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偽物の男の本物の恋心

691 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:19:14.99 ID:0FlbxoU0 [1/11]
ども。10レスほど借りますの。
海原と美琴で、時系列は…適当です。

692 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:19:49.42 ID:0FlbxoU0 [2/11]
ドン!!


紫電が迸る。
走り抜けた光の先で起きる爆発は、超音速で撃ち出された小さなコインによるものだ。
コインがとろけたチーズになって、蒸発するほどの熱と速度。 それを創りだしたのは、たった十四歳の幼い少女である。

学園都市が誇る、七人しかいない超能力者の序列第三位。
超電磁砲、電撃姫、エリート女子高・常盤台のエース。 ―――御坂美琴。

爆発の余波で起きた風に、肩で切り揃えられた少女の髪が舞い遊ぶ。 口元に浮かぶのは、自信と誇りに裏打ちされた絶対的な余裕の笑み。

230万の頂点に立つ美しい少女は、今日も元気にATM強盗犯をぶっとばしていた。



「おっ姉っさっまぁぁぁぁあっ!!! んまた! こんな! 危険なマネをなさってぇぇぇ!!」

「あーもーうっさいなー黒子は。 あによ、アンタは、私がこんな格下相手に遅れを取るようなしょっぱい電撃使いだとでも思ってんの?」

ウェーブのついた黒髪を赤いリボンでツインテールにした少女が唐突に虚空から現れ、たった今爆煙を起こした張本人に怒鳴り声を上げた。
学園都市でも数少ないテレポーター、大能力者である白井黒子だ。
御坂を「お姉さま」と呼び慕う彼女は、当の慕う相手にため息とともに迎えられてもめげずに右肩に付けられた風紀委員の腕章をぐいぐいと引っ張り主張する。

「まさか! お姉さまは我が常盤台のエースにして学園都市が誇る超能力者ですの! わたくしが申し上げていますのは、こういった事件の解決は一般人であるお姉さまの仕事ではないということですの!!」

「一般人、ねぇ。 黒子はそればっかよねぇ」

「お姉さまったら! 真面目にお聞きになってくださいまし。もし警備員に見られたら、いくらお姉さまだってこれは過剰防衛というものですのよ?」

「はいはいありがとね。黒子は心配性なんだから。はーいよしよしー」

「…あ、ああんっ! お姉さまったら、んまぁ、やぁぁぁっとわたくしの愛を受け入れてくださる決心がついたんですのね? そうですのね? もう、もう、黒子はぁぁっ」

「だああっ!! いちいち抱きつくなあぁあっ!!」

いつもどおりのやりとり。 白井は御坂の腰にまとわりつくように抱きついて、でへでへと不気味な笑い声を上げていた。
しかし、すぐ数メートル先ではいまだにもうもうと煙が立ち上がっている。 集まった野次馬をかき分けて、警備員がそろそろやってくる頃だ。
白井はちらりと足元に放射状に伸びたアスファルトのひび割れを見やると、名残惜しげに背筋を正して御坂に告げる。

「おほん。 お姉さま、今回の件に関してのお小言は、寮に帰ったらたぁぁぁぁぁあああっぷりと聞かせて差し上げますの。わたくしは風紀委員として報告の義務がありますので、また後ほど」

「夕飯とっといてあげるから、小言はナシにしてよねー」

「お姉さまがわたくしのために”あーん”もしくは く・ち・う・つ・し、してくださるというのなら、考えないでもないのですけど」

「誰がやるかっ! 調子に乗んなっ!!」

693 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:20:33.50 ID:0FlbxoU0 [3/11]
バリッ!! と御坂の前髪から光が飛ぶが、白井は五メートルほど離れた位置にテレポートしてその電撃を避けるとくすりと笑った。

「期待しておりますの、お姉さま!」

そしてそう言い残し、またテレポートでおそらく警備員の元へと転移していった。

「ちょっ…や、やらないっつってんでしょーがーっ!」

ひとり残された御坂は大声で叫んだが、返答は当然のことながらない。
ああもうなにやってんのよ私は。御坂は野次馬からのちくちくとした視線に居た堪れなくなる。注目を浴びるのが好きなわけではないのだ、彼女は。
とっととここからとんずらしなくては白井が事情説明をして時間を稼いでくれている意味がなくなるというものだし、御坂は人ごみの視線から目を逸らして一歩踏み出した。

――その時、彼女の目が、違和感をとらえた。

人ごみの向こう。
路地裏の影に、誰かが隠れるように身を滑り込ませた。

「…なにあれ」

御坂はこういった違和感に敏感だ。
生来の強い好奇心と大きな正義感、どちらも様々な事件に関わるうちにどんどん育まれたものだが、それが彼女の足を動かした。
今のはなんだか堅気ではない気配。んふふ、と御坂は口元ににやりと笑みを含ませて、不審な人物が吸い込まれて入った路地裏へと駆け込んでいった。




「そこまでよ!」

これが彼女の好きな漫画やアニメであったなら、背景にはドーンとかバーンとか言う文字が踊ったに違いない。

細い路地裏の壁を磁力を操りへばりつくように駆け上がり先回りした御坂は、曲がり角で待ち構えて仁王立ちしていた。
急ぐ様子もなく、てくてくぽてぽてと歩いていたらしい不審者は角を曲がりかけた瞬間にビクリとこわばる。

「吐いてもらうわよ! アンタあんなとこで何して――、 、。 え?」

「ぁ……」

不審人物はしまった、という顔をした。 暗いジメジメとした路地裏に、ちょうど夕陽が差し込んで姿が明らかになる。
そこにいたのは顔見知りで、どうにも苦手で、爽やか系イケメンの、路地裏なんて場所にはトンデモ相応しくない、


「う、海原…さん?」

「あ、あ、えと、ど、どうも」

あはは、と気まずげに笑って頭を掻いた男は、常盤台中学理事長の孫、海原光貴であった。


694 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:21:05.26 ID:0FlbxoU0 [4/11]

御坂はなんだかよく解らないまま海原をひっぱって路地裏を抜けた。
自分でも本当に何を言っているのかわからないのだが、テンパッたらしくええと、とかあの、とかを繰り返す海原を見かねて「えーいまどろっこしい、来い!」とばかりに引きずりだしたのだ。男前である。御坂美琴は男前な乙女なのである。
場所をとある公園に移した二人は、ベンチに腰掛けて沈黙。 ――を破ったのは、海原だった。

「…み、御坂さんは、どうしてあんなところに?」

怪しい人影をみたから取っ捕まえて悪だくみを洗いざらい吐かせてやろうと思ってあとを付けてました。

(な、なんて言えるわけないじゃない…っ! それじゃただの馬鹿でしょーが!)

しかし事実である。
やや落ち着いたのか、にこりと穏やかな笑みを浮かべて自分を見つめる海原。
御坂はじっとりと嫌な汗をかきはじめていた。

「奇遇でしたね」

はは、と笑って海原が間を持たせようともう一言付け加えた。 紳士である。

「そっ、そうですねー… わ、私はほら、あれですよ。ち、近道をしようと思って。 それより海原さんはっ?どうしてあんな路地裏なんかに?」

適当にでまかせを口にして御坂は海原に振り向いた。 …あれ。
海原の顔がなんだか張り付いたような笑みになった気がする。 心なしか冷や汗をかいているようにも見える。
御坂はなんとなく、疑問とか疑心だとかのもやもやしたものを抱いた。

さて、読者の皆様はお気づきだろう。
彼は常盤台中学理事長の孫、大能力者の海原光貴。 ――ではなく、その顔を借りているだけの魔術師の方である。
御坂美琴と、その周囲の世界を守ってくれ。そう上条当麻に約束を取り付けてからしばし。彼女は相変わらず元気だし笑顔を絶やすこともない。
しかし心配にはなるもので、そして恋とはそんな単純な物でもなくて。
他の男に丸投げしてはいさよーなら、とはいかないのである。

アステカの魔術師エツァリは、御坂美琴に危険が及びそうだと判断したときに陰ながら手助けできるようにとこっそり見つめる、ストーカーに近い生活を学園都市の闇に紛れて送っていた。
上条当麻に敗れた彼は学園都市の暗部に落ち(まあそれは彼がもとより計画していたことではあったが)、科学都市の闇をさまよっていた。
そこで真面目にゴミ掃除をしていると、時折仕事外の電話が鳴るのだ。 ため息混じりの男の声で、『あなたの大切な人物が、またやっかいごとに首を突っ込んでいますよ』と。
正直ありがたかった。それが彼らの”プラン”のうちだったとしても、手のひらで踊らされているだけなのだとしても。
あまつさえ彼女の危機が彼らによって仕組まれたものだとしても、御坂美琴が深刻な怪我に見舞われることはなかったし、むしろ嬉々とした彼女の正義感あふれる姿をみると幸せさえ感じる始末だった。
それが最低な行為であると、自分を叱咤したこともある。

しかし、エツァリは恋する男であり、なおかつ彼女の前に姿を現さず影から守るのだと心に誓ってしまったのである。

たまーにそっと姿をみて、ほっとして、キュンとする。
そのくらい許されてもいいだろう。
だって恋ってそういうものでしょう! 遠くから見ているだけで幸せになれる。 そんな恋もあるでしょう!

エツァリは誰に言うでもなく心のうちでつぶやく。ふるふると拳を握りしめて。(無論、心の拳だ。)


695 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:21:44.22 ID:0FlbxoU0 [5/11]

「自分、は… その…」

うまい言い訳を。
普段の自分なら、”グループ”にいる自分なら、簡単に取り繕えたはずの状況だろう。
なんとでも言えばいいのだ。自分も近道だったので、とか。お魚くわえたどら猫おっかけて、とか。

御坂はじっと海原を見つめた。
先ほどビビッと来た感覚。なんだか違う。なんだか違う気がするのだ。

そして、ふと思い出した。

『彼女を、守ってくれますか』

『      』

たしか海原光貴に姿を変えた、上条当麻と戦っていた男がいたような。
ちなみにあの時、御坂には詳細は聞こえていなかった。 戦いが終わって、鉄骨が降り注いだあと、シンとしたビルで交わされたその二言三言くらいしか彼女の耳には届かなかった。
しかも、御坂にはどっちかというと上条当麻の問題発言である『    』の部分だけが頭の中をリフレインしていて、肝心の怪しい男の方についてはさっぱり気にもとめていなかったので、覚えていることといったらなんか石包丁みたいなもの持ってたなぁ、くらい。

だが、あの時戦っていたのは、たしかに朝っぱらから朝食後に「魚料理の美味しい店を知ってるんです」だの「お付き合いしますよ」だのと爽やかボイスで微笑んだ、あの男だったはず。

「……アンタ、もしかして、美味しい魚料理の店を知ってる方の人?」

冷や汗だらだらのエツァリを、めいっぱい眉間に皺寄せた御坂がさらに追い詰めたのだった。


696 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:22:11.34 ID:0FlbxoU0 [6/11]


「じっ、自分はっ、あの」

「そーなのね? あの時、アイツと戦ってたあの人なのね?」

剣呑な雰囲気を纏った美琴に、慌てて海原は首を振った。

「ちっ、違います、いや違いませんが、自分は決して何か企んでいたとかそういうのではなくてですね、ただ自分は御坂さんを――」

「私をなによ?!」

しまった。 海原はまたしてもぴしりと固まった。
硬直したまま顔色が悪くなる。
もうどうにも取り繕えない。テンパった挙句無様にも失言を連発、想い人には睨みつけられて。まるで自分は蛇に睨まれた蛙のよう。
いや決して御坂が爬虫類だと言っているのではない。ただの慣用句である。エツァリは慣用句も操れるアステカ人(?)である。

ええいままよ。海原は意を決した。
もうどうにもならないなら、正直に打ち明けて今度こそ「はい、さよーなら」してしまおう。
さよなら初恋。また会いましょう恋心よ。

「自分は、―――御坂さんを見てただけなんです」

言った瞬間俯いてしまった。
情けないが、こんな告白じみたことを言った勇気だけでも評価してほしいものだと海原は乾いた笑いを漏らした。
しかし御坂は、なんと追い打ちをかけてきた。

「……い、意味がわかんないんだけど」

「えっ」

「だから、意味がわかんないのよ。 なんでアンタが私を見てんのよ? 私は別にアイツと四六時中一緒にいるわけじゃないのよ! だいたい負けたくせにまだアイツを狙ってるの?」

「はい? なぜそこで上条当麻が出てくるんですか?」

「え? だから、アンタはアイツと戦ってた人でしょ?」

「そうですが、なんでまた彼と戦わなければならないんです? そんな御坂さんを困らせるようなこと出来ませんよ」

「は? どうして私を困らせらんないのよ」

「そりゃ好きだからですけど」

「えっ」

「あっ」



697 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:23:08.27 ID:0FlbxoU0 [7/11]

シーン。 全身の血の気が引いていく音とともに、背景にそんな文字が落ちてきた気がした。
彼女の好きなものを片っ端からチェックしていた影響だろうか、最近自分の行動もなんだか漫画じみてきた。
それなのにこのグダグダな告白はいったいなんなんだ。 それこそ漫画のようなロマンチックな告白にすればよかったのに、このダメ男!

「えと… 冗談じゃなくて?」

しかし、御坂は未だ信じきれていないのか、突然のストレートな言葉に戸惑っているのか、困惑した声でつぶやいた。
瞬間、胸が熱くなった。 冗談なんかじゃない。 こんなことを冗談で言えるほど自分はつまらない男ではない。

「冗談なんかじゃありません! 自分は、貴女の事が好きです。 愛しているんです! 自分はたしかに人の顔を借りている偽物ですが、貴女への思いに偽りなんてありません!」

ポカン、と御坂は目を見開いて停止する。
目の前の男に告白されている…。

御坂にとって愛の告白は日常茶飯事だ。
学校の後輩からの告白、同室の白井からの熱烈な言葉。ラブレターなんてものも多く手にしてきたし。
けれど、男性からの告白は初めてだった。 本物の海原光貴は付き纏いはしたけれど告白されたことはなかった。

だから実質、初めての異性からの愛の言葉である。

「え、と…」

改めて目の前の男を見る。
きりっとした眉を切なげに寄せ、真摯に見つめる瞳。耳から頬を赤くして、口を引き結んでいる。
思いを打ち明けた衝動で、二人の顔はとても近くまで接近していた。

うわ、。

ぼん、と音を立てて御坂の顔が赤く染まった。

「あっ、すみません! こんなことを、言うつもりではなかったんですが……」

バッとあわてて海原が身を引き、距離を取った。
本日三度目の失態に、海原は唇を噛んだ。 こんなことを言うつもりではなかった。言ってはいけなかった。
暗部に落ちた者に深く関わらせるわけにはいかないのに。

「すみませんでした。 忘れてください。 これ以上自分に関わってはいけない」

後悔をにじませる表情に、御坂は我に返る。

「ま、待ってよ!」

慌ててベンチから立ち上がった海原の服の裾を掴んで引き止め、自分も立ち上がった。

「何勝手に終わらせようとしてんのよ…。 ふざけんじゃないわよ!」

御坂はキッと海原を睨みつける。『そこまでよ!』と叫んだ時の数倍の気迫でもって。
彼女は学園都市第三位。 電撃使いの頂点に君臨する、超能力者。
その誇りは、この逃げ腰の男をそのまま逃がしてあげるほど安い物ではない。


698 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:24:22.79 ID:0FlbxoU0 [8/11]
「っていうか、私はアンタの事何も知らないのよ。アンタは私のことよーく知ってるみたいだけど、そういうのってアンフェアじゃないかしら?」

「あ、あの…」

「せめて名前くらい、…教えなさいよ…」

パリ、と前髪から一筋電気が漏れた。
初めて間近で見たそれを綺麗だなぁ、と思わず見とれている海原の腕をさらに御坂は拘束する。

「…御坂さん、困ります…自分は、貴女とは住む世界を異にする人間です。そもそも学園都市の生徒でもないんです。犯罪者なんです。――どうか、関わらないでください。
 自分も……もう二度と、今度こそ、貴女には決して近づきません。もちろん、上条当麻にも」

