2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

男「16歳♀です。これから会える人メール下さい(1)……?」

1 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:15:18.48 ID:sq7Wibqn0 [1/86]
男「なんだ、このスレ。どうせ釣り……」



 カチッ

男「……」

男「うわ、メルアド晒してある。しかもこれ、携帯の本アドじゃねえか……」

男「こりゃすぐスレストくるな」

男「……」

男「暇つぶしぐらいにはなるかな…」


 件名:釣られにきたよ 

  どこ住み?俺都内。


男「……送信っと」

 カチッ

男「……」

男「(返事くるのか……?)」

2 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:17:16.38 ID:sq7Wibqn0
男「……おぉ、あっという間にスレ伸びたな」

男「やっぱ叩かれてんな……、『アウトー』『送った』『スペックヨロ』『どこ住み?』」

男「もうすぐ50いくな……。こりゃメール送ったやつ、俺にも腐るほど居そうだな」

男「どうせ、返事くるわけ……」

 カチッ

男「……来てる」


 件名:Re:釣られに来たよ

  なにしてるひと?


男「……はぁ?」


 件名:Re2:釣られに来たよ

  ニートだけどなにか?


男「送信っと……」

4 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:20:36.50 ID:sq7Wibqn0
男「…返事はやっ」


 件名:Re2:Re:釣られに来たよ

  今日11時に渋谷のハチ公前。
  服装と体形教えて。


男「まじかよ……」

男「これってあれか?行ったらこっそりスネークされて実況される系か?」

男「それとも美人局ってやつか?絵とか壷とか買わされるやつか?」

男「……」

5 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:21:59.06 ID:sq7Wibqn0
男「スネークされたところで対して痛くもねえし」

男「美人局だろうが、俺には貯金も現金もほとんどねーし」

男「絵も壷も買う金ねーし。……つーか、俺がだまされるわけねーし」

男「どうせ、今日も寝るかゲームするかVIPかアニメみるかとかだしな」

男「……」

男「……暇つぶしだ」



 件名:Re2:Re2:釣られに来たよ

  ジーパンに、パーカー。170センチ位、中肉、メガネ。



男「……送信」

6 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:23:19.82 ID:sq7Wibqn0
男「あ」

男「スレストされてる」

男「結局、スレ立てして、アド晒しただけで書き込みが無かったな」

男「……これから事件にでも巻き込まれんのか、俺」

男「まぁ」

男「それもいいか」

男「……」

男「11時か」

男「渋谷だったら、もう出ないとだな」

12 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:27:14.44 ID:sq7Wibqn0
男「外出んの一週間振りだな」

男「しかも、こんな真昼間から」

男「……」

男「(あー、クソっ)」

男「(なにしてんだ俺は……)」

男「(普段出歩かねぇくせに、こういう時だけ)」

男「(しかも電車かよ)」

男「(……クソが)」

男「(帰る)」


13 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:32:22.74 ID:sq7Wibqn0
 ガタンゴトン ガタンゴトン

男「(……結局、乗っちまった)」

男「(めんどくせぇ……)」

男「(他人気遣うのめんどくせぇ)」

男「(あそこのイビキかいてるオヤジうぜぇし)」

男「(イスにヒザ立ちで外見入ってる小学生もウゼェし)」

男「(さっき俺のことチラッと見たあの女もウゼェ……)」

男「(めんどくせぇ……)」


15 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:35:23.89 ID:sq7Wibqn0
 渋谷駅前

男「(うわ……ゴミ)」

男「(人間ゴミ)」

男「(ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ)」

 ドンッ

 「ヒャハハハッ…」

男「(イラッ)」

 「……あ゛?」

男「(……っく…)」

 スタスタスタ

男「(クソが)」

男「(死ね死ね死ね死ねカスチンカス死ね)」

16 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:38:24.76 ID:sq7Wibqn0
 ハチ公前

男「(……ハチ公って、こいつか)」

男「(こいつの前にいりゃいいのか?)」

男「(……)」

男「ケホッ」

男「ケホッ……ケホッ」

男「(タバコくせぇ……煙ウゼェ……)」

男「(近くに喫煙所あんだからそっちで吸えカス)」

17 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:42:35.98 ID:sq7Wibqn0
男「(……11時になったな)」

男「……」

男「(来るのか……?)」

男「(ってか)」

男「(相手は俺の特徴知ってるとはいえ)」

男「(ジーパンにパーカー……、他に近くに居るし)」

男「(声かけられんのか?)」

男「(それから、他にも近くに俺並に地味なヤツ何人か居るし)」

男「(もしかして、VIPPERか…?)」

男「(……もしかして、こいつら共々、俺は釣られたのか……?)」

20 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:47:08.70 ID:sq7Wibqn0
男「(……あの女か…?)」ドキドキ

男「(それとも……)」

男「……」

男「(あー、クソっ…)」

男「(もうすぐ11時から10分立つぞ……)」

男「(釣られたんだよ)」

男「(もしかしたら……!)」

男「(なんて現実にはないってこと……今まで嫌って程味わってきただろ)」

男「(……ほんともう、死ねばいい)」

 「……あのぉ」

男「……っ!」ビクッ

23 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:52:18.46 ID:sq7Wibqn0
「……あ、…えー、…?」

 「こんにちは!」ニコニコ

男「こ……、こんにちは?」

 「今ですねぇ、アンケートの御協力をお願いしていましてぇ」

男「……は?」

 「これなんですけどぉ…」

男「……人生に関する悩み?」

 「はぃっ。簡単にで結構ですので、ぜひぃ」

男「……VIP」

 「……は?」

男「いや、えー、なんでもないです」

25 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 16:58:34.64 ID:sq7Wibqn0
男「……職業、書かなきゃだめですか?」

 「いえ、書けるところだけで、結構ですよ~」

男「……」

男「(……結局、こういうハメになるのか…)」

男「(断れよ、俺……、こんなヤツの相手して、何の得があるってんだよ)」

 「……ふんふん、なかなか人生にお悩みのようですね」

男「……はぁ」

 「あ!よかったら、私いい先生を知ってるんですけれど、ご紹介しましょうか?」

男「……はぁ」

 「私は元々ダメダメのニートさんでしてぇ…、でも先生のお陰でなんとか元気に働くことが出来るようになったんですよ!!」

 「一度、会ってみてはいかがですか?…そうそう、今日は偶然にも、渋谷に来られてるそうなんですよ、すぐにでも会えますよ!」

男「……はぁ、でも…」

女「おまたせ」

男「……え?」

女「いこっ」グイッ

26 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:01:21.96 ID:sq7Wibqn0
男「っ…ちょ、え…っ?」

 「あ、あれれっ。よ、よかったらお二人でどうですか、超有名でTVにもよく出てるシピリチュアルカウンセリンラーの先生なんですけどっ!」

 「今なら特別にっ、今しかっ…!」

女「結構です」

 「そう言わずにっ」

女「警察行きますか」

 「……」

女「……いこ」

男「あ、……あぁ」

29 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:04:43.47 ID:sq7Wibqn0
 スタスタスタ スタスタスタ

女「……」

男「……な、なあっ…」

女「……」

 ピタッ

女「はぁ……、はぁ……」

男「(なんだ…?早歩きぐらいで肩で息して)」

男「(……それに)」

男「……」

男「(そんなにかわいくねぇ)」

女「……はぁ……VIPの、……人?」

男「まぁ」

女「……はぁ……っ、はぁ…」

37 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:12:27.82 ID:sq7Wibqn0
女「……ちょと、…はぁ、……まって…」

男「……」

女「……ふぅ、ふぅ…」

女「……ふ……、っん…」

男「大丈夫か?」

女「もうやだ……、なんで、こんなこと……」

男「……なに?」

女「……」

女「……なんでもないです」

男「……そう」

女「……ぐぅ…」

女「……歩きながら、話しま……せんか」

男「……」

39 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:19:36.29 ID:sq7Wibqn0
男「……」

女「……」

 スタスタスタ

男「(こいつが、あのスレ立てた女か……)」

男「(何で俺を呼んだ?何で俺を選んだ?何で渋谷を歩いてる?何でアンケートの奴から助けてくれた?)」

女「……」

男「(……なんなんだよ)」

男「(なんか、喋れよ)」

男「(……それにこいつ)」

男「(本当に16か?)」

男「(もっと、年食ってるように見える)」

男「(ホントは20位なんじゃねーの……?)」

45 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:24:09.73 ID:sq7Wibqn0
女「……女、っていいます」

男「……え?」

女「名前」

男「……あぁ」

男「俺は、男」

女「男さん、……ですね」

男「(女性に名前呼ばれた)」

女「今日だけ、男さんは私の彼氏です」

男「……」

男「……はぁっ!!?」ピタッ

女「…っ!」

女「立ち止まらないでください。……目立つ」

男「……」

男「(なんだこいつ)」

51 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:29:17.00 ID:sq7Wibqn0
女「……歩いてください。お願い」

男「……」

 スタスタスタ

男「(彼氏?今日だけ?……意味が分からない)」

女「いいですか。今日、私と男さんは、カップルです。カップルの渋谷デートです」

男「……なんで俺がお前の彼氏なの?」

女「嫌なんですか?」

男「……」

男「(嫌じゃない。というか、内心はものすごくうれしい)」

男「(ただ……)」

男「俺の意思はどうでもいいのかよ?」

女「……」

55 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:35:29.19 ID:sq7Wibqn0
男「(年齢=彼女居ない歴だ。……そんなこと、ニートやってんだから当然だ)」

男「(だから、1日だけとはいえ、……俺の好みに合わない女性とはいえ、恋人関係になれる事に異論はない)」

男「(もしかしたら、こいつとヤれるかもしれない。……童貞、卒業できるかもしれない)」

男「(正直、下半身が、疼く)」

男「(……だが、それ以上に、この女の思惑が知りたい)」

女「……嫌なら、ほかの人を探します」

男「嫌ってわけじゃない」

男「ただ、理由を知りたい。……俺が納得できるだけの」

女「……」

59 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:39:59.56 ID:sq7Wibqn0
女「…遊びたい」

女「それだけです」

男「……本当に?」

女「……」コクン

男「(こいつ)」

男「(俺を見ない……)」

女「これから、美容院に行きます」

男「……は?」

女「そこで、髪を切ってください」

63 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:47:02.35 ID:sq7Wibqn0
女「ここです」

男「……うわ」

男「(カット7800円……、なんだこれ。いつも俺が行ってるとこなら5回は切れる値段だぜ……?)」

男「(しかも客層がリア充っぽい奴らばっか)」

男「(マジでここで切るのか……?)」

 カランカラーン

 「いらっしゃいませー」

男「あ、……おいっ!」

女「予約していた、女です」

美容師「お待ちしておりました!」

男「(……なんだこのDQNでかつリア充かつ到底俺になんて理解できないオサレな美容師兄ちゃんは……っ!?)」

68 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:51:52.84 ID:sq7Wibqn0
女「……この人、彼氏です」

美容師「はい。承りました。……では、あちらに暫くおかけになっていてください。すぐにお呼びいたします」

女「はい」

男「……おい」

男「なんでまた髪なんか切んなきゃなんねーんだよ」

女「……」ジッ

男「な、…なんだよ」

女「もっとかっこよくなってください」

男「(……なっ!?)」


71 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 17:57:03.30 ID:sq7Wibqn0
美容師「お待たせいたしました。どのような感じにお切りいたしましょうか?」

女「おまかせします」

男「……は…?」

美容師「えー、と……」

女「かっこよくしてあげてください」

美容師「……では、……えー、そうですね」ガサゴソ

美容師「この雑誌なんですが……」

男「(うわ……、なんだこの雑誌。載ってる写真全部、同じ髪型にしか見えねぇ……)」

女「……はぁ、……っ…」

美容師「この写真の感じでいかがでしょうか?」

女「……おねがい、しま…す」

美容師「かしこまりました」

男「(俺の知らない間に話が進んでいく……)」

美容師「では、こちらへどうぞ」

男「(……まじかよ…)」

76 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:01:15.32 ID:sq7Wibqn0

男「……」

美容師「髪濡らしますねー」

 ジャブジャブジャブ

美容師「熱くないですかー?」

男「……はい」

 ジャーッ ジャージャーッ

美容師「……はいっ」

美容師「軽く拭きます……では背中起こしますねー」

男「……」

男「(ここ数年間で一番の苦痛だ……)」

78 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:05:13.24 ID:sq7Wibqn0
美容師「お仕事されてるんですか?」

男「……あ」

男「いえ……その、大学生で」

美容師「そうでしたか。いやあ、いいですね。どちらの大学ですか?」

男「えー、その……○○大で…」

男「(本当はもう中退したけど)」

美容師「○○大ですかー、となるとキャンパスはどちらに?」

男「えー……」

男「(なんだこれ……金払ってこの苦痛は……おかしいだろ!!)」

81 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:10:50.73 ID:sq7Wibqn0
女「……はぁ……、はっ…んっ…」

美容師2「こんにちは」

女「…あ、……ど、どうも」

美容師2「よかったら、彼氏さんと一緒に、カットしていきませんか?」

女「え……で、でも…」

美容師2「今、カットモデルを募集してまして。お題は結構ですから、軽く切るだけでも…」

女「……」

美容師2「よかったら、メイクのお直しもお手伝いします」

女「……っ」ビクッ

美容師2「……」ニコッ

女「……お、お金は、ありますから」

女「腕の、いい人に……」

女「あと、メイク……も…」

86 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:16:53.39 ID:sq7Wibqn0
美容師2「では、こちらにお座りになってお待ちください」

女「……」

男「お前も髪切る事にしたのか?」

女「……うん」

男「……ふぅん」

女「……」

美容師「お二人は付き合って長いんですか?」チョキチョキ

男「……そう見えますか?」

美容師「……んー、見えますね」

男「そうですか」

美容師「そうですよ。……付き合いたての彼氏を美容室に連れてきたりなんて、しませんから」

美容室「大切にされてるんですよ……うらやましいです」

男「……」

88 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:22:25.46 ID:sq7Wibqn0
美容師「……はい、こんなんでいかがでしょうか?後ろはこんな感じです」

男「……はぁ」

男「えぇ、…そうですね。ありがとうございます」

美容師「ワックス等はつけていかれますか?」

男「……えっ?」

美容師「ワックス、つけますか?」

男「……えっと」

女「お願いします」

男「……ぐっ」

美容師「ふふっ、……かしこまりました」

男「(は、恥かいた……、クソっ……なんだって……なんだってこんな…)」


92 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:25:53.12 ID:sq7Wibqn0
美容師2「…それでは、お会計よろしいですか?」

女「はい」

美容師2「2万2千600円になりまーっす」

男「(高っ!!)」

女「……」スッ

男「(封筒……?)」

女「…これで」

男「(……っ!!)」

美容師「はい、3万円のお預かりで―――」

女「……はぁ……、はぁっ……」

男「(おいおいマジかよ……)」

97 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:28:29.37 ID:sq7Wibqn0
 「ありがとうございましたーっ」

男「……」ペコリ

女「……」ペコリ

 スタスタスタ

男「……これで、満足か」

女「まだです」

男「ワックスとやらのおかげで、髪がどうにかなりそうだ」

男「まだこんなことやんのかよ?」

女「……」コクン

男「いったい、なんだって……」

女「次は服を買いにいきましょう」

101 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:35:56.90 ID:sq7Wibqn0
男「服って……、今着てんのじゃだめなのかよ」

女「私の好みじゃないです」

男「……っ!」ピタッ

女「……と、……止まらないでください」

男「なんで俺がお前の好みに合わせなきゃなんねーんだよ」

女「……」

男「わけわかんねー。……ただでさえ、不相応な髪型してんのに」

男「これ以上、服とか着て……何があるっつーの?」

女「あります」

男「なに?」

女「……あります。新しい服を着れば、ちゃんと、……わかり、ます」

男「何言ってんだよ……」

105 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:39:12.41 ID:sq7Wibqn0
女「……お、おねがい…っ……とまら、ないで……はぁっ……ぅ…」

女「歩いて、…っく……く、ださ、い…」

男「……なんでそんな苦しそうにしてんの?病気なの?」

女「……」

女「いきま、しょう……」グイッ

男「……っあ、お、おい!」

 スタスタスタ

女「わかりました」

女「私も、あなた好みの服を着ます」

女「……それで、いいですか?」

男「なんだって、そんな……なんで……」

女「……」

117 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:45:54.50 ID:sq7Wibqn0
女「この店にしましょう」

男「……」

 「いらっしゃいませー」

女「……っ…」

男「……何着れば良いの?」

女「そう、ですね……え、と……」

 「何かお探しですか?」

女「あ……」

 「どのようなものをお探しで?」ニコッ

女「……ぅ…」

男「俺に似合う服を探してます」

 「さようでございますか。……えー、カジュアル寄りな服を御用意いたしましょうか?」

男「……?」

女「……えと……、その、……シックな、感じに」

 「……は、はい。ではこちらへどうぞ」

126 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:54:18.02 ID:sq7Wibqn0
男「なぁ、カジュアルとか、シックとか……よく分からんのだが」

女「そうですか」

男「お前は分かるのかよ」

女「……」

 「こちらのアウターなどいかがでしょうか?」

女「もうすこし、落ち着いた色で…えっと……、シャツと、パンツも合わせてお願いします」

 「……では、紺のジャケットなど御用意いたしましょうか?」

女「おねがいします」

男「……はぁ」

女「……何?」

男「なんでもねぇ」

128 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 18:59:04.76 ID:sq7Wibqn0
 試着室

男「…ぅ」

男「ズボンはいらねぇぞ」

男「……どうすんだこういう時」

男「な、なぁ……、はいらねぇんだけど」

女「えっ?」

男「ど、どうすりゃ……」

 「お客様、いかがでしたか?」ニコニコ

男「あ、えと……小さくて、はけないかも……」

 「さようでございますか。すぐに大きいサイズをお持ちします」

男「……」

女「……本当に中肉なんですか?」

男「うるせえ」

135 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:06:32.61 ID:sq7Wibqn0
男「……うっし。まぁ、このサイズなら入るか」

 コンコン

 「お客様、いかがでしょうか?」

男「(うぜぇ……急かすなよ)」

 ガラッ

女「……」ジッ

男「(ぐっ……これ、恥ずかしいな……くそっ…)」

 「そうですね、サイズ的には問題なさそうです」

男「(遠まわしに、似合ってないって言いえのか?)」

女「……」ニコッ

男「(え……?)」

女「……じゃあ、それでお願いします」

 「かしこまりました。……このまま着て行かれますか?」

女「そう、…ですね」

男「……はぁ」

140 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:10:31.22 ID:sq7Wibqn0
 「お会計、三万五千九百二十円になりまーす」

女「……」スッ

男「(……また、あの封筒か)」

女「……これで」

 「4万円、お預かりいたします―――」

男「(しかし、…上下セットで三万五千か……。服一着でエロゲ定価で買えるじゃねぇか…)」

147 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:17:44.19 ID:sq7Wibqn0
 「ありがとうございましたーっ」

女「……」

男「これで満足か?」

女「……次は、私の番ですよね?」

男「……」

女「どこに行きますか?」

男「別にいい。……そのままで、問題ない」

女「……え」

男「だっておかしいだろ?」

男「お前が金出してるのに……俺の要望聞くとか」

男「しかも、あんな大金さ……」

女「いいんです」

女「男さんは、私の彼氏ですから……。彼女は、彼氏が好きな格好をするべきなんです」

男「……なんだそりゃ」

154 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:24:22.21 ID:sq7Wibqn0
女「そういうものでしょう?」

男「そうなのか?」

女「とにかく、私は男さんに私の好みを押し付けてしまいましたから」

女「男さんも、私に好みを押し付けてくださっていいんです」

女「お金の事は気にしないで下さい」

男「じゃあ、セーラー服」

女「……えっ」ビクッ

男「16歳なんだろ?……セーラー服じゃなくてもいい。制服が見たい」

女「……」

女「そ、……それは……」

男「16ったら高校生なんだろ?」

男「当然、制服ぐらい持ってるよな」

女「……っ…」

157 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:26:09.17 ID:sq7Wibqn0
ごめんゴハン~。

俺って欝エンド多い人だったの?

185 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 19:58:05.08 ID:sq7Wibqn0
女「ある……。あるけど、今は家においてきてます」

男「じゃあ、家まで取りに行こう」

女「……と、遠いから」

男「さっき、PCでスレ立ててたよね?ってことは、あの時間から渋谷に来れる範囲にあるってことだよな」

女「ま、漫画喫茶だったから」

男「ふーん」

女「……」

男「ま、いーや」

男「それよりさ、本当は何歳なの?」

女「じゅ、16……」

男「違うだろ?……俺はニートだけど、高校にはちゃんと通ったからな」

男「高校生の顔つきくらい、分かる」

女「……」

193 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:04:16.95 ID:sq7Wibqn0
男「……本当のところ、どうなの?」

男「今日だけとはいっても、彼氏と彼女なんだろ?」

男「だったら、服とか髪型云々以前に、もっとお互い知らなきゃいけないこと一杯あるだろう」

女「ほんとうは……その…」

女「……」

男「どうしたの?」

女「……え……と…」

男「……はぁ…」

男「いいよ、もう……」

 スタスタスタ

女「あ、まってください……っ。どこ、いくんですか」

男「服、買うんだろう?」

女「あ……」

200 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:09:27.40 ID:sq7Wibqn0
男「っても……どこで何買えばいいんだか」

女「あの建物の中に、お店が集合してます」

女「多分、……あんまり派手じゃない服を扱ってるお店もあると思います」

男「派手じゃないのも……ってなんだよ」

女「え、…と……」

男「俺の趣味がギャル系苦手だとか思ってるの?」

女「……違うんですか?」

男「苦手だよ」

女「……え」

男「まぁ、……入るか」

202 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:15:31.09 ID:sq7Wibqn0
男「うわ…フロア全部服屋だらけ」

女「……どこにしますか」

男「適当。……女の服なんてわかんね」

女「……そうですか」

女「では、たとえば下はスカートとパンツだったら、どちらがいいですか?」

男「……だったら、スカートだな。うん」

女「上はかっちりめなのと、ゆったりめなのとでは、どちらが好きですか?」

男「……なんつーか、ふわふわした感じがいい」

女「はぁ」

女「好きな色はありますか?」

男「……白と青だな。ストライプ」

女「……?」

206 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:19:28.68 ID:sq7Wibqn0
女「……え、と…」

男「難しいのか?」

 「何かお探しですか?」

男「(また来た)」

女「ワンピース。ゆったりめなのを」

 「はいっ。……それでしたら、このような形はいかがですか?」

女「……どうですか?」

男「わからん。……でも、ちょっと幼い感じすぎないか?」

女「……」

 「よかったら、御試着なさいますか?」

女「いいですか」

 「はい、どうぞ。いくらでもお試しください」

211 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:25:54.58 ID:sq7Wibqn0
女「……」シュルシュルシュル

男「……」ドキドキ

男「(なんか、……着替え待ってるのって、ドキドキすんな……)」

 ガラッ

女「……どうですか?」

男「……あっ…」

女「やっぱり、……幼すぎますか?」

男「いや……」

 「わーっ、大変お似合いでございますお客様!」

女「……え、…と……」

 「さっきまでのお洋服は少し大人っぽい印象が強かったですけれど、こちらもすごくお似合いですよ!」

 「わー、びっくりしました。2歳くらい若く見えますよーっ。……それとも、もっと大人なものを御用意した方が?」

女「……」

女「いえ」

女「これにします」

214 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:29:35.98 ID:sq7Wibqn0
 「そうですねー、それだけでは寒いので、羽織るものは―――」

女「はい」

女「なら、それも」

 「ありがとうございますっ。……わー、とてもお似合いです!」

男「……」

男「(心なしか、あいつ……楽しそうだな)」

男「(それにしても)」

男「(あいつ、何歳なんだ……?)」

223 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:35:30.17 ID:sq7Wibqn0
女「……これで、どうですか?」

男「いいと思う」

女「じゃあ、着て行きます」

 「かしこまりました。では、お会計レジでおねがいしまーすっ」

 「……えー、合計で1万8千700円です」

女「……」スッ

女「……これで」

 「2万円お預かりいたしまーす―――」

男「……」 

225 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:38:48.23 ID:sq7Wibqn0
男「俺のよりも、ずいぶんと安いんだな」

女「年齢層低めの人がターゲットのお店だとおもう」

男「ふーん」

女「……だめでしたか?」

男「まさか」

男「……まぁ、似合ってんじゃない?」

女「……そ」

女「そう……」

男「あ、……ま、ぁ、な」

女「……」

男「……」

230 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:43:21.41 ID:sq7Wibqn0
男「で」

男「この後どーすんの?」

女「決めてないです」

男「ふーん……」

女「……」

男「……」

 スタスタスタスタ

女「……」

男「……」

239 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:49:24.86 ID:sq7Wibqn0
 スタスタスタスタ

女「……あの」

男「なに」

女「私たち、恋人同士に見えるでしょうか」

男「……なんで」

女「今日は、そのために来ましたから」

男「……」

女「フツーの、カップルの、渋谷での、デートに見える……でしょうか?」

男「俺はフツーが良くわかんねぇけど」

男「最初よりは見えるんじゃねぇの」

女「だと、いいんですけど」

女「……変じゃないかな」

男「……」

243 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:54:07.40 ID:sq7Wibqn0
 スタスタスタスタ

男「……何時まで歩くんだよ」

女「さぁ……」

男「足、疲れないのか?」

女「足……」

男「ん?」

女「そういえば、まだ靴をそろえてませんでした」

男「別に……靴なんてどうでもいいだろ」

女「良くないです」

女「男さんの靴、ダサいです」

男「ぬぁっ!?」

245 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 20:59:18.31 ID:sq7Wibqn0
女「……これなんて、どうですか?」

男「別に。……任せるよ」

女「すいません、これ…」

 「はーい、何センチのものを御用意いたしましょうか?」

男「あー、……えっと……確か、27だったと」

 「かしこまりました。……こちらが27センチのものになりますねー」

 「紐をお通ししますので、少々お座りになってお待ちください」

男「……」

 「……」スッスッスッ

女「……」ジッ

男「(この時間、なんか気まずいな……くそっ…)」

253 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:02:51.17 ID:sq7Wibqn0
男「……あれ、ちょっと、先があまるな」

 「あー、これはしょうがないですねー。そういうタイプになっておりますのでー」

 「サイズが正しければ、これ以上はどうも……一応もうワンサイズ下のものを御用意しましょうか?」

男「じゃあ、お願いします」

 チッ

男「……っ?」

 「……」ガサゴソ

男「(舌打ちされた……?)」

女「どうしましたか?」

男「いや」

男「……別に」

255 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:07:49.73 ID:sq7Wibqn0
女「結局、ワンサイズ下のものになりましたね」

男「あぁ。……あの店員、出すのがめんどくさいだけだったんだろーな」

男「それで舌打ちとか……ふざけんな」

女「舌打ち、されたんですか」

男「あぁ」

女「……」

男「……クソ」

女「……あの」

女「次は、私の靴を買ってもいいですか?」

男「あぁ」


261 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:12:58.38 ID:sq7Wibqn0
女「ミュ、ミュールを下さい!」

 「え、あ……はいっ。こちらにそろえてございます」

女「……え、……あ、はい……」

男「(なんだあいつ)」

男「(そんなに『ミュール』ってやつがほしかったのか?)」

女「……」ジッ

男「これ、サンダルじゃねーか」

女「ミュールって、言うらしいです……」

女「どれも色がきれいですよね」

男「まぁ……たしかに」

女「どれにしようかな…」

男「……」

266 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:16:18.58 ID:sq7Wibqn0
 カツ カツ カツ

男「……さすがにヒール高くねぇか?」

女「そんなことないですよ」

 フラフラ

男「おいおいっ、危ないから」

女「……い、いいですから。……早く行きましょう」

女「目立っちゃいます……」

男「……なんか不安だな」

女「大丈夫です」

女「ですから、……普通に、歩きましょう?」

男「……わかった」

273 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:23:42.60 ID:sq7Wibqn0
女「……ぅ…」

男「大丈夫かよ」

女「……大丈夫、です…」

 グラッ

女「…あ……っ」

男「……っく」

 ギュッ

女「……あ」

男「……う」

女「……」

男「……」

女「……手、……このままで」

男「……え?」

女「恋人同士ですから、手くらい……」

278 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:26:41.61 ID:sq7Wibqn0
男「……まぁ、いいけど」

女「……じゃあ、このまま、すぐ歩きましょう」

女「人が……みてます」

男「……ん」

女「……」ギュッ

男「……え?」

男「(強く握りすぎじゃ…?)」

女「いきましょう」

男「(……なんなんだよ…)」

281 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:32:10.10 ID:sq7Wibqn0
 スタスタスタ

男「……なぁ」

女「なんですか?」

男「なんでスレ立てたんだよ」

男「お前、なに考えてんだ」

女「別に……なんだって、いいじゃないですか」

男「良くないだろ」

女「おなか、空きませんか?」

男「……なんだよ、話変えるなよ」

女「私、空きました」

女「どこかに入りませんか?」

男「……」

282 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:39:22.61 ID:sq7Wibqn0
女「……人が、多いところは嫌です」

男「まぁ、…そりゃ俺もだが」

女「どこがいいでしょうか?」

男「さぁ。ファーストフードは?」

女「たぶん、人が……」

男「んじゃ、適当にレストランにでも」

女「……私たちには不相応じゃないですか?」

男「何をいまさら……」

女「……ぅ…」

男「まぁ、いい。探そう」

290 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:45:58.11 ID:sq7Wibqn0
女「……ここも、ちょっと」

男「そうか」

女「……」

男「なぁ…、これで何軒目だよ」

男「なんでそんな、人が居る場所が嫌なんだよ?」

女「……それは…」

男「……別に俺はいいけどさ。まだ腹へってねぇし」

男「ただ、……なんかさ、…もうわけわかんねぇよ!」

女「んっ……う…」

男「……おい」

女「ご、ごめんな……さい。……でも、あの……っ…しずか、に…」

男「……?」

295 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:50:37.95 ID:sq7Wibqn0
女「あ、あるき……ましょ…?お願い」

男「……ちっ」

女「……っ…」ガタガタ

男「……?」

女「は、はやく……」グイッ

男「……なっ…」

 スタスタスタスタ

女「……んっ……は、ぁっっ……ぐ……」

男「(なんだよ……、初めて会った時みたいに、肩で息しやがって)」

男「(事ある毎に人前に出るの嫌って……)」

男「(こいつ……なんなんだよ)」

303 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 21:59:20.14 ID:sq7Wibqn0
 公園
 
女「……は……ぁっ……はぁっ……はぁっ…」

男「ここなら、殆ど人いねーな」

女「べ、ベンチ……座って、いい、ですか」

男「あ、あぁ…」

女「……ごめんな、さい。…ごめんなさい」

男「いい。……それより、ちょっと落ちつけ」

女「は、ぃ………ぅ……、うっ……ぅ…」ガタガタ

男「……なんか、飲み物の食べるもの買ってくるから」

男「待ってろ」

女「は、……い…」

男「大人しくしてろよ?……何かあったら、すぐ叫べ」

男「わかったな」

308 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:04:00.08 ID:sq7Wibqn0
男「(……サンドイッチでいいか?)」

男「(いや、……もっと、咽を通しやすいものの方が……)」

男「(……えーい、こなくそ!)」

男「(買い漁れ!……食えなかった分は俺が食えば良い!!)」

男「(……飲みもの、あったかい方が良いよな)」

男「(っていうかアレ、震えてたよな)」

男「(病院、連れてった方が良いんじゃねえのか……?)」

311 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:09:55.33 ID:sq7Wibqn0
男「またせた!」

女「……ぁ…」ニコッ

男「……えっ…?」

女「ごめんなさい。心配させちゃいましたね。もう、大丈夫です」

男「……なんだ、それ」

女「あ、の…その……本当にごめんなさい」

女「ゴハン代、…そうですね、私出しますから」

女「おいくらでしたか?」

男「ふざけんな!!!」

女「……っ」

男「お前さぁ、その金、どっから手に入れたの?」

女「…し、……しずか、に……。見られて、ますよ…?」

男「うるせえっ!!」

女「……っぅ…」ビクッ

316 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:14:22.16 ID:sq7Wibqn0
女「や、……だ……よして……」

男「本当の事、話してよ」

男「お金、どうしたの?」

女「……どうしたのって…」

女「私の、お金で……」

男「高校生が?3万とか?4万とか?ポンッって出せちゃうの?」

男「……お父さんお金持ちなの?それとも、高いバイトでもしてるの?」

女「そ、そう……バイト、バイトを…」

男「うそだろ」

女「……ぇ」

男「お前がバイトできるくらいだったら、俺だってしてる」

女「……」

322 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:19:14.41 ID:sq7Wibqn0
男「……なぁ、俺達恋人なんだろ?」

男「ウソはよくない」

女「……うそじゃな」

男「シラ切るなよ」

女「……ぐ…」

男「……誰の金なんだ?」

女「……」

男「……」

女「……」ポロポロ

男「(うわっ……)」

女「うっ……うぅ……」ポロポロ

男「(泣く様なことなのかよ…)」

326 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:23:39.75 ID:sq7Wibqn0
女「……ぇっ……んっ…ぅぇっ…」

女「今朝っ……ぅっ……通帳が、あって……っ」

男「……それで?」

女「勝手にっ……ぇっ…100万、下ろしたっ……んぅっ……」

男「はぁ!?」

女「ひっ…」

男「……通帳って……誰のだよ」

女「お」

女「おかー、さん」

男「……」

男「(おいおいマジか……)」

329 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:29:27.52 ID:sq7Wibqn0
男「……なんでまた、そんなことを」

女「っ…ぅっ……ん、……ぐずっ……」

男「泣いてちゃ分からん」

女「だ、っ…で……」

男「……あー、ほら。悪かったよ。ティッシュやるから」

女「あ゛りがど……」ツーン

男「……」

女「ぅっ………んっ…」ツーン

男「(ふぅ……)」

男「(結局こいつは、家出少女とかなのか?)」


330 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:33:15.09 ID:sq7Wibqn0
女「……美味しい」

男「よかったな。……まぁ、コンビニ飯だけど」

女「ううん。美味しいです」

男「そっか」

女「……化粧、崩れちゃったな」

男「そうか?……まぁ、確かに目の下ちょっと黒い」

女「やっぱり」

女「ずっと泣かないように我慢してたのに……」

女「だめだった」


336 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:41:47.68 ID:sq7Wibqn0
女「この公園、広いのに、あんまり人が居なくていいですね」

女「ここなら落ち着いて話せそうです」

男「あぁ、ちゃんときっかり、俺が納得するまで話してくれよ」

男「俺は迷惑料もらいたいくらいなんだぜ?」

女「……ですよね」

女「……」

女「あはは」

男「そこ笑うとこか」

女「いえ」

女「……もっと、酷い人を想像してたんです」

女「ニートで、メガネで……って」

女「男さんみたいな、すごい人だとは思わなかったんです」

男「……俺が、すごい?」

女「はい」

女「……すごいです」

341 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:49:05.21 ID:sq7Wibqn0
女「今日、何度か困ってる私をフォローしてくれましたし」

女「時々、引っ張ってくれました」

女「私を叱ってくれるくらい、しっかりした人なんだとも思いましたし」

女「それに」

女「……思ったよりも、美容室行って、服そろえたら、かっこよくなってます」

男「う゛ぇ……、お世辞はよせ。気持ち悪い」

女「嘘じゃないです」

女「……ほんとに、悲しいですけど」

男「へ?」

女「嘘じゃないんです」

女「……もっと、酷い人が来ればよかった」

女「これじゃ、私……引け目…感じて………」

男「……女さん…」

347 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 22:55:50.85 ID:sq7Wibqn0
女「メールっ…いっぱい来ました」

女「迷惑メールも一杯きましたけど、……目的通りのメールも、一杯来たんです」

女「でも」

女「みんながみんな、働いてるとか学生だとかで」

女「ニートだとか言う人、あなたしか居なかった」

男「(……なんだ、皆みえ張りなのか?……それとも俺みたいなニート、VIPに少ないのか?)」

女「……だから、もっとひどい人だと思ったのに」

女「なんで」

男「悪かったな、酷くなくて」

女「……」

男「普通は、彼氏が良い男だったら、その方が良いと思うけどな?」

女「私でも……」

女「私でも人の上に立てるって……」

女「役に立てるって……思いたかった……」

355 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:02:06.94 ID:sq7Wibqn0
男「……お前、もしかしてニー」

女「っ!」ギュゥッ

男「むぐぐぐぐっ」

女「……言っちゃダメです」

男「ど、どほひへ!」

女「私は高校生です」

男「んなわへっ!!……く、くるひいっっ!」

女「え?……はぅっ」パッ

男「はぁっ…はぁっ……はぁっ…」

女「……一応、私……高校生、です」

男「嘘だろ?……どう見ても……あ、いや…」

女「……バカ」

男「すまん」

女「……確かに留年してるので、今は通えてないですけど」

男「……え?」

364 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:07:52.56 ID:sq7Wibqn0
男「……って、マジでお前高校生かよ!!」

女「一応17歳なんですけど」

男「……ひゅ~」

女「そう、見えないですか?」

男「正直ね」

女「げんなりです」

女「何がいけないんでしょう……」

男「なんか、こう……雰囲気が、すごく……大人っぽい」

女「……そうですか?」

男「正直すまんかった」

女「あ、一応学生証もあるんですよ。……ただ、入学式ぐらいしか行けてない学校のものを出すのは忍びないんですけど」

男「いい。大丈夫だ。いや、俺が悪かった」

371 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:12:56.94 ID:sq7Wibqn0
男「なんで1歳サバ読んだ?」

女「……だいぶ、夜も更けてきましたね」

男「おい」

女「えへへ。なんとなくですよ」

男「……はぁ。そうかよ」

女「ちょっと」

女「はなしすぎました」

女「……帰りましょう」

男「……ん、あ、……あぁ」

女「ん……しょ……っ!!」

男「どうした?」

女「あ、足が……」

379 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:18:35.51 ID:sq7Wibqn0
男「……慣れない靴履くからだ」

女「どうしよう」

男「歩けないのか?」

女「……」

男「……クソッ、今日はいて来てた靴はコインロッカー入れちまったしな」

女「だ、だいじょうぶです、これくら……っつぅっ!!」

男「無理すんな」

男「……ほら」

女「え…」

男「おんぶは嫌か?」

女「嫌じゃ、ない……ですけど」

男「じゃあほれ。はやく」

女「……」

385 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:22:22.55 ID:sq7Wibqn0
男「……んしょ」

女「ぁ……」

男「ん?」

女「いえ」

女「なんでもないです」

男「そか」

女「……」

男「じゃあ、行くぞ?」

女「……」ギュッ

男「そうそう、しっかりつかまってろよ?」

女「はいっ」

387 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:27:44.22 ID:sq7Wibqn0
女「……」

男「……」

男「(もうすぐ、市街に入るな……)」

女「……」ギュゥッ

男「(……体、硬くしてる)」

男「(そりゃそうだ。おんぶなんかしてたら、目立つに決まってる)」

女「お、男……さん」

男「見るなよ」

女「……ぇ」

男「俺の背中に、頭擦り付けてろ」

男「目を閉じてるんだ」

女「……」

397 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:33:00.00 ID:sq7Wibqn0
男「(あー、くそ、……俺だって、人ごみこえーよ)」

男「(うわ…、皆俺の事見てるよ)」

男「(見んなよ……こっち、見んなよ)」

男「……っ」

女「男さん」ボソッ

男「うわっ……なんだよ」

女「そこ、右に曲がって下さい」

男「……駅と反対方向じゃねーか」

女「いいんです。……お願い、します」ガクガク

男「(また、震えてる……)」

男「……分かった」

402 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:36:35.80 ID:sq7Wibqn0
男「……ってここ」

男「ラブホ街じゃねーか」

女「……」ギュッ

男「駅への近道なのか?」

女「どこでもいいです」

女「入ってください」

男「……は?」

女「お願い、します」ブルブル

男「(震えてる…)」

男「どういうつもりかしんねーけど」

男「……俺、ラブホなんか入ったことねーぞ」

女「……」

女「私もです」

411 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:44:02.06 ID:sq7Wibqn0
男「……ボタン、押せばいいのか?」

女「どこでもいいです」

男「わかった。」

 ポチッ

 「206号室ですねー、一泊で9千円になります」

女「……封筒…。下ろして」

男「……ん」

 「……」ジロジロ

男「(なんだこの婆さん、やたらと見くさりやがって)」

 「……エンコーじゃないだろね?」

男「……は?」

 「その娘、まだ……」

男「失礼ですね、何歳に見えるんですか?」

 「あ、いや……すまんかった。若くて綺麗そうに見えたもんでね。……気を悪くしないでおくれ。これも仕事でね」

女「……」

418 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:50:56.49 ID:sq7Wibqn0
 「じゃあ、鍵これね。明日の10時までにチェックアウトだから」

男「はい」

女「……行きましょう」

 カツカツカツ

男「(……ラブホ)」

男「(人生初の、ラブホ)」

男「(……うわ)」

男「(なに、このドキドキ……今更なんだよ…)」

女「……」

男「(これから、この娘と、密室で……二人きりに……)」

男「(……ぐっ…)」

男「(なにこれやべえええっ!……落ち着け、俺落ち着け!!!)」

女「……この部屋でしょうか」

女「あけます」

男「う、うん……」

426 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/26(金) 23:54:19.66 ID:sq7Wibqn0
 ギイ  バタン

男「……」

女「……」

男「……は、入るか?」

女「は、はい…」

男「……」ドキドキ

女「……あの、お風呂、入りたいです」

男「…うぇっ!?」

女「だめですか?」

男「いや、だめってことないんじゃないか?これホテルだし」

女「……じゃあ、先に入りますね」

男「……あ」

男「あぁ」

433 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:01:30.28 ID:A46XWm7a0 [1/74]
男「(どうしてこうなったどうしてこうなった)」

男「(落ち着いて整理しろ俺大丈夫だ俺)」

男「(女さんは、足を挫いて家に帰るのが困難だから泊まるだけだ)」

男「(そうだ、それだけだ。そうなんだ。あぁ、そうにきまってる)」

男「(だからだからだからっ、あの娘が俺に気があるはずない)」

男「(……多少気を許してるところはあるかもしれないが、そんなはずはないのだっ!!)」

男「(だって、俺はニートだぞ?ニートが彼氏とか自慢出来るはずないだろ)」

男「終わってるだろ負け組みだろ)」

男「(彼女だって、学校行けてないって言ってる、まぁ俺よりはマシだけど、限りなくニートに近いニートじゃねぇか!)」

男「(ニート×ニートってなんだよニートの2乗ってなんだよ、ニートが増すばっかで、言い事ねぇじゃねぇか)」

男「(あー、くそっ、……くそくそくそくそくそっ!!!)」

男「(いまっ、さいこうにっ!脱☆童貞のチャンスじゃねええかああああっ!!!)」

男「(甲斐性見せろよ、俺!!俺!!俺!!!)」

 ガラッ

女「……おまたせしました」

445 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:06:20.58 ID:A46XWm7a0 [2/74]
男「……へ?」

女「……あ」

女「あんまり、見ないでください」

男「(浴衣姿で……髪が濡れてて……)」

男「(化粧が、落ちて……)」

男「17歳っ……」

女「……やっと、認めてくれましたか」

男「化粧濃すぎだよ!」

女「そうですか?」

男「(たりめーだっ!!)」

男「(スッピンの方が100万倍かわえーよ……)」

男「(なんだこれ……なんだよ……、こんな可愛い子前にしたら)」

男「(俺、……たえらんねーよ…)」

456 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:12:44.99 ID:A46XWm7a0 [3/74]
男「(……俺にはもったいない位じゃねーか…)」

男「(なんでまた、こいつは俺なんかをホテルに誘うんだよ……)」

女「どうしたんですか?そんなに落ち込んだ顔して」ズイッ

男「う、わっ……近いよ」

女「えへへ」

女「……ベットでごろん、してもいいですか?」

男「……ん」

女「じゃあ、失礼して」モゾモゾ

女「ふふっ、こんなにやわらかいベットで寝るの、初めてです」

男「……」

女「どうしたんですか?」

女「お風呂、入らないんですか?」

女「それとも」

女「一緒に寝ます」

女「……か?」

472 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:19:05.38 ID:A46XWm7a0 [4/74]
男「……なぁ」

男「俺、……一応、男、なんだけど」

女「はい」

男「……今さ、すげーさ、……そのー、ドキドキっていうか…こう、滾ってるんだ」

女「はい」

男「このままじゃさ、……えーっとね、そのー、衝動のままにね、カラダが動いてしまいそうなんだ」

女「……どうぞ」

男「……え?」

女「どうぞ」

男「いやいやいやいや」

女「私を好きにしてください。……私の事、嫌いですか?」

男「ブワッ」

486 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:22:22.20 ID:A46XWm7a0 [5/74]
男「……女さんっ!!」

 ガバッ

女「あ……」

男「っ……」ゴクッ

女「や、やさしく……」

男「……」

女「……ん…」

男「はぁっ……はぁっ……ほんとに、いいの?」

女「……バカ」

女「二度も、言わせないで下さい」

女「はずかしいん、ですから……」

男「……」プツン

505 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:28:36.82 ID:A46XWm7a0 [6/74]
女「……や、だ……、そんなに、耳……っん、…」ビクビク

男「…女さんの耳、すごく、……おいしい……」

女「そんなっ………ふぅっ…」

男「……おっぱい、揉んで良いかな」

女「聞かないでっ……恥ずかしいですから、……お願い…」

男「じゃあ、いいの?」

女「好きにしてって……ひぅっ!!」

男「うわ…」モミモミ

男「やわらか」

男「浴衣の上からでも、すげー分かる……」

女「はずしっ……ひぅっ……あんまり、…そんな…」

男「ちょっとこれ、感動もんだよ……まじすげーよ、これ……」

517 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:33:12.63 ID:A46XWm7a0 [7/74]
男「……生で見ていい?」

女「だから…」

 ズッ

男「……わ」

女「ひぅ……」

男「乳首、こんなピンク……やらしくて綺麗でかわいい」

女「ほめすぎですっ」

男「そんなこと無いって……んむっ」パクッ

女「んっ!」

女「ふあああっ……、そんな、舐められたらっ……ひぅ、ひぅうぅっ…」ブルブル

男「かわいい。……もっと…」ペロペロ

女「な、にこれっ……胸が、っ……ジンジンしてっ……きもち、いいっ……いいですっ!!」

529 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:38:44.23 ID:A46XWm7a0 [8/74]
女「んっ……んひっ……胸、そんなにっ…」

男「胸、弱いの?……んっ」ペロペロ

女「わ、かんないっ…です。そんなの、わかんなっ……」

男「(なんでこんなやわらけーんだよ)」

男「(乳首きれーだし)」

男「(……これ、絶対おっぱい大きいほうだよな……やべぇ、やべぇ……)」

女「そんな、おっぱい、ばっかり……」

男「下、いいの?」

女「す、すきに…」

男「……ん」スッ

 チュプッ

女「ひぅっ!」ビクッ

男「(濡れてる…)」

538 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:44:00.00 ID:A46XWm7a0 [9/74]
男「(濡れてる濡れてる濡れてる濡れてる)」

男「(やべー)」

男「(なんでこれだけでこんなに興奮するんだよ!!)」

女「……男、さん…」

男「ごめん」

男「もう、おれ……我慢出来ねぇ…」

女「……」ジッ

男「いいよね?」

女「……」コクリ

男「じゃあ……」

男「(何年ぶりだろう……)」

男「(他人に……特に、女性に見せた事があるのは)」

男「(……すげー、恥ずかしい。……でも、女さんがこんなにがんばってくれてるんだから、俺だけなんて……っ)」

545 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:47:53.86 ID:A46XWm7a0 [10/74]
男「……」ポロンッ

女「あ……それが、……男のひと、の…」

男「じゃあ」

男「入れる、ね…?」

女「……」ジッ

男「いい?」

女「……」

女「……」フルフル

男「……大丈夫?」

女「だ、だいじょ、う…」

男「……じゃあ」

女「やだ」

男「え?」

女「やっぱりやだ。やだ」

女「やだやだやだやだやだっ!!こんなの……やだよぉ…」

554 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:52:27.45 ID:A46XWm7a0 [11/74]
女「やだっ……やだっ……こんなのって……こんなの、って…」

男「どうしたの?」

女「うっ……、わかんないっ…」

女「でも、もう、やだ……」

女「やめて……」

女「無理だよ……全然、気持ちよくない……フリなんて、できない…」

女「怖い」

女「それ、……こわい」

女「やだよ……許して。……もう、許してっ…」

男「……なんだって、そんな、今更……」

男「(なんだこれ…?童貞の俺には全然状況がのみこめねぇ……)」

男「(これ、じつはあれか?嫌がる振りして、じつは、ってやつか?そうなのか?)」

569 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 00:59:52.82 ID:A46XWm7a0 [12/74]
男「…なぁ、いいよな?」

女「やめて……。お願いだから。……処女なの、初めてだから」

女「こんな、なりゆきでなんて……やだ…やっぱり、やだ……」

男「今更なんで」

男「誘ってきたの、お前だろ!!」

女「そうだけど…」

女「そうだけどっ!!」

男「だけどじゃなくて」

男「……俺は、騙された気持ちだよ」

男「男は一旦性欲が突くと、どっかに吐き出さなきゃなんだよ」

男「……俺だって童貞だ」

男「目の前に女性器さらけだす女がいたら、強姦してもいいぐらい、貪欲なんだよ!!」

男「……クソが」

男「クソッ!!!クソッ!!!クソっ!!!クソッ!!!!」

583 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 01:07:59.23 ID:A46XWm7a0 [13/74]
女「……ごめんなさい」

女「許して。……ごめん、ごめんなさい」

男「何で謝るんだよ」

男「……謝る位なら、俺の童貞もらってくれよ!」

男「なぁ……、なぁなぁなぁなぁ!!?」

女「……ぅ…」

男「泣くのかよ?」

男「泣けば済むとでも思ってんのかよこの甘ちゃんが!!」

女「…ひっ……」

男「……俺でよかったよなぁ、来たのがさ」

男「もっと下卑たキモデブオタがこなくてさぁ、ほんと良かったよ」

男「処女は安全。ストレス解消もできました!……あー、よかったな」

男「俺はホントに道具だよ。……お前の都合に合わせてノコノコやってきてさ」

男「お前の為に髪切って服買って靴履いて……馬鹿見てぇ」

男「……ちょっと、俺浮かれてたわ」

596 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 01:14:56.16 ID:A46XWm7a0 [14/74]
男「こんなん、夢物語だよ」

男「たまたま開いたスレにあったメルアドにメールしたら、女子高生とデートできて、挙句処女ゲット童貞卒業!」

男「やっぱり俺はニートだからな」

男「不相応な事は結局夢でしかねーんだよな」

男「だからさ」

男「……お前も、夢見んなよ」

女「……え?」

男「変わりたいんだろ?」

女「……」

男「お前」

男「俺に似すぎてるよ。やっぱ、同じニートだよ」

女「……っ……うっ……う、……うぁ……ぁ…………」

男「かわれねーよ」

男「金があっても、男作っても、……処女無くしても」

男「なんもかわんねーよ」

605 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 01:25:42.25 ID:A46XWm7a0 [15/74]
女「うぁ…ぁああああっ!!………ああ!!」

男「俺だって、こんな説教できる立場じゃないくらい分かってるよ」

男「……でもさ」

男「お前、俺に少し夢を見させすぎちまったよ」

男「やめてくれよほんと」

男「ほんと、やめてくれよ……」

女「やだっ……もう、くるしいのやだっ…!!」

女「学校とか、先生とか、友達とか、母さんも父さんも弟のことも考えるのやだ……」

女「将来とか人生とか明日とか今日とかずっと昔の嫌なこととかっ……」

女「もう考えるのは……考えたくない、ずっと、ずっと……もう、グルグルグルグルずっとずっとずっと!!」

女「もうっ―――」

男「んなの俺だって」

男「てめえだけじゃねぇよ……、自分だけ辛いと思うなよ……」

女「しらないっ……他人と比べて辛いわけじゃないものっ……、だって理不尽、おかしいっ……辛い、こんなに、生きるのが辛いっ…」

617 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 01:33:53.15 ID:A46XWm7a0 [16/74]
女「いつだって、人が見てる」

女「私の事おかしいって笑ってる」

男「それは」

女「わかってるよ!……私の心がおかしい事ぐらい」

女「でも、……どうしようもないんだもの」

女「教室の前に立てないくらい、私は弱い心で生まれてきちゃった」

女「あなたに分かる!?」

女「入学式の日、教室で、自己紹介。…私の番が回ってくる、もうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐ」

女「はいつぎ女さんお願いします、席立ってでくの坊、気がついたら泣き崩れて保健室」

女「……っ…ねぇ、……分かるの?……分かって、くれるの?」

男「わかんねーよ!」

男「……病院行け」

女「行ったよ。……行って直るんだったら、こんなに苦労してないよ」

女「お母さんのお金、使って……ないよ」

女「あんたなんかと今、ここに居ないよ……」

627 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 01:41:41.05 ID:A46XWm7a0 [17/74]
男「……いつまでも悲劇のヒロインぶってられると」

女「思わないよ」

女「だから、変わりたかったんじゃない」

男「……だから、変われねーって」

女「変わるの!!」

男「あきらめろよ」

女「やだ!!」

男「じゃあどうすんだよ」

女「わかんない、そんなの……」

男「なんだよそれ」

女「私なりに、足掻いてるんだよ……。あんたなんかと一緒にしないで」

女「私、……あんたなんかに処女あげたくない」

男「……」

635 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 01:48:59.38 ID:A46XWm7a0 [18/74]
男「ふざけんな」

女「……やだ」

男「甘えんじゃねぇよ。……俺とラブホ来た時点で、お前の負けだよ」

女「……来ないで」

男「ちっ」

 ガバッ

女「きゃ、…」

男「くそ、……このっ」

女「やめ、やめて……っ!!」

男「俺だって……俺だってっ!!」

男「馬鹿にすんじゃねーよ、好きでニートやってねーよ!!」

男「好きで童貞やってねーし……好きで2chなんかやってねーんだよ!!」

男「……でも結局お前なんか他人で」

男「お前の気持ちなんかわかんねーっ!!」

男「……だから、お前を犯す」

655 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 02:14:04.01 ID:A46XWm7a0 [19/74]
女「……ひぅっ…やだ、やだっ……こんなんで、私の、処女……やだ……」

男「うっせ、黙れ」

女「……っ」

男「全然わかんねーよ」

男「なんで俺に処女膜やぶられんのがいやなんだよ」

女「だって、……だって、……こんな、作り物の、彼氏なんかと」

男「俺はお前で童貞卒業したいんだよ。……例え作り物の彼女でも」

女「……え…」

男「もう、夢は終わった」

男「……なら、夢が完全に覚めるまで、悪足掻く」

女「いや、………いやだあああっ!!!」

男「ほんとさ、……悪い夢見させないでよ」

男「……誰かの為に生きるなんて、やっぱり俺」

男「無理」

663 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 02:20:20.22 ID:A46XWm7a0 [20/74]
女「……ひっ…」

男「くそっ……くそ、……」

女「やめてっ……もう、お願いだからっ!!」

男「入れっ……何で、なんでっ……!!!」

女「うっぅ……う、……うぐっ……」

男「畜生……」

男「なんではいらねえんだよ!!!」

女「……ぅ…」

男「良い気味だとか思ってんの?」

女「……」フルフル

男「……ムカつく」

男「うぜぇ……、ほんと、お前うぜぇよ」

667 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 02:26:06.49 ID:A46XWm7a0 [21/74]
男「クソっ……クソ……が」

男「全部うぜぇ……。全部……」

男「もう、疲れた」クタッ

女「……」

男「もういい」

男「やっぱ、なんもかわんねーよ」

女「……そんなことない」

男「アホか」

女「そんなこと、ないもん」

男「童貞も処女も卒業できなくて、なにが変わるだ」

男「……説得力のかけらもねーよ」

女「……」

668 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 02:30:47.16 ID:A46XWm7a0 [22/74]
女「……」ギュッ

男「なんだよ」

女「抱きしめてる」

男「それくらい分かる」

女「こんなの私、初めて」

女「……初めて、です」

男「……あ?」

女「……」

男「こんなんで、なんか変わるとでも思ってんの?」

女「わかんない」

女「……でも、こんなこと、無いから」

女「こんなに、人が近くにいたこと、ないから」

男「……」

691 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 02:40:49.01 ID:A46XWm7a0 [23/74]

女「最初、……いきなり勧誘受けてたとき、びっくりしました」

女「あの場所で、見るからにニートそうなの、あなたしかいませんでしたから」

男「……はぁ?他にも同じ格好っぽい奴ら居ただろ」

女「ふふっ、同じパーカーにジーンズでも、おしゃれ度が全然違ってましたよ」

女「……あぁ、見るからにダメそうなひとだなぁって」

女「じゃあ、早速、勧誘を振り切ってあげようかなって……」

男「そうやって、俺を見下したかったわけだ」

女「そうですよ」

女「……さっきも言いいましたけど、私は安心したかったんです。……私よりもダメな人と一緒に居ることで」

女「私を変えたかった。……でも」

男「わるかったな。典型的なニートじゃなくて」

女「……本当です」


714 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 02:48:41.10 ID:A46XWm7a0 [24/74]
女「でも……」

女「男さんの背中に背負われて、すこし、思ったんです」

女「人に頼るのって、心地いいな……って」

男「……」

女「みんな男さんみたいな人だったら良いのに」

男「なんだそりゃ。どういう意味だよ」

女「私が足を挫いたら、みんな競って背負ってくれる人たちだったら……」

女「私は……」

男「……ニートなんかしてなかったってか?」

女「……」

男「甘いよね。もうその考えから」

男「人に自分の理想押し付けてるだけじゃん」

女「そうですよね。……結局、自分は何も変わってないって事ですもんね」

女「……あはは…」

739 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 02:57:29.12 ID:A46XWm7a0 [25/74]
男「でもな、……世の中には色んな人が居るんだよ」

男「お前が足を挫いた時、背負う奴もいれば、肩を貸してくれるやつもいる」

男「荷物を持ってくれるやつも居るし、病院まで車で運んでくれる奴もいる」

男「もちろん、見てみぬ振りふるやつもいるし、他人に任せた方が上手く対処してくれると言い訳して逃げる奴も居る」

男「人によって、やること考えること、全然ちげぇ」

男「分からない」

男「……だから、怖い」

男「……だから、俺は」

男「俺は」

女「……男さん?」

男「俺は、俺を否定されるのが怖かった」

男「……自分の人生を評価されて、否定されるのが」

男「就職とか、もう……」

男「あーーっ、クソッ、クソったれっ……、なんでお前なんかに」

755 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 03:08:31.37 ID:A46XWm7a0 [26/74]
女「もっと強く抱きしめて、いいですか?」

男「なんで…」

女「そんな気分なんです」ギュッ

男「……ぅ」

女「どうですか?……なんか、変わりませんか?」

男「そんなの、わかんねぇ」

男「人の気持ちなんか、わかんねーし……、俺の気持ちなんか、誰も分かっちゃくれねぇ」

男「……わかってねーから、皆が皆、俺を否定すんだよ…」

男「俺になって考えてくれよ……、俺の気持ちになって見てくれよ」

男「……頼むよ…」ギュゥッ

女「……私の気持ちだって、誰にもわかんないんです」

女「誰だって、不登校とか、そういうレッテルつけて私を判断して……、本当の私の辛さなんか理解しようとしないで」

女「これでも変わろう変わろうって足掻いてるのに……ぜんぜん抜け出せなくて」

女「でもその気持ち、誰もわかってくれなくてっ!みんな私だけ置いていって……手を伸ばしてもくれなくてっ…」

女「こんな、広い海に一人捨てられて、必死で足掻いてるのに……生きてるのに、誰も、誰もっ……!!」ギュゥゥッ

766 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 03:21:47.36 ID:A46XWm7a0 [27/74]
男「なぁ、なんで生きてんの?なんでこんなに辛いのに生きてんの?」

女「そんなの分かんないですよ。生きてるから生きてるんですよ。……もう分け分かんないです」

男「……はは、自分ひとりだと、自分の熱さに気づかないけど」

男「俺って、暖かかったんだな。……生きちゃってるよ」

女「……胸、苦しい。もっと、暖かくしてほしい」ギュゥッ

男「ん……」

女「こんなにいっぱい話して」

女「こんなにいっぱい近づいたのは、初めてかも」

男「俺もだ」

女「……ちょっとだけ、今男さんが考えてること、分かりました」

男「……俺も、お前が今考えてること、ちょっと分かる」

女「答え……」

男「いや、恥ずかしいだろ」

女「……ですよねっ」

774 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 03:26:08.89 ID:A46XWm7a0 [28/74]
女「このまま、寝させてください」

男「襲うかも」

女「そんなこと、するんですか?」

男「……さっきの俺ならしたかも」

女「じゃあ、安心です」

女「……どうか、このままで」

男「わかった」

女「男さん」

女「ありがとう」

男「俺の方こそ」

男「ありがとな」

女「……おやすみなさい」

男「……おやすみ」

786 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 03:34:11.44 ID:A46XWm7a0 [29/74]
 早朝 渋谷駅前

男「なんか、寂しいな」

女「そうですね……、でも、私の事、忘れないで下さいね」

男「忘れられるわけあるか」

女「よかった」

男「……また、会えるだろ?」

女「どうでしょう」

男「どうでしょう、って……」

女「生きていれば、いつか、会えるんじゃないでしょうか?」

女「遠い空の下で、私はずっと、精一杯、生きています」

女「だから、男さんも」

男「……アホか」

男「俺は死なねーよ」

女「ふふ、よかった」

男「……」

818 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 03:51:43.88 ID:A46XWm7a0 [30/74]
女「……ちょっと、思ったんですけどね」

女「昨日の、あの時、二人がVIPで巡り合ったのって」

女「ちょっとした、神さまのイタズラだったんですよ」

男「なんだそりゃ」

女「……精一杯生きてる私たちへの、ご褒美だったんです」

女「縦糸と横糸が交じり合うのが、ほんの少し、早くなった」

女「その程度のイタズラかもしれないですけど」

男「じゃあ、神様に感謝しないとな」

女「……ところが、そうもいかないんです」

女「次、私に会えるのは」

女「ネットの中じゃないです」

男「……え?」

女「人の中で、待ってます」

女「またね!」

836 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 03:59:43.77 ID:A46XWm7a0 [31/74]
 ガバッ

男「……はぁっ……はぁっ…」

男「……夢、か……」

男「……」

男「はは、……そうだよな。こんなん、あるはずねぇよ」

男「ネットで出会った美少女。そして恋に落ちて……」

男「しかも途中からストーリー展開意味わかんないし」

男「でも」

男「……でもさ」


男「幸せ」

男「だったな」


男「……朝日まぶしっ」

男「たまには外、行くか」


 END

944 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 07:17:09.74 ID:A46XWm7a0 [73/74]
 エピローグ

男「……」ゴシゴシ

男「……」ゴシゴシ

男「……ふぅ」

 「これお皿追加っ、さっさと洗ってね!!」

 ガチャガチャ

男「はいっ了解です」

男「……」ゴシゴシ

男「……」ゴシゴシ

女「あ、いえ…え……接客、ですか?」

 「そうそう、だめ?」

女「……出来れば、裏方の方が」

 「そうなの?……でも、裏方も接客ぐらいやれなきゃだよ?」

女「え、と……。……わかりました。やります!」

男「……?」

945 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 07:24:07.99 ID:A46XWm7a0 [74/74]
男「……新人さん、ですか?」

 「あーうん、そう。こちら裏方見習いの男君」

男「ども」

女「女っていいます。……接客、やるみたいです。よろしくおねがいします!」

男「……」ジッ

女「……あの、何か?」

男「い、いや……え、……別に」

 「なんだ、早々ナンパか?」

男「ち、ちがいますよっ。からかわないでください」

女「くすくすっ」

女「男さんって、おもしろい人ですね」

女「……なんだか、初めて会った気が―――」


 ねぇ、覚えてる?……あのときの答え。

 ――― 「今、すごく、すごく幸せ!!」

 FIN


852 名前:ちぢれ[] 投稿日:2010/03/27(土) 04:05:32.20 ID:A46XWm7a0 [32/74]
あとがき

しかるべくして夢落ち

と勝手に思っているのですが

読み人に任せます


またまたくっさいSSで

またまたエロ引っ張ってナシとか

ごめんちゃい


ありがとうございました。

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)