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男「海に行きたい」
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:27:46.12 ID:zOboq8WN0 [1/65]
女「はあ」
男「うん」
女「今何月か知ってる?」
男「ああ、11月も終わりだな」
女「なんで夏にいわないの」
男「言い出すきっかけが無かったというか」
女「はあ・・・」
女「はあ」
男「うん」
女「今何月か知ってる?」
男「ああ、11月も終わりだな」
女「なんで夏にいわないの」
男「言い出すきっかけが無かったというか」
女「はあ・・・」
2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:31:49.72 ID:zOboq8WN0 [2/65]
女「なんで行きたいの」
男「海が見たいんだ」
女「へえ」
男「うん」
女「ま、いいけどさ」
男「お、いいのか」
女「でも、水着は着ないからね」
男「あ、ああ。そんなの、わかってるよ」
3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:40:03.24 ID:zOboq8WN0 [3/65]
女「水着姿が見たいとか、そういうのじゃないの」
男「まあ、少しは見たいと思うけど」
女「だったら温水プールでも行こうか」
男「いや、海がいいんだ」
女「ああ、そう」
4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:42:41.33 ID:zOboq8WN0
男「というか、見たことなかったっけ」
女「まあ、中学のスクール水着とかならあったかもね」
男「ああ、だめだ。そんなの違う」
女「そうなの。そういうのが好きな人もいるって聞くけど」
男「俺は、違うよ」
女「そう。なら、よかった」
6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:47:30.49 ID:zOboq8WN0
女「なんならここで見せてあげようか。水着」
男「は、いいのか」
女「あー、やっぱりだめだね」
男「どうして」
女「家まで水着を取りに行くのが面倒、というか、やっぱり夏がいいよ」
男「そうか・・・。なら我慢するよ」
女「うん。楽しみに、ね」
8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:54:06.23 ID:zOboq8WN0
男「で、海に行くけど」
女「まあ、いいんだけど。寒いよ」
男「そう、だな。ま、ちょっとつきあってくれよ」
女「第一何をしに行くの。泳げないんじゃ、どうしようもないよ」
男「天体観測みたいな、そんな気分」
女「雲が出てると星、見られないよ」
男「ま、そうなんだけどさ・・・」
9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:57:19.29 ID:zOboq8WN0
男「たまに無性に海が見たくなることってないか」
女「わたしが生きてるうちは、まだ」
男「そうか・・・。そんな気分なんだよ」
女「わかったよ。行くよ」
男「そう。よかった」
女「誰も行かないとは、云ってないしね」
11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:02:03.80 ID:zOboq8WN0
男「行くにあたって、あの人を呼んでもいいか」
女「あの人って、だれ」
男「ほら、あの人だよ」
女「・・・ああ、ハルさんね」
男「そうそう」
女「ちゃんと名前で呼んであげれば?」
男「いいんだよ。あの人は」
12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:06:29.46 ID:zOboq8WN0
女「でも、あの人とかこの人、じゃわからないよ」
男「わかったじゃん」
女「そうなんだけど。可哀相じゃない」
男「いいよ。それにあの人、ハルさんって呼び名、あんまり好きじゃないみたいだしさ」
女「ああ、そうなの」
男「うん」
女「でも、ハルって、本名じゃない」
男「まあ、そうだな」
13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:11:44.06 ID:zOboq8WN0
女「変なあだ名を嫌うのはわかるけどさ」
男「本名が嫌いなんだろ。おばあさんみたいだって」
女「そうかな。かわいいと思うけど」
男「まあ、いい名前だよ」
女「それにハルさんはハルさんであって、本人がどう思ってるかなんて、わたしには関係ないよ」
男「なんかひどいこと言ってる気がするな」
女「もちろん悪口とかはだめだよ。でも好意をもったあだ名は受け止めてほしいな」
男「うん。云っておくよ」
女「うん」
15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:15:00.19 ID:zOboq8WN0
男「で、いいの。あの人は」
女「もちろん。でも、どうして?」
男「ほら、車とか」
女「ああ。いい加減免許とったら?」
男「免許とっても車がないだろ」
女「借りればいいじゃない。ハルさんにでも」
男「事故ったら殺されそうだから、いいよ」
女「まあ、大事そうにしてるもんね。車」
16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:23:17.34 ID:zOboq8WN0
男「じゃあ、明日。海に行くから」
女「うん。楽しみに、してるね」
男「ああ。まあ、わかった」
女「じゃあ、もう帰るよ。遅いから」
男「送っていかなくて、いいのか」
女「いいよ。そんな子ども扱いしなくても。近いからさ」
男「ああ。じゃあ、また」
女「バイバイ」
男「よし。あの人にメールするか」
男『明日、予定通り海へ。車おねがい』
晴『了解』
17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:25:53.09 ID:zOboq8WN0
翌日
女「寒いよ」
男「ああ」
女「すごく」
男「うん。そうだな」
女「ほんとに行くの」
男「行く。あの人にもそう云っちゃったから」
女「ああ、なんかやる気すごそう」
男「多分。暇だからな、あの人」
19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:33:19.46 ID:zOboq8WN0
男「あ、来たきた」
晴「ふう。お待たせ」
女「ハルさん、おはよう」
晴「おはよ。女ちゃん」
男「どうも」
晴「相変わらずそっけない男だね」
女「そうなの。なんとか云ってあげてよ」
晴「ま、それはもう、知ってるから」
男「ああ。助かります」
20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:39:10.64 ID:zOboq8WN0
晴『海に行く目的は、知らない振りでOkay?』
男『うん。そうしてもらえると、助かる』
晴「どうしてこんな寒い時期に海なんて行きたいかな」
男「まあ、気分だよ。気分」
晴「君の気分に振り回されるこっちの身にもなってよ。ねえ」
女「そうそう」
男「まあまあ。感謝してるよ」
晴「もっと態度で表してほしいね」
女「うん」
男「今度何かで返すから」
女「なに」
男「ファミチキ」
女「わたしは小学生なの・・・?」
22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:44:36.22 ID:zOboq8WN0
晴「私はLチキがいいね」
女「え、そこ?」
男「それは助かる。安いからな」
女「ちょっとちょっと。もっと違うことにして」
晴「日々生活苦に悩まされる私としては、Lチキでもすごくありがたい」
女「ハルさんにはわたしがLチキ買ってあげるから・・・」
23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:49:48.60 ID:zOboq8WN0
晴「まあ、冗談は置いておいてね」
女「ああ、冗談だったの」
晴「女ちゃんにはもっと優しくしてあげないと。逃げられちゃうよ?」
男「ククク、お前が俺から逃げられるかな・・・」
女「なによ、それ。いつだって逃げてあげるから」
晴「だって」
男「マジか・・・」
女「嘘よ、うそ。真に受けないで」
24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:55:37.92 ID:zOboq8WN0
晴「ええと。古賀浜でいいの」
男「ああ」
晴「まあ、他はどこも汚いからね。見るならあそこがいいよ」
女「なに、ハルさん。詳しいの」
晴「まあ、人並みには」
男「そう、何事も人並みを出ないんだ、この人は」
晴「女ちゃん、逃げた方がいいよ」
女「うん。意地悪だよね」
男「嘘だって。目には見えないものを持ってるよ、ハルさんは」
晴「その言い方もなんだか嫌な感じ・・・」
26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:14:15.33 ID:zOboq8WN0
女「なんか、わくわくするね。なんだか」
晴「そう?」
女「うん。この人、出不精だから」
晴「男くん。もっと女ちゃんを色んなところに連れてってあげてね」
