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秀吉「最近、明久といると何故か胸がドキドキするのじゃ……」  3

161 :支援:2010/03/04(木) 06:28:49.68 ID:/Vo6pxK+O
明久「はい、秀吉。養命酒」

秀吉「……明久よ、わしは健全な男子高生なのじゃが」

明久「あぁ、ごめんごめん。秀吉は健全な女子高生だったね」

秀吉「訂正すべきところはそこではないぞい!?」

164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 06:37:24.09 ID:/Vo6pxK+O
秀吉「まったく明久は……」

明久「でもなんか本当に具合悪そうだよ? 風邪でもひいたんじゃないの?」

秀吉「む……そういえばなにやら悪寒が」

明久「どれどれ?」

秀吉「なッ!?」

おもむろに額をくっつけて熱を計る明久。
その不意打ちに熱にうかされた秀吉の心は千々に乱れた。

秀吉「か、顔が近いのじゃ、明久! (ま、また胸のドキドキが……!)」

165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 06:49:05.49 ID:/Vo6pxK+O
秀吉「あ、あうぅ……」

明久「って、うわ!? すごい熱があるじゃないか。顔も真っ赤だし」

秀吉「そ、そんな風に顔を覗き込むでない……」

明久「……よし、早退しよう、秀吉。僕が家まで送るからさ」

秀吉「いや、さすがにそこまでしてもらうのは気が引けるのじゃ。ただでさえ内申の足らない明久に、これ以上授業を休ませるわけにはいかん」

明久「そこまでやばくないからね!? ……多分」

166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 07:00:01.61 ID:/Vo6pxK+O
~秀吉宅~

秀吉「ただいまなのじゃ~……」

明久「おじゃましま~す……って誰もいない?」

秀吉「あぁ、折悪しく家人は皆、出払っておっての。今夜はわし一人しかおらぬのじゃ」

明久「えぇ? 大変じゃない、それ」

秀吉「なぁに、これしきの風邪、寝ていれば治……ごほっ!」

明久「無理しちゃ駄目だよ、秀吉。ほら、肩貸すから早くベッドに行こう」

秀吉「すまんのぅ(……ってだから顔が近いのじゃ! 胸が、動悸が……!)」

168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 07:07:24.13 ID:/Vo6pxK+O
明久「大変だ、ますます顔が赤く……!」

秀吉「た、たいしたことないのひゃあぁ!? (お、お姫様抱っこぉ!?)」

明久「安心して、秀吉。今日は僕が付きっきりで看病するから」

秀吉「付きっきり!? そ、それは困るのじゃ!」

明久「何言ってるのさ。僕たち、友達なんだから遠慮なんてしないでよ」

秀吉「あ……そう、じゃな。友達じゃものな……」

169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 07:30:08.30 ID:/Vo6pxK+O
~秀吉の部屋~

明久「じゃあ僕は部屋の前で待ってるから、着替え終わったら呼んで」

秀吉「待てぃ、明久よ。何ゆえ部屋を出ていこうとする?」

明久「え、だ、だって女の子が着替えてる部屋に男がいちゃまずいでしょ」

秀吉「だからわしは男なのじゃ! 調度いい機会じゃ。今日こそわしが男じゃということを証明させてもらうぞい」

明久「ちょ、秀吉!?」

秀吉「いいから明久は黙って見ているのじゃ」

172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 07:51:20.68 ID:/Vo6pxK+O
ブレザーをはらりと椅子に掛け、スラックスのパンツをすとんと脱ぎ落とす。
堅苦しいネクタイを解き、秀吉はワイシャツ一枚で明久の前へとその身を晒した。

汗に因りワイシャツは秀吉の華奢な肢体に張り付き、妙な色香を醸し出していた。

明久「わ、うわわ……!」
明久は掌で目を覆うが、視線は指の間からしっかりと秀吉を捉えていた。

秀吉(な、何故じゃ……)

ワイシャツのボタンが一つ一つ外され、熱にうかされた身体が明久の熱っぽい視線に曝される。

173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 08:00:53.51 ID:/Vo6pxK+O
秀吉(何故こんなにも、恥ずかしいのじゃ……!?)

戸惑いと羞恥に駆られた秀吉は明久に背を向ける。
秀吉(しかしここで着替えを止める訳にもいかぬし……)

秀吉は静かに決意し、おもむろにワイシャツを脱ぎ捨てた。
だが心を支配する羞恥は拭い切れず、秀吉は両の掌で己が胸を包み、明久の方へと向き直る。

秀吉「どう……かの?」

196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 13:43:42.14 ID:/Vo6pxK+O
ふるふると打ち震える秀吉を前にして、明久はただただ言葉を失うしかなかった。

秀吉「あ、明久……?」

明久「き……」

秀吉「き?」

明久「綺麗だ……」

秀吉「ふえぇッ!?」

199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 13:56:35.46 ID:/Vo6pxK+O
秀吉(な、何を言っておるのじゃ、こやつは!? いやそもそもなんでわしは胸なんか隠しておるのじゃ。明久に男と認めさせる絶好の機会じゃというのに……)

しかし今の秀吉にその手をどける勇気はなかった。 半裸を晒すだけでも顔から火が出そうなくらい恥ずかしいのだ。
生まれたままの姿になろうものなら、恥ずかしさのあまり倒れてしまうだろう。

秀吉(いったいどうしてしまったというのじゃ、わしは……。明久に裸を見られているかと思うだけで、もう……)

秀吉「あう~……」

明久「ひ、秀吉!?」

203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 14:25:31.69 ID:/Vo6pxK+O
へたりこんだ秀吉に明久が駆け寄る。

明久「大丈夫!? ……って、すごい汗だな。着替える前に身体、拭かなきゃ……。ちょっと待ってて」

明久が踵を返し、部屋を出ていく。
何やらどたばたと物音がしたかと思うと、タオルとお湯の入った洗面器を手にして戻ってきた。

明久「秀吉、ちょっとベッドに腰掛けてくれる?」

秀吉「う、うむ……」

熱で朦朧とした意識の秀吉は、言われるがままにベッドへ掛けた。

206 :203からの続き:2010/03/04(木) 14:49:42.86 ID:Z2b0i8Di0
秀吉「ひゃん!?」

 湿らしたタオルを持った明久の手が秀吉の身体を優しくなぞる。

秀吉「ちょっ、待つのじゃ明久! 熱で身体が敏感になっておるから、その……!」

明久「ごめん、ちょっとの間だけ我慢して、秀吉。僕もいろいろ我慢するから」

秀吉「今そこはかとなく不穏な事を言われたような気がするのじゃが!? 
   ……ふ、ぁあん!」

 タオルが肌を擦る度に甘痒い感覚が身体の奥を駆け抜ける。
 秀吉は明久に声を聞かれまいと胸を隠すのも忘れて、両手で口を塞いだ。
 静けさに包まれた部屋の中を漏れる吐息だけが響き渡る。

208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 15:01:51.76 ID:Z2b0i8Di0
秀吉「んむうぅ……んぅ……~~!!」

明久「秀吉……腕、上げて?」

秀吉「ふあぁ……んやぁ!?」

 明久はタオルで秀吉の腋を念入りに拭う。
 明久の手が腋の下をくすぐる度に先程までとは比べ物にならない感覚が秀吉を襲った。 
 漣のような快感と背徳感が秀吉の中に吹き荒れるが、弱った身体ではそれを跳ね除けることは出来なかった。

 ようやく腋を拭き終わり秀吉がほっとしたのも束の間、明久の手はそのまま後ろから抱きしめるように前へと回された。

秀吉「あ、明久!? これ以上は駄目、駄目なのじゃ……!」

明久「でも前も拭かないと。大丈夫。ムッツリーニみたいに鼻血噴いて倒れないように、既に鼻にティッシュは詰めてあるから」

秀吉「そ、そういう問題ではなくてじゃな……んぅ!」

210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 15:11:53.64 ID:Z2b0i8Di0
 明久の手が秀吉の胸を優しく弄るように動く。

秀吉(なんなのじゃ、わしは……。普段あれだけ自分は男じゃと言い張っておったくせに、
   いざ明久を前にしたらこんな、こんな……!)

 情けなさと羞恥で秀吉の心は千々に乱れる。
 自身では処理出来ない正体不明の感情が怖くて、気付けば涙を零していた。

明久「ふ~、終わったよ……ってどうしたの、秀吉!?」

秀吉「う……ひっく……うえぇ……」

 熱で感情のコントロールを失った秀吉はただ子供のように嗚咽をあげていた。
 そんな秀吉を前にして明久はどうしていいものか分からず、ただおろおろとするばかりだった。

213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 15:22:32.11 ID:Z2b0i8Di0
明久「落ち着いた?」

秀吉「うむ、すまんかったの、明久よ」

 なんとか着替えを終え、秀吉は気恥ずかしさからかすっぽりと布団に包まり、
 上目遣いで明久にすまなそうな視線を送る。

明久「いいよ別に。風邪の時ってなんか不安になっちゃうもんだしね。それに友達だろ、僕達」

 友達───その言葉に何故だかまた胸がちくりと痛む。

秀吉「そう、じゃな。友達には優しくせんといかんからな……」

明久「ん──……」

 どこか寂しそうにしゅんとする秀吉を見ながら、明久は腕を組みながら考え込む。

明久「友達だからっていうより秀吉だからかな」

秀吉「え……?」

明久「これが雄二だったら逆に止めを刺しているだろうしね。積年の恨みを晴らすべく」

秀吉「明久、それは……」

明久「うん、だから僕は……秀吉だから優しくしたい、のかな」

216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 15:29:52.06 ID:Z2b0i8Di0
秀吉(そうか……)

 男とか女ではなく秀吉という人間だから。
 明久の言葉がすとんと胸に落ちる。
 自分は男だと躍起になっていた今までの自分が少し馬鹿らしく思えた。

秀吉(こんな奴じゃからこそわしは───)

 無論、その言葉に深い意味はないのだろう。
 だがだからこそそれは秀吉の迷いを掃うには充分だった。

秀吉(明久が好きなのじゃな……)

 男とか女としてではなく吉井明久という存在が。


218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 15:34:19.05 ID:Z2b0i8Di0
明久「そういえばお腹空いてない? 秀吉」

秀吉「うむ、そういえば少し空腹じゃの」

明久「じゃ、ちょっと待ってて。おじやでも作ってくるから。
   今日は付きっ切りで看病するから、思いっきり甘えていいからね」

秀吉「そうさせてもらうとしよう。わしをこんな風にした責任は取ってもらわねばならんしの」

明久「責任……って僕なんかしたっけ?」

秀吉「ふふ、なんでもないのじゃ♪」


220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 15:49:53.71 ID:Z2b0i8Di0
~三日後・学校にて~

秀吉「おはようなのじゃ」

明久「あ、秀吉。もう身体はいいの?」

秀吉「うむ、もうばっちりじゃ。これも明久のおかげかの」

明久「あはは、そんな大げさな」

秀吉「しかし次からはもう少し、その……優しくしてくれると嬉しいのじゃが」

明久「ん?」

秀吉「おぬしも一生懸命だったのは分かるのじゃが、あれはちと乱暴だったぞい」

明久「秀吉? なにを言って……ぐお!?」

221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 15:51:13.66 ID:Z2b0i8Di0
須川「残念だよ、同士吉井……いや今は掟に背きし反逆者か。立てよ、FFF! これより異端審問会を始める!」 

瑞希「明久君? 秀吉君と何があったんですか?」

美波「アキ? 今なら腕二本ぐらいで済むわよ?」

明久「ちょ、誤解だって! 僕はただ秀吉の看病をしただけだよ!」

雄二「と被告人は言っているが?」

秀吉「………………」

明久「なんでそこで赤くなってもじもじしてるの、秀吉!?」

ムッツリーニ「……有罪確定」

「「「罪には罰を。駄犬に鞭を」」」

明久「い、嫌だぁ! 紐無しバンジーは嫌だぁ──!」

fin.

コメント

No title

うおおおおおおおおおおおお
最高すぎるだろこれは・・・

こういうのもなかなかいいな
これからも楽しみにしています!

No title

すごいこれは腐向けじゃない・・・
二回読んじゃいました

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