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律「パンの耳うめぇ」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 22:14:32.68 ID:mvJ161Lb0 [1/12]
店長「またお前か!!田井中ぁ!!」
律「はい…申し訳ありません…」
店長「謝るのはいいけどよぉ…もうちょっとまともに働いてくんねーか?…」
律「・・・・」
店長「返事はどうしたぁ!!」
律「わかりました…以後気をつけます…」
店長「ったく、これだから貧乏人の屑は…」
店長「またお前か!!田井中ぁ!!」
律「はい…申し訳ありません…」
店長「謝るのはいいけどよぉ…もうちょっとまともに働いてくんねーか?…」
律「・・・・」
店長「返事はどうしたぁ!!」
律「わかりました…以後気をつけます…」
店長「ったく、これだから貧乏人の屑は…」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 22:26:07.94 ID:mvJ161Lb0
律「お腹空いたな…」
鞄の中からパンの耳を取り出すと黙々とそれを口に運ぶ
ここ最近これしか食べていない
栄養が足りていないせいか、バイト先でも細かなミスが多くなった
しかし、泣きごとは言っていられない
家計を支えるためには長女である私がなんとかしなければいけないのだ
朝は新聞配達、昼間は学校、夜はバイト…毎日これの繰り返し
いつこの生活に終わりが来るのか、
そのことを考えると不安と恐怖で押しつぶされそうになる
律「パンの耳…うめぇなぁ…」
私は泣いていた
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 22:36:22.85 ID:mvJ161Lb0
律「朝か…」
何時間ほど眠れただろう、少しも眠れた気がしない
体を起こして制服に着替えるとそのまま朝の新聞配達に出かける
律「また増紙か、家の場所覚えなきゃ」
自転車が無いので走って配る
朝からのマラソンは正直キツイ
律「はあ・・・はあ・・・やっとおわった・・・」
律「…」グ~
律「お腹減った…」
朝食は食べられない
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 22:46:07.27 ID:mvJ161Lb0
律「おーっす」
澪「遅いぞ!何してたんだ」
律「いや~、昨日夜更かしちゃって」
澪「まったく、遅刻しないうちにさっさと行くぞ」
仕事の後に学校に行くのはとてもつらいが欠席することは無い
眠気も疲れも完璧にはとれていないけど、
自分が休めば軽音部のみんなが心配するから…
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 22:55:25.00 ID:mvJ161Lb0
教師「また居眠りか!!田井中ぁ!!」
律「はい…すいません…」
教師「もういいお前は!!廊下にたってろ!!」
律「…」トボトボ
教師「ったく、ああいう奴がいるから教室の空気が悪くなるんだ」
空腹のせいか怒る気力も沸いてこない
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:05:29.93 ID:mvJ161Lb0
放課後
律「わるい!私もう帰らなきゃ」
澪「また何か用事か?」
紬「まだ練習はじめたばっかりよ」
律「ほんとにごめん、明日はちゃんと参加するから」
澪「ちょっと待て、律!」
バタン
澪「いっちゃった…」
梓「どうしたんですかね、律先輩…」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:15:18.39 ID:mvJ161Lb0
唯「ここ最近変だよね、りっちゃん」
紬「授業中は寝てばかりだし、すごく疲れているみたい」
梓「澪先輩はなにか何か心当たりありませんか?」
澪「それがなにも…」
唯「どうしたんだろうね、りっちゃん…」
結局その日はなんの結論も出ず解散になった
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:23:56.60 ID:mvJ161Lb0
その夜
梓「…」カリカリ
梓「あっ、シャー芯きれた…かえの芯あったかな」ガサゴソ
無い
梓(しかたないコンビニ行くか…)
店員「申し訳ありません、いま在庫の方切らしておりまして…」
店員2「申し訳ありま(ry」
店員3「申し(ry」
梓「まさか三件連続で在庫切れとは…」
梓「けっこう遠いところまで来ちゃったけど、ここならおいてあるかな?」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:37:09.96 ID:mvJ161Lb0
いいかげんにしろよてめえ!!何度いったらわかるんだ!!
中に入ると怒気をはらんだ男のこえが聞こえてきた、裏のほうで誰かが叱られているのだろうか?
梓(うわぁ…めんどくさい場面に出くわしちゃったな、目当てのもの買ったらさっさと帰ろ…)
あまり長居はしたくなかった、他人の怒声を聞き続けるのはあまりいい気持ちではない
シャー芯と夜食のお菓子を手にして、レジへ向かおうとした瞬間…
聞いてんのか!?田井中ぁ!!
梓「……え?」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:45:56.98 ID:mvJ161Lb0
今…聞き覚えのある名前が呼ばれたような…
梓(ははっ、まさかね…)
律先輩がこんなところでバイトしてるなんて聞いたことが無い
第一、夜間のバイトは校則で禁じられているはずだ、律先輩なわけが無い
梓(やっぱり聞き間違えかな)
ひとしきり怒鳴り終えたのか、声はもう聞こえない
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 00:06:43.09 ID:6UDgC4Ue0 [2/42]
すこしだけ気になったものの会計をすませると、コンビニのそとに出ることにする
しかし、外に出た瞬間私は反射的に立ち止まってしまった
梓「女の人の…泣き声?…」
かすかにだがすすり泣く声がする、しかもこの声どこかで聞いたような…
梓「こっちの方からだ…」
声はコンビニの裏のほうから聞こえた
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 00:17:51.85 ID:6UDgC4Ue0 [3/42]
声のする方向に足を運ぶと顔は暗くてよく見えないが
女の人がうずくまって泣いていた、さっき叱られていた人だろうか…
??「エッグ…ヒッグ…」
梓「あのう…大丈夫ですか?」
さっきのことが気になって声をかけてしまった
彼女は袖で涙をぬぐった後、こっちに顔を向けた
律「あ、梓?…」
梓「律…先輩?…」
その姿は紛れも無く律先輩だった
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 00:31:40.44 ID:6UDgC4Ue0 [4/42]
私は泣きじゃくる律先輩を落ち着かせた後、近所にある公園まで連れて行った
ここなら落ち着いて話ができるだろう
梓「はい、これでも飲んで頭冷やしてください」
律「ん、サンキュ」
…..........
