スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
垣根×麦野
421 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:46:32.31 ID:00slXHU0 [1/9]
激短い小ネタですが。
救いなしの殺伐とした暗部垣根麦野も少しだけ書きたくなって。
かっとなってやってしまったブツです。
6レスお借りします。
激短い小ネタですが。
救いなしの殺伐とした暗部垣根麦野も少しだけ書きたくなって。
かっとなってやってしまったブツです。
6レスお借りします。
422 名前:垣根×麦野 1/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:48:26.66 ID:00slXHU0 [2/9]
突如、麦野の周囲に現れた青白く輝く光線は、空気中に放たれた拡散支援半導体(シリコンバーン)にぶつかり四散した。
垣根は能力で発現させた白い翼で自身を包み込む。超高速で宙を駆ける無数の細い光線が白い翼へ容赦なく降り注ぐ。
ドガガガガガッ!!
人の手から離れて幾年も放置されていた廃工場の中に凄まじい轟音が鳴り響いた。
床に蓄積されていた埃が風にまう。麦野は鼻をむず痒くさせる空気に思わず舌打ちをした。
白い翼と粒機波形高速砲の衝突で生まれた煙が辺りに広まり、やがて薄れていく。
「あっぶねえな。突然襲ってくるなんて、フェアプレーって言葉知らないのか? 原子崩し」
煙の中からゆらりと1つの影が動いたのが見えて、麦野が眉をしかめる。
白い翼にぶつかって進路を強制的に変えられた光線は、廃工場の壁にいくつもの穴を作っていた。
それらの穴から、轟っ、と強い風が廃工場の中に流れてくる。
煙も埃も一瞬にして風に攫われて、麦野と垣根の視界は急にクリアなものとなった。
「チッ、殺り損ねたか」
取り逃がした獲物が姿を現したことを確認した麦野は、鋭い眼光を垣根へと突き付けた。
423 名前:垣根×麦野 2/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:50:42.45 ID:00slXHU0 [3/9]
「もったいない。そんな顔すると、せっかくの美人が台無しだぜ?」
麦野の攻撃にも牽制にも、垣根は余裕の表情を崩さない。
「ふんっ。相変わらずムカつく野郎ね、アンタ。
その余裕アリアリみたいな態度。自分が偉いとでも思ってんのかにゃー?
俺様なんて今時モテねーよ。猫なんざ被るのやめてさっさと本性だせや、未元物質さんよぉッ!!」
「どんなに見た目がキレイでも、出てくる言葉が下劣だと、男を萎えさせるだけだぞ」
「あぁ!? てめぇ何ぞに媚びうる必要なんてねぇだろっ!」
「だから、そんな形相で睨むなよ……」
鬼のような形相で睨んでくる麦野を見て、垣根は小さくため息をつく。
白い霧となって消えていった吐息とともに、今の現状を苦々しく感じる未練たらたらの情念を、垣根はつい漏らしてしまう。
「―――ったく、俺の腕の中で可愛く鳴いてた女は何処にいった?」
そう、遠い昔の話ではない。
乱雑に閉められたカーテンの隙間から差し込む日差しで眼を覚ました女が、
女の腰に手をまわし強く抱きしめて顔を覗き込む男に、重い瞼を擦りながら「おはよう、帝督」と天使のように微笑んだのは、つい先月のこと。
「―――てめぇの目は節穴かよ。目の前に立ちふさがってる奴の顔も見えないほど、視力ガタ落ちでもしたか?」
天使の笑みを浮かべていた女は今、悪魔のような笑みを浮かべて男を地獄へと誘う。
424 名前:垣根×麦野 3/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:52:40.91 ID:00slXHU0 [4/9]
互いに、まっとうな道を進んできたとは言い難い。
幼いころに超能力者として頂点を極めてから、暗部へ真っ逆さまに落ちていったくだらない人生だった。
垣根は暗部組織『スクール』の、麦野は暗部組織『アイテム』のリーダーとして、学園都市の闇で暗躍を繰り広げる日々。
血と暴力、それだけの世界に、2人はいつしか疲れ切っていた。
「っ痛~い……」
「おい、大丈夫か?」
パンプスのヒールが突然折れて路上で転んでしまった麦野に、偶然垣根が声をかけた。
それが、2人の出会い。
日常の中での出会いに、超能力者も、暗部も、関係なかった。
