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唯「ばくれつ!ユーフォニアム娘!」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:31:33.00 ID:ZZcFPSUd0
茜父「それじゃあ、行ってくるよ。茜」

茜「いつ…帰ってくるの? お父さん」

茜父「今回はすぐ帰ってくるよ」

茜「前もそう言ってなかなか帰ってこなかった…」

茜父「ははっ…、そうだったかな…? でも今回は本当にすぐ帰ってくるよ」

茜「茜の誕生日までに帰ってくる?」

茜父「ああ、もちろんだとも」

茜「絶対だよ!」

茜父「約束するよ。だからお母さんと良い子にして待っててくれるかい?」

茜「うん!」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:34:24.82 ID:ZZcFPSUd0
茜母「あなた…」

茜父「すまない…キミには心配ばかりかけるね…」

茜母「いえ…いいんです…。傭兵の妻となったときから覚悟はできています…」

茜母「でも…、せめてこの子には日本のちゃんとした教育を受けさせてあげたいって」

茜母「そう思うんです…」

茜母「地雷を気にしないで歩ける道を…歩かせてやりたいんです…」

茜父「今まで幾多もの戦地を駆け巡ってきた…」

茜父「でも、今回の仕事が終わったら日本に帰ろうと思うんだ」

茜母「ほ、本当ですか!?」

茜父「ああ。今回の雇い主は日本のコトブキという企業でね。報酬の支払の羽振りもいいんだよ」

茜父「今までの蓄えと合わせれば、日本で小さな店くらいは持てるだろう」

茜母「それじゃあ……!!」

茜父「こんな紛争ばかりの国でしか生きられない僕によく付いてきてくれたね」

茜父「茜は僕たちの生まれ故郷。美しい四季のある日本で育てよう」

茜母「あぁ…あなた…」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:37:03.06 ID:ZZcFPSUd0
茜父「ところで茜。本当に誕生日プレゼントはこのユーフォニアムでいいのかい?」

茜「うん! お父さんのゆーふぉにゃむ!」

茜父「しかし、これは……。まぁいいか。楽器として使えないって訳でもないし」

茜父「この仕事が終わればコレも必要なくなるだろう」

茜父「でも、今回の任務に必要になるかもしれないから今は持っていくけど」

茜父「父さんが帰ってきたらこのユーフォニアムは茜のものだ」

茜「わーい!」

茜父「じゃあ、行ってきます。良い子にしてるんだよ」

茜「いってらっしゃい!」



 数日後、私の望み通り、誕生日のプレゼントに父のユーフォニアムを貰えた
 でも…そのユーフォニアムは血だらけで、父だけが帰ってこなかった

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:40:09.87 ID:ZZcFPSUd0
────
────────
────────────

「茜…起きなさい…茜…」

茜「う…、うう~ん…」

茜母「おはよう」

茜「あ……、おはよう、お母さん」

茜母「もうすぐ着陸よ」

茜「ここが…お父さんとお母さんの生まれた国…」

茜母「そう…日本よ…」

茜「……」

茜母「茜…ごめんね…」

茜「ううん、お母さん」

茜「私、絶対にやり遂げてみせるから…」

茜「お父さんの────」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:43:09.42 ID:ZZcFPSUd0
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平沢家

憂「おね~ちゃ~ん! 早く起きないと朝食べる時間なくなっちゃうよ~!」

唯「う~ん……むにゃむにゃ……」

憂「お姉ちゃん! 朝ごはん抜きだったらお昼まで持たないでしょ?」

唯「わたふぃ~、いくら食べても~太らないから~、……むにゃむにゃ……」

憂「もう! 夢の中でいくら食べてもお腹は膨れないよ!」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:47:23.61 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

憂「はい、お姉ちゃん。トーストにバターとジャム塗ったよ」

唯「ありがとう憂♪」

『……それでは続いてのニュースです
 中東のテロリスト組織がインターネット上で日本の琴吹インダストリー社に対し
 テロの予告を出した事に関して、政府は今朝早くに伝家の宝刀である遺憾の意を表明
 大臣は「遺憾の意が出れば全てが収まる」と話しておりこれ以上の問題は起きないとして
 早々に事態の収拾がついたとの見解を────』

憂「……」

唯「遺憾の意かぁ~…日本の遺憾の意ってかなり強力だって聞くから大丈夫そうだね」

憂「お、お姉ちゃん……」

唯「ん?なぁに?」

憂「琴吹インダストリーって言ったら、紬さんの家の会社だよ?」

唯「ええっ!? そうなの!?」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:52:23.30 ID:ZZcFPSUd0
学校

斎藤「いってらっしゃいませ、お嬢様」

紬「い、いってきます…」

「「「「「いってらっしゃいませ! 紬お嬢様!!」」」」」

生徒A「な、なになに!? 黒塗りの車がいっぱい……!!」

生徒B「それに全身黒ずくめの人も大勢……」

     ざわ…ざわ…

紬「さ、斎藤。もういいから…」

斎藤「お嬢様、もしなにかありましたらこの斎藤、すぐに飛んでお嬢様の盾となりますゆえ…」

「自分、紬お嬢様のために死ねるのなら本望です!!」

「わたくしも! この命、紬お嬢様にお捧げいたします!!」

「紬お嬢様のためなら火の中、水の中 核融合炉の中ッ!!」

「紬お嬢様!! この汚らしい豚めを踏んでください!!」

「「「「「「お嬢様!! お嬢様!!」」」」」」

紬「は、早く帰りなさーーーい!!」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 16:58:03.55 ID:ZZcFPSUd0
紬「はぁ……」

和「なんだか大変ね。ムギ」

紬「あ、和ちゃん。おはよう」

和「おはよう。やっぱり今朝のニュース…」

紬「ええ…、本当にウチの会社が脅されてるみたいなの」

和「それって…」

紬「ああ、でも心配しないで。上層部の見解だと、今ウチの会社、急に海外進出を始めてて」

紬「それに反応した海外の同業者が裏で手を回してテロ組織に資金を提供して脅しているって…」

紬「おおよそ、そんな展開だろうって話だから」

和「マフィアのやりかたよね」

紬「ポッと出にいきなり自分の商売荒らされたらそうなっちゃうのもわかるわ」

和(この子も相当肝っ玉が座ってるわね…)

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:02:18.98 ID:ZZcFPSUd0
紬「それに…テロをするったって多民族国家ならまだしも
  この日本だったら実行犯なんてすごく目立つと思うの」

紬「きっと中東の方の人だと思うし…」

和「まぁね、武器の持ち込みすらも厳しいんじゃないかしら」

紬「うん。きっと大丈夫」

和「ええ、そうね」

紬「だから、私平気ですって言ったのに。お父様ったら護衛を付けるって…」

紬「なにもあんなに大袈裟にしなくったって…。私恥ずかしい…」

和「ま、まぁ親が子を心配するのは仕方ないことだと思うけど…」

和(でも、確かにあれはやりすぎよね…)

紬「しかも、学校の中の安全を徹底するのに私専用の用心棒も頼んだって…
  流石にそれはお断りしたんだけど」

和「へ、へぇ~……」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:05:15.58 ID:ZZcFPSUd0
律「だからさ~…」

澪「うんうん…」

黒服軍団 ゾロゾロ……

澪「!?」

律「な!? なんだなんだ!!」

澪「ひ、ひぇ~~~!!」

律「おい澪! シッカリしろ!!」

律「黒ずくめ集団もいったいなんの用なんだよ!!」

澪「き、きっとあの時のアリだ……」ガクブル

律「あ、アリ!?」

澪「小学校の時、律がふざけて蟻の巣を埋めた…あの時の仕返しにきたんだ!!」

律「み、澪!?」

澪「人間の姿となって長年の恨みを晴らすためにやってきた……」

澪「お、お助け~~~!!」ガクブル

律(そう言えば、昨日澪に同じようなパニック映画の話をしたっけ……)

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:09:16.41 ID:ZZcFPSUd0
澪「あの時、私も明確には律の蛮行を止めようとはしなかった……」

澪「だから、私も一緒に食べられるんだ……!!」

澪「短い人生だった…せめて律と一緒に逝けるのが幸いだ……」

律「落ち着け澪!!」

紬「大丈夫よ澪ちゃん!!」

律「ムギ!!」

紬「ほら、御覧なさい! あなた達のせいで怯える人もいるのよ!!」

「「「「「申し訳ございません、紬お嬢様!!」」」」」

和「大丈夫よ澪。この人達はあなたを食べたりなんかしないわ」

澪「そ、そうか…冷静になって考えればそれもそうだな…」

和「ほんと、澪のような考え方する人なんて滅多に……」

唯「うわっ!! あ、アリが人間になって集団で攻めてきたーー!!!」

唯「小学生のときジョウロで洪水起こしてごめんなさ~~い!!」ビエ~~~ン!!

憂「お、お姉ちゃん!?」

和「……いたわ。それもとても身近に……」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:13:14.14 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

唯「なぁんだ~…。私てっきり食べられちゃうかと思ったよ~」

澪「そんな訳ないだろ。まったく、唯にも困ったもんだな~」

律「……おい」

梓「おはようございます。先輩方」

唯「あ! あずにゃ~ん!!」

憂「おはよう、梓ちゃん」

梓「うん、おはよう憂…って朝っぱらから抱きつかないでください唯先輩!」

唯「よいではないか~」

梓「も~~…。ところで校門の前で黒い集団が学校を覗いていたんですけど…」

紬「…ごめんさない」

梓「?」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:17:38.61 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

梓「じゃあ、今朝のニュースの琴吹インダストリーって
  やっぱりムギ先輩の家のことだったんですね」

紬「騒がしくしちゃって…ごめんね」

梓「いえ、でも本当に大丈夫なんですか?」

紬「日本に居る限りは安全だと思うわ」

澪「でも、用心に越したことは…」

律「もし何かあったら私が守る!! 部長だし!!」

唯「私も!! お菓子食べたいし!!」

梓「唯先輩……」

唯「じ、冗談だよ~」

紬「うふふ、ありがとう。頼りにしてるわ」

澪「でも、本当にテロリストが現れたら…」

和「そんなに心配しなくても日本は安全よ澪」

澪「和がそう言うのなら…」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:24:01.47 ID:ZZcFPSUd0
放課後

律「結局いつもと変わらないな」

梓「本当にテロが起こっても困りますけどね」

紬「言ったでしょ、大丈夫って」

澪「か、乾パンとか用意しなくても大丈夫かな…」

律「災害じゃないんだから…」

唯「イチゴ味の乾パンとかないかな~」

律「お前はそれ以前の問題だな…」

梓「あ、忘れるところでした」

唯「なに? イチゴ味の乾パンあずにゃんが持ってるの?」

梓「いえ…、そうじゃなくって。今日ウチのクラスに転校生が来たんですよ」

梓「なんでも、今まで海外を転々としてて、日本に来たのは初めてだって言ってました」

梓「それで、軽音部のこと話したら興味があるから一度見てみたいって」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:29:48.08 ID:ZZcFPSUd0
律「本当か!? 思わぬところで新入部員がっ!!」

澪「でも、ずっと外国暮らしで日本は初めてって…言葉通じるのか…?」

唯「OH! ハラキリ! フジヤマ!」

律「ゲイシャ! テムプラ!」

紬「フタナリ! フジョシ!」

梓「なんでも親は日本人で、普通に日本語は話しますよ」

澪「へ~」

梓「明日にでも連れてきていいですかね?」

澪「うん、いいんじゃないか」

唯「ナイストゥーミーチュー!」

律「ウェルカム! ケーオンブー!」

紬「レッツレズビアン!」

澪「はぁ~……」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:34:37.11 ID:ZZcFPSUd0
澪「お前らそのノリで逃げられたらどうするんだよ~」

律「冗談だって。明日は部長らしくビシッ!っとするよ~」

唯「どんな子なのかな~。楽しみだな~」

紬「明日は飛びっ切りいいお菓子と紅茶を用意しなきゃ」

唯「わ~い!」

澪「唯が喜んでどうする…」

唯「え…でへへ…」

澪「まったく…」

澪「で、どんな子だった?」

梓「結構大人しめで、唯先輩や律先輩とは正反対のような感じでしたね」

澪「そうか…きっと苦労してたんだな…」

律「なんだ~? それじゃ~まるで私たちが苦労知らずみたいな言い方じゃないか!」

唯「発言の撤回を要求する!」

澪「もう、鬱陶しいなぁ~」

梓「名前は三浦茜ちゃんっていうんです」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:40:27.44 ID:ZZcFPSUd0
翌日 放課後

唯「お出迎え準備OK!」

紬「お茶とお菓子も準備万端よ」

律「よし! 梓、いつでも入ってきてもらっていいぞ!!」

澪「その心意気は買おう……」

澪「でも、なんでメイド服なんて着てるんだ!」

律「もてなしの精神だよ~」

澪「そんなんだから、梓しか新入部員が入ってこなかったんだろ…」

梓「ほら、そんなに怖がらないで、入ってきておいで」

茜「し、失礼します…」

律「よーーーこそーーー!!!!」

唯「かんげいーーー!!!!」

紬「いたしますわーーー!!!!」

茜 ビクッ!!

澪「だから怖がってるだろーーー!!!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:43:45.97 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

茜「は、はじ、はじめまふぃて…三浦茜でふ…」

梓「お、落ち着いて」

茜「ほ、本日はお日柄もよく…絶好のドラム缶風呂日和で…!!」

澪「なに言ってるの…?」

紬「はい、この紅茶飲んで落ち着いて」

茜「は、はひ…」ゴクッ

茜「……おいしい」

紬「よかった」ニコッ

茜「……」じ~~~っ

紬「なに? 私の顔になにか付いてる?」

茜「……ま、眉毛」

紬「やだ、眉毛はみんなに付いてるじゃない。面白い子ね」ウフフ

唯澪律梓 ドキドキドキドキ…

茜(この眉毛…間違いない…彼女が琴吹紬…)

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:47:13.57 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

唯「へ~、じゃあずっと海外にいたんだ~」

茜「は、はい…親がそういう仕事してて…」

唯「私の親もしょっちゅう仕事で海外に行ってるんだ~」

茜「そ、そうなんですか…」

律「仕事ってなに?」

茜「傭兵です」

澪「よ、傭兵!?」

茜「はい、紛争があるところ、父はどこにでも駆けつけました」

梓「世界って広いんだ…」

律「まさか、唯の親も傭兵だなんて…」

唯「まっさか~。お父さんはね……」

唯「あれ? そういえば、お父さんって何の仕事してるんだっけ?」

澪「おいおい、親の仕事も知らないのか…」

梓「時々、唯先輩が本気で心配になるときがあります…」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:53:02.37 ID:ZZcFPSUd0
唯「家に帰ったら憂に聞いてみよう…」

紬「じゃあ、お父様は今も戦地で活躍を?」

茜「あ、あの…父は10年ほど前に死にました…」

紬「えっ!?」

茜「中東で…テロリストの手で殺されたって…聞きました…」

紬「そ、そうだったの…」

律(お、重い……)

澪 ブルブル…

律「ん? どうした澪?」

澪「三浦さん!! 何か困った事があるならいつでも言ってね!!」

唯「うわぁ! ビックリした!」

澪「私…いくらでも協力するからっ!!」

律「なんかスイッチ入っちゃったな…」

茜「あ、ありがとうございます。でも…私は大丈夫ですから…」

茜「母も元気ですし、特に困ったこと…ありません…から」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 17:57:38.47 ID:ZZcFPSUd0
澪「なんて健気な…」ウルウル

律「と、ところでさ~軽音部に興味あるってことは何か楽器を?」

茜「は、はい…今日は持ってきてませんけど、明日持ってきます」

律「そっか~。楽しみにしてるよん♪」

茜「憧れます…」

律「え?」

茜「その…おでこ…」

律「そ、そんなの初めて言われた……」

茜「私が以前住んでた国では、女の人がそこまでおでこ出すだなんて考えられなくて…」

茜「えっと…だから、私、憧れてるんです。おでこ出すの…」

律「へ、へ~…」

唯「じゃあ、あだ名はデビちゃんで決定だね!!」

梓「なんでですか!?」

唯「いつかデコビッチって言われるように、願いを込めてデビちゃん!!」

梓(無理やりだな~……)

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:03:41.95 ID:ZZcFPSUd0
唯「よろしくね、デビちゃん!」

茜「は、はい…よろしくお願いします」

梓「嫌だったら言った方がいいよ?」

茜「うれしい…///」

梓「そ、そう? それならいいんだけど…」

茜「ところで、日本は凄いですね」

茜「こんな濁った水も普通に飲めるなんて…しかもなんだか甘くておいしいし…」

茜「本当だったらこんな濁った水飲んだらお腹壊します…」

茜「でも、私の住んでた国ではそんな水でも飲まなきゃ死んでしまうので…」

紬「あ、あのね…これは紅茶っていって別に濁ってる訳じゃ…」

茜「!? ご、ごめんなさいっ! 私、すっごく無知で…。羞恥心……」

紬「い、いいのよ。そんなに謝らなくたって(羞恥心?)」

茜「それに…この甘くてふわふわした物も初めて食べました」

唯「ケーキって言うんだよ!」

茜「そうですか…お母さんにも食べさせてやりたい…」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:08:56.18 ID:ZZcFPSUd0
澪「三浦さん、私のケーキあげるよ。持って帰ってお母さんに…」

茜「いいんですか!? 大事な食料じゃないんですか!? 餓死しませんか!?」

澪「だ、大丈夫だよ。家に帰ったらちゃんと食べ物あるから」

梓「よかったら私のも持って帰って」

茜「中野さん…!!」

梓「もう、梓でいいって言ったでしょ?」

律「しゃ~ない、私のもど~ぞ」

茜「おでこさん…」

律「田井中律ね……」

紬「私も、ケーキとドライアイス付きの箱を用意するわね」

唯「わ、私も……食べかけだけど……どうぞ…」

澪「おいおい…」

茜「みなさん…ありがとうございます」

茜「日本は社会が豊かなだけじゃなくて、人の心も豊かなんですね」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:13:51.13 ID:ZZcFPSUd0
 プ~ン… チャポン

唯「あっ…デビちゃんの紅茶に虫が…」

紬「ちょっと待ってて、すぐ取り替えるから…」

茜 グビグビグビ……

澪「ああーーー!! 飲んじゃった…!?」

律「お、おい!すぐに吐き出せ!!」

梓「茜!? 大丈夫!?」

茜「えっ? 大丈夫…だけど…」

茜「むしろ、虫だって貴重なタンパク源だから…この機会を逃すかって勢いで飲んだけど…
  もしかしてダメだった…?」

律(さ、サバイバルな子だ…)

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:20:53.71 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

茜「あの…私、もうそろそろ…」

唯「なんで? まだ部活終了の時間じゃないよ?」

茜「購買のお昼の売れ残りが気になってて…
  もし破棄するんだったら早いうちに貰っておこうかなって…」

梓「そこまで!?」

茜「さすがに毎日草や虫だけだったらキツイかな…って」

澪「どんな生活を!?」

茜「だから…今日は失礼します!!」ダッ!!

紬「ああっ! 茜ちゃん!?」

律「行っちゃった……」

紬「す、すごい子ね…」

澪「そうだな…」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:22:47.08 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

澪「よ~し、今日はこの辺にしとくか~」

唯「あっ!? デビちゃんカバン忘れてるよ!」

律「本当だ。でもケーキはしっかりと持って帰ってるな…」

梓「家まで届けてあげましょうか?」

律「でも、住所知らないぜ?」

紬「先生に聞いてみたらどうかしら?」

澪「そうだな、じゃあ職員室まで行くか」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:26:38.74 ID:ZZcFPSUd0
────
────────
────────────

律「なぁ?澪。本当にココで合ってんの?」

澪「先生に聞いた住所が間違ってなければココなんだけど…」

梓「でもココって……」

唯「公園…だよね…?」

紬「公園に住んでるだなんて素敵!!」

澪「もしかしたら、公園の敷地内に家を建てたとか…」

律「でも、そんなもの見当たらないけど」

唯「ねぇ、あの人に聞いてみようよ」

律「そうだな。すみませ~ん!!」

茜「……あ」

梓「あ、いた」

澪「本当にココなんだな…」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:34:13.76 ID:ZZcFPSUd0
唯「ヤッホー、デビちゃん」

茜「こ、こんにちは。よくうちがわかりましたね」

澪「うん。先生に聞いたんだ」

紬「はい、これ。茜ちゃんのカバン」

茜「あっ…。すみませんわざわざ届けていただいて…」

茜「…さっきみたいな濁った水とかなくって…何もお構いできませんが…
  よかったら上がっていってください」

律「う、うん…おじゃまします(って言ったほうがいいのかな…?)」

梓(普通の公園だよね…まさかこの公園の持ち主とか!? 実は意外とお金持ち!?)

唯「さっきから何してたの~?」

茜「草むしりです。勝手にこの公園で住まわせてもらってるので…
  せめて綺麗にしとこうかな…と」

梓「……」

唯「へ~。偉いね~」

茜「いえ…元々好きなんです…草むしり…」

澪「ああ…そうなんだ…」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:39:03.15 ID:ZZcFPSUd0
茜「あの…草って意外と根っこが長かったりするんです
  地面から出てるのがコレっぽっちなのに、根っこがこんなに!? 
  ってことがしょっちゅうで、そのギャップに驚かされたり」

茜「なんとか根っこを千切らずに引っこ抜いたり
  逆に根っこだけ残すとまた生えてきたりするのが逞しいなって思ったり」

茜「だから、草むしり…すごく楽しいです…ずっと、一人でやってます…」

澪(なんだろう…すごく泣きたい…)

茜「す、すみません…こんなとこで話し込んじゃって」

茜「あのすべり台が私の部屋なので、どうぞ自由に寛いでください」

紬「まぁ! すべり台のお部屋なんて素敵!! 憧れるわ~!」

律(ムギが言うと皮肉にしか聞こえないよ…)

唯「ところで、デビちゃんなんで古代ローマ時代みたいな布1枚の格好なの?」

澪(唯…そこはあえてみんなツッコまなかったんだ…きっと…)

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:40:23.42 ID:ZZcFPSUd0
茜「あの…ちゃんとした服って学校の制服しか持ってなくって」

茜「普段の生活で制服着てたらすぐに汚れちゃうので…」

茜「でも、布だったら私はなんでもいいんです」

唯「へ~っ、そうなんだ~」

茜「ごめんなさい」

唯「ううん。カッコイイよ!!」

茜「えっ…」

唯「私も部屋着はデビちゃんみたいにしようかな~」

律「やめとけ…」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:46:47.85 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

律「そ~ら! 行くぞ~!!」スイ~ッ

澪「おい!押すな律! 危ないだろ!?」

紬「あはははは~♪」スイ~ッ

唯「あずにゃんは私と一緒にアベックすべり台に挑戦ね」

梓「なんですかそれ!?」

 ・ ・ ・ ・ ・

律「ふぃ~っ、すべり台ではしゃぐなんて何年ぶりかな~?」

澪「い、意外と盛り上がったな…」

紬「みんなで一緒にすべり台するの夢だったの♪」

梓「でもさすがにすべり台に住むっていうのは…」

唯「なんで~?楽しいじゃん!!」

梓「いや…楽しいとかっていう問題じゃ…」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 18:56:26.67 ID:ZZcFPSUd0
澪「三浦さん、よかったらウチに泊まりにきてもいいよ」

茜「あ、あの…茜でいいです…」

澪「そ、そう?」

茜「はい…」

律「じゃあ、澪んちの次は私んちにおいでよ茜」

唯「あ! いいね~。かわりばんこにお泊り?」

茜「お気持ちはうれしいんですが、私、屋根や壁があるところってあまり落ち着かなくて…」

茜「昼間はまだいいんですけど、夜寝るときは爆撃で瓦礫に埋まると怖いので…」

茜「それに夜襲があってもすぐに逃げれるって利点もあるんです…野宿には…」

澪「いや…日本は平和だから大丈夫だよ」

茜「はい…わかってはいるんですけど、どうしても無理なんです」

澪「そ、そっか…まぁ、無理強いはよくないからな…」

唯「毎日がキャンプなんだね!」

紬「すごいわ!」

律「お前ら、絶対その大変さをわかってないだろ…」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 19:04:16.84 ID:ZZcFPSUd0
唯「あ! でもお風呂とかどうするの?」

茜「そこにあるドラム缶に水を汲んで…幸いそこの水道から水はタダで手に入るので」

梓「ま、まさか…!!」

茜「うん。薪をくべてお風呂を沸かすの…ダメ…かな?」

澪「そ、外でか!?」

茜「一応そこの入り口からは死角になる所で目立たないようにはしてるんですけど…」

茜「堂々としてれば意外と見られないものですよ」

律「確かに…裸で堂々としてたら逆に見ちゃいけないような気がするもんな」

梓「っていうか、きっと触れたくないんでしょうね。なにか面倒に巻き込まれない内に」

紬「よかったらウチのお風呂に『みんなで』入りに来てもらってもいいのよっ!!!」

唯「わ~い! ムギちゃんちのお風呂って広そ~」

澪「なんでそんなに必死なんだムギ?」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/21(日) 19:05:22.00 ID:ZZcFPSUd0
ご飯食べてくる

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 19:31:19.26 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

茜「あの…みなさん喉渇きませんか?」

律「う~ん…そういえば」

茜「私、水汲んできますね」

澪「ああ…別にいいよ。そんな気を使わなくても」

茜「でも…。じゃあ、せめて食べれる虫捕まえてきます!」

梓「茜! 私たちには少しハードルが高いかもっ!!」

律「せめて食べられる草にしといてくれ!!」

茜「ちょっと待っててください。探してきますから!」

澪「あ、あの…あんまりがんばらなくてもいいよ~…」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 19:35:34.06 ID:ZZcFPSUd0
茜「きゃ~~~~~~っ!!!」

律「な、なんだ!? どうした!!」

紬「茜ちゃん!!」

梓「何があったの!?」

茜「ば、ばばば、……」

唯「ば?」

茜「バッタが出たーーーー!!!!」

紬「茜ちゃん、バッタが苦手なの?」

茜「ば、バッタが私たちの農作物を…悪魔の使い…」ガクブル

澪「ああ、蝗害か…」

唯「こうがい?」

澪「テレビなんかで見たこと無いか? 辺り一面にバッタが大量に飛び交って…」

澪「って…自分で言ってて気分悪くなってきた…」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 19:38:58.25 ID:ZZcFPSUd0
梓「草も農作物も全部食べちゃうんですよね…」

茜「怖い…バッタ…怖い…」ガクブル

唯「デビちゃんをいじめる奴めっ!! シッシ!!」

バッタ ピョ~ン

唯「もう大丈夫だよ、デビちゃん」

律「しっかし、怖がり方が尋常じゃないな…」

紬「それほど辛い思いをしたのね…」

澪「茜。日本で蝗害が起こることなんてないから安心しろ」

茜「ほ、本当…ですか…?」

紬「ええ。大量発生する条件が整いにくいと言われているわ」

茜「そうですか…、すみません、取り乱して…」

紬「いいのよ茜ちゃん、誰にだって苦手なものがあるんだから」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 19:42:54.54 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

茜「ごめんなさい……。結局、虫を捕まえることができませんでした…」

澪「き、気にするな!」

律「そうそう、むしろ良かったっていうか…」

茜「でも、学校で私はおよばれしたにもかかわらず。 恩知らずなヤツです…」

梓「茜……」

茜「せめてそこの蛇口からお水を飲んでいってください…」

澪「あ、ありがとう…」

唯「デビちゃん。購買で余り物貰えなかったの?」

茜「はい…今日は全部売り切れてたみたいで…」

紬「じゃあ、今日のご飯は…」

茜「いただいたケーキがあるのでカロリーには困らないと思います」

茜「生きるだけなら、一週間は水だけで余裕ですね」

澪「い、一週間……」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 19:47:57.92 ID:ZZcFPSUd0
紬「でも、それじゃ…」

茜「母が食料を調達してくれてると思うので」

茜母「茜、今帰ったわよ」

茜「あ、お母さん」

茜母「あら? みなさんは?」

茜「学校の…お、お友達…」

茜母「あらそうなの? 初めまして茜の母です」

軽音部一同「こんにちは~」

茜「お母さん、こちらの琴吹先輩から…ケーキをいただいたの…」

茜母「まぁ! ケーキなんてもうずいぶんと食べてないわ」

茜母「よろしいの?」

紬「はい、どうぞお召し上がりください」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 19:54:54.88 ID:ZZcFPSUd0
茜母「それじゃあ、お返しに今日は晩ご飯食べて行ってもらおうかしら?」

茜「今日は何捕ってきたの?」

茜母「今日はそこの河原の茂みから……ほら!」

茜「うわぁ! 美味しそうなヘビ!! ご馳走だね!! 早速火を起こすよ」

澪「へ、、、、ヘビッ!! う~~~ん……」バタンキュー

律「み、澪っ!?」

茜母「あら? そちらのお嬢さんはどうなさったの?」

梓「いえっ、その…うわっ…! こっちにヘビを向けないでください…!!」

紬「あの…私たちは今日はこの辺で…(さすがにヘビは食べられないわ…)」

唯「き、今日は憂がハンバーグ作るって言ってたからなぁ~…」

律「私も…澪を家に送ってやらないといけないし…」

茜母「カエルもあるけど?」

軽音部一同「し、失礼しますっ!!」ダーーーッ!!

茜母「残念ね~……」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:01:57.38 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

茜「ごちそうさまでした」

茜母「明日は近くの小学校で鶏でも捕ってこようかしら…」

茜「鶏肉ってカエルの肉に似てるんでしょ?」

茜母「ええ、そうね…お母さんも日本にいた頃はよく食べたものよ」

茜「私カエル大好きだから、きっと鶏もおいしいよね」

茜母「ところで茜。さっきの琴吹さんって…」

茜「うん…今回のターゲットになってる人」

茜母「どう?大丈夫そう?」

茜「大丈夫よ、お母さん」

茜母「そう…あなたなら大丈夫だとは思うけど…」

茜「失敗はしないわ…」

茜母「そうよね…やっとあの人の仇を討つことができるんですもの…」

茜「うん…お父さんの…無念を晴らす……!!」

茜「この…お父さんのユーフォニアムでっ……!!」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:06:37.75 ID:ZZcFPSUd0
平沢家

唯「……あの…憂? これって……」

憂「うん。イナゴの佃煮。珍しいから買ってきちゃった」

唯「うへぇ……」

憂「やっぱり、食べられないよね~…」

唯「なんていうか…タイミングが悪いっていうか…」

憂「じゃあこれは? 蜂の子!」

唯「う、憂~~……」

憂「ごめんねお姉ちゃん、ちょっと悪乗りしすぎちゃったね」

唯「アイスと一緒なら食べられるかも……」

憂「!?」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:13:45.99 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

唯「あ、そうだ憂~」

憂「なに?お姉ちゃん」

唯「お父さんって仕事なにしてるのかな~?」

  ガッシャ~~~~ン!!!!

唯「憂!? どうしたの!? お皿たくさん割れちゃったよ!!」

憂「お、おねおねお姉ちゃん! なななな、なんで今更そんな事聞くのかなかな!?」

唯「落ち着いて憂!!」

憂「ご、ごめんね。まさかお姉ちゃんがそんな事気にして
  生きてたなんて思ってもみなかったから…」

唯「なんだかさりげなく貶されるような気がしないでもないけど…」

唯「今日、軽音部のみんなに親の仕事知らないなんておかしいって言われたの」

憂「おかしくなんかないよ! 普通だよ普通!!」

唯「え~……でも~……」

憂「…うん、そうだね…」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:20:26.10 ID:ZZcFPSUd0
憂「お父さんはね…普通のサラリーマンだよ」

唯「でも普通のサラリーマンがこんなに海外出張なんてするのかな~」

憂「じゃあ、普通じゃないサラリーマンなんだよ」

唯「……憂」

憂「うっ……(さすがにお姉ちゃんのことバカにしすぎちゃったかな……)」

唯「そっか~。普通じゃないなら仕方ないよね~♪」

憂「へっ?」

唯「よし! 謎は全て解けた~!!」

憂「う、うん。お姉ちゃんよかったね」

唯「でも、ここ3週間ほど帰ってこないよね~。連絡もないし…」

憂「……うん」

唯「前は2週間に一度は必ず帰ってきてたのにね~」

憂「大丈夫だよ、お姉ちゃん。お父さんお母さん、必ず生きて帰ってくるから…」

唯「憂?」

憂「何も…心配いらないよ…」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:27:55.25 ID:ZZcFPSUd0
深夜 公園

DQN1「本当かよそれ?」

DQN2「マジだって。昨日この公園でナイスバデーな女が布1枚でいたんだって」

DQN2「たしか…このすべり台で……いた!!」

DQN1「うぉぉぉwwwwマジだwwwwwしかもすっげータイプwwww」

茜「……」

DQN2「姉ちゃんこんなとこで寝てたら危ないよ~」

DQN1「そうそう俺らみたいな不良にイタズラされちゃうぞwwww」

茜「……」

DQN1「ビビって声も出ないとよwwwwww」

DQN2「都合いいじゃんwwwwあの茂みでやっちまおうぜwwwww」

DQN1「おら!こいよ!!」グイッ!!

茜「……」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:36:59.23 ID:ZZcFPSUd0
DQN1「うぇうぇwwwwあんまり大人しくても盛り上がらねえなwwww」

DQN2「うっせーハゲwwww早く俺にもやらせろよwwwww」

DQN1「待てよwwwwってなんだ?
     おい、姉ちゃんの方から肩に腕回してきやがったぞwwww」

DQN2「うはwwwww淫乱少女キタコレwwwwww」

茜「……」コキッ

DQN1「へっ……?」

DQN2「あ?」

DQN1「い、痛ってぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

DQN1「何しやがったこのアマぁぁぁぁぁ!!!!」

茜「安心して…肩を脱臼させただけだから…」

DQN2「て、てめぇ……!!」

茜「今だったらこれだけで許してあげるけど?」

茜「なんだったら躰の節という節を全て外してあげましょうか?」

茜「それでコンパクトに折り畳めるようにしてあげる」ギン!!

DQN2「ひっ!?(こいつの目ヤベェ……!!)」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:41:10.99 ID:ZZcFPSUd0
DQN「「覚えてやがれ!!」」

 ・
 ・
 ・

茜「ふぅ…」

茜「日本って平和…」

茜「あの国じゃ関節1つじゃなかなか帰ってくれなかった…」

茜「いったい何人殺したかな…」

茜「でも、ここは殺さなくったってわかってくれる…」

茜「……」

茜「本当に…日本って平和…」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:47:13.72 ID:ZZcFPSUd0
翌日 放課後

律「で、茜の楽器は…コレ?」

茜「は、はい……」

澪「これは…予想外だったな…」

紬「管楽器だったなんて…」

梓「入る部、間違えたんじゃない…?」

唯「重そうだから軽音楽じゃないよね~」

澪「いや唯、そういう問題じゃないんだ」

茜「あ…やっぱりご迷惑でしたか…?」ウルッ

澪「いやいやいやいや! 迷惑だなんてそんな!」

紬「そうよ! 素敵よ! ユーフォニアム!!」

律「うんうん! 私たちの音楽の幅が広がるよ!!」

梓「そうだよ! バンドサウンドに新たな風を吹き込もうよ!!」

唯「えっと…えっと…。か、かっこいいよそのラッパ!!」

澪律紬梓(ら、、、ラッパーーーーーーー!!!!!)

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:51:31.28 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

澪「ま、まぁ…軽音楽部じゃなくて吹奏楽部だろってツッコミはなしにして…」

茜「すみません…でも、どうしてもみなさんと一緒にいたいんです…」

律「いいじゃん! 面白そうだし」

梓「そうですよ! バンドと管楽器を一緒にしちゃいけないなんて決め事ありませんよ」

紬「そうね。茜ちゃんはいつからこのユーフォニアムを?」

茜「えっと…これは父の形見で私のものになってから10年くらいになります」

紬「そうなの…お父様の…」

茜「はい…」

澪「そっか…」

梓「大切な…思い出ですね…」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:53:46.10 ID:ZZcFPSUd0
唯「でも、10年もしてたら相当上手いよね?」

律「そうだな、ちょっと演奏聴かせてもらおうか」

紬「ぜひ聴いてみたいわ♪」

澪「うん。私からもお願いするよ」

茜「吹けません」

澪「えっ?」

茜「初心者です」

澪「で、でも…」

茜「初心者なので」

澪「……」

梓(やっぱりちょっとおかしい子なのかな……)

茜「初心者ですが何か?」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 20:59:26.61 ID:ZZcFPSUd0
軽音部一同「・・・・・」

茜「それでも…こんな私でも、ここに置いてくれますか…?」

律「あ…、え~っと…」

唯「みんな、私も楽器なんて超初心者でこの軽音部に入ったんだよ」

唯「扱う楽器は違えどあの頃の私が今のデビちゃんなんだよ」

唯「私は…私はデビちゃんを応援するよ!!」

茜「平沢…先輩…」

澪「そうだな…唯の言う通りだよ」

紬「ええ。一緒にがんばりましょ」

梓「同じ学年の仲間ができて嬉しいよ、茜」

律「よ~し!軽音部部長である田井中律が三浦茜の入部を許可する!!」

茜「みなさん……」

茜「ありがとうございます!!」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:05:46.88 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

紬「ごめんなさい、私今日はそろそろ…」

澪「何かあるのか? ムギ」

紬「うん。バイト入らなきゃいけないの…」

梓「まだ、あのバイト続けてたんですか?」

紬「ううん。なんだか人不足らしくって…2、3日入れないかって頼まれちゃったの」

律「お~、ムギも頼りにされてるね~」

紬「ごめんね。それじゃあまた明日」

唯「がんばれ~!ムギちゃん!」

 ・ ・ ・ ・ ・

澪「ムギ…大丈夫かな…」

律「なにが~?」

澪「テロの犯行声明が出されたのつい最近だろ? 帰りも遅くなるだろうし…」

梓「確かに…こんな時期に社長令嬢が夜道を一人歩きだなんて危険ですよね…」

茜「……」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:11:46.25 ID:ZZcFPSUd0
澪「もっと言うなら、ムギの働いてるマックスバーガーも外資系だろ」

澪「あえてこんな時期にバイトのヘルプに呼ぶなんて…」

梓「テロ組織と繋がっているのが、マックスバーガーの親会社…ということですか?」

律「おいおい…考えすぎだって。澪は心配性だな~」

唯「そうだよ! なんだかよくわからないけど…
  いざとなったらアリさんが助けてくれるよ」

律「お前はま~だアリとか言ってるのか…」

澪「うん…そうだな。ムギ専用の護衛がいるから心配することもないか…」

茜「あの…その護衛って、実力はどれくらいのものなんですかね…?」

律「そうだな~…澪が『食べられちゃう!』って勘違いするくらいかな」

澪「お、おい!!」

茜(強いって事か……)

梓「なんでそんな事聞くの?」

茜「私も…琴吹先輩のこと…心配だから…」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:16:19.25 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

澪「さ~て、それじゃあ私たちは練習を…」

茜「あの…私もそろそろ……」

律「購買に行くの?」

茜「はい」

唯「デビちゃん! 今日は何か余ってるように祈ってるよ!」

茜「ありがとうございます。それじゃ…」

 ・ ・ ・ ・ ・

澪「あの子、いつ練習するんだろ……」

律「しょうがないじゃん。生きるのに精一杯なんだし」

梓「ヘビやカエルが主食ってのもかわいそうですもんね」

澪「うっ…それもそうだな…」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:21:17.31 ID:ZZcFPSUd0
マックスバーガー

紬「……」

ひとみ「い、いらっしゃいませ~…」

「お嬢様、申し訳ありません。コーヒーを1つお願いします」

「お嬢様、照り焼きマックスバーガーをお願いします」

「お嬢様、ポテトも一緒にお願いします」

「お嬢様、こちらのクーポンは使えますでしょうか?」

「お嬢様、どうかこのわたくしにスマイルをお願いします」

「お嬢様、この汚らしい豚めに紬お嬢様の唾液入りコーラをお願いいたします」

「「「「「「お嬢様! お嬢様!」」」」」

客「うわっ!? 何このお店!!」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:26:11.72 ID:ZZcFPSUd0
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────────
────────────

ひとみ「お疲れ様、琴吹さん。もう時間だから上がってもいいわよ」

紬「今日は…本当に申し訳ありません!」

ひとみ「ああ、いいのいいの。なんだかんだ言ってこの店の売上記録作っちゃったしね」

ひとみ「だから気にしないでね。明日もよろしく」

紬「はい…お疲れ様でした」

 ・ ・ ・ ・ ・

紬「結局バイト中はずっと張り付かれてた…」

紬「クスン…」

紬「私の気なんて知らずに…」

紬「ひとみさんはああ仰ってくれてたけど、きっとご迷惑に違いないわ…」

紬「……」

紬「もう怒ったわ! 黙って裏口から出て一人で帰ってやるんだから!!」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:30:47.06 ID:ZZcFPSUd0
マックスバーガー 従業員出入口前

紬 キョロキョロ…

紬「誰もいなさそうね…」

紬 ソロ~リ

紬「うふふ。なんだか鬼ごっこしてるみたい」

紬「この路地裏沿いに行ったら気付かれずに駅まで行けるわね
  ちょっと暗くてよく見えないけど…」

   グニッ

紬「あらっ? 何か踏んだかしら…?」

紬「!? ひ、人が倒れてる!!」

紬「こ、この服は琴吹家シークレットサービスの!?」

紬「しかも何人もやられてる……」

  ガサッ

紬「だ、誰っ!?」

茜「……」

紬「茜…ちゃん…?」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:35:24.01 ID:ZZcFPSUd0
茜「見られて…しまいましたか…」

紬「い、いったい何をしてるの…?」

茜「生きるためには必要なんです…」

紬「そ、そんな!?」

茜「琴吹先輩も一人でこんなところをうろついて…危ないですよ…」

紬「や、やめて…。お願いだから…その手にあるものを捨てて」

茜「残念ながら…もう止めることはできません」

紬「何があなたをそこまで…」

茜「貧しさ…です…」

紬「お、お願い…考え直して…」

茜「他に…選択肢はありません…」

紬「どうしても……って言うの?」

茜「はい」クワッ!!

紬(ああ……)

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:41:33.72 ID:ZZcFPSUd0
平沢家

憂「お姉ちゃんお風呂沸いたよ~」

唯「は~い」

 ・ ・ ・ ・ ・

 ザバ~ン…

憂「今の内に…」

 ピポパポ…prrrrrrr…

『はい、琴吹家諜報部ホットラインサービスです。あなた様のIDとパスコードをご入力ください』

憂「えっと…」ピポパポピ…

『……認証いたしました。ようこそ平沢憂さま。どのようなご要件で?』

憂「父と母の現状報告を…」

『かしこまりました。しばらくお待ちください…』

憂「……」

斎藤『お待たせいたしました。諜報部管轄主任の斎藤でございます』

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:45:42.06 ID:ZZcFPSUd0
憂「あの…何か進展はありましたか?」

斎藤『はい、ちょうど先程ご両親の無事が確認されたと連絡が入ったところでした』

憂「本当ですか!?」

斎藤『はい、平沢様は無事にございます』

憂「よかった…」

斎藤『もうすでに、あちらの国を発たれたらしいので明日中には日本にお帰りになられるかと』

憂「本当に…ありがとうございます!」

斎藤『いえ、平沢様にはこちらの方がお世話になりっぱなしでございますゆえ』

唯「うい~~! シャンプーなくなってるよ~!」

憂「は~い! ごめんね~!」

憂「あ、あの。それでは、失礼します」

斎藤『はい、おやすみなさいませ』

憂「おやすみなさい」ガチャ…

唯「うい~~?」

憂「うん、今行くね~! 
  あのねお姉ちゃん、明日お父さんとお母さんが帰ってくるよ♪」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 21:51:46.35 ID:ZZcFPSUd0
マックスバーガー 従業員出入口前

紬「や、やっぱりだめ~~!!」

茜「……!!」

紬「拾い食いするくらいだったら、私がそこのお店で何か買ってあげるから」

茜「で、でも……」

紬「ダメよ! そんなゴミ箱の中のものなんて!」

茜「結構綺麗ですよ…」

紬「お客さんの食べさしや地面に落ちた物も一緒になって破棄されたやつだから」

紬「だから、ね? お願いだから今手に掴んでいるぐちゃぐちゃのハンバーガーは捨てて!!」

茜「私にとっては…ご馳走なんですけど…」

紬「今日も購買の余り物なかったの?」

茜「はい…。獲物も捕まえられなかったので…」

茜「今日は体育があって特に空腹で…前に目星を付けていた絶好のポイントがココだったので…
  もしかして日本では捨てられた物でも誰かしらの権利が発生するのでしょうか?」

紬「そういう訳じゃないけど…」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 22:03:09.39 ID:ZZcFPSUd0
紬「それに、このSPを倒したのも…もしかして茜ちゃん?」

茜「はい…私のせっかくの穴場が荒らされてると思って」

茜「でも殺してはいません。少し眠ってもらってるだけ…です」

紬(いったい…この子は何者なの!?)

茜「もしかして…琴吹先輩の護衛の方達でしたか?」

茜「そうだったら…私…なんて謝ればいいのか…」

紬「へっ? あ、ああ。いいのよ。私とこのお店を困らせた罰よ、罰」

紬「むしろ、茜ちゃんはよくやってくれたと思うわ。あははは…」

  ぎゅ~~~ぐるるるる…

茜「あの…これ、食べちゃダメですか?」

紬「そんなにお腹が空いてるのね……。ほら、これで涎も拭いて」

茜「すみません…」

紬「そうだ! せっかくだから私と楽しいことをしましょ♪」

茜「?」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 22:08:52.81 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

茜「あの…琴吹先輩…」

紬「どうしたの? 茜ちゃん…」

茜「私、こういうのは初めてで…」

紬「そう…。実は私も初めてなのよ」

茜「ダメです。私…こんな…」

紬「あら。いいの? もう我慢できないんじゃなくて?
  ほらこんなにグチョグチョ…」

茜「ああ……恥ずかしい……です///」

紬「一緒にいってくれる?」

茜「……」

茜「お、おまかせします///」

紬「うふっ…カワイイ。じゃあ…いくわよ」

茜「……は、はい、、、、、あっ///」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 22:48:34.27 ID:ZZcFPSUd0
 ウィ~ン…

茜「す、すごいです…これって自分で動くんですか!?」

紬「そうよ。見たことない?」

茜「は、はい…今までいた国では見たことありませんでした…」

紬「じゃあ……」

茜「あ、あの…ずっと、自分の手で……///」

紬「うふふ。私もコレじゃじれったい時もあるから手の方がいい時もあるわ」

茜「軽音部の皆さんも……」

紬「どうかしら…? 私の家には何台かあるけど…」

紬「でも、唯ちゃんの家では見当たらなかったわ」

茜「あ、あの…もう一度してもいいですか…///」

紬「うふっ。茜ちゃんったら気に入っにいっちゃったのね。ええどうぞ」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 22:51:49.22 ID:ZZcFPSUd0
 ウィ~ン…

「い、いらっしゃいませ~」

紬「私、一度バイト終りにパッと牛丼屋に入ってつゆだく注文するのが夢だったの♪」

茜「や、やっぱり奢っていただくなんて…ダメです。悪いです」ダラダラ

紬「とか言いながら、もう涎でグチョグチョよ…」

茜「すみません…つい…」

紬「うふふ。言葉では遠慮しつつも、やっぱり体は正直なのね」

茜「……恥ずかしいです///」

紬「…って私ったらなんだかイヤらしい言葉使っちゃった気が///」

茜「どうしたんですか? 琴吹先輩」

紬「もう/// イヤだ私ったら///」バシバシ

茜「痛いです」

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 22:58:36.51 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

「おまちどうさまです。牛丼並盛つゆだくとウルトラデラックス特盛りになります」

紬「わぁ~~♪ さぁ、いただきましょ」

茜「いただきます」

紬「りっちゃんが言ってたんだけど、この紅しょうがたくさん乗せて食べるとおいしいって」

茜「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」

紬「き、聞こえてないみたいね…」

紬「でも…友達と一緒に牛丼食べるなんて…本当に夢みたい♪」

茜「ハムッ ハフハフ、ハフッ!! ……むぐっ!!」

紬「ほらほら、そんなに慌てて食べるから…はい、お水」

茜「ゴクッゴクッゴクッ……。ぷはぁ~~~…」

茜「の、喉が詰まって死ねぬのなら…本望です」

紬「あらあら…うふふ」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:02:39.23 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

茜「ごちそうさまでした」

紬「はい、茜ちゃん。これお母様にも」

茜「?」

紬「お持ち帰り。頼んどいたのよ」

茜「そんな…悪いです。ケーキを頂いた上にそこまでしてもらうなんて…」

紬「いいのよ。邪魔者をやっつけてくれたお礼」

紬「私言ってやるわ。女子高生に負けるくらいのSPなんて役に立ちません!って」

紬「うふふ。茜ちゃんが私の用心棒になってくれた方が心強いわ」

茜「……」

紬「あっ…ごめんなさい。気に障っちゃった?」

茜「いえ…うれしい…です」

紬「そう? よかった♪」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:18:35.34 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

紬「ごめんね茜ちゃん。ここまで送ってもらっちゃって」

茜「いえ…私も、琴吹先輩のことが心配なので」

紬「ムギでいいわよ。茜ちゃん」

茜「は、はい…ムギ…先輩」

紬「今日はとても楽しかったわ」

茜「私も…です」

紬「二人だけのヒミツね」

茜「…はい」

紬「それじゃあ、おやすみなさい。また明日ね」

茜「おやすみなさい」

 ・ ・ ・ ・ ・

茜「ムギ…先輩…」

茜「明日…」

茜「私に…できるかな……」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:23:49.33 ID:ZZcFPSUd0
翌日 放課後

唯「ごめ~ん。今日は私も早く帰らないといけないんだ~」

律「なにかあるのか?」

唯「うん。久しぶりにお父さんお母さんが帰ってくるから、憂と一緒にお出迎えに行くんだ♪」

澪「そっか、なら仕方ないな」

梓「ムギ先輩は今日もバイトですか?」

紬「うん。とりあえず頼まれてたのは今日が最後なの」

澪「じゃあ、今日も個人練習だな」

律「茜なんてもう購買に行っちゃってるしな…」

唯「じゃあ、平沢唯。両親を迎えに空港へ行って参ります!」

律「うむ。くれぐれもお土産の確保を忘れずにな」

澪「厚かましいぞ!!」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:29:34.10 ID:ZZcFPSUd0
空港

唯「お父さんおかえりなさ~い」

平沢父「おおっと!? 相変わらず唯は元気いっぱいだな」

憂「お母さん、お疲れ様」

平沢母「ありがとう憂。どうだった? 何か変わった事なかった?」

憂「うん。大丈夫だよ」

平沢父「唯は憂に迷惑かけてなかったか?」

唯「も~…なんで私が面倒見てもらってる前提なのさ~」

平沢母「だってそうでしょ?」

唯「二人ともヒドいっ!!」

憂「お姉ちゃんはちゃんと手伝おうとしてくれてたよ!」

唯「ほら! でも憂が『お姉ちゃんはゆっくりしてて』って言うから私はしかたなく
  ゴロゴロするんだよ!!」

平沢父(唯も唯だが…)

平沢母(憂も憂よね…)

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:35:12.76 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

唯「でね~、軽音部に新しい子が入ってね~」

平沢母「そうなの。じゃあ唯はもっとしっかりとしなきゃね」


平沢父「……憂、唯にはまだお父さん達の仕事のことは…」

憂「うん…言ってない…」

憂「だって、こんな辛い思いをするのは私一人で充分だもん…」

平沢父「そうか…憂には苦労かけるな…」

憂「大丈夫だよ…。私、お父さんのこと誇りに思ってるから」

憂「なんたって、世界を股にかける優秀なスパイなんでしょ?」

憂「今回だって、必ず生きて帰ってきてくれるって…信じてたから」

平沢父「憂……」


唯「憂~。お父さんと何話してるの~?」

憂「ううん。なんでもないよ」


平沢父「すまんな…2人とも…」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:41:03.57 ID:ZZcFPSUd0
マックスバーガー

紬(今日はSPもいないし、普通に仕事ができるわ♪)

「クーポン使えますか?」

紬「はい、どんとこいで~す」

「ど、どんと?」

ひとみ「ち、ちょっと…琴吹さん…」

紬「はっ!? し、失礼いたしました!」





男1「アイツカ…?」

男2「アノマユゲ マチガイナイ」

男1「ウラグチデ マチブセ」

男2「OK…」

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:46:20.57 ID:ZZcFPSUd0
 ・ ・ ・ ・ ・

紬「今日は少し失敗しちゃった……」

紬「でも、昨日よりはしっかりと仕事ができたし」

紬「やっぱり護衛がいなくったって普通にやっていけるわ」

紬「お父様にもわかっていただけると嬉しいんだけど…」

ひとみ「琴吹さん、2日間お疲れ様」

紬「はい、お疲れ様です」

ひとみ「助かっちゃったわ。もしかしたらまたお願いするかもしれないけど…」

紬「こちらこそ、またお願いします」

ひとみ「そう言ってもらえると助かるわ。じゃあね」

紬「はい、お先に失礼します」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/21(日) 23:56:19.02 ID:ZZcFPSUd0
マックスバーガー 従業員出入口前

紬「うふふ、頼りにされてるってなんだか嬉しい」

紬「明日からはまたみんなで練習できるし」

紬「こんな日が毎日続いたらいいのにな~」

男1「……」ババッ

紬「……むぐっ!?」

男2「サワグ ト コロス」

紬(そんな…!? まさか本当にテロリスト!?)

男1「~~ ~~~~~」

男2「~~~ ~~ ~~」

紬(日本語じゃない…英語でもなさそう…)

「待ちなさい!!」

男「!?」

紬「!?」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:06:45.64 ID:MSpzF1SL0
茜「痛い目に会いたくなかったらその人を開放しなさい」

男1「~~ ~~~!!」

紬(あ、茜ちゃん!!)

茜「ムギ先輩! 動かないでください!!」

紬「!?」

 それは、ほんの一瞬の出来事でした
 茜ちゃんがこっちに来たと思ったら次の瞬間私の視界からフッと消え去り
 気づけば暴漢達は倒れていたのです

茜「~~~~ ~~」

男1「~~ ~~~ ~!!」

男2「~ ~~~ ~~~」ダッ!!

紬「あっ…二人とも逃げて行く…!!」

茜「ムギ先輩…その…大丈夫でしたか?」

紬「あなたって…もしかして、本当に私の用心棒さん?」

茜「……」

茜「はい」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:11:06.80 ID:MSpzF1SL0
 ・ ・ ・ ・ ・

茜「ヤツらが話していた言葉はアラビア語でした」

茜「おそらく、以前からムギ先輩の会社を狙っていたテロリストで間違いないと思います」

茜「私は密かに彼らを日本まで追ってきて、そして偶然あなたの護衛を頼まれたのです」

紬「偶然?」

茜「はい…元々はテロ予告以前から私は彼らと敵対関係にあったんです」

茜「ヤツらこそが…父の…、憎き父の仇なんです」

紬「そうだったの…」

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:14:27.31 ID:MSpzF1SL0
茜「日本でのヤツら活動の内容が不明だったんですけど
  つい先日テロ予告と共にあなたがやつらのターゲットであると判明したので
  そちらとの利害関係が一致したという訳です」

茜「それでもなかなかヤツらは行動を起こそうとしなかった…アジトもわからない」

茜「そこで私はムギ先輩の警備の手を薄めることによってヤツらをおびき寄せようと思いました」

紬「それで、昨日SPをこてんぱんにしたのね」

茜「はい…囮みたいな事をして…ごめんなさい」

紬「でも、ちゃんと助けてくれたわ」

茜「ふふっ…そうですね」

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:20:55.95 ID:MSpzF1SL0
紬「ところであの2人、逃がしちゃってよかったの?」

茜「はい、ヤツらにはちゃんと発振器を仕掛けておきましたので」

茜「これでヤツらの足取りは手にとるようにわかります」

紬「なんだか、映画のような話ね…」

茜「きっと…映画みたいに、綺麗ではないと思います…」

紬「……茜ちゃん」

茜「すみません…あなたのような人には知らなくてもいい世界の話…です」

紬(きっと私なんかには想像もできない世界で生きてきたんだわ…)

紬(軽はずみな言葉は、なお一層茜ちゃんを傷つけることになるかも…)

紬「ニコッ♪」

茜「ムギ…先輩?」

紬「それじゃあまた家まで送っていただいてもよろしいかしら? 用心棒サン♪」

茜「……ふふっ」

茜「はい、喜んで」

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:27:36.33 ID:MSpzF1SL0
琴吹家

斎藤「お帰りなさいませ、紬お嬢様」

紬「ただいま斎藤」

紬「~♪~♪」

斎藤「差し出がましいようですが、何か良いことでもあったのですか?」

紬「ええ。でも斎藤もお父様も人が悪いわ。やっぱり用心棒を雇っていたなんて」

斎藤「は、はぁ…」

斎藤(用心棒の件はお嬢様の猛反対もあり、結局無しになっていたと思いましたが…はて…?)

紬「でも、あんな可愛らしい用心棒サンなら私大歓迎よ♪」

斎藤(おそらくお嬢様の身を案じた旦那様がやはり用心棒を要請していたのでしょう)

斎藤(いつの時代も親は子を想うものでございます)

斎藤(この斎藤、旦那様の紬お嬢様に対する愛で涙が…)よよよ…

紬「あんな刺激的な体験…お父様からいただいたどんなプレゼントより素敵だったわ~♪」

斎藤「それはようございました。紬お嬢様」

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 07:28:20.19 ID:MSpzF1SL0
翌朝 琴吹家

斎藤「本日のお帰りは?」

紬「今日はバイトもないのでいつもの時間には帰ってくるわ」

斎藤「左様で、ではご夕食の準備もいつもと同様の時間にいたします」

紬「ええ、ありがとう。今日はお父様は?」

斎藤「旦那様は本日お客様がいらっしゃるらしいので、ご夕食は一緒にはなさらないと仰っておりました」

紬「そう。お客様って?」

斎藤「わたくしは存じあげておりませんが…。旦那様にとって大切な方だと聞いております」

紬「お友達かしら?」

斎藤「紬お嬢様。そろそろお屋敷を出ませんと…」

紬「ええ、そうね」

斎藤「行ってらっしゃいませ、お嬢様」

紬「いってきます」

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:34:16.67 ID:MSpzF1SL0
同時刻 平沢家

憂「お姉ちゃん! 早く早く!」

唯「待って憂!!」

平沢父「唯はもっと余裕をもって行動しないとな…」

唯「あれ? お父さん、今日はお休みじゃなかったの?」

平沢父「ああ、報告のために今日だけ会社に行かなきゃならないんだ」

唯「へ~、大変だね~」

平沢父「働く者の義務だよ」

平沢母「唯の義務はとりあえずのところ、学校に遅刻しないで行くことね」

唯「うわっ!! そうだった!!」

憂「おね~~ちゃ~~ん!!」

唯「い、いってきます!!」

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:41:17.63 ID:MSpzF1SL0
放課後

澪「今日は久しぶりにみんなで合わせることができるな」

梓「茜はまだ無理ですけどね」

茜「ご、ごめんなさい。足手まといの初心者で…」

梓「いや、そういう意味で言ったんじゃないからね?」

澪「茜にも音を合わせる楽しさを早くわかってほしいと思ってるよ」

茜「…はい。がんばります」

律「しっかし、ユーフォニアムっていうの? 私初めて見たな~」

唯「重そうだし、演奏も大変そうだよね~」

律「どれどれ…、って重っ!! ぜんぜん持ち上がらな…」

茜「さ、触らないで!!」

律「!?」ビクッ!!

茜「あ、す、すみません…デリケートなものですから…つい…」

律「い、いやいや…私も勝手に触って悪かったよ…あ、あははは…」

律(茜ってあんなに大声出せるんだな…正直メッチャビビった)

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:47:29.51 ID:MSpzF1SL0
放課後

澪「今日は久しぶりにみんなで合わせることができるな」

梓「茜はまだ無理ですけどね」

茜「ご、ごめんなさい。足手まといの初心者で…」

梓「いや、そういう意味で言ったんじゃないからね?」

澪「茜にも音を合わせる楽しさを早くわかってほしいと思ってるよ」

茜「…はい。がんばります」

律「しっかし、ユーフォニアムっていうの? 私初めて見たな~」

唯「重そうだし、演奏も大変そうだよね~」

律「どれどれ…、って重っ!! ぜんぜん持ち上がらな…」

茜「さ、触らないで!!」

律「!?」ビクッ!!

茜「あ、す、すみません…デリケートなものですから…つい…」

律「い、いやいや…私も勝手に触って悪かったよ…あ、あははは…」

律(茜ってあんなに大声出せるんだな…正直メッチャビビった)

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:49:11.82 ID:MSpzF1SL0
澪「こら律! このユーフォニアムは茜にとってすごく大事な物ってわかってるだろ?」

律「うん…ごめんね茜」

茜「いえ…私も怒鳴ってすみませんでした。でもこれからは充分気をつけてもらうと嬉しいです」

律「わかりました」

唯「あはは。りっちゃんなんだか素直~」

律(なんか、本当に怖かった…)

紬「じゃあ今日は茜ちゃんに私たちの演奏を聞いてもらいましょ」

梓「そういえば、まだ聞いてもらってなかったですね」

唯「じゃあ今日はデビちゃんのためだけのコンサートね!」

澪「そうだな、いいかも!」

律「よし! お詫びの印にいっちょやったりますか!」

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 00:56:08.18 ID:MSpzF1SL0
~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪

唯「じゃ~ん♪ っと」

梓「どう…だった?」

茜「す、すごいです…」

茜「私、こんなの初めてです!」

茜「こういうの初めて聴いたのに、みなさんの気持ちが伝わってくるようでした!」

茜「音楽って、ここまで人を感動させるものなんですね!」

紬「うふふ、よかったわ♪」

澪「いつか茜もそのユーフォニアムで人に感動を与えることができるんだよ」

茜「!?」

律「そうそう、茜のお父さんだってそうなったらきっと喜んでくれると思うよ」

律「重いユーフォニアムだけに想いも伝わる…ってか~」

唯「りっちゃんクッサ~……」

律「な、なんだとー!!」

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 01:03:16.10 ID:MSpzF1SL0
茜「お父さん…想い…」

茜「そんな…私に…できるでしょうか?」

澪「もちろん!」

梓「それに一人じゃないよ。一緒にやった方がもっと楽しいんだから」

唯「そうだよ~デビちゃん。がんばって練習しようね」

梓「唯先輩ももっと練習してくださいね。さっきの演奏だって間違ったところが幾つか…」

唯「あぅ~…」

律「そうだぞ~唯。ほんとにお前はダメダメだな~」

澪「人の事言えるドラミングじゃなかっただろ!」ゴチン!

律「あいてっ☆」

紬「うふふ」

茜(…私が…お父さんのユーフォニアムでみんなに感動を与える演奏を?)

茜(きっと…そんな資格なんて…ない…)

紬(…茜ちゃん?)

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 01:10:05.54 ID:MSpzF1SL0
 ・ ・ ・ ・ ・

唯「デビちゃん、今日は購買いいの?」

茜「そういえば!? 行ってきます!!」

梓「毎日大変だね…」

茜「ううん。楽しい…よ?」

梓「そ、そう?」

茜「あの…それと、ムギ先輩ちょっといいですか?」

紬「なに?」

茜「この後…予定とかありますか?」

紬「特にないわね」

茜「じ、じゃあ…部活が終わったらあのハンバーガー屋さんにきていただけますか?
  だ、大事な話があるので…」

紬「ええ。わかったわ」

茜「それでは、失礼します」

唯「じゃあね~デビちゃん」

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 01:17:38.48 ID:MSpzF1SL0
律「なんだ~ムギ。えらく茜と仲良くなってないか?」

紬「うふふ。ヒミツ」

唯「なになに? なんだかドキドキしてきちゃった!」

紬「茜ちゃんと私は赤い糸で結ばれてるのよ」

紬「だって、私の王子様みたいなものですもの」

律「ムギが澪みたいな思考の持ち主に…」

澪「おい…」

梓「でも、昨日くらいから傍から見ても2人が仲良くなってるのがわかりました」

唯「ねぇねぇ、何があったの~?」

紬「だから、ヒ・ミ・ツ」

澪(二人だけの秘密の……か。ふふふ…)

律(澪の甘々作詞フラグがきたな、こりゃ…)

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 01:28:23.58 ID:MSpzF1SL0
マックスバーガー

紬「で、話って?」

茜「昨日のテロリストのアジトがわかったんです」

紬「そ、そうなの!?」

茜「はい、それでその事を依頼主、つまり琴吹社の社長に報告へ行こうと思ってたんですけど…」

茜「私との契約は表沙汰になると相手側に迷惑がかかる可能性があるので…」

紬「それで、私を通じてお父様に、って事?」

茜「…はい。電話も盗聴の可能性が捨てきれないので…」

紬「私、どうすればいいの?」

茜「今日は社長はご自宅に?」

紬「ええ…。あっ!? そうか。お父様の大事なお客様って茜ちゃんのことだったのね」

茜「……」

茜「はい…きっとそうだと思います」

紬「だから斎藤も詳しくは知らなかったわけね」

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 01:36:58.89 ID:MSpzF1SL0
茜「ムギ先輩の屋敷まで、私をムギ先輩の友人として招き入れてほしいんです」

紬「わかったわ。それなら簡単ね。だって本当に友達なんですもの」

茜「そこで注意していただきたいのは
  できるだけ屋敷の人間には会わないようにしていただきたいんです」

茜「ムギ先輩の屋敷の中にも裏社会に通じている人間がいないとも限らないので…
  こういう職業柄、あまりそういう人目につくのは得策じゃないんで…」

紬「ええ。そうね。確かに大きな会社になればそんな裏の面も受け入れなければいけないのも理解してるわ」

紬「じゃあ、こっそりとお父様の部屋まで茜ちゃんを誘導していけばいいのね?」

茜「はい…すみません。それから後は私にお任せいただければ…」

紬「うふふ。なんだか楽しそうね♪」

茜「そ、そうですか…?」

紬「でも、残念だな~。私、茜ちゃんに告白されちゃうかもって、ドキドキしてここまできたのよ?」

茜「こ、こくは…!?」

紬「うふふ。冗談よ。忘れて」

茜「は、はぁ…」

紬「それじゃあ、行きましょう」

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 01:47:58.87 ID:MSpzF1SL0
琴吹家 紬父自室

平沢「いやはや、波乱に満ちた旅でしたよ」

琴吹「君には本当に感謝しているよ…奥方も元気かね?」

平沢「はい、妻は僕なんかよりもピンピンしてます」

琴吹「どの世界でも女性は強いな」

平沢「まったく…」

琴吹「ところで例の報告の件。聞こうか」

平沢「ええ…。やはり社長の睨んでいた通り
   ある外国の企業がこのテロの引き金を引いていたみたいですね」

琴吹「やはりな…」

平沢「ただ、テロ組織もそこまで本気で企てる気はなかったようですが」

平沢「当面の活動資金のあてができたくらいの思いだったようです」

平沢「彼らにとっては日本の企業にテロを仕掛けてもあまり旨みはありませんからね」

琴吹「脅し止まり、というわけか…」

平沢「まだ日本は世界では舐められた立場にいます。脅せば腰が引ける
    黒幕の企業もそう考えているのかもしれません」

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 02:02:13.05 ID:MSpzF1SL0
斎藤「旦那様、お茶をお持ちいたしました」

琴吹「入れ」

斎藤「失礼いたします」

平沢「やぁ、斎藤さん。憂がお世話になったみたいで」

斎藤「いえ、憂様の気丈な振る舞い。この斎藤も感服いたしました」

斎藤「将来はこの琴吹家政婦サービスへの就職もこちらからお願いしたいくらいでございます」

平沢「確かに憂はメイドをやらせたらなんでもこなすでしょうね」

斎藤「はい」

平沢「しかし問題は長女の方でして…」

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 02:05:08.43 ID:MSpzF1SL0
琴吹「紬からよく話を聞いてるよ。元気でとても楽しい子だと」

平沢「ええ。それだけが取り柄というか、何と言うか…」

平沢「なにぶん妹が出来る子なので、家事など女らしいことはなにも…」

平沢「しかも僕も妻もあまり家にいることが少なく、たまに帰っても甘やかしてばかりなので…」

琴吹「私も一緒だよ、どうしても娘には甘くなる」

平沢「やはり、どこの家庭でも同じですね」

琴吹「ああ。親の職業が会社社長でも、スパイでも。な」

平沢「ははっ、娘に関しては職業も何も関係ありませんね」

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 02:14:09.43 ID:MSpzF1SL0
琴吹「ところで、先程の話の続きだが…。日本には実力行使は無いと思っていいのかね?」

平沢「ええ。それはあり得ないと思います。人員もそうですが
    武器などもこの日本に持ち込む事は難しいですからね。日本の警察も有能です」

平沢「なにも危険を承知でやってくるほどあちらさんからとっては
    それほど今回のテロの件は重要でもないらしくって」

琴吹「なるほど…では、この件はもう問題視しなくてもよいと?」

平沢「それが…、実は彼らも一枚岩ではないようで…」

琴吹「と、言うと?」

平沢「調べて行く内に色々興味深いことが出てきましてね」

平沢「組織の本部とはまた違う末端の小さなグループで色々と厄介なことがあるようで…」

平沢「僕もこういう人間なので、必要以上に深入りしてしまいまして…」

琴吹「だから今回はヤツらに捕まって連絡が取れなかったと…」

平沢「はい、お恥ずかしい限りで…。その点はご迷惑をお掛けしました」

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 02:19:45.41 ID:MSpzF1SL0
平沢「しかし、おかげで面白い人物から話が聞けたんです」

平沢「…いや面白いと感じるのは僕だけかもしれませんが」

琴吹「ほほぅ…話してくれるかね?」

平沢「10年程前にこの会社が関わった中東でのテロ。覚えていらっしゃいますか?」

琴吹「ああ…あれは忘れられるわけがない…」

琴吹「我が社の行った人道支援。地元の人間に護衛を頼んだのがいけなかったのだ…」

平沢「ええ。テロ組織と内通してる者がいて裏切りにあい、そしてほぼ全滅した」

琴吹「地元の人間にも多数犠牲が出た。孤児もたくさん生まれたと聞く…」

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 02:25:35.51 ID:MSpzF1SL0
平沢「しかも、地元の人間はそれがこの会社の仕業だと信じて疑わない者もいます」

琴吹「…そうか」

平沢「そしてまさにこの会社が悪だと教え込まれた子供達が今回のテロ騒動の一員になっているんです」

平沢「親の仇と信じて疑わない子供たちが」

琴吹「では…」

平沢「ええ、その子供達が日本へ乗り込んでくれば必ずここを狙ってくるはずです」

琴吹「子供が…しかし、キミは先程日本の警察が優秀だから武器などは持ち込めないと…」

平沢「それが、そうでもないんです」

平沢「その子供は現地でも恐れられるくらいの実力の持ち主でして」

平沢「しかもその武器はまったく武器に見えないので平然と持ち運びできます」

平沢「だから日本への持ち込みもおそらく簡単にしてくるでしょう」

琴吹「うむ…。で、その武器というのは…?」

平沢「はい…ユーフォニアムという管楽器を改造したものだと聞きました」

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 02:37:33.65 ID:MSpzF1SL0
 ・ ・ ・ ・ ・

紬「ところで茜ちゃん。なんでユーフォニアム持ってきたの?」

茜「雇い主の社長への報告の後、テロの連中へ対して親の仇を討ちに行くんです」  

茜「だから、お父さんにも見ててほしくって」

紬「そう…でも、あまり無茶しないでね…」

茜「……」

紬「いいわよ。誰もいないわ。今のうちに」

茜「はい…」

 ・ ・ ・ ・ ・

紬「お父様の部屋までもうすぐよ。
  誰にも見つからないようにってなんだかドキドキするわ♪」

茜(お父さん…もうすぐ……!!)

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 02:43:26.41 ID:MSpzF1SL0
 ・ ・ ・ ・ ・

琴吹「もう日本に来ているのだろうか…?」

平沢「つい最近まで僕は捕まってましたのでその辺りの情報は定かではありませんが…」

平沢「それと、もう一つの情報としてそのユーフォニアムの使い手は日本人の女の子です」

平沢「下手すると、もう入り込まれている可能性もあります」

琴吹「なんという事だ…」

平沢「しかし防ぐ手立ても考えてあります」

琴吹「そうなのかね?」

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 02:48:09.98 ID:MSpzF1SL0
平沢「ええ。それについて社長に会わせたい人がいるんです
    少し衰弱していたのであちらの病院で入院されていたのですが
    昨日退院したとの連絡が入ったので、日本まで来ていただきました
    もうすぐこちらへ到着すると思いますが…」

琴吹「そうか…では、その方が来るまでキミの今までの海外のみやげ話でも…」

斎藤「どうでしょうか?そのお話と共に、このあたりでお食事にしては…」

琴吹「ああ。それがいい。キミも食べて行きたまえ」

平沢「ちょうど僕もお腹が空いてきたなと思ったところです」

斎藤「それでは準備をしてまいりますので、少々お待ちを…」

175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 02:53:47.84 ID:MSpzF1SL0
 ・ ・ ・ ・ ・

紬「ほら、ここがお父様の部屋よ」

茜「ゴクリ…」

 ガチャ

紬茜「!?」

斎藤「これは紬お嬢様、お帰りなさいませ。旦那様なら今はお客様のご相手を…」

斎藤「おや? そちらの方はご学友ですかな?」

紬「え、ええ…そうなのよ」

茜「……」

斎藤(あの楽器は…!! まさか!!)

斎藤「お嬢様!! その方からお離れくださいっ!!」

紬「へっ?」

茜「…動かないで」

斎藤「ぐっ……!!」

紬「茜…ちゃん…? いったい、なにを…?」

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 03:03:00.58 ID:MSpzF1SL0
茜「今、私がこのユーフォニアムを吹いたらこの方は木っ端微塵になります」

茜「わかりますね?」

斎藤「……どうぞ穏便にお願いいたします」

紬「えっ? 何を言ってるの? 茜ちゃん?」

茜「ムギ先輩…その扉をゆっくりと開けて中へ…」

茜「あなたは下がってください」

斎藤「……かしこまりました」

紬「ねぇ? 何がどうなってるの!?」

茜「あなたを殺しにきました」

紬「!?」

紬「でも、私を助けてくれたじゃない…」

茜「ハンバーガーショップであなたを襲った彼らは私と仲間です
  私をあなたに信じ込ませることでこのチャンスを伺っていました」

紬「そんな…!!」

177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 03:09:13.22 ID:MSpzF1SL0
 ・ ・ ・ ・ ・

  prrrrrrrrr…

平沢「おっと失礼…妻からです
    僕が家族に内緒で美味しい食事をすることを恨んでいるかもしれないな」

平沢「もしもし…」

妻『あなた!! 大変なの!!』

平沢「どうしたんだい? そんなに慌てて」

妻『唯の学校に来たっていう転校生、気になって調べてみたんだけど…』

   \お嬢様!! その方からお離れくださいっ!!/

琴吹「ん? なんだ? 騒がしいな…」

妻『その子が、例の日本人テロリストなのよ!!』

平沢「なん…だと…!?」

琴吹「どうしたのかね、平沢くん」

平沢「社長! 大変です!! 思ったより事態は……!!」

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 03:18:47.68 ID:MSpzF1SL0
  ガチャ

紬「お、お父様……」

琴吹「つ、紬……」

茜「……」

平沢「き、キミはっ!? そうか、もうすでに……!!」

茜「やっと……。私が…この日をどんなに待ちわびたことか…」

琴吹「紬を離してやってくれないか…?」

茜「お断りします」

琴吹「キミの目的はこの私だろう…」

茜「…いえ…あなたを殺してしまうなんて、そんな楽なことしません」

茜「それよりも…目の前で娘の死を見た方がよっぽど苦しいと思いませんか?」

紬「!?」

茜「大切な人を殺されて…生きていく方が…辛いと思いませんか?」

琴吹「お、お願いだ…やめてくれ…」

茜「父も…そう言って死んでいったのかもしれません
  いえ……違います。父はそんなに腰抜けではありませんでした」

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 03:27:07.30 ID:MSpzF1SL0
平沢「三浦茜さん…だね…。お父さんは、元傭兵」

茜「やはり…知っている人は知ってるんですね…。用心していたかいがありました」

茜「10年前、あなたの会社が人道支援だと謳いながらも、私たちの村を滅茶苦茶にした」

茜「安物の機械ばかりを持ってきて不具合で爆発を起こし、村の人がたくさん死んだ
  そしてその失態の口封じのために父を…みんなを殺した」

茜「世間には表に出てないけど、私は一生忘れない!!」

平沢「違う! それは間違いだ!」

茜「うるさい!! こんな裕福な国に住み、私腹を肥やすヤツらに何がわかる!!」

紬「お父様…本当ですか…!!」

琴吹「確かに…起こった事柄はおおよそその通りだ」

紬「じ、じゃあ…!!」

茜「くっ! やっぱり!!」

琴吹「しかし、その娘が言っていることは事実ではないっ!!」

茜「だ、黙れ!!」

平沢「社長…あまり彼女を刺激してはいけない…」

平沢(こちらにはとっておきの切り札があるが…間に合うか…!?)

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 03:32:54.79 ID:MSpzF1SL0
紬「茜ちゃん…」

茜「……!?」

紬「私、あなたがそんな思いで日本にきてたなんて思いもしなかった…」

紬「だって、あなた、私たちと一緒に居るとき本当にとても楽しそうに見えたのよ」

茜「……」

紬「でも、もし私を殺すことで、あなたの気持ちが晴れるなら…」

紬「私を殺してください」

茜「!?」

琴吹「つ、紬!!」

平沢「馬鹿なこと言っちゃいけない!!」

紬「いいえ、お父様。不幸の連鎖はどこかで断ち切らなければいけないのです」

紬「だから、私が死んでも。茜ちゃんを恨まないでやってほしいの」

紬「それが…娘からの…最後の…願いです…」

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 03:41:45.56 ID:MSpzF1SL0
紬「さぁ…茜ちゃん。そのユーフォニアムを吹いてちょうだい」

紬「その音色と共に私は消えてなくなるのね…」

紬「でも。忘れないで…私と食べた牛丼の味…」

紬「ウルトラデラックス特盛り牛丼 税込1500円 私は並盛300円」

紬「あなたが食べた分だけで私の時給約2時間分…」

茜「……」

紬「あと、あなたのお母様へのお持ち帰りはゴージャストロトロ角煮丼
  国産の最高級ブランド豚を贅沢に使った本格派。それを一日かけてじっくり煮込んで
  調味料類も一級品ばかりを惜しみなく使った自慢の逸品」

紬「あのお店では一日3品限定。あの日は運良く残っていたのよ
  ちなみにお値段は高級品をふんだんに使っているせいか 2500円」

茜「……ゴクリ」

紬「うふふ。実は隠しメニューなの。りっちゃんが教えてくれたのよ?」

茜(だからか…お母さんだけ…ずるい…!!)

紬「あら?やっぱり茜ちゃんもそっちの方がよかった?」

茜「は、はい……って!?」フルフル

平沢(さ、さすが琴吹家ご令嬢! あちらのペースを乱している!!)

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 03:50:44.79 ID:MSpzF1SL0
紬「あと、みんなには黙っていたけど部活に持っていってるお菓子」

紬「あれ最近は全部私の自腹なの」

茜「!?」

紬「バイト代はほとんどそれに消えていったわ」

茜「そ、そうだったんですか……」

紬「以前なら我が家へ訪問に来るお客様はなにかしらお土産を手に来てくださったのだけど…」

紬「最近じゃ折からの不況でめっきり減っちゃってね…」

紬「さすがに、ストックもなくなってきちゃったのよ」

紬「ほら、今いるお父様のお客様もどうやら手ぶらでいらっしゃったようだし」

琴吹「……」

平沢(……ごめんなさい)

紬「しかも、夕食まで食べようとしていらっしゃったのね?」

平沢(唯…お前の友達はとてもすごい人だよ…あの危険な空気を一変させてしまった…)

紬「ただでいただくディナーはさぞかし美味しいことでしょうね」

平沢(しかし…あまりにも辛辣すぎる…)グサグサ

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 03:55:46.61 ID:MSpzF1SL0
茜「す、少し黙っててください…」

紬「はい」

茜(あれっ?)

紬「……」

茜(な、なんで急に…)

紬「……」

平沢(うまいぞ…これで時間が稼げる)

茜「牛丼は美味しかったです。でもそれとこれとは話しが違います」

平沢(くっ…やはり10年もの私怨は簡単には…!!)

茜「あなたを殺したら今度は自分でゴージャストロトロ角煮丼を注文に行きます!!」

平沢(そっちか…!!)

紬(やっぱり…ダメなの…!!)

「やめるんだ! 茜!!」

茜「!?」

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 04:00:46.18 ID:MSpzF1SL0
茜父「もう、やめるんだ…」

茜「お、おとう……さん?」

平沢(間に合った!!)

茜「な、なんで……?」

茜父「そこの平沢さんに助けていただいてね」

茜父「キミは組織に騙されているんだよ
    あの爆発はお金に目が眩んだ何人かの村の者が仕掛けたんだ」

茜父「欲に負け、テロリスト共に利用されたんだ…」

茜父「日本の機材は質も良く高値で売れる。そうやって、たらし込まれたのだろう」

茜父「貧しい国だ…そうなってしまうのも仕方がないかもしれない…」

茜「まさか、お父さんのユーフォニアムを私に渡してくれたあのオジサンが…!?」

茜父「そうかも…しれない…」

茜「……くっ!!」

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 04:07:08.89 ID:MSpzF1SL0
茜父「真実を知ってしまった私だったがヤツらには抵抗のしようもなかった…
    何故なら茜や妻が人質のようなものだったからね…」

茜父「その後、私は収容所のようなところに入れられ強制的に働かされていた
    生かさず、殺さずに…ね 」

茜父「なんども逃げ出そうと…皆に真実を伝えようと思った…」

茜父「しかし人間の扱いをうけない私たちはいつからか無気力になってしまってね」

茜父「最初の1年で諦めてしまったんだ…」

茜父「それからは奴隷のような日々が待っていた…」

茜父「同じようにして捕らえられた仲間も何人も死んでいった…」

茜父「だが、最近になってそちらの平沢さんが捕まって私たちの収容所へ入ってきた」

平沢「そう、そして10年前の真実を知った僕は何とかしてこの事実を知る人達を救い出そうとした」

平沢「琴吹インダストリーの力を借りてね」

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 04:11:38.97 ID:MSpzF1SL0
茜「そんな…じゃあ私は…」

茜父「ヤツらはお前の殺し屋としての才能に気づいた…
    そしてなんと言ってもそのユーフォニアムを扱える唯一の人物」

茜父「組織はそれを利用しようとしたんだろう…だから憎ませることで強くしようとした」

茜「じ、じゃあ、私の…私の10年は…いったい…」

茜父「そのユーフォニアムはお父さんが戦争で殺してしまった人への鎮魂歌を戦場で
    奏でるために自分で武器として改造したものなんだ…」

茜父「許されることではないことはわかっている。でも生きることで必死だった」

茜父「でも、茜にはそのユーフォニアムを戦場で響かすのではなく
    ステージで人を感動させる楽器として使ってほしかったんだ…
    想いを伝える道具として…」

茜「人を…感動…音楽を…奏でる…想いを…伝える……!!」

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 04:20:41.77 ID:MSpzF1SL0
茜「私…今までも…これからも…こんな生き方しかできないって…思ってた…」

茜「でも、日本に来て…軽音部の皆さんに会って…こんな世界もあるんだって…」

茜「本当は…私だってムギ先輩達と一緒に…演奏がしたい…普通に生きてみたい、って…」

茜「いつも……笑って過ごしてみたいって……!!」

茜「でも、お父さんが殺されたって…ずっと…ずっと、そうやって教えられてきたから…」

茜父「そうだね、でもお父さんはこうやって生きてるよ
    茜ももう普通の女の子に戻っていいんだよ。今まで辛かったね」

茜「お父さん……お父さん……」

茜父「さぁおいで、成長したキミを抱きしめさせておくれ」

茜「お、お父さ~~~ん!!!!」

茜父「よしよし、大きくなったね…本当に大きくなったね…有り得ないくらい大きくなったね」

茜父「……正直あの国で何を食べたらそんなに大きくなるんだい?」

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 04:27:52.89 ID:MSpzF1SL0
紬「良かったわ…クスン…」

茜「すみません! 私……ヒドイことを……」

紬「ううん。いいのよ、本当言うと
  あなたから私を殺すような感情は伝わってこなかったもの」

茜「…はい…私、とても迷いました。復讐した後どうしようって…」

茜「ゴージャストロトロ角煮丼を食べた後どうしようか…って!!」

紬「……」

茜「それに、このお父さんのユーフォニアムで人を殺したことないんです…」

茜「本当はわかっていたんです。お父さんもこんなこと望んでないって…」

紬「やっぱり…茜ちゃんがそれで人を殺すなんてできないって思ってたわ」

茜「はい…今までは専ら素手で殺してましたので…」

紬(あれっ!? もしかして結構危険だった!?)

茜「私…本当に過ちを犯さなくって…よかった…」

紬(本当によかった!!)

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 04:34:21.18 ID:MSpzF1SL0
茜父「琴吹さん。この通りです…娘を、許してやってください…!!」

琴吹「……」

紬「お父様!! 私からもお願いします!!」

琴吹「しかし、紬…お前は殺されそうになったんだぞ?」

紬「悪いのは騙した人たちです!」

琴吹「紬…、娘が危険な目に会ったのにそれを簡単に許すなど…
    私はそこまで出来た人間ではないのだよ…」

紬「そ、そんな!!」

琴吹「三浦さん、あなたの娘さんの犯した罪は大きい…」

茜父「はい…わかっています…。子供の罪は親の責任です…」

茜父「全て私が償います…。どんな罰だって甘んじて受けます!!」

茜「お、お父さん!?」

琴吹「……わかった。ではその言葉通り罪を償っていただこう」

茜父「……!!」

平沢「し、社長!!」

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 04:37:06.66 ID:MSpzF1SL0
琴吹「ユーフォニアムを…」

茜父「えっ…?」

琴吹「ユーフォニアムを吹いてはくれないか?」

茜父「あの…しかし…」

琴吹「どうした? どんな罰でも受けるのではなかったのかな?」

琴吹「そのような病み上がりの体でユーフォニアムを吹かねばならないのは
    想像以上に重い罰だとは思うがね」

平沢(うわ~…人情劇だな~…)

紬(お父様…昔からそのような邦画が大好きでしたものね…!!)

茜父「そのようなことでよろしいので…?」

琴吹「ああ、以前から一度はこんな大岡裁きみたいな真似事をするのが夢だったんだ」

斎藤(旦那様…ようございましたな~…)よよよ…

茜父「そ、それでは…」

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 04:47:49.08 ID:MSpzF1SL0
茜「お父さん…大丈夫なの…?」

茜父「茜、キミにはまだ言ってなかったが、傭兵になる前は
    このユーフォニアムの奏者を目指していたんだよ」

茜父「しかし家庭の事情もあり結局は傭兵にならざるを得なかった…」

平沢「傭兵にならざるを得ない状況っていったい…」

琴吹(スパイという職業もどうかと思うぞ、平沢くん…)

茜父「スゥ~~~……」

~♪~♪~♪~♪ ~♪~♪~♪~♪
   ~♪~♪~♪~♪ ~♪~♪~♪~♪

紬「……素敵」

 この部屋にいる誰もがその透き通った音色に聞き惚れていました
 しかし、この演奏は誰よりも茜ちゃんへと向けられたものであったことは間違いありません
 私たちの感じるこの空気の震えは、茜ちゃんが感じているそれとはまた違ったものでしょう
 その音色は親子の10年という溝を埋めるのに充分であろう素晴らしいものでした
 きっと茜ちゃんにもお父さんの想いは伝わったと思います

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 04:55:23.83 ID:MSpzF1SL0
────
────────
────────────

紬「ってことが昨日あってね」

澪「わ、私たちの知らないところでそんなハードな展開が…」

律「あ~私もその場に居たかったな~。ドラマみたいじゃん!」

梓「律先輩! もしかしたらムギ先輩本当に殺されたかもしれないんですよ!」

茜「…ご、ごめんなさい」

梓「あっ!? ち、違うよ! 茜のこと悪く言ったわけじゃないから…」

紬「そうよ、私と茜ちゃんの絆は一層深まったのよ♪」

茜「////」

唯「なるほど~、今の話しを纏めますと……」

律「お! なんだなんだ?」

唯「なんで牛丼私も誘ってくれなかったの~!!」

澪「なんでそうなるんだ!!」

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:01:35.05 ID:MSpzF1SL0
梓「ところで、さっきの話。はっきりしない人物が1人いましたね」

律「ムギのとーちゃんと一緒にいた人な」

紬(唯ちゃんのお父様からは黙っててくれって言われてるのよね…)

紬(いずれ自分から話すからって仰ってらしたけど…)

茜「なんでも、スパイらしいですよ」

紬(あ、茜ちゃん!?)

澪「す、スパイ!?」

梓「本当にそんな職業あるんでしょうか…?」

律「まぁ、傭兵がいるくらいだから別にいいんじゃね?」

紬(そうよね…誰もそのスパイさんが唯ちゃんのお父様だって気づくはずないわよね)

唯「スパイ……」

紬「ゆ、唯ちゃん!? いったいどうしたの!?」

唯「そのスパイって…まさか…!?」

紬(ま、まさか…気づいちゃった!? 唯ちゃんって結構鋭いとこあるし…)

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:03:33.44 ID:MSpzF1SL0
唯「梅干作ってる人?」

澪「もうツッコまないぞ……」

唯「すっぱ~い!! えへへ…なんちゃって」

律「はいはい…」

紬「……」

梓「寒いです…」

唯「ええ~…」

茜「……」

茜「ブフッwwwwwwww!!」

一同「!?」

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:08:44.61 ID:MSpzF1SL0
 ・ ・ ・ ・ ・

澪「しかし、私も茜のお父さんの演奏聴いてみたかったな~」

紬「とっても素晴らしかったのよ♪ ね。茜ちゃん」

茜「はい…とても///」

律「じゃあさ、今ここで茜に吹いてもらおうよ!」

茜「えっ…でも…、私本当にユーフォニアム吹いたことなくって…」

律「この軽音部にいる限りはいつか吹かなきゃいけないんだしさ」

梓「そうだよ茜。今日が初めて音を出す日にしたらいいんだよ」

茜「で、でも…」

唯「デビちゃん。その体の中には凄い演奏をしたお父さんの血が流れてるんだよ
  きっとデビちゃんにもその才能が受け継がれているはずだよ!」

律「お!唯、良いこと言った! 先程の失態は取り消すぞ」

唯「はは~っ、ありがたき幸せ」

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:13:29.91 ID:MSpzF1SL0
澪「うん、吹いてみてよ茜」

梓「聴いてみたいな~」

茜「あ、あの……」

紬「がんばって、茜ちゃん」

茜「……」

茜「はい、わかりました!」

唯「うわ~い!!」パチパチパチパチ

茜「では……」

茜「すぅ~~~~っ……」

茜「プワッ♪!!」

律「おおっ!!」

   カッ!!!!

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:14:13.12 ID:MSpzF1SL0

::::::::::::::::::::::::......   ........:::::::::::::::::::::::::::  ;;;;;;;::::::::::::::::::
           γ ⌒ ⌒ `ヘ
          イ ""  ⌒  ヾ ヾ    ドガァァァァァァァァン.....
        / (   ⌒    ヽ  )ヽ
        (      、 ,     ヾ )
 ................... .......ゞ (.    .  ノ. .ノ .ノ........... ........
 :::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、、ゝ.....|  |..., , ノソ::::::::::::::.......::::::
  _ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''!  i;;;~-ヽ_ii_i=n_ [l h__
  /==H=ロロ-.γ ,~ー'''l ! |'''ーヾ  ヾ 「!=FH=ロロ
  ¶:::-幵-冂::( (    |l  |    )  )=HロΠ=_Π
  Π=_Π「Ⅱヾ、 ⌒~"""''''''⌒~'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
 Д日lTl,,..:''''"   ""'''ー-┬ーr--~''""   :::Д日lT::::
 FH=n.:::::'            |   |         :::FL日l」:::::
 ロΠ=:::::.:.        ノ 从 ゝ        .::田:/==Д::
 口=Π田:::.                   .::::Γ| ‡∩:::::
 Γ| ‡∩Π::....                ...:::Eヨ::日lTlロ::::
 Д日lTlロ_Π::::.......            ...::::::::田:凵Π_=H:::
 =Hロ凵Π=_Πロ=HロΠ:::.................:::::::::::口ロロH「l.FFl

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/22(月) 05:18:41.86 ID:MSpzF1SL0
 ・ ・ ・ ・ ・

律「ケホッ…ケホッ…」

澪「な、なにがどうなったんだ…」

唯「あはは~。澪ちゃん髪の毛チリチリ~」

澪「お前もな…」

茜「すみません…ユーフォニアムの演奏モードじゃなくて
  武装モードで吹いてしまいました…」

律「なんじゃそりゃ……」

紬「私、爆発でドリフみたいに頭がチリチリになるの夢だったの~♪」

梓「ムギ先輩の夢は果てしないですね……」

茜「ご、ごめんさない……」

澪「だめだこりゃ」

律「次行ってみよ~」

唯「ちゃんちゃん♪」

 おしまい

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/22(月) 05:32:49.21 ID:MSpzF1SL0
最後に懺悔をさせてほしい
どんな批判があろうが最後までは書き切るつもりだった
だたやはりやってしまった感はいなめなし
風呂上りなのに付いたレスを見て恥ずかしさでさらに体が熱くなった

だから正直>>134のレスには少なからず勇気を貰った
感謝のレスを打とうとしたが、ただでさえ見てる人が少ないのにさらに少なくなるのではと思い保身に走ってしまった
僕は最低なヤツです

終わってからだし、もう見てないかもしれないがお礼を言わせていただきたい
ありがとうございました

ここまで見てくれた人にもありがとう

SS書くの楽しいしまた書くとは思うけど
今度はもう、あんな変なレスはしないよ…

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