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黒子「半額弁当ですの!」第5章
252 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga] 投稿日:2010/06/07(月) 22:27:15.12 ID:D8RmmnAo [1/7]
御坂美琴は夜の街を歩く。
疲労で動かない足をひきずり、纏まらない思考で演算も出来ず、何の力もない無能力者のように這いずっていた。
全身を襲う痛みから意識を逸らすように、御坂美琴はただ思う。
初めは好奇心だった。
好奇心から立ち寄った、寮の近くのスーパー。
そこは箱庭育ちのお嬢様にとって、見たことも無い異界だった。
そこで彼女は半額弁当、そして《狼》と出逢う。
好奇心から立ち寄ったスーパー。
好奇心から手を伸ばした半額弁当。
ネ コ
そして好奇心は、容易く『超能力者』を殺す。
気付けば彼女は宙を舞っていた。
能力を使えば容易く得られる浮遊感を、彼女は暴力により得ていた。
それが彼女の、初めての敗北の記憶。
スーパーにおいては無敵のレベル5すら赤子同然に扱う《狼》達に惹かれ、彼女はこの世界に足を踏み入れたのだ。
253 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 22:30:42.45 ID:D8RmmnAo [2/7]
そんな彼女を導いたのこそ、彼女の友人である佐天涙子――《幻想創造》だった。
佐天は美琴に知識を与え、技を授け、誇りを説いた。
美琴はそれを吸収し、理解し、身につけた。
彼女が二つ名持ちになるまで、時間はそうかからなかった。
半額弁当争奪戦は楽しかった。
毎夜訪れる《半値印証時刻》が、彼女の生きがいだった。
超能力者である彼女にとって、
すでに『辿り着いてしまった』彼女にとって、
まだ見えぬ《狼》の頂は目指さずにはいられないものだった。
だから、学園都市を統一するという佐天の言葉は、彼女にとって福音であり、そして宣託だ。
《幻想創造》の命ずるがままに東の《狼》達に挑み、倒し、奪う。
それは争奪戦であり、争奪戦では無かった。
彼女が求めた、
彼女が愛した争奪戦では無かったのだ。
美琴は悔み、嘆いた。
しかし気付けば、己が作り上げた流れは、止めることの出来ない瀑布となって戦争へと流れ落ちていく。
254 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 22:35:24.68 ID:D8RmmnAo [3/7]
だから、贖罪だったのだ。
この一戦……
セブンス・マートにおける決戦は、彼女なりの懺悔だった。
《幻想殺し》に打ち破られ、その後佐天を倒すよう焚きつける事こそ、自分の使命だと思っていた。
だが、《幻想創造》はそんな簡単な幻想を生み出すことを許さなかった。
美琴「だから、黒子を煽った」
ジャッジメント
裁いて欲しかったのだ。己を、 審判員 である彼女に。
そして、目的は果たされた。
果たされた、はずなのに。
美琴「なんで私は、こうも未練がましくあの子の元へ向かっているのかしらね」
255 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 22:38:55.55 ID:D8RmmnAo [4/7]
震える足を前へ、前へ。
走ることすらままならず、彼女はただ歩き続ける。
こうして歩くことに何の意味があるだろう。
こうして向かうことで得るものとはなんだろう。
分からない。
行ってもいいのだろうか。
あの子の元へ、駆けつけてもいいのだろうか。
私は未だ――
結標「《狼》と名乗って、いいのだろうか? って所かしら?」
美琴「!?」
朦朧とした視界に映ったのは、肩からブレザーを羽織り、サラシを巻いた少女。
結標淡希。
結標「気に入らないわね。この私に勝っておいて、元々負けるつもりだったって言うの?」
256 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 22:43:35.06 ID:D8RmmnAo [5/7]
どうやら思考は呟きとして漏れていたらしい。
不機嫌そうな彼女の台詞に、美琴は言葉を重ねる。
美琴「負ける気なんて無かったわ。本気で闘うからこそ意味があったのだから。完敗よ、あの子には」
結標「やっぱり、気に入らない」
美琴「…………」
結標「貴女、まだ夕食を食べていないでしょう?」
言う結標の表情は、いつもの皮肉めいた笑みではなく、優しい微笑み。
結標「なんだかごちゃごちゃと言い訳を重ねてるみたいだったけれど、スーパーに向かう理由なんて、一つで十分なのよ」
美琴「でも私は、東の狼で……」
結標「私は、西の狼。だから何? 戦争?
