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御坂妹「ぶふぃーミサカは驚愕を露にします」
1 名前:自動販売機[] 投稿日:2010/04/04(日) 22:40:53.91 ID:nJdKCWjW0 [1/59]
まったり書いて行きます~
半分は書き溜めしたので、今日と
明日で全部終わる予定です
オリキャラ等出てきますのでご注意を
まったり書いて行きます~
半分は書き溜めしたので、今日と
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オリキャラ等出てきますのでご注意を
4 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:44:15.05 ID:nJdKCWjW0 [2/59]
■当麻と双麻
「いたたたた。」
上条当麻は右手の幻想殺しを持つが故に生まれついての不幸体質である。
そして、そんな不幸を呼びよせる少年を周りの人々はほかって置かない。
近所の大人は、上条に事ある毎に罵声と侮蔑の言葉を投げ、
近所の子どもは上条に石を投げつける。
同じ学校の子どもは、上条を殴る蹴るはもちろんのこと、教科書やイス、
上履きに体操服、など上条のありとあらゆるものに、子ども達による嫌がらせの痕跡が残っている。
しかし、世の中はそんな人々だけではなく、上条当麻の人格もあってか学校にも近所にも味方は大勢存在する。
もちろん当麻の家族も強力な味方である。
当麻は今日、上級生の5人組みに袋にされていた。
何の抵抗もしなかったようだ。
その後の夜、自宅の一部屋で双子の黒頭の少年達はなにやら言い合いを始めた。
5 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:47:42.05 ID:nJdKCWjW0
「兄貴さー少しは抵抗したらどうなの?黙ってやられてばっかじゃ一生そのままだぞ」
双麻と呼ばれるもう一人の少年は、いろいろと気にくわない。
双麻と当麻はしばしば兄弟ゲンカをするが、当麻は小学生の中ではかなり強い双麻を相手にしても、
負けたことがない位に強い。
しかも当麻は何も悪いことをしていないのだ。
確かに当麻が不幸を呼びよせる体質であるかもしれないが、その不幸の対象はもっぱら当麻にであって、
周りに危害を加えたことは一度だってない。心ない大人達が原因で当麻は辛い思いをしていると双麻は思う。
自分を相手にする時みたいに振舞えばいいのに、やり返してもお釣りがくるのに、と思っている。
6 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:48:56.83 ID:nJdKCWjW0
「いや、いいんだ。この程度のことなら我慢できるから。それに大した怪我じゃない。」
「大した怪我じゃないといってもなー、とりあえず、親父に言ってくる。」
「待って、それはやめてくれ。親には内緒だって約束しただろ。心配かけさせたくないんだよ。」
「はー。当麻って本当に馬鹿だな。俺が言うのもなんだけどな、子供の心配するのも親の仕事だぞ。」
「ははは。なんだよそれ。双麻はやけに大人びたことを言うな。とにかく、この話はやめようぜ。」
小学生で親に心配かけさせたくないって、どっちが大人びてるんだよと思っていたもう一人の少年はしばらく沈黙した後、再び口を開いた。
「あー分かったよ。当麻は変なところで、頑固なんだからな。まあ俺としても母さんの悲しむ顔は極力見たくないしな。
その代わりに、俺が今からそのクソども殴りに行く。」
「そんなことしたら父さん達に迷惑かかるからやめろって。」
「あのなー先にやられたのは当麻なんだぞ。
それに、そんな事を迷惑がるような親だとしたら、俺が殴る相手は親父って事になっちまうな。」
7 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:50:11.65 ID:nJdKCWjW0
その時、ギギギッと音がして部屋のドアが開いた。
ドアの先には中年のやや薄いヒゲをはやした30歳付近の男が、鬼の様な形相をして立っていた。
「その通りだ当麻。」
「げっ。親父。いっいつの間に。
いや、いやいや僕はお父さんをリスペクトしてます。マジです。」^^;
大概の少年にとって怒った父親は怖いものだ。
この双麻という少年も例外ではない。
自分の失言で刀夜を怒らせたと思い焦っている相馬を無視して刀夜は続ける。
「当麻、その怪我は誰にやられたんだ!?今からその子の家に言って話をしてくるから言いなさい。」
8 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:54:18.04 ID:nJdKCWjW0
自分の失言で刀夜は怒らせたのではないと瞬時に悟った双麻は、
相手の親を殴りかねない父親の様子を見て、少し落ち着かせようと口を開いた。
かくいう双麻も怒っていたのではあるが、自分より怒り心頭な人間を見ると不思議と少し冷静になる。
事実、刀夜は自分の子どもに怪我をさせられて、冷静でいられる人間ではなかったし、
感情をコントロールできるほど、老成していなかった。
「お、お、親父。じゃなくて、おとうさん。少し落ち着こうぜ。話し合いっていうのは賛成だけど、
俺はお父さんが相手を殴っちゃって一家離散とか嫌だぜ。この前も~」
「双麻、少し黙りなさい。」
「はいっ!!」
9 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:54:58.40 ID:nJdKCWjW0
こうなった刀夜は自分じゃ止められないことを知っていた双麻は即座に沈黙を開始した。
母にとめてもらうように頼もうかと思ったが、詩名も便乗しそうなのでその線は切った。
詩名は普段は温厚でとてもやさしい人物ではあるが、曲がったこととには徹底的に抗う人だった。
そして何よりも当麻達を愛している。以前に当麻が親戚に罵倒された時に刀夜は相手を気絶するまで殴った。
その時詩名は刀夜を全くとめようともせず、むしろ「刀夜がやらなければ私が」、といった雰囲気を出していた。
双麻は一人ため息をつき、「子ども同士のいざこざに親が出るなよ」、とさっきとは正反対の見解をつぶやいていた。
ただこの少年もなんだかんだで、こんな両親を誇りに思っている。
そんな中、当麻が口を開いた。
10 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:55:59.86 ID:nJdKCWjW0
「父さん、心配してくれてありがとう。でも体育でちょっと怪我しただけだから、
本当に大丈夫なんだ。
今後、大丈夫じゃないことがあったら頼ると思うけど、
その時はお願いします。それよりも俺、腹が減ったな。皆でご飯の用意しようよ。」
11 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:56:43.02 ID:nJdKCWjW0
この頑固さは母さん譲りなのだろうかと刀夜はため息をもらした。
こうなったらテコでも動かないだろうと刀夜は思い、どのみち、当麻が名前を漏らさなければ、どうしようもないので、
渋々追及を断念した。
双麻も当麻の頑固さに辟易しつつも、とりあえず当麻の判断に任せることにした。
12 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:59:16.02 ID:nJdKCWjW0
リビングに向かうと食事は既にできていたので、
男三人は食器や箸を用意して、料理が載せられた皿をテーブルに運んで席についた。
「「「いただきます」」」」
食事を始めしばらくした後、詩名は当麻を見て口を開いた。
「あらあら、当麻さん。その怪我はどうしたのかしら。」
口調はいつも通りだが、怒っているようにも思える。
なぜか双麻がギクリとした顔をしたが、当麻は顔色を変えずに言う。
「あーちょっと体育張り切りすぎちゃってさ。それより相変わらずお母さんのご飯はおいしいよ。
父さんも幸せ者だな。こんな美人で料理の上手な奥さんをもらえて。」
13 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:59:42.31 ID:nJdKCWjW0
双麻は当麻の意を汲んで、援護に回る。
(母さんに知られるとやっぱめんどくせーからな。それに俺が解決すりゃいいし。貸し一つだぞ兄貴。)
「それは間違いない。けど、当麻、父さんだってモテるんだぜ。
この前なんか家に保険の勧誘にきてたオネエさんに言い寄られてたし。」
「こっ、こら双麻!何を言っているんだ。」
14 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:59:55.95 ID:nJdKCWjW0
「あらあら、刀夜さん。あらあら。そんなことがあったのね。詳しく聞きたいわ。」
取り皿が刀夜の顔面めがけて飛んできた。刀夜はすばやくそれをかわし
一旦撤退を図るべく移動を試みる。それを見た詩名は刀夜を追いかける。
「「ぷっ・・・。あはははははは。」」
双子だけあって、二人の息はぴったりであった。
後日、双麻が当麻の代わりに5人組みに仕返しいったのはまた別の話
15 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:00:55.21 ID:nJdKCWjW0
■双麻とビリビリ
上条当麻と瓜二つの外見の少年は学園都市に朝方到着した。
厳密に言うと、目の形と、目下のホクロがある点が異なるのだが、
普通の人には分からない。
「さてと、少し驚かせてやるか。くっくっく」
朝から何やら一人でニヤニヤしながらブツブツいっている不振な男を見ても周りは気にとめない。
学園都市の朝においては、人々は時間に追われて、くだらない事にかまっている暇はないのだ。
16 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:01:44.07 ID:nJdKCWjW0
ツンツン頭の男はトイレで自前の学生服に着替え、地図を見ながら上条当麻の通う学校に向かう。
その途中、茶髪の少女に声をかけられたが、そもそも知り合いでもないし、
相手にすると面倒な事になると判断し、聞こえないフリをした。
「ちょっとー!アンタよアンタ!」
聞こえてないのかと思い少女はかけ足で男の前に回り込む。
が、少年はそんな少女を無視してズンズン前に進む
17 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:03:15.58 ID:nJdKCWjW0
「・・・・」(げっ粘りやがる。)
「アンタはー朝からいきなり私のこと無視するんかい」ビリビリ
少女がいきなり電撃を飛ばしたので少年はとっさによける。
「どあーーー!なんだなんだ!?今のはいったいどこから何が?」
少年は周りを見回すが、少女の外に特に周りには何もなく、誰もいない。
「(??例の超能力ってやつか?まさかコイツがやったのか?いやいやないない。
こんなガキに限ってはないない。こんなペッタンコの胸したやつにできるのはロリコンの相手位だ。
まいったなー幻覚が見えるとは時差ぼけかなー。とにかく、急がないとな。)」
さらに無視して少年はズンズン進む。
その態度がかえって面倒なこと生むのだが、この少年は少し馬鹿だった。
18 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:04:10.78 ID:nJdKCWjW0
「アンタ、この後に及んでまだ私を無視するとはいい度胸ね!どうやら本格的にお仕置きが必要のようね」
少女はそういうとさらに電撃を飛ばしてきた。
それを間一髪のところで少年はよける。
少女としては少年に一言「おはよう」と声をかけて欲しかっただけなのだが、
この少年としてはそんなことは知る由もない。
「げっ!やっぱコイツだったんかよ。」
19 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:04:55.23 ID:nJdKCWjW0
それを聞いて少女はプルプル身を震わせながら叫んだ
「わーたーしーにーはー御坂美琴って名前があるっつってんでしょー!!いい加減覚えろクソボケー!!!!」
少女から放出された電力で周りがビリビリしだした。
「(戦国武将かよコイツ。てか俺にも上条双麻という名前があるんだけど)」
と言いたかった少年であるが、説明するのは面倒臭いし、
だいち説明していたら目的時刻に目的地にたどりつけないので言葉を飲み込んだ。
20 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:06:08.91 ID:nJdKCWjW0
「(だー朝から面倒くさい。非常に面倒くさい。こっちは朝飯まで我慢してきてるっーのに。適当にごまかしちゃうか。)
「すまんすまん。ちょっと考え事してたもんでな。悪いけど今はちょっと急ぐから、また帰りにでも話しようぜ美琴。」
(兄貴に後で相手させれば問題ないよな。俺は関係ないし。(笑)しかし、朝から電気目覚ましとは恐れ入ったぜ。学園都市。)
「あ、あ、アンタ、いま美琴って・・・・!!」
少女は赤面して口をパクパクさせている。
「ん?とにかくまた後でな」
「あ、あ、アンタ学校終わったらちゃんと相手しなさいよ!!」
「(なんだ、ただのツンデレかよ。兄貴も大変だな。彼女?ではないよな。見たとこ中学生だし、俺に変態の兄貴はいないはずっ)」
少年はこれ以上面倒なことになる前にと走って目的地に向かった。
21 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:09:28.62 ID:nJdKCWjW0
■双麻と御坂妹
学校からの帰り道、双麻はため息をついて歩いていた。
元々、双麻が当麻の学校に行ったのは、いきなり現れて、当麻を驚かせるためだったのだが、
肝心の当麻はどうやら欠席のようで、双麻は周りに何の説明をする機会も与えられなかったため、
当麻として過ごすことになったのだ。
しかも双麻は普段の当麻の生活態度を知っているわけではなかったので、
考えすぎた行動がすべて裏目に出てしまったのだ。
例えば、隣のクラスの女の子が当麻のために弁当を作ってきたのだが、
双麻は当麻の彼女と勘違いしたため、一緒に自分の教室で弁当を食べたり、
自分の嫌いな人参を相手の女の子にあーんと言って相手の口にほおリ込んだりしたため、
昼休み中クラス中の男から追いかけられることになったりした。
中でもしつこかったのは、金髪にグラサンの男と、青い髪にピアスをしていた男だった。
結局双麻は逃げ切れず捕まり、クロスボンバーパンチを食らうのであった。
22 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:10:25.00 ID:nJdKCWjW0
やれやれ。なんつー学校だよ。でも、いい奴ばっかでよかったな兄貴。」
当麻の小学生の頃を知る双麻としては、高校でも、もしかすると
何らかの迫害を受けているのではないかという一抹の不安があったが、
今日の感じではそんなことはまったくないようだ。
むしろ皆に慕われているようだった。
追い掛け回されたりしたが、
アレは当麻が周りに親しまれているからこそだということは分かる。
23 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:11:16.89 ID:nJdKCWjW0
でもなんつーか変人が多い学校だな」
双麻が学校の人々の面々を思い出して笑っていたところ、少し前方にいる茶髪の少女が目にとまった。
(そういやー兄貴がいないとなると、コノ電撃少女の相手はやっぱ俺がしなきゃいだめかー
。メンドくせぇけど、時間あるし、今後電撃を打たれることないように説明しとくか。)
24 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:12:06.93 ID:nJdKCWjW0
今朝のやりとりを思い出し、少し憂鬱になった双麻だが、
自分の撒いた種を刈り取ってくれる人(当麻)が不在であるため、
仕方なく少女に近づき口を開いた。
「よう。朝は悪かったな。今から少し話しでもすっか?」
「朝ですか?何のことだか分かりませんが、あなたとお話するのは構いませんよと、ミサカは喜びを胸に秘めつつ即座に回答します。」
「え?なんか朝とキャラ違うんですけども。」
(しかも言葉に出してるし。何ていうか、痛い子なのか?)
25 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:13:13.93 ID:nJdKCWjW0
「あなたは、今、内心でミサカを馬鹿にしましたね、とミサカは憤慨します。」
「い、いや。美琴の様子が朝と大違いだから、ちょっと驚いたというか。」
「ビシッっ!、とミサカはあなたの頭部にチョップします。
ミサカは、お姉様ではありません。
お姉様と間違えられたことにミサカはさらに憤りを感じます。」
「あたっ。お姉様?」
(何?こいつらも双子なの?)
26 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:15:18.87 ID:nJdKCWjW0
「どうして不思議そうな顔をするのですか?あなたの様子がいつもと違うことにミサカは心配します。」
「あ、いや、いつもと違うのはその通りなんだ。
実は俺上条当麻じゃなくて双子の弟の上条双麻って言うんだ。
兄貴から少しは俺のこと聞いたりしてない?」
「ぶふぃー、とあなたの発言に対してミサカはとりあえず驚愕を露にしてみます。」
(驚愕というより馬鹿にしてねーかコイツ・・)
「まあ、そういうわけでさー、今朝、君の姉さんに会って、(説明が面倒という)事情があったから、
当麻のふりしてたんだけど、(さらに面倒になるのが嫌だから)種明かししとこうと思って。」
「なるほど、とミサカは一応納得したフリをしてあなたの下手糞な演技に付き合う心意気を示します。」
「納得してねーじゃねーかよ・・。本当に俺当麻じゃねーんだって。
じゃあさ、証拠見せてやるよ。兄貴は魔術とか使えないだろ?」
「ミサカはあの人の恋の魔術にかかっています、
とミサカはあなたの弟ゴッコを逆手にとってあなたに思いを告げてみます。」
「えーと・・。めんどくせぇー・・・。」
27 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:17:33.90 ID:nJdKCWjW0
コイツには何を言っても無駄だと思った双麻は、カバンから手作りらしき人形をとり出した。
これは、双麻が作ったオリジナル魔術道具で、差し支えない範囲での、
自分の素性と当麻との関係に関する情報、を詰め込んだもので、
額に数秒密着させれば、情報が伝わるという優れ物の一品であった。
何人もの人に同じことを口で説明するのが面倒くさくなることを想定したものだ。
かなりの魔術的技能を詰め込んだこの道具は、双麻の魔術的才能と究極の面倒くさがりという才能を象徴している。
28 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:18:05.51 ID:nJdKCWjW0
「ちょっとそのまま動くなよ。」
「はい。ミサカは覚悟を決め、目を瞑ります。」
(目瞑る必要も、覚悟も必要ねーんだけどな。)
双麻は左手でミサカ妹の顔に手を添え、右手にもった人形を頭にもっていこうとしたその時、朝聞いた声が怒声を帯びて耳に届いた。
「アーンーターは、私の妹に何をしてるのかしら」(怒)
30 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:21:56.40 ID:nJdKCWjW0
■乙女の純情
美琴は今朝双麻に美琴と呼ばれたため学校にいる間中、頬が緩みっぱなしだった。
(アイツが美琴つて呼んでくれたーえへへ。嬉しいかも。
しかも帰りに話しようだってーふふ。「美琴好きだー」とか言われたらどうしようキャー。
いやいやあいつに限ってそれはないわね。
でも、もしかすると、ひょっとしたら、デートの誘いかも!?あー早く学校終わらないかなー)
授業中、顔を伏せて足をジタバタする美琴を見て周りの生徒はおろか、
教師ですら美琴に声をかけられなかったのは言うまでもない。
美琴は授業が終わると急いで学校を飛び出して、少年を探し始めた。
そこで、ふと何やらバカップルがベタベタしているとこが目に入った。
31 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:22:38.52 ID:nJdKCWjW0
(こんな時間からー大胆ねー。少しは人目を気にしなさいよ。
カラスみたいな頭しちゃってさ。ん?カラスみたいな頭?)
よく見ると、それは美琴がよく知っている人物だった(外見は)。
ブルブル震えながら少女が言葉を発した
「あのやろー。殺す。」
その言葉を聞いた通行人がビクっとしたが、美琴はそんなことお構いなしに、双麻のもとに最短距離の一直線で向かう。
そう天罰を下すだめに。乙女の純情を踏みにじった代償は高い。
33 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:29:02.14 ID:nJdKCWjW0
■純情を踏みにじった代償
双麻が声がする方向に振り向くと、怒りで顔を引きつらせた美琴がいた。
「ん?げっ!ちょっと落ち着け。今からせつめs」
少年が言い終わる間を待たず、今朝よりも数倍強烈な電撃が飛んできた。
「しねぇーーー。」
「どわー。あぶねー。え?まじで殺す気?やばっ」
「どりゃーー」
次々と迫りくる電撃の矢をかわしながら双麻は逃げる。
「(ほんとにこいつらなんなんだよーめんどくせぇーどころじゃねー。
ちょーーーめんどくせぇーーーー!!)」
34 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:31:11.77 ID:nJdKCWjW0
>>32
説明不足だったすまん
設定としては、弟の方は、外国の学校行っていて、暇みて学園都市にいる
当麻に会いにきたっていうかんじ
35 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:32:15.20 ID:nJdKCWjW0
■兄への思いやりと少しの嘆き
「くそー疲れた。アイツ女子中学生とは思えない体力だな」
苦笑しながら双麻が向かったのは、当麻の家の近くのスーパーであった。
双麻は、当麻が学校に来てない理由を、風邪を引いて寝てるのであろうと判断して
、寝ているであろう当麻に料理を振舞ってやるつもりだ。
とあるスーパーに入るとおかし売り場の方から元気な少女の声が聞えてくる。
「わー、これも買ってーってミサカはミサカはあなたにおねだりして見る。」
「おいガキィ。あんましうろちょろすンじゃねェ。」
「わー怒ったアナタも素敵って、ミサカはミサカは誉め殺し作戦で勝負してみる。ねーあれ買って欲しいな。」
「ちッ。しゃーねーな、持ってきやがれ」
「なーにが、「ちっ、しゃーねーな」だよ(笑)。ロリコンとはかくも恐ろしいものか。帰ったら兄貴とネタにしよっと。」
双麻はまんざらでもなさそうな白髪の男にチラリと一瞥し、必要な品を買うためその場を離れた。
36 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:33:27.64 ID:nJdKCWjW0
スーパーを出て、当麻の住むマンションのエレベータに乗った。
当麻の部屋に向かうまで、くだらない事を考える。
「サプライズは見事失敗しちまったからなー。感動の再開の第一声はどんなかんじがよいだろか。
兄貴久しぶり。元気してた? ダメだ普通すぎる。
どーもー相方の双麻です。 お笑いやりにきたわけじゃねー。
風邪引いたって聞いてどんできたぜ。 男に言われてもなー。 」
チンとエレベーターが開く音がして我にかえる。
「つか、事前に用意した言葉なんて意味ないよな。
俺のポリシーは直面即応(平たく言うと行き当りばったり)だ。危うく大事な事を忘れるとこだったぜ危ない危ない。」
双麻がとある部屋のインターホンを鳴らすとガチャリと鍵が開く音がして、ドアが開いた。
「あ、当麻遅かったんだよー何してたn」 「よお!あにk・・」
白い物体?シスター?らしき者が見えたので双麻は急いでドアを閉める。
37 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:33:31.90 ID:nJdKCWjW0
「やべー部屋間違えたか。」
しかし、ネームプレートを見直すと間違いなく上条と書いてある。
「なんだよこの寮。上条が二人もいるんかよ。とりあえず、謝りついでに兄貴の部屋きくか」
と呟いているところにドアが開いて、修道服を着た少女が双麻に飛びこんできた。
「え?何?」双麻は事態が飲み込めない。
「なんで閉めるんだよっ!かなり失礼かも!ていうか今度はどこに行ってたの!?」
「イテテ!!何で頭かじるんだ・・いてぇ!」
「今日という今日は許さないんだからね」(ガジガジ)
「たんま!たんま!おい、やめ・・ タイム!!!」
「反省する時間は十分あったと思うんだけど。とっくに時間切れなんだよ」(ガジガジ)
「だぁーーわけわかんねーめんとくせーー~」
38 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:35:41.69 ID:nJdKCWjW0
■事態の把握と今後の方針
インデックスのお仕置きが一段落して、一通りボロボロになった後、
双麻は当麻の部屋に入ることができた。
部屋の中でも説教をさんざん受けたが
そのおかげで双麻は当麻の置かれている状況が大まかに把握できた。
(どうやら兄貴はここ一週間返ってきてないみたいだな。。)
インデックスの話によれば、当麻はたびたび事件にまき込まれ、その度に大怪我をして帰ってくるようであった。
そのことに自体については、双麻はそれほど悲観してはいない。
当麻が事件に撒き込まれるのは幼少期からであったし、
あの頃に比べれば、成長した今事件に巻き込まれる方が幾分ましであろうと考えたからだ。
また、かくいう双麻も家を離れてから壮絶な出来事と度々遭遇してきた。
それ故にかなりの魔術を極めている。
そもそも当麻は、学校を休んで海外に行ってることもあったという話から、
事件に巻き込まれた可能性以外もあり得る。なにより双子故の直感で、当麻は生きているという確信がある。
39 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:36:33.30 ID:nJdKCWjW0
ただ、今までより帰ってこない期間が長いことが分かった双麻は、
明日からでも情報収集を始めようと決意した。やはり心配ではある。
そして、当麻に手助けが必要な場合に備えて焦らずに準備をしようと考える。
焦った行動は、自分のみならず、当麻の命を危険にさらしてしまうし、
必要な時に必要な手助けが出来ない位なら、何もするべきでないというのが双麻の持論であるからだ。
双麻は当初インデックスという少女にも自分の素性を話そうとしたが、
自分が当麻であるという勘違いをして怒りながらも大変喜んでおり、
手製の人形をどこかに落としてしまい持っていないこと、から期を逸してしまった。
そして、今までの話から当麻はなるべく周りの人をまき込まないように配慮していることが分かったので、
双麻もそれに協力しようと思った。従って、あたりさわりのない情報収集以外は、極めて限られた人のみを対象にしようと考え、
当麻が見つかるまでは自分の素性を一部以外には隠そうと決めた。
41 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:39:07.92 ID:nJdKCWjW0
ったく。当麻の奴全く変わってねーな。問題は誰なら打ち明けれるかなんだけど、正直俺、兄貴の交友関係しらねぇしな。)
かなり悩んだ挙句、ひとまず、御坂妹から情報を集めようと考えた。
変わり者でありつつも落ち着きある態度を評価したのだ。
(それに比べて、姉の方はダメだな。直情型というか。真っ先に危険に足つっこむタイプだなありゃ。)
もちろん、双麻は、美琴のような人間は嫌いではない。むしろ好きなタイプの人種である。
ただ、人としての好き嫌いと、物事への向き不向きは別物だと考えている。
そして、当麻の周りの人間を危険な目にあわせたら、合わせる顔がないと双麻は思う。
だから、何らかの事件に当麻が巻き込まれている事も想定してなるべくリスクを踏まないために、美琴の協力はあきらめた。
42 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:39:52.08 ID:nJdKCWjW0
■世界一摂生しないシスター
双麻が一通り考え事をまとめるた頃、インデックスが「ごっはん!ごっはん!」となにやらアピールしてきたので、双麻は夕食の準備を始めた。
(しっかし、兄貴がロリコンだったとはなー。ここ数年で一番のショックな出来事だぜ。こんなチビと同棲してるとかありえねー)
「ごっはんっ!ごっはんっ!」
「今用意してやるから少し待てよ!あ、っーかお前どれくらい食う?」
「たくさん、いっぱい、あるだけ!」
「言ったな、てめ残したら罰ゲームな」
双麻はカミつかれたお返しに今日買ってきた三日分のありったけの食材を使って、このシスターを泣かせようと考えた。
もともと双麻は料理が得意だ。割と短時間でこの大量の食材を裁く自身がある。
(鳴きベソかかせてやるぜ。)
43 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:40:49.33 ID:nJdKCWjW0
意気込んで作り始めた双麻だが、作っている最中もインデックスが煩くて、若干イライラしていた。
「ライスっ!ライスっ!米粒~♪
ニコッニコっ米粒~ ♪」
(・・。くそっ!なんてプレッシャーだ。)
「米粒ライッス!」
「うっせハゲ! わーすまんウソウソ!サラサラロンゲに訂sイテー」
残念だが、双麻は少し馬鹿だった。
44 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:41:35.40 ID:nJdKCWjW0
大量の料理が食卓に並べられ、インデックスは目を輝かせていた。
「わー今日は豪華なんだよとうまー」
「まあな。しっかり、きっちり全部食えよ」
「もちろんなんだよっ」
(ふっ。強がりを。カワイイとこあるじゃねーか。だが、俺は兄貴ほど甘くねーからな。残したらきっりお仕置きだ笑)
そんな双麻の思惑は見事に外れた。
ガツガツガツガツガツガツ
「もーっともーっと米もっと♪お代わり~」
「遠慮して頂戴♪ってお前、食うのはやいな。俺の分なくなるから少しペース落とs」
「お代わりなんだよっ!!」
「はい。」
こうして夜はふけ、次の日をむかえた。
46 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:43:15.95 ID:nJdKCWjW0
■2日目 情報収集も兼ねて
双麻は翌日も当麻のフリをして学校にきていた。
当麻に関する情報を収集する目的もあったが、当麻が一週間欠席していた現状において、
一日だけ登校してまた欠席が続くことになると、不審がられるからだ。
当麻になるべく迷惑をかけるのを避けようとする双麻は意外と律儀である。
幸い、短縮授業期間であるため、お昼ご飯を食べて学校は終わるようだ。
「上条君、お弁当作りすぎちゃったから一緒に食べない?」
双麻は、クラスの女子数人から一緒に弁当を食べるお誘いを受けた。
昨日の出来事を見て、隣の女子なんかに負けるわけにはいかないと思ったクラスの女子が攻勢に回ったのだ。
(ふーん兄貴ってけっこうモテルんだな。さすが親父の息子笑)
47 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:43:56.65 ID:nJdKCWjW0
だが、他の女子グループや男子から羨ましそうな視線に気付いた双麻は、考えた。
また面倒なことになるのはごめんだと。
「誘ってくれてありがとう。嬉しいよ。なんだけどさ、ちょっと、今日は皆に提案があるんだ。」
双麻が何を言うのかと興味の視線が集中する。
「そのーなんだ、俺たち基本的に仲いいけど、やっぱ飯食う時とかはさ、どうしても同じグループになっちゃうじゃんか?
せっかくこうして同じクラスになったんだから、いろんな人と今以上に交流を深めるために、
飯を食うグループを毎回クジを引いて決めるってどうだ。もちろん男女混合で。まあ小学生みたいだけど、案外面白いと思うぜ。」
48 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:44:06.22 ID:nJdKCWjW0
教室中がガヤガヤしだした。男子の中にはウオーと叫んでいる奴もいる。そして、話がまとまったのか、クラス中から
「「「「「賛成ーー!!!」」」」」
という声が聞えた。様々な思惑のもとに双麻の提案は受け入れられたのだ。
「にやーカミやんもいいこと言うなー見直したぜよ。」
「ほんまやでー。僕はカミやんのこと誤解してたわみたいやわ。昨日のカミやんに謝りたいわー。」
「そういってくれると助かるぜ。(扱いやすい奴らめ)」
こうして双麻の配慮により面倒な事は起きずに2日目の学校生活は終わった。
49 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:45:42.31 ID:nJdKCWjW0
■2日目 帰り道での相談
帰り道、双麻はやや慎重に昨日の姉妹の妹の方を探す。間違って姉と出くわさないように。
またいきなりビリビリされたらたまらない。
「はーやっぱ面倒くせぇーな。携帯の番号聞いとくべきだった。」
「何が面倒くさいのですか、とミサカはあなたに問いかけます。」
「おわっ!その感じは妹の方か。よかった。丁度探してたんだ。」
「そうですか。ところでまだ設定の方は戻してないのですのか、ミサカはまたあなたの小芝居に付き合う事を考え少々うんざりします。」
「だからー、芝居じゃねーっの!あ、それ俺のモリゾー君じゃねーか(例の人形)拾ってくれてたのか」
「はい。昨日あなたが、お姉様に追いかけられる際に落としたので回収しときました。」
「できる!さすが俺が見込んだ女だけある!」
「それはどういう意味ですか?、とミサカは顔を赤らめて聞いてみます。」
「ん?まあそれよりさ、その人形を額にしばらくあててみてくれないか?」
「疑問系を疑問系で返すなと習わなかったのかという言葉を飲み込みつつ、ミサカは従順な女を演じます。」ピトッ。
(こいつおもれーな。面倒くせぇけど)
50 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:48:37.38 ID:nJdKCWjW0
しばらくすると、御坂妹にモリゾーから双麻に関する情報の断片が流れていき、
御坂妹はしばらくボーっとした後、口を開いた。
「あなたがあの人の弟という事実を確認しましたとミサカは報告します。」
「やっと分かってくれたかー。よかった。そんで、本題はこっからなんだけど~」
双麻は、自分が学園都市に来る一週間前から当麻がいないこと、
何かの事件に巻き込まれている可能性もあること、を説明し、
御坂妹に何か知ってる事がないか尋ねた。御坂妹は何も知らないとのことだが、
当麻の捜索に協力してくれることだった。
その後、双麻と美琴や御坂妹の間にあった出来事
=シスターズやアクセラレータの進化計画やそれを当麻が阻止したこと、
などを聞いて、少々驚くはめになる。
ただ、双麻にとっては、当麻に好意を持っている少女が一万人近くいるという事実の方に衝撃を受けた。
51 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:48:58.92 ID:nJdKCWjW0
(兄貴のやろーふざけやがって。ハーレムでも作る気かよ。)
「大丈夫ですか、とアナタの低俗な思考を反映している表情を見てミサカは心配します。」
「おいっ、俺が兄貴じゃないと分かった途端に言い方がキツクなってないか?」
「そんな事はありません。ミサカは下衆野郎にでも分け隔てなく接する公平主義者であることをここに宣言します。」
「誰が下衆野郎だ・・」
「不毛な議論はやめましょうとミサカは提案します」
「こいつ・・・」
52 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:49:24.85 ID:nJdKCWjW0
カ喜びさせられた御坂妹は少し怒っていた。
ひょっとして、姉よりこの妹の方がやっかいかもしれない
という感想を抱いた双麻であったが、
見知らぬ土地で自分の事を知っている人ができたことに少し安堵を覚えていた。
53 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:50:36.13 ID:nJdKCWjW0
「そーいや、名前、なんていうんだ?」
「ミサカに名前はありません。通称は10032号です。」
「なんかカッコイイけど、味気ないな。兄貴はなんて呼んでる?」
「御坂妹と呼んでいます。」
「かぁー兄貴センスねーな」
「あの人を悪く言うのは許しませんよ、とミサカはカバンの中のマシンガンをとり出して脅して見せます。」ガチャリ
「なんでそんなもん持ってるんだよ・・・
あーそうだ。番号教えてくれないか。」
54 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:51:12.80 ID:nJdKCWjW0
「10032号です。」
「そっちじゃなくて、携帯の番号だ。」
「ミサカは知り合って1日2日の男に番号を教えるほど尻軽ではありません。」
「いや、連絡とれねーと困るからさ。頼むよ。」
「仕方がありませんね。それでは、ミサカは携帯電話というものを持った事がないという驚きの事実を発表します。」
「・・それを先にいえよ。じゃあさ、お前今暇か?」
「ミサカは時間を持て余していますが、いわゆる暇という状態ではありません。」
「それを通称「暇」というんだ。もういいや来い!」
55 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:51:35.73 ID:nJdKCWjW0
これ以上のやりとりはさすがに面倒臭いと思い、
双麻は事前に調べてきたセブンスミストという都市型のショッピングモールに向かうべく、
御坂妹の手を引っ張って動きだした。
手を引っ張られた御坂妹の表情に僅かだが変化があったのだが双麻は気付かない。
56 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:52:29.39 ID:nJdKCWjW0
■御坂妹との買い物
双麻は御坂妹を連れて、セブンスミスト内の携帯ショップに入った。
「あー俺がお前の分も契約するから、機種だけ選んで。」
コクっとうなづき御坂妹は店内の携帯を眺めて回る。
双麻が自分の携帯を選んだ後、御坂妹も機種を選び終わったようだ。
「これがよいです。とミサカは指を刺します。」
御坂妹が選んだ機種は最新式のピンクの丸みを帯びたかわいらしい携帯だった。
「コレか。なかなかいいじゃん。分かった。手続きするから少しだけ待っててくれ」
「わかりました。」
(やけに素直だなぁー。まあその方が俺としても助かる。)
手続きが終わって、双麻が御坂妹に携帯を渡す。
57 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:53:15.19 ID:nJdKCWjW0
「一応、そっちの携帯に俺の番号も登録しといたから、
何か分かったりしたら連絡してくれ。
あ、お前説明書いるか?いるならこの袋ももってけ。」
そう言って双麻は説明書のぎっしり入った袋を御坂妹に手渡す。
自分の携帯の説明書の類は全てその場で処分してしまっている。
機械がやや苦手な双麻としては、携帯の説明書など読む気にならない。
だいたい携帯電話というのは、連絡がとれればいいわけで、
説明書がないと分からない機能なんていらないと双麻は思っている。
(こんな分厚い説明書読む奴いるのかよ。)
ペラペラペラ
御坂妹は熱心に携帯の説明書に目を通す。
「げっいやがった・・。まあコイツはちょっと変わってるからな。」
58 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:53:52.80 ID:nJdKCWjW0
御坂妹の事情を知った双麻は、御坂妹が変わっている原因を考え始めた。
双麻は基本的に偏見を持たない。
当麻が特異体質であったためか、くだらない偏見を持つことの愚かさを実感として持っているからだ。
なので、御坂妹が多少変わった生い立ち(クローンであること)も全く気にならないのだが、
御坂妹の常識のなさの原因は気になる。
御坂妹の知識の源となる学習装置の性能の問題なのか、
それを扱った奴がアホなのかを真剣に考え込んでしまった。
そうしているうちに、御坂妹の姿が見えなくなったので、双麻は自分の用事を済ませようと、行動を始めた。
59 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:54:34.07 ID:nJdKCWjW0
双麻は携帯を買うためだけにセブンスミストにきたわけではなく、
今後必要になると考える魔術道具の作成や、魔術を使うさいに必要な物を買いにきたのだ。
当初、当麻に会って当麻の知り合何人かに自分の存在をアピールして帰る予定だったので、
魔術道具はモリゾー君しか持ってきていなかったのである。
60 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:54:55.30 ID:nJdKCWjW0
手始めに雑貨家を回り次に装飾品売り場、ゲーム家を回っていく。
双麻が買った物だけを見ると、ごくごく日常身近にあるものばかりで、
とても魔術に使うものとは思えない。
魔術道具と言えば霊装と呼ばれるような大仰なものを想像するのが普通だが、
双麻は身の周りの物で多様な魔術道具が作れるところがとても評価されている。
双麻のこの才能は八百万の神を信仰する日本人であることが一端を担っているのかもしれない。
62 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:56:18.25 ID:nJdKCWjW0
一段落ついたあと、店内にアナウンスが入った。どうやら迷子の誘導放送のようだ。
「○○から起こしの~双麻君、よい子の広場でお姉さんが待っています。」
「” ” 。」
人生には3つの坂があると、昔刀夜から聞いた事がある。
上り坂
下り坂
「ま、さ、か、な。」
自分の名前が呼ばれた気がしたが、さすがにそんなわけがないと思いなおしたところに、
再び先ほどと同じ放送が流れる。
「○○から起こしの~双麻君、よい子の広場でお姉さんが待っています。」
「” ” 。」
「ぶはぁ!・・・。」
放送を聞いた双麻は、妙な羞恥心を抱いて
迷子センター兼子どもの遊び場であるよい子の広場にむかった。
知っている人はいないのだが、なぜか恥ずかしい。
63 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:56:33.48 ID:nJdKCWjW0
「まったく、その歳になって迷子とは困りますと、ミサカはあなたに説教します」
「ふざけっ。誰がお姉さんだっ!つかこんな呼び出し方すんな!携帯何のために買ったんだよ」
「コレは業務用ではないのですか?とミサカは首をかしげます。」
双麻は、何かいいかけたが、クスクスという周りの笑い声を聞いて、
一刻も早く逃げ出すべく御坂妹の手を引いてその場を去った。
(コイツ分かっててやってんじゃねーだろな。)
65 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:02:39.71 ID:nJdKCWjW0
「ありがとうございました。とミサカは素直にお礼をいいます。」
そう言った少女はとてもかわいらしい笑顔をした。
(コイツこういう顔もするんだな。)ドキッ
「いや、単に俺の都合だからさ。まあできれば私服で行動してくれるとありがたいな。
あ、それと携帯ちゃんと繋がる状態にしとけよ。」
二人は帰り道の途中で解散し、双麻は当麻の寮に向かう。
68 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:03:47.22 ID:nJdKCWjW0
美琴の動きが止まった。
白井はそれを不審がり、美琴の視線の先に焦点をあてる。
「げっ!(類人猿!)」
美琴がそのブティックに向かおうとする刹那、白井が声をかける。
「あら、おねー様、もう上映時間になりますわ。急ぎましょう!」
そういって美琴の腕を引っ張ってその場から連れ出した。
美琴との時間を楽しんでる白井としては、邪魔者が入ったらたまったものじゃない。
「え?あ、ちょっと、ちょっとーーー」
いつもより数倍の力の白井黒子に美琴は引きずられぎみにその場からひっぺがされた。
64 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:02:17.46 ID:pQD7ZCGW0 [1/47]
よい子の広場を離れた後、
しばらくギャーギャーいい合ってた二人だが、
言っても無駄と思った双麻が折れたあと、
セブンスミスト内のブティックにきた。
せっかくだから、美琴と御坂妹を遠目からでも一目で分かるように、
御坂妹に私服を買ってやることにしたのだ。
表向きは、ほったらかしにしといたお詫びとのこと。
「好きなだけ買っていいぞ。」
「あなたの申し出は有難いのですが、ミサカは服を買ったことがないので、選び方がよくわかりません。」
「そんなに肩肘張らなくてもいいから。じゃあ直感でいくつか選べよ。後は俺はそれに合うコーディネートするから」
「分かりました。では、」と言い二人で御坂妹の服を選んでいく。
双麻はとある事情から、女性物の服飾にもくわしかった。
服を買い終わり、二人は店を出た。
66 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:03:26.96 ID:pQD7ZCGW0 [2/47]
■目撃者
美琴は、白井・佐天・初春ととある映画を見るためにセブンスミストに来ていた。
映画の選択で、珍しく意見が一致した四人はお目当ての映画の上映時間まで、
美琴・白井組と佐天・初春組に分かれて買い物をして時間をつぶしていた。
上映時間が近くなってきたその時、美琴が見たものは、
あるブティックに入っていく双麻と御坂妹の姿であった。
「(アレ、もしかしてアイツじゃない?またあの子にちょっかい出して!)」
70 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:09:07.08 ID:pQD7ZCGW0 [4/47]
■必要条件としての準備
双麻は買ってきてものを寮の床に広げた。
床に置かれた物は、=ポータブルゲーム機、
指輪などの装飾品、画用紙、陶器、等等=かなり統一性がない。
インデックスは、しばらくの間、小萌という当麻の担任に預けることにした。
魔術を使用するところを見られると面倒なことになると思ったからだ。
「さてと、とりかかるか。」
双麻は今後に必要なものの創作作業にとりかかった。
双麻は魔術ツールの創作においては、日が落ちている間しか作れない。
気持ちの問題もあるのかもしれないが、そもそも魔術のできは、気分という要素が大きな割合を占める。
71 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:09:33.13 ID:pQD7ZCGW0 [5/47]
「おっと、もうこんな時間か。」
集中していたためか、時間は既に午前2時を回っていた。
そこで、双麻は、今日買った携帯にメールが入っていたことに気付き携帯を開く。
受信メール0001
○/〇〇(火)22:02
from 御坂妹(仮)
sub テスト
「こんばんは?
今日はいろいろとありがとう(^▽^)
携帯も服も大事にします☆★
あの人の事はとても心配(ο>△<ο)
だけど一刻も早く見つかるように頑張ろうね(0^-’)bb」
72 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:09:46.96 ID:pQD7ZCGW0 [6/47]
メールの背景色は、ピンクで彩られており、音楽ファイルも添付されていた。
双麻は、本当に携帯初めてかよという思いと、
キャラが違うんじゃねーかという思いが詰まった一言を吐いた。
「すげーな・・アイツ・・。」
簡単なメールを返して、双麻は作業に戻った。結局この日は徹夜となった。
74 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:15:10.30 ID:pQD7ZCGW0 [7/47]
■三日目の登校と双麻の興味
徹夜明けであったが双麻は学校にきていた。
2日しか過ごしていないが、超能力というものにとても興味を抱いていたので、
授業はかなり真剣に耳を傾け、
授業後にはいくつか理論面での質問にまで行った。
小萌が「やっと上条ちゃんにも先生の愛が伝わったんですねー」と何やら感激していたようだ。
開発の実技的な授業はなかったが、学科の授業でいろんなことが分かった。
(超能力と魔術ってすげー仕組みが似てる。とりいれれる部分があるかもしんないな。)
75 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:16:53.43 ID:pQD7ZCGW0 [8/47]
双麻の分析によると、超能力と魔術の根本は、同じである。
超能力の長所は、呪文や陣などを使わずに強力な現象を即座に起こせるところであり、
短所は単一の能力しか使えないところと分析する。
逆に魔術の長所と短所は、超能力の逆である。
すなわち、誰でも用意があれば、多様な能力を使えるところであり、
(得意不得意や魔力の問題はあるが)
短所は、呪文や陣、あるいは魔術道具を必要とする点で、
発動までに時間がかかったり、準備が必要な点である。
76 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:16:59.37 ID:pQD7ZCGW0 [9/47]
双麻は超能力の、例えるならば、カイロの組み方は少しおかしいと感じている。
理論的には、超能力においても、複数の能力が使えるはずだし、
第一、今の超能力のカイロの組み方だと魔術と両立しない。
何か恣意的な意図を感じるが、あえて深くは考えない。
今のところ超能力を身に付けようとは考えていないからだ。
ただ、発想は使えると考える。
78 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:19:00.41 ID:pQD7ZCGW0 [11/47]
双麻は学校が終わると御坂妹に連絡して、とある公園で落ち合った。
私服姿の御坂妹を見て、少しドキッとする。
少年は相手に悟られないように口を開く。
「なかなか似合ってるじゃん。ところでさ、超能力っていうのを見せて欲しいんだけど。お前も使えるんだろ?」
「お姉様ほどではないですけど、使えます。では、あなたの希望に答えてみます
えいっ! 」ビリビリ
電撃が少年に直撃する。
79 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:19:35.95 ID:pQD7ZCGW0 [12/47]
「どあー!いてーよ。俺に向けてうつなよ!」
「全く、と注文の多いアナタにミサカは辟易します。」
「今悟った。お前わざとやってるだろ?まあいいや、悪いけど、間をおいて何回か見せてくれ。」
だいぶ御坂妹の扱い(スルーしどころ)が分かってきた双麻は、
御坂妹の能力についていろいろ尋ねながら分析する。
まるで、近いうちにでも超能力者と対峙することを想定しているかのような熱心さだった。
80 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:20:10.89 ID:pQD7ZCGW0 [13/47]
■観察が終わり、しばらくした後の~
「ぐぅー。ぐぅー。」「はっ!ミサカはお腹がなっているという驚愕の事実に気付きます。」
「いや、お前の口から聞えてきた気がするんだけど・・。」
「過酷な能力使用によって、ミサカの生存に必要なカロリーが足りなくなったという事実をあなたの耳に入れます。」
「えーと、・・・。ファミレスでも行く?」
「ミサカは即座に賛成の一票を投じます。」
「・・・・.。もうちょっとストレートに言ってくれた方が有難いな。」
81 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:21:57.12 ID:pQD7ZCGW0 [14/47]
■ファミレス内の会話
「あなたは昨日23時以降どこにいましたか?」
「ん?ああ、当麻の家だけど」
「そうですか、でしたら間違いありません。」
御坂妹が言うには、昨晩23時から午前4時の間にかけて、
当麻の姿が、第3学区と第4学区のとある場所で数回見られたらしい。
どうやら、単独で行動していたみたいだ。
それを聞いた双麻は、当麻が監禁されていないことや、
生命の危機に直面しているわけではなさそうであることに安堵する。
準備は急ぐつもりであったがが、徹夜がかりでも最低2日かはかかる見込みであった
(それも必要条件であって、十分条件を満たすものではない)が、なんとか間にあいそうだ。
他方で何かひっかかりを感じる。
とりあえずは、明日一緒に当麻に接触を試みる事を予定した。
82 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:23:36.88 ID:pQD7ZCGW0 [15/47]
「そうですか、分かりました。ではミサカは引き続調査を続けます。」
「ありがとう。、お前に相談してよかったよ。
双麻は一生懸命手伝ってくれている御坂妹を前にして自然と言葉がこぼれた。
「そういえば、俺なりにお前の名前考えたんだけど「希」っていうのはどうだ?」
軽い口調ではあったが、双麻なりにかなり考えたものだった。
「のぞみ・・・」
それは御坂妹にもなんとなく伝わる。
「希望の希って言う字でのぞみ。あ、いやならいいんだ。」
「いやじゃありません」
「そっか。じゃあ改めて、よろしくな希。」
85 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:47:20.00 ID:pQD7ZCGW0 [16/47]
「不思議な感覚にミサカは少し戸惑いを覚えます。 」
御坂妹は今までに味わったことのない感情と格闘していた。
何かが胸にこみあげてくる。それは決して嫌なものではない。
ただ今までに味わったことのない感覚だ。
「
ん?お前・・。泣いてるの?」
双麻は一瞬御坂妹が泣いているように見えた。
「??泣いてなどいませんよ。」
泣いていたかどうかは定かではないが、御坂妹「泣くほどの嬉しさ」を感じていたのだ。
御坂妹はその感情をどう表現してよいのか分からない。
番号によって識別されてきた少女にとって名前をもらうこと、
それは大げさに言えば新たな命を吹きこまれるようなものであるのだ。
86 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:47:38.71 ID:pQD7ZCGW0 [17/47]
そっか。ところでさ~ 」
双麻の言葉をきっかけに、二人の間でまた例のくだらないやりとりが始まっていた。
二人にとってそのようなやりとりは非常に居心地のよいものになっていた。
そのことに二人は気付いていないのではあるが。
90 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:53:55.80 ID:pQD7ZCGW0 [19/47]
■二度目の轍を~
双麻達がファミレスに入った少し後で美琴は白井、初春、佐天
といういつものメンバーで同じファミレスに入り、やや離れた席につき、遊びの予定を立てていた。
そんな中、上条レーダーを持っている美琴がまた、二人に気付く。
「(あんのやろーまたあの子連れまわしてー。しかもあの子が着てる服・・
まさか昨日アイツが買ってあげたの!?私にはそんな事してくれたことないのに!
あ”-、とっても、ものすごく、最高にイライラする。」
美琴は電撃をぶちかましに行きたい衝動に襲われたが、今日は佐天と初春もいる。
そして、御坂妹を彼女達に見られるといろいろとやっかいな事になると思い、
何とか気持ちを押さえることにした。
91 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:55:21.43 ID:pQD7ZCGW0 [20/47]
「(でも、あの子があんな表情しているの初めて見たな。)」
美琴は今まで見たことない御坂妹の表情をいくつも見て複雑な気分になった。
嫉妬と嬉びが混じっているようだ。だが、根はやさしい美琴である。
「(よかったわね。あの子。仕方ないわね。あの馬鹿、今日のところは見逃すかぁ。)」
最終的にそういう結論に至った。
94 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:22:57.86 ID:pQD7ZCGW0 [21/47]
■3日目夜 二徹も厭わない
寮に帰った双麻は創作の続きをしていた。
そのうちの一つの探索魔術道具が完成したので、さっそく試して見る。
もちろん当麻の居場所を特定するのが目的だ。
魔術的改造を施したポータブルゲーム機に始動キーとなる魔術を拭き込む。
画面が一瞬光ったがすぐに真っ暗になった。
95 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:23:11.38 ID:pQD7ZCGW0 [22/47]
「ちきしょーやっぱ無理か。」
幻想殺しの事を聞いていた双麻は、
当麻が探知魔術にひっかからない可能性を危惧していたが、
見事に嫌な予感が当ってしまった。
嘆く時間は無駄だと思い気を取り直して、
作成途中の魔術道具の制作を続けることにした。
結局この日も徹夜の作業になった。
96 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:25:10.00 ID:pQD7ZCGW0 [23/47]
■4日目 一応の完成品の手渡しと目的地への~
双麻は、学校が終わった後、施術を施した指輪を持って、御坂妹と落ちあった。
「よう。わりー待たせたな。」
「いえ、ミサカも今来たところです。」
「(気の使い方覚えた?笑)ところで、希に身につけてて欲しい物があんだけど」
そう言ってカバンの中から、シンプルなデザインの銀の指輪を1つ取り出す。
これは愛情表現の結晶ーというものではなく、
護身用の魔術が施されたもので、
御坂妹が万が一危険な出来事に巻き込まれた場合を想定して作っていたものだ。
97 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:26:50.81 ID:pQD7ZCGW0 [24/47]
ちなみに双麻の右手にも今朝完成した3つの指輪がつけられているが、
これと同じ効果を持つものはない。
「左手の薬指の指輪・・///」
上記の事を聞かされていない御坂妹は、俯いてごにょごにょ言っている。
「ん?いきなりどうs」
当麻よりは鈍感ではない双麻は慌てて説明する。
「いやいや、そういう意味じゃないんだ。護身用の魔術が仕込んであるんだ。」
言った瞬間無言の蹴りが飛んできた。かなり強烈な一激だった。
98 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:28:43.60 ID:pQD7ZCGW0 [25/47]
「いてっー。」
双麻は御坂妹の意外な乙女チックな反応がきっかけで、
もしも自分に彼女ができるとしたら的な事を考えた。
「私のどこが好き?」という類の質問をしてくる女は問題外だ。
そういうのは言葉で説明できるもんじゃない。
そして、とにかく面倒臭い。
そんな問いに的確に答えれる奴はどっかの少女漫画にの中にしかいやしない。
目の前の少女はそういった点での心配はなさそうだ。
99 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:30:08.05 ID:pQD7ZCGW0 [26/47]
「あなたはミサカのどこが好きですか、とミサカは問いかけます。」
「・・・。(相変わらず、予想を裏切る奴だな)だから、・・」
いいかけたが、御坂妹が自分をからかっていることに気付き
面倒臭くなった双麻は、軽口の代わりに何も言わずお返しに御坂妹の右手の薬指に指輪をつける。
しかし、それが大きな間違いであった。
いきなり後方から、バリバリバリっという大きな音が聞えてきたので、
双麻が振り向くと、そこには、御坂妹と同じ顔をした少女がゾッとする笑顔で立っていた。
101 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:37:44.46 ID:pQD7ZCGW0 [27/47]
■とある少女の悩み
美琴は悩んでいた。
ここ最近、当麻(に見える少年)は、全く自分の相手をしてくれない。
その事に凄くイライラするが、上条に対して素直に接する事ができない
自分が悪いとは思っている。
一応いつも上条に会う前までは素直になろうと努力しようと決意する。
だけど、いざ上条を前にするとなかなか素直になれない。
その結果、自分よりも御坂妹の方が上条との距離が縮まってしまったように思える。
「はぁー。どうすればいいのよ。ううん。分かってる。素直になるしか~」
そう呟いている途中、前方に御坂妹の手に指輪をつけようとしている双麻の姿が見えた。
「ってなれるかーー!!!あんのクソ馬鹿ー!決めた。殺す。」
少女は今ヤンデレールガンになろうとしていた。
104 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:46:40.58 ID:pQD7ZCGW0 [29/47]
■悩みは怒りに~
少女は笑顔を崩さぬまま口を開く。
「今日は、アンタに嬉しいお知らせと悲しいお知らせがあるの。どっち先に聞きたい?」
「え?どっちも聞きたくないようなー」
「早・く・え・ら・べ・コラ♪」
あまりの恐ろしさに双麻は素直に答える。好きな物は最後に食べる双麻が選んだ選択は、
「じゃあ・・悲しいお知らせからお願いします。」
「アンタの命日は今日という事が決定しました」
「( 絶句 )じゃ、じゃあ嬉しいお知らせは?」
「安心して、アンタは一瞬で楽に死ねる事になってるの」
「だぁーうれしくねー!!」
「そういうわけで、しねぇーーーー!!!!!」
106 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:53:13.37 ID:pQD7ZCGW0 [30/47]
凄まじい電撃の槍が飛んできた。
かわしきれないと判断した
双麻はとっさに指輪をつけた右手をかざす。
その瞬間電撃が消える。
双麻がつけている指輪の一つに、超能力を吸収するという効果を持つ試作品があった。
どうやらちゃんと機能しているようだ。
だが、そんなことに安心する間もなく、2の矢、3の矢が次々と飛んでくる。双麻は休む間もなく裁き続ける。
指輪から変なギシギシ音がする。
(げっ!!マジで!?やべー死ぬかも。)
美琴の怒りは、吸収効果を持つ指輪の容量では到底足りないほどのものだった。。
あっという間に容量を埋め尽くした事実は徹夜してまで作った双麻としてはたまらないが、
そんなことを言っている場合ではない。
107 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:57:45.09 ID:pQD7ZCGW0 [31/47]
背に腹は変えられぬと思った双麻は、賭けに出た。
迫り来るレールガンをなんとかかわした後、怒れる少女に向かって叫んだ。
(力を貸してくれ!親父!!)
「美琴!!!聞いてくれ」
「なっ!」下の名前を呼ばれた美琴はピクッとして動きを止める。
「俺の人生には、3つの坂がある。
上り坂、
下り坂、
そして、
御坂だ!!!」
「なっ、なっいきなし何言ってるのアンタは!」
(えっ何?何?あいつの人生に私が必要ってこと?これってもしかして
プロポーズ!?)
いつの間にか美琴は顔を真っ赤にして俯いてしまっている。
108 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:58:19.63 ID:pQD7ZCGW0 [32/47]
(もう一押しか。すまない兄貴。あとの事は頼んだ。俺はまだ死にたくないんだ。)
双麻は俯いている美琴を素早く抱きしめて、耳元でささやく。
「俺、美琴に世話になってるから何かお礼したくて、
御坂妹に協力してもらってるんだけど、なかなか決まらなくて。
でも、今週中にはなんとか決めるから、もしよかったら、
俺のために、今週の日曜日空けといてくれないか?」
(なんとか噛めずに言えた。よしっ!)
「ふ、ふにゃー」
抱きしめられた嬉しさと、もらった言葉の嬉しさのあまり、美琴は
気絶してしまった。
109 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:58:48.55 ID:pQD7ZCGW0 [33/47]
「賭けには勝った。でもこれ、俺が兄貴じゃないとバレたら殺されるな。結局。。」
気絶している美琴を抱えたまましばらく今後の対処方を検討していると、頭部にいきなりドロップキックを食らった。
「こーのー類人猿がー!!私のお姉様に何をしやがったのですの!?」
(どこから沸いてきた!?つか、まった変なのが来た。)
「わりい、美琴の事頼む」
面倒を避けるべく、そう言って双麻は逃げた。
他方、白井は双麻を串刺しにしたかったが、美琴の事が最優先であると考え深追いはしなかった。
110 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:02:51.49 ID:pQD7ZCGW0 [34/47]
■御坂妹の嫉妬と独断~
双麻と美琴とのやりとりを見て、御坂妹はなぜか心がもやもやしてた。
その場にいたくなかったので、先に第3学区に向かうことにした。
メールで一応双麻にも伝える。
受信メール0004
○/〇〇(木)15:06
from 御坂妹(仮)
sub ボケ
「先に目的地に向かいます。」
「アイツ怒ってるな・。」
今までで最短のメールだ。
美琴とのやりとりでかなり時間を食ってしまったがとりあえず、目的地に急いで向かうことにする。
113 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:41:15.44 ID:pQD7ZCGW0 [35/47]
御坂妹は、当麻が目撃された近辺を見て回る。突然、右斜め後方から大きな物体が飛んできた
。間一発でよける。三人の黒ずくめの男が現れていた。
A「おいおいこんなかわいらしいお嬢さんにいきなり失礼だろ」
B「コイツ、最近この辺りをウロウロしてるやつだろ?。」
C「ああ。たぶん上条の関係者だ。」
B「んじゃあちょっと遊んで殺りますか。」
A「もったいねーなーかわいいのに。」
正確に言うとこの男達が見たのは御坂妹が協力を頼んだ他のシスターズである可能性も多いにあるのだが、
そんな事は男達にとっては関係ない。
114 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:42:30.00 ID:pQD7ZCGW0 [36/47]
「あなたたちは誰ですか?」
B「教える必要はないな。お前はだまって俺達の余興には付き合えばいんだよ」ギャハハ
道路上にある様々な物体が飛んできた。今度は複数だ。
どうやら念動力能力による攻撃のようだ。
御坂妹は走りながらそれを避けつつカバンからマシンガンを取り出し、
相手の男達に向けて発射する。バババババッ
しかし、男達に弾丸はあたらない。
115 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:44:17.35 ID:pQD7ZCGW0 [37/47]
「くっくっくかわいいねぇ。」
御坂妹は右側の細い路地に入り走りながら、
逃げきる方法と反撃の手立てを同時に考える。
その時後方からものすごい勢いで飛んできた、
どこかの店の看板が背中を直撃し、大きな衝撃を受け前方に倒れる。
間を置かず立ち上がり、再び走ろうとするが、足が動かない。
足元を見ると足が氷おっている。
116 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:45:00.39 ID:pQD7ZCGW0 [38/47]
「おいおい~もう捕まえちゃったよ。」
「あっけねーな。じゃあ殺るか。」
御坂妹は死を予感した。
「なぜでしょう。あの少年の顔が頭から離れません。まだ・・、死にたくない。」
御坂妹は、死を受け入れられなかった。
アクセラレータと対峙した時でさえ、怖いとか、痛いのは嫌だという感情はあっても、
死にたくないとは思わなかったにもかかわらず。
「だめだめ。安心しろ死体は綺麗に片付けてやるから」ニタッ
御坂妹の体に道路の標識が突き刺さった。
御坂妹の意識が途切れた。
118 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:25:20.51 ID:pQD7ZCGW0 [39/47]
■双麻の後悔
「ちくしょーどこ行きやがったあいつ」はぁはぁ
電話をかけても繋がらない。とても嫌な予感がする。、
御坂妹を放置していた事を激しく後悔する。
「ん?何だあれ?」
無数の物体が空中に浮いているのを見た双麻はその場所に向かう。
双麻は倒れている御坂妹を、発見して叫ぶ。
「おいっ!おいっ!しっかりしろ希!」
119 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:26:30.11 ID:pQD7ZCGW0 [40/47]
B「おい釣れたぜぇ。やっぱ関係者だったみたいだぜ。」
双麻は御坂妹に刺さっていた標識を丁寧に抜く。
C「シカトですかぁ?」
「わるい、見逃してくれないか。この通りだ。」
120 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:27:29.43 ID:pQD7ZCGW0 [41/47]
双麻は土下座していた。この男達の仕業だと知っていたし、凄まじい怒りは感じる。
だが、それ以上に御坂妹を助けたいと思う。
戦闘になった場合の時間のロスと、
余波によって巻御坂妹がき添えを喰う可能性を考えた行動だった。
双麻は優先順位を間違えない。
自分のプライドや怒りなど劣後的なものにすぎない。
どんな手を使ってでも優先すべきことがあると考える。
ABC「ぎゃはははは。だぜー」
A「いやあ、ここまでダサイ奴ははじめてみたな」
C「ああwwこういう奴ほど殺しがいあるんだよな」
121 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:29:12.56 ID:pQD7ZCGW0 [42/47]
浮遊していた物体が次々と双麻を襲ってきた。
双麻はそれを最小限の動きでかわす。
嘆願が聞き入れられないならば、やる事はただ一つ。
一刻も早くこの男達を黙らせるのみだ。
当麻の事を知っていそうだから、殺さずに痛めつける、といった選択肢は端からない。
その選択は、御坂妹の生命に危険が全くない場合にこそしか存在しえない。
双麻をよく知る人は、魔術的な能力よりも、この冷静な判断力と分析力こそが、
双麻のもっとも秀でたところだと言う。
122 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:30:15.02 ID:pQD7ZCGW0 [43/47]
「#0011/#0036」
双麻が呟く。
「ぐぎゃぁーーー」
黒づくめの一人の男に無数の硬い感触が伝わる。
先頭にいた一人の男は蜂の巣になって息たえた。
しかし、残りの男達はそれほど動じない。
どうやら男達はレベル5と遜色のない能力者のようで、
この現象を防ぐすべを持つようだ。
「空気を圧縮して打ち出してるみたいだな。威力はそこそこってとこか」
「小ざかしい。不意打ちしていい気になるなよ。あ?何をぶつぶついってやがる」
「~~~~~℃Й¶~~
我が忠実なる従者よ~~~~
124 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:32:09.63 ID:pQD7ZCGW0 [44/47]
一人の男が麻に向かって拳を繰り出してきた。
その男の拳を左手で打ち落とし、
さらに右足で蹴りを入れる。相手の男は両手でガードする。
「くくっ、俺の能力はグラビティハンドつーんだけど意味くらい分かるよな?」
ズシッっと双麻の左手と右足がとたんに重くなる。
動きがとまった双麻の体が足元からパキパキと音を立ててこおり始める。
別のもう一人の男は氷系の能力者のようだ。
だが双麻は顔色を変えずに呟きをやめない。
どうやら呪文の詠唱をしているようだ。
双麻の腰のあたりまで氷が侵食してきたところで、詠唱が終わった。
125 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:34:48.57 ID:pQD7ZCGW0 [45/47]
「全ての者を焼き尽くし、全てを無に帰せしめよ 」
双麻が言葉を発し終わったその時、巨大な龍の形をした炎が顕れ、
ものすごい速度で男達に向かっていく。
双麻にとっては、空気砲は、詠唱のための時間稼ぎにすぎなかった。
超能力の発現速度に対抗するため、あらかじめ、複数の魔術を指輪に吸収させ
、簡潔な指定で能力が発動するようにしてあったのだ。
もちろん超能力からヒントを得て作ったものである。
「なんだ!!こんなのみたことねーぞ」
あまりの巨大な現象を前にして男達はうろたえつつも、
先ほどの空気砲弾を防いだように防ごうとするが、
その試みは、全く役にたたず、男達は龍にのまれ一瞬で跡形もなく焼き尽くされた。
「豚どもには屋根のある留置所だって贅沢だ」
双麻はそうはき捨てた。
126 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:35:39.00 ID:pQD7ZCGW0 [46/47]
再び御坂妹に目をやると、今日渡した指輪が粉々になっている。
どうやら御守りの役割は果たしたようだ。
「効果はあったみたいだが、目さまさねーな」
双麻は多少安堵したが、心配が完全に解消されたわけではない。
御坂妹に渡した指輪は、一定程度のダメージを引き受けてくれる効果を持つものだった。
これは、作成時間がかなりかかり、かつ、膨大な魔力を要するため、一つしか作れなかったが、
事後的な回復魔術を使えるわけでない双麻は、
御坂妹に万が一何かあったときのことを想定していた。
救急車で御坂妹を運び自らも病院に向かう。
143 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:53:09.31 ID:XQfCP6vP0 [1/56]
■とある病院での
蛙顔の医師によると、命に別状はないとのことだ。
双麻は病院のベットで寝ている御坂妹の横に座り、
目が覚めるまで見守ることにした。
何時間かした後、御坂妹は目を覚ました。右手に暖かい感触を感じる。
双麻は御坂妹の手を握っていた。
もちろん何ら魔術的な意味はない、おまじないに近い行為だ。
何時間経ったであろうか御坂妹が目を覚ます
「目、さましたか。」
状況を把握した御坂妹は迷惑をかけたことを謝るべきか、
それとも助けてくれたことにお礼をいうべきか迷った。
というか、適切な言葉が見つからない。
144 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:53:47.25 ID:XQfCP6vP0 [2/56]
「とにかく、しばらくはゆっくりしてろよ」
その時
ガラガラ、と音がして二人は同時に音が鳴った方を見た。
金髪のグラサンの男がそこに立っていた。
「よーカミやん」
「土御門か。こんなところに何か用か?見たところ健康そうだけど。」
(なんでコイツがここに?)
145 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:53:51.03 ID:XQfCP6vP0 [3/56]
双麻は、突如顕れた当麻のクラスメートの男に警戒心を抱く。
「つれないにゃー。実はカミやんのことで話があるんだぜよ。
もう一人のカミやん。」
「お前気付いていたのか!?」
ニヤリと笑うと土御門は上条当麻に関する情報を話始めた。
146 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:54:34.33 ID:XQfCP6vP0 [4/56]
■当麻の覚醒とその経緯
真っ黒な髪をした少年が、ガラの悪い数人の男達の前に現れる。
「なんなんだこいつは」
「何か用かー!?」
次いで、
怒声による威嚇が始まるが、それは次々と非鳴に変わり、
やがて静寂を迎える。
倒れた男達はいずれも高位の能力者のようだったようだが、
あまりにも一方的
な結末だった。
147 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:55:08.83 ID:XQfCP6vP0 [5/56]
上条当麻は、学園都市に恨みを持つとあるイカレた研究者
=通称イカレアインシュタイン
によって目を付けられ、洗脳されていた。
男は以前から右手の幻想殺しに興味を抱いていた。
全ての異能の力を打ち消せる、ということは、
全ての異能の力を使える可能性を秘めている、という予測を立てていた。
上条当麻は絶対能力者計画に組み込まれていった。
148 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:55:55.59 ID:XQfCP6vP0 [6/56]
洗脳とは、本来時間がかかるものである。
しかし、精神的に弱っている場合、判断能力を備えていない場合など、
一定の条件下においては驚くほど簡単に行えることがある。
極端な話、小さな子どもに思想を植えつける場合がもっとも簡単な洗脳の例だ。
(某国家を見よ)
そして、記憶のほとんどを失っている当麻を洗脳し、傀儡にすることはそれほど
困難ではなかった。
こうして、とあるマッドサイエンティストによる計画が始まった。
上条双麻の新たな能力は、あらゆる現象を引き起こすものである。
その能力の速やかな向上と学園都市に恨みを晴らす目的で、学園都市の
能力者は次々と狩られていった。
150 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 16:00:07.88 ID:XQfCP6vP0 [8/56]
■病室でのやりとり~
「最初のターゲットは暗部の高位能力者達だった。
一般人を狙って話が広まるのを避けたんだろう。」
「俺と兄貴を襲ってきた奴らもそいつらの誰かの仲間ってわけか。」
「そういうことだ。上層部としては、生け捕りでとのことなんだが、
アクが強い連中ばかりだ、中には言う事を聞かない奴らもいる。」
「学園都市ってのはロクでもねーとこだな。で、何で俺にその話を?」
「カミやんの能力はやっかいでな。戦闘を重ねるたびに強化されている。
今や、お前しかとめれる奴がいないと判断したんだぜよ。 」
「部外者に丸投げかよ。で、今兄貴はどこにいるんだ?」
「第6学区にいるぜよ。たぶんカミやんをとめる最後のチャンスだ。」
「兄貴のケツを吹くのも弟の役目ってか。分かった。」
151 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 16:00:33.70 ID:XQfCP6vP0 [9/56]
多少の悪態はつくものの、
土御門の情報の提供はとても有難かった。
どうやら土御門も暗部狩りを行ってた者が
上条当麻だと気付いたのは今朝のようだ。
そして、双麻の事も含めた全ての事態を学校が終わった
わずか数時間で把握したらしい。
これが本者のプロかと少し関心する。
164 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:08:42.65 ID:XQfCP6vP0 [12/56]
■当麻と第7位
「ちっ。どうなってやがるんだ。マルチ能力は存在しないと聞いていたんだがな」
「お前の小さな物差しで物事を計るのはよした方がいい。」
ナンバーセブンこと削板軍覇は、突然襲って着た上条当麻と交戦していた。
計画は最終段階である、レベル5の一掃に移っていた。
「根性抜けたような面しやがって、俺を小物扱いとはどうしてなかなか頭にきやがる。」
「根性など意味のない物にすがるところが小物なんだよ。」
「そいつは、聞き捨てならねーセリフだな、オイ。うおおおおおおおおお!!!」
削板はおもいっきり腕をふると、凄まじい衝撃波が相手に向かうが、当麻には
まったく届かない。
165 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:09:38.49 ID:XQfCP6vP0 [13/56]
当麻はまるで興味のない顔で述べる。
「もうお前の能力は理解した。存外つまらないもんだ。そろそろ死ね」
当麻が左手を振りかざすと
ぶわっ!という音がして、削板の周りを勢いがついた水流が流れる。
「ちっ、動きづれえ。根性なしのやりそうなことだ。」
さらに、水面上から鋭い刃物のような斬撃を受ける。
「ぐっ!」
いくつもの斬撃により、削板は既に血まみれになっている。
当麻は構わず左手を削板に向ける。光の矢が削板の腹を貫通し、削板は
意識を失い水流に流されていった。
166 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:10:34.83 ID:XQfCP6vP0 [14/56]
「兄貴!!!」
事が終わる間に双麻は現場に着いていた。
「誰だお前。俺のクローンでも作ったのか。」
殺す必要はあるなと呟く。
「兄貴、俺の事が分からないのか?」
悲痛な声が漏れても、当麻は興味を示さない。
洗脳されている事は聞いているが腑に落ちない。
記憶を消されているとしてもこの反応は不可解だ。
「しゃべる時間がもったいない。死ね」
真空による斬撃=俗に言うかまいたちが双麻を襲う。
「#0006#0042」
魔術による防壁を築く。が、威力が強すぎて全ては受けきれない。
魔術防壁をすり抜けたな一部の斬撃が双麻の四肢を刻む。
「ぐっ!なんて威力だ。」
167 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:11:59.65 ID:XQfCP6vP0 [15/56]
洗脳を解くにしても当麻を組み伏せる必要がる。
兄も救えず自分も死ぬという最悪のシナリオを避けるため
双麻は当麻と戦う選択を選んだ。
「#0011#0065」
炎の斬撃が当麻に向かう。
当麻は左手で同じような斬撃を生み出しそれにぶつける。
明らかに威力の上回るその斬撃は、双麻のそれを潰して
なおも双麻のもとに向かう。
「くそっ、#0006#0089」
防壁でなんとか防ぐ。
168 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:12:54.28 ID:XQfCP6vP0 [16/56]
双麻の戦法は、暗部の男達をやったのと同じだ。
小技で時間を稼いで、詠唱魔術をぶつける。
しかし、先ほどとはかってが違う。当麻の攻撃の威力を考えると
かなりの確率で詠唱が終わるまでに先に死を迎えることになる。
その上、即席魔術程度では足止めすらできない。
次々と迫りくる当麻の攻撃の前に
双麻は防戦一方になっていた。
指輪にヒビが入る。
「やばい、限界だ。腹くくるしかねーな」
世の中には命を賭けてでもやめさせなければならないことがある。
双麻は賭けにでる決意をした。賭け金は自分の生命だ。
「これでダメなら、打つ手はねー。
#0138#0657 」ピシッ
即席魔術の中では一番威力が高いものを選択した。
169 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:13:34.59 ID:XQfCP6vP0 [17/56]
青白い複数の光弾が音を立てて当麻のもとに向かう。
指輪は既に粉々だ。
「(頼む!!受けに回ってくれ!)」
祈るような気持ちもむなしく、当麻は右手で受けるどころか
左手で青い光線を放つ。
すべてを相殺し向かってくる光をなんとかさけ
地べたに這いつくばった。
「終わりか。。」
賭け金を支払う時が迫る。
171 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:19:35.88 ID:XQfCP6vP0 [18/56]
「おいおい、そんなんで諦めちまうのか根性なしが。」
振り返ると先ほどやられていた男=削板が立っていた。
「お前はさっきの奴!?生きてたのか」
「あん?実はけっこう前から見学させてもらってたぜ。
どうやら訳ありみたいだな。」
話の途中で攻撃がくる。
甘い相手ではない。
双麻は美琴の電撃を吸収した指輪の事を思い出していた。
「≒0001」
当麻のもとに電撃の矢が飛ぶ。美琴から受けた電撃をそのままアウトプットした
だけのものだったが、今回に限ってなぜか当麻は右手を前に出し
打ち消している。
少し当麻の様子に変化があった。動きが止まっている。
172 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:19:50.27 ID:XQfCP6vP0 [19/56]
「情けねーんだけど、力貸してくれねーか?」
「聞く義理がある訳じゃあねーが、根性丸出しの面構えに免じて
ここはちょっと俺も根性出して手伝ってやる。」
当麻がまた動きだし、攻撃を始めたので
二人はそれぞれギリギリ避ける。
少しだけ勝機が見える。
双麻は削板に「時間を稼いでくれ」とシンプルに頼み事をする。
「”~~~£Бы~~
~~ ”
削
173 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:21:02.20 ID:XQfCP6vP0 [20/56]
削板が当麻に接近し、肉弾戦を試みる。
複数の攻撃をマッハで繰り出すが、当麻にはあたらない。
「まだ息があるとは驚きだ。タフさだけは認めてやる」
当麻の当面の攻撃対象は削板に移った。
「~~~ 我汝の囚われの身を救う汝我に力を貸せ ~~~~~ 」
174 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:21:19.42 ID:XQfCP6vP0 [21/56]
次々と当麻の攻撃を受け、削板も限界に達していた。
「うおおおーーー」
「ほえても無駄だ。死ね。」
少し離れた距離から光線が放たれる
「~~~我にあだ名す者を凍てつくし、永劫の時をもってもてなせ」
詠唱が終わった双麻の下から氷の鳥が出現し、光線を氷りつくして、なおも
当麻の下に向かう。
177 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:30:06.10 ID:XQfCP6vP0 [23/56]
「決まりだ。」
当麻の幻想殺しは質量的な限界がある。
それに、この巨大な魔術を超能力で
打ち消すことはできないと結論づける。
凍るであろう当麻の洗脳を解く準備の段取りを考えに移る。
しかし、その考えは甘かった。
当麻が左手を振りかざすと、バスケットボールよりふた周りほどの大きさの漆黒の球体が現れ、
氷の鳥と衝突する。氷の鳥が消滅すると同時に真っ黒な球体も
消滅した。まるで、ブラックホールのようだ。
「まじかよ。信じられねー。」
長年魔術の現象を見て来た双麻であっただけに驚きは隠せない。
完全なる想定外の事だった。
「あんなもんは反則だ。ありえない。」
当麻は双麻に向かって数本の光の槍を投げつけた。すべて急所にむかっている。
178 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:30:53.02 ID:XQfCP6vP0 [24/56]
キュインという音とともに光の槍が当麻に跳ね返る。
当麻は自分のもとに帰ってきた光の槍を右手で打ち消す。
「借りを返しにきたぜェ、三下。」
どこかで見た覚えのある白髪の男がそこにいた。
179 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:31:35.64 ID:XQfCP6vP0 [25/56]
■御坂妹の奔走
「はぁはぁ」
御坂妹は病室を抜け出し走っていた。
アクセラレータを探しているのだ。
どうやら家にはいないようなので
心あたりのある場所を手あたり次第探す。
とあるスーパーで、打ち止めと一緒にいる
白髪の男を発見し、声をかける。
「あなたにお願いがあります。」
「あン?」
事の次第を説明する。
180 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:31:58.87 ID:XQfCP6vP0 [26/56]
「あの人の力になってくれませんか、とミサカは頭を下げてお願いします。」
「ミサカからもお願いーってミサカはミサカは頼んでみる」
「ちッ。面倒せぇ。殺しちまっても文句言うンじゃねぇぞ」
男は不敵に笑う。
もとから断る気はなかった。
本人は気付いていないがシスターズには引け目を感じている。
それに何よりムカついていた。自分をかつて倒した男の状況に。
181 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:32:31.89 ID:XQfCP6vP0 [27/56]
どうやら白髪の男は味方らしい。しかもかなりの強力な助っ人に思える。
男と当麻が戦いを始めた。
「カバンの中身は無事か?」
双麻は少し離れたカバンに向かう。
白髪の男がどれだけ強くても当麻にかなうとは思えない。
アレは常識的な力じゃない。
しかし、予定外の時間を確保できそうなのは間違いない。
双麻はカバンの中身を取り出し、最後の魔術の準備を始める。
182 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:32:59.34 ID:XQfCP6vP0 [28/56]
「お前は。第一のアクセラレータか。探す手間が省けた。」
「デートのお誘いですかぁ?随分雰囲気が違うじゃねーか三下。」
二人は同時に動きだす。
上条が能力を繰り出すが、すべて反射される。
そしてそれを打ち消すという作業を数度くり返した後、
例の黒い球体がテニスボールほどの大きさで出現する。
「あン?なんだぁコレは。」
向かってくる球体は速度はそれほどない。
だが、本能で察する。これは反射できない、触れては
ならないと。
「チッめんとくせぇ」
かわしながら当麻に向かって攻撃を試みる。
当麻はさらに黒い球体を放つ。
その球体は攻撃を無効化した後さらに
アクレタレータのもとに向かう。
184 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:10:23.93 ID:XQfCP6vP0 [29/56]
いつの間にかアクセラレータの辺りは
球体で一杯になっていた。
その一つをかわし切れずに腰の辺りに触れる。
「がぁああああ」
アクセラレータの腰に穴が空いた。
例の球体は既にアクセラレータを囲んでいる。
「案外手こずったな。さすがは第一といったところか。そろそろ楽になれよ」
185 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:11:28.02 ID:XQfCP6vP0 [30/56]
■戦いの行方
辺りが光につつまれた。
黒い球体は全て消滅していた。
アクセラレータは床に転がりうずくまっているが、
当麻はとどめをさそうとはしない。
「?能力が使えない?」
自分と瓜二つの男が現れる。
「苦労したぜ。あとは、ケンカに勝つだけだ。」
186 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:12:06.12 ID:XQfCP6vP0 [31/56]
最後の魔術は、一定範囲の全ての異能の力を打ち消すものだった。
現場での準備に時間がかかる事から、ほぼ使うことは不可能と
考えていたが、一応の用意はしてあったのだ。
双麻が当麻のもとに向かう。素手だけの攻防が始まる。
バキッガキッという音が辺りに響く。
双麻の当麻に対する戦績は、24戦23敗1引き分けだ。
だが、この戦いだけはどんなことがあろうと負けられない。
二人の男は互いにボロボロになっている。
このケンカも間もなく最後の時を迎える。
187 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:14:31.96 ID:XQfCP6vP0 [32/56]
「はぁはぁさすがに強えな。」
双麻は兄の事を思い出す。
双麻が当麻に教えてもらった事は数え切れないくらいある。
当麻がいなければ、きっと他人の痛みを理解しない傲慢な人間になっていただろうと思う。
双麻が当麻の事を当麻と呼んだり、兄貴と呼んだりするのは、
対等でありつつも尊敬すべき存在であることの裏返しだった。
ケンカの最中徐々に当麻に変化が見られた。
きっかけは美琴の電撃だったのかもしれないが。
「やってみる価値はあるか」
双麻はポケットから左手でモリゾー君を掴み、当麻に向かっていく。
当麻の、右拳をギリギリでさけ、カウンターの右拳を思いっきり顔面に振りおろす。
思わずよろめいた当麻にさらに左手でモリゾーを額に押し付けるように掌打する。
ドサッという音がして、
当麻はとその場に倒れた。
191 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:36:08.62 ID:XQfCP6vP0 [33/56]
■事後処理 ~5日目の昼~ 病院での出来事
当麻が目を覚ます。白い天井が見える。
当麻の洗脳はとけたようだ。
双麻「目、醒めたかよ?兄貴。」
当麻「ああ。お前には何つーか、迷惑かけたな。ありがとう。」
双麻「まあ、俺は自分のためにやったまでだし。気にすんな。」
首謀者である研究者は土御門らによって、
双麻と当麻が戦っている最中に始末されたようだ。
全ては終わった。
夕方頃~二人は病院から追い出された。
192 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:37:09.49 ID:XQfCP6vP0 [34/56]
■当麻と双麻の休日
「兄貴起きろよ~遊びに行こうぜ」
「うん?ああ、もうこんな時間か」
久しぶりに兄弟で遊ぶことになりテンションが上がっている双麻は、
カラオケ、ボーリング、買い物、観光など当麻をあちこちつれまわした。
当麻も楽しんでいるようだった。
日が暮れたので当麻の寮に二人で帰ると、閉めていたハズの鍵がなぜか空いていた。
193 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:37:48.89 ID:XQfCP6vP0 [35/56]
「とうま~遅いんだよ!一体何してたの?」
白い修道服を着たシスターが向かってくる。
どうやら既に小萌から返品されていたようだ。
「「げっ!」」二人は同時に声を上げた。
白い修道服のシスターは同じ顔が二つあることに驚き足をとめた。
(そうか、コイツが噛みつくのは対象は兄貴だったな。よかった。さあ当麻、噛まれてこい)
(そうか、双麻がいるから、おいそれて噛みつけないみたいだ。助かったー。)
二人のそれぞれの思惑を裏切り、シスターは二人を交互に噛みつく。考えるのは後にして、とにかく怒りをぶつけようという試みだ。
ガジガジガジ~
「だぁー不幸だぁーーーー」「だぁー面倒くせーーーー」
194 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:38:40.99 ID:XQfCP6vP0 [36/56]
双麻と当麻はインデックスに経緯を説明した。
説明を聞いてもインデックそこまで驚いた様子はない。ただの幼女というわけではなさそうだ。
「当麻に弟がいるなんてしらなかったんだよ」
「あ、ああ。話す機会もなかったしな。」
その会話を聞いて、双麻は当麻に感じたわずかな不自然さを思い出す。
「兄貴、ちょっといいか」
「ん?なんだ?」
二人は夕食を買いに行くという名目で再び外に出た。
195 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:39:44.52 ID:XQfCP6vP0 [37/56]
「兄貴、記憶ないんだろ?しかも一部じゃなくてかなりの部分の」
当麻はどう答えようか考えたが、
双子の弟は何より自分の思考を把握しているように思え素直に話すことにした。
「ああ。ちょっとした事情があってな。実は今年の8月以前の記憶が全てない。」
双麻は絶句した。そんなことがあったにもかかわらず、平静に振舞える当麻は相変わらずだとも思った。
「じゃあ、俺の事も覚えてないのか?」
「記憶として覚えているとはいえないのかもしれない。だけど、体が覚えてるそんな感じだ。お前の魔術から伝わった情報の部分は実感もあるし。」
196 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:41:01.58 ID:XQfCP6vP0 [38/56]
双麻は複雑な気分になった。モリゾー君は確かに、情報を視覚化して伝える。
しかしそれは失った記憶を与えることとは少し違う。
伝わるのはあくまで双麻の記憶をもとにした情報にすぎない。
第一、全ての思い出がつまってるわけでもないのだ
。ただ、当麻が言っていることも本当だと思う。
当麻の双麻に対する接し方は昔と全く同じだ。そこは嬉しい。
当麻は、双麻が一瞬落胆した表情を浮かべたのを見逃さず、申し訳ない気持ちに駆られた。
自分との思い出を忘れられていい気分がする人間はいない。
双麻は思う。辛いのは自分でなく記憶を失った兄貴だと。
現在において、記憶を回復させる魔術はない。
だけど、必ず開発しようと決意する。そうと決まれば、やる事は一つ、明日にでも帰国しようと考える。
197 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:42:11.16 ID:XQfCP6vP0 [39/56]
「悪いんだけど、この事は誰にも言わないでくれないか。心配させたくないんだ。」
「はぁー。言うと思ったぜ。周りに心配をさせない事が常に最良の選択とは限らないんだけどな。」
と悪態はつくものの双麻の頑固さは昔から嫌というほど知っている。
記憶を失くしてもそれは全くかわってない。そこは素直に嬉しいと思うと同時に、双麻は、とある事を思い出していた。
「でもそれで兄貴がいいっていうならば、そうする。俺の口出しする問題でもないからな。」
「すまない。ありがとう。」
「たださ、一つ条件がある。」
「条件?なんだ?」
198 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:42:51.52 ID:XQfCP6vP0 [40/56]
双麻は最後の美琴とのやりとりを全部話し、当麻に例の約束を果たさせようと試みた。
「だぁー!お前なんて事してくれたんだー」
「い、いや、本当にわるい。だけど仕方なかったんだって。兄貴はヤンデレールガンの恐ろしさを知らないかもしんないけど、俺死ぬ寸前だったんだぜ。頼む兄貴!!」
「ヤンデレールガン??つーか、約束守らないとやばいのか?」
「ああ。兄貴はおろか、俺もこの世からおさらばだ。つか、兄貴は美琴が怒る理由とか分かってんのか?」
「ん?アイツは俺の事嫌いだからだろ?」
「はー?何でそうなるんだよ。相変わらずの鈍感だな。」
199 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:43:22.30 ID:XQfCP6vP0 [41/56]
当麻が鈍感であるのは昔からだった。
双麻は美琴が当麻に好意を持っていること、
美琴の態度はその裏返しであるとの予想を伝えた。
双麻は話を聞く限り当麻も美琴に気がありそうだなと思っていた。
ただ本人は気付いていない。
だから、双麻は当麻に美琴とくっつくように勧めた。
少し迷惑そうな顔をされたが気にしない。
命の尊さにの前には些事にすぎない。
200 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:48:00.73 ID:XQfCP6vP0 [42/56]
■料理対決とゲーム おまけ
二人はどちらがおいしい夕飯を作れるかを競う事にした。
兄弟とは一番身近なライバルなのである。
「双麻、こう見えても俺は毎日自炊してるんだぜ」
「それは俺も同じだ。ほえ面かくなよ。」
暴飲暴食システーに料理の味が分かるとは思えなかった双麻は、
料理の途中で電話で御坂妹を呼んだ。
201 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:48:06.85 ID:XQfCP6vP0 [43/56]
「んじゃあ食うか。」
「「「「いただきます」」」」
「ガツガツガツガツ。おいしんだよー。ガツガツ。」
「おいしいです、ミサカは素直に感想を述べます。」
「インデックスちょっと落ち着いて食えよ。」
「う、うめぇ。兄貴やるじゃん。見くびってた。」
「そういうお前の料理もすごいうまいな。」
「ガツガツガツガツ」
判定は、1-1のドローで終わった。どっちがどっちに票を入れたかは想像にまかせます。
202 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:48:39.29 ID:XQfCP6vP0 [44/56]
その後、四人は双麻の買ったTVゲームをやって過ごした。
とある1シーン。
マリモカート
「おいしそうな物がいっぱいなんだよ。なんかお腹がへるんだよ。」
「そんなあからさまなくいもんねーだろ」
「キノコとかバナナの皮じゃなねー?」
「亀とモグラとヒトデの方なんだよ」
「「えぐいわっ!!」」
「ちなみにそれはヒトデではありませんと、ミサカは横やりをいれます。」
203 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:49:36.53 ID:XQfCP6vP0 [45/56]
■誰もいない見送りと、少しの心残り
双麻は、自分の高校があるとある国に帰る
=この言い方は少し正確ではないかもしれないが=
ために空港に来ていた。
上条当麻は最後まで見送りに来ると言っていたが、
美琴との例の約束を優先するようになんとか説得したため、
結局双麻を見送る人はいない。
見送りがいらないと言えば嘘になるが、
兄の生命のため、ひいては自分の命に比べれば、天秤にかけるまでもない。
204 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:50:52.11 ID:XQfCP6vP0 [46/56]
「短い期間だったけどなかなか面白かったな。」
双麻の普段周りにいる人間も個性的であるが、
上条当麻を取り巻く人々には及ばない。
上条当麻のクラスメート、インデックス、美琴、、そして御坂妹との事を軽く振り返る。
今や御坂妹に対して特別な感情を抱いてしまっている自覚のある双麻は、
あえて御坂妹に会わないように搭乗の日時を伝えてなかった。
会えば帰りたくなくなるかもしれないと思ったからだ。
今その選択を少し後悔している。
ただ、人生において、どちらを選んでも後悔が残る選択肢しか用意されていない時がある。
205 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:51:25.13 ID:XQfCP6vP0 [47/56]
「アイツと一緒にいる時間は特に楽しかったな。おっと、そろそろ時間か」
搭乗ゲートをくぐろうとしたその時、ここ一週間ですっかり聞きなれた声が自分を呼ぶ。
「上条双麻!!!待ってください!!!」
この少女がこれほど声を張り上げた事は初めてだった。
「・・・。来てくれたのか。」
「何も教えてくれなかったくせに。ミサカはブーたれます。」
「相変わらずだな。実を言うと来てくれてすごい嬉しい。」
206 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:52:00.17 ID:XQfCP6vP0 [48/56]
しばらくの沈黙を挟んで、少女が口を開く。
「ミサカはあなたに最後の我侭を言うために来ました。どうか行かないでください。それが、ダメならミサカを一緒に連れて行ってください。」
少女は今度こそ泣いていた。
「・・・。俺もお前と一緒にいたい。これはマジな気持ちだ。でもここには残れないし、お前を連れて行くこともできない。すまない。」
少女はもう何も言葉が出ない。少年が再び口を開く。
「俺の我侭も一応聞いてくれないか。」
207 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:52:42.36 ID:XQfCP6vP0 [49/56]
少女がやっとの思いで口を開き、精一杯の強がりを吐く。
「なんですかと、ミサカは前向きに検討する姿勢を見せます。」
「2年、いや1年半待ってて欲しい。必ず会いに来るから。」
少女は答える。
「あなたは我侭です。でも待ってあげないこともありません。だから、約束を破ったら許しませんよ。」
それを聞いて少年は少女の左手をとり、ポケットから取り出した指輪をつける。
「今度のは、魔術的に効果があるもんじゃない。俺の気持ちだ。」
少女は泣きながらとびきりの笑顔を見せた。
208 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:53:36.20 ID:XQfCP6vP0 [50/56]
時間がきたので、双麻は名残おしそうに背中を見せてゲートに向かう。
そこに御坂妹からお返しの言葉がかくる。
「ミサカとは遊びだったのですね。そして、ミサカは捨てられるのですね」
まだ泣いていた少女のその言葉を聞いた周りの人々ががざわざわしだした。
サイテーとか、こんなカワイイ子をもてあそぶなんてゆるせん、
とか様々に批難の声が上がる。双麻は急いで逃げた。
209 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:54:09.75 ID:XQfCP6vP0 [51/56]
「あのやろー最後もそれかよ。」
そうは言うが、少女なりの優しさということを理解している。
この少女も、考えることは他の人と大きくは異ならない。
ただ表現の仕方が少し変わっているだけなのだ。
双麻は飛行機から学園都市を見下ろす。
行きに見た時に、人口的で無機質で自分には合わないと思っていた風景が、今ではとても美しく思えた。
210 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:56:38.89 ID:XQfCP6vP0 [52/56]
■その後のとある日
「当麻~どうしたの?なんか嬉しそうだけど、いい事あった?」
「ん?ああ、弟が明日から学園都市に住むことになったみたいなんだ。」
「双麻だっけ。そっかーそれはぜひ挨拶しなくちゃね♪あ、歓迎会やろうよ。」
「おいおい、お手柔らかに頼むぜ・・」
「分かってるって。いっとくけど、私は双麻に感謝してるんだから」
211 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:57:23.30 ID:XQfCP6vP0 [53/56]
当麻は、双麻がセッティングしたデートをきっかけに、
度々美琴と遊びに行くようになり、付き合うようになっていた。
当麻は、双麻から聞かされた話をもとに美琴を観察していると、
とっても可愛い女の子に思え、好きになるまで一瞬だった。
付き合ってしばらくした後、やっぱり美琴を騙していた事に引け目を感じたこと、
自分の弟の事を知って欲しいと思ったことから、事実を打ち明けていた。
美琴は最初、信じられないといった表情をしていたが、別に怒ってはいなかった。
当麻と付き合えた今そんなことは怒りの対象にはならなかったのだ。
むしろ自分が素直になるきっかけを与えてくれたことに感謝している。
212 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:57:54.73 ID:XQfCP6vP0 [54/56]
「でさー御坂妹に双麻の到着時刻を伝えてやってくんねーか。」
「了解~♪当麻も迎え行くんでしょ?私もいこっかな。」
「いや、俺は家であいつを迎え入れる準備があるから。それに。。」
「へー。当麻にしては気が聞くじゃない。そっかぁ、あの子喜ぶよ。」
美琴は、御坂妹が
「お姉様、1年半後とはいったいいつを指すのでしょうか。一年は半分に割れません。はっ!ミサカは騙されたのでは。」
といって狼狽していた時の事を思い出して、クスリと笑う。
213 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:58:13.80 ID:XQfCP6vP0 [55/56]
人生3度目の空港に着いた少年は兄の姿を探す。
そこで、茶髪の髪が肩まで伸びた美しい少女の姿が目に入る。
その少女の左手には見覚えのある指輪が見える。少年は驚きと喜びの混じった感情に襲われると同時に、
最初に会った時のやりとりを思いだし、声をかける。
214 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:58:47.64 ID:XQfCP6vP0 [56/56]
「よう。少し遅くなった悪い。今から少し話でもすっか?」
「ぶふぃー、とあなたの発言に対してミサカはとりあえず驚愕を露にしてみます。
あなたが遅れたのは、13日と16時間ですよ。でも、あなたとお話するのは構いませんと、
ミサカは喜びを胸に秘めつつ即座に回答します。」
少女は覚えていた。
二人は声をあげて笑った。二人とも本当に嬉しそうに
FINE
215 名前:秋雨ロック山本 ◆AKIIIp44K. [] 投稿日:2010/04/06(火) 00:02:01.69 ID:ydkgW/WKP
>>214
ふ、ふぁいん••••••?
