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和「唯、頭をよくしてあげる」など
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:45:17.35 ID:O5CYVCdF0 [4/45]
唯「ジャムパン美味しい!」モフモフ
和「うむむ……」
唯は無邪気で可愛い。
でも本当に馬鹿だ。
軽音楽部に入ってからだいぶ成長したけれど、それでもきっと今のままでは一人で生きていけないだろう。
今は憂が一緒に住んでるからいい。だけど、これからずっとそうしているわけにはいかない。
もちろん憂自身は「一生お姉ちゃんと一緒にいるね」などと言うだろうが、いつかは唯も一人立ちしないといけなくなる。
関連?
唯「レティクル!」
唯「ジャムパン美味しい!」モフモフ
和「うむむ……」
唯は無邪気で可愛い。
でも本当に馬鹿だ。
軽音楽部に入ってからだいぶ成長したけれど、それでもきっと今のままでは一人で生きていけないだろう。
今は憂が一緒に住んでるからいい。だけど、これからずっとそうしているわけにはいかない。
もちろん憂自身は「一生お姉ちゃんと一緒にいるね」などと言うだろうが、いつかは唯も一人立ちしないといけなくなる。
関連?
唯「レティクル!」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:46:02.24 ID:O5CYVCdF0 [5/45]
私は唯のために何かしてあげられないものだろうか。
その場その場で私が傍にいて支えてあげられたらそれでいい。
でも、そんなの無理だから。
いくら私が唯を愛していようと、いつかは別れが訪れる。
だから、一緒にいる間に、唯の中に何かを残してあげたい。
彼女が一人で生きていけるように。
でも、どうすればいいのか。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:46:36.02 ID:O5CYVCdF0 [6/45]
和「ねえ唯、今度一緒に映画でも見ない?」
唯「いいよー。今やってるのだと……ポケモン!」
和「私が言ってるのはそういうのじゃなくて……そうね、私が適当にDVDを借りておくから、私の家で見ましょう」
唯「えへへ、和ちゃんの家でお泊まりなんて久しぶりだね!」
和「別に泊まりとまでは言ってないけど、そうね、久々にいいかもしれないわ」
和「じゃあ今週末ね」
唯「うん、楽しみだよ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:47:48.99 ID:O5CYVCdF0 [7/45]
― ― ― ― ― ― ― ―
唯「じゃあ、私帰るね!」
律「なんだよー、今日はいやに急いでんじゃん」
澪「唯にはめずらしいな」
唯「待ち合わせがあるんだ~」
紬「あらあら、デートかしら」
唯「うん!和ちゃんの家にお泊まりするんだ!いいでしょ~」
梓「なるほど。唯先輩は和先輩のこと大好きですもんね。急ぐはずです」
唯「うん!って早く行かなきゃ!じゃーねー」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:48:32.79 ID:O5CYVCdF0 [8/45]
和ちゃんとは校門の前で待ち合わせていた。
沈みゆく夕焼けが綺麗で、でもそれはつまり和ちゃんを待たせちゃってるということで。
唯「ごめん!待った?」
和「大丈夫よ。慣れてるわ」
唯「えへへ、さすがは和ちゃんだね」
和「褒められてるのかしら……まあいいわ、じゃあ行きましょう」
唯「なんか、久々だからわくわくしちゃうよ!」
和「そうね、あなたが軽音楽部に入ってからうちに来ることなんて中々なかったもんね」
唯なんか、ごめんね」
こうやって和ちゃんと一緒に帰れるのはとても嬉しい。
和ちゃんは今までずっと一緒にいた大切な幼馴染だから、傍にいてくれるだけでなんとなく安心できる。
和「謝ることないわよ。むしろ唯が何かに打ち込んでいるなら結構なことだわ」
和(唯が少しでも成長してくれたら、私はそれでいいの)
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:52:36.26 ID:O5CYVCdF0 [10/45]
― ― ― ― ― ― ― ―
和「さ、あがって」
唯「おじゃましまーす」
