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妹「だめっ!!これ以上触っちゃだめなのっ」兄「えっ!?」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:18:28.28 ID:pvDLFCEx0 [1/29]
妹「だめなんだから」
兄「でさ、いきなりどうしたの?
妹「どうしたも、こうしたもないよ」
妹「兄さん心配だから、わざわざ来てあげたんだよ」
兄「いや、どうみても心配だから。なんて理由でここまでこれるか?」
兄「それにさ。受験勉強はどうしたんだよ。ん?」
妹「いいの!それより寒いんだから、早く部屋に上がらせてよ」
妹「ほんっとーに!寒いんだから」
兄「わかった。わかったから。」
妹「わーい。お邪魔しまぁーす」
兄「……。どうしたこうなった……。」
妹「だめなんだから」
兄「でさ、いきなりどうしたの?
妹「どうしたも、こうしたもないよ」
妹「兄さん心配だから、わざわざ来てあげたんだよ」
兄「いや、どうみても心配だから。なんて理由でここまでこれるか?」
兄「それにさ。受験勉強はどうしたんだよ。ん?」
妹「いいの!それより寒いんだから、早く部屋に上がらせてよ」
妹「ほんっとーに!寒いんだから」
兄「わかった。わかったから。」
妹「わーい。お邪魔しまぁーす」
兄「……。どうしたこうなった……。」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:23:37.72 ID:pvDLFCEx0 [2/29]
兄「……。改めて聞くけどさ。」
妹「へー。これが兄さんの部屋かー」
妹「……なんか、シンプルすぎない?」
兄「はいはい。悪うござんした。俺はシンプルイズベストなんだよ」
妹「あのね。兄さんくらいの年頃なら、アイドルの壁紙とかその他etc...貼ってあってもいいんじゃないの?」
妹「これはシンプルというか、何もなさ過ぎじゃないかな」
兄「人のプライベートに首を突っ込むな。帰ってもらいますぞ」
妹「あんな所に、誰が帰るもんですか。」
兄「……まぁ、荷物置けよ」
妹「やっぱり兄さんは優しいね!流石ね!」
兄「調子だけはいいのな。まぁ、炬燵出してくるからちっと、待ってな。」
妹「うん。」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:27:35.92 ID:pvDLFCEx0
妹「やっぱり、真冬はこたつに限るねぇ~ふぃ~」
兄「ほら、粗茶だけど」
妹「ありがとー。兄さんなんでも出来るんだね」
兄「そりゃ、一人暮らしだしな」
兄「……あのさ、本当に。本当にだ。」
妹「なに?」
兄「お前、どうしたんだよ。冬休みなのが分かるよ?でもさ」
妹「家出」
兄「家出って。お前」
妹「いいじゃない。ほんの少しこっちに居るだけだから。」
兄「ほんの少しこっちに居て、その後どうするんだよ」
兄「それに、今は大事な時期だろ?遊んでる場合じゃないんじゃないのか?」
妹「うるさいなー。いいじゃない。兄さんの意地悪」
兄「意地悪とか、そういうんじゃないだろ」
妹「いいじゃないの。兄さんだって、あの偏差値で光高受かったんでしょ?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:31:47.05 ID:pvDLFCEx0
兄「それは」
妹「兄さんの妹だし、なんとかなるよ」
兄「あのさ。俺とお前は」
妹「血は繋がっていない。けどさ、そんなの関係無いんじゃないのかな」
妹「もう長いこと。兄さんがウチに来てから」
妹「兄さんが染付いてるのよ、だからきっと大丈夫。」
兄「……。はぁ。」
兄「わかった。わかったよ。」
妹「え?」
兄「お前に何があったのかは聞かん。」
兄「好きなだけ居るといいさ。お前の人生だ。」
兄「ただ、母さんから電話がかかって来ると思う。」
妹「それは」
兄「安心しろ。ウチで勉強見てあげてるって事にしてやる」
妹「ありがとうッ!やっぱり兄さんに頼って正解だった!」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:36:40.30 ID:pvDLFCEx0
>>17いやいや。スレ建て出来んかったから。ありがたい。
書いていても、いいか?
兄「はぁ……。」
兄「昼は食べたか?」
妹「まだ。」
兄「んじゃ、ついでだ。外に食いに行くか。」
妹「作らないの?」
兄「帰りに材料を買う。ちょうど安売りの時間帯になるだろうからな。」
妹「さっすが。」
兄「支度。すぐに行くぞ」
妹「うんっ」
妹「なんだか都会なのか。田舎なのかハッキリしないね」
兄「そういう所だからな。ここは」
妹「うぅ~寒い」
兄「その重装備で寒いのかよ!」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:42:34.67 ID:pvDLFCEx0
妹「私、冷え症なの」
兄「絶対違うだろ」
妹「メタファーよメタファー。抽象的なの。隠喩的。分かる?」
兄「いちいち難しい言葉を使わんでも宜しい」
妹「中三って、みんなこんな感じだよ」
妹「背伸びして、身勝手なの。私が兄さんの家に押しかけたみたいにね」
兄「はいはい。自分ですね……って。」
兄「どうした?……懐中時計か」
妹「外で販売とかしてるんだね」
店員「いらっしゃい」
店員「あ、これ?これ三万ね。買います?」
妹「……た、高い」
兄「……。行くぞ」
妹「う、うん」
店員「またきてねー。」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:48:15.28 ID:pvDLFCEx0
>>20イヤァスイマセーン
妹「なんだか散々とした所だね」
兄「あぁ、駅の近くは少しばかり騒がしかったろ?」
妹「うん」
兄「少し離れると、ここらは田舎なんだよな」
兄「まぁ、それが気に入ってるんだけどね」
妹「良い所じゃないの、私なんか排気ガスで息苦しかったよ」
妹「ほんとにね、息苦しくてどうにかなりそうだったもん」
兄「どうにかって、おいおい」
妹「路地のポスターとかさ、見てみるの」
妹「大体兄さんくらいの可愛い子がさ、ド派手に化粧の宣伝とかしてるのよ」
妹「『これでカンペキッ♪』みたいな?」
妹「私さ、そういうのって、凄く駄目なの」
妹「気に入らないのよ、イライラする」
兄「……まぁ、俺もそんなもんだけどな」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:53:17.46 ID:pvDLFCEx0
妹「他にもね。なんだか色々変なのよ」
妹「今まで仲良かった子達の話声だけでも、イライラするんだ」
妹「理由はあるよ?ほら、私もそうだったけど」
妹「その、兄さんに「しね」とか、言ってたじゃない」
妹「まぁ、同属嫌悪というか、黒歴史なのか」
兄「そういうのを気に入らない。見たくもない。聴きたくもない?」
妹「そう」
兄「それって全部が全部嫌いなんじゃないの?」
妹「そんな事ないよ、友達の子達だって、時々見かけないと寂しくなったりするし」
妹「……ううん。よく解んない。わかんないの」
妹「お母さんの『頑張れ』って言葉も、担任の優しい声援も」
兄「嫌い?」
妹「うん。根拠が無いのよ。突発的。というか、今まで考えなかった場所まで考えちゃうというか」
兄「よくあるよ、そういう年頃には。って言うけどさ」
妹「うん」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:56:28.39 ID:pvDLFCEx0
兄「これって、ある種の恒例行事らしいんだよな」
妹「そうなの?」
兄「まずは十代中後半。次は三十代。その次は六十代」
兄「自分の生甲斐とか、人生とか、そういうのに対して執拗に考え出す」
兄「よくさ、中二病とかって言われるけど、あれとは別なんだよ」
兄「良く似てるけど、全然違うのさ」
妹「例えば?」
店員「いらっしゃいませー」
店員「二名様ですね?」
兄「はい」
店員「あちらの席へどうぞ」
兄「いくぞ」
妹「うん」
店員「ご注文がお決まりになりましたら、呼び出しボタンを押してください」
兄「わかりました」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:01:42.85 ID:pvDLFCEx0
兄「で、続きだけど」
兄「中二病ってのは、要は頭でっかちになってる状態の事なんだよ」
妹「頭でっかち?」
兄「色んな知識を、上手く扱えていないんだ」
兄「必要以上の情報に、戸惑う。判断がつき難い。」
兄「それで、間違った方向へ、ある種の自己完結をする」
兄「俺の言ってる中二病ってのは、みんなが良く使ってる罵倒の意味ではなくてさ」
妹「うん」
兄「妹くらいの、あるいは俺の前の時の事を指していると言うか」
兄「んまぁ、そんなもん。今も中二患者だけど」
妹「それは、意味合いが違うの?兄さんの言う奴とは」
兄「わからん。本当に中二患者なのか。それともアホなのかなんてのは」
兄「どうせ周りが決めるさ」
兄「まぁあれだ。注文決めたか?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:06:37.92 ID:pvDLFCEx0
妹「ハンバーグが食べたいです」
兄「飲みもんは?」
妹「オレンジジュース」
兄「んじゃ俺ジンジャーにすっかな。貝のパスタでいいや。」
店員「ごゆっくりどうぞー」
妹「わぁい!やったね!」
兄「ハンバーグではしゃぐなよ」
妹「いいじゃないの、ここん所ずっと部屋に篭りっぱなしだったの」
妹「いやぁ、ご馳走ご馳走♪」
兄「……まぁ、あれだ」
妹「ふぁひぃ?」
兄「食べ物食べながら喋んないの」
妹「……っ、うん、それで」
兄「しばらくはこっちに居てもいい。バイトもしばらくないからな」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:10:57.39 ID:pvDLFCEx0
兄「金だって、俺はそんなに使わんから銀行に一応ある」
兄「勉強だって、見てやる」
兄「服とかも、幸いお前が持ってきているから、それでいい」
兄「ただな」
妹「うん」
兄「休みが明ける頃には、キチンと家に帰るんだぞ」
兄「今はまだ、お前一人でああだ。こうだ。していい年じゃないからな」
妹「……うん」
兄「そう暗くなるな、二週間ちょいも家を離れられるんだ」
兄「母さんの無言の圧力もない」
妹「それはイイね」
兄「だろ?それに俺は教えるのが上手い」
妹「性的な意味で?」
兄「そういう冗談すらも、俺は軽く受け流すからな。スルー力なめんなよ?」
妹「中学生なんだから許してよ、下ネタで盛り上がる生き物なんだから」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:15:18.48 ID:pvDLFCEx0
兄「で、だ」
兄「お前は俺と違って頭がいいから、そんなに苦労することはないだろうな」
兄「帰る時は、ついでだ。俺も着いていってやる」
兄「俺はリビングで寝るから、部屋を使ったっていい」
妹「嬉しいけど、兄さんの部屋にやましい物が無いか探すかもよ」
兄「安心しろ。んなもんないから」
妹「ぶー」
兄「ゆっくりしていくといい。俺は何も咎めないから」
妹「……うん、ごめんね」
兄「謝るな。俺だって、お前と同じ時期に、多少差異はあるかも知れんが」
兄「そういう時があった。今でも時々そうなる」
兄「ただな、全部が全部、同じ考え、思考をするとは限らない」
兄「俺はいい。ただ、お前はどうなるか分からない。自殺されても困る」
妹「んな事しないよ」
兄「でも、したいと思ったことくらいあるだろ。本気でさ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:20:10.69 ID:pvDLFCEx0
妹「……まあ」
兄「だろ?で、俺が思うに、そういうのを甘ったれてるとか、そういうのは違うんだよ」
兄「お前はまだ俺と少ししか離れていないし、大人じゃない」
兄「それなのに、責められる道理がどこにあるよ、休んだっていい」
兄「知らないんだ。知れない。難しい事だろうさ」
兄「今は、そういう時期だ。だから、ゆっくりしろ。限られてはいるけれど」
兄「……しばらく、休め。急がず、怠けず。な」
妹「……うん。うん」
兄「そうだ、そうしろ」
兄「なにさ、すぐに前のお前みたいにハッチャけるようになる」
妹「今でもハッチャけてるよ」
兄「どうだか。終始世界の終わりを垣間見たような顔をチラつかせてるぞ」
妹「うぐ」
兄「はは、いいんだよ、それでいい」」
兄「母さんだって、手一杯なんだろうよ、だから今はあの場所がお前の家だ」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:25:22.97 ID:pvDLFCEx0
>>31 多くを望まれれば、オマケ程度には。
誤字、タイプミス、脱字は許してくららい^q^
兄「ごちそうさん」
妹「ごちそうさま、美味しかった。凄く」
兄「外食すんのは久しぶりだからなぁ」
兄「あ、先出てていいぞ。払っとくから」
店員「ありがとうございましたー」
兄「あいかわらず外は寒いな」
妹「うぶぶ、寒い」
兄「さて、まだ時間には余裕がある」
兄「まぁ寒いけど、散歩でもするか?」
兄「ってか、俺のジャンパー羽織るか?」
妹「いいよ、兄さんだって寒いんでしょ……?」
兄「いいっていいって、実はそうでもない」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:28:07.64 ID:pvDLFCEx0
妹「嘘だぁ」
兄「嘘じゃないんだよなぁ、これが」
兄「ほら、何となく気分で喋っちゃうときあるだろ?あれだよあれ」
妹「……だけど、さぁ」
兄「ほらほら遠慮すんなって」
ぼふっ
妹「おおっと」
兄「どうだ、それだけモフってる奴なら安心だろ」
妹「い、一応中にもあったんだね」
兄「まぁ、薄いけど、意外と保温はカンペキだ」
妹「……よし」
兄「どうだ、まだ寒い?」
妹「いや、むしろ……」
兄「むしろ?」
妹「ごわごわで動き辛い」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:36:47.90 ID:pvDLFCEx0
兄「はは、そりゃ俺のだからさ。サイズ合わんだろうよ」
妹「むー」
兄「こうして見ると、ちんまりしてるな」
妹「うるさいなー、私だって成長してるんだよ」
兄「そりゃそうだろうさ」
妹「……なんか」
兄「?」
妹「このジャンパー、いかにも兄さん。って感じがする」
兄「ん?」
妹「な、なんでもないよ」
兄「んじゃ行くぞ」
妹「おうっ」
兄「ここらはさ、あんまり開発進んでないんだよ」
兄「だから、川は綺麗だし、山にもあんまりゴミが落ちてない」
妹「ふーん、確かに綺麗かも」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:43:23.45 ID:pvDLFCEx0
兄「この川の沿いに、光高があるわけだ」
妹「へぇー」
兄「というのもさ、毎年恒例ってか、新学期始まる時は」
兄「全校で、山とか川のゴミ拾いをするんだよ。滅茶苦茶徹底してさ」
妹「うわ、面倒臭そうな」
兄「だろ?でもま、そういうのって、案外みんな真面目にやるんだよ」
兄「それがさ、綺麗にしとけば、山とか川とかで、気楽に遊べるからなんだよな」
兄「だからか知らんけど、俺の知る限りそんなに嫌味な奴はいないな」
兄「元気な奴は走り回ってるし、俺みたいなネガティブは川沿いでボケーッとしてるわけ」
妹「うらやましいなー」
兄「恵まれてんのさ」
妹「私、中学嫌いだもの」
兄「俺だって、あんな場所二度と行きたくないね」
兄「どうせすぐにおさらばするんだ。少しの我慢だ」
妹「私、兄さんと一緒の所行こうかな」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:47:45.32 ID:pvDLFCEx0
兄「一応言っとくが、あそこは変な奴しか居ないぞ」
兄「物好きが集まる場所だからな。普通ならゲーセンだのプリクラだのはしゃぐだろうに」
兄「なんだかよく分からん奴らが、多いからな」
妹「私だって、物好きな方だよ」
兄「なんでさ」
妹「秘密」
兄「気になるなぁ」
妹「教えません」
兄「ケチだな」
妹「なんとでも」
兄「へいへい。余計な詮索をする俺も物好き連中の一員さ」
妹「妹ですから」
兄「似るってか」
妹「まさしく」
兄「そうかい。……そろそろ帰るか」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:53:56.64 ID:pvDLFCEx0
後輩「おっと、これは先輩ではないですか」」
兄「げ」
妹「?」
後輩「いやぁ、珍しいこともありますね!」
兄「お、おう、だな」
後輩「ん?先輩の彼女さんか?にしても……せ、先輩ッ!?」
兄「なんだ」
後輩「先輩ってロリコn」
兄「いや違うから。どう見ても違うから」
妹「あ、あの」
後輩「察するに妹さんかな!な!」
兄「そうそう、お前にしては珍しく直感が当たるんだな」
後輩「酷いですよ、それ!あんまりだ!根拠の無い差別だぁ!ァー!」
妹「に、兄さん、こ、後輩さんなの?」
兄「あぁ、無駄にテンションの高い、物好きな奴の一人だよ。見ちゃいけません」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:00:37.90 ID:pvDLFCEx0
後輩「美少女センサーが反応したんですよ」
後輩「ワタシのこのアホ毛が、ビンッビンッに反応したんですよ」
妹「は、はは」
後輩「うーん。先輩の妹さんか……」ズズッ
妹「ど、どうも……」
後輩「イイッ!この仕草と言い、未発達な体がそそるッ」クネクネ
兄「……い、妹、無視だ。無視」
妹「い、いや兄さん、それは失礼じゃ」
兄「いいんだ。超法規的措置だ。許す」
後輩「酷いな。ワタシは純粋に美しいものを愛でているだけッ……!」
後輩「この沸きあがるリビドーをッッ!これこそ耽美主義ッッ!!」
兄「耽美でもなんでもねぇ。変態だろ。な。おい」
後輩「変態……良い言葉ですね。実に的を得た言葉だ」
妹「た、楽しい人ですね」
後輩「おお!?なんて良い子なんだッ!こんな理想の妹を持つ先輩ッッ」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:05:25.46 ID:pvDLFCEx0
後輩「ぜ、是非とも妹さんを紹介して頂きたい」
兄「勘弁してくれよ」
後輩「そんなぁ……」
妹「あ、あの、後半さんは女性、ですよね……」
兄「ああ、一応女だ。見かけが男だが女だか判別つき難いがな」
後輩「褒めてるいるのか?それとも……まぁいい。いいんです」
後輩「妹さん、ワタシと是非とも仲良くして……」
兄「はいはい。駄目ですよー。さ、行くぞ妹」
妹「は、はい」
後輩「ああァーッ!!待ってくださいよーッ」
兄「走れ!」
妹「う、うんっ!」
後輩「……ふ、ふふ」
後輩「このレーダーから、逃げられると思ったら大間違いですよ……」
兄「はぁ、はぁ……」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:09:32.65 ID:pvDLFCEx0
後w半wとwかw誤字w
兄「ここまでくれば」
妹「た、楽しい人だね」
兄「なにがさ!あんなの疲れるだけだぜ?」
妹「でも、真っ直ぐで嫌いじゃないよ」
妹「方向性は……違うと思うけどね」
兄「ああ、悪い奴じゃないんだけど……」
後輩「う、うう……先輩が……そんな優しいなんて……」
兄「う、うわぁ!?どこから湧いてきた!?」
後輩「沸いてきた。なんて、そんな表現、酷いですよ!?」
後輩「くそ、持ち上げてまた下げるッ……。うう、悔しい。でも(ry」
妹「こ、後輩さん、よろしく」
後輩「おお!?!?なんて優しい妹さんなんだッ!こんなに優しいなんて!!!」
後輩「ま、まるで聖母……い、いや、あるいは聖妹ッ……!セイントシスターッ……!!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:16:51.49 ID:pvDLFCEx0
妹「せ、セイント……」
兄「しすたー……」
後輩「……疲れました。喉が渇きました」
妹「!?」
兄「……な?変な奴だろ?」
妹「な、なんていうか、二重人格?」
後輩「性格に言えば、わたしのコレは気分の差異のよって生じるんです」
後輩「説明すれば、意味合い的には二重人格も強ち間違ってはいません」
後輩「しかし、わたしという人格自体は消えても換わってもいな(ry」
兄「さー、寒いからお家に入るぞー」
妹「は、はは。後輩さんも如何ですか?」
兄(おい!何爆弾抱えて家に入ろうとしてるんだ)
妹(いいじゃない、面白いよ?)
兄(お前は良くてもな……)
後輩「良く出来た妹さんですね。先輩の妹とは思えないですね」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:19:36.81 ID:pvDLFCEx0
兄「そういう事言うなら、入れないぞ」
後輩「大変申し訳御座いません」
兄「よろしい」
妹「ただいまー」
後輩「お邪魔します」
兄「ただいま」
後輩「いやぁ
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:23:15.83 ID:pvDLFCEx0
おっとすまない
後輩「いやぁ♪これが先輩の家かー」
妹「あれ?」
兄「お前のおかげで、ついに上陸を許してしまったよ」
妹「ご、ごめん……」
兄「まぁいいさ、俺は茶を淹れてくる」
兄「後輩、そこに煎餅とかみかんとか有るから」
兄「妹に迷惑かけんなよ」
後輩「いやいや、申し訳ないです」
妹「兄さん、ありがと」
兄「いいって」
後輩「いやーしかし、本当に何もないですね」
後輩「年頃らしいエロ本の気配すら……アホ毛が萎えてしまうほどに」
妹「はは……ふ、不思議な髪の毛ですね……」
後輩「ですね、自分でも良くわかっていませんから♪」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:28:13.10 ID:pvDLFCEx0
妹(……じ、自覚がないのか)
後輩「それにしても、こたつはイイですねー」
後輩「なんだか眠くなってきた……」
兄「おいおい、寝るなよ」
後輩「あ、すみません……な、なんという熱加減……」
妹「ありがと。兄さん」
兄「ああ、俺もこたつっと」
後輩「それで、今まで妹さんを見かけなかったわけですか」
兄「ああ、この休み中は俺が妹の勉強を見ることになってる」
後輩「手取り足取り?」
兄「お前の考えている事は大外れだ」
後輩「ええーっ、だって血の繋がっていない兄妹ってだけでフラグ、ビンビンなのになー」
兄「ねえよ」
妹「……ないのか、あ、いや」
妹「いやぁ、兄がお世話になってますー。はは」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:34:39.96 ID:pvDLFCEx0
後輩「2828」
兄「みかんを食いながらニヤニヤするな」
妹「いいひゃないの、ふぇふぅに」
兄「お前も煎餅バリバリ食いながら喋るなッ!」
後輩「いやぁ、せっかくこんな風にしてもらっちゃって」
後輩「何かお手伝いでもしましょうか?」
兄「おっ、そうだな、忘れていた。時間的にもちょうどいいや」
兄「後輩、少し妹のこと見ててくれないか?俺はちょっと買い物していきたいんだ」
後輩「なんという信頼ッッ!了解です!!!」
妹「そっか、兄さん私も忘れてたよ」
兄「だろ、んじゃちょっと行ってくるよ」
後輩「夫を送る人妻の気分って、こうなのかな……むふふ」
妹「はは……」
後輩「さて、妹ちゃん、何か話そうか!」
妹「な、なにかですか。うーん……」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:39:52.30 ID:pvDLFCEx0
妹「そ、そうだ」
後輩「……わくわく、てかてか」
妹「に、兄さんって、どうなんです……!」
後輩「どう?」
妹「は、はい。学校で……とか」
後輩「あぁ、むふふ……」
妹「はは……」
後輩「そうですねー。先輩は、一言で言えばかなーり優しいですね」
後輩「普通、こんな奴の事なんて、そうは相手にしませんよ」
妹「……そんな、後輩さんは」
後輩「仕方ないんですよね、自覚してるんですよ、ワタシは馬鹿だから」
後輩「でも、あの人は、先輩は、そんなの一々気にしてるような人じゃないんです」
後輩「怒られちゃいましたよ。いや、説かれたのかな。そんなん気にするなって」
後輩「お前がどうであれ、俺は気にしないし、何より実害無ければどうでもいいって」
後輩「かっこいいですよね、ただしイケメンに限るなんてレベルじゃないですもん」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:03:15.93 ID:NFYAsSzf0 [1/49]
妹「そうかぁ」
後輩「誇っていいお兄さんだと思いますよ」
妹「凄いんだな、兄さん……やっぱり」
後輩「ええ、ワタシは少なくともそう思いますッ」
後輩「……なんだか、喋りすぎて疲れちゃいました……」
妹「はは、寝ちゃっても構いませんよ」
後輩「い、いえ、そんな……ことは……zzZ」
妹「言ってる側から……はは」
妹「風邪を引いちゃいますよ」
すっ
妹「兄さん帰ってくるまで、私も少し寝ようかな」
妹「……」
後輩「……zzZ」
妹「……zzZ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:17:08.20 ID:NFYAsSzf0 [2/49]
妹『……』
?『今日から、この子が貴方のお兄ちゃんよ』
兄『……よろしく』
妹『う、うん……』
兄『……』
妹『うるさいなぁ、黙ってよ少し』
兄『あぁ、悪かった』
妹『……うざったいなぁ』
兄『うるせぇなぁ』
妹『はぁ?』
兄『うるせぇって言ってんだよ、こっちは勉強してんだよ』
妹『知らないよ、そんなの』
兄『あ?』
妹『はぁ?』
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:19:33.40 ID:NFYAsSzf0 [3/49]
兄『……ほら、これやるよ』
妹『……ありがと』
兄『……悪かった』
妹『ううん』
兄『今度、どっか行くか』
妹『うん!』
兄『……受験受かってさ、少し遠い所に行く事になったんだ』
妹『……』
兄『だからさ、もう、その……お前とは』
妹『いいよ、大丈夫』
妹『……大丈夫……大丈夫だから』
妹『……』
妹『……やっぱり嫌だなぁ』
妹『……兄さん、今どうしてんのかなぁ』
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:24:57.99 ID:NFYAsSzf0 [4/49]
兄「ただいまーって」
妹「zzZ」
後輩「ふへへ、よいではないかーよいでは……zzZ」
兄「……はぁ……」
兄「ま、いいか」
妹「……兄さん」
妹「兄さん…・・・あれ、兄さん……」
兄「あ、起きたか、今飯作ってるから――」
ストンッ
兄「あ、おい……おい?」
妹「……にいさーん……にいさぁ……zzZ」
兄「……む、これじゃ動けないぞ」
兄「……ほら、ベットはあっちあっち」
妹「……んー」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:32:38.73 ID:NFYAsSzf0 [5/49]
寒い。・・・は…です。
妹「兄さん……」
兄「はいはい」
兄「ほら、入って入って」
がさごそ
妹「……zzZ」
兄「肩までかけないと……よし」
兄「……よっぽど疲れてんだな。寝てなさそうだったし」
兄「でだ、後輩は……」
後輩「ふへへ……」
兄「どんな夢見てんだよ」
兄「はぁ……まぁ、いいか」
後輩「……ぬふふ、いくぞ英雄王――――武器の貯蔵は充分か」
後輩「……って、あれ?サーヴァントは?聖杯戦争は?」
兄「そんなものはありません。ようこそ現実へ」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:55:31.35 ID:NFYAsSzf0 [6/49]
>>56乙
後輩「はっ……って、外暗い」
兄「だろ?もうずっとそうだったね」
後輩「……申し訳無いです、妹さんは……寝てるのか」
兄「どうする?飯食うか?」
後輩「いや、悪いですよ……」
兄「お前がどうしたいか。聞いてるんだぜ」
後輩「お願いします……」
兄「よし、作っておいた」
後輩「用意周到……ですね!」
兄「だろうな」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:12:45.25 ID:NFYAsSzf0 [7/49]
後輩「……なんだか外、雪降りそうですね」
兄「あぁ、ここらは降るだろうなぁ」
後輩「なんか、すみません……」
兄「なんでだ?」
後輩「良くして貰ってるばかりで、その」
兄「俺がしたいからしてるんだ。気にすることがあるか?」
兄「それよりさ、どうだ?シチューの出来」
後輩「あ、あ、はい!凄く美味しいです!暖かくて!それで甘いッ」
兄「良かった。もっと食え、ほらおかわりまだあるぜ」
後輩「妹ちゃんは?」
兄「起きたら、作ってあげる事にする。冷めた飯なんて不味いだけだろうしな」
後輩「ほんと、優しいですね」
兄「お節介なだけさ」
兄「こんなろくでもない奴を、兄と慕ってくれる妹だぜ」
後輩「そんな、ろくでもなくなんかないですよ」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:35:49.28 ID:NFYAsSzf0 [8/49]
兄「どうだかね」
後輩「どうでもないです」
兄「……暗いな、送っていこうか?」
後輩「え、あ、そ」
兄「イヤとは言わせないぞ、流石に暗い」
後輩「は、はい……」
兄「……妹は、まだ寝てるな」
兄「よし、それ食ったら送るからな」
後輩「は、はい」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:57:07.16 ID:NFYAsSzf0 [9/49]
くそ、寝ます。
残っていたら、続き書きます。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 06:33:20.06 ID:NFYAsSzf0 [10/49]
起床したけど、またすぐ離れるかもです。
保守ありがとうございました!
後輩「うはぁ、寒い……」
兄「そりゃ、真冬の夜だからな」
後輩「……すみません、上着借りちゃって」
兄「気にすんな。いいって」
後輩「ほんと、色々と」
兄「そういうのはさ、俺が何か頼み事をする度に消化されてるんだぜ」
後輩「え?」
兄「今日妹の面倒見てくれたじゃないか」
後輩「あれは、ただ話していただけで」
兄「それさ。それでいい。それがありがたいんだ」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 12:37:59.98 ID:NFYAsSzf0 [11/49]
保守ありがとう。
後輩「星綺麗ですね」
兄「空気が澄んでるからね。良く見える」
後輩「……あの」
兄「ん?」
後輩「今日は、ありがとうございました」
後輩「なんだか、凄く長かったような。短かったような」
兄「はは、まぁ、色々あった日だからさ。俺にとっても」
後輩「いッ、色々!?」
兄「うん。お前が考えているのとは違うね」
後輩「そんな満面の笑みを湛えられても……」
後輩「あ、もうあそこなんで、大丈夫です」
兄「そっか、気をつけろよ。近いとはいえさ」
後輩「はいっ、ありがとうございましたっ!」
兄「おやすみ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 12:43:50.85 ID:NFYAsSzf0 [12/49]
後輩「お、おやすみです!」
――
兄「……。さて、そろそろ妹が起きる頃かな」
兄「軽く走っていくか」
――
妹「……ぅ」
妹「……れ、あれ」
妹「兄さん……後輩さん……」
妹「……兄さん?どこ?」
妹「……」
妹「……どこ行っちゃったのよ」
ガチャン......
兄「ハァ、ただいまー」
妹「に、兄さん!」
兄「すまん、後輩送ってたからさ。すぐに飯作るよ」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 12:48:37.39 ID:NFYAsSzf0 [13/49]
兄「いやぁ、外ホントー寒い」
妹「大丈夫?」
兄「ああ、ありがとう」
兄「外見てごらん、雪降ってるから」
妹「……ほんとだ」
兄「だろ?走ってたとは言え、寒かったよ。めちゃくちゃ」
妹「ふふ、兄さん、明日はイヴだよ」
兄「あ、そうだったな。うーん。どうするか」
妹「いいよ、私は。兄さんの手料理美味しいから」
妹「……私も作れるようにならないとな」
兄「ん?どうした?」
妹「ううん。なんでもない。シチュー?」
兄「ああ、美味しくないかも知れないけどさ」
妹「嘘!兄さんの料理が不味いなんて、そんなのありえないよ?」
妹「そんな事が起きたら、それこそ怖いよ~」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 12:56:20.10 ID:NFYAsSzf0 [14/49]
兄「ほい、完成だ」
妹「良い匂い……流石兄者」
兄「妹者よ、それは褒めすぎというものだ」
妹「ふふ、ノッてくれてありがと。兄さん」
妹「やっぱり兄さんは、凄いね……」
兄「何言ってるんだ。学力ではお前にボロ負けさ」
兄「どうぞ」
妹「いただきまーす」
兄「テレビ点けるか?」
妹「いいよ。大丈夫。兄さんのシチューをゆっくり味わいたいのでござる」
兄「なんでござる」
妹「いいじゃないの。美味しいから気分がいいの」
兄「なんだそれ、頂きます」
妹「うっ、私ニンジン駄目なんだよなぁ」
兄「ちゃんと食べなさい」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:05:20.63 ID:NFYAsSzf0 [15/49]
妹「うぐ……し、しかしですね兄者」
兄「どうしたら食べてくれるのかね、妹者」
妹「そ、そのですね」
兄「うん」
妹「こ、こんな事頼むのは、少々アレかもしれないけど……ううん」
兄「ほら、早く早く」
妹「あ、頭とか、撫でてくれたらなぁ……な、なんて」
兄「んだよ、それくらい……ほれ」
妹「……」
兄「……こんなんで、いいのか?」ナデナデ
妹「う、うん……うん」
妹「……ありがと、ニンジン食べるよ」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:14:59.94 ID:NFYAsSzf0 [16/49]
妹「……兄さんはさ」
兄「ん?」
妹「か、彼女さんとか、い、居るの?」
兄「居ないよ。今は独り身でいいんだ。どうだろうな。一生いらないかも」
妹「そ、そう……」
兄「どうかした?」
妹「ううん、ごめんなさい。余計な事聞いちゃって」
兄「いいさ。別に聞かれて困ることじゃあない」
兄「そんなシケた顔で食べる飯なんて、美味しくないだろ?」
妹「ごめん……」
兄「いいって、ほら、おかわりあるぜ?」
妹「うん……」
兄「……どうかしたか?」
妹「う、ううん。なんでもない。うはー美味しい!」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:32:50.05 ID:NFYAsSzf0 [17/49]
兄「……」
兄「風呂沸いてるからさ、先に入っちゃえよ?」
妹「うん」
兄「……」
――
ザー......
妹「……」
妹「だよね、仕方ない」
妹「……ごめんね。兄さん」
――
兄「……」
兄「……こういう時に限って、雪ってのは気に入らないな」
兄「……はぁ、どうすっかね」
兄「妹の奴、こんなろくでもない奴を……」
兄「ったく、対応に困るだろ……ほんとに」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:48:34.47 ID:NFYAsSzf0 [18/49]
妹「……上がったよ?」
兄「お、そうか。ちょうど皿洗いも終わったんだ」
兄「それじゃ、俺入ってくるから」
妹「……うん」
――
妹「やっぱり変だよ……最近、なんか」
妹「……うー。あー……兄さん……」
妹「いかん、頭の中が大変な事に……お、落ち着くんだ。COOLになれ……」
妹「……ほ、法律上では問題無いわけで……」
妹「いや、しかし……ううん。いやいや……でも」ブツブツ
妹「うわあああ兄さんあああああん!!!」
兄「……ど、どうした!?」ガラッ
妹「……へ?」
兄「……おおう……」
妹「か、か、と、とりあえず、か、隠そうよ……み、見えてる……」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:54:17.47 ID:NFYAsSzf0 [19/49]
兄「す、すまん」
兄「い、いきなりどうしたんだよ……へっくしょん」
妹「な、なんでもないよ!ほ、ほら、早くお風呂に戻って。風邪引いちゃうよ」
兄「あ、あぁ」
妹「……なんて事をしてくれるんだ」
妹「……」
――
兄「……やってしまった」
兄「うぐぐ……もうあいつと顔を合わせられない……」
――
妹「……」
兄「……」
妹「私が悪かったです。すいません」
兄「あ、いや、俺こそ」
妹「……うん、ごめんなさい」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:03:13.78 ID:NFYAsSzf0 [20/49]
兄「……まぁ、その」
妹「ほ、ほら、保険体育で習ってたし、違和感ZERO!RO!」
兄「そ、そうか」
妹「う、うん。むしろ……いやなんでもない」
兄「……どうする?」
妹「うーん。寝る」
兄「だよなぁ」
妹「……べ、ベットの中は凄く冷たいんだよなぁ」
兄「……」
妹「こ、このままだと風呂上りで、風邪をひ、引いちゃうかもなぁ
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:07:03.08 ID:NFYAsSzf0 [21/49]
おおっと、タイプミス
妹「こ、このままだと、風呂上りで。風呂上りで!」
兄「あ、あぁ……ふ、風呂上りで?」
妹「か、風邪とか、ひ、引いちゃうかもなぁ~ヤバいなぁ~」
兄(な、なんて遠まわしでいやらしい無言の圧力だ……)
妹「そうなったら大変だろうなぁ~私体弱っちぃからなぁ~」
兄「わかった。わかったから」
妹「……では」
兄「寝るよ。寝ればいいんだろ。一緒に」
兄「あのさ。お前、中三でそれは――」
妹「そ、それでは、いざ!!!」
兄「……そんな意気込まんでも」
妹「……そ、そうだね」
妹(や、やったぞ!兄さんと寝れるぞ!やったね!)
兄「……はぁ、ほんと、様変わりの生活が始まったわい……」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:19:21.54 ID:NFYAsSzf0 [22/49]
兄「……な、なぁ、そんなにくっつかんでも」
妹「……」
兄「あのさ?妹さん?」
妹「……」
兄「そ、そんな、そっぽ向かれていたら……。はぁ……」
兄「わかったよ。わかったから。そんなに強く、くっつくなって」
妹「兄さんの足、冷たいなぁ」
兄「お前は異様に暖かいけどさ」
妹「……あのさ、兄さん」
兄「そんなに顔近いと、俺、寝相悪いから、ぶつけちまうかもよ」
ごつん
妹「……痛ぁ」
兄「ほら、言わんこっちゃない。大丈夫か?」
妹「うん……なんかヌクヌクしてきた」
兄「ヌクヌクか」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:21:52.41 ID:NFYAsSzf0 [23/49]
妹「程よい温度」
兄「なんか生々しいぞ」
妹「兄さん」
兄「ん?」
妹「……少し、話とか」
兄「話?いいけどさ」
妹「うん。ありがと」
妹「ほとんど愚痴だけど」
兄「いいよ。そのうち眠くなってくるだろうしさ」
妹「中学でさ、みんな髪を染めだすんだ」
兄「あぁ、まぁ、そうだろうな。お前は珍しく何もしていないけどさ」
妹「ふふ、ハゲちゃったり、枝毛になるのは、嫌だから」
兄「さらっさらだな」
妹「触ってみる?」
兄「おいおい、イイって。遠慮しますよ」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:25:24.89 ID:NFYAsSzf0 [24/49]
妹「なんだ、兄さんならいいのに」
兄「いいって」
妹「ぶー。まぁ、いいけど」
妹「それでさ、やっぱり、私ってちょっぴり長めじゃない」
兄「あぁ、だな」
妹「それで、目立つわけ。みんな口々に言うのよ」
妹「『えぇ~!?妹ちゃん染めないの~!?ダサいよソレ~!?』」
妹「うるせぇ!テメェらの事なんざ知ったこっちゃねぇ!」
妹「私は。私です。ってね」
兄「よく言った。流石だ」
妹「うん。ありがと。でさ、なんでこう。みんなに合わせようとするのかな」
兄「そういう年なんだよ。仲間ハズレにされたくないのさ」
兄「その点、お前はしっかり『自分』ってのを守ってる」
兄「偉いぞ」ナデナデ
妹「そ、そうかな……えへへ」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:35:24.72 ID:NFYAsSzf0 [25/49]
妹「……、いっつも憂鬱になってたんだ」
妹「『成績が。友達が。担任が。両親が』」
妹「どうしよう。どこに行けばいいんだろう。どうすればいいの」
妹「ずーっと。こんな感じで。それで、もうヤバい。って時に、兄さん頼ってみようって」
兄「あぁ」
妹「迷惑だった?」
兄「いや。ちょうど休みだったし、良いタイミングだろうよ」
兄「それに、俺はいつだって、お前に『駄目』なんて事は言わないさ」
妹「甘いよね」
兄「違うぞ。それは違う。当然の事だ」
兄「嫌いでもない奴を、拒む理由なんて無いんだからな」
妹「……ほんとにさ、『あの』兄さんが。どうしてこうなったんだか」
兄「いやぁ、あの頃は俺も荒れてたからなぁ」
妹「ほんと。まぁ、それでも兄さん。って感じだったじゃない」
妹「私の誕生日とか、必ずお小遣いでプレゼントくれたし」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:46:29.37 ID:NFYAsSzf0 [26/49]
妹「『お小遣い』ってのが、大事」
兄「はは、細かいな」
妹「いいの……。うん。眠くなってきた」
兄「寝るか?」
妹「……少しの間、私が寝るまで、起きていて」
兄「ん?あぁ、いいぞ」
妹「ぜったい。ぜったいだよ」
兄「あぁ、約束する」
妹「手、繋いでてもいい?」
兄「あぁ、いいよ」
兄「おやすみ。起きているから」
妹「うん……う、ん……」
兄「……」
妹「……」
妹「……zzZ」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 15:30:45.83 ID:NFYAsSzf0 [27/49]
ちょっちPC離れるよ
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 15:39:16.50 ID:NFYAsSzf0 [28/49]
――
兄「……」
妹「……」
兄「……よっと」
妹「んん……」
兄「……ふう、起きてないな」
兄「……うう、寒い」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 15:56:23.67 ID:NFYAsSzf0 [29/49]
兄「……凄いな、雪がつもってる」
妹「……おはよう」
兄「ああ、起こしちゃったか?」
妹「ううん。自分で起きた」
兄「パン食べるか?」
妹「ありがと。食べたいな」
兄「んじゃ焼くよ、座ってテレビでも見ていて」
妹「うん」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 16:20:42.49 ID:NFYAsSzf0 [30/49]
TV「――ムカつくから、殺した。昨夜、小学四年生の――」
妹「……物騒だね」
兄「……あぁ」
兄「人間だからな。ありえない事はない」
妹「……うん」
兄「……ほら、熱いと思うから、気をつけるんだぞ」
妹「はーい」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 16:55:42.77 ID:NFYAsSzf0 [31/49]
兄「……今日はどうするか」
妹「うーん」
兄「また少し、散歩でもしようか?」
妹「いいかも」
兄「その後に、少し勉強するって感じか」
兄「まぁ、お前はちょっち教えればすぐに覚えるからな」
妹「そんな事ないよ、兄さんの方が凄い」
兄「んなわけあるかい」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 17:21:01.90 ID:NFYAsSzf0 [32/49]
――
兄「……よし、準備出来たか?」
妹「いいよ、できた」
兄「……よしいくか」
――
兄「……寒いなー」
妹「……どうして」
兄「ん?」
妹「なんで生きるの……かな……なんて」
兄「それは人それぞれだろうさ」
妹「……うん。ごめん」
兄「なんで謝るんだ?」
妹「こういうのって、単なる迷惑かな……って」
兄「あのな、俺が嫌だ。なんて言ったか?」
妹「……うん」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 17:26:25.63 ID:NFYAsSzf0 [33/49]
兄「そうだなー。俺が言っている事はかなり参考にならないだろうさ」
妹「……」
兄「それでも、聞きたいってなら、教えてやるよ」
妹「……教えて」
兄「じゃあお前は、誰かに何の意味も無く殺されたいか?」
兄「理由もなく、願いでも怨みでもなんでもない」
兄「ただ、殺す。なんて理由で、殺されたいか?」
妹「それは……いやだよ」
兄「だろ?そういう事だ。俺が生きてる理由なんて、確かに色々社会的な面もあるさ」
兄「けどさ、そうじゃない。それじゃ、納得なんて俺は出来ない。俺は卑屈だからな」
兄「要は純粋に、生きたいのさ。俺は義人じゃないし、まして悪人でもない」
兄「空虚だし、つまらないし。そんな人間だ。でも、殺されたくない。無為な理由でなんてな」
兄「結局は、そういう事だ。それだけ」
妹「……そっか」
兄「悪かったな。少し説教臭くなって」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 17:39:47.34 ID:NFYAsSzf0 [34/49]
会長「ああ、実に青臭い説教だったな」
妹「あれ、後輩さん」
後輩「おはよー。朝早いねー。……うう」
兄「あれ、会長珍しいですね」
会長「ああ、後輩に少し学校の事で、手伝って貰おうと思ってな」
後輩「いきなり朝『起きろ。学校の事だ。手伝ってくれ』ですからねー」
後輩「いくら美人でかっちょいい会長のお願いでも、冬休みくらいは(ry」
会長「察するに、君は兄君の妹さんか」
妹「は、はい」
妹(凄い……美人……兄さん、こんな人が周りに)
友「か、会長ぉ~」
会長「やっと来たか。友は少し鍛えた方がいい」
会長「私は光高で生徒会のリーダーをしている者だ。会長とでもなんでも呼んでくれ」
妹「は、はい」
友「あれ、今日は賑やかっすね」
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 17:47:11.42 ID:NFYAsSzf0 [35/49]
友「おお、兄じゃないか」
兄「お前も会長に呼び出されたのか?」
友「まあな」
会長「友は優しいからな。私は信じて疑わなかった」
会長「流石、私のパートナーだよ」
友「あ、はは」
妹(……?)
兄(二人はお付き合いしているんだ)
妹(……へぇ、そうなんだ)
会長「ふ、妹さん。友は見た目はチャラチャラしているが、この時代には珍しい硬派な人柄だよ」
妹「へ!?あ、いえ、決してそんな」
友「いいよいいよ、俺って、そういう奴だからさ~」
後輩「そうですよ。私にも理解出来ませんね。今でも会長と友先輩がキャッキャウフフな関係だなんて」
会長「私たちはいつでも、きゃっきゃうふふ。だぞ?昨日だって友と(ry」
友「だぁーッ!だぁー!!さ、もう行こうか会長、後輩よ!!じゃあな!兄!そして妹さん!!」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:12:21.98 ID:NFYAsSzf0 [36/49]
兄「……まぁ、うん」
妹「ははは……」
妹「……今日はイヴなのに、人少ないねぇ」
兄「そりゃ、駅に行かないとな」
兄「ここらには、廃線駅とか、川とか、まぁのどかな場所だからな」
妹「ほーんと、欠伸が出ちゃうよ」
妹「それが気に入って、兄さんはここに来たんでしょ?」
兄「ああ……」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:23:27.33 ID:NFYAsSzf0 [37/49]
兄「……晴れるのはいいんだけどさ」
妹「寒いよね」
兄「夏にならないかね」
妹「夏かぁ~いいなぁ~」
兄「夏はいいぞ~ここら辺は高地だから、涼しい上に川もある」
兄「いやぁ~去年はえがった。実に」
妹「私も、遊んでみたいな。色々」
兄「海も近い。ただ、唯一の難点は、店とかが、総じて小さい」
妹「でもま、そんなのネットの発達した今では、無問題?」
兄「正解だ。だからこそ俺はここに居る。むしろ卒業してもここに居たいくらいさ」
兄「まぁ、少し賑やか過ぎる連中も一緒だけどな」
妹「私は好きだけどな」
兄「疲れるぞ~?」
妹「それがいいんじゃん」
兄「そっかい。なんか飲むか?」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:42:06.88 ID:NFYAsSzf0 [38/49]
ガタン
兄「……」
妹「兄さん、ブラックなんて飲めるの」
兄「飲めるんじゃない。飲むのさ。好きだから」
妹「ふーん。ココアの方が美味しいと思うけど」
兄「ホットココアの美味さは異常。認めるけど、今日はコーヒー飲みたかったんだ」
妹「……冬って」
兄「ん」
妹「こう、昼間の空は、レースがかかってるような。そんな感じがする」
妹「夏は、入道雲で高いと思うし、秋は澄んでる……のかな。空が」
兄「……お前がそんな事言うから、来年が恋しくなっちまったよ」
妹「私だってそうだもんね。春とか」
兄「春かぁ……桜かー。いいかもなー」
妹「やっぱ夏?」
兄「うん。思い入れがある」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:46:47.94 ID:NFYAsSzf0 [39/49]
>>105会長を射止めてしまう程の魅力が友にあったというわけで。
妹「……例えば」
兄「お前とずーっと昔に、裏山に遊びにいった」
兄「その時にさ、川だの虫だの。凄く印象に残っているんだよな」
兄「なんていうか、ホタルとかも」
妹「覚えてないや。私……」
兄「はは、本当に日常だったからな」
妹「……あ」
兄「ん?」
会長「……おお、居たな。おーい兄君!」
友「居た居た」
後輩「せ、ん、ぱぁ~ぅい!!!」
後輩「とぉぅッ!!」
兄「やらせん!!!」
ドシンッ......
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:51:38.30 ID:NFYAsSzf0 [40/49]
後輩「……い、痛い」
兄「そのまま受け止めるとでも思ったか」
後輩「……く、くそ、狙っていたのに……ッ!」
妹「だ、大丈夫ですか?」
後輩「うえぇ~ん……妹ちゃぁ~ん……」
兄「お、おい!人の妹に何抱きついてんだ!!」
妹「い、いいじゃないですか、兄さん……これくらい」
後輩「う~ん。柔い。実に柔いなぁ~」グリグリ
妹「は、ははは」
会長「妹さんが困っているぞ、後輩君」
後輩「おっと、いけね……ごめんね、妹ちゃん」
妹「いいですよ。構いません」
後輩「な、なんて優しいんだぁ~……」
友「これからさ、学校で焼き芋焼くんだぜ。お前も来るか?」
兄「焼き芋か……昼飯にちょうどいいな。妹はどうする?」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 19:24:47.98 ID:NFYAsSzf0 [41/49]
妹「兄さんが行くなら」
兄「決まりだな」
後輩「わぁ~ぃ!みんなで焼き芋パラダイスだァーッ!!」
会長「では行こうか」
友「うっし」
兄「ご一緒させていただきますね」
会長「遠慮するな。近所のおじいさんから頂いたんだ。枯葉を焼くついでさ」
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 19:38:15.73 ID:NFYAsSzf0 [42/49]
飯を食べます。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 20:48:20.06 ID:NFYAsSzf0 [43/49]
――
妹「……ここが」
会長「ああ、光高だ。先生の殆どは今は居ない」
後輩「会長は、有言実行能力のおかげで、先生達から絶大な支持を集めてるんですよ」
妹「す、凄いんですね……」
会長「あそこに枯葉の山があるだろう?」
友「煙も上がってるな」
会長「見てもらっていたんだ。残っている先生らに頼んでおいた」
会長「いい感じだ。後輩君、倉庫に飲み物があるだろうから、持ってきてくれ」
後輩「サー、イエッサー!」
兄「……良い匂いがするな」
友「オマケにこの辺りは暖かい。一石二鳥だな!!!」
妹「す、少し煙が強いけどね……」
兄「まぁ、そこは我慢だな」
後輩「かいちょぉ~もって来ましたよぉ~って」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 21:02:06.35 ID:NFYAsSzf0 [44/49]
後輩「うでッ」
ドシンッ
後輩「……に、荷物は、し、死守しますた……」
友「こうはぁぁぁぁぁいッ!!!」
ガクッ
会長「後輩君……立派な戦士だった」
妹「い、いつもこのノリなんですか?」
兄「ああ、変化球が基本的に多い」
会長「ん、そろそろだ。みんな。食べよう」
友「お、きたね」
後輩「ハッ!わ、私も」
会長「手を洗ってくると良い」
後輩「サーイエッサー!!」
兄「……」
妹「兄さん、なんでニコニコしてるんですか?」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 21:13:11.92 ID:NFYAsSzf0 [45/49]
兄「ん?なんでだろうな。気味悪いか?」
妹「あ、いえ……そんな事は」
会長「それでは、頂きます」
友「だきまぁぁぁぁぁす!!!」
後輩「だきむぅぁあああああばばばばば」
会長「こら後輩君、そんな食べ方をしていたら、喉に詰まってしまうぞ」
後輩「ふぉんなほぉんひゃいひょうれすよ(そんなもん大丈夫ですよ!)」
後輩「……うぐ、げほっげほっ……ひっく、ひっく」
兄「言わんこっちゃないな……」
妹「……甘くて美味しいですね」
兄「ああ。美味い」
友「けど会長、どうして焼き芋なんだ?もっとエレガンツなもんでも食うのかと思ってたけど」
会長「私は基本、美味ければいい。美しければいい。可愛ければいい。そういう人種なんだ」
会長「まぁ、無論。自己の人格も、美しいものではないと、認められないがね」
会長「その点で言えば、君は本当に綺麗だよ。友」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 21:21:01.27 ID:NFYAsSzf0 [46/49]
友「あ、お、おい……みんなが見てるだろ……」
会長「ふふふ、何を言うんだ。見せ付けてやろうじゃないか」
友「あ、駄目だって、そんな。あ、ア――ッ!」
妹「……」
後輩「妹ちゃん、顔赤いよ?」
妹「その、仲がいいのは、良いk、事だと、思うん、ですが」
後輩「ワタシは見慣れちゃってるからかなー。妹ちゃんにはまだ早かったかな」
兄「会長、妹はまだ免疫が無いんです」
会長「む、では止そうか。すまなかったね」
妹「あ、いえ、そんな」
友「……はぁ、ハァ、す、凄かった」
後輩「具体的に?
友「そ、それは……主に……って!てめぇ!!」
後輩「ひひwwwさーせんwww」
兄「……」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 21:29:57.97 ID:NFYAsSzf0 [47/49]
妹「……空が赤い」
後輩「おおっと、夕方ですねぇ」
後輩「寒いですねー。こんな時は人肌で温まるべき」グリグリ
妹「うー……」
後輩「んにゃあああっ!妹ちゃんかわいいよぉぉぉっ!!!」カイグリカイグリ
友「お、おい、いいのか?」
兄「……」
兄(妹よ……少しだ。少しの辛抱だ)
妹(……りょ、了解)
兄「こ、後輩、どうだ?食うか?」
後輩「フンスー...良い匂いだなぁ、スンスン......ん?」
後輩「せ、先輩の食べかけッッ!!これはッッ!!間接キスッッ!!!」
後輩「いただきます!!!あ~ん」ガブリ
兄「……」
後輩「あ、あつううううううううううううううッ!!!!」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 22:07:07.55 ID:NFYAsSzf0 [48/49]
兄「セクハラはよくないよなぁ、うんうん」
後輩「は、謀ったな!先輩!!」
兄「後輩、君の生まれの不幸を呪うがいい」
兄「君の性癖がいけないんだよ!ハァーッハッハッハッ!!」
兄「あれ、ここから先、どうだったかな――たしかガルマが――」
会長「ほら、後輩。飲み物だ」
後輩「は、はひひゃとうひょひゃいまひゅ(ありがとうございます」
会長「君も、意外に鬼畜だな」
兄「妹は優しいですから、後輩に良い様にされているのは気に入りませんので」
会長「そういう事か」
妹「は、はは……」
友「おーい、大丈夫かー」
後輩「……おのれ……」
後輩「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ!」
兄「もう呆れるしかないな」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 22:41:26.28 ID:NFYAsSzf0 [49/49]
兄「……」
妹「……」
兄「美味いか?」
妹「うん、凄く」
兄「そうか、それは良かった」
兄「そうだ。俺は少し、用事があるから……後輩」
後輩「はい?」
兄「これ鍵な。妹を、帰りに送ってやって欲しいんだ」
兄「こっちには慣れてないからさ」
後輩「先輩の頼みなら全然OKですよ~」
友「ってか、舌直るのはやいな」
会長「後輩君は再生能力だけはダントツだからなぁ」
妹「兄さん、何かあるの?」
兄「秘密だ。芋食ったら、後輩と暇潰していてくれ」
兄「それじゃ、俺は行くから」
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 12:55:35.45 ID:BJ0ebN4P0 [3/25]
妹「……」
後輩「なんでしょうかねぇ」
妹「兄さんは、よく分かりません」
後輩「そんなもんですよ。妹ちゃんわたしの事分かる?」
妹「……あ、いや、その」
後輩「い、いいよ……うん。大丈夫だ。問題ない……」
会長「良い夕日だね」
友「あぁ……芋も美味い」
後輩「……ぬあああああっ」
妹「こ、後輩さん!後輩さん!」
後輩「か、かまって欲しいんだよぉぉおうううあああああんっ」
――
兄「……」
兄「ぎりぎかな、なんとか交渉すれば……」
店員「いらっしゃぁーい」
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 13:04:45.09 ID:BJ0ebN4P0 [4/25]
>>140
次の難易度を選んでください。
乗っ取りなので、今後の方針を(ry
―――
→ ハード
妹ちゃんとちゅっちゅしたいよぉ~
鮮血END
なんか適当に。
―――
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 14:17:41.50 ID:BJ0ebN4P0 [5/25]
んじゃ、妹ちゃん一択にしまする。
会長「……もう時間もそろそろ頃合だろう」
妹「美味しかったです」
会長「ああ、満足してくれたようで、なにより」
友「あー、眠くなってきたぜ」
会長「まだ寝る時間ではないぞ?それとも私と寝たいのか?」
友「あ、いや、そういうわけじゃ――」
会長「用事が出来た。私達はこれで失礼する」
友「あ、おい、妹ちゃん、後輩、またな――」
後輩「……送りますかね」
妹「お、お願いします」
後輩「あれがフツーだから、仕方ないね」
妹「仕方ないんですか……」
後輩「うん。あれはね。仕方ない」
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 15:35:38.45 ID:BJ0ebN4P0 [6/25]
すまん。妹フォルダでニヤついてたら寝てた。
後輩「……うぶぶ、寒くなってきた」
後輩「会長も帰っちゃったしなぁ。この後片付けは先生達がするって言ってたけど」
妹「なんだか、申し訳ないです」
後輩「え?そんなことはないですよ。この後先生達も食べるそうです。程よく冷めた奴」
妹「ああ……」
後輩「んじゃ、送りますぜ妹ちゃん」
妹(この人って、普通にしていれば良い人なのに……)
後輩「……♪」
妹「……お願いしますね!」
後輩「あいよーう」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:10:00.79 ID:BJ0ebN4P0 [7/25]
後輩「……」
妹「……なんか、やけに赤いですね」
後輩「空が?」
妹「え?あ、はい……なんというか」
後輩「……先輩は」
妹「……はい」
後輩「先輩は、優しい?」
妹「……兄さんは、時々変なくらいに優しいですよ」
後輩「だよなぁ……そういう人だから」
後輩「きっと、妹ちゃんのそういう顔が見たくないんじゃないかな」
妹「え?」
後輩「凄く俯いてる。そんな妹を見たくない。なんて優しい先輩」
妹「……」
後輩「ねぇ、妹ちゃん」
妹「……なんですか」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:25:01.56 ID:BJ0ebN4P0 [8/25]
後輩「先輩は、妹ちゃんに笑っていてほしいんだよ」
妹「……」
後輩「なんだろうね。よくわかんないけど、そういう気がするんだ」
後輩「わたし、頭悪いから、よくそういう事はわかんないんだけど」
妹「いえ、後輩さんは私なんかより……ずっと」
後輩「ずっと?」
妹「明るくて、個性があって……綺麗で……」
後輩「わたしは綺麗なんかじゃないよwww」
妹「……」
後輩「ご、ごめんね……でも」
後輩「わたし、そんなに明るくないよ。実際は」
妹「?」
後輩「30分毎に、約15回程は憂鬱になれるねっ!」
妹「……は、はぁ」
後輩「あぁ~なんで私こんな事も出来ないの。また空気読めてない」
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:33:32.26 ID:BJ0ebN4P0 [9/25]
後輩「ああ辛い。伸び白の少ない自分がイヤ。苛立つ」
後輩「それで、初めて先輩と知り合ってから、少しして、勢い余ってやつ当たりしちゃったんだ」
後輩「ひたすら『どうすればいいの』なんて。考えても考えても。なんて」
妹「……」
後輩「……けど、先輩は、別に俺もよくなるよ。って」
後輩「どうなんだろう。誰も悪くない。けど、いつからか俺は急ぐように生きるようになってた」
後輩「そうすればいい。そうするべきなんだから。そうやって信じて生きてきた」
後輩「いや、これは何も知らない容器に、あれこれ入れた周りが悪い。なんて考えた」
後輩「けど、もう随分前で、覚えていないけれど。ある程度、自分のペースで生きよう」
後輩「ある程度だけどねwはは、そこ強調されました。そして実にくだらないありきたりな、ある程度の区切にしかすぎないんだって」
妹「兄さんって、頭いいですよね」
後輩「どうなんだろ。吹っ切れてるんじゃないのかな」
後輩「でも、時々苦しいみたいだけど……。そこは、なんだかウヤムヤだったなぁ」
後輩「そういう真面目な話もあったり、わたしの勢いを受け止めてくれたり、お世話になってばかり」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:44:27.49 ID:BJ0ebN4P0 [10/25]
妹「……兄さん、説教臭いですね」
後輩「でも、それを頼んだのは私なんだー」
後輩「うう、難しい話をしすぎて、頭が少しくらくらするなぁ」
後輩「とにかくさ、思うこと一杯だろうけど、妹ちゃんにはいっぱいあるから」
妹「……いっぱい?」
後輩「うん。きちんと、自分で築いてきたものがあるじゃないのさ」
後輩「先輩が居て、会長や、友の奴だって、きっと妹ちゃんの事を見ているよ」
妹「後輩さんだって」
後輩「いやいや、わたしなんて、そんな役に立ちません変態なんでッ」
妹「はは……」
後輩「『なかなか飽きることなく、上げ続ける首も痛いけれど、空は高い。それでいい』」
後輩「それでいいじゃないかってね。これ会長作」
妹「……なんか、会長さんってほんと凄いですね」
後輩「そりゃぁ、友とのいちゃらぶを平然と見せ付ける人ですからねwぱねぇw」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:48:57.94 ID:BJ0ebN4P0 [11/25]
後輩「さて、わたしはこの辺で」
妹「わざわざ、下まで来てもらって……」
後輩「いいのいいの!今日は何だかスッキリしたから!色んな意味で」
妹「い、色んな意味で」
後輩「本当は、今すぐにでも妹ちゃんにルパンダイブしたいんだけど」
妹「……」
後輩「先輩が居るんで、遠慮しておきますねっ」
兄「おい、それはまたやらかすというこt」
後輩「それじゃあぁあぁああぁぁぁまたいつかぁああっぁああぁああああ」
兄「くそ、逃げ足だけは速いやつめ」
兄「……お、妹。一番星だ」
妹「……あれ?」
兄「あー、もうちっと左下」
妹「おっ」
兄「……今日は運がいいかもな」
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:51:40.62 ID:BJ0ebN4P0 [12/25]
兄「寒くなかったか?」
妹「うん。大丈夫」
兄「そっか……」
妹「後輩さんの事は聞かないんだ」
兄「ああで、あいつも真面目に通す所はある」
妹「信頼してるんだ……ふーん」
兄「な、なんだよ」
妹「べーつに」
妹「それって――」
兄「あぁ、クリスマスケーキ。兄貴サンタからのプレゼントっぽいブツだ」
妹「っぽいブツなのか」
兄「おう」
妹「そーなのかー」
兄「なんで棒読みになるんだよ」
妹「いやぁ、なんていうか。私にそのネタは……」
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 17:01:49.90 ID:BJ0ebN4P0 [13/25]
妹「まぁ、いいや」
兄「いいんかい」
妹「はやくケーキ食べようぜ!」
兄「お、おう」
妹「ショート?チョコ?」
兄「おっと、ショートだ」
妹「今日から御兄賛(おにいさん)と呼ばせてください」
兄「なんていう当て字……!」
――
妹「美味い美味い」
兄「おいおい、食いすぎじゃないか?」
妹「兄さんの手料理も相まって、美味いのなんのって――」
妹「あ、いや、こういう時、私が料理すればいいんだけど……」
兄「お、おい?」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 17:06:55.84 ID:BJ0ebN4P0 [14/25]
妹「はぁ……なんという不出来な」
兄「ん、んなことないぞ!ほら、ちょ、ちょっとこっち見てみ」
妹「……」
兄「oh...」
妹「ぷっ、な、なに、そ、その顔……くふふふっ」
兄「ほら、その顔だけでも一級だ」
妹「……と、鳥肌が」
兄「わー!わー!すまんかったァッー!」
妹「冗談」
兄「だからさ、俺からすれば、お前はそのままでいいんだって」
兄「どうしたいかはお前の自由だけどさ。何も責める事は何もないぜ」
妹「……ありがと」
兄「お、おう。あ、それと、これ」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 17:59:42.36 ID:BJ0ebN4P0 [15/25]
妹「……」
兄「お前、欲しがってたじゃないか」
妹「高かったはず……」
兄「んなもんどうにかした」
妹「どうにかって……」
兄「……プレゼントだ。受け取ってくれ」
妹「……綺麗な懐中時計だね。もっと高いものと比べても劣らないよ」
兄「そ、そうか」
妹「……ありがとう」
兄「おうおう」
妹「……兄さん、私からもプレゼントがあるんだけど」
妹「少し、目を瞑っていてくれないかな」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 19:41:05.11 ID:BJ0ebN4P0 [16/25]
兄「あ、あぁ」
妹(……よ、よし)
兄「……」
妹「そ、それじゃぁ……」
兄「……な、なぁ」
妹「……んっ」
兄「……」
妹「……」
兄「ほ、ほっぺにキスとか、き、聞いていないんだが」
妹「だってさ、これくらいしか思いつかなかったんだもん」
妹「……やっぱり、イヤだった?兄さん」
兄「あ、いや、なんていうか、そのですね」
妹「うん」
兄「うん。その。柔らかかった」
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 20:19:12.19 ID:BJ0ebN4P0 [17/25]
妹「……ほ、他には」
兄「うーん。意外だった事と、良い匂いがしt」
妹「言うなあああっ!!」
兄「いやいや、妹が言えって言うからさ」
妹「あのね、そういう問題じゃあないんじゃないかと」
兄「じゃあどういう問題なんだよ」
妹「……な、なんていうか、その」
兄「……わかったよ。わかった。でも悪い気はしないよ」
妹「そ、そう」
兄「あぁ、可愛い妹に愛されるのは、俺としてはエネルギー供給すんのと同じだ」
妹「なにそれ」
兄「例えだよ、例え」
兄「俺はシスターコンプレックスだからさ」
妹「……そ、そう」
妹(……嬉しいのか、嬉しくないのか……判断に困るなぁ)
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 21:09:05.70 ID:BJ0ebN4P0 [18/25]
妹「……」
兄「ど、どうかした?」
妹「いやぁ、なんでもないよ」
妹「……ブラコンでいいや」
兄「はぁ」
妹「兄さんシスコンなら、私ブラコンね。でしょ」
兄(な、なんか素っ気無いなぁ)
兄「あ、あぁ」
妹「……ありがとね、時計」
兄「ん?あぁ、でもそんなに良い物でもないんだけどなぁ」
妹「そうかなぁ、ここの蓋の裏に彫られてる文字とかそれっぽいよ?」
兄「うーん。店員さん曰く、流れ物だから、価値をつけ難いんだそうだ」
兄「んで、交渉してみたら、見事にゲット出来たんだ」
妹「でも高かったでしょ」
兄「……ま、まぁ……な。はは。気にすんなって」
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 21:19:28.02 ID:BJ0ebN4P0 [19/25]
兄「それさ、ゼンマイ巻いてから、蓋を開けてみな」
妹「え?」
兄「ほら、そこそこ」
妹「ほんとだ。ゼンマイというか、ネジ巻きみたい」
兄「殆ど一緒さ。ちっとばかし高級気味に見えるけどね」
妹「本当に、これ。大丈夫だったの?」
兄「本当だって。本当」
妹「……っと」
兄「巻けたか?」
妹「……うん。蓋、開けてみるね」
兄「おう」
カチャッ
~♪~♪♪~♪~
妹「なんだろう。どこの歌かな」
兄「外国の奴らしいからな。まず日本じゃないな」
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 21:54:37.68 ID:BJ0ebN4P0 [20/25]
妹「なんだか、民謡っぽいね」
兄「あぁ、オルゴール内蔵型とは、凄いなぁ」
妹「これ凄くいい。本当にありがとね、兄さん」
兄「あぁ、気に入ってくれたら、俺はそれでいいよ」
妹「……ケーキも食べちゃったしなぁ」
兄「やることないってか」
妹「なはは……真ん中にオルゴールが着いていて、上の部分に時計があるね」
兄「うん。アンティークっぽくていいな」
妹「……くふふ」
兄「あんまり触ってると、指紋だらけになっちゃうぜ」
妹「いいの。少しくらい汚い方が、愛着が湧くってもん」
兄「そうかい~」
兄(気に入ってくれたようで、なによりだ)
妹「~♪」
兄「こたつはいいよなぁ」
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 22:07:17.54 ID:BJ0ebN4P0 [21/25]
妹「兄さん、足冷たい」
兄「安物だから、暖まるのに時間が(ry」
妹「……みかんうめぇ」
兄「と、言いながら足を絡めてくる妹さん」
妹「私だって寒いんです」
兄「俺の足よりは冷たくないだろう」
妹「お、暖かくなってきた。えい」
兄「人の足を蹴るんじゃありません!」
妹「暖めてるんだよ。運動、運動」
兄「なら、俺だってな。やられっぱなしではないわっ」
妹「な、なにを……」
兄「ふはは、脚の長さで、この一番ぬくい場所は俺が占領したッ」
妹「……うおりゃっ」
兄「……なにっ!?親指と人差指で抓るとは卑怯だぞっ」
妹「戦いは知略だよ兄さんっ」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 23:02:04.27 ID:BJ0ebN4P0 [22/25]
~~
兄「……足、攣ったんだが」
妹「大丈夫?」
兄「……今、伸ばしてる」
兄「いてぇ……」
兄「……ちょうどいいから、お前先風呂入っちゃえよ」
妹「え?あぁ~うん」
兄「換えの服とかは、いつもの所にあるから」
妹「はーい」
兄「……うぐ、また攣って……」
――
妹「兄さん、脚大丈夫?」
兄「大丈夫だ。問題ない」
兄「あのさ」
妹「え?」
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 23:13:11.38 ID:BJ0ebN4P0 [23/25]
兄「その状態で、そのなんていうか」
兄「風邪引くぞ」
妹「おっと」
兄「……」
妹「パジャマ装着完了」
兄「んじゃ俺入ってくるからな、おやすみ」
妹「……」
兄「……な、なんだよ」
妹「……」
兄「……わかった。わかったよ」
兄「寝ればいいんだろ寝れば。一緒に」
妹「わかってるじゃないか、兄さん。流石」
兄「……その無表情に無言の圧力は、耐え難いものがあるからな」
妹「兄さんは嫌?」
兄「あ、いや、その、……別に、悪い。というのは無いけど」
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 23:33:41.99 ID:BJ0ebN4P0 [24/25]
妹「ならいいじゃない。無問題~無問題~」
兄「……信頼されてるのは、嬉しいけどさ」
妹「?」
兄「あ、いや、別になんでもない」
妹「そ」
――
兄「出たぞー」
妹「はやいね」
兄「まぁ、長風呂はよくないからな」
兄「……歯磨いて、寝るか」
妹「うんっ」
兄「……でだ、いつもの通りになったわけだけど」
兄「また起きてるのか?」
妹「……まぁ、うん。お願い」
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 23:53:01.72 ID:BJ0ebN4P0 [25/25]
兄「……」
妹「あー、あったかいなぁー」
兄「そ、そんなくっつくなよ」
兄「寝相が(ry」
妹「でも、私兄さんに一度も蹴飛ばされていないよ?」
兄「うぐ……」
妹「それどころか、兄さんよりも布団一杯かぶってた。兄さんでしょ」
兄「あ、いやなぁ……その」
妹「嬉しいけど、風邪引いちゃうよ」
兄「……あぁ、わかった。わかったよ」
妹「やった」
兄「す、少し近くないか?」
妹「兄さんは人間抱き枕なんだから、いいの」
兄「なんだそれは」
妹「きちんと人権を尊重した、行為です」
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:00:46.81 ID:j1RrGDLr0 [1/21]
兄「どんな行為だよ」
妹「こうしてくっつくことで、安眠を補助してくれる」
妹「って感じの説明で」
兄「……話すのはいいけどさ、寝れるのか?」
妹「寝れるよ」
兄「そんなに絡みつかれると……動き辛いんだけどなぁ」
妹「じゃ、手握ってて」
兄「あ、手か。わかったけど……」
妹「しっかりね。絶対」
兄「あ、あぁ……」
妹「……」
兄(緊張して寝れない……)
兄(徹夜コースかねぇ……いや、そうでもないかな)
兄「……zz」
妹「……っ」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:11:34.99 ID:j1RrGDLr0 [2/21]
妹(……寝ている)
妹(状況確認。兄さんの睡眠を確認)
妹(……よ、よし)
兄「……zzZ」
妹(こ、これは寝返りをうった勢いで……そう、そう)
妹(不慮の事故!事故なんだから……よ、よし)
妹「……ん、んーっ」
兄「……zzZ……うーん……」
妹「ッ、……ぁ、ぶない……はぁ、はぁ」
妹(な、なんという緊迫……完全に目が覚めてしまった……)
妹(つ、次だ。次)
妹「……、んっ……」
兄「……うん……ん……」
妹「!?」
兄「……ん、妹どうした――?」
185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:18:44.66 ID:j1RrGDLr0 [3/21]
妹「――っ」
兄「……」
妹「……」
妹(えええ!?ええええ!?)
兄(……しまった)
妹「んっ――」
兄「っ、す、すまん!これは不慮の事故というか、いや、そのだな……」
妹「……兄さん、これは……」
兄「あ、あの……すまんっ」
ガバッ
兄「ど、どうした?い、いきなり……ってか」
兄「の、乗っかるなって!な?な――」
妹「んっ――」
兄「――っ」
妹(よ、よし……やったぞ……これなら兄さんも何も出来まい)
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:23:13.76 ID:j1RrGDLr0 [4/21]
妹「……ぷはっ」
兄「おいおまえっ――」
妹「んっ――」
兄(……ど、どうなっている)
兄(さ、さっきからキスばかり……ってか無理やりすぎて口が痛いぞ)
兄「……っく、い、いきなりなんだよ……」
妹「……く、口が痛い」
兄「おまえが無理に押付けてくるからだろ……歯が少しぶつかったぞ」
兄「……両手をどけて、もう寝なさいって」
妹「……やだ」
兄「……いや、何がどうとかは聞かないけどさ」
妹「聞かないんだ」
兄「だって唐突すぎる――っ」
妹「んっ――」
兄「……」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:27:34.80 ID:j1RrGDLr0 [5/21]
妹「……したかったの、キス」
兄「……言えばいいだろ」
妹「兄さん器が広いのは知ってる。けど、これは別だから」
妹「私、誰がなんと言うと、兄さん好きだから」
兄「……」
妹「兄さんが、私に無理して買ってくれた、あの指輪を貰った時から……さ」
兄「そりゃまた、随分懐かしいものを……ってか、まだ持ってたのか」
妹「向こうに、実家に置いてきちゃったけどね。無くしたくないから」
兄「……嬉しいんだか、なんだかね」
妹「普通、こんな事されたら、引くか、あるいは戸惑ってどうにかなるかなんだよ」
兄「だろうな」
妹「兄さん、普通じゃないんだ」
妹「私も、普通じゃない」
兄「だから……」
妹「だから、その」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:32:13.73 ID:j1RrGDLr0 [6/21]
妹「と、とにかく、兄さんは、どうなの」
兄「俺か」
妹「うん……うん」
兄「うーん。いや、キスくらいなら嬉しいというか、ご褒美というか」
妹「やらしいんだ」
兄「お前が言うな。無理やり唇を押付ける中三がどこに居るか」
妹「だって兄さん、強攻策にでも出ないと、どうせスルーするだろなぁ~って」
兄「俺はキチンと説明してくれれば、話はちゃんと聞くぞ」
兄「どんなものであろうと、どんな理由であろうと、俺はキチンと聞くし、答えてやる」
妹「それじゃ、私の事どう思ってる?」
兄「可愛い妹だな」
妹「……そ、そう」
兄「そんなに両手を強く握られると、痛いんだぜ」
妹「……だって」
兄「……泣くなよ」
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:37:22.69 ID:j1RrGDLr0 [7/21]
妹「だって……だって」
兄「……なぁ」
妹「ずっと……私おかしいなぁって……変だなぁって……」
妹「なんでこんな風なのかなって……好きになる人、選べないのかなぁって……」
兄「……すまん」
妹「だってさ……みんなクラスの人と付き合うんだよ」
妹「私が好きな人聞かれても、お兄ちゃんなんて言えない……言えないんだよ」
妹「なんで……私、何か悪い事したの……なんでこんな……」
兄「……妹、なぁ」
妹「……苦しいんだよぉ……兄さんが後輩さんを信用してるのだって」
妹「嫉妬しちゃうよ……私、最低だから……こうやって兄さんに甘えてばっかりで……」
妹「結局自分で何も見つけようとも、解決しようともしないでずっと……」
兄「俺はさ、好きでお前にあれこれ世話を焼いてんだぞ」
妹「……」
兄「だから、まず、その事でお前が悩むことはない」
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:42:29.24 ID:j1RrGDLr0 [8/21]
兄「それで、俺が、そういう風にお前を悩ませちまったことを謝るよ」
兄「ごめん。辛かったか」
妹「……、うん」
兄「ごめんな。本当にごめん」
妹「そんなの……私の独りよがりで……」
兄「いや、俺だって悪いよ」
妹「……みんなと違うってだけで」
兄「あぁ」
妹「怖かった……。その、私って、喋る時に頭を使うタイプじゃないから」
妹「みんなから、暗い暗いって……それで成績下がっちゃって」
兄「……勉強、そうだ。付き合うからさ」
妹「ありがと……」
兄「でも、お前は頭の回転いいからなぁ。俺なんか」
妹「そんなことないよ……それより」
兄「……うーん」
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:48:41.15 ID:j1RrGDLr0 [9/21]
兄「その、要するに、お前は俺とキスをする関係になりたいと」
妹「……うん」
兄「……」
兄「なぁ、一回でいいからさ」
妹「……なに?」
兄「もう一回、きちんと話をしてくれないかな」
兄「さっきのは、唐突すぎて、頭の中の整理が追い付かなかったのもあるわけで」
妹「……は、恥ずかしい」
兄「無理やり何回もキスしてきたお前が言うセリフかい。それ」
妹「うー」
兄「ほら、乗っかったまんまじゃなくてさ、座って座って」
妹「……」
兄「ちゃんとさ、見て聴いててやるから」
妹「……えと」
兄「あぁ」
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:53:43.12 ID:j1RrGDLr0 [10/21]
妹「その、なんていうか」
兄「おう」
妹「そ、そんなにジッと見ていられると、その」
兄「キチンと、面と向かって話してくれ」
妹「うぐ……わ、わかった」
妹「……その、兄さんが好きです」
兄「……おう」
妹「話とか、こんな妹でも、優しくしてくれて、頭を撫でたりしてくれる兄さんが好きです」
兄「あ、あぁ……な、なんか恥ずかしいな」
妹「そ、それで、その、む、無理やりチューしちゃうくらいに、す、好きです……」
兄「……」
妹「……」
妹「だ、黙るのは……卑怯だよ……」
兄「……いや、わかった」
妹「……」
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 01:00:26.09 ID:j1RrGDLr0 [11/21]
兄「この先、色々あるだろうな」
兄「義理とはいえ、法律で無問題とはいえ、あの母さんが何言うかわかったもんじゃないがな」
妹「……うん」
兄「どの道、俺はこれからも、お前に世話を焼きたがると思う。ってかそうだ」
妹「……う、うん」
兄「それで、そういうのは、全部、好意とか、愛情とか、そういうのから来ている」
兄「その感情は、確かにお前を女の子として、俺は見ているのもあるし、長く一緒に居た事もある」
兄「要は、俺も好きだったんだよ。お前の事」
妹「う、うん!」
兄「だから、俺は妹とずっと一緒に居てもいい――」
妹「に、に、兄さんッ!」
兄「おわッ!?ま、また乗っかるなってのっ!」
妹「も、もういいよね、じゃ、じゃ、き、キスしよう。ちゅーしよう」
兄「あ、あのさ。もう夜遅いだろ?明日になったら話を聞いてやるから――」
妹「今!今!ここ!この時!この場所がいいの!私は!」
200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 01:06:44.75 ID:j1RrGDLr0 [12/21]
兄「お、落ち着くんだ。落ち着けマイシスター」
妹「……落ち着いてるよ、凄く」
妹「だから、今まで出来なかった事、全部付き合ってもらうからね」
妹「兄さん」
兄「……お、おう」
兄「でも今じゃなくてもいいだろ?な?」
妹「イヤ」
兄「ほ、ほら、俺だって眠気が――」
妹「んっ……ほら、眠気なんて吹飛ぶでしょ」
兄「……そういうのはさ、卑怯ってもんじゃないの」
兄「誰だってんな事されたら――」
妹「んっ、んっ――」
兄(で、ディープなんてどこで覚えてきたんだーッ)
兄「……んぐ」
妹「んんっ――」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 01:12:05.90 ID:j1RrGDLr0 [13/21]
兄「……」
妹「に、兄さん……」
妹「んんっ」
兄「……ん」
妹「……添い寝、続き」
兄「あ、あぁ……」
妹「……んふふ」
兄「な、なんぞ」
妹「……んくく」
兄「だから、なんだって」
妹「嬉しいから」
妹「ニヤけてんの」
兄「いや、その度に抱きつく力を力まないでください。マジで入ってます入ってますって!」
妹「兄さん大好き!大好きだーッ!!」ギュッギュッ
兄「うごごご……」
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 01:16:02.62 ID:j1RrGDLr0 [14/21]
いかん。お仕事が漏れを待っている……。
次に書き始められるのは、明日の夕方あたりですん。
仕事と言うなの地獄が、俺を待っている――。
残ってたら、妹書き続けます。
もう二回程保守をして頂いて申し訳無いんですが、有休と言うなの無言の圧力のせいで(ry
すみません。寝て仕事言ってきます。
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 21:05:18.73 ID:j1RrGDLr0 [15/21]
>>214 二次元です。そして兄には多数の人脈が(ry
妹「……くふふ」
兄「……はぁ、わかった。わかったよ」
妹「兄さん大好き」
兄「うん」
妹「……んふふ」
兄「そ、そんなにくっつくなよ、胸が苦しいぞ……」
妹「ご、ごめん。強く抱きしめすぎた……痛い?」
兄「あ、いや、くっつくのはいいんだけど、さすがに呼吸困難になるから」
妹「ご、ごめんなさい」
兄「いいよ。気にしてない」
妹「……本当に、その、好き」
兄「言いたいだけ言うなぁ」
妹「当たり前、今まで言えなかったぶん、倍にするからね」
兄「……嬉しいのやら、なんなのやら」
241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 22:55:14.96 ID:j1RrGDLr0 [16/21]
妹「……」
兄「……妹?」
妹「……zz」
兄「……おいおい、勝手に疲れて寝ちゃったのか?」
妹「……zzZ」
兄「……寝るか」
――
妹「……」
妹「……夢かぁ」
兄「なにがだ?
妹「えっ!?」
兄「おいおい、どうしたんだよお前」
妹「な、なんで私兄さんにこんな……」
兄「あ、あのなぁ、お前がくっ付いてきたんだろ?」
妹「……あ」
242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 22:58:44.75 ID:j1RrGDLr0 [17/21]
妹「……うむむ」
兄「うむむ。じゃないぞ。お前ボケてるのか?」
妹「ゆ、夢じゃない」
兄「あぁ、現在7:00時。良い頃合に何故か起床」
兄「夜更かししたのにも関わらず、すこぶる快調……って感じか」
妹「……」
兄「おいおい、髪の毛がクルクルはねちゃってるぞ?」
妹「兄さんだって、爆発してるよ」
兄「……うお」
妹「っぷぷ」
兄「わ、笑うなよ!ずっと同じ体制で寝てなきゃいけなかったんだからさぁ!」
妹「じゃあ、私なんて蹴飛ばしちゃえばいいじゃん」
兄「……そ、それはない!無理だ。ありえないな」
妹「じゃあ、いいじゃないですか。優しいお兄さんの証ってことじゃない」
兄「な、なんか違うぞ……まぁ、いいけどさ。うん」
244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 23:07:26.67 ID:j1RrGDLr0 [18/21]
妹「……あれ」
兄「ん?」
妹「……ない、時計、ない」
兄「俺があげた奴?」
妹「うん。うん。大切なのに。どこやっちゃったのかな。あれ?」
兄「お、おい落ち着けって、妹?」
妹「な、ないよぉ……兄さんから貰った時計……どこいっちゃったんだよぉ……」
兄「あ、朝から泣くなって……ほら、ポケットとかに入ってないのか?パジャマの」
妹「ない……ない……うう、どこ……どこぉ……」
兄「ほ、ほら、昨日どうしたのか思い出してみな?」
妹「貰った後……嬉しくて、嬉しくてしかたなくて、その、ずっと肌に離さずもってて……うう」
妹「ないよぉ……たしにか兄さんと一緒に、寝るときまで持ってたのに……」
兄「……」
兄「兄さんな、魔法が使えるんだ」
妹「……え?」
245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 23:11:42.02 ID:j1RrGDLr0 [19/21]
『兄さんな、魔法が使えるんだぜ!!』
『えぇ~!?うそだァ!今時そんなのありえないんですけどー』
妹「えっ……」
兄「どうした?まさか信じてないのか?おいおい、目に見えるもんが全てじゃないぞ」
『信じていないのか?おいおい、目に見えるもんが全てじゃないんだぜ!マジで!』
『うっそだぁ!ぜったいうそ!かがくのじだいにそれはないわー』
『む、んだと!じゃ、じゃあほら、今からこの手をジッと見てろ!!』
『めんどうくさいなぁ~ありえない~』
『っるせぇ!いいか……ほら』
兄「今からこの手、じっと見ていてみな」
妹「う、うん」
兄「……いいか、……ほら」
妹「と、時計……」
兄「まぁ、俺の腰の辺りにあったんだけどさ」
妹「魔法じゃないよ、それ!」
246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 23:18:37.87 ID:j1RrGDLr0 [20/21]
兄「でも気が付かなかったろう、ほら」
妹「ま、まぁ……でも、ごめんなさい。キチンと大切に――」
兄「うーん、あれぇ~?でもおかしいなぁ」
妹「……えっ、え!?」
兄「これはなんだかカタチが違うぞー」
妹「……銀色だ。私が貰ったのは金色だった」
兄「おうおう、さて、お前はどっちがいいのかね。両方でもいいだけどね」
妹「……た、高くなかった?」
兄「それさ、本来は二つで一つのペアなんだってさ」
兄「オマケで貰ったんだ。片方は価値が分からんから扱えないそうだ」
兄「で、その場で値段を付けて貰って安くしてもらったわけだ」
妹「……」
兄「でだ、両方か?かたっぽ?」
妹「わ、わたし、やっぱり金がいいなぁ」
兄「じゃぁ、俺は銀ね」
248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 23:22:38.09 ID:j1RrGDLr0 [21/21]
妹「……あれ、でもそんな二つも」
兄「……ん?」
妹「ね、ねぇ兄さん、兄さんマジックとか習ってるの?」
兄「うーん。どうだろうなぁ。どっちかなぁ」
妹「教えてよ、ねぇねぇ」
兄「さぁー。お前が信じたい方を選べばいいよ」
妹「……も、モヤモヤするじゃん!」
兄「俺は知らないなぁ~」
妹「……うむむ、まぁ、いいけど」
妹「ねぇ、その銀色も、オルゴールついてるんだよね」
兄「あぁ、金色のが序章、銀色のが終章」
妹「す、凄いよそれ!いいものじゃないの!?」
兄「売ってた店員すらも把握してなかったからなー。たまたま続きっぽいってだけで」
妹「うぐぐ、兄さんといい時計といい!どっちなのよぉー!」
兄「おいおい、三択目が無いのはおかしいだろう」
251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 00:30:41.96 ID:tgln7Bjg0 [1/70]
妹「……な、なんか朝から疲れちゃったよ」
兄「いいじゃないか、元気なのが一番」
兄「……俺は飯作ってきてやるから、カーテン開けといてくれ」
妹「わかった。ありがと兄さん」
兄「いいって」
妹「……っ、眩しいなぁ」
妹「……晴れてる晴れてる」
妹「にいさーん!外晴れてるー!」
兄「んじゃ今日もぶらつくかー!」
妹「うーん!そうするー!!」
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 00:58:17.29 ID:tgln7Bjg0 [2/70]
~~~
兄「……今日は、かなりぶらぶらしていられるな」
妹「支度完了です!サー!」
兄「おう、行くか」
兄「……ん?どうした?」
妹「……て、手とか、繋ぎたいなぁ……なんて」
兄「普通にそう言えば、そうしてやるんだけどなぁ」
妹「に、兄さんはそうだろうけどね、私はそうじゃないのっ」
兄「わ、わかったって、繋ぐからな、ほら、繋いだからな」
妹「う、うん」
兄「……あ、改めて恥ずかしいなぁ、人少ないとはいえ」
妹「イヤ?」
兄「んなことはない。断じてない」
妹「やったね、ぐふふ」
兄「んじゃいってきまーす」
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:04:36.63 ID:tgln7Bjg0 [3/70]
兄「……空がたけぇなぁ」
妹「確かに……うおおお……っとと」
兄「そんな仰け反って歩くと、ゴチンッて地面に頭をぶつけちゃうぞ」
妹「今日は気分がいいんだもん、なんだか重いものがとれたみたい」
兄「そりゃ……本当に、よかったな」
妹「……でもさ、いつも思ってたんだけど」
兄「ん?」
妹「ここ本当にいい所だよね、なんだか帰りたくなくなっちゃった」
兄「あぁ、良い所だ」
妹「兄さんが居るからね」
兄「そういうことかよ!」
妹「ぐふふ、そうそう。そうなんですよ。兄さんが居るからなんだよ」
妹「この手、離したら怒るからね」
兄「怒るのか」
妹「そりゃ、地震雷火事私。みたいにね」
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:19:52.45 ID:tgln7Bjg0 [4/70]
妹「兄さんは安らぎの人だからなぁ」
兄「んだよそれ」
妹「退屈で、でも居ないと満足しない人。かな」
妹「今は、こうしてることが幸せなんだ。私」
兄「そりゃよかった。プラス思考はいいことだ」
兄「こんな兄のように、ネガティブになってはいけないからな」
妹「兄さんのどこがネガティブなのよ」
兄「食材を買い忘れて、小一時間程憂鬱になったぞ」
妹「それは多感なだけじゃないの……」
兄「そうなのか!」
妹「そうなんだよ」
兄「……でだ、駅の辺りに行ってみるか」
兄「人込みは大丈夫か?」
妹「……兄さん居るし、全然平気だよ」
兄「――信頼されるのは、いいことだなぁ。うん」
258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:25:29.16 ID:tgln7Bjg0 [5/70]
妹「ひこうきぐもだ」
兄「あぁ、だいぶくっきりしてるから、まだ出来てはやいのかなぁ」
兄「……しっかし、青いなぁ」
妹「でも寒いというね」
兄「ほんとさ、息は白いし、厚着でも寒いし」
妹「でも、兄さんの手は暖かいよ」
兄「て、手汗とか……」
妹「しっとりしてて、ちょうどいいくらい」
兄「……俺はいい妹を持ったなぁ」
妹「妹だけ?」
兄「あぁ、良い人と一緒になったなぁ」
妹「どこがいいの?」
兄「話していて飽きないのが一番だなぁ」
妹「ふーん」
兄「なんだよ、これでも絶賛してるんだぜ」
259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:29:57.02 ID:tgln7Bjg0 [6/70]
妹「だって、さ」
兄「ん?」
妹「兄さん、私の事、そ、その」
兄「あぁ」
妹「お、女の子と、としてですね」
兄「あー……いや、肌とか白くて綺麗だし」
兄「目もくりくりしてて澄んでるし、髪は黒くて綺麗だ。カンペキだと思うけど」
兄「たださ、少し細いよなお前。心配だ」
妹「これは……うーん」
妹「体質?」
兄「そっか。でもま、だからこその魅力があるというか……綺麗だと思う」
妹「う、うぐ」
妹「そういう事を、すらっと言うのかなぁ……」
兄「だってお前が具体的にしろと言うから」
妹「う、うむむ……
260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:36:58.28 ID:tgln7Bjg0 [7/70]
兄「あ、あとなぁ、小動物っぽいところとか素晴らしいな」
兄「こう、常に撫でていたくなるというかね。身長の低さが良い感じに……」
妹「低い言うなっ、結構私気にしてるんだよ兄さん!」
兄「いやいや、むしろお前にはピッタシだろ、ほれほれ」ナデナデ
妹「うぬ……くそ、卑怯な……!兄さんは身長高いからいいよね!」
妹「低い私の気持ちなんて分からないんだっ」
兄「わからんよそりゃ」
妹「……な、なんかごめん」
兄「別に謝る必要はないさ、ただ」
妹「なに?」
兄「高くてもな、案外コンプレックスになったりもする」
妹「お互い様」
兄「そういうことだ。俺も悪かったよ」
妹「いや、私こそ……」
兄「いやいや俺こそ」
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:40:52.89 ID:tgln7Bjg0 [8/70]
妹「……やっぱり、こうしてるのが一番」
兄「あぁ、俺もだよ」
妹「……その、握り疲れてない?」
兄「まったくもって、問題など一つもありませんよ」
妹「ほんと?」
兄「あぁ、ただ少し火照ってるけどな」
妹「な、なんで?」
兄「そ、そりゃ、気恥ずかしいからだろ……」
妹「……ふーん」
兄「に、ニヤけるなっての」
妹「じゃあさ、ここでちゅーとかしたら、どうなるかなぁ~」
兄「……はい?」
妹「ほらほら、腰低くして。ほらほら」
兄「お、おい、なにをするだぁ~!?」
妹「ちゅーです。キスです。接吻です。大好きな事です」
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:49:12.68 ID:tgln7Bjg0 [9/70]
兄「お、おい、この町狭いから見知った奴に出会ったら――」
妹「んっ――」
兄「……」
兄(ふ、深いって、ちょ、ちょっと妹さん?)
妹「――んんっ、んむっ」
兄「……っ、んん」
妹「……驚いた?」
兄「あのな、人が居なかったからって……」
妹「えへへ、しかしですね。こう、したいからしたんですよ」
妹「いいんでしょ?」
兄「あ、いや、まぁ……うん」
妹「……くすくす」
兄「くすくす。じゃねぇよ……心臓止まるかと思ったぞ」
妹「大袈裟だなぁ」
兄「いや、ほんと恥ずかしかったんだぞ」
266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:54:34.05 ID:tgln7Bjg0 [10/70]
会長「あぁ、実に見ていて微笑ましいな」
妹「そうそうホントに微笑ましい……え?」
兄「……か、会長~珍しいですね……こ、こんなところで」
会長「あぁ、こんな珍しい場所で、熱いキスを交わす兄妹も珍しいがね」
兄「……あ、あのですね会長。これには深いわけが――」
会長「ん?別に聞いていないよ。愛の形なんて人それぞれだろう」
会長「たまたま君と妹さんが愛し合う仲だっただけだ。別にいいんじゃないか」
妹「え、えと、はい」
会長「うん。そうだな。妹さん。話さないようにしっかり縄を握っておく事だ。先輩からの助言とかいう奴だ」
妹「あ、はい!」
友「か、会長……な、何も走らなくても――」
会長「それじゃ、私と友はジョギング兼デートの続きがあるんでな。さぁ行こうか友」
友「お、おはよう兄、妹さん。そしてまたいつかぁぁぁぁぁ......」
妹「い、行っちゃったね」
兄「あ、あぁ……」
267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 02:09:17.89 ID:tgln7Bjg0 [11/70]
妹「……でも、きちんと、手は握っていてくれるんだね、兄さん」
兄「まあ、な」
妹「そうだ。兄さん、ちょっと手を合わせてみようよ」
兄「ん?あ、あぁ」
妹「……な、なんというサイズの差」
兄「そりゃ俺男だし、年上だし」
妹「……安心できる大きさなんだよ」
兄「そうなのか」
妹「うん。兄さんの手は、おっきいのに柔らかい感じがして好き」
兄「女々しいのか……」
妹「そうじゃないよ、なんだか優しい感じがするから」
兄「そっかい」
妹「うんっ」
兄「……ど、どした」
妹「なんでもないよ、なんでも」
268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 02:35:46.34 ID:tgln7Bjg0 [12/70]
兄「……そうか」
妹「……ねぇ兄さん」
兄「ん」
妹「駅前で、何するの?」
兄「うーん。なにしようか」
妹「向こうに着いてから?」
兄「あぁ」
妹「りょーかい」
兄「服とか、どうだ」
妹「服?いいの?」
兄「おう」
妹「なんだかなぁ、うーん」
兄「いいって言ってんだから、いいんだぜ」
妹「じゃ、じゃあ……」
妹「行こっか、兄さん」
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 02:37:16.42 ID:tgln7Bjg0 [13/70]
すみません寝ます。
これ以上書こうにも、妹力のペースを保てない・・・
無理に書いて、変な風にしたくないんで、残ってたら、書き書きします。
286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 15:50:58.34 ID:tgln7Bjg0 [14/70]
妹(幸せだぁ~)
兄「……そうだなぁ」
妹「えっ?」
兄「ん?どうかしたか?」
妹「な、なんでもない」
兄「そうだ、少し此処で待っていてくれないかな」
兄「銀行で、少しお金をおろしてくるから」
妹「うん、わかったー」
兄「あぁ、すぐに戻ってくるからさ」
妹「……」
妹(やっぱり人が多いなぁ、駅前って)
後輩「お、妹ちゃーん!」
妹「あれ、後輩さん」
後輩「いやいや偶然だねぇ!お兄さんとちゅっちゅしてるかーい!」
妹「え、あ、えと、その、は、はい……」
288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 16:11:03.81 ID:tgln7Bjg0 [15/70]
妹(あ、あれ?)
後輩「やーやー、今日も空が青いねぇ」
妹「あ、あの」
後輩「んー?どしたね」
妹「あ、いえ」
妹(大方会長か、友さんから教えてもらったんだろう)
後輩「んふふ、まさかお二人がそんな関係だったとはっ」
後輩「わたし驚いちゃったよーwww」
妹「そ、そうですね……やっぱり、変なのかな」
後輩「そんな事ないぞぉ~。わたしなんかいつくっ付くのかと思ってたもん」
妹「そ、そうなんですか」
後輩「うん。うん。良い事だ。恋愛ってのは実にいいねぇ」
後輩「……ほんと、うらやましいね」
妹「え?」
後輩「なんでもないよ、それじゃわたしは用事があるから。またねぇ~っ!」
292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 17:26:01.64 ID:tgln7Bjg0 [16/70]
妹「……」
兄「おー。ってあれ、後輩じゃないか」
妹「兄さん、後輩さんに何か話しました?」
兄「ん?いや別に。それより買い物に行こうか」
妹「え、う、うん!」
――
妹「来年の夏にね、着ていく服とか買いたいな」
兄「そんな、随分あるぜ?まだ夏までさ」
妹「うーん。そっかー」
兄「ん、あれ?あれ後輩じゃないか?」
妹「えっ?」
後輩「いやぁ~どーもどーも」
後輩「お、妹ちゃん、さっきぶりだね!」
妹「さ、さっきぶり……ですか」
兄「どんな言葉だよそれ」
293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 17:38:55.25 ID:tgln7Bjg0 [17/70]
後輩「あ、そ、そうだ。私先輩に用があって来たんですよー」
兄「ん?なんか大事な用事か?」
妹「……え、えと」
後輩「ごめんね妹ちゃん、少しお兄さん借りてくねーっ」
兄「お、おい後輩!?――俺は、妹と買い物中だってんだよッ・・・…!」
ガッ......
後輩「っとと、……あれ、先輩?女性に対して、少し乱暴過ぎじゃあないですか?」
兄「お、おいおい……何言ってんだ?今のは正当防衛だぞ。正当防衛。な?妹」
妹「……に、兄さん?」
妹(い、今の兄さん……なんだか)
兄「おいおい、後輩、いくらお前でも少し度が過ぎて――」
ガシッ
後輩「と、とにかくッ……。て、抵抗しないでくださいよ先輩。先輩ちょっと借りてくね妹ちゃん!」
後輩「それじゃッッ!!!」ピューンッ......
294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 17:48:35.69 ID:tgln7Bjg0 [18/70]
兄「お、おい妹っ!い、家に先に帰ってろ!すぐにっ――」
妹「……」
妹「ど、どうしたんだろう兄さん。どこか具合でも悪いのかな……」
妹(そ、それに後輩さんの顔が少し……ううん。なんであんな必死な)
妹「置いていかれちゃった。な。……兄さん帰っておけって言ってたけど」
妹「……」
?「お、お~い!」
妹「……あれ、兄さん?」
兄「はぁ、はぁ、こ、後輩振り切ってきたよ」
妹「そんな、兄さん……後輩さんがかわいそうじゃない」
兄「大丈夫、ちゃんと話をつけておいたからさ」
妹「……兄さん、それ」
兄「ん?あぁ、お前が肌に離さず着けてるって言うからさ」
兄「俺も、この時計持ってる事にしたんだ」
妹「そ、そうなんだ……おそろいだね」
296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 17:55:47.77 ID:tgln7Bjg0 [19/70]
兄「あぁ、おそろいだ」
兄「……なぁ、買い物の続き。しようか?」
妹「うんっ!」
会長「おぉ、兄君」
友「よぉー」
兄「あれ、会長。友」
妹「あ、こ、こんにちわ」
会長「あぁ、兄君。後輩と会ったか?」
兄「え、あ、あぁ、うん。会いましたよ」
会長「そうか――」
妹「どうかしました?」
会長「いや、それよりもだ」
友「よぉ兄、ここは一つ、ダブルデートといこうぜ」
妹「だ、だぶるでーと?」
会長「そうだ。うん。実に面白そうだとは思わないかい?」
298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:13:11.98 ID:tgln7Bjg0 [20/70]
兄「だ、ダブルデート!?」
妹「あ、あの、その、友さんは、し、知ってたんですか」
友「ん?あぁ、会長が教えてくれたんだ」
会長「すまない。妹さん。しかし、私の最愛の人に嘘はつけなくてね」
妹「い、いいんです。いいんですよ」
友「ほんと、優しい子だなぁ。良い子を娶ったな。お前」
兄「お、おい!」
友「っはは、悪い悪い」
妹「?」
兄「どうする、妹」
妹「い、いいんじゃないかな……」
会長「そうと来たら、妹さんの服を選んでやったらどうだい兄君」
兄「は、はぁ!?」
友「安心しろ。俺も同じ十字架背負ってやるからさ。羞恥の十字架をよ……」
会長「なんだ友、君は私の下着を選ぶ事に不快な思いを感じているのか?」
299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:29:19.30 ID:tgln7Bjg0 [21/70]
友「ち、違うけどよ」
会長「何が不満なんだ?」
友「は、恥ずかしいだろ!どう考えても!!!」
会長「それくらい、別にいいだろう」
友「お前はいいかも知れないけどさ……」
兄「……服とか、買うか?」
妹「え?……えと、うん」
兄「……じゃ、何でもいいぜ。選びなよ」
妹「え?」
兄「だからなんでもいいよ。なんでも」
妹「……冬用の服と、夏用の服……。どっちがいいのかなぁ。なんて」
兄「うーん。冬のうちは、こっちには少ししか居られないし」
兄「夏用のでも、今のうちに買っててもいいんじゃないかな」
妹「え?」
兄「どうかしたか?」
300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:36:36.13 ID:tgln7Bjg0 [22/70]
妹「だって兄さん、さっき夏まで随分あるからって――」
兄「ん?あぁ、だってさ」
兄「明日をワクワクして生きられる方がさ、なんだかいいじゃないか」
兄「いかん。俺も夏が恋しくなってきたよ」
妹「……明日」
兄「おう、明日だ」
会長「兄君は良い事を言うね。ほら友。私達も来るべき婚姻の日までわくわくしていようじゃないか」
友「結婚すんのかよ!」
会長「当然だ」
友「ほら、でもさ。金の事とか……会長の身の回りの事とか――」
会長「大丈夫さ。二人なら」
友「あ、あぁ……まぁ、な」
妹「……あはは」
兄「そうと決まれば、何が欲しいんだ?」
妹「……うーん。あ、こ、こういうのとか……どうかな」
302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:42:52.34 ID:tgln7Bjg0 [23/70]
兄「白いワンピースか」
妹「……ど、どうかな」
兄「うーん……」
妹「……どうしたの?」
兄「これ着たお前を想像してる」
妹「……何してんのさ」
兄「いいんじゃないか、凄く似合ってると思う」
妹「そ、そう?」
兄「あぁ、うん、いいぞ。凄く」
妹「……そ、そっか」
友「う、ぐぐ……」
会長「どうした、はやく選べばいいだろう」
友「は、恥ずかしいんだっての……」
会長「……」
友「こ、これとか、どうだッ」
303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:47:12.05 ID:tgln7Bjg0 [24/70]
会長「白か」
友「お、おう」
会長「無難だな」
友「っ、だってこれくらいしか――」
会長「いや、君がそれを最善の選択だと言うのなら、実にいい」
友「……ほっ、そ、そうだぜ。俺はこれでいい」
会長「では買いに行くとしようか」
会長「兄君達は先に済ませて、外で待っていてくれないだろうか」
兄「ん?なんでですか?」
会長「いや、友を一緒にレジに連れて行くのに、随分時間がかかりそうなんでね」
友「は、はい!?イヤですよ俺は!?」
会長「そうはいかない。一緒に買ってもらわないと私の気が済まん」
会長「というわけだ。妹さんと何か飲みながら少し待っていてくれ」
妹「は、はい……」
兄「わ、わかりました」
304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:53:09.75 ID:tgln7Bjg0 [25/70]
~~~
兄「と、友も大変だな。うん
妹「に、兄さん……」
兄「ん?」
妹「わ、私も……その、下着選び……一緒に来てくれたら……なんて」
兄「……ハードル高いが、無理とは言わないさ」
妹「ほ、ほんと!?」
兄「あぁ、約束だ」
妹「……ありがと!」
兄「お、おい――」
妹「んっ……兄さん、大好き」
兄「ば、馬鹿、恥ずかしいだろうがっ」
妹「大丈夫だよ、よくみたら、そんなに人多くないし。あれ。なんでかな」
兄「わからん。なんかイベントでもやってるんじゃないか?」
兄「……なぁ、妹」
305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:03:53.71 ID:tgln7Bjg0 [26/70]
妹「なに?」
兄「ここには、二週間ちょい居られるけどさ」
兄「……家にさ、帰ってみないか?」
妹「え……」
兄「俺はこっちで、休めるだけ休んだ方がいいって言ったけど」
兄「お前の顔を見ていると、もう休養も十分じゃないかなって」
妹「……そ、それは」
兄「なぁ、少しの間だけ、だ。またすぐに会って、いや。今度は一緒に居れるから」
妹「……兄さん」
兄「……すまん、でも……」
妹「……わ、私は」
会長「……いや、そんなに拗ねないでくれ」
友「……は、恥ずかしかったんだからな!そりゃもうマッハの勢いでだ!」
会長「あ、あぁ、すまない……」
友「まぁ、いいんだぜ。いいんだけどよ……無理やりはキツいぜ……っと、兄」
306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:12:26.68 ID:tgln7Bjg0 [27/70]
会長「待たせたね」
兄「……答えは」
妹「今は……まだ……」
兄「……わかった。もう時間が無いんだけどな――」
妹「え?」
兄「なんでもないよ。帰るか」
妹「う、うん」
会長「……時間か」
友「あぁ……」
――
妹「……なんだか、空が変な感じ」
妹「曇ってるの?あれ……なんか見たことないよ」
兄「……後輩は」
会長「……わからない。彼女の事だ。心配無いと思うが――」
友「……」
308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:17:00.79 ID:tgln7Bjg0 [28/70]
妹「ねぇ兄さん、あれは雨が降るかもね」
兄「あぁ……雨が降りそうだ。本当に」
会長「おいおい、妹さんには予知能力でもあるのか?」
友「あーくそ、マジで降ってきた」
兄「オマケに……どうやら後輩は」
?「あぁ、居ないぜ」
妹「……に、兄さん?」
?「あぁ、妹、お前なんで約束守らなかったんだ。そんな偽者も俺と判らないのか?」
友「おいおい……マジかよ」
会長「悪いな。お前のような奴とは話している暇は無い。君のような偽者とはな」
兄「……」
妹「ね、ねぇ、どういう事?どういう事なの兄さん?」
妹「あ、雨も降ってきたんだよ?どうしちゃったの?友さんも、会長さんも――」
?「あぁ、そいつらもぜーんぶ贋者だ。贋作だぜ妹ォ」
兄「……黙れよ、この野朗!」
311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:24:56.65 ID:tgln7Bjg0 [29/70]
兄「テメェ一人のせいで、友も会長も俺も、妹だって!!」
?「あぁ?知るかよ。俺には責任は無いね」
?「……そうさ。妹が悪いのさ。俺の気持ちに気付かない鈍感さんなんだからさぁ!!」
会長「そんな君一人の自己中心的な考えのせいで、二人や私達の人生を台無しにしてくれるとはね」
会長「なんとも許し難いな。本当に君をこのまま斬り捨ててしまいたいね」
友「……よせ、会長よ。力は一回きりだぜ。後輩が最後の最後まで……遺してれた力だ」
妹「ねぇ、兄さん、どっちなのか判らないけど、なんでこんな――」
?「全部最初は妹が悪かったんだぜ。フツーよぉ、兄妹で恋人になんてなれるわけねぇんだよぉ!?」
?「フツーだったらさぁ、俺みたいにクラスメイトと恋愛するだろうが!?あ!?」
兄「……さっきから普通、普通って」
兄「お前のモノサシで、俺達を測ってんじゃねぇ!!!」
ぶんッ!
?「っと、素人君のストレートなんて当たらないね。てめぇみたいなカカシ野朗とは違うんだぜ?」
兄「……くそっ」
会長「兄君!!後ろだ!!!」
312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:27:31.86 ID:tgln7Bjg0 [30/70]
友「させねぇッ!!!」
?「チッ、そういや友。てめぇは運動神経良かったな」
友「……へへ、まぁ、運動だけだけどなッ!!」
ぶんッ!!
?「ッく、そんな隙だらけの蹴りじゃぁよぉ!!!」
友「――うぐっ!?
313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:31:44.18 ID:tgln7Bjg0 [31/70]
ミス。
友「――うぐっ!?」
会長「友!!!」
会長「今の私では、どうにも出来ん……くそ、まだ時間が――」
妹「……空が……空にひびが……」
?「……っと、ようやく妹確保っと」
兄「て、てめぇ……ッ」
?「……さ、妹。一緒に帰ろう。“俺達の家”にさ」
妹「……嘘、嘘だ。アンタなんか兄さんじゃないッ!!!」
?「おっと、暴れても無駄だぜ。この包丁が首を掻っ切っちまうかもな」
兄「……止めろ」
?「バーカ。“俺の妹”に、そんな事しねぇよ。安心しな。この変態野朗」
?「俺は健全だ。俺は正常だ。なんせ、クラスメイトなんだからな」
?「だがテメェは違う。だから妹は俺と居るべきだ」
妹「に、兄さんっ――」
317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:44:55.68 ID:tgln7Bjg0 [32/70]
兄「……」
会長「……すまない」
兄「実際、こうなることは……」
友「しかたねぇよ。俺ら、何も知らないんだから」
友「だってさ。俺らとっくに死んじまってんだからよ」
会長「……男の仕業でな」
兄「……みんなごめん。結局原因を作ったのは俺だったんだ」
友「何言ってやがる。こんな雨すら冷たいとも感じない、あいつの世界でのうのうとしていられるか」
会長「あぁ……だが後輩君が居ない事には、どうにも出来ないぞ」
後輩「だ、大丈夫っすよ……ちょっとばかし粉砕骨折中ですがね」
兄「お、おい大丈夫なのか?」
後輩「元々私は、“あっち”と“こっち”を管理してるんです。人間じゃないからOK無問題」
後輩「ただ、今はあの変態の心象風景で滅茶苦茶にされてますからね」
友「おいおい、ともかく時間はまだ平気なのかよ」
後輩「わかりません。ってか早めに先輩の家に突撃しないと、妹ちゃんの身がウォーニンですよ!」
319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:49:37.25 ID:tgln7Bjg0 [33/70]
――
妹「……うう」
兄「……大丈夫か?どこにも怪我は無いか?」
妹「……」
兄「お、おいおいどうしたんだよ。そんな顔して」
兄「どこか痛い所でもあるのか……?」
妹「だめっ!これ以上触っちゃだめなのっ」
兄「えっ!?」
妹「……違うから、アンタ。兄さんじゃない」
妹「兄さんなら、こんな風に変な糸で私を雁字搦めにしない」
妹「兄さんなら、私をそんな気持ち悪い顔で見たりしないッ!」
妹「兄さんなら!!こんな耳心地の悪いオルゴールの時計なんて持ってない!!!」
男「……おいおい、もろバレかよ……くそが」
妹「早く離してよ。何が何だか解らないし判らないけど」
妹「夢にしたって、タチが悪いよ。ほんとの話」
320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:57:39.22 ID:tgln7Bjg0 [34/70]
男「夢じゃないんだよなぁこれが」
妹「……」
男「そうだな。俺の可愛い妹が知りたいなら教えてやるよ」
男「俺はさ、お前らの事殺したんだよ。殺人者ってわけ」
妹「!?」
男「そりゃもう、学園祭の事さ。こっちがいざ告白しようって時に――」
男「目の前でさ、熱いキスなんてされてたら、そりゃもう、殺したくなるさ」
男「ああ、殺したよ。会長さんも友の野朗も。良い友人だったのになぁ」
男「会長も所詮女だったってわけか。先生方に信頼された天才とは良く言うぜ」
男「どうせ友とお楽しみだったんだろうってさ。マジでその通りさ」
男「その後にさ、お前に告白の続きをしたらどうだ?最低だと?近寄るな?ふざけんじゃねぇよ……」
男「こっちは犯罪者にすら成ってでも、したくない殺人を犯してでも、お前と一緒にいたかったのにさぁ」
妹「……」
男「結局てめぇもそうだ。俺を失望させてさ。兄と付き合う?とんだクレイジー野朗だな!!」
男「でも安心しろよ、そんなクレイジーな子でも、妹とは一緒に居てやるから」
321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:05:23.34 ID:tgln7Bjg0 [35/70]
妹「……嘘、嘘だ」
男「嘘じゃねえよ……俺も自信あったんだけどなぁ」
男「ほら、俺ってあのクソ偽善者と酷似してるだろ?」
男「だから妹も、満足すんだろうと思ったんだけどなぁ」
妹「あ、アンタなんて兄さんと一ミリも似てない……!!!」
男「はぁ……なんでさ。こう、気分の良い時に萎えるような事を言うのかなぁ」
男「だってさぁ、俺も殺しちゃった後でお前の後を追っかけたら、何も無いわけじゃなかったんだぜ!」
男「それどころか!!こうして俺の願望が叶うような場所に来たわけだ!死んでよかったよ本当にさ!!」
妹「……ほんと最低、夢にしたって最低……!!!」
男「だから夢じゃないんだっての。そうだ。実際に思い知らせてやればいいんじゃねえか」
男「ハハ、俺って天才。……おら、こっち向けよ」
妹「……イヤ」
男「ちっ、調子に乗ってんじゃねえぞこのクソアマッ!!」
妹「イヤッ!!!」
322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:14:29.19 ID:tgln7Bjg0 [36/70]
男「……っと」
妹「……あ、あれ、開かない!?」
男「すげぇなぁ、縄を自力で解くなんてよ」
男「褒めてやるけど、ドアは開かないぜ」
妹「……こ、こないで」
男「何言ってんだよ。これから良い事しようってのにさ」
男「抵抗すんなよ。そしたら勢いでまた殺しちゃうかもしれないからさ」
男「大丈夫大丈夫。優しくしてやるからさぁ」
妹「き、気持ち悪いっ……こないでよっ!!!」
男「っと、やめとけよ。じゃないとこうなっちまうんだからさぁ!!」
どんッ!
妹「……ぅ」
男「……ひょろひょろのクセによ、抵抗するからだ」
男「まあいいや。まずは服を脱がさないとな……」
男「いやぁ、楽しいねぇ。まずは一枚~」
324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:22:25.33 ID:tgln7Bjg0 [37/70]
~~~
兄「くそ、開かないッ」
友「二人がかりでぶつかってもか……くそ」
会長「……まだ。まだだ」
兄「後輩、確か願いは一回きりだったよな」
後輩「は、はい……しかも、在り来たりな奴で、単純明快じゃないと……」
後輩「すみません……今のワタシじゃ、これくらいしか……」
兄「なら俺の願いだ!!俺達の障害物を全て排除しろ!!!」
ズドンッ!!!
会長「と、扉が吹飛んだ……」
兄「妹ぉぉぉッ!!!」
友「おらあああ!!!変な事してんじゃねえぞおおおお!!!」
後輩「……っく、でもやっぱ痛いですね……いてて」
会長「大丈夫か、肩を貸すよ」
後輩「すみません……女に容赦無いんだから……いや、女だからのかな。あのクソ野朗は」
325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:27:25.42 ID:tgln7Bjg0 [38/70]
男「あ?」
兄「――!!てめぇ!!!」
ぶんッ!!!
男「あと少しって時に……!」
友「おらぁ!てめぇの相手は俺だっつってんだよぉ!!」
どんッ!ぶんッ!!
男「うぐッ、うらああ!!邪魔すんなクソ野朗!!」
兄「い、妹!妹!!!」
妹「に、兄さん……」
兄「くそ、友が時間を稼いでる今のうちだ!」
会長「ここは私に任せてくれ」
後輩「先輩、このコート妹ちゃんに!!」
兄「すまん!!!」
妹「に、兄さん……兄さん……」
兄「ああ俺だ。お前の兄さんだ。お前の……恋人だ!!!」
326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:32:27.15 ID:tgln7Bjg0 [39/70]
男「……へへ、痛くねえ」
友「!?」
男「おらぁ!!!」
ドッ!!!
友「……く、う……」
会長「友!!……後輩君、次に私だ。いいか?」
後輩「い、いつでも」
会長「アレを消すのは無理でも、私がやれば何も問題は無い」
会長「真剣だ」
後輩「は、はい!」
会長「……いくぞ、ようやく復讐が出来るというものだ」
友「……つ、いてぇ……」
後輩「と、友先輩ッ……こっちに……!」
友「す、すまん。痛いだろ?」
後輩「友先輩と逃げるだけです。何も……問題はありません」
328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:37:04.03 ID:tgln7Bjg0 [40/70]
男「はッ、素直に銃でも出せばいいのによ」
会長「生憎飛び道具は総じて駄目なんでね」
会長「しかし、剣については別さ。多少の覚えがある」
会長「ここでは、君を斬り殺しても何も問題は無いからな」
会長「武道なんてものは、本来そういう使い方をするものだ。だから、君を殺すよ」
男「調子に乗ってんじゃねえぞ、俺がそう簡単に死んでたら面白くないからさぁ!!」
331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:51:34.79 ID:tgln7Bjg0 [41/70]
――
兄「……会長は」
友「会長なら大丈夫だろうさ、後輩が着いてる」
妹「あ、あの……」
友「い、いてぇけどよ、色々ぶっ壊れてる後輩よりは、マシなんだ」
友「それより時間がくるらしいぜ。そろそろ電車が来る」
兄「……ようやくか」
妹「で、電車?」
兄「こんな所から、とっとと抜け出す為の電車だってさ」
兄「こんな変な所に、いつまでも居られないからな」
友「そういう事だ。会長は強いから心配ねえよ」
友「後輩曰く、あのクソ野朗だって一回きりだ」
兄「どこも怪我とか、してないか?」
妹「うん……でも、コートだけだとやっぱり」
友「兄、さっき買ったワンピース着せてやれよ」
332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:58:46.21 ID:tgln7Bjg0 [42/70]
兄「あ、あぁ……俺達は見てないから、さっと着ちゃいな」
妹「う、うん……」
友「……」
兄「……心配か?」
友「あぁ……なんせ突然だったからな」
友「違和感なんて感じてなかったさ。今までそう生きてきた記憶があって」
友「だからさ、ここが全部あいつので捻じ曲げられたあの世だなんて信じらんねえ」
友「あいつは絶対地獄行きだな。後輩曰く、俺たちが生きてた世の中の色んなものがこっちに影響を与えるらしい」
兄「……じゃあ、なんだ。それは元々何もなくて、俺らが強く想像するだけで、こっちはそうなるってこと?」
友「多分な。俺も良く解らんが、何も無いから不安定で、常に流動的だそうだ」
友「だから今の所、全人類の数だけのこっちがあって、ここはあいつの“こっち”だろうな」
友「ったく、普通の死に方じゃないからって、巻き込まれるのはごめんだぜほんと」
妹「……着たよ」
兄「……あぁ、似合ってるぜ」
友「おっ、綺麗じゃないか」
337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:08:13.11 ID:tgln7Bjg0 [43/70]
妹「……ねぇ、私たち本当に死んじゃったの」
兄「それは確実だろうなぁ。ほっぺ引っ張り合ったけど何も無かったし」
兄「“目に見えるもんが全てじゃない”……お前の信じたい方を選べばいいんじゃないか」
兄「俺は、今自分が体感している事が全部だと思ってる」
友「同意だな」
会長「……はぁ、はぁ、やぁ、少々血生臭い者だが、私もそうだよ」
友「会長……!だ、大丈夫か!?」
会長「だ、駄目だ友君。君ににも血がくっついてしまうよ……」
友「何言ってんだよ。何も出来なかった俺には……」
後輩「……はぁ、はぁ」
妹「後輩さん!」
後輩「い、一応終わりましたよ……電車がくる時間にはここを離れられる」
後輩「こんな独りよがりの世界じゃ、誰かに認識して貰わないと保てないですからね」
妹「……」
後輩「ほんと、先輩になりたいからって、こんな世界をつくって。あの人は色んな世界で裁きを受けるでしょうねぇ」
339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:21:43.43 ID:tgln7Bjg0 [44/70]
後輩「○ハウェとか、○魔様とか、魅入られて○ンリマンユ?」
妹「よ、良く分かんないですけど……どういう事なんですか?」
後輩「そうっすね、ちょうどいい。説明タイムといきましょう」
後輩「終わる頃には、迎えが来ると思うから」
後輩「本来、ワタシの居るこっちと、先輩達の世の中は後者と前者の関係なんです」
後輩「まぁ所謂人間っていう、ヘンテコな生き物が生まれてから、ちょうど同じ時期にこっちも発生した」
後輩「言ってしまえば、こっちは人間一人一人の心象風景をそのまま世の中にする鏡なんすよ」
後輩「尽きた人間の意識、クオリアの破棄場。そこで永遠にループする世界を見せて、一定の安定を保つんです」
後輩「んで、私はその現象を管轄してる“何か”の何かなんですよ。うーん。なんていえばいいのか」
後輩「まぁ、本能的に“そうする”って。ってか、いつ生まれたのかも覚えていません」
後輩「因みに、これは先輩達とお話する為にこうなっているのであって、正直どういう“私”なのか検討もつかないんです」
兄「……なんだか、俺からすれば嫌な世の中だとしか思えないな」
後輩「安心してください。人間の域を超えればどっかの誰かみたいに登録されますし」
後輩「無害な存在であれば、意識はそのまま私のように自由に行動出来ますから」
後輩「まぁ、語りえぬものについては、沈黙せねばならない。って事ですね」
345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:32:29.40 ID:tgln7Bjg0 [45/70]
友「……人の“脳みそで理解できる範囲”なんて、限られてるって事かよ」
後輩「まぁそんなもんです」
後輩「で、今回は本当にイレギュラーな件で」
後輩「まぁいわゆる小さな事故みたいなもので、私は先輩達を元に戻す役目があります」
後輩「あの最低野朗も、願いと思いだけは善い意味でも悪い意味でも純粋でしたから」
後輩「結果としてこんな場所に先輩方を引き込んでしまった。というわけです」
後輩「そもそも、そんな混じりの無い意思なんて、そうそう出てくるもんじゃないんですよ」
後輩「せいぜい歴史の英雄とか、その手の御仁じゃないと、混じり気がある筈なんですよねぇ」
後輩「ほら、先輩や友先輩のカップルみたいな“愛の思い”については」
後輩「誰しも混じり気の無い思いは抱けますけど」
兄「……うぐ」
妹「……混じり気の無い……」
会長「ほう」
友「……こっぱずかしい事を平然と……」
後輩「でもあのマジキチは、マジキチに相応しく本当に純粋な“欲”というものを持ってたんですよ」
346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:37:18.67 ID:tgln7Bjg0 [46/70]
後輩「まぁ結局の所全部あいつのせいだった。ってわけです」
後輩「あの人は、いろんな宗教の地獄であんな事やこんな事されますから」
後輩「安心してください。多分、先輩方が生きを吹き返す頃には居ないですから」
後輩「安心してちゅっちゅしててくださいね、ニヤニヤ」
兄「お前真面目なのかそうでないのかハッキリしろよ!」
後輩「しかたありませんよ。私、もともと“曖昧”な奴なんで」
後輩「おっ、そろそろ来そうです。最後までは案内しますよ」
会長「ふむ。では行くとしよう」
妹「も、元に戻ったら」
兄「あぁ、改めて色んな所行ったりするさ」
友「思い出した。俺ゲーム予約してたんだ」
兄「何予約したんだ?」
友「忘れた」
後輩「さ、ターミナルに行きましょう!」
妹「そ、そんなにおっきな駅じゃないけどね……」
350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:42:52.72 ID:tgln7Bjg0 [47/70]
~~~
ガタンガタン......
兄「どうみてもコレ○田急線じゃないか……」
会長「いや、向い合った席だから○海道線だろうな」
後輩「しばらく、電車の旅が続きますぜ」
後輩「さぁさぁ、お菓子でも何でも出してあげまっしょーい!!」
友「なんでそんなテンション高いんだよ……」
後輩「いやぁ~あんなヘドロの底みたいな場所よりも」
後輩「こうして純粋な場所で生き生き出来るのは気分が良いもんなんですよー」
会長「緑茶を貰おうかな」
友「んじゃ俺コーラ」
兄「ジンジャーエールでいいか?」
妹「……」
後輩「妹ちゃんは?」
妹「……え、えと、お、オレンジ……ジュースで……」
352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:49:29.25 ID:tgln7Bjg0 [48/70]
後輩「おれんじ、じゅーちゅ^^」
兄「おい!!!」
後輩「いやいや可愛いじゃないですか、でゅふふwww」
妹「……っく」
後輩「いやいや、すみません。察するに薄めのオレンジですね」
妹「え、そ、そうです」
後輩「わかりますー。わかりますよー。100%はしつこいですよねぇ」
後輩「どうぞ~」
兄「……な、なぁ、お前本当にどういう奴なんだよ」
会長「いいじゃないか、きっと我々の理解を超えてるんだろうさ」
友「……しっかし、あんだけの事があって、いつものペース崩れないなぁ」
会長「私は人を一人斬り殺しているんだがね」
後輩「あぁ、大丈夫です。あの人運が良いのか悪いのか、人間じゃありませんからもう」
後輩「というわけで無問題ですおし」
妹「……どうして窓の外は、ずっと暗いのかな」
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:52:53.52 ID:tgln7Bjg0 [49/70]
後輩「うーん。何か映しましょうか?」
妹「す、凄いですね」
後輩「そうですね、私は凄いので」
兄「というわりには、願い事は在り来たりで一つしか叶えられない条件付きだがね」
兄「俺はドア吹き飛ばして」
友「俺は痛みを消して走り出せるように願った」
会長「剣だな、私は」
妹「……」
後輩「さてさて、妹ちゃんは何をお願いしますか?」
356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:56:05.61 ID:tgln7Bjg0 [50/70]
妹「……兄さんは、何か欲しいものある?」
兄「ん?別に無いぞ」
後輩「何せ、妹が俺の欲しかったものだからな」
兄「お、おい」
友「……おいおい」
会長「いいじゃないか。私はこうしている方が好きだ」
会長「正直、二度と剣など振るいたくないな」
会長「……友の側に居れなくなってしまう」
友「そ、そんな事ねえよ……」
会長「……友」
後輩「……あ、いや、いいんですよ。続けて続けて」
友「いや、止しておく」
会長「同意だ」
妹「あ、はは……兄さんは、本当に何も無いの?」
兄「あぁ、言われてちゃったしな」
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:01:11.46 ID:tgln7Bjg0 [51/70]
妹「……」
兄「……な、なんだよ」
後輩「いやぁ……罪な人ですね、先輩って」
友「ああ、なんかキザっぽいな」
会長「まぁ兄君だからな」
妹「……そ、それじゃあ」
後輩「おっと、解りました」
妹「え?」
後輩「言わなくてもいいですよ。妹ちゃんならね」
兄「おいおい」
友「いいんじゃないか、別に」
兄「まぁ、そうだな」
会長「きっと良い願いだろうさ」
後輩(結婚したいだなんて……言えないでしょ?安心してくださいな)
後輩(色々つじつま合わせておいてあげますから)
359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:05:24.70 ID:tgln7Bjg0 [52/70]
妹(えっ?)
後輩(妹ちゃんの事、応援してますからね)
妹(あ、ありがとうございます……)
兄「おい、なんでニヤニヤしてるんだ」
友「不気味だぜ」
会長「いやいや、むしろらしいじゃないか」
後輩「ぬふふ、先輩は幸せ者ですねぇ~♪」
兄「……本気で鳥肌が立ちそうだ」
友「でさ、ところで」
後輩「?」
友「あいつは結局なんだったんだ?あいつは兄と入れ替わってたって事か?」
後輩「まぁ、アレの世界ですしね。最初はそのまんまでした」
後輩「ただ、気を見計らったのか知りませんが、途中から先輩と同化し始めたんですよ」
後輩「だから、あの時、駅前のショッピングモールで先輩は少し、乱暴になっていた」
兄「俺はすぐに後輩に引き剥がされて、妹の所へ行くように言われたわけだ」
360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:07:48.69 ID:tgln7Bjg0 [53/70]
兄「多少の予備知識を無理やり頭の中に突っ込まれてな」
後輩「あ、あの時は仕方なかったんですよ……あはは」
兄「頭痛が凄かったんだぞ」
妹「だ、大丈夫なんですか兄さん」
兄「あぁ、今はもう。な」
後輩「か、過去の事って事で
361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:10:11.57 ID:tgln7Bjg0 [54/70]
ミス。
後輩「か、過去の事って事で……ここは一つ」
兄「怒っていないよ、むしろありがとうな」
妹「確かにあのままでは、私も想像したくない事になってたかもしれない」
友「そうさ。後輩には感謝してるんだぜ」
会長「ありがとう」
後輩「……うっ、うう……わ、私今最高に嬉しいよ……」
363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:18:24.13 ID:tgln7Bjg0 [55/70]
後輩「……さて、もうそろそろ着きますよ」
妹「あれ?景色が――」
会長「おお、一面緑じゃないか。景色が綺麗だな。」
兄「眩しいな……しかも何だか熱そうだ」
友「それにさ、ここどこだよ!?」
後輩「なんと言いますか……通路?」
後輩「なんなら皆さん、薄着に変えます?」
兄「出来るのか?」
後輩「ええ、先輩や友先輩はTシャツに出来ますし、会長をワンピースにだって出来ます」
会長「出来ればお願いするよ」
後輩「了解、ほいとな」
後輩「どうですか!!!」
兄「白いTシャツだな」
友「後輩だから色物になるかと思っていたけど、そんな事は無かったぜ!!」
会長「うん。いいんじゃないか。動き易い」
364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:25:16.88 ID:tgln7Bjg0 [56/70]
~~~
会長「無人駅か?随分古いように感じるが」
後輩「そんなの必要ないですからねぇ~、まぁ一応駅っていう感じです」
兄「……見渡す限り、一面緑と青い空だな」
妹「風が涼しいですね、兄さん」
友「……」
会長「ん?どうかしたか友」
友「……あ、いや」
後輩「んふっふ~、会長の美貌に見とれていたんですよ~」
後輩「草原に立つ一人の美女が、長く綺麗な髪をおさえて居るなんて、絵画みたいじゃないですか」
会長「……そうなのか?」
友「……嘘は吐きたくないからな」
会長「ふふ」
友「……うぐ」
兄「……しかし、ここからどうやって帰るのか」
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:35:57.25 ID:tgln7Bjg0 [57/70]
妹「きちんと手を繋いでくれているんだね」
兄「ん?ま、まあなぁ」
妹「くふふ……」
兄「に、にやにやするな」
後輩「……そうですねぇ、この廃線を辿って行くんですけど」
友「どうかしたか?」
後輩「うーん。ここからは、みんなで行ってください」
会長「……そうか」
後輩「そんな顔しないでくださいよ!私は大丈夫ですって!!」
妹「……でも、こたつで話をした時は凄く楽しかったです」
後輩「当たり前ですよ。友達ですから……」
兄「……お前、人の事言えない顔になってるぞ」
後輩「……私は、その、ただの現象ですから……」
後輩「こうして、迷っちゃった何の罪も無い人を、導いていくのが、私ですから」
後輩「……みんなと……別れるのは……もう、な、慣れてますから……」
367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:41:34.59 ID:tgln7Bjg0 [58/70]
兄「……」
後輩「だ、だから、ここでお別れです」
後輩「向こうで、絶対に幸せになって、私をニヤニヤさせてくださいね!!」
後輩「……あ、そういえば私見れないんだったな、あはは!ボケちゃったのかな」
友「……後輩よ、写真とか撮れるか?」
会長「そうだな。みんなで撮ろうじゃないか」
後輩「……え?」
妹「みんなで撮りましょうよ」
兄「あぁ、向こうへのお土産だ」
後輩「……で、でしたら」
後輩「い、一眼レフのその場撮りも出来る!私特製カメラ!キャノン製」
兄「キャノン製かよ!!」
後輩「とりあえず、それっぽくロゴとか着けてみました」
後輩「そうと決まればみんなで青空バックに思い出残しましょう!!!」
妹「行こう、兄さん」
368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:44:49.94 ID:tgln7Bjg0 [59/70]
兄「あ、あぁ」
後輩「セット完了っと……よし」
妹「後輩さん早く~」
後輩「はいはいただいま~!」
会長「それでは、みんな笑おうか」
友「むんッ!!」
兄「おいおい友、そのポージングは無いぞ」
友「うるせぇ、俺は写真撮るときはマッチョポーズって決めてんだよ」
妹「……兄さん、もっと近くに居ても……」
兄「ん?あぁ、後輩が真ん中が良いな」
後輩「あ、はは……ありがとうございます」
会長「では、撮ろうか」
後輩「はいッ!!!チーズッ!!!!」
カシャッ
後輩「……ちょwww友先輩なんぞこれwww」
369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:49:24.22 ID:tgln7Bjg0 [60/70]
友「流石だな。俺」
友「なぁ、会長これじゃ肖像画みたいだぜ」
会長「む、むぅ……しかしだなぁ、私はこれしか思い浮かばなかったんだ」
後輩「相変わらず、仲睦まじい雰囲気全開の写りですねぇ、せんぱーい!」バシバシ
兄「い、痛いって、軽く痛いって後輩」
妹「……時計にしまっておこうっと」
兄「俺もそうするかな」
後輩「……、それじゃ、もう、お別れです」
兄「……あぁ、色々と世話になった」
妹「あの、相談に乗ってもらって、吹っ切れました!」
妹「ありがとうございます!」
友「まぁ、お前が居なきゃクソつまらないのは事実なんだぜ」
会長「機会があれば、君を私の生徒会に入れておきたいくらいだ」
後輩「……えへへ、皆さんどうもっす」
後輩「それじゃあ、先輩と妹ちゃんは、こっちの線路を辿って行ってください」
370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:00:15.84 ID:tgln7Bjg0 [61/70]
後輩「友先輩と会長はこっち。きちんと守ってくださいね!」
後輩「……ちゃんと最後まで、見届けますから」
兄「……あ、あぁ……またな」
妹「また、また会いましょう!後輩さん!」
友「またなぁぁぁ!!!」
会長「……信じているよ、私は」
後輩「……さよなら。じゃないんですね」
後輩「……はい、また―――」
後輩「――いつか」
~~~
兄「いつの間にか、振り返っても俺達だけになっちまったな」
兄「前は延々と続く廃線。空は青くて入道雲が高く広がっている」
兄「飽きちまいそうだけど、妹と俺だけだな」
妹「そうだね、兄さん。けど、綺麗じゃない。ほら、空を見てよ」
兄「……いつの間に空に地球なんて映ってた?」
371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:06:14.41 ID:tgln7Bjg0 [62/70]
妹「凄く綺麗じゃない。きっと後輩さんがしてくれたんだよ」
妹「あの人、なんでも出来ちゃうから」
兄「……星雲と、青い星と」
妹「なんだか不思議な景色だね。朝焼けっぽいのにエメラルドがかかってる」
兄「夕焼けっぽいのに、星空と青い星がキラキラしてるな」
兄「なるほど。こりゃ飽きない」
妹「うーん凄いなぁ。カメラ貰っておけば良かったなぁ~」
妹「うおおお……っとと」
兄「そんな仰け反って歩くと、ゴチンッて地面に頭をぶつけちゃうぞ」
妹「気分がいいんだもん、凄く気分がいいの」
妹「あ、流れ星」
兄「……天の川みたいなのが広がってるぜ?」
妹「ほんとだ!!すっごーい!!にゃはははっ!!」
兄「おいおい線路から離れるなよ?」
妹「うん!!わかってるってー!!」
372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:11:50.92 ID:tgln7Bjg0 [63/70]
兄「……おっ、なんか見えてきたぞ」
妹「……わぁ……」
兄「……海か?でも砂浜なんてないし……」
妹「湖かなぁ?青い星とか天の川が反射して映ってるよ!ほら!」
兄「……あぁ……」
兄「……どこなんだろうな。ここは」
妹「……綺麗」
兄「……」
妹「……どうしたの?」
兄「あ、いや」
妹「見とれてた?友さんみたいに」
兄「……お、おう」
兄「あんまりに、お前がなびく髪をおさえてるのが、綺麗だったから」
妹「……ねぇ、このオルゴールに、歌詞とかつけてみない?」
妹「ここの草柔らかいから、いいクッションになると思うんだ。座りながらでいいからさ」
373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:16:49.43 ID:tgln7Bjg0 [64/70]
兄「唐突だな」
妹「ロマンチストですから」
兄「よっと、おぉ、確かに良い感じだな、このまま寝ても気持ちよさそうだ」
妹「でしょ?星空と青い星を見上げながらなんてさいっこうじゃない」
兄「はは、でも手は繋ぐんだろ?」
妹「よくわかってるね兄さん。まさしくっ」
兄「……おっ、寝転ぶと、もっとよく空が見えるぜ」
妹「青草の匂いがするね」
兄「うん。確かにこの雰囲気なら歌詞とか思いつくかもなぁ」
妹「まずは兄さんのオルゴール鳴らしてみて」
兄「ん?あぁ……おっ、さっそくみんなで撮った写真が」
妹「ふふっ」
兄「……っよし、巻き終わりっと」
~♪~♪♪~♪♪♪
374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:25:43.39 ID:tgln7Bjg0 [65/70]
兄「……俺の聴いたことのある曲の歌詞が合いそうだ」
妹「え?」
兄「……」
妹「……じゃあ、私も聴いたことのある曲の歌詞を合わせてみようかな」
兄「……あぁ、なぁ、妹」
妹「なに?」
兄「そのだな、きっと、必ずしも、同じ場所に戻れるとか、そういうんじゃないと思うんだ」
兄「もしかしたら、ここに居た記憶とか、全部消えてるかも知れない」
兄「――けどさ。それでも、俺はお前が好きだから」
妹「……うん」
兄「手は離さないからな」
妹「私だってそうだよ。この時計も、写真も」
兄「……」
妹「……兄さん?」
兄「……」
375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:29:41.69 ID:tgln7Bjg0 [66/70]
妹「……歌うんじゃ、なかったの」
妹「歌詞、つけるんじゃなかったの」
妹「……先に寝ちゃうなんて、卑怯だなぁ」
妹「……なんだか、置いてきぼりになっちゃったな」
妹「あれ、もう朝かぁ。ご来光ご来光」
妹「ほら、兄さん。ご来光だよ。青い星と星空を光らせてるよ」
妹「凄く綺麗だよ。見ないの?」
兄「……」
妹「兄さん」
兄「……」
妹「……疲れて寝ちゃったんだ。私も寝ようっと」
妹「……兄さん。ずっと一緒だよね」
妹「兄さんは、あんなことがあっても、一緒に居てくれたんだよね」
妹「……死んでも、一緒に居てくれたもんね――」
―――
377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:35:19.27 ID:tgln7Bjg0 [67/70]
チュンチュン......
兄「……んん」
兄「あれ、寝てたのか」
兄「……うーん、なんだかハッキリしない」
兄「……あ」
妹「……zzZ」
兄「おい、妹?」
妹「……ううん。あれ、兄さん?」
兄「こんな所で寝てたら、風邪引いちゃうからさ」
妹「……ここって」
兄「ん?木陰で一休みしてたら、制服のまま寝ちゃってたんだ」
兄「俺が前に買ってやったワンピース、きちんと着てくれてるんだな。ありがとよ」
妹「うん。そりゃ当然。……なんで此処に来たんだっけ」
兄「なんでって、俺が夏休み中に会長に呼び出されて、午前中はここにくるようにしてたんだぜ」
兄「昨日話したばっかだぞ?まったく」
378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:38:22.58 ID:tgln7Bjg0 [68/70]
妹「ご、ごめん」
兄「お前、迎えに来てくれたんじゃなかったっけか」
妹(……そういえば、そんな気がしてきた)
妹「……あ、あぁ、うん。兄さん文庫本落としそうだったから、はいこれ」
兄「おお、サンキュー」
兄「麦わら帽子、似合ってるな」
妹「母さんがくれたの」
兄「へぇ」
会長「おぉ、居た居た」
友「おーい!!今日は海に行くんだろー!?」
兄「……あ、いけね。そうだった」
兄「お前もくるよな?」
妹「え、えと、うん」
兄「よしきた。さきに家に帰って準備しないとな」
兄「こいよ、妹」
379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:43:17.59 ID:tgln7Bjg0 [69/70]
妹「うん」
友「俺達先に行ってるからなー」
兄「おーう!」
~~~
母「あら、おかえり」
兄「ただいま。妹とちょっくら海に行ってくる」
妹(……あれ、誰だっけ……見知ってる人だ……)
母「妹ちゃんも、おっかえりー♪」
兄「あ、おい!母さん!!」
妹「あ、はは……」
母「うーん……うちの子じゃないのがもったいないなぁ」グリグリ
兄「はぁ、妹。すまんけど、ちょっと待っててくれ」
妹「う、うん」
母「貴方のお母さんが長期の海外出張でこっちに居ないから預かってくれって言われたときは」
母「私喜びに喜びまくったわ……」
381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:49:59.22 ID:tgln7Bjg0 [70/70]
妹「……っふふ」
母「あら、どうしたの?」
妹「変わらないんですね」
母「……あら、私のどこがそうなのかしらねぇ」
母「私は、“母”よ」
妹「……えへへ、そうでした。お母さん」
兄「あっと、よし。妹ー行くぞー」
妹「ま、待ってよ兄さぁぁん!!」
母「……」
母「願いは、まさかのカタチで叶えたったっと」
母「さーって、掃除でもしますかーッ!」
会長「あぁ、来たか」
友「ったく、事務処理なんかにこきつかうなよぉ~」
兄「いいじゃないか、お前の大事な人なんだろ」
382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 00:02:09.65 ID:CusTv4Ug0 [1/3]
友「ってかさ、お前ら兄妹でもないのに、なんで兄さんって呼んでるんだ?」
会長「……親しかったからだろう。肉親と感じてしまう程に」
妹「あ、はは……クセというか、なんというか」
兄「ん?」
友「いんや、なんでもない」
友「というわけで、俺は海に行ってくるぜ!!」
会長「……その、なんだ。私は泳げん」
妹「兄さんは?どうする?」
兄「俺はここで、ボケッとしてるからそれでいい」
妹「……そ、それじゃ、私も」
兄「……そういや、ここの海の家って、何があるんだろうな」
妹「何か買ってくる?」
兄「あぁ、飲み物でいいよ」
妹「……」
兄「……な、なんでストロー二つもあるんだ?」
388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 00:16:11.99 ID:CusTv4Ug0 [2/3]
妹「……自由にしろって、言ったから……その」
兄「……わかった。わかったよ」
兄「飲めばいいんだろ、飲めば!」
妹「うんっ」
~~~
兄「……じゃあな」
友「あぁ、今日は疲れちまった……祭りは後で。でいい」
会長「散々遊んだからな、私も少し休憩してからにしよう」
友「……そんじゃ、ここで」
会長「また明日、お願いするよ」
兄「わかりました、それじゃ」
妹「さよなら~」
兄「……さってと、後で夏祭りがあるけどさ」
妹「うん」
兄「行くか?」
389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 00:19:34.01 ID:CusTv4Ug0 [3/3]
妹「うんっ」
兄「んじゃ、行くか」
~~~
兄「……っと、財布財布」
兄「……あ、これは」
妹「兄さん、どうかした?」
兄「……これ」
妹「時計だね。オルゴール付きの懐中時計なんて珍しいね」
兄「……あぁ、買ったんだよなぁ」
妹「……兄さん?」
兄「これさ、お前に買ってやったんだよな」
兄「……ほら、この写真」
妹「……じゃあ、夢じゃないんだ」
兄「……あぁ、忘れてたよ。なんか引っかかってたんだけどさ」
兄「そっかぁ、ここが……俺たちの元の場所なのか」
390 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 00:24:47.55 ID:CusTv4Ug0
兄「……待てよ。俺に母親居たか?」
母「あら、酷い言い草ねぇ」
妹「……やっぱり」
兄「……どう見ても」
母「……一応、この年に成るまでの経験は脳内インプット済み」
母「“前”のお仕事の便利さに、私泣きそうよ。とりあえず約束は守っといたからね」
兄「……あぁ、ありがとう……母さん」
妹「そっか、大人に成っても綺麗ですね。お母さん」
母「ふふっ、ありがと妹ちゃん。ほら、兄、さっさと夏祭りに行ってあげなさい」
兄「お、おう」
兄「あのさ、母さんも一緒に行こうぜ」
母「あら、私が?二人水入らずで行けばいいじゃない」
妹「いいんですよ、三人で行こうよお母さん」
兄「というわけだ。行こうぜ」
母「あらあら」
391 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 00:34:22.81 ID:CusTv4Ug0
兄(語りえぬものについては、沈黙せねばならない。か)
兄「でさ、母さんは俺達にどうして欲しい事とか、あるか?」
母「なによ、唐突に」
妹「あ、そうですね。お母さん何か頼みごととかあります?」
母「母の願いは“幸福に生きて”もらう事だけです。それだけ」
母「その為の私なんだからね。“両親とはそう在るべき”なんだから」
母「私の自己満足になっちゃ、親に成った意味が無いもの」
兄「……んじゃ、俺は母さんの幸せって奴をさ。叶えるよ」
妹「私も。そうする」
母「……そうしてくれると、凄く嬉しいわ」
母「ほら、ちょうちんに灯りが燈ってるわよ」
兄「ほんとだ」
妹「着物でくれば良かったかなぁ」
兄「今のままでもいいんじゃないか?」
母「そうよ。そのままで綺麗なんだから。妹ちゃんは」
392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 00:56:18.68 ID:CusTv4Ug0
兄「……したら、何買うか」
母「焼きソバでも買っていこうかしら」
妹「りんご飴とか、食べたいなぁ」
兄「おっ、俺はわた飴食いたいなぁ」
妹「兄さんわた飴なんだ」
兄「わ、悪いか」
妹「べっつにー」
妹「そうだ、お母さん、手繋ごうよ」
母「え?」
妹「向こう着くまででも、左手は兄さん。右手はお母さん」
393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 00:59:16.34 ID:CusTv4Ug0
母「あらあら、いいの?お邪魔しちゃっても」
兄「妹がいいって言ってる時は、いいんだぜ」
妹「うん」
母「それじゃ、そうさせてもらおうかしらね」
妹「……ぬふふ」
兄「変わんないのな、そのニヤニヤは」
妹「私の個性です」
兄「それは個性なのか?」
妹「個 性 で す !」
母「ほら、妹ちゃん怒っちゃったじゃないの」
会長「おお、兄君のお母様も居るのですか」
友「おっ……、遅いぜー兄ー!」
兄「悪い悪い」
394 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 01:01:57.93 ID:CusTv4Ug0
会長「いいものだな。家族と言うのは」
友「ん?」
会長「い、いつか君ともああしてみたいものだ」
友「……お、おうよ」
会長「っふふ、三人か、四人か?」
母「あらあらー。五人とかいかがかしらー」
母「あ、いや、六人?もっとかなー?」
兄「……根は変わってないな」
妹「だね……」
母「あら、私の個性よ?」
会長「いいじゃないか、では。行こう」
友「うっし」
兄「あー。腹減ったー」
妹「兄さん」
兄「ん?」
396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 01:10:47.58 ID:CusTv4Ug0
妹「……ずっと、一緒」
兄「だぞ」
妹「……うん」
母「……あらあら、約束通りニヤニヤ出来そうね。これからも」
兄「おいおい、勘弁してくれ」
母「それは無理ねぇ~ふふ」
妹「……それじゃ、いこ」
兄「ああ、母さんも行こう」
母「そうね……行きましょうか」
とりあえず。これで終了。
終盤の厨二展開は、ある種のイメージか何かだと思ってくれ……すまない。
ニヤニヤだけが良かった奴には申し訳ない。
このスレタイから、なぜかこれしか出来なかった……反省はしているが後悔も少ししている。
とりあえず、ウィトゲンネタが分かった人には感謝します。
とりあえず終了。いわゆる殺された→あの世→転生→きゃっきゃうふふENDです。
質問があれば、拙いけど書きます。SSじゃ、やっぱ理解し難いよな……。
もっといちゃラブエロゲやり込んでおけば
妹「だめっ!!これ以上触っちゃだめなのっ」兄「えっ!?」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1293354013/
兄「……。改めて聞くけどさ。」
妹「へー。これが兄さんの部屋かー」
妹「……なんか、シンプルすぎない?」
兄「はいはい。悪うござんした。俺はシンプルイズベストなんだよ」
妹「あのね。兄さんくらいの年頃なら、アイドルの壁紙とかその他etc...貼ってあってもいいんじゃないの?」
妹「これはシンプルというか、何もなさ過ぎじゃないかな」
兄「人のプライベートに首を突っ込むな。帰ってもらいますぞ」
妹「あんな所に、誰が帰るもんですか。」
兄「……まぁ、荷物置けよ」
妹「やっぱり兄さんは優しいね!流石ね!」
兄「調子だけはいいのな。まぁ、炬燵出してくるからちっと、待ってな。」
妹「うん。」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:27:35.92 ID:pvDLFCEx0
妹「やっぱり、真冬はこたつに限るねぇ~ふぃ~」
兄「ほら、粗茶だけど」
妹「ありがとー。兄さんなんでも出来るんだね」
兄「そりゃ、一人暮らしだしな」
兄「……あのさ、本当に。本当にだ。」
妹「なに?」
兄「お前、どうしたんだよ。冬休みなのが分かるよ?でもさ」
妹「家出」
兄「家出って。お前」
妹「いいじゃない。ほんの少しこっちに居るだけだから。」
兄「ほんの少しこっちに居て、その後どうするんだよ」
兄「それに、今は大事な時期だろ?遊んでる場合じゃないんじゃないのか?」
妹「うるさいなー。いいじゃない。兄さんの意地悪」
兄「意地悪とか、そういうんじゃないだろ」
妹「いいじゃないの。兄さんだって、あの偏差値で光高受かったんでしょ?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:31:47.05 ID:pvDLFCEx0
兄「それは」
妹「兄さんの妹だし、なんとかなるよ」
兄「あのさ。俺とお前は」
妹「血は繋がっていない。けどさ、そんなの関係無いんじゃないのかな」
妹「もう長いこと。兄さんがウチに来てから」
妹「兄さんが染付いてるのよ、だからきっと大丈夫。」
兄「……。はぁ。」
兄「わかった。わかったよ。」
妹「え?」
兄「お前に何があったのかは聞かん。」
兄「好きなだけ居るといいさ。お前の人生だ。」
兄「ただ、母さんから電話がかかって来ると思う。」
妹「それは」
兄「安心しろ。ウチで勉強見てあげてるって事にしてやる」
妹「ありがとうッ!やっぱり兄さんに頼って正解だった!」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:36:40.30 ID:pvDLFCEx0
>>17いやいや。スレ建て出来んかったから。ありがたい。
書いていても、いいか?
兄「はぁ……。」
兄「昼は食べたか?」
妹「まだ。」
兄「んじゃ、ついでだ。外に食いに行くか。」
妹「作らないの?」
兄「帰りに材料を買う。ちょうど安売りの時間帯になるだろうからな。」
妹「さっすが。」
兄「支度。すぐに行くぞ」
妹「うんっ」
妹「なんだか都会なのか。田舎なのかハッキリしないね」
兄「そういう所だからな。ここは」
妹「うぅ~寒い」
兄「その重装備で寒いのかよ!」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:42:34.67 ID:pvDLFCEx0
妹「私、冷え症なの」
兄「絶対違うだろ」
妹「メタファーよメタファー。抽象的なの。隠喩的。分かる?」
兄「いちいち難しい言葉を使わんでも宜しい」
妹「中三って、みんなこんな感じだよ」
妹「背伸びして、身勝手なの。私が兄さんの家に押しかけたみたいにね」
兄「はいはい。自分ですね……って。」
兄「どうした?……懐中時計か」
妹「外で販売とかしてるんだね」
店員「いらっしゃい」
店員「あ、これ?これ三万ね。買います?」
妹「……た、高い」
兄「……。行くぞ」
妹「う、うん」
店員「またきてねー。」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:48:15.28 ID:pvDLFCEx0
>>20イヤァスイマセーン
妹「なんだか散々とした所だね」
兄「あぁ、駅の近くは少しばかり騒がしかったろ?」
妹「うん」
兄「少し離れると、ここらは田舎なんだよな」
兄「まぁ、それが気に入ってるんだけどね」
妹「良い所じゃないの、私なんか排気ガスで息苦しかったよ」
妹「ほんとにね、息苦しくてどうにかなりそうだったもん」
兄「どうにかって、おいおい」
妹「路地のポスターとかさ、見てみるの」
妹「大体兄さんくらいの可愛い子がさ、ド派手に化粧の宣伝とかしてるのよ」
妹「『これでカンペキッ♪』みたいな?」
妹「私さ、そういうのって、凄く駄目なの」
妹「気に入らないのよ、イライラする」
兄「……まぁ、俺もそんなもんだけどな」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:53:17.46 ID:pvDLFCEx0
妹「他にもね。なんだか色々変なのよ」
妹「今まで仲良かった子達の話声だけでも、イライラするんだ」
妹「理由はあるよ?ほら、私もそうだったけど」
妹「その、兄さんに「しね」とか、言ってたじゃない」
妹「まぁ、同属嫌悪というか、黒歴史なのか」
兄「そういうのを気に入らない。見たくもない。聴きたくもない?」
妹「そう」
兄「それって全部が全部嫌いなんじゃないの?」
妹「そんな事ないよ、友達の子達だって、時々見かけないと寂しくなったりするし」
妹「……ううん。よく解んない。わかんないの」
妹「お母さんの『頑張れ』って言葉も、担任の優しい声援も」
兄「嫌い?」
妹「うん。根拠が無いのよ。突発的。というか、今まで考えなかった場所まで考えちゃうというか」
兄「よくあるよ、そういう年頃には。って言うけどさ」
妹「うん」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 21:56:28.39 ID:pvDLFCEx0
兄「これって、ある種の恒例行事らしいんだよな」
妹「そうなの?」
兄「まずは十代中後半。次は三十代。その次は六十代」
兄「自分の生甲斐とか、人生とか、そういうのに対して執拗に考え出す」
兄「よくさ、中二病とかって言われるけど、あれとは別なんだよ」
兄「良く似てるけど、全然違うのさ」
妹「例えば?」
店員「いらっしゃいませー」
店員「二名様ですね?」
兄「はい」
店員「あちらの席へどうぞ」
兄「いくぞ」
妹「うん」
店員「ご注文がお決まりになりましたら、呼び出しボタンを押してください」
兄「わかりました」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:01:42.85 ID:pvDLFCEx0
兄「で、続きだけど」
兄「中二病ってのは、要は頭でっかちになってる状態の事なんだよ」
妹「頭でっかち?」
兄「色んな知識を、上手く扱えていないんだ」
兄「必要以上の情報に、戸惑う。判断がつき難い。」
兄「それで、間違った方向へ、ある種の自己完結をする」
兄「俺の言ってる中二病ってのは、みんなが良く使ってる罵倒の意味ではなくてさ」
妹「うん」
兄「妹くらいの、あるいは俺の前の時の事を指していると言うか」
兄「んまぁ、そんなもん。今も中二患者だけど」
妹「それは、意味合いが違うの?兄さんの言う奴とは」
兄「わからん。本当に中二患者なのか。それともアホなのかなんてのは」
兄「どうせ周りが決めるさ」
兄「まぁあれだ。注文決めたか?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:06:37.92 ID:pvDLFCEx0
妹「ハンバーグが食べたいです」
兄「飲みもんは?」
妹「オレンジジュース」
兄「んじゃ俺ジンジャーにすっかな。貝のパスタでいいや。」
店員「ごゆっくりどうぞー」
妹「わぁい!やったね!」
兄「ハンバーグではしゃぐなよ」
妹「いいじゃないの、ここん所ずっと部屋に篭りっぱなしだったの」
妹「いやぁ、ご馳走ご馳走♪」
兄「……まぁ、あれだ」
妹「ふぁひぃ?」
兄「食べ物食べながら喋んないの」
妹「……っ、うん、それで」
兄「しばらくはこっちに居てもいい。バイトもしばらくないからな」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:10:57.39 ID:pvDLFCEx0
兄「金だって、俺はそんなに使わんから銀行に一応ある」
兄「勉強だって、見てやる」
兄「服とかも、幸いお前が持ってきているから、それでいい」
兄「ただな」
妹「うん」
兄「休みが明ける頃には、キチンと家に帰るんだぞ」
兄「今はまだ、お前一人でああだ。こうだ。していい年じゃないからな」
妹「……うん」
兄「そう暗くなるな、二週間ちょいも家を離れられるんだ」
兄「母さんの無言の圧力もない」
妹「それはイイね」
兄「だろ?それに俺は教えるのが上手い」
妹「性的な意味で?」
兄「そういう冗談すらも、俺は軽く受け流すからな。スルー力なめんなよ?」
妹「中学生なんだから許してよ、下ネタで盛り上がる生き物なんだから」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:15:18.48 ID:pvDLFCEx0
兄「で、だ」
兄「お前は俺と違って頭がいいから、そんなに苦労することはないだろうな」
兄「帰る時は、ついでだ。俺も着いていってやる」
兄「俺はリビングで寝るから、部屋を使ったっていい」
妹「嬉しいけど、兄さんの部屋にやましい物が無いか探すかもよ」
兄「安心しろ。んなもんないから」
妹「ぶー」
兄「ゆっくりしていくといい。俺は何も咎めないから」
妹「……うん、ごめんね」
兄「謝るな。俺だって、お前と同じ時期に、多少差異はあるかも知れんが」
兄「そういう時があった。今でも時々そうなる」
兄「ただな、全部が全部、同じ考え、思考をするとは限らない」
兄「俺はいい。ただ、お前はどうなるか分からない。自殺されても困る」
妹「んな事しないよ」
兄「でも、したいと思ったことくらいあるだろ。本気でさ」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:20:10.69 ID:pvDLFCEx0
妹「……まあ」
兄「だろ?で、俺が思うに、そういうのを甘ったれてるとか、そういうのは違うんだよ」
兄「お前はまだ俺と少ししか離れていないし、大人じゃない」
兄「それなのに、責められる道理がどこにあるよ、休んだっていい」
兄「知らないんだ。知れない。難しい事だろうさ」
兄「今は、そういう時期だ。だから、ゆっくりしろ。限られてはいるけれど」
兄「……しばらく、休め。急がず、怠けず。な」
妹「……うん。うん」
兄「そうだ、そうしろ」
兄「なにさ、すぐに前のお前みたいにハッチャけるようになる」
妹「今でもハッチャけてるよ」
兄「どうだか。終始世界の終わりを垣間見たような顔をチラつかせてるぞ」
妹「うぐ」
兄「はは、いいんだよ、それでいい」」
兄「母さんだって、手一杯なんだろうよ、だから今はあの場所がお前の家だ」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:25:22.97 ID:pvDLFCEx0
>>31 多くを望まれれば、オマケ程度には。
誤字、タイプミス、脱字は許してくららい^q^
兄「ごちそうさん」
妹「ごちそうさま、美味しかった。凄く」
兄「外食すんのは久しぶりだからなぁ」
兄「あ、先出てていいぞ。払っとくから」
店員「ありがとうございましたー」
兄「あいかわらず外は寒いな」
妹「うぶぶ、寒い」
兄「さて、まだ時間には余裕がある」
兄「まぁ寒いけど、散歩でもするか?」
兄「ってか、俺のジャンパー羽織るか?」
妹「いいよ、兄さんだって寒いんでしょ……?」
兄「いいっていいって、実はそうでもない」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:28:07.64 ID:pvDLFCEx0
妹「嘘だぁ」
兄「嘘じゃないんだよなぁ、これが」
兄「ほら、何となく気分で喋っちゃうときあるだろ?あれだよあれ」
妹「……だけど、さぁ」
兄「ほらほら遠慮すんなって」
ぼふっ
妹「おおっと」
兄「どうだ、それだけモフってる奴なら安心だろ」
妹「い、一応中にもあったんだね」
兄「まぁ、薄いけど、意外と保温はカンペキだ」
妹「……よし」
兄「どうだ、まだ寒い?」
妹「いや、むしろ……」
兄「むしろ?」
妹「ごわごわで動き辛い」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:36:47.90 ID:pvDLFCEx0
兄「はは、そりゃ俺のだからさ。サイズ合わんだろうよ」
妹「むー」
兄「こうして見ると、ちんまりしてるな」
妹「うるさいなー、私だって成長してるんだよ」
兄「そりゃそうだろうさ」
妹「……なんか」
兄「?」
妹「このジャンパー、いかにも兄さん。って感じがする」
兄「ん?」
妹「な、なんでもないよ」
兄「んじゃ行くぞ」
妹「おうっ」
兄「ここらはさ、あんまり開発進んでないんだよ」
兄「だから、川は綺麗だし、山にもあんまりゴミが落ちてない」
妹「ふーん、確かに綺麗かも」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:43:23.45 ID:pvDLFCEx0
兄「この川の沿いに、光高があるわけだ」
妹「へぇー」
兄「というのもさ、毎年恒例ってか、新学期始まる時は」
兄「全校で、山とか川のゴミ拾いをするんだよ。滅茶苦茶徹底してさ」
妹「うわ、面倒臭そうな」
兄「だろ?でもま、そういうのって、案外みんな真面目にやるんだよ」
兄「それがさ、綺麗にしとけば、山とか川とかで、気楽に遊べるからなんだよな」
兄「だからか知らんけど、俺の知る限りそんなに嫌味な奴はいないな」
兄「元気な奴は走り回ってるし、俺みたいなネガティブは川沿いでボケーッとしてるわけ」
妹「うらやましいなー」
兄「恵まれてんのさ」
妹「私、中学嫌いだもの」
兄「俺だって、あんな場所二度と行きたくないね」
兄「どうせすぐにおさらばするんだ。少しの我慢だ」
妹「私、兄さんと一緒の所行こうかな」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:47:45.32 ID:pvDLFCEx0
兄「一応言っとくが、あそこは変な奴しか居ないぞ」
兄「物好きが集まる場所だからな。普通ならゲーセンだのプリクラだのはしゃぐだろうに」
兄「なんだかよく分からん奴らが、多いからな」
妹「私だって、物好きな方だよ」
兄「なんでさ」
妹「秘密」
兄「気になるなぁ」
妹「教えません」
兄「ケチだな」
妹「なんとでも」
兄「へいへい。余計な詮索をする俺も物好き連中の一員さ」
妹「妹ですから」
兄「似るってか」
妹「まさしく」
兄「そうかい。……そろそろ帰るか」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 22:53:56.64 ID:pvDLFCEx0
後輩「おっと、これは先輩ではないですか」」
兄「げ」
妹「?」
後輩「いやぁ、珍しいこともありますね!」
兄「お、おう、だな」
後輩「ん?先輩の彼女さんか?にしても……せ、先輩ッ!?」
兄「なんだ」
後輩「先輩ってロリコn」
兄「いや違うから。どう見ても違うから」
妹「あ、あの」
後輩「察するに妹さんかな!な!」
兄「そうそう、お前にしては珍しく直感が当たるんだな」
後輩「酷いですよ、それ!あんまりだ!根拠の無い差別だぁ!ァー!」
妹「に、兄さん、こ、後輩さんなの?」
兄「あぁ、無駄にテンションの高い、物好きな奴の一人だよ。見ちゃいけません」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:00:37.90 ID:pvDLFCEx0
後輩「美少女センサーが反応したんですよ」
後輩「ワタシのこのアホ毛が、ビンッビンッに反応したんですよ」
妹「は、はは」
後輩「うーん。先輩の妹さんか……」ズズッ
妹「ど、どうも……」
後輩「イイッ!この仕草と言い、未発達な体がそそるッ」クネクネ
兄「……い、妹、無視だ。無視」
妹「い、いや兄さん、それは失礼じゃ」
兄「いいんだ。超法規的措置だ。許す」
後輩「酷いな。ワタシは純粋に美しいものを愛でているだけッ……!」
後輩「この沸きあがるリビドーをッッ!これこそ耽美主義ッッ!!」
兄「耽美でもなんでもねぇ。変態だろ。な。おい」
後輩「変態……良い言葉ですね。実に的を得た言葉だ」
妹「た、楽しい人ですね」
後輩「おお!?なんて良い子なんだッ!こんな理想の妹を持つ先輩ッッ」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:05:25.46 ID:pvDLFCEx0
後輩「ぜ、是非とも妹さんを紹介して頂きたい」
兄「勘弁してくれよ」
後輩「そんなぁ……」
妹「あ、あの、後半さんは女性、ですよね……」
兄「ああ、一応女だ。見かけが男だが女だか判別つき難いがな」
後輩「褒めてるいるのか?それとも……まぁいい。いいんです」
後輩「妹さん、ワタシと是非とも仲良くして……」
兄「はいはい。駄目ですよー。さ、行くぞ妹」
妹「は、はい」
後輩「ああァーッ!!待ってくださいよーッ」
兄「走れ!」
妹「う、うんっ!」
後輩「……ふ、ふふ」
後輩「このレーダーから、逃げられると思ったら大間違いですよ……」
兄「はぁ、はぁ……」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:09:32.65 ID:pvDLFCEx0
後w半wとwかw誤字w
兄「ここまでくれば」
妹「た、楽しい人だね」
兄「なにがさ!あんなの疲れるだけだぜ?」
妹「でも、真っ直ぐで嫌いじゃないよ」
妹「方向性は……違うと思うけどね」
兄「ああ、悪い奴じゃないんだけど……」
後輩「う、うう……先輩が……そんな優しいなんて……」
兄「う、うわぁ!?どこから湧いてきた!?」
後輩「沸いてきた。なんて、そんな表現、酷いですよ!?」
後輩「くそ、持ち上げてまた下げるッ……。うう、悔しい。でも(ry」
妹「こ、後輩さん、よろしく」
後輩「おお!?!?なんて優しい妹さんなんだッ!こんなに優しいなんて!!!」
後輩「ま、まるで聖母……い、いや、あるいは聖妹ッ……!セイントシスターッ……!!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:16:51.49 ID:pvDLFCEx0
妹「せ、セイント……」
兄「しすたー……」
後輩「……疲れました。喉が渇きました」
妹「!?」
兄「……な?変な奴だろ?」
妹「な、なんていうか、二重人格?」
後輩「性格に言えば、わたしのコレは気分の差異のよって生じるんです」
後輩「説明すれば、意味合い的には二重人格も強ち間違ってはいません」
後輩「しかし、わたしという人格自体は消えても換わってもいな(ry」
兄「さー、寒いからお家に入るぞー」
妹「は、はは。後輩さんも如何ですか?」
兄(おい!何爆弾抱えて家に入ろうとしてるんだ)
妹(いいじゃない、面白いよ?)
兄(お前は良くてもな……)
後輩「良く出来た妹さんですね。先輩の妹とは思えないですね」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:19:36.81 ID:pvDLFCEx0
兄「そういう事言うなら、入れないぞ」
後輩「大変申し訳御座いません」
兄「よろしい」
妹「ただいまー」
後輩「お邪魔します」
兄「ただいま」
後輩「いやぁ
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:23:15.83 ID:pvDLFCEx0
おっとすまない
後輩「いやぁ♪これが先輩の家かー」
妹「あれ?」
兄「お前のおかげで、ついに上陸を許してしまったよ」
妹「ご、ごめん……」
兄「まぁいいさ、俺は茶を淹れてくる」
兄「後輩、そこに煎餅とかみかんとか有るから」
兄「妹に迷惑かけんなよ」
後輩「いやいや、申し訳ないです」
妹「兄さん、ありがと」
兄「いいって」
後輩「いやーしかし、本当に何もないですね」
後輩「年頃らしいエロ本の気配すら……アホ毛が萎えてしまうほどに」
妹「はは……ふ、不思議な髪の毛ですね……」
後輩「ですね、自分でも良くわかっていませんから♪」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/26(日) 23:28:13.10 ID:pvDLFCEx0
妹(……じ、自覚がないのか)
後輩「それにしても、こたつはイイですねー」
後輩「なんだか眠くなってきた……」
兄「おいおい、寝るなよ」
後輩「あ、すみません……な、なんという熱加減……」
妹「ありがと。兄さん」
兄「ああ、俺もこたつっと」
後輩「それで、今まで妹さんを見かけなかったわけですか」
兄「ああ、この休み中は俺が妹の勉強を見ることになってる」
後輩「手取り足取り?」
兄「お前の考えている事は大外れだ」
後輩「ええーっ、だって血の繋がっていない兄妹ってだけでフラグ、ビンビンなのになー」
兄「ねえよ」
妹「……ないのか、あ、いや」
妹「いやぁ、兄がお世話になってますー。はは」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:34:39.96 ID:pvDLFCEx0
後輩「2828」
兄「みかんを食いながらニヤニヤするな」
妹「いいひゃないの、ふぇふぅに」
兄「お前も煎餅バリバリ食いながら喋るなッ!」
後輩「いやぁ、せっかくこんな風にしてもらっちゃって」
後輩「何かお手伝いでもしましょうか?」
兄「おっ、そうだな、忘れていた。時間的にもちょうどいいや」
兄「後輩、少し妹のこと見ててくれないか?俺はちょっと買い物していきたいんだ」
後輩「なんという信頼ッッ!了解です!!!」
妹「そっか、兄さん私も忘れてたよ」
兄「だろ、んじゃちょっと行ってくるよ」
後輩「夫を送る人妻の気分って、こうなのかな……むふふ」
妹「はは……」
後輩「さて、妹ちゃん、何か話そうか!」
妹「な、なにかですか。うーん……」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/26(日) 23:39:52.30 ID:pvDLFCEx0
妹「そ、そうだ」
後輩「……わくわく、てかてか」
妹「に、兄さんって、どうなんです……!」
後輩「どう?」
妹「は、はい。学校で……とか」
後輩「あぁ、むふふ……」
妹「はは……」
後輩「そうですねー。先輩は、一言で言えばかなーり優しいですね」
後輩「普通、こんな奴の事なんて、そうは相手にしませんよ」
妹「……そんな、後輩さんは」
後輩「仕方ないんですよね、自覚してるんですよ、ワタシは馬鹿だから」
後輩「でも、あの人は、先輩は、そんなの一々気にしてるような人じゃないんです」
後輩「怒られちゃいましたよ。いや、説かれたのかな。そんなん気にするなって」
後輩「お前がどうであれ、俺は気にしないし、何より実害無ければどうでもいいって」
後輩「かっこいいですよね、ただしイケメンに限るなんてレベルじゃないですもん」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:03:15.93 ID:NFYAsSzf0 [1/49]
妹「そうかぁ」
後輩「誇っていいお兄さんだと思いますよ」
妹「凄いんだな、兄さん……やっぱり」
後輩「ええ、ワタシは少なくともそう思いますッ」
後輩「……なんだか、喋りすぎて疲れちゃいました……」
妹「はは、寝ちゃっても構いませんよ」
後輩「い、いえ、そんな……ことは……zzZ」
妹「言ってる側から……はは」
妹「風邪を引いちゃいますよ」
すっ
妹「兄さん帰ってくるまで、私も少し寝ようかな」
妹「……」
後輩「……zzZ」
妹「……zzZ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:17:08.20 ID:NFYAsSzf0 [2/49]
妹『……』
?『今日から、この子が貴方のお兄ちゃんよ』
兄『……よろしく』
妹『う、うん……』
兄『……』
妹『うるさいなぁ、黙ってよ少し』
兄『あぁ、悪かった』
妹『……うざったいなぁ』
兄『うるせぇなぁ』
妹『はぁ?』
兄『うるせぇって言ってんだよ、こっちは勉強してんだよ』
妹『知らないよ、そんなの』
兄『あ?』
妹『はぁ?』
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:19:33.40 ID:NFYAsSzf0 [3/49]
兄『……ほら、これやるよ』
妹『……ありがと』
兄『……悪かった』
妹『ううん』
兄『今度、どっか行くか』
妹『うん!』
兄『……受験受かってさ、少し遠い所に行く事になったんだ』
妹『……』
兄『だからさ、もう、その……お前とは』
妹『いいよ、大丈夫』
妹『……大丈夫……大丈夫だから』
妹『……』
妹『……やっぱり嫌だなぁ』
妹『……兄さん、今どうしてんのかなぁ』
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:24:57.99 ID:NFYAsSzf0 [4/49]
兄「ただいまーって」
妹「zzZ」
後輩「ふへへ、よいではないかーよいでは……zzZ」
兄「……はぁ……」
兄「ま、いいか」
妹「……兄さん」
妹「兄さん…・・・あれ、兄さん……」
兄「あ、起きたか、今飯作ってるから――」
ストンッ
兄「あ、おい……おい?」
妹「……にいさーん……にいさぁ……zzZ」
兄「……む、これじゃ動けないぞ」
兄「……ほら、ベットはあっちあっち」
妹「……んー」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:32:38.73 ID:NFYAsSzf0 [5/49]
寒い。・・・は…です。
妹「兄さん……」
兄「はいはい」
兄「ほら、入って入って」
がさごそ
妹「……zzZ」
兄「肩までかけないと……よし」
兄「……よっぽど疲れてんだな。寝てなさそうだったし」
兄「でだ、後輩は……」
後輩「ふへへ……」
兄「どんな夢見てんだよ」
兄「はぁ……まぁ、いいか」
後輩「……ぬふふ、いくぞ英雄王――――武器の貯蔵は充分か」
後輩「……って、あれ?サーヴァントは?聖杯戦争は?」
兄「そんなものはありません。ようこそ現実へ」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 00:55:31.35 ID:NFYAsSzf0 [6/49]
>>56乙
後輩「はっ……って、外暗い」
兄「だろ?もうずっとそうだったね」
後輩「……申し訳無いです、妹さんは……寝てるのか」
兄「どうする?飯食うか?」
後輩「いや、悪いですよ……」
兄「お前がどうしたいか。聞いてるんだぜ」
後輩「お願いします……」
兄「よし、作っておいた」
後輩「用意周到……ですね!」
兄「だろうな」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:12:45.25 ID:NFYAsSzf0 [7/49]
後輩「……なんだか外、雪降りそうですね」
兄「あぁ、ここらは降るだろうなぁ」
後輩「なんか、すみません……」
兄「なんでだ?」
後輩「良くして貰ってるばかりで、その」
兄「俺がしたいからしてるんだ。気にすることがあるか?」
兄「それよりさ、どうだ?シチューの出来」
後輩「あ、あ、はい!凄く美味しいです!暖かくて!それで甘いッ」
兄「良かった。もっと食え、ほらおかわりまだあるぜ」
後輩「妹ちゃんは?」
兄「起きたら、作ってあげる事にする。冷めた飯なんて不味いだけだろうしな」
後輩「ほんと、優しいですね」
兄「お節介なだけさ」
兄「こんなろくでもない奴を、兄と慕ってくれる妹だぜ」
後輩「そんな、ろくでもなくなんかないですよ」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:35:49.28 ID:NFYAsSzf0 [8/49]
兄「どうだかね」
後輩「どうでもないです」
兄「……暗いな、送っていこうか?」
後輩「え、あ、そ」
兄「イヤとは言わせないぞ、流石に暗い」
後輩「は、はい……」
兄「……妹は、まだ寝てるな」
兄「よし、それ食ったら送るからな」
後輩「は、はい」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 01:57:07.16 ID:NFYAsSzf0 [9/49]
くそ、寝ます。
残っていたら、続き書きます。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 06:33:20.06 ID:NFYAsSzf0 [10/49]
起床したけど、またすぐ離れるかもです。
保守ありがとうございました!
後輩「うはぁ、寒い……」
兄「そりゃ、真冬の夜だからな」
後輩「……すみません、上着借りちゃって」
兄「気にすんな。いいって」
後輩「ほんと、色々と」
兄「そういうのはさ、俺が何か頼み事をする度に消化されてるんだぜ」
後輩「え?」
兄「今日妹の面倒見てくれたじゃないか」
後輩「あれは、ただ話していただけで」
兄「それさ。それでいい。それがありがたいんだ」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 12:37:59.98 ID:NFYAsSzf0 [11/49]
保守ありがとう。
後輩「星綺麗ですね」
兄「空気が澄んでるからね。良く見える」
後輩「……あの」
兄「ん?」
後輩「今日は、ありがとうございました」
後輩「なんだか、凄く長かったような。短かったような」
兄「はは、まぁ、色々あった日だからさ。俺にとっても」
後輩「いッ、色々!?」
兄「うん。お前が考えているのとは違うね」
後輩「そんな満面の笑みを湛えられても……」
後輩「あ、もうあそこなんで、大丈夫です」
兄「そっか、気をつけろよ。近いとはいえさ」
後輩「はいっ、ありがとうございましたっ!」
兄「おやすみ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 12:43:50.85 ID:NFYAsSzf0 [12/49]
後輩「お、おやすみです!」
――
兄「……。さて、そろそろ妹が起きる頃かな」
兄「軽く走っていくか」
――
妹「……ぅ」
妹「……れ、あれ」
妹「兄さん……後輩さん……」
妹「……兄さん?どこ?」
妹「……」
妹「……どこ行っちゃったのよ」
ガチャン......
兄「ハァ、ただいまー」
妹「に、兄さん!」
兄「すまん、後輩送ってたからさ。すぐに飯作るよ」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 12:48:37.39 ID:NFYAsSzf0 [13/49]
兄「いやぁ、外ホントー寒い」
妹「大丈夫?」
兄「ああ、ありがとう」
兄「外見てごらん、雪降ってるから」
妹「……ほんとだ」
兄「だろ?走ってたとは言え、寒かったよ。めちゃくちゃ」
妹「ふふ、兄さん、明日はイヴだよ」
兄「あ、そうだったな。うーん。どうするか」
妹「いいよ、私は。兄さんの手料理美味しいから」
妹「……私も作れるようにならないとな」
兄「ん?どうした?」
妹「ううん。なんでもない。シチュー?」
兄「ああ、美味しくないかも知れないけどさ」
妹「嘘!兄さんの料理が不味いなんて、そんなのありえないよ?」
妹「そんな事が起きたら、それこそ怖いよ~」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 12:56:20.10 ID:NFYAsSzf0 [14/49]
兄「ほい、完成だ」
妹「良い匂い……流石兄者」
兄「妹者よ、それは褒めすぎというものだ」
妹「ふふ、ノッてくれてありがと。兄さん」
妹「やっぱり兄さんは、凄いね……」
兄「何言ってるんだ。学力ではお前にボロ負けさ」
兄「どうぞ」
妹「いただきまーす」
兄「テレビ点けるか?」
妹「いいよ。大丈夫。兄さんのシチューをゆっくり味わいたいのでござる」
兄「なんでござる」
妹「いいじゃないの。美味しいから気分がいいの」
兄「なんだそれ、頂きます」
妹「うっ、私ニンジン駄目なんだよなぁ」
兄「ちゃんと食べなさい」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:05:20.63 ID:NFYAsSzf0 [15/49]
妹「うぐ……し、しかしですね兄者」
兄「どうしたら食べてくれるのかね、妹者」
妹「そ、そのですね」
兄「うん」
妹「こ、こんな事頼むのは、少々アレかもしれないけど……ううん」
兄「ほら、早く早く」
妹「あ、頭とか、撫でてくれたらなぁ……な、なんて」
兄「んだよ、それくらい……ほれ」
妹「……」
兄「……こんなんで、いいのか?」ナデナデ
妹「う、うん……うん」
妹「……ありがと、ニンジン食べるよ」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:14:59.94 ID:NFYAsSzf0 [16/49]
妹「……兄さんはさ」
兄「ん?」
妹「か、彼女さんとか、い、居るの?」
兄「居ないよ。今は独り身でいいんだ。どうだろうな。一生いらないかも」
妹「そ、そう……」
兄「どうかした?」
妹「ううん、ごめんなさい。余計な事聞いちゃって」
兄「いいさ。別に聞かれて困ることじゃあない」
兄「そんなシケた顔で食べる飯なんて、美味しくないだろ?」
妹「ごめん……」
兄「いいって、ほら、おかわりあるぜ?」
妹「うん……」
兄「……どうかしたか?」
妹「う、ううん。なんでもない。うはー美味しい!」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:32:50.05 ID:NFYAsSzf0 [17/49]
兄「……」
兄「風呂沸いてるからさ、先に入っちゃえよ?」
妹「うん」
兄「……」
――
ザー......
妹「……」
妹「だよね、仕方ない」
妹「……ごめんね。兄さん」
――
兄「……」
兄「……こういう時に限って、雪ってのは気に入らないな」
兄「……はぁ、どうすっかね」
兄「妹の奴、こんなろくでもない奴を……」
兄「ったく、対応に困るだろ……ほんとに」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:48:34.47 ID:NFYAsSzf0 [18/49]
妹「……上がったよ?」
兄「お、そうか。ちょうど皿洗いも終わったんだ」
兄「それじゃ、俺入ってくるから」
妹「……うん」
――
妹「やっぱり変だよ……最近、なんか」
妹「……うー。あー……兄さん……」
妹「いかん、頭の中が大変な事に……お、落ち着くんだ。COOLになれ……」
妹「……ほ、法律上では問題無いわけで……」
妹「いや、しかし……ううん。いやいや……でも」ブツブツ
妹「うわあああ兄さんあああああん!!!」
兄「……ど、どうした!?」ガラッ
妹「……へ?」
兄「……おおう……」
妹「か、か、と、とりあえず、か、隠そうよ……み、見えてる……」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 13:54:17.47 ID:NFYAsSzf0 [19/49]
兄「す、すまん」
兄「い、いきなりどうしたんだよ……へっくしょん」
妹「な、なんでもないよ!ほ、ほら、早くお風呂に戻って。風邪引いちゃうよ」
兄「あ、あぁ」
妹「……なんて事をしてくれるんだ」
妹「……」
――
兄「……やってしまった」
兄「うぐぐ……もうあいつと顔を合わせられない……」
――
妹「……」
兄「……」
妹「私が悪かったです。すいません」
兄「あ、いや、俺こそ」
妹「……うん、ごめんなさい」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:03:13.78 ID:NFYAsSzf0 [20/49]
兄「……まぁ、その」
妹「ほ、ほら、保険体育で習ってたし、違和感ZERO!RO!」
兄「そ、そうか」
妹「う、うん。むしろ……いやなんでもない」
兄「……どうする?」
妹「うーん。寝る」
兄「だよなぁ」
妹「……べ、ベットの中は凄く冷たいんだよなぁ」
兄「……」
妹「こ、このままだと風呂上りで、風邪をひ、引いちゃうかもなぁ
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:07:03.08 ID:NFYAsSzf0 [21/49]
おおっと、タイプミス
妹「こ、このままだと、風呂上りで。風呂上りで!」
兄「あ、あぁ……ふ、風呂上りで?」
妹「か、風邪とか、ひ、引いちゃうかもなぁ~ヤバいなぁ~」
兄(な、なんて遠まわしでいやらしい無言の圧力だ……)
妹「そうなったら大変だろうなぁ~私体弱っちぃからなぁ~」
兄「わかった。わかったから」
妹「……では」
兄「寝るよ。寝ればいいんだろ。一緒に」
兄「あのさ。お前、中三でそれは――」
妹「そ、それでは、いざ!!!」
兄「……そんな意気込まんでも」
妹「……そ、そうだね」
妹(や、やったぞ!兄さんと寝れるぞ!やったね!)
兄「……はぁ、ほんと、様変わりの生活が始まったわい……」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:19:21.54 ID:NFYAsSzf0 [22/49]
兄「……な、なぁ、そんなにくっつかんでも」
妹「……」
兄「あのさ?妹さん?」
妹「……」
兄「そ、そんな、そっぽ向かれていたら……。はぁ……」
兄「わかったよ。わかったから。そんなに強く、くっつくなって」
妹「兄さんの足、冷たいなぁ」
兄「お前は異様に暖かいけどさ」
妹「……あのさ、兄さん」
兄「そんなに顔近いと、俺、寝相悪いから、ぶつけちまうかもよ」
ごつん
妹「……痛ぁ」
兄「ほら、言わんこっちゃない。大丈夫か?」
妹「うん……なんかヌクヌクしてきた」
兄「ヌクヌクか」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:21:52.41 ID:NFYAsSzf0 [23/49]
妹「程よい温度」
兄「なんか生々しいぞ」
妹「兄さん」
兄「ん?」
妹「……少し、話とか」
兄「話?いいけどさ」
妹「うん。ありがと」
妹「ほとんど愚痴だけど」
兄「いいよ。そのうち眠くなってくるだろうしさ」
妹「中学でさ、みんな髪を染めだすんだ」
兄「あぁ、まぁ、そうだろうな。お前は珍しく何もしていないけどさ」
妹「ふふ、ハゲちゃったり、枝毛になるのは、嫌だから」
兄「さらっさらだな」
妹「触ってみる?」
兄「おいおい、イイって。遠慮しますよ」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:25:24.89 ID:NFYAsSzf0 [24/49]
妹「なんだ、兄さんならいいのに」
兄「いいって」
妹「ぶー。まぁ、いいけど」
妹「それでさ、やっぱり、私ってちょっぴり長めじゃない」
兄「あぁ、だな」
妹「それで、目立つわけ。みんな口々に言うのよ」
妹「『えぇ~!?妹ちゃん染めないの~!?ダサいよソレ~!?』」
妹「うるせぇ!テメェらの事なんざ知ったこっちゃねぇ!」
妹「私は。私です。ってね」
兄「よく言った。流石だ」
妹「うん。ありがと。でさ、なんでこう。みんなに合わせようとするのかな」
兄「そういう年なんだよ。仲間ハズレにされたくないのさ」
兄「その点、お前はしっかり『自分』ってのを守ってる」
兄「偉いぞ」ナデナデ
妹「そ、そうかな……えへへ」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:35:24.72 ID:NFYAsSzf0 [25/49]
妹「……、いっつも憂鬱になってたんだ」
妹「『成績が。友達が。担任が。両親が』」
妹「どうしよう。どこに行けばいいんだろう。どうすればいいの」
妹「ずーっと。こんな感じで。それで、もうヤバい。って時に、兄さん頼ってみようって」
兄「あぁ」
妹「迷惑だった?」
兄「いや。ちょうど休みだったし、良いタイミングだろうよ」
兄「それに、俺はいつだって、お前に『駄目』なんて事は言わないさ」
妹「甘いよね」
兄「違うぞ。それは違う。当然の事だ」
兄「嫌いでもない奴を、拒む理由なんて無いんだからな」
妹「……ほんとにさ、『あの』兄さんが。どうしてこうなったんだか」
兄「いやぁ、あの頃は俺も荒れてたからなぁ」
妹「ほんと。まぁ、それでも兄さん。って感じだったじゃない」
妹「私の誕生日とか、必ずお小遣いでプレゼントくれたし」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 14:46:29.37 ID:NFYAsSzf0 [26/49]
妹「『お小遣い』ってのが、大事」
兄「はは、細かいな」
妹「いいの……。うん。眠くなってきた」
兄「寝るか?」
妹「……少しの間、私が寝るまで、起きていて」
兄「ん?あぁ、いいぞ」
妹「ぜったい。ぜったいだよ」
兄「あぁ、約束する」
妹「手、繋いでてもいい?」
兄「あぁ、いいよ」
兄「おやすみ。起きているから」
妹「うん……う、ん……」
兄「……」
妹「……」
妹「……zzZ」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 15:30:45.83 ID:NFYAsSzf0 [27/49]
ちょっちPC離れるよ
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 15:39:16.50 ID:NFYAsSzf0 [28/49]
――
兄「……」
妹「……」
兄「……よっと」
妹「んん……」
兄「……ふう、起きてないな」
兄「……うう、寒い」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 15:56:23.67 ID:NFYAsSzf0 [29/49]
兄「……凄いな、雪がつもってる」
妹「……おはよう」
兄「ああ、起こしちゃったか?」
妹「ううん。自分で起きた」
兄「パン食べるか?」
妹「ありがと。食べたいな」
兄「んじゃ焼くよ、座ってテレビでも見ていて」
妹「うん」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 16:20:42.49 ID:NFYAsSzf0 [30/49]
TV「――ムカつくから、殺した。昨夜、小学四年生の――」
妹「……物騒だね」
兄「……あぁ」
兄「人間だからな。ありえない事はない」
妹「……うん」
兄「……ほら、熱いと思うから、気をつけるんだぞ」
妹「はーい」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 16:55:42.77 ID:NFYAsSzf0 [31/49]
兄「……今日はどうするか」
妹「うーん」
兄「また少し、散歩でもしようか?」
妹「いいかも」
兄「その後に、少し勉強するって感じか」
兄「まぁ、お前はちょっち教えればすぐに覚えるからな」
妹「そんな事ないよ、兄さんの方が凄い」
兄「んなわけあるかい」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 17:21:01.90 ID:NFYAsSzf0 [32/49]
――
兄「……よし、準備出来たか?」
妹「いいよ、できた」
兄「……よしいくか」
――
兄「……寒いなー」
妹「……どうして」
兄「ん?」
妹「なんで生きるの……かな……なんて」
兄「それは人それぞれだろうさ」
妹「……うん。ごめん」
兄「なんで謝るんだ?」
妹「こういうのって、単なる迷惑かな……って」
兄「あのな、俺が嫌だ。なんて言ったか?」
妹「……うん」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 17:26:25.63 ID:NFYAsSzf0 [33/49]
兄「そうだなー。俺が言っている事はかなり参考にならないだろうさ」
妹「……」
兄「それでも、聞きたいってなら、教えてやるよ」
妹「……教えて」
兄「じゃあお前は、誰かに何の意味も無く殺されたいか?」
兄「理由もなく、願いでも怨みでもなんでもない」
兄「ただ、殺す。なんて理由で、殺されたいか?」
妹「それは……いやだよ」
兄「だろ?そういう事だ。俺が生きてる理由なんて、確かに色々社会的な面もあるさ」
兄「けどさ、そうじゃない。それじゃ、納得なんて俺は出来ない。俺は卑屈だからな」
兄「要は純粋に、生きたいのさ。俺は義人じゃないし、まして悪人でもない」
兄「空虚だし、つまらないし。そんな人間だ。でも、殺されたくない。無為な理由でなんてな」
兄「結局は、そういう事だ。それだけ」
妹「……そっか」
兄「悪かったな。少し説教臭くなって」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 17:39:47.34 ID:NFYAsSzf0 [34/49]
会長「ああ、実に青臭い説教だったな」
妹「あれ、後輩さん」
後輩「おはよー。朝早いねー。……うう」
兄「あれ、会長珍しいですね」
会長「ああ、後輩に少し学校の事で、手伝って貰おうと思ってな」
後輩「いきなり朝『起きろ。学校の事だ。手伝ってくれ』ですからねー」
後輩「いくら美人でかっちょいい会長のお願いでも、冬休みくらいは(ry」
会長「察するに、君は兄君の妹さんか」
妹「は、はい」
妹(凄い……美人……兄さん、こんな人が周りに)
友「か、会長ぉ~」
会長「やっと来たか。友は少し鍛えた方がいい」
会長「私は光高で生徒会のリーダーをしている者だ。会長とでもなんでも呼んでくれ」
妹「は、はい」
友「あれ、今日は賑やかっすね」
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 17:47:11.42 ID:NFYAsSzf0 [35/49]
友「おお、兄じゃないか」
兄「お前も会長に呼び出されたのか?」
友「まあな」
会長「友は優しいからな。私は信じて疑わなかった」
会長「流石、私のパートナーだよ」
友「あ、はは」
妹(……?)
兄(二人はお付き合いしているんだ)
妹(……へぇ、そうなんだ)
会長「ふ、妹さん。友は見た目はチャラチャラしているが、この時代には珍しい硬派な人柄だよ」
妹「へ!?あ、いえ、決してそんな」
友「いいよいいよ、俺って、そういう奴だからさ~」
後輩「そうですよ。私にも理解出来ませんね。今でも会長と友先輩がキャッキャウフフな関係だなんて」
会長「私たちはいつでも、きゃっきゃうふふ。だぞ?昨日だって友と(ry」
友「だぁーッ!だぁー!!さ、もう行こうか会長、後輩よ!!じゃあな!兄!そして妹さん!!」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:12:21.98 ID:NFYAsSzf0 [36/49]
兄「……まぁ、うん」
妹「ははは……」
妹「……今日はイヴなのに、人少ないねぇ」
兄「そりゃ、駅に行かないとな」
兄「ここらには、廃線駅とか、川とか、まぁのどかな場所だからな」
妹「ほーんと、欠伸が出ちゃうよ」
妹「それが気に入って、兄さんはここに来たんでしょ?」
兄「ああ……」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:23:27.33 ID:NFYAsSzf0 [37/49]
兄「……晴れるのはいいんだけどさ」
妹「寒いよね」
兄「夏にならないかね」
妹「夏かぁ~いいなぁ~」
兄「夏はいいぞ~ここら辺は高地だから、涼しい上に川もある」
兄「いやぁ~去年はえがった。実に」
妹「私も、遊んでみたいな。色々」
兄「海も近い。ただ、唯一の難点は、店とかが、総じて小さい」
妹「でもま、そんなのネットの発達した今では、無問題?」
兄「正解だ。だからこそ俺はここに居る。むしろ卒業してもここに居たいくらいさ」
兄「まぁ、少し賑やか過ぎる連中も一緒だけどな」
妹「私は好きだけどな」
兄「疲れるぞ~?」
妹「それがいいんじゃん」
兄「そっかい。なんか飲むか?」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:42:06.88 ID:NFYAsSzf0 [38/49]
ガタン
兄「……」
妹「兄さん、ブラックなんて飲めるの」
兄「飲めるんじゃない。飲むのさ。好きだから」
妹「ふーん。ココアの方が美味しいと思うけど」
兄「ホットココアの美味さは異常。認めるけど、今日はコーヒー飲みたかったんだ」
妹「……冬って」
兄「ん」
妹「こう、昼間の空は、レースがかかってるような。そんな感じがする」
妹「夏は、入道雲で高いと思うし、秋は澄んでる……のかな。空が」
兄「……お前がそんな事言うから、来年が恋しくなっちまったよ」
妹「私だってそうだもんね。春とか」
兄「春かぁ……桜かー。いいかもなー」
妹「やっぱ夏?」
兄「うん。思い入れがある」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:46:47.94 ID:NFYAsSzf0 [39/49]
>>105会長を射止めてしまう程の魅力が友にあったというわけで。
妹「……例えば」
兄「お前とずーっと昔に、裏山に遊びにいった」
兄「その時にさ、川だの虫だの。凄く印象に残っているんだよな」
兄「なんていうか、ホタルとかも」
妹「覚えてないや。私……」
兄「はは、本当に日常だったからな」
妹「……あ」
兄「ん?」
会長「……おお、居たな。おーい兄君!」
友「居た居た」
後輩「せ、ん、ぱぁ~ぅい!!!」
後輩「とぉぅッ!!」
兄「やらせん!!!」
ドシンッ......
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 18:51:38.30 ID:NFYAsSzf0 [40/49]
後輩「……い、痛い」
兄「そのまま受け止めるとでも思ったか」
後輩「……く、くそ、狙っていたのに……ッ!」
妹「だ、大丈夫ですか?」
後輩「うえぇ~ん……妹ちゃぁ~ん……」
兄「お、おい!人の妹に何抱きついてんだ!!」
妹「い、いいじゃないですか、兄さん……これくらい」
後輩「う~ん。柔い。実に柔いなぁ~」グリグリ
妹「は、ははは」
会長「妹さんが困っているぞ、後輩君」
後輩「おっと、いけね……ごめんね、妹ちゃん」
妹「いいですよ。構いません」
後輩「な、なんて優しいんだぁ~……」
友「これからさ、学校で焼き芋焼くんだぜ。お前も来るか?」
兄「焼き芋か……昼飯にちょうどいいな。妹はどうする?」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 19:24:47.98 ID:NFYAsSzf0 [41/49]
妹「兄さんが行くなら」
兄「決まりだな」
後輩「わぁ~ぃ!みんなで焼き芋パラダイスだァーッ!!」
会長「では行こうか」
友「うっし」
兄「ご一緒させていただきますね」
会長「遠慮するな。近所のおじいさんから頂いたんだ。枯葉を焼くついでさ」
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 19:38:15.73 ID:NFYAsSzf0 [42/49]
飯を食べます。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 20:48:20.06 ID:NFYAsSzf0 [43/49]
――
妹「……ここが」
会長「ああ、光高だ。先生の殆どは今は居ない」
後輩「会長は、有言実行能力のおかげで、先生達から絶大な支持を集めてるんですよ」
妹「す、凄いんですね……」
会長「あそこに枯葉の山があるだろう?」
友「煙も上がってるな」
会長「見てもらっていたんだ。残っている先生らに頼んでおいた」
会長「いい感じだ。後輩君、倉庫に飲み物があるだろうから、持ってきてくれ」
後輩「サー、イエッサー!」
兄「……良い匂いがするな」
友「オマケにこの辺りは暖かい。一石二鳥だな!!!」
妹「す、少し煙が強いけどね……」
兄「まぁ、そこは我慢だな」
後輩「かいちょぉ~もって来ましたよぉ~って」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 21:02:06.35 ID:NFYAsSzf0 [44/49]
後輩「うでッ」
ドシンッ
後輩「……に、荷物は、し、死守しますた……」
友「こうはぁぁぁぁぁいッ!!!」
ガクッ
会長「後輩君……立派な戦士だった」
妹「い、いつもこのノリなんですか?」
兄「ああ、変化球が基本的に多い」
会長「ん、そろそろだ。みんな。食べよう」
友「お、きたね」
後輩「ハッ!わ、私も」
会長「手を洗ってくると良い」
後輩「サーイエッサー!!」
兄「……」
妹「兄さん、なんでニコニコしてるんですか?」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 21:13:11.92 ID:NFYAsSzf0 [45/49]
兄「ん?なんでだろうな。気味悪いか?」
妹「あ、いえ……そんな事は」
会長「それでは、頂きます」
友「だきまぁぁぁぁぁす!!!」
後輩「だきむぅぁあああああばばばばば」
会長「こら後輩君、そんな食べ方をしていたら、喉に詰まってしまうぞ」
後輩「ふぉんなほぉんひゃいひょうれすよ(そんなもん大丈夫ですよ!)」
後輩「……うぐ、げほっげほっ……ひっく、ひっく」
兄「言わんこっちゃないな……」
妹「……甘くて美味しいですね」
兄「ああ。美味い」
友「けど会長、どうして焼き芋なんだ?もっとエレガンツなもんでも食うのかと思ってたけど」
会長「私は基本、美味ければいい。美しければいい。可愛ければいい。そういう人種なんだ」
会長「まぁ、無論。自己の人格も、美しいものではないと、認められないがね」
会長「その点で言えば、君は本当に綺麗だよ。友」
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 21:21:01.27 ID:NFYAsSzf0 [46/49]
友「あ、お、おい……みんなが見てるだろ……」
会長「ふふふ、何を言うんだ。見せ付けてやろうじゃないか」
友「あ、駄目だって、そんな。あ、ア――ッ!」
妹「……」
後輩「妹ちゃん、顔赤いよ?」
妹「その、仲がいいのは、良いk、事だと、思うん、ですが」
後輩「ワタシは見慣れちゃってるからかなー。妹ちゃんにはまだ早かったかな」
兄「会長、妹はまだ免疫が無いんです」
会長「む、では止そうか。すまなかったね」
妹「あ、いえ、そんな」
友「……はぁ、ハァ、す、凄かった」
後輩「具体的に?
友「そ、それは……主に……って!てめぇ!!」
後輩「ひひwwwさーせんwww」
兄「……」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 21:29:57.97 ID:NFYAsSzf0 [47/49]
妹「……空が赤い」
後輩「おおっと、夕方ですねぇ」
後輩「寒いですねー。こんな時は人肌で温まるべき」グリグリ
妹「うー……」
後輩「んにゃあああっ!妹ちゃんかわいいよぉぉぉっ!!!」カイグリカイグリ
友「お、おい、いいのか?」
兄「……」
兄(妹よ……少しだ。少しの辛抱だ)
妹(……りょ、了解)
兄「こ、後輩、どうだ?食うか?」
後輩「フンスー...良い匂いだなぁ、スンスン......ん?」
後輩「せ、先輩の食べかけッッ!!これはッッ!!間接キスッッ!!!」
後輩「いただきます!!!あ~ん」ガブリ
兄「……」
後輩「あ、あつううううううううううううううッ!!!!」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 22:07:07.55 ID:NFYAsSzf0 [48/49]
兄「セクハラはよくないよなぁ、うんうん」
後輩「は、謀ったな!先輩!!」
兄「後輩、君の生まれの不幸を呪うがいい」
兄「君の性癖がいけないんだよ!ハァーッハッハッハッ!!」
兄「あれ、ここから先、どうだったかな――たしかガルマが――」
会長「ほら、後輩。飲み物だ」
後輩「は、はひひゃとうひょひゃいまひゅ(ありがとうございます」
会長「君も、意外に鬼畜だな」
兄「妹は優しいですから、後輩に良い様にされているのは気に入りませんので」
会長「そういう事か」
妹「は、はは……」
友「おーい、大丈夫かー」
後輩「……おのれ……」
後輩「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ!」
兄「もう呆れるしかないな」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/27(月) 22:41:26.28 ID:NFYAsSzf0 [49/49]
兄「……」
妹「……」
兄「美味いか?」
妹「うん、凄く」
兄「そうか、それは良かった」
兄「そうだ。俺は少し、用事があるから……後輩」
後輩「はい?」
兄「これ鍵な。妹を、帰りに送ってやって欲しいんだ」
兄「こっちには慣れてないからさ」
後輩「先輩の頼みなら全然OKですよ~」
友「ってか、舌直るのはやいな」
会長「後輩君は再生能力だけはダントツだからなぁ」
妹「兄さん、何かあるの?」
兄「秘密だ。芋食ったら、後輩と暇潰していてくれ」
兄「それじゃ、俺は行くから」
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 12:55:35.45 ID:BJ0ebN4P0 [3/25]
妹「……」
後輩「なんでしょうかねぇ」
妹「兄さんは、よく分かりません」
後輩「そんなもんですよ。妹ちゃんわたしの事分かる?」
妹「……あ、いや、その」
後輩「い、いいよ……うん。大丈夫だ。問題ない……」
会長「良い夕日だね」
友「あぁ……芋も美味い」
後輩「……ぬあああああっ」
妹「こ、後輩さん!後輩さん!」
後輩「か、かまって欲しいんだよぉぉおうううあああああんっ」
――
兄「……」
兄「ぎりぎかな、なんとか交渉すれば……」
店員「いらっしゃぁーい」
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 13:04:45.09 ID:BJ0ebN4P0 [4/25]
>>140
次の難易度を選んでください。
乗っ取りなので、今後の方針を(ry
―――
→ ハード
妹ちゃんとちゅっちゅしたいよぉ~
鮮血END
なんか適当に。
―――
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 14:17:41.50 ID:BJ0ebN4P0 [5/25]
んじゃ、妹ちゃん一択にしまする。
会長「……もう時間もそろそろ頃合だろう」
妹「美味しかったです」
会長「ああ、満足してくれたようで、なにより」
友「あー、眠くなってきたぜ」
会長「まだ寝る時間ではないぞ?それとも私と寝たいのか?」
友「あ、いや、そういうわけじゃ――」
会長「用事が出来た。私達はこれで失礼する」
友「あ、おい、妹ちゃん、後輩、またな――」
後輩「……送りますかね」
妹「お、お願いします」
後輩「あれがフツーだから、仕方ないね」
妹「仕方ないんですか……」
後輩「うん。あれはね。仕方ない」
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 15:35:38.45 ID:BJ0ebN4P0 [6/25]
すまん。妹フォルダでニヤついてたら寝てた。
後輩「……うぶぶ、寒くなってきた」
後輩「会長も帰っちゃったしなぁ。この後片付けは先生達がするって言ってたけど」
妹「なんだか、申し訳ないです」
後輩「え?そんなことはないですよ。この後先生達も食べるそうです。程よく冷めた奴」
妹「ああ……」
後輩「んじゃ、送りますぜ妹ちゃん」
妹(この人って、普通にしていれば良い人なのに……)
後輩「……♪」
妹「……お願いしますね!」
後輩「あいよーう」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:10:00.79 ID:BJ0ebN4P0 [7/25]
後輩「……」
妹「……なんか、やけに赤いですね」
後輩「空が?」
妹「え?あ、はい……なんというか」
後輩「……先輩は」
妹「……はい」
後輩「先輩は、優しい?」
妹「……兄さんは、時々変なくらいに優しいですよ」
後輩「だよなぁ……そういう人だから」
後輩「きっと、妹ちゃんのそういう顔が見たくないんじゃないかな」
妹「え?」
後輩「凄く俯いてる。そんな妹を見たくない。なんて優しい先輩」
妹「……」
後輩「ねぇ、妹ちゃん」
妹「……なんですか」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:25:01.56 ID:BJ0ebN4P0 [8/25]
後輩「先輩は、妹ちゃんに笑っていてほしいんだよ」
妹「……」
後輩「なんだろうね。よくわかんないけど、そういう気がするんだ」
後輩「わたし、頭悪いから、よくそういう事はわかんないんだけど」
妹「いえ、後輩さんは私なんかより……ずっと」
後輩「ずっと?」
妹「明るくて、個性があって……綺麗で……」
後輩「わたしは綺麗なんかじゃないよwww」
妹「……」
後輩「ご、ごめんね……でも」
後輩「わたし、そんなに明るくないよ。実際は」
妹「?」
後輩「30分毎に、約15回程は憂鬱になれるねっ!」
妹「……は、はぁ」
後輩「あぁ~なんで私こんな事も出来ないの。また空気読めてない」
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:33:32.26 ID:BJ0ebN4P0 [9/25]
後輩「ああ辛い。伸び白の少ない自分がイヤ。苛立つ」
後輩「それで、初めて先輩と知り合ってから、少しして、勢い余ってやつ当たりしちゃったんだ」
後輩「ひたすら『どうすればいいの』なんて。考えても考えても。なんて」
妹「……」
後輩「……けど、先輩は、別に俺もよくなるよ。って」
後輩「どうなんだろう。誰も悪くない。けど、いつからか俺は急ぐように生きるようになってた」
後輩「そうすればいい。そうするべきなんだから。そうやって信じて生きてきた」
後輩「いや、これは何も知らない容器に、あれこれ入れた周りが悪い。なんて考えた」
後輩「けど、もう随分前で、覚えていないけれど。ある程度、自分のペースで生きよう」
後輩「ある程度だけどねwはは、そこ強調されました。そして実にくだらないありきたりな、ある程度の区切にしかすぎないんだって」
妹「兄さんって、頭いいですよね」
後輩「どうなんだろ。吹っ切れてるんじゃないのかな」
後輩「でも、時々苦しいみたいだけど……。そこは、なんだかウヤムヤだったなぁ」
後輩「そういう真面目な話もあったり、わたしの勢いを受け止めてくれたり、お世話になってばかり」
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:44:27.49 ID:BJ0ebN4P0 [10/25]
妹「……兄さん、説教臭いですね」
後輩「でも、それを頼んだのは私なんだー」
後輩「うう、難しい話をしすぎて、頭が少しくらくらするなぁ」
後輩「とにかくさ、思うこと一杯だろうけど、妹ちゃんにはいっぱいあるから」
妹「……いっぱい?」
後輩「うん。きちんと、自分で築いてきたものがあるじゃないのさ」
後輩「先輩が居て、会長や、友の奴だって、きっと妹ちゃんの事を見ているよ」
妹「後輩さんだって」
後輩「いやいや、わたしなんて、そんな役に立ちません変態なんでッ」
妹「はは……」
後輩「『なかなか飽きることなく、上げ続ける首も痛いけれど、空は高い。それでいい』」
後輩「それでいいじゃないかってね。これ会長作」
妹「……なんか、会長さんってほんと凄いですね」
後輩「そりゃぁ、友とのいちゃらぶを平然と見せ付ける人ですからねwぱねぇw」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:48:57.94 ID:BJ0ebN4P0 [11/25]
後輩「さて、わたしはこの辺で」
妹「わざわざ、下まで来てもらって……」
後輩「いいのいいの!今日は何だかスッキリしたから!色んな意味で」
妹「い、色んな意味で」
後輩「本当は、今すぐにでも妹ちゃんにルパンダイブしたいんだけど」
妹「……」
後輩「先輩が居るんで、遠慮しておきますねっ」
兄「おい、それはまたやらかすというこt」
後輩「それじゃあぁあぁああぁぁぁまたいつかぁああっぁああぁああああ」
兄「くそ、逃げ足だけは速いやつめ」
兄「……お、妹。一番星だ」
妹「……あれ?」
兄「あー、もうちっと左下」
妹「おっ」
兄「……今日は運がいいかもな」
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 16:51:40.62 ID:BJ0ebN4P0 [12/25]
兄「寒くなかったか?」
妹「うん。大丈夫」
兄「そっか……」
妹「後輩さんの事は聞かないんだ」
兄「ああで、あいつも真面目に通す所はある」
妹「信頼してるんだ……ふーん」
兄「な、なんだよ」
妹「べーつに」
妹「それって――」
兄「あぁ、クリスマスケーキ。兄貴サンタからのプレゼントっぽいブツだ」
妹「っぽいブツなのか」
兄「おう」
妹「そーなのかー」
兄「なんで棒読みになるんだよ」
妹「いやぁ、なんていうか。私にそのネタは……」
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 17:01:49.90 ID:BJ0ebN4P0 [13/25]
妹「まぁ、いいや」
兄「いいんかい」
妹「はやくケーキ食べようぜ!」
兄「お、おう」
妹「ショート?チョコ?」
兄「おっと、ショートだ」
妹「今日から御兄賛(おにいさん)と呼ばせてください」
兄「なんていう当て字……!」
――
妹「美味い美味い」
兄「おいおい、食いすぎじゃないか?」
妹「兄さんの手料理も相まって、美味いのなんのって――」
妹「あ、いや、こういう時、私が料理すればいいんだけど……」
兄「お、おい?」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 17:06:55.84 ID:BJ0ebN4P0 [14/25]
妹「はぁ……なんという不出来な」
兄「ん、んなことないぞ!ほら、ちょ、ちょっとこっち見てみ」
妹「……」
兄「oh...」
妹「ぷっ、な、なに、そ、その顔……くふふふっ」
兄「ほら、その顔だけでも一級だ」
妹「……と、鳥肌が」
兄「わー!わー!すまんかったァッー!」
妹「冗談」
兄「だからさ、俺からすれば、お前はそのままでいいんだって」
兄「どうしたいかはお前の自由だけどさ。何も責める事は何もないぜ」
妹「……ありがと」
兄「お、おう。あ、それと、これ」
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 17:59:42.36 ID:BJ0ebN4P0 [15/25]
妹「……」
兄「お前、欲しがってたじゃないか」
妹「高かったはず……」
兄「んなもんどうにかした」
妹「どうにかって……」
兄「……プレゼントだ。受け取ってくれ」
妹「……綺麗な懐中時計だね。もっと高いものと比べても劣らないよ」
兄「そ、そうか」
妹「……ありがとう」
兄「おうおう」
妹「……兄さん、私からもプレゼントがあるんだけど」
妹「少し、目を瞑っていてくれないかな」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 19:41:05.11 ID:BJ0ebN4P0 [16/25]
兄「あ、あぁ」
妹(……よ、よし)
兄「……」
妹「そ、それじゃぁ……」
兄「……な、なぁ」
妹「……んっ」
兄「……」
妹「……」
兄「ほ、ほっぺにキスとか、き、聞いていないんだが」
妹「だってさ、これくらいしか思いつかなかったんだもん」
妹「……やっぱり、イヤだった?兄さん」
兄「あ、いや、なんていうか、そのですね」
妹「うん」
兄「うん。その。柔らかかった」
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 20:19:12.19 ID:BJ0ebN4P0 [17/25]
妹「……ほ、他には」
兄「うーん。意外だった事と、良い匂いがしt」
妹「言うなあああっ!!」
兄「いやいや、妹が言えって言うからさ」
妹「あのね、そういう問題じゃあないんじゃないかと」
兄「じゃあどういう問題なんだよ」
妹「……な、なんていうか、その」
兄「……わかったよ。わかった。でも悪い気はしないよ」
妹「そ、そう」
兄「あぁ、可愛い妹に愛されるのは、俺としてはエネルギー供給すんのと同じだ」
妹「なにそれ」
兄「例えだよ、例え」
兄「俺はシスターコンプレックスだからさ」
妹「……そ、そう」
妹(……嬉しいのか、嬉しくないのか……判断に困るなぁ)
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 21:09:05.70 ID:BJ0ebN4P0 [18/25]
妹「……」
兄「ど、どうかした?」
妹「いやぁ、なんでもないよ」
妹「……ブラコンでいいや」
兄「はぁ」
妹「兄さんシスコンなら、私ブラコンね。でしょ」
兄(な、なんか素っ気無いなぁ)
兄「あ、あぁ」
妹「……ありがとね、時計」
兄「ん?あぁ、でもそんなに良い物でもないんだけどなぁ」
妹「そうかなぁ、ここの蓋の裏に彫られてる文字とかそれっぽいよ?」
兄「うーん。店員さん曰く、流れ物だから、価値をつけ難いんだそうだ」
兄「んで、交渉してみたら、見事にゲット出来たんだ」
妹「でも高かったでしょ」
兄「……ま、まぁ……な。はは。気にすんなって」
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 21:19:28.02 ID:BJ0ebN4P0 [19/25]
兄「それさ、ゼンマイ巻いてから、蓋を開けてみな」
妹「え?」
兄「ほら、そこそこ」
妹「ほんとだ。ゼンマイというか、ネジ巻きみたい」
兄「殆ど一緒さ。ちっとばかし高級気味に見えるけどね」
妹「本当に、これ。大丈夫だったの?」
兄「本当だって。本当」
妹「……っと」
兄「巻けたか?」
妹「……うん。蓋、開けてみるね」
兄「おう」
カチャッ
~♪~♪♪~♪~
妹「なんだろう。どこの歌かな」
兄「外国の奴らしいからな。まず日本じゃないな」
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 21:54:37.68 ID:BJ0ebN4P0 [20/25]
妹「なんだか、民謡っぽいね」
兄「あぁ、オルゴール内蔵型とは、凄いなぁ」
妹「これ凄くいい。本当にありがとね、兄さん」
兄「あぁ、気に入ってくれたら、俺はそれでいいよ」
妹「……ケーキも食べちゃったしなぁ」
兄「やることないってか」
妹「なはは……真ん中にオルゴールが着いていて、上の部分に時計があるね」
兄「うん。アンティークっぽくていいな」
妹「……くふふ」
兄「あんまり触ってると、指紋だらけになっちゃうぜ」
妹「いいの。少しくらい汚い方が、愛着が湧くってもん」
兄「そうかい~」
兄(気に入ってくれたようで、なによりだ)
妹「~♪」
兄「こたつはいいよなぁ」
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 22:07:17.54 ID:BJ0ebN4P0 [21/25]
妹「兄さん、足冷たい」
兄「安物だから、暖まるのに時間が(ry」
妹「……みかんうめぇ」
兄「と、言いながら足を絡めてくる妹さん」
妹「私だって寒いんです」
兄「俺の足よりは冷たくないだろう」
妹「お、暖かくなってきた。えい」
兄「人の足を蹴るんじゃありません!」
妹「暖めてるんだよ。運動、運動」
兄「なら、俺だってな。やられっぱなしではないわっ」
妹「な、なにを……」
兄「ふはは、脚の長さで、この一番ぬくい場所は俺が占領したッ」
妹「……うおりゃっ」
兄「……なにっ!?親指と人差指で抓るとは卑怯だぞっ」
妹「戦いは知略だよ兄さんっ」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 23:02:04.27 ID:BJ0ebN4P0 [22/25]
~~
兄「……足、攣ったんだが」
妹「大丈夫?」
兄「……今、伸ばしてる」
兄「いてぇ……」
兄「……ちょうどいいから、お前先風呂入っちゃえよ」
妹「え?あぁ~うん」
兄「換えの服とかは、いつもの所にあるから」
妹「はーい」
兄「……うぐ、また攣って……」
――
妹「兄さん、脚大丈夫?」
兄「大丈夫だ。問題ない」
兄「あのさ」
妹「え?」
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 23:13:11.38 ID:BJ0ebN4P0 [23/25]
兄「その状態で、そのなんていうか」
兄「風邪引くぞ」
妹「おっと」
兄「……」
妹「パジャマ装着完了」
兄「んじゃ俺入ってくるからな、おやすみ」
妹「……」
兄「……な、なんだよ」
妹「……」
兄「……わかった。わかったよ」
兄「寝ればいいんだろ寝れば。一緒に」
妹「わかってるじゃないか、兄さん。流石」
兄「……その無表情に無言の圧力は、耐え難いものがあるからな」
妹「兄さんは嫌?」
兄「あ、いや、その、……別に、悪い。というのは無いけど」
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 23:33:41.99 ID:BJ0ebN4P0 [24/25]
妹「ならいいじゃない。無問題~無問題~」
兄「……信頼されてるのは、嬉しいけどさ」
妹「?」
兄「あ、いや、別になんでもない」
妹「そ」
――
兄「出たぞー」
妹「はやいね」
兄「まぁ、長風呂はよくないからな」
兄「……歯磨いて、寝るか」
妹「うんっ」
兄「……でだ、いつもの通りになったわけだけど」
兄「また起きてるのか?」
妹「……まぁ、うん。お願い」
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/28(火) 23:53:01.72 ID:BJ0ebN4P0 [25/25]
兄「……」
妹「あー、あったかいなぁー」
兄「そ、そんなくっつくなよ」
兄「寝相が(ry」
妹「でも、私兄さんに一度も蹴飛ばされていないよ?」
兄「うぐ……」
妹「それどころか、兄さんよりも布団一杯かぶってた。兄さんでしょ」
兄「あ、いやなぁ……その」
妹「嬉しいけど、風邪引いちゃうよ」
兄「……あぁ、わかった。わかったよ」
妹「やった」
兄「す、少し近くないか?」
妹「兄さんは人間抱き枕なんだから、いいの」
兄「なんだそれは」
妹「きちんと人権を尊重した、行為です」
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:00:46.81 ID:j1RrGDLr0 [1/21]
兄「どんな行為だよ」
妹「こうしてくっつくことで、安眠を補助してくれる」
妹「って感じの説明で」
兄「……話すのはいいけどさ、寝れるのか?」
妹「寝れるよ」
兄「そんなに絡みつかれると……動き辛いんだけどなぁ」
妹「じゃ、手握ってて」
兄「あ、手か。わかったけど……」
妹「しっかりね。絶対」
兄「あ、あぁ……」
妹「……」
兄(緊張して寝れない……)
兄(徹夜コースかねぇ……いや、そうでもないかな)
兄「……zz」
妹「……っ」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:11:34.99 ID:j1RrGDLr0 [2/21]
妹(……寝ている)
妹(状況確認。兄さんの睡眠を確認)
妹(……よ、よし)
兄「……zzZ」
妹(こ、これは寝返りをうった勢いで……そう、そう)
妹(不慮の事故!事故なんだから……よ、よし)
妹「……ん、んーっ」
兄「……zzZ……うーん……」
妹「ッ、……ぁ、ぶない……はぁ、はぁ」
妹(な、なんという緊迫……完全に目が覚めてしまった……)
妹(つ、次だ。次)
妹「……、んっ……」
兄「……うん……ん……」
妹「!?」
兄「……ん、妹どうした――?」
185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:18:44.66 ID:j1RrGDLr0 [3/21]
妹「――っ」
兄「……」
妹「……」
妹(えええ!?ええええ!?)
兄(……しまった)
妹「んっ――」
兄「っ、す、すまん!これは不慮の事故というか、いや、そのだな……」
妹「……兄さん、これは……」
兄「あ、あの……すまんっ」
ガバッ
兄「ど、どうした?い、いきなり……ってか」
兄「の、乗っかるなって!な?な――」
妹「んっ――」
兄「――っ」
妹(よ、よし……やったぞ……これなら兄さんも何も出来まい)
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:23:13.76 ID:j1RrGDLr0 [4/21]
妹「……ぷはっ」
兄「おいおまえっ――」
妹「んっ――」
兄(……ど、どうなっている)
兄(さ、さっきからキスばかり……ってか無理やりすぎて口が痛いぞ)
兄「……っく、い、いきなりなんだよ……」
妹「……く、口が痛い」
兄「おまえが無理に押付けてくるからだろ……歯が少しぶつかったぞ」
兄「……両手をどけて、もう寝なさいって」
妹「……やだ」
兄「……いや、何がどうとかは聞かないけどさ」
妹「聞かないんだ」
兄「だって唐突すぎる――っ」
妹「んっ――」
兄「……」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:27:34.80 ID:j1RrGDLr0 [5/21]
妹「……したかったの、キス」
兄「……言えばいいだろ」
妹「兄さん器が広いのは知ってる。けど、これは別だから」
妹「私、誰がなんと言うと、兄さん好きだから」
兄「……」
妹「兄さんが、私に無理して買ってくれた、あの指輪を貰った時から……さ」
兄「そりゃまた、随分懐かしいものを……ってか、まだ持ってたのか」
妹「向こうに、実家に置いてきちゃったけどね。無くしたくないから」
兄「……嬉しいんだか、なんだかね」
妹「普通、こんな事されたら、引くか、あるいは戸惑ってどうにかなるかなんだよ」
兄「だろうな」
妹「兄さん、普通じゃないんだ」
妹「私も、普通じゃない」
兄「だから……」
妹「だから、その」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:32:13.73 ID:j1RrGDLr0 [6/21]
妹「と、とにかく、兄さんは、どうなの」
兄「俺か」
妹「うん……うん」
兄「うーん。いや、キスくらいなら嬉しいというか、ご褒美というか」
妹「やらしいんだ」
兄「お前が言うな。無理やり唇を押付ける中三がどこに居るか」
妹「だって兄さん、強攻策にでも出ないと、どうせスルーするだろなぁ~って」
兄「俺はキチンと説明してくれれば、話はちゃんと聞くぞ」
兄「どんなものであろうと、どんな理由であろうと、俺はキチンと聞くし、答えてやる」
妹「それじゃ、私の事どう思ってる?」
兄「可愛い妹だな」
妹「……そ、そう」
兄「そんなに両手を強く握られると、痛いんだぜ」
妹「……だって」
兄「……泣くなよ」
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:37:22.69 ID:j1RrGDLr0 [7/21]
妹「だって……だって」
兄「……なぁ」
妹「ずっと……私おかしいなぁって……変だなぁって……」
妹「なんでこんな風なのかなって……好きになる人、選べないのかなぁって……」
兄「……すまん」
妹「だってさ……みんなクラスの人と付き合うんだよ」
妹「私が好きな人聞かれても、お兄ちゃんなんて言えない……言えないんだよ」
妹「なんで……私、何か悪い事したの……なんでこんな……」
兄「……妹、なぁ」
妹「……苦しいんだよぉ……兄さんが後輩さんを信用してるのだって」
妹「嫉妬しちゃうよ……私、最低だから……こうやって兄さんに甘えてばっかりで……」
妹「結局自分で何も見つけようとも、解決しようともしないでずっと……」
兄「俺はさ、好きでお前にあれこれ世話を焼いてんだぞ」
妹「……」
兄「だから、まず、その事でお前が悩むことはない」
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:42:29.24 ID:j1RrGDLr0 [8/21]
兄「それで、俺が、そういう風にお前を悩ませちまったことを謝るよ」
兄「ごめん。辛かったか」
妹「……、うん」
兄「ごめんな。本当にごめん」
妹「そんなの……私の独りよがりで……」
兄「いや、俺だって悪いよ」
妹「……みんなと違うってだけで」
兄「あぁ」
妹「怖かった……。その、私って、喋る時に頭を使うタイプじゃないから」
妹「みんなから、暗い暗いって……それで成績下がっちゃって」
兄「……勉強、そうだ。付き合うからさ」
妹「ありがと……」
兄「でも、お前は頭の回転いいからなぁ。俺なんか」
妹「そんなことないよ……それより」
兄「……うーん」
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:48:41.15 ID:j1RrGDLr0 [9/21]
兄「その、要するに、お前は俺とキスをする関係になりたいと」
妹「……うん」
兄「……」
兄「なぁ、一回でいいからさ」
妹「……なに?」
兄「もう一回、きちんと話をしてくれないかな」
兄「さっきのは、唐突すぎて、頭の中の整理が追い付かなかったのもあるわけで」
妹「……は、恥ずかしい」
兄「無理やり何回もキスしてきたお前が言うセリフかい。それ」
妹「うー」
兄「ほら、乗っかったまんまじゃなくてさ、座って座って」
妹「……」
兄「ちゃんとさ、見て聴いててやるから」
妹「……えと」
兄「あぁ」
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 00:53:43.12 ID:j1RrGDLr0 [10/21]
妹「その、なんていうか」
兄「おう」
妹「そ、そんなにジッと見ていられると、その」
兄「キチンと、面と向かって話してくれ」
妹「うぐ……わ、わかった」
妹「……その、兄さんが好きです」
兄「……おう」
妹「話とか、こんな妹でも、優しくしてくれて、頭を撫でたりしてくれる兄さんが好きです」
兄「あ、あぁ……な、なんか恥ずかしいな」
妹「そ、それで、その、む、無理やりチューしちゃうくらいに、す、好きです……」
兄「……」
妹「……」
妹「だ、黙るのは……卑怯だよ……」
兄「……いや、わかった」
妹「……」
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 01:00:26.09 ID:j1RrGDLr0 [11/21]
兄「この先、色々あるだろうな」
兄「義理とはいえ、法律で無問題とはいえ、あの母さんが何言うかわかったもんじゃないがな」
妹「……うん」
兄「どの道、俺はこれからも、お前に世話を焼きたがると思う。ってかそうだ」
妹「……う、うん」
兄「それで、そういうのは、全部、好意とか、愛情とか、そういうのから来ている」
兄「その感情は、確かにお前を女の子として、俺は見ているのもあるし、長く一緒に居た事もある」
兄「要は、俺も好きだったんだよ。お前の事」
妹「う、うん!」
兄「だから、俺は妹とずっと一緒に居てもいい――」
妹「に、に、兄さんッ!」
兄「おわッ!?ま、また乗っかるなってのっ!」
妹「も、もういいよね、じゃ、じゃ、き、キスしよう。ちゅーしよう」
兄「あ、あのさ。もう夜遅いだろ?明日になったら話を聞いてやるから――」
妹「今!今!ここ!この時!この場所がいいの!私は!」
200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 01:06:44.75 ID:j1RrGDLr0 [12/21]
兄「お、落ち着くんだ。落ち着けマイシスター」
妹「……落ち着いてるよ、凄く」
妹「だから、今まで出来なかった事、全部付き合ってもらうからね」
妹「兄さん」
兄「……お、おう」
兄「でも今じゃなくてもいいだろ?な?」
妹「イヤ」
兄「ほ、ほら、俺だって眠気が――」
妹「んっ……ほら、眠気なんて吹飛ぶでしょ」
兄「……そういうのはさ、卑怯ってもんじゃないの」
兄「誰だってんな事されたら――」
妹「んっ、んっ――」
兄(で、ディープなんてどこで覚えてきたんだーッ)
兄「……んぐ」
妹「んんっ――」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 01:12:05.90 ID:j1RrGDLr0 [13/21]
兄「……」
妹「に、兄さん……」
妹「んんっ」
兄「……ん」
妹「……添い寝、続き」
兄「あ、あぁ……」
妹「……んふふ」
兄「な、なんぞ」
妹「……んくく」
兄「だから、なんだって」
妹「嬉しいから」
妹「ニヤけてんの」
兄「いや、その度に抱きつく力を力まないでください。マジで入ってます入ってますって!」
妹「兄さん大好き!大好きだーッ!!」ギュッギュッ
兄「うごごご……」
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 01:16:02.62 ID:j1RrGDLr0 [14/21]
いかん。お仕事が漏れを待っている……。
次に書き始められるのは、明日の夕方あたりですん。
仕事と言うなの地獄が、俺を待っている――。
残ってたら、妹書き続けます。
もう二回程保守をして頂いて申し訳無いんですが、有休と言うなの無言の圧力のせいで(ry
すみません。寝て仕事言ってきます。
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 21:05:18.73 ID:j1RrGDLr0 [15/21]
>>214 二次元です。そして兄には多数の人脈が(ry
妹「……くふふ」
兄「……はぁ、わかった。わかったよ」
妹「兄さん大好き」
兄「うん」
妹「……んふふ」
兄「そ、そんなにくっつくなよ、胸が苦しいぞ……」
妹「ご、ごめん。強く抱きしめすぎた……痛い?」
兄「あ、いや、くっつくのはいいんだけど、さすがに呼吸困難になるから」
妹「ご、ごめんなさい」
兄「いいよ。気にしてない」
妹「……本当に、その、好き」
兄「言いたいだけ言うなぁ」
妹「当たり前、今まで言えなかったぶん、倍にするからね」
兄「……嬉しいのやら、なんなのやら」
241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 22:55:14.96 ID:j1RrGDLr0 [16/21]
妹「……」
兄「……妹?」
妹「……zz」
兄「……おいおい、勝手に疲れて寝ちゃったのか?」
妹「……zzZ」
兄「……寝るか」
――
妹「……」
妹「……夢かぁ」
兄「なにがだ?
妹「えっ!?」
兄「おいおい、どうしたんだよお前」
妹「な、なんで私兄さんにこんな……」
兄「あ、あのなぁ、お前がくっ付いてきたんだろ?」
妹「……あ」
242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 22:58:44.75 ID:j1RrGDLr0 [17/21]
妹「……うむむ」
兄「うむむ。じゃないぞ。お前ボケてるのか?」
妹「ゆ、夢じゃない」
兄「あぁ、現在7:00時。良い頃合に何故か起床」
兄「夜更かししたのにも関わらず、すこぶる快調……って感じか」
妹「……」
兄「おいおい、髪の毛がクルクルはねちゃってるぞ?」
妹「兄さんだって、爆発してるよ」
兄「……うお」
妹「っぷぷ」
兄「わ、笑うなよ!ずっと同じ体制で寝てなきゃいけなかったんだからさぁ!」
妹「じゃあ、私なんて蹴飛ばしちゃえばいいじゃん」
兄「……そ、それはない!無理だ。ありえないな」
妹「じゃあ、いいじゃないですか。優しいお兄さんの証ってことじゃない」
兄「な、なんか違うぞ……まぁ、いいけどさ。うん」
244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 23:07:26.67 ID:j1RrGDLr0 [18/21]
妹「……あれ」
兄「ん?」
妹「……ない、時計、ない」
兄「俺があげた奴?」
妹「うん。うん。大切なのに。どこやっちゃったのかな。あれ?」
兄「お、おい落ち着けって、妹?」
妹「な、ないよぉ……兄さんから貰った時計……どこいっちゃったんだよぉ……」
兄「あ、朝から泣くなって……ほら、ポケットとかに入ってないのか?パジャマの」
妹「ない……ない……うう、どこ……どこぉ……」
兄「ほ、ほら、昨日どうしたのか思い出してみな?」
妹「貰った後……嬉しくて、嬉しくてしかたなくて、その、ずっと肌に離さずもってて……うう」
妹「ないよぉ……たしにか兄さんと一緒に、寝るときまで持ってたのに……」
兄「……」
兄「兄さんな、魔法が使えるんだ」
妹「……え?」
245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 23:11:42.02 ID:j1RrGDLr0 [19/21]
『兄さんな、魔法が使えるんだぜ!!』
『えぇ~!?うそだァ!今時そんなのありえないんですけどー』
妹「えっ……」
兄「どうした?まさか信じてないのか?おいおい、目に見えるもんが全てじゃないぞ」
『信じていないのか?おいおい、目に見えるもんが全てじゃないんだぜ!マジで!』
『うっそだぁ!ぜったいうそ!かがくのじだいにそれはないわー』
『む、んだと!じゃ、じゃあほら、今からこの手をジッと見てろ!!』
『めんどうくさいなぁ~ありえない~』
『っるせぇ!いいか……ほら』
兄「今からこの手、じっと見ていてみな」
妹「う、うん」
兄「……いいか、……ほら」
妹「と、時計……」
兄「まぁ、俺の腰の辺りにあったんだけどさ」
妹「魔法じゃないよ、それ!」
246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 23:18:37.87 ID:j1RrGDLr0 [20/21]
兄「でも気が付かなかったろう、ほら」
妹「ま、まぁ……でも、ごめんなさい。キチンと大切に――」
兄「うーん、あれぇ~?でもおかしいなぁ」
妹「……えっ、え!?」
兄「これはなんだかカタチが違うぞー」
妹「……銀色だ。私が貰ったのは金色だった」
兄「おうおう、さて、お前はどっちがいいのかね。両方でもいいだけどね」
妹「……た、高くなかった?」
兄「それさ、本来は二つで一つのペアなんだってさ」
兄「オマケで貰ったんだ。片方は価値が分からんから扱えないそうだ」
兄「で、その場で値段を付けて貰って安くしてもらったわけだ」
妹「……」
兄「でだ、両方か?かたっぽ?」
妹「わ、わたし、やっぱり金がいいなぁ」
兄「じゃぁ、俺は銀ね」
248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/29(水) 23:22:38.09 ID:j1RrGDLr0 [21/21]
妹「……あれ、でもそんな二つも」
兄「……ん?」
妹「ね、ねぇ兄さん、兄さんマジックとか習ってるの?」
兄「うーん。どうだろうなぁ。どっちかなぁ」
妹「教えてよ、ねぇねぇ」
兄「さぁー。お前が信じたい方を選べばいいよ」
妹「……も、モヤモヤするじゃん!」
兄「俺は知らないなぁ~」
妹「……うむむ、まぁ、いいけど」
妹「ねぇ、その銀色も、オルゴールついてるんだよね」
兄「あぁ、金色のが序章、銀色のが終章」
妹「す、凄いよそれ!いいものじゃないの!?」
兄「売ってた店員すらも把握してなかったからなー。たまたま続きっぽいってだけで」
妹「うぐぐ、兄さんといい時計といい!どっちなのよぉー!」
兄「おいおい、三択目が無いのはおかしいだろう」
251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 00:30:41.96 ID:tgln7Bjg0 [1/70]
妹「……な、なんか朝から疲れちゃったよ」
兄「いいじゃないか、元気なのが一番」
兄「……俺は飯作ってきてやるから、カーテン開けといてくれ」
妹「わかった。ありがと兄さん」
兄「いいって」
妹「……っ、眩しいなぁ」
妹「……晴れてる晴れてる」
妹「にいさーん!外晴れてるー!」
兄「んじゃ今日もぶらつくかー!」
妹「うーん!そうするー!!」
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 00:58:17.29 ID:tgln7Bjg0 [2/70]
~~~
兄「……今日は、かなりぶらぶらしていられるな」
妹「支度完了です!サー!」
兄「おう、行くか」
兄「……ん?どうした?」
妹「……て、手とか、繋ぎたいなぁ……なんて」
兄「普通にそう言えば、そうしてやるんだけどなぁ」
妹「に、兄さんはそうだろうけどね、私はそうじゃないのっ」
兄「わ、わかったって、繋ぐからな、ほら、繋いだからな」
妹「う、うん」
兄「……あ、改めて恥ずかしいなぁ、人少ないとはいえ」
妹「イヤ?」
兄「んなことはない。断じてない」
妹「やったね、ぐふふ」
兄「んじゃいってきまーす」
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:04:36.63 ID:tgln7Bjg0 [3/70]
兄「……空がたけぇなぁ」
妹「確かに……うおおお……っとと」
兄「そんな仰け反って歩くと、ゴチンッて地面に頭をぶつけちゃうぞ」
妹「今日は気分がいいんだもん、なんだか重いものがとれたみたい」
兄「そりゃ……本当に、よかったな」
妹「……でもさ、いつも思ってたんだけど」
兄「ん?」
妹「ここ本当にいい所だよね、なんだか帰りたくなくなっちゃった」
兄「あぁ、良い所だ」
妹「兄さんが居るからね」
兄「そういうことかよ!」
妹「ぐふふ、そうそう。そうなんですよ。兄さんが居るからなんだよ」
妹「この手、離したら怒るからね」
兄「怒るのか」
妹「そりゃ、地震雷火事私。みたいにね」
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:19:52.45 ID:tgln7Bjg0 [4/70]
妹「兄さんは安らぎの人だからなぁ」
兄「んだよそれ」
妹「退屈で、でも居ないと満足しない人。かな」
妹「今は、こうしてることが幸せなんだ。私」
兄「そりゃよかった。プラス思考はいいことだ」
兄「こんな兄のように、ネガティブになってはいけないからな」
妹「兄さんのどこがネガティブなのよ」
兄「食材を買い忘れて、小一時間程憂鬱になったぞ」
妹「それは多感なだけじゃないの……」
兄「そうなのか!」
妹「そうなんだよ」
兄「……でだ、駅の辺りに行ってみるか」
兄「人込みは大丈夫か?」
妹「……兄さん居るし、全然平気だよ」
兄「――信頼されるのは、いいことだなぁ。うん」
258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:25:29.16 ID:tgln7Bjg0 [5/70]
妹「ひこうきぐもだ」
兄「あぁ、だいぶくっきりしてるから、まだ出来てはやいのかなぁ」
兄「……しっかし、青いなぁ」
妹「でも寒いというね」
兄「ほんとさ、息は白いし、厚着でも寒いし」
妹「でも、兄さんの手は暖かいよ」
兄「て、手汗とか……」
妹「しっとりしてて、ちょうどいいくらい」
兄「……俺はいい妹を持ったなぁ」
妹「妹だけ?」
兄「あぁ、良い人と一緒になったなぁ」
妹「どこがいいの?」
兄「話していて飽きないのが一番だなぁ」
妹「ふーん」
兄「なんだよ、これでも絶賛してるんだぜ」
259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:29:57.02 ID:tgln7Bjg0 [6/70]
妹「だって、さ」
兄「ん?」
妹「兄さん、私の事、そ、その」
兄「あぁ」
妹「お、女の子と、としてですね」
兄「あー……いや、肌とか白くて綺麗だし」
兄「目もくりくりしてて澄んでるし、髪は黒くて綺麗だ。カンペキだと思うけど」
兄「たださ、少し細いよなお前。心配だ」
妹「これは……うーん」
妹「体質?」
兄「そっか。でもま、だからこその魅力があるというか……綺麗だと思う」
妹「う、うぐ」
妹「そういう事を、すらっと言うのかなぁ……」
兄「だってお前が具体的にしろと言うから」
妹「う、うむむ……
260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:36:58.28 ID:tgln7Bjg0 [7/70]
兄「あ、あとなぁ、小動物っぽいところとか素晴らしいな」
兄「こう、常に撫でていたくなるというかね。身長の低さが良い感じに……」
妹「低い言うなっ、結構私気にしてるんだよ兄さん!」
兄「いやいや、むしろお前にはピッタシだろ、ほれほれ」ナデナデ
妹「うぬ……くそ、卑怯な……!兄さんは身長高いからいいよね!」
妹「低い私の気持ちなんて分からないんだっ」
兄「わからんよそりゃ」
妹「……な、なんかごめん」
兄「別に謝る必要はないさ、ただ」
妹「なに?」
兄「高くてもな、案外コンプレックスになったりもする」
妹「お互い様」
兄「そういうことだ。俺も悪かったよ」
妹「いや、私こそ……」
兄「いやいや俺こそ」
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:40:52.89 ID:tgln7Bjg0 [8/70]
妹「……やっぱり、こうしてるのが一番」
兄「あぁ、俺もだよ」
妹「……その、握り疲れてない?」
兄「まったくもって、問題など一つもありませんよ」
妹「ほんと?」
兄「あぁ、ただ少し火照ってるけどな」
妹「な、なんで?」
兄「そ、そりゃ、気恥ずかしいからだろ……」
妹「……ふーん」
兄「に、ニヤけるなっての」
妹「じゃあさ、ここでちゅーとかしたら、どうなるかなぁ~」
兄「……はい?」
妹「ほらほら、腰低くして。ほらほら」
兄「お、おい、なにをするだぁ~!?」
妹「ちゅーです。キスです。接吻です。大好きな事です」
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:49:12.68 ID:tgln7Bjg0 [9/70]
兄「お、おい、この町狭いから見知った奴に出会ったら――」
妹「んっ――」
兄「……」
兄(ふ、深いって、ちょ、ちょっと妹さん?)
妹「――んんっ、んむっ」
兄「……っ、んん」
妹「……驚いた?」
兄「あのな、人が居なかったからって……」
妹「えへへ、しかしですね。こう、したいからしたんですよ」
妹「いいんでしょ?」
兄「あ、いや、まぁ……うん」
妹「……くすくす」
兄「くすくす。じゃねぇよ……心臓止まるかと思ったぞ」
妹「大袈裟だなぁ」
兄「いや、ほんと恥ずかしかったんだぞ」
266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 01:54:34.05 ID:tgln7Bjg0 [10/70]
会長「あぁ、実に見ていて微笑ましいな」
妹「そうそうホントに微笑ましい……え?」
兄「……か、会長~珍しいですね……こ、こんなところで」
会長「あぁ、こんな珍しい場所で、熱いキスを交わす兄妹も珍しいがね」
兄「……あ、あのですね会長。これには深いわけが――」
会長「ん?別に聞いていないよ。愛の形なんて人それぞれだろう」
会長「たまたま君と妹さんが愛し合う仲だっただけだ。別にいいんじゃないか」
妹「え、えと、はい」
会長「うん。そうだな。妹さん。話さないようにしっかり縄を握っておく事だ。先輩からの助言とかいう奴だ」
妹「あ、はい!」
友「か、会長……な、何も走らなくても――」
会長「それじゃ、私と友はジョギング兼デートの続きがあるんでな。さぁ行こうか友」
友「お、おはよう兄、妹さん。そしてまたいつかぁぁぁぁぁ......」
妹「い、行っちゃったね」
兄「あ、あぁ……」
267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 02:09:17.89 ID:tgln7Bjg0 [11/70]
妹「……でも、きちんと、手は握っていてくれるんだね、兄さん」
兄「まあ、な」
妹「そうだ。兄さん、ちょっと手を合わせてみようよ」
兄「ん?あ、あぁ」
妹「……な、なんというサイズの差」
兄「そりゃ俺男だし、年上だし」
妹「……安心できる大きさなんだよ」
兄「そうなのか」
妹「うん。兄さんの手は、おっきいのに柔らかい感じがして好き」
兄「女々しいのか……」
妹「そうじゃないよ、なんだか優しい感じがするから」
兄「そっかい」
妹「うんっ」
兄「……ど、どした」
妹「なんでもないよ、なんでも」
268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 02:35:46.34 ID:tgln7Bjg0 [12/70]
兄「……そうか」
妹「……ねぇ兄さん」
兄「ん」
妹「駅前で、何するの?」
兄「うーん。なにしようか」
妹「向こうに着いてから?」
兄「あぁ」
妹「りょーかい」
兄「服とか、どうだ」
妹「服?いいの?」
兄「おう」
妹「なんだかなぁ、うーん」
兄「いいって言ってんだから、いいんだぜ」
妹「じゃ、じゃあ……」
妹「行こっか、兄さん」
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 02:37:16.42 ID:tgln7Bjg0 [13/70]
すみません寝ます。
これ以上書こうにも、妹力のペースを保てない・・・
無理に書いて、変な風にしたくないんで、残ってたら、書き書きします。
286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 15:50:58.34 ID:tgln7Bjg0 [14/70]
妹(幸せだぁ~)
兄「……そうだなぁ」
妹「えっ?」
兄「ん?どうかしたか?」
妹「な、なんでもない」
兄「そうだ、少し此処で待っていてくれないかな」
兄「銀行で、少しお金をおろしてくるから」
妹「うん、わかったー」
兄「あぁ、すぐに戻ってくるからさ」
妹「……」
妹(やっぱり人が多いなぁ、駅前って)
後輩「お、妹ちゃーん!」
妹「あれ、後輩さん」
後輩「いやいや偶然だねぇ!お兄さんとちゅっちゅしてるかーい!」
妹「え、あ、えと、その、は、はい……」
288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 16:11:03.81 ID:tgln7Bjg0 [15/70]
妹(あ、あれ?)
後輩「やーやー、今日も空が青いねぇ」
妹「あ、あの」
後輩「んー?どしたね」
妹「あ、いえ」
妹(大方会長か、友さんから教えてもらったんだろう)
後輩「んふふ、まさかお二人がそんな関係だったとはっ」
後輩「わたし驚いちゃったよーwww」
妹「そ、そうですね……やっぱり、変なのかな」
後輩「そんな事ないぞぉ~。わたしなんかいつくっ付くのかと思ってたもん」
妹「そ、そうなんですか」
後輩「うん。うん。良い事だ。恋愛ってのは実にいいねぇ」
後輩「……ほんと、うらやましいね」
妹「え?」
後輩「なんでもないよ、それじゃわたしは用事があるから。またねぇ~っ!」
292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 17:26:01.64 ID:tgln7Bjg0 [16/70]
妹「……」
兄「おー。ってあれ、後輩じゃないか」
妹「兄さん、後輩さんに何か話しました?」
兄「ん?いや別に。それより買い物に行こうか」
妹「え、う、うん!」
――
妹「来年の夏にね、着ていく服とか買いたいな」
兄「そんな、随分あるぜ?まだ夏までさ」
妹「うーん。そっかー」
兄「ん、あれ?あれ後輩じゃないか?」
妹「えっ?」
後輩「いやぁ~どーもどーも」
後輩「お、妹ちゃん、さっきぶりだね!」
妹「さ、さっきぶり……ですか」
兄「どんな言葉だよそれ」
293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 17:38:55.25 ID:tgln7Bjg0 [17/70]
後輩「あ、そ、そうだ。私先輩に用があって来たんですよー」
兄「ん?なんか大事な用事か?」
妹「……え、えと」
後輩「ごめんね妹ちゃん、少しお兄さん借りてくねーっ」
兄「お、おい後輩!?――俺は、妹と買い物中だってんだよッ・・・…!」
ガッ......
後輩「っとと、……あれ、先輩?女性に対して、少し乱暴過ぎじゃあないですか?」
兄「お、おいおい……何言ってんだ?今のは正当防衛だぞ。正当防衛。な?妹」
妹「……に、兄さん?」
妹(い、今の兄さん……なんだか)
兄「おいおい、後輩、いくらお前でも少し度が過ぎて――」
ガシッ
後輩「と、とにかくッ……。て、抵抗しないでくださいよ先輩。先輩ちょっと借りてくね妹ちゃん!」
後輩「それじゃッッ!!!」ピューンッ......
294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 17:48:35.69 ID:tgln7Bjg0 [18/70]
兄「お、おい妹っ!い、家に先に帰ってろ!すぐにっ――」
妹「……」
妹「ど、どうしたんだろう兄さん。どこか具合でも悪いのかな……」
妹(そ、それに後輩さんの顔が少し……ううん。なんであんな必死な)
妹「置いていかれちゃった。な。……兄さん帰っておけって言ってたけど」
妹「……」
?「お、お~い!」
妹「……あれ、兄さん?」
兄「はぁ、はぁ、こ、後輩振り切ってきたよ」
妹「そんな、兄さん……後輩さんがかわいそうじゃない」
兄「大丈夫、ちゃんと話をつけておいたからさ」
妹「……兄さん、それ」
兄「ん?あぁ、お前が肌に離さず着けてるって言うからさ」
兄「俺も、この時計持ってる事にしたんだ」
妹「そ、そうなんだ……おそろいだね」
296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 17:55:47.77 ID:tgln7Bjg0 [19/70]
兄「あぁ、おそろいだ」
兄「……なぁ、買い物の続き。しようか?」
妹「うんっ!」
会長「おぉ、兄君」
友「よぉー」
兄「あれ、会長。友」
妹「あ、こ、こんにちわ」
会長「あぁ、兄君。後輩と会ったか?」
兄「え、あ、あぁ、うん。会いましたよ」
会長「そうか――」
妹「どうかしました?」
会長「いや、それよりもだ」
友「よぉ兄、ここは一つ、ダブルデートといこうぜ」
妹「だ、だぶるでーと?」
会長「そうだ。うん。実に面白そうだとは思わないかい?」
298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:13:11.98 ID:tgln7Bjg0 [20/70]
兄「だ、ダブルデート!?」
妹「あ、あの、その、友さんは、し、知ってたんですか」
友「ん?あぁ、会長が教えてくれたんだ」
会長「すまない。妹さん。しかし、私の最愛の人に嘘はつけなくてね」
妹「い、いいんです。いいんですよ」
友「ほんと、優しい子だなぁ。良い子を娶ったな。お前」
兄「お、おい!」
友「っはは、悪い悪い」
妹「?」
兄「どうする、妹」
妹「い、いいんじゃないかな……」
会長「そうと来たら、妹さんの服を選んでやったらどうだい兄君」
兄「は、はぁ!?」
友「安心しろ。俺も同じ十字架背負ってやるからさ。羞恥の十字架をよ……」
会長「なんだ友、君は私の下着を選ぶ事に不快な思いを感じているのか?」
299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:29:19.30 ID:tgln7Bjg0 [21/70]
友「ち、違うけどよ」
会長「何が不満なんだ?」
友「は、恥ずかしいだろ!どう考えても!!!」
会長「それくらい、別にいいだろう」
友「お前はいいかも知れないけどさ……」
兄「……服とか、買うか?」
妹「え?……えと、うん」
兄「……じゃ、何でもいいぜ。選びなよ」
妹「え?」
兄「だからなんでもいいよ。なんでも」
妹「……冬用の服と、夏用の服……。どっちがいいのかなぁ。なんて」
兄「うーん。冬のうちは、こっちには少ししか居られないし」
兄「夏用のでも、今のうちに買っててもいいんじゃないかな」
妹「え?」
兄「どうかしたか?」
300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:36:36.13 ID:tgln7Bjg0 [22/70]
妹「だって兄さん、さっき夏まで随分あるからって――」
兄「ん?あぁ、だってさ」
兄「明日をワクワクして生きられる方がさ、なんだかいいじゃないか」
兄「いかん。俺も夏が恋しくなってきたよ」
妹「……明日」
兄「おう、明日だ」
会長「兄君は良い事を言うね。ほら友。私達も来るべき婚姻の日までわくわくしていようじゃないか」
友「結婚すんのかよ!」
会長「当然だ」
友「ほら、でもさ。金の事とか……会長の身の回りの事とか――」
会長「大丈夫さ。二人なら」
友「あ、あぁ……まぁ、な」
妹「……あはは」
兄「そうと決まれば、何が欲しいんだ?」
妹「……うーん。あ、こ、こういうのとか……どうかな」
302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:42:52.34 ID:tgln7Bjg0 [23/70]
兄「白いワンピースか」
妹「……ど、どうかな」
兄「うーん……」
妹「……どうしたの?」
兄「これ着たお前を想像してる」
妹「……何してんのさ」
兄「いいんじゃないか、凄く似合ってると思う」
妹「そ、そう?」
兄「あぁ、うん、いいぞ。凄く」
妹「……そ、そっか」
友「う、ぐぐ……」
会長「どうした、はやく選べばいいだろう」
友「は、恥ずかしいんだっての……」
会長「……」
友「こ、これとか、どうだッ」
303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:47:12.05 ID:tgln7Bjg0 [24/70]
会長「白か」
友「お、おう」
会長「無難だな」
友「っ、だってこれくらいしか――」
会長「いや、君がそれを最善の選択だと言うのなら、実にいい」
友「……ほっ、そ、そうだぜ。俺はこれでいい」
会長「では買いに行くとしようか」
会長「兄君達は先に済ませて、外で待っていてくれないだろうか」
兄「ん?なんでですか?」
会長「いや、友を一緒にレジに連れて行くのに、随分時間がかかりそうなんでね」
友「は、はい!?イヤですよ俺は!?」
会長「そうはいかない。一緒に買ってもらわないと私の気が済まん」
会長「というわけだ。妹さんと何か飲みながら少し待っていてくれ」
妹「は、はい……」
兄「わ、わかりました」
304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 18:53:09.75 ID:tgln7Bjg0 [25/70]
~~~
兄「と、友も大変だな。うん
妹「に、兄さん……」
兄「ん?」
妹「わ、私も……その、下着選び……一緒に来てくれたら……なんて」
兄「……ハードル高いが、無理とは言わないさ」
妹「ほ、ほんと!?」
兄「あぁ、約束だ」
妹「……ありがと!」
兄「お、おい――」
妹「んっ……兄さん、大好き」
兄「ば、馬鹿、恥ずかしいだろうがっ」
妹「大丈夫だよ、よくみたら、そんなに人多くないし。あれ。なんでかな」
兄「わからん。なんかイベントでもやってるんじゃないか?」
兄「……なぁ、妹」
305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:03:53.71 ID:tgln7Bjg0 [26/70]
妹「なに?」
兄「ここには、二週間ちょい居られるけどさ」
兄「……家にさ、帰ってみないか?」
妹「え……」
兄「俺はこっちで、休めるだけ休んだ方がいいって言ったけど」
兄「お前の顔を見ていると、もう休養も十分じゃないかなって」
妹「……そ、それは」
兄「なぁ、少しの間だけ、だ。またすぐに会って、いや。今度は一緒に居れるから」
妹「……兄さん」
兄「……すまん、でも……」
妹「……わ、私は」
会長「……いや、そんなに拗ねないでくれ」
友「……は、恥ずかしかったんだからな!そりゃもうマッハの勢いでだ!」
会長「あ、あぁ、すまない……」
友「まぁ、いいんだぜ。いいんだけどよ……無理やりはキツいぜ……っと、兄」
306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:12:26.68 ID:tgln7Bjg0 [27/70]
会長「待たせたね」
兄「……答えは」
妹「今は……まだ……」
兄「……わかった。もう時間が無いんだけどな――」
妹「え?」
兄「なんでもないよ。帰るか」
妹「う、うん」
会長「……時間か」
友「あぁ……」
――
妹「……なんだか、空が変な感じ」
妹「曇ってるの?あれ……なんか見たことないよ」
兄「……後輩は」
会長「……わからない。彼女の事だ。心配無いと思うが――」
友「……」
308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:17:00.79 ID:tgln7Bjg0 [28/70]
妹「ねぇ兄さん、あれは雨が降るかもね」
兄「あぁ……雨が降りそうだ。本当に」
会長「おいおい、妹さんには予知能力でもあるのか?」
友「あーくそ、マジで降ってきた」
兄「オマケに……どうやら後輩は」
?「あぁ、居ないぜ」
妹「……に、兄さん?」
?「あぁ、妹、お前なんで約束守らなかったんだ。そんな偽者も俺と判らないのか?」
友「おいおい……マジかよ」
会長「悪いな。お前のような奴とは話している暇は無い。君のような偽者とはな」
兄「……」
妹「ね、ねぇ、どういう事?どういう事なの兄さん?」
妹「あ、雨も降ってきたんだよ?どうしちゃったの?友さんも、会長さんも――」
?「あぁ、そいつらもぜーんぶ贋者だ。贋作だぜ妹ォ」
兄「……黙れよ、この野朗!」
311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:24:56.65 ID:tgln7Bjg0 [29/70]
兄「テメェ一人のせいで、友も会長も俺も、妹だって!!」
?「あぁ?知るかよ。俺には責任は無いね」
?「……そうさ。妹が悪いのさ。俺の気持ちに気付かない鈍感さんなんだからさぁ!!」
会長「そんな君一人の自己中心的な考えのせいで、二人や私達の人生を台無しにしてくれるとはね」
会長「なんとも許し難いな。本当に君をこのまま斬り捨ててしまいたいね」
友「……よせ、会長よ。力は一回きりだぜ。後輩が最後の最後まで……遺してれた力だ」
妹「ねぇ、兄さん、どっちなのか判らないけど、なんでこんな――」
?「全部最初は妹が悪かったんだぜ。フツーよぉ、兄妹で恋人になんてなれるわけねぇんだよぉ!?」
?「フツーだったらさぁ、俺みたいにクラスメイトと恋愛するだろうが!?あ!?」
兄「……さっきから普通、普通って」
兄「お前のモノサシで、俺達を測ってんじゃねぇ!!!」
ぶんッ!
?「っと、素人君のストレートなんて当たらないね。てめぇみたいなカカシ野朗とは違うんだぜ?」
兄「……くそっ」
会長「兄君!!後ろだ!!!」
312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:27:31.86 ID:tgln7Bjg0 [30/70]
友「させねぇッ!!!」
?「チッ、そういや友。てめぇは運動神経良かったな」
友「……へへ、まぁ、運動だけだけどなッ!!」
ぶんッ!!
?「ッく、そんな隙だらけの蹴りじゃぁよぉ!!!」
友「――うぐっ!?
313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:31:44.18 ID:tgln7Bjg0 [31/70]
ミス。
友「――うぐっ!?」
会長「友!!!」
会長「今の私では、どうにも出来ん……くそ、まだ時間が――」
妹「……空が……空にひびが……」
?「……っと、ようやく妹確保っと」
兄「て、てめぇ……ッ」
?「……さ、妹。一緒に帰ろう。“俺達の家”にさ」
妹「……嘘、嘘だ。アンタなんか兄さんじゃないッ!!!」
?「おっと、暴れても無駄だぜ。この包丁が首を掻っ切っちまうかもな」
兄「……止めろ」
?「バーカ。“俺の妹”に、そんな事しねぇよ。安心しな。この変態野朗」
?「俺は健全だ。俺は正常だ。なんせ、クラスメイトなんだからな」
?「だがテメェは違う。だから妹は俺と居るべきだ」
妹「に、兄さんっ――」
317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:44:55.68 ID:tgln7Bjg0 [32/70]
兄「……」
会長「……すまない」
兄「実際、こうなることは……」
友「しかたねぇよ。俺ら、何も知らないんだから」
友「だってさ。俺らとっくに死んじまってんだからよ」
会長「……男の仕業でな」
兄「……みんなごめん。結局原因を作ったのは俺だったんだ」
友「何言ってやがる。こんな雨すら冷たいとも感じない、あいつの世界でのうのうとしていられるか」
会長「あぁ……だが後輩君が居ない事には、どうにも出来ないぞ」
後輩「だ、大丈夫っすよ……ちょっとばかし粉砕骨折中ですがね」
兄「お、おい大丈夫なのか?」
後輩「元々私は、“あっち”と“こっち”を管理してるんです。人間じゃないからOK無問題」
後輩「ただ、今はあの変態の心象風景で滅茶苦茶にされてますからね」
友「おいおい、ともかく時間はまだ平気なのかよ」
後輩「わかりません。ってか早めに先輩の家に突撃しないと、妹ちゃんの身がウォーニンですよ!」
319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:49:37.25 ID:tgln7Bjg0 [33/70]
――
妹「……うう」
兄「……大丈夫か?どこにも怪我は無いか?」
妹「……」
兄「お、おいおいどうしたんだよ。そんな顔して」
兄「どこか痛い所でもあるのか……?」
妹「だめっ!これ以上触っちゃだめなのっ」
兄「えっ!?」
妹「……違うから、アンタ。兄さんじゃない」
妹「兄さんなら、こんな風に変な糸で私を雁字搦めにしない」
妹「兄さんなら、私をそんな気持ち悪い顔で見たりしないッ!」
妹「兄さんなら!!こんな耳心地の悪いオルゴールの時計なんて持ってない!!!」
男「……おいおい、もろバレかよ……くそが」
妹「早く離してよ。何が何だか解らないし判らないけど」
妹「夢にしたって、タチが悪いよ。ほんとの話」
320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 19:57:39.22 ID:tgln7Bjg0 [34/70]
男「夢じゃないんだよなぁこれが」
妹「……」
男「そうだな。俺の可愛い妹が知りたいなら教えてやるよ」
男「俺はさ、お前らの事殺したんだよ。殺人者ってわけ」
妹「!?」
男「そりゃもう、学園祭の事さ。こっちがいざ告白しようって時に――」
男「目の前でさ、熱いキスなんてされてたら、そりゃもう、殺したくなるさ」
男「ああ、殺したよ。会長さんも友の野朗も。良い友人だったのになぁ」
男「会長も所詮女だったってわけか。先生方に信頼された天才とは良く言うぜ」
男「どうせ友とお楽しみだったんだろうってさ。マジでその通りさ」
男「その後にさ、お前に告白の続きをしたらどうだ?最低だと?近寄るな?ふざけんじゃねぇよ……」
男「こっちは犯罪者にすら成ってでも、したくない殺人を犯してでも、お前と一緒にいたかったのにさぁ」
妹「……」
男「結局てめぇもそうだ。俺を失望させてさ。兄と付き合う?とんだクレイジー野朗だな!!」
男「でも安心しろよ、そんなクレイジーな子でも、妹とは一緒に居てやるから」
321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:05:23.34 ID:tgln7Bjg0 [35/70]
妹「……嘘、嘘だ」
男「嘘じゃねえよ……俺も自信あったんだけどなぁ」
男「ほら、俺ってあのクソ偽善者と酷似してるだろ?」
男「だから妹も、満足すんだろうと思ったんだけどなぁ」
妹「あ、アンタなんて兄さんと一ミリも似てない……!!!」
男「はぁ……なんでさ。こう、気分の良い時に萎えるような事を言うのかなぁ」
男「だってさぁ、俺も殺しちゃった後でお前の後を追っかけたら、何も無いわけじゃなかったんだぜ!」
男「それどころか!!こうして俺の願望が叶うような場所に来たわけだ!死んでよかったよ本当にさ!!」
妹「……ほんと最低、夢にしたって最低……!!!」
男「だから夢じゃないんだっての。そうだ。実際に思い知らせてやればいいんじゃねえか」
男「ハハ、俺って天才。……おら、こっち向けよ」
妹「……イヤ」
男「ちっ、調子に乗ってんじゃねえぞこのクソアマッ!!」
妹「イヤッ!!!」
322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:14:29.19 ID:tgln7Bjg0 [36/70]
男「……っと」
妹「……あ、あれ、開かない!?」
男「すげぇなぁ、縄を自力で解くなんてよ」
男「褒めてやるけど、ドアは開かないぜ」
妹「……こ、こないで」
男「何言ってんだよ。これから良い事しようってのにさ」
男「抵抗すんなよ。そしたら勢いでまた殺しちゃうかもしれないからさ」
男「大丈夫大丈夫。優しくしてやるからさぁ」
妹「き、気持ち悪いっ……こないでよっ!!!」
男「っと、やめとけよ。じゃないとこうなっちまうんだからさぁ!!」
どんッ!
妹「……ぅ」
男「……ひょろひょろのクセによ、抵抗するからだ」
男「まあいいや。まずは服を脱がさないとな……」
男「いやぁ、楽しいねぇ。まずは一枚~」
324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:22:25.33 ID:tgln7Bjg0 [37/70]
~~~
兄「くそ、開かないッ」
友「二人がかりでぶつかってもか……くそ」
会長「……まだ。まだだ」
兄「後輩、確か願いは一回きりだったよな」
後輩「は、はい……しかも、在り来たりな奴で、単純明快じゃないと……」
後輩「すみません……今のワタシじゃ、これくらいしか……」
兄「なら俺の願いだ!!俺達の障害物を全て排除しろ!!!」
ズドンッ!!!
会長「と、扉が吹飛んだ……」
兄「妹ぉぉぉッ!!!」
友「おらあああ!!!変な事してんじゃねえぞおおおお!!!」
後輩「……っく、でもやっぱ痛いですね……いてて」
会長「大丈夫か、肩を貸すよ」
後輩「すみません……女に容赦無いんだから……いや、女だからのかな。あのクソ野朗は」
325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:27:25.42 ID:tgln7Bjg0 [38/70]
男「あ?」
兄「――!!てめぇ!!!」
ぶんッ!!!
男「あと少しって時に……!」
友「おらぁ!てめぇの相手は俺だっつってんだよぉ!!」
どんッ!ぶんッ!!
男「うぐッ、うらああ!!邪魔すんなクソ野朗!!」
兄「い、妹!妹!!!」
妹「に、兄さん……」
兄「くそ、友が時間を稼いでる今のうちだ!」
会長「ここは私に任せてくれ」
後輩「先輩、このコート妹ちゃんに!!」
兄「すまん!!!」
妹「に、兄さん……兄さん……」
兄「ああ俺だ。お前の兄さんだ。お前の……恋人だ!!!」
326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:32:27.15 ID:tgln7Bjg0 [39/70]
男「……へへ、痛くねえ」
友「!?」
男「おらぁ!!!」
ドッ!!!
友「……く、う……」
会長「友!!……後輩君、次に私だ。いいか?」
後輩「い、いつでも」
会長「アレを消すのは無理でも、私がやれば何も問題は無い」
会長「真剣だ」
後輩「は、はい!」
会長「……いくぞ、ようやく復讐が出来るというものだ」
友「……つ、いてぇ……」
後輩「と、友先輩ッ……こっちに……!」
友「す、すまん。痛いだろ?」
後輩「友先輩と逃げるだけです。何も……問題はありません」
328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:37:04.03 ID:tgln7Bjg0 [40/70]
男「はッ、素直に銃でも出せばいいのによ」
会長「生憎飛び道具は総じて駄目なんでね」
会長「しかし、剣については別さ。多少の覚えがある」
会長「ここでは、君を斬り殺しても何も問題は無いからな」
会長「武道なんてものは、本来そういう使い方をするものだ。だから、君を殺すよ」
男「調子に乗ってんじゃねえぞ、俺がそう簡単に死んでたら面白くないからさぁ!!」
331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:51:34.79 ID:tgln7Bjg0 [41/70]
――
兄「……会長は」
友「会長なら大丈夫だろうさ、後輩が着いてる」
妹「あ、あの……」
友「い、いてぇけどよ、色々ぶっ壊れてる後輩よりは、マシなんだ」
友「それより時間がくるらしいぜ。そろそろ電車が来る」
兄「……ようやくか」
妹「で、電車?」
兄「こんな所から、とっとと抜け出す為の電車だってさ」
兄「こんな変な所に、いつまでも居られないからな」
友「そういう事だ。会長は強いから心配ねえよ」
友「後輩曰く、あのクソ野朗だって一回きりだ」
兄「どこも怪我とか、してないか?」
妹「うん……でも、コートだけだとやっぱり」
友「兄、さっき買ったワンピース着せてやれよ」
332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 20:58:46.21 ID:tgln7Bjg0 [42/70]
兄「あ、あぁ……俺達は見てないから、さっと着ちゃいな」
妹「う、うん……」
友「……」
兄「……心配か?」
友「あぁ……なんせ突然だったからな」
友「違和感なんて感じてなかったさ。今までそう生きてきた記憶があって」
友「だからさ、ここが全部あいつので捻じ曲げられたあの世だなんて信じらんねえ」
友「あいつは絶対地獄行きだな。後輩曰く、俺たちが生きてた世の中の色んなものがこっちに影響を与えるらしい」
兄「……じゃあ、なんだ。それは元々何もなくて、俺らが強く想像するだけで、こっちはそうなるってこと?」
友「多分な。俺も良く解らんが、何も無いから不安定で、常に流動的だそうだ」
友「だから今の所、全人類の数だけのこっちがあって、ここはあいつの“こっち”だろうな」
友「ったく、普通の死に方じゃないからって、巻き込まれるのはごめんだぜほんと」
妹「……着たよ」
兄「……あぁ、似合ってるぜ」
友「おっ、綺麗じゃないか」
337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:08:13.11 ID:tgln7Bjg0 [43/70]
妹「……ねぇ、私たち本当に死んじゃったの」
兄「それは確実だろうなぁ。ほっぺ引っ張り合ったけど何も無かったし」
兄「“目に見えるもんが全てじゃない”……お前の信じたい方を選べばいいんじゃないか」
兄「俺は、今自分が体感している事が全部だと思ってる」
友「同意だな」
会長「……はぁ、はぁ、やぁ、少々血生臭い者だが、私もそうだよ」
友「会長……!だ、大丈夫か!?」
会長「だ、駄目だ友君。君ににも血がくっついてしまうよ……」
友「何言ってんだよ。何も出来なかった俺には……」
後輩「……はぁ、はぁ」
妹「後輩さん!」
後輩「い、一応終わりましたよ……電車がくる時間にはここを離れられる」
後輩「こんな独りよがりの世界じゃ、誰かに認識して貰わないと保てないですからね」
妹「……」
後輩「ほんと、先輩になりたいからって、こんな世界をつくって。あの人は色んな世界で裁きを受けるでしょうねぇ」
339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:21:43.43 ID:tgln7Bjg0 [44/70]
後輩「○ハウェとか、○魔様とか、魅入られて○ンリマンユ?」
妹「よ、良く分かんないですけど……どういう事なんですか?」
後輩「そうっすね、ちょうどいい。説明タイムといきましょう」
後輩「終わる頃には、迎えが来ると思うから」
後輩「本来、ワタシの居るこっちと、先輩達の世の中は後者と前者の関係なんです」
後輩「まぁ所謂人間っていう、ヘンテコな生き物が生まれてから、ちょうど同じ時期にこっちも発生した」
後輩「言ってしまえば、こっちは人間一人一人の心象風景をそのまま世の中にする鏡なんすよ」
後輩「尽きた人間の意識、クオリアの破棄場。そこで永遠にループする世界を見せて、一定の安定を保つんです」
後輩「んで、私はその現象を管轄してる“何か”の何かなんですよ。うーん。なんていえばいいのか」
後輩「まぁ、本能的に“そうする”って。ってか、いつ生まれたのかも覚えていません」
後輩「因みに、これは先輩達とお話する為にこうなっているのであって、正直どういう“私”なのか検討もつかないんです」
兄「……なんだか、俺からすれば嫌な世の中だとしか思えないな」
後輩「安心してください。人間の域を超えればどっかの誰かみたいに登録されますし」
後輩「無害な存在であれば、意識はそのまま私のように自由に行動出来ますから」
後輩「まぁ、語りえぬものについては、沈黙せねばならない。って事ですね」
345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:32:29.40 ID:tgln7Bjg0 [45/70]
友「……人の“脳みそで理解できる範囲”なんて、限られてるって事かよ」
後輩「まぁそんなもんです」
後輩「で、今回は本当にイレギュラーな件で」
後輩「まぁいわゆる小さな事故みたいなもので、私は先輩達を元に戻す役目があります」
後輩「あの最低野朗も、願いと思いだけは善い意味でも悪い意味でも純粋でしたから」
後輩「結果としてこんな場所に先輩方を引き込んでしまった。というわけです」
後輩「そもそも、そんな混じりの無い意思なんて、そうそう出てくるもんじゃないんですよ」
後輩「せいぜい歴史の英雄とか、その手の御仁じゃないと、混じり気がある筈なんですよねぇ」
後輩「ほら、先輩や友先輩のカップルみたいな“愛の思い”については」
後輩「誰しも混じり気の無い思いは抱けますけど」
兄「……うぐ」
妹「……混じり気の無い……」
会長「ほう」
友「……こっぱずかしい事を平然と……」
後輩「でもあのマジキチは、マジキチに相応しく本当に純粋な“欲”というものを持ってたんですよ」
346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:37:18.67 ID:tgln7Bjg0 [46/70]
後輩「まぁ結局の所全部あいつのせいだった。ってわけです」
後輩「あの人は、いろんな宗教の地獄であんな事やこんな事されますから」
後輩「安心してください。多分、先輩方が生きを吹き返す頃には居ないですから」
後輩「安心してちゅっちゅしててくださいね、ニヤニヤ」
兄「お前真面目なのかそうでないのかハッキリしろよ!」
後輩「しかたありませんよ。私、もともと“曖昧”な奴なんで」
後輩「おっ、そろそろ来そうです。最後までは案内しますよ」
会長「ふむ。では行くとしよう」
妹「も、元に戻ったら」
兄「あぁ、改めて色んな所行ったりするさ」
友「思い出した。俺ゲーム予約してたんだ」
兄「何予約したんだ?」
友「忘れた」
後輩「さ、ターミナルに行きましょう!」
妹「そ、そんなにおっきな駅じゃないけどね……」
350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:42:52.72 ID:tgln7Bjg0 [47/70]
~~~
ガタンガタン......
兄「どうみてもコレ○田急線じゃないか……」
会長「いや、向い合った席だから○海道線だろうな」
後輩「しばらく、電車の旅が続きますぜ」
後輩「さぁさぁ、お菓子でも何でも出してあげまっしょーい!!」
友「なんでそんなテンション高いんだよ……」
後輩「いやぁ~あんなヘドロの底みたいな場所よりも」
後輩「こうして純粋な場所で生き生き出来るのは気分が良いもんなんですよー」
会長「緑茶を貰おうかな」
友「んじゃ俺コーラ」
兄「ジンジャーエールでいいか?」
妹「……」
後輩「妹ちゃんは?」
妹「……え、えと、お、オレンジ……ジュースで……」
352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:49:29.25 ID:tgln7Bjg0 [48/70]
後輩「おれんじ、じゅーちゅ^^」
兄「おい!!!」
後輩「いやいや可愛いじゃないですか、でゅふふwww」
妹「……っく」
後輩「いやいや、すみません。察するに薄めのオレンジですね」
妹「え、そ、そうです」
後輩「わかりますー。わかりますよー。100%はしつこいですよねぇ」
後輩「どうぞ~」
兄「……な、なぁ、お前本当にどういう奴なんだよ」
会長「いいじゃないか、きっと我々の理解を超えてるんだろうさ」
友「……しっかし、あんだけの事があって、いつものペース崩れないなぁ」
会長「私は人を一人斬り殺しているんだがね」
後輩「あぁ、大丈夫です。あの人運が良いのか悪いのか、人間じゃありませんからもう」
後輩「というわけで無問題ですおし」
妹「……どうして窓の外は、ずっと暗いのかな」
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:52:53.52 ID:tgln7Bjg0 [49/70]
後輩「うーん。何か映しましょうか?」
妹「す、凄いですね」
後輩「そうですね、私は凄いので」
兄「というわりには、願い事は在り来たりで一つしか叶えられない条件付きだがね」
兄「俺はドア吹き飛ばして」
友「俺は痛みを消して走り出せるように願った」
会長「剣だな、私は」
妹「……」
後輩「さてさて、妹ちゃんは何をお願いしますか?」
356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 21:56:05.61 ID:tgln7Bjg0 [50/70]
妹「……兄さんは、何か欲しいものある?」
兄「ん?別に無いぞ」
後輩「何せ、妹が俺の欲しかったものだからな」
兄「お、おい」
友「……おいおい」
会長「いいじゃないか。私はこうしている方が好きだ」
会長「正直、二度と剣など振るいたくないな」
会長「……友の側に居れなくなってしまう」
友「そ、そんな事ねえよ……」
会長「……友」
後輩「……あ、いや、いいんですよ。続けて続けて」
友「いや、止しておく」
会長「同意だ」
妹「あ、はは……兄さんは、本当に何も無いの?」
兄「あぁ、言われてちゃったしな」
358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:01:11.46 ID:tgln7Bjg0 [51/70]
妹「……」
兄「……な、なんだよ」
後輩「いやぁ……罪な人ですね、先輩って」
友「ああ、なんかキザっぽいな」
会長「まぁ兄君だからな」
妹「……そ、それじゃあ」
後輩「おっと、解りました」
妹「え?」
後輩「言わなくてもいいですよ。妹ちゃんならね」
兄「おいおい」
友「いいんじゃないか、別に」
兄「まぁ、そうだな」
会長「きっと良い願いだろうさ」
後輩(結婚したいだなんて……言えないでしょ?安心してくださいな)
後輩(色々つじつま合わせておいてあげますから)
359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:05:24.70 ID:tgln7Bjg0 [52/70]
妹(えっ?)
後輩(妹ちゃんの事、応援してますからね)
妹(あ、ありがとうございます……)
兄「おい、なんでニヤニヤしてるんだ」
友「不気味だぜ」
会長「いやいや、むしろらしいじゃないか」
後輩「ぬふふ、先輩は幸せ者ですねぇ~♪」
兄「……本気で鳥肌が立ちそうだ」
友「でさ、ところで」
後輩「?」
友「あいつは結局なんだったんだ?あいつは兄と入れ替わってたって事か?」
後輩「まぁ、アレの世界ですしね。最初はそのまんまでした」
後輩「ただ、気を見計らったのか知りませんが、途中から先輩と同化し始めたんですよ」
後輩「だから、あの時、駅前のショッピングモールで先輩は少し、乱暴になっていた」
兄「俺はすぐに後輩に引き剥がされて、妹の所へ行くように言われたわけだ」
360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:07:48.69 ID:tgln7Bjg0 [53/70]
兄「多少の予備知識を無理やり頭の中に突っ込まれてな」
後輩「あ、あの時は仕方なかったんですよ……あはは」
兄「頭痛が凄かったんだぞ」
妹「だ、大丈夫なんですか兄さん」
兄「あぁ、今はもう。な」
後輩「か、過去の事って事で
361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:10:11.57 ID:tgln7Bjg0 [54/70]
ミス。
後輩「か、過去の事って事で……ここは一つ」
兄「怒っていないよ、むしろありがとうな」
妹「確かにあのままでは、私も想像したくない事になってたかもしれない」
友「そうさ。後輩には感謝してるんだぜ」
会長「ありがとう」
後輩「……うっ、うう……わ、私今最高に嬉しいよ……」
363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:18:24.13 ID:tgln7Bjg0 [55/70]
後輩「……さて、もうそろそろ着きますよ」
妹「あれ?景色が――」
会長「おお、一面緑じゃないか。景色が綺麗だな。」
兄「眩しいな……しかも何だか熱そうだ」
友「それにさ、ここどこだよ!?」
後輩「なんと言いますか……通路?」
後輩「なんなら皆さん、薄着に変えます?」
兄「出来るのか?」
後輩「ええ、先輩や友先輩はTシャツに出来ますし、会長をワンピースにだって出来ます」
会長「出来ればお願いするよ」
後輩「了解、ほいとな」
後輩「どうですか!!!」
兄「白いTシャツだな」
友「後輩だから色物になるかと思っていたけど、そんな事は無かったぜ!!」
会長「うん。いいんじゃないか。動き易い」
364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:25:16.88 ID:tgln7Bjg0 [56/70]
~~~
会長「無人駅か?随分古いように感じるが」
後輩「そんなの必要ないですからねぇ~、まぁ一応駅っていう感じです」
兄「……見渡す限り、一面緑と青い空だな」
妹「風が涼しいですね、兄さん」
友「……」
会長「ん?どうかしたか友」
友「……あ、いや」
後輩「んふっふ~、会長の美貌に見とれていたんですよ~」
後輩「草原に立つ一人の美女が、長く綺麗な髪をおさえて居るなんて、絵画みたいじゃないですか」
会長「……そうなのか?」
友「……嘘は吐きたくないからな」
会長「ふふ」
友「……うぐ」
兄「……しかし、ここからどうやって帰るのか」
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:35:57.25 ID:tgln7Bjg0 [57/70]
妹「きちんと手を繋いでくれているんだね」
兄「ん?ま、まあなぁ」
妹「くふふ……」
兄「に、にやにやするな」
後輩「……そうですねぇ、この廃線を辿って行くんですけど」
友「どうかしたか?」
後輩「うーん。ここからは、みんなで行ってください」
会長「……そうか」
後輩「そんな顔しないでくださいよ!私は大丈夫ですって!!」
妹「……でも、こたつで話をした時は凄く楽しかったです」
後輩「当たり前ですよ。友達ですから……」
兄「……お前、人の事言えない顔になってるぞ」
後輩「……私は、その、ただの現象ですから……」
後輩「こうして、迷っちゃった何の罪も無い人を、導いていくのが、私ですから」
後輩「……みんなと……別れるのは……もう、な、慣れてますから……」
367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:41:34.59 ID:tgln7Bjg0 [58/70]
兄「……」
後輩「だ、だから、ここでお別れです」
後輩「向こうで、絶対に幸せになって、私をニヤニヤさせてくださいね!!」
後輩「……あ、そういえば私見れないんだったな、あはは!ボケちゃったのかな」
友「……後輩よ、写真とか撮れるか?」
会長「そうだな。みんなで撮ろうじゃないか」
後輩「……え?」
妹「みんなで撮りましょうよ」
兄「あぁ、向こうへのお土産だ」
後輩「……で、でしたら」
後輩「い、一眼レフのその場撮りも出来る!私特製カメラ!キャノン製」
兄「キャノン製かよ!!」
後輩「とりあえず、それっぽくロゴとか着けてみました」
後輩「そうと決まればみんなで青空バックに思い出残しましょう!!!」
妹「行こう、兄さん」
368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:44:49.94 ID:tgln7Bjg0 [59/70]
兄「あ、あぁ」
後輩「セット完了っと……よし」
妹「後輩さん早く~」
後輩「はいはいただいま~!」
会長「それでは、みんな笑おうか」
友「むんッ!!」
兄「おいおい友、そのポージングは無いぞ」
友「うるせぇ、俺は写真撮るときはマッチョポーズって決めてんだよ」
妹「……兄さん、もっと近くに居ても……」
兄「ん?あぁ、後輩が真ん中が良いな」
後輩「あ、はは……ありがとうございます」
会長「では、撮ろうか」
後輩「はいッ!!!チーズッ!!!!」
カシャッ
後輩「……ちょwww友先輩なんぞこれwww」
369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 22:49:24.22 ID:tgln7Bjg0 [60/70]
友「流石だな。俺」
友「なぁ、会長これじゃ肖像画みたいだぜ」
会長「む、むぅ……しかしだなぁ、私はこれしか思い浮かばなかったんだ」
後輩「相変わらず、仲睦まじい雰囲気全開の写りですねぇ、せんぱーい!」バシバシ
兄「い、痛いって、軽く痛いって後輩」
妹「……時計にしまっておこうっと」
兄「俺もそうするかな」
後輩「……、それじゃ、もう、お別れです」
兄「……あぁ、色々と世話になった」
妹「あの、相談に乗ってもらって、吹っ切れました!」
妹「ありがとうございます!」
友「まぁ、お前が居なきゃクソつまらないのは事実なんだぜ」
会長「機会があれば、君を私の生徒会に入れておきたいくらいだ」
後輩「……えへへ、皆さんどうもっす」
後輩「それじゃあ、先輩と妹ちゃんは、こっちの線路を辿って行ってください」
370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:00:15.84 ID:tgln7Bjg0 [61/70]
後輩「友先輩と会長はこっち。きちんと守ってくださいね!」
後輩「……ちゃんと最後まで、見届けますから」
兄「……あ、あぁ……またな」
妹「また、また会いましょう!後輩さん!」
友「またなぁぁぁ!!!」
会長「……信じているよ、私は」
後輩「……さよなら。じゃないんですね」
後輩「……はい、また―――」
後輩「――いつか」
~~~
兄「いつの間にか、振り返っても俺達だけになっちまったな」
兄「前は延々と続く廃線。空は青くて入道雲が高く広がっている」
兄「飽きちまいそうだけど、妹と俺だけだな」
妹「そうだね、兄さん。けど、綺麗じゃない。ほら、空を見てよ」
兄「……いつの間に空に地球なんて映ってた?」
371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:06:14.41 ID:tgln7Bjg0 [62/70]
妹「凄く綺麗じゃない。きっと後輩さんがしてくれたんだよ」
妹「あの人、なんでも出来ちゃうから」
兄「……星雲と、青い星と」
妹「なんだか不思議な景色だね。朝焼けっぽいのにエメラルドがかかってる」
兄「夕焼けっぽいのに、星空と青い星がキラキラしてるな」
兄「なるほど。こりゃ飽きない」
妹「うーん凄いなぁ。カメラ貰っておけば良かったなぁ~」
妹「うおおお……っとと」
兄「そんな仰け反って歩くと、ゴチンッて地面に頭をぶつけちゃうぞ」
妹「気分がいいんだもん、凄く気分がいいの」
妹「あ、流れ星」
兄「……天の川みたいなのが広がってるぜ?」
妹「ほんとだ!!すっごーい!!にゃはははっ!!」
兄「おいおい線路から離れるなよ?」
妹「うん!!わかってるってー!!」
372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:11:50.92 ID:tgln7Bjg0 [63/70]
兄「……おっ、なんか見えてきたぞ」
妹「……わぁ……」
兄「……海か?でも砂浜なんてないし……」
妹「湖かなぁ?青い星とか天の川が反射して映ってるよ!ほら!」
兄「……あぁ……」
兄「……どこなんだろうな。ここは」
妹「……綺麗」
兄「……」
妹「……どうしたの?」
兄「あ、いや」
妹「見とれてた?友さんみたいに」
兄「……お、おう」
兄「あんまりに、お前がなびく髪をおさえてるのが、綺麗だったから」
妹「……ねぇ、このオルゴールに、歌詞とかつけてみない?」
妹「ここの草柔らかいから、いいクッションになると思うんだ。座りながらでいいからさ」
373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:16:49.43 ID:tgln7Bjg0 [64/70]
兄「唐突だな」
妹「ロマンチストですから」
兄「よっと、おぉ、確かに良い感じだな、このまま寝ても気持ちよさそうだ」
妹「でしょ?星空と青い星を見上げながらなんてさいっこうじゃない」
兄「はは、でも手は繋ぐんだろ?」
妹「よくわかってるね兄さん。まさしくっ」
兄「……おっ、寝転ぶと、もっとよく空が見えるぜ」
妹「青草の匂いがするね」
兄「うん。確かにこの雰囲気なら歌詞とか思いつくかもなぁ」
妹「まずは兄さんのオルゴール鳴らしてみて」
兄「ん?あぁ……おっ、さっそくみんなで撮った写真が」
妹「ふふっ」
兄「……っよし、巻き終わりっと」
~♪~♪♪~♪♪♪
374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:25:43.39 ID:tgln7Bjg0 [65/70]
兄「……俺の聴いたことのある曲の歌詞が合いそうだ」
妹「え?」
兄「……」
妹「……じゃあ、私も聴いたことのある曲の歌詞を合わせてみようかな」
兄「……あぁ、なぁ、妹」
妹「なに?」
兄「そのだな、きっと、必ずしも、同じ場所に戻れるとか、そういうんじゃないと思うんだ」
兄「もしかしたら、ここに居た記憶とか、全部消えてるかも知れない」
兄「――けどさ。それでも、俺はお前が好きだから」
妹「……うん」
兄「手は離さないからな」
妹「私だってそうだよ。この時計も、写真も」
兄「……」
妹「……兄さん?」
兄「……」
375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:29:41.69 ID:tgln7Bjg0 [66/70]
妹「……歌うんじゃ、なかったの」
妹「歌詞、つけるんじゃなかったの」
妹「……先に寝ちゃうなんて、卑怯だなぁ」
妹「……なんだか、置いてきぼりになっちゃったな」
妹「あれ、もう朝かぁ。ご来光ご来光」
妹「ほら、兄さん。ご来光だよ。青い星と星空を光らせてるよ」
妹「凄く綺麗だよ。見ないの?」
兄「……」
妹「兄さん」
兄「……」
妹「……疲れて寝ちゃったんだ。私も寝ようっと」
妹「……兄さん。ずっと一緒だよね」
妹「兄さんは、あんなことがあっても、一緒に居てくれたんだよね」
妹「……死んでも、一緒に居てくれたもんね――」
―――
377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:35:19.27 ID:tgln7Bjg0 [67/70]
チュンチュン......
兄「……んん」
兄「あれ、寝てたのか」
兄「……うーん、なんだかハッキリしない」
兄「……あ」
妹「……zzZ」
兄「おい、妹?」
妹「……ううん。あれ、兄さん?」
兄「こんな所で寝てたら、風邪引いちゃうからさ」
妹「……ここって」
兄「ん?木陰で一休みしてたら、制服のまま寝ちゃってたんだ」
兄「俺が前に買ってやったワンピース、きちんと着てくれてるんだな。ありがとよ」
妹「うん。そりゃ当然。……なんで此処に来たんだっけ」
兄「なんでって、俺が夏休み中に会長に呼び出されて、午前中はここにくるようにしてたんだぜ」
兄「昨日話したばっかだぞ?まったく」
378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:38:22.58 ID:tgln7Bjg0 [68/70]
妹「ご、ごめん」
兄「お前、迎えに来てくれたんじゃなかったっけか」
妹(……そういえば、そんな気がしてきた)
妹「……あ、あぁ、うん。兄さん文庫本落としそうだったから、はいこれ」
兄「おお、サンキュー」
兄「麦わら帽子、似合ってるな」
妹「母さんがくれたの」
兄「へぇ」
会長「おぉ、居た居た」
友「おーい!!今日は海に行くんだろー!?」
兄「……あ、いけね。そうだった」
兄「お前もくるよな?」
妹「え、えと、うん」
兄「よしきた。さきに家に帰って準備しないとな」
兄「こいよ、妹」
379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:43:17.59 ID:tgln7Bjg0 [69/70]
妹「うん」
友「俺達先に行ってるからなー」
兄「おーう!」
~~~
母「あら、おかえり」
兄「ただいま。妹とちょっくら海に行ってくる」
妹(……あれ、誰だっけ……見知ってる人だ……)
母「妹ちゃんも、おっかえりー♪」
兄「あ、おい!母さん!!」
妹「あ、はは……」
母「うーん……うちの子じゃないのがもったいないなぁ」グリグリ
兄「はぁ、妹。すまんけど、ちょっと待っててくれ」
妹「う、うん」
母「貴方のお母さんが長期の海外出張でこっちに居ないから預かってくれって言われたときは」
母「私喜びに喜びまくったわ……」
381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/30(木) 23:49:59.22 ID:tgln7Bjg0 [70/70]
妹「……っふふ」
母「あら、どうしたの?」
妹「変わらないんですね」
母「……あら、私のどこがそうなのかしらねぇ」
母「私は、“母”よ」
妹「……えへへ、そうでした。お母さん」
兄「あっと、よし。妹ー行くぞー」
妹「ま、待ってよ兄さぁぁん!!」
母「……」
母「願いは、まさかのカタチで叶えたったっと」
母「さーって、掃除でもしますかーッ!」
会長「あぁ、来たか」
友「ったく、事務処理なんかにこきつかうなよぉ~」
兄「いいじゃないか、お前の大事な人なんだろ」
382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 00:02:09.65 ID:CusTv4Ug0 [1/3]
友「ってかさ、お前ら兄妹でもないのに、なんで兄さんって呼んでるんだ?」
会長「……親しかったからだろう。肉親と感じてしまう程に」
妹「あ、はは……クセというか、なんというか」
兄「ん?」
友「いんや、なんでもない」
友「というわけで、俺は海に行ってくるぜ!!」
会長「……その、なんだ。私は泳げん」
妹「兄さんは?どうする?」
兄「俺はここで、ボケッとしてるからそれでいい」
妹「……そ、それじゃ、私も」
兄「……そういや、ここの海の家って、何があるんだろうな」
妹「何か買ってくる?」
兄「あぁ、飲み物でいいよ」
妹「……」
兄「……な、なんでストロー二つもあるんだ?」
388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 00:16:11.99 ID:CusTv4Ug0 [2/3]
妹「……自由にしろって、言ったから……その」
兄「……わかった。わかったよ」
兄「飲めばいいんだろ、飲めば!」
妹「うんっ」
~~~
兄「……じゃあな」
友「あぁ、今日は疲れちまった……祭りは後で。でいい」
会長「散々遊んだからな、私も少し休憩してからにしよう」
友「……そんじゃ、ここで」
会長「また明日、お願いするよ」
兄「わかりました、それじゃ」
妹「さよなら~」
兄「……さってと、後で夏祭りがあるけどさ」
妹「うん」
兄「行くか?」
389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/31(金) 00:19:34.01 ID:CusTv4Ug0 [3/3]
妹「うんっ」
兄「んじゃ、行くか」
~~~
兄「……っと、財布財布」
兄「……あ、これは」
妹「兄さん、どうかした?」
兄「……これ」
妹「時計だね。オルゴール付きの懐中時計なんて珍しいね」
兄「……あぁ、買ったんだよなぁ」
妹「……兄さん?」
兄「これさ、お前に買ってやったんだよな」
兄「……ほら、この写真」
妹「……じゃあ、夢じゃないんだ」
兄「……あぁ、忘れてたよ。なんか引っかかってたんだけどさ」
兄「そっかぁ、ここが……俺たちの元の場所なのか」
390 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 00:24:47.55 ID:CusTv4Ug0
兄「……待てよ。俺に母親居たか?」
母「あら、酷い言い草ねぇ」
妹「……やっぱり」
兄「……どう見ても」
母「……一応、この年に成るまでの経験は脳内インプット済み」
母「“前”のお仕事の便利さに、私泣きそうよ。とりあえず約束は守っといたからね」
兄「……あぁ、ありがとう……母さん」
妹「そっか、大人に成っても綺麗ですね。お母さん」
母「ふふっ、ありがと妹ちゃん。ほら、兄、さっさと夏祭りに行ってあげなさい」
兄「お、おう」
兄「あのさ、母さんも一緒に行こうぜ」
母「あら、私が?二人水入らずで行けばいいじゃない」
妹「いいんですよ、三人で行こうよお母さん」
兄「というわけだ。行こうぜ」
母「あらあら」
391 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 00:34:22.81 ID:CusTv4Ug0
兄(語りえぬものについては、沈黙せねばならない。か)
兄「でさ、母さんは俺達にどうして欲しい事とか、あるか?」
母「なによ、唐突に」
妹「あ、そうですね。お母さん何か頼みごととかあります?」
母「母の願いは“幸福に生きて”もらう事だけです。それだけ」
母「その為の私なんだからね。“両親とはそう在るべき”なんだから」
母「私の自己満足になっちゃ、親に成った意味が無いもの」
兄「……んじゃ、俺は母さんの幸せって奴をさ。叶えるよ」
妹「私も。そうする」
母「……そうしてくれると、凄く嬉しいわ」
母「ほら、ちょうちんに灯りが燈ってるわよ」
兄「ほんとだ」
妹「着物でくれば良かったかなぁ」
兄「今のままでもいいんじゃないか?」
母「そうよ。そのままで綺麗なんだから。妹ちゃんは」
392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 00:56:18.68 ID:CusTv4Ug0
兄「……したら、何買うか」
母「焼きソバでも買っていこうかしら」
妹「りんご飴とか、食べたいなぁ」
兄「おっ、俺はわた飴食いたいなぁ」
妹「兄さんわた飴なんだ」
兄「わ、悪いか」
妹「べっつにー」
妹「そうだ、お母さん、手繋ごうよ」
母「え?」
妹「向こう着くまででも、左手は兄さん。右手はお母さん」
393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 00:59:16.34 ID:CusTv4Ug0
母「あらあら、いいの?お邪魔しちゃっても」
兄「妹がいいって言ってる時は、いいんだぜ」
妹「うん」
母「それじゃ、そうさせてもらおうかしらね」
妹「……ぬふふ」
兄「変わんないのな、そのニヤニヤは」
妹「私の個性です」
兄「それは個性なのか?」
妹「個 性 で す !」
母「ほら、妹ちゃん怒っちゃったじゃないの」
会長「おお、兄君のお母様も居るのですか」
友「おっ……、遅いぜー兄ー!」
兄「悪い悪い」
394 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 01:01:57.93 ID:CusTv4Ug0
会長「いいものだな。家族と言うのは」
友「ん?」
会長「い、いつか君ともああしてみたいものだ」
友「……お、おうよ」
会長「っふふ、三人か、四人か?」
母「あらあらー。五人とかいかがかしらー」
母「あ、いや、六人?もっとかなー?」
兄「……根は変わってないな」
妹「だね……」
母「あら、私の個性よ?」
会長「いいじゃないか、では。行こう」
友「うっし」
兄「あー。腹減ったー」
妹「兄さん」
兄「ん?」
396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 01:10:47.58 ID:CusTv4Ug0
妹「……ずっと、一緒」
兄「だぞ」
妹「……うん」
母「……あらあら、約束通りニヤニヤ出来そうね。これからも」
兄「おいおい、勘弁してくれ」
母「それは無理ねぇ~ふふ」
妹「……それじゃ、いこ」
兄「ああ、母さんも行こう」
母「そうね……行きましょうか」
とりあえず。これで終了。
終盤の厨二展開は、ある種のイメージか何かだと思ってくれ……すまない。
ニヤニヤだけが良かった奴には申し訳ない。
このスレタイから、なぜかこれしか出来なかった……反省はしているが後悔も少ししている。
とりあえず、ウィトゲンネタが分かった人には感謝します。
とりあえず終了。いわゆる殺された→あの世→転生→きゃっきゃうふふENDです。
質問があれば、拙いけど書きます。SSじゃ、やっぱ理解し難いよな……。
もっといちゃラブエロゲやり込んでおけば
妹「だめっ!!これ以上触っちゃだめなのっ」兄「えっ!?」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1293354013/
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