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/06(火) 00:05:19.12 ID:o35Mk+l+0
双麻って名前で拒絶反応を示した奴は黒歴史持ちだな
おれもそうだし。
217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/06(火) 00:11:29.98 ID:fOiCJ8/U0 [1/2]
いちおつー
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/06(火) 00:26:27.57 ID:wSyXui2+0
乙
できれば兄との絡みがもう少し欲しかったな
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/05(月) 23:32:54.46 ID:HSXFn6SZ0 [2/2]
名前云々や態度はよくわからんが、とりあえずいくつかの誤字脱字が気になる。
219 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/06(火) 00:27:05.93 ID:we4Q0M4K0 [1/2]
>>189
それには返す言葉もない。
以上になります。
あんま見てくれてる人いなかったみたいだが、
保守してくれてた人、しえんしてくれてた人
ありがとう。けっこう嬉しかったりする。
それではb
220 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/06(火) 00:31:25.11 ID:we4Q0M4K0 [2/2]
>>215
つっこむなwwわらっちまった。
>>216~>>218
こんななげーのよく読んでくれたありがとう。
俺が見たら拒絶反応でるわww
もうちょっと短くかつ地の文削る努力するわ
兄との絡みもうちょい書くべきかぁ。今後の参考にする。
■当麻と双麻
「いたたたた。」
上条当麻は右手の幻想殺しを持つが故に生まれついての不幸体質である。
そして、そんな不幸を呼びよせる少年を周りの人々はほかって置かない。
近所の大人は、上条に事ある毎に罵声と侮蔑の言葉を投げ、
近所の子どもは上条に石を投げつける。
同じ学校の子どもは、上条を殴る蹴るはもちろんのこと、教科書やイス、
上履きに体操服、など上条のありとあらゆるものに、子ども達による嫌がらせの痕跡が残っている。
しかし、世の中はそんな人々だけではなく、上条当麻の人格もあってか学校にも近所にも味方は大勢存在する。
もちろん当麻の家族も強力な味方である。
当麻は今日、上級生の5人組みに袋にされていた。
何の抵抗もしなかったようだ。
その後の夜、自宅の一部屋で双子の黒頭の少年達はなにやら言い合いを始めた。
5 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:47:42.05 ID:nJdKCWjW0
「兄貴さー少しは抵抗したらどうなの?黙ってやられてばっかじゃ一生そのままだぞ」
双麻と呼ばれるもう一人の少年は、いろいろと気にくわない。
双麻と当麻はしばしば兄弟ゲンカをするが、当麻は小学生の中ではかなり強い双麻を相手にしても、
負けたことがない位に強い。
しかも当麻は何も悪いことをしていないのだ。
確かに当麻が不幸を呼びよせる体質であるかもしれないが、その不幸の対象はもっぱら当麻にであって、
周りに危害を加えたことは一度だってない。心ない大人達が原因で当麻は辛い思いをしていると双麻は思う。
自分を相手にする時みたいに振舞えばいいのに、やり返してもお釣りがくるのに、と思っている。
6 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:48:56.83 ID:nJdKCWjW0
「いや、いいんだ。この程度のことなら我慢できるから。それに大した怪我じゃない。」
「大した怪我じゃないといってもなー、とりあえず、親父に言ってくる。」
「待って、それはやめてくれ。親には内緒だって約束しただろ。心配かけさせたくないんだよ。」
「はー。当麻って本当に馬鹿だな。俺が言うのもなんだけどな、子供の心配するのも親の仕事だぞ。」
「ははは。なんだよそれ。双麻はやけに大人びたことを言うな。とにかく、この話はやめようぜ。」
小学生で親に心配かけさせたくないって、どっちが大人びてるんだよと思っていたもう一人の少年はしばらく沈黙した後、再び口を開いた。
「あー分かったよ。当麻は変なところで、頑固なんだからな。まあ俺としても母さんの悲しむ顔は極力見たくないしな。
その代わりに、俺が今からそのクソども殴りに行く。」
「そんなことしたら父さん達に迷惑かかるからやめろって。」
「あのなー先にやられたのは当麻なんだぞ。
それに、そんな事を迷惑がるような親だとしたら、俺が殴る相手は親父って事になっちまうな。」
7 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:50:11.65 ID:nJdKCWjW0
その時、ギギギッと音がして部屋のドアが開いた。
ドアの先には中年のやや薄いヒゲをはやした30歳付近の男が、鬼の様な形相をして立っていた。
「その通りだ当麻。」
「げっ。親父。いっいつの間に。
いや、いやいや僕はお父さんをリスペクトしてます。マジです。」^^;
大概の少年にとって怒った父親は怖いものだ。
この双麻という少年も例外ではない。
自分の失言で刀夜を怒らせたと思い焦っている相馬を無視して刀夜は続ける。
「当麻、その怪我は誰にやられたんだ!?今からその子の家に言って話をしてくるから言いなさい。」
8 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:54:18.04 ID:nJdKCWjW0
自分の失言で刀夜は怒らせたのではないと瞬時に悟った双麻は、
相手の親を殴りかねない父親の様子を見て、少し落ち着かせようと口を開いた。
かくいう双麻も怒っていたのではあるが、自分より怒り心頭な人間を見ると不思議と少し冷静になる。
事実、刀夜は自分の子どもに怪我をさせられて、冷静でいられる人間ではなかったし、
感情をコントロールできるほど、老成していなかった。
「お、お、親父。じゃなくて、おとうさん。少し落ち着こうぜ。話し合いっていうのは賛成だけど、
俺はお父さんが相手を殴っちゃって一家離散とか嫌だぜ。この前も~」
「双麻、少し黙りなさい。」
「はいっ!!」
9 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:54:58.40 ID:nJdKCWjW0
こうなった刀夜は自分じゃ止められないことを知っていた双麻は即座に沈黙を開始した。
母にとめてもらうように頼もうかと思ったが、詩名も便乗しそうなのでその線は切った。
詩名は普段は温厚でとてもやさしい人物ではあるが、曲がったこととには徹底的に抗う人だった。
そして何よりも当麻達を愛している。以前に当麻が親戚に罵倒された時に刀夜は相手を気絶するまで殴った。
その時詩名は刀夜を全くとめようともせず、むしろ「刀夜がやらなければ私が」、といった雰囲気を出していた。
双麻は一人ため息をつき、「子ども同士のいざこざに親が出るなよ」、とさっきとは正反対の見解をつぶやいていた。
ただこの少年もなんだかんだで、こんな両親を誇りに思っている。
そんな中、当麻が口を開いた。
10 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:55:59.86 ID:nJdKCWjW0
「父さん、心配してくれてありがとう。でも体育でちょっと怪我しただけだから、
本当に大丈夫なんだ。
今後、大丈夫じゃないことがあったら頼ると思うけど、
その時はお願いします。それよりも俺、腹が減ったな。皆でご飯の用意しようよ。」
11 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:56:43.02 ID:nJdKCWjW0
この頑固さは母さん譲りなのだろうかと刀夜はため息をもらした。
こうなったらテコでも動かないだろうと刀夜は思い、どのみち、当麻が名前を漏らさなければ、どうしようもないので、
渋々追及を断念した。
双麻も当麻の頑固さに辟易しつつも、とりあえず当麻の判断に任せることにした。
12 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:59:16.02 ID:nJdKCWjW0
リビングに向かうと食事は既にできていたので、
男三人は食器や箸を用意して、料理が載せられた皿をテーブルに運んで席についた。
「「「いただきます」」」」
食事を始めしばらくした後、詩名は当麻を見て口を開いた。
「あらあら、当麻さん。その怪我はどうしたのかしら。」
口調はいつも通りだが、怒っているようにも思える。
なぜか双麻がギクリとした顔をしたが、当麻は顔色を変えずに言う。
「あーちょっと体育張り切りすぎちゃってさ。それより相変わらずお母さんのご飯はおいしいよ。
父さんも幸せ者だな。こんな美人で料理の上手な奥さんをもらえて。」
13 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:59:42.31 ID:nJdKCWjW0
双麻は当麻の意を汲んで、援護に回る。
(母さんに知られるとやっぱめんどくせーからな。それに俺が解決すりゃいいし。貸し一つだぞ兄貴。)
「それは間違いない。けど、当麻、父さんだってモテるんだぜ。
この前なんか家に保険の勧誘にきてたオネエさんに言い寄られてたし。」
「こっ、こら双麻!何を言っているんだ。」
14 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 22:59:55.95 ID:nJdKCWjW0
「あらあら、刀夜さん。あらあら。そんなことがあったのね。詳しく聞きたいわ。」
取り皿が刀夜の顔面めがけて飛んできた。刀夜はすばやくそれをかわし
一旦撤退を図るべく移動を試みる。それを見た詩名は刀夜を追いかける。
「「ぷっ・・・。あはははははは。」」
双子だけあって、二人の息はぴったりであった。
後日、双麻が当麻の代わりに5人組みに仕返しいったのはまた別の話
15 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:00:55.21 ID:nJdKCWjW0
■双麻とビリビリ
上条当麻と瓜二つの外見の少年は学園都市に朝方到着した。
厳密に言うと、目の形と、目下のホクロがある点が異なるのだが、
普通の人には分からない。
「さてと、少し驚かせてやるか。くっくっく」
朝から何やら一人でニヤニヤしながらブツブツいっている不振な男を見ても周りは気にとめない。
学園都市の朝においては、人々は時間に追われて、くだらない事にかまっている暇はないのだ。
16 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:01:44.07 ID:nJdKCWjW0
ツンツン頭の男はトイレで自前の学生服に着替え、地図を見ながら上条当麻の通う学校に向かう。
その途中、茶髪の少女に声をかけられたが、そもそも知り合いでもないし、
相手にすると面倒な事になると判断し、聞こえないフリをした。
「ちょっとー!アンタよアンタ!」
聞こえてないのかと思い少女はかけ足で男の前に回り込む。
が、少年はそんな少女を無視してズンズン前に進む
17 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:03:15.58 ID:nJdKCWjW0
「・・・・」(げっ粘りやがる。)
「アンタはー朝からいきなり私のこと無視するんかい」ビリビリ
少女がいきなり電撃を飛ばしたので少年はとっさによける。
「どあーーー!なんだなんだ!?今のはいったいどこから何が?」
少年は周りを見回すが、少女の外に特に周りには何もなく、誰もいない。
「(??例の超能力ってやつか?まさかコイツがやったのか?いやいやないない。
こんなガキに限ってはないない。こんなペッタンコの胸したやつにできるのはロリコンの相手位だ。
まいったなー幻覚が見えるとは時差ぼけかなー。とにかく、急がないとな。)」
さらに無視して少年はズンズン進む。
その態度がかえって面倒なこと生むのだが、この少年は少し馬鹿だった。
18 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:04:10.78 ID:nJdKCWjW0
「アンタ、この後に及んでまだ私を無視するとはいい度胸ね!どうやら本格的にお仕置きが必要のようね」
少女はそういうとさらに電撃を飛ばしてきた。
それを間一髪のところで少年はよける。
少女としては少年に一言「おはよう」と声をかけて欲しかっただけなのだが、
この少年としてはそんなことは知る由もない。
「げっ!やっぱコイツだったんかよ。」
19 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:04:55.23 ID:nJdKCWjW0
それを聞いて少女はプルプル身を震わせながら叫んだ
「わーたーしーにーはー御坂美琴って名前があるっつってんでしょー!!いい加減覚えろクソボケー!!!!」
少女から放出された電力で周りがビリビリしだした。
「(戦国武将かよコイツ。てか俺にも上条双麻という名前があるんだけど)」
と言いたかった少年であるが、説明するのは面倒臭いし、
だいち説明していたら目的時刻に目的地にたどりつけないので言葉を飲み込んだ。
20 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:06:08.91 ID:nJdKCWjW0
「(だー朝から面倒くさい。非常に面倒くさい。こっちは朝飯まで我慢してきてるっーのに。適当にごまかしちゃうか。)
「すまんすまん。ちょっと考え事してたもんでな。悪いけど今はちょっと急ぐから、また帰りにでも話しようぜ美琴。」
(兄貴に後で相手させれば問題ないよな。俺は関係ないし。(笑)しかし、朝から電気目覚ましとは恐れ入ったぜ。学園都市。)
「あ、あ、アンタ、いま美琴って・・・・!!」
少女は赤面して口をパクパクさせている。
「ん?とにかくまた後でな」
「あ、あ、アンタ学校終わったらちゃんと相手しなさいよ!!」
「(なんだ、ただのツンデレかよ。兄貴も大変だな。彼女?ではないよな。見たとこ中学生だし、俺に変態の兄貴はいないはずっ)」
少年はこれ以上面倒なことになる前にと走って目的地に向かった。
21 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:09:28.62 ID:nJdKCWjW0
■双麻と御坂妹
学校からの帰り道、双麻はため息をついて歩いていた。
元々、双麻が当麻の学校に行ったのは、いきなり現れて、当麻を驚かせるためだったのだが、
肝心の当麻はどうやら欠席のようで、双麻は周りに何の説明をする機会も与えられなかったため、
当麻として過ごすことになったのだ。
しかも双麻は普段の当麻の生活態度を知っているわけではなかったので、
考えすぎた行動がすべて裏目に出てしまったのだ。
例えば、隣のクラスの女の子が当麻のために弁当を作ってきたのだが、
双麻は当麻の彼女と勘違いしたため、一緒に自分の教室で弁当を食べたり、
自分の嫌いな人参を相手の女の子にあーんと言って相手の口にほおリ込んだりしたため、
昼休み中クラス中の男から追いかけられることになったりした。
中でもしつこかったのは、金髪にグラサンの男と、青い髪にピアスをしていた男だった。
結局双麻は逃げ切れず捕まり、クロスボンバーパンチを食らうのであった。
22 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:10:25.00 ID:nJdKCWjW0
やれやれ。なんつー学校だよ。でも、いい奴ばっかでよかったな兄貴。」
当麻の小学生の頃を知る双麻としては、高校でも、もしかすると
何らかの迫害を受けているのではないかという一抹の不安があったが、
今日の感じではそんなことはまったくないようだ。
むしろ皆に慕われているようだった。
追い掛け回されたりしたが、
アレは当麻が周りに親しまれているからこそだということは分かる。
23 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:11:16.89 ID:nJdKCWjW0
でもなんつーか変人が多い学校だな」
双麻が学校の人々の面々を思い出して笑っていたところ、少し前方にいる茶髪の少女が目にとまった。
(そういやー兄貴がいないとなると、コノ電撃少女の相手はやっぱ俺がしなきゃいだめかー
。メンドくせぇけど、時間あるし、今後電撃を打たれることないように説明しとくか。)
24 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:12:06.93 ID:nJdKCWjW0
今朝のやりとりを思い出し、少し憂鬱になった双麻だが、
自分の撒いた種を刈り取ってくれる人(当麻)が不在であるため、
仕方なく少女に近づき口を開いた。
「よう。朝は悪かったな。今から少し話しでもすっか?」
「朝ですか?何のことだか分かりませんが、あなたとお話するのは構いませんよと、ミサカは喜びを胸に秘めつつ即座に回答します。」
「え?なんか朝とキャラ違うんですけども。」
(しかも言葉に出してるし。何ていうか、痛い子なのか?)
25 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:13:13.93 ID:nJdKCWjW0
「あなたは、今、内心でミサカを馬鹿にしましたね、とミサカは憤慨します。」
「い、いや。美琴の様子が朝と大違いだから、ちょっと驚いたというか。」
「ビシッっ!、とミサカはあなたの頭部にチョップします。
ミサカは、お姉様ではありません。
お姉様と間違えられたことにミサカはさらに憤りを感じます。」
「あたっ。お姉様?」
(何?こいつらも双子なの?)
26 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:15:18.87 ID:nJdKCWjW0
「どうして不思議そうな顔をするのですか?あなたの様子がいつもと違うことにミサカは心配します。」
「あ、いや、いつもと違うのはその通りなんだ。
実は俺上条当麻じゃなくて双子の弟の上条双麻って言うんだ。
兄貴から少しは俺のこと聞いたりしてない?」
「ぶふぃー、とあなたの発言に対してミサカはとりあえず驚愕を露にしてみます。」
(驚愕というより馬鹿にしてねーかコイツ・・)
「まあ、そういうわけでさー、今朝、君の姉さんに会って、(説明が面倒という)事情があったから、
当麻のふりしてたんだけど、(さらに面倒になるのが嫌だから)種明かししとこうと思って。」
「なるほど、とミサカは一応納得したフリをしてあなたの下手糞な演技に付き合う心意気を示します。」
「納得してねーじゃねーかよ・・。本当に俺当麻じゃねーんだって。
じゃあさ、証拠見せてやるよ。兄貴は魔術とか使えないだろ?」
「ミサカはあの人の恋の魔術にかかっています、
とミサカはあなたの弟ゴッコを逆手にとってあなたに思いを告げてみます。」
「えーと・・。めんどくせぇー・・・。」
27 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:17:33.90 ID:nJdKCWjW0
コイツには何を言っても無駄だと思った双麻は、カバンから手作りらしき人形をとり出した。
これは、双麻が作ったオリジナル魔術道具で、差し支えない範囲での、
自分の素性と当麻との関係に関する情報、を詰め込んだもので、
額に数秒密着させれば、情報が伝わるという優れ物の一品であった。
何人もの人に同じことを口で説明するのが面倒くさくなることを想定したものだ。
かなりの魔術的技能を詰め込んだこの道具は、双麻の魔術的才能と究極の面倒くさがりという才能を象徴している。
28 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:18:05.51 ID:nJdKCWjW0
「ちょっとそのまま動くなよ。」
「はい。ミサカは覚悟を決め、目を瞑ります。」
(目瞑る必要も、覚悟も必要ねーんだけどな。)
双麻は左手でミサカ妹の顔に手を添え、右手にもった人形を頭にもっていこうとしたその時、朝聞いた声が怒声を帯びて耳に届いた。
「アーンーターは、私の妹に何をしてるのかしら」(怒)
30 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:21:56.40 ID:nJdKCWjW0
■乙女の純情
美琴は今朝双麻に美琴と呼ばれたため学校にいる間中、頬が緩みっぱなしだった。
(アイツが美琴つて呼んでくれたーえへへ。嬉しいかも。
しかも帰りに話しようだってーふふ。「美琴好きだー」とか言われたらどうしようキャー。
いやいやあいつに限ってそれはないわね。
でも、もしかすると、ひょっとしたら、デートの誘いかも!?あー早く学校終わらないかなー)
授業中、顔を伏せて足をジタバタする美琴を見て周りの生徒はおろか、
教師ですら美琴に声をかけられなかったのは言うまでもない。
美琴は授業が終わると急いで学校を飛び出して、少年を探し始めた。
そこで、ふと何やらバカップルがベタベタしているとこが目に入った。
31 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:22:38.52 ID:nJdKCWjW0
(こんな時間からー大胆ねー。少しは人目を気にしなさいよ。
カラスみたいな頭しちゃってさ。ん?カラスみたいな頭?)
よく見ると、それは美琴がよく知っている人物だった(外見は)。
ブルブル震えながら少女が言葉を発した
「あのやろー。殺す。」
その言葉を聞いた通行人がビクっとしたが、美琴はそんなことお構いなしに、双麻のもとに最短距離の一直線で向かう。
そう天罰を下すだめに。乙女の純情を踏みにじった代償は高い。
33 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:29:02.14 ID:nJdKCWjW0
■純情を踏みにじった代償
双麻が声がする方向に振り向くと、怒りで顔を引きつらせた美琴がいた。
「ん?げっ!ちょっと落ち着け。今からせつめs」
少年が言い終わる間を待たず、今朝よりも数倍強烈な電撃が飛んできた。
「しねぇーーー。」
「どわー。あぶねー。え?まじで殺す気?やばっ」
「どりゃーー」
次々と迫りくる電撃の矢をかわしながら双麻は逃げる。
「(ほんとにこいつらなんなんだよーめんどくせぇーどころじゃねー。
ちょーーーめんどくせぇーーーー!!)」
34 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:31:11.77 ID:nJdKCWjW0
>>32
説明不足だったすまん
設定としては、弟の方は、外国の学校行っていて、暇みて学園都市にいる
当麻に会いにきたっていうかんじ
35 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:32:15.20 ID:nJdKCWjW0
■兄への思いやりと少しの嘆き
「くそー疲れた。アイツ女子中学生とは思えない体力だな」
苦笑しながら双麻が向かったのは、当麻の家の近くのスーパーであった。
双麻は、当麻が学校に来てない理由を、風邪を引いて寝てるのであろうと判断して
、寝ているであろう当麻に料理を振舞ってやるつもりだ。
とあるスーパーに入るとおかし売り場の方から元気な少女の声が聞えてくる。
「わー、これも買ってーってミサカはミサカはあなたにおねだりして見る。」
「おいガキィ。あんましうろちょろすンじゃねェ。」
「わー怒ったアナタも素敵って、ミサカはミサカは誉め殺し作戦で勝負してみる。ねーあれ買って欲しいな。」
「ちッ。しゃーねーな、持ってきやがれ」
「なーにが、「ちっ、しゃーねーな」だよ(笑)。ロリコンとはかくも恐ろしいものか。帰ったら兄貴とネタにしよっと。」
双麻はまんざらでもなさそうな白髪の男にチラリと一瞥し、必要な品を買うためその場を離れた。
36 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:33:27.64 ID:nJdKCWjW0
スーパーを出て、当麻の住むマンションのエレベータに乗った。
当麻の部屋に向かうまで、くだらない事を考える。
「サプライズは見事失敗しちまったからなー。感動の再開の第一声はどんなかんじがよいだろか。
兄貴久しぶり。元気してた? ダメだ普通すぎる。
どーもー相方の双麻です。 お笑いやりにきたわけじゃねー。
風邪引いたって聞いてどんできたぜ。 男に言われてもなー。 」
チンとエレベーターが開く音がして我にかえる。
「つか、事前に用意した言葉なんて意味ないよな。
俺のポリシーは直面即応(平たく言うと行き当りばったり)だ。危うく大事な事を忘れるとこだったぜ危ない危ない。」
双麻がとある部屋のインターホンを鳴らすとガチャリと鍵が開く音がして、ドアが開いた。
「あ、当麻遅かったんだよー何してたn」 「よお!あにk・・」
白い物体?シスター?らしき者が見えたので双麻は急いでドアを閉める。
37 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:33:31.90 ID:nJdKCWjW0
「やべー部屋間違えたか。」
しかし、ネームプレートを見直すと間違いなく上条と書いてある。
「なんだよこの寮。上条が二人もいるんかよ。とりあえず、謝りついでに兄貴の部屋きくか」
と呟いているところにドアが開いて、修道服を着た少女が双麻に飛びこんできた。
「え?何?」双麻は事態が飲み込めない。
「なんで閉めるんだよっ!かなり失礼かも!ていうか今度はどこに行ってたの!?」
「イテテ!!何で頭かじるんだ・・いてぇ!」
「今日という今日は許さないんだからね」(ガジガジ)
「たんま!たんま!おい、やめ・・ タイム!!!」
「反省する時間は十分あったと思うんだけど。とっくに時間切れなんだよ」(ガジガジ)
「だぁーーわけわかんねーめんとくせーー~」
38 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:35:41.69 ID:nJdKCWjW0
■事態の把握と今後の方針
インデックスのお仕置きが一段落して、一通りボロボロになった後、
双麻は当麻の部屋に入ることができた。
部屋の中でも説教をさんざん受けたが
そのおかげで双麻は当麻の置かれている状況が大まかに把握できた。
(どうやら兄貴はここ一週間返ってきてないみたいだな。。)
インデックスの話によれば、当麻はたびたび事件にまき込まれ、その度に大怪我をして帰ってくるようであった。
そのことに自体については、双麻はそれほど悲観してはいない。
当麻が事件に撒き込まれるのは幼少期からであったし、
あの頃に比べれば、成長した今事件に巻き込まれる方が幾分ましであろうと考えたからだ。
また、かくいう双麻も家を離れてから壮絶な出来事と度々遭遇してきた。
それ故にかなりの魔術を極めている。
そもそも当麻は、学校を休んで海外に行ってることもあったという話から、
事件に巻き込まれた可能性以外もあり得る。なにより双子故の直感で、当麻は生きているという確信がある。
39 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:36:33.30 ID:nJdKCWjW0
ただ、今までより帰ってこない期間が長いことが分かった双麻は、
明日からでも情報収集を始めようと決意した。やはり心配ではある。
そして、当麻に手助けが必要な場合に備えて焦らずに準備をしようと考える。
焦った行動は、自分のみならず、当麻の命を危険にさらしてしまうし、
必要な時に必要な手助けが出来ない位なら、何もするべきでないというのが双麻の持論であるからだ。
双麻は当初インデックスという少女にも自分の素性を話そうとしたが、
自分が当麻であるという勘違いをして怒りながらも大変喜んでおり、
手製の人形をどこかに落としてしまい持っていないこと、から期を逸してしまった。
そして、今までの話から当麻はなるべく周りの人をまき込まないように配慮していることが分かったので、
双麻もそれに協力しようと思った。従って、あたりさわりのない情報収集以外は、極めて限られた人のみを対象にしようと考え、
当麻が見つかるまでは自分の素性を一部以外には隠そうと決めた。
41 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:39:07.92 ID:nJdKCWjW0
ったく。当麻の奴全く変わってねーな。問題は誰なら打ち明けれるかなんだけど、正直俺、兄貴の交友関係しらねぇしな。)
かなり悩んだ挙句、ひとまず、御坂妹から情報を集めようと考えた。
変わり者でありつつも落ち着きある態度を評価したのだ。
(それに比べて、姉の方はダメだな。直情型というか。真っ先に危険に足つっこむタイプだなありゃ。)
もちろん、双麻は、美琴のような人間は嫌いではない。むしろ好きなタイプの人種である。
ただ、人としての好き嫌いと、物事への向き不向きは別物だと考えている。
そして、当麻の周りの人間を危険な目にあわせたら、合わせる顔がないと双麻は思う。
だから、何らかの事件に当麻が巻き込まれている事も想定してなるべくリスクを踏まないために、美琴の協力はあきらめた。
42 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:39:52.08 ID:nJdKCWjW0
■世界一摂生しないシスター
双麻が一通り考え事をまとめるた頃、インデックスが「ごっはん!ごっはん!」となにやらアピールしてきたので、双麻は夕食の準備を始めた。
(しっかし、兄貴がロリコンだったとはなー。ここ数年で一番のショックな出来事だぜ。こんなチビと同棲してるとかありえねー)
「ごっはんっ!ごっはんっ!」
「今用意してやるから少し待てよ!あ、っーかお前どれくらい食う?」
「たくさん、いっぱい、あるだけ!」
「言ったな、てめ残したら罰ゲームな」
双麻はカミつかれたお返しに今日買ってきた三日分のありったけの食材を使って、このシスターを泣かせようと考えた。
もともと双麻は料理が得意だ。割と短時間でこの大量の食材を裁く自身がある。
(鳴きベソかかせてやるぜ。)
43 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:40:49.33 ID:nJdKCWjW0
意気込んで作り始めた双麻だが、作っている最中もインデックスが煩くて、若干イライラしていた。
「ライスっ!ライスっ!米粒~♪
ニコッニコっ米粒~ ♪」
(・・。くそっ!なんてプレッシャーだ。)
「米粒ライッス!」
「うっせハゲ! わーすまんウソウソ!サラサラロンゲに訂sイテー」
残念だが、双麻は少し馬鹿だった。
44 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:41:35.40 ID:nJdKCWjW0
大量の料理が食卓に並べられ、インデックスは目を輝かせていた。
「わー今日は豪華なんだよとうまー」
「まあな。しっかり、きっちり全部食えよ」
「もちろんなんだよっ」
(ふっ。強がりを。カワイイとこあるじゃねーか。だが、俺は兄貴ほど甘くねーからな。残したらきっりお仕置きだ笑)
そんな双麻の思惑は見事に外れた。
ガツガツガツガツガツガツ
「もーっともーっと米もっと♪お代わり~」
「遠慮して頂戴♪ってお前、食うのはやいな。俺の分なくなるから少しペース落とs」
「お代わりなんだよっ!!」
「はい。」
こうして夜はふけ、次の日をむかえた。
46 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:43:15.95 ID:nJdKCWjW0
■2日目 情報収集も兼ねて
双麻は翌日も当麻のフリをして学校にきていた。
当麻に関する情報を収集する目的もあったが、当麻が一週間欠席していた現状において、
一日だけ登校してまた欠席が続くことになると、不審がられるからだ。
当麻になるべく迷惑をかけるのを避けようとする双麻は意外と律儀である。
幸い、短縮授業期間であるため、お昼ご飯を食べて学校は終わるようだ。
「上条君、お弁当作りすぎちゃったから一緒に食べない?」
双麻は、クラスの女子数人から一緒に弁当を食べるお誘いを受けた。
昨日の出来事を見て、隣の女子なんかに負けるわけにはいかないと思ったクラスの女子が攻勢に回ったのだ。
(ふーん兄貴ってけっこうモテルんだな。さすが親父の息子笑)
47 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:43:56.65 ID:nJdKCWjW0
だが、他の女子グループや男子から羨ましそうな視線に気付いた双麻は、考えた。
また面倒なことになるのはごめんだと。
「誘ってくれてありがとう。嬉しいよ。なんだけどさ、ちょっと、今日は皆に提案があるんだ。」
双麻が何を言うのかと興味の視線が集中する。
「そのーなんだ、俺たち基本的に仲いいけど、やっぱ飯食う時とかはさ、どうしても同じグループになっちゃうじゃんか?
せっかくこうして同じクラスになったんだから、いろんな人と今以上に交流を深めるために、
飯を食うグループを毎回クジを引いて決めるってどうだ。もちろん男女混合で。まあ小学生みたいだけど、案外面白いと思うぜ。」
48 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:44:06.22 ID:nJdKCWjW0
教室中がガヤガヤしだした。男子の中にはウオーと叫んでいる奴もいる。そして、話がまとまったのか、クラス中から
「「「「「賛成ーー!!!」」」」」
という声が聞えた。様々な思惑のもとに双麻の提案は受け入れられたのだ。
「にやーカミやんもいいこと言うなー見直したぜよ。」
「ほんまやでー。僕はカミやんのこと誤解してたわみたいやわ。昨日のカミやんに謝りたいわー。」
「そういってくれると助かるぜ。(扱いやすい奴らめ)」
こうして双麻の配慮により面倒な事は起きずに2日目の学校生活は終わった。
49 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:45:42.31 ID:nJdKCWjW0
■2日目 帰り道での相談
帰り道、双麻はやや慎重に昨日の姉妹の妹の方を探す。間違って姉と出くわさないように。
またいきなりビリビリされたらたまらない。
「はーやっぱ面倒くせぇーな。携帯の番号聞いとくべきだった。」
「何が面倒くさいのですか、とミサカはあなたに問いかけます。」
「おわっ!その感じは妹の方か。よかった。丁度探してたんだ。」
「そうですか。ところでまだ設定の方は戻してないのですのか、ミサカはまたあなたの小芝居に付き合う事を考え少々うんざりします。」
「だからー、芝居じゃねーっの!あ、それ俺のモリゾー君じゃねーか(例の人形)拾ってくれてたのか」
「はい。昨日あなたが、お姉様に追いかけられる際に落としたので回収しときました。」
「できる!さすが俺が見込んだ女だけある!」
「それはどういう意味ですか?、とミサカは顔を赤らめて聞いてみます。」
「ん?まあそれよりさ、その人形を額にしばらくあててみてくれないか?」
「疑問系を疑問系で返すなと習わなかったのかという言葉を飲み込みつつ、ミサカは従順な女を演じます。」ピトッ。
(こいつおもれーな。面倒くせぇけど)
50 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:48:37.38 ID:nJdKCWjW0
しばらくすると、御坂妹にモリゾーから双麻に関する情報の断片が流れていき、
御坂妹はしばらくボーっとした後、口を開いた。
「あなたがあの人の弟という事実を確認しましたとミサカは報告します。」
「やっと分かってくれたかー。よかった。そんで、本題はこっからなんだけど~」
双麻は、自分が学園都市に来る一週間前から当麻がいないこと、
何かの事件に巻き込まれている可能性もあること、を説明し、
御坂妹に何か知ってる事がないか尋ねた。御坂妹は何も知らないとのことだが、
当麻の捜索に協力してくれることだった。
その後、双麻と美琴や御坂妹の間にあった出来事
=シスターズやアクセラレータの進化計画やそれを当麻が阻止したこと、
などを聞いて、少々驚くはめになる。
ただ、双麻にとっては、当麻に好意を持っている少女が一万人近くいるという事実の方に衝撃を受けた。
51 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:48:58.92 ID:nJdKCWjW0
(兄貴のやろーふざけやがって。ハーレムでも作る気かよ。)
「大丈夫ですか、とアナタの低俗な思考を反映している表情を見てミサカは心配します。」
「おいっ、俺が兄貴じゃないと分かった途端に言い方がキツクなってないか?」
「そんな事はありません。ミサカは下衆野郎にでも分け隔てなく接する公平主義者であることをここに宣言します。」
「誰が下衆野郎だ・・」
「不毛な議論はやめましょうとミサカは提案します」
「こいつ・・・」
52 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:49:24.85 ID:nJdKCWjW0
カ喜びさせられた御坂妹は少し怒っていた。
ひょっとして、姉よりこの妹の方がやっかいかもしれない
という感想を抱いた双麻であったが、
見知らぬ土地で自分の事を知っている人ができたことに少し安堵を覚えていた。
53 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:50:36.13 ID:nJdKCWjW0
「そーいや、名前、なんていうんだ?」
「ミサカに名前はありません。通称は10032号です。」
「なんかカッコイイけど、味気ないな。兄貴はなんて呼んでる?」
「御坂妹と呼んでいます。」
「かぁー兄貴センスねーな」
「あの人を悪く言うのは許しませんよ、とミサカはカバンの中のマシンガンをとり出して脅して見せます。」ガチャリ
「なんでそんなもん持ってるんだよ・・・
あーそうだ。番号教えてくれないか。」
54 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:51:12.80 ID:nJdKCWjW0
「10032号です。」
「そっちじゃなくて、携帯の番号だ。」
「ミサカは知り合って1日2日の男に番号を教えるほど尻軽ではありません。」
「いや、連絡とれねーと困るからさ。頼むよ。」
「仕方がありませんね。それでは、ミサカは携帯電話というものを持った事がないという驚きの事実を発表します。」
「・・それを先にいえよ。じゃあさ、お前今暇か?」
「ミサカは時間を持て余していますが、いわゆる暇という状態ではありません。」
「それを通称「暇」というんだ。もういいや来い!」
55 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:51:35.73 ID:nJdKCWjW0
これ以上のやりとりはさすがに面倒臭いと思い、
双麻は事前に調べてきたセブンスミストという都市型のショッピングモールに向かうべく、
御坂妹の手を引っ張って動きだした。
手を引っ張られた御坂妹の表情に僅かだが変化があったのだが双麻は気付かない。
56 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:52:29.39 ID:nJdKCWjW0
■御坂妹との買い物
双麻は御坂妹を連れて、セブンスミスト内の携帯ショップに入った。
「あー俺がお前の分も契約するから、機種だけ選んで。」
コクっとうなづき御坂妹は店内の携帯を眺めて回る。
双麻が自分の携帯を選んだ後、御坂妹も機種を選び終わったようだ。
「これがよいです。とミサカは指を刺します。」
御坂妹が選んだ機種は最新式のピンクの丸みを帯びたかわいらしい携帯だった。
「コレか。なかなかいいじゃん。分かった。手続きするから少しだけ待っててくれ」
「わかりました。」
(やけに素直だなぁー。まあその方が俺としても助かる。)
手続きが終わって、双麻が御坂妹に携帯を渡す。
57 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:53:15.19 ID:nJdKCWjW0
「一応、そっちの携帯に俺の番号も登録しといたから、
何か分かったりしたら連絡してくれ。
あ、お前説明書いるか?いるならこの袋ももってけ。」
そう言って双麻は説明書のぎっしり入った袋を御坂妹に手渡す。
自分の携帯の説明書の類は全てその場で処分してしまっている。
機械がやや苦手な双麻としては、携帯の説明書など読む気にならない。
だいたい携帯電話というのは、連絡がとれればいいわけで、
説明書がないと分からない機能なんていらないと双麻は思っている。
(こんな分厚い説明書読む奴いるのかよ。)
ペラペラペラ
御坂妹は熱心に携帯の説明書に目を通す。
「げっいやがった・・。まあコイツはちょっと変わってるからな。」
58 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:53:52.80 ID:nJdKCWjW0
御坂妹の事情を知った双麻は、御坂妹が変わっている原因を考え始めた。
双麻は基本的に偏見を持たない。
当麻が特異体質であったためか、くだらない偏見を持つことの愚かさを実感として持っているからだ。
なので、御坂妹が多少変わった生い立ち(クローンであること)も全く気にならないのだが、
御坂妹の常識のなさの原因は気になる。
御坂妹の知識の源となる学習装置の性能の問題なのか、
それを扱った奴がアホなのかを真剣に考え込んでしまった。
そうしているうちに、御坂妹の姿が見えなくなったので、双麻は自分の用事を済ませようと、行動を始めた。
59 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:54:34.07 ID:nJdKCWjW0
双麻は携帯を買うためだけにセブンスミストにきたわけではなく、
今後必要になると考える魔術道具の作成や、魔術を使うさいに必要な物を買いにきたのだ。
当初、当麻に会って当麻の知り合何人かに自分の存在をアピールして帰る予定だったので、
魔術道具はモリゾー君しか持ってきていなかったのである。
60 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:54:55.30 ID:nJdKCWjW0
手始めに雑貨家を回り次に装飾品売り場、ゲーム家を回っていく。
双麻が買った物だけを見ると、ごくごく日常身近にあるものばかりで、
とても魔術に使うものとは思えない。
魔術道具と言えば霊装と呼ばれるような大仰なものを想像するのが普通だが、
双麻は身の周りの物で多様な魔術道具が作れるところがとても評価されている。
双麻のこの才能は八百万の神を信仰する日本人であることが一端を担っているのかもしれない。
62 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:56:18.25 ID:nJdKCWjW0
一段落ついたあと、店内にアナウンスが入った。どうやら迷子の誘導放送のようだ。
「○○から起こしの~双麻君、よい子の広場でお姉さんが待っています。」
「” ” 。」
人生には3つの坂があると、昔刀夜から聞いた事がある。
上り坂
下り坂
「ま、さ、か、な。」
自分の名前が呼ばれた気がしたが、さすがにそんなわけがないと思いなおしたところに、
再び先ほどと同じ放送が流れる。
「○○から起こしの~双麻君、よい子の広場でお姉さんが待っています。」
「” ” 。」
「ぶはぁ!・・・。」
放送を聞いた双麻は、妙な羞恥心を抱いて
迷子センター兼子どもの遊び場であるよい子の広場にむかった。
知っている人はいないのだが、なぜか恥ずかしい。
63 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/04(日) 23:56:33.48 ID:nJdKCWjW0
「まったく、その歳になって迷子とは困りますと、ミサカはあなたに説教します」
「ふざけっ。誰がお姉さんだっ!つかこんな呼び出し方すんな!携帯何のために買ったんだよ」
「コレは業務用ではないのですか?とミサカは首をかしげます。」
双麻は、何かいいかけたが、クスクスという周りの笑い声を聞いて、
一刻も早く逃げ出すべく御坂妹の手を引いてその場を去った。
(コイツ分かっててやってんじゃねーだろな。)
65 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:02:39.71 ID:nJdKCWjW0
「ありがとうございました。とミサカは素直にお礼をいいます。」
そう言った少女はとてもかわいらしい笑顔をした。
(コイツこういう顔もするんだな。)ドキッ
「いや、単に俺の都合だからさ。まあできれば私服で行動してくれるとありがたいな。
あ、それと携帯ちゃんと繋がる状態にしとけよ。」
二人は帰り道の途中で解散し、双麻は当麻の寮に向かう。
68 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:03:47.22 ID:nJdKCWjW0
美琴の動きが止まった。
白井はそれを不審がり、美琴の視線の先に焦点をあてる。
「げっ!(類人猿!)」
美琴がそのブティックに向かおうとする刹那、白井が声をかける。
「あら、おねー様、もう上映時間になりますわ。急ぎましょう!」
そういって美琴の腕を引っ張ってその場から連れ出した。
美琴との時間を楽しんでる白井としては、邪魔者が入ったらたまったものじゃない。
「え?あ、ちょっと、ちょっとーーー」
いつもより数倍の力の白井黒子に美琴は引きずられぎみにその場からひっぺがされた。
64 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:02:17.46 ID:pQD7ZCGW0 [1/47]
よい子の広場を離れた後、
しばらくギャーギャーいい合ってた二人だが、
言っても無駄と思った双麻が折れたあと、
セブンスミスト内のブティックにきた。
せっかくだから、美琴と御坂妹を遠目からでも一目で分かるように、
御坂妹に私服を買ってやることにしたのだ。
表向きは、ほったらかしにしといたお詫びとのこと。
「好きなだけ買っていいぞ。」
「あなたの申し出は有難いのですが、ミサカは服を買ったことがないので、選び方がよくわかりません。」
「そんなに肩肘張らなくてもいいから。じゃあ直感でいくつか選べよ。後は俺はそれに合うコーディネートするから」
「分かりました。では、」と言い二人で御坂妹の服を選んでいく。
双麻はとある事情から、女性物の服飾にもくわしかった。
服を買い終わり、二人は店を出た。
66 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:03:26.96 ID:pQD7ZCGW0 [2/47]
■目撃者
美琴は、白井・佐天・初春ととある映画を見るためにセブンスミストに来ていた。
映画の選択で、珍しく意見が一致した四人はお目当ての映画の上映時間まで、
美琴・白井組と佐天・初春組に分かれて買い物をして時間をつぶしていた。
上映時間が近くなってきたその時、美琴が見たものは、
あるブティックに入っていく双麻と御坂妹の姿であった。
「(アレ、もしかしてアイツじゃない?またあの子にちょっかい出して!)」
70 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:09:07.08 ID:pQD7ZCGW0 [4/47]
■必要条件としての準備
双麻は買ってきてものを寮の床に広げた。
床に置かれた物は、=ポータブルゲーム機、
指輪などの装飾品、画用紙、陶器、等等=かなり統一性がない。
インデックスは、しばらくの間、小萌という当麻の担任に預けることにした。
魔術を使用するところを見られると面倒なことになると思ったからだ。
「さてと、とりかかるか。」
双麻は今後に必要なものの創作作業にとりかかった。
双麻は魔術ツールの創作においては、日が落ちている間しか作れない。
気持ちの問題もあるのかもしれないが、そもそも魔術のできは、気分という要素が大きな割合を占める。
71 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:09:33.13 ID:pQD7ZCGW0 [5/47]
「おっと、もうこんな時間か。」
集中していたためか、時間は既に午前2時を回っていた。
そこで、双麻は、今日買った携帯にメールが入っていたことに気付き携帯を開く。
受信メール0001
○/〇〇(火)22:02
from 御坂妹(仮)
sub テスト
「こんばんは?
今日はいろいろとありがとう(^▽^)
携帯も服も大事にします☆★
あの人の事はとても心配(ο>△<ο)
だけど一刻も早く見つかるように頑張ろうね(0^-’)bb」
72 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:09:46.96 ID:pQD7ZCGW0 [6/47]
メールの背景色は、ピンクで彩られており、音楽ファイルも添付されていた。
双麻は、本当に携帯初めてかよという思いと、
キャラが違うんじゃねーかという思いが詰まった一言を吐いた。
「すげーな・・アイツ・・。」
簡単なメールを返して、双麻は作業に戻った。結局この日は徹夜となった。
74 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:15:10.30 ID:pQD7ZCGW0 [7/47]
■三日目の登校と双麻の興味
徹夜明けであったが双麻は学校にきていた。
2日しか過ごしていないが、超能力というものにとても興味を抱いていたので、
授業はかなり真剣に耳を傾け、
授業後にはいくつか理論面での質問にまで行った。
小萌が「やっと上条ちゃんにも先生の愛が伝わったんですねー」と何やら感激していたようだ。
開発の実技的な授業はなかったが、学科の授業でいろんなことが分かった。
(超能力と魔術ってすげー仕組みが似てる。とりいれれる部分があるかもしんないな。)
75 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:16:53.43 ID:pQD7ZCGW0 [8/47]
双麻の分析によると、超能力と魔術の根本は、同じである。
超能力の長所は、呪文や陣などを使わずに強力な現象を即座に起こせるところであり、
短所は単一の能力しか使えないところと分析する。
逆に魔術の長所と短所は、超能力の逆である。
すなわち、誰でも用意があれば、多様な能力を使えるところであり、
(得意不得意や魔力の問題はあるが)
短所は、呪文や陣、あるいは魔術道具を必要とする点で、
発動までに時間がかかったり、準備が必要な点である。
76 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:16:59.37 ID:pQD7ZCGW0 [9/47]
双麻は超能力の、例えるならば、カイロの組み方は少しおかしいと感じている。
理論的には、超能力においても、複数の能力が使えるはずだし、
第一、今の超能力のカイロの組み方だと魔術と両立しない。
何か恣意的な意図を感じるが、あえて深くは考えない。
今のところ超能力を身に付けようとは考えていないからだ。
ただ、発想は使えると考える。
78 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:19:00.41 ID:pQD7ZCGW0 [11/47]
双麻は学校が終わると御坂妹に連絡して、とある公園で落ち合った。
私服姿の御坂妹を見て、少しドキッとする。
少年は相手に悟られないように口を開く。
「なかなか似合ってるじゃん。ところでさ、超能力っていうのを見せて欲しいんだけど。お前も使えるんだろ?」
「お姉様ほどではないですけど、使えます。では、あなたの希望に答えてみます
えいっ! 」ビリビリ
電撃が少年に直撃する。
79 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:19:35.95 ID:pQD7ZCGW0 [12/47]
「どあー!いてーよ。俺に向けてうつなよ!」
「全く、と注文の多いアナタにミサカは辟易します。」
「今悟った。お前わざとやってるだろ?まあいいや、悪いけど、間をおいて何回か見せてくれ。」
だいぶ御坂妹の扱い(スルーしどころ)が分かってきた双麻は、
御坂妹の能力についていろいろ尋ねながら分析する。
まるで、近いうちにでも超能力者と対峙することを想定しているかのような熱心さだった。
80 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:20:10.89 ID:pQD7ZCGW0 [13/47]
■観察が終わり、しばらくした後の~
「ぐぅー。ぐぅー。」「はっ!ミサカはお腹がなっているという驚愕の事実に気付きます。」
「いや、お前の口から聞えてきた気がするんだけど・・。」
「過酷な能力使用によって、ミサカの生存に必要なカロリーが足りなくなったという事実をあなたの耳に入れます。」
「えーと、・・・。ファミレスでも行く?」
「ミサカは即座に賛成の一票を投じます。」
「・・・・.。もうちょっとストレートに言ってくれた方が有難いな。」
81 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:21:57.12 ID:pQD7ZCGW0 [14/47]
■ファミレス内の会話
「あなたは昨日23時以降どこにいましたか?」
「ん?ああ、当麻の家だけど」
「そうですか、でしたら間違いありません。」
御坂妹が言うには、昨晩23時から午前4時の間にかけて、
当麻の姿が、第3学区と第4学区のとある場所で数回見られたらしい。
どうやら、単独で行動していたみたいだ。
それを聞いた双麻は、当麻が監禁されていないことや、
生命の危機に直面しているわけではなさそうであることに安堵する。
準備は急ぐつもりであったがが、徹夜がかりでも最低2日かはかかる見込みであった
(それも必要条件であって、十分条件を満たすものではない)が、なんとか間にあいそうだ。
他方で何かひっかかりを感じる。
とりあえずは、明日一緒に当麻に接触を試みる事を予定した。
82 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:23:36.88 ID:pQD7ZCGW0 [15/47]
「そうですか、分かりました。ではミサカは引き続調査を続けます。」
「ありがとう。、お前に相談してよかったよ。
双麻は一生懸命手伝ってくれている御坂妹を前にして自然と言葉がこぼれた。
「そういえば、俺なりにお前の名前考えたんだけど「希」っていうのはどうだ?」
軽い口調ではあったが、双麻なりにかなり考えたものだった。
「のぞみ・・・」
それは御坂妹にもなんとなく伝わる。
「希望の希って言う字でのぞみ。あ、いやならいいんだ。」
「いやじゃありません」
「そっか。じゃあ改めて、よろしくな希。」
85 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:47:20.00 ID:pQD7ZCGW0 [16/47]
「不思議な感覚にミサカは少し戸惑いを覚えます。 」
御坂妹は今までに味わったことのない感情と格闘していた。
何かが胸にこみあげてくる。それは決して嫌なものではない。
ただ今までに味わったことのない感覚だ。
「
ん?お前・・。泣いてるの?」
双麻は一瞬御坂妹が泣いているように見えた。
「??泣いてなどいませんよ。」
泣いていたかどうかは定かではないが、御坂妹「泣くほどの嬉しさ」を感じていたのだ。
御坂妹はその感情をどう表現してよいのか分からない。
番号によって識別されてきた少女にとって名前をもらうこと、
それは大げさに言えば新たな命を吹きこまれるようなものであるのだ。
86 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:47:38.71 ID:pQD7ZCGW0 [17/47]
そっか。ところでさ~ 」
双麻の言葉をきっかけに、二人の間でまた例のくだらないやりとりが始まっていた。
二人にとってそのようなやりとりは非常に居心地のよいものになっていた。
そのことに二人は気付いていないのではあるが。
90 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:53:55.80 ID:pQD7ZCGW0 [19/47]
■二度目の轍を~
双麻達がファミレスに入った少し後で美琴は白井、初春、佐天
といういつものメンバーで同じファミレスに入り、やや離れた席につき、遊びの予定を立てていた。
そんな中、上条レーダーを持っている美琴がまた、二人に気付く。
「(あんのやろーまたあの子連れまわしてー。しかもあの子が着てる服・・
まさか昨日アイツが買ってあげたの!?私にはそんな事してくれたことないのに!