和「今日は親がいないから。ご飯から食べようか」
唯「腹が減っては映画は見れぬ、だね!」
和「唯、料理教えてあげるからキッチンに来て」
唯「え~めんどくさいよ~」
和「いいから」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:54:25.81 ID:O5CYVCdF0 [11/45]
かなり唯はしぶっていたが、キッチンで私の料理を見学させる。
余計なお世話なのはわかってる。
料理を本当に覚えさせたいなら、私よりよっぽど適任の憂がいるのだから。
こんなのただの空回り、自己満足にすぎない。
こんな事じゃなくて、もっと大切なことを教えてあげたい。
我ながらつくづく愛情表現のへたくそな人間だと思う。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:55:06.89 ID:O5CYVCdF0 [12/45]
和「さ、食べましょう」
唯「いっただっきまーす!」
唯「さすが和ちゃん、美味しいよ!」
和「ありがと。でも唯もこれくらい作れなきゃだめよ?」
唯「うー……私には和ちゃんも憂もいるからいいもん」
良くなんかない。
「今は」私たちがいるだけだ。
それが永遠に続くわけじゃない。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/20(金) 10:56:43.23 ID:O5CYVCdF0 [14/45]
和「……さ、食べたらお風呂に入って映画を観ましょう」
唯「和ちゃん、一緒に入ろう?」
和「だーめ。先に入ってきなさい。その間に洗い物しとくから」
唯「ぶーぶー」
和「ぶーぶー言わないの。早く入ってきなさい」
唯「けち……」
和「はいはい」
唯がお風呂に入っている間、いろいろなことを考える。
私はとても残酷なことをしようとしているのではないか。
いつか来る別れなんて、知らずに生きていたほうが幸せなんじゃないか。
見ていたい現実だけを見るのが一番幸せなんじゃないか。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:57:25.78 ID:O5CYVCdF0 [15/45]
唯「和ちゃ~ん、あがったよ~」
和「そうなんだ、じゃあ私お風呂入るね」
唯「は~い」
なんか最近、和ちゃんの様子が変だ。
どこか厳しいというかなんというか、思いつめたような表情をしていることもある。
私は馬鹿だ。
和ちゃんみたいな賢い子と比べると本当に馬鹿だ。
でも、和ちゃんのことはわかるつもりだった。
「わからない」ことがこんなに不安で怖いことだなんて知らなかった。
色んなことを知ってる和ちゃんみたいな子は怖くないのかな。
むしろ、中途半端なジグソーパズルの空白が余計に目立つみたいに、わからないことの多さに絶望してしまうのか。
得も言われぬ不安。
和ちゃんは今までずっとこんな気持ちを抱えていたのかな。
和「さ、あがったわよ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:58:17.08 ID:O5CYVCdF0 [16/45]
― ― ― ― ― ― ― ―
唯「ねー和ちゃん、なんて映画見るの?」
和「『12人の怒れる男』っていうの」
唯「怒ってるの?なんか怖そうだよ」
和「何言ってるの。面白いわよ。それに、有名なんだからこれくらいは知っておかなきゃ」
唯「有名だからどうかで作品を選んじゃだめだよ和ちゃん!」
和「正論だけど、ある程度の教養は無くちゃあなたが困ったり恥をかくのよ。それにちゃんと見た上で私は好きだって言ってるの」
和「よし、じゃあ、再生っと」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:59:45.18 ID:O5CYVCdF0 [17/45]
ソファに二人並んで腰かける。
昔はよくこうして二人テレビを見ていたものだ。
でも、いつも唯が舟を漕ぎだして結局私の膝枕になってしまう。
そして、今も。
和「もう、せっかくいいところなのに」
すやすやと寝息を立てて私の膝の上で眠っている唯。
あの頃と変わらない、いとおしい寝顔。
でもね、唯。
私たちは、変わってしまうものなの。
変わらなきゃいけないの。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:01:38.23 ID:O5CYVCdF0 [18/45]
