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垣根帝督「あれが超電磁砲か……」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 01:11:27.51 ID:xiGyG3mY0 [1/31]
常盤台中学のエース、学園都市の広告塔といえば、<超電磁砲>御坂美琴だ。
こうしてみるかぎり、ちょっと勝気で、強そうなヤツ、珍しいヤツにくらいつく習性があるのを除けば
学園都市によくいる、平凡な女学生のひとりに過ぎない。

ここは学園都市内によくあるファミレス。
垣根はコーヒーを飲みながら、こちらの監視にも気づいていない御坂と、その後輩を見ていた。
からかい、突っ込み、スキンシップし、混ぜっ返す。
たまに学校や実験、開発のことなどを話す。


垣根「あれが超電磁砲か……」

垣根は路地裏を歩いていた。
今日は結局、たいした情報は得られなかった。
スキルアウトにからまれたり(自分から食って掛かったような場面も見られたが)、それを撃退した程度だ。
一週間ほど尾行をしたが、超電磁砲の肝心の能力はさして見られない。
手加減して使っている能力など、垣根にとってはデータでないのと同じだ。
自分のほうが同じ超能力者(レベル5)であっても、序列が高いという傲慢ではなく。
純粋な解析で、日常における超電磁砲は、<未元物質>垣根帝督に及ばない。

とはいえ、手出しはできない。もともと、いずれ仕事における脅威になるのではないかという予見による偵察だ。
垣根がリーダーを務める組織「スクール」の、他のメンバーにとっては今のままでも十二分に強敵だが……。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 01:14:54.27 ID:xiGyG3mY0
垣根が角を曲がって、より人気のないところに入ろうとしたとき、それを見た。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 01:25:03.88 ID:xiGyG3mY0

ツンツン頭の少年については、垣根も周知している。
路地裏の謎のヒーロー。お人よしの不幸少年。能力者の力をかき消す、謎の右腕。
本人が「幻想殺し(イマジンブレイカー)」と呼ぶ、その力は、まさしく暗部でも浸透していた。

垣根「その幻想殺しが超電磁砲と……、こいつは面白くなってきやがったぜ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 01:31:36.06 ID:xiGyG3mY0
御坂が少年に対してスタンガンのように、バチバチと言葉を浴びせ、少年はあきれたように、ひらひらと手を振っている。
どうやら旧知の仲のようだ。
「学園都市第三位を右腕だけであしらう」という噂は、知人であるというところから来るのだろうか?
可能性としてだけ考えて、垣根は観察を続ける。

御坂は驚くほど表情を変えて、少年に食って掛かる。少年はなだめる一方であった。
学園都市に超能力者(レベル5)は7人。その全てが、能力について熟知し、運用方法を常に磨き続ける最先端なのだ。
いかにして、それよりも確実にレベルが低いと決まっている少年が対処するのか。

御坂の身体を電撃が走り、少年めがけて飛んでいく。ついに、戦闘が始まったのだ。
本来の超電磁砲からは遥かに低い威力であるが、それでも人ひとりを気絶させるに足る電撃は――

少年が掲げた右手によって、あっけなく霧散した。

垣根「なにっ……」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 01:38:42.42 ID:xiGyG3mY0
思考を走らせる。話だけは聞いていたが、実際に見るのは初めてだ。
能力のキャンセル、あるいは無効化。
あるいは本人はそこにおらず、催眠をかけて相手を操作しているのか。それはありえない。
少年はケンカ慣れした体型をしているが、垣根のような暗部の尾行に気づいている様子はない。
そして、自身が気づかない相手に、広範囲催眠をかけるという力があれば。
たとえ230万人の学生がいる学園都市とはいえ、噂に上らないわけがない。
それは、最低でも強能力(レベル3)、あるいは大能力(レベル4)が順当であり、
下手をすれば、超能力(レベル5)候補にあがってもおかしくはないものだ。
そこまで考えて、やはり能力の無効化であると垣根は結論づけた。

垣根「しかし、な……」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 01:44:13.88 ID:xiGyG3mY0

垣根「あの右腕に秘密があるのは間違いねえ。おそらくは当人の資質と、右腕の能力が合わさって
    レベルが上の相手でも対処できてやがるんだな」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 01:51:02.33 ID:xiGyG3mY0
垣根は引き続き解析する。

