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唯「今日から琴吹家の使用人になる!」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:26:23.49 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

憂「使用人なんて本当はやめてほしいんだけど・・・」

唯「仕事選べる立場じゃないもん」

憂「それはそうだけど・・・」

唯「お給金も工場よりいいし、家にも仕送りが今までよりできるよ!
  それにまかないもあるし、万々歳!」

憂「・・・」

唯「そんな心配しないで!私、頑張るよ!」

憂「お姉ちゃん・・・」

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:32:56.08 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

時代は大正。

貧しい家柄で育った唯は平沢家の長女。
進学するお金もなく、学校卒業後働くがあまり稼げない日々を送る。

そんな中、日本で有名な家柄の琴吹家の使用人募集がかかっていること知った。




9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:35:01.11 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「ふーん使用人か~」

友達「使用人なんてやめときなよ。金持ちにいい奴なんていないんだから、いじめられるよ」

唯「う、うん・・・あ、けどお給金が・・・」

友達「お給金がどれだけよきたって・・・」

唯「これだけもらえれば憂の進学はなんとかなるかも・・・」

友達「ちょっと話きいて・・」

唯「私、この家の使用人になる!!!!!」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:43:11.62 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

使用人になる者にいい暮らしをしている者なんていない。

唯「合格ですか!?」

使用人頭「はい。1週間後、琴吹家に来なさい」

唯「は、はい!!!」

募集申し込みをしてから数日のことであった。

唯「(自分で思うのもあれだけど、私なんかでよかったのかな?・・・って何考えてるんだ!
   私なら大丈夫!絶対大丈夫!ぜ、絶対大丈夫・・・だと思うけど)」

そして1週間後、唯は故郷から東京へと向かった。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:47:37.70 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「えっと、使用人の偉い人から渡された地図を見るとここが琴吹家のはずなんだけど・・・」

梓「・・・あの」

唯「う、うわ!!!」

梓「琴吹家に何か御用ですか?」

唯「え?あ、あの私今日から琴吹家の使用人に・・・」

梓「あ、そういえばそんなこと使用人頭が言ってたような・・・」

唯「・・・」

梓「分かりました。車に乗ってください」

唯「え?」

梓「ここから琴吹家の玄関まで歩くと日が暮れてしまいますよ」

唯「え!?」

梓「まぁそれは言いすぎですが・・・」


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:50:36.64 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

車内)

梓「私は中野 梓。琴吹家の使用人をしています」

唯「え?!あなたも?」

梓「名前は?」

唯「え、あ!平沢唯です!よ、よろしくお願いします」

梓「こちらこそよろしくです。歳はいくつですか?」

唯「18歳です」

梓「私は16歳です。あ、敬語はよしてください。堅苦しいの嫌いなんです」



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 01:53:01.71 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「え、でも・・・」

梓「私がいいって言ってるんです!先輩命令ですよ」

唯「じゃあ中野さんも・・・」

梓「梓でいいです!私はこの喋り方がしっくりくるからいいです」

唯「ほ、ほんとにいいの?」

梓「はい!これからは同じ使用人同士です!一緒に頑張りましょうね!」

唯「う、うん!!」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:01:19.90 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

琴吹家)

使用人頭(以下、婆)「唯、よく来ましたね」

唯「は、はい!」

婆「今日からあなたは琴吹家につかえる使用人です。しっかり働くように」

唯「はい!」

婆「梓」

梓「はい」

婆「唯の世話はあなたに任せます。明日までに使えるようにしておきなさい」

梓「はい」

唯「あ、明日まで!?」


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:06:06.42 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

婆「そうです。使用人に失敗など許されませんよ」

唯「・・・」

梓「大丈夫ですよ、唯さん。私がきちんと教えてあげますから」

婆「そうですよ。梓はここの使用人をやって10年です。何でも知ってます」

唯「じゅ、10年!?」

梓「私の家系は琴吹家を支えるために産まれてきたみたいなものです。もちろんその支えというのは雑用的な意味ですけども」

婆「さあ時間はありませんよ。明日は月曜日。みなさまお出かけになられます」

梓「わかりました。それまでに教え込みます」

婆「頼みましたよ」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:08:26.17 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

使用人宿舎)

唯「ここが私の部屋!?それも一人部屋!?」

梓「そうですよ。好きに使ってください」

唯「さ、さすが琴吹家・・・」

梓「感心してるヒマはないですよ。荷物を片づけて、使用人の心得ってやつを教えてやるです」

唯「はい!!」

梓「(この元気、長く続けばいいんだけど・・・)」


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:11:37.81 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

・・・

唯「旦那さまが屋敷から出たら『いってらっしゃいませ旦那さま』って言えばいいんだね」

梓「そうです。言うまでは顔をあげちゃダメですよ。言うときに顔をあげるです」

唯「ほうほう。・・・いってらっしゃいませ、旦那さま。こんな感じ?」

梓「姿勢がだめですね。手はこう。足はとじて・・・」

唯「こ、こう?」

梓「そうです。そしてその後、琴吹家の娘様達が出てこられます」

唯「うん」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:13:41.93 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「琴吹家の長女が紬様といいます。そして次女が澪様。三女が律様」

唯「紬様に澪さまにえっと・・・」

梓「律様です!!」

唯「そうそう律様」

梓「名前なんか間違えたら即効解雇ですよ?」

唯「うっ・・・」

梓「あと・・・」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:18:30.11 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「次女の澪様には気をつけてください」

唯「澪様に?」

梓「澪様は使用人を人間だと思っておりません」

唯「え?」

梓「会えば分かります」

唯「・・・」

梓「あと紬様にも注意ですね。あの方は何を考えてるのか分かりません」

唯「う、うん。あ、じゃあ律様にも気をつけた方が・・・」

梓「あの方は大丈夫です」

唯「そうなの?」

梓「はい。あの方はとてもお優しい方です」

唯「そ、そうなんだ!」ほっ

梓「バカなのが欠点なんだけど・・・」

唯「なんか言った?」

梓「い、いえ!」


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:22:56.46 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「あと私達は使用人です」

唯「う、うん」

梓「琴吹家の方々には質問は禁止です」

唯「え?!そうなの!?」

梓「当たり前です。使用人ですもん」

唯「わ、わかんないことあったら・・・」

梓「わかんないこととは?」

唯「え・・・へ、部屋がどこにあるかとか」

梓「バカですか!!!そんなこと琴吹家の方々に質問してみてください!即解雇ですよ!」

唯「うっ・・・」

梓「わからないことは私やほかの使用人に聞いてください。わかりましたね?」

唯「はい・・・」


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:26:45.13 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

・・・

梓「これだけ教え込めば完璧・・・ではないですが、まあまあなところでしょう」

唯「つ、疲れた・・・」

梓「この程度で疲れてどうするですか!」

唯「うっ・・・」

梓「あ、ちなみに起床は朝5時ですよ」

唯「ご、5時!?」

梓「はい。寝坊なんて許されませんよ?」

唯「やっていけるかな・・・」

梓「お給金貰うんだからちゃんとしてください」

唯「うっ・・・。16歳なのにしっかりしてる」

梓「16歳でも18歳でも使用人は使用人です。お仕事です」

唯「う、うん」

梓「頑張りましょうね」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:29:41.42 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

そして朝5時

唯「う~むにゃむにゃ・・・」

バンッ!!!

梓「唯さん!!!いつまで寝てるですか!?」

唯「ん~・・・もうちょっと~」

梓「起きてください!!!起床の時間ですよ!!!」

唯「んー・・・?」

梓「さっそく寝坊とはいい度胸ですね!?」

唯「え?・・・はっ!!や、やば!!!」

梓「やばいどころじゃないです!婆さんがカンカンですよ?!」

唯「えええええ!?ど、どうしよう、怒られる!!!」

梓「唯さんが悪いんです!怒られることです!」

唯「そ、そんなあああ」

梓「とにかく今は早く支度してください!みんな待ってます!!」

唯「はあああい!!!」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:31:26.66 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

使用人宿舎廊下

婆「唯、初日にさっそくやってくれましたね」

唯「すみません・・・」

婆「気が弛んでる証拠です。いいですか、使用人とは(ガミガミ」

梓「(あーあ、これは長いお説教になるな~)」


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:35:30.30 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

・・・

婆「今日から琴吹家の使用人として働くことになった平沢唯です。
  みなさんも使用人初日を思い返してみてください。分からないことだらけでしたね?
  この子も同じです。分からないことはしっかり教えてあげてください」

皆「はい!」

唯「平沢唯です!よ、よろしくお願いします!!」

婆「ではさっそく手分けして掃除してもらいます。解散!」

唯「わ、私はどこに・・・」

婆「梓!」

梓「はい!」

婆「慣れるまで唯と一緒に行動して色々教えてあげてください。頼みましたよ」

梓「わかりました」

唯「よろしくね」

梓「任せてください!」


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:38:11.80 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

琴吹家屋敷内

唯「ひ、広い・・・」ごくり

梓「感動してるヒマありませんよ?」

唯「そうでした!」

梓「はぁ・・・、じゃあ唯さん。ここの手すりを掃除してください」

唯「わかった!」

梓「・・・」


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:40:28.61 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

数分後・・・

唯「終わったよ!」

梓「もうですか!?」

唯「え?う、うん」

梓「・・・ダメです」

唯「え!?」

梓「ここ、ホコリがあります。あと手垢も残ってます」

唯「え・・・気付かなかった・・・」

梓「こんなんじゃダメダメです。御実家でされてた掃除とはまったく意味が違うですよ」

唯「そ、そうなの?」

梓「毎日が大掃除だと思った方がいいです。はい、やり直し」

唯「はい!」

梓「大丈夫かな・・・」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:43:34.14 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