しばらくの間、沈黙が流れる
しかし、いつまでも黙っているわけにはいけない
梓「で、どうしてバイトなんかしてたんですか?」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 00:47:53.81 ID:6UDgC4Ue0 [6/42]
律「実はさ~ずっと前から新しいドラムが欲しくて…」
梓「新しいドラムを買って数年も経ってないのに?」
ギクッ
律「あっ…ああ何かあのドラム私にあわなくてさ~」
梓「私のドラムが世界で一番だぁ~って言ってたの誰でしたっけ?」
ギクギクッ
律「…」
梓「律先輩、本当のこと話してください…」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:09:20.94 ID:6UDgC4Ue0 [7/42]
事の発端は律先輩のお父さんが詐欺によって多額の借金を背負ったことからはじまった
家の全財産を切り崩したおかげで借金は完済できたが、お父さんが心労で倒れてしまった
律先輩がバイトをはじめたのはこの頃だという
梓「その後、どうなったんですか…」
律「お母さんがパートのお仕事はじめてさ、その頃はまだ楽だったんだ…」
律「でもお母さん、昔から体が弱くてさ…耐え切れなかったんだろうなぁ、いろいろとさ…」
梓「…なんで」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:25:58.51 ID:6UDgC4Ue0 [8/42]
梓「なんでずっと隠してたんですか!!水臭いじゃないですか!!」
律「梓…」
梓「私たち軽音部の仲間でしょう!?なんで頼ってくれないんですか!!みんな…律先輩のこと心配してたのに…」
律「話そうとしたさ…でも…」
梓「でも?…」
律「怖かったんだ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:35:25.98 ID:6UDgC4Ue0 [9/42]
梓「怖いってどういうことですか?…」
律「さっきの場面聞いてたんだろ?最近店長に怒られっぱなしでさ…」
梓「…」
律「あの店長も最初は優しかったんだぜ、廃棄弁当くれたりして」
律「でも私がヘマばかりするようになると、どんどん態度が変わっていってさ…」
律先輩の声がかすれていく
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:43:37.32 ID:6UDgC4Ue0 [10/42]
律「最初は同情の目で見てくれていたのが、人を見下した目つきに変わるんだ!!」
律「そうやって“お前は人間の屑だ”って訴えかけてくるんだ!!」
梓「でも、軽音部のみんなは…」
律「ああ…みんなはそんな人間じゃないって信じてたけど…」
梓「だったらどうして…」
律「毎日あの目を見てるとさ…自身がなくなるんだ…」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:06:21.87 ID:6UDgC4Ue0 [12/42]
律「もしみんながあんな冷たい目をするようになったらって考えると、勇気が出なくて…」
律先輩のひとみに涙が浮かぶ
律「そんなふうに…ヒック…考えてしまう自分が嫌で…グズ」
梓「律先輩…」
律先輩は今まで相手のいないボクシングのような戦いを一人で演じてきたのだ
たった一人ぼろぼろになっても、誰にも悟られないように…
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:21:29.19 ID:6UDgC4Ue0 [13/42]
私はいつの間にか律先輩を抱きしめていた
今はただこの小さな先輩を守りたいという気持ちだけがあった
梓「がんばったね…律先輩」
律「梓ぁ…つらかったよ…怖かったよ…」
梓「もういい、もういいから…ね?」
律「うああぁぁぁぁぁあああん」
律先輩は泣いた
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:29:04.16 ID:6UDgC4Ue0 [14/42]
>>57
指摘サンクスもうちょっと勉強してくるわ
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:41:22.94 ID:6UDgC4Ue0 [15/42]
梓「もう大丈夫ですか?」
律「うん、ありがと///」
後輩に抱きしめられたのが恥ずかしかったのか、律先輩は顔を赤らめていた
梓「やっぱり、みんなに打ち明ける気はありませんか…」
律「ごめん…やっぱりまだちょっと怖い…」
梓「そうですか…」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:53:49.02 ID:6UDgC4Ue0 [16/42]
律「あの…今日話したことは…」
梓「わかってます、絶対に誰にもいいません…ただし条件があります」
律「条件?…」
梓「まず第一に自分で何もかも背負い込もうとしないで、頼れる人にしっかり頼ること…それから」
律「それから?」
梓「私に律先輩のお手伝いをさせてください!」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 07:59:27.44 ID:6UDgC4Ue0 [20/42]
律「…へ?」
梓「だから、私にも何かさせてくださいって」
律「ちょ、ちょっと待て手伝うって何を…」
梓「さすがに金銭的なことはどうにも出来ませんが、家事とかなら私にもできますから…」
律「でも、本当にいいのか?」
梓「当たり前じゃないですか、むしろあれだけの話を聞いておいて何もしないほうがおかしいですよ」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 08:04:54.30 ID:6UDgC4Ue0 [21/42]
梓「心が折れそうになったらいつでも甘えてください、受け止めてあげますから」
律「梓ぁ…」ボロボロ
梓「あ~もう泣かないでください」ヨシヨシ
律先輩がこんなに泣いているところをみるのは初めてだ
でもやっぱり律先輩は笑っているときのほうがいいと思った
梓「もう夜も遅いですから一緒に帰りましょう?」
律「うん…ありがとう」
律先輩を家に送りとどけた後、自分も帰路につくことにする
終始泣きじゃくっていた彼女だが、別れるときに一瞬だけ笑顔を見せてくれた
愛想笑いじゃない、律先輩の本当の笑顔を久しぶりに見れた気がする
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 13:30:27.23 ID:6UDgC4Ue0 [23/42]
次の休日
私は律先輩の家に来ていた
梓(律先輩の家にくるの久しぶりだな)
いつだったか律先輩の手料理をご馳走してもらったことがあったっけ…
あのときのお礼じゃないけど、今日はお弁当を差し入れとして持ってきた
律先輩が喜んでくれるといいな…
ピンポーン
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 13:43:52.63 ID:6UDgC4Ue0 [24/42]
ガチャ
律先輩の弟さんが出てきた
聡「えーと…中野さんでしたっけ…姉ちゃんからお通しするよう言われてるので、どうぞ上がってください」
梓「あ、あの~律先輩は?」
聡「姉ちゃんは朝からバイトにいってますけど、もうすぐ帰ってくるので…」
梓「あ、そうですか」
休日の朝からバイトか…大変なんだな律先輩…
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 13:48:00.53 ID:6UDgC4Ue0 [25/42]
聡「…」ペタペタ
梓「…」ジー
聡「…」ペタペタ
梓「…なにしてるの?」
聡「シール貼りの内職です」ペタペタ
梓「そっか…」
聡「…」ペタペタ
梓「ねえ、わたしも手伝っていい?」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:19:02.87 ID:6UDgC4Ue0 [26/42]
梓「…」ペタペタ
梓(結構時間かかるなこれ…)
聡「…」ササッ
梓(は、早いっ…)
聡「…」フフン
梓(う~やってやるです!)
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:02:08.52 ID:6UDgC4Ue0 [28/42]
聡「…」ペタペタア!!
梓(またスピードが上がった!?こっちも負けてられんです!!)ペタペタペタペタペアア!!!
律「何してんだお前ら」
ぺたぺたぺた
律「おい…」
ぺたぺたぺたぺたぺたぺた
律「あの…ちょっと……」
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた
律「…」シュン
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:12:47.24 ID:6UDgC4Ue0 [29/42]
梓「終わったぁ!!!」
聡「ちくしょう…素人に負けた…」
梓「これでキング・オブ・ペタリストの称号は私のものですね」ドヤッ
聡「ちくしょう…ちくしょう…」
梓(あれ…でもなーんか忘れてるような…)
律「…」
梓「あ゙…」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:24:55.01 ID:6UDgC4Ue0 [30/42]
梓「いつからここに…」
律「…」
梓「あの~律先輩?」
律「…」プイ
どうやらずっとまえから帰ってきてたらしい
無視されたのが傷ついたのか、すっかりいじけちゃってるみたいだ
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:44:24.75 ID:6UDgC4Ue0 [31/42]
梓「機嫌直してくださいよう…」
律「…」ツーン
梓「無視したことは謝りますから…」
律「…」
梓「ほら、律先輩のためにお弁当も作ってきたんですよ」
律「…」ピクッ
梓(分かりやすいなあ)
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:57:43.00 ID:6UDgC4Ue0 [32/42]
梓「聡君の分も作ってきましたから、どうぞ召し上がってください」
律「気を使わせちゃって悪いな」
聡「あの、本当にいいんですか?…」
梓「遠慮しないでいいから、はやく食べましょう」
律「それじゃあ遠慮なく、いただきます」
律「…」モグモグ
梓「…いかがですか?」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 21:08:57.03 ID:6UDgC4Ue0 [33/42]
律「…」ボロボロ
梓(号泣した!?)
聡「お姉ちゃん、これ塩の味がするよ!!」
梓(なに言ってんのこの子!?)
律「久しぶりの塩分だからな、味わって食えよ」
梓(だめだこの二人はやく何とかしないと…)
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 21:19:31.65 ID:6UDgC4Ue0 [34/42]
梓「いったいどんな食生活を送ってきたんですか…」
律「え?三食パンの耳食うのは現代人の常識だろ?」
梓「そんなコモン・センス地球上のどこ探してもありませんから」
律「うちでは当たり前だけどなあ…」
梓「…」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 21:33:40.99 ID:6UDgC4Ue0 [35/42]
梓「それで、聡君はさっきから何してるんですか?…」
聡「このハンバーグを八等分して冷凍保存すれば、向こう三週間は凌げるかなと思って…」
梓「お願いだから今食べて!!」
…しらない間に田井中家は恐ろしい状況になっていたらしい
お弁当だけは毎日作ってあげよう、私は心に誓った
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 21:44:42.02 ID:6UDgC4Ue0 [36/42]
律「久々に満腹になったな~」
梓「食器片付けましょう」
それぞれの食器を台所に運ぶと、水道の蛇口をひねる
梓「…あれ?」
梓(水が出ない…)
律「あ~、今水道止められてるから、このポリタンクに溜めた水を使ってだな…」
梓「ぱーどぅん?」
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 22:00:26.90 ID:6UDgC4Ue0 [37/42]
梓「ちょ、ちょっと待ってください…ということはお風呂なんかも…」
律「失礼な!お風呂ならちゃんと深夜の公園で…」
梓「」ポカーン
律「梓?」
梓「律先輩…いまから私のうちに来てお風呂に入りましょう…」
梓(だめだ、こっちが泣きそうになってしまう…)
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 22:30:01.04 ID:6UDgC4Ue0 [38/42]
梓「せっかくだから聡君も一緒に…」
聡「あっ、自分はエネファームにされると嫌なんでやめときます」
梓「そっか、それじゃしかたないね…」
せっかくシリアスな雰囲気でやってきたのにすっかりぶち壊されてしまった
このままでは読者が離れる可能性があるので、路線を元に戻そう
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 23:09:45.32 ID:6UDgC4Ue0 [40/42]
梓の家
律「ごめんな、いろいろ迷惑かけちゃって…」
梓「迷惑だなんて思ってませんよ、それより早くお風呂に入ってきてください」
律「それじゃ、お言葉に甘えて」
梓「いってらっしゃ~い♪」
梓(さて、律先輩が上がるまでなにしてようかな)
律「ただいまー」
梓「おかえりなs…って上がるのはやっ!」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 23:20:06.42 ID:6UDgC4Ue0 [41/42]
梓「カラスでももっとましな行水しますよ!いったいなにしてたんですか!」
律「だって…無限にお湯が出てるところ見てるとなんだか怖くて…」
梓(なんちゅー考え方だ…)
梓「しょうがないですね…」
律「…」ショボーン
梓「一緒に入ってあげますから…ちゃんと綺麗にしましょう?…」
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 09:43:19.28 ID:BSs1kgOI0 [1/20]
お風呂
律「二人だけで入るのって、ちょっと恥ずかしいな///」
梓(律先輩って意外と照れ屋さんなんだな)
合宿の時と雰囲気が違うせいか私も緊張してきた
律「あのーあんまり見られると恥ずかしいんだけど…///」
いつの間にか律先輩の裸に見とれてしまっていた
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 10:02:06.68 ID:BSs1kgOI0 [2/20]
梓「ご、ごめんなさい…つい…」
律先輩の体は小柄で、華奢で…すこし興奮する
梓「そうだ、背中流しましょうか」
律「あ、ありがとう」
梓「痛くないですか?」ゴシゴシ
律「ん~気持ちいいよ」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 10:26:39.34 ID:BSs1kgOI0 [3/20]
律先輩の背中をこするとアカがたくさん出てきた
梓(これはちょっと入念に洗ってあげないと)
十分後ようやく洗い終えたので、今度は髪を洗ってあげる
律「それくらい自分でやるのに…」
梓「いーからいーから♪」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 11:20:38.91 ID:BSs1kgOI0 [4/20]
律先輩の髪を洗い終えた後、湯船に入る
梓「あれ?律先輩入らないんですか?」
律「いや、二人じゃ入れないだろ」
梓「ここに座ればいいじゃないですか」
膝を指差しながら私が言う
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 11:47:11.97 ID:BSs1kgOI0 [5/20]
律「いや、それは…その///」
梓「どうしたんですか?なにか問題でも?」
律「あの、問題というか…///」
梓(また照れてる、かわいい)
梓「いいから早く入りましょうよ、別々に入るのも面倒ですし」
律「わ、わかったよ!今入るから…///」
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 21:55:15.23 ID:BSs1kgOI0 [9/20]
律先輩が私の膝にちょこんと座る
梓「気持ちいいですか?」
律「う、うん///」
照れている時の律先輩は最高にかわいい、思わずイタズラしたくなる
律「ひゃう!?」
梓「どうしたんですか?」
200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:05:22.71 ID:BSs1kgOI0 [11/20]
律「梓の手が…」
梓「狭いんだから、少しぐらい我慢してください」
もちろんわざとだが、律先輩の反応がかわいいのでそのままにする
律「う、うう……///」
梓(律先輩って意外と押しに弱いんだな)
201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:20:14.57 ID:BSs1kgOI0 [12/20]
首に手を回して、律先輩の体を抱き寄せる
ギュウ
律「ちょ、ちょっとタンマ!」
梓「なんでですか?…」
律「だ、だって///」
梓(じれったいなあ…)
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:28:55.93 ID:BSs1kgOI0 [13/20]
梓「律先輩ちょっとこっち向いてください」
律「ふえ?」
チュ
不意打ち気味に律先輩の唇を奪う
律「んっ…あず、さ…?」
205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:41:15.94 ID:BSs1kgOI0 [14/20]
最初は戸惑っていた律先輩だが、すぐにおとなしくなった
口の中に舌をいれてみる
律「んんっ…ぷはっ…」
息苦しさに耐え切れなかったのか、律先輩が唇を離した
律「はぁ…はぁ…梓ぁ…」
梓「ごめんなさい…もう我慢できません」
律「それってどういう…」
梓「律先輩、襲ってもいいですか…?」
※この後の展開は作者の力量不足のためカットされました
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:55:17.94 ID:BSs1kgOI0 [15/20]
~事後~
梓「律先輩大好き///」
律「順序が逆だろー、普通こういう事する前に言うもんだろ」
梓「いいじゃないですか別に、小さいことですよ」
律「そうかなあ」
梓「それに、律先輩だって悦んでいたじゃないですか」
律「そ、それは私も梓のこと…好きだから///」
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 23:03:05.06 ID:BSs1kgOI0 [17/20]
梓「」
律「どうした?」
梓「律先輩…」
律「は…はい?」
梓「Once again」
ガバッ
律「ぁ、はぁっ…だめ、さっきイッたばかりなのにぃ…」
※
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 23:13:43.97 ID:BSs1kgOI0 [18/20]
一方そのころ田井中家では
聡「姉ちゃん、帰ってくるの遅いなあ」ペタペタ
聡「…」ペタペタ
聡「あ、ずれた…」
聡「…」
聡「なにやってんだろ、俺…」
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 23:54:41.52 ID:BSs1kgOI0 [20/20]
その後、私は律先輩の家に頻繁にいくようになった
聡君とも仲良くなれたし、作った料理を差し入れにいくと律先輩の喜ぶ姿が見れるから…
最近ではそれが楽しみの一つになってきた
梓(明日はどんな献立にしようかな♪)
プルルルルル
梓(電話だ…聡君から?なんの用だろ)
梓「もしもし?」
聡『中野さん!?バイト先で姉ちゃんが…』
224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 00:20:43.17 ID:BGgFd9L/0 [1/16]
病院
梓「聡君…律先輩の容態は…」
聡「お医者さんの話だと、疲労と睡眠不足だけだから心配はいらないって…」
梓「よかったぁ…」ホッ
聡「いまなら面会できますから、中野さんが行ってくれたら姉ちゃんも喜ぶと思います」
梓「ありがとう…聡君」
225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 00:38:56.29 ID:BGgFd9L/0 [2/16]
病室
コンコン
梓(返事がない、寝ちゃってるのかな?)
梓「律せんぱーい勝手に入りますよー」
ガチャ
律「…」
227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 00:50:57.48 ID:BGgFd9L/0 [3/16]
梓「なんだ、起きてるじゃないですか…返事くらいしてくださいよ」
律「あ、梓か…」
梓「律先輩が倒れたって聞いたときはすごく心配したんですよ…」
律「うん、ごめん…」
梓「…どうかしたんですか?」
律「私…今すぐ退院しなきゃ…」
235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 01:14:10.71 ID:BGgFd9L/0 [5/16]
梓「なに言ってんですか!!しばらくは安静にしてなきゃだめですよ!!」
律「でも、私がいなきゃ聡が…」
梓「あ…」
いままで田井中家がギリギリながらも何とか生活できていたのは、律先輩の働きがあったからだ
それが無くなってしまったら、残された聡君だけでは…
律「どうしよう…梓ぁ」
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 01:20:04.78 ID:BGgFd9L/0 [6/16]
律「私が働かなきゃいけないんだ…」
梓「…」
律「でも、またこんなことが起こったら…どうしたらいいとおもう?」
…なにも答えることができない、励ましの言葉もみつからない
私は肝心な時になにもできない駄目な人間だった
律「ごめん、変なこといって」
梓「あの、律せんぱ…」
律「一人にしてくれ」
238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 01:33:16.33 ID:BGgFd9L/0 [7/16]
つくづく自分の情けなさがいやになる
梓(こんな時なのにそばにいてあげることさえできないのか…)
ガチャ
部屋を出た瞬間、見知った顔が目の前に現れる
澪「梓…」
梓「澪先輩…唯先輩にムギ先輩も…」
軽音部のみんながここに集まっていた
240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 01:47:28.15 ID:BGgFd9L/0 [8/16]
澪「聡から全部聞いたよ…お前このこと知ってたんだよな」
梓「…」
澪「なんで私たちに相談しないんだ!!同じ軽音部の仲間だろうが!!」
唯「ちょっと、澪ちゃん…」
澪「自分一人で悩もうとすんなよ…もっと甘えてくれよ…」ボロボロ
ああ、いつか私が律先輩に言った台詞だ…
243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 02:04:28.88 ID:BGgFd9L/0 [9/16]
唯「…私がギター買いたいって言ったとき、みんなでバイトしようって言ってくれたのりっちゃんだったよね」
梓「唯先輩…」
唯「私、あの時の恩返しがしたい…」
澪「私も…律がいなかったら、みんなに出会うことすらなかったんだよな」
梓「ふざけているようで、いちばん軽音部のこと考えてくれてましたよね…」
245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 02:26:44.57 ID:BGgFd9L/0 [10/16]
唯「みんなでさ、私のときみたいにバイトしようよ!!」
突然、唯先輩が閃いたかのように言った
梓「バイト…ですか?」
唯「うん、空いた時間にやるの!一人だけならたいした金額じゃなくても、みんなで頑張れば…」
澪「いける…かもしれないな!!
246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 02:44:13.55 ID:BGgFd9L/0 [11/16]
梓「名案ですよそれ!!ぜひやりましょう!!」
希望が見えてきた、これで律先輩を助けられるかもしれない
唯「それじゃあ!田井中家救出作戦開始!!」
唯澪梓「おーーー!!」
紬「あの~」
唯澪梓「へ?」
紬「みんな私のこと忘れてない?」ニコニコ
………………
唯澪梓「あっ…」
248 名前:デウス・エクス・マキナ[] 投稿日:2010/08/22(日) 02:53:22.54 ID:BGgFd9L/0 [12/16]
結局その後、どうなったかというと…
ムギ先輩が向こう数か月分の入院費用および生活費を全部だしてくれたそうだ
もちろん律先輩は断ろうとしたが…
紬『りっちゃんならそう言うと思って、今回は貸しにしておいたわ』
紬「いずれゆっくりと返してもらうから、よろしくね」ニコニコ
250 名前:そーゆーわけで大団円[] 投稿日:2010/08/22(日) 03:02:32.85 ID:BGgFd9L/0 [13/16]
梓(結局ムギ先輩に全部もってかれちゃったな)
律先輩のご両親も順調に回復に向かっているらしい
狂った歯車は元に戻りつつある…
律先輩「どうしたあずさー考え事か?」
梓「いえ…なんでもありませんよ」
終わりよければ全てよし、何はともあれ一件落着だ
251 名前:そーゆーわけで大団円[] 投稿日:2010/08/22(日) 03:03:20.52 ID:BGgFd9L/0 [14/16]
律「ところでさー」
梓「はい、なんですか?」
律「病院食ってすごい豪華なんだな…」
梓「」
律先輩の貧乏癖が直るのはまだまだ先になりそうだ….
おしまい
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 03:04:50.90 ID:BGgFd9L/0 [15/16]
ひどいオチでスマン、切腹してくる
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 03:08:43.52 ID:BGgFd9L/0 [16/16]
ss書いてる人ってすごいんだな...
やってみて大変さがよくわかったわ
律「お腹空いたな…」
鞄の中からパンの耳を取り出すと黙々とそれを口に運ぶ
ここ最近これしか食べていない
栄養が足りていないせいか、バイト先でも細かなミスが多くなった
しかし、泣きごとは言っていられない
家計を支えるためには長女である私がなんとかしなければいけないのだ
朝は新聞配達、昼間は学校、夜はバイト…毎日これの繰り返し
いつこの生活に終わりが来るのか、
そのことを考えると不安と恐怖で押しつぶされそうになる
律「パンの耳…うめぇなぁ…」
私は泣いていた
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 22:36:22.85 ID:mvJ161Lb0
律「朝か…」
何時間ほど眠れただろう、少しも眠れた気がしない
体を起こして制服に着替えるとそのまま朝の新聞配達に出かける
律「また増紙か、家の場所覚えなきゃ」
自転車が無いので走って配る
朝からのマラソンは正直キツイ
律「はあ・・・はあ・・・やっとおわった・・・」
律「…」グ~
律「お腹減った…」
朝食は食べられない
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 22:46:07.27 ID:mvJ161Lb0
律「おーっす」
澪「遅いぞ!何してたんだ」
律「いや~、昨日夜更かしちゃって」
澪「まったく、遅刻しないうちにさっさと行くぞ」
仕事の後に学校に行くのはとてもつらいが欠席することは無い
眠気も疲れも完璧にはとれていないけど、
自分が休めば軽音部のみんなが心配するから…
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 22:55:25.00 ID:mvJ161Lb0
教師「また居眠りか!!田井中ぁ!!」
律「はい…すいません…」
教師「もういいお前は!!廊下にたってろ!!」
律「…」トボトボ
教師「ったく、ああいう奴がいるから教室の空気が悪くなるんだ」
空腹のせいか怒る気力も沸いてこない
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:05:29.93 ID:mvJ161Lb0
放課後
律「わるい!私もう帰らなきゃ」
澪「また何か用事か?」
紬「まだ練習はじめたばっかりよ」
律「ほんとにごめん、明日はちゃんと参加するから」
澪「ちょっと待て、律!」
バタン
澪「いっちゃった…」
梓「どうしたんですかね、律先輩…」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:15:18.39 ID:mvJ161Lb0
唯「ここ最近変だよね、りっちゃん」
紬「授業中は寝てばかりだし、すごく疲れているみたい」
梓「澪先輩はなにか何か心当たりありませんか?」
澪「それがなにも…」
唯「どうしたんだろうね、りっちゃん…」
結局その日はなんの結論も出ず解散になった
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:23:56.60 ID:mvJ161Lb0
その夜
梓「…」カリカリ
梓「あっ、シャー芯きれた…かえの芯あったかな」ガサゴソ
無い
梓(しかたないコンビニ行くか…)
店員「申し訳ありません、いま在庫の方切らしておりまして…」
店員2「申し訳ありま(ry」
店員3「申し(ry」
梓「まさか三件連続で在庫切れとは…」
梓「けっこう遠いところまで来ちゃったけど、ここならおいてあるかな?」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:37:09.96 ID:mvJ161Lb0
いいかげんにしろよてめえ!!何度いったらわかるんだ!!
中に入ると怒気をはらんだ男のこえが聞こえてきた、裏のほうで誰かが叱られているのだろうか?
梓(うわぁ…めんどくさい場面に出くわしちゃったな、目当てのもの買ったらさっさと帰ろ…)
あまり長居はしたくなかった、他人の怒声を聞き続けるのはあまりいい気持ちではない
シャー芯と夜食のお菓子を手にして、レジへ向かおうとした瞬間…
聞いてんのか!?田井中ぁ!!
梓「……え?」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/19(木) 23:45:56.98 ID:mvJ161Lb0
今…聞き覚えのある名前が呼ばれたような…
梓(ははっ、まさかね…)
律先輩がこんなところでバイトしてるなんて聞いたことが無い
第一、夜間のバイトは校則で禁じられているはずだ、律先輩なわけが無い
梓(やっぱり聞き間違えかな)
ひとしきり怒鳴り終えたのか、声はもう聞こえない
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 00:06:43.09 ID:6UDgC4Ue0 [2/42]
すこしだけ気になったものの会計をすませると、コンビニのそとに出ることにする
しかし、外に出た瞬間私は反射的に立ち止まってしまった
梓「女の人の…泣き声?…」
かすかにだがすすり泣く声がする、しかもこの声どこかで聞いたような…
梓「こっちの方からだ…」
声はコンビニの裏のほうから聞こえた
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 00:17:51.85 ID:6UDgC4Ue0 [3/42]
声のする方向に足を運ぶと顔は暗くてよく見えないが
女の人がうずくまって泣いていた、さっき叱られていた人だろうか…
??「エッグ…ヒッグ…」
梓「あのう…大丈夫ですか?」
さっきのことが気になって声をかけてしまった
彼女は袖で涙をぬぐった後、こっちに顔を向けた
律「あ、梓?…」
梓「律…先輩?…」
その姿は紛れも無く律先輩だった
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 00:31:40.44 ID:6UDgC4Ue0 [4/42]
私は泣きじゃくる律先輩を落ち着かせた後、近所にある公園まで連れて行った
ここなら落ち着いて話ができるだろう
梓「はい、これでも飲んで頭冷やしてください」
律「ん、サンキュ」
…..........
しばらくの間、沈黙が流れる
しかし、いつまでも黙っているわけにはいけない
梓「で、どうしてバイトなんかしてたんですか?」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 00:47:53.81 ID:6UDgC4Ue0 [6/42]
律「実はさ~ずっと前から新しいドラムが欲しくて…」
梓「新しいドラムを買って数年も経ってないのに?」
ギクッ
律「あっ…ああ何かあのドラム私にあわなくてさ~」
梓「私のドラムが世界で一番だぁ~って言ってたの誰でしたっけ?」
ギクギクッ
律「…」
梓「律先輩、本当のこと話してください…」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:09:20.94 ID:6UDgC4Ue0 [7/42]
事の発端は律先輩のお父さんが詐欺によって多額の借金を背負ったことからはじまった
家の全財産を切り崩したおかげで借金は完済できたが、お父さんが心労で倒れてしまった
律先輩がバイトをはじめたのはこの頃だという
梓「その後、どうなったんですか…」
律「お母さんがパートのお仕事はじめてさ、その頃はまだ楽だったんだ…」
律「でもお母さん、昔から体が弱くてさ…耐え切れなかったんだろうなぁ、いろいろとさ…」
梓「…なんで」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:25:58.51 ID:6UDgC4Ue0 [8/42]
梓「なんでずっと隠してたんですか!!水臭いじゃないですか!!」
律「梓…」
梓「私たち軽音部の仲間でしょう!?なんで頼ってくれないんですか!!みんな…律先輩のこと心配してたのに…」
律「話そうとしたさ…でも…」
梓「でも?…」
律「怖かったんだ」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:35:25.98 ID:6UDgC4Ue0 [9/42]
梓「怖いってどういうことですか?…」
律「さっきの場面聞いてたんだろ?最近店長に怒られっぱなしでさ…」
梓「…」
律「あの店長も最初は優しかったんだぜ、廃棄弁当くれたりして」
律「でも私がヘマばかりするようになると、どんどん態度が変わっていってさ…」
律先輩の声がかすれていく
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 01:43:37.32 ID:6UDgC4Ue0 [10/42]
律「最初は同情の目で見てくれていたのが、人を見下した目つきに変わるんだ!!」
律「そうやって“お前は人間の屑だ”って訴えかけてくるんだ!!」
梓「でも、軽音部のみんなは…」
律「ああ…みんなはそんな人間じゃないって信じてたけど…」
梓「だったらどうして…」
律「毎日あの目を見てるとさ…自身がなくなるんだ…」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:06:21.87 ID:6UDgC4Ue0 [12/42]
律「もしみんながあんな冷たい目をするようになったらって考えると、勇気が出なくて…」
律先輩のひとみに涙が浮かぶ
律「そんなふうに…ヒック…考えてしまう自分が嫌で…グズ」
梓「律先輩…」
律先輩は今まで相手のいないボクシングのような戦いを一人で演じてきたのだ
たった一人ぼろぼろになっても、誰にも悟られないように…
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:21:29.19 ID:6UDgC4Ue0 [13/42]
私はいつの間にか律先輩を抱きしめていた
今はただこの小さな先輩を守りたいという気持ちだけがあった
梓「がんばったね…律先輩」
律「梓ぁ…つらかったよ…怖かったよ…」
梓「もういい、もういいから…ね?」
律「うああぁぁぁぁぁあああん」
律先輩は泣いた
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:29:04.16 ID:6UDgC4Ue0 [14/42]
>>57
指摘サンクスもうちょっと勉強してくるわ
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:41:22.94 ID:6UDgC4Ue0 [15/42]
梓「もう大丈夫ですか?」
律「うん、ありがと///」
後輩に抱きしめられたのが恥ずかしかったのか、律先輩は顔を赤らめていた
梓「やっぱり、みんなに打ち明ける気はありませんか…」
律「ごめん…やっぱりまだちょっと怖い…」
梓「そうですか…」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 02:53:49.02 ID:6UDgC4Ue0 [16/42]
律「あの…今日話したことは…」
梓「わかってます、絶対に誰にもいいません…ただし条件があります」
律「条件?…」
梓「まず第一に自分で何もかも背負い込もうとしないで、頼れる人にしっかり頼ること…それから」
律「それから?」
梓「私に律先輩のお手伝いをさせてください!」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 07:59:27.44 ID:6UDgC4Ue0 [20/42]
律「…へ?」
梓「だから、私にも何かさせてくださいって」
律「ちょ、ちょっと待て手伝うって何を…」
梓「さすがに金銭的なことはどうにも出来ませんが、家事とかなら私にもできますから…」
律「でも、本当にいいのか?」
梓「当たり前じゃないですか、むしろあれだけの話を聞いておいて何もしないほうがおかしいですよ」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 08:04:54.30 ID:6UDgC4Ue0 [21/42]
梓「心が折れそうになったらいつでも甘えてください、受け止めてあげますから」
律「梓ぁ…」ボロボロ
梓「あ~もう泣かないでください」ヨシヨシ
律先輩がこんなに泣いているところをみるのは初めてだ
でもやっぱり律先輩は笑っているときのほうがいいと思った
梓「もう夜も遅いですから一緒に帰りましょう?」
律「うん…ありがとう」
律先輩を家に送りとどけた後、自分も帰路につくことにする
終始泣きじゃくっていた彼女だが、別れるときに一瞬だけ笑顔を見せてくれた
愛想笑いじゃない、律先輩の本当の笑顔を久しぶりに見れた気がする
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 13:30:27.23 ID:6UDgC4Ue0 [23/42]
次の休日
私は律先輩の家に来ていた
梓(律先輩の家にくるの久しぶりだな)
いつだったか律先輩の手料理をご馳走してもらったことがあったっけ…
あのときのお礼じゃないけど、今日はお弁当を差し入れとして持ってきた
律先輩が喜んでくれるといいな…
ピンポーン
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 13:43:52.63 ID:6UDgC4Ue0 [24/42]
ガチャ
律先輩の弟さんが出てきた
聡「えーと…中野さんでしたっけ…姉ちゃんからお通しするよう言われてるので、どうぞ上がってください」
梓「あ、あの~律先輩は?」
聡「姉ちゃんは朝からバイトにいってますけど、もうすぐ帰ってくるので…」
梓「あ、そうですか」
休日の朝からバイトか…大変なんだな律先輩…
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 13:48:00.53 ID:6UDgC4Ue0 [25/42]
聡「…」ペタペタ
梓「…」ジー
聡「…」ペタペタ
梓「…なにしてるの?」
聡「シール貼りの内職です」ペタペタ
梓「そっか…」
聡「…」ペタペタ
梓「ねえ、わたしも手伝っていい?」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 14:19:02.87 ID:6UDgC4Ue0 [26/42]
梓「…」ペタペタ
梓(結構時間かかるなこれ…)
聡「…」ササッ
梓(は、早いっ…)
聡「…」フフン
梓(う~やってやるです!)
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:02:08.52 ID:6UDgC4Ue0 [28/42]
聡「…」ペタペタア!!
梓(またスピードが上がった!?こっちも負けてられんです!!)ペタペタペタペタペアア!!!
律「何してんだお前ら」
ぺたぺたぺた
律「おい…」
ぺたぺたぺたぺたぺたぺた
律「あの…ちょっと……」
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた
律「…」シュン
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:12:47.24 ID:6UDgC4Ue0 [29/42]
梓「終わったぁ!!!」
聡「ちくしょう…素人に負けた…」
梓「これでキング・オブ・ペタリストの称号は私のものですね」ドヤッ
聡「ちくしょう…ちくしょう…」
梓(あれ…でもなーんか忘れてるような…)
律「…」
梓「あ゙…」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:24:55.01 ID:6UDgC4Ue0 [30/42]
梓「いつからここに…」
律「…」
梓「あの~律先輩?」
律「…」プイ
どうやらずっとまえから帰ってきてたらしい
無視されたのが傷ついたのか、すっかりいじけちゃってるみたいだ
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:44:24.75 ID:6UDgC4Ue0 [31/42]
梓「機嫌直してくださいよう…」
律「…」ツーン
梓「無視したことは謝りますから…」
律「…」
梓「ほら、律先輩のためにお弁当も作ってきたんですよ」
律「…」ピクッ
梓(分かりやすいなあ)
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 20:57:43.00 ID:6UDgC4Ue0 [32/42]
梓「聡君の分も作ってきましたから、どうぞ召し上がってください」
律「気を使わせちゃって悪いな」
聡「あの、本当にいいんですか?…」
梓「遠慮しないでいいから、はやく食べましょう」
律「それじゃあ遠慮なく、いただきます」
律「…」モグモグ
梓「…いかがですか?」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 21:08:57.03 ID:6UDgC4Ue0 [33/42]
律「…」ボロボロ
梓(号泣した!?)
聡「お姉ちゃん、これ塩の味がするよ!!」
梓(なに言ってんのこの子!?)
律「久しぶりの塩分だからな、味わって食えよ」
梓(だめだこの二人はやく何とかしないと…)
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 21:19:31.65 ID:6UDgC4Ue0 [34/42]
梓「いったいどんな食生活を送ってきたんですか…」
律「え?三食パンの耳食うのは現代人の常識だろ?」
梓「そんなコモン・センス地球上のどこ探してもありませんから」
律「うちでは当たり前だけどなあ…」
梓「…」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 21:33:40.99 ID:6UDgC4Ue0 [35/42]
梓「それで、聡君はさっきから何してるんですか?…」
聡「このハンバーグを八等分して冷凍保存すれば、向こう三週間は凌げるかなと思って…」
梓「お願いだから今食べて!!」
…しらない間に田井中家は恐ろしい状況になっていたらしい
お弁当だけは毎日作ってあげよう、私は心に誓った
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 21:44:42.02 ID:6UDgC4Ue0 [36/42]
律「久々に満腹になったな~」
梓「食器片付けましょう」
それぞれの食器を台所に運ぶと、水道の蛇口をひねる
梓「…あれ?」
梓(水が出ない…)
律「あ~、今水道止められてるから、このポリタンクに溜めた水を使ってだな…」
梓「ぱーどぅん?」
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 22:00:26.90 ID:6UDgC4Ue0 [37/42]
梓「ちょ、ちょっと待ってください…ということはお風呂なんかも…」
律「失礼な!お風呂ならちゃんと深夜の公園で…」
梓「」ポカーン
律「梓?」
梓「律先輩…いまから私のうちに来てお風呂に入りましょう…」
梓(だめだ、こっちが泣きそうになってしまう…)
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 22:30:01.04 ID:6UDgC4Ue0 [38/42]
梓「せっかくだから聡君も一緒に…」
聡「あっ、自分はエネファームにされると嫌なんでやめときます」
梓「そっか、それじゃしかたないね…」
せっかくシリアスな雰囲気でやってきたのにすっかりぶち壊されてしまった
このままでは読者が離れる可能性があるので、路線を元に戻そう
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 23:09:45.32 ID:6UDgC4Ue0 [40/42]
梓の家
律「ごめんな、いろいろ迷惑かけちゃって…」
梓「迷惑だなんて思ってませんよ、それより早くお風呂に入ってきてください」
律「それじゃ、お言葉に甘えて」
梓「いってらっしゃ~い♪」
梓(さて、律先輩が上がるまでなにしてようかな)
律「ただいまー」
梓「おかえりなs…って上がるのはやっ!」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/20(金) 23:20:06.42 ID:6UDgC4Ue0 [41/42]
梓「カラスでももっとましな行水しますよ!いったいなにしてたんですか!」
律「だって…無限にお湯が出てるところ見てるとなんだか怖くて…」
梓(なんちゅー考え方だ…)
梓「しょうがないですね…」
律「…」ショボーン
梓「一緒に入ってあげますから…ちゃんと綺麗にしましょう?…」
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 09:43:19.28 ID:BSs1kgOI0 [1/20]
お風呂
律「二人だけで入るのって、ちょっと恥ずかしいな///」
梓(律先輩って意外と照れ屋さんなんだな)
合宿の時と雰囲気が違うせいか私も緊張してきた
律「あのーあんまり見られると恥ずかしいんだけど…///」
いつの間にか律先輩の裸に見とれてしまっていた
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 10:02:06.68 ID:BSs1kgOI0 [2/20]
梓「ご、ごめんなさい…つい…」
律先輩の体は小柄で、華奢で…すこし興奮する
梓「そうだ、背中流しましょうか」
律「あ、ありがとう」
梓「痛くないですか?」ゴシゴシ
律「ん~気持ちいいよ」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 10:26:39.34 ID:BSs1kgOI0 [3/20]
律先輩の背中をこするとアカがたくさん出てきた
梓(これはちょっと入念に洗ってあげないと)
十分後ようやく洗い終えたので、今度は髪を洗ってあげる
律「それくらい自分でやるのに…」
梓「いーからいーから♪」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 11:20:38.91 ID:BSs1kgOI0 [4/20]
律先輩の髪を洗い終えた後、湯船に入る
梓「あれ?律先輩入らないんですか?」
律「いや、二人じゃ入れないだろ」
梓「ここに座ればいいじゃないですか」
膝を指差しながら私が言う
164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 11:47:11.97 ID:BSs1kgOI0 [5/20]
律「いや、それは…その///」
梓「どうしたんですか?なにか問題でも?」
律「あの、問題というか…///」
梓(また照れてる、かわいい)
梓「いいから早く入りましょうよ、別々に入るのも面倒ですし」
律「わ、わかったよ!今入るから…///」
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 21:55:15.23 ID:BSs1kgOI0 [9/20]
律先輩が私の膝にちょこんと座る
梓「気持ちいいですか?」
律「う、うん///」
照れている時の律先輩は最高にかわいい、思わずイタズラしたくなる
律「ひゃう!?」
梓「どうしたんですか?」
200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:05:22.71 ID:BSs1kgOI0 [11/20]
律「梓の手が…」
梓「狭いんだから、少しぐらい我慢してください」
もちろんわざとだが、律先輩の反応がかわいいのでそのままにする
律「う、うう……///」
梓(律先輩って意外と押しに弱いんだな)
201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:20:14.57 ID:BSs1kgOI0 [12/20]
首に手を回して、律先輩の体を抱き寄せる
ギュウ
律「ちょ、ちょっとタンマ!」
梓「なんでですか?…」
律「だ、だって///」
梓(じれったいなあ…)
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:28:55.93 ID:BSs1kgOI0 [13/20]
梓「律先輩ちょっとこっち向いてください」
律「ふえ?」
チュ
不意打ち気味に律先輩の唇を奪う
律「んっ…あず、さ…?」
205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:41:15.94 ID:BSs1kgOI0 [14/20]
最初は戸惑っていた律先輩だが、すぐにおとなしくなった
口の中に舌をいれてみる
律「んんっ…ぷはっ…」
息苦しさに耐え切れなかったのか、律先輩が唇を離した
律「はぁ…はぁ…梓ぁ…」
梓「ごめんなさい…もう我慢できません」
律「それってどういう…」
梓「律先輩、襲ってもいいですか…?」
※この後の展開は作者の力量不足のためカットされました
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 22:55:17.94 ID:BSs1kgOI0 [15/20]
~事後~
梓「律先輩大好き///」
律「順序が逆だろー、普通こういう事する前に言うもんだろ」
梓「いいじゃないですか別に、小さいことですよ」
律「そうかなあ」
梓「それに、律先輩だって悦んでいたじゃないですか」
律「そ、それは私も梓のこと…好きだから///」
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 23:03:05.06 ID:BSs1kgOI0 [17/20]
梓「」
律「どうした?」
梓「律先輩…」
律「は…はい?」
梓「Once again」
ガバッ
律「ぁ、はぁっ…だめ、さっきイッたばかりなのにぃ…」
※
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 23:13:43.97 ID:BSs1kgOI0 [18/20]
一方そのころ田井中家では
聡「姉ちゃん、帰ってくるの遅いなあ」ペタペタ
聡「…」ペタペタ
聡「あ、ずれた…」
聡「…」
聡「なにやってんだろ、俺…」
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/21(土) 23:54:41.52 ID:BSs1kgOI0 [20/20]
その後、私は律先輩の家に頻繁にいくようになった
聡君とも仲良くなれたし、作った料理を差し入れにいくと律先輩の喜ぶ姿が見れるから…
最近ではそれが楽しみの一つになってきた
梓(明日はどんな献立にしようかな♪)
プルルルルル
梓(電話だ…聡君から?なんの用だろ)
梓「もしもし?」
聡『中野さん!?バイト先で姉ちゃんが…』
224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 00:20:43.17 ID:BGgFd9L/0 [1/16]
病院
梓「聡君…律先輩の容態は…」
聡「お医者さんの話だと、疲労と睡眠不足だけだから心配はいらないって…」
梓「よかったぁ…」ホッ
聡「いまなら面会できますから、中野さんが行ってくれたら姉ちゃんも喜ぶと思います」
梓「ありがとう…聡君」
225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 00:38:56.29 ID:BGgFd9L/0 [2/16]
病室
コンコン
梓(返事がない、寝ちゃってるのかな?)
梓「律せんぱーい勝手に入りますよー」
ガチャ
律「…」
227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 00:50:57.48 ID:BGgFd9L/0 [3/16]
梓「なんだ、起きてるじゃないですか…返事くらいしてくださいよ」
律「あ、梓か…」
梓「律先輩が倒れたって聞いたときはすごく心配したんですよ…」
律「うん、ごめん…」
梓「…どうかしたんですか?」
律「私…今すぐ退院しなきゃ…」
235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 01:14:10.71 ID:BGgFd9L/0 [5/16]
梓「なに言ってんですか!!しばらくは安静にしてなきゃだめですよ!!」
律「でも、私がいなきゃ聡が…」
梓「あ…」
いままで田井中家がギリギリながらも何とか生活できていたのは、律先輩の働きがあったからだ
それが無くなってしまったら、残された聡君だけでは…
律「どうしよう…梓ぁ」
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 01:20:04.78 ID:BGgFd9L/0 [6/16]
律「私が働かなきゃいけないんだ…」
梓「…」
律「でも、またこんなことが起こったら…どうしたらいいとおもう?」
…なにも答えることができない、励ましの言葉もみつからない
私は肝心な時になにもできない駄目な人間だった
律「ごめん、変なこといって」
梓「あの、律せんぱ…」
律「一人にしてくれ」
238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 01:33:16.33 ID:BGgFd9L/0 [7/16]
つくづく自分の情けなさがいやになる
梓(こんな時なのにそばにいてあげることさえできないのか…)
ガチャ
部屋を出た瞬間、見知った顔が目の前に現れる
澪「梓…」
梓「澪先輩…唯先輩にムギ先輩も…」
軽音部のみんながここに集まっていた
240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 01:47:28.15 ID:BGgFd9L/0 [8/16]
澪「聡から全部聞いたよ…お前このこと知ってたんだよな」
梓「…」
澪「なんで私たちに相談しないんだ!!同じ軽音部の仲間だろうが!!」
唯「ちょっと、澪ちゃん…」
澪「自分一人で悩もうとすんなよ…もっと甘えてくれよ…」ボロボロ
ああ、いつか私が律先輩に言った台詞だ…
243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 02:04:28.88 ID:BGgFd9L/0 [9/16]
唯「…私がギター買いたいって言ったとき、みんなでバイトしようって言ってくれたのりっちゃんだったよね」
梓「唯先輩…」
唯「私、あの時の恩返しがしたい…」
澪「私も…律がいなかったら、みんなに出会うことすらなかったんだよな」
梓「ふざけているようで、いちばん軽音部のこと考えてくれてましたよね…」
245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 02:26:44.57 ID:BGgFd9L/0 [10/16]
唯「みんなでさ、私のときみたいにバイトしようよ!!」
突然、唯先輩が閃いたかのように言った
梓「バイト…ですか?」
唯「うん、空いた時間にやるの!一人だけならたいした金額じゃなくても、みんなで頑張れば…」
澪「いける…かもしれないな!!
246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 02:44:13.55 ID:BGgFd9L/0 [11/16]
梓「名案ですよそれ!!ぜひやりましょう!!」
希望が見えてきた、これで律先輩を助けられるかもしれない
唯「それじゃあ!田井中家救出作戦開始!!」
唯澪梓「おーーー!!」
紬「あの~」
唯澪梓「へ?」
紬「みんな私のこと忘れてない?」ニコニコ
………………
唯澪梓「あっ…」
248 名前:デウス・エクス・マキナ[] 投稿日:2010/08/22(日) 02:53:22.54 ID:BGgFd9L/0 [12/16]
結局その後、どうなったかというと…
ムギ先輩が向こう数か月分の入院費用および生活費を全部だしてくれたそうだ
もちろん律先輩は断ろうとしたが…
紬『りっちゃんならそう言うと思って、今回は貸しにしておいたわ』
紬「いずれゆっくりと返してもらうから、よろしくね」ニコニコ
250 名前:そーゆーわけで大団円[] 投稿日:2010/08/22(日) 03:02:32.85 ID:BGgFd9L/0 [13/16]
梓(結局ムギ先輩に全部もってかれちゃったな)
律先輩のご両親も順調に回復に向かっているらしい
狂った歯車は元に戻りつつある…
律先輩「どうしたあずさー考え事か?」
梓「いえ…なんでもありませんよ」
終わりよければ全てよし、何はともあれ一件落着だ
251 名前:そーゆーわけで大団円[] 投稿日:2010/08/22(日) 03:03:20.52 ID:BGgFd9L/0 [14/16]
律「ところでさー」
梓「はい、なんですか?」
律「病院食ってすごい豪華なんだな…」
梓「」
律先輩の貧乏癖が直るのはまだまだ先になりそうだ….
おしまい
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 03:04:50.90 ID:BGgFd9L/0 [15/16]
ひどいオチでスマン、切腹してくる
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/22(日) 03:08:43.52 ID:BGgFd9L/0 [16/16]
ss書いてる人ってすごいんだな...
やってみて大変さがよくわかったわ
<<和「唯、頭をよくしてあげる」など | ホーム | コナン「最近推理するのしんどい」>>
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