ律ちゃん、あずにゃんを頼むね!」ガチャ

律「いくぞ、澪」

澪「えっ、ど、どこに?ちょ、ちょっと律!」

律は澪の手を引き、駆けだした。

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 00:27:40.88 ID:UpXnzn8NP [8/31]

≪ジャッジメント第一七七支部≫

憂「……あれ、お姉ちゃんから電話だ」

憂「初春さん、ここ電話出ても大丈夫ですか?」

初春「ええ、大丈夫ですよ~」

憂「はい、じゃあ失礼して……」ピッ

憂「なにお姉ちゃん、どうしたの?うん、うん、落ち着いて!」

憂「うん、梓ちゃんが!?うん、それで……えっ!そ、そんなことに!た、大変!」

憂「うん!場所がわかったらすぐに連絡するね!」

初春「どうしたんですか?」

憂「あ、あの!友達が誘拐されたみたいで!」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 00:37:07.74 ID:UpXnzn8NP [9/31]
初春「ええ!誘拐!」

憂「は、はい。それでどこかに監禁されてるらしくって」

初春「た、大変です!はやくなんとかしないと!」

憂「お願いします!」

初春「私は、ここ最近の監視カメラの映像を洗ってみます!」

憂「私もやります!」

初春と憂は、学園都市のいたるところに取り付けられた監視カメラの映像を確認していく。

初春「あっ!!」

何かを見つけた初春が叫んだ。


140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 00:39:40.01 ID:UpXnzn8NP [10/31]
美琴(暇だからジャッジメントきちゃった……黒子居るかな)

美琴(あの占いのことが頭から離れなくて何も手に着かないんだもん……)

美琴(佐天さんには連絡通じないし……)

美琴「どうもーこんにちわー」

ドア「ガチャ」

黒子「あら!御姉さま!黒子に会いに来てくださいましたの!」

美琴「ち、違うわよ!!ばか!」

黒子「まぁ~まぁ~御姉さま。紅茶でも飲んでゆっくりなさってくださいまし」

黒子「今、黒子はとある変態の事情聴取をしているので」

美琴「あーもうそんな季節かー」

美琴は、季節の風物詩の顔を拝んでやろうと仕切りの奥に目を向けた。

そこに居たのは。

美琴「あ、あ、あ、あ、あ、あんたは!!!!!」

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 01:01:09.29 ID:UpXnzn8NP [11/31]
上条「あ!ビリビリ!」

美琴「な、なんであんたがここにいるのよ!!」

上条「違うんだ!誤解なんだ!聞いてくれ!」

黒子「なにが誤解だったいうんですの!この不審者!」

上条「だ、だから……俺はインデックスが初めてバイトするっていうから心配で見に行っただけなんだって」

黒子「じゃあ普通に行けばいいですの!なんでお店の前をウロウロ覗き見るように見まわっていたんですの!」

上条「だ、だって……『とーまは、きちゃダメなんだよ!』って言われたから……」ショボン

黒子(危ねーやつですの)

美琴(なによ……こいつ!私がこんな苦しんでるっていうのに、他の女の心配!?)

その時、奥から初春の短い叫びが聴こえた。

黒子「初春?どうしましたの?」

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 01:04:06.58 ID:UpXnzn8NP [12/31]
またさるおうふ

憂「そうです!これが梓ちゃんです!」

初春「さ、佐天さんもいっしょにいます!」

上条「インデックスもいるぞ!?」

黒子「いったい、どうしたっていうんですの?」

憂が、事情をかいつまんで説明する。

黒子「はぁ……しかし、これを見るに誘拐というふうには思えませんが」

上条「うぉおおおおお!!インデックス!!いま助けに行くぞ!!!!」

美琴「確かに……でも、ことが本当だったら大変よ」

黒子「ふむ……では、とりあえず私と御姉さまで現場に向かってみましょうか」

美琴「そうね」

上条「俺もいくぜ!!」

黒子「ちっ(断ってもどうせついてくるんですの)。勝手になさいな。初春と平沢さんはバックアップをお願いしますの」

初春・憂「はい!!」

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[さるよけください] 投稿日:2010/07/03(土) 01:06:15.28 ID:UpXnzn8NP [13/31]
佐天「泣かないおーんなの子♪」