「お店までつきあってくれてありがとう。私、貸しとかつくるの嫌いなの、だから今度ご飯でも奢るわ」
「君みたいな綺麗な人とデートできるなんて光栄だね。連絡、待ってる」
夜景のきれいなイタリアンレストランでの初めてのデートは、麦野の殺伐とした意見がきっかけだった。
2人は、ただただ、どうでもいいような話題で何時間も笑い続けた。楽しい時間はあっという間に過ぎた。
「……また、会える?」
「ああ、いつでも会いにいく」
もう会えないことが凄く名残惜しくて、麦野は垣根に次の約束をお願いした。
垣根は寂しそうに肩を小さくさせる麦野を無理やり抱きしめて、その可愛らしい唇に小鳥のような口付けを落とした。
そうやって、2人の恋ははじまった。
425 名前:垣根×麦野 4/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:55:15.65 ID:00slXHU0 [5/9]
恋がはじまった春は、小鳥のように愛を囀り頬を寄せ合った。
体温の心地よさを知った夏は、全身が汗だくになっても互いを求めて止まなかった。
冷たい風に身を寄せ合った秋は、わざわざ言葉にしなくても愛を信じられるようになった。
―――けれど、白い雪に見守られるはずだった冬は、とうとう訪れなかった。
出会って、恋をして。
少しづつ、不器用な手つきで2人で綴った幸せな時間は、季節を巡ることなく終止符がうたれた。
垣根も麦野も、学園都市の闇に翻弄され続けた人生を送ってきた。
壊れてしまわぬように大切に包んで守っていた想いもまた、学園都市の闇の前に無残にも引き裂かれた。
楽しい時間はあっという間に過ぎた。
血と暴力、それだけの世界に、2人はまた舞い戻る。
426 名前:垣根×麦野 5/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:58:14.88 ID:00slXHU0 [6/9]
「……なぁ、沈利」
垣根の脳裏には麦野との想い出が、走馬灯のように映し出されていた。
「原子崩し」ではなく、呼びなれた彼女の名を垣根は口にする。
この世の不条理をまだ受け入れることが出来なくて、垣根は苦虫を噛むように声を荒げた。
「沈利、俺さ。お前のことが、好きなんだ」
麦野がいつもせがんでいたのに、恥ずかしいからと突っぱねてきた言葉を、今ようやく垣根は紡いだ。
高飛車で傍若無人な麦野のわがままに付き合わされる日々が、どんなに大切だったか。
いつも虚勢ばかりはって不器用にしか生きられない麦野が、どんなに愛しいか。
それらがどれほど自分を救ってくれていたか。
今この瞬間に、垣根は嫌というほど思い知らされていた。
「……帝督。私も、アンタの事が好きよ」
ようやく聞けた垣根の言葉に気が緩んで、ふいに麦野も自分の正直な気持ちを伝える。
メールするたびに、電話するたびに、身体を重ねるたびに垣根に告げた言葉。
仕方ねえなと困ったように笑って垣根が付き合ってくれた日々が、どんなに大切だったか。
一人ぼっちだった自分を見つけ出してくれた優しい垣根が、どんなに愛しいか。
それらがどんなに自分に光を与えてくれたか。
麦野もまた、今この瞬間に嫌というほど思い知らされていた。
「好き」といった後に、かなしげな目つきで「ううん」と麦野は小さく首を振った。
427 名前:垣根×麦野 6/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 22:00:07.17 ID:00slXHU0 [7/9]
「ううん。愛してるわ、帝督。今も、昔も。―――これからだって」
ずっとずっと愛している、と震える声で。
麦野は、そう言った。
「俺も、愛してるよ。沈利」
垣根がつられる様に言葉を紡いだ。
「うん、だから。アンタの事、愛してるから。私がこの世で1番アンタの事愛してるから」
―――――だから、私がアンタを殺す。
狂おしく踊る歪んだ人形のように、ごめんなさいと泣いて謝る子どものように、麦野は口を弓形にして微笑んだ。
「…………ハッ、とんだ愛の囁きだな。『原子崩し』」
「クソ嬉しくもないお褒めの言葉ありがとう。『未元物質』」
もう、垣根は麦野のことを「沈利」とは呼ばなかった。
もう、麦野は垣根のことを「帝督」とは呼ばなかった。
ポッポッポッ、と再び麦野の周囲に白い光線を放つ玉が現れる。
垣根は六枚の翼の一翼をゆらりと動かし、麦野の動きを牽制する。
轟ッ!!!