御坂の電撃がさまざまな角度から振るわれるのを、避け、無効化し、転がり、時には突撃して弾く。
右腕がメインウェポンである証明だ。その右腕で、数々の相手を打倒してきたのだろうか。
よく見ると左腕とは長さ、太さが違う。テニスプレイヤーなど、片手を酷使する職種の人間にはよくあることだった。
その右腕で、どれだけの相手を打倒してきたのだろうか。

垣根「無効化の演算をいちいちやるなんて、相当の解析・演算能力が必要だと思うが……」

ケンカにおいて、相当の場慣れと、思考力を持っている。
この無効化能力が、右腕だけでなかったときのことを思い、背筋の凍る思いをした。

一方通行の"反射"ならば、ある程度たどっていけば、対抗できるかもしれない。
ナンバーセブンの"念動砲弾"も、持久戦になるだろうが対応できるだろう。

だが、あの少年。
自分の使い方を知り尽くし、相手の攻撃を食らい尽くさんとする相手は、どう対処したらいいというのか。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 01:57:52.89 ID:xiGyG3mY0
御坂が地面に手をやり、電気を帯びさせた。
その手に現れるのは、砂鉄を磁力で形成した剣。垣根はすぐさま正体を看破した。
あれはそこらの強能力者にも使うような能力ではない。
ふつう、戦いというものは、相手の弱点を見定めて、そこを攻撃するものだ。
いま御坂が作った剣は違う。相手をその砂鉄のチェーンソーのような動きでズタズタにする、いわば
"接触した部分が弱点になる"攻撃だ。

垣根「ああ見えてエグいことするもんだな。これは要チェックだ」

いかにして幻想殺しはこれを切り抜けるのかと思っていたが、それはあっけなく裏切られる。
彼は、何もかもをバラバラにするはずのその剣を、磁力場ごとバラバラにしてのけたのだ。

その距離は至近。いや密着というべきだった。
異能を殺す右腕が上から鉄槌のように振るわれる。
常盤台のエースが、ここではただの子供に垣根には見えた。

垣根「あいつは右利きみたいだけど、特に膨らんでるように見えるな。いい膨張だ」

あれで殴られたら、自分だってダメージを負うだろう。
一方通行とは違えど、自分にも防御用の能力の使い道がある。
しかし幻想殺しは、それをも砕いてしまうと、頭ではなく心で理解した。

しかし、その腕は御坂の頭に触れる寸前で止められた。
あとは力が抜けてふにゃふにゃになった御坂と、少年がだべる姿が見えるだけである。

垣根「とんだフェミニストだな」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 02:21:30.99 ID:xiGyG3mY0

二人は連れ立って歩き始めた。ケンカの一部始終を見ていた垣根からは、
ちょっと派手な、文字通りのケンカであって、トムとジェリーのような関係なのだとわかった。
御坂の表情も、少年――上条当麻の表情も、いがみあうにしては、明るいのだ。

垣根「ほほえましいこったな……あ、御坂がどっかいっちまうな」

どうするか。今や二人に興味がある。
しかし小さくも組織のリーダーたる思考が、当初の予定を遂行させた。

引き続き、御坂をつける。
しばらくしてわかったのだが、ここはさっき通ったところだった。
何かを探して周回しているのか? と思うと、不意に、後ろから声をかけられた。

上条「何やってんだ、あんた?」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 02:25:35.89 ID:xiGyG3mY0
そして前方の御坂がふりかえり、こちらに歩いてくる。
御坂は頭を指でこんこんと、指し示すように叩くと、にやりと笑った。

御坂「なーんかさっきから、レーダーにひっかかる人がいると思ったのよね」
垣根「なんだ。一杯くわされたな」
上条「こいつが、誰か見物人がいるって聞いたから、ちょっと一芝居をな」
垣根「へぇ……それでお嬢さんが前をふさいで、君が後ろからつけたわけだ」
御坂「私をつけてくるのは当たり前だろうと踏んで、コイツに後ろの役を頼んだの」

連携ができるほどの関係か。
垣根の中で、上条の危険度が、ひとつカサを増した。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 02:28:48.73 ID:xiGyG3mY0
御坂「それで、あたしに何か用?」

垣根「まずは名乗ろうか。俺の名前は垣根帝督。気軽に垣根って呼んでくれ。
    それで、用っていうのは……」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 02:37:49.12 ID:xiGyG3mY0

垣根「常盤台のエースがあまりに可愛いもんで、ついつられてフラフラついてっちゃったんだよ」
御坂「えっ」
上条「おっ、もてるんだな御坂、上条さん関心しちゃいましたよ」
御坂「ばっ、バカ、一体なに言ってるのよ! それにお兄さんのほうがモテそうじゃないですか。
    なんで私なんかに」
垣根「垣根、でいいよ御坂さん。俺は君の颯爽とした雰囲気が好きなんだ」
御坂「好き、だなんて……」

さっと、「好き」なんて言葉を口にできる人がどれだけいるのだろう。
垣根は、それを言い慣れている種類の人だろうか。御坂は少しためらいを覚えた。

垣根「あっと! ストーカーまがいのことをしたのは謝るよ。ごめんなさい。」

ふかぶかと頭を下げてくる。
年上であるだろうに、レベル5相手であり年下相手に、分け隔てない態度をとる垣根に、
御坂は悪からぬ思いを抱いていた。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 02:39:40.56 ID:xiGyG3mY0
垣根「俺は君のファンなんだ、もしよければ」

垣根「これから上条君と3人で、ゲーセンにでもいかないか」
御坂「えっ」

好きだとか、もしよければ、なんて言うから、もっとすごい言葉が来るのかと思ったが、そうでもなかった。
一瞬大きな要求をするとみせかけて、小さな要求に切り替えると「なんだそんなことか」と思うものである。
御坂は上条をちらりと見た。いいのか? という意味だ。

上条「俺のところはいそうr……ルームメイトがいるんで、あまり長くはいられないけど
    それでいいなら行きますよ」
垣根「ありがとな、あとタメ口でいいし、呼び捨てでお願いするぜ。これから遊ぶっていうのに、疲れるだろ、それ
    俺も経験あるからわかるのよ」
上条「そっか……わかったよ、丁寧にすまないな、垣根」
垣根「いいってコトよ」
御坂「男の子同士はカンタンに仲良くなれるものなのかしらね」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 02:59:46.63 ID:xiGyG3mY0

学園都市のゲームセンターは、能力開発ゲームがある。
ただ遊ぶだけではなく、思考能力、演算能力を高めるというスグレモノだ。

上条「何で遊ぶかなあ、なんだこれ……ドクター石松の頭をよくするパズル?」
御坂「これができたら1000メダル、迷路電撃棒……ああ、これあたしやったことあるな」
垣根「御坂さんだと電撃のペナルティも食いそうにないね、それ以前にミスしなさそうだ」

などと、あちこちのゲームをひやかしていた。

御坂「せっかく3人で来てるんだし、3人で遊べるものがあればいいわね」
垣根「そうだな、レースゲームとか、多人数格闘とかいいかもしれない」
上条「上条さんはパズルは苦手だから他だと助かるなあ」

クイズサイエンティックアカデミーは、学園都市のとある学校に通う生徒たちを題材にしたゲームだ。
開発は学園都市と、都市外の提携会社で行われており、それが学園都市のイメージのすりあわせを行っている。
全国展開しており、ブームにもなっている人気ゲームだ。

御坂「これなんてどう? 多人数でも遊べるし」
上条「あっこれか、俺も何度か遊んだことあるな」
垣根「クイズのジャンルも選べるし、都合いいかもしれないな」

全国展開しているだけあって、ネットでのランキングや、全国で同時にプレイしている相手と対戦できたりと
手に汗にぎるような仕様になっていた。

上条「人数が合わないから、誰か呼ぶか……えっと、ネットでのロビー待機者さんはいるかな」
御坂「maidmoe825さんって人がいるわね」
垣根「それじゃコンタクトとるぜ……、お、オッケーだってよ」

こうして、垣根ら3人と、ネットの対戦相手とを含む、クイズ対決となった。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 03:20:25.84 ID:xiGyG3mY0
上条「なーっ! ぜんぜん知らないっていうか、ジャンルからしてさっぱりな問題ばっかりだ! 不幸だー!」
垣根「上条、落ち着くんだ、落ち着いて素数を数えろ」
御坂「~♪」
上条「あれ……今御坂、問題読まれる前に選択問題答えたよな、しかも正解」
御坂「筐体の出す電気の流れで、次の問題がわかるのよ」
上条「チートだ! 上条さんはあくまで能力をつかわないことを要求するー!」
垣根「とんでもない能力だなあ」


じっくりと垣根は観察していた。
不意に出るクセやら、能力による恩恵の選択。
それがいざというときに、いかに身を振るかにつながる。
ゲーセンという、享楽の場においても、皮をはげば隙を見つける場所であった。

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 03:27:59.25 ID:xiGyG3mY0
「maidmoe825 > dark♂matter もしもし、ダークマターさん」
通信対戦相手からの、ダイレクトメッセージだ。
対戦中や待機中に、こうしたチャット機能でコミュニケーションを図れるのも、人気の一因だ。
「dark♂matter > なんでしょう、メイド萌えさん」
「maidmoe825 > dark♂matter すぐ近くに学園都市第三位がいるだろう、何をたくらんでいる」
「dark♂matter > maidmoe825 なんだ、俺のことを知ってるのか。有名になったもんだ」

顔はあくまでにこやかに、御坂と上条とのやりとりは欠かさない。
別に超能力者だとか関係なく、訓練でできる事である。日本では一時、竹村健一が「ながら作業」と呼んで
流行った時期もあった。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 03:33:59.80 ID:xiGyG3mY0
「dark♂matter > maidmoe825 知り合った友達と、ゲーセンで遊ぶ。どこがおかしい?
                     いや、どこかおかしいか?」
「maidmoe825 > dark♂matter 言ってくれる。超電磁砲が"アイテム"の面々を撃退したことを知っているだろう。
                     それで、お前はじかに調査しに来た。違うか」
「dark♂matter > maidmoe825 そういうお前も暗部か。組織名は聞かないでおいてやる。
                     お前のほうの目的は何だ」
「maidmoe825 > dark♂matter 今日のクイズのイベントではメイド服の小龍(シャオロン)ちゃんが出てくるからにゃー」
「dark♂matter > maidmoe825 うるさいよw メイド萌えはわかったっつーの!」
「maidmoe825 > dark♂matter 超電磁砲も幻想殺しも、学園都市にはまだ必要な人材だ。いいか、おかしな事はするなよ。
                     手を出すなよ。特に幻想殺しについては、俺が許さない」


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 03:37:26.50 ID:xiGyG3mY0
単に釘をさしに来ただけか。それでもこの手まわしと情報の早さは、暗部の中でもそこそこの位にある者だ。
たとえば、ちょっとした名前のある組織の、リーダークラス、とか。

現状分析と、世間話と、謎の暗部員との会話を並列で処理する。
垣根の顔は笑顔であった。誰がどう見ても人好きのする笑顔である。
その中に秘められた意味は、垣根しか知らない。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 03:42:49.60 ID:xiGyG3mY0
御坂「垣根、つぎこっち行こう」
上条「おい御坂、これって」
御坂「そ、能力者用パンチングマシン。ショックマシンだとかショッキングマシンって名前も出てたけど
    結局パンチングマシンのほうが名前が定着しちゃってるのよね、これ」
上条「俺は無能力者(レベル0)だから、さっぱりだ。見学させてもらうぜ」

ちらり、と御坂が垣根を見やった。そしてたずねて来る。

御坂「垣根はレベルはいくつなのかしら」
垣根「ああ、俺はレベル3の物質生成(マテリアルクリエイト)だよ。この手のマシンには、気体を作ってやってるな」

本当のことを言う。ただし、レベルだけは嘘をついて。
物質を生成するのは本当だ。ただし、この世には存在しない物質である。
この手のマシンとは、自分と敵対する者が使用する武器や機器である。


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 03:49:39.97 ID:xiGyG3mY0
御坂は電撃の槍を、ただし上条にぶつけていたのよりはやや小さめに発動させた。
スコアが上がる。この店ではランキング3に入るものだった。笑顔の上条がばんばんと拍手する。
それに、照れたように笑う御坂。
こんなときにでも手加減せねば、周りに溝ができてしまう。それがレベル5だ。
垣根にも経験がある。努力しても開発がうまくいかない無能力者は迫害され、
努力してレベルが上がっても、ねたみ、そねみの対象にされてしまう。
神さまの回答を見つけるために生み出されたという学園都市は、本当に正しいのだろうか。

上条「……根! 垣根!」
垣根「……あ、すまない。ちょっとぼーっとしてた」
御坂「大丈夫? もう暗くなってきたし、おひらきにしようか」
垣根「いや……大丈夫だ」

次は自分の番だ。的が起き上がって、こちらを見ている。
レベル3の能力なら、これくらいの衝撃。演算して、出力する。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 03:53:46.44 ID:xiGyG3mY0
派手なファンファーレが鳴り、ランキング1位のスコアが叩き出された。