「だから勝手に終わらせんなっつってんでしょ!!」

苛立つ御坂に、海原はますます眉根を寄せる。
本当に失敗した。こんなふうに興味をもたれてしまってはいけなかった。

「自分の名前は、教えるわけにはいきません。 たとえアンフェアだろうが、そんなことは関係無い。貴女は一般人なんです!」

「っ…私は、一般人だとか、んなもん知ったこっちゃないわよ! 私は御坂美琴よ! 
 アンタはなんなのよ! 犯罪者って名前じゃないでしょーが! 海原光貴じゃないんでしょーが! アンタの名前を教えなさいよ!!」

「……みさか、さん」

白井にもよく言われること。貴女は一般人なんだから。
一般人というくくりに押し込められるのは、御坂はずっとずっと嫌だった。だからといって風紀委員という枠に入るのもいやだった。
彼女はそういう枠組みの中にはいない。超能力者だとかお嬢様だとか第三位だとか、そういうのではない。
御坂美琴は御坂美琴。ただの御坂美琴でいるときは、ただの御坂美琴として接してくれないくては駄目なのだ。
わがままでも自分勝手でもいいのだ。

とにかく今は目の前のコイツが気に入らない。一般人じゃなくて、私は、御坂美琴。

「…そうおっしゃられても、教えるわけにはいかないんです。 それに、この街の誰にも自分は本当の名を伝えていません。 だから貴女も」

「じゃあむしろ教えてくれたっていいじゃない!」

「……なぜ、」

「誰もアンタの名前を知らないんなら、私がこの街のどこでアンタの名前をつぶやいたところで…誰もアンタのことだなんてわかりっこないじゃない」

「…っ!」

御坂は俯いて、両手で海原の手を握る。
どうして自分がこんなにこだわっているのか。
フェアじゃないから? 一般人だなんて言われて腹がたったから? 
御坂自身にもよく解らないが、好きだと言われたことは、多分結構な割合で関係していると思った。
流される女じゃないけど。私が好きなのは上条当麻のはずだけど。
だけどコイツのことを、もう少しくらい知っていてもいいんじゃないか。


699 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:24:51.51 ID:0FlbxoU0 [9/11]



「……御坂さん。 誰にも言わないでくださいね。」

ポツリ、と溢れるように落ちた海原の声に、御坂はぱっと顔を上げた。
逆光の男が、泣きそうなのをこらえるように笑っていた。




「自分の名前は――」













700 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:26:09.95 ID:0FlbxoU0 [10/11]



夜、御坂は寮の自室で毛布にくるまって、ゲコ太のぬいぐるみを強く抱きしめていた。
白井はすでに就寝しているらしい。遅くまで風紀委員として仕事していたせいか、帰っても小言をいう元気も無いようだった。
取りおいていた夕食を摂ると、すぐにベッドに入って寝息を立てていた。

ゆっくりと深呼吸して、ぱちりと目を開ける。


結局、偽海原の名前を聞くことは出来なかった。
彼が告げようとしたその瞬間、その胸ポケットで携帯が着信を教えたのだ。
無言で電話に出て、わかりました、とだけ答えた偽海原はぱちんと携帯を閉じると、今度はにっこりと微笑んで言った。
「仕事なので失礼します」と。
そして御坂の言葉を待たず、走り去ってしまった。その背中はすぐに見えなくなった。
電磁波をつかって追うことも出来たが、そうはしなかった。

きっとまた、街のどこかで出会うことになる。
そんなふうに思ったから。
彼がこの街にいる限り、きっと出会える。

(私は諦めが悪いのよ。 ――覚悟してなさいよ、偽物野郎)

御坂はくふふと小さく笑い声を零してから、満足気にまぶたをとじた。

別に探そうとは思わない。 見かけたときに問い詰めればいい。

平和だなあ、とゲコ太が鳴いた。




701 名前:偽物の男の本物の恋心[sage saga] 投稿日:2010/11/30(火) 00:27:22.55 ID:0FlbxoU0 [11/11]
おしまいです。
なんかエツァリが好きすぎていろいろ妄想してたんですが、10分の1も表現できてなくてくやしいビクンビクン。
エツァみこ増えればいいのになぁと思いながら、おじゃましました。
みなさんみたいにうまく書けるようになりたいです…ばいびー



Tag : とあるSS総合スレ

コメント

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エツァリ好きなので嬉しい。

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