人気のいない廃工場の中に、再び戦いの音が木霊した。
430 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 22:06:50.98 ID:00slXHU0 [8/9]
意味不明だけど、暗部垣根麦野でした。
垣根麦野好きがもっと増えればいいなぁと思う今日この頃。
お邪魔しましたー。
突如、麦野の周囲に現れた青白く輝く光線は、空気中に放たれた拡散支援半導体(シリコンバーン)にぶつかり四散した。
垣根は能力で発現させた白い翼で自身を包み込む。超高速で宙を駆ける無数の細い光線が白い翼へ容赦なく降り注ぐ。
ドガガガガガッ!!
人の手から離れて幾年も放置されていた廃工場の中に凄まじい轟音が鳴り響いた。
床に蓄積されていた埃が風にまう。麦野は鼻をむず痒くさせる空気に思わず舌打ちをした。
白い翼と粒機波形高速砲の衝突で生まれた煙が辺りに広まり、やがて薄れていく。
「あっぶねえな。突然襲ってくるなんて、フェアプレーって言葉知らないのか? 原子崩し」
煙の中からゆらりと1つの影が動いたのが見えて、麦野が眉をしかめる。
白い翼にぶつかって進路を強制的に変えられた光線は、廃工場の壁にいくつもの穴を作っていた。
それらの穴から、轟っ、と強い風が廃工場の中に流れてくる。
煙も埃も一瞬にして風に攫われて、麦野と垣根の視界は急にクリアなものとなった。
「チッ、殺り損ねたか」
取り逃がした獲物が姿を現したことを確認した麦野は、鋭い眼光を垣根へと突き付けた。
423 名前:垣根×麦野 2/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:50:42.45 ID:00slXHU0 [3/9]
「もったいない。そんな顔すると、せっかくの美人が台無しだぜ?」
麦野の攻撃にも牽制にも、垣根は余裕の表情を崩さない。
「ふんっ。相変わらずムカつく野郎ね、アンタ。
その余裕アリアリみたいな態度。自分が偉いとでも思ってんのかにゃー?
俺様なんて今時モテねーよ。猫なんざ被るのやめてさっさと本性だせや、未元物質さんよぉッ!!」
「どんなに見た目がキレイでも、出てくる言葉が下劣だと、男を萎えさせるだけだぞ」
「あぁ!? てめぇ何ぞに媚びうる必要なんてねぇだろっ!」
「だから、そんな形相で睨むなよ……」
鬼のような形相で睨んでくる麦野を見て、垣根は小さくため息をつく。
白い霧となって消えていった吐息とともに、今の現状を苦々しく感じる未練たらたらの情念を、垣根はつい漏らしてしまう。
「―――ったく、俺の腕の中で可愛く鳴いてた女は何処にいった?」
そう、遠い昔の話ではない。
乱雑に閉められたカーテンの隙間から差し込む日差しで眼を覚ました女が、
女の腰に手をまわし強く抱きしめて顔を覗き込む男に、重い瞼を擦りながら「おはよう、帝督」と天使のように微笑んだのは、つい先月のこと。
「―――てめぇの目は節穴かよ。目の前に立ちふさがってる奴の顔も見えないほど、視力ガタ落ちでもしたか?」
天使の笑みを浮かべていた女は今、悪魔のような笑みを浮かべて男を地獄へと誘う。
424 名前:垣根×麦野 3/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:52:40.91 ID:00slXHU0 [4/9]
互いに、まっとうな道を進んできたとは言い難い。
幼いころに超能力者として頂点を極めてから、暗部へ真っ逆さまに落ちていったくだらない人生だった。
垣根は暗部組織『スクール』の、麦野は暗部組織『アイテム』のリーダーとして、学園都市の闇で暗躍を繰り広げる日々。
血と暴力、それだけの世界に、2人はいつしか疲れ切っていた。
「っ痛~い……」
「おい、大丈夫か?」
パンプスのヒールが突然折れて路上で転んでしまった麦野に、偶然垣根が声をかけた。
それが、2人の出会い。
日常の中での出会いに、超能力者も、暗部も、関係なかった。
「お店までつきあってくれてありがとう。私、貸しとかつくるの嫌いなの、だから今度ご飯でも奢るわ」
「君みたいな綺麗な人とデートできるなんて光栄だね。連絡、待ってる」
夜景のきれいなイタリアンレストランでの初めてのデートは、麦野の殺伐とした意見がきっかけだった。
2人は、ただただ、どうでもいいような話題で何時間も笑い続けた。楽しい時間はあっという間に過ぎた。
「……また、会える?」
「ああ、いつでも会いにいく」
もう会えないことが凄く名残惜しくて、麦野は垣根に次の約束をお願いした。