唯「う~ん……あれ、ごめん、私寝ちゃってた?」
和「もう映画終わっちゃったわよ」
唯「え~!?ラストどうなったの?」
和「全くもう……ねえ唯、私の膝の上でいいから、よく聞いて」
唯「なあに?何か和ちゃん怖いよ……」
和「あなた、将来のこと考えたことある?」
唯「う~ん……よくわかんないけど、なんとかなるよ~」
唯「私には和ちゃんも憂も軽音楽部のみんなもいるしね!」フンス
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:02:33.61 ID:O5CYVCdF0 [19/45]
和「今は、ね」
唯「ずっと一緒に決まってるもん!……和ちゃんはこれからもずっと傍にいてくれるよね?幼馴染だもんね?」
和「……それは、できないわ」
唯「なんで!?和ちゃんは私のこと嫌いになっちゃったの!?」
和「違うわ。むしろ大好きよ」
唯「じゃあ……じゃあなんでそんな意地悪言うの?」
和「意地悪じゃないの」
和「私だってずっと傍にいたいのは同じよ。でもそれは不可能なの」
唯「わからないよ……私馬鹿だもん!犬以下だもん!」
唯「お互い大好きなのにずっとずっと一緒にいられないなんて……そんなの、わけわかんないよ……」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:04:14.40 ID:O5CYVCdF0 [21/45]
そう言って、唯は私に抱きついてくる。
シャツの胸元に唯の涙が落ちる。
私も唯を抱きしめる。精一杯の愛情をこめて。
和「私たちは、生きている限り変わらずにはいられないの」
風車男が風車を回している限りは、永遠なんて存在しない。
いくら風車男を殺そうとしたところで、彼には首がない。
運命とはそんなもの。
とても理不尽だけど、それでも受け入れて生き抜くしかない。
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:05:49.15 ID:O5CYVCdF0 [22/45]
和「私、ずっと考えていたの。こうやって抱きしめてあげる以外に、あなたを愛する方法はないものかって」
和「色々迷ったわ。むしろ今でも正しいか自信が持てないわ……でも、今の私の結論がこれよ」
和「それは、あなたが一人で生きていくために知っておくべきことを、私にできる範囲で教えてあげること」
和「仲間の大切さとか、一つのことを懸命に頑張ることとかは軽音楽部のみんなが教えてくれたと思うの」
和「だから、私は憎まれ役でいい。あなたが生きていくことにおびえないように、知りたくないこと、耳をふさいで知らんぷりしていたいことを伝えなきゃ、って」
和「それは知らないほうが今は幸せかもしれない。でも避けて通れないなら、見たくないことでも逃げずに見てほしい」
和「それがこれからの唯にとって、本当の幸せのために一番大切なことだと思う」
和「自己中心的でエゴの塊をぶつけるような行為であることは否定しないわ」
和「ごめんね。私、馬鹿だから、こんな形でしか愛を表現できないの」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:06:50.88 ID:O5CYVCdF0 [23/45]
唯「……」
唯「……私、和ちゃんのこと大好き」
唯「ずっと一緒にいたい。何を言われてもそれだけは譲れない」
唯「でも、いつか終わりが来るのなら……せめて今だけでも……たくさん一緒にいたい」
唯「それで、離れ離れになって、私のこと忘れちゃっても、和ちゃんの中に残る何かを……」
それ以上は嗚咽してしまって言葉にならなかった。
でも、私と同じ気持ちなんだと思う。
いつか別れが来ることが必然だとしても、私たちが一緒に過ごす日々は決して無駄ではないのだと信じたい。
そして、無駄にならないように、大切な「今」を生きていきたい。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:07:22.60 ID:O5CYVCdF0 [24/45]
和「ねえ唯、明日は図書館に行きましょう。あなたに本を選んであげる」
唯「うん!私の好きな本も教えてあげるね~」
和「あら、あなたも本くらい読むのね」
唯「ひどいよ和ちゃん!」
和「冗談よ」
回す腕に力を込める。
せめて、今だけはこうして抱きしめていたい。
私の愛が、唯に届くように、ぎゅっと。
おしまい!
