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紬「お手紙とお弁当」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:24:10.24 ID:pFdVpSMu0 [1/93]
百合SSです、ムギちゃんメインじゃないです、ひっそりまったり書いていきます

~金曜日朝・学校・2年昇降口~

カチャ

澪「…」

唯「あれ?どうしたの?澪ちゃん」

澪「い、いや…何でもないよ…」

紬「今日は少なかったから、ちょっとガッカリしたのよね?」ウフフ

澪「ム、ムギ!」

唯「あ、そっか!何時もお手紙一杯入ってるもんねっ」

律「まあ部屋には専用の収納ケースがある位だからな~」

唯「おお~、それは凄いね!」

澪「律!そんな事ばらすなよ!は、恥ずかしいだろ…」

律「良いじゃんかよ、それだけ人気があるって事なんだから」

紬「澪ちゃんは1年生の時からずっと大人気だものね」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:25:17.88 ID:pFdVpSMu0 [2/93]
紬「でも…そんなに沢山のお手紙を貰っても、お返事は書けないでしょ?」

唯「それだけで1日が終わっちゃいそうな量だもんね…」

澪「そうなんだ…全部読んではいるんだけどな」

律「でも澪は偉いんだぞ?最低でも1回は返事を書いてるからな」

澪「律!」

唯「お、それはちょっと興味があるお話ですな~」

紬「私も興味あるわ~」

澪「…」

澪「だって…手紙って読んで貰う為に書くものだろ?」

澪「ちゃんと読んでるって事は、相手に伝えてあげたいじゃないか」

澪「だから返事は毎回書けないかもしれないけど、必ず全部読ませて貰うから」

澪「それでも良ければまた書いて欲しいって返事を出してるんだ」

唯「へ~、澪ちゃん優しいね~」

紬「優しいわね♪」

澪「か、語り過ぎた…///」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:26:26.36 ID:pFdVpSMu0
律「そういう唯と紬にもファンは結構居るんじゃないのか?」

律「澪ほどじゃないが、たまに手紙も入ってたりするし…」

律「お、今日も1枚ずつ入ってるじゃんかよ」

唯「あ~、これはね澪ちゃん…のとは違うかもしれないな~」アハハ

律「何だ?いたずらか?」

唯「違うよ!いたずらなんかじゃないから!」プンプン

律「いや、その…悪かった」

律(まあ唯がこんなに怒るって事は憂ちゃんだろうな…)

紬「私も…そういうのとはちょっと違うの」

律「そうなのか?ムギは美人だから、憧れてる後輩とか結構居そうな感じだけどな~」

紬「褒めて貰えるのは嬉しいんだけど…そういう事は1度も無いわね」

律(何だ?ムギの場合はさっぱり分からんな)

律(手紙を貰った時は大抵部活に遅れて来るんだが…)

律(もしかして、何か悪い事に巻き込まれてるんじゃないのか?)

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:27:16.42 ID:pFdVpSMu0
紬「それに…私より、りっちゃんの方が美人さんだと思うわよ?」

律「…え!?」

律「お、おい!そんな真顔で冗談言うなよ!///」

紬「冗談なんて言ってないのに…りっちゃんは照れ屋さんね」ウフフ

唯「照れてますなぁ~」ムフフ

律「照れてない!」

(チャイムの音)

唯「あ、予鈴鳴っちゃったね、そろそろ行こ!」

律「あ、ああ…そうだな!」

紬「あれ?澪ちゃんは?」

澪「…///」

律「まだ固まってたのかよ…」

梓「皆さんお揃いなんですね、おはようございます」

梓「もう予鈴も鳴ってるんですから、急がないと遅刻しますよ?」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:28:14.80 ID:pFdVpSMu0
唯「あずにゃん、おはよ~」

紬「おはよう、梓ちゃん」

律「おはよ~、梓、丁度良かったよ」

律「澪を教室まで連れて行ってくれないか?」

梓「え?澪先輩をですか?」

梓「…」

梓「見事に固まってますね…また何かしたんですか?」

唯「そうなんだよ、りっちゃんがね~」

律「違うだろ!唯とムギがだな…」

梓「どっちでも良いですから…早く行って下さい」

梓「2組は2階なんですから、急いだ方が良いですよ?」

梓「澪先輩は私が連れて行きますから」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:29:09.16 ID:pFdVpSMu0
律「そうか、じゃあ頼むな!」

紬「澪ちゃんの事、お願いね」

梓「はい」

唯「あずにゃん、ありがとね~」

梓「分かりましたから、さっさと行って下さい」

律「急ぐぞ!」

唯「ほいほ~い」



梓「朝から本当に騒がしいですね…」

梓「さて」

梓「澪先輩!しっかりして下さい!何時までボ~っとしてるんですか!」

澪「…」

澪「…はっ!」

梓「澪先輩、早く行かないと遅刻しますよ?」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:30:12.42 ID:pFdVpSMu0
澪「あ、梓か…おはよう」

梓「おはようございます、挨拶は良いですから行きますよ」ギュッ

澪「え?あ、ああ…」

梓(何時も振り回されてばかりの澪先輩…)

梓(最初は迷惑してるんだと思ってた)

梓(どうして此処に…軽音部に居るんだろうって)

梓(でも…違うんだよね、澪先輩はこう見えても凄く楽しんでる)

梓(軽音部は何時もみんな仲良し…)

梓(私も澪先輩とは…)

澪「なあ、梓」

和「何ですか?澪先輩」

澪「1人で歩けるからさ…その…何も手を繋ぐ事は無いんじゃないかと…」

梓「…」

梓「あ!ごめんなさい、つい…」

澪「いや、別に良いんだけど…」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:31:20.24 ID:pFdVpSMu0
~放課後・部室~

律「さて諸君、本日集まって頂いたのは他でも無い」

律「現在行方不明になっている紬隊員についてだが…たった今所在が判明した」

律「教室から密かに抜け出し、体育館裏へ向かって徒歩にて移動中」

律「その直前には今朝回収された機密文章を熟読していた…」

律「間違い無いな?唯隊員」

唯「間違いありません!りっちゃん隊長!」

律「標的と思われる相手は既に現場へ到着していると思われる…」

律「時間との勝負になるな、すぐに現場を押さえに行くぞ!」

唯「了解っ!」

梓「…」

梓「はぁ…」

律「梓、どうした?ノリが悪いぞ?」

梓「いや、別に先輩方がどういう遊びをしてても良いんですけど」

梓「部活の時間位は真面目にやって下さいよ…」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:32:28.24 ID:pFdVpSMu0
律「何だ、梓は興味が無いのか?」

梓「いや、興味があるとか無いとかそういう問題では無くてですね」

梓「そもそも何の話なのかさっぱり分からないんですけど…」

唯「ムギちゃんがね、今朝貰ったラブレターの話だよ?」

梓「え!?」

律「まあ正確にはそれっぽいものの話だな」

梓「それっぽいものって何ですか…」

律「澪が良くファンレターを貰ってるよな?」

律「ムギもたまに貰ってるんだが、それとはちょっと違うって言ってたんだ」

律「でも放課後に体育館裏に呼び出されるって事は、むしろそれ以上って事だろ?」

梓「なるほど…それはちょっと興味があるかもです」

律「そうだろ?梓も一緒に見に行こうぜ」

梓「で、でも!そんなの良くないですよ!」

梓「そういうのは、その…誰にも邪魔されたくないんじゃ…ないかと…///」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:33:48.86 ID:pFdVpSMu0
律「…なあ、梓」

律「実はな、それ以外にもう1つの可能性があるんだ」

梓「…何ですか?」

律「体育館裏へ呼び出すと言えば…そう、いじめだな」

梓「え?いじめですか?」

律「ムギは外見が目立つからな」

律「青い瞳はカラコン、髪の毛は脱色してる様にも見えるだろ?」

律「そういう所に目を付ける先輩が居ないとも限らない」

梓「確かに…そうですね」

律「軽音部の仲間の一大事かもしれないんだぞ?」

律「それを見過ごす事が梓には出来るのか?」

梓「仲間の…ムギ先輩の一大事…」

梓「そ、そんなの見過ごせる訳が無いじゃないですか!」

梓「早く行きましょう!ムギ先輩が!」

律「よしっ、では隠密に接近する為の作戦を…」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:34:59.45 ID:pFdVpSMu0
梓「何を言ってるんですか!もう、先に行ってますからね!」