御坂「すごいじゃない! ぶっちぎりの1位よ!」
上条「へええ! やるもんだなあ! すげえよ垣根!」
垣根「あ、いや、まぐれだって。俺もこんなスコア出るとは思って……」

そう、思ってなかったはずなのだ。
適当にやりすごして、観察する。それだけのことなのに。
自分より序列がひとつ下の超電磁砲と、はるか下であろうとも強敵であろう幻想殺しを見ていると、
自分の内部が揺らぐ感触を覚えるのだ。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 03:59:52.76 ID:xiGyG3mY0
その後も笑ったり大声を出したりして遊んだ。
垣根帝督は余裕を絶やさない人間である。
自分に敵対しないものには攻撃をしないし、攻撃して、容赦はしないと言っても、
どこかで手心を加える。
だが、超電磁砲はどうだ。
手加減の塊である。システムスキャン等の一部の場合を除けば、彼女がのびのびと
力を解放できることなど、そうそうないのではないだろうか。
その御坂が近づいてきた。

御坂「垣根、これなら大能力者もすぐそこよ! 超能力者の私が言うんだから間違いないわ!」
上条「やあ、知り合ったばかりなのに、俺も鼻が高い気分だぜ」

幻想殺しはどうだ。
あんな特異な右腕を持ちながら、無能力者の烙印を押され、生活は出来ても奨学金があまり出ない生活を
強いられている。


今日はイラつく日だった。
学園都市統括理事長、アレイスターの、スペアプランであることを呪わない日はないが。
今日は、格別だった。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 04:02:21.99 ID:xiGyG3mY0
垣根が少し疲れたという気配りを見せた二人が、解散を宣言した。
お互いに携帯のアドレスを交換する。また遊ぼう、と3人で言った。
いつにない笑顔で、手を空にかざして振り、夕闇が降りてくる空の下、別れる3人。

垣根は挙げてない手に持った携帯を、そのまま握りつぶした。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 04:13:08.71 ID:xiGyG3mY0
暗部組織「スクール」のアジトに戻る。
アジトのロビーには、「スクール」の正規メンバーが迎えていた。

ドレスの女「あら、お帰りなさい。調子は……いえ、機嫌が悪いみたいね」
垣根「ああ、抜群に悪いぜ。"操作"しても、いいんだぞ」
ドレスの女「やめとくわ。今のあなたの心を操作しても、何されるかわからないもの」
垣根「違いない」


冷蔵庫の中から炭酸飲料を出し、キャップを弾いて空け、一気に飲み下す。
喉、と腹と頭が一気にスカッとした気分になった。

ヘッドギアの男「垣根さん、偵察はどうでしたか」
垣根「上々だよ。アイツはやっぱりレベル5だ。やるとしたら、俺かこいつ以外はダメだろうな。
    レーダーを持ってるから尾行も不審がられる……そうだな、狙撃って手もないこともないか。
    そういう人材を一応検索しとけ」
ドレスの女「かいかぶってもらうと困るのだけれどね」
垣根「そうだな。心理的な距離というと、超電磁砲は、よほど近しいものでも結構開いてると思われる。
    ……友人だろう幻想殺しにも、戸惑いみたいなものが見られるしな」
ドレスの女「へえ、幻想殺しと友人……危険じゃないの」
垣根「今回はそれが収穫だったな。超電磁砲と幻想殺し、これからの仕事で接触するようなことがあれば、
    逃げるか、迂回するかを優先しろ。排除を狙うな」
部下の黒服達「ハイッ」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 04:21:57.01 ID:xiGyG3mY0
prrrr

垣根「ハイ、垣根」
電話の声「垣根くん、楽しい仕事の時間だよ」

学園都市暗部組織「スクール」の長、垣根帝督。
こうして、水上で酸素を吸った鯨は、再び海に潜る。
深い深い、暗く光の当たらない場所へと。

(了)

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/25(日) 04:27:22.08 ID:xiGyG3mY0 [31/31]
アイテムを撃退した(漫画版超電磁砲にて)超電磁砲を、将来の危機として偵察するという、垣根君の話としました!
レーダー持ちの御坂を偵察となると骨でしょうから、黒服どもでなくて自ら偵察に入るという話で……
私はここまでですけど、続き書ける方いらしたら、ご自由にお願いします!
読んでくださった方々、選択肢を選んでくださった方々、ありがとうございました!

安価型選択スレだったのですが、諸事情でその辺りはカットいたしました。

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