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黒子「あっ…当麻さ…ん…気持ちいい…ですのっ」美琴「…」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/09(火) 18:45:00.50 ID:p2Dtvnw/0 [1/11]
-常盤台学生寮-
黒子「ああぁっ……当麻さんいいですの……んっ、あぁん」ギシギシ
上条「黒子!黒子のなかもすげえ気持ちいいよ!」ギシギシ
黒子「んんぅ、け、けど…あ、ああぁ…ああぁんっ……早く…んっしないと…お姉さまが帰ってきてしまいますのっ」ギシギシ
上条「あ、あぁそれもそうだな、よし黒子ラストスパートだ!!」ギシギシ
黒子「ひゃああああぁっ…と、当麻さん…黒子、イキますの…あぁぁっ」ギシギシ
上条「で、出る!!!」
黒子「あ、あああああぁぁっ…当麻さんの熱いの、入ってるっ……入ってますのぉ…んんんっ」
-ベッドの下-
美琴「(アイツと黒子の声がして思わずベッドの下に隠れてしまった…どうしてこうなった……)」
-常盤台学生寮-
黒子「ああぁっ……当麻さんいいですの……んっ、あぁん」ギシギシ
上条「黒子!黒子のなかもすげえ気持ちいいよ!」ギシギシ
黒子「んんぅ、け、けど…あ、ああぁ…ああぁんっ……早く…んっしないと…お姉さまが帰ってきてしまいますのっ」ギシギシ
上条「あ、あぁそれもそうだな、よし黒子ラストスパートだ!!」ギシギシ
黒子「ひゃああああぁっ…と、当麻さん…黒子、イキますの…あぁぁっ」ギシギシ
上条「で、出る!!!」
黒子「あ、あああああぁぁっ…当麻さんの熱いの、入ってるっ……入ってますのぉ…んんんっ」
-ベッドの下-
美琴「(アイツと黒子の声がして思わずベッドの下に隠れてしまった…どうしてこうなった……)」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 22:47:41.51 ID:VLMYaoOr0 [2/8]
御坂はベッドの下から様子をうかがっている。
シーツのこすれる音はもうしないし、ベッドも揺れていない
どうやら彼らの行為は終了したらしい
御坂(……なんでよ……なんでなのよ……)
上条「ふう、なかなかよかったぜ」
そんな御坂のことも知らず上条と白井は余韻を楽しんでいる
白井「わ、わたくし……気を……失ってしまうかと思いましたわ」
息を切らしながら白井は上条に答える。
またベッドが揺れる。
そして御坂の耳に水音のような、聞いたことの無い音が響く。
白井「んっ……んっ……」ちゅっちゅ
上条「自分からキスするなんて、意外だな」
白井「そんなこと……いわないでくださいまし……」
白井「そうさせたのは貴方ですのよ」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 22:52:10.09 ID:VLMYaoOr0 [3/8]
上条「ふふっ、可愛いやつだな」
そう言って上条は白井の胸を触る。
白井「あんっ!こんな小さい胸さわっても楽しくな……んんっ!!」
上条「俺が楽しいから良いんだよ」
御坂(うう……もう何がなんだか……)
御坂(それにしてもアイツが黒子を……?)
御坂(あのイン何とかってシスターよりも……私よりも……)
御坂(…………)
御坂(黒子なの?)
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:03:42.64 ID:VLMYaoOr0 [4/8]
御坂がそんなことを考えている間にもベッド上の二人は盛り上がっている。
白井「あっ!そんなに強くさわられるとっ……ん!!」
上条「強くさわると、どうなるんだよ??」
白井「んっ、あっ!!……」
白井「当麻さんって、意外といじわるですのね」
上条「俺もお前がこんなやつだとは思わなかったよ」
白井「こんなやつ……とは?」
上条「こういうことだよ」
そういって上条は白井の秘所に手を伸ばす
上条「さっき終わったばかりだってのに、なんだよコレ」
上条「まだまだ欲しいってか?」
白井「…………そんなこと……ありまs」
上条「だったら俺、もう帰ろっと」
白々しい。本当は分かっているのにわざと言っている。
上条自身も物足りない。だがあえて白井にその言葉を言わせようとしているのだ。
白井「……もう一度。お願いしますの……」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:17:32.71 ID:VLMYaoOr0 [5/8]
上条「ったく、仕方ねえなあ」
上条「御坂が帰ってくる前に終わらせろよ」
白井「仕方ないといっている割に、もう準備は万端ですのね……」
白井はそれを確認すると自らの手に取り、上条の上に跨りながら自身と結合させる。
白井「すごっ……きもちい……ですのっ」
上条「俺も、白井の……すごくきもちいい」
白井「先ほどは私……はあ、はあ、攻められてばかりでしたけど……」
白井「今度は私の番ですわっ……んっ!!ん、あ、あんっ!!」
上条「うおっ!っておい白井!!いきなり激しすぎるだろ」
上条「こんなんじゃ、すぐいっちまうって!」
白井「はあっ、はあっ。それならそれでかまいませんわ……」
上条「う……ってんなら、俺にも考えがあるぜ」
上条はそういうと、上半身を起こし白井の首筋に舌をそわせる。
激しくベッドを揺らしながら攻防を繰り広げる二人に、ベッド下の御坂の精神も限界が近づいていた。
御坂(もうだめ、もう我慢できない!!!)
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:30:23.60 ID:VLMYaoOr0 [6/8]
御坂(よく考えたらここは私の部屋なんだし、何か遠慮しないといけない訳は無いわ)
御坂(二人のことは私には関係ないんだし……)
御坂(別にアイツのことなんてなんとも思ってないし……)
御坂(でも。どうやって出て行こうかしら?何を言えばいいのかしら?)
そんなことを考えている間にも二人の交わりは、より激しさを増している。
白井「んあっ!!そんなところ……反則ですのっ!んっ、ああん」
上条「Hに反則なんてあるのかよ?」ぺろぺろ
上条に首筋や胸を攻められながらも白井は白井でその腰の動きを止めない。
それよりもむしろ上条に負けないくらい上下運動を繰り返している。
白井「はあっ、はあっ。ん、んっ!!わたくし……もう」
白井「わたくし、もう限界……ですわ……」
白井の身体が赤みを増し、表情も恍惚のものとなっている。
その言葉通り。限界が近いようだ。
白井「もうだめっ!!いきっ!!いきますの!!!……あ?」
まさに絶頂を迎える、その瞬間だった。
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:41:50.29 ID:VLMYaoOr0 [7/8]
上条「自分だけ気持ちよくなろうってか?」
上条はその手で白井の腰を押さえ動きを止めていた。
白井「えっ、いや……そんなことはありませんのよ」
上条「うそつけ。今『いきますの』とかいってたくせによ」
白井「それは…………」
上条「それは……なんだよ?」
白井「ごめんなさい……ですの…………ひゃん!!」
白井が謝ると同時に上条が下から勢いよく白井を突き上げる。
上条「悪い子には……」
白井「あっ!!ん、ひゃ!!くうっ!!!あんん!!はげし……激しすぎっ!!ますの!!!」
上条「お仕置きだよな!!!」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:55:14.19 ID:VLMYaoOr0 [8/8]
上条は身体を起こし同時に白井の身体の向きも変え立ち上がらせる。
そして背後から激しい運動を始める。
強制的に後ろから突かれるようになってしまっては、もう白井は身動きが取れない。
白井「ああっ!!んんっ、くう!!ひ、んんん!!!あっあっ」
白井「わたくし……わたくし……もう、今度こそもう……ダメです……のっ!!」
上条「何言ってんだよ……はあ、はあ。まだまだこれからっ!?」
上条「くっ!!すげぇ締め付けだ……」
白井の膣の締め付けに気付き、自らの限界も近い事を知った上条はピストンのペースを速める。
白井「あっあっ……あっ!!!んん!!」
上条「う、俺も……もうっ!!」
白井「え……ええ!!!当麻……さんもっ!!一緒に……ですのっ!!」
そして二人は同時に絶頂を迎えた。
白井「あああああっ!!」
黒子「あっ…当麻さ…ん…気持ちいい…ですのっ」美琴「…」おまけ 分岐
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 00:14:05.63 ID:/uV3gy/50 [1/11]
バタン!!!
快感で力が抜けてしまった2人は床に倒れこむ。
御坂(!!!ば、ばれるっ!!!)
御坂はそう思いとっさに身を隠そうとするが、もう身を隠せそうなところなどない。
だが二人はそんな御坂には気付かず、自分達の世界に入ってしまっていた。
白井「はあ、はあ……当麻さん……」
上条「ああ、少し激しすぎたかな」
白井「本当ですの!!少しは反省し!!!」
言い終わる前にその口を上条が塞ぐ。
そのまま数秒。二人はお互いのぬくもりを確認し、そして名残惜しそうに唇を離す。
白井「もうっ!当麻さんったら!!」
上条「いやだったか?」
白井「そんな訳ありませんのっ!!!」
白井「やっぱりいじわるですのね……」
上条「まあそう言うなって、お前も楽しんでたk」
御坂「私はいや!!!!!!!」
二人は床でピロートークを楽しんでいる。しかしとうとう、そのやり取りを最初から見ていた傍観者の邪魔が入った。
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 00:28:49.66 ID:/uV3gy/50 [2/11]
上条「えっ!御坂!?」
白井「お、お姉さま!?」
白井「いつからここに?」
御坂「いつからも何も。最初からいたわよ」
御坂「あんた達が愛をはぐくんでいる間ずっと……ね」
二人は何も言わなかった。
そして沈黙が流れる。
5秒、10秒。普段なら短く感じる時間が今の彼らには果てしなく長く感じられる。
御坂「ま、まあ。あんた達がそんなに愛し合ってるなら、私はとめないわ」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 00:49:37.28 ID:/uV3gy/50 [3/11]
御坂の目からは涙が流れている。それは、彼女の言葉が彼女の本心でない事の証拠だ。
しかし、御坂はその本心と向き合うことを止めた。
同時にそれ以外のことも全て考える事をやめていた。
御坂「わたし、なんかもう。どうでもよくなっちゃった……だから。……う…………ら……い」
上条「いまなんて?」
御坂が最後に小さくつぶやいたその言葉を、上条が聞き直したその瞬間。
上条の身体が白井の視界から消える。
どこからとも無く飛んできた家具により、上条はその身体を壁に縫い付けられていた。
そしてその衝撃で彼は気を失っていた。
家具が人間めがけて飛んでくるなんてありえない。
だが、それを可能にする人間を白井は知っていた。
白井「当麻さんっ!!お、お姉さま!!なにを!!」
御坂「……う…………にも………………い!!!」
白井も気付けば上条の隣に強制的に縫いつけられていた。
白井「うう……お姉さま。やめて……くださいまし……」
薄れ行く意識の中、白井が最後に見たのは、
宙を舞うコインと、その落下地点に腕を伸ばし構えている御坂の姿だった。構えながら何か言っているが聞こえない。
しかし、口の動きは語る。
『もう何もいらない』
次の瞬間、常盤台女子寮は倒壊した。
終わり。
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 05:57:23.39 ID:/uV3gy/50 [5/11]
常盤台女子寮が崩壊。多くの生徒が生き埋めになり死傷者も多数出したこの事件は
新聞やテレビでも大きく取り上げられ、学生は勿論様々な人種の話のネタとなっていた。
携帯のニュースを見ながらとある女子学生は考えている。
「『常盤台の『超電磁砲』嫉妬に狂う?』……かあ」
『警備員』の調査や聞き取りによるとその日、
常盤台女子寮内には本来あってはならない、男女の営みの声が聞こえたという。
それが一段落たった途端に、崩壊が起こったらしい。
大きく報道されているものの事件の詳しい原因自体は報道されておらず、街では噂が一人歩きしているのが現状だ。
このニュースも本当のものかは疑わしい。
ただ、可能性として彼女は思っていた。いや、それはむしろ確信に近いか。
あんなに立派な学生寮を一撃で破壊出来うる人物。
彼女の脳裏に浮かぶのはただ一人だった。
「御坂さん……どうして?」
佐天涙子は事件の真相を知るべく、捜査を始める……
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 06:06:19.87 ID:/uV3gy/50 [6/11]
事件が起こったのはちょうど三日前。
その日のうちに凄惨な状況が伝えられた。
白井さんと御坂さん大丈夫かな?
ってあの二人だからきっと大丈夫だよね……
彼女はそう思っていたが、その予想は外れていた。
外れていた。明確にそういう証拠はないのだが、事態はこうだ。
犠牲者・負傷者の欄に両名の名前は存在していなかった。
それだけなら二人が事件に巻き込まれていなかったという事で安堵すべきなのだが
今日までその二人が姿を現していない事や、噂から考えるにどうやら
彼女の友人二人が事件の中心にいることは間違いないようだった。
「佐天さん、あんまり思いつめるのは良くないですよ?」
隣にいた少女が思考を中断させる。
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 06:16:37.52 ID:/uV3gy/50 [7/11]
「えっ?ああ、ちょっと考え事してただけだよ」
「それって……御坂さんたちのことですよね?」
返事はない。だがそれで理解する。
仲の良い二人だからお互いの考えていることはよく分かっているし、状況が状況だ。
御坂や白井は共通の友人。考えないわけが無いのだ。
「一体何があったんでしょうね?」
「それをこれから調べようとしてるんじゃん!!」
重いムードを吹き飛ばす為に陽気に佐天は振舞おうとするが、普段どおり明るさは無かった。
現在ある情報ではどう考えても容疑者は『御坂美琴』である。
どんな新情報が加わったとしても、そのことは揺らがないかもしれない。
そう二人は薄々感じているからだ。
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 06:34:09.45 ID:/uV3gy/50 [8/11]
「たしかに。御坂さんが犯人かもしれません……」
「ですが、佐天さん。私達が考えるのはそれだけじゃありません!」
「うん、わかってる」
初春の言葉に佐天は間を置かず即答する。その言葉に自らの意志をこめるように
「こういうことだよね……」
「御坂さんが犯人なら逃亡しているから消息不明。コレは妥当な推理。でも……」
「白井さんも消息不明なのは、その理由が見当たらない」
もし仮に御坂と白井が共犯だとしたら答えはすぐに出る。
だが、この仮定はほぼ間違っている。
なぜなら、噂によると男女の営みの声が聞こえたのは御坂と白井の部屋であり、崩落の中心もここだ。
ということは、
『白井の逢引を、偶然か必然か分からないが、それを目撃した御坂が何らかの理由で超電磁砲を放った』
という推理が一番楽に導き出せる為だ。
だが、それだと二人は納得が出来ない。
あんなにも御坂を慕っていた白井が自らの部屋で男と一線を越えることがあろうか?
もしかしたら、あったかも知れない。
だが理由が分からない。
白井がそうした理由も。そのことで御坂が超電磁砲を放つほどに感情を高ぶらせる理由のどちらも……
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 06:57:04.79 ID:/uV3gy/50 [9/11]
考えが煮詰まりかけていたとき、パソコンにメールが届いたことを呼び出し音が知らせる。
「あっ、例の申請。通ったみたいです」
「やったね初春!これでちょっとは状況が分かるかも」
例の申請。とは『警備員』の監視衛星の録画の閲覧許可のことだ。
『風紀委員』同僚の捜索と言う名目で申請していたのだが、これがようやく承認された。
事件の起こった日から今日まで、
全学区すべての監視衛星の映像をこれで確認できる。
「やっぱりまずは……」
「あの日の常盤台女子寮……だね」
二人は意を決し事件の起こったその時間へ再生時間を設定する。
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 23:43:54.88 ID:/uV3gy/50 [10/11]
やっと家に帰れました。
ではそろそろ。
書きながら投下なので遅いですがすみません
↓↓↓
モニターに監視映像が映し出された。
女子寮を上空から撮ったもの、出入り口を移したものの二つが表示されている。
そして、再生時間が三日前の昼過ぎをまわる。
事件が起こったのは夕方だから、そこを確認するにはあと数時間進めないといけない。
それなのに二人がこの時間帯を確認していたのには理由があった。
常盤台女子寮への人間の出入りを確かめるためだ。
御坂以外に容疑者として考えられる人物が入るかどうか。
それと、本来女子寮にはいない筈の男性の正体を突き止めなければならない。
声を聞いていた人物がいるのだからその存在は確定している。
だが負傷者リストにも犠牲者リストにも載っていない……
彼の正体を突き止めることがこの事件を解決へ導く近道になる。
二人はそう考えていた。
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 23:57:41.36 ID:/uV3gy/50 [11/11]
「御坂さんはこの日、外には出なかったみたいですね」
「そうだね……白井さんは昼前に出て行ったけど、この日は『風紀委員』の当番だったの?」
「いえ、違います」
「ふーん、じゃあ何処行ったんだろうね」
映像を確認しながら話しているがその表情はかたい。
友人が犯人かどうか、そして無事なのかどうかそれがこの映像にかかっているからだ。
二人は緊張の糸を張りながらモニターを見つめる。
「白井さんの行った先、確認してみる?」
「そうですね……あっでも大丈夫です」
「戻ってきたみたいです」
再生時間がさすのは三時。外出していた白井がモニターに再び姿を現す。
隣には男の姿があった。
「う、初春!!たぶん……このひとだよ」
「ええ、分かってます!確認します……っと、出ました!!」
慣れた手つきで映像からデータを照合して検索結果を表示する。
『上条……当麻』
二人は男の正体を知るのだった。
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 00:17:17.47 ID:BNA3rJqb0 [1/31]
検索結果を見る限り、この男は特筆すべきことはないただの学生のようだ。
「なんか普通の人みたいだね……でも」
「はい。この人が白井さんと一緒に入ったということは。ほぼ間違いないでしょう……」
女子寮に本来いるはずの無い男性の存在。
それが白井と共に寮へと入っていった。
そしてこの直後の時間は、男女の営みの声が聞こえた時間と一致する。
つまり、白井と上条がその当事者であるという紛れも無い証拠だ。
「でも、やっぱりわかんないよ、どうして白井さんがこんなこと……」
「それは私だって分かりませんよ。でも今はそれを調査するんじゃないんですから置いておきましょう」
彼女達が今映像をチェックしている目的は、事件の動機探しではない。
あくまで、犯人や関係者の動向を探るためなのだ。
「そういえば、御坂さんってまだこの時は部屋にいるんだよね?」
「出て行く姿は捉えていませんから、そのはずです……ですけど……」
もし御坂が自分の部屋。つまり御坂と白井の相部屋に、此の時間いるのなら白井と上条に鉢合わせするはずだ。
そうなれば三人で談笑することはあっても、男女の行為に先の二人が勤しむ事は無いだろう。
だが、実際にその行為は行われたのは間違いない事実。
「寮内の監視カメラとかは無かったの?」
「ええ、残念ながら……あれば全てはっきりするんですけどね……」
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 00:34:08.33 ID:BNA3rJqb0 [2/31]
そんなこんなで考えているうちにとうとう問題の時間がやってきた。
常盤台女子寮が倒壊した、その時間が迫っている。
二人は一旦顔を見合わせまたモニターを見つめる。
「時間……だね」
「はい……」
彼女達は何も見逃さまいと必死にモニターを見つめる。
しかしそれは、一瞬だった。
何か光った?
そう思った次の瞬間には、もう女子寮は轟音と共に崩壊を開始していた。
どんどん倒れていく建物と、それを覆う埃、煙……
あっという間に何も見えなくなってしまった。
酷い映像を見ることになるだろうと覚悟を決めてはいたのだが、やはり驚きは隠せない。
「こんなにひどいなんて思わなかったよ」
「え、ええ……でもこれは。間違いないですね。犯人は決定です……残念ですが」
二人が見た何かの光……
見覚えのある光……
少し前まで横で一緒にいた少女が幾度となく放った光……
自分達の窮地を救った正義の光……
それは、御坂美琴の『超電磁砲』
だが、今。目の前に映るそれは……
破壊の光でしかなかった。
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 00:59:51.05 ID:BNA3rJqb0 [3/31]
噂が語るとおり、御坂が犯人かもしれない。
二人はそう思っていたが、気持ちのどこかではそれを否定し、彼女の無罪を示す証拠を探そうとしていた。
しかしその期待は散った。
悲しみや悔しさ、疑問や怒りが胸に溢れるが今はそんな事に囚われている場合ではない。
その御坂を含む、消息不明の当事者の同行を知るために、彼女達はここにいるのだ。
今出来ることは映像をしっかり見つめることだけだ。
「初春!!もう一回巻き戻し」
「はい、今度はここを拡大してみます!!」
崩落から救出が始まるまでの映像を何度も何度も繰り返し確認するが、目当ての人物は何処にも見当たらない。
いい加減に目も疲れてきたので、彼女達は少し休憩をとることにした。
「うーん……これだけ探しても見つからないとは……」
「やっぱり生き埋めになっていてまだ見つかってないだけなんでしょうかねえ?」
「それは初春が無いって言ったじゃんか。もう救出活動は完全終了したって」
「……そうでした……すみません」
二人はいろんな可能性を模索した。このように、生き埋めの可能性も考えたがすぐ否定する証拠が出てきた。
他にも、『超電磁砲』を受けて死体も残らなかったのではないか?とも推理したがそれもすぐ否定された。
御坂の『超電磁砲』は威力は桁違いだが、二人の人間を完全に消し去ることを可能にするエネルギーは無いためだ
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 01:19:58.16 ID:BNA3rJqb0 [4/31]
「まあでも。何か見つけるまでがんばろー!!」
「はい!!じゃあもう開き直って、スローモーションを最大でいっちゃいましょう」
「ははは、まあやってみよっか」
ちょっとした御ふざけのつもりの行動だったがこれが吉と出た。
今までもスロー再生をしていたのだが、それでは捉えきれないスピードで事態は進行していたのだ。
最大スロー映像でも、それはほんの一瞬だった。
『超電磁砲』が放たれた次の瞬間。
衝撃で窓を突き破り吹き飛ばされる白井と上条の姿が映り、画面外へと消えた。
「うそ……なんていうか、盲点だったね」
「って、感心してる場合じゃないですよ佐天さん!!他の衛星の映像を流します」
そういってキーボードを叩くと、今度は別の映像が開き、
白井と上条がふらふら歩きながらさ迷っている姿が確認できた。
衝撃のダメージが酷いのだろう、その姿はとても痛々しかった。
「うう……よかった、白井さん……生きててくれたんだ……」
「うん……初春…………」
二人は白井の姿を確認できた事にとりあえず喜び、涙を流す。
しかし肝心なのはここからだ。
生きているのなら何故顔を出さないのか。そして今何処にいるのか。それを探らなければならない。
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 01:39:01.95 ID:BNA3rJqb0 [5/31]
白井と上条の動きを衛星や監視カメラで追う初春は、あることに気付いた。
それは彼らが『カメラになるべく映らないように』歩いていることだった。
彼女はそのことを考えようとしたが、すぐ止めた。
何か理由があるのかもしれないが、とりあえず今いる場所を突き止めて、それで保護すればいい
事情を聞くのはその後でいくらでも出来るのだから。
そう考えたためだ。
動向を確認した結果。
白井たちは、とある廃工場へと侵入。今現在もそこにいるであろうことが確認された。
「やったね初春。これでやっと白井さんに会えるよ!!」
「ええ。……なんかすごく疲れました……」
ここで一旦、舞台を転換しよう。
時間は『超電磁砲』が放たれた直後の常盤台女子寮近く。
スポットライトは、白井黒子。
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 01:52:16.00 ID:BNA3rJqb0 [6/31]
「うう……当麻さんっ!!大丈夫ですの!?」
「ああ、俺は何とか平気だ……お前こそ平気か?」
お互いの無事を確認する。あんなことがあったのに生きているのが不思議なくらいだ。
実際、二人の身体はかなりのダメージを受けていたが、行動不能になるほどのものではなかった。
「まさかこんなことになるとは……」
「……でもよ、逆に考えればいい機会かもしれねえぜ?」
「む、言われてみるとそうかもしれませんわね。ですが」
「ああ、今はとにかく。身体を休める所を探さないとな」
痛む身体を気遣いながら二人は歩き出し。廃工場へとたどり着いたのだった。
つい最近廃業したのだろうか、機材がまだ撤去されていないし、様々なものが放置されている。
救急セットも見つけることが出来たので、彼らはひとまずここで落ち着くことにした。
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 02:14:10.27 ID:BNA3rJqb0 [7/31]
打ち身や擦り傷、切り傷は無数にあるが幸いにも骨折などの深刻な怪我は負っていなかった。
とりあえずの手当てを済ませ、改めて自分達のおかれている状況を確認する。
「もう、あとにはひけませんのね」
「そうだ……」
「御坂がまさかあんなに逆上するとは思わなかったが」
「とりあえずはほぼ、計画通りってとこだな」
二人はお互いを見つめ笑いあった。そしてどちらからでも無く近寄り口付けを交わす。
まるで何年間も会っていなかった恋人同士のように、相手の唇を貪る。
そんな彼らが口付けだけで満足するはずが無く、行為は自然と進んでいく。
怪我だらけの身体をお互いが愛し合うその姿は工場内に不気味に映える。
交わるのも今日だけでもう三度目だが、そんなことも感じさせないような激しい契りが、他に誰もいない空間内に響き浸透する。
動物は本能により、命の危機が迫ったとき求愛行動をすることがあるという。
彼らは正にその本能に従うままお互いを愛し合うのだった。
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 14:42:18.63 ID:BNA3rJqb0 [10/31]
↓↓↓
彼らは行為を終了した後、そのまま寝てしまった。
無理も無い。身体はただでさえボロボロなのに、その上体力を激しく消費してしまったのだから。
気付いたときには翌日の夕方だった。
「少々寝過ごしてしまいましたわね」
「それだけ疲労してたってことだろ」
「計画を実行するには体力が必要だし、まあ結果オーライってとこか」
「ですわね……」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 14:50:38.39 ID:BNA3rJqb0 [11/31]
「にしてもだ」
「昨日、いや一昨日か。一昨日は激動の一日だったな」
「本当ですの。今考えても、どうして貴方とこういう関係になって、こうして行動を共にしているのかよく分かりませんわ」
白井が言うとおり、つい二日前までは彼らの関係は『ただの友人』だった。もしかしたらそれよりも下かもしれない。
白井にとっては上条は『お姉さまに付きまとう類人猿』。
上条にとっては『口うるさい御坂の後輩』。
というくらいにしか思っていなかったのだから。
「そうだな……でもよ」
「それだけ、お互いが抑圧しているものがあったってことなんだよな」
その言葉に白井は無言で頷く。
本当に彼らは二日前まではお互いを何の意識もしていなかった。
しかし、それはあの日。
偶然出会い会話を交わしたときに全て狂ってしまった。
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 15:10:35.81 ID:BNA3rJqb0 [12/31]
白井はあの日のことを思い出す……
ちょっとした用事であの日、白井は外に出掛けていたのだが、そこで上条と出くわした。
普段なら軽く挨拶を交わすくらいで別れるのだがその時は暑さも手伝い、一緒に少し休むことにしたのだ。
その時、唐突に自分の口から「お姉さまのこと、どう思ってらっしゃいますの?」と質問が飛び出る。
一体何故あんな事を聞いたのか、分からないが、隣の男は動揺しながらも案外すぐ答えを出した。
「俺が守ってやろうって、そう思ってるぜ。あいつとはいろいろあったけどさ。これだけはいつも思ってる」
「よく分かんねえけど、これが好きだって事なのかな」
「って、こんなことお前に言ったら殺されちまうな。ははは、何考えたんだ、俺は」
二人は顔を見合わせる。本当なら彼は白井にとって腹立たしいことを言っているのに
彼女の心にあったのはそれとは逆の感情だった。なぜか微笑んでしまった。
その様子に隣の男は少し戸惑ったようだがすぐ前を向き、もう一度話し出した。
「でもよ……あいつ俺と会ってると、いつも電撃撃ったり、怒ってばかりでよ」
「なんか辛いんだよな……」
「なんていうのかな。気持ちを理解してもらえない悔しさっていうのかな」
それだけいうと黙り込んでしまった。その様子を見て白井は共感を感じた。
「どれだけお姉さまのことを愛しても、いつまでたっても分かって貰えない。まさか貴方も同じだったなんて……」
思考がつい言葉となってしまう。
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 15:37:11.42 ID:BNA3rJqb0 [13/31]
しまった。どうしてこんなことを言ってしまったのか。
そう考えたが声にしてしまった言葉はもうどうすることも出来ない。
隣の上条はどう思っているだろうか。それを確認しようと視線を上げる。
そこにあったのは、真剣なまなざし。
真剣ではあるが、優しさに溢れた顔だった。
その顔を見て思わず白井も真剣に彼を見つめる。
そうしていると何故か身体が勝手に動いてしまった。
そして、人生初めての口付けを交わす……
だが、自らの唇が上条の唇に軽く触れ、その感触に思わず飛びのく。
「すみません!私ったらなんてことを……」
「……いいんだ。多分俺も、同じ気持ちだから……」
再度見つめあう。そしてまた口付けを交わす。
今度は数秒間すっとそのままだった。
その時。白井の頭の中は『お姉さま』のことでいっぱいだった。
だがいつもの『大好きなお姉さま』では無い別の感情だった。
どれだけアピールしても分かってもらえず、時には迷惑そうな態度をとられる。
もしかしたらお姉さまは自分の事を疎ましく思っているのかもしれない。
認めたくないことだったから考えて来なかったが、今目の前の上条のおかげでそれと向き合うことが出来た。
考えることで結果が出た。簡単な答えだった。
そして、歪んだ答えだった。
『大好きなお姉さま……大好きだからもう、いりませんの』
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 15:50:52.92 ID:BNA3rJqb0 [14/31]
口付けが終わった後、彼らは自分の気持ちについて話していた。
「上条さ、いえ。当麻さんも私と同じ気持ち……ですのね」
「ああ。そうだ。」
「俺のものにならないんなら、もういらない。そう思ってる」
「今お前と話して、何故かこう思えた」
本当の気持ちと、すれ違った思い。
それらが白井と御坂、上条と御坂の三人間で複雑に混ざり合い、歪んだ感情を形成していった。
その感情の種自体は二人の心の奥深くにあったのだが、今日のこの会話がその種を急速に成長させ
そしてそれは最終的に歪んだ情愛へと成った。
『もういらない』だけど、どうするのか。殺してしまおうか。
二人はいろいろ考えたが、御坂は学園都市の第三位。そうするのは容易でない。
ならどうするか。
答えが一つ出た。
自分のものにならない御坂が憎い。
御坂は、この学園都市の象徴たる第三位様だ。だからこの町が憎い。
だから、この街から逃げてしまおう。
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 16:02:47.58 ID:BNA3rJqb0 [15/31]
幸か不幸か、上条はここ最近いろんな事件に巻き込まれ、現在自分が生きているのが不思議なくらいの事件もあった。
それを白井と共に利用しよう。そう考えた。
事件のどさくさにまぎれて行方をくらまし、その上で学園都市を抜け出そう。
その後はどこかで適当に暮らせば良い。
お互いの気持ちが通じた二人は、目の前の人物とならどこまでもいける。
そして何でもやれる。という気持ちを共に感じていた。
だが今はまず。この昂ぶる気持ちを治めたい。
お互いの身体を愛し合いたい。
気持ちのおもむくまま行為に没頭したい。
その思いで彼らは常盤台女子寮へ向かったのだ。
そしてあの日の事件が起こった。
「本当にいろいろでしたわね」
あの日あったことを思い出し終わり、感慨深そうにため息をつく白井。
上条も同じ事を考えていた。
「ああ。だけど、あとはこの街を抜け出すだけだ」
「とりあえず飯でも食って体力戻さないとな」
失った体力を取り戻してから街を抜け出す。その計画にかかったのは2日だった。
そして時系列が、佐天涙子と初春飾利が彼らの居場所を特定した日にちに一致する。
さあ、もう一度舞台を転換しよう。
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 16:17:12.72 ID:BNA3rJqb0 [16/31]
舞台は『風紀委員177支部』
時間は朝。
スポットライトは勿論、佐天涙子と初春飾利。
パソコンのモニターに例の廃工場が映し出されている。
「本当にやったねー初春!!」
「これで何とか解決かな?」
「ええ。そうですね。ですけどまずは……」
「うん、分かってる!!白井さんきっと怪我してるからまずは手当てしてあげないとね」
「はい。たまには優しくしてあげませんと」
事件解決の糸口が何とか見つかったことと、白井の居場所が判明したことで彼女達もようやく一安心する。
今まで表情から消えていた笑顔が戻り、冗談を言い合うこともしている。
モニターを見ながら会話していた彼女達だったが、次の行動を起こそうとパソコンの前から移動しようとした時。
背後から声がかけられた。
急に声をかけられたことに驚くが、それよりもその声自体が恐ろしかった。
とても冷たい声だった。
聞くだけで、身の毛もよだつ。そういう声だった。
そして、その声は聞き覚えがあった。
よく聞いていた声。
この支部内でいつも笑いながら会話していた声だった。
今聞こえるその声は、声色こそ変わっていないが、同じ人物のそれとは思えないほど冷淡だった。
「へえ、あいつら。こんなところにいたんだ」
御坂美琴の姿がそこにあった。
184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 16:48:54.03 ID:BNA3rJqb0 [17/31]
一体いつからここに。どうしてここに。
数々の疑問が二人の脳裏を駆け巡るが、何も言えないでいた。
外見だけを見ると普段どおりなのだが。表情が違った。
御坂の冷淡な顔つき。
それに圧倒されて何もいえないのだ。
「ここまで調べてるってことは、当然。寮が崩壊した理由も分かってるのよね?」
御坂は二人に問いかける。
佐天の目を、次に初春の目を見て問いかける。
見つめられた二人はますます動けなくなる。まさに蛇ににらまれた蛙だ。
しばらく沈黙が続いたが、それを初春が破る。
「何もお話しすることはありません!!」
「ふーん。じゃあ、肯定という事で捉えておくわ」
「どうしてこんなことしたんですか!!」
今度は佐天が問いかける。身体を震わせ恐怖に耐えながら。
そんな彼女を鼻で笑いながら御坂は答える。
「きっと、貴方達の思ってるとおりよ」
「でももうそんな事関係ないの」
「私の目的はあいつらを殺すだけだから」
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 17:04:35.34 ID:BNA3rJqb0 [18/31]
「そそ、そんなことさせると思ってるんですか!」
「何よ佐天さん。私を止めるつもりなの?」
「ってかそんなに震えながら言っても笑いを誘うだけよ」
佐天涙子は近くにあったバットを持ち、御坂に向いて構える。
だが御坂はそれを笑ってバカにする。「そんな事をしても無駄よ」といわんばかりに。
その様子を初春はただ見つめていた。
本当なら『警備員』を呼ぶべき状況なのだが身体が動かない。
電話からも距離がある。もし不穏な動きを見せればその瞬間に殺されるかもしれない。
そんな恐怖のため身体がすくんでいた。
「ううう、うるさい!この、犯罪者!!」
佐天がバットを大上段に振りかぶり、そのまま振り下ろす。
しかし御坂は動かない。微動だにしない。
次の瞬間。佐天はバットの動きを止めていた。無意識だった。
御坂が怪我をしてしまう。そう思ってしまったのだ。バットを構えたのは自分自身であるにもかかわらず。
「やっぱり優しい佐天さんには無理よね、そういうこと」
御坂はそういうと一歩、また一歩と佐天に近づく。
佐天は動けない。恐怖、緊張、驚き等。様々のものに身体が支配されている。
そして御坂は耳元でつぶやいた。
「私の事気遣ってくれてありがとう。だから、さようなら」
支部内を電撃が舞った。
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 17:18:35.88 ID:BNA3rJqb0 [19/31]
「うう、一体なにが……」
初春飾利は気を失っていた。
どれだけ気を失っていたのか、それを確かめるべく時計を見る。
思ったより時間は経っていなかった。次に支部内を見渡しそして思い出す。
「さ、佐天さん!!!!」
部屋の真ん中で倒れている佐天涙子の姿がそこにはあった。
初春が気を失う寸前に見たのは御坂から放たれた電撃が佐天を貫く光景だった。
それを思い出し、一握の希望を抱きながら彼女の身体をゆする。
「う……うう」
以外にもすぐ反応が返ってきた。
「佐天さん!!大丈夫ですか!!」
「う、初春!?アタシ一体どうして?」
記憶が混乱しているのだろうか、佐天は自らの置かれている状況が飲み込められないようだ。
数秒考えた後、ハッと彼女は気付いた。
「初春!!こんなとこでボーっとしてらんないよ!!御坂さんを止めなきゃ」
「ええ。分かっています。でも私達に何か出来るでしょうか……」
「なに言ってるの初春!そんなんじゃダメだよ!!……確かに何も出来ないかも知れない……」
「でも。御坂さんはアタシ達が止めないと!!大切な友達じゃない!!」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 17:31:19.88 ID:BNA3rJqb0 [20/31]
その言葉に初春も気付く。
あれほどの事件を起こした御坂だが、自分達にとっては大切な友人だ。
これ以上罪を重ねさせないためにも、止めないといけない。
「わかりました、佐天さん!」
「それでこそ初春だよ!じゃあいこっか」
「でもちょっと待って下さい佐天さん!」
走り出そうとしたところを止められたので佐天は面食らってしまう。
「なんなのよ、一体?」
そこで話したのは最も根本的なことで、一番大事な事だった。
いま御坂が白井達のいる廃工場に向かっているのは多分間違いない。
凶行に走る御坂を何とかして止めなければならない。
だが一体どうしたら良いのか。どうやったら御坂を止められるのか。分からない
下手をすればさっきの二の舞になるだろう。
やはり『警備員』を頼った方が良いのか。
そう思った彼女達の視界に、あるものが映った。
「ねえ初春、これって……」
一方その頃。
白井と上条は計画を実行に移そうと、出発の準備を終えようとしていた。
「そろそろ行くとしましょうか?」
「ああ、そうだな……この街ともお別れだ」
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 22:05:48.53 ID:BNA3rJqb0 [22/31]
↓↓↓
「本当はお前の能力を使って移動できたら楽に終わるんだろうけどな……」
「そんなこと気にしないで下さいませ。それに」
「障害が多い方が、達成感もそれだけ大きいものになりますわ」
「……ああ、そうだな。気を使わせて悪かった」
上条当麻の右手に宿る『幻想殺し』は白井の『空間移動』を無効化してしまうため
一緒に能力を使って移動する事は不可能だった。
だがその事が逆に二人の絆を深めている。
白井の言うとおり、障害があるほど、愛は燃え上がるものだから。
そんなこんなで廃工場を後にしようとした二人は入り口に誰か立っているのを見つける。
白井達のほうからは逆光で、よく顔は見えない。しかしそのシルエットは見覚えがある。
その人物がこちらに向かって話しかけてくる。
「ニュースを見ても、死体どころか怪我人としても発見されていないし……」
「ホントに随分探したんだから……」
「でもね、もうここまでよ」
「死んでもらうわ!!!」
白井と上条が歪んだ愛を抱く原因となった、御坂美琴がそこにいた。
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 22:17:22.20 ID:BNA3rJqb0 [23/31]
その言葉と同時に御坂は電撃を放ってきた。
それを右手で受け止めながら上条は言う。
「なかなか手荒い挨拶じゃねえか」
「だけどよ、俺達はもう覚悟を決めてんだ。邪魔すんじゃねえ!!」
「あらあら、何の覚悟かしら?私に殺される覚悟かしらっ!!!」
先ほどよりも一層強い電撃が上条に向かって放たれるが、それをも上条は無効化する。
目の前の御坂はチッと舌打ちして悔しさを露にしている。
これならいける。そう思ったのだろうか上条は白井に向かって叫ぶ。
「おい黒子!!ここは俺が何とかするからお前は早く行け」
「ですが……」
「どの道お前じゃこいつに勝てねえだろ?だから任せろ」
白井は上条の顔と御坂の顔。それを何度か往復してみた後。走り出した。
「絶対に追いついてくださいまし!!!」
そう言い残して。
「あらあら良いのかしら?二人で戦った方が勝機も増えると思うわよ」
「ふん!!どうだか?お前が俺に勝った事があるか?」
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 22:34:37.37 ID:BNA3rJqb0 [24/31]
その言葉は御坂を激昂させ、ますます強い電撃を彼女に撃たせる。
しかしそのどれをも上条は無効化し、徐々に御坂との距離を詰めていく。
御坂の攻撃は距離を詰めれば怖くない。
上条はそう思っていた。
実際この判断は正しい。
御坂に近距離戦闘法が無いわけではないが、御坂が得意とするのは一対多の戦闘だ。
これは御坂の能力『電気』の特性を見ても明らかで、放射状に広がるそれは中距離で電撃はその特性を最大限に発揮する。
ただ、今の御坂は殺すつもりで電撃を撃っている。
だから遠くても近くても当たれば大ダメージ、もしくは致命傷は免れない。
しかし逆にどんなに強い攻撃でも当たらなければどうという事は無い。
その術を持っている上条は迷わず御坂の懐めがけて突っ込む。
だがそんなこと御坂は百も承知で、上条が近寄るたびにその距離を離すべく跳躍していた。
伊達に何度も上条と戦っていたわけではない。彼女は彼女で対上条戦の作戦を練っているようだ。
工場内にはいろんな音が響いている。
二人の足音、電撃が放たれる音、そしてそれが無効化される音、怒声。
それらがもう五分以上続いている。
しかしその音が一つ消える。
「しまった!!壁が」
「どうしたよ御坂。逃げ回るのはもう終わりか?」
「くっ、これでも喰らいなさい!!」
そう言って電撃を放つが上条は簡単にそれを無効化する。
決着の時が近づいていた。
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 22:53:37.74 ID:BNA3rJqb0 [25/31]
「あーあ、あんなにも威勢よく来たもんだからどれだけ楽しませてくれるかと思ったけど」
「なんだか拍子抜けしたぜ。追い詰めたつもりが逆に追い詰められる……御坂、お前間抜けだな」
壁を背にし、もう逃げ道の無い御坂に対し余裕の笑みを浮かべ一歩ずつ上条は近寄る。
場内は暗く御坂の表情は見えないが、きっと恐れおののいているだろう。
そう思い彼女の顔を確認できる位置まで歩き、表情を見る。
しかし、そこにあったのは不気味に笑う御坂の顔だった。
「お、おまえこの状況で何笑ってんだよ?」
「ふふふ、だって可笑しいんだもの」
「……追い詰められているのは…………どちらかしら?」
「周りをよく見てみなさい。さっきの言葉をそのままそっくり返すわ!!」
そういわれ自身の周りを見ると、そこにあったのは放置されたままの什器や機材が所狭しと存在していた。
上条は失念していた。御坂のもう一つの『磁力』を操る能力を。
それに気がついて走り出した次の瞬間。什器や機材がまるで意志を持ったように襲い掛かってきた。
何度かはその直撃を避けられたものの、圧倒的な数の多さに一つ、また一つと上条はダメージを重ねる。
「外まで出れば何とか……」
そう思い出口へ向かおうとした時。頭上に何か気配を感じた。
「そうやって出口に向かうのもお見通しなのよ」
さっきまで上条を襲っていた機材とは大きさの桁の違う重機が、彼を押しつぶした。
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:06:38.00 ID:BNA3rJqb0 [27/31]
「うぎゃああああああ」
情けない悲鳴をあげつつも上条は何とか生きていた。
重機は彼の右足だけを潰し、動きを停止していたのだ。
しかし、もう逃げ回れない。動く事さえ出来ない。
今度は御坂がゆっくりと上条に向かって近づいていた。
「あーら、さっきまでの威勢の良さはどこいっちゃったの?」
「まあいいわ。もう終わりね」
上条は構える。いつ御坂が電撃を放っても打ち消せるように、右手を差し出す準備をしていた。
御坂の身体が帯電し、そして電撃が来るっ!!そう思った瞬間
上条の横に転がっていた鉄パイプが御坂の手向かって飛んでいった。
「な!?」
「はっ?アンタ何驚いてんの?」
「まずはその厄介な右手をどうにかしなきゃね!!!!」
御坂はその手の鉄パイプを上条の右手向かって振り下ろす。
硬い音が響いた。その音は何度も何度も工場内をこだました。
その音がしなくなった頃。上条の右手はもはや手と呼ぶのがためらわれるほどに変形していた。
「ぐああああ……」
「苦しませて悪かったわね……でも。これで終わりよ」
御坂はポケットからコインを取り出し、構えながらそれを真上に弾いた。
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:19:45.68 ID:BNA3rJqb0 [28/31]
コインが彼女の手に落ちた瞬間。上条の人生は終わる。
上条は自身の死を覚悟し、御坂はそんな上条を名残惜しそうに見つめていた。
しかし、コインが落ちてこない。
(あれ、おかしいな?)
彼女はそう思ったが。結局コインは彼女の手には戻ってこなかった。
数メートル離れた床に何故か転がっていた。
「どうしたのかしら?ちょっと焦りすぎたかな」
そういいながらコインを拾おうとした時、違和感に気付く。
それはコインではなかった。
いや、正確に言えばコインではあるのだが。その中心を鉄芯が貫通していた。
その鉄芯に御坂は見覚えがある。
つい先日崩壊した女子寮のルームメイトの少女が身に着けていた物だ。
それを拾い終えた彼女の視線の先に新たな人影が見えた。
「当麻さんを……殺させはしませんわ!!!」
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:34:00.48 ID:BNA3rJqb0 [29/31]
「あら黒子。何しに戻ってきたの?」
「決まっています!!当麻さんを守るためですの!!」
「あら呆れた……こいつはあんたを逃がすために私と戦ってたんじゃなかったかしら?」
「本末転倒ってやつね。まあ……あんたも殺すつもりだったから手間が省けて良いわ!!!」
容赦ない威力の電撃が放たれる。いつもじゃれていた時の電撃とは比べ物にならないものだ。
しかし、電撃の着弾地点に白井は居なかった。能力を使って移動したのだ。
「私が本気になれば、お姉さまの攻撃など当たりませんわよ」
「あーら、それはどうかしらね」
もう一度御坂は電撃を放つがやはり当たらない。
その姿を見て白井は「勝てる!!」そう思った。
自分が跳び続ければ御坂の攻撃は当たらない。
ならば、跳びながら攻撃を仕掛ければ有利に戦いを進められる。そう考えたからだ。
白井は意を決し攻撃態勢に入り準備を整える。
そして鉄芯を移動させる。
それはシュンと音を立てて御坂の肩に命中した。
224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:45:21.14 ID:BNA3rJqb0 [30/31]
「くっ!!よくもやったわね!黒子!!」
そんな言葉は無視し白井は次々と鉄芯を移動させる。
御坂の腕や足、腹にそれらは容赦なく突き刺さり、彼女の顔に苦悶の表情が見られる。
「この!!逃げ回ってんじゃないわよ!!!」
一歩的に攻撃を受け、叫びながら電撃を放つが今回も空振り。
御坂はどんどん焦っていた。
しかし、御坂よりも白井の方が焦りを多く感じていた。
(なぜ?なぜですの?どうしてあたりませんの?)
確かに白井の攻撃は御坂に命中している。
だが白井はその攻撃を腕や足に向けて撃ったのではない。
相手を即死させられる場所。つまりは頭部や心臓に向けて撃っているのだが悉く外れている。
その事に焦りを感じていたのだ。
これは白井の戦闘経験の少なさによる。
正確に言えば戦闘経験というよりも実戦経験というほうが正しい。
『風紀委員』として自らの命を危険に晒しての戦闘は何度か経験があったものの
相手の命を奪う事を目的とした実戦はしたことが無かったためだ。
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:58:29.55 ID:BNA3rJqb0 [31/31]
正確に狙っているはずなのに座標がずれる。
この事に焦りながらも白井は考える。「一発で当たらなくとも、それならば手数で勝負しよう」と。
そう考え落ち着きを取り戻した時、御坂が視界から消えた。
(一体どこに?近づいた様子はありませんが……)
あたりを見渡すが姿は無い。落ち着きを取り戻した途端にこれだから白井は少し拍子抜けしてしまう。
だが、これは白井にとっては好都合だった。
先ほど迄で装備していた鉄芯を使い果たしていた。何かで代用補充する必要がある。
幸いにもここは廃工場。使えそうなものはいくらでもあった。
補充を追え御坂の姿を探そうとした白井の耳に声が届いた。
「おーーーい黒子!!聞こえてる?」
御坂の声だった。声の方向はから察するにどうやら出口付近にいるようだ。
声が続く。
「あんたから殺そうかと思ったけど、ちょこまかしてめんどくさいからさ」
「やっぱり、こいつから殺すことにするーー」
しまった!!!白井黒子はそう思った瞬間に移動を開始していた。
上条を助けるために白井は戦っていたが、御坂にとってはどちらも殺す対象だ。順番など関係ない。
間に合え!間に合え!!そう思い何度も移動する。
そしてようやく上条の元へとたどり着く。
232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 00:15:02.39 ID:LgIAK/3s0 [1/38]
「当麻さん!!大丈夫ですの!?」
上条の身体を見渡すが足と手を潰されている以外はさっきと変わらず、変化は無い。
「よかった……」
そうやって一息付こうとした瞬間。白井の意識は強制的に奪われた。
その身体を電撃が通過していた。
「御坂!!!手前!!!汚ねえぞっ!!」
「あらあら、いまさら汚いも何も無いわ。それに。ただ利用させてもらっただけよ」
「あんたを殺すって言えばこの子は守りに来ると思ったからね」
「予想通り過ぎて笑っちゃったわよ。あはははは」
御坂は気絶した白井を上条の横に並べて言う。
「仲良く一緒に死になさい!!!」
そしてもう一度コインを取り出し、『超電磁砲』を撃つ準備を始める。
今度こそ終わった。上条はそう考え、目を閉じた。
再度、コインが弾かれた。
238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 00:39:41.09 ID:LgIAK/3s0 [2/38]
「あ……れ?」
上条当麻は異変を感じていた。あれから数秒たつが自分はまだ死んでいない。
何故だろうと思い、恐る恐る目を開ける。
そこには確かに御坂美琴がいた。先ほど白井が邪魔した時のようにコインが床に落ちているわけでもない。
コインはしっかりと彼女の手の上に置かれている。
しかし『超電磁砲』は放たれていない。
「う、うあ……うう…………」
御坂は何かに苦しんでいる。
上条にはその原因は分からないが、とにかく御坂が苦しんでいる事だけは分かる。
「こ、これは……まさか……」
御坂が何かを思い口にした言葉に返事をするものが現れた。
「ええ。御坂さんが思ってるとおりですよ」
「キャパシティダウンですっ!!良かったね初春!!間に合ったよ!!!」
そこに登場したのは佐天涙子と初春飾利だった。
240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 00:48:42.32 ID:LgIAK/3s0 [3/38]
「な?キャパシティダウンが?どうして?う……うう」
その問いに初春が答える。
「本当は機密事項なんですけどお話しますね。えっと――」
初春が話した内容はこうだ。
『乱雑開放』事件以降。『風紀委員』と『警備員』用に携行用キャパシティダウンの開発が進められていた。
携行用のため出力は少なく長時間の使用は出来ず、広範囲にも使用できない。
それでも、レベルに関係なく能力者を行動不能にすることは可能。
その機械が初春の手の中に収められていた。
初春自身も能力者だが彼女に今効果がないのは、この携行型が指向性の音波を発しているためだ。
「御坂さん!!もう、ここまでですよ」
そう佐天が言った後。一息いれて初春が続ける。
「御坂美琴さん!!暴行傷害の現行犯並びに器物破損で拘束します!!」
御坂の手に手錠がしっかりと嵌められるのだった。
247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:03:10.53 ID:LgIAK/3s0 [4/38]
「こ、この!!放しなさい!!」
御坂は抵抗するが能力の使えない状況では何も出来ない。
その横で佐天が白井を起こそうとしていた。
「白井さん!!大丈夫ですか」
呼びかけるが返事は無い。
「そいつは気絶してるだけだ。助かったよ。ありがとう」
そこに上条が声をかける。佐天と初春は「この人が……」と思い、詳しい話を聞こうと近寄る。
しかし彼の傷の酷さに声を失ってしまう。
「事情を聞きたいところですが、とりあえず救急車を呼びますね」
初春が言った時に白井が目覚めた。
「う、ここは……!!はっ!!当麻さん!!無事ですの?」
意識を取り戻したとたんに上条のことを心配する白井。それだけ気にかけていたのだろう。
上条の無事を確認した後でようやく佐天と初春に気付き、状況を理解する。
248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:10:25.95 ID:LgIAK/3s0 [5/38]
状況を理解した白井は、痛む身体を引きずりながら御坂の元へ駆け寄る。
「お姉さま……無様ですわね」
「うるさい!!だまれ!!!」
初春達はそんな二人のやり取りをただ見つめていた。
あんなに仲の良かった二人がどうしてこんな事になったのか詳しくは分からないが
今はただ見守るしかなかった。
「どうしてこんなことになってしまったのでしょうね?お姉さま……」
「うっさいって言ってんでしょ!!!」
御坂は拘束されているものの未だに激しく抵抗を続けている。
「……………初春。一つだけお願いがありますの」
今まで見せたことの無いきわめて真面目な表情で白井は初春に言う。
「お願い……ですか?」
252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:19:20.29 ID:LgIAK/3s0 [6/38]
「ええ…………初春。お願いしますですの。それから、佐天さんも」
「え?あ、はい」
何故自分の名前が呼ばれたのか。疑問に思いながらも佐天は返事をした。
「それで、お願いってなんですか?」
その問いに白井は数秒考え込んだ後、言葉にする。
「ここで起こった事と。これから起こる事を……」
「見なかったことにして欲しいんですの……」
一瞬。白井が何を言っているのか分からなかった。
どう考えてもこの廃工場では傷害事件が起こった。傷害よりも殺人未遂というほうが正しいかもしれない。
そんな事件について白井がこんなことを言うなんて絶対おかしい。
そう、佐天と初春は思った。
しかしそれよりも疑問に感じる事があった。
『これから起こる事』
不穏な予感が二人の脳裏を巡った。
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:31:29.19 ID:LgIAK/3s0 [7/38]
「一体、何をするつもりなんですか?白井さん……」
初春が訊ねるが返事は無い。
白井はそのまま無言で近くにあった鉄パイプを持ち、それから答えた。
「この女は。お姉さまは私が殺しますの!!!」
「えっ!?何言ってるんですか白井さん。冗談は止めてください!」
佐天が止めようと言葉をかけるも、白井はそれを無視し御坂へと歩み寄る。
そして、その手の中の鈍器を振り下ろそうとした時、初春が彼女達の間に割って入った。
「白井さん。バカな事はやめてください!!」
「初春。お退きなさい。貴方も殴り飛ばしますわよ!!」
初春は少したじろぐがすぐに白井をまっすぐ見据え強い意志をこめて言う。
「白井さんこれ。見てください」
「キャパシティダウンがどうかしましたの?」
「これ、さっきまで御坂さんに向いていました。でも今は白井さんに向けています」
「……ですが私なんともありませんわよ?」
「白井さんがそれ以上御坂さんに近づいたら発動させます!!!」
「だから、もう止めてください!!!」
そういう初春の目からは涙がとめどなく溢れていた。
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:46:04.81 ID:LgIAK/3s0 [8/38]
「そういわれても、もう私は後には引けませんの」
また一歩御坂に近寄ろうとする白井を初春が制止する。
「白井さんたちに何か事情があるのは分かっています!!!」
「ですけど……でも……」
「私の知っている白井さんは……こんなことを言ってすべてを投げ出しちゃう人じゃ……ありません……」
「私の知っている白井さんは……正義感が強くて……行動力があって、それで人に迷惑をかけることもあって……」
「たまにへんなことを言ったりする、なんだかよく分からない人です……」
「でもっ!!!」
「私に『風紀委員』としての心構えを教えてくれた人ですっ!!」
「迷っている私を励ましてくれた人ですっ!!!」
「だから……あの時の言葉を……私も白井さんに言います」
「『風紀委員』の白井さんは!!いつになったら戻ってきてくれるんですか!!!」
259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:58:05.78 ID:LgIAK/3s0 [9/38]
「初春……」
初春のその言葉はかつて白井自身が初春にかけた言葉。
それを自らに問いかけられる事で白井は考え込む。
そんな二人の様子を佐天はただ見ているしか出来なかった。
何か自分もすることが出来ないか。
そう考えても居たが目の前の二人の『風紀委員』としての絆。
それを信じてあえて何もしなかった。
初春はずっと泣きながら白井を見つめている。
白井がどんな答えを出すのか。
もし、白井が考えを曲げなければ初春は御坂に続き白井も拘束しなければならない。
そしてついに白井が考えを終了し。初春をあらためて見つめる。
「戻ってきて……くれますか?」
初春はもう一度問いかけた。そして白井は一言で、
「ええ……」
そして、
「私……どうかしていましたわ……」
「ただいま……ですの」
二人はかたくお互いを抱きしめあった。
260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:15:36.88 ID:LgIAK/3s0 [10/38]
その瞬間だった。
白井が初春と抱擁を交わしているのを佐天が確認し。安堵した次の瞬間。
彼女の目の前を、青白い光が走った。
それはまるでカメラのフラッシュのように彼女の視力を奪って、目がくらんでしまった。
「えっ!いったいなにが?」
何が起こったのか確認しようとするが何も見えない。
しばらくしてようやく視力が戻った彼女が目にしたのは信じられない光景だった。
さっきまで目の前に居たはずの二人が抱きしめあったまま床に倒れていた。
倒れていた。というのは適切ではない。実際は『崩れていた』の方が正しい。
彼女達の身体をよく見ると、腹から胸にかけて真っ黒に焼き焦げていた。
「初春!!!!白井さん!!!!」
あわてて駆け寄り声をかけるも反応はない。
素人目で見ても二人は、どう考えても死んでいた。
だがそれを信じる事が出来ない。
「どうして?やっと……もとの二人に戻れたばっかしなのに!!!」
初春と白井の顔は笑顔だった。お互いを再び理解し合えた喜びに満ちていた。
だがその表情は二度と変わる事は無い。
そのことを佐天はようやく認め、二人の目を閉じさせる。
そして、彼女達を死へ追いやった人物の元へ向かう。
263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:31:21.56 ID:LgIAK/3s0 [11/38]
佐天涙子は拘束され床で転がっている、御坂美琴の元へたどり着いた。
「初春さんが黒子に向かってあれを使おうとしてくれたものだから」
「チャンスだと思って。つい、黒子殺しちゃったわ」
「角度が悪かったから初春さんも死んじゃったみたいだけどね」
「ふふふ、私が憎いかしら。佐天さん?」
「どうして……どうしてこんな……こと……」
「なぁに?ぶつぶつ言ってちゃわかんないわよ……ん?」
御坂は気付いた。佐天の右手に先ほどまで白井が握っていた鉄パイプがあることに。
「ふうん。それで私を殺す?できるの?佐天さんに」
佐天は返事をしない。そして無言で鉄パイプを振りかぶる。
「優しい佐天さんには出来ないわよね。朝も出来なかったんだし」
「……」
「……」
沈黙が数秒続いた後。鈍い音が廃工場に響き、鮮血が舞った。
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:42:22.75 ID:LgIAK/3s0 [12/38]
「はあっ……はあっ……はあ」
佐天涙子は息を切らしていた。
ふと気付くと自分の着ていた服が真っ赤に染まっていた。
目の前には御坂美琴『だったもの』がボロボロになって転がっている。
ああ、これは私が壊したんだ。
その報告をしに、彼女は初春と白井の亡骸に向かう。
「ねえ、二人とも……敵はとったよ……」
「だから安らかに眠ってね……」
そう言った時彼女の視界に上条の姿が捉えられた。
彼はこの数分の光景に、ただ呆然としていた。
目から精気は抜けており、まさに生ける屍とよぶのが相応しかった。
そんな彼の元に佐天は近寄っていく。その手に鉄パイプを握り締めたまま。
267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:46:42.74 ID:LgIAK/3s0 [13/38]
「あなたがすべての原因なんですよね?」
返事は無い。
「事情は分からないけど、そうなんですよね?」
返事は無い。
「あなたのせいで御坂さんがおかしくなったんですよね?」
返事は無い。
「あなたのせいで白井さんもおかしくなったんですよね?」
返事は無い。
「あなたのせいで白井さんは死んだんですよね?」
返事は無い。
「あなたのせいで初春は死んだんですよね?」
返事は無い。
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:53:13.19 ID:LgIAK/3s0 [14/38]
「まあ……もうどうでもいいです……」
「返事をしなくても。どんな返事をしても」
「あなたがアタシに殺されることだけは」
「変わりませんから」
そして佐天涙子はもう一度鉄パイプを振りかざす。
そんな彼女を見ながら上条当麻はただ思っていた。
ああ、なんだかいろいろあったけど……
これで俺も死ぬのか……
ようやく俺も楽にな――
その考えを完了する前に彼の思考は強制的に終了させられた。
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 03:07:44.90 ID:LgIAK/3s0 [15/38]
その日の夜。
匿名通報を受けて『警備員』が廃工場に踏み込んだ。
無茶苦茶に荒れ果てたその現場で彼らが見たのは、原形をとどめていない二つの死体と、
それとは対照的に、まるで生きているかのような安らかな表情を浮かべる二つの遺体だった。
そしてその遺体の近くには、小さな花飾りとお守りが一つ落ちていたという……
数週間後。学園都市では新たな都市伝説が流布していた。
「ねえねえ、この都市伝説知ってる?」
「え、どんなの?」
「なんでもさ、仲の良かった四人組みがいたらしいんだけど」
「男が原因でその内の二人が仲たがいしてさ、それで結局」
「結局?」
「凄惨な殺し合いになって、彼女達の内三人とその男が死んじゃったんだって」
「うわー。なんかドロドロだね、いろんな意味で」
「そうだよねー。ホントかウソかわかんないけど怖いよねー」
――――――――
都市伝説の大好きな佐天涙子がこれを聞いたらどう思うだろうか?
あの日以来。佐天涙子の姿を見たものはいない……
終わり。
御坂はベッドの下から様子をうかがっている。
シーツのこすれる音はもうしないし、ベッドも揺れていない
どうやら彼らの行為は終了したらしい
御坂(……なんでよ……なんでなのよ……)
上条「ふう、なかなかよかったぜ」
そんな御坂のことも知らず上条と白井は余韻を楽しんでいる
白井「わ、わたくし……気を……失ってしまうかと思いましたわ」
息を切らしながら白井は上条に答える。
またベッドが揺れる。
そして御坂の耳に水音のような、聞いたことの無い音が響く。
白井「んっ……んっ……」ちゅっちゅ
上条「自分からキスするなんて、意外だな」
白井「そんなこと……いわないでくださいまし……」
白井「そうさせたのは貴方ですのよ」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 22:52:10.09 ID:VLMYaoOr0 [3/8]
上条「ふふっ、可愛いやつだな」
そう言って上条は白井の胸を触る。
白井「あんっ!こんな小さい胸さわっても楽しくな……んんっ!!」
上条「俺が楽しいから良いんだよ」
御坂(うう……もう何がなんだか……)
御坂(それにしてもアイツが黒子を……?)
御坂(あのイン何とかってシスターよりも……私よりも……)
御坂(…………)
御坂(黒子なの?)
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:03:42.64 ID:VLMYaoOr0 [4/8]
御坂がそんなことを考えている間にもベッド上の二人は盛り上がっている。
白井「あっ!そんなに強くさわられるとっ……ん!!」
上条「強くさわると、どうなるんだよ??」
白井「んっ、あっ!!……」
白井「当麻さんって、意外といじわるですのね」
上条「俺もお前がこんなやつだとは思わなかったよ」
白井「こんなやつ……とは?」
上条「こういうことだよ」
そういって上条は白井の秘所に手を伸ばす
上条「さっき終わったばかりだってのに、なんだよコレ」
上条「まだまだ欲しいってか?」
白井「…………そんなこと……ありまs」
上条「だったら俺、もう帰ろっと」
白々しい。本当は分かっているのにわざと言っている。
上条自身も物足りない。だがあえて白井にその言葉を言わせようとしているのだ。
白井「……もう一度。お願いしますの……」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:17:32.71 ID:VLMYaoOr0 [5/8]
上条「ったく、仕方ねえなあ」
上条「御坂が帰ってくる前に終わらせろよ」
白井「仕方ないといっている割に、もう準備は万端ですのね……」
白井はそれを確認すると自らの手に取り、上条の上に跨りながら自身と結合させる。
白井「すごっ……きもちい……ですのっ」
上条「俺も、白井の……すごくきもちいい」
白井「先ほどは私……はあ、はあ、攻められてばかりでしたけど……」
白井「今度は私の番ですわっ……んっ!!ん、あ、あんっ!!」
上条「うおっ!っておい白井!!いきなり激しすぎるだろ」
上条「こんなんじゃ、すぐいっちまうって!」
白井「はあっ、はあっ。それならそれでかまいませんわ……」
上条「う……ってんなら、俺にも考えがあるぜ」
上条はそういうと、上半身を起こし白井の首筋に舌をそわせる。
激しくベッドを揺らしながら攻防を繰り広げる二人に、ベッド下の御坂の精神も限界が近づいていた。
御坂(もうだめ、もう我慢できない!!!)
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:30:23.60 ID:VLMYaoOr0 [6/8]
御坂(よく考えたらここは私の部屋なんだし、何か遠慮しないといけない訳は無いわ)
御坂(二人のことは私には関係ないんだし……)
御坂(別にアイツのことなんてなんとも思ってないし……)
御坂(でも。どうやって出て行こうかしら?何を言えばいいのかしら?)
そんなことを考えている間にも二人の交わりは、より激しさを増している。
白井「んあっ!!そんなところ……反則ですのっ!んっ、ああん」
上条「Hに反則なんてあるのかよ?」ぺろぺろ
上条に首筋や胸を攻められながらも白井は白井でその腰の動きを止めない。
それよりもむしろ上条に負けないくらい上下運動を繰り返している。
白井「はあっ、はあっ。ん、んっ!!わたくし……もう」
白井「わたくし、もう限界……ですわ……」
白井の身体が赤みを増し、表情も恍惚のものとなっている。
その言葉通り。限界が近いようだ。
白井「もうだめっ!!いきっ!!いきますの!!!……あ?」
まさに絶頂を迎える、その瞬間だった。
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:41:50.29 ID:VLMYaoOr0 [7/8]
上条「自分だけ気持ちよくなろうってか?」
上条はその手で白井の腰を押さえ動きを止めていた。
白井「えっ、いや……そんなことはありませんのよ」
上条「うそつけ。今『いきますの』とかいってたくせによ」
白井「それは…………」
上条「それは……なんだよ?」
白井「ごめんなさい……ですの…………ひゃん!!」
白井が謝ると同時に上条が下から勢いよく白井を突き上げる。
上条「悪い子には……」
白井「あっ!!ん、ひゃ!!くうっ!!!あんん!!はげし……激しすぎっ!!ますの!!!」
上条「お仕置きだよな!!!」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/09(火) 23:55:14.19 ID:VLMYaoOr0 [8/8]
上条は身体を起こし同時に白井の身体の向きも変え立ち上がらせる。
そして背後から激しい運動を始める。
強制的に後ろから突かれるようになってしまっては、もう白井は身動きが取れない。
白井「ああっ!!んんっ、くう!!ひ、んんん!!!あっあっ」
白井「わたくし……わたくし……もう、今度こそもう……ダメです……のっ!!」
上条「何言ってんだよ……はあ、はあ。まだまだこれからっ!?」
上条「くっ!!すげぇ締め付けだ……」
白井の膣の締め付けに気付き、自らの限界も近い事を知った上条はピストンのペースを速める。
白井「あっあっ……あっ!!!んん!!」
上条「う、俺も……もうっ!!」
白井「え……ええ!!!当麻……さんもっ!!一緒に……ですのっ!!」
そして二人は同時に絶頂を迎えた。
白井「あああああっ!!」
黒子「あっ…当麻さ…ん…気持ちいい…ですのっ」美琴「…」おまけ 分岐
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 00:14:05.63 ID:/uV3gy/50 [1/11]
バタン!!!
快感で力が抜けてしまった2人は床に倒れこむ。
御坂(!!!ば、ばれるっ!!!)
御坂はそう思いとっさに身を隠そうとするが、もう身を隠せそうなところなどない。
だが二人はそんな御坂には気付かず、自分達の世界に入ってしまっていた。
白井「はあ、はあ……当麻さん……」
上条「ああ、少し激しすぎたかな」
白井「本当ですの!!少しは反省し!!!」
言い終わる前にその口を上条が塞ぐ。
そのまま数秒。二人はお互いのぬくもりを確認し、そして名残惜しそうに唇を離す。
白井「もうっ!当麻さんったら!!」
上条「いやだったか?」
白井「そんな訳ありませんのっ!!!」
白井「やっぱりいじわるですのね……」
上条「まあそう言うなって、お前も楽しんでたk」
御坂「私はいや!!!!!!!」
二人は床でピロートークを楽しんでいる。しかしとうとう、そのやり取りを最初から見ていた傍観者の邪魔が入った。
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 00:28:49.66 ID:/uV3gy/50 [2/11]
上条「えっ!御坂!?」
白井「お、お姉さま!?」
白井「いつからここに?」
御坂「いつからも何も。最初からいたわよ」
御坂「あんた達が愛をはぐくんでいる間ずっと……ね」
二人は何も言わなかった。
そして沈黙が流れる。
5秒、10秒。普段なら短く感じる時間が今の彼らには果てしなく長く感じられる。
御坂「ま、まあ。あんた達がそんなに愛し合ってるなら、私はとめないわ」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 00:49:37.28 ID:/uV3gy/50 [3/11]
御坂の目からは涙が流れている。それは、彼女の言葉が彼女の本心でない事の証拠だ。
しかし、御坂はその本心と向き合うことを止めた。
同時にそれ以外のことも全て考える事をやめていた。
御坂「わたし、なんかもう。どうでもよくなっちゃった……だから。……う…………ら……い」
上条「いまなんて?」
御坂が最後に小さくつぶやいたその言葉を、上条が聞き直したその瞬間。
上条の身体が白井の視界から消える。
どこからとも無く飛んできた家具により、上条はその身体を壁に縫い付けられていた。
そしてその衝撃で彼は気を失っていた。
家具が人間めがけて飛んでくるなんてありえない。
だが、それを可能にする人間を白井は知っていた。
白井「当麻さんっ!!お、お姉さま!!なにを!!」
御坂「……う…………にも………………い!!!」
白井も気付けば上条の隣に強制的に縫いつけられていた。
白井「うう……お姉さま。やめて……くださいまし……」
薄れ行く意識の中、白井が最後に見たのは、
宙を舞うコインと、その落下地点に腕を伸ばし構えている御坂の姿だった。構えながら何か言っているが聞こえない。
しかし、口の動きは語る。
『もう何もいらない』
次の瞬間、常盤台女子寮は倒壊した。
終わり。
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 05:57:23.39 ID:/uV3gy/50 [5/11]
常盤台女子寮が崩壊。多くの生徒が生き埋めになり死傷者も多数出したこの事件は
新聞やテレビでも大きく取り上げられ、学生は勿論様々な人種の話のネタとなっていた。
携帯のニュースを見ながらとある女子学生は考えている。
「『常盤台の『超電磁砲』嫉妬に狂う?』……かあ」
『警備員』の調査や聞き取りによるとその日、
常盤台女子寮内には本来あってはならない、男女の営みの声が聞こえたという。
それが一段落たった途端に、崩壊が起こったらしい。
大きく報道されているものの事件の詳しい原因自体は報道されておらず、街では噂が一人歩きしているのが現状だ。
このニュースも本当のものかは疑わしい。
ただ、可能性として彼女は思っていた。いや、それはむしろ確信に近いか。
あんなに立派な学生寮を一撃で破壊出来うる人物。
彼女の脳裏に浮かぶのはただ一人だった。
「御坂さん……どうして?」
佐天涙子は事件の真相を知るべく、捜査を始める……
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 06:06:19.87 ID:/uV3gy/50 [6/11]
事件が起こったのはちょうど三日前。
その日のうちに凄惨な状況が伝えられた。
白井さんと御坂さん大丈夫かな?
ってあの二人だからきっと大丈夫だよね……
彼女はそう思っていたが、その予想は外れていた。
外れていた。明確にそういう証拠はないのだが、事態はこうだ。
犠牲者・負傷者の欄に両名の名前は存在していなかった。
それだけなら二人が事件に巻き込まれていなかったという事で安堵すべきなのだが
今日までその二人が姿を現していない事や、噂から考えるにどうやら
彼女の友人二人が事件の中心にいることは間違いないようだった。
「佐天さん、あんまり思いつめるのは良くないですよ?」
隣にいた少女が思考を中断させる。
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 06:16:37.52 ID:/uV3gy/50 [7/11]
「えっ?ああ、ちょっと考え事してただけだよ」
「それって……御坂さんたちのことですよね?」
返事はない。だがそれで理解する。
仲の良い二人だからお互いの考えていることはよく分かっているし、状況が状況だ。
御坂や白井は共通の友人。考えないわけが無いのだ。
「一体何があったんでしょうね?」
「それをこれから調べようとしてるんじゃん!!」
重いムードを吹き飛ばす為に陽気に佐天は振舞おうとするが、普段どおり明るさは無かった。
現在ある情報ではどう考えても容疑者は『御坂美琴』である。
どんな新情報が加わったとしても、そのことは揺らがないかもしれない。
そう二人は薄々感じているからだ。
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 06:34:09.45 ID:/uV3gy/50 [8/11]
「たしかに。御坂さんが犯人かもしれません……」
「ですが、佐天さん。私達が考えるのはそれだけじゃありません!」
「うん、わかってる」
初春の言葉に佐天は間を置かず即答する。その言葉に自らの意志をこめるように
「こういうことだよね……」
「御坂さんが犯人なら逃亡しているから消息不明。コレは妥当な推理。でも……」
「白井さんも消息不明なのは、その理由が見当たらない」
もし仮に御坂と白井が共犯だとしたら答えはすぐに出る。
だが、この仮定はほぼ間違っている。
なぜなら、噂によると男女の営みの声が聞こえたのは御坂と白井の部屋であり、崩落の中心もここだ。
ということは、
『白井の逢引を、偶然か必然か分からないが、それを目撃した御坂が何らかの理由で超電磁砲を放った』
という推理が一番楽に導き出せる為だ。
だが、それだと二人は納得が出来ない。
あんなにも御坂を慕っていた白井が自らの部屋で男と一線を越えることがあろうか?
もしかしたら、あったかも知れない。
だが理由が分からない。
白井がそうした理由も。そのことで御坂が超電磁砲を放つほどに感情を高ぶらせる理由のどちらも……
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 06:57:04.79 ID:/uV3gy/50 [9/11]
考えが煮詰まりかけていたとき、パソコンにメールが届いたことを呼び出し音が知らせる。
「あっ、例の申請。通ったみたいです」
「やったね初春!これでちょっとは状況が分かるかも」
例の申請。とは『警備員』の監視衛星の録画の閲覧許可のことだ。
『風紀委員』同僚の捜索と言う名目で申請していたのだが、これがようやく承認された。
事件の起こった日から今日まで、
全学区すべての監視衛星の映像をこれで確認できる。
「やっぱりまずは……」
「あの日の常盤台女子寮……だね」
二人は意を決し事件の起こったその時間へ再生時間を設定する。
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 23:43:54.88 ID:/uV3gy/50 [10/11]
やっと家に帰れました。
ではそろそろ。
書きながら投下なので遅いですがすみません
↓↓↓
モニターに監視映像が映し出された。
女子寮を上空から撮ったもの、出入り口を移したものの二つが表示されている。
そして、再生時間が三日前の昼過ぎをまわる。
事件が起こったのは夕方だから、そこを確認するにはあと数時間進めないといけない。
それなのに二人がこの時間帯を確認していたのには理由があった。
常盤台女子寮への人間の出入りを確かめるためだ。
御坂以外に容疑者として考えられる人物が入るかどうか。
それと、本来女子寮にはいない筈の男性の正体を突き止めなければならない。
声を聞いていた人物がいるのだからその存在は確定している。
だが負傷者リストにも犠牲者リストにも載っていない……
彼の正体を突き止めることがこの事件を解決へ導く近道になる。
二人はそう考えていた。
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/10(水) 23:57:41.36 ID:/uV3gy/50 [11/11]
「御坂さんはこの日、外には出なかったみたいですね」
「そうだね……白井さんは昼前に出て行ったけど、この日は『風紀委員』の当番だったの?」
「いえ、違います」
「ふーん、じゃあ何処行ったんだろうね」
映像を確認しながら話しているがその表情はかたい。
友人が犯人かどうか、そして無事なのかどうかそれがこの映像にかかっているからだ。
二人は緊張の糸を張りながらモニターを見つめる。
「白井さんの行った先、確認してみる?」
「そうですね……あっでも大丈夫です」
「戻ってきたみたいです」
再生時間がさすのは三時。外出していた白井がモニターに再び姿を現す。
隣には男の姿があった。
「う、初春!!たぶん……このひとだよ」
「ええ、分かってます!確認します……っと、出ました!!」
慣れた手つきで映像からデータを照合して検索結果を表示する。
『上条……当麻』
二人は男の正体を知るのだった。
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 00:17:17.47 ID:BNA3rJqb0 [1/31]
検索結果を見る限り、この男は特筆すべきことはないただの学生のようだ。
「なんか普通の人みたいだね……でも」
「はい。この人が白井さんと一緒に入ったということは。ほぼ間違いないでしょう……」
女子寮に本来いるはずの無い男性の存在。
それが白井と共に寮へと入っていった。
そしてこの直後の時間は、男女の営みの声が聞こえた時間と一致する。
つまり、白井と上条がその当事者であるという紛れも無い証拠だ。
「でも、やっぱりわかんないよ、どうして白井さんがこんなこと……」
「それは私だって分かりませんよ。でも今はそれを調査するんじゃないんですから置いておきましょう」
彼女達が今映像をチェックしている目的は、事件の動機探しではない。
あくまで、犯人や関係者の動向を探るためなのだ。
「そういえば、御坂さんってまだこの時は部屋にいるんだよね?」
「出て行く姿は捉えていませんから、そのはずです……ですけど……」
もし御坂が自分の部屋。つまり御坂と白井の相部屋に、此の時間いるのなら白井と上条に鉢合わせするはずだ。
そうなれば三人で談笑することはあっても、男女の行為に先の二人が勤しむ事は無いだろう。
だが、実際にその行為は行われたのは間違いない事実。
「寮内の監視カメラとかは無かったの?」
「ええ、残念ながら……あれば全てはっきりするんですけどね……」
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 00:34:08.33 ID:BNA3rJqb0 [2/31]
そんなこんなで考えているうちにとうとう問題の時間がやってきた。
常盤台女子寮が倒壊した、その時間が迫っている。
二人は一旦顔を見合わせまたモニターを見つめる。
「時間……だね」
「はい……」
彼女達は何も見逃さまいと必死にモニターを見つめる。
しかしそれは、一瞬だった。
何か光った?
そう思った次の瞬間には、もう女子寮は轟音と共に崩壊を開始していた。
どんどん倒れていく建物と、それを覆う埃、煙……
あっという間に何も見えなくなってしまった。
酷い映像を見ることになるだろうと覚悟を決めてはいたのだが、やはり驚きは隠せない。
「こんなにひどいなんて思わなかったよ」
「え、ええ……でもこれは。間違いないですね。犯人は決定です……残念ですが」
二人が見た何かの光……
見覚えのある光……
少し前まで横で一緒にいた少女が幾度となく放った光……
自分達の窮地を救った正義の光……
それは、御坂美琴の『超電磁砲』
だが、今。目の前に映るそれは……
破壊の光でしかなかった。
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 00:59:51.05 ID:BNA3rJqb0 [3/31]
噂が語るとおり、御坂が犯人かもしれない。
二人はそう思っていたが、気持ちのどこかではそれを否定し、彼女の無罪を示す証拠を探そうとしていた。
しかしその期待は散った。
悲しみや悔しさ、疑問や怒りが胸に溢れるが今はそんな事に囚われている場合ではない。
その御坂を含む、消息不明の当事者の同行を知るために、彼女達はここにいるのだ。
今出来ることは映像をしっかり見つめることだけだ。
「初春!!もう一回巻き戻し」
「はい、今度はここを拡大してみます!!」
崩落から救出が始まるまでの映像を何度も何度も繰り返し確認するが、目当ての人物は何処にも見当たらない。
いい加減に目も疲れてきたので、彼女達は少し休憩をとることにした。
「うーん……これだけ探しても見つからないとは……」
「やっぱり生き埋めになっていてまだ見つかってないだけなんでしょうかねえ?」
「それは初春が無いって言ったじゃんか。もう救出活動は完全終了したって」
「……そうでした……すみません」
二人はいろんな可能性を模索した。このように、生き埋めの可能性も考えたがすぐ否定する証拠が出てきた。
他にも、『超電磁砲』を受けて死体も残らなかったのではないか?とも推理したがそれもすぐ否定された。
御坂の『超電磁砲』は威力は桁違いだが、二人の人間を完全に消し去ることを可能にするエネルギーは無いためだ
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 01:19:58.16 ID:BNA3rJqb0 [4/31]
「まあでも。何か見つけるまでがんばろー!!」
「はい!!じゃあもう開き直って、スローモーションを最大でいっちゃいましょう」
「ははは、まあやってみよっか」
ちょっとした御ふざけのつもりの行動だったがこれが吉と出た。
今までもスロー再生をしていたのだが、それでは捉えきれないスピードで事態は進行していたのだ。
最大スロー映像でも、それはほんの一瞬だった。
『超電磁砲』が放たれた次の瞬間。
衝撃で窓を突き破り吹き飛ばされる白井と上条の姿が映り、画面外へと消えた。
「うそ……なんていうか、盲点だったね」
「って、感心してる場合じゃないですよ佐天さん!!他の衛星の映像を流します」
そういってキーボードを叩くと、今度は別の映像が開き、
白井と上条がふらふら歩きながらさ迷っている姿が確認できた。
衝撃のダメージが酷いのだろう、その姿はとても痛々しかった。
「うう……よかった、白井さん……生きててくれたんだ……」
「うん……初春…………」
二人は白井の姿を確認できた事にとりあえず喜び、涙を流す。
しかし肝心なのはここからだ。
生きているのなら何故顔を出さないのか。そして今何処にいるのか。それを探らなければならない。
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 01:39:01.95 ID:BNA3rJqb0 [5/31]
白井と上条の動きを衛星や監視カメラで追う初春は、あることに気付いた。
それは彼らが『カメラになるべく映らないように』歩いていることだった。
彼女はそのことを考えようとしたが、すぐ止めた。
何か理由があるのかもしれないが、とりあえず今いる場所を突き止めて、それで保護すればいい
事情を聞くのはその後でいくらでも出来るのだから。
そう考えたためだ。
動向を確認した結果。
白井たちは、とある廃工場へと侵入。今現在もそこにいるであろうことが確認された。
「やったね初春。これでやっと白井さんに会えるよ!!」
「ええ。……なんかすごく疲れました……」
ここで一旦、舞台を転換しよう。
時間は『超電磁砲』が放たれた直後の常盤台女子寮近く。
スポットライトは、白井黒子。
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 01:52:16.00 ID:BNA3rJqb0 [6/31]
「うう……当麻さんっ!!大丈夫ですの!?」
「ああ、俺は何とか平気だ……お前こそ平気か?」
お互いの無事を確認する。あんなことがあったのに生きているのが不思議なくらいだ。
実際、二人の身体はかなりのダメージを受けていたが、行動不能になるほどのものではなかった。
「まさかこんなことになるとは……」
「……でもよ、逆に考えればいい機会かもしれねえぜ?」
「む、言われてみるとそうかもしれませんわね。ですが」
「ああ、今はとにかく。身体を休める所を探さないとな」
痛む身体を気遣いながら二人は歩き出し。廃工場へとたどり着いたのだった。
つい最近廃業したのだろうか、機材がまだ撤去されていないし、様々なものが放置されている。
救急セットも見つけることが出来たので、彼らはひとまずここで落ち着くことにした。
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 02:14:10.27 ID:BNA3rJqb0 [7/31]
打ち身や擦り傷、切り傷は無数にあるが幸いにも骨折などの深刻な怪我は負っていなかった。
とりあえずの手当てを済ませ、改めて自分達のおかれている状況を確認する。
「もう、あとにはひけませんのね」
「そうだ……」
「御坂がまさかあんなに逆上するとは思わなかったが」
「とりあえずはほぼ、計画通りってとこだな」
二人はお互いを見つめ笑いあった。そしてどちらからでも無く近寄り口付けを交わす。
まるで何年間も会っていなかった恋人同士のように、相手の唇を貪る。
そんな彼らが口付けだけで満足するはずが無く、行為は自然と進んでいく。
怪我だらけの身体をお互いが愛し合うその姿は工場内に不気味に映える。
交わるのも今日だけでもう三度目だが、そんなことも感じさせないような激しい契りが、他に誰もいない空間内に響き浸透する。
動物は本能により、命の危機が迫ったとき求愛行動をすることがあるという。
彼らは正にその本能に従うままお互いを愛し合うのだった。
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 14:42:18.63 ID:BNA3rJqb0 [10/31]
↓↓↓
彼らは行為を終了した後、そのまま寝てしまった。
無理も無い。身体はただでさえボロボロなのに、その上体力を激しく消費してしまったのだから。
気付いたときには翌日の夕方だった。
「少々寝過ごしてしまいましたわね」
「それだけ疲労してたってことだろ」
「計画を実行するには体力が必要だし、まあ結果オーライってとこか」
「ですわね……」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 14:50:38.39 ID:BNA3rJqb0 [11/31]
「にしてもだ」
「昨日、いや一昨日か。一昨日は激動の一日だったな」
「本当ですの。今考えても、どうして貴方とこういう関係になって、こうして行動を共にしているのかよく分かりませんわ」
白井が言うとおり、つい二日前までは彼らの関係は『ただの友人』だった。もしかしたらそれよりも下かもしれない。
白井にとっては上条は『お姉さまに付きまとう類人猿』。
上条にとっては『口うるさい御坂の後輩』。
というくらいにしか思っていなかったのだから。
「そうだな……でもよ」
「それだけ、お互いが抑圧しているものがあったってことなんだよな」
その言葉に白井は無言で頷く。
本当に彼らは二日前まではお互いを何の意識もしていなかった。
しかし、それはあの日。
偶然出会い会話を交わしたときに全て狂ってしまった。
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 15:10:35.81 ID:BNA3rJqb0 [12/31]
白井はあの日のことを思い出す……
ちょっとした用事であの日、白井は外に出掛けていたのだが、そこで上条と出くわした。
普段なら軽く挨拶を交わすくらいで別れるのだがその時は暑さも手伝い、一緒に少し休むことにしたのだ。
その時、唐突に自分の口から「お姉さまのこと、どう思ってらっしゃいますの?」と質問が飛び出る。
一体何故あんな事を聞いたのか、分からないが、隣の男は動揺しながらも案外すぐ答えを出した。
「俺が守ってやろうって、そう思ってるぜ。あいつとはいろいろあったけどさ。これだけはいつも思ってる」
「よく分かんねえけど、これが好きだって事なのかな」
「って、こんなことお前に言ったら殺されちまうな。ははは、何考えたんだ、俺は」
二人は顔を見合わせる。本当なら彼は白井にとって腹立たしいことを言っているのに
彼女の心にあったのはそれとは逆の感情だった。なぜか微笑んでしまった。
その様子に隣の男は少し戸惑ったようだがすぐ前を向き、もう一度話し出した。
「でもよ……あいつ俺と会ってると、いつも電撃撃ったり、怒ってばかりでよ」
「なんか辛いんだよな……」
「なんていうのかな。気持ちを理解してもらえない悔しさっていうのかな」
それだけいうと黙り込んでしまった。その様子を見て白井は共感を感じた。
「どれだけお姉さまのことを愛しても、いつまでたっても分かって貰えない。まさか貴方も同じだったなんて……」
思考がつい言葉となってしまう。
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 15:37:11.42 ID:BNA3rJqb0 [13/31]
しまった。どうしてこんなことを言ってしまったのか。
そう考えたが声にしてしまった言葉はもうどうすることも出来ない。
隣の上条はどう思っているだろうか。それを確認しようと視線を上げる。
そこにあったのは、真剣なまなざし。
真剣ではあるが、優しさに溢れた顔だった。
その顔を見て思わず白井も真剣に彼を見つめる。
そうしていると何故か身体が勝手に動いてしまった。
そして、人生初めての口付けを交わす……
だが、自らの唇が上条の唇に軽く触れ、その感触に思わず飛びのく。
「すみません!私ったらなんてことを……」
「……いいんだ。多分俺も、同じ気持ちだから……」
再度見つめあう。そしてまた口付けを交わす。
今度は数秒間すっとそのままだった。
その時。白井の頭の中は『お姉さま』のことでいっぱいだった。
だがいつもの『大好きなお姉さま』では無い別の感情だった。
どれだけアピールしても分かってもらえず、時には迷惑そうな態度をとられる。
もしかしたらお姉さまは自分の事を疎ましく思っているのかもしれない。
認めたくないことだったから考えて来なかったが、今目の前の上条のおかげでそれと向き合うことが出来た。
考えることで結果が出た。簡単な答えだった。
そして、歪んだ答えだった。
『大好きなお姉さま……大好きだからもう、いりませんの』
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 15:50:52.92 ID:BNA3rJqb0 [14/31]
口付けが終わった後、彼らは自分の気持ちについて話していた。
「上条さ、いえ。当麻さんも私と同じ気持ち……ですのね」
「ああ。そうだ。」
「俺のものにならないんなら、もういらない。そう思ってる」
「今お前と話して、何故かこう思えた」
本当の気持ちと、すれ違った思い。
それらが白井と御坂、上条と御坂の三人間で複雑に混ざり合い、歪んだ感情を形成していった。
その感情の種自体は二人の心の奥深くにあったのだが、今日のこの会話がその種を急速に成長させ
そしてそれは最終的に歪んだ情愛へと成った。
『もういらない』だけど、どうするのか。殺してしまおうか。
二人はいろいろ考えたが、御坂は学園都市の第三位。そうするのは容易でない。
ならどうするか。
答えが一つ出た。
自分のものにならない御坂が憎い。
御坂は、この学園都市の象徴たる第三位様だ。だからこの町が憎い。
だから、この街から逃げてしまおう。
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 16:02:47.58 ID:BNA3rJqb0 [15/31]
幸か不幸か、上条はここ最近いろんな事件に巻き込まれ、現在自分が生きているのが不思議なくらいの事件もあった。
それを白井と共に利用しよう。そう考えた。
事件のどさくさにまぎれて行方をくらまし、その上で学園都市を抜け出そう。
その後はどこかで適当に暮らせば良い。
お互いの気持ちが通じた二人は、目の前の人物とならどこまでもいける。
そして何でもやれる。という気持ちを共に感じていた。
だが今はまず。この昂ぶる気持ちを治めたい。
お互いの身体を愛し合いたい。
気持ちのおもむくまま行為に没頭したい。
その思いで彼らは常盤台女子寮へ向かったのだ。
そしてあの日の事件が起こった。
「本当にいろいろでしたわね」
あの日あったことを思い出し終わり、感慨深そうにため息をつく白井。
上条も同じ事を考えていた。
「ああ。だけど、あとはこの街を抜け出すだけだ」
「とりあえず飯でも食って体力戻さないとな」
失った体力を取り戻してから街を抜け出す。その計画にかかったのは2日だった。
そして時系列が、佐天涙子と初春飾利が彼らの居場所を特定した日にちに一致する。
さあ、もう一度舞台を転換しよう。
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 16:17:12.72 ID:BNA3rJqb0 [16/31]
舞台は『風紀委員177支部』
時間は朝。
スポットライトは勿論、佐天涙子と初春飾利。
パソコンのモニターに例の廃工場が映し出されている。
「本当にやったねー初春!!」
「これで何とか解決かな?」
「ええ。そうですね。ですけどまずは……」
「うん、分かってる!!白井さんきっと怪我してるからまずは手当てしてあげないとね」
「はい。たまには優しくしてあげませんと」
事件解決の糸口が何とか見つかったことと、白井の居場所が判明したことで彼女達もようやく一安心する。
今まで表情から消えていた笑顔が戻り、冗談を言い合うこともしている。
モニターを見ながら会話していた彼女達だったが、次の行動を起こそうとパソコンの前から移動しようとした時。
背後から声がかけられた。
急に声をかけられたことに驚くが、それよりもその声自体が恐ろしかった。
とても冷たい声だった。
聞くだけで、身の毛もよだつ。そういう声だった。
そして、その声は聞き覚えがあった。
よく聞いていた声。
この支部内でいつも笑いながら会話していた声だった。
今聞こえるその声は、声色こそ変わっていないが、同じ人物のそれとは思えないほど冷淡だった。
「へえ、あいつら。こんなところにいたんだ」
御坂美琴の姿がそこにあった。
184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 16:48:54.03 ID:BNA3rJqb0 [17/31]
一体いつからここに。どうしてここに。
数々の疑問が二人の脳裏を駆け巡るが、何も言えないでいた。
外見だけを見ると普段どおりなのだが。表情が違った。
御坂の冷淡な顔つき。
それに圧倒されて何もいえないのだ。
「ここまで調べてるってことは、当然。寮が崩壊した理由も分かってるのよね?」
御坂は二人に問いかける。
佐天の目を、次に初春の目を見て問いかける。
見つめられた二人はますます動けなくなる。まさに蛇ににらまれた蛙だ。
しばらく沈黙が続いたが、それを初春が破る。
「何もお話しすることはありません!!」
「ふーん。じゃあ、肯定という事で捉えておくわ」
「どうしてこんなことしたんですか!!」
今度は佐天が問いかける。身体を震わせ恐怖に耐えながら。
そんな彼女を鼻で笑いながら御坂は答える。
「きっと、貴方達の思ってるとおりよ」
「でももうそんな事関係ないの」
「私の目的はあいつらを殺すだけだから」
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 17:04:35.34 ID:BNA3rJqb0 [18/31]
「そそ、そんなことさせると思ってるんですか!」
「何よ佐天さん。私を止めるつもりなの?」
「ってかそんなに震えながら言っても笑いを誘うだけよ」
佐天涙子は近くにあったバットを持ち、御坂に向いて構える。
だが御坂はそれを笑ってバカにする。「そんな事をしても無駄よ」といわんばかりに。
その様子を初春はただ見つめていた。
本当なら『警備員』を呼ぶべき状況なのだが身体が動かない。
電話からも距離がある。もし不穏な動きを見せればその瞬間に殺されるかもしれない。
そんな恐怖のため身体がすくんでいた。
「ううう、うるさい!この、犯罪者!!」
佐天がバットを大上段に振りかぶり、そのまま振り下ろす。
しかし御坂は動かない。微動だにしない。
次の瞬間。佐天はバットの動きを止めていた。無意識だった。
御坂が怪我をしてしまう。そう思ってしまったのだ。バットを構えたのは自分自身であるにもかかわらず。
「やっぱり優しい佐天さんには無理よね、そういうこと」
御坂はそういうと一歩、また一歩と佐天に近づく。
佐天は動けない。恐怖、緊張、驚き等。様々のものに身体が支配されている。
そして御坂は耳元でつぶやいた。
「私の事気遣ってくれてありがとう。だから、さようなら」
支部内を電撃が舞った。
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 17:18:35.88 ID:BNA3rJqb0 [19/31]
「うう、一体なにが……」
初春飾利は気を失っていた。
どれだけ気を失っていたのか、それを確かめるべく時計を見る。
思ったより時間は経っていなかった。次に支部内を見渡しそして思い出す。
「さ、佐天さん!!!!」
部屋の真ん中で倒れている佐天涙子の姿がそこにはあった。
初春が気を失う寸前に見たのは御坂から放たれた電撃が佐天を貫く光景だった。
それを思い出し、一握の希望を抱きながら彼女の身体をゆする。
「う……うう」
以外にもすぐ反応が返ってきた。
「佐天さん!!大丈夫ですか!!」
「う、初春!?アタシ一体どうして?」
記憶が混乱しているのだろうか、佐天は自らの置かれている状況が飲み込められないようだ。
数秒考えた後、ハッと彼女は気付いた。
「初春!!こんなとこでボーっとしてらんないよ!!御坂さんを止めなきゃ」
「ええ。分かっています。でも私達に何か出来るでしょうか……」
「なに言ってるの初春!そんなんじゃダメだよ!!……確かに何も出来ないかも知れない……」
「でも。御坂さんはアタシ達が止めないと!!大切な友達じゃない!!」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 17:31:19.88 ID:BNA3rJqb0 [20/31]
その言葉に初春も気付く。
あれほどの事件を起こした御坂だが、自分達にとっては大切な友人だ。
これ以上罪を重ねさせないためにも、止めないといけない。
「わかりました、佐天さん!」
「それでこそ初春だよ!じゃあいこっか」
「でもちょっと待って下さい佐天さん!」
走り出そうとしたところを止められたので佐天は面食らってしまう。
「なんなのよ、一体?」
そこで話したのは最も根本的なことで、一番大事な事だった。
いま御坂が白井達のいる廃工場に向かっているのは多分間違いない。
凶行に走る御坂を何とかして止めなければならない。
だが一体どうしたら良いのか。どうやったら御坂を止められるのか。分からない
下手をすればさっきの二の舞になるだろう。
やはり『警備員』を頼った方が良いのか。
そう思った彼女達の視界に、あるものが映った。
「ねえ初春、これって……」
一方その頃。
白井と上条は計画を実行に移そうと、出発の準備を終えようとしていた。
「そろそろ行くとしましょうか?」
「ああ、そうだな……この街ともお別れだ」
204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 22:05:48.53 ID:BNA3rJqb0 [22/31]
↓↓↓
「本当はお前の能力を使って移動できたら楽に終わるんだろうけどな……」
「そんなこと気にしないで下さいませ。それに」
「障害が多い方が、達成感もそれだけ大きいものになりますわ」
「……ああ、そうだな。気を使わせて悪かった」
上条当麻の右手に宿る『幻想殺し』は白井の『空間移動』を無効化してしまうため
一緒に能力を使って移動する事は不可能だった。
だがその事が逆に二人の絆を深めている。
白井の言うとおり、障害があるほど、愛は燃え上がるものだから。
そんなこんなで廃工場を後にしようとした二人は入り口に誰か立っているのを見つける。
白井達のほうからは逆光で、よく顔は見えない。しかしそのシルエットは見覚えがある。
その人物がこちらに向かって話しかけてくる。
「ニュースを見ても、死体どころか怪我人としても発見されていないし……」
「ホントに随分探したんだから……」
「でもね、もうここまでよ」
「死んでもらうわ!!!」
白井と上条が歪んだ愛を抱く原因となった、御坂美琴がそこにいた。
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 22:17:22.20 ID:BNA3rJqb0 [23/31]
その言葉と同時に御坂は電撃を放ってきた。
それを右手で受け止めながら上条は言う。
「なかなか手荒い挨拶じゃねえか」
「だけどよ、俺達はもう覚悟を決めてんだ。邪魔すんじゃねえ!!」
「あらあら、何の覚悟かしら?私に殺される覚悟かしらっ!!!」
先ほどよりも一層強い電撃が上条に向かって放たれるが、それをも上条は無効化する。
目の前の御坂はチッと舌打ちして悔しさを露にしている。
これならいける。そう思ったのだろうか上条は白井に向かって叫ぶ。
「おい黒子!!ここは俺が何とかするからお前は早く行け」
「ですが……」
「どの道お前じゃこいつに勝てねえだろ?だから任せろ」
白井は上条の顔と御坂の顔。それを何度か往復してみた後。走り出した。
「絶対に追いついてくださいまし!!!」
そう言い残して。
「あらあら良いのかしら?二人で戦った方が勝機も増えると思うわよ」
「ふん!!どうだか?お前が俺に勝った事があるか?」
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 22:34:37.37 ID:BNA3rJqb0 [24/31]
その言葉は御坂を激昂させ、ますます強い電撃を彼女に撃たせる。
しかしそのどれをも上条は無効化し、徐々に御坂との距離を詰めていく。
御坂の攻撃は距離を詰めれば怖くない。
上条はそう思っていた。
実際この判断は正しい。
御坂に近距離戦闘法が無いわけではないが、御坂が得意とするのは一対多の戦闘だ。
これは御坂の能力『電気』の特性を見ても明らかで、放射状に広がるそれは中距離で電撃はその特性を最大限に発揮する。
ただ、今の御坂は殺すつもりで電撃を撃っている。
だから遠くても近くても当たれば大ダメージ、もしくは致命傷は免れない。
しかし逆にどんなに強い攻撃でも当たらなければどうという事は無い。
その術を持っている上条は迷わず御坂の懐めがけて突っ込む。
だがそんなこと御坂は百も承知で、上条が近寄るたびにその距離を離すべく跳躍していた。
伊達に何度も上条と戦っていたわけではない。彼女は彼女で対上条戦の作戦を練っているようだ。
工場内にはいろんな音が響いている。
二人の足音、電撃が放たれる音、そしてそれが無効化される音、怒声。
それらがもう五分以上続いている。
しかしその音が一つ消える。
「しまった!!壁が」
「どうしたよ御坂。逃げ回るのはもう終わりか?」
「くっ、これでも喰らいなさい!!」
そう言って電撃を放つが上条は簡単にそれを無効化する。
決着の時が近づいていた。
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 22:53:37.74 ID:BNA3rJqb0 [25/31]
「あーあ、あんなにも威勢よく来たもんだからどれだけ楽しませてくれるかと思ったけど」
「なんだか拍子抜けしたぜ。追い詰めたつもりが逆に追い詰められる……御坂、お前間抜けだな」
壁を背にし、もう逃げ道の無い御坂に対し余裕の笑みを浮かべ一歩ずつ上条は近寄る。
場内は暗く御坂の表情は見えないが、きっと恐れおののいているだろう。
そう思い彼女の顔を確認できる位置まで歩き、表情を見る。
しかし、そこにあったのは不気味に笑う御坂の顔だった。
「お、おまえこの状況で何笑ってんだよ?」
「ふふふ、だって可笑しいんだもの」
「……追い詰められているのは…………どちらかしら?」
「周りをよく見てみなさい。さっきの言葉をそのままそっくり返すわ!!」
そういわれ自身の周りを見ると、そこにあったのは放置されたままの什器や機材が所狭しと存在していた。
上条は失念していた。御坂のもう一つの『磁力』を操る能力を。
それに気がついて走り出した次の瞬間。什器や機材がまるで意志を持ったように襲い掛かってきた。
何度かはその直撃を避けられたものの、圧倒的な数の多さに一つ、また一つと上条はダメージを重ねる。
「外まで出れば何とか……」
そう思い出口へ向かおうとした時。頭上に何か気配を感じた。
「そうやって出口に向かうのもお見通しなのよ」
さっきまで上条を襲っていた機材とは大きさの桁の違う重機が、彼を押しつぶした。
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:06:38.00 ID:BNA3rJqb0 [27/31]
「うぎゃああああああ」
情けない悲鳴をあげつつも上条は何とか生きていた。
重機は彼の右足だけを潰し、動きを停止していたのだ。
しかし、もう逃げ回れない。動く事さえ出来ない。
今度は御坂がゆっくりと上条に向かって近づいていた。
「あーら、さっきまでの威勢の良さはどこいっちゃったの?」
「まあいいわ。もう終わりね」
上条は構える。いつ御坂が電撃を放っても打ち消せるように、右手を差し出す準備をしていた。
御坂の身体が帯電し、そして電撃が来るっ!!そう思った瞬間
上条の横に転がっていた鉄パイプが御坂の手向かって飛んでいった。
「な!?」
「はっ?アンタ何驚いてんの?」
「まずはその厄介な右手をどうにかしなきゃね!!!!」
御坂はその手の鉄パイプを上条の右手向かって振り下ろす。
硬い音が響いた。その音は何度も何度も工場内をこだました。
その音がしなくなった頃。上条の右手はもはや手と呼ぶのがためらわれるほどに変形していた。
「ぐああああ……」
「苦しませて悪かったわね……でも。これで終わりよ」
御坂はポケットからコインを取り出し、構えながらそれを真上に弾いた。
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:19:45.68 ID:BNA3rJqb0 [28/31]
コインが彼女の手に落ちた瞬間。上条の人生は終わる。
上条は自身の死を覚悟し、御坂はそんな上条を名残惜しそうに見つめていた。
しかし、コインが落ちてこない。
(あれ、おかしいな?)
彼女はそう思ったが。結局コインは彼女の手には戻ってこなかった。
数メートル離れた床に何故か転がっていた。
「どうしたのかしら?ちょっと焦りすぎたかな」
そういいながらコインを拾おうとした時、違和感に気付く。
それはコインではなかった。
いや、正確に言えばコインではあるのだが。その中心を鉄芯が貫通していた。
その鉄芯に御坂は見覚えがある。
つい先日崩壊した女子寮のルームメイトの少女が身に着けていた物だ。
それを拾い終えた彼女の視線の先に新たな人影が見えた。
「当麻さんを……殺させはしませんわ!!!」
222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:34:00.48 ID:BNA3rJqb0 [29/31]
「あら黒子。何しに戻ってきたの?」
「決まっています!!当麻さんを守るためですの!!」
「あら呆れた……こいつはあんたを逃がすために私と戦ってたんじゃなかったかしら?」
「本末転倒ってやつね。まあ……あんたも殺すつもりだったから手間が省けて良いわ!!!」
容赦ない威力の電撃が放たれる。いつもじゃれていた時の電撃とは比べ物にならないものだ。
しかし、電撃の着弾地点に白井は居なかった。能力を使って移動したのだ。
「私が本気になれば、お姉さまの攻撃など当たりませんわよ」
「あーら、それはどうかしらね」
もう一度御坂は電撃を放つがやはり当たらない。
その姿を見て白井は「勝てる!!」そう思った。
自分が跳び続ければ御坂の攻撃は当たらない。
ならば、跳びながら攻撃を仕掛ければ有利に戦いを進められる。そう考えたからだ。
白井は意を決し攻撃態勢に入り準備を整える。
そして鉄芯を移動させる。
それはシュンと音を立てて御坂の肩に命中した。
224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:45:21.14 ID:BNA3rJqb0 [30/31]
「くっ!!よくもやったわね!黒子!!」
そんな言葉は無視し白井は次々と鉄芯を移動させる。
御坂の腕や足、腹にそれらは容赦なく突き刺さり、彼女の顔に苦悶の表情が見られる。
「この!!逃げ回ってんじゃないわよ!!!」
一歩的に攻撃を受け、叫びながら電撃を放つが今回も空振り。
御坂はどんどん焦っていた。
しかし、御坂よりも白井の方が焦りを多く感じていた。
(なぜ?なぜですの?どうしてあたりませんの?)
確かに白井の攻撃は御坂に命中している。
だが白井はその攻撃を腕や足に向けて撃ったのではない。
相手を即死させられる場所。つまりは頭部や心臓に向けて撃っているのだが悉く外れている。
その事に焦りを感じていたのだ。
これは白井の戦闘経験の少なさによる。
正確に言えば戦闘経験というよりも実戦経験というほうが正しい。
『風紀委員』として自らの命を危険に晒しての戦闘は何度か経験があったものの
相手の命を奪う事を目的とした実戦はしたことが無かったためだ。
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/11(木) 23:58:29.55 ID:BNA3rJqb0 [31/31]
正確に狙っているはずなのに座標がずれる。
この事に焦りながらも白井は考える。「一発で当たらなくとも、それならば手数で勝負しよう」と。
そう考え落ち着きを取り戻した時、御坂が視界から消えた。
(一体どこに?近づいた様子はありませんが……)
あたりを見渡すが姿は無い。落ち着きを取り戻した途端にこれだから白井は少し拍子抜けしてしまう。
だが、これは白井にとっては好都合だった。
先ほど迄で装備していた鉄芯を使い果たしていた。何かで代用補充する必要がある。
幸いにもここは廃工場。使えそうなものはいくらでもあった。
補充を追え御坂の姿を探そうとした白井の耳に声が届いた。
「おーーーい黒子!!聞こえてる?」
御坂の声だった。声の方向はから察するにどうやら出口付近にいるようだ。
声が続く。
「あんたから殺そうかと思ったけど、ちょこまかしてめんどくさいからさ」
「やっぱり、こいつから殺すことにするーー」
しまった!!!白井黒子はそう思った瞬間に移動を開始していた。
上条を助けるために白井は戦っていたが、御坂にとってはどちらも殺す対象だ。順番など関係ない。
間に合え!間に合え!!そう思い何度も移動する。
そしてようやく上条の元へとたどり着く。
232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 00:15:02.39 ID:LgIAK/3s0 [1/38]
「当麻さん!!大丈夫ですの!?」
上条の身体を見渡すが足と手を潰されている以外はさっきと変わらず、変化は無い。
「よかった……」
そうやって一息付こうとした瞬間。白井の意識は強制的に奪われた。
その身体を電撃が通過していた。
「御坂!!!手前!!!汚ねえぞっ!!」
「あらあら、いまさら汚いも何も無いわ。それに。ただ利用させてもらっただけよ」
「あんたを殺すって言えばこの子は守りに来ると思ったからね」
「予想通り過ぎて笑っちゃったわよ。あはははは」
御坂は気絶した白井を上条の横に並べて言う。
「仲良く一緒に死になさい!!!」
そしてもう一度コインを取り出し、『超電磁砲』を撃つ準備を始める。
今度こそ終わった。上条はそう考え、目を閉じた。
再度、コインが弾かれた。
238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 00:39:41.09 ID:LgIAK/3s0 [2/38]
「あ……れ?」
上条当麻は異変を感じていた。あれから数秒たつが自分はまだ死んでいない。
何故だろうと思い、恐る恐る目を開ける。
そこには確かに御坂美琴がいた。先ほど白井が邪魔した時のようにコインが床に落ちているわけでもない。
コインはしっかりと彼女の手の上に置かれている。
しかし『超電磁砲』は放たれていない。
「う、うあ……うう…………」
御坂は何かに苦しんでいる。
上条にはその原因は分からないが、とにかく御坂が苦しんでいる事だけは分かる。
「こ、これは……まさか……」
御坂が何かを思い口にした言葉に返事をするものが現れた。
「ええ。御坂さんが思ってるとおりですよ」
「キャパシティダウンですっ!!良かったね初春!!間に合ったよ!!!」
そこに登場したのは佐天涙子と初春飾利だった。
240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 00:48:42.32 ID:LgIAK/3s0 [3/38]
「な?キャパシティダウンが?どうして?う……うう」
その問いに初春が答える。
「本当は機密事項なんですけどお話しますね。えっと――」
初春が話した内容はこうだ。
『乱雑開放』事件以降。『風紀委員』と『警備員』用に携行用キャパシティダウンの開発が進められていた。
携行用のため出力は少なく長時間の使用は出来ず、広範囲にも使用できない。
それでも、レベルに関係なく能力者を行動不能にすることは可能。
その機械が初春の手の中に収められていた。
初春自身も能力者だが彼女に今効果がないのは、この携行型が指向性の音波を発しているためだ。
「御坂さん!!もう、ここまでですよ」
そう佐天が言った後。一息いれて初春が続ける。
「御坂美琴さん!!暴行傷害の現行犯並びに器物破損で拘束します!!」
御坂の手に手錠がしっかりと嵌められるのだった。
247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:03:10.53 ID:LgIAK/3s0 [4/38]
「こ、この!!放しなさい!!」
御坂は抵抗するが能力の使えない状況では何も出来ない。
その横で佐天が白井を起こそうとしていた。
「白井さん!!大丈夫ですか」
呼びかけるが返事は無い。
「そいつは気絶してるだけだ。助かったよ。ありがとう」
そこに上条が声をかける。佐天と初春は「この人が……」と思い、詳しい話を聞こうと近寄る。
しかし彼の傷の酷さに声を失ってしまう。
「事情を聞きたいところですが、とりあえず救急車を呼びますね」
初春が言った時に白井が目覚めた。
「う、ここは……!!はっ!!当麻さん!!無事ですの?」
意識を取り戻したとたんに上条のことを心配する白井。それだけ気にかけていたのだろう。
上条の無事を確認した後でようやく佐天と初春に気付き、状況を理解する。
248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:10:25.95 ID:LgIAK/3s0 [5/38]
状況を理解した白井は、痛む身体を引きずりながら御坂の元へ駆け寄る。
「お姉さま……無様ですわね」
「うるさい!!だまれ!!!」
初春達はそんな二人のやり取りをただ見つめていた。
あんなに仲の良かった二人がどうしてこんな事になったのか詳しくは分からないが
今はただ見守るしかなかった。
「どうしてこんなことになってしまったのでしょうね?お姉さま……」
「うっさいって言ってんでしょ!!!」
御坂は拘束されているものの未だに激しく抵抗を続けている。
「……………初春。一つだけお願いがありますの」
今まで見せたことの無いきわめて真面目な表情で白井は初春に言う。
「お願い……ですか?」
252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:19:20.29 ID:LgIAK/3s0 [6/38]
「ええ…………初春。お願いしますですの。それから、佐天さんも」
「え?あ、はい」
何故自分の名前が呼ばれたのか。疑問に思いながらも佐天は返事をした。
「それで、お願いってなんですか?」
その問いに白井は数秒考え込んだ後、言葉にする。
「ここで起こった事と。これから起こる事を……」
「見なかったことにして欲しいんですの……」
一瞬。白井が何を言っているのか分からなかった。
どう考えてもこの廃工場では傷害事件が起こった。傷害よりも殺人未遂というほうが正しいかもしれない。
そんな事件について白井がこんなことを言うなんて絶対おかしい。
そう、佐天と初春は思った。
しかしそれよりも疑問に感じる事があった。
『これから起こる事』
不穏な予感が二人の脳裏を巡った。
254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:31:29.19 ID:LgIAK/3s0 [7/38]
「一体、何をするつもりなんですか?白井さん……」
初春が訊ねるが返事は無い。
白井はそのまま無言で近くにあった鉄パイプを持ち、それから答えた。
「この女は。お姉さまは私が殺しますの!!!」
「えっ!?何言ってるんですか白井さん。冗談は止めてください!」
佐天が止めようと言葉をかけるも、白井はそれを無視し御坂へと歩み寄る。
そして、その手の中の鈍器を振り下ろそうとした時、初春が彼女達の間に割って入った。
「白井さん。バカな事はやめてください!!」
「初春。お退きなさい。貴方も殴り飛ばしますわよ!!」
初春は少したじろぐがすぐに白井をまっすぐ見据え強い意志をこめて言う。
「白井さんこれ。見てください」
「キャパシティダウンがどうかしましたの?」
「これ、さっきまで御坂さんに向いていました。でも今は白井さんに向けています」
「……ですが私なんともありませんわよ?」
「白井さんがそれ以上御坂さんに近づいたら発動させます!!!」
「だから、もう止めてください!!!」
そういう初春の目からは涙がとめどなく溢れていた。
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:46:04.81 ID:LgIAK/3s0 [8/38]
「そういわれても、もう私は後には引けませんの」
また一歩御坂に近寄ろうとする白井を初春が制止する。
「白井さんたちに何か事情があるのは分かっています!!!」
「ですけど……でも……」
「私の知っている白井さんは……こんなことを言ってすべてを投げ出しちゃう人じゃ……ありません……」
「私の知っている白井さんは……正義感が強くて……行動力があって、それで人に迷惑をかけることもあって……」
「たまにへんなことを言ったりする、なんだかよく分からない人です……」
「でもっ!!!」
「私に『風紀委員』としての心構えを教えてくれた人ですっ!!」
「迷っている私を励ましてくれた人ですっ!!!」
「だから……あの時の言葉を……私も白井さんに言います」
「『風紀委員』の白井さんは!!いつになったら戻ってきてくれるんですか!!!」
259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 01:58:05.78 ID:LgIAK/3s0 [9/38]
「初春……」
初春のその言葉はかつて白井自身が初春にかけた言葉。
それを自らに問いかけられる事で白井は考え込む。
そんな二人の様子を佐天はただ見ているしか出来なかった。
何か自分もすることが出来ないか。
そう考えても居たが目の前の二人の『風紀委員』としての絆。
それを信じてあえて何もしなかった。
初春はずっと泣きながら白井を見つめている。
白井がどんな答えを出すのか。
もし、白井が考えを曲げなければ初春は御坂に続き白井も拘束しなければならない。
そしてついに白井が考えを終了し。初春をあらためて見つめる。
「戻ってきて……くれますか?」
初春はもう一度問いかけた。そして白井は一言で、
「ええ……」
そして、
「私……どうかしていましたわ……」
「ただいま……ですの」
二人はかたくお互いを抱きしめあった。
260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:15:36.88 ID:LgIAK/3s0 [10/38]
その瞬間だった。
白井が初春と抱擁を交わしているのを佐天が確認し。安堵した次の瞬間。
彼女の目の前を、青白い光が走った。
それはまるでカメラのフラッシュのように彼女の視力を奪って、目がくらんでしまった。
「えっ!いったいなにが?」
何が起こったのか確認しようとするが何も見えない。
しばらくしてようやく視力が戻った彼女が目にしたのは信じられない光景だった。
さっきまで目の前に居たはずの二人が抱きしめあったまま床に倒れていた。
倒れていた。というのは適切ではない。実際は『崩れていた』の方が正しい。
彼女達の身体をよく見ると、腹から胸にかけて真っ黒に焼き焦げていた。
「初春!!!!白井さん!!!!」
あわてて駆け寄り声をかけるも反応はない。
素人目で見ても二人は、どう考えても死んでいた。
だがそれを信じる事が出来ない。
「どうして?やっと……もとの二人に戻れたばっかしなのに!!!」
初春と白井の顔は笑顔だった。お互いを再び理解し合えた喜びに満ちていた。
だがその表情は二度と変わる事は無い。
そのことを佐天はようやく認め、二人の目を閉じさせる。
そして、彼女達を死へ追いやった人物の元へ向かう。
263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:31:21.56 ID:LgIAK/3s0 [11/38]
佐天涙子は拘束され床で転がっている、御坂美琴の元へたどり着いた。
「初春さんが黒子に向かってあれを使おうとしてくれたものだから」
「チャンスだと思って。つい、黒子殺しちゃったわ」
「角度が悪かったから初春さんも死んじゃったみたいだけどね」
「ふふふ、私が憎いかしら。佐天さん?」
「どうして……どうしてこんな……こと……」
「なぁに?ぶつぶつ言ってちゃわかんないわよ……ん?」
御坂は気付いた。佐天の右手に先ほどまで白井が握っていた鉄パイプがあることに。
「ふうん。それで私を殺す?できるの?佐天さんに」
佐天は返事をしない。そして無言で鉄パイプを振りかぶる。
「優しい佐天さんには出来ないわよね。朝も出来なかったんだし」
「……」
「……」
沈黙が数秒続いた後。鈍い音が廃工場に響き、鮮血が舞った。
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:42:22.75 ID:LgIAK/3s0 [12/38]
「はあっ……はあっ……はあ」
佐天涙子は息を切らしていた。
ふと気付くと自分の着ていた服が真っ赤に染まっていた。
目の前には御坂美琴『だったもの』がボロボロになって転がっている。
ああ、これは私が壊したんだ。
その報告をしに、彼女は初春と白井の亡骸に向かう。
「ねえ、二人とも……敵はとったよ……」
「だから安らかに眠ってね……」
そう言った時彼女の視界に上条の姿が捉えられた。
彼はこの数分の光景に、ただ呆然としていた。
目から精気は抜けており、まさに生ける屍とよぶのが相応しかった。
そんな彼の元に佐天は近寄っていく。その手に鉄パイプを握り締めたまま。
267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:46:42.74 ID:LgIAK/3s0 [13/38]
「あなたがすべての原因なんですよね?」
返事は無い。
「事情は分からないけど、そうなんですよね?」
返事は無い。
「あなたのせいで御坂さんがおかしくなったんですよね?」
返事は無い。
「あなたのせいで白井さんもおかしくなったんですよね?」
返事は無い。
「あなたのせいで白井さんは死んだんですよね?」
返事は無い。
「あなたのせいで初春は死んだんですよね?」
返事は無い。
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 02:53:13.19 ID:LgIAK/3s0 [14/38]
「まあ……もうどうでもいいです……」
「返事をしなくても。どんな返事をしても」
「あなたがアタシに殺されることだけは」
「変わりませんから」
そして佐天涙子はもう一度鉄パイプを振りかざす。
そんな彼女を見ながら上条当麻はただ思っていた。
ああ、なんだかいろいろあったけど……
これで俺も死ぬのか……
ようやく俺も楽にな――
その考えを完了する前に彼の思考は強制的に終了させられた。
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/12(金) 03:07:44.90 ID:LgIAK/3s0 [15/38]
その日の夜。
匿名通報を受けて『警備員』が廃工場に踏み込んだ。
無茶苦茶に荒れ果てたその現場で彼らが見たのは、原形をとどめていない二つの死体と、
それとは対照的に、まるで生きているかのような安らかな表情を浮かべる二つの遺体だった。
そしてその遺体の近くには、小さな花飾りとお守りが一つ落ちていたという……
数週間後。学園都市では新たな都市伝説が流布していた。
「ねえねえ、この都市伝説知ってる?」
「え、どんなの?」
「なんでもさ、仲の良かった四人組みがいたらしいんだけど」
「男が原因でその内の二人が仲たがいしてさ、それで結局」
「結局?」
「凄惨な殺し合いになって、彼女達の内三人とその男が死んじゃったんだって」
「うわー。なんかドロドロだね、いろんな意味で」
「そうだよねー。ホントかウソかわかんないけど怖いよねー」
――――――――
都市伝説の大好きな佐天涙子がこれを聞いたらどう思うだろうか?
あの日以来。佐天涙子の姿を見たものはいない……
終わり。
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コメント
魔滅の声見たいに音さえ聞こえなきゃ意味ないツールが役に立つわけねぇだろJK
No title
怪談話みたいでアリなんじゃないか
No title
骨に振動で通じるから聞こえなくても効くだろ
シルオールフィア?は耳を潰すという行動で音媒介の魔術の遮断だから化学には関係ないし
シルオールフィア?は耳を潰すという行動で音媒介の魔術の遮断だから化学には関係ないし
シェオールフィアな↓
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