男「例えば、どこ」
晴「いつものところ、とか」
女「ハルさん。それ、ラブホテル・・・」
男「さすがの俺も反応に困るな」
晴「いいじゃない。一発やってきなさいよ」
女「はあ。大人ってこんななのかしら」
28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:17:42.03 ID:zOboq8WN0
晴「はは。冗談じょうだん」
男「けっこう色々行ってるじゃん」
女「そう?」
男「映画なんて月一ペースじゃないか」
女「それは、わたしが好きだから」
晴「あ、私も行きたい」
女「今度ハルさんも、行こうね」
男「せめて上映中は黙ってて」
晴「それくらいわかってるってば」
29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:21:51.52 ID:zOboq8WN0
晴「映画かぁ」
女「ハルさんは、どんな映画が好きなの?」
晴「私は、サスペンスだね」
女「あ、わたしもわたしも」
晴「マイケル・クレイトンがマイフェイバリット」
女「あれは少し難しいかな」
男「俺はアクションがいいんだけどな」
晴「ふっ。ガキだな」
男「なんだと・・・」
30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:31:20.05 ID:zOboq8WN0
晴「私なんてアクション映画は高1で卒業したね」
男「アクションじゃないと映画館で観る意味ない」
晴「はあ、わかってないね。映画はね、雰囲気なの。音響や映像はその次なのよ」
男「ふざけろ。こちとら金払ってるんだぞ」
女「あー、もうどっちでもいいよ」
晴「映画館を出た後に景色が変わってるのがいいの」
女「それは、わかる」
男「この影響されやすい女ども。どうせあの小説だろう」
晴「くっ、ばれたか」
31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:34:18.02 ID:zOboq8WN0
女「もういいよ。この話は」
晴「あら、それじゃあどこにも連れてってもらえないわよ?」
女「全然関係ないじゃない」
晴「とにかく映画に行くときは私の意見も加味してね」
男「それじゃあ、あなたとは行けないな」
晴「けちな男ね」
男「何とでもいいなさい」
32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:39:50.36 ID:zOboq8WN0
女「本当に次はどうしようか」
晴「天体観測とかいいんじゃない」
男「おっ。わかるな」
晴「あのアニメに影響されたでしょ」
男「な、知ってたか」
晴「あんなこと言って、男くんもそんなものか」
男「いいだろ、別に何に影響されたって」
晴「もちろん。だから私たちもいいんだよ。ねえ」
女「うんうん」
男「わかったわかった」
33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:43:28.85 ID:zOboq8WN0
それで、海
女「わぁ、海だね」
晴「なんだかんだいって、うれしそうじゃない」
女「まあね。男の家より、いいよ」
男「おい。なんだその言い草」
女「ふふ」
晴「もっと近くで見てきたら?」
女「うん。そうする」
34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:46:17.44 ID:zOboq8WN0
男「今日はありがとな」
晴「うん。まあ、あなたたちのためなら、一肌脱ぐよ」
男「ああ」
晴「それにしてもいい子をつかまえたね」
男「ああ。いい、女だろ」
晴「うん。いい、子だね」
35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:51:34.32 ID:zOboq8WN0
晴「あなたたちを最初に見たときから、くっつくだろうって思ってたもの」
男「そう?」
晴「うん。そう。歳は少し違ったけどね」
男「そうだな」
晴「仲がいいのが目にとれたから」
男「そんなに仲良くしてた?」
晴「してたしてた。兄妹かと思ったよ」
男「それは仲がいい代名詞?」
晴「うん。違うね。どちらかといえば夫婦みたいというか。これは言い過ぎだね」
男「言い過ぎだよ」
晴「ふふ」
36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:55:39.40 ID:zOboq8WN0
男「今日さ、ノープランなんだ」
晴「ノープラン?」
男「そう」
晴「それは、困ったね」
男「だから、呼んだんだけど」
晴「前以て云ってくれないと」
男「悪い」
晴「まあ、そうだと思って手は打ってあるから」
男「へえ、さすが」
晴「だから安心して。ほら、女ちゃんのところへ行ってあげなよ」
男「ああ、そうする」
晴「うん。楽しんで」
37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:59:57.76 ID:zOboq8WN0
女「ほら、水が冷たい」
男「いいよ。ほんとに冷たいから」
女「ハルさんと何を話してたの?」
男「ん、まあ、ちょっと」
女「ちょっと」
男「うん」
女「わたしを棄てて、ハルさんに乗り換えるか」
男「そんなわけ、ないだろ」
女「冗談」
男「あの人はそれに、ほら。わけありだから」
女「うん。そうっぽいよね」
39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:12:32.36 ID:zOboq8WN0
女「あの人とさ、知り合いだったの」
男「なんで?」
女「わたしが初めて会った時からなんか、雰囲気出来てたよ」
男「うーん。ま、偶然だな」
女「そう?」
男「馬が合うというか。話し相手としてな」
女「うん。別に心配してないよ」
男「そっか」
40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:16:16.79 ID:zOboq8WN0
女「今日はさ」
男「ん?」
女「なんで海に行こうなんて云ってくれたの」
男「だから海が見たいんだって、いったろ」
女「でもさっきから海、見てないし」
男「う」
女「なんかあるんでしょう」
男「ないない。ほんとに」
女「ふうん」
41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:23:41.55 ID:zOboq8WN0
女「今日さ、わたしの誕生日なんだ。知ってた?」
男「それは、もちろん」
女「だからどうってことないけど」
男「うん」
女「あなたの誕生日にも、特に何もしてあげられなかったからね」
男「してくれたじゃん」
女「そうだったかしら」
男「裸セーター」
女「ああ、あれは、忘れて・・・」
42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:26:34.87 ID:zOboq8WN0
男「あれは、すごかったよ」
女「ハルさんがいうから、窮して」
男「俺、捕まるんじゃないかと思った」
女「まあ、あれで喜んでくれるなら、いつでもしてあげるよ」
男「じゃあ、今日も頼む」
女「それはイヤ」
43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:31:35.10 ID:zOboq8WN0
男「そうなんだ。お前の誕生日だから、海に」
女「それを隠そうとするのも変だけどね」
男「なんか大したことなくて、悪いな」
女「ううん。すごく、楽しい。ハルさんもいるし」
男「海が好きって前に云ってたからさ」
女「まあ、夏の、だけどね」
男「そうだよな。まあ、勘弁してくれよ」
女「もちろん。いいプレゼントだよ」
44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:35:48.22 ID:zOboq8WN0
男「何か買ってあげるにしても、わからなかったから」
女「うん。別にほしいものなんて、ないから」
男「だろうな」
女「ハードボイラーと呼んで」
男「それってさ、なんか変だよな。英語として」
女「語呂がいいからいいの」
男「それには同意するよ」
女「どうも」
45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:39:42.35 ID:zOboq8WN0
女「寒いよ」
男「ああ。そうだな」
女「すごくね、寒い」
男「うん」
女「波、すごいよ」
男「ああ、すごいな」
女「魚ってさ、可哀相だよね」
男「どうして?」
女「この景色を、見られないからさ」
男「ああ、うん」
46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:45:41.81 ID:zOboq8WN0
女「ハルさんハルさん」コンコン
晴「あれ、もう終わり?」
女「外は寒いよ。すごい暖房だね」
晴「寒いからね」
女「おなか減ったと思って」
晴「ああ。じゃあ、なんか食べに行こうか」
男「俺、ラーメン」
晴「はいはい、奢ってあげますよ。女ちゃんは、ラーメンでいい?」
女「うん。お願いします」
晴「うん。じゃあ、乗ってのって」
47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:47:51.77 ID:zOboq8WN0
女「この後はさ、どうするの」
晴「もう一度、海へ」
女「ええ、また?」
晴「私、よく見てないし」
女「さっき見ればよかったのに」
晴「なんかお二人、邪魔しちゃいけないと思って」
48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:53:10.62 ID:zOboq8WN0
女「別に、よかったのに。ねえ」
男「いや、よくない。あれを邪魔されちゃあ、もう」
女「はあ」
晴「なんかすごく卑猥な匂いがするね」
女「ラーメンの匂いでしょう。店員さんが見てるよ」
晴「二人にさ、見てほしい浜があるから」
男「そうそう」
女「そういうことなら、いいんだけど・・・」
49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:56:57.87 ID:zOboq8WN0
晴「このラーメン、ちょっと濃いね」
男「そうか?こんなもんだろ」
晴「なんというか、色んなものをぶち込んだ感じがするね」
女「ハルさん。聞こえるってば」
男「この脂っぽい感じがいいんだろ」
晴「レディーにはちときついね」
男「へえ、レディー」
晴「そうよ。悪い?」
男「別に。考えたら、ぎりぎり大丈夫だった」
50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 06:02:48.86 ID:zOboq8WN0
男「俺はラーメン屋はチャーハンで決めるから」
晴「ほう。じゃあ、持論をどうぞ」
男「チャーハンがうまいところはラーメンもうまい」
晴「それってさ、ラーメンがうまいからチャーハンがうまいんじゃないの」
男「いいや、違うな。全然違う」
晴「ふうん」
51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 06:10:05.12 ID:zOboq8WN0
男「チャーハンというのは料理の基本だ。君も男なら知っているだろう」
晴「いや、私女だし」
女「男のチャーハンは、おいしいよね。ちょっと硬いけど」
晴「女ちゃんがいうなら、マジか」
男「マジだ。つまりチャーハンがうまいというのは、基礎がしっかりしているということだ」
晴「少し早計な気がするけど」
女「まあ、思い込みの激しい性格だから」
晴「三つも年下の女の子に云われちゃったよ。どうする?」
男「俺はそんなの、まったく気にしない」
晴「その根性は、私も見習うわ」
66 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 13:56:46.36 ID:zOboq8WN0
>>65
いや、つうか。すまん
家族的問題で
晴「さっきぎりぎり大丈夫っていったけど」
男「ずいぶん戻ったな」
晴「それってさ、私となら寝られるってこと?」
男「まあ」
女「彼女が眼前にいます」
男「嘘うそ」
晴「まったくかわいいんだから。もう」
女「あの、バカにしないで」
67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:00:33.77 ID:zOboq8WN0
晴「それはね、節度はあるよ」
女「その節度、あなたの5パーセント」
晴「はは、ばれた?」
女「まったくもう」
男「俺はこんなおばん、相手にしないよ」
晴「あら、私がいくつか知ってるの」
男「29」
晴「わかって云ってるでしょ・・・」
68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:03:40.02 ID:zOboq8WN0
女「ほんとうはいくつだっけ」
晴「22です」
男「なんかすごく嘘臭く聞こえるのは、なんでだろう」
晴「あなたのせいよ」
女「22だったら、まだぴちぴちだよねえ」
男「ふっ、甘いな」
69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:09:21.08 ID:zOboq8WN0
男「ネットの世界では女の寿命は16、いって17までだ」
晴「な・・・に?」
女「いや、それロリコンでしょ」
男「ロリコンだとこれがもっと下がる」
晴「ということは旦那、そこの女子もそろそろ取って喰わねばならないのでは」
男「そうだ。もって来年だな」
女「本人を前にいわないでもらえますか。すごく、傷つく・・・」
70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:15:33.29 ID:zOboq8WN0
女「というか、取って喰うとか、やめて」
男「元はといえばあなたの話だろうが」
晴「ソーリーソーリー」
男「でも、そろそろかな」
女「人に旬なんてありません」
晴「もう腐ってきてたりして」
女「もう。店員が見てるよ。終ったなら、出ようよ」
晴「はいはい」
男「ああ、あなたはもう腐ってるからな」
晴「いわなくていいわよ、ばか」
72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:23:08.06 ID:zOboq8WN0
>>71
いや、なんか勘違いしてるぞ ただPCを占領されてただけだ
晴「ほんとは夕方に見るのがいいんだけど、ちょっと早いね」
男「寒いから、待てないよ」
晴「いいよ。別に大した違いじゃないし」
女「どうせなら、そっちの方が。ねえ」
晴「私も寒い中、待つのいやだわ」
女「この集団には情緒が足りてない気がするわ」
男「まあ、女がそっちの方がいいというなら、そうする」
女「あれ、めずらしい」
男「今日はお前の誕生日だし」
晴「ひゅーひゅー」
73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:27:20.42 ID:zOboq8WN0
後、保守ありがと
晴「じゃあ、車の中で寝て、待つとします」
男「暖房つけられないじゃん」
晴「それくらい我慢して」
女「なんかキャンプみたいで、楽しいよ」
晴「はっ、野獣に襲われるっ」
男「お断りします」
晴「乗りが悪いね」
男「あなたに乗りたくないから」
女「ちゃっかり乗ってるじゃないの・・・」
74 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:35:32.54 ID:zOboq8WN0
数時間後
女「起きて、ハルさん。起きて」
晴「はっ、何時?」
女「もう日が沈みかけてるよ。というか、涎出てる」
晴「はあ、危ないあぶない。男くん起こして」
女「ほら、男。起きて」
男「ん。ああ、よく寝たな」
晴「あなたのために一肌脱いでるのに」
女「ほら、夕日。綺麗だよ」
男「ああ。ほんとだな・・・」
75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:43:09.60 ID:zOboq8WN0
晴「じゃあ、若い二人で行ってらっしゃい」
女「ハルさんも行こうよ」
晴「ええ。寒いもん」
男「俺、ちょっと待ってるから、二人で行って来たら?」
女「それも、いいね」
晴「いいの」
男「まだ夕日が沈むまで時間あるだろ」
晴「じゃ、行ってくるね」
男「行ってらっしゃい」
晴「さあ、女ちゃん。夕日に向かってダッシュするんだ」
女「走るの疲れるから、いやだ」
男「なんだか、姉妹みたい」
76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:50:07.59 ID:zOboq8WN0
女「日、暮れちゃったね」
晴「はあ。これはなんというミスを。男くんと女ちゃんで楽しんでほしかったのに」
女「多分あの人、夕日とか興味ないから、いいよ」
晴「そうかしら。天体観測とか臭いこと云ってたけど」
女「一過性だから」
晴「ごめんね。女ちゃん」
女「別に、いいよ。ハルさんと見られて、よかった」
晴「うれしいこと、云ってくれるね」
女「ふふ」
77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:54:52.08 ID:zOboq8WN0
女「ハルさんってさ、何者なの?」
晴「それ、どういう意味?」
女「突然引っ越してきて」
晴「まあ、さすらいのカウガールってとこかな」
女「面白くない」
晴「あはは。だよね」
78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 15:00:02.37 ID:zOboq8WN0
晴「別に、ただあそこに引っ越して、住んでるだけだよ」
女「ほんとに?」
晴「逆にどうして、そう思うのか知りたいわ」
女「だってなんか、云って悪いけど、初めからすごく慣れなれしかったというか」
晴「ずいぶんストレートにいうね」
女「うん」
晴「それは、あれだよ。馬があったんだよ」
女「男もそういってた」
晴「奇遇ね」
79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 15:13:05.58 ID:zOboq8WN0
晴「ほんとうに、何もないよ。ただそういう、巡り合わせってやつ」
女「まあ、いいんだけどね。知り合えて、よかったから」
晴「うん。ありがと」
女「でも、下ネタが多いよ」
晴「ごめん。それは、善処するよ」
81 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 16:43:16.99 ID:zOboq8WN0
>>80
助かったよ
晴「こういうところにいるとさ、なんか話題がいつもと変わってくるよね」
女「いつも、どんな会話をしてたかしら」
晴「基本男くんの愚痴だね」
女「ふふ。別にいつものような下らないことでも、いいんだよ?」
晴「いいよ。たまには私の謎の過去について、話してもいいんじゃない」
女「だって、巡り合わせなんでしょう」
晴「まあ、そう思ってもらえると、助かるけどね」
女「はあ」
晴「ああ。嘘うそ」
82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 16:55:50.45 ID:zOboq8WN0
晴「人ってさ、思ってることの一割も話せてないと思うよ」
女「ふふ。まじめな話」
晴「まあね。だから、たまにこうして話すのが大切なんだと思うよ」
女「うん」
晴「私は友達が少ないから、特にね」
女「うそ」
晴「まあ、どうだろうね」
83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 16:59:54.52 ID:zOboq8WN0
晴「ほら、月が昇ってるよ」
女「海岸と、反対側だけどね」
晴「そろそろ男くんと交代しようかな」
女「別に、ハルさんもいて。ね?」
晴「ああ、うん。特に何も考えは、ないよ」
女「私の誕生日なんだって」
晴「まるで他人事だね」
女「歳をとるのは、嫌いだから」
84 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:04:40.18 ID:zOboq8WN0
晴「じゃあ、男くん、呼んでくるから。待ってて」
女「うん」
晴「男くん、行こうよ」
男「ああ。大分待ったよ。日も暮れたし」
晴「ほら、これ持って」
男「なに、これ」
晴「ほら」
男「うわ。なんでこんなもん、持ってるの」
晴「私に任せてって云ったでしょう」
男「どうしたの、これ」
晴「あなたのお兄さんに、ね」
男「いいの」
晴「まあ、もう使わないでしょう」
85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:07:49.06 ID:zOboq8WN0
男「悪いよ」
晴「いいってば。それにあげるわけじゃないよ」
男「は?」
晴「返してね。もちろん、違うもので代えても、いいよ」
男「ああ・・・。うん」
晴「じゃあ、ほら。行ってきなさい」
男「恩に着るよ」
晴「ふふ。この恩、忘れないでね」
86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:11:15.16 ID:zOboq8WN0
男「お待たせ」
晴「どうも」
女「うん」
晴「でも、日も暮れたし、面白くないね」
女「おまけに、寒いよ」
晴「寒いが口癖みたいだね」
女「だって、ほんとうに寒いもの」
87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:13:49.73 ID:zOboq8WN0
女「でも、夜の海岸、わくわくするよ」
晴「うん、そうだね」
女「どうしたの男。黙りこくって」
男「ああ、いや」
女「なによ」
晴「男くんはね、女ちゃんに云いたいことがあるんだよね」
男「ああ、うん」
女「へえ」
88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:16:08.57 ID:zOboq8WN0
女「誕生日おめでとう、とかだったら、もう間に合ってるよ」
男「いや、違うんだ」
女「じゃあ、何よ」
晴「男くん、頑張って」
男「うん・・・」
89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:18:55.49 ID:zOboq8WN0 [64/65]
男「まずこれを受け取って」
女「なに。この、小さな桐の箱」
男「ああ、まだ開けるな」
女「あ、うん」
晴「男くん、頑張ってー」
男「うるさい。少し黙って」
晴「はい・・・」
90 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:24:53.29 ID:zOboq8WN0 [65/65]
男「お前がさ、俺の家の向かいに住んでいなかったら」
女「どうしたの、急に」
男「どうなったんだろうなって」
女「さあ・・・。わからない」
男「会いもできなかったんじゃないかって」
女「ああ。うん」
男「俺はすごく運がよかったんだって、思うよ」
93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/28(日) 18:06:20.18 ID:dCcAhzy00 [4/16]
女「運ねえ」
男「不満そうだな」
女「だって、嫌いだもの」
男「そう」
女「運ってなんでも解決してくれるから」
男「まあ、そうだけど」
94 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/28(日) 18:23:44.74 ID:dCcAhzy00 [5/16]
男「たまには、いいんじゃないか」
女「巡り合わせってやつ?」
男「あー、うん」
女「ハルさんも同じこと云ってたよ?」
男「それは、同じ人間に影響されたから・・・」
女「はい?」
男「いや、こっちの話」
97 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:01:04.31 ID:dCcAhzy00 [6/16]
女「もしも、わたしたちの家が向かい同士じゃなくても」
女「わたしたちなら、出会えてたと思うよ」
男「そう、かな」
女「そうだよ。多分、もっとドラマチックな出会いをしたね」
男「例えば?」
女「今日、この場所のような」
男「うん」
女「夕日を眺めるわたしに、もう暮れちゃったけど」
女「話しかけるの。男が。そこの美しい女性ってね」
男「ああ、そうだろうよ」
98 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:07:01.34 ID:dCcAhzy00 [7/16]
女「じゃあ、今日はもう帰ろ?ハルさん、あんなに縮んでるし」
男「ああ、ちょっと待って」
晴「頑張って」
男「ふう」
女「なに。早くしてよ。寒いから」
99 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:13:02.58 ID:dCcAhzy00 [8/16]
男「け、」
女「け?」
男「け、」
女「け?」
男「け、」
女「け?」
晴「早く云いなさいよ。はやく」
100 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:17:05.87 ID:dCcAhzy00 [9/16]
男「結婚して、ちょっ」
晴「あ、噛んだ」
男「結婚してけれ」
晴「また噛んだぞ」
女「はい?」
男「結婚・・・」
101 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:21:51.87 ID:dCcAhzy00 [10/16]
女「この箱って。ああ、指輪。へえ」
男「して、くれないか・・・」
女「ふうん」
男「・・・」
晴「私は一体、どんな顔をしてればいいのかしら」
102 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:26:38.76 ID:dCcAhzy00 [11/16]
女「ハルさん」
晴「はい?」
女「ハルさんでしょう。こんなものをあげたのは」
晴「は、はい」
女「こんな大切なものを易々と人にあげてはいけません」
晴「はい・・・」
女「ということで、これはお返しします」
103 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:33:08.67 ID:dCcAhzy00 [12/16]
女「それから男」
男「は、はっ」
女「あんなものを簡単にもらったらだめだよ。例え、ハルさんでもさ」
男「うん・・・」
女「それから返事のことだけど」
105 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 20:09:06.09 ID:dCcAhzy00 [13/16]
女「わたし、今何歳か知ってる?」
男「あ、ああ」
女「わたしさ、16なんだ」
男「うん」
女「ちょっと、早いよね」
107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 20:13:55.71 ID:dCcAhzy00 [14/16]
女「別に世間体どうこうって話じゃなくて」
女「一応、高校だって通ってるしね」
女「まあ、学校やめて結婚するっていうのも、なかなか面白そうだけど」
女「でも、やっぱり早いよ」
女「もう少し、時間がほしい」
108 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 20:20:51.82 ID:dCcAhzy00 [15/16]
女「未来のことはわからなくて」
女「男がわたしのことを嫌いになる日も、来るかもしれない」
女「でもわたしは、自信あるから」
男「何の」
女「5年後でも、男のことを結婚したいくらい好きでいるって」
女「だからね、つまり・・・」
109 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 20:29:51.08 ID:dCcAhzy00 [16/16]
女「わたしと結婚するなんて、5年早い」
女「5年経ってから、出直して」
男「・・・」
晴「・・・」
男「なんか、うまくはぐらかされた気がする」
晴「ま、いいんじゃない」
おわり
女「なんで行きたいの」
男「海が見たいんだ」
女「へえ」
男「うん」
女「ま、いいけどさ」
男「お、いいのか」
女「でも、水着は着ないからね」
男「あ、ああ。そんなの、わかってるよ」
3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:40:03.24 ID:zOboq8WN0 [3/65]
女「水着姿が見たいとか、そういうのじゃないの」
男「まあ、少しは見たいと思うけど」
女「だったら温水プールでも行こうか」
男「いや、海がいいんだ」
女「ああ、そう」
4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:42:41.33 ID:zOboq8WN0
男「というか、見たことなかったっけ」
女「まあ、中学のスクール水着とかならあったかもね」
男「ああ、だめだ。そんなの違う」
女「そうなの。そういうのが好きな人もいるって聞くけど」
男「俺は、違うよ」
女「そう。なら、よかった」
6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:47:30.49 ID:zOboq8WN0
女「なんならここで見せてあげようか。水着」
男「は、いいのか」
女「あー、やっぱりだめだね」
男「どうして」
女「家まで水着を取りに行くのが面倒、というか、やっぱり夏がいいよ」
男「そうか・・・。なら我慢するよ」
女「うん。楽しみに、ね」
8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:54:06.23 ID:zOboq8WN0
男「で、海に行くけど」
女「まあ、いいんだけど。寒いよ」
男「そう、だな。ま、ちょっとつきあってくれよ」
女「第一何をしに行くの。泳げないんじゃ、どうしようもないよ」
男「天体観測みたいな、そんな気分」
女「雲が出てると星、見られないよ」
男「ま、そうなんだけどさ・・・」
9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:57:19.29 ID:zOboq8WN0
男「たまに無性に海が見たくなることってないか」
女「わたしが生きてるうちは、まだ」
男「そうか・・・。そんな気分なんだよ」
女「わかったよ。行くよ」
男「そう。よかった」
女「誰も行かないとは、云ってないしね」
11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:02:03.80 ID:zOboq8WN0
男「行くにあたって、あの人を呼んでもいいか」
女「あの人って、だれ」
男「ほら、あの人だよ」
女「・・・ああ、ハルさんね」
男「そうそう」
女「ちゃんと名前で呼んであげれば?」
男「いいんだよ。あの人は」
12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:06:29.46 ID:zOboq8WN0
女「でも、あの人とかこの人、じゃわからないよ」
男「わかったじゃん」
女「そうなんだけど。可哀相じゃない」
男「いいよ。それにあの人、ハルさんって呼び名、あんまり好きじゃないみたいだしさ」
女「ああ、そうなの」
男「うん」
女「でも、ハルって、本名じゃない」
男「まあ、そうだな」
13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:11:44.06 ID:zOboq8WN0
女「変なあだ名を嫌うのはわかるけどさ」
男「本名が嫌いなんだろ。おばあさんみたいだって」
女「そうかな。かわいいと思うけど」
男「まあ、いい名前だよ」
女「それにハルさんはハルさんであって、本人がどう思ってるかなんて、わたしには関係ないよ」
男「なんかひどいこと言ってる気がするな」
女「もちろん悪口とかはだめだよ。でも好意をもったあだ名は受け止めてほしいな」
男「うん。云っておくよ」
女「うん」
15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:15:00.19 ID:zOboq8WN0
男「で、いいの。あの人は」
女「もちろん。でも、どうして?」
男「ほら、車とか」
女「ああ。いい加減免許とったら?」
男「免許とっても車がないだろ」
女「借りればいいじゃない。ハルさんにでも」
男「事故ったら殺されそうだから、いいよ」
女「まあ、大事そうにしてるもんね。車」
16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:23:17.34 ID:zOboq8WN0
男「じゃあ、明日。海に行くから」
女「うん。楽しみに、してるね」
男「ああ。まあ、わかった」
女「じゃあ、もう帰るよ。遅いから」
男「送っていかなくて、いいのか」
女「いいよ。そんな子ども扱いしなくても。近いからさ」
男「ああ。じゃあ、また」
女「バイバイ」
男「よし。あの人にメールするか」
男『明日、予定通り海へ。車おねがい』
晴『了解』
17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:25:53.09 ID:zOboq8WN0
翌日
女「寒いよ」
男「ああ」
女「すごく」
男「うん。そうだな」
女「ほんとに行くの」
男「行く。あの人にもそう云っちゃったから」
女「ああ、なんかやる気すごそう」
男「多分。暇だからな、あの人」
19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:33:19.46 ID:zOboq8WN0
男「あ、来たきた」
晴「ふう。お待たせ」
女「ハルさん、おはよう」
晴「おはよ。女ちゃん」
男「どうも」
晴「相変わらずそっけない男だね」
女「そうなの。なんとか云ってあげてよ」
晴「ま、それはもう、知ってるから」
男「ああ。助かります」
20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:39:10.64 ID:zOboq8WN0
晴『海に行く目的は、知らない振りでOkay?』
男『うん。そうしてもらえると、助かる』
晴「どうしてこんな寒い時期に海なんて行きたいかな」
男「まあ、気分だよ。気分」
晴「君の気分に振り回されるこっちの身にもなってよ。ねえ」
女「そうそう」
男「まあまあ。感謝してるよ」
晴「もっと態度で表してほしいね」
女「うん」
男「今度何かで返すから」
女「なに」
男「ファミチキ」
女「わたしは小学生なの・・・?」
22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:44:36.22 ID:zOboq8WN0
晴「私はLチキがいいね」
女「え、そこ?」
男「それは助かる。安いからな」
女「ちょっとちょっと。もっと違うことにして」
晴「日々生活苦に悩まされる私としては、Lチキでもすごくありがたい」
女「ハルさんにはわたしがLチキ買ってあげるから・・・」
23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:49:48.60 ID:zOboq8WN0
晴「まあ、冗談は置いておいてね」
女「ああ、冗談だったの」
晴「女ちゃんにはもっと優しくしてあげないと。逃げられちゃうよ?」
男「ククク、お前が俺から逃げられるかな・・・」
女「なによ、それ。いつだって逃げてあげるから」
晴「だって」
男「マジか・・・」
女「嘘よ、うそ。真に受けないで」
24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:55:37.92 ID:zOboq8WN0
晴「ええと。古賀浜でいいの」
男「ああ」
晴「まあ、他はどこも汚いからね。見るならあそこがいいよ」
女「なに、ハルさん。詳しいの」
晴「まあ、人並みには」
男「そう、何事も人並みを出ないんだ、この人は」
晴「女ちゃん、逃げた方がいいよ」
女「うん。意地悪だよね」
男「嘘だって。目には見えないものを持ってるよ、ハルさんは」
晴「その言い方もなんだか嫌な感じ・・・」
26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:14:15.33 ID:zOboq8WN0
女「なんか、わくわくするね。なんだか」
晴「そう?」
女「うん。この人、出不精だから」
晴「男くん。もっと女ちゃんを色んなところに連れてってあげてね」
男「例えば、どこ」
晴「いつものところ、とか」
女「ハルさん。それ、ラブホテル・・・」
男「さすがの俺も反応に困るな」
晴「いいじゃない。一発やってきなさいよ」
女「はあ。大人ってこんななのかしら」
28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:17:42.03 ID:zOboq8WN0
晴「はは。冗談じょうだん」
男「けっこう色々行ってるじゃん」
女「そう?」
男「映画なんて月一ペースじゃないか」
女「それは、わたしが好きだから」
晴「あ、私も行きたい」
女「今度ハルさんも、行こうね」
男「せめて上映中は黙ってて」
晴「それくらいわかってるってば」
29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:21:51.52 ID:zOboq8WN0
晴「映画かぁ」
女「ハルさんは、どんな映画が好きなの?」
晴「私は、サスペンスだね」
女「あ、わたしもわたしも」
晴「マイケル・クレイトンがマイフェイバリット」
女「あれは少し難しいかな」
男「俺はアクションがいいんだけどな」
晴「ふっ。ガキだな」
男「なんだと・・・」
30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:31:20.05 ID:zOboq8WN0
晴「私なんてアクション映画は高1で卒業したね」
男「アクションじゃないと映画館で観る意味ない」
晴「はあ、わかってないね。映画はね、雰囲気なの。音響や映像はその次なのよ」
男「ふざけろ。こちとら金払ってるんだぞ」
女「あー、もうどっちでもいいよ」
晴「映画館を出た後に景色が変わってるのがいいの」
女「それは、わかる」
男「この影響されやすい女ども。どうせあの小説だろう」
晴「くっ、ばれたか」
31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:34:18.02 ID:zOboq8WN0
女「もういいよ。この話は」
晴「あら、それじゃあどこにも連れてってもらえないわよ?」
女「全然関係ないじゃない」
晴「とにかく映画に行くときは私の意見も加味してね」
男「それじゃあ、あなたとは行けないな」
晴「けちな男ね」
男「何とでもいいなさい」
32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:39:50.36 ID:zOboq8WN0
女「本当に次はどうしようか」
晴「天体観測とかいいんじゃない」
男「おっ。わかるな」
晴「あのアニメに影響されたでしょ」
男「な、知ってたか」
晴「あんなこと言って、男くんもそんなものか」
男「いいだろ、別に何に影響されたって」
晴「もちろん。だから私たちもいいんだよ。ねえ」
女「うんうん」
男「わかったわかった」
33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:43:28.85 ID:zOboq8WN0
それで、海
女「わぁ、海だね」
晴「なんだかんだいって、うれしそうじゃない」
女「まあね。男の家より、いいよ」
男「おい。なんだその言い草」
女「ふふ」
晴「もっと近くで見てきたら?」
女「うん。そうする」
34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:46:17.44 ID:zOboq8WN0
男「今日はありがとな」
晴「うん。まあ、あなたたちのためなら、一肌脱ぐよ」
男「ああ」
晴「それにしてもいい子をつかまえたね」
男「ああ。いい、女だろ」
晴「うん。いい、子だね」
35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:51:34.32 ID:zOboq8WN0
晴「あなたたちを最初に見たときから、くっつくだろうって思ってたもの」
男「そう?」
晴「うん。そう。歳は少し違ったけどね」
男「そうだな」
晴「仲がいいのが目にとれたから」
男「そんなに仲良くしてた?」
晴「してたしてた。兄妹かと思ったよ」
男「それは仲がいい代名詞?」
晴「うん。違うね。どちらかといえば夫婦みたいというか。これは言い過ぎだね」
男「言い過ぎだよ」
晴「ふふ」
36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:55:39.40 ID:zOboq8WN0
男「今日さ、ノープランなんだ」
晴「ノープラン?」
男「そう」
晴「それは、困ったね」
男「だから、呼んだんだけど」
晴「前以て云ってくれないと」
男「悪い」
晴「まあ、そうだと思って手は打ってあるから」
男「へえ、さすが」
晴「だから安心して。ほら、女ちゃんのところへ行ってあげなよ」
男「ああ、そうする」
晴「うん。楽しんで」
37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 04:59:57.76 ID:zOboq8WN0
女「ほら、水が冷たい」
男「いいよ。ほんとに冷たいから」
女「ハルさんと何を話してたの?」
男「ん、まあ、ちょっと」
女「ちょっと」
男「うん」
女「わたしを棄てて、ハルさんに乗り換えるか」
男「そんなわけ、ないだろ」
女「冗談」
男「あの人はそれに、ほら。わけありだから」
女「うん。そうっぽいよね」
39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:12:32.36 ID:zOboq8WN0
女「あの人とさ、知り合いだったの」
男「なんで?」
女「わたしが初めて会った時からなんか、雰囲気出来てたよ」
男「うーん。ま、偶然だな」
女「そう?」
男「馬が合うというか。話し相手としてな」
女「うん。別に心配してないよ」
男「そっか」
40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:16:16.79 ID:zOboq8WN0
女「今日はさ」
男「ん?」
女「なんで海に行こうなんて云ってくれたの」
男「だから海が見たいんだって、いったろ」
女「でもさっきから海、見てないし」
男「う」
女「なんかあるんでしょう」
男「ないない。ほんとに」
女「ふうん」
41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:23:41.55 ID:zOboq8WN0
女「今日さ、わたしの誕生日なんだ。知ってた?」
男「それは、もちろん」
女「だからどうってことないけど」
男「うん」
女「あなたの誕生日にも、特に何もしてあげられなかったからね」
男「してくれたじゃん」
女「そうだったかしら」
男「裸セーター」
女「ああ、あれは、忘れて・・・」
42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:26:34.87 ID:zOboq8WN0
男「あれは、すごかったよ」
女「ハルさんがいうから、窮して」
男「俺、捕まるんじゃないかと思った」
女「まあ、あれで喜んでくれるなら、いつでもしてあげるよ」
男「じゃあ、今日も頼む」
女「それはイヤ」
43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:31:35.10 ID:zOboq8WN0
男「そうなんだ。お前の誕生日だから、海に」
女「それを隠そうとするのも変だけどね」
男「なんか大したことなくて、悪いな」
女「ううん。すごく、楽しい。ハルさんもいるし」
男「海が好きって前に云ってたからさ」
女「まあ、夏の、だけどね」
男「そうだよな。まあ、勘弁してくれよ」
女「もちろん。いいプレゼントだよ」
44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:35:48.22 ID:zOboq8WN0
男「何か買ってあげるにしても、わからなかったから」
女「うん。別にほしいものなんて、ないから」
男「だろうな」
女「ハードボイラーと呼んで」
男「それってさ、なんか変だよな。英語として」
女「語呂がいいからいいの」
男「それには同意するよ」
女「どうも」
45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:39:42.35 ID:zOboq8WN0
女「寒いよ」
男「ああ。そうだな」
女「すごくね、寒い」
男「うん」
女「波、すごいよ」
男「ああ、すごいな」
女「魚ってさ、可哀相だよね」
男「どうして?」
女「この景色を、見られないからさ」
男「ああ、うん」
46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:45:41.81 ID:zOboq8WN0
女「ハルさんハルさん」コンコン
晴「あれ、もう終わり?」
女「外は寒いよ。すごい暖房だね」
晴「寒いからね」
女「おなか減ったと思って」
晴「ああ。じゃあ、なんか食べに行こうか」
男「俺、ラーメン」
晴「はいはい、奢ってあげますよ。女ちゃんは、ラーメンでいい?」
女「うん。お願いします」
晴「うん。じゃあ、乗ってのって」
47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:47:51.77 ID:zOboq8WN0
女「この後はさ、どうするの」
晴「もう一度、海へ」
女「ええ、また?」
晴「私、よく見てないし」
女「さっき見ればよかったのに」
晴「なんかお二人、邪魔しちゃいけないと思って」
48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:53:10.62 ID:zOboq8WN0
女「別に、よかったのに。ねえ」
男「いや、よくない。あれを邪魔されちゃあ、もう」
女「はあ」
晴「なんかすごく卑猥な匂いがするね」
女「ラーメンの匂いでしょう。店員さんが見てるよ」
晴「二人にさ、見てほしい浜があるから」
男「そうそう」
女「そういうことなら、いいんだけど・・・」
49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 05:56:57.87 ID:zOboq8WN0
晴「このラーメン、ちょっと濃いね」
男「そうか?こんなもんだろ」
晴「なんというか、色んなものをぶち込んだ感じがするね」
女「ハルさん。聞こえるってば」
男「この脂っぽい感じがいいんだろ」
晴「レディーにはちときついね」
男「へえ、レディー」
晴「そうよ。悪い?」
男「別に。考えたら、ぎりぎり大丈夫だった」
50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 06:02:48.86 ID:zOboq8WN0
男「俺はラーメン屋はチャーハンで決めるから」
晴「ほう。じゃあ、持論をどうぞ」
男「チャーハンがうまいところはラーメンもうまい」
晴「それってさ、ラーメンがうまいからチャーハンがうまいんじゃないの」
男「いいや、違うな。全然違う」
晴「ふうん」
51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 06:10:05.12 ID:zOboq8WN0
男「チャーハンというのは料理の基本だ。君も男なら知っているだろう」
晴「いや、私女だし」
女「男のチャーハンは、おいしいよね。ちょっと硬いけど」
晴「女ちゃんがいうなら、マジか」
男「マジだ。つまりチャーハンがうまいというのは、基礎がしっかりしているということだ」
晴「少し早計な気がするけど」
女「まあ、思い込みの激しい性格だから」
晴「三つも年下の女の子に云われちゃったよ。どうする?」
男「俺はそんなの、まったく気にしない」
晴「その根性は、私も見習うわ」
66 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 13:56:46.36 ID:zOboq8WN0
>>65
いや、つうか。すまん
家族的問題で
晴「さっきぎりぎり大丈夫っていったけど」
男「ずいぶん戻ったな」
晴「それってさ、私となら寝られるってこと?」
男「まあ」
女「彼女が眼前にいます」
男「嘘うそ」
晴「まったくかわいいんだから。もう」
女「あの、バカにしないで」
67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:00:33.77 ID:zOboq8WN0
晴「それはね、節度はあるよ」
女「その節度、あなたの5パーセント」
晴「はは、ばれた?」
女「まったくもう」
男「俺はこんなおばん、相手にしないよ」
晴「あら、私がいくつか知ってるの」
男「29」
晴「わかって云ってるでしょ・・・」
68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:03:40.02 ID:zOboq8WN0
女「ほんとうはいくつだっけ」
晴「22です」
男「なんかすごく嘘臭く聞こえるのは、なんでだろう」
晴「あなたのせいよ」
女「22だったら、まだぴちぴちだよねえ」
男「ふっ、甘いな」
69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:09:21.08 ID:zOboq8WN0
男「ネットの世界では女の寿命は16、いって17までだ」
晴「な・・・に?」
女「いや、それロリコンでしょ」
男「ロリコンだとこれがもっと下がる」
晴「ということは旦那、そこの女子もそろそろ取って喰わねばならないのでは」
男「そうだ。もって来年だな」
女「本人を前にいわないでもらえますか。すごく、傷つく・・・」
70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:15:33.29 ID:zOboq8WN0
女「というか、取って喰うとか、やめて」
男「元はといえばあなたの話だろうが」
晴「ソーリーソーリー」
男「でも、そろそろかな」
女「人に旬なんてありません」
晴「もう腐ってきてたりして」
女「もう。店員が見てるよ。終ったなら、出ようよ」
晴「はいはい」
男「ああ、あなたはもう腐ってるからな」
晴「いわなくていいわよ、ばか」
72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:23:08.06 ID:zOboq8WN0
>>71
いや、なんか勘違いしてるぞ ただPCを占領されてただけだ
晴「ほんとは夕方に見るのがいいんだけど、ちょっと早いね」
男「寒いから、待てないよ」
晴「いいよ。別に大した違いじゃないし」
女「どうせなら、そっちの方が。ねえ」
晴「私も寒い中、待つのいやだわ」
女「この集団には情緒が足りてない気がするわ」
男「まあ、女がそっちの方がいいというなら、そうする」
女「あれ、めずらしい」
男「今日はお前の誕生日だし」
晴「ひゅーひゅー」
73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:27:20.42 ID:zOboq8WN0
後、保守ありがと
晴「じゃあ、車の中で寝て、待つとします」
男「暖房つけられないじゃん」
晴「それくらい我慢して」
女「なんかキャンプみたいで、楽しいよ」
晴「はっ、野獣に襲われるっ」
男「お断りします」
晴「乗りが悪いね」
男「あなたに乗りたくないから」
女「ちゃっかり乗ってるじゃないの・・・」
74 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:35:32.54 ID:zOboq8WN0
数時間後
女「起きて、ハルさん。起きて」
晴「はっ、何時?」
女「もう日が沈みかけてるよ。というか、涎出てる」
晴「はあ、危ないあぶない。男くん起こして」
女「ほら、男。起きて」
男「ん。ああ、よく寝たな」
晴「あなたのために一肌脱いでるのに」
女「ほら、夕日。綺麗だよ」
男「ああ。ほんとだな・・・」
75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:43:09.60 ID:zOboq8WN0
晴「じゃあ、若い二人で行ってらっしゃい」
女「ハルさんも行こうよ」
晴「ええ。寒いもん」
男「俺、ちょっと待ってるから、二人で行って来たら?」
女「それも、いいね」
晴「いいの」
男「まだ夕日が沈むまで時間あるだろ」
晴「じゃ、行ってくるね」
男「行ってらっしゃい」
晴「さあ、女ちゃん。夕日に向かってダッシュするんだ」
女「走るの疲れるから、いやだ」
男「なんだか、姉妹みたい」
76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:50:07.59 ID:zOboq8WN0
女「日、暮れちゃったね」
晴「はあ。これはなんというミスを。男くんと女ちゃんで楽しんでほしかったのに」
女「多分あの人、夕日とか興味ないから、いいよ」
晴「そうかしら。天体観測とか臭いこと云ってたけど」
女「一過性だから」
晴「ごめんね。女ちゃん」
女「別に、いいよ。ハルさんと見られて、よかった」
晴「うれしいこと、云ってくれるね」
女「ふふ」
77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 14:54:52.08 ID:zOboq8WN0
女「ハルさんってさ、何者なの?」
晴「それ、どういう意味?」
女「突然引っ越してきて」
晴「まあ、さすらいのカウガールってとこかな」
女「面白くない」
晴「あはは。だよね」
78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 15:00:02.37 ID:zOboq8WN0
晴「別に、ただあそこに引っ越して、住んでるだけだよ」
女「ほんとに?」
晴「逆にどうして、そう思うのか知りたいわ」
女「だってなんか、云って悪いけど、初めからすごく慣れなれしかったというか」
晴「ずいぶんストレートにいうね」
女「うん」
晴「それは、あれだよ。馬があったんだよ」
女「男もそういってた」
晴「奇遇ね」
79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 15:13:05.58 ID:zOboq8WN0
晴「ほんとうに、何もないよ。ただそういう、巡り合わせってやつ」
女「まあ、いいんだけどね。知り合えて、よかったから」
晴「うん。ありがと」
女「でも、下ネタが多いよ」
晴「ごめん。それは、善処するよ」
81 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 16:43:16.99 ID:zOboq8WN0
>>80
助かったよ
晴「こういうところにいるとさ、なんか話題がいつもと変わってくるよね」
女「いつも、どんな会話をしてたかしら」
晴「基本男くんの愚痴だね」
女「ふふ。別にいつものような下らないことでも、いいんだよ?」
晴「いいよ。たまには私の謎の過去について、話してもいいんじゃない」
女「だって、巡り合わせなんでしょう」
晴「まあ、そう思ってもらえると、助かるけどね」
女「はあ」
晴「ああ。嘘うそ」
82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 16:55:50.45 ID:zOboq8WN0
晴「人ってさ、思ってることの一割も話せてないと思うよ」
女「ふふ。まじめな話」
晴「まあね。だから、たまにこうして話すのが大切なんだと思うよ」
女「うん」
晴「私は友達が少ないから、特にね」
女「うそ」
晴「まあ、どうだろうね」
83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 16:59:54.52 ID:zOboq8WN0
晴「ほら、月が昇ってるよ」
女「海岸と、反対側だけどね」
晴「そろそろ男くんと交代しようかな」
女「別に、ハルさんもいて。ね?」
晴「ああ、うん。特に何も考えは、ないよ」
女「私の誕生日なんだって」
晴「まるで他人事だね」
女「歳をとるのは、嫌いだから」
84 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:04:40.18 ID:zOboq8WN0
晴「じゃあ、男くん、呼んでくるから。待ってて」
女「うん」
晴「男くん、行こうよ」
男「ああ。大分待ったよ。日も暮れたし」
晴「ほら、これ持って」
男「なに、これ」
晴「ほら」
男「うわ。なんでこんなもん、持ってるの」
晴「私に任せてって云ったでしょう」
男「どうしたの、これ」
晴「あなたのお兄さんに、ね」
男「いいの」
晴「まあ、もう使わないでしょう」
85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:07:49.06 ID:zOboq8WN0
男「悪いよ」
晴「いいってば。それにあげるわけじゃないよ」
男「は?」
晴「返してね。もちろん、違うもので代えても、いいよ」
男「ああ・・・。うん」
晴「じゃあ、ほら。行ってきなさい」
男「恩に着るよ」
晴「ふふ。この恩、忘れないでね」
86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:11:15.16 ID:zOboq8WN0
男「お待たせ」
晴「どうも」
女「うん」
晴「でも、日も暮れたし、面白くないね」
女「おまけに、寒いよ」
晴「寒いが口癖みたいだね」
女「だって、ほんとうに寒いもの」
87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:13:49.73 ID:zOboq8WN0
女「でも、夜の海岸、わくわくするよ」
晴「うん、そうだね」
女「どうしたの男。黙りこくって」
男「ああ、いや」
女「なによ」
晴「男くんはね、女ちゃんに云いたいことがあるんだよね」
男「ああ、うん」
女「へえ」
88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:16:08.57 ID:zOboq8WN0
女「誕生日おめでとう、とかだったら、もう間に合ってるよ」
男「いや、違うんだ」
女「じゃあ、何よ」
晴「男くん、頑張って」
男「うん・・・」
89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:18:55.49 ID:zOboq8WN0 [64/65]
男「まずこれを受け取って」
女「なに。この、小さな桐の箱」
男「ああ、まだ開けるな」
女「あ、うん」
晴「男くん、頑張ってー」
男「うるさい。少し黙って」
晴「はい・・・」
90 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 17:24:53.29 ID:zOboq8WN0 [65/65]
男「お前がさ、俺の家の向かいに住んでいなかったら」
女「どうしたの、急に」
男「どうなったんだろうなって」
女「さあ・・・。わからない」
男「会いもできなかったんじゃないかって」
女「ああ。うん」
男「俺はすごく運がよかったんだって、思うよ」
93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/28(日) 18:06:20.18 ID:dCcAhzy00 [4/16]
女「運ねえ」
男「不満そうだな」
女「だって、嫌いだもの」
男「そう」
女「運ってなんでも解決してくれるから」
男「まあ、そうだけど」
94 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/28(日) 18:23:44.74 ID:dCcAhzy00 [5/16]
男「たまには、いいんじゃないか」
女「巡り合わせってやつ?」
男「あー、うん」
女「ハルさんも同じこと云ってたよ?」
男「それは、同じ人間に影響されたから・・・」
女「はい?」
男「いや、こっちの話」
97 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:01:04.31 ID:dCcAhzy00 [6/16]
女「もしも、わたしたちの家が向かい同士じゃなくても」
女「わたしたちなら、出会えてたと思うよ」
男「そう、かな」
女「そうだよ。多分、もっとドラマチックな出会いをしたね」
男「例えば?」
女「今日、この場所のような」
男「うん」
女「夕日を眺めるわたしに、もう暮れちゃったけど」
女「話しかけるの。男が。そこの美しい女性ってね」
男「ああ、そうだろうよ」
98 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:07:01.34 ID:dCcAhzy00 [7/16]
女「じゃあ、今日はもう帰ろ?ハルさん、あんなに縮んでるし」
男「ああ、ちょっと待って」
晴「頑張って」
男「ふう」
女「なに。早くしてよ。寒いから」
99 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:13:02.58 ID:dCcAhzy00 [8/16]
男「け、」
女「け?」
男「け、」
女「け?」
男「け、」
女「け?」
晴「早く云いなさいよ。はやく」
100 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:17:05.87 ID:dCcAhzy00 [9/16]
男「結婚して、ちょっ」
晴「あ、噛んだ」
男「結婚してけれ」
晴「また噛んだぞ」
女「はい?」
男「結婚・・・」
101 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:21:51.87 ID:dCcAhzy00 [10/16]
女「この箱って。ああ、指輪。へえ」
男「して、くれないか・・・」
女「ふうん」
男「・・・」
晴「私は一体、どんな顔をしてればいいのかしら」
102 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:26:38.76 ID:dCcAhzy00 [11/16]
女「ハルさん」
晴「はい?」
女「ハルさんでしょう。こんなものをあげたのは」
晴「は、はい」
女「こんな大切なものを易々と人にあげてはいけません」
晴「はい・・・」
女「ということで、これはお返しします」
103 名前:1[] 投稿日:2010/11/28(日) 19:33:08.67 ID:dCcAhzy00 [12/16]
女「それから男」
男「は、はっ」
女「あんなものを簡単にもらったらだめだよ。例え、ハルさんでもさ」
男「うん・・・」
女「それから返事のことだけど」
105 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 20:09:06.09 ID:dCcAhzy00 [13/16]
女「わたし、今何歳か知ってる?」
男「あ、ああ」
女「わたしさ、16なんだ」
男「うん」
女「ちょっと、早いよね」
107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 20:13:55.71 ID:dCcAhzy00 [14/16]
女「別に世間体どうこうって話じゃなくて」
女「一応、高校だって通ってるしね」
女「まあ、学校やめて結婚するっていうのも、なかなか面白そうだけど」
女「でも、やっぱり早いよ」
女「もう少し、時間がほしい」
108 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 20:20:51.82 ID:dCcAhzy00 [15/16]
女「未来のことはわからなくて」
女「男がわたしのことを嫌いになる日も、来るかもしれない」
女「でもわたしは、自信あるから」
男「何の」
女「5年後でも、男のことを結婚したいくらい好きでいるって」
女「だからね、つまり・・・」
109 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 20:29:51.08 ID:dCcAhzy00 [16/16]
女「わたしと結婚するなんて、5年早い」
女「5年経ってから、出直して」
男「・・・」
晴「・・・」
男「なんか、うまくはぐらかされた気がする」
晴「ま、いいんじゃない」
おわり
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