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:16:10.66 ID:O5CYVCdF0 [25/45]
オーケンだと、小説ならちょうど高校生くらいの子の話が多いけど、曲になるとけいおんキャラでは病み過ぎのものが多い気がする。
友達がいないからノートに猫の絵を描く梓とか。
薬は常備三種類の唯とか。
サーカスが来るとドキドキする律……はありそうだな。
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:45:50.00 ID:O5CYVCdF0 [29/45]
また単品書いてみたから保守がてら
律「『私の律』って呼んでよね」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:46:24.01 ID:O5CYVCdF0 [30/45]
さて、私はHTTの新曲のために歌詞を書かなくてはならない。
今日は気分を変えて、部屋じゃなく雰囲気の良いコーヒー屋に来ている。
とはいえ、私は苦いものは得意でないので、お供はかなり甘めのミルクコーヒーだけど。
創作には糖分が必要なのだ。ダイエット中だけど仕方ないのだ、決して言い訳ではなく。
この静かな状況と美味しいミルクコーヒーのおかげで作詞もはかどる……はずだった。
でも、横には何故か――――――
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:48:57.90 ID:O5CYVCdF0 [31/45]
律「ペン止まってるぞー。ぱぱっと書いちゃってくださいよ、澪センセ」
澪「うるさいっ!気が散るだろ!」
鉄拳制裁。
澪「第一、なんでついてきたんだお前は!せっかく静かな所に来たというのに!」
律「だって暇だったんだもん」
澪「どうせ家の手伝いから逃げてきたんだろ」
返事がないところを見ると図星のようだ。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:54:27.90 ID:O5CYVCdF0 [32/45]
憮然としながらも静かになった。
どうやら私のルーズリーフを一枚取って落書きしてるようだ。
澪(しかも何故かサイダー飲んでるし。せめてコーヒー飲料にしろよ……)
まあ、邪魔さえしなけりゃ好きにしてればいい。
澪(うーん……ここの「は」の代わりに「が」を使ったほうがいいかな)
カシャン
澪(あー…この表現どっかで聞いたぞ。パクリになってしまう……)
カシャン
澪()
カシャン
澪「うるさーい!!!」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:04:34.88 ID:O5CYVCdF0 [33/45]
澪「さっきから何をやってるんだお前は、律!」
律「いやあ、ペン回しがうまくいかなくってさ、何回も落としちゃったんだよね」
澪「もういい、じっとしてろ!」
律「へーい。そういやさ、今書いてるやつ以外にできた歌詞はないの?」
澪「あるけど……」
律「見せて見せてー!」
澪「ほら」
律「ありがと。うわあ、相変わらず背中がかゆくなるような歌詞だな」
澪「悪かったな」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:22:37.64 ID:O5CYVCdF0 [34/45]
律「『愛するあなたは私のもの 素敵な素敵な王子様』ってお前なあ」
澪「うるさいうるさいっ!」
律「……でもさ、澪の歌詞、好きだよ」
澪「へ?」
律「まあ背中かゆくなるし、見てるこっちが恥ずかしくなるけどさ、なんか澪らしいじゃん」
律「私は澪がだーいすきだからな!澪らしいってことはつまり好きなんだよ」
律「まあ、なんつってもこのりっちゃんさまが好きなんだから、誰だって澪の歌詞が好きに決まってるな!」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:32:02.38 ID:O5CYVCdF0 [35/45]
澪「なんだそれ」
そう言い返しながらも頬は緩む。
恥ずかしいから言わないけど、そんな台詞も律らしいよ、なんて思ったり。
律「なあ、澪、『私の律』って呼んでよ」
しばし、間。
澪「はああああああああ!?そんな恥ずかしいこと言えるか!」
律「『愛するあなたは私のもの』だろ?澪ちゅわんは私のこと愛してないのー?」
そう言ってイヒヒと笑う。
時々、律はずるい。
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:47:29.39 ID:O5CYVCdF0 [36/45]
澪「そりゃ……好き……だけどさ」
律「ううっ……言ってくれないの……?」
澪「嘘泣きするな!……わかったよ、言うから!」
本当に、ずるい。
律「やったー!澪大好きー!」
澪「全く……」
律「ほらほら早く早く」
くそ、にやにやするな。
バカ律!
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:50:29.08 ID:O5CYVCdF0 [37/45]
澪「……しの……つ」
律「きこえなーい」
澪「私の律!!!」
律「よくできましたー。じゃあ次は『律は私のものだ!』ね」
澪「な……ふざけるな!それくらい言わなくたってわかって……!」
律「ふぇ?」
しまった。
律まで固まってる。
ああもう、さっきまで散々恥ずかしいこと言ってたのはお前だろうが。
……何でお前が赤くなってるんだ。
とはいえ、たぶん私も顔が真っ赤になっていることだろう。
正直恥ずかしくて意識が飛びそうです。
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:51:58.98 ID:O5CYVCdF0 [38/45]
女二人で顔を赤くして黙り込む。
他にお客がいたら切腹ものだ。
律「……なあ、澪」
澪「な、なんだよ!」
律「これからも、一緒にバンドやろうな」
澪「……なんだよ、いきなり」
思わず吹き出してしまう。
多分、律なりの愛情表現なんだろう。
いつもはふざけてるくせに、こんな時には案外恥ずかしがりだったりする。
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:54:13.21 ID:O5CYVCdF0 [39/45]
律「わ、笑うなよな!私は真剣なんだぞ!」
澪「ああ、悪い悪い。今さらだなって思ってさ」
律「だって、無理やり文芸部入るのやめさせちゃったし……」
澪「なんだ、まだ気にしてたのか。本当に嫌だったら辞めてるさ」
澪「これからもずっと歌おう。一緒にな」
澪「歌って歌って歌って……ずーっとだ。辞めるなんて言ったら怒るぞ?」
さっきの律に対抗して、私もイヒヒと笑ってみる。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:55:31.49 ID:O5CYVCdF0 [40/45]
律「バカ、そんなこと言うわけねーだろ」
律「これからもよろしくな。大好きだよ」
澪「……ありがとう」
―――――やっぱり、律は、ずるい。
おしまい!
私は唯のために何かしてあげられないものだろうか。
その場その場で私が傍にいて支えてあげられたらそれでいい。
でも、そんなの無理だから。
いくら私が唯を愛していようと、いつかは別れが訪れる。
だから、一緒にいる間に、唯の中に何かを残してあげたい。
彼女が一人で生きていけるように。
でも、どうすればいいのか。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:46:36.02 ID:O5CYVCdF0 [6/45]
和「ねえ唯、今度一緒に映画でも見ない?」
唯「いいよー。今やってるのだと……ポケモン!」
和「私が言ってるのはそういうのじゃなくて……そうね、私が適当にDVDを借りておくから、私の家で見ましょう」
唯「えへへ、和ちゃんの家でお泊まりなんて久しぶりだね!」
和「別に泊まりとまでは言ってないけど、そうね、久々にいいかもしれないわ」
和「じゃあ今週末ね」
唯「うん、楽しみだよ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:47:48.99 ID:O5CYVCdF0 [7/45]
― ― ― ― ― ― ― ―
唯「じゃあ、私帰るね!」
律「なんだよー、今日はいやに急いでんじゃん」
澪「唯にはめずらしいな」
唯「待ち合わせがあるんだ~」
紬「あらあら、デートかしら」
唯「うん!和ちゃんの家にお泊まりするんだ!いいでしょ~」
梓「なるほど。唯先輩は和先輩のこと大好きですもんね。急ぐはずです」
唯「うん!って早く行かなきゃ!じゃーねー」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:48:32.79 ID:O5CYVCdF0 [8/45]
和ちゃんとは校門の前で待ち合わせていた。
沈みゆく夕焼けが綺麗で、でもそれはつまり和ちゃんを待たせちゃってるということで。
唯「ごめん!待った?」
和「大丈夫よ。慣れてるわ」
唯「えへへ、さすがは和ちゃんだね」
和「褒められてるのかしら……まあいいわ、じゃあ行きましょう」
唯「なんか、久々だからわくわくしちゃうよ!」
和「そうね、あなたが軽音楽部に入ってからうちに来ることなんて中々なかったもんね」
唯なんか、ごめんね」
こうやって和ちゃんと一緒に帰れるのはとても嬉しい。
和ちゃんは今までずっと一緒にいた大切な幼馴染だから、傍にいてくれるだけでなんとなく安心できる。
和「謝ることないわよ。むしろ唯が何かに打ち込んでいるなら結構なことだわ」
和(唯が少しでも成長してくれたら、私はそれでいいの)
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:52:36.26 ID:O5CYVCdF0 [10/45]
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和「さ、あがって」
唯「おじゃましまーす」
和「今日は親がいないから。ご飯から食べようか」
唯「腹が減っては映画は見れぬ、だね!」
和「唯、料理教えてあげるからキッチンに来て」
唯「え~めんどくさいよ~」
和「いいから」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:54:25.81 ID:O5CYVCdF0 [11/45]
かなり唯はしぶっていたが、キッチンで私の料理を見学させる。
余計なお世話なのはわかってる。
料理を本当に覚えさせたいなら、私よりよっぽど適任の憂がいるのだから。
こんなのただの空回り、自己満足にすぎない。
こんな事じゃなくて、もっと大切なことを教えてあげたい。
我ながらつくづく愛情表現のへたくそな人間だと思う。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:55:06.89 ID:O5CYVCdF0 [12/45]
和「さ、食べましょう」
唯「いっただっきまーす!」
唯「さすが和ちゃん、美味しいよ!」
和「ありがと。でも唯もこれくらい作れなきゃだめよ?」
唯「うー……私には和ちゃんも憂もいるからいいもん」
良くなんかない。
「今は」私たちがいるだけだ。
それが永遠に続くわけじゃない。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/20(金) 10:56:43.23 ID:O5CYVCdF0 [14/45]
和「……さ、食べたらお風呂に入って映画を観ましょう」
唯「和ちゃん、一緒に入ろう?」
和「だーめ。先に入ってきなさい。その間に洗い物しとくから」
唯「ぶーぶー」
和「ぶーぶー言わないの。早く入ってきなさい」
唯「けち……」
和「はいはい」
唯がお風呂に入っている間、いろいろなことを考える。