イン・梓「優しすぎるおーとこの子♪」

イン「ごめん」 梓「ごめん」 佐天「ごめんねっ」

イン・梓・佐天「ダイスキなのに~~~♪」

猫背「大好きなのに~~~~」

イン・梓・佐天「イ~チャラブがいい!それが~いいの!」

イン「ウソはホント ウソよ」

梓・佐天「ダイキライ~♪」

佐天「どうすればいいの?」

梓「どうしたら恋になる~の~~~?」

イン・梓・佐天「いまもずっと 憶えているよ♪」

イン「あの日」 梓「キミが」 佐天「言った」

イン・梓・佐天「言葉は!」

「やわらかい場所を 引っ掻いた~」

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 01:10:10.79 ID:UpXnzn8NP [14/31]
≪○×ビル前≫

上条「はぁ……はぁ……インデックス」

黒子「テレポートとほぼ同時の走力ってどういうことですの……」

律「ん?なんだあんたら」

美琴「あ!!いつかの占い師!!」

律「ああ、よく見ればいつかのビリビリお嬢ちゃん」

黒子「お知り合いですの?」

美琴「ま、まぁちょっとね。それよりここから変な歌が聴こえるわ!」

律(こいつらは、あの二人の女の子の知り合いなのか)

黒子「突撃ですのー!!」

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[さるけよさんくす] 投稿日:2010/07/03(土) 01:26:30.96 ID:UpXnzn8NP [15/31]
律「梓!」

美琴「佐天さん!」

上条「インデックス!」

猫背「う、うわぁ!なんだ!?」


律「梓、大丈夫か!?」

梓「にゃあ」

律「と、とりあえず服を着ろ!梓!」

梓「にゃあ?別に構わない」

律「
こっちが構うんだよぉ!ほらっ」

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 01:28:41.85 ID:UpXnzn8NP [16/31]
上条「インデックス!助けに来たぞ!」

イン「ん?なによ!あんた!!」

上条「インデックス……!俺だよ!とーまだよ!」

イン「はぁ?私は、梅ノ森よ!なんだかよくわからないけど下僕にしてあげるわ!」

上条「げ、下僕?」

イン「下僕のしるしよ!味わいなさい!」

上条「うわあ!ふ、踏むなぁあああ」

ぐしゃぐしゃふみふみ

上条「あへっ!!あへへっへっへっへへへ!!」

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 01:30:52.00 ID:UpXnzn8NP [17/31]
美琴「佐天さん、助けに……」

佐天「はぁ?だ、誰が助けてなんていったのよ!」

美琴「なっ!なによその態度!」

佐天「ふん!ばっかじゃないの!ただのお節介なのよ!あんたは!」

美琴「な、な、こっちだって別に助けに来たわけじゃないのよ!」

佐天「なによ!!」

美琴「なによ!!」

佐天「うぐぐ……」

美琴「うぐぐ……」


佐天・美琴「二回死ね!!

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 01:33:11.97 ID:UpXnzn8NP [18/31]
黒子「いったいなにが起っているのやら……」

猫背(な、なんだ突然こいつら!あの腕章……ジャッジメント!)

猫背(くそ……計画が漏れたのか!?)

黒子「ん、ああ、そこの猫背の男、止まりなさい!」

猫背(かくなる上は……)

黒子「あなたを未成年者誘拐の疑いで拘束しますの!」

猫背「これだっ!」

猫背の男は、天井の紐をひっぱる。

すると部屋を仕切っていた布の壁が剥がされ、奥から巨大なスピーカーが登場した。

黒子「まずい!キャパシティダウン !?」

黒子の脳裏に、煮え湯を飲まされた音響兵器がよぎる。

猫背の男は、再生ボタンに手をかけた。

黒子「押させないですの!」

猫背「いいや!『限界』だッ!押すねッ!」

テレポートより一瞬早く、猫背の指が三角を捉えた。

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 01:36:45.69 ID:UpXnzn8NP [19/31]
♪「http://www.youtube.com/watch?v=Dv-DzNoR75g」

黒子「な、なんですの!これ」




●      んでっ!んでっ!んでっ! (にゃあ)にゃ~んでっ! かまって かまって 欲しいの~
┠~~~┐ イイ子じゃない時のワタシ~ カワイイとかって ありえな~い
┃  ●  ∫  ソレ!ソレ!ソレ!(にゃお)LOVE! もらって もらって ください~
┠~~~┘   非常事態が にっちじょうです~ 好きって言ったらっ ジ・エンドにゃん!
┃          わがまま、そのまま、 ねこまんま~ 上から目っ線のてんこ盛り~
┃           三毛ブチ~ トラシロ~(早くしろ!) ウェルカム 猫招き~
┃            調子にのっちゃだめ~ にゃんたら優しすぎるの、ダ・イ・キ・ラ・イ~(みゃ~ん)
┃             はっぴぃ にゅう にゃあ~ は~じめまして~
┃              キミにっ あげるっ さっいしょの オーバーラーーン!
┃               逃げるから~ 追い掛けて~ まぁるいせか~い~
┃                ラ~~ッキー ニュ~ フェ~イス
┃                 ち~~っかづいてる~ わたしだけ見つけなさい~
┃                  拾いたいなら 拾えば~~~~~~いーじゃん!

