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とある研究者の違和感
703 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:18:22.66 ID:ea2Tq3A0 [1/10]
>>690
続きを期待されたので,続けてみます.
禁書で一番のマダオの天井とこのオッサンを絡めると面白いんじゃない?
ってノリだけで書きました.
関連
とある研究者の違和感
>>690
続きを期待されたので,続けてみます.
禁書で一番のマダオの天井とこのオッサンを絡めると面白いんじゃない?
ってノリだけで書きました.
関連
とある研究者の違和感
704 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:21:12.17 ID:ea2Tq3A0 [2/10]
---とある病院の診察室
「診断結果に異常なし,研究者って不摂生になりがちな割にはどの値も健康そのものだね」
「研究者っても,所詮サラリーマンですかね.ウチだと昼夜逆転の研究スタイルは逆に浮いてしまいますよ.」
カエル顔の医者とそんな世間話をしつつ,彼は良好と言われた健康診断の結果にホッとしていた.
研究者とは気楽な稼業と思われがちだが実際には常に結果を求められる.そのプレッシャーと上手く付き合う処世術はそれなりには持っているものの,
研究所のオーナーである塩岸の経営方針は,以前の研究所以上の実力主義でありこれまで以上のプレッシャーを掛けるものだった.
(駆動鎧もなかなか面白いんだけど,やっぱり自律型の方がいいな.
これからも今の場所でやって行くなら六枚羽辺りに配属されたりしないかな...)
そんな彼の気持ちとは裏腹に,これからしばらくは駆動鎧の携わり続けていくだろうことは彼自身が最もよく知っていた.
彼の研究成果は六枚羽や清掃ロボットのような自律型のロボットの学習装置よりも,駆動鎧おける人との
インターフェイスの制御機構に対して適用する方が向いていたからである.
705 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:22:44.69 ID:ea2Tq3A0 [3/10]
(まぁ,駆動鎧の開発の為に今の研究所に移るのを決めたのは自分だし文句は言えないか.
清掃ロボットでは少し限界が見えていたし)
「失礼します.詳細な診断結果は1週間後にメールにて送らさせていただきますが,
念のため郵送でもお送りしたほうがよろしいでしょうか?とミサカは確認を取ります」
「メールだけで構わない.って,ミサカさん?ついさっきまでカフェに居たんじゃない?」
「いえ,私は貴方と先ほどお別れしてからずっとこの病院に居ました.とミサカは貴方の見間違いか何かを指摘します」
「確かに,カフェで会った子の方は言っちゃ悪いが粗雑なカンジだったかな?」
「おそらく,貴方がカフェでお会いしたのは私の姉です.とミサカはいつも通りのテンプレートを述べます」
「テンプレート?見た目が殆ど一緒で年もそう変わらなさそうというということは双子ということかな」
「そういう認識で構いません.ところでカフェに行ったと言っていましたが,如何だったでしょうか?とミサカは話題の切り替えを促します」
「あぁ,さすがにオッサン一人でああいった店に入るのは抵抗があったから,近くの公園とかで適当に時間を潰していたかな」
「そうですか,男性の方には入れない店というものがあるのですね.とミサカは彼と一度あの店に行きたいと思っていたのでションボリします」
「いやいやそういう意味じゃなくて,デートとかならアリなんじゃないかな」
「デ,デートだなんで.でも,もしデートが出来れば.とミサカは少しニヤケてしまいます」
突然の青春ど真ん中の空気に触れて,こちらまで少し恥ずかしくなってしまうと感じ.彼は,彼女を少しばかり激励し帰路へと着いた.
706 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:26:04.18 ID:ea2Tq3A0 [4/10]
---第7学区のスーパー
普段自分の通う第2学区とは違って若さあふれる雑多な街をもう少し歩いてみるのもたまには良いと,
彼は夕食の材料を調達するために第7学区のとあるスーパーで買い物をすることにした.
買い物中に彼は学園都市とは言いながらも買い物カートがロボット化されていないことをふと考えていた.
ミサカハミサカハアナタノオスカートニノッテミル
ハシタネェゾクソガキオリヤガレ
例えば,端末に冷蔵庫の残り物の情報を転送しといて,カートにある端末にはスーパー側の特売商品や旬の商品などの情報転送しとく.
自分の端末とカート端末を繋げばお互いの情報を擦り合わせ,その時の最適な夕食の献立を作ってくれる.
それこそ,商品が決まればあとはカートが自動で買い物コースを設定し自動運転でスーパーを回る.
それくらいのこと,学園都市ならあっという間に実用化できそうなのだが.
学園都市の研究というのはどちらかというと,何らかの軍事的な戦略に関わるような研究であったり,
先駆的もしくは常識にとらわれない研究であったりするコトが好まれる傾向にあり,
例に出したような所帯染みた研究というのはあまり好まれないのだろう.
(それにしても,最近,書庫で見つけた「洗濯機・冷蔵庫論争における神学的解釈と考察」なんて研究は先駆的過ぎて意味不明だったな,
回転には聖人の力が,冷却には天使の力がそれぞれに対応して,その他家電にも神学的な解釈が可能である.とかだっけ?全くもって意味が分からない)
アナタココノタナニアルイチゴムースガホシィナッテ
ヤメトケクソガキハラコワスカラ
自分には理解不能な斬新な視点というのが,やがて科学的な研究のアイディアに結びつくコトもあるのではと思っている間にスーパーの買い物は済んでしまった.
707 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:28:31.88 ID:ea2Tq3A0 [5/10]
スーパーから出た彼の目の前には,煙を上げながら完全に沈黙している清掃ロボットと,
今まさに電撃を浴びている清掃ロボット,ロボットと同じく電撃を浴びる一人の少年が居た.
(清掃ロボットがイカれちまうような電撃くらわせるなんて殺人モノなはずなんけど,
あの少年は無事みたいだ.能力者か何かか?)
アァスーパーノトクバイガァ
ムシスンナゴラアァァ
彼が殺人的な電撃の発信源の方へと目を向けると今日四度目となる少女の顔が見えた.
(えーっと,あのミカサさんは姉の方かな?すごい電撃だなた大能力者以上なのか?
じゃぁ妹の方も電撃使いだったりするのか?)
と彼が思ったとき,彼は気が付いた.彼女が超能力者の超電磁砲であるということ,
そして,病院の彼女が目の前の超電磁砲の妹なんかじゃないということを.
(あの,天井とかいう男の言ってた計画はホントだったのかよ)
708 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:31:21.92 ID:ea2Tq3A0 [6/10]
天井と名乗った男と初めて出会ったのは,以前の研究所に務めていた頃に出会った.いや,出会ったというよりは拾った.
たまたま,一人で店で飲んでたところにすでに泥酔状態の天井という男が絡んで来た.その男は
「自分はどうしようもない出来そこないを作ってしまった」
「俺の人生終わりだ」
「俺じゃない,芳川だ芳川が悪いんだ」
とか訳の分からないコトを言っていた.
そういう失敗報告は俺じゃなくて上司もしくは芳川という人にしてくれ
と彼は天井に言ったのだが,天井はまず彼に聞いて欲しいと泣きついてきた.
とりあえずお互いの研究領域がクローン技術と学習理論と決して近くはないし,
聞いてやってもどうなることでも無いと思ったのだが,
天井の話す内容は彼の想像を遥かに上回った.
まず,国際的には認められていない人クローンの生成.
そして,そのクローンのオリジナルが学園都市第三位の超電磁砲であること.
さらに,そのクローン200体と学園都市第一位の一方通行で戦闘を行わせること.
その200体を用いた戦闘で一方通行が前人未踏のLevel.6に到達するという事だった.
天井の泥酔しきった状態とあまりにも突拍子のない話に天井の言うことは酔っぱらいの妄言か何かだと彼は信じることができなかった.
とりあえず,研究はチームでしていくものだし天井だけが責任を感じる必要はないというような内容を言いつつ,
彼は天井を宥め諭してやり落ち着いたところで彼をタクシーにぶち込んだ.
709 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:34:43.73 ID:ea2Tq3A0 [7/10]
そして,また暫くしたところで,同じ店で彼はまた天井と出会った.
そのとき出会ったときに,天井は彼のコトを一切覚えていなかった.
そこで,天井に彼が初めて天井を拾った話をした.その内容を聞いた天井は
「今,私の研究は順調に推移しているからもう大丈夫た.あと,私が話した内容は酔っ払いの妄言だと思って気にしないでくれ」
と言ってきた.彼自身,全く本気にしていなかったが天井の話した妄言は妄言として面白かった.
なので今度は,天井ばかりが妄言を話すのは可哀想だし,なんだかズルイと感じ酔っ払た勢いで彼は彼自身の妄言を話すことにした.
(人ならざる者を,人足りえる存在にする)
この話に天井は食いついた.
天井もまたクローンという人ならざる者を,人足りえる存在にする研究者の一人だった.
天井は「"物質的に"人と全く同じモノを作れば人足りえる存在になる」という立場だった.
彼は人と同じモノ作る過程に人を,生命を科学的に理解できるという立場だった.
対する彼は「"情報として"人と同じモノであれば人足りえる存在になる」という立場であり,
モノの形は考慮しないという立場に立ってお互いに議論した.
おそらく二人の立場の違いは,何が人の本質を定めているいるかの違いであり.両者ともに間違ったアプローチではないのだ.
結局,二人の最終地点は生命の科学的理解であり,人足りえる存在はあくまでも副産物でしかなかった.
副産物にそれほど興味が無いという点は二人の中で共通にあった.
710 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:38:37.91 ID:ea2Tq3A0 [8/10]
最後に,彼と天井が会ったのはこの夏だった.
例のごとくいつもの店で天井は,彼が初めて会った以上に天井は荒れていた.
「俺の人生終わりだ」
「俺はココで終わってなるものか,復讐だ復讐してやる」
「俺じゃない,全ては芳川だ芳川が悪いんだ」
話している内容が内容なだけにあまり近づきたいとは思わなかったが
天井の方が彼を見つけだし,聞きたくもない愚痴と妄言に付き合わされるハメになった.
このとき彼は天井の同僚である芳川は随分苦労しているのではないかと感じた.
そのときの天井の妄言もまた,彼の予想を超えてぶっ飛んでた.
初めて会ったときに話した計画が何者かの妨害により頓挫.
天井は失職したが,今回の人クローン技術の研究を手土産に外部の研究機関移籍するという.
さらに,残った10000体あまりのクローンからなるミサカネットワークを暴走させ学園都市に復讐するというものだ.
おそらく本当に失職したのだろう.
以前の議論から研究者としてはそれなりに優秀であるとは思えたし,
ミサカネットワークという実現できたるなら面白いアイディアを持ってることだから.
学園都市外部まで視野を広げて次の職を探すならすぐに見つかるはずだから自暴自棄になるな
と彼は天井を宥め諭してやり落ち着いたところで天井をタクシーにぶち込んだ.
711 名前:とある研究者の違和感[] 投稿日:2010/11/14(日) 06:47:30.44 ID:ea2Tq3A0 [9/10]
彼は天井という男を思い出しながら,すでにスーパーから離れていた.
(初め200体から10000体になった時点で妄言なんだと思い込んでいたけど,
天井の話していたコトは本当だったのか?)
彼は自分自身の推察に対して確信はあったが,確証が得られていなかった.
確信を得るためには先ほどまで目の前にいた超電磁砲と思われる少女直接に聞くのが手っ取り早い方法だっただろう.
しかし,ただでさえ真っ黒な人クローンが関わって上に真っ黒な計画を見ず知らずの人間がいきなり聞いたらただ良からぬ疑いを持たれるだけだろう.
それに当の本人でもどこまで計画を知っているか定かではない.彼はあの場から立ち去り家路を急ぐことにした.
(学園都市の闇ってのは,想像を遥かに超えてるのか.
天井の話は聞いて良かったのか,悪かったのか分からないな.)
完全下校時を過ぎ,人通りも少なく辺りも暗くなってしまった学園都市.
街を覆う闇に飲み込まれるような感覚を彼は覚えた.
712 名前:とある研究者の違和感[] 投稿日:2010/11/14(日) 06:49:27.12 ID:ea2Tq3A0 [10/10]
このマダオ頑張れば魔術サイドまでイケそうで困る.
---とある病院の診察室
「診断結果に異常なし,研究者って不摂生になりがちな割にはどの値も健康そのものだね」
「研究者っても,所詮サラリーマンですかね.ウチだと昼夜逆転の研究スタイルは逆に浮いてしまいますよ.」
カエル顔の医者とそんな世間話をしつつ,彼は良好と言われた健康診断の結果にホッとしていた.
研究者とは気楽な稼業と思われがちだが実際には常に結果を求められる.そのプレッシャーと上手く付き合う処世術はそれなりには持っているものの,
研究所のオーナーである塩岸の経営方針は,以前の研究所以上の実力主義でありこれまで以上のプレッシャーを掛けるものだった.
(駆動鎧もなかなか面白いんだけど,やっぱり自律型の方がいいな.
これからも今の場所でやって行くなら六枚羽辺りに配属されたりしないかな...)
そんな彼の気持ちとは裏腹に,これからしばらくは駆動鎧の携わり続けていくだろうことは彼自身が最もよく知っていた.
彼の研究成果は六枚羽や清掃ロボットのような自律型のロボットの学習装置よりも,駆動鎧おける人との
インターフェイスの制御機構に対して適用する方が向いていたからである.
705 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:22:44.69 ID:ea2Tq3A0 [3/10]
(まぁ,駆動鎧の開発の為に今の研究所に移るのを決めたのは自分だし文句は言えないか.
清掃ロボットでは少し限界が見えていたし)
「失礼します.詳細な診断結果は1週間後にメールにて送らさせていただきますが,
念のため郵送でもお送りしたほうがよろしいでしょうか?とミサカは確認を取ります」
「メールだけで構わない.って,ミサカさん?ついさっきまでカフェに居たんじゃない?」
「いえ,私は貴方と先ほどお別れしてからずっとこの病院に居ました.とミサカは貴方の見間違いか何かを指摘します」
「確かに,カフェで会った子の方は言っちゃ悪いが粗雑なカンジだったかな?」
「おそらく,貴方がカフェでお会いしたのは私の姉です.とミサカはいつも通りのテンプレートを述べます」
「テンプレート?見た目が殆ど一緒で年もそう変わらなさそうというということは双子ということかな」
「そういう認識で構いません.ところでカフェに行ったと言っていましたが,如何だったでしょうか?とミサカは話題の切り替えを促します」
「あぁ,さすがにオッサン一人でああいった店に入るのは抵抗があったから,近くの公園とかで適当に時間を潰していたかな」
「そうですか,男性の方には入れない店というものがあるのですね.とミサカは彼と一度あの店に行きたいと思っていたのでションボリします」
「いやいやそういう意味じゃなくて,デートとかならアリなんじゃないかな」
「デ,デートだなんで.でも,もしデートが出来れば.とミサカは少しニヤケてしまいます」
突然の青春ど真ん中の空気に触れて,こちらまで少し恥ずかしくなってしまうと感じ.彼は,彼女を少しばかり激励し帰路へと着いた.
706 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:26:04.18 ID:ea2Tq3A0 [4/10]
---第7学区のスーパー
普段自分の通う第2学区とは違って若さあふれる雑多な街をもう少し歩いてみるのもたまには良いと,
彼は夕食の材料を調達するために第7学区のとあるスーパーで買い物をすることにした.
買い物中に彼は学園都市とは言いながらも買い物カートがロボット化されていないことをふと考えていた.
ミサカハミサカハアナタノオスカートニノッテミル
ハシタネェゾクソガキオリヤガレ
例えば,端末に冷蔵庫の残り物の情報を転送しといて,カートにある端末にはスーパー側の特売商品や旬の商品などの情報転送しとく.
自分の端末とカート端末を繋げばお互いの情報を擦り合わせ,その時の最適な夕食の献立を作ってくれる.
それこそ,商品が決まればあとはカートが自動で買い物コースを設定し自動運転でスーパーを回る.