ガチャッ…タッタッタッタッタッ…

律「…説明する前に行っちゃったな」

唯「りっちゃん、やり過ぎだよ」

唯「それに、私はやっぱりラブレターだと思うけどな~」

唯「名前は見えなかったんだけど、学年はちらっと見えたんだよね」

唯「1年2組って書いてあったもん」

律「まあでも、後輩だからって分からんだろ?」

律「何か悪い事に巻き込まれてるかもしれない」

律「それを確かめておくのも悪い事じゃ無いって思うぞ」

唯「お、実はそれが目的だったとか?」ムフフ

律「そ、そんな訳無いだろ!あたしは純粋に興味があるから行くんだ!」

律「ほら、早く行くぞ!」

唯「りっちゃん、待ってよ~」

唯(素直に心配だから見に行きたいって言えば良いのに…)

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:36:06.36 ID:pFdVpSMu0
~体育館裏~

律「お、柱の陰に梓発見」

梓「…」

律「どうだ?相手はもう来てるのか?」

梓「…」

唯「どしたの?あずにゃん」

梓「驚かないで下さいよ?」

梓「ムギ先輩と一緒に居るのって…憂なんですけど…」

律「何!ほんとか?」

唯「憂が!?」

梓「し~っ、声が大きいです」

梓「私はちょっとしゃがみますから、お2人は上から覗いて下さい」

唯「うん、分かった…」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:36:55.48 ID:pFdVpSMu0
唯「ほ、ほんとだ…」

唯「ムギちゃんと…憂が居る」

律「どれどれ…あ、ほんとだな」

梓「でも、どうして憂が…ムギ先輩と…」

律「それはもちろん…なあ?」

梓「憂がムギ先輩の話をしてた事はありますけど…」

梓「でも、そんなそぶりは全く無かったですよ?」

律「まあ相手が相手だからな、秘密にしたいと思うんだろうけど…」

律「向かい合ったままで何も喋らないんじゃ良く分からんな」

梓「さっきからずっとあのままですよ」

梓「ガチガチに緊張してるっぽいですね」

唯「…」

唯(憂…)

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:38:05.20 ID:pFdVpSMu0
紬「そろそろ落ち着いたかしら?」

憂「は、はい…」

憂「緊張しちゃって…何も喋れなくなっちゃって…」

紬「ゆっくりで良いのよ?」

憂「いえ、もう大丈夫です」

憂「あの、突然こんな所に呼び出してしまって…ご、ごめんなさい!」

紬「ううん、構わないわよ」

紬「私とお話したい事って…何かしら?」

憂「あの…紬さん…す…好き…」

唯律梓(!!!)

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:40:10.53 ID:pFdVpSMu0
憂「好きな人が居るんですけど…私、どうして良いのか分からなくて…」

唯律梓(…)

唯律梓(…え?)

憂「言いたいんですけど…でも、どういう風に言ったら良いのか…」

紬「好きな人って…その人は女の子?」

憂「は、はい!そうなんです!」

紬「そう…でも、どうしてそれを私に?」

憂「琴吹先輩はそういう事に詳しいって友達の間では噂になってますし…」

憂「それに私も何度かお会いして」

憂「紬さんになら話しても、大丈夫じゃないかなって思ったんです」

紬(憂ちゃん…ゴールは目の前にあるのに)

紬(どうして遠回りをするのかしら)

紬(私に話しても、近道にはならないのに…)

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:41:13.88 ID:pFdVpSMu0
紬(でも…そうね、分かるかもしれない)

紬(例え目の前にあったとしても、遠くにあったとしても…)

紬(最初の1歩を踏み出さない限り、ゴールには辿り着けない)

紬(それは同じ事よね)

紬(そのきっかけが欲しいのは、憂ちゃんでも同じ事)

紬(だったら、私は何時もの様に…ゆっくりと後押ししてあげたい)

紬(憂ちゃんは、私にその資格があるって思ってくれるのかしら?)

紬(あるって思ってくれると…嬉しいわ)

憂「あの…やっぱりこういうお話はご迷惑でしたか?」

紬「ううん、そんな事はないわよ?」

紬「黙ったままでいて、ごめんなさい」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:42:15.77 ID:pFdVpSMu0
紬「憂ちゃん、嘘は言わないから良く聞いてね」

憂「は、はい!」

紬「良く誤解されるんだけど…」

紬「私はね、特に女の子の方が好きって訳じゃないの」

憂「え?そ、そうなんですか!?」

紬「憂ちゃんにも、やっぱりそう見えるの?」

憂「はい…ずっと誤解してました…」

憂「…」

憂「じゃあ私の事も、凄く変な子だって…」

紬「思ってないわよ」

憂「え?」

紬「女の子同士の恋愛が良いなって思ってる事は本当」

紬「憂ちゃんの事も変だなんて思ってないわ」

憂「よ、良かったです…それだけでもほっとしました」

紬「ごめんなさい、ちょっと不安にさせちゃったわね」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:43:17.14 ID:pFdVpSMu0
紬「私はね、こういう事では嘘を付きたくないの」

紬「女の子同士の恋愛は応援してあげたいってずっと思ってるから…」

紬「何も言わずに相談に乗ってあげる事だって出来るわ」

紬「でもね、私自身は女の子を好きになった事はないから」

紬「その気持ちを…憂ちゃんの気持ちを…」

紬「同じ立場から理解してあげる事は出来ないかもしれない」

紬「それは絶対に言っておきたかったの」

紬「そんな私でも良ければお話を聞いてあげたい、精一杯応援してあげたい」

紬「それが今の…私の気持ちよ?」

憂「紬さん…」

憂「あの…私、紬さんに相談して良かったです!」

紬「あら?まだ何も聞いてないのに、そんな事を言って良いのかしら?」ウフフ

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:45:17.27 ID:pFdVpSMu0
憂「ごめんなさい…私、誤解してました」

憂「紬さんなら無条件で賛成してくれるんじゃないかなって…」

憂「そんなに真剣に聞いて貰えるだなんて…思ってませんでした」

憂「だから…凄く嬉しいです!」

紬「嬉しいのは私も同じよ?」

紬「私も憂ちゃんの想い、後押ししたいって思ってるから」

紬「でも…」チラッ

紬(憂ちゃんなら…気付いてくれるわよね)

憂(時計?あ、部活に行く時間を気にしてるんだね…)

憂(でもそれを言っちゃうと、紬さんは私に気を使わせたって思っちゃう…)

憂「紬さんごめんなさい、私…ちょっと寒くなってきちゃいました」

憂「今日は紬さんにお話を聞いて貰えるって分かっただけでも十分ですから」

憂「続きはまた今度、時間のある時にお願いします」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:46:28.37 ID:pFdVpSMu0
紬(憂ちゃん、何て優しい子…唯ちゃんが本当に羨ましいわ)

紬(明日って言っても、憂ちゃんは部活の事を気にしちゃうだろうから…)

紬「そうね、此処はお話をするにはちょっと寒過ぎるわよね」

紬「明日の放課後も部活だから…明後日の日曜日」

紬「お昼から何処か別の場所でどうかしら?」

憂「はい!お願いします!」



紬(何時もの憂ちゃんならもっと違う事にも気が付いたと思うんだけど…)

紬(やっぱり、冷静じゃ無かったみたいね)

紬(私が無理矢理止めた理由は分からなかったみたい)

紬(今言ってしまっても直接言ったのと同じ事、それは分かってる)

紬(でもちゃんと相手の顔を見て言って欲しい、私はそう思ったの)

紬(憂ちゃんの告白を聞く相手も、多分そう思ってるから…)

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:47:28.23 ID:pFdVpSMu0
律「これはちょっと、聞いちゃいけない話だったな…」

梓「そうですね、ムギ先輩にも憂にも何だか悪い気がします…」

唯「そうだね…」

律「ムギが帰って来る前に、部室に戻ろう」

~部室~

ガチャッ

律「あれ?澪はまだ来てないんだな」

梓「そう言えば、昨日一昨日も来るのが遅かったですよね」

律「何やってるんだろうな?後で聞いてみるか」

唯「…」

律「どうした唯?さっきの話がそんなにショックだったか?」

唯「うん…」

唯「憂の好きな人って、誰なんだろうって考えてて…」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:48:20.78 ID:pFdVpSMu0
律「そうか、相手の事は考えて無かったな…」

律(ん?待てよ?)

梓「確かにそうですね…」

梓(あれ?)

律(憂ちゃんが好きになりそうな相手…1人しか思い付かないぞ?)

梓(憂が好きになりそうな相手…1人しか考えられないんじゃ?)

律梓「…」ジー

唯「ほえ?」

唯「…」

唯「あの…私の顔に何か?」

律「なあ、唯」

律「唯は憂ちゃんの話を聞いてどう思った?」

唯「うん、そうだね…」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:49:18.15 ID:pFdVpSMu0
唯「憂にそんな風に思ってる相手が居るなんてショックだったけど…」

唯「でも、やっぱり応援してあげないといけないって思ったよ!」

梓「あの、それ本気で言ってますか?」

唯「もちろんだよ!」フンス

律「そうか…まあ唯がそう思ってるなら良いんじゃないのか?」

律「精一杯応援してあげた方が良いと思うぞ」

唯「うん、頑張るよ!」

梓「あの、教えてあげなくて良いんですか?」ゴニョゴニョ

律「大丈夫だろ?結果は見えてるんだから悪い様にはならない」ゴニョゴニョ

唯「どしたの?」

律「いや、何でも無いぞ?うん、何でも無い」アハハ

唯「?」

ガチャッ

紬「ごめんなさ~い、遅くなっちゃった」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:50:37.82 ID:pFdVpSMu0
澪「で、どうしてムギのケーキが4つなんだ?」

紬「え~と、何だか私にも分からないんだけど…」

律「是非」

唯「何も言わずに」

梓「貰って下さい」

紬「さっきからこんな感じなの…」

澪「貰って下さいって言っても、そもそも最初からムギの物だろ?」

律「うっ…た、確かに」

紬「それに4つも食べたら…私、また太っちゃうわよ…」

唯「そうですよね~、やっぱり1人1個ずつの方が良いですよね~」

梓「唯先輩!」

唯「じょ、冗談だよ~」

紬「そうね…じゃあ、私が4つ頂くわ」

唯「ムギちゃん…信じてたのに…」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:53:50.55 ID:pFdVpSMu0
紬「でも、これは私の物だから…私の好きにしても良いって事でしょ?」

紬「だったら、みんなに食べて欲しいって言っても良いわよね?澪ちゃん」

澪「そう言うと思ったよ…」

紬「その方が美味しく食べれるに決まってるもの」

律「だよな?よし、そうと決まれば早速頂こうかな」

唯「…」パクパクパク…

梓「既に食べてますけど…」

紬「唯ちゃんはとっても美味しそうに食べるから見ていて楽しいわ♪」

澪「まあ、この方が平和で良いか…」

唯「ごちそうさま!ムギちゃん、今日のケーキも凄く美味しかったよ!」

紬「お口に合ったみたいで良かったわ」ウフフ

律「は、速いな…」

唯「だって今日は澪ちゃんが来るの遅かったから待ち遠しくて…」

律「最初から食べる気満々かよ!」

唯「てへっ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:55:28.61 ID:pFdVpSMu0
律「しかし今日だけじゃないぞ、昨日一昨日も遅れて来なかったか?」

澪「すまん、今日言おうと思ってたんだ」

澪「実は和に生徒会の手伝いを頼まれてるんだけど…まだ2~3日はかかると思う」

律「なんだよ~、澪は軽音部と生徒会のどっちが大切なんだ?」

澪「それはもちろん軽音部だ」

澪「ただな、誰とは言わないが…」

澪「生徒会に多大な迷惑をかけてる奴が軽音部に居てだな…」

澪「私はそれを非常に申し訳なく思っていて断る事が出来ないんだ」

律「だ、誰の事だろうな~」アハハ

唯「和ちゃん何時も忙しそうにしてるからね…私からもお願いしたいなっ」

律「だったら唯も手伝えば…いや、唯に生徒会の手伝いなんて無理だよな~」

唯「無理だよね~」

梓「良いんですか…それで」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:56:54.51 ID:pFdVpSMu0
唯「じゃあ、あずにゃんが代わりにお手伝いする?」

澪「そうだな…梓、手伝ってくれるか?」

梓「え?私がですか?」

澪「いや、無理には頼まないけど…」

澪「資料室で1人だけになるから、ちょっと退屈なんだよな」

梓(…1人だけ)

梓「あの、私やります!面白そうなのでやらせて下さい!」

澪「資料をまとめるだけの単純作業だから、そんなに面白くは無いと思うぞ?」

梓「大丈夫です!やってやるです!」

澪「そうか?うん…助かるよ、ありがとうな」

梓「いえ、そんな…」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:57:54.82 ID:pFdVpSMu0
律「単純作業って事は誰でも出来るんだろ?だったらあたしも手伝うよ」

梓(え?)

唯「私も何か出来る事が無いか聞いてみよっかな」

梓(そ、そんな…)

紬「…」

紬「私も手伝おうと思うんだけど…」

梓(ムギ先輩まで…)

紬「和ちゃんはまだ学校に居るのかしら?」

澪「この時間ならまだ生徒会室に残ってると思うけど…」

紬「じゃあ明日みんなで行っても良いのかどうか」

紬「先に聞いてみた方が良いと思うんだけど?」

律「そうだな…よし、じゃあ早速」

唯「生徒会室に行ってみよ~」

梓(練習時間まで削られるなんて…最悪だよ…)

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 20:59:14.69 ID:pFdVpSMu0
~部室→生徒会室~

唯「あれ?ムギちゃん何処に行くの?」

紬「あの、私はちょっと…お手洗いに」

律「待ってようか?」

紬「そうね…悪いんだけど此処で待ってて貰えるかしら?」

唯「うん、良いよ~」







紬「えっと、確かアドレスは登録してあったはず…」

紬「…」

紬「送信っと」

紬「お願い、気付いて!」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 21:00:44.65 ID:pFdVpSMu0
~生徒会室~

和「で、軽音部がお揃いでどうしたの?」

澪「実はな、一昨日から和の手伝いをしてるって話をしてたんだけど」

澪「みんなも協力したいって言い出してな」

和「そう、それは凄く助かるんだけど…」

律「あ、別に裏なんて無いからな?」

唯「そうだよ!私達は純粋に和ちゃんの役に立ちたいんだよ!」

和「いや、別にそういう所を疑ってる訳じゃないんだけど…」

和「私がお願いしてる仕事はね、本来は部外者には出来ない事なの」

澪「そうなのか?資料のまとめをしてるだけだと思うけど…」

和「そうなんだけど…でも、一応規則だから」

澪「でもそれだと、私も手伝っちゃ駄目って事にならないか?」

和「実はね、澪は特例で生徒会の臨時役員って事にしてあるの」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 21:01:42.95 ID:pFdVpSMu0
律「それなら、あたし達もその臨時役員ってのにして貰えないのか?」

和「出来るけど…でもそうなるとかなり先まで待って貰う事になると思うわ」

和「専用の申請用紙があって、それは月末の定期総会でしか発行出来ないの」

和「澪に手伝って貰ってる仕事はそれまでに終わっちゃう量だから…」

唯「そうなんだ…」

和「ごめんなさいね、折角来て貰ったのに…」

梓「…」

和「あと1人しか手伝って貰う事は出来ないの」

梓「…え?」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 21:02:40.17 ID:pFdVpSMu0
和「臨時役員の申請用紙なんだけど、実はまだ提出してないのよね」

和「1枚で2人まで申請出来るから、あと1人だけなら追加出来るわ」

澪「そうか…」

唯「あ、じゃあ私が…」

律「いやいや、あたしがだな…」

澪「梓、手伝ってくれるか?」

梓「え?」

澪「どうした?最初に手伝うって言ってくれたのは梓じゃないか」

梓「あの、私で良いんですか?」

澪「ああ、私は梓に手伝って欲しいな」

梓「…」

梓「はい!私、頑張ります!」

紬(良かったわ!)

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 21:03:35.97 ID:pFdVpSMu0
律(ん?ちょっと待てよ?)

律(部長として何度か総会には出てるけど、臨時役員なんて聞いた事無いな…)

律(生徒手帳になら載ってるかな?)

律「生徒手帳は…っと、あったあった」

紬「りっちゃん、駄目よ」

律「え?何がだ?」

紬「それ、今は見ないでおいて欲しいの」

紬「りっちゃんなら、分かってくれると思うんだけど…」

律「…」

律「…ああ、なるほどな」

唯「どしたの?」

律「いや、何でも無いよ」

和「じゃあ、明日からお願いね」

梓「はい!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 21:04:37.38 ID:pFdVpSMu0
~平沢家・リビング~

憂「~♪」

唯「憂、今日はご機嫌だね?」

憂「うん、今日は学校で凄く良い事があったんだ~」

唯「そうなんだ…」

唯「ねえ、どんな事か教えて?」

憂「え?」

憂「な、内緒だよ?」

唯「そっか…」

唯「うん、じゃあ頑張ってね!」

憂「え?うん、何だか分からないけど頑張るよ!」

唯(ムギちゃんには相談出来るのに、私には相談出来ないんだ…)

唯(私にあんな話をされても、どうして良いのか分からなくなっちゃうけど…)

唯(でも、何だか寂しいな…)

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 21:05:34.95 ID:pFdVpSMu0
憂「どうしたの?お姉ちゃん」

唯「な、何でも無いよ?」

唯(そうだよ!私は憂の事を応援してあげなきゃって言ったじゃない!)

憂「そうだ、私明後日はお出かけする事になったから」

唯「うん、知ってるよ」

憂「え?」

唯「な、何でも無いよ?」アセアセ

唯「憂は…その、1人で出かけるのかな~って」

憂「ほんとはお姉ちゃんとお出かけしたいんだけど…」

憂「その日はちょっと人と会う約束をしてるの、ごめんね?」

唯「ううん、私は多分家に居ると思うから…気にしないで行って来て」

憂「…」

唯「…」

憂「あの…やっぱりお姉ちゃんも一緒に行く?」

唯「へ?」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/23(火) 21:07:02.15 ID:pFdVpSMu0
唯「でも…誰かと会う約束をしてるんでしょ?」

憂「お願いして、先に延ばして貰うよ!」

唯(私がちょっと寂しそうにしたから…憂、優しいよ…)

唯(ちょっと嬉しい…けど、駄目だよね?)

唯(憂には憂の事を第一に考えて欲しい)

唯(私の方がお姉ちゃんなんだからねっ!)

唯「あ、そうだ!急に思い出しちゃった!」

憂「え?何?」

唯「明後日はね、あずにゃんと朝から出かける約束をしてたんだ~」

唯「だからごめんね、憂とは一緒に行けないや」

憂「そうなんだ…うん、分かったよ」

憂「じゃあ、お昼は作らなくても良いよね?」

唯「う、うん…」

唯(しまった!午後からって言っておけば憂のご飯が食べられたのに…)

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:08:52.56 ID:pFdVpSMu0
~土曜日朝・学校・2年昇降口~

カチャ

澪「あ…」

唯「おお~、今日は一杯入ってるねっ!」

紬「良かったわね、澪ちゃんは今日も大人気よ」

澪「よせよ…///」

唯「あ、ムギちゃんの所にも1枚入ってるよ?」

紬「あら?ほんとね」

澪「でも…これって茶封筒っていうのかな?」

澪「普通はこんなの使わないだろ…」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:09:51.82 ID:pFdVpSMu0
唯「う~ん、でもりっちゃんのキャラならありかも?」

律「ああ、そうだな…」

律「…」

律「え?何がだ?」

澪「律、どうした?何か今朝からボ~っとしてないか?」

律「いや、そ、そんな事はないぞ?」

(チャイムの音)

唯「あ、予鈴鳴っちゃったね、そろそろ行こ!」

律「そ、そうだな!」

紬「じゃあ澪ちゃん、また放課後に」

澪「ああ、遅れるけど部活には必ず行くからな」



澪「どうしたんだ、律の奴…」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:10:41.12 ID:pFdVpSMu0
~放課後・生徒会室~

コンコン…ガチャッ

梓「失礼しま~す」

澪「早いな、確か今週は掃除当番じゃなかったのか?」

梓「えっと、友達と1日だけ代わって貰いました」

澪「そこまでしなくても良いのに…」

梓「え…」

澪「でも…そうだな、嬉しいよ」

梓「あ…はい!」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:11:27.92 ID:pFdVpSMu0
澪「お昼はどうした?」

梓「あの…まだ食べてません」

澪「そうか…じゃあ、資料室で作業しながら食べるか?」

梓「…そこって他に誰も居ない部屋なんですか?」

澪「そうだけど、私と2人じゃ寂しいか?」

澪「部室にはみんな居ると思うから、そこで食べても良いんだけど…」

梓「いえ、私は資料室で食べるのが良いと思います」

澪「そうだな、時間も勿体無いからそうしよう」

梓「そうしましょう!」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:12:25.71 ID:pFdVpSMu0
~資料室~

梓「…」ジー

澪「どうした?梓」

梓「澪先輩のお弁当ってたまに見るんですけど、何時も可愛いですね」

梓「自分で作ってるんですか?」

澪「いや、これは殆どママが作ってるんだ」

梓「…」

澪「お母さん!」

梓「あの、私まだ何も言ってませんけど?」クスクス

澪「…」

ヒョイ…パクッ

梓「あっ!」

澪「…」モグモグモグ

澪「うん、この卵焼きは美味しいな」

梓「え?あの…今何て言いました?」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:13:37.95 ID:pFdVpSMu0
澪「いや、この卵焼きは美味しいな…って」

梓「あの、もう1度」

澪「ど、どうした?怒ったのか?」

澪「ごめんな、ほんの冗談で…」

梓「もう1度」

澪「すまん、謝るから」

梓「もう1度言ってくれたら…許します」

澪「もう1度言えば良いのか?」

澪「えっと、この卵焼きは美味しいな…」

梓「…」

梓「ふふっ、ふふふっ」

梓「良いですよ、許しちゃいます」

澪「?」

梓「いえ、許すも何も全然怒ってませんから」

澪「そうか?まあそれなら良いんだけど」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:16:28.33 ID:pFdVpSMu0
梓「澪先輩はお料理ってしないんですか?」

澪「いや、殆ど毎日してるぞ?」

澪「今日も昨日作った残り物が少しだけ入れてあるな」

梓「え?どれですか?」

澪「今残ってるのだと…この鶏肉の炒め物だけかな?」

梓「1つ下さい!」

澪「さっきのお詫びに良いよって言ってあげたいんだけど…」

澪「ごめんな、今フォークに刺さってるので最後だ」

澪「他に欲しいおかずがあったらどれでも食べて良いぞ?」

梓「いえ、私はこれが食べたいです」

澪「これが良いのか?」

梓「…」コクコク

澪「う~ん、じゃあ箸で取って貰うのも行儀が悪いから…」

梓「…」ジー

澪「…」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:17:26.06 ID:pFdVpSMu0
澪「もしかして、私がこのままフォークを手渡したら怒るのか?」

梓「…」

梓「怒りませんけど…その、ガッカリします…」

澪「分かったよ、じゃあ1回だけだぞ?」

梓「…」コクコク

澪「ほら、あ~んってしてみろ」

梓「あ~ん」パクッ…モグモグ

澪「どうだ?」

梓「あの、美味しいです…」

澪「そうか、梓にそう言われるとちょっと嬉しいな」

梓「ちょっと…だけなんですか?」

澪「…」

澪「いや、凄く嬉しいぞ」

梓「…」

梓「良かったです」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:18:18.17 ID:pFdVpSMu0
~部室~

ガチャッ

唯「待たせたな!皆の衆!」

唯「…」

唯「あれ?何で誰も…居ないの?」

唯「りっちゃんとムギちゃんは先に出て行ったのに…」

唯「…」グゥー

唯「澪ちゃんとあずにゃんはやっぱり来ないのかな…」

唯「…」グゥー

唯「お、お腹減った…」

唯「でも1人で食べてもつまんないし…」

唯「りっちゃんとムギちゃんが来るまでは待ってなきゃね、うん」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:19:13.06 ID:pFdVpSMu0
~体育館裏~

紬「りっちゃん」

律「よぉ、ムギ」

紬「どうしたの?こんな所に何か用事?」

律「あ、ああ…」

律「あのな、昨日の事なんだけど」

律「ムギには謝らなきゃいけない事があるんだ」

紬(まずはその事なのね)

紬(りっちゃんは名前の通り律儀なんだから…)

紬「もしかして、あそこの柱の陰から覗いてた事かしら?」

律「え!気付いてたのか!?」

紬「ええ」

律「そうか…いや、本当に悪かったな」

律「それを謝っておこうって思ってたんだけど」

律「ちょっとみんなの居る場所では出来ない話だからな…」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:20:04.22 ID:pFdVpSMu0
紬「ねえ、どうして謝るの?」

律「へ?」

紬「りっちゃんは理由も無しにそんな事はしないって思うわ」

紬「こんな所に呼び出される私の事、心配して来てくれたのよね?」

律「え?ち、違うよ…あたしは別に…」

紬「…」ジー

律「ま、まあ…半分位はそうかもしれないな…」

紬(半分じゃないと思うんだけどな…)

律「たまに居なくなる事があるから、前から少し気にはなってたんだけど」

律「昨日急に心配になって…な」

紬「ごめんなさい、あまり他の人には言えない事だから」

律「まあ、悪い事じゃなくて本当に良かったよ」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:21:32.55 ID:pFdVpSMu0
紬「それにしても遅いわね…」

紬「お手紙には放課後すぐにって書いてあったのに」

律「…」

律「ムギ、あのな…」

紬「何かしら?りっちゃん」

律「あの…その…え~と、何だ…」

律「そ、そろそろ部活に行くからな?」

紬「…」

紬(りっちゃんがそれで良いならって思うけど)

紬(でも…少しだけいじわる、しても良いかしら?)

紬(りっちゃんがそんなに可愛い顔を見せるから…いけないのよ?)

紬「そうだわ!」

律「ど、どうした?」

紬「あのね、りっちゃんも此処に居て?」

律「…へ?」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:22:42.98 ID:pFdVpSMu0
紬「私はね、昨日と一緒でお手紙で此処に呼び出されちゃったの」

紬「多分だけど、今日も昨日みたいなお話があると思うわ」

紬「りっちゃんもね、それを一緒に聞いてあげて欲しいの」

律「…」

律「いやいやいや!そんなのあたしが聞いちゃマズイだろ!?」

紬「ううん、そんな事無い」

紬「こういうお話はね、誰かに聞いて貰えるだけでも嬉しいものなのよ?」

律(確かに…その通りだよ…)

紬「りっちゃんは、女の子が女の子を好きになったりするのは変だと思う?」

律「それは…思わないけど…」

律「でも、別に他の奴だって良いんじゃないのか?」

律「あたしの知ってる奴なら、大抵同じ事を言うと思うけどな…」

紬「うん、そうだと思う」

紬「でもね、私はやっぱり…りっちゃんにお願いしたいの」

律「…どうしてだ?」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:24:12.28 ID:pFdVpSMu0
紬「りっちゃんは優しいし、頼りになるし、誰かの為に一生懸命になれる人」

紬「私がね、もしそういうお話をするとしたら…」

紬「絶対にりっちゃんにすると思う」

紬(そうね、これは私の本当の気持ちだと思うわ…)

紬「だからお願い、一緒に聞いてあげて?」

律「いや、そんなに持ち上げられても困るんだけど…」

紬「私のお願い、聞いて欲しいんだけどな…」ジー

律「…」

律「ま、まあ、ムギがそう言うなら…」

紬「良かった!」

紬(でも、このままだと部室には唯ちゃん1人になっちゃうわね…)

紬(お昼も食べないで待ってると思うから…あ、そうだわ!)

律「メールか?誰に出してるんだ?」

紬「うふふっ、内緒♪」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:25:07.66 ID:pFdVpSMu0
~部室~

唯「…」

唯「…zzz」

ユサユサッ…ユサユサッ

唯「…う、う~ん?」

憂「お姉ちゃん、起きて?」

憂「こんな所で寝てたら風邪引いちゃうよ?」

唯「大丈夫だよ…憂が毛布をかけてくれるよ…」ムニャムニャ

憂「もう、此処は家じゃないんだよ?」

唯「…zzz」

憂「…」

憂「ふふっ、しょうがないな…」

憂「でも、こんな所にかけてあげる物なんて無いだろうし…」

憂「隣の部屋って確か物置だったよね…何か無いかな?」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:25:54.00 ID:pFdVpSMu0
~資料室~

梓「…」ジー

澪「どうした?梓」

澪「手が止まって…ないな」

梓「澪先輩のお手伝いなのにサボったりは出来ませんから」

澪「いや、ちゃんとやってくれるなら良いんだけど…その…」

澪「ずっとこっちを見られてると、ちょっとやりにくいぞ?」

梓「分かりました、じゃあ分からない様に見てますね」

澪「いや、そういう事じゃなくてだな…」

澪「私の事なんて見てても面白くないだろ?」

梓「そんな事無いですよ?」

澪「…」

澪「まあ、別に良いんだけどな…」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:26:43.09 ID:pFdVpSMu0
~体育館裏~

紬「誰も来ないわね…」

律「ああ、そうだな…」

紬「ごめんなさい、りっちゃん…こんなに長い時間付き合せちゃって…」

紬「お昼ご飯もまだ食べてなかったんでしょ?」

律「え?いや、そんな事無いぞ?食べたよ食べた」

律「あたしは早食いだからな…」アハハ

紬「…」

律「それよりムギは…」

紬「ダイエット、今日はお昼抜きなの」

律「…」

律「まあそういう事にしておくよ」

紬「ええ、そういう事にしておきましょ」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:27:38.28 ID:pFdVpSMu0
~資料室~

澪「よしっ、このページは終わりだな」

梓「あの、この作業が終わったら次は何をするんですか?」

澪「次か?ちょっと待ってくれよ」

澪「1…2………19…」

澪「和に貰った資料は20枚だから…」

澪「今梓にやって貰ってる1枚で丁度終わりだな」

梓「え?もう終わりなんですか?」

澪「梓が頑張ってくれたから、予定してたよりずっと早く終わったよ」

澪「ありがとうな、梓」ナデナデ

梓「いえ、そんな…」エヘヘ

澪「じゃあ悪いんだけど、梓がそれをまとめてる間に」

澪「ちょっとやっておきたい事があるんだ」

澪「終わったら声をかけてくれ」

梓「はい」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:28:38.21 ID:pFdVpSMu0
~体育館裏~

律「澪と梓はもう部室に来てるかな…」

律「澪が先に来てたら…また怒られそうだ」アハハ

律「遅れて来る事が多いぞって言ってる自分が次の日に遅刻だからな」

紬「…」

律「あ、ち、違うぞ?ムギのせいじゃないぞ?あたしが勝手に…」

紬「ううん、私が悪いの」

紬「でも、りっちゃんがそんな風に考えるなんて思ってないから安心して?」

律「あ、ああ…」

律「…」

律「あっ!今日部室に来てるのは唯1人だけなんじゃないのか!?」

紬「大丈夫よ、憂ちゃんを呼んであるから」

律「憂ちゃん?そうか、さっきのメールで…」

律「全然気が付かなかったよ…ムギ、ありがとうな」

紬「どういたしまして」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:29:28.65 ID:pFdVpSMu0
~部室~

唯「…」

憂「お姉ちゃん、寒い?」

唯「…zzz」

憂「って、返事がある訳ないよね…」

唯「…」

唯「憂…寒いよ…」

憂「え?お姉ちゃん起きてるの?」

唯「…」

唯「…zzz」

憂「寝言かな…でも、ほんとにちょっと寒そうだね…」

憂「カーテンがあったからかけてあげたけど、もっと何か…」

唯「憂…」

憂「…」

憂「隣、良いかな?」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:30:58.28 ID:pFdVpSMu0
~資料室~

澪「…」カキカキカキカキカキ

梓「…」ジー

梓「あの、それは何を書いてるんですか?」

澪「これか?自分で言うのは恥ずかしいんだけど」

澪「ふぁ、ファンレターのだな…返事を書いてるんだ///」

梓「え?澪先輩は返事を書いてたんですか?」

梓「何時もあんなに沢山貰ってるのに…」

澪「ああ、流石に全部は無理だけど1回は必ず書いてるぞ」

澪「昨日それを律にからかわれてだな…」

梓「…」

梓(私も…書いてみたいんだけどな…)

澪「梓、どうした?」

梓「いえ、あの…凄いなって」

澪「まあ1年の学園祭直後に比べたら数も減ったから…大した事じゃないよ」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:32:01.71 ID:pFdVpSMu0
梓「前からずっと聞いてみたいって思ってたんですけど」

澪「何だ?」

梓「ファンレターって、どういう事が書いてあるんですか?」

梓「例えばその…澪先輩の事が…す…好きです…とか…」

澪「それは無いよ」

梓「え!?そうなんですか?」

澪「ああ、最初の頃は衣装が可愛かったとか歌と演奏が良かったとか…」

澪「いや、思い出したくない事を思い出してしまった///」

梓「それはもう忘れましょうよ」

梓(あの映像は絶対に忘れられないけど///)

梓「最近はどんな事が書いてあるんですか?」

澪「最近か…最近だと次のライブを期待してくれてるのが多いかな」

澪「友達になって欲しいとかそういうのもあるけど」

澪「梓が思ってる様な内容のは1度も無かったぞ」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:32:55.55 ID:pFdVpSMu0
梓(そうだったんだ…私、ちょっと勘違いしてた)

梓(1年生の間でも澪先輩の人気って凄いから…)

梓(あんまり仲良くすると、嫉妬されるんじゃないかって)

澪「それにな、梓の事も書いてあったりするぞ?」

梓「え?私ですか?」

澪「ああ、みんなの事も結構書いてあるんだ」

澪「軽音部はみんな仲が良くて羨ましいとか…」

澪「そういう内容だと、私も嬉しくなるな」

梓「そうですね、私もそう思われてるのは嬉しいです」

澪「律とは良く喧嘩してたりするんだけど…」

澪「そういうのも見透かされてるんだろうな」フフフ

梓「…」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:34:22.20 ID:pFdVpSMu0
澪「そうそう、たまにだけど唯の事が一杯書いてある事があるんだよ」

梓「澪先輩へのファンレターなのにですか?」

澪「一応私の事も褒めてくれてたりするんだけど、殆ど唯の事だな」

澪「私がそれを読んでも仕方が無いから別の封筒に入れて」

澪「唯の所に入れ直してるんだけど、唯は気付いてるかどうか…」

梓「誰の仕業なのかは簡単に想像出来るんですけど…」

梓「どうして直接入れないんでしょうかね?」

澪「流石に直接は入れにくいんだろうな…幾ら仲が良いって言っても」

澪「私の所なら…自分で言うのも変だけどみんなやってるからな」

梓「でも形だけとは言え、唯先輩は澪先輩から貰ってるって事ですよね?」

澪「そうなるな」

梓(憂…何て余計な事を…)

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:35:48.51 ID:pFdVpSMu0
梓「あの、私の事も書いてあるって言ってましたよね?」

梓「どんな事が書いてあるんでしょう?」

澪「梓はな、もっと仲良くしてあげて欲しいって」

梓「…え?」

澪「1年生、特に梓と同じクラスの子だと殆どそれが書いてあるな」

梓(嘘…私、応援されてたんだ…)

澪「ちなみに、唯の事を一杯書いてるさっきの子も同じだな」

梓(ごめん憂、さっきのは訂正するよ…)

澪「何でだろうな?私達、そんなに仲が悪く見えるのか?」

澪「私は梓の事…」

梓「」ドキッ

澪「嫌いじゃないのにな」

梓「…」

澪「どうした?」

梓「い、いえ…」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:37:20.53 ID:pFdVpSMu0
澪「梓は私の事、どう思ってるんだ?」

梓「え?あの…その…嫌いじゃないですよ?」

澪「そうか…良かったよ」

梓「良くないです…」

澪「ん?何か言ったか?」

梓「い、いえ!何にも!」

澪「それより、梓がやってくれてた分は終わったのか?」

梓「あ、もう終わって此処に…痛っ!」

澪「紙で切っちゃったか…痛いんだよな、それ」

梓「あの…」

澪「絆創膏ならあるぞ?」

梓「いえ、そうでは無くてですね…」

梓「血が出てるんですけど、見てて大丈夫なんですか?」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:38:22.80 ID:pFdVpSMu0
澪「…」

梓「…」

澪「梓!指を貸せ!」

梓「は、はい!」

パクッ

梓「え!?」

澪「…」チューチュー

梓「あ…」







澪「…止まったみたいだな」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:39:07.87 ID:pFdVpSMu0
澪「後は絆創膏を巻いてと…よしっ」

梓「…」

澪「どうした?手当て終わったぞ?」

梓「えっと、その…」

梓「か、可愛い絆創膏ですね?」

澪「そうか?じゃあもう1枚渡しておくから」

澪「お風呂に入ったら貼り替えておけよ?」

梓「…はい」

梓「あ、あの…ありがとうございました!」

澪「良いって、こんな事位で大げさだな」

梓(大げさなんかじゃ…ないもん…)

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:40:01.32 ID:pFdVpSMu0
澪「じゃあ後はこれを和に渡して終わりだ」

澪「終わらなかったら明日も続きをやろうと思ってたんだけど、良かったよ」

梓「え?明日は日曜日ですけど…」

澪「月曜日からはちゃんと部活に出たいかならな」

澪「学園祭も終わって新歓ライブがまだまだ先だって言っても」

澪「サボってばかりはいられないだろ?」

梓(そうだよ…今気が付いたよ…)

梓(もう少しゆっくりやれば良かったんだ…)

澪「私は部屋を片付けてから部室に行くから」

澪「梓はまとめた資料を和の所へ持って行ってくれないか?」

梓「分かりました…」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:57:39.25 ID:pFdVpSMu0
~生徒会室~

コンコン…ガチャッ

梓「失礼します…」

和「あら、もう終わったのかしら?」

梓「はい、澪先輩がこれを渡して来る様にって…」

和「ありがとう、凄く助かったわ」

和「ざっとだけど、確認させて貰うわね」

梓(確認する必要なんて無いよ…)

梓(澪先輩がいい加減にやる訳無いし…私は一生懸命やったもん…)

和「…あら?」

梓(え?)

和「枚数が足りないわよ?」

梓「そ、そんなはず無いです!」

梓「澪先輩はちゃんと数えながらやってました!」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 21:59:40.93 ID:pFdVpSMu0
和「でも、足りないものは足りない」

和「手伝って貰ってるのにこんな事を言うのも何だけど…」

和「澪にはもう少し注意してやって欲しかったわね」

梓「そんな…そんな言い方酷いですよ!」

梓「私はともかく澪先輩の事を悪く言うなんて…」

和「…」

和「そうね、冷静に考えてみれば本当に酷い話よね」

梓「え?」

和「ごめんないさい、別に演技なんてしなくても良かったのに…」

和「昨日は上手く出来たと思うんだけど、こういうのって慣れてなくて」

梓「あの…話が良く分からないんですけど?」

和「簡単な事よ、私が今言った事を信じなさい」

梓「でも、私達はちゃんとやったのに…」

和「やってない、だから足りない分はやり直しよ?」

梓「やり直し…」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:01:00.19 ID:pFdVpSMu0
梓「えっ!やり直しですか!?」

和「どうしてそんなに嬉しそうな顔をするの?」

和「私は凄く理不尽な事を言ってるのに」フフフ

梓「それは…分かってて言ってますよね?」

和「さぁ、私には何の事かさっぱり」

梓「やっぱり…和先輩は酷い人です」

和「そうね、もし澪に何か聞かれたらそう言っておきなさい」

和「自分のミスを人のせいにする酷い奴だって」

梓「分かりました、そう言っておきます」

和「本当にそう言っても良いのよ?」

梓「それも…分かってます」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:01:52.82 ID:pFdVpSMu0
和「足りない事になっている資料は印刷して後で届けるわ」

和「澪の事だから多分引き受けてくれるとは思うんだけど」

和「その後どうなるかまでは、私には分からない」

和「だから…頑張ってね」

和「もちろん、資料のまとめを頑張っての意味だからね?」

梓「…」

梓「今、足りない事になってるって言いませんでした?」

和「言ってないわよ」

梓「昨日は上手く出来たって言ってましたよね?」

和「言ってないわね」

梓「…」

梓「あの…私、頑張ります!本当にありがとうございました!」

和(お礼を言うなら私じゃないんだけど…言わないでって事になってるから…)

和「どうしてお礼を言われるのか分からないんだけど…ふふっ、どういたしまして」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:03:04.79 ID:pFdVpSMu0
~部室前~

梓「あれ?澪先輩どうしたんですか?」

澪「な、中のソファーに何か黒いのが居るんだ…」

梓「黒いの?」

ガチャッ

澪「梓!こ、怖くないのか?」

梓「大丈夫ですよ」

テクテクテクテク…

梓「何だろ?これ…カーテンかな?」

澪「ご、ゴキブリとかじゃないよな?」

梓「こんなに巨大なゴキブリなんて居ませんって」

梓「唯先輩と憂がカーテンに包まってるだけですよ」

澪「な、何だ…人だったのか…」

梓「どうして憂が此処に居るんでしょう?」

澪「…どうしてだろうな?」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:04:01.04 ID:pFdVpSMu0
梓「でも…不思議と納得出来ちゃいますよね」

澪「唯が居れば隣には憂ちゃんが居る…逆もそうだな」

梓「隣に居る人が自然と思い浮かぶなんて羨ましいな…」

澪「どっちに妬いてるんだ?」

梓「どっちにも妬いてません!」

澪「梓、あんまり大声出すと起きちゃうだろ?」

梓「あ、そ、そうですね…」

澪「このまま寝かせておいてあげよう」

梓「でもこの状態じゃ、部活は出来ないですよね…」

澪「まあ律とムギもまだ来てないみたいだからな」

澪「私達はこっちに座って待っていようか?」

梓「はい」



澪「何時もより椅子が近くないか?」

梓「気のせいですよ」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:05:11.85 ID:pFdVpSMu0
~体育館裏~

律(腹が減ったのはもう良いとしても…)

律「なあムギ、寒くないか?」

紬「え?そうね…」

紬「少し寒いけど…私は体温が高いから大丈夫」

紬「それよりもりっちゃんの方が寒そうよ?」

律「いや、あたしは別に良いんだ…」

紬「…」

紬「じゃあ…」ピトッ

律「…」

律「くっついても同じだろ」

紬「じゃあ…」ムギュ

律「いや、それでもあんまり変わらないぞ?」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:06:02.68 ID:pFdVpSMu0
紬「でも、良く映画でやってるわよ?」

紬「雪山で遭難した時とかに、こうやって温め合うの」

律「それはあれだろ…その、は、裸になってとか…///」

紬「私達もやってみる?」

律「何!?」

紬「うふふっ、冗談よ」

律「…そういう冗談は止めような?」

紬「でも、少しは暖かくなったでしょ?」

律「…」

律「まあ…そうだな」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:07:05.37 ID:pFdVpSMu0
律「…」

紬「…」

律「なあ、ムギ」

紬「何?りっちゃん」

律「その…何だ、もうそろそろ離れないか?」

紬「え?どうして?」

律「この状況をだな、万が一他の奴が見たらどう思う?」

紬「仲が良くて羨ましい?」

律「…」

紬「え?違うの?私達仲が悪いの?」ショボーン

律「いや、そういう意味じゃ無くてだな…」

律「こんな人目に付かない所で、何をしてるんだって思わないか?」

紬「そうね、梓ちゃんが見たら妬いちゃうかしら…」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:09:43.73 ID:pFdVpSMu0
律「…は?梓?」

紬「ごめんなさい、唯ちゃんよね」

律「…澪じゃないからな?」

紬「それ、本当?」

律「…」

律「…」

律「…本当だよ」

紬「あら?どうしてそんなに考えるのかしら?」

紬「でも、りっちゃんがそう言うのなら、そういう事にしておきましょ」ウフフ

律「…」

律(違うよムギ…あたしは全く別の事を考えてたんだ)

律(澪が見たら少しは妬くと思う…それは間違い無いんだよ)

律(でも、逆の立場だったら…此処に居るのがムギと澪だったらどうなんだ?)

律(あたしも多分嫉妬すると思うんだけど…)

律(でも、その場合はどっちに妬いてるんだろうってな…)

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:11:10.07 ID:pFdVpSMu0
~部室~

澪「静かだな…」

梓「そうですね…」

澪「梓は今、何を考えてた?」

梓「え?それは…」

梓(明日の事、どういう風に言えば良いのかなって…)

澪「私は…たまにはこういう時間も良いかもしれないって思ってた」

澪「此処に居ると何時もは律や唯が騒がしいからな」

澪「もちろんそういうのも嫌いじゃないんだぞ?」

澪「ただ、何て言ったら良いんだろう」

澪「今は凄く心が落ち着いてる感じがして…心地良いんだ」

梓(私は…落ち着ける訳無いよ…)

梓(澪先輩がこんなに近くに居るんだから…)

澪「梓が隣に居るからかな」

梓「え!?」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 22:12:49.08 ID:pFdVpSMu0
梓「あの、それはどういう意味で…」

澪「意味?意味なんて無いさ、私がそう思ったからそう言ってみただけだよ」

梓(それって…澪先輩は私の事なんて何とも思って無いって事?)

梓(そんな…ちょっとガッカリだよ…)

梓(でも…私は頑張る、和先輩の為にも!)

梓「澪先輩、言い忘れてた事があるんですけど…」

澪「何だ?」

梓「さっき整理して提出した資料、何枚か足りなかったみたいなんです」

澪「足りない?そんなはず無いと思うんだけどな…」

梓「それで、足りない分は後で和先輩が届けてくれるそうなんですけど…」

澪「…」

澪(最初に受け取った枚数が少なかったのか?)

澪(それしか考えられないけど、和はそんなミスしないと思うからな…)

澪(だとすると、考えられるのは…)

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:01:00.16 ID:pFdVpSMu0
澪「そうか…足りないって言われたんじゃ仕方が無いな、やり直そう」

澪「続きは明日の朝からまた学校でやるよ」

梓「あの、それでですね…」

澪「梓、明日の午後は暇か?」

梓「午後ですか?あの、明日は朝から暇なんですけど…」

梓「もし良かったら…」

澪「梓、私は午後から暇かって聞いたんだぞ?」

梓「…」

梓「午後からは…暇です」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:02:59.58 ID:pFdVpSMu0
~体育館裏~

紬「もう、暗くなって来たわね…」

律「…」

律「なあムギ、一旦部室に帰らないか?」

律「これだけ待っても来ないんだから…無駄だよ」

律「それに、人を呼び出しておいてこんなに待たせるなんて」

律「きっとそいつはロクな奴じゃない」

紬「でも、もう少し待ってみたいわ…」

律「…」

律「じゃあ、あたしが此処で待ってるよ」

律「ムギは部室に行って、今日の部活はもう終わりって言っておいてくれないか?」

律「この時間からじゃ練習も出来ないだろうしな…」

紬「…」

紬「分かったわ、じゃあ行って来るわね」

律「ああ、頼む…」

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:04:31.47 ID:pFdVpSMu0
律「…」

律「ごめんな、ムギ」

律「こんなに長い時間付き合わせたのは…ムギのせいなんかじゃないんだよ」

律「…」

律「寒い…」

律「こんなに寒い場所でじっとしてるのは」

律「馬鹿なあたしだけで十分なはずなのに…」

律「…」

律「帰って来たら…全部謝らないとな…」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:06:31.46 ID:pFdVpSMu0
~部室~

澪「良かった」

梓「え?」

澪「明日は一日中天気も良いみたいだから、お昼から何処か遊びに行こう」

梓「あの、いきなり凄く嬉しい事を言われてしまいましたが…」

梓「澪先輩は朝から今日の続きをするんですよね?私はどうすれば…」

澪「決まってるじゃないか」

澪「もちろん、私の手伝いをしてくれるんだろ?」

梓「…」

梓「は、はい!私、頑張ります!」

梓「でも、急にどうして…いえ、もちろん凄く嬉しいんですよ?」

澪「それは…梓とはもっと仲良くなって欲しいって言われてるからな」

梓「…」

梓「そういう言い方はちょっと嫌です…」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:09:34.98 ID:pFdVpSMu0
澪「なあ梓、私にとっての1番は誰だと思う?」

梓「それは…律先輩?」

澪「そうだな、律で間違い無いよ」

梓「…」

澪「今まではな」

梓「…え?」

澪「それなのに今此処に律は居ない、隣に居るのは梓だ」

澪「どうしてだと思う?」

梓「それは私が強引に…」

澪「そうじゃないだろ?私が一緒にやろうって誘ったのが最初じゃないか」

澪「梓と…梓ともっと仲良くなりたいって思ってる、それは私もなんだぞ?」

澪「そこまで言わせるなよ…」

梓「は、はい…嬉しいです…」

ガチャッ

紬「ごめんなさい、物凄く遅くなっちゃったわね」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:12:17.79 ID:pFdVpSMu0
紬「…」

紬「もう少し遅れて来た方が良かったかしら?」ウフフ

澪「そんな事は無いぞ?なあ、梓」

梓「そ、そうですよ!何を言ってるんですか、ムギ先輩は」

紬「そう…でも、ごめんなさいって言わせてね」

澪「あ、ああ…」

紬「それで、唯ちゃんと憂ちゃんは…どうして此処で寝てるのかしら?」

梓「私達が来た時にはもうこんな感じで…」

紬「そう、でもこんな格好なのに良い雰囲気ね…」

澪「ああ、何て言うか…」

梓「お互いの事をどう思ってるのか、見てるだけで分かっちゃいますよね」

紬「私、明日はどんなお話を聞かされるのかしら…楽しみだわ♪」

澪「ん?何か言ったか?」

紬「ううん、何にも」ウフフ

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:14:41.29 ID:pFdVpSMu0
澪「しかし、律は遅いな…普段だったらもうとっくに帰ってる時間じゃないのか?」

紬「いけない!私、その事で来たんだったわ!」

紬「あのね、りっちゃんは私の用事…」

紬「そう、どうしても外せない用事があって、それを手伝って貰ってるの」

梓「用事って、どんな事でしょう?私達でも手伝える事だったら…」

紬「ごめんなさい、それはりっちゃんにしか出来ない事だから…」

紬「だから部活に遅れてしまったのも全部私のせい、後で怒らないでね?澪ちゃん」

澪「まあ、ムギがそう言うなら…理由も詳しくは聞かないよ」

紬「ありがとう」

紬「それでね、終わるにはまだもう少しかかりそうだから…」

紬「みんなには先に帰って欲しいの」

澪「分かった、でも唯と憂ちゃんはどうする?」

紬「ちょっと部室でやっておきたい事もあるから、その間に私が起こしておくわ」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:16:37.56 ID:pFdVpSMu0
澪「そうか…じゃあ悪いな、先に帰るよ」

澪「梓、帰ろうか?」

梓「でも和先輩がまだ…」

澪「帰りに生徒会室に寄って行けば良いよ」

梓「分かりました、ムギ先輩お疲れ様です」

紬「ええ、お疲れ様」



梓「ムギ先輩の用事って何だったんでしょう?」

梓「律先輩しか手伝えない事って、あまり思い付かないんですけど」

澪「それは…私には何となく分かるな」

梓「え?ほんとですか?」

澪「ああ、いずれ梓にも分かると思うよ…」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:18:29.05 ID:pFdVpSMu0
紬「さて、まずはお湯を沸かして…魔法瓶はあったかしら?」

ユサユサッ…ユサユサッ

紬「唯ちゃん、そろそろ起きて?」

ユサユサッ…ユサユサッ

紬「唯ちゃん、起きて?」

紬「駄目みたいね…どうしましょうか?憂ちゃん」

憂「…」

憂「どうして、起きてるって分かったんですか?」

紬「だって…2人からは見えなかったみたいだけど」

紬「私が入ってきた時には顔が真っ赤だったわよ」

紬「聞いちゃいけない事、聞いちゃったのかしら?」

憂「ええ、それはもう…///」

紬「そう、良かったわ」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:20:28.57 ID:pFdVpSMu0
憂「あの、やっぱり紬さんが?」

紬「ううん、私は何もしてない、きっかけを作ってあげただけよ」

紬「憂ちゃんも早くそうなれると良いわね」ウフフ

憂「はい…///」

紬「でも、唯ちゃんはどうしましょうか?」

憂「あの、私はお姉ちゃんが起きるまで此処に残ってますから」

憂「紬さんは先に…」

紬「ごめんなさい、2人きりにさせてあげたいんだけど…」

憂「いえ、そ、そういう事じゃなくてですね…」

紬「時間も遅いから…そうだわ!ちょっと此処で待っててね」

憂「え?は、はい」



紬「あ、もしもし、紬です」

紬「急な事で申し訳無いんですけど、学校まで迎えに来て貰えませんか?」

紬「いえ、私では無くてお友達の…」

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:51:07.28 ID:pFdVpSMu0
~帰り道~

梓「あの、明日は何時位から始めます?」

澪「そうだな…9時位で良いんじゃないのか?」

梓「分かりました、じゃあその時間までには来てますね」

澪「ああ、この量なら2時間もかからないからな」

澪「遊びに行く時間も十分にあるだろ」

梓「私、明日が凄く楽しみです!」

澪「私もだよ、これも和のおかげって事になるのかな?」フフフ

梓「あの…澪先輩は和先輩の事、怒ってたりします?」

澪「私が?どうしてだ?」

梓「だって…和先輩が嘘を付いてるって事、もう分かってますよね?」

澪「ああ、もちろん分かってるよ」

澪「最初は受け取った資料の枚数が足りなかったのかなって考えたけど」

澪「和はそんなミスをしないからな、すぐに嘘だって分かったよ」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:54:41.65 ID:pFdVpSMu0
梓「一昨日の臨時役員というのも…」

澪「嘘なんだろ?分かってるよ」

梓「え?澪先輩は気付いてたんですか?」

澪「最初は分からなかったけどな」

澪「2日もこういう事が続いたら、流石におかしいって思うだろ」

澪「でも折角気を使ってくれたんだ、どっちも信じておくよ」

梓「良かったです…私、それだけがちょっと心配だったんです」

梓「和先輩の事、悪く思ったんじゃないかなって…」

澪「大丈夫だよ、唯や憂ちゃんには敵わないけど和の事は良く分かってる」

澪「特に今日の嘘なんて和らしいと思うけどな」

澪「他に手伝って欲しい事が出来たからとか」

澪「自分が悪く思われない言い方なんて他に幾らでもあったと思うのに…」

澪「人の事は言えないけど、和もこういう事に関しては不器用だな」

梓「…」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:55:44.35 ID:pFdVpSMu0
澪「どうした?梓」

梓「幾ら澪先輩でも…今日の和先輩の事、悪く言うのは許せません」

澪「…」

澪「そうだな、和は私達の為に一生懸命考えてくれたんだと思う」

澪「そんな風に言っちゃいけないよな」

澪「和には後で謝って…いや、お礼を言っておくよ」

梓「はい、それが良いと思います」

梓「あの…それで明日の事なんですけど…」

澪「何だ?」

梓「お昼ご飯は私が…その…」

澪「…」

澪「ああ、楽しみにしてるよ」

梓「はい!楽しみにしてて下さい!」

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:57:28.26 ID:pFdVpSMu0
~体育館裏~

紬「お待たせ、りっちゃん」

紬「みんなにはもう帰って貰ったから大丈夫よ」

律「…」

紬「あの後、誰か来たかしら?」

律「…」

紬「どうかしたの?」

律「…」

律「ムギ、来る訳が無いんだよ」

律「ムギが受け取った手紙、あれを書いたのはな…」

紬「りっちゃんよね」

律「!」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/23(火) 23:58:31.72 ID:pFdVpSMu0 [93/93]
律「何で分かったんだ!?」

紬「それは…」

律「何時から気が付いてたんだ?」

紬「最初から…」

律「最初からって…」

律「いや、そんな事よりもまず先に謝らないとな」

律「すまん、ずっと言い出せなかった」

律「何て言って謝って良いのか分からないよ…」

紬「りっちゃん…」

コポコポコポ…

紬「はい、どうぞ?」

紬「此処だとすぐに冷めちゃうかもしれないけど…」

律「ムギ…」

律「いや…あったかいよ…」

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 00:00:14.43 ID:3Ps854mt0 [1/104]
紬「後は…お腹も空いてるでしょ」

紬「サンドイッチがあるんだけど、良かったらどうぞ」

紬「ちょっとパサパサになってるかもしれないけど…」

律「…貰うよ」

紬「じゃあ私も頂くわね」

律「何だよこのお洒落なカゴは…どう見ても家から持ってきた弁当じゃないか」

律「ダイエットしてるから、昼は抜きなんじゃないのかよ…」

紬「これはお茶の時間に食べようと思って持って来たの」

律「それ、ダイエットになるのか?」

紬「さあ、どうかしら?」

律「…」

律「パンはちょっとカサカサになってるけど…でも、美味いな」

紬「沢山作っちゃったから何個でも食べて良いわよ」

律「これムギが作ったのか?」

紬「ええ、そうよ」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 00:02:42.31 ID:3Ps854mt0 [2/104]
律「そうか…折角作ったものを駄目にしちゃって悪かったな…」

紬「ううん、美味しいって言って貰えたから満足よ」

律「ああ、本当に美味いよ…それに、無駄にしなくて良かったって思う」

律「でも、あたしの弁当は…流石にもう食べられない状態になってるだろうな…」

紬「あら?りっちゃんはお昼ご飯を食べたって言ってたはずだけど?」

律「…」

律「ああ、そうだったな」

紬「じゃあ何も問題は無いわね、良かったわ」

律「最近分かって来たんだが…ムギも結構人をからかうんだな」

律「いいとこのお嬢様がそんなんで良いのかよ?」

紬「困ったものよね、部長さんの影響かしら?」

紬「こんな所で立ったままお食事だなんて、昔の私には想像も付かなかったもの」

紬「こんなにお行儀の悪い事をどんどん身に付けていったら…」

律「お嫁に行けなくなっちゃうってやつか?」

紬「ええ、だから責任を取って…りっちゃんが貰ってくれる?」

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 00:06:12.82 ID:3Ps854mt0 [3/104]
律「…もちろん冗談だよな?」

紬「ううん、本気よ?」

律「そういう言い方を覚えたのも、あたしの影響なのか?」

紬「もちろん他のみんなの影響もあるけど…でも」

紬「りっちゃんには一番感謝してるわ、ええ」

律「感謝って…それは良い事なのかよ」

紬「もちろんよ!」

律「まあどっちなのかは分からないけどな…でも、1つだけ言える事がある」

紬「何かしら?」

律「みんなも多分そう思ってる」

律「昔の…初めて会った頃のムギよりも、今のムギの方がずっと楽しそうだ」

律「そんなムギが…あたしは好きだよ」

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/24(水) 00:07:49.82 ID:3Ps854mt0 [4/104]
紬「まあ、愛の告白ね!」

律「違うだろ!」

紬「違うの?」ショボーン

律「いや、違うっていうのは言い過ぎなのか…」

紬「まあ、やっぱりそうなのね!」

律「…」

律「ムギ、さっきからあたしの反応で遊んでないか?」

紬「さあ、何の事かしら?」クスクス

律「まあ、それでムギが楽しんでくれるなら良いけどよ」


紬「お手紙とお弁当」-2
続きます

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澪梓はもう良いよ

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