スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
澪「家出少女」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:38:30.05 ID:g/LzmmAe0 [1/14]
澪「ふぅ、すっかり遅くなっちゃったな」
買い物の帰り道、自転車を漕ぎながら澪は呟いた。
もう辺りは真っ暗。
信号待ちで止まり、ふと道路沿いのコンビニに目をやると
見慣れたツインテールの少女の姿を見つけた。
澪「梓?」
自転車を駐輪場に置き、店内に入る。
澪「ふぅ、すっかり遅くなっちゃったな」
買い物の帰り道、自転車を漕ぎながら澪は呟いた。
もう辺りは真っ暗。
信号待ちで止まり、ふと道路沿いのコンビニに目をやると
見慣れたツインテールの少女の姿を見つけた。
澪「梓?」
自転車を駐輪場に置き、店内に入る。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:39:26.53 ID:g/LzmmAe0 [2/14]
澪「梓」
私が声を掛けると梓はビックリした様子でこちらを振り向き、読んでいた雑誌を棚に戻した。
澪「買い物?」
梓「は、はいちょっと…」
澪「そうなんだ」
梓「澪先輩は?」
澪「今日、両親旅行で居ないから、そこのスーパーに夕食の材料買いに来たんだ」
梓「そうなんですか」
澪「じゃあ、私夕食の準備があるから」
梓「…はい」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:42:36.22 ID:g/LzmmAe0 [3/14]
コンビニを出て行く澪
自転車に乗り、走り出そうとする
梓「澪先輩、待って下さい!」
梓が走りながらコンビニから出てきた。
澪「どうしたんだ?」
梓「あ、あのもし迷惑じゃなかったら今日澪先輩の家に泊めてもらえませんか?」
澪「え?!」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:45:25.84 ID:g/LzmmAe0
梓「じ、実は家出して来ちゃって……」
澪「家出?何でまた?」
梓「あの、その……」
途端に梓の顔が曇り、口ごもる。
良く見ると梓は、この時間帯にしては薄着。着の身着のまま飛び出してきてしまったのだろう。
澪「ここじゃ寒いから取りあえずウチ行こうっか」
梓「は、はいっ」
梓の顔に笑顔が戻る。
澪は自転車を押しながら歩き始める。
その隣を梓が歩く。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:48:16.26 ID:g/LzmmAe0
澪「もう、この時間だとすっかり寒いな」
梓「そうですね」
澪「その格好じゃ寒いだろ?ホラ」
自分のしていたマフラーを外し、梓に巻いてやる
梓「ありがとうございます」
澪の優しい温もりを感じる梓。
家まで歩いてる間、澪は家出の事には一切触れなかった。
真面目な梓の事だ。家出してくるにはそれなりの理由があったはず。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:50:59.81 ID:g/LzmmAe0
~秋山家
ガチャリ
澪「ただいまーって言っても誰も居ないんだけどな」
梓「お邪魔します」
澪「ふふ、いらっしゃい」
澪「私の部屋行こう」
梓「はい」
梓「わー、何か大人っぽい部屋ですね」
澪「そ、そんな事無いぞ///」
澪「待ってて今なんか暖かい飲み物持ってくるから」
梓「そんな、お構いなく」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:54:29.15 ID:g/LzmmAe0
澪「お待たせ、紅茶煎れてきたよ」
梓「ありがとうございます」
澪「ムギの煎れてくれる紅茶よりは数段落ちるけどな」
梓「そんな事無いですよ。いただきます」
梓「澪先輩の煎れてくれた紅茶は美味しいです」
人なつっこい笑顔を見せる梓。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:58:43.98 ID:g/LzmmAe0
梓「あの、実はですね…」
一息ついて落ち着いたのだろう、梓は家出の理由をポツリポツリと語り出した。
音大に進ませたいと言う両親と、私たちと同じ大学に行きたいと言う梓で口論になったらしい。
梓「それで家を飛び出しちゃって。せめてもの反抗って奴です」
梓「最初、純に電話したら、繋がらなくて。取りあえず、留守電にメッセージ入れて」
梓「その後、憂に電話したんですけど、久しぶりに両親が家に居るみたいで、邪魔しちゃ悪いなと思って」
梓「それで、途方に暮れてコンビニで立ち読みして時間潰してたんです」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:02:47.20 ID:g/LzmmAe0
澪「私が来なかったらどうするつもりだったんだよ?」
梓「ネットカフェにでも行こうかと……」
澪「ああいう所って未成年は夜遅くは駄目なんだろ?」
梓「……そうですけど」
澪「そんな時くらい私たちを頼れよ、同じけいおん部の仲間だろ」
梓「…先輩方には心配掛けたくなかったんです」
梓の目には涙が浮かんでいた。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:05:33.41 ID:g/LzmmAe0
澪「全く変な所で、気を遣うんだから」
梓「すいません」
澪「大事な後輩に何かあったら大変だろ」
梓の頭を撫でる澪。
梓「はい」
梓の頬に涙がこぼれ落ちる。
澪はその涙を拭き取った。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:07:02.13 ID:g/LzmmAe0
澪「勿論ウチ泊まってくだろ?私は全然問題ないぞ」
梓「ご迷惑でなければお願いします」
今日は金曜日で、明日は学校も休み。おまけに両親も旅行のため気楽に過ごせる。
澪「梓も夕飯まだだろ?作ってくるからTVでも見てて」
梓「あ、私も手伝いますよ。タダで泊めてもらうのも悪いですからね」
澪「じゃあ、一緒に作ろっか」
梓「はい」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:09:14.11 ID:g/LzmmAe0
梓「こうやって澪先輩と一緒に料理してると合宿思い出しますね」
澪「ああ、そうだな」