それくらいのこと,学園都市ならあっという間に実用化できそうなのだが.
学園都市の研究というのはどちらかというと,何らかの軍事的な戦略に関わるような研究であったり,
先駆的もしくは常識にとらわれない研究であったりするコトが好まれる傾向にあり,
例に出したような所帯染みた研究というのはあまり好まれないのだろう.
(それにしても,最近,書庫で見つけた「洗濯機・冷蔵庫論争における神学的解釈と考察」なんて研究は先駆的過ぎて意味不明だったな,
回転には聖人の力が,冷却には天使の力がそれぞれに対応して,その他家電にも神学的な解釈が可能である.とかだっけ?全くもって意味が分からない)
アナタココノタナニアルイチゴムースガホシィナッテ
ヤメトケクソガキハラコワスカラ
自分には理解不能な斬新な視点というのが,やがて科学的な研究のアイディアに結びつくコトもあるのではと思っている間にスーパーの買い物は済んでしまった.
707 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:28:31.88 ID:ea2Tq3A0 [5/10]
スーパーから出た彼の目の前には,煙を上げながら完全に沈黙している清掃ロボットと,
今まさに電撃を浴びている清掃ロボット,ロボットと同じく電撃を浴びる一人の少年が居た.
(清掃ロボットがイカれちまうような電撃くらわせるなんて殺人モノなはずなんけど,
あの少年は無事みたいだ.能力者か何かか?)
アァスーパーノトクバイガァ
ムシスンナゴラアァァ
彼が殺人的な電撃の発信源の方へと目を向けると今日四度目となる少女の顔が見えた.
(えーっと,あのミカサさんは姉の方かな?すごい電撃だなた大能力者以上なのか?
じゃぁ妹の方も電撃使いだったりするのか?)
と彼が思ったとき,彼は気が付いた.彼女が超能力者の超電磁砲であるということ,
そして,病院の彼女が目の前の超電磁砲の妹なんかじゃないということを.
(あの,天井とかいう男の言ってた計画はホントだったのかよ)
708 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:31:21.92 ID:ea2Tq3A0 [6/10]
天井と名乗った男と初めて出会ったのは,以前の研究所に務めていた頃に出会った.いや,出会ったというよりは拾った.
たまたま,一人で店で飲んでたところにすでに泥酔状態の天井という男が絡んで来た.その男は
「自分はどうしようもない出来そこないを作ってしまった」
「俺の人生終わりだ」
「俺じゃない,芳川だ芳川が悪いんだ」
とか訳の分からないコトを言っていた.
そういう失敗報告は俺じゃなくて上司もしくは芳川という人にしてくれ
と彼は天井に言ったのだが,天井はまず彼に聞いて欲しいと泣きついてきた.
とりあえずお互いの研究領域がクローン技術と学習理論と決して近くはないし,
聞いてやってもどうなることでも無いと思ったのだが,
天井の話す内容は彼の想像を遥かに上回った.
まず,国際的には認められていない人クローンの生成.
そして,そのクローンのオリジナルが学園都市第三位の超電磁砲であること.
さらに,そのクローン200体と学園都市第一位の一方通行で戦闘を行わせること.
その200体を用いた戦闘で一方通行が前人未踏のLevel.6に到達するという事だった.
天井の泥酔しきった状態とあまりにも突拍子のない話に天井の言うことは酔っぱらいの妄言か何かだと彼は信じることができなかった.
とりあえず,研究はチームでしていくものだし天井だけが責任を感じる必要はないというような内容を言いつつ,
彼は天井を宥め諭してやり落ち着いたところで彼をタクシーにぶち込んだ.
709 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:34:43.73 ID:ea2Tq3A0 [7/10]
そして,また暫くしたところで,同じ店で彼はまた天井と出会った.
そのとき出会ったときに,天井は彼のコトを一切覚えていなかった.
そこで,天井に彼が初めて天井を拾った話をした.その内容を聞いた天井は
「今,私の研究は順調に推移しているからもう大丈夫た.あと,私が話した内容は酔っ払いの妄言だと思って気にしないでくれ」
と言ってきた.彼自身,全く本気にしていなかったが天井の話した妄言は妄言として面白かった.
