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男「俺はなんで君と結婚したんだろう」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/13(土) 21:00:22.81 ID:AkMAvMdL0 [1/16]
女「私のことが好きだからでしょ」

男「だよな」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:01:17.78 ID:AkMAvMdL0 [2/16]
男「何このご飯」

女「秋刀魚の蒲焼重」

男「うまいよ」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:02:50.50 ID:AkMAvMdL0 [3/16]
男「その服どうしたの」

女「買った」

男「綺麗だね」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:03:54.71 ID:AkMAvMdL0 [4/16]
男「俺は何で生きているんだろう」

女「そうしたいからじゃないの」

男「特にしたいことがないんだ」

女「なら、死にたくないだけってことじゃないの」

男「なるほど」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:05:07.40 ID:AkMAvMdL0 [5/16]
友「お前らのやり取り見てると、怒ってるみたいで怖いんだけど」

男「別に普通だよ」

女「どこが怖いのか分からない」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:06:14.51 ID:AkMAvMdL0
女「子供出来た」

男「産むの?」

女「産むよ」

男「一緒に頑張って育てよう」

女「うん」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:08:57.53 ID:AkMAvMdL0
男「病気になった」

女「治るの?」

男「治らないらしい」

女「残念。なんの病気?」

男「名前忘れた」

女「そっか」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:09:45.05 ID:AkMAvMdL0
男「君はなんで俺と結婚したんだ」

女「あなたのことが好きだから」

男「そうか」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:11:55.94 ID:AkMAvMdL0
女「病気の話だけど」

男「うん」

女「死ぬの?」

男「もって10年」

女「ふーん」

男「そんなもんだ」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:13:46.82 ID:AkMAvMdL0
男「君といると楽だよ」

女「私も楽だよ」

友「楽そうに見えないよ」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:16:13.86 ID:AkMAvMdL0
友「お前の奥さん冷たいな」

男「なんで?」

友「夫が死ぬかもって割には反応薄いじゃん」

男「うん。だから好きなんだ」

友「そういうもんか」

男「そういうもんだ。それに妻が冷たいとは思わない」

友「お前がそういうんなら、それでいいけどな」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:19:47.82 ID:AkMAvMdL0
女「男くんが死ぬかもしれない」

女父「離婚だ!離婚して子供も下ろして新しい人生を歩むんだ!」

女「うざい」

女父「私はお前のためを思って言ってるんだぞ」

女「そうか。だから?」

女父「お前なんか勘当だ」

女「訳の分からない人だ」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:21:58.18 ID:AkMAvMdL0
女「今日、父に君が死ぬかもしれないって報告した」

男「そうか」

女「そしたら勘当された」

男「うん」

女「うるさかったから丁度いい」

男「君がいいならそれが一番いい」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:24:20.72 ID:AkMAvMdL0
男「とりあえず、俺は死ぬまでにしないといけないことがある」

女「何をするの」

男「俺が死んでも君が子供を育てられるようにすること」

女「寂しいことを言う」

男「だけどしなきゃいけないことだ」

女「君がそういうなら是非そうしてくれ」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:27:16.41 ID:AkMAvMdL0 [15/16]
男「マンション買った。君のものだ」

女「私は家主になるのか」

男「宅建とってて良かったな」

女「ああ、これで君が死んでも生活できる」

男「いつ死ぬか分からないが、死ぬまでに一通りのことはできそうだ」

女「子供の顔くらいは見て死んでくれ」

男「じゃあそうしよう」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/13(土) 21:30:15.04 ID:AkMAvMdL0 [16/16]
女「私は君を引き止めない」

男「うん、出会ったときからそうだった」

女「君も私を引き止めない」

男「うん、出会う前からそうだった」

女「それでいい」

男「それがいい」

女「だから君が好きなんだ」

男「俺もだ」

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 21:35:00.29 ID:AkMAvMdL0
友「お前が死んでも、奥さんは泣かないな」