梓「おにぎり作ったりしましたよね」
澪「うっ、思い出したくない過去を」
梓「ああっご免なさい」
梓「澪先輩の手が大きいんじゃなくて私の手が小さいんですよ」
澪「それ、あんまりフォローになってないぞ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:11:45.19 ID:g/LzmmAe0
澪「さあ、出来た食べよう」
梓(オムライスにケチャップでハートマーク書いて、タコさんウィンナー乗せるとは)
梓「いただきます」
澪「美味しい、中々良くできた」
梓「美味しいですね」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:15:02.36 ID:g/LzmmAe0 [14/14]
ピロリロリーン♪
梓の携帯が鳴り響く。
梓「あ、純からです。もしもし」
純「さっきは電話出られなくて、ご免ね。携帯の充電切れちゃってて」
梓「ううん、大丈夫だよ」
純「何か、留守電に『家出した』とか入ってたから心配になって」
梓「あ、澪先輩の家に泊めてもらえたから大丈夫」
純「へー、澪先輩の家にお泊まりね。なるほど」
梓「な、何よその言い方」
純「この機会に襲っちゃえば、ニシシッ」
梓「純!!///」
純「じゃあ、頑張ってね」
プツッ
澪「どうしたんだ?顔赤いぞ?」
梓「な、何でも無いです///」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:26:59.68 ID:g/LzmmAe0
澪「梓、お風呂立てたけど入るだろ?」
梓「み、澪先輩と一緒にですか?///」
澪「何でだよ///」
梓「そ、そうですよね。私は後で良いですよ」
澪「そうか?じゃあお先に」
梓「ごゆっくりどうぞ」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:31:11.97 ID:g/LzmmAe0
部屋に一人の梓
梓「お風呂場には、今裸の澪先輩が……」
梓「///」
梓「いかん、平常心平常心」
梓「ん、あそこにあるのはポエムノート?」
梓「ちょ、ちょっとだけ……」
ペラリ
梓「こ、これは余りにもメルヘン…///」
梓「見なかった事にしましょう……」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:33:53.60 ID:g/LzmmAe0
澪「梓、お風呂空いたぞ」
梓「あ、ハイ……」
澪「ん、どうした?」
お風呂上がりの澪先輩はとても色っぽく、良い匂いで私は思わず見とれてしまった。
梓「ななな、何でもないです///」
澪「?」
澪「着替えないだろ?私のパジャマ用意しておいたから使って良いよ。ちょっと大きいだろうけどな」
梓「ありがとうございます」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:37:30.99 ID:g/LzmmAe0
~梓入浴中
梓「うー、純が変な事言うから意識しちゃう」
梓「今のウチに気分を落ち着けないと」
スーハースーハー
梓「ふう……ハッ、そう言えばこのお風呂はさっきまで澪先輩が入浴していた」
キョロキョロ
梓「ハッ、こんな事をしてる場合ではない。気分を落ち着けないと」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:41:59.52 ID:g/LzmmAe0
梓「澪先輩のパジャマだとやっぱりブカブカですね」
手足の余った部分を折り曲げてパジャマを着てる梓。
澪(うわ、可愛い///)
梓「どうしました?」
澪「な、何でもない。それより髪乾かして上げるよ、おいで」
梓「あ、良いですよそんな」
澪「良いから良いから」
梓「すいません」
ゴー
澪「梓の髪、綺麗だな」
梳かし、梳かし
梓「そんな事無いですよ、澪先輩の方が綺麗じゃないですか」
澪「ありがとう」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:45:53.95 ID:g/LzmmAe0
澪「そろそろ寝るか」
梓「い、一緒の布団でですか?」
澪「だから何でだよ///」
澪「……一緒に寝たい?///」
梓「え?」
澪「私の部屋に布団運んだり、2組布団敷くスペース確保するの面倒くさいし」
澪「一緒の布団で寝た方が楽かなと」
梓「澪先輩が良いのなら///」
澪「と、特別だぞ」
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:49:09.67 ID:g/LzmmAe0
澪「じゃあ電気消すぞ」
梓「はい」
カチッ
梓(豆球は付けっぱなんですね)
一緒の布団、お互いの身体が一部触れあう状態。
澪の温もりがシーツを通して伝わってくる。
こんなに近くに居るのに、恥ずかしくって顔が見れない。
澪(やばい、いざ一緒に寝たら緊張してきた)
ドキドキ
梓(隣同士で寝るのと、一緒の布団で寝るのがこんなに違うとは)
ドキドキ
澪(……ね、寝られない)
梓(無理だ、眠れない。)
澪(『素数』を数えて落ち着くんだ…『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……)
澪(私に勇気を与えてくれる)
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:56:12.95 ID:g/LzmmAe0
~30分後
梓「…澪先輩、起きてます?」
梓は小声で話しかける。
クークーという寝息が聞こえる。
どうやら澪は既に寝てしまったようだ。
梓(可愛らしい寝顔)
梓は隣で寝ている澪の髪に指を通す。
サラサラとした黒髪は、触れるだけで梓を陶然とさせるに十分だった。
頭を全体的に撫でてみる。起きる気配はない。
ゆっくり、顔を近づける。
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:01:03.29 ID:SyvOcDRF0
梓「……澪先輩」
髪の匂いと一緒に、澪の香りが自分の中に入ってくるのがわかった。
梓(いやいやいや、駄目だ……)
梓(澪先輩の寝顔が目の前だと寝るに寝られない……)
梓(後ろ向こう)
寝返りを打ち、澪と逆方向を向く梓。
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:04:12.86 ID:SyvOcDRF0
梓(ふう、これで落ち着く)
そして、ようやく梓が眠りかけた頃
ダキッ!!