そんな物は貴女の造物主が勝手に言ってる事でしょうが。私にはなんの関係もないわ」
美琴「でもっ!」
258 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 22:46:54.71 ID:D8RmmnAo [6/7]
結標「じゃあこういう事にしましょう。貴女達は少し反省が必要だわ」
だから、
結標「行って、あの人に説教受けてきなさい。それこそが、貴女の贖罪」
言い、結標はホルスターから軍用ライトを引き抜き、手の内でクルクルと回すと美琴へ向ける。
結標「全ては、腹の虫が命ずるままに…… 食べてきなさい。勝利の一味を」
す――と、結標がライトを振ったそこに、もう美琴の姿はない。
行ったのだ、己の罪を贖うために。
初めは好奇心だった。
次に懺悔となり、
最後は贖罪だった。
ライトを仕舞い、結標は傷だらけの身体をビルの壁へと預ける。
見据えるのは第七学区の東、7th-G 。
困ったように溜息を吐き、結標は呟く。
結標「見てらんないのよね、貴女みたいな子」
現在の時刻は21時30分。
7th-Gで戦闘が開始されてから、30分が経過していた。
御坂美琴は夜の街を歩く。
疲労で動かない足をひきずり、纏まらない思考で演算も出来ず、何の力もない無能力者のように這いずっていた。
全身を襲う痛みから意識を逸らすように、御坂美琴はただ思う。
初めは好奇心だった。
好奇心から立ち寄った、寮の近くのスーパー。
そこは箱庭育ちのお嬢様にとって、見たことも無い異界だった。
そこで彼女は半額弁当、そして《狼》と出逢う。
好奇心から立ち寄ったスーパー。
好奇心から手を伸ばした半額弁当。
ネ コ
そして好奇心は、容易く『超能力者』を殺す。
気付けば彼女は宙を舞っていた。
能力を使えば容易く得られる浮遊感を、彼女は暴力により得ていた。
それが彼女の、初めての敗北の記憶。
スーパーにおいては無敵のレベル5すら赤子同然に扱う《狼》達に惹かれ、彼女はこの世界に足を踏み入れたのだ。
253 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 22:30:42.45 ID:D8RmmnAo [2/7]
そんな彼女を導いたのこそ、彼女の友人である佐天涙子――《幻想創造》だった。
佐天は美琴に知識を与え、技を授け、誇りを説いた。
美琴はそれを吸収し、理解し、身につけた。
彼女が二つ名持ちになるまで、時間はそうかからなかった。
半額弁当争奪戦は楽しかった。
毎夜訪れる《半値印証時刻》が、彼女の生きがいだった。
超能力者である彼女にとって、
すでに『辿り着いてしまった』彼女にとって、
まだ見えぬ《狼》の頂は目指さずにはいられないものだった。
だから、学園都市を統一するという佐天の言葉は、彼女にとって福音であり、そして宣託だ。
《幻想創造》の命ずるがままに東の《狼》達に挑み、倒し、奪う。
それは争奪戦であり、争奪戦では無かった。
彼女が求めた、
彼女が愛した争奪戦では無かったのだ。
美琴は悔み、嘆いた。
しかし気付けば、己が作り上げた流れは、止めることの出来ない瀑布となって戦争へと流れ落ちていく。
254 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 22:35:24.68 ID:D8RmmnAo [3/7]
だから、贖罪だったのだ。
この一戦……
セブンス・マートにおける決戦は、彼女なりの懺悔だった。
《幻想殺し》に打ち破られ、その後佐天を倒すよう焚きつける事こそ、自分の使命だと思っていた。
だが、《幻想創造》はそんな簡単な幻想を生み出すことを許さなかった。
美琴「だから、黒子を煽った」
ジャッジメント
裁いて欲しかったのだ。己を、 審判員 である彼女に。
そして、目的は果たされた。
果たされた、はずなのに。
美琴「なんで私は、こうも未練がましくあの子の元へ向かっているのかしらね」
255 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 22:38:55.55 ID:D8RmmnAo [4/7]
震える足を前へ、前へ。
走ることすらままならず、彼女はただ歩き続ける。
こうして歩くことに何の意味があるだろう。
こうして向かうことで得るものとはなんだろう。
分からない。
行ってもいいのだろうか。
あの子の元へ、駆けつけてもいいのだろうか。
私は未だ――
結標「《狼》と名乗って、いいのだろうか? って所かしら?」
美琴「!?」
朦朧とした視界に映ったのは、肩からブレザーを羽織り、サラシを巻いた少女。
結標淡希。
結標「気に入らないわね。この私に勝っておいて、元々負けるつもりだったって言うの?」
256 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 22:43:35.06 ID:D8RmmnAo [5/7]
どうやら思考は呟きとして漏れていたらしい。
不機嫌そうな彼女の台詞に、美琴は言葉を重ねる。
美琴「負ける気なんて無かったわ。本気で闘うからこそ意味があったのだから。完敗よ、あの子には」
結標「やっぱり、気に入らない」
美琴「…………」
結標「貴女、まだ夕食を食べていないでしょう?」
言う結標の表情は、いつもの皮肉めいた笑みではなく、優しい微笑み。
結標「なんだかごちゃごちゃと言い訳を重ねてるみたいだったけれど、スーパーに向かう理由なんて、一つで十分なのよ」
美琴「でも私は、東の狼で……」
結標「私は、西の狼。だから何? 戦争?
そんな物は貴女の造物主が勝手に言ってる事でしょうが。私にはなんの関係もないわ」
美琴「でもっ!」
258 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/07(月) 22:46:54.71 ID:D8RmmnAo [6/7]
結標「じゃあこういう事にしましょう。貴女達は少し反省が必要だわ」
だから、
結標「行って、あの人に説教受けてきなさい。それこそが、貴女の贖罪」
言い、結標はホルスターから軍用ライトを引き抜き、手の内でクルクルと回すと美琴へ向ける。
結標「全ては、腹の虫が命ずるままに…… 食べてきなさい。勝利の一味を」
す――と、結標がライトを振ったそこに、もう美琴の姿はない。
行ったのだ、己の罪を贖うために。
初めは好奇心だった。
次に懺悔となり、
最後は贖罪だった。
ライトを仕舞い、結標は傷だらけの身体をビルの壁へと預ける。
見据えるのは第七学区の東、7th-G 。
困ったように溜息を吐き、結標は呟く。
結標「見てらんないのよね、貴女みたいな子」
現在の時刻は21時30分。
7th-Gで戦闘が開始されてから、30分が経過していた。
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