あ”-、とっても、ものすごく、最高にイライラする。」
美琴は電撃をぶちかましに行きたい衝動に襲われたが、今日は佐天と初春もいる。
そして、御坂妹を彼女達に見られるといろいろとやっかいな事になると思い、
何とか気持ちを押さえることにした。
91 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 00:55:21.43 ID:pQD7ZCGW0 [20/47]
「(でも、あの子があんな表情しているの初めて見たな。)」
美琴は今まで見たことない御坂妹の表情をいくつも見て複雑な気分になった。
嫉妬と嬉びが混じっているようだ。だが、根はやさしい美琴である。
「(よかったわね。あの子。仕方ないわね。あの馬鹿、今日のところは見逃すかぁ。)」
最終的にそういう結論に至った。
94 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:22:57.86 ID:pQD7ZCGW0 [21/47]
■3日目夜 二徹も厭わない
寮に帰った双麻は創作の続きをしていた。
そのうちの一つの探索魔術道具が完成したので、さっそく試して見る。
もちろん当麻の居場所を特定するのが目的だ。
魔術的改造を施したポータブルゲーム機に始動キーとなる魔術を拭き込む。
画面が一瞬光ったがすぐに真っ暗になった。
95 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:23:11.38 ID:pQD7ZCGW0 [22/47]
「ちきしょーやっぱ無理か。」
幻想殺しの事を聞いていた双麻は、
当麻が探知魔術にひっかからない可能性を危惧していたが、
見事に嫌な予感が当ってしまった。
嘆く時間は無駄だと思い気を取り直して、
作成途中の魔術道具の制作を続けることにした。
結局この日も徹夜の作業になった。
96 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:25:10.00 ID:pQD7ZCGW0 [23/47]
■4日目 一応の完成品の手渡しと目的地への~
双麻は、学校が終わった後、施術を施した指輪を持って、御坂妹と落ちあった。
「よう。わりー待たせたな。」
「いえ、ミサカも今来たところです。」
「(気の使い方覚えた?笑)ところで、希に身につけてて欲しい物があんだけど」
そう言ってカバンの中から、シンプルなデザインの銀の指輪を1つ取り出す。
これは愛情表現の結晶ーというものではなく、
護身用の魔術が施されたもので、
御坂妹が万が一危険な出来事に巻き込まれた場合を想定して作っていたものだ。
97 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:26:50.81 ID:pQD7ZCGW0 [24/47]
ちなみに双麻の右手にも今朝完成した3つの指輪がつけられているが、
これと同じ効果を持つものはない。
「左手の薬指の指輪・・///」
上記の事を聞かされていない御坂妹は、俯いてごにょごにょ言っている。
「ん?いきなりどうs」
当麻よりは鈍感ではない双麻は慌てて説明する。
「いやいや、そういう意味じゃないんだ。護身用の魔術が仕込んであるんだ。」
言った瞬間無言の蹴りが飛んできた。かなり強烈な一激だった。
98 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:28:43.60 ID:pQD7ZCGW0 [25/47]
「いてっー。」
双麻は御坂妹の意外な乙女チックな反応がきっかけで、
もしも自分に彼女ができるとしたら的な事を考えた。
「私のどこが好き?」という類の質問をしてくる女は問題外だ。
そういうのは言葉で説明できるもんじゃない。
そして、とにかく面倒臭い。
そんな問いに的確に答えれる奴はどっかの少女漫画にの中にしかいやしない。
目の前の少女はそういった点での心配はなさそうだ。
99 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:30:08.05 ID:pQD7ZCGW0 [26/47]
「あなたはミサカのどこが好きですか、とミサカは問いかけます。」
「・・・。(相変わらず、予想を裏切る奴だな)だから、・・」
いいかけたが、御坂妹が自分をからかっていることに気付き
面倒臭くなった双麻は、軽口の代わりに何も言わずお返しに御坂妹の右手の薬指に指輪をつける。
しかし、それが大きな間違いであった。
いきなり後方から、バリバリバリっという大きな音が聞えてきたので、
双麻が振り向くと、そこには、御坂妹と同じ顔をした少女がゾッとする笑顔で立っていた。
101 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:37:44.46 ID:pQD7ZCGW0 [27/47]
■とある少女の悩み
美琴は悩んでいた。
ここ最近、当麻(に見える少年)は、全く自分の相手をしてくれない。
その事に凄くイライラするが、上条に対して素直に接する事ができない
自分が悪いとは思っている。
一応いつも上条に会う前までは素直になろうと努力しようと決意する。
だけど、いざ上条を前にするとなかなか素直になれない。
その結果、自分よりも御坂妹の方が上条との距離が縮まってしまったように思える。
「はぁー。どうすればいいのよ。ううん。分かってる。素直になるしか~」
そう呟いている途中、前方に御坂妹の手に指輪をつけようとしている双麻の姿が見えた。
「ってなれるかーー!!!あんのクソ馬鹿ー!決めた。殺す。」
少女は今ヤンデレールガンになろうとしていた。
104 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:46:40.58 ID:pQD7ZCGW0 [29/47]
■悩みは怒りに~
少女は笑顔を崩さぬまま口を開く。
「今日は、アンタに嬉しいお知らせと悲しいお知らせがあるの。どっち先に聞きたい?」
「え?どっちも聞きたくないようなー」
「早・く・え・ら・べ・コラ♪」
あまりの恐ろしさに双麻は素直に答える。好きな物は最後に食べる双麻が選んだ選択は、
「じゃあ・・悲しいお知らせからお願いします。」
「アンタの命日は今日という事が決定しました」
「( 絶句 )じゃ、じゃあ嬉しいお知らせは?」
「安心して、アンタは一瞬で楽に死ねる事になってるの」
「だぁーうれしくねー!!」
「そういうわけで、しねぇーーーー!!!!!」
106 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:53:13.37 ID:pQD7ZCGW0 [30/47]
凄まじい電撃の槍が飛んできた。
かわしきれないと判断した
双麻はとっさに指輪をつけた右手をかざす。
その瞬間電撃が消える。
双麻がつけている指輪の一つに、超能力を吸収するという効果を持つ試作品があった。
どうやらちゃんと機能しているようだ。
だが、そんなことに安心する間もなく、2の矢、3の矢が次々と飛んでくる。双麻は休む間もなく裁き続ける。
指輪から変なギシギシ音がする。
(げっ!!マジで!?やべー死ぬかも。)
美琴の怒りは、吸収効果を持つ指輪の容量では到底足りないほどのものだった。。
あっという間に容量を埋め尽くした事実は徹夜してまで作った双麻としてはたまらないが、
そんなことを言っている場合ではない。
107 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:57:45.09 ID:pQD7ZCGW0 [31/47]
背に腹は変えられぬと思った双麻は、賭けに出た。
迫り来るレールガンをなんとかかわした後、怒れる少女に向かって叫んだ。
(力を貸してくれ!親父!!)
「美琴!!!聞いてくれ」
「なっ!」下の名前を呼ばれた美琴はピクッとして動きを止める。
「俺の人生には、3つの坂がある。
上り坂、
下り坂、
そして、
御坂だ!!!」
「なっ、なっいきなし何言ってるのアンタは!」
(えっ何?何?あいつの人生に私が必要ってこと?これってもしかして
プロポーズ!?)
いつの間にか美琴は顔を真っ赤にして俯いてしまっている。
108 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:58:19.63 ID:pQD7ZCGW0 [32/47]
(もう一押しか。すまない兄貴。あとの事は頼んだ。俺はまだ死にたくないんだ。)
双麻は俯いている美琴を素早く抱きしめて、耳元でささやく。
「俺、美琴に世話になってるから何かお礼したくて、
御坂妹に協力してもらってるんだけど、なかなか決まらなくて。
でも、今週中にはなんとか決めるから、もしよかったら、
俺のために、今週の日曜日空けといてくれないか?」
(なんとか噛めずに言えた。よしっ!)
「ふ、ふにゃー」
抱きしめられた嬉しさと、もらった言葉の嬉しさのあまり、美琴は
気絶してしまった。
109 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 01:58:48.55 ID:pQD7ZCGW0 [33/47]
「賭けには勝った。でもこれ、俺が兄貴じゃないとバレたら殺されるな。結局。。」
気絶している美琴を抱えたまましばらく今後の対処方を検討していると、頭部にいきなりドロップキックを食らった。
「こーのー類人猿がー!!私のお姉様に何をしやがったのですの!?」
(どこから沸いてきた!?つか、まった変なのが来た。)
「わりい、美琴の事頼む」
面倒を避けるべく、そう言って双麻は逃げた。
他方、白井は双麻を串刺しにしたかったが、美琴の事が最優先であると考え深追いはしなかった。
110 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:02:51.49 ID:pQD7ZCGW0 [34/47]
■御坂妹の嫉妬と独断~
双麻と美琴とのやりとりを見て、御坂妹はなぜか心がもやもやしてた。
その場にいたくなかったので、先に第3学区に向かうことにした。
メールで一応双麻にも伝える。
受信メール0004
○/〇〇(木)15:06
from 御坂妹(仮)
sub ボケ
「先に目的地に向かいます。」
「アイツ怒ってるな・。」
今までで最短のメールだ。
美琴とのやりとりでかなり時間を食ってしまったがとりあえず、目的地に急いで向かうことにする。
113 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:41:15.44 ID:pQD7ZCGW0 [35/47]
御坂妹は、当麻が目撃された近辺を見て回る。突然、右斜め後方から大きな物体が飛んできた
。間一発でよける。三人の黒ずくめの男が現れていた。
A「おいおいこんなかわいらしいお嬢さんにいきなり失礼だろ」
B「コイツ、最近この辺りをウロウロしてるやつだろ?。」
C「ああ。たぶん上条の関係者だ。」
B「んじゃあちょっと遊んで殺りますか。」
A「もったいねーなーかわいいのに。」
正確に言うとこの男達が見たのは御坂妹が協力を頼んだ他のシスターズである可能性も多いにあるのだが、
そんな事は男達にとっては関係ない。
114 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:42:30.00 ID:pQD7ZCGW0 [36/47]
「あなたたちは誰ですか?」
B「教える必要はないな。お前はだまって俺達の余興には付き合えばいんだよ」ギャハハ
道路上にある様々な物体が飛んできた。今度は複数だ。
どうやら念動力能力による攻撃のようだ。
御坂妹は走りながらそれを避けつつカバンからマシンガンを取り出し、
相手の男達に向けて発射する。バババババッ
しかし、男達に弾丸はあたらない。
115 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:44:17.35 ID:pQD7ZCGW0 [37/47]
「くっくっくかわいいねぇ。」
御坂妹は右側の細い路地に入り走りながら、
逃げきる方法と反撃の手立てを同時に考える。
その時後方からものすごい勢いで飛んできた、
どこかの店の看板が背中を直撃し、大きな衝撃を受け前方に倒れる。
間を置かず立ち上がり、再び走ろうとするが、足が動かない。
足元を見ると足が氷おっている。
116 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 02:45:00.39 ID:pQD7ZCGW0 [38/47]
「おいおい~もう捕まえちゃったよ。」
「あっけねーな。じゃあ殺るか。」
御坂妹は死を予感した。
「なぜでしょう。あの少年の顔が頭から離れません。まだ・・、死にたくない。」
御坂妹は、死を受け入れられなかった。
アクセラレータと対峙した時でさえ、怖いとか、痛いのは嫌だという感情はあっても、
死にたくないとは思わなかったにもかかわらず。
「だめだめ。安心しろ死体は綺麗に片付けてやるから」ニタッ
御坂妹の体に道路の標識が突き刺さった。
御坂妹の意識が途切れた。
118 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:25:20.51 ID:pQD7ZCGW0 [39/47]
■双麻の後悔
「ちくしょーどこ行きやがったあいつ」はぁはぁ
電話をかけても繋がらない。とても嫌な予感がする。、
御坂妹を放置していた事を激しく後悔する。
「ん?何だあれ?」
無数の物体が空中に浮いているのを見た双麻はその場所に向かう。
双麻は倒れている御坂妹を、発見して叫ぶ。
「おいっ!おいっ!しっかりしろ希!」
119 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:26:30.11 ID:pQD7ZCGW0 [40/47]
B「おい釣れたぜぇ。やっぱ関係者だったみたいだぜ。」
双麻は御坂妹に刺さっていた標識を丁寧に抜く。
C「シカトですかぁ?」
「わるい、見逃してくれないか。この通りだ。」
120 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:27:29.43 ID:pQD7ZCGW0 [41/47]
双麻は土下座していた。この男達の仕業だと知っていたし、凄まじい怒りは感じる。
だが、それ以上に御坂妹を助けたいと思う。
戦闘になった場合の時間のロスと、
余波によって巻御坂妹がき添えを喰う可能性を考えた行動だった。
双麻は優先順位を間違えない。
自分のプライドや怒りなど劣後的なものにすぎない。
どんな手を使ってでも優先すべきことがあると考える。
ABC「ぎゃはははは。だぜー」
A「いやあ、ここまでダサイ奴ははじめてみたな」
C「ああwwこういう奴ほど殺しがいあるんだよな」
121 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:29:12.56 ID:pQD7ZCGW0 [42/47]
浮遊していた物体が次々と双麻を襲ってきた。
双麻はそれを最小限の動きでかわす。
嘆願が聞き入れられないならば、やる事はただ一つ。
一刻も早くこの男達を黙らせるのみだ。
当麻の事を知っていそうだから、殺さずに痛めつける、といった選択肢は端からない。
その選択は、御坂妹の生命に危険が全くない場合にこそしか存在しえない。
双麻をよく知る人は、魔術的な能力よりも、この冷静な判断力と分析力こそが、
双麻のもっとも秀でたところだと言う。
122 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:30:15.02 ID:pQD7ZCGW0 [43/47]
「#0011/#0036」
双麻が呟く。
「ぐぎゃぁーーー」
黒づくめの一人の男に無数の硬い感触が伝わる。
先頭にいた一人の男は蜂の巣になって息たえた。
しかし、残りの男達はそれほど動じない。
どうやら男達はレベル5と遜色のない能力者のようで、
この現象を防ぐすべを持つようだ。
「空気を圧縮して打ち出してるみたいだな。威力はそこそこってとこか」
「小ざかしい。不意打ちしていい気になるなよ。あ?何をぶつぶついってやがる」
「~~~~~℃Й¶~~
我が忠実なる従者よ~~~~
124 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:32:09.63 ID:pQD7ZCGW0 [44/47]
一人の男が麻に向かって拳を繰り出してきた。
その男の拳を左手で打ち落とし、
さらに右足で蹴りを入れる。相手の男は両手でガードする。
「くくっ、俺の能力はグラビティハンドつーんだけど意味くらい分かるよな?」
ズシッっと双麻の左手と右足がとたんに重くなる。
動きがとまった双麻の体が足元からパキパキと音を立ててこおり始める。
別のもう一人の男は氷系の能力者のようだ。
だが双麻は顔色を変えずに呟きをやめない。
どうやら呪文の詠唱をしているようだ。
双麻の腰のあたりまで氷が侵食してきたところで、詠唱が終わった。
125 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:34:48.57 ID:pQD7ZCGW0 [45/47]
「全ての者を焼き尽くし、全てを無に帰せしめよ 」
双麻が言葉を発し終わったその時、巨大な龍の形をした炎が顕れ、
ものすごい速度で男達に向かっていく。
双麻にとっては、空気砲は、詠唱のための時間稼ぎにすぎなかった。
超能力の発現速度に対抗するため、あらかじめ、複数の魔術を指輪に吸収させ
、簡潔な指定で能力が発動するようにしてあったのだ。
もちろん超能力からヒントを得て作ったものである。
「なんだ!!こんなのみたことねーぞ」
あまりの巨大な現象を前にして男達はうろたえつつも、
先ほどの空気砲弾を防いだように防ごうとするが、
その試みは、全く役にたたず、男達は龍にのまれ一瞬で跡形もなく焼き尽くされた。
「豚どもには屋根のある留置所だって贅沢だ」
双麻はそうはき捨てた。
126 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 03:35:39.00 ID:pQD7ZCGW0 [46/47]
再び御坂妹に目をやると、今日渡した指輪が粉々になっている。
どうやら御守りの役割は果たしたようだ。
「効果はあったみたいだが、目さまさねーな」
双麻は多少安堵したが、心配が完全に解消されたわけではない。
御坂妹に渡した指輪は、一定程度のダメージを引き受けてくれる効果を持つものだった。
これは、作成時間がかなりかかり、かつ、膨大な魔力を要するため、一つしか作れなかったが、
事後的な回復魔術を使えるわけでない双麻は、
御坂妹に万が一何かあったときのことを想定していた。
救急車で御坂妹を運び自らも病院に向かう。
143 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:53:09.31 ID:XQfCP6vP0 [1/56]
■とある病院での
蛙顔の医師によると、命に別状はないとのことだ。
双麻は病院のベットで寝ている御坂妹の横に座り、
目が覚めるまで見守ることにした。
何時間かした後、御坂妹は目を覚ました。右手に暖かい感触を感じる。
双麻は御坂妹の手を握っていた。
もちろん何ら魔術的な意味はない、おまじないに近い行為だ。
何時間経ったであろうか御坂妹が目を覚ます
「目、さましたか。」
状況を把握した御坂妹は迷惑をかけたことを謝るべきか、
それとも助けてくれたことにお礼をいうべきか迷った。
というか、適切な言葉が見つからない。
144 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:53:47.25 ID:XQfCP6vP0 [2/56]
「とにかく、しばらくはゆっくりしてろよ」
その時
ガラガラ、と音がして二人は同時に音が鳴った方を見た。
金髪のグラサンの男がそこに立っていた。
「よーカミやん」
「土御門か。こんなところに何か用か?見たところ健康そうだけど。」
(なんでコイツがここに?)