梓の背後から澪が抱きついてきた。
梓「みみみ、澪先輩?」
澪「………」
梓「澪先輩、駄目ですよそんな、心の準備が///」
しかし、澪は離さない。
梓(抱きしめられてる、澪先輩に)
梓(良い匂いがする…それに背中に胸が当たる///)
梓の首筋に澪の息が掛かる。
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:07:07.57 ID:SyvOcDRF0
梓「澪先輩?」
話しかけても反応がないので少しずつ澪の方に体勢を変える。
梓「あれ?寝てる……」
どうやら寝ぼけて梓に抱きついたようだ。
梓「何だ、寝てたんですか」
梓が落胆して、そう呟いた時。
澪「ううーん……」
澪が更に強く梓を抱きしめてきた。
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:09:49.27 ID:SyvOcDRF0
腕を梓の肩に回し、足まで絡めてきている。梓が抱き枕状態。
体勢を変えてしまったもんだから澪と向かい合いの状態。眼前に澪の顔。
梓(うわっ、どどど、どうしよう///)
梓(動けない……)
梓(無理に動いたら起こしちゃいますよね)
梓(仕方ない、このまま寝るしか……)
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:14:31.59 ID:SyvOcDRF0
澪「梓……」
梓「起きたんですか?」
澪「…………」
梓(あれ?寝言?)
そう梓が思った矢先
チュッ
梓「!!!!」
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:17:02.20 ID:SyvOcDRF0
~次の日
目覚まし時計が朝を告げる。
澪「う、うーん朝か」
目を開けると目の前に梓の顔。
澪「うわっ梓!何でそんな所に」
梓「おはようございます。って澪先輩が抱きついてきたんですよ」
澪「へ?そうなのか?」
梓「澪先輩、昨日どんな夢見てました?」
澪「昨日?そーだな……」
ボンッ
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:19:19.94 ID:SyvOcDRF0
真っ赤になる澪。
梓「どうしたんですか?」
澪「い、いやどんな夢見たか忘れちゃったよ」
梓「……澪先輩、寝言で私の名前呼んでましたよ」
澪「えっ?///」
梓「抱きついてきて、私の名前呼んだ後、……キ、キスまでされちゃいました///」
澪「ええええっ!!///」
梓「お陰で、全然眠れなかったです」
梓が眠れなかったというのは本当だろう、うっすらとクマが出来ている。
澪「ご、ご免な、寝ぼけてたみたいで///」
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:21:58.94 ID:SyvOcDRF0
~午後
澪「この後どうする?」
梓「そうですね……」
少し考え込む仕草をする梓。
梓「あっそうだ、映画観に行きません?私無料チケット持ってますよ」
澪「映画か、良いね」
梓「泊めてくれたお礼です」
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:24:22.69 ID:SyvOcDRF0
手を繋ぐタイミングって、どうすれば良いのだろう?
映画館への道のりを歩く間、梓はそんな事を思っていた。
「澪先輩と手を繋ぎたいです」なんて恥ずかしくて言えない。
隣を歩く、自分より少し大きな彼女を見る。すると
澪「なあ、梓。お願いがあるんだけど」
梓「何ですか?」
澪「えーと…あの、手繋ぎたいんだけど///」
梓「えっ!あ、はい、どうぞ」
梓がそう応えると同時にぎゅっと手が握られた。
柔らかくて温かい、優しい手。
梓(澪先輩も同じ事を思ってたんだ)
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:26:28.88 ID:SyvOcDRF0
~映画館
澪「何の映画観よっか?」
梓「そうですね、ホラー映画とか」
澪「えええっ!!」
梓「冗談ですよ、澪先輩こわいの苦手ですもんね」
澪「梓の意地悪…」
梓「ラブロマンスにしましょうか?」
澪「そうしよう」
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:31:21.69 ID:SyvOcDRF0
瀧エリ「あれ?澪ちゃん?」
佐藤アカネ「あ、本当だ」
澪「エリとアカネ?」
エリ「隣にいるのは、あずにゃん?」
梓「ええっ!?何でその呼び方を?」
エリ「学園祭の時、唯がそうやって呼んでたから」
梓「唯先輩……もしかして私知らない所でみんなから『あずにゃん』って呼ばれてるの?」
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:36:13.47 ID:SyvOcDRF0
アカネ「二人も映画観に来たの?」
澪「うん」
エリ「なるほど、二人はそう言う関係でしたか」
澪「そういう関係って、そんなのじゃない///それを言うならそっちだって」
エリ「私とアカネはそういう関係だもん」
アカネ「エリッ///」
梓「ち、違いますよ。澪先輩が私を泊めてくれたから、そのお礼に映画を」
アカネ「泊めた?」
梓「と、泊まったって言ってもキスしただけでやましい事は何も///」
澪「梓///」
エリ「キスした?」
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:38:42.60 ID:SyvOcDRF0
梓「あの、その、キスって言っても澪先輩が一方的にしてきただけで///」
アカネ「一方的に?」
エリ「それで寝かせてもらえなかったあずにゃんは、クマ出来てるんだね」
澪「ち、違うんだ。誤解だ誤解///」
エリ「さっきから仲良さそうに手繋いでるのに?」
握られたままの澪と梓の手
澪梓「うわあああぁっ///」
慌てて離す澪と梓
アカネ「大丈夫よ、秘密にしておくから」
エリ「口止め料でコーラね」
アカネ「エリッ」
澪「コーラでも何でも買ってやるからみんなには秘密で頼む」
エリ「やったあ」
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:41:37.55 ID:SyvOcDRF0
~映画上映開始
澪「エリとアカネは2つ前の席か」
澪(エリ達の後ろで良かったな、前だと観られてる感じで落ち着いて観られなかっただろうし)
梓がふと、前の座席を観ると既にエリとアカネは手を繋いでいた。
梓(さっきはエリさんに言われた勢いで手、離しちゃったけど映画観てる間また手繋ぎたいな)
梓(今度は私から)
肘掛けに右手を置いてる澪。そこにそっと手を伸ばす梓。
キュッ
澪(梓…)
キュッ
優しく握り替えされる手
梓(澪先輩……)
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:46:08.39 ID:SyvOcDRF0
映画のちょっとHなシーン
澪(うう、気まずい……///)
梓(どんな反応をして良いやら///)
澪(エリ達はどうしてるんだろう?)
身体を寄り添うようにして観てる二人。
澪(うわ、大胆だな///)
澪(私も、ちょっとだけ梓の方に身体寄せてみようかな?///)
ズズッ
梓(澪先輩?)
梓(私からもちょっと)
ズズッ
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:49:54.53 ID:SyvOcDRF0
お互いの腕が少しだけ触れる距離
澪(これ以上は///)
梓(無理です///)
アカネ(エリ、恥ずかしいよ///)
ヒソヒソ
エリ(澪ちゃんとあずにゃんに見せ付けてあげるのよ)
ヒソヒソ
69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:51:39.51 ID:SyvOcDRF0
~映画終わり
梓「映画、面白かったですね」
澪「ああ、そうだな」
エリ「澪ちゃん、あずにゃん近くに美味しい店あるんだけど一緒に食べに行かない?」
梓(私はもう、あずにゃん呼び確定なんですね)
澪「ああ、良いけど。梓は?」
梓「あ、私も大丈夫ですよ」
~お店
エリ「ここのパスタ美味しいの」
澪「へ~」
アカネ「このパスタとドリンクとスイーツのセットがお得よ。好きなの選べるし」
梓「じゃあ私それにします」
澪「私も」
エリ「じゃセット4つね」
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:53:45.96 ID:SyvOcDRF0
エリ「私パスタはこれで、スイーツはこれ、ドリンクはコーラ」
澪「またコーラ?」
アカネ「エリ、コーラ好きだから。私もだけど」
梓「じゃあ私パスタこれで、ドリンクは紅茶でスイーツは澪先輩と同じのを」
エリ「駄目だよ、あずにゃん!!」
梓「え?」
エリ「スイーツは違う種類のを頼んで食べ比べしないと」
梓「そ、そうなんですか。じゃあこっちにします」
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:55:31.60 ID:SyvOcDRF0
エリ「アカネのスイーツ美味しそうね」
アカネ「食べる?あーん」
エリ「あーん」
もぐもぐ
エリ「美味しい」
澪(目の前で、このいちゃつきっぷり///)
梓(見てるこっちが恥ずかしいです///)
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:57:32.96 ID:SyvOcDRF0
エリ「あずにゃんも澪ちゃんに食べさせてあげなよ」
梓「そんな恥ずかしい」
アカネ「澪ちゃんは食べさせて欲しそうにしてるけど」
澪「……うん、梓に食べさせて欲しい///」
梓「ええ?……じゃ、じゃあ澪先輩、あーん」
澪「あーん///」
もぐもぐ
澪「美味しい」
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:00:18.88 ID:SyvOcDRF0
アカネ「今度は澪ちゃんの番だよホラ」
澪「ええ?私も?」
エリ「自分だけ食べてずるいよ。ね、あずにゃん?」
梓「そ、そうですよ」
澪「分かったよホラ、あーん」
梓「あーん」
もぐもぐ
梓「美味しいです」
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:02:28.62 ID:SyvOcDRF0
梓「私、トイレ行ってきます」
エリ「あ、私も」
~トイレ
エリ「あずにゃんって澪ちゃんの事好きなんでしょ?」
梓「……ハイ、そうです///」
エリ「澪ちゃんもあずにゃんの事好きなんじゃないかな?」
梓「えっ!!本当ですか?」
エリ「乙女の感よ」
梓「感ですか……」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:07:31.74 ID:SyvOcDRF0
エリ「美味しかった」
アカネ「私たちはお邪魔みたいだからこの辺で」
エリ「じゃあね、あずにゃん頑張ってね」
アカネ「バイバイ」
澪「さよなら」
梓「頑張るって…」
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:17:24.59 ID:SyvOcDRF0
~帰路
ブルブルブル
梓の携帯が震える。
梓「あ、親からのメールです。あれ?気付かなかったけど5件も入ってる」
梓「…もう家、帰ります。さすがに親も心配してるみたいだし」
澪「そうか……」
落胆の表情を見せる澪。
梓「もしかして私が居ないと寂しいですか?」
澪「……うん、寂しい」
梓(あれ?てっきり『そんな事無い!』って言うと思ったのに)
梓「また、泊まりに来ますよ。今度は家出じゃなくて」
澪「いつでも来てくれて構わないぞ」
梓「ありがとうございました」
澪「また学校でな」
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:23:35.20 ID:SyvOcDRF0
梓「澪先輩」
梓は振り返る。
梓「これは、泊めてくれたお礼に」
梓は澪の肩に手を掛けて背伸びした。
そっと澪の顔が近付き、唇を重ねる。
今にも気絶してしまいそうな位、梓はドキドキしていた。
梓「昨日のお返しに今度は私からです」
梓「澪先輩、大好きです」
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:28:15.06 ID:SyvOcDRF0
澪はすっかり赤くなりながら梓を見つめていたが、
澪「…梓、私も大好き」
そう呟くと、澪は今度は自分から梓に唇を合わせにいった。
深いけども優しくて、そして少し感情的な口付け。
唇が離れると、しばし見つめ合った。
梓「私、自分の考えは曲げません。絶対澪先輩と同じ大学に入ります」
澪「ああ、待ってるよ」
そして再び二人は抱き合った。
お終い
澪「梓」
私が声を掛けると梓はビックリした様子でこちらを振り向き、読んでいた雑誌を棚に戻した。
澪「買い物?」
梓「は、はいちょっと…」
澪「そうなんだ」
梓「澪先輩は?」
澪「今日、両親旅行で居ないから、そこのスーパーに夕食の材料買いに来たんだ」
梓「そうなんですか」
澪「じゃあ、私夕食の準備があるから」
梓「…はい」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:42:36.22 ID:g/LzmmAe0 [3/14]
コンビニを出て行く澪
自転車に乗り、走り出そうとする
梓「澪先輩、待って下さい!」
梓が走りながらコンビニから出てきた。
澪「どうしたんだ?」
梓「あ、あのもし迷惑じゃなかったら今日澪先輩の家に泊めてもらえませんか?」
澪「え?!」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:45:25.84 ID:g/LzmmAe0
梓「じ、実は家出して来ちゃって……」
澪「家出?何でまた?」
梓「あの、その……」
途端に梓の顔が曇り、口ごもる。
良く見ると梓は、この時間帯にしては薄着。着の身着のまま飛び出してきてしまったのだろう。
澪「ここじゃ寒いから取りあえずウチ行こうっか」
梓「は、はいっ」
梓の顔に笑顔が戻る。
澪は自転車を押しながら歩き始める。
その隣を梓が歩く。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:48:16.26 ID:g/LzmmAe0
澪「もう、この時間だとすっかり寒いな」
梓「そうですね」
澪「その格好じゃ寒いだろ?ホラ」
自分のしていたマフラーを外し、梓に巻いてやる
梓「ありがとうございます」
澪の優しい温もりを感じる梓。
家まで歩いてる間、澪は家出の事には一切触れなかった。
真面目な梓の事だ。家出してくるにはそれなりの理由があったはず。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:50:59.81 ID:g/LzmmAe0
~秋山家
ガチャリ
澪「ただいまーって言っても誰も居ないんだけどな」
梓「お邪魔します」
澪「ふふ、いらっしゃい」
澪「私の部屋行こう」
梓「はい」
梓「わー、何か大人っぽい部屋ですね」
澪「そ、そんな事無いぞ///」
澪「待ってて今なんか暖かい飲み物持ってくるから」
梓「そんな、お構いなく」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:54:29.15 ID:g/LzmmAe0
澪「お待たせ、紅茶煎れてきたよ」
梓「ありがとうございます」
澪「ムギの煎れてくれる紅茶よりは数段落ちるけどな」
梓「そんな事無いですよ。いただきます」
梓「澪先輩の煎れてくれた紅茶は美味しいです」
人なつっこい笑顔を見せる梓。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 22:58:43.98 ID:g/LzmmAe0
梓「あの、実はですね…」
一息ついて落ち着いたのだろう、梓は家出の理由をポツリポツリと語り出した。
音大に進ませたいと言う両親と、私たちと同じ大学に行きたいと言う梓で口論になったらしい。
梓「それで家を飛び出しちゃって。せめてもの反抗って奴です」
梓「最初、純に電話したら、繋がらなくて。取りあえず、留守電にメッセージ入れて」
梓「その後、憂に電話したんですけど、久しぶりに両親が家に居るみたいで、邪魔しちゃ悪いなと思って」
梓「それで、途方に暮れてコンビニで立ち読みして時間潰してたんです」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:02:47.20 ID:g/LzmmAe0
澪「私が来なかったらどうするつもりだったんだよ?」
梓「ネットカフェにでも行こうかと……」
澪「ああいう所って未成年は夜遅くは駄目なんだろ?」
梓「……そうですけど」
澪「そんな時くらい私たちを頼れよ、同じけいおん部の仲間だろ」
梓「…先輩方には心配掛けたくなかったんです」
梓の目には涙が浮かんでいた。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:05:33.41 ID:g/LzmmAe0
澪「全く変な所で、気を遣うんだから」
梓「すいません」
澪「大事な後輩に何かあったら大変だろ」
梓の頭を撫でる澪。
梓「はい」
梓の頬に涙がこぼれ落ちる。
澪はその涙を拭き取った。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:07:02.13 ID:g/LzmmAe0
澪「勿論ウチ泊まってくだろ?私は全然問題ないぞ」
梓「ご迷惑でなければお願いします」
今日は金曜日で、明日は学校も休み。おまけに両親も旅行のため気楽に過ごせる。
澪「梓も夕飯まだだろ?作ってくるからTVでも見てて」
梓「あ、私も手伝いますよ。タダで泊めてもらうのも悪いですからね」
澪「じゃあ、一緒に作ろっか」
梓「はい」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:09:14.11 ID:g/LzmmAe0
梓「こうやって澪先輩と一緒に料理してると合宿思い出しますね」
澪「ああ、そうだな」
梓「おにぎり作ったりしましたよね」
澪「うっ、思い出したくない過去を」
梓「ああっご免なさい」
梓「澪先輩の手が大きいんじゃなくて私の手が小さいんですよ」
澪「それ、あんまりフォローになってないぞ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:11:45.19 ID:g/LzmmAe0
澪「さあ、出来た食べよう」
梓(オムライスにケチャップでハートマーク書いて、タコさんウィンナー乗せるとは)
梓「いただきます」
澪「美味しい、中々良くできた」
梓「美味しいですね」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/07(火) 23:15:02.36 ID:g/LzmmAe0 [14/14]
ピロリロリーン♪
梓の携帯が鳴り響く。
梓「あ、純からです。もしもし」
純「さっきは電話出られなくて、ご免ね。携帯の充電切れちゃってて」
梓「ううん、大丈夫だよ」
純「何か、留守電に『家出した』とか入ってたから心配になって」
梓「あ、澪先輩の家に泊めてもらえたから大丈夫」
純「へー、澪先輩の家にお泊まりね。なるほど」
梓「な、何よその言い方」
純「この機会に襲っちゃえば、ニシシッ」
梓「純!!///」
純「じゃあ、頑張ってね」
プツッ
澪「どうしたんだ?顔赤いぞ?」
梓「な、何でも無いです///」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:26:59.68 ID:g/LzmmAe0
澪「梓、お風呂立てたけど入るだろ?」
梓「み、澪先輩と一緒にですか?///」
澪「何でだよ///」
梓「そ、そうですよね。私は後で良いですよ」
澪「そうか?じゃあお先に」
梓「ごゆっくりどうぞ」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:31:11.97 ID:g/LzmmAe0
部屋に一人の梓
梓「お風呂場には、今裸の澪先輩が……」
梓「///」
梓「いかん、平常心平常心」
梓「ん、あそこにあるのはポエムノート?」
梓「ちょ、ちょっとだけ……」
ペラリ
梓「こ、これは余りにもメルヘン…///」
梓「見なかった事にしましょう……」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:33:53.60 ID:g/LzmmAe0
澪「梓、お風呂空いたぞ」
梓「あ、ハイ……」
澪「ん、どうした?」
お風呂上がりの澪先輩はとても色っぽく、良い匂いで私は思わず見とれてしまった。
梓「ななな、何でもないです///」
澪「?」
澪「着替えないだろ?私のパジャマ用意しておいたから使って良いよ。ちょっと大きいだろうけどな」
梓「ありがとうございます」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:37:30.99 ID:g/LzmmAe0
~梓入浴中
梓「うー、純が変な事言うから意識しちゃう」
梓「今のウチに気分を落ち着けないと」
スーハースーハー
梓「ふう……ハッ、そう言えばこのお風呂はさっきまで澪先輩が入浴していた」
キョロキョロ
梓「ハッ、こんな事をしてる場合ではない。気分を落ち着けないと」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:41:59.52 ID:g/LzmmAe0
梓「澪先輩のパジャマだとやっぱりブカブカですね」
手足の余った部分を折り曲げてパジャマを着てる梓。
澪(うわ、可愛い///)
梓「どうしました?」
澪「な、何でもない。それより髪乾かして上げるよ、おいで」
梓「あ、良いですよそんな」
澪「良いから良いから」
梓「すいません」
ゴー
澪「梓の髪、綺麗だな」
梳かし、梳かし
梓「そんな事無いですよ、澪先輩の方が綺麗じゃないですか」
澪「ありがとう」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:45:53.95 ID:g/LzmmAe0
澪「そろそろ寝るか」
梓「い、一緒の布団でですか?」
澪「だから何でだよ///」
澪「……一緒に寝たい?///」
梓「え?」
澪「私の部屋に布団運んだり、2組布団敷くスペース確保するの面倒くさいし」
澪「一緒の布団で寝た方が楽かなと」
梓「澪先輩が良いのなら///」
澪「と、特別だぞ」
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:49:09.67 ID:g/LzmmAe0
澪「じゃあ電気消すぞ」
梓「はい」
カチッ
梓(豆球は付けっぱなんですね)
一緒の布団、お互いの身体が一部触れあう状態。
澪の温もりがシーツを通して伝わってくる。
こんなに近くに居るのに、恥ずかしくって顔が見れない。
澪(やばい、いざ一緒に寝たら緊張してきた)
ドキドキ
梓(隣同士で寝るのと、一緒の布団で寝るのがこんなに違うとは)
ドキドキ
澪(……ね、寝られない)
梓(無理だ、眠れない。)
澪(『素数』を数えて落ち着くんだ…『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……)
澪(私に勇気を与えてくれる)
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/07(火) 23:56:12.95 ID:g/LzmmAe0
~30分後
梓「…澪先輩、起きてます?」
梓は小声で話しかける。
クークーという寝息が聞こえる。
どうやら澪は既に寝てしまったようだ。
梓(可愛らしい寝顔)
梓は隣で寝ている澪の髪に指を通す。
サラサラとした黒髪は、触れるだけで梓を陶然とさせるに十分だった。
頭を全体的に撫でてみる。起きる気配はない。
ゆっくり、顔を近づける。
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:01:03.29 ID:SyvOcDRF0
梓「……澪先輩」
髪の匂いと一緒に、澪の香りが自分の中に入ってくるのがわかった。
梓(いやいやいや、駄目だ……)
梓(澪先輩の寝顔が目の前だと寝るに寝られない……)
梓(後ろ向こう)
寝返りを打ち、澪と逆方向を向く梓。
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:04:12.86 ID:SyvOcDRF0
梓(ふう、これで落ち着く)
そして、ようやく梓が眠りかけた頃
ダキッ!!
梓の背後から澪が抱きついてきた。
梓「みみみ、澪先輩?」
澪「………」
梓「澪先輩、駄目ですよそんな、心の準備が///」
しかし、澪は離さない。
梓(抱きしめられてる、澪先輩に)
梓(良い匂いがする…それに背中に胸が当たる///)
梓の首筋に澪の息が掛かる。
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:07:07.57 ID:SyvOcDRF0
梓「澪先輩?」
話しかけても反応がないので少しずつ澪の方に体勢を変える。
梓「あれ?寝てる……」
どうやら寝ぼけて梓に抱きついたようだ。
梓「何だ、寝てたんですか」
梓が落胆して、そう呟いた時。
澪「ううーん……」
澪が更に強く梓を抱きしめてきた。
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:09:49.27 ID:SyvOcDRF0
腕を梓の肩に回し、足まで絡めてきている。梓が抱き枕状態。
体勢を変えてしまったもんだから澪と向かい合いの状態。眼前に澪の顔。
梓(うわっ、どどど、どうしよう///)
梓(動けない……)
梓(無理に動いたら起こしちゃいますよね)
梓(仕方ない、このまま寝るしか……)
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:14:31.59 ID:SyvOcDRF0
澪「梓……」
梓「起きたんですか?」
澪「…………」
梓(あれ?寝言?)
そう梓が思った矢先
チュッ
梓「!!!!」
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:17:02.20 ID:SyvOcDRF0
~次の日
目覚まし時計が朝を告げる。
澪「う、うーん朝か」
目を開けると目の前に梓の顔。
澪「うわっ梓!何でそんな所に」
梓「おはようございます。って澪先輩が抱きついてきたんですよ」
澪「へ?そうなのか?」
梓「澪先輩、昨日どんな夢見てました?」
澪「昨日?そーだな……」
ボンッ
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:19:19.94 ID:SyvOcDRF0
真っ赤になる澪。
梓「どうしたんですか?」
澪「い、いやどんな夢見たか忘れちゃったよ」
梓「……澪先輩、寝言で私の名前呼んでましたよ」
澪「えっ?///」
梓「抱きついてきて、私の名前呼んだ後、……キ、キスまでされちゃいました///」
澪「ええええっ!!///」
梓「お陰で、全然眠れなかったです」
梓が眠れなかったというのは本当だろう、うっすらとクマが出来ている。
澪「ご、ご免な、寝ぼけてたみたいで///」
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:21:58.94 ID:SyvOcDRF0
~午後
澪「この後どうする?」
梓「そうですね……」
少し考え込む仕草をする梓。
梓「あっそうだ、映画観に行きません?私無料チケット持ってますよ」
澪「映画か、良いね」
梓「泊めてくれたお礼です」
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:24:22.69 ID:SyvOcDRF0
手を繋ぐタイミングって、どうすれば良いのだろう?
映画館への道のりを歩く間、梓はそんな事を思っていた。
「澪先輩と手を繋ぎたいです」なんて恥ずかしくて言えない。
隣を歩く、自分より少し大きな彼女を見る。すると
澪「なあ、梓。お願いがあるんだけど」
梓「何ですか?」
澪「えーと…あの、手繋ぎたいんだけど///」
梓「えっ!あ、はい、どうぞ」
梓がそう応えると同時にぎゅっと手が握られた。
柔らかくて温かい、優しい手。
梓(澪先輩も同じ事を思ってたんだ)
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:26:28.88 ID:SyvOcDRF0
~映画館
澪「何の映画観よっか?」
梓「そうですね、ホラー映画とか」
澪「えええっ!!」
梓「冗談ですよ、澪先輩こわいの苦手ですもんね」
澪「梓の意地悪…」
梓「ラブロマンスにしましょうか?」
澪「そうしよう」
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:31:21.69 ID:SyvOcDRF0
瀧エリ「あれ?澪ちゃん?」
佐藤アカネ「あ、本当だ」
澪「エリとアカネ?」
エリ「隣にいるのは、あずにゃん?」
梓「ええっ!?何でその呼び方を?」
エリ「学園祭の時、唯がそうやって呼んでたから」
梓「唯先輩……もしかして私知らない所でみんなから『あずにゃん』って呼ばれてるの?」
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:36:13.47 ID:SyvOcDRF0
アカネ「二人も映画観に来たの?」
澪「うん」
エリ「なるほど、二人はそう言う関係でしたか」
澪「そういう関係って、そんなのじゃない///それを言うならそっちだって」
エリ「私とアカネはそういう関係だもん」
アカネ「エリッ///」
梓「ち、違いますよ。澪先輩が私を泊めてくれたから、そのお礼に映画を」
アカネ「泊めた?」
梓「と、泊まったって言ってもキスしただけでやましい事は何も///」
澪「梓///」
エリ「キスした?」
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:38:42.60 ID:SyvOcDRF0
梓「あの、その、キスって言っても澪先輩が一方的にしてきただけで///」
アカネ「一方的に?」
エリ「それで寝かせてもらえなかったあずにゃんは、クマ出来てるんだね」
澪「ち、違うんだ。誤解だ誤解///」
エリ「さっきから仲良さそうに手繋いでるのに?」
握られたままの澪と梓の手
澪梓「うわあああぁっ///」
慌てて離す澪と梓
アカネ「大丈夫よ、秘密にしておくから」
エリ「口止め料でコーラね」
アカネ「エリッ」
澪「コーラでも何でも買ってやるからみんなには秘密で頼む」
エリ「やったあ」
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:41:37.55 ID:SyvOcDRF0
~映画上映開始
澪「エリとアカネは2つ前の席か」
澪(エリ達の後ろで良かったな、前だと観られてる感じで落ち着いて観られなかっただろうし)
梓がふと、前の座席を観ると既にエリとアカネは手を繋いでいた。
梓(さっきはエリさんに言われた勢いで手、離しちゃったけど映画観てる間また手繋ぎたいな)
梓(今度は私から)
肘掛けに右手を置いてる澪。そこにそっと手を伸ばす梓。
キュッ
澪(梓…)
キュッ
優しく握り替えされる手
梓(澪先輩……)
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:46:08.39 ID:SyvOcDRF0
映画のちょっとHなシーン
澪(うう、気まずい……///)
梓(どんな反応をして良いやら///)
澪(エリ達はどうしてるんだろう?)