婆「梓!」

梓「はい!!・・・じゃあ唯さん、ここの掃除頼んだですよ」

唯「どこ行くの?」

梓「朝食の時間です」

唯「え、梓ちゃんだけ!?」

梓「・・・何を言ってるですか」

唯「え、朝食って・・」

梓「琴吹家の方々の朝食です!!!」

唯「はっ・・・!!!」

梓「琴吹家の方々より使用人が先に食べれるわけないでしょう・・・」

唯「そう言われれば・・・」

梓「しっかりしてください」

唯「はい・・・」

梓「では行ってきますね」

唯「はい!」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:46:51.58 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「いっぱい動いたからお腹減っちゃったなー。けど今日から私は使用人!
  腹の虫になんか負けてられるか!」

律「んー・・・」

唯「!?」

律「トイレ、トイレ・・・」

唯「・・・」

律「・・・ん?」

唯「ひっ!!!」

律「なんだぁ?見ない顔だな・・・」

唯「あ、あの・・・」

律「ん~?」




42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:47:38.17 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「あ、いた!!!律さま!!」

律「お、梓。おは・・・」

梓「もう!!!!また寝ぼけてどこ行くですか!」

律「え、ト、トイレに・・・」

梓「トイレはそっちにないです!!!」

律「はっ!!!!」


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:51:18.03 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「もう!!律様は毎朝毎朝・・・」

律「す、すまん・・・」

梓「って!!唯さん!律様にご挨拶しましたか!?」

唯「え!?」

梓「その様子だとしてないようですね」

律「新入りか?」

梓「はい。今日からです」

律「だったら仕方ねーよ。そんな怒るなって」

梓「で、でも・・・」

律「私はここ家の三女、律だ。よろしくな」

唯「わ、私は平沢唯です!!さ、先程は御挨拶できなくても、申し訳・・」

律「いーって!そんな固くなるなって。私はそういうの嫌いなんだ。もっと気軽に・・・」

梓「ダメです!!!律様はもっと琴吹家の三女としての自覚をもってください!」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:54:14.60 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

律「うっ・・・」

唯「・・・ふふ」

律「ん?」

唯「・・・はっ!!す、すみません!!つ、つい・・・!!」

梓「な、・・・わ、笑ったですか?」

唯「い、いえ!けしてそんな!!!」

梓「私はきっちりこの耳で聞きました!唯さん何を笑ってるですか!?使用人として・・・」

律「ぷっ・・・あははは!」

梓・唯「!?」

律「ひー、おもしれー!お前らいいコンビになるぜ」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:55:50.63 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「コ、コンビって・・・!」

律「朝からいいもん見せてもらったわ。んじゃ飯でも食ってくるかな」

梓「飯じゃなくて、朝食です!!!」

律「そうそ、朝食!・・・じゃーな、唯!」

唯「は、はい!!」

唯「(あれが律様か・・・。いい人そうだなー)」


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 02:58:29.33 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

朝食後


梓「・・・ちゃんとやってるですか?」

唯「ひっ!!」

梓「何びっくりしてるですか」

唯「だ、だって急に・・・」

梓「掃除は終わりました?」

唯「は、はい!!」

梓「・・・・うん、合格です」

唯「よ、よかった!何度も確認したからね!」

梓「そうですか・・・、で、あちらの手すりは?」

唯「え?」

梓「・・・」

唯「・・・」

梓「朝食の時間、結構ありましたけど、唯さんはこの手すりにずっと時間をかけていたのですか?」

唯「・・・はい」


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:01:28.29 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「もう!!!!いいですか、琴吹家のお屋敷はとっても広いんですよ!?手すりだって1個や2個じゃないんです!!」

唯「うっ・・・」

梓「そりゃ最初だから、仕方なく時間がかかってしまうこともあるかもしれ・・・ふう」

唯「・・・」

梓「早く掃除しちゃいましょ」

唯「え?」

梓「説教しても時間の無駄です。旦那さまがお出かけまでに綺麗にしちゃいましょう」

唯「梓ちゃんも手伝ってくれるの?」

梓「今日だけですよ・・・」

唯「ありがとう!!すごく助かる!!」

梓「わかりましたから・・・はぁ」


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:04:27.26 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

・・・・

梓「っと、こんなもんですかね」

唯「うおおお綺麗!!」

梓「いいですか。私達の掃除というのは汚いところを綺麗にするのではなく
  綺麗なところをもっと綺麗にすることです」

唯「はい」

梓「汚れなんてあったら許しませんよ。いいですね?」

唯「はい!」

梓「・・・じゃあそろそろ旦那さま達の御出勤の時間ですね。外に出ますよ」

唯「いよいよなんだね・・・」


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:05:43.82 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「昨日教えたことをきちんとやれば大丈夫です。そんな緊張しないで」

唯「ハ、ハイ」

梓「あ、来た・・・!」

唯「!!」


ぞろぞろ


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:07:56.61 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)


梓「いってらっしゃいませ、旦那さま」

唯「い、いってらっしゃいませ旦那さま」

旦那「うむ。お・・・新しい使用人か?」

梓「はい。今日からこちらで使用人をやらせて頂いてる・・・」

唯「平沢唯です!!!よろしくお願いします!!!」

旦那「はっはっは、元気がある娘だ」

梓「ゆ、唯さん!!」

唯「はっ!!す、すみません!!」

旦那「構わん。朝から元気な事はいいことだ」

澪「あー煩い」


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:10:26.75 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯・梓「!」

澪「朝から煩いんだが」

梓「も、申し訳ありません!」

澪「・・・なんだ、またゴミが増えたのか」

梓「こ、こちら今日から新しく入った使用人の・・・」

澪「誰が紹介しろと言った。使用人の名前など覚える気もない」

梓「・・・失礼しました」

唯「・・・」

紬「まー!新しい使用人ですって!?」


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:12:32.50 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「紬さま!」

紬「まー可愛いじゃない!私、ここの長女の紬よ!仲良くしましょう!?ね!?」

唯「え、あ!!わ、私は平沢唯と申します!!よ、よろしくお願いします!!」

紬「唯ね!ふふふ、覚えたわ!」

澪「・・・ちっ」

律「おー、朝から賑やかだねー」



67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:14:17.78 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)


紬「りっちゃーん!新しい使用人だってー!」

律「知ってる知ってる。朝会ったもんな、な?」

唯「は、はい!」

紬「えー!?ずるーい!普通は長女の私が一番先に・・・」

梓「紬様、律様!早く行かないと学校に遅れてしまいますよ!!」

紬「あ、そうだったわ!・・・じゃあね、唯」

律「がんばれよー!」

唯「い、いってらっしゃいませ!紬様、律様!!」


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:15:54.41 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「・・・・」

梓「気にしちゃダメですよ?」

唯「え?」

梓「澪様のこと・・・」

唯「あ、ああ!・・紬様と律様の迫力ですっかり忘れてた・・・」

梓「・・・」

唯「はは・・」

梓「もう・・・。さ、掃除行きますよ!」

唯「うん!!」


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:19:41.42 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

・・・

梓「1階の方の掃除は終わったみたいですね」

婆「では2階の掃除に取り掛かりなさい」

皆「はい!!」

婆「あ、唯はまだダメですよ」

唯「え?」

婆「唯はまだ2階の掃除をできるほど経験を積んでません。2階は琴吹家方々の寝室となっておりますからね」

唯「そうなんですか・・・」

婆「あなたは使用人宿舎の掃除でもしていなさい」

唯「はい!」




72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:23:46.13 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

使用人宿舎)

唯「ふう・・・使用人宿舎といってもかなり広いな・・・。そりゃあんだけ使用人がいて、
  それで一人部屋だもんね。当たり前か・・・」

唯「この広さを自分一人で掃除するのかな。1日じゃ絶対無理だよ・・・。
  それともこれが当たり前なの?・・・あたしやってけるかな」

唯「って!!何弱気になってるの私!!私が働かなくて誰が働くの!
  憂にもちゃんと進学させてあげたいのに!こんな弱きじゃダメ!!」

唯「うん、まだ一日目じゃん!あたし頑張れ!!!できるできる!!」


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:34:52.18 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

・・・・

梓「終わったですか?」

唯「ひっ!!」

梓「そんな驚かなくたっていいじゃないですか・・・」

唯「だ、だっていきなり・・・!」

梓「さっきもそれ聞きました。・・・で、掃除は終わりましたか?」

唯「・・・」




78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:37:51.77 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「うん、一人でやったとしてはなかなかじゃないですか?」

唯「へ?」

梓「何間抜けな声出してるですか。・・・そろそろ宿舎の掃除当番も来るはずです」

唯「応援がくるの!?」

梓「お、応援?・・・あ、もしかしてこの宿舎を一人でやると思ったですか?」

唯「う、うん」

梓「ふふ、バカですねー。こんな広いのに一人でできるわけないでしょう」

唯「で、ですよねー」

梓「じゃあ私は戻りますから、引き続き頑張ってくださいね」

唯「はい!!」


79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:39:41.17 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

・・・・

梓「そろそろ紬様たちが帰ってくる時間ですね」

唯「お迎えに行く?」

梓「いえ、帰宅時のご挨拶は立派なものではありません」

唯「立派とは・・・」

梓「だから使用人が皆でご挨拶はしないということです」

唯「ほお・・・」

梓「何か催し物などがあれば別ですが、何もない時は使用人の一人や二人ぐらいで出迎えに行くものです」

唯「そうなんだ・・・」



81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:43:14.90 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「ただ廊下などですれ違った御挨拶するのは当たり前ですよ」

唯「そ、そっか・・・」

梓「もう・・・。では行って来ますね」

唯「え、梓ちゃん行っちゃうの?」

梓「はい。私は澪様の専属使用人ですから」

唯「せ、専属使用人?」

梓「ようするに、その人専用の使用人です」

唯「す、すごい・・・の?」

梓「ま、まあちょっと務めた者ではなれないと思いますよ」

唯「ほう・・・」

梓「専属使用人でも使用人は使用人です。偉いもないですよ」


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:44:55.50 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「そんなことないよ!!梓ちゃんは偉い!!多分!!」

梓「た、多分って・・・」

唯「でも大変そうだね」

梓「そうですね。まぁ澪様ってだけで大変・・・って何言わせるですか!もう!行ってくるです!」

唯「(梓ちゃんが勝手に言っただけじゃ・・・)いってらっしゃーい」


85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:48:07.49 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

・・・・

梓「おかえりなさいませ、澪様」

澪「・・・」

梓「これからのご予定は?」

澪「煩い」

梓「失礼しました」

澪「・・・」

梓「・・・」


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:49:10.46 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

澪「なあ、あいつ、何日で辞めると思う?」

梓「はい?」

澪「あの新しく入ったゴミだよ」

梓「・・・」

澪「私は1か月もたたないうちに辞めると思うなー」

梓「・・・」

澪「おい、なんか言えよ」

梓「申し訳ございません」

澪「ちっ」


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:52:01.53 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

澪部屋

梓「お鞄、ここに置いておきますね」

澪「・・・」

梓「他に用はございますか?」

澪「見て分からないのか?あるそうに見えるか?」

梓「・・・申し訳ありませんでした。では失礼します」

ガチャッ

バタン

梓「・・・ふう」


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:54:40.59 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

・・・

唯「あ、梓ちゃん!戻ってきた!」

純「お、梓ー」

梓「ただいま・・ってえ、なんで2人が・・・」

純「一緒にいたら悪いかよー」

唯「さっき仲良くなったの」

純「だ、誰が仲良く・・・!?」

唯「え、違うの・・・?」

純「う・・・!べ、別に違うわけじゃ・・・」

唯「よかった~」にこー

純「な、何・・・」


100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 03:58:09.66 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「もう、2人で遊んでないで・・・」

純「休憩の時間だもん。あ、そうそう唯!」

唯「なに?」

純「私の事は純さまって呼びなさい」

唯「え?」

梓「なっ!?」

純「いい、あんたは私の後輩なの。年齢は上でも年下なの。わかる?」

唯「う、うん・・・」

純「はい、じゃあさっそく呼んでみて」

唯「じゅ、純さ・・・」

梓「調子にのるな!」ゴツン

純「い、いたー!」


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:01:03.80 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「もう。純だって、唯とあんまり変わらないじゃない」

純「かわるわよ!3か月私の方が先にここで働いてるの!立派な先輩じゃない!」

梓「じゅーんー・・・」

純「うっ」

梓「・・・・」じーっ

純「・・・わ、わかったわよ!唯、私のことは純って呼んでいいから」

唯「い、いいの?」

純「この私がいいって言ってるんだからいいの!」

唯「わーい!じゃあ・・・純ー!!」

純「・・・ははは、変な子ー!」

梓「ふふふ」

唯「え、な、なんで笑ってるの!?ただ呼んだだけなのに・・・!」あせあせ


107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:06:51.98 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

数日後


婆「唯、梓。来なさい」

唯・梓「はい」

婆「今日から唯を旦那さま達の食事を手伝いさせます」

唯「え」

婆「なんですか、まだ早かったですか?」

唯「い、いえ!嬉しいです!!」

梓「喜んでどうするですか・・・」

唯「あ・・・」


109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:07:34.11 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

婆「・・・。食事は人間にとって大事な時間です。食事の時に気分を害すなんてもってのほか。
  いいですか唯。失敗は許されませんよ」

唯「は、はい!!」

婆「よろしい。ならば梓と一緒に行きなさい」

唯「はい!」

梓「失礼します」

バタン

婆「・・・大丈夫かしらねぇ・・・」




111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:10:25.29 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

食堂

旦那「では、皆揃ったな。・・・頂きます」

皆「いただきます!」

律「おーー!今日は肉がいっぱいあるぜええ!」

紬「よかったわねー!いっぱい食べましょうね!」

律「おー!」

澪「・・・いらない」

梓「どうしました澪様」

澪「料理長呼んできて」

梓「・・・」

澪「料理長呼んできてって言ってるだろう!?」ダンッ

律「おい、澪ー。食事中だぞー」


112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:12:10.88 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

澪「煩い!黙れ!・・・ちっ、使えない使用人だ。ならば私が直接行く」

梓「澪さま!なりません!!」

澪「うるさ・・・」

唯「きゃあ!!」

澪「うわっ!!!」

ばしゃん

一同「・・・・・・・・・・・・・」

梓「・・・だ、大丈夫ですか澪様!!!」

澪「つ、冷たい・・・」


114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:14:28.32 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「あ、あ、・・・!!!も、申し訳ございません!!」

梓「ふ、ふくもの持ってきて!!」

唯「は、はい!!」

澪「待ちなさいよ!!!」

唯「!!」

澪「ちょっと、この服いくらすると思ってるんだ!?外国から取り寄せたものなんだぞ!?」

唯「も、申し訳・・・」

澪「謝ってすむと思ってるのか!?お前如きが一生かかっても買えない代物だぞ!?」

唯「うっ・・・」

律「おーい、澪!!」


116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:17:10.30 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

澪「煩い、黙れ!!」

律「これはお前が悪いぞ。お前が急に扉の前に飛び出すから」

澪「私は悪くない!!」

律「誰がどう見てもお前が悪い。・・・唯、ごめんな」

澪「なんでこんなゴミの味方をするんだ!!」

律「味方とかじゃないよ。あと、使用人をゴミ扱いするのをやめろと何度言ったら・・・」

澪「煩い!!!」ダッ

梓「澪さま!!」ダッ

律「あーあー・・・行っちゃった」


118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:19:28.25 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「ど、どうしよう私・・・」

律「気にするな。あいつはいつもああなんだ」

唯「でも・・・」

紬「そうよー。唯は悪くないわよ」

唯「・・・・」

律「さー、飯だ飯!・・・おい唯、これのおかわり!」

唯「え?」

律「だーかーら、おかわり!」

唯「は、はい!!!」


120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:28:16.78 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

澪部屋)

梓「み、澪様・・・!」

澪「なんで着いて来るんだよ!!!!」

梓「しょ、食事がまだ・・・」

澪「煩い!!!」ガッ

梓「きゃっ!!」

澪「もうなんなんだよ!!私は悪くないじゃないか!!あいつが急に入ってきたのが悪、い、ん、だ!!」

ゲシッゲシッゲシ

梓「うっ・・・げほげほげほ!!!」

澪「あああああイライラするううう!!!!!」

梓「げほげほげほげほっ!!!!」


121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:29:35.22 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)


唯「戻ってこないね、梓ちゃん・・・」

純「・・・。さ、早く片付けるわよ」

唯「う、うん・・・」




123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:31:41.22 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

使用人宿舎

唯「ふーいいお風呂だったー」

梓「・・・」とぼとぼ

唯「あ、梓ちゃん!!!!」

梓「ゆ、唯さん」

唯「よかったー!澪様を追いかけていったっきり戻ってこないから心配して・・・」

梓「寝ます」

唯「え?」

梓「疲れました。・・・おやすみなさい」

唯「あ、梓ちゃん!?」

純「・・・ほっときなさいよ」


127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:33:14.52 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「じゅ、純ちゃん?」

純「使用人を10年も続けてるとあんなになっちゃうのかなー」

唯「あんなって?」

純「聞きたい?」

唯「え、あ、うん・・・」

純「じゃあ私の部屋に来なさい」

唯「うん・・・」


129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:35:43.29 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

純部屋

純「澪様には気をつけなさい」

唯「え?」

純「きっと梓にも言われたと思うけど」

唯「う、うん言われたよ・・・」

純「でしょうね。・・・澪様は病気なのよ」

唯「びょ、病気?」

純「そう。心の」

唯「心?」

純「もちろん確かな情報じゃないわ。けどあれはどうみても病気よ」


132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:38:59.74 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「じゃ、じゃあ診てもらわなくちゃ・・・」

純「馬鹿ねぇ。あんた、ここがどこだか知ってるの?」

唯「純ちゃんの部屋だけど・・・」

純「ちがーーう!あんたが使えてるのはどこ!?」

唯「こ、琴吹家です・・・!」

純「そう、琴吹家よ。日本でも5本の指には入るかなりのお金持ちの家よ」

唯「う、うん」

純「そんな家に心の病気を持った娘がいるだなんて・・・、家としては知られたくないの」

唯「そんな・・・」


134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:42:56.24 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

純「まぁもちろん今話したことは推測だから、確定情報ではないわ」

唯「・・・」

純「けど、きっとあの性格じゃ病気以前に問題あるわね」

唯「・・・」

純「あ、そうだ。梓から、旦那様に気をつけろ・・・って言われてる?」

唯「え?い、言われてないけど」

純「そう。じゃあ気をつけなさい」


136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:45:30.10 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

純「旦那様は表はいい人だけど・・・裏ではとてつもないことをやってるみたいよ」

唯「と、とてつもないって・・・?」

純「さあ!それは知らない!」

唯「がくっ」

純「もう話すことはないから、帰っていいよ」

唯「・・・う、うん。じゃあおやすみ」

純「おやすみ、また明日ね!」

バタン

純「・・・梓の部屋行こう」


140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:47:26.16 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)


次の日・食堂

唯「み、澪様・・・」

澪「・・・」

唯「き、昨日は本当に申し訳ございませんでした!!」

梓「ちょっと、何してるですか!!」

唯「え?あ、謝ってる・・・え、あちょっと!」

梓「こっち来てください!!」




142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:49:04.95 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「お願いですから、これ以上澪様を怒らせるのやめてください!」

唯「お、怒らせる?」

梓「昨日のことはもう済んだでしょう?だったらいいんです」

唯「す、すんでなんか!」

梓「すんでます!!」

唯「あ、梓ちゃん・・・」

梓「いいですか・・・、使用人の唯さんが気軽に話しかけられる相手じゃないのですよ・・・」


143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:50:36.76 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「で、でも!!」

梓「・・・、昨日のことは私が謝っておきますから、唯さんは口出ししないでください」

唯「そしたら梓ちゃんが・・・」

梓「いいですね!?」

唯「・・・」



145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:54:01.46 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

使用人宿舎

婆「みなさん、今月末に琴吹家主催でダンスパーティーを行います」

婆「旦那さま、そして娘様方々の出席も決まりました。
  忙しくなると思いますが、準備の方よろしくお願いしますよ」

一同「はい!」

婆「では解散」

・・・・

唯「ダンスパーティー?」

梓「そうです。毎年何回か、琴吹家主催でやるんです」

唯「へー・・・すごそうだね」

梓「すごいですよ、かなり。その分、準備もかなり大変です」

唯「覚悟してます」

梓「ふふ、その調子です」

唯「(よかった、笑ってくれた・・・)」


147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 04:58:15.09 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

ダンスパーティー当日

使用人「唯!!こっち手伝って!!」

唯「はい!!」

使用人「唯、これ運んでーー!!」

唯「はーーーい!!」

使用人「唯、これ片づけて!!!!」

唯「はいはいー!!!」

唯「(な、なにこれ、忙しすぎて死にそうなんだけど・・・!)」

律「おーやってるな?」

唯「律さま!」

律「ダンスパーティーなんてかったるくて本当は出席したくないんだけどよー」

唯「そうなのですか?」

律「うん。別に私達が踊るわけでもねーしな。ただ踊ってる奴を見てるだけ」

唯「それでも楽しそうです」

律「そうかー?」


149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:01:47.24 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「はい!だって私、ダンスパーティーなんて見たことないですもん!きっと仕事しながらでしょうが
  隙を狙って見させていただきます!!」

律「ははは、仕事の手が止まって、婆に怒られないようにしろよなー」

唯「うっ・・・気をつけます!」

使用人「ちょっと唯-!!どこいったのー!?」

唯「あ、は、はーーい!!」

律「あらら、悪いね、忙しいとこ話しかけちゃって」

唯「い、いえ!!では、失礼します!!」

律「がんばれよー。・・・使用人も太変だなー毎年毎年」


152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:07:06.15 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

ダンスパーティー

旦那「えー、皆さまに楽しんで頂けるよう、最高級の音楽団を用意させました」

客「おー」

旦那「では、最高の夜をお過ごしください」
パチパチパチパチ

紬「さすがお父様ね。音楽の本場から連れてくるなんて」

律「そうかー?音楽に本場もクソもあるかよ」

紬「クソはないわよ!」

律「あーはいはい」

・・・

唯「わーすごい綺麗な音ー!やっぱ本場は違うなー!」

純「本場って・・・。あんた分かるの?」

唯「わかんない」

純「がくっ」

唯「わかんないけど、きっとすごいよ!うん!すごい!!!」

純「あ、っそ・・」


156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:13:02.93 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「澪様、そろそろパーティーの方に顔を出さないと皆心配しますよ」

澪「・・・」

梓「澪様」

澪「あのさ、前から思ってたんだけど、お前調子にのってないか?」

梓「・・・」

澪「使用人を10年やろうが、私の使用人をやろうが、お前は使用人。使用人じゃないか」

梓「分かっております・・・」

澪「分かってない。使用人は私達に気軽に話しかけちゃいけないのだろ?」

梓「・・・」

澪「ちょっと黙ってたらこれだ。私は特別だから、何でも言っていいって思ってるんだろ?」

梓「そ、そんなこと・・・!!」

澪「口答えするな!!!!」


157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:15:31.94 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「・・・・っ」

澪「使用人が口答えするのか?」

梓「しません・・・」

澪「使用人が命令するか?」

梓「しません」

澪「使用人は私の言うことを聞くか?」

梓「聞きます」

澪「なら出てけ」

梓「・・・失礼しました」

バタン

梓「(説得できなかった。・・・怒られるかな)」


158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:18:30.66 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

会場

婆「澪様が来られないですって!?」

梓「・・・すみません」

婆「・・・いえ。仕方ないです、一度言ったら聞かない方ですからね。旦那さまに話してきます」

梓「はい・・・」

・・・

唯「あー!梓ちゃん!」

梓「あ、」

唯「もー大変だよー!!人が何人いても足りないって感じ!!」

梓「・・・」

唯「?あ、あず・・」

梓「手伝います!!!」

唯「え?!」

梓「この料理運べばいいのですね!私がもってくです!!」

唯「え、ちょっと!梓ちゃんは澪ちゃんの・・・あーあ、行っちゃった・・・」


162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:23:30.45 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

使用人宿舎

婆「本日はみなさんお疲れさまでした。とてもいいダンスパーティーになったと旦那様もおっしゃっておりました。
  これも皆さんのおかげです」

婆「今日はゆっくり休んでください。解散」

一同「お疲れさまでした!」

婆「唯、来なさい」

唯「は、はい!!」

婆「どうでした、ダンスパーティーは?」

唯「え、あ、た、楽しかったです」

婆「楽しかった?仕事がそんなに楽しかったですか?」

唯「(あ、そっちか!)い、いえ・・・仕事は大変だったけど、けど、楽しかったです!
  私、ダンスパーティーなんて産まれてから一度も見たことなかったので」

婆「そうですか。・・・このお屋敷にいるかぎり、これからも大きな催しが開催されるでしょう
  太変ですが・・・覚悟はできてますか?」

唯「はい!もちろんです!」

婆「よろしい。では寝なさい」

唯「はい!おやすみなさい!!」


163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:27:59.78 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

律「あ、澪・・・」

澪「ちっ」

律「おいどうしてパーティーに来なかったんだよ!?父さんも困ってたぞ!」

澪「別に私が行ったって行かなくたって変わらないだろう!」

律「そういう問題じゃねぇだろ!なら私だって参加したくなかったわ!」

澪「なら参加しなけりゃいいだろ!」

律「お前は琴吹家の娘なんだぞ!?それぐらい自覚しろよ!!!」

澪「・・・っ!!べ、別にここに来たくて来たんじゃない!!」

律「それは私だって一緒だ!!!!」


165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:32:38.59 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

梓「み、澪様!?と律様!!な、何を言い争いに・・・!!」

律「梓からも言ってやってくれよ!!もっと琴吹家の娘として自覚をもてって!」

梓「・・・」

澪「近寄るな、ゴミが・・・寝る」

律「お、おい、み・・」

梓「おやすみなさいませ、澪様」

バタン

律「・・・ごめんな、梓」

梓「律様が謝ることではないですよ」

律「・・・はぁ。いいよな、あいつは自分勝手できて」

梓「え?」

律「なんでもない。私も寝る。梓も早く寝ろ。おやすみ」

梓「お、おやすみなさいませ律様!!」


168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:42:50.14 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

純部屋

純「あーそういえば知ってる?」

唯「え?」

純「紬様、澪様、律様って本当の御兄弟じゃないのよ」

唯「ふーん・・・・ってえええ!?」

純「いいねー、その初々しい反応」

唯「そ、それどういうこと!?」

純「ようするに琴吹家の名前が欲しいのよ」

唯「な、名前・・・?」

純「そう。琴吹家の長女、紬様は旦那さまと血は繋がってるわ。けど澪様、律様は養子としてここに来たの。
  澪様の旧姓は秋山。律様は田井中。琴吹家には及ばないけど、それでもかなりの有名な家柄よ」

唯「う、うん」

純「あの2人は犠牲になったの」


171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 05:57:00.67 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

唯「犠牲・・・?」

純「どちらの家もかなりの資産家だけど琴吹家は越えられない。いや、越えようとはしてないかもしれない。
  けど同等の立場にいたいと思っているはず。だから2人を養子によこしたの」

唯「うん・・・?」

純「娘を養子として琴吹家に入れたら、繋がりができるわ。琴吹家の後ろ盾が欲しかったのよ。
  あの琴吹家の養子になれたとあっては、他のところからも援助されるもの」

唯「・・・」

純「そして女は家を継げないから。
  だから澪様と律様は利用されてるの」

唯「なんか可哀想・・・」

純「そうかしらねー・・・、生きていく分には困らない・・・いや、もう充分ってほどお金はあるし、なんだかんだで幸せなんじゃない?」

唯「そうなのかな・・・」

純「私から見れば十分すぎるよ」

唯「でも自分の家族と過ごしたいよ・・・」



173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/10/28(木) 06:03:00.17 ID:Uz7rjUwx0 (216 回発言)

純「まぁそれもそうだけど・・・。まぁお金持ちの親族としたら、自分の娘より自分たちの名前を来世まで息継ぐ方が大事なんじゃない?」

唯「そうなのかな・・・」

純「貧乏に産まれても大変だけど、金持ちに産まれても大変ってことよ」

唯「うん・・・」

純「だから私は働くの」

唯「え?」

純「ここ、お給金だけはいいでしょ?だからいっぱい貯めてから、結婚するの」

唯「結婚・・・・」

純「そう、恋愛して結婚するの。見合い結婚なんて嫌よ」

唯「結婚か・・・」

純「うん!あー早く私の殿方現れないかなー」


唯「今日から琴吹家の使用人になる!」-2
続きます

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