垣根は寂しそうに肩を小さくさせる麦野を無理やり抱きしめて、その可愛らしい唇に小鳥のような口付けを落とした。
そうやって、2人の恋ははじまった。
425 名前:垣根×麦野 4/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:55:15.65 ID:00slXHU0 [5/9]
恋がはじまった春は、小鳥のように愛を囀り頬を寄せ合った。
体温の心地よさを知った夏は、全身が汗だくになっても互いを求めて止まなかった。
冷たい風に身を寄せ合った秋は、わざわざ言葉にしなくても愛を信じられるようになった。
―――けれど、白い雪に見守られるはずだった冬は、とうとう訪れなかった。
出会って、恋をして。
少しづつ、不器用な手つきで2人で綴った幸せな時間は、季節を巡ることなく終止符がうたれた。
垣根も麦野も、学園都市の闇に翻弄され続けた人生を送ってきた。
壊れてしまわぬように大切に包んで守っていた想いもまた、学園都市の闇の前に無残にも引き裂かれた。
楽しい時間はあっという間に過ぎた。
血と暴力、それだけの世界に、2人はまた舞い戻る。
426 名前:垣根×麦野 5/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 21:58:14.88 ID:00slXHU0 [6/9]
「……なぁ、沈利」
垣根の脳裏には麦野との想い出が、走馬灯のように映し出されていた。
「原子崩し」ではなく、呼びなれた彼女の名を垣根は口にする。
この世の不条理をまだ受け入れることが出来なくて、垣根は苦虫を噛むように声を荒げた。
「沈利、俺さ。お前のことが、好きなんだ」
麦野がいつもせがんでいたのに、恥ずかしいからと突っぱねてきた言葉を、今ようやく垣根は紡いだ。
高飛車で傍若無人な麦野のわがままに付き合わされる日々が、どんなに大切だったか。
いつも虚勢ばかりはって不器用にしか生きられない麦野が、どんなに愛しいか。
それらがどれほど自分を救ってくれていたか。
今この瞬間に、垣根は嫌というほど思い知らされていた。
「……帝督。私も、アンタの事が好きよ」
ようやく聞けた垣根の言葉に気が緩んで、ふいに麦野も自分の正直な気持ちを伝える。
メールするたびに、電話するたびに、身体を重ねるたびに垣根に告げた言葉。
仕方ねえなと困ったように笑って垣根が付き合ってくれた日々が、どんなに大切だったか。
一人ぼっちだった自分を見つけ出してくれた優しい垣根が、どんなに愛しいか。
それらがどんなに自分に光を与えてくれたか。
麦野もまた、今この瞬間に嫌というほど思い知らされていた。
「好き」といった後に、かなしげな目つきで「ううん」と麦野は小さく首を振った。
427 名前:垣根×麦野 6/6[saga] 投稿日:2010/05/05(水) 22:00:07.17 ID:00slXHU0 [7/9]
「ううん。愛してるわ、帝督。今も、昔も。―――これからだって」
ずっとずっと愛している、と震える声で。
麦野は、そう言った。
「俺も、愛してるよ。沈利」
垣根がつられる様に言葉を紡いだ。
「うん、だから。アンタの事、愛してるから。私がこの世で1番アンタの事愛してるから」
―――――だから、私がアンタを殺す。
狂おしく踊る歪んだ人形のように、ごめんなさいと泣いて謝る子どものように、麦野は口を弓形にして微笑んだ。
「…………ハッ、とんだ愛の囁きだな。『原子崩し』」
「クソ嬉しくもないお褒めの言葉ありがとう。『未元物質』」
もう、垣根は麦野のことを「沈利」とは呼ばなかった。
もう、麦野は垣根のことを「帝督」とは呼ばなかった。
ポッポッポッ、と再び麦野の周囲に白い光線を放つ玉が現れる。
垣根は六枚の翼の一翼をゆらりと動かし、麦野の動きを牽制する。
轟ッ!!!
人気のいない廃工場の中に、再び戦いの音が木霊した。
430 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] 投稿日:2010/05/05(水) 22:06:50.98 ID:00slXHU0 [8/9]
意味不明だけど、暗部垣根麦野でした。
垣根麦野好きがもっと増えればいいなぁと思う今日この頃。
お邪魔しましたー。
Tag : とあるSS総合スレ
<<流浪人 | ホーム | とある休日の黄泉川家>>
コメント
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |