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唯 「あずにゃんとボク」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:12:00.15 ID:EJF79NAu0 [1/22]
部室
梓 「お兄ちゃん」
唯 「一緒に帰ろっか、あずにゃん」
梓 「手つないでくれますか?」
唯 「うん! いいよ」
律 「おい! ちょっと待て唯」
澪 「いつから兄妹になったんだよ」
唯 「そんなことボクに言われても……あずにゃんまだ幼いんだし」
部室
梓 「お兄ちゃん」
唯 「一緒に帰ろっか、あずにゃん」
梓 「手つないでくれますか?」
唯 「うん! いいよ」
律 「おい! ちょっと待て唯」
澪 「いつから兄妹になったんだよ」
唯 「そんなことボクに言われても……あずにゃんまだ幼いんだし」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:17:20.77 ID:EJF79NAu0 [2/22]
澪 「だいたい、女なのに自分ことボクって」
唯 「おかしいかな?」
紬 「いいんじゃないかしらぁ~」
澪 「いや、でも……」
梓 「お兄ちゃんをいじめないで下さい!」
唯 「ほらっ、あずにゃん泣いちゃうよ」
律 「あー、悪かった。ごめんな」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:24:45.68 ID:EJF79NAu0
帰り道
唯 「コンビニで肉まん買って帰ろうよ」
梓 「だめですよ、晩ご飯に食べちゃだめです」
唯 「え~、あずにゃんのケチ」
梓 「憂お姉ちゃんにいいつけますよ」
唯 「でも、あずにゃんもほんとは食べたいんでしょっ」
梓 「ううう」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:30:05.61 ID:EJF79NAu0
唯 「おいしいねっ」
梓 「はい! うまいです」
唯 「憂には内緒だよ」
梓 「内緒です」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:34:29.69 ID:EJF79NAu0
平沢家
憂 「いたただきま~す」
唯梓 「……いただきます」
梓 (やばい、おなかいっぱい……)
憂 「あれ、梓ちゃん、食べないの?」
梓 「なっ、内緒です」
憂 「え?」
唯 (あずにゃん! それじゃバレちゃうよ)
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:39:43.21 ID:EJF79NAu0
憂 「さては、お菓子食べちゃったんでしょ」
梓 「内緒です。お兄ちゃんと約束したから」
憂 「お姉ちゃんっ!」
唯 「ぼっ、ボクは関係ないよ……」
憂 「めっ、でしょ」
唯 「はい、ごめんなさい」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:02:42.27 ID:EJF79NAu0
唯の部屋
コンコンコン
唯 「入っていいよ」
梓 「お兄ちゃん……」
唯 「一緒に寝てほしいの?」
梓 コクリ
唯 「ほら、ベットに入っておいで」
梓 「いいんですか」
唯 「いいから、いいから」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:06:50.12 ID:EJF79NAu0
梓 「抱っこしてください」
唯 「あずにゃんは甘えん坊さんだねぇ」
梓 「あ、甘えんぼじゃありません。やっぱり、抱っこはいいです」
唯 「ごめん♪ ごめん♪」ギュッ
梓 「ひゃっ」
唯 「あずにゃん、あったこい♪」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:11:47.91 ID:EJF79NAu0
梓 「お兄ちゃんもおコタみたいにあったかいです」
唯 「ねぇ、あずにゃん」
梓 「何ですか?」
唯 「どうしボクがお兄ちゃんなの?」
梓 「ボクって言うからお兄ちゃんです」
唯 「でも、女だよ」
梓 「ボクって言うヒトはお兄ちゃんです」
唯 「そっか、そっか」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:19:22.71 ID:EJF79NAu0
唯 「じゃあ、電気消すね」
梓 「ダメです」
唯 「でも、もう寝ないと」
梓 「暗いのいやです」
唯 (仕方ないなぁ)
唯 「じゃあ、昔話してあげるね」
梓 「ほんとですか!」
唯 「ほんとうだよ♪ むかぁ~し、むかし、あるところに……」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:23:41.51 ID:EJF79NAu0
唯 「……というわけで二人はしあわせに暮らしましたとさっ」
梓 「ぐぅ~す~」
唯 「あずにゃん、寝ちゃった」
唯 「じゃあ、ボクも電気消して寝よっと」
梓 「す~す~」
唯 「あずにゃんの寝顔かわいいなぁ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:27:19.20 ID:EJF79NAu0
唯 「ちょっといたずらしてみよっ、つんつん」
梓 「ふにゅぅ」
唯 「ほっぺ、やらこい♪」
唯 「ほれ、つんつん」
梓 「ぅぅぅぅ」
唯 「ごめんね♪ おやすみ、あずにゃん♪」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:34:33.07 ID:EJF79NAu0
次の日の朝
唯 「おはよぅ……あれっ、あずにゃんがいない」
憂 「お姉ちゃん、学校遅刻するよ」
唯 「えっ、は、はちじぃ! 遅刻遅刻!」
憂 「私、日直だから先、行ってるね」
唯 「はやく着替えないと」
憂 「朝ごはん作っておいたから」
唯 「憂、ありがとう」
憂 「梓ちゃん、ちゃんと学校に連れてってあげてね」
唯 「うん、いってらっしゃ~い」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:38:40.05 ID:EJF79NAu0
梓 「憂の目玉焼き、おいしいな~」
ジリリリン ジリリリリン
梓 「電話だ!」
ジリリリン ジリリリリン
唯 「あずにゃん、出てぇ~」
梓 「はい、わかりました。任せてください」
梓 「もしもし」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:42:35.43 ID:EJF79NAu0
唯 「ああ、遅刻遅刻」
梓 「たいへんです!」
唯 「大丈夫、もう着替えたからっ」
梓 「ちがいます! もっと、ずっとたいへんです!」
唯 「どうしたの?」
梓 「パパから電話でした!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:48:06.45 ID:EJF79NAu0
唯 「えっ、お父さんから?」
梓 「ちがいますよ! あずさのパパからです!」
唯 (でも、あずにゃんのパパは……)
唯 「でも、あずにゃんのお父さんは、遠い外国でお仕事してるんだよ」
梓 「でも、パパからでした!」
唯 (あずにゃんが生まれる前に死んでるはず)
梓 「会議に使う書類忘れたから会社に届けてくれって言ってました!」
唯 (まちが電話かなぁ)
梓 「たいへんです! たいへんです!」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:54:04.63 ID:EJF79NAu0
唯 「ほんとうに、あずにゃんのお父さんからだった?」
梓 「はい! パパからでした!」
唯 「そっかぁ」(困ったなぁ)
梓 「早く行かないと! パパはほんとに、おちょこちょいです」
唯 (あずにゃん、嬉しそうだなぁ……)
梓 「あずさだけじゃなくて書類も忘れるなんて、困ったパパです」
唯 「そうだね……じゃあ、届に行こうか書類」
梓 「はい!」
唯 (今日は学校休まなくちゃ)
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 06:00:02.49 ID:EJF79NAu0
唯 (とりあえず、書類は適当にプリントを封筒に入れて……)
梓 「早くっ、早く行きましょう!」
唯 「はい、はい。って、そのリュックは?」
梓 「ここに書類入れてください」
唯 「遠足みたいだね」
梓 「ほんとに困りました! もう、てんてこまいです」
唯 (問題は、どこに行くか……だよね)
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 06:07:18.81 ID:EJF79NAu0
唯 「じゃあ、行こっか」
梓 「あっ、忘れてました!」
唯 「どうしたの?」
梓 「おみやげ忘れてました」
唯 「おみやげ?」
梓 「この前かいたイヌの絵と折りツルもっていかないと」
唯 「あずにゃん……」
梓 「お気に入りだけど、パパにあげます」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 06:19:42.69 ID:EJF79NAu0
唯 「準備できた?」
梓 「はいっ」
唯 「じゃあ、行こうか」
梓 「いってきま~す」
唯 (とりあえず電車に乗るしかないよね)
唯 「あずにゃん、今日はいい天気だね」
梓 「葉っぱがきらきらしてます」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 21:08:18.30 ID:EJF79NAu0
ワンワンワン
梓 「わんこです!」
唯 「ほんとだ!」
ワンワンワン
梓 「わんこ、なでてきます」
唯 「あずにゃん! 走っちゃダメだよ」
梓 「あいてっ」
唯 「こけた!」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 21:10:29.42 ID:EJF79NAu0 [22/22]
唯 「あずにゃん、だいじょうぶ?」
梓 「泣きません、梓、泣きませんよ」
ワンワンワン くぅ
梓 「あははは、ぺろぺろしちゃだめです」
唯 「あずにゃん、手つなごっか」
梓 「はい」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 07:52:24.90 ID:s3QEyKEo0 [1/32]
唯 「えーと、とりあえず終点まで切符を買っておこう」
梓 「ボタン押したいです」
唯 「じゃあ、大人一枚と小人一枚で一番高いボタン押して」
梓 「とっ、届きません」
唯 「あずにゃん、小さいもんね」
梓 「抱っこしてください」
唯 「はい、はい――よいしょ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 07:55:44.60 ID:s3QEyKEo0 [2/32]
唯 「電車こないね」
梓 「ここ各駅停車しかとまりません。がまんです」
唯 「あずにゃん、退屈?」
梓 「だいじょうぶです」
唯 「……」
梓 「……」
唯 「空、きれいだね」
梓 「雲が真っ白です」
唯 「もうすぐ、春だね」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 07:58:29.27 ID:s3QEyKEo0 [3/32]
梓 「お兄ちゃん、見てください」
唯 「イスがどうかしたの?」
梓 「落書きがいっぱいです」
唯 「ほんとだ。木の長椅子だから彫ってあるんだね」
梓 「あいあい傘がいっぱいです」
唯 「みんなしあわせそうだね」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:02:33.22 ID:s3QEyKEo0 [4/32]
梓 「あいあい傘書きたいです」
唯 「え? ボクとあずにゃんの」
梓 「だめですか……」
唯 「うううん、書こう――こうやって、傘を書いて――」
梓 「あ・ず・さ」
唯 「ゆ・いっと」
梓 「できました」
1番線に電車が参りま~す
唯 「あ! 電車が来たよ」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:05:27.83 ID:s3QEyKEo0 [5/32]
ガタンガタン ゴトンゴトン
唯 「あずにゃん、窓の外見ておもしろい?」
梓 「はい」
唯 「靴脱がないとだめだよ」
梓 「脱がしてください」
唯 「もう、仕方ないなぁ」
ガタンガタン ゴトンゴトン
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:09:25.48 ID:s3QEyKEo0 [6/32]
ガタンガタン ゴトンゴトン
唯 「あずにゃんは電車大好きだね」
梓 「はい、大好きです。これからとまる駅の名前全部言えます」
唯 「将来は電車の運転手さんになるんだもんね」
梓 「各駅電車の運転手がいいです」
唯 「どうして?」
梓 「ゆっくりいろんな駅が見れます」
唯 「そうだね」
ガタンガタン ゴトンゴトン
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:15:47.50 ID:s3QEyKEo0 [7/32]
ガタンガタン ゴトンゴトン
梓 「……」モゾモゾ
唯 「? どうしたの、あずにゃん」
梓 「……おしっこ行きたいです」
唯 「ええ! 次の駅までがまんできる?」
梓 「おしっこに聞かないとわかりません」
唯 「そんな……がまんだよ! あずにゃん、もう少しだから」
梓 「はっ、はい」
ガタンガタン ゴトンゴトン
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:21:34.60 ID:s3QEyKEo0 [8/32]
山の里ぉ~ 山の里ぉに到着です
唯 「着いたよ! あずにゃん」
梓 「はい」
唯 「あそこにトイレがあるよ 走ろっ」
梓 「はっ、はい」
唯 「あずにゃん、頑張れ」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:23:50.49 ID:s3QEyKEo0 [9/32]
唯 「間に合ってよかったね」
梓 「よかったです」
唯 「静かな駅だね」
梓 「ここ、無人駅です」
ぐぅ~
唯 「おなかすいたね」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 12:52:01.09 ID:s3QEyKEo0 [10/32]
梓 「駅の外におそば屋さんが見えます」
唯 「あそこで、食べよっか」
梓 「はい」
唯 「あっ、でももう財布からっぽだ……」
梓 「大丈夫です。あずさ、お金持ってますよ」
唯 「ほんとに!」
梓 「はい、お兄ちゃんみたいに無駄遣いしませんから」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 12:53:45.99 ID:s3QEyKEo0 [11/32]
唯 「いくら持ってるの?」
梓 「100円玉5枚です。うまい棒いっぱい買えます」
唯 「あずにゃん、うまい棒好きだもんね」
梓 「はい」
唯 「となりのコンビニで小さいお弁当買おっか」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 12:57:09.69 ID:s3QEyKEo0 [12/32]
唯 「駅で食べるお弁当、おいしいね」
梓 「はい。おいしいです」
唯 「あずにゃん、いっぱい食べていいからね」
梓 「タマゴ焼きおいしい」
唯 「うん」
梓 「お兄ちゃんには梅干しあげます」
唯 「あずにゃん、梅干しきらいなの?」
梓 「そっ、そんなことないですよ!」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 12:59:51.43 ID:s3QEyKEo0 [13/32]
唯 「じゃあ、梅干しいただきまーす」
にゃあ
梓 「ネコです」
唯 「野らかなぁ」
にゃ~ん
唯 「そっか、おなかすいてるんだ」
梓 「分けてあげましょう」
唯 「あずにゃん、優しいね」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:02:03.16 ID:s3QEyKEo0 [14/32]
唯 「ごちそうさま~♪」
梓 「ごちそうさまでした」
1番線に電車が参りま~す
唯 「電車、来たよ」
梓 「にゃんこ、ばいばい」
にゃあ~
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:06:49.40 ID:s3QEyKEo0 [15/32]
ガタンゴトン ゴトンガタン
梓 「パパの駅はまだですか?」
唯 「う~ん……もうちょっとかな」
梓 「もうちょっとってどのくらいですか?」
唯 「次の次の次くらいの駅だよ」
梓 「つぎのつぎのつぎ」
唯 「そうだよ」
ガタンゴトン ゴトンガタン
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:11:15.70 ID:s3QEyKEo0 [16/32]
ガタンゴトン ゴトンガタン
梓 「あずさ、気になってることがあります」
唯 「どうしたの? あずにゃん」
梓 「宇宙はどこまで続いてるんですか?」
唯 「さあ、どこまでなんだろうねぇ」
梓 「お布団に入るとそれが心配で眠れないんです」
唯 「あずにゃんが、心配しなくていいんだよ♪」
ガタンゴトン ゴトンガタン
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:14:08.97 ID:s3QEyKEo0 [17/32]
ガタンゴトン ゴトンガタン
梓 「もうひとつ、気になってることがあります」
唯 「なに? あずにゃん」
梓 「みんな、死んだらどうなるんですか?」
唯 「さあ……どうなるんだろうね」
ゴーゴーゴー
唯 「あっ、最後のトンネルに入ったよ」
梓 「すごいです。 真っ暗です!」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:19:58.56 ID:s3QEyKEo0 [18/32]
ゴーゴーゴー
梓 「電燈が弓矢みたいに飛んでいきます」
唯 「ほんとだ、面白いね」
梓 「窓にあずさたちの顔映ってます」
唯 「窓に映ってるわたしたち、仲良しさんだね」
梓 「はい――でもトンネル長いです」
唯 「5分くらいだったかな」
梓 「トンネル、ほんとに出口あるんですか?」
唯 「だいじょうぶ♪ もうすぐだよ」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:24:29.96 ID:s3QEyKEo0 [19/32]
梓 「トンネル抜けました!」
ガタンゴトン ゴトンガタン
唯 「ねっ」
次はしおみ町、しおみ町ぃ~ 終点です
唯 「着いたよ、あずにゃん」
梓 「長かったですね」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:36:52.29 ID:s3QEyKEo0 [20/32]
唯 「あずにゃん、ドアとホームの間、空いてるから気をつけてね」
梓 「はい――さっちゃんはねっ♪ さっちこってゆ~んだ ほんとはねっ♪」
唯 (あずにゃん、ご機嫌だなぁ)
梓 「だけどちっちゃいか~ら ふふんふ ふん ふんふん……」
唯 (歌詞覚えてないんだ……かわいい)
唯 「改札通るから切符持った?」
梓 「はい」
唯 「……あれっ!?」
梓 「どうしたんですか」
唯 「わたしの切符がない!」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:39:53.42 ID:s3QEyKEo0 [21/32]
梓 「どうしよう、どうしよう」
唯 「どこかに落としたのかなぁ」
梓 「困った、困った」
唯 「大丈夫だよ! 駅員さんに説明すれば」
梓 「本当ですか」
唯 「たぶん……」
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:46:24.09 ID:s3QEyKEo0 [22/32]
唯 「だから、そのぅ、ボクがどこかで切符落としたみたいで……」
駅員 「はぁ」 (弱ったなぁ)
唯 「その、だから、えーとボクは……」
駅員 (自分のことボクとか言って変な子だな)
唯 「だから、ボクはちゃんと切符は買ってて」
駅員 「できれば、料金を払ってくれないかな」
唯 「そんなぁ……」
梓 「お兄ちゃんをいじめるな!」
駅員 「 !? 」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:52:42.80 ID:s3QEyKEo0 [23/32]
梓 「お兄ちゃん、ちゃんと切符買いました! あずさ、知ってます!」
駅員 「お兄ちゃんって……別に疑ってるわけじゃ」
梓 「ウソです! お兄ちゃんをいじめるヤツ、悪者です!」
唯 「あずにゃん……」
駅員 「こっちは、料金を払えばいいって言ってるんだから」
梓 「いじめるな! えいっ! えいっ! えいっ!」
駅員 「痛っ、ちょっとおい」
唯 「あずにゃん、そんなことしちゃ……」
梓 「うあああああああああああああああああああああん」
駅員 (そんな大声で泣くなよ。うるさいなぁ)
梓 「ああああああああああああああああああああああああ」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:57:02.72 ID:s3QEyKEo0 [24/32]
梓 「ああああああああああああああああああああ」
駅員 「わっかたから、もう改札通っていいよ」
唯 「はい」
駅員 「今度同じことがあったら絶対、払ってもらうからね」
唯 「はい、ごめんなさい」
梓 「ああああああん うああああああああああああああ」
駅員 「絶対だからね」
唯 「あずにゃん……行こう……」
梓 「あああああああああああああああああああん」
唯 「よしよし」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:02:00.60 ID:s3QEyKEo0 [25/32]
梓 「ひくっ、ひぅ……ひぅっ」
唯 「もうすぐ着くよ。あずにゃん」
梓 「もう……ひくっ……すぐですか」
唯 「まだ、歩ける?」
梓 「へっちゃらです」
唯 「あの坂をのぼったらだよ」
梓 「坂の向こうに、パパがいるんですか?」
唯 「そうだよ」
梓 「坂、長いです。ずっと続いてます」
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:05:01.80 ID:s3QEyKEo0 [26/32]
梓 「いち、にっ」
唯 「さん、しっ」
梓 「よいこらしょっ」
唯 「はあ~、もうちょっとだね♪」
梓 「はい――あっ! この匂い!」
テテテテテテッ
唯 「走ったら危ないよ♪」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:10:11.47 ID:s3QEyKEo0 [27/32]
梓 「海です!」
ザブ~ン ざぁざぁ
梓 「カモメもいます!」
唯 「あずにゃん、待ってよぉ」
梓 「お兄ちゃん、はやくっ、海ですよ!」
唯 「広いね」
梓 「波です! 誰もいません」
唯 「ちょっと、砂浜、歩こう」
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:33:17.42 ID:s3QEyKEo0 [28/32]
梓 「足元、ざくさく言ってます」
唯 「裸足になると気持ちいよ」
梓 「くすぐったいです」
唯 「足の指に入ってくるね」
梓 「あそこに、ビン落ちてますよ」
唯 「あずにゃんは見つけるのうまいね」
梓 「緑のビン、きらきらきれいです」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:37:34.54 ID:s3QEyKEo0 [29/32]
唯 「疲れたね。ちょっと座ろう」
梓 「ひざで抱っこしてください」
唯 「ほらっ、おいで」
ザブ~ン ざぁざぁ
梓 「パパ、どこにいるんですか?」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:40:10.23 ID:s3QEyKEo0 [30/32]
唯 「きっと、あの海のずっとむこうだよ」
梓 「あの夕日が沈んでるところですか」
唯 「そうだよ」
梓 「遠いです」
唯 「だからビンに書類いれて送ってあげようね」
梓 「はい」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:42:46.25 ID:s3QEyKEo0 [31/32]
梓 「イヌの絵も折りツルも入れます」
ザブ~ン ざぁざぁ
梓 「じゃあね、ばいばい」
唯 「ばいばい」
梓 「ちゃんと届けてください、お願いです」
ザブ~ン ざぁざぁ
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:45:18.93 ID:s3QEyKEo0 [32/32]
唯 「あずにゃん、こっちおいで」
梓 「ちょっと寒くなってきました」
唯 「でも、あずにゃんがいれば、わたしはあったかいよ」
梓 「お兄ちゃん、大好きです」
唯 「夕日……きれいだね」
~ 終わり ~
保守ありがとうございました
澪 「だいたい、女なのに自分ことボクって」
唯 「おかしいかな?」
紬 「いいんじゃないかしらぁ~」
澪 「いや、でも……」
梓 「お兄ちゃんをいじめないで下さい!」
唯 「ほらっ、あずにゃん泣いちゃうよ」
律 「あー、悪かった。ごめんな」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:24:45.68 ID:EJF79NAu0
帰り道
唯 「コンビニで肉まん買って帰ろうよ」
梓 「だめですよ、晩ご飯に食べちゃだめです」
唯 「え~、あずにゃんのケチ」
梓 「憂お姉ちゃんにいいつけますよ」
唯 「でも、あずにゃんもほんとは食べたいんでしょっ」
梓 「ううう」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:30:05.61 ID:EJF79NAu0
唯 「おいしいねっ」
梓 「はい! うまいです」
唯 「憂には内緒だよ」
梓 「内緒です」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:34:29.69 ID:EJF79NAu0
平沢家
憂 「いたただきま~す」
唯梓 「……いただきます」
梓 (やばい、おなかいっぱい……)
憂 「あれ、梓ちゃん、食べないの?」
梓 「なっ、内緒です」
憂 「え?」
唯 (あずにゃん! それじゃバレちゃうよ)
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 04:39:43.21 ID:EJF79NAu0
憂 「さては、お菓子食べちゃったんでしょ」
梓 「内緒です。お兄ちゃんと約束したから」
憂 「お姉ちゃんっ!」
唯 「ぼっ、ボクは関係ないよ……」
憂 「めっ、でしょ」
唯 「はい、ごめんなさい」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:02:42.27 ID:EJF79NAu0
唯の部屋
コンコンコン
唯 「入っていいよ」
梓 「お兄ちゃん……」
唯 「一緒に寝てほしいの?」
梓 コクリ
唯 「ほら、ベットに入っておいで」
梓 「いいんですか」
唯 「いいから、いいから」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:06:50.12 ID:EJF79NAu0
梓 「抱っこしてください」
唯 「あずにゃんは甘えん坊さんだねぇ」
梓 「あ、甘えんぼじゃありません。やっぱり、抱っこはいいです」
唯 「ごめん♪ ごめん♪」ギュッ
梓 「ひゃっ」
唯 「あずにゃん、あったこい♪」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:11:47.91 ID:EJF79NAu0
梓 「お兄ちゃんもおコタみたいにあったかいです」
唯 「ねぇ、あずにゃん」
梓 「何ですか?」
唯 「どうしボクがお兄ちゃんなの?」
梓 「ボクって言うからお兄ちゃんです」
唯 「でも、女だよ」
梓 「ボクって言うヒトはお兄ちゃんです」
唯 「そっか、そっか」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:19:22.71 ID:EJF79NAu0
唯 「じゃあ、電気消すね」
梓 「ダメです」
唯 「でも、もう寝ないと」
梓 「暗いのいやです」
唯 (仕方ないなぁ)
唯 「じゃあ、昔話してあげるね」
梓 「ほんとですか!」
唯 「ほんとうだよ♪ むかぁ~し、むかし、あるところに……」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:23:41.51 ID:EJF79NAu0
唯 「……というわけで二人はしあわせに暮らしましたとさっ」
梓 「ぐぅ~す~」
唯 「あずにゃん、寝ちゃった」
唯 「じゃあ、ボクも電気消して寝よっと」
梓 「す~す~」
唯 「あずにゃんの寝顔かわいいなぁ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:27:19.20 ID:EJF79NAu0
唯 「ちょっといたずらしてみよっ、つんつん」
梓 「ふにゅぅ」
唯 「ほっぺ、やらこい♪」
唯 「ほれ、つんつん」
梓 「ぅぅぅぅ」
唯 「ごめんね♪ おやすみ、あずにゃん♪」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:34:33.07 ID:EJF79NAu0
次の日の朝
唯 「おはよぅ……あれっ、あずにゃんがいない」
憂 「お姉ちゃん、学校遅刻するよ」
唯 「えっ、は、はちじぃ! 遅刻遅刻!」
憂 「私、日直だから先、行ってるね」
唯 「はやく着替えないと」
憂 「朝ごはん作っておいたから」
唯 「憂、ありがとう」
憂 「梓ちゃん、ちゃんと学校に連れてってあげてね」
唯 「うん、いってらっしゃ~い」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:38:40.05 ID:EJF79NAu0
梓 「憂の目玉焼き、おいしいな~」
ジリリリン ジリリリリン
梓 「電話だ!」
ジリリリン ジリリリリン
唯 「あずにゃん、出てぇ~」
梓 「はい、わかりました。任せてください」
梓 「もしもし」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:42:35.43 ID:EJF79NAu0
唯 「ああ、遅刻遅刻」
梓 「たいへんです!」
唯 「大丈夫、もう着替えたからっ」
梓 「ちがいます! もっと、ずっとたいへんです!」
唯 「どうしたの?」
梓 「パパから電話でした!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:48:06.45 ID:EJF79NAu0
唯 「えっ、お父さんから?」
梓 「ちがいますよ! あずさのパパからです!」
唯 (でも、あずにゃんのパパは……)
唯 「でも、あずにゃんのお父さんは、遠い外国でお仕事してるんだよ」
梓 「でも、パパからでした!」
唯 (あずにゃんが生まれる前に死んでるはず)
梓 「会議に使う書類忘れたから会社に届けてくれって言ってました!」
唯 (まちが電話かなぁ)
梓 「たいへんです! たいへんです!」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 05:54:04.63 ID:EJF79NAu0
唯 「ほんとうに、あずにゃんのお父さんからだった?」
梓 「はい! パパからでした!」
唯 「そっかぁ」(困ったなぁ)
梓 「早く行かないと! パパはほんとに、おちょこちょいです」
唯 (あずにゃん、嬉しそうだなぁ……)
梓 「あずさだけじゃなくて書類も忘れるなんて、困ったパパです」
唯 「そうだね……じゃあ、届に行こうか書類」
梓 「はい!」
唯 (今日は学校休まなくちゃ)
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 06:00:02.49 ID:EJF79NAu0
唯 (とりあえず、書類は適当にプリントを封筒に入れて……)
梓 「早くっ、早く行きましょう!」
唯 「はい、はい。って、そのリュックは?」
梓 「ここに書類入れてください」
唯 「遠足みたいだね」
梓 「ほんとに困りました! もう、てんてこまいです」
唯 (問題は、どこに行くか……だよね)
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 06:07:18.81 ID:EJF79NAu0
唯 「じゃあ、行こっか」
梓 「あっ、忘れてました!」
唯 「どうしたの?」
梓 「おみやげ忘れてました」
唯 「おみやげ?」
梓 「この前かいたイヌの絵と折りツルもっていかないと」
唯 「あずにゃん……」
梓 「お気に入りだけど、パパにあげます」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 06:19:42.69 ID:EJF79NAu0
唯 「準備できた?」
梓 「はいっ」
唯 「じゃあ、行こうか」
梓 「いってきま~す」
唯 (とりあえず電車に乗るしかないよね)
唯 「あずにゃん、今日はいい天気だね」
梓 「葉っぱがきらきらしてます」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 21:08:18.30 ID:EJF79NAu0
ワンワンワン
梓 「わんこです!」
唯 「ほんとだ!」
ワンワンワン
梓 「わんこ、なでてきます」
唯 「あずにゃん! 走っちゃダメだよ」
梓 「あいてっ」
唯 「こけた!」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/09(日) 21:10:29.42 ID:EJF79NAu0 [22/22]
唯 「あずにゃん、だいじょうぶ?」
梓 「泣きません、梓、泣きませんよ」
ワンワンワン くぅ
梓 「あははは、ぺろぺろしちゃだめです」
唯 「あずにゃん、手つなごっか」
梓 「はい」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 07:52:24.90 ID:s3QEyKEo0 [1/32]
唯 「えーと、とりあえず終点まで切符を買っておこう」
梓 「ボタン押したいです」
唯 「じゃあ、大人一枚と小人一枚で一番高いボタン押して」
梓 「とっ、届きません」
唯 「あずにゃん、小さいもんね」
梓 「抱っこしてください」
唯 「はい、はい――よいしょ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 07:55:44.60 ID:s3QEyKEo0 [2/32]
唯 「電車こないね」
梓 「ここ各駅停車しかとまりません。がまんです」
唯 「あずにゃん、退屈?」
梓 「だいじょうぶです」
唯 「……」
梓 「……」
唯 「空、きれいだね」
梓 「雲が真っ白です」
唯 「もうすぐ、春だね」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 07:58:29.27 ID:s3QEyKEo0 [3/32]
梓 「お兄ちゃん、見てください」
唯 「イスがどうかしたの?」
梓 「落書きがいっぱいです」
唯 「ほんとだ。木の長椅子だから彫ってあるんだね」
梓 「あいあい傘がいっぱいです」
唯 「みんなしあわせそうだね」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:02:33.22 ID:s3QEyKEo0 [4/32]
梓 「あいあい傘書きたいです」
唯 「え? ボクとあずにゃんの」
梓 「だめですか……」
唯 「うううん、書こう――こうやって、傘を書いて――」
梓 「あ・ず・さ」
唯 「ゆ・いっと」
梓 「できました」
1番線に電車が参りま~す
唯 「あ! 電車が来たよ」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:05:27.83 ID:s3QEyKEo0 [5/32]
ガタンガタン ゴトンゴトン
唯 「あずにゃん、窓の外見ておもしろい?」
梓 「はい」
唯 「靴脱がないとだめだよ」
梓 「脱がしてください」
唯 「もう、仕方ないなぁ」
ガタンガタン ゴトンゴトン
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:09:25.48 ID:s3QEyKEo0 [6/32]
ガタンガタン ゴトンゴトン
唯 「あずにゃんは電車大好きだね」
梓 「はい、大好きです。これからとまる駅の名前全部言えます」
唯 「将来は電車の運転手さんになるんだもんね」
梓 「各駅電車の運転手がいいです」
唯 「どうして?」
梓 「ゆっくりいろんな駅が見れます」
唯 「そうだね」
ガタンガタン ゴトンゴトン
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:15:47.50 ID:s3QEyKEo0 [7/32]
ガタンガタン ゴトンゴトン
梓 「……」モゾモゾ
唯 「? どうしたの、あずにゃん」
梓 「……おしっこ行きたいです」
唯 「ええ! 次の駅までがまんできる?」
梓 「おしっこに聞かないとわかりません」
唯 「そんな……がまんだよ! あずにゃん、もう少しだから」
梓 「はっ、はい」
ガタンガタン ゴトンゴトン
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:21:34.60 ID:s3QEyKEo0 [8/32]
山の里ぉ~ 山の里ぉに到着です
唯 「着いたよ! あずにゃん」
梓 「はい」
唯 「あそこにトイレがあるよ 走ろっ」
梓 「はっ、はい」
唯 「あずにゃん、頑張れ」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 08:23:50.49 ID:s3QEyKEo0 [9/32]
唯 「間に合ってよかったね」
梓 「よかったです」
唯 「静かな駅だね」
梓 「ここ、無人駅です」
ぐぅ~
唯 「おなかすいたね」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 12:52:01.09 ID:s3QEyKEo0 [10/32]
梓 「駅の外におそば屋さんが見えます」
唯 「あそこで、食べよっか」
梓 「はい」
唯 「あっ、でももう財布からっぽだ……」
梓 「大丈夫です。あずさ、お金持ってますよ」
唯 「ほんとに!」
梓 「はい、お兄ちゃんみたいに無駄遣いしませんから」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 12:53:45.99 ID:s3QEyKEo0 [11/32]
唯 「いくら持ってるの?」
梓 「100円玉5枚です。うまい棒いっぱい買えます」
唯 「あずにゃん、うまい棒好きだもんね」
梓 「はい」
唯 「となりのコンビニで小さいお弁当買おっか」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 12:57:09.69 ID:s3QEyKEo0 [12/32]
唯 「駅で食べるお弁当、おいしいね」
梓 「はい。おいしいです」
唯 「あずにゃん、いっぱい食べていいからね」
梓 「タマゴ焼きおいしい」
唯 「うん」
梓 「お兄ちゃんには梅干しあげます」
唯 「あずにゃん、梅干しきらいなの?」
梓 「そっ、そんなことないですよ!」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 12:59:51.43 ID:s3QEyKEo0 [13/32]
唯 「じゃあ、梅干しいただきまーす」
にゃあ
梓 「ネコです」
唯 「野らかなぁ」
にゃ~ん
唯 「そっか、おなかすいてるんだ」
梓 「分けてあげましょう」
唯 「あずにゃん、優しいね」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:02:03.16 ID:s3QEyKEo0 [14/32]
唯 「ごちそうさま~♪」
梓 「ごちそうさまでした」
1番線に電車が参りま~す
唯 「電車、来たよ」
梓 「にゃんこ、ばいばい」
にゃあ~
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:06:49.40 ID:s3QEyKEo0 [15/32]
ガタンゴトン ゴトンガタン
梓 「パパの駅はまだですか?」
唯 「う~ん……もうちょっとかな」
梓 「もうちょっとってどのくらいですか?」
唯 「次の次の次くらいの駅だよ」
梓 「つぎのつぎのつぎ」
唯 「そうだよ」
ガタンゴトン ゴトンガタン
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:11:15.70 ID:s3QEyKEo0 [16/32]
ガタンゴトン ゴトンガタン
梓 「あずさ、気になってることがあります」
唯 「どうしたの? あずにゃん」
梓 「宇宙はどこまで続いてるんですか?」
唯 「さあ、どこまでなんだろうねぇ」
梓 「お布団に入るとそれが心配で眠れないんです」
唯 「あずにゃんが、心配しなくていいんだよ♪」
ガタンゴトン ゴトンガタン
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:14:08.97 ID:s3QEyKEo0 [17/32]
ガタンゴトン ゴトンガタン
梓 「もうひとつ、気になってることがあります」
唯 「なに? あずにゃん」
梓 「みんな、死んだらどうなるんですか?」
唯 「さあ……どうなるんだろうね」
ゴーゴーゴー
唯 「あっ、最後のトンネルに入ったよ」
梓 「すごいです。 真っ暗です!」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:19:58.56 ID:s3QEyKEo0 [18/32]
ゴーゴーゴー
梓 「電燈が弓矢みたいに飛んでいきます」
唯 「ほんとだ、面白いね」
梓 「窓にあずさたちの顔映ってます」
唯 「窓に映ってるわたしたち、仲良しさんだね」
梓 「はい――でもトンネル長いです」
唯 「5分くらいだったかな」
梓 「トンネル、ほんとに出口あるんですか?」
唯 「だいじょうぶ♪ もうすぐだよ」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:24:29.96 ID:s3QEyKEo0 [19/32]
梓 「トンネル抜けました!」
ガタンゴトン ゴトンガタン
唯 「ねっ」
次はしおみ町、しおみ町ぃ~ 終点です
唯 「着いたよ、あずにゃん」
梓 「長かったですね」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:36:52.29 ID:s3QEyKEo0 [20/32]
唯 「あずにゃん、ドアとホームの間、空いてるから気をつけてね」
梓 「はい――さっちゃんはねっ♪ さっちこってゆ~んだ ほんとはねっ♪」
唯 (あずにゃん、ご機嫌だなぁ)
梓 「だけどちっちゃいか~ら ふふんふ ふん ふんふん……」
唯 (歌詞覚えてないんだ……かわいい)
唯 「改札通るから切符持った?」
梓 「はい」
唯 「……あれっ!?」
梓 「どうしたんですか」
唯 「わたしの切符がない!」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:39:53.42 ID:s3QEyKEo0 [21/32]
梓 「どうしよう、どうしよう」
唯 「どこかに落としたのかなぁ」
梓 「困った、困った」
唯 「大丈夫だよ! 駅員さんに説明すれば」
梓 「本当ですか」
唯 「たぶん……」
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:46:24.09 ID:s3QEyKEo0 [22/32]
唯 「だから、そのぅ、ボクがどこかで切符落としたみたいで……」
駅員 「はぁ」 (弱ったなぁ)
唯 「その、だから、えーとボクは……」
駅員 (自分のことボクとか言って変な子だな)
唯 「だから、ボクはちゃんと切符は買ってて」
駅員 「できれば、料金を払ってくれないかな」
唯 「そんなぁ……」
梓 「お兄ちゃんをいじめるな!」
駅員 「 !? 」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:52:42.80 ID:s3QEyKEo0 [23/32]
梓 「お兄ちゃん、ちゃんと切符買いました! あずさ、知ってます!」
駅員 「お兄ちゃんって……別に疑ってるわけじゃ」
梓 「ウソです! お兄ちゃんをいじめるヤツ、悪者です!」
唯 「あずにゃん……」
駅員 「こっちは、料金を払えばいいって言ってるんだから」
梓 「いじめるな! えいっ! えいっ! えいっ!」
駅員 「痛っ、ちょっとおい」
唯 「あずにゃん、そんなことしちゃ……」
梓 「うあああああああああああああああああああああん」
駅員 (そんな大声で泣くなよ。うるさいなぁ)
梓 「ああああああああああああああああああああああああ」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 13:57:02.72 ID:s3QEyKEo0 [24/32]
梓 「ああああああああああああああああああああ」
駅員 「わっかたから、もう改札通っていいよ」
唯 「はい」
駅員 「今度同じことがあったら絶対、払ってもらうからね」
唯 「はい、ごめんなさい」
梓 「ああああああん うああああああああああああああ」
駅員 「絶対だからね」
唯 「あずにゃん……行こう……」
梓 「あああああああああああああああああああん」
唯 「よしよし」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:02:00.60 ID:s3QEyKEo0 [25/32]
梓 「ひくっ、ひぅ……ひぅっ」
唯 「もうすぐ着くよ。あずにゃん」
梓 「もう……ひくっ……すぐですか」
唯 「まだ、歩ける?」
梓 「へっちゃらです」
唯 「あの坂をのぼったらだよ」
梓 「坂の向こうに、パパがいるんですか?」
唯 「そうだよ」
梓 「坂、長いです。ずっと続いてます」
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:05:01.80 ID:s3QEyKEo0 [26/32]
梓 「いち、にっ」
唯 「さん、しっ」
梓 「よいこらしょっ」
唯 「はあ~、もうちょっとだね♪」
梓 「はい――あっ! この匂い!」
テテテテテテッ
唯 「走ったら危ないよ♪」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:10:11.47 ID:s3QEyKEo0 [27/32]
梓 「海です!」
ザブ~ン ざぁざぁ
梓 「カモメもいます!」
唯 「あずにゃん、待ってよぉ」
梓 「お兄ちゃん、はやくっ、海ですよ!」
唯 「広いね」
梓 「波です! 誰もいません」
唯 「ちょっと、砂浜、歩こう」
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:33:17.42 ID:s3QEyKEo0 [28/32]
梓 「足元、ざくさく言ってます」
唯 「裸足になると気持ちいよ」
梓 「くすぐったいです」
唯 「足の指に入ってくるね」
梓 「あそこに、ビン落ちてますよ」
唯 「あずにゃんは見つけるのうまいね」
梓 「緑のビン、きらきらきれいです」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:37:34.54 ID:s3QEyKEo0 [29/32]
唯 「疲れたね。ちょっと座ろう」
梓 「ひざで抱っこしてください」
唯 「ほらっ、おいで」
ザブ~ン ざぁざぁ
梓 「パパ、どこにいるんですか?」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:40:10.23 ID:s3QEyKEo0 [30/32]
唯 「きっと、あの海のずっとむこうだよ」
梓 「あの夕日が沈んでるところですか」
唯 「そうだよ」
梓 「遠いです」
唯 「だからビンに書類いれて送ってあげようね」
梓 「はい」
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:42:46.25 ID:s3QEyKEo0 [31/32]
梓 「イヌの絵も折りツルも入れます」
ザブ~ン ざぁざぁ
梓 「じゃあね、ばいばい」
唯 「ばいばい」
梓 「ちゃんと届けてください、お願いです」
ザブ~ン ざぁざぁ
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/10(月) 14:45:18.93 ID:s3QEyKEo0 [32/32]
唯 「あずにゃん、こっちおいで」
梓 「ちょっと寒くなってきました」
唯 「でも、あずにゃんがいれば、わたしはあったかいよ」
梓 「お兄ちゃん、大好きです」
唯 「夕日……きれいだね」
~ 終わり ~
保守ありがとうございました
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