私はとても残酷なことをしようとしているのではないか。
いつか来る別れなんて、知らずに生きていたほうが幸せなんじゃないか。
見ていたい現実だけを見るのが一番幸せなんじゃないか。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:57:25.78 ID:O5CYVCdF0 [15/45]
唯「和ちゃ~ん、あがったよ~」
和「そうなんだ、じゃあ私お風呂入るね」
唯「は~い」
なんか最近、和ちゃんの様子が変だ。
どこか厳しいというかなんというか、思いつめたような表情をしていることもある。
私は馬鹿だ。
和ちゃんみたいな賢い子と比べると本当に馬鹿だ。
でも、和ちゃんのことはわかるつもりだった。
「わからない」ことがこんなに不安で怖いことだなんて知らなかった。
色んなことを知ってる和ちゃんみたいな子は怖くないのかな。
むしろ、中途半端なジグソーパズルの空白が余計に目立つみたいに、わからないことの多さに絶望してしまうのか。
得も言われぬ不安。
和ちゃんは今までずっとこんな気持ちを抱えていたのかな。
和「さ、あがったわよ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:58:17.08 ID:O5CYVCdF0 [16/45]
― ― ― ― ― ― ― ―
唯「ねー和ちゃん、なんて映画見るの?」
和「『12人の怒れる男』っていうの」
唯「怒ってるの?なんか怖そうだよ」
和「何言ってるの。面白いわよ。それに、有名なんだからこれくらいは知っておかなきゃ」
唯「有名だからどうかで作品を選んじゃだめだよ和ちゃん!」
和「正論だけど、ある程度の教養は無くちゃあなたが困ったり恥をかくのよ。それにちゃんと見た上で私は好きだって言ってるの」
和「よし、じゃあ、再生っと」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 10:59:45.18 ID:O5CYVCdF0 [17/45]
ソファに二人並んで腰かける。
昔はよくこうして二人テレビを見ていたものだ。
でも、いつも唯が舟を漕ぎだして結局私の膝枕になってしまう。
そして、今も。
和「もう、せっかくいいところなのに」
すやすやと寝息を立てて私の膝の上で眠っている唯。
あの頃と変わらない、いとおしい寝顔。
でもね、唯。
私たちは、変わってしまうものなの。
変わらなきゃいけないの。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:01:38.23 ID:O5CYVCdF0 [18/45]
唯「う~ん……あれ、ごめん、私寝ちゃってた?」
和「もう映画終わっちゃったわよ」
唯「え~!?ラストどうなったの?」
和「全くもう……ねえ唯、私の膝の上でいいから、よく聞いて」
唯「なあに?何か和ちゃん怖いよ……」
和「あなた、将来のこと考えたことある?」
唯「う~ん……よくわかんないけど、なんとかなるよ~」
唯「私には和ちゃんも憂も軽音楽部のみんなもいるしね!」フンス
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:02:33.61 ID:O5CYVCdF0 [19/45]
和「今は、ね」
唯「ずっと一緒に決まってるもん!……和ちゃんはこれからもずっと傍にいてくれるよね?幼馴染だもんね?」
和「……それは、できないわ」
唯「なんで!?和ちゃんは私のこと嫌いになっちゃったの!?」
和「違うわ。むしろ大好きよ」
唯「じゃあ……じゃあなんでそんな意地悪言うの?」
和「意地悪じゃないの」
和「私だってずっと傍にいたいのは同じよ。でもそれは不可能なの」
唯「わからないよ……私馬鹿だもん!犬以下だもん!」
唯「お互い大好きなのにずっとずっと一緒にいられないなんて……そんなの、わけわかんないよ……」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:04:14.40 ID:O5CYVCdF0 [21/45]
そう言って、唯は私に抱きついてくる。
シャツの胸元に唯の涙が落ちる。
私も唯を抱きしめる。精一杯の愛情をこめて。
和「私たちは、生きている限り変わらずにはいられないの」
風車男が風車を回している限りは、永遠なんて存在しない。
いくら風車男を殺そうとしたところで、彼には首がない。
運命とはそんなもの。
とても理不尽だけど、それでも受け入れて生き抜くしかない。
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:05:49.15 ID:O5CYVCdF0 [22/45]
和「私、ずっと考えていたの。こうやって抱きしめてあげる以外に、あなたを愛する方法はないものかって」
和「色々迷ったわ。むしろ今でも正しいか自信が持てないわ……でも、今の私の結論がこれよ」
和「それは、あなたが一人で生きていくために知っておくべきことを、私にできる範囲で教えてあげること」
和「仲間の大切さとか、一つのことを懸命に頑張ることとかは軽音楽部のみんなが教えてくれたと思うの」
和「だから、私は憎まれ役でいい。あなたが生きていくことにおびえないように、知りたくないこと、耳をふさいで知らんぷりしていたいことを伝えなきゃ、って」
和「それは知らないほうが今は幸せかもしれない。でも避けて通れないなら、見たくないことでも逃げずに見てほしい」
和「それがこれからの唯にとって、本当の幸せのために一番大切なことだと思う」
和「自己中心的でエゴの塊をぶつけるような行為であることは否定しないわ」
和「ごめんね。私、馬鹿だから、こんな形でしか愛を表現できないの」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:06:50.88 ID:O5CYVCdF0 [23/45]
唯「……」
唯「……私、和ちゃんのこと大好き」
唯「ずっと一緒にいたい。何を言われてもそれだけは譲れない」
唯「でも、いつか終わりが来るのなら……せめて今だけでも……たくさん一緒にいたい」
唯「それで、離れ離れになって、私のこと忘れちゃっても、和ちゃんの中に残る何かを……」
それ以上は嗚咽してしまって言葉にならなかった。
でも、私と同じ気持ちなんだと思う。
いつか別れが来ることが必然だとしても、私たちが一緒に過ごす日々は決して無駄ではないのだと信じたい。
そして、無駄にならないように、大切な「今」を生きていきたい。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:07:22.60 ID:O5CYVCdF0 [24/45]
和「ねえ唯、明日は図書館に行きましょう。あなたに本を選んであげる」
唯「うん!私の好きな本も教えてあげるね~」
和「あら、あなたも本くらい読むのね」
唯「ひどいよ和ちゃん!」
和「冗談よ」
回す腕に力を込める。
せめて、今だけはこうして抱きしめていたい。
私の愛が、唯に届くように、ぎゅっと。
おしまい!
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 11:16:10.66 ID:O5CYVCdF0 [25/45]
オーケンだと、小説ならちょうど高校生くらいの子の話が多いけど、曲になるとけいおんキャラでは病み過ぎのものが多い気がする。
友達がいないからノートに猫の絵を描く梓とか。
薬は常備三種類の唯とか。
サーカスが来るとドキドキする律……はありそうだな。
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:45:50.00 ID:O5CYVCdF0 [29/45]
また単品書いてみたから保守がてら
律「『私の律』って呼んでよね」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:46:24.01 ID:O5CYVCdF0 [30/45]
さて、私はHTTの新曲のために歌詞を書かなくてはならない。
今日は気分を変えて、部屋じゃなく雰囲気の良いコーヒー屋に来ている。
とはいえ、私は苦いものは得意でないので、お供はかなり甘めのミルクコーヒーだけど。
創作には糖分が必要なのだ。ダイエット中だけど仕方ないのだ、決して言い訳ではなく。
この静かな状況と美味しいミルクコーヒーのおかげで作詞もはかどる……はずだった。
でも、横には何故か――――――
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:48:57.90 ID:O5CYVCdF0 [31/45]
律「ペン止まってるぞー。ぱぱっと書いちゃってくださいよ、澪センセ」
澪「うるさいっ!気が散るだろ!」
鉄拳制裁。
澪「第一、なんでついてきたんだお前は!せっかく静かな所に来たというのに!」
律「だって暇だったんだもん」
澪「どうせ家の手伝いから逃げてきたんだろ」
返事がないところを見ると図星のようだ。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:54:27.90 ID:O5CYVCdF0 [32/45]
憮然としながらも静かになった。
どうやら私のルーズリーフを一枚取って落書きしてるようだ。
澪(しかも何故かサイダー飲んでるし。せめてコーヒー飲料にしろよ……)
まあ、邪魔さえしなけりゃ好きにしてればいい。
澪(うーん……ここの「は」の代わりに「が」を使ったほうがいいかな)
カシャン
澪(あー…この表現どっかで聞いたぞ。パクリになってしまう……)