145 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:53:51.03 ID:XQfCP6vP0 [3/56]
双麻は、突如顕れた当麻のクラスメートの男に警戒心を抱く。
「つれないにゃー。実はカミやんのことで話があるんだぜよ。
もう一人のカミやん。」
「お前気付いていたのか!?」
ニヤリと笑うと土御門は上条当麻に関する情報を話始めた。
146 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:54:34.33 ID:XQfCP6vP0 [4/56]
■当麻の覚醒とその経緯
真っ黒な髪をした少年が、ガラの悪い数人の男達の前に現れる。
「なんなんだこいつは」
「何か用かー!?」
次いで、
怒声による威嚇が始まるが、それは次々と非鳴に変わり、
やがて静寂を迎える。
倒れた男達はいずれも高位の能力者のようだったようだが、
あまりにも一方的
な結末だった。
147 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:55:08.83 ID:XQfCP6vP0 [5/56]
上条当麻は、学園都市に恨みを持つとあるイカレた研究者
=通称イカレアインシュタイン
によって目を付けられ、洗脳されていた。
男は以前から右手の幻想殺しに興味を抱いていた。
全ての異能の力を打ち消せる、ということは、
全ての異能の力を使える可能性を秘めている、という予測を立てていた。
上条当麻は絶対能力者計画に組み込まれていった。
148 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 15:55:55.59 ID:XQfCP6vP0 [6/56]
洗脳とは、本来時間がかかるものである。
しかし、精神的に弱っている場合、判断能力を備えていない場合など、
一定の条件下においては驚くほど簡単に行えることがある。
極端な話、小さな子どもに思想を植えつける場合がもっとも簡単な洗脳の例だ。
(某国家を見よ)
そして、記憶のほとんどを失っている当麻を洗脳し、傀儡にすることはそれほど
困難ではなかった。
こうして、とあるマッドサイエンティストによる計画が始まった。
上条双麻の新たな能力は、あらゆる現象を引き起こすものである。
その能力の速やかな向上と学園都市に恨みを晴らす目的で、学園都市の
能力者は次々と狩られていった。
150 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 16:00:07.88 ID:XQfCP6vP0 [8/56]
■病室でのやりとり~
「最初のターゲットは暗部の高位能力者達だった。
一般人を狙って話が広まるのを避けたんだろう。」
「俺と兄貴を襲ってきた奴らもそいつらの誰かの仲間ってわけか。」
「そういうことだ。上層部としては、生け捕りでとのことなんだが、
アクが強い連中ばかりだ、中には言う事を聞かない奴らもいる。」
「学園都市ってのはロクでもねーとこだな。で、何で俺にその話を?」
「カミやんの能力はやっかいでな。戦闘を重ねるたびに強化されている。
今や、お前しかとめれる奴がいないと判断したんだぜよ。 」
「部外者に丸投げかよ。で、今兄貴はどこにいるんだ?」
「第6学区にいるぜよ。たぶんカミやんをとめる最後のチャンスだ。」
「兄貴のケツを吹くのも弟の役目ってか。分かった。」
151 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 16:00:33.70 ID:XQfCP6vP0 [9/56]
多少の悪態はつくものの、
土御門の情報の提供はとても有難かった。
どうやら土御門も暗部狩りを行ってた者が
上条当麻だと気付いたのは今朝のようだ。
そして、双麻の事も含めた全ての事態を学校が終わった
わずか数時間で把握したらしい。
これが本者のプロかと少し関心する。
164 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:08:42.65 ID:XQfCP6vP0 [12/56]
■当麻と第7位
「ちっ。どうなってやがるんだ。マルチ能力は存在しないと聞いていたんだがな」
「お前の小さな物差しで物事を計るのはよした方がいい。」
ナンバーセブンこと削板軍覇は、突然襲って着た上条当麻と交戦していた。
計画は最終段階である、レベル5の一掃に移っていた。
「根性抜けたような面しやがって、俺を小物扱いとはどうしてなかなか頭にきやがる。」
「根性など意味のない物にすがるところが小物なんだよ。」
「そいつは、聞き捨てならねーセリフだな、オイ。うおおおおおおおおお!!!」
削板はおもいっきり腕をふると、凄まじい衝撃波が相手に向かうが、当麻には
まったく届かない。
165 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:09:38.49 ID:XQfCP6vP0 [13/56]
当麻はまるで興味のない顔で述べる。
「もうお前の能力は理解した。存外つまらないもんだ。そろそろ死ね」
当麻が左手を振りかざすと
ぶわっ!という音がして、削板の周りを勢いがついた水流が流れる。
「ちっ、動きづれえ。根性なしのやりそうなことだ。」
さらに、水面上から鋭い刃物のような斬撃を受ける。
「ぐっ!」
いくつもの斬撃により、削板は既に血まみれになっている。
当麻は構わず左手を削板に向ける。光の矢が削板の腹を貫通し、削板は
意識を失い水流に流されていった。
166 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:10:34.83 ID:XQfCP6vP0 [14/56]
「兄貴!!!」
事が終わる間に双麻は現場に着いていた。
「誰だお前。俺のクローンでも作ったのか。」
殺す必要はあるなと呟く。
「兄貴、俺の事が分からないのか?」
悲痛な声が漏れても、当麻は興味を示さない。
洗脳されている事は聞いているが腑に落ちない。
記憶を消されているとしてもこの反応は不可解だ。
「しゃべる時間がもったいない。死ね」
真空による斬撃=俗に言うかまいたちが双麻を襲う。
「#0006#0042」
魔術による防壁を築く。が、威力が強すぎて全ては受けきれない。
魔術防壁をすり抜けたな一部の斬撃が双麻の四肢を刻む。
「ぐっ!なんて威力だ。」
167 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:11:59.65 ID:XQfCP6vP0 [15/56]
洗脳を解くにしても当麻を組み伏せる必要がる。
兄も救えず自分も死ぬという最悪のシナリオを避けるため
双麻は当麻と戦う選択を選んだ。
「#0011#0065」
炎の斬撃が当麻に向かう。
当麻は左手で同じような斬撃を生み出しそれにぶつける。
明らかに威力の上回るその斬撃は、双麻のそれを潰して
なおも双麻のもとに向かう。
「くそっ、#0006#0089」
防壁でなんとか防ぐ。
168 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:12:54.28 ID:XQfCP6vP0 [16/56]
双麻の戦法は、暗部の男達をやったのと同じだ。
小技で時間を稼いで、詠唱魔術をぶつける。
しかし、先ほどとはかってが違う。当麻の攻撃の威力を考えると
かなりの確率で詠唱が終わるまでに先に死を迎えることになる。
その上、即席魔術程度では足止めすらできない。
次々と迫りくる当麻の攻撃の前に
双麻は防戦一方になっていた。
指輪にヒビが入る。
「やばい、限界だ。腹くくるしかねーな」
世の中には命を賭けてでもやめさせなければならないことがある。
双麻は賭けにでる決意をした。賭け金は自分の生命だ。
「これでダメなら、打つ手はねー。
#0138#0657 」ピシッ
即席魔術の中では一番威力が高いものを選択した。
169 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:13:34.59 ID:XQfCP6vP0 [17/56]
青白い複数の光弾が音を立てて当麻のもとに向かう。
指輪は既に粉々だ。
「(頼む!!受けに回ってくれ!)」
祈るような気持ちもむなしく、当麻は右手で受けるどころか
左手で青い光線を放つ。
すべてを相殺し向かってくる光をなんとかさけ
地べたに這いつくばった。
「終わりか。。」
賭け金を支払う時が迫る。
171 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:19:35.88 ID:XQfCP6vP0 [18/56]
「おいおい、そんなんで諦めちまうのか根性なしが。」
振り返ると先ほどやられていた男=削板が立っていた。
「お前はさっきの奴!?生きてたのか」
「あん?実はけっこう前から見学させてもらってたぜ。
どうやら訳ありみたいだな。」
話の途中で攻撃がくる。
甘い相手ではない。
双麻は美琴の電撃を吸収した指輪の事を思い出していた。
「≒0001」
当麻のもとに電撃の矢が飛ぶ。美琴から受けた電撃をそのままアウトプットした
だけのものだったが、今回に限ってなぜか当麻は右手を前に出し
打ち消している。
少し当麻の様子に変化があった。動きが止まっている。
172 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:19:50.27 ID:XQfCP6vP0 [19/56]
「情けねーんだけど、力貸してくれねーか?」
「聞く義理がある訳じゃあねーが、根性丸出しの面構えに免じて
ここはちょっと俺も根性出して手伝ってやる。」
当麻がまた動きだし、攻撃を始めたので
二人はそれぞれギリギリ避ける。
少しだけ勝機が見える。
双麻は削板に「時間を稼いでくれ」とシンプルに頼み事をする。
「”~~~£Бы~~
~~ ”
削
173 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:21:02.20 ID:XQfCP6vP0 [20/56]
削板が当麻に接近し、肉弾戦を試みる。
複数の攻撃をマッハで繰り出すが、当麻にはあたらない。
「まだ息があるとは驚きだ。タフさだけは認めてやる」
当麻の当面の攻撃対象は削板に移った。
「~~~ 我汝の囚われの身を救う汝我に力を貸せ ~~~~~ 」
174 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 21:21:19.42 ID:XQfCP6vP0 [21/56]
次々と当麻の攻撃を受け、削板も限界に達していた。
「うおおおーーー」
「ほえても無駄だ。死ね。」
少し離れた距離から光線が放たれる
「~~~我にあだ名す者を凍てつくし、永劫の時をもってもてなせ」
詠唱が終わった双麻の下から氷の鳥が出現し、光線を氷りつくして、なおも
当麻の下に向かう。
177 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:30:06.10 ID:XQfCP6vP0 [23/56]
「決まりだ。」
当麻の幻想殺しは質量的な限界がある。
それに、この巨大な魔術を超能力で
打ち消すことはできないと結論づける。
凍るであろう当麻の洗脳を解く準備の段取りを考えに移る。
しかし、その考えは甘かった。
当麻が左手を振りかざすと、バスケットボールよりふた周りほどの大きさの漆黒の球体が現れ、
氷の鳥と衝突する。氷の鳥が消滅すると同時に真っ黒な球体も
消滅した。まるで、ブラックホールのようだ。
「まじかよ。信じられねー。」
長年魔術の現象を見て来た双麻であっただけに驚きは隠せない。
完全なる想定外の事だった。
「あんなもんは反則だ。ありえない。」
当麻は双麻に向かって数本の光の槍を投げつけた。すべて急所にむかっている。
178 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:30:53.02 ID:XQfCP6vP0 [24/56]
キュインという音とともに光の槍が当麻に跳ね返る。
当麻は自分のもとに帰ってきた光の槍を右手で打ち消す。
「借りを返しにきたぜェ、三下。」
どこかで見た覚えのある白髪の男がそこにいた。
179 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:31:35.64 ID:XQfCP6vP0 [25/56]
■御坂妹の奔走
「はぁはぁ」
御坂妹は病室を抜け出し走っていた。
アクセラレータを探しているのだ。
どうやら家にはいないようなので
心あたりのある場所を手あたり次第探す。
とあるスーパーで、打ち止めと一緒にいる
白髪の男を発見し、声をかける。
「あなたにお願いがあります。」
「あン?」
事の次第を説明する。
180 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:31:58.87 ID:XQfCP6vP0 [26/56]
「あの人の力になってくれませんか、とミサカは頭を下げてお願いします。」
「ミサカからもお願いーってミサカはミサカは頼んでみる」
「ちッ。面倒せぇ。殺しちまっても文句言うンじゃねぇぞ」
男は不敵に笑う。
もとから断る気はなかった。
本人は気付いていないがシスターズには引け目を感じている。
それに何よりムカついていた。自分をかつて倒した男の状況に。
181 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:32:31.89 ID:XQfCP6vP0 [27/56]
どうやら白髪の男は味方らしい。しかもかなりの強力な助っ人に思える。
男と当麻が戦いを始めた。
「カバンの中身は無事か?」
双麻は少し離れたカバンに向かう。
白髪の男がどれだけ強くても当麻にかなうとは思えない。
アレは常識的な力じゃない。
しかし、予定外の時間を確保できそうなのは間違いない。
双麻はカバンの中身を取り出し、最後の魔術の準備を始める。
182 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 22:32:59.34 ID:XQfCP6vP0 [28/56]
「お前は。第一のアクセラレータか。探す手間が省けた。」
「デートのお誘いですかぁ?随分雰囲気が違うじゃねーか三下。」
二人は同時に動きだす。
上条が能力を繰り出すが、すべて反射される。
そしてそれを打ち消すという作業を数度くり返した後、
例の黒い球体がテニスボールほどの大きさで出現する。
「あン?なんだぁコレは。」
向かってくる球体は速度はそれほどない。
だが、本能で察する。これは反射できない、触れては
ならないと。
「チッめんとくせぇ」
かわしながら当麻に向かって攻撃を試みる。
当麻はさらに黒い球体を放つ。
その球体は攻撃を無効化した後さらに
アクレタレータのもとに向かう。
184 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:10:23.93 ID:XQfCP6vP0 [29/56]
いつの間にかアクセラレータの辺りは
球体で一杯になっていた。
その一つをかわし切れずに腰の辺りに触れる。
「がぁああああ」
アクセラレータの腰に穴が空いた。
例の球体は既にアクセラレータを囲んでいる。
「案外手こずったな。さすがは第一といったところか。そろそろ楽になれよ」
185 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:11:28.02 ID:XQfCP6vP0 [30/56]
■戦いの行方
辺りが光につつまれた。
黒い球体は全て消滅していた。
アクセラレータは床に転がりうずくまっているが、
当麻はとどめをさそうとはしない。
「?能力が使えない?」
自分と瓜二つの男が現れる。
「苦労したぜ。あとは、ケンカに勝つだけだ。」
186 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:12:06.12 ID:XQfCP6vP0 [31/56]
最後の魔術は、一定範囲の全ての異能の力を打ち消すものだった。
現場での準備に時間がかかる事から、ほぼ使うことは不可能と
考えていたが、一応の用意はしてあったのだ。
双麻が当麻のもとに向かう。素手だけの攻防が始まる。
バキッガキッという音が辺りに響く。
双麻の当麻に対する戦績は、24戦23敗1引き分けだ。
だが、この戦いだけはどんなことがあろうと負けられない。
二人の男は互いにボロボロになっている。
このケンカも間もなく最後の時を迎える。
187 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:14:31.96 ID:XQfCP6vP0 [32/56]
「はぁはぁさすがに強えな。」
双麻は兄の事を思い出す。
双麻が当麻に教えてもらった事は数え切れないくらいある。
当麻がいなければ、きっと他人の痛みを理解しない傲慢な人間になっていただろうと思う。
双麻が当麻の事を当麻と呼んだり、兄貴と呼んだりするのは、
対等でありつつも尊敬すべき存在であることの裏返しだった。
ケンカの最中徐々に当麻に変化が見られた。
きっかけは美琴の電撃だったのかもしれないが。
「やってみる価値はあるか」
双麻はポケットから左手でモリゾー君を掴み、当麻に向かっていく。
当麻の、右拳をギリギリでさけ、カウンターの右拳を思いっきり顔面に振りおろす。
思わずよろめいた当麻にさらに左手でモリゾーを額に押し付けるように掌打する。
ドサッという音がして、
当麻はとその場に倒れた。
191 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:36:08.62 ID:XQfCP6vP0 [33/56]
■事後処理 ~5日目の昼~ 病院での出来事
当麻が目を覚ます。白い天井が見える。
当麻の洗脳はとけたようだ。
双麻「目、醒めたかよ?兄貴。」
当麻「ああ。お前には何つーか、迷惑かけたな。ありがとう。」
双麻「まあ、俺は自分のためにやったまでだし。気にすんな。」
首謀者である研究者は土御門らによって、
双麻と当麻が戦っている最中に始末されたようだ。
全ては終わった。
夕方頃~二人は病院から追い出された。
192 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:37:09.49 ID:XQfCP6vP0 [34/56]
■当麻と双麻の休日
「兄貴起きろよ~遊びに行こうぜ」
「うん?ああ、もうこんな時間か」
久しぶりに兄弟で遊ぶことになりテンションが上がっている双麻は、
カラオケ、ボーリング、買い物、観光など当麻をあちこちつれまわした。
当麻も楽しんでいるようだった。
日が暮れたので当麻の寮に二人で帰ると、閉めていたハズの鍵がなぜか空いていた。
193 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:37:48.89 ID:XQfCP6vP0 [35/56]
「とうま~遅いんだよ!一体何してたの?」
白い修道服を着たシスターが向かってくる。
どうやら既に小萌から返品されていたようだ。
「「げっ!」」二人は同時に声を上げた。
白い修道服のシスターは同じ顔が二つあることに驚き足をとめた。
(そうか、コイツが噛みつくのは対象は兄貴だったな。よかった。さあ当麻、噛まれてこい)
(そうか、双麻がいるから、おいそれて噛みつけないみたいだ。助かったー。)
二人のそれぞれの思惑を裏切り、シスターは二人を交互に噛みつく。考えるのは後にして、とにかく怒りをぶつけようという試みだ。
ガジガジガジ~
「だぁー不幸だぁーーーー」「だぁー面倒くせーーーー」
194 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:38:40.99 ID:XQfCP6vP0 [36/56]
双麻と当麻はインデックスに経緯を説明した。
説明を聞いてもインデックそこまで驚いた様子はない。ただの幼女というわけではなさそうだ。
「当麻に弟がいるなんてしらなかったんだよ」
「あ、ああ。話す機会もなかったしな。」
その会話を聞いて、双麻は当麻に感じたわずかな不自然さを思い出す。
「兄貴、ちょっといいか」
「ん?なんだ?」
二人は夕食を買いに行くという名目で再び外に出た。
195 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:39:44.52 ID:XQfCP6vP0 [37/56]
「兄貴、記憶ないんだろ?しかも一部じゃなくてかなりの部分の」
当麻はどう答えようか考えたが、
双子の弟は何より自分の思考を把握しているように思え素直に話すことにした。
「ああ。ちょっとした事情があってな。実は今年の8月以前の記憶が全てない。」
双麻は絶句した。そんなことがあったにもかかわらず、平静に振舞える当麻は相変わらずだとも思った。
「じゃあ、俺の事も覚えてないのか?」
「記憶として覚えているとはいえないのかもしれない。だけど、体が覚えてるそんな感じだ。お前の魔術から伝わった情報の部分は実感もあるし。」
196 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:41:01.58 ID:XQfCP6vP0 [38/56]
双麻は複雑な気分になった。モリゾー君は確かに、情報を視覚化して伝える。
しかしそれは失った記憶を与えることとは少し違う。
伝わるのはあくまで双麻の記憶をもとにした情報にすぎない。
第一、全ての思い出がつまってるわけでもないのだ
。ただ、当麻が言っていることも本当だと思う。
当麻の双麻に対する接し方は昔と全く同じだ。そこは嬉しい。
当麻は、双麻が一瞬落胆した表情を浮かべたのを見逃さず、申し訳ない気持ちに駆られた。
自分との思い出を忘れられていい気分がする人間はいない。
双麻は思う。辛いのは自分でなく記憶を失った兄貴だと。
現在において、記憶を回復させる魔術はない。
だけど、必ず開発しようと決意する。そうと決まれば、やる事は一つ、明日にでも帰国しようと考える。
197 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:42:11.16 ID:XQfCP6vP0 [39/56]
「悪いんだけど、この事は誰にも言わないでくれないか。心配させたくないんだ。」
「はぁー。言うと思ったぜ。周りに心配をさせない事が常に最良の選択とは限らないんだけどな。」
と悪態はつくものの双麻の頑固さは昔から嫌というほど知っている。
記憶を失くしてもそれは全くかわってない。そこは素直に嬉しいと思うと同時に、双麻は、とある事を思い出していた。
「でもそれで兄貴がいいっていうならば、そうする。俺の口出しする問題でもないからな。」
「すまない。ありがとう。」
「たださ、一つ条件がある。」
「条件?なんだ?」
198 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:42:51.52 ID:XQfCP6vP0 [40/56]
双麻は最後の美琴とのやりとりを全部話し、当麻に例の約束を果たさせようと試みた。
「だぁー!お前なんて事してくれたんだー」
「い、いや、本当にわるい。だけど仕方なかったんだって。兄貴はヤンデレールガンの恐ろしさを知らないかもしんないけど、俺死ぬ寸前だったんだぜ。頼む兄貴!!」
「ヤンデレールガン??つーか、約束守らないとやばいのか?」
「ああ。兄貴はおろか、俺もこの世からおさらばだ。つか、兄貴は美琴が怒る理由とか分かってんのか?」
「ん?アイツは俺の事嫌いだからだろ?」
「はー?何でそうなるんだよ。相変わらずの鈍感だな。」
199 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:43:22.30 ID:XQfCP6vP0 [41/56]
当麻が鈍感であるのは昔からだった。
双麻は美琴が当麻に好意を持っていること、
美琴の態度はその裏返しであるとの予想を伝えた。
双麻は話を聞く限り当麻も美琴に気がありそうだなと思っていた。
ただ本人は気付いていない。
だから、双麻は当麻に美琴とくっつくように勧めた。
少し迷惑そうな顔をされたが気にしない。
命の尊さにの前には些事にすぎない。
200 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:48:00.73 ID:XQfCP6vP0 [42/56]
■料理対決とゲーム おまけ
二人はどちらがおいしい夕飯を作れるかを競う事にした。
兄弟とは一番身近なライバルなのである。
「双麻、こう見えても俺は毎日自炊してるんだぜ」
「それは俺も同じだ。ほえ面かくなよ。」
暴飲暴食システーに料理の味が分かるとは思えなかった双麻は、
料理の途中で電話で御坂妹を呼んだ。
201 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:48:06.85 ID:XQfCP6vP0 [43/56]
「んじゃあ食うか。」
「「「「いただきます」」」」
「ガツガツガツガツ。おいしんだよー。ガツガツ。」
「おいしいです、ミサカは素直に感想を述べます。」
「インデックスちょっと落ち着いて食えよ。」
「う、うめぇ。兄貴やるじゃん。見くびってた。」
「そういうお前の料理もすごいうまいな。」
「ガツガツガツガツ」
判定は、1-1のドローで終わった。どっちがどっちに票を入れたかは想像にまかせます。
202 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:48:39.29 ID:XQfCP6vP0 [44/56]
その後、四人は双麻の買ったTVゲームをやって過ごした。
とある1シーン。
マリモカート
「おいしそうな物がいっぱいなんだよ。なんかお腹がへるんだよ。」
「そんなあからさまなくいもんねーだろ」
「キノコとかバナナの皮じゃなねー?」
「亀とモグラとヒトデの方なんだよ」
「「えぐいわっ!!」」
「ちなみにそれはヒトデではありませんと、ミサカは横やりをいれます。」
203 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:49:36.53 ID:XQfCP6vP0 [45/56]
■誰もいない見送りと、少しの心残り
双麻は、自分の高校があるとある国に帰る
=この言い方は少し正確ではないかもしれないが=
ために空港に来ていた。
上条当麻は最後まで見送りに来ると言っていたが、
美琴との例の約束を優先するようになんとか説得したため、
結局双麻を見送る人はいない。
見送りがいらないと言えば嘘になるが、
兄の生命のため、ひいては自分の命に比べれば、天秤にかけるまでもない。
204 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:50:52.11 ID:XQfCP6vP0 [46/56]
「短い期間だったけどなかなか面白かったな。」
双麻の普段周りにいる人間も個性的であるが、
上条当麻を取り巻く人々には及ばない。
上条当麻のクラスメート、インデックス、美琴、、そして御坂妹との事を軽く振り返る。
今や御坂妹に対して特別な感情を抱いてしまっている自覚のある双麻は、
あえて御坂妹に会わないように搭乗の日時を伝えてなかった。
会えば帰りたくなくなるかもしれないと思ったからだ。
今その選択を少し後悔している。
ただ、人生において、どちらを選んでも後悔が残る選択肢しか用意されていない時がある。
205 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:51:25.13 ID:XQfCP6vP0 [47/56]
「アイツと一緒にいる時間は特に楽しかったな。おっと、そろそろ時間か」
搭乗ゲートをくぐろうとしたその時、ここ一週間ですっかり聞きなれた声が自分を呼ぶ。
「上条双麻!!!待ってください!!!」
この少女がこれほど声を張り上げた事は初めてだった。
「・・・。来てくれたのか。」
「何も教えてくれなかったくせに。ミサカはブーたれます。」
「相変わらずだな。実を言うと来てくれてすごい嬉しい。」
206 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:52:00.17 ID:XQfCP6vP0 [48/56]
しばらくの沈黙を挟んで、少女が口を開く。
「ミサカはあなたに最後の我侭を言うために来ました。どうか行かないでください。それが、ダメならミサカを一緒に連れて行ってください。」
少女は今度こそ泣いていた。
「・・・。俺もお前と一緒にいたい。これはマジな気持ちだ。でもここには残れないし、お前を連れて行くこともできない。すまない。」
少女はもう何も言葉が出ない。少年が再び口を開く。
「俺の我侭も一応聞いてくれないか。」
207 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:52:42.36 ID:XQfCP6vP0 [49/56]
少女がやっとの思いで口を開き、精一杯の強がりを吐く。
「なんですかと、ミサカは前向きに検討する姿勢を見せます。」
「2年、いや1年半待ってて欲しい。必ず会いに来るから。」
少女は答える。
「あなたは我侭です。でも待ってあげないこともありません。だから、約束を破ったら許しませんよ。」
それを聞いて少年は少女の左手をとり、ポケットから取り出した指輪をつける。
「今度のは、魔術的に効果があるもんじゃない。俺の気持ちだ。」
少女は泣きながらとびきりの笑顔を見せた。
208 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:53:36.20 ID:XQfCP6vP0 [50/56]
時間がきたので、双麻は名残おしそうに背中を見せてゲートに向かう。
そこに御坂妹からお返しの言葉がかくる。
「ミサカとは遊びだったのですね。そして、ミサカは捨てられるのですね」
まだ泣いていた少女のその言葉を聞いた周りの人々ががざわざわしだした。
サイテーとか、こんなカワイイ子をもてあそぶなんてゆるせん、
とか様々に批難の声が上がる。双麻は急いで逃げた。
209 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:54:09.75 ID:XQfCP6vP0 [51/56]
「あのやろー最後もそれかよ。」
そうは言うが、少女なりの優しさということを理解している。
この少女も、考えることは他の人と大きくは異ならない。
ただ表現の仕方が少し変わっているだけなのだ。
双麻は飛行機から学園都市を見下ろす。
行きに見た時に、人口的で無機質で自分には合わないと思っていた風景が、今ではとても美しく思えた。
210 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:56:38.89 ID:XQfCP6vP0 [52/56]
■その後のとある日
「当麻~どうしたの?なんか嬉しそうだけど、いい事あった?」
「ん?ああ、弟が明日から学園都市に住むことになったみたいなんだ。」
「双麻だっけ。そっかーそれはぜひ挨拶しなくちゃね♪あ、歓迎会やろうよ。」
「おいおい、お手柔らかに頼むぜ・・」
「分かってるって。いっとくけど、私は双麻に感謝してるんだから」
211 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:57:23.30 ID:XQfCP6vP0 [53/56]
当麻は、双麻がセッティングしたデートをきっかけに、
度々美琴と遊びに行くようになり、付き合うようになっていた。
当麻は、双麻から聞かされた話をもとに美琴を観察していると、
とっても可愛い女の子に思え、好きになるまで一瞬だった。
付き合ってしばらくした後、やっぱり美琴を騙していた事に引け目を感じたこと、
自分の弟の事を知って欲しいと思ったことから、事実を打ち明けていた。
美琴は最初、信じられないといった表情をしていたが、別に怒ってはいなかった。
当麻と付き合えた今そんなことは怒りの対象にはならなかったのだ。
むしろ自分が素直になるきっかけを与えてくれたことに感謝している。
212 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:57:54.73 ID:XQfCP6vP0 [54/56]
「でさー御坂妹に双麻の到着時刻を伝えてやってくんねーか。」
「了解~♪当麻も迎え行くんでしょ?私もいこっかな。」
「いや、俺は家であいつを迎え入れる準備があるから。それに。。」
「へー。当麻にしては気が聞くじゃない。そっかぁ、あの子喜ぶよ。」
美琴は、御坂妹が
「お姉様、1年半後とはいったいいつを指すのでしょうか。一年は半分に割れません。はっ!ミサカは騙されたのでは。」
といって狼狽していた時の事を思い出して、クスリと笑う。
213 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:58:13.80 ID:XQfCP6vP0 [55/56]
人生3度目の空港に着いた少年は兄の姿を探す。
そこで、茶髪の髪が肩まで伸びた美しい少女の姿が目に入る。
その少女の左手には見覚えのある指輪が見える。少年は驚きと喜びの混じった感情に襲われると同時に、
最初に会った時のやりとりを思いだし、声をかける。
214 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/05(月) 23:58:47.64 ID:XQfCP6vP0 [56/56]
「よう。少し遅くなった悪い。今から少し話でもすっか?」
「ぶふぃー、とあなたの発言に対してミサカはとりあえず驚愕を露にしてみます。
あなたが遅れたのは、13日と16時間ですよ。でも、あなたとお話するのは構いませんと、
ミサカは喜びを胸に秘めつつ即座に回答します。」
少女は覚えていた。
二人は声をあげて笑った。二人とも本当に嬉しそうに
FINE
215 名前:秋雨ロック山本 ◆AKIIIp44K. [] 投稿日:2010/04/06(火) 00:02:01.69 ID:ydkgW/WKP
>>214
ふ、ふぁいん••••••?
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/06(火) 00:05:19.12 ID:o35Mk+l+0
双麻って名前で拒絶反応を示した奴は黒歴史持ちだな
おれもそうだし。
217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/06(火) 00:11:29.98 ID:fOiCJ8/U0 [1/2]
いちおつー
218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/06(火) 00:26:27.57 ID:wSyXui2+0
乙
できれば兄との絡みがもう少し欲しかったな
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/05(月) 23:32:54.46 ID:HSXFn6SZ0 [2/2]
名前云々や態度はよくわからんが、とりあえずいくつかの誤字脱字が気になる。
219 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/06(火) 00:27:05.93 ID:we4Q0M4K0 [1/2]
>>189
それには返す言葉もない。
以上になります。
あんま見てくれてる人いなかったみたいだが、
保守してくれてた人、しえんしてくれてた人
ありがとう。けっこう嬉しかったりする。
それではb
220 名前:自動販売機 ◆TJ9qoWuqvA [] 投稿日:2010/04/06(火) 00:31:25.11 ID:we4Q0M4K0 [2/2]
>>215
つっこむなwwわらっちまった。
>>216~>>218
こんななげーのよく読んでくれたありがとう。
俺が見たら拒絶反応でるわww
もうちょっと短くかつ地の文削る努力するわ
兄との絡みもうちょい書くべきかぁ。今後の参考にする。
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ヒーロー演出しておいて、あっさり人殺しちゃ駄目だろう・・・