男「ああ」

友「なんとも思わないか」

男「思わない」

友「何でお前はそうなんだよ」

男「泣かれてもうっとうしい」

友「何でお前はそうなんだよ」

男「俺が死んだら葬式を挙げて墓に弔う。それ以外のことは望まない」

友「なんでお前はそうなんだよ!!」

男「何か悪いのか」

友「……もういい」

男「変な奴だな」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 21:37:06.39 ID:AkMAvMdL0
女「君が好きだ。死なないで欲しい」

男「うん、俺も死にたいとは思わない」

女「だが君はもうすぐ死ぬんだな」

男「ああ、体の調子がどんどん悪くなっていくのがわかる」

女「辛くはないか」

男「辛い。肩貸してくれ」

女「ああ」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 21:41:14.30 ID:AkMAvMdL0
女「もう死ぬのか」

男「たぶんそうだ」

女「今までありがとう」

男「俺の方こそだ。子供を見てやれなくてすまない」

女「君の分まで見てやる。安心してくれ」

男「ああ、君に見取られて死ぬのがこんなにいいとは思わなかった」

女「皆うるさかった。君の友は本当にうるさかった」

男「あいつは人の気持ちが分からない奴だが、別に悪い奴じゃない」

女「分かってる」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 21:48:59.01 ID:AkMAvMdL0
男「あいつが君に何かを言ってきても、相手にするんじゃないぞ」

女「分かってる」

男「そうか。じゃあ、あとはよろしく頼む」 がく

女「さよなら」


女「男は死んだ」

男母「あの子の死に目に会えなかった!私は酷い親だ!」

女「男は別に会いたくないといっていた」

男母「酷い!どうせでっち上げでしょう、親の気持ちなど分からないくせに!」

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 21:52:31.82 ID:AkMAvMdL0
男父「女君。君は男が死んでも一向に悲しむ様子を見せないが、
  本当に君は男くんのことを好いていたのか」

女「好いていた」

男父「なら泣け!わめけ!死体に取りすがって生き返れって叫んでみろ!!
  私ならそうする!!」

女「勝手にすればいい。私はしない」

男父「この薄情者め!!!」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 21:57:34.10 ID:AkMAvMdL0
親族「わーわーぎゃあぎゃあ」


女「…本当にうるさい人たちだ」

女「男くん。君が死んだのが本当に辛い」

女「君のような人はこの世にもう一人もいないだろう」

女「この世に私がまともに付き合えるのは君一人だけだったのに」

女「疲れたよ」


友「……あの。男さんの奥さんですね」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 22:03:08.64 ID:AkMAvMdL0
女「…ああ、友さんか。何を他人行儀な挨拶を」

友「……いや、普段の姿とは余りに違うから、声を掛けにくかった」

女「君も何か言いにきたのか」

友「……いや。男が奥さんといて本当に幸せだったことが、なんとなく分かった」

女「そうか」

友「とりあえず、親族を追い払っておいたから報告する」

女「すまない」

友「男の遺言だ。あなたが謝ることじゃない」

女「だが謝らせてくれ。すまない」

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 22:09:28.81 ID:AkMAvMdL0
友「…じゃあ、俺はこれで帰ります」

女「世話になった。ありがとう」

友「……じゃ」


友「あいつは…男は、不器用だったけどいい奴だった」

友「女さんも…不器用だけど、いい人だった」

友「今なら分かる。男は、周りの世知辛さが本当に嫌だったんだ」

友「女さんも。だからああして結婚して、幸せそうにしてたんだ」

友「俺は、それを壊そうとしていた」


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 22:11:46.71 ID:AkMAvMdL0
友「世間にあわせて生きることを、俺はあいつに強要してしまった」

友「あいつを辛い目に合わせた俺は、それでもあいつの友達でいたかった」

友「だからあいつの遺言を聞いたんだ」













飽きたので終わる

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