カシャン
澪()
カシャン
澪「うるさーい!!!」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:04:34.88 ID:O5CYVCdF0 [33/45]
澪「さっきから何をやってるんだお前は、律!」
律「いやあ、ペン回しがうまくいかなくってさ、何回も落としちゃったんだよね」
澪「もういい、じっとしてろ!」
律「へーい。そういやさ、今書いてるやつ以外にできた歌詞はないの?」
澪「あるけど……」
律「見せて見せてー!」
澪「ほら」
律「ありがと。うわあ、相変わらず背中がかゆくなるような歌詞だな」
澪「悪かったな」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:22:37.64 ID:O5CYVCdF0 [34/45]
律「『愛するあなたは私のもの 素敵な素敵な王子様』ってお前なあ」
澪「うるさいうるさいっ!」
律「……でもさ、澪の歌詞、好きだよ」
澪「へ?」
律「まあ背中かゆくなるし、見てるこっちが恥ずかしくなるけどさ、なんか澪らしいじゃん」
律「私は澪がだーいすきだからな!澪らしいってことはつまり好きなんだよ」
律「まあ、なんつってもこのりっちゃんさまが好きなんだから、誰だって澪の歌詞が好きに決まってるな!」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:32:02.38 ID:O5CYVCdF0 [35/45]
澪「なんだそれ」
そう言い返しながらも頬は緩む。
恥ずかしいから言わないけど、そんな台詞も律らしいよ、なんて思ったり。
律「なあ、澪、『私の律』って呼んでよ」
しばし、間。
澪「はああああああああ!?そんな恥ずかしいこと言えるか!」
律「『愛するあなたは私のもの』だろ?澪ちゅわんは私のこと愛してないのー?」
そう言ってイヒヒと笑う。
時々、律はずるい。
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:47:29.39 ID:O5CYVCdF0 [36/45]
澪「そりゃ……好き……だけどさ」
律「ううっ……言ってくれないの……?」
澪「嘘泣きするな!……わかったよ、言うから!」
本当に、ずるい。
律「やったー!澪大好きー!」
澪「全く……」
律「ほらほら早く早く」
くそ、にやにやするな。
バカ律!
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:50:29.08 ID:O5CYVCdF0 [37/45]
澪「……しの……つ」
律「きこえなーい」
澪「私の律!!!」
律「よくできましたー。じゃあ次は『律は私のものだ!』ね」
澪「な……ふざけるな!それくらい言わなくたってわかって……!」
律「ふぇ?」
しまった。
律まで固まってる。
ああもう、さっきまで散々恥ずかしいこと言ってたのはお前だろうが。
……何でお前が赤くなってるんだ。
とはいえ、たぶん私も顔が真っ赤になっていることだろう。
正直恥ずかしくて意識が飛びそうです。
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:51:58.98 ID:O5CYVCdF0 [38/45]
女二人で顔を赤くして黙り込む。
他にお客がいたら切腹ものだ。
律「……なあ、澪」
澪「な、なんだよ!」
律「これからも、一緒にバンドやろうな」
澪「……なんだよ、いきなり」
思わず吹き出してしまう。
多分、律なりの愛情表現なんだろう。
いつもはふざけてるくせに、こんな時には案外恥ずかしがりだったりする。
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:54:13.21 ID:O5CYVCdF0 [39/45]
律「わ、笑うなよな!私は真剣なんだぞ!」
澪「ああ、悪い悪い。今さらだなって思ってさ」
律「だって、無理やり文芸部入るのやめさせちゃったし……」
澪「なんだ、まだ気にしてたのか。本当に嫌だったら辞めてるさ」
澪「これからもずっと歌おう。一緒にな」
澪「歌って歌って歌って……ずーっとだ。辞めるなんて言ったら怒るぞ?」
さっきの律に対抗して、私もイヒヒと笑ってみる。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 15:55:31.49 ID:O5CYVCdF0 [40/45]
律「バカ、そんなこと言うわけねーだろ」
律「これからもよろしくな。大好きだよ」
澪「……ありがとう」
―――――やっぱり、律は、ずるい。
おしまい!
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