黒子「く……頭が……わたく……しは……白井……いや鈴木……?あれ……ですの?」

黒子「にゃあ!」

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 01:41:27.03 ID:UpXnzn8NP [20/31]
猫背「にゃははははははっ!!音を媒体にした強制暗示だ!」

猫背「何人たりともこの曲を聴いた奴は、猫になってしまう!!」

猫背「このスピーカーは俺の能力の増幅装置ってわけだ!!」

黒子「にゃあ!」

梓「にゃあ?」

美琴「にゃあ!にゃあ!にゃあ!」

佐天「にゃあー」

イン「にゃあ!にゃーー!!」

猫背「この力で世界中の人間を猫にする!非常事態が日常だ!!」

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:16:34.14 ID:UpXnzn8NP [21/31]
上条「な、なんなんだよ!これ!」

美琴「にゃあ!にゃあ!」

上条「うっわ!ビリビリやめろ!」

美琴「にゃあ~~にゃあにゃあにゃあ♪」

上条「やめろ!乗るな!なめるな!」

美琴「にゃあにゃあにゃあ♪」ベロベロベロベロベロ

上条「ぅぅぅ……らめぇ……」

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:19:03.66 ID:UpXnzn8NP [22/31]
上条「~~~~~~~~!」

上条の右手が美琴の頭に触れる。

美琴「ベロベロベロベロベロ ん?」

上条「おぇ……」

美琴「な、な、な!!!////////////」

♪はっぴぃ にゅう にゃあ~

美琴「にゃあ!」

幻想殺しにより一瞬正気に戻ったが、爆音で鳴り響く曲によりすぐにまた洗脳されてしまった。

美琴「にゃあ~にゃあ~にゃあ~♪」

律「おら!しっしっ!大丈夫か、あんた?」

美琴「にゃあー!!」シャー

上条「うう……穢された……不幸だ」

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:22:26.79 ID:UpXnzn8NP [23/31]
猫背「な、なんでお前達には洗脳が効かないんだ!」

律「私には洗脳の類は効かない。第三の眼【サード・アイ】は、常に真実を見抜くから」

上条「幻想殺し【イマジンブレイカー】を舐めるなよ!」

猫背「くっ……!か、体が動かないし!」

律「第三の眼で『睨み』を利かせた。しばらく自由は貰うぜ」

上条「インデックスを玩具にした罪と俺の純潔を奪った罪!きっちり落とし前付けさせてもらうぜ」

猫背「くそがぁぁぁ!!!俺の迷い猫【ストレイ・キャッツ】計画がッ!!!」

律・上条「そのふざけた幻想をぶち殺す!!」

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:25:56.62 ID:UpXnzn8NP [24/31]
猫背「」

律「これで洗脳も解けるはず……」

黒子「にゃあ?」

律「って解けてねーし!」

上条「こいつの能力が止まっても、洗脳が続くってことは……歌自体が魔力を持ち始めたのか!?」

律「はぁ?」

上条「音楽と魔力ってのは相性がいいんだ。組み合わさればさらに容易に人の精神に取り込む」

上条「このままだと、他で流れてるこの曲を聴いた全世界の人間に猫化が感染するかも知れないぞ!」

律「恐ろしい曲だな、おい」

上条「はやく、これを止めないと……くそっ停止ボタンじゃ止まらない!」

律「このスピーカー自体をぶっ壊すか?」

上条「ああ……随分頑丈そうだが……そうするしかなさそうだな」

二人は、なにか武器になりそうなものを探し、部屋を見回した。

そこで律が気付く。

律「あれ?あの猫背と梓はどこ行った?」

175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:29:35.90 ID:UpXnzn8NP [25/31]
猫背(はぁ……はぁ。まさか能力が効かないやつがいるとはな……)

猫背(だが……やはりあの曲と俺の能力の相性は、ばっちりだということがわかった!)

猫背(次はもっと規模の大きいネットワークを利用して……とりあえず、ここは逃げのびる……!)

猫背は屋上へ逃げ出していた。管から管へと渡り、となりのビルに逃げるつもりだった。
しかし、次に彼のぎょろりとした猫目はとんでもない光景を見た。

「にゃあ?」

猫背「あ、危ないぞ!!降りろ!!」

ビルの貯水タンクの真ん中に裸の少女が寝そべっていた。
正確には、髪結びと猫耳と尻尾バンド以外なにも見につけていない少女が。

梓「にゃあ~」

下は、五階下の地上だ。いくら猫になったといってもこの高さからでは無事ではすまないだろう。

猫背「ほ、ほら!またたび!危ないからこっちに来るんだ!そーっとそーっと……」

梓「にゃあ!」

尻尾のある女の子には、命令しても無駄だ。
梓は、猫背と反対側の方向へ飛び降りた。

猫背「う、うわあっ!」

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:34:57.39 ID:UpXnzn8NP [26/31]
私、なにやって……。

自由が利かない……浮いてるような……いや落ちている?

ま、どっちでもいいや……。なんだかとっても気持ちよかった……。あの変な歌が耳にこびり付いて離れなくて……。

食べることと寝ることとオシャレすること以外は何も考えられなくなって……。

今も……ほら、うるさいくらいに鳴り響いて……。あれ……曲が変わった……?

なんだろう……このイントロ知ってる。なんだかとっても懐かしいような……。なんだっけ……これ……。

思 い 出 し た !


『ふわふわ時間』!!


開いた目に、アスファルトの地面が迫る。

梓は、叫ぶ。


「まだ死にたくない!!」


177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:38:35.13 ID:UpXnzn8NP [27/31]
梓「><」

梓「><」……

梓「><」……?

梓「・<」ソー

梓「・・」!!

墜落の衝撃はいくら待ってもやってこなかった。

代わりに、優しくて懐かしい匂いがする。

唯「あずにゃん……大丈夫?」

梓「ゆ、唯先輩……」

梓は、唯の腕の中に抱かれていた。

唯の背中には天使を想わせる純白の翼を広がっていた。

179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:42:09.36 ID:UpXnzn8NP [28/31]
唯「向かいのビルでムギちゃんと澪ちゃんで張ってたらね。あずにゃんが裸で飛び出してきて、急に飛び降りるんだもん。ビックリしちゃったよ」

梓「あ……」

梓は、自分が裸でいることに気付き、顔を赤らめた。

唯は、微笑む。

それにしても……綺麗な翼だ……と梓は思った。

梓「唯先輩は天使だったんですかー」

唯「ああ、これ?あずにゃんを助けようとしたらなんか生えてきたよ。私の能力、唯我独尊【ナルシシズム】が作動したんだね」

彼女の望んだ彼女の理想像は、全て実像となる。唯は、梓を救うための翼を想い描き、空想のそれは具現化した。

梓「もう少しだけこうしててください……」

天使の腕の中から見下ろす学園都市。

繰り返すふわふわ時間が、自分達を祝福しているようだった。

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:44:28.37 ID:UpXnzn8NP [29/31]
律「持ってきててよかったよ、ふわふわ時間」

律「次のCDをセットすることでリピートを止めることが出来た……」

黒子「ん~いったい私は何を……」

美琴「なんだかとんでもないことをしたような記憶が……」

佐天「あれ?白井さんと御坂さん、こんなとこで何やってるんですかー?」

律「ああ、レベル5のお嬢ちゃん。このスピーカーぶっ壊しといて」

美琴「ん?いいけど」

イン「なんだかとってもお腹が減ったんだよ!」

上条「よーし!上条さんが特製料理を作ってあげますよ!」

佐天「あー私もお腹ぺこぺこ!初春も呼んでみんなでご飯食べに行きましょうよ!」

黒子「いいですわね。はて……けどなにか忘れているような……ま、いっか」

誰かが誰ともなしに呟く。


「さぁ、帰ろうよ」

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 11:48:33.25 ID:UpXnzn8NP [30/31]
「俺に世界転覆を狙う悪役なんて器じゃなかったんだ……」

打ち萎れる男の手を一匹の野良猫が舐める。いつのまにか、男は猫達に囲まれていることに気付いた。

「……」



学園都市、新名所「猫ビル」

沢山の野良猫と猫のような男が暮らしている。「猫ビルはどこですか?」と尋ねて、相手が猫好きだったら連れていってもらえる。



To Be Continued!

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/03(土) 12:24:45.97 ID:UpXnzn8NP [31/31]
おわり 保守してくれた人あざーすでした
間に合えば続き書きたいけどもう無理ぽそう
途中まででも読んでくれた人ありがとうございました><


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