なので今度は,天井ばかりが妄言を話すのは可哀想だし,なんだかズルイと感じ酔っ払た勢いで彼は彼自身の妄言を話すことにした.
(人ならざる者を,人足りえる存在にする)
この話に天井は食いついた.
天井もまたクローンという人ならざる者を,人足りえる存在にする研究者の一人だった.
天井は「"物質的に"人と全く同じモノを作れば人足りえる存在になる」という立場だった.
彼は人と同じモノ作る過程に人を,生命を科学的に理解できるという立場だった.
対する彼は「"情報として"人と同じモノであれば人足りえる存在になる」という立場であり,
モノの形は考慮しないという立場に立ってお互いに議論した.
おそらく二人の立場の違いは,何が人の本質を定めているいるかの違いであり.両者ともに間違ったアプローチではないのだ.
結局,二人の最終地点は生命の科学的理解であり,人足りえる存在はあくまでも副産物でしかなかった.
副産物にそれほど興味が無いという点は二人の中で共通にあった.
710 名前:とある研究者の違和感[sage] 投稿日:2010/11/14(日) 06:38:37.91 ID:ea2Tq3A0 [8/10]
最後に,彼と天井が会ったのはこの夏だった.
例のごとくいつもの店で天井は,彼が初めて会った以上に天井は荒れていた.
「俺の人生終わりだ」
「俺はココで終わってなるものか,復讐だ復讐してやる」
「俺じゃない,全ては芳川だ芳川が悪いんだ」
話している内容が内容なだけにあまり近づきたいとは思わなかったが
天井の方が彼を見つけだし,聞きたくもない愚痴と妄言に付き合わされるハメになった.
このとき彼は天井の同僚である芳川は随分苦労しているのではないかと感じた.
そのときの天井の妄言もまた,彼の予想を超えてぶっ飛んでた.
初めて会ったときに話した計画が何者かの妨害により頓挫.
天井は失職したが,今回の人クローン技術の研究を手土産に外部の研究機関移籍するという.
さらに,残った10000体あまりのクローンからなるミサカネットワークを暴走させ学園都市に復讐するというものだ.
おそらく本当に失職したのだろう.
以前の議論から研究者としてはそれなりに優秀であるとは思えたし,
ミサカネットワークという実現できたるなら面白いアイディアを持ってることだから.
学園都市外部まで視野を広げて次の職を探すならすぐに見つかるはずだから自暴自棄になるな
と彼は天井を宥め諭してやり落ち着いたところで天井をタクシーにぶち込んだ.
711 名前:とある研究者の違和感[] 投稿日:2010/11/14(日) 06:47:30.44 ID:ea2Tq3A0 [9/10]
彼は天井という男を思い出しながら,すでにスーパーから離れていた.
(初め200体から10000体になった時点で妄言なんだと思い込んでいたけど,
天井の話していたコトは本当だったのか?)
彼は自分自身の推察に対して確信はあったが,確証が得られていなかった.
確信を得るためには先ほどまで目の前にいた超電磁砲と思われる少女直接に聞くのが手っ取り早い方法だっただろう.
しかし,ただでさえ真っ黒な人クローンが関わって上に真っ黒な計画を見ず知らずの人間がいきなり聞いたらただ良からぬ疑いを持たれるだけだろう.
それに当の本人でもどこまで計画を知っているか定かではない.彼はあの場から立ち去り家路を急ぐことにした.
(学園都市の闇ってのは,想像を遥かに超えてるのか.
天井の話は聞いて良かったのか,悪かったのか分からないな.)
完全下校時を過ぎ,人通りも少なく辺りも暗くなってしまった学園都市.
街を覆う闇に飲み込まれるような感覚を彼は覚えた.
712 名前:とある研究者の違和感[] 投稿日:2010/11/14(日) 06:49:27.12 ID:ea2Tq3A0 [10/10]
このマダオ頑張れば魔術サイドまでイケそうで困る.
Tag : とあるSS総合スレ
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