身体を寄り添うようにして観てる二人。
澪(うわ、大胆だな///)
澪(私も、ちょっとだけ梓の方に身体寄せてみようかな?///)
ズズッ
梓(澪先輩?)
梓(私からもちょっと)
ズズッ
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:49:54.53 ID:SyvOcDRF0
お互いの腕が少しだけ触れる距離
澪(これ以上は///)
梓(無理です///)
アカネ(エリ、恥ずかしいよ///)
ヒソヒソ
エリ(澪ちゃんとあずにゃんに見せ付けてあげるのよ)
ヒソヒソ
69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:51:39.51 ID:SyvOcDRF0
~映画終わり
梓「映画、面白かったですね」
澪「ああ、そうだな」
エリ「澪ちゃん、あずにゃん近くに美味しい店あるんだけど一緒に食べに行かない?」
梓(私はもう、あずにゃん呼び確定なんですね)
澪「ああ、良いけど。梓は?」
梓「あ、私も大丈夫ですよ」
~お店
エリ「ここのパスタ美味しいの」
澪「へ~」
アカネ「このパスタとドリンクとスイーツのセットがお得よ。好きなの選べるし」
梓「じゃあ私それにします」
澪「私も」
エリ「じゃセット4つね」
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:53:45.96 ID:SyvOcDRF0
エリ「私パスタはこれで、スイーツはこれ、ドリンクはコーラ」
澪「またコーラ?」
アカネ「エリ、コーラ好きだから。私もだけど」
梓「じゃあ私パスタこれで、ドリンクは紅茶でスイーツは澪先輩と同じのを」
エリ「駄目だよ、あずにゃん!!」
梓「え?」
エリ「スイーツは違う種類のを頼んで食べ比べしないと」
梓「そ、そうなんですか。じゃあこっちにします」
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:55:31.60 ID:SyvOcDRF0
エリ「アカネのスイーツ美味しそうね」
アカネ「食べる?あーん」
エリ「あーん」
もぐもぐ
エリ「美味しい」
澪(目の前で、このいちゃつきっぷり///)
梓(見てるこっちが恥ずかしいです///)
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 00:57:32.96 ID:SyvOcDRF0
エリ「あずにゃんも澪ちゃんに食べさせてあげなよ」
梓「そんな恥ずかしい」
アカネ「澪ちゃんは食べさせて欲しそうにしてるけど」
澪「……うん、梓に食べさせて欲しい///」
梓「ええ?……じゃ、じゃあ澪先輩、あーん」
澪「あーん///」
もぐもぐ
澪「美味しい」
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:00:18.88 ID:SyvOcDRF0
アカネ「今度は澪ちゃんの番だよホラ」
澪「ええ?私も?」
エリ「自分だけ食べてずるいよ。ね、あずにゃん?」
梓「そ、そうですよ」
澪「分かったよホラ、あーん」
梓「あーん」
もぐもぐ
梓「美味しいです」
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:02:28.62 ID:SyvOcDRF0
梓「私、トイレ行ってきます」
エリ「あ、私も」
~トイレ
エリ「あずにゃんって澪ちゃんの事好きなんでしょ?」
梓「……ハイ、そうです///」
エリ「澪ちゃんもあずにゃんの事好きなんじゃないかな?」
梓「えっ!!本当ですか?」
エリ「乙女の感よ」
梓「感ですか……」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:07:31.74 ID:SyvOcDRF0
エリ「美味しかった」
アカネ「私たちはお邪魔みたいだからこの辺で」
エリ「じゃあね、あずにゃん頑張ってね」
アカネ「バイバイ」
澪「さよなら」
梓「頑張るって…」
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:17:24.59 ID:SyvOcDRF0
~帰路
ブルブルブル
梓の携帯が震える。
梓「あ、親からのメールです。あれ?気付かなかったけど5件も入ってる」
梓「…もう家、帰ります。さすがに親も心配してるみたいだし」
澪「そうか……」
落胆の表情を見せる澪。
梓「もしかして私が居ないと寂しいですか?」
澪「……うん、寂しい」
梓(あれ?てっきり『そんな事無い!』って言うと思ったのに)
梓「また、泊まりに来ますよ。今度は家出じゃなくて」
澪「いつでも来てくれて構わないぞ」
梓「ありがとうございました」
澪「また学校でな」
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:23:35.20 ID:SyvOcDRF0
梓「澪先輩」
梓は振り返る。
梓「これは、泊めてくれたお礼に」
梓は澪の肩に手を掛けて背伸びした。
そっと澪の顔が近付き、唇を重ねる。
今にも気絶してしまいそうな位、梓はドキドキしていた。
梓「昨日のお返しに今度は私からです」
梓「澪先輩、大好きです」
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/08(水) 01:28:15.06 ID:SyvOcDRF0
澪はすっかり赤くなりながら梓を見つめていたが、
澪「…梓、私も大好き」
そう呟くと、澪は今度は自分から梓に唇を合わせにいった。
深いけども優しくて、そして少し感情的な口付け。
唇が離れると、しばし見つめ合った。
梓「私、自分の考えは曲げません。絶対澪先輩と同じ大学に入ります」
澪「ああ、待ってるよ」
そして再び二人は抱き合った。
お終い
<<幻想殺しが見る幻想 | ホーム | 憂「転校生はニンニクがキライ」 >>
コメント
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |