スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
初春「……」佐天「どうしたの初春?恋でもした?」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/27(水) 01:52:18.37 ID:c3MmPlBL0 [1/34]
夏休みも終わったばかりの、まだ暑い日のこと。
「ふっふーん。今日はどうやって捲ってみよっかなーー」
何か怪しげな事を呟きながら歩いている少女が一人。
小走りで颯爽と下足場を後にし、向かうは正門。
放課後、遊びに行くため、友人と待ち合わせをしている。
「あっ、いたいた。今日も無防備だねー相変わらず」
「さてさて、アタシのことには気付いてないみたいだし、このまま……」
待ち合わせの相手を視認し、密かな目的を果たそうと忍び足で近寄る。
相手の少女は気付かない。
「……おーまーたーせーーー」
軽快な挨拶と共に、相手の少女のスカートが捲られた。
夏休みも終わったばかりの、まだ暑い日のこと。
「ふっふーん。今日はどうやって捲ってみよっかなーー」
何か怪しげな事を呟きながら歩いている少女が一人。
小走りで颯爽と下足場を後にし、向かうは正門。
放課後、遊びに行くため、友人と待ち合わせをしている。
「あっ、いたいた。今日も無防備だねー相変わらず」
「さてさて、アタシのことには気付いてないみたいだし、このまま……」
待ち合わせの相手を視認し、密かな目的を果たそうと忍び足で近寄る。
相手の少女は気付かない。
「……おーまーたーせーーー」
軽快な挨拶と共に、相手の少女のスカートが捲られた。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/27(水) 01:58:29.37 ID:c3MmPlBL0 [2/34]
「ななな、何するんですか!?佐天さん!!」
佐天「何って、友達がちゃんとパンツはいてるか確認してるだけじゃんか」
佐天「っていうか、初春いい加減に学習しなよ」
スカートを捲くられた被害者の名は『初春飾利』。頭の花飾りが可愛い女の子。
加害者の名は『佐天涙子』。元気が取り柄の女の子。
初春「佐天さんこそ、いい加減にこういうのやめてください!!!」
身体を弾ませながら抗議をする初春だが、当の佐天は全く気にしていない。
佐天「それよりもさ、早く行かなきゃ待ち合わせ遅れちゃうよ」
と、言い終わらないうちに佐天は走り出す。
初春「ちょ、ちょっと待ってください~~」
佐天「ほらほら、急がないと置いてっちゃうぞー」
二人の姿はあっという間に消えていった。
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:02:37.94 ID:c3MmPlBL0
佐天「たしかここで良かったよねーって、初春?」
呼びかけた相手は返事を返さない。息を切らしてその場に座り込んでいる。
初春「さ、佐天さん…………はやすぎ、です」
佐天「いやー、ごめんごめん。遅れちゃうかと思ったから、つい。ね?」
初春「も~、反省してないでしょ佐天さん!!」
佐天「そんなことないない、きちんと反省してますってー。まあベンチでも座って休もっか」
初春「そうですね。……って、ホントにいろいろきちんと反省してください!!!」
そうして、二人はベンチで休みながら待つ事にした。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:07:14.05 ID:c3MmPlBL0
一方その頃。常盤台中学校、正門前では。
「遅いですわね、お姉さま」
ツインテールを可愛らしいリボンで止めた少女が立っている。
待ち人がなかなか来ないことに苛立ちを感じているようだ。
周りを見渡した後、少女は考え込む。
「ひょっとして、お姉さま……黒子のことを喜ばそうと何か計画なされているのでは!?」
「そうですわ、間違いありませんの!!」
「今日のこの日を黒子は……黒子は、どんなに待っていた事か……」
少女は感慨に浸っている。その表情は恍惚そのものだ。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:13:43.94 ID:c3MmPlBL0
「なーに変な顔して立ってんのよ!!」
ツインテールの少女の頭が小突かれる。
「あ、お姉さま!!黒子は待ちわびておりましたのよ~~ん」
言い終わらないうちに抱きつこうとする。
「やっぱり変な事考えてたわね!!!っていきなり抱きつくな!!暑苦しい!!!」
すかさず突っ込みを入れる人物は『御坂美琴』。常盤台中学が誇るレベル5、通称『超電磁砲』。可愛いもの好き。
待っていた少女は『白井黒子』。常盤台中学が誇る(?)『変態』さん。『空間移動』の能力を持っている。
御坂「そんな事よりほら。早く行くわよ!!初春さん達待たせちゃ悪いわ」
白井「お姉さま!!全力疾走なんてはしたないですの。もっとご自身の立場というものを……」
御坂「うるさい!!置いてくわよ!!」
白井「そんな~、待ってくださいまし~~。お姉さま~~」
二人は目的地へと急ぐ。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:20:14.87 ID:c3MmPlBL0
御坂「ふー、何とか着いたわね」
白井「お姉さま……汗びっしょりですの。なんてはしたない……!!ここは黒子が丁寧に全身を拭いてさしあg」
御坂「全力で遠慮しとくわ!!」
付き合いはそう長くは無いが、白井黒子の扱いに御坂美琴は慣れている。この日もそれは変わらない。
白井の企みに御坂が気付かないことは無い。と言ってもいいくらい彼女の行動はお見通しなのだ。
初春「あ、あれ御坂さんと白井さんじゃないですか?」
佐天「えっ、どこどこ?あ、ホントだ」
そんな彼女たちに先ほどの二人が気付く。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:30:17.90 ID:c3MmPlBL0
読んでくださっている皆様ありがとうございます。こんな時間ですがどうぞよろしくお願いします。
今回のSSは前回のパラレルですので、時間等あれば前スレ参照していただければなどと思っております。
ちなみに、そのときのタイトルは
佐天(……とうまセンパイ……かあ。)
です。もしかしたらどこかにあるかと思います
「」検索で引っかからないとの事でしたので、もしかしたらどこにもないかもです。
↓↓↓
佐天「おーーーい。白井さーん!!御坂さーん!!」
声をあげて手を振る佐天涙子に御坂美琴が気付く。
御坂「佐天さん!初春さんも!ほら黒子。行くわよ」
白井「あ、お姉さま。待ってくださいまし~」
二人は急いでベンチへと駆け寄る。
初春「こんにちは、御坂さん。白井さんも」
白井「も。とはなんですの!失礼な。私はお姉さまのp」
御坂「こんなやつほっといて早く行きましょ。二人とも!」
佐天「あはは……いつもどおりですねお二人は……」
出会いの挨拶も儘に、彼女たちは目的地へ歩き始める。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:37:28.69 ID:c3MmPlBL0
その目的地とは最近できた、女の子に人気のカフェだ。
御坂「さーて、着いたわよ!!!」
御坂美琴の声はどこか気合が入っている。
それを見ながら三人がなにやら話している。
初春飾利と佐天涙子は楽しそうに、しかし白井黒子はうんざりしているようだ。
初春「白井さん。御坂さんの目的ってやっぱり」
白井「もしかしなくても、そうだと思いますわ……はぁ」
佐天「まあでも、御坂さんらしいですよね」
三人は視線を同じ方向に向けて話している。その視線の先には
『四人以上で来店のお客様にプチケーキをサービス!!』
それを御坂が目的にしているのなら、彼女も普通の女の子なんだなとほほえましく思うだけだが。その横には
『且つ!!特大パフェを完食された方にもれなく、当店限定ゲ○太マスコットをプレゼント!!!』
と、店の真正面に大きく書いてある。
つまり、御坂美琴の思考は丸分かりなのだ。本人は気付いていないが。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:45:10.74 ID:c3MmPlBL0
席に着いた四人はメニューを確認する。
一通り眺めた後、御坂美琴が話し出す。
御坂「ねえねえ、せっかくだしこの『特大パフェ』っての頼んでみない?」
御坂「いや、別にね私はゲ○太なんて興味はないんだけど、こういうのって一回みんなで食べてみたいって思ってたしさ」
佐天涙子と初春飾利は目を見合わせる。語らずともその視線は物語っている。
初春(どうやって切り出してくるかと思いましたが)
佐天(……直球……だったね)
白井(はあ、こればかりはどうしようもありませんわね。ほんとお姉さまったら)
数分後。
四人のテーブルに特大パフェが運ばれた。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:51:53.87 ID:c3MmPlBL0
白井「さ、さすがに『特大』というだけのことはありましたわね」
佐天「ほんとうですね……アタシ、この先一ヵ月はパフェいりません……」
初春「私もです……」
胸焼けを抑えながら三人は語る。
それを尻目に御坂美琴の瞳は輝いている。
御坂「お客さんいっぱい待ってるし、そろそろ会計すましちゃおっか?」
佐天「そうですね……出ましょう」
初春「はい」
白井「ですわね」
そんなに早くゲ○太が欲しいのか?三人は胃からむせ返る甘さにふらふらしながら考えていた。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:02:30.67 ID:c3MmPlBL0
レジ「ありがとうございました。またお越しください。それとこれ、景品のオリジナルマスコットです」
御坂「えっ!こんなのもらえるんですか!?」
その台詞はわざとらしさで溢れている。わざとらし過ぎて店員も苦笑いだ。
御坂「うーん……こんなのもらってもみんな困っちゃうわよね?」
御坂「だからここは仕方ないから私がもらt」
佐天「アタシ欲しいです!!!!!!」
御坂美琴が目的を達成しようとした、まさにその瞬間。思わぬ横槍が入る。
レジ「あ、はい。どうぞ」
佐天「わーい、ありがとうございます!!!」
してやったり。佐天涙子の目は怪しい輝きを放っていた。
そして、御坂美琴はその場に崩れた。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:09:50.03 ID:c3MmPlBL0
佐天「もー、欲しいんなら最初からそういってくださいよ」
初春「別に誰も馬鹿になんてしませんって」
白井「そうですわよ、私みたいに自分の欲望には従うべきですわよ」
御坂「うーー。ってか黒子!!アンタは欲望に正直すぎんのよ!!」
佐天涙子がマスコットを得た直後。御坂美琴からは精気が抜けていた。
何を言っても、反応がなく。見かねた佐天がマスコットを譲ることを提案し今に至る。
御坂「それにしても。やっぱりかわいーーーー」
本当はこれは彼女の。彼女だけの心の声なのだが、興奮しすぎて口に出てしまう。
「なんだおまえ。そういうのが好みだったのかよ?」
それを聞いていた少年がいた。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:18:06.90 ID:c3MmPlBL0
御坂「あ、アンタは!!」
少年はさらに近づき、声をかける。
「常盤台のエースって言っても、ホントはまだお子ちゃまだったって事か」
その少年の名は『上条当麻』。その右手に異能の力を打ち消す『幻想殺し』を携えている高校生だ。
白井「そうなんですの。全く困ったものですわ……ってなんで私貴方みたいな類人猿に話しかけているのでしょう!!!」
白井「お姉さまの傍から早く立ち去りなさいな!!」
上条「会ってそうそうそれかよ!!」
すごい剣幕で話す白井黒子を尻目に御坂美琴は何もいわない。
というより恥ずかしさで何もいえない。
御坂「ここここ、これ。本当は私のじゃないのよ」
御坂「そうそう、これは初春さんのなんだから!!ね、初春さん!!!」
恥ずかしさを押し殺し、やっとの発言。
どう考えても嘘。彼女以外の三人はもちろん、上条当麻でさえもはっきり分かった。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:30:39.92 ID:c3MmPlBL0
御坂「ちょっと見せてもらってただけだもんね!!!」
初春「えっ!!ええっ??」
初春飾利は突然の出来事に驚く。
御坂「じゃあコレ、返すからね。初春さん!!」
そう言ってマスコット人形を無理矢理初春に渡そうとする御坂美琴。
だが、その渡す力は恥ずかしさのあまり、強い。
そして、それを受け取った初春も、突然のことに驚いていた事もあったためバランスを崩す。
初春「ちょ、ちょっと御坂さ!!」
初春の身体が傾く。
佐天「初春!!!あぶないっ!!」
佐天涙子があわてて初春を支えようとするものの、間に合わない。
白井「初春!!くっ!!間に合いませんわ」
白井黒子も駆け寄ろうとするもの、届きそうに無い。
このとき、白井の『空間移動』は役に立たなかった。自分の触れたものにしかその能力は有効でない為だ。
自分自身を移動させたとしても、慌てて座標が狂ってしまうことを考えると、能力を使うことは選択できなかった。
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:40:06.89 ID:c3MmPlBL0
初春「!!!」
床に衝突してしまう!!誰もがそう思った。
しかし、次の瞬間。初春飾利はその身体を傷つける事なく、地面に横たわっていた。
正確には地面ではなく、とある人物の胸と腕の間にしっかり抱かれ、その身を任せていた。
上条「ったく!!危ねえじゃねえか!!」
上条「おい、御坂!!聞いてんのか?」
初春の身体を支え、ゆっくりと立ち上がりながら上条当麻は言う。
野球のダイビングキャッチばりに初春飾利の身体を受け止めた彼の身体は傷だらけだった。
御坂「……ご、ごめんなさい……初春さん大丈夫?」
初春「わわ、私は大丈夫です!!私よりも……」
初春は上条の傷に気付き、申し訳なさそうに俯く。
上条「初春さんってたっけ?怪我がなくてよかったぜ」
上条「ってかよ、俺は大丈夫だって、こんなの日常茶飯事だしさ!!不本意ながら……」
上条「おっと、特売の時間じゃねえか!!じゃあな」
颯爽と上条当麻は去っていった。彼にとっては先程の傷など本当になんでもないようだ。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:46:01.26 ID:c3MmPlBL0
御坂「初春さん!!ホントにごめんなさい」
初春「……本当に大丈夫ですから……気にしないでください……」
白井「それにしても、驚きましたわ。お姉さま、きちんと反省してくださいませ!!」
佐天「ホントです。御坂さんが素直じゃないのがいけないんですからね!!」
四人は今あった出来事を確認しながら、初春が無事であったことに喜ぶ。
気付くと、時間はかなり進んでいた。
白井「お姉さま、そろそろ帰りませんと、寮監がうるさいですわよ」
御坂「そうね黒子。帰りま……あ、あの、初春さん」
初春「…………え?なんですか……あ、コレですね。はいどうぞ……」
騒動の原因だったゲ○太を初春が手渡すと、御坂と白井は帰路についた。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:50:34.63 ID:c3MmPlBL0
急に二人だけになった佐天涙子と初春飾利。
佐天「それにしてもホントびっくりしたねー」
佐天「でもでも、初春にケガがなくてよかったよ」
佐天「ねー、初春?」
佐天涙子の呼びかけに初春飾利は反応しない。
佐天「初春ってばー!?」
初春「…………」
初春飾利は少年の向かった先を、ただじっと見つめている。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:58:01.05 ID:c3MmPlBL0
初春「……」
佐天「……」
沈黙が続き、時が流れる。
佐天(これは、まさか)
疑問を持った佐天涙子が問いかける。
佐天「ねえ?」
初春「……」
佐天「どうしたの初春?恋でもした?」
初春「っ!!!」
佐天「……図星!?」
四人の少女と一人の少年が出会う時、物語は再び始まる!!!
プロローグ
終わり。
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:08:06.19 ID:c3MmPlBL0
モノローグ1
(なんなんでしょう、これは?)
初春飾利は驚いていた。
(今日はいろいろあったし、あんなこともあったから)
(まだドキドキがおさまらないのかな?)
(うん、きっとそれだけです!)
(明日になったら治りますよね)
(それにしても佐天さん……)
(あんなこと聞かれるとは思いませんでした)
(とっさにごまかしちゃったけど)
(私が恋?)
(そんなことないですよ、きっと……)
(でも、なんだろう?これ)
(胸が痛くて、熱い……)
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:14:47.30 ID:c3MmPlBL0
第一部 (思いと想い)
御坂美琴は考え込んでいる。内容は昨日の出来事だ。
上条当麻が初春飾利を抱きかかえるように助けた場面が頭をよぎる。
御坂(なによアイツ。かっこつけちゃって)
御坂(私が悪かったのは分かってるけど、なんか思い出したら腹が立つっていうか)
考えれば考えるだけ、感情がどんどん高ぶっていく。
御坂「一体なんなのよ!この気持ちは!!!」
白井「嫉妬ではありませんの?」
御坂「私が嫉妬!?初春さんに?まさかぁ……でも……。って黒子!?なんであんたが?」
白井「何でって?ここは私達の部屋で、私達はルームメイトではありませんの」
御坂「そういうことじゃなくて!!人の考えてることが何で分かるのよ?アンタは」
白井「……思いっきり声に出しておられましたが……お姉さま」
白井「突っ込んだ方がよろしかったのでしょうか?」
またまた、御坂美琴の思考は漏れ出していた。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:21:28.52 ID:c3MmPlBL0
白井「それにしても……」
少し考えてから白井黒子は続ける。
白井「お姉さま、まさか本当に昨日の事で初春に嫉妬されているのですの?」
御坂「いやいや、そんなことないから!!」
御坂「私が何で初春さんに……ううん、それ以上にアイツとはなんでもないんだから」
顔を真っ赤にしながら答える御坂美琴を、じとりと見つめながら白井は言う。
白井「……ほんとうですの?ならよいのですが……」
前から目の前の『お姉さま』があの『類人猿』と多少の付き合いがあることは承知していたが、
今日の御坂美琴の態度を見るあたり、彼らの仲が自分の知らないところで進展している可能性も否定できない。
白井(このままでは私のお姉さまが……お姉さまが……)
白井(なにか、手を打つ必要がありますわね)
白井黒子は危惧を抱き、同時にそれを打ち消すため模索を始める。
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:29:13.27 ID:c3MmPlBL0
一方。佐天涙子は柵川中学校正門前に立っていた。
佐天「おっそいなー。初春……」
いつもは彼女が待たせる側なのだが、
今日は初春飾利が日直担当だったので立場が逆になっている。
佐天「あんまり待たせると、こっちも考えちゃうぞ」
佐天涙子の考えていることは、
(今日のパンツは何色かな?)とか(どうやって捲ろうかな?)など不純なものが多い。
だが、今日は少し違うことも考える。
佐天(昨日はごまかされちゃったけど……)
佐天(あやしすぎる……よね)
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:39:00.77 ID:c3MmPlBL0
初春「お待たせしました。佐天さん!!」
佐天涙子が思考している最中、初春飾利があらわれた。
佐天「わ?初春、びっくりしたー!!遅いよー」
初春「もしかして佐天さん気付いてなかったんですか?」
佐天「いや、ちょっと考え事しててね」
初春「へぇ~、佐天さんが……珍しいですね!!」
佐天「それどういう意味?」
初春「いえ、たいした意味じゃありません。って、」
初春「今私、日ごろの恨みを返すチャンスを棒に振ってしまいました!!」
初春「佐天さんのスカート捲ればよかったです!!!」
悔しそうに語る初春。その隙を佐天は見逃さなかった。
佐天「百年早い!!えいっ!!」
白と青のストライプ。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:44:29.96 ID:c3MmPlBL0
初春「!!!佐天さん!!!」
とっさにスカートを抑えるが、遅すぎる。
真っ赤になり怒りを露にする初春飾利。
佐天「さあさあ、早く行かなきゃ、間に合わないぞっ!」
佐天涙子はそんな初春の事など構わず走り出す。
初春「ちょ、ちょっと待ってください佐天さん!!」
そんな今日の二人の目的地は、映画館だ。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:54:12.43 ID:c3MmPlBL0
初春「今日は何が見たいんでしたっけ?」
佐天「あれだよ?初春っ!!」
佐天涙子の指差す先にはポスターが一枚。
それは、今若い世代に大人気の恋愛映画だ。
初春「コテコテの恋愛物って噂のあれですね」
佐天「そうそう、見るなら今日は良いタイミングだしね」
初春「良いタイミング?ですか?」
佐天「いやいやー、こっちの話。さあ入ろっ」
つい思っていた事が出てしまい焦るが、ごまかすことに成功し佐天涙子は思う。
佐天(これで見極めてやるんだからっ。覚悟しなさいよ初春!!)
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:02:34.58 ID:c3MmPlBL0
館内に入ったものの、さすが人気があるだけあって人で溢れている。
さらには客層に特徴があった。
どこを見てもカップル、アベック、恋人、彼氏彼女……等々。
呼び方はいろいろあるが、ようは男女のペアばかりだ。
女の子だけで見に来ている二人は少し浮いているような気がした。
初春「なんだか少し、場違いな空気がありますねぇ~」
佐天「なによ初春!!アタシより他の男と来たかったの?」
初春「そっそそ、そんなことないです!!ただちょっと場違いかなって思っただけで」
佐天「ほんとかなー?あやしいぞー?」
初春「からかうのはやめてください!!もうっ!!」
そんなこんなしているうちに上映時間になり、彼女たちはシアターに入っていった。
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:11:10.73 ID:c3MmPlBL0
佐天「……なんだか、すごかったね……」
初春「……はい……」
その映画は前評判があるだけのこともあり、内容も流石。というものだった。
各種様々な要素の詰まったラブロマンスであったために、
中学一年生という多感な少女達の心に深く響いていた。
佐天「でもさ、あんな運命的な出会いとか、感動的な別れとか」
佐天「映画の中だけって感じで、ちょっと現実的じゃなかったよねー」
初春「そうですね~、でもなんだか少しあこがれちゃいました~」
二人は映画館から出て、近くのカフェで話している。
初春「ロマンチックでしたね~~」
思い出しながら呆けている初春飾利。
そこに佐天涙子が思い切って切り出す。
佐天「あこがれるも何も。何言ってるの初春!!初春はもう、運命的に出会ってるじゃんか!?」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:20:40.84 ID:c3MmPlBL0
初春「え!?……え、あ……そそそ。って。からかわないでください!!!」
初春「私にいつそんなことがあったっていうんですか!!」
佐天「いや、昨日。御坂さんたちとあの公園で」
佐天「覚えてないとは言わせない!」
攻撃的な佐天涙子の口調に初春飾利は戸惑いながら答える。
初春「あ、あああれはただ……助けてもらっただけで……別に何でもあり……ありませんよ!!!」
明らかに動揺している口調にさらに佐天は攻勢を増す。
佐天「じゃあその動揺はなんなのよ!初春のことなんてアタシは全部お見通しなんだから」
佐天「隠しても無駄だよっ!!」
初春「だだ、だから、何も隠してなんて無いですって!!」
佐天「いーや!嘘ついてもだめ!顔に出てるんだから!!!」
佐天「あの人のこと。気になってるんでしょ!!??」
佐天涙子は核心にせまる。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:30:03.98 ID:c3MmPlBL0
初春「…………」
佐天「その沈黙が何よりの証拠だね」
初春「ちちちち、違います!そんなこと……ありません!!」
初春「佐天さんの思い違いですよ!!!」
自分に向けられた疑惑を必死に否定する初春飾利。
佐天「ほんとに?」
初春「ほんとです!!!」
沈黙が時を支配する。そして数秒後。
佐天「なーんだ……せっかく協力してあげよっかなって思ってたのにな……」
初春「えっ!?」
佐天「いやね、初春がマジで気になってるんだったら協力しようと思ってたの」
佐天「白井さん達の知り合いみたいだったしさ」
佐天「でも。思い違いだったかー。アタシとしたことが……」
佐天(さあ、どう出る!?初春!?)
佐天涙子はその言葉に策を巡らせ、発する。
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:40:15.63 ID:c3MmPlBL0
佐天「なんだなんだ、アタシの勘違いかー」
佐天「じゃあそろそろ時間も遅いし、帰ろっか?」
初春「……」
佐天「どーしたの初春!?帰るよ!!」
初春「……」
初春飾利は返事をしない。
佐天(もう一押し、かな?)
佐天「じゃあ、アタシ先に帰ろっと」
彼女が席を立とうとしたとき、初春飾利はようやくその口を開く。
初春「……あ、あの!!さっきの話……本当ですか!?」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:51:31.52 ID:c3MmPlBL0 [34/34]
佐天「さっきの話って、なになに?」
佐天涙子はニヤニヤしながら答える。
初春「そ、その……」
初春「きょ、協力してくれるっていう……こと。なんですけど……」
恥ずかしさでいっぱいになりながらも、初春飾利は言葉を繋げた。
佐天「ってことは。初春やっぱりあの人の事、気になってたんだ!!!」
初春「っ!!!」
途端に初春の顔がさらに赤くなる。それは、頭の花飾りもびっくりの鮮やかさ。
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 00:02:52.25 ID:34ymcP4X0 [1/12]
佐天「だったら最初からそういえば良いのに、初春ったら恥ずかしがっちゃって!!」
やはり佐天涙子はニヤニヤしながら話す。
初春「そんな風に話されたら、からかわれてるんだって思っちゃいますよ!!!」
初春「もうっ!!人の気も知らないで……」
初春飾利は目の前の佐天の態度に、ほほを膨らまし拗ねる。
佐天「人の気も知らないでって言うけどさ……」
佐天「初春は自分の気持ち分かってた!?」
さっきまでの顔立ちとは打って変わった真面目な顔で、佐天涙子は語る。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 00:11:56.70 ID:34ymcP4X0 [2/12]
佐天「昨日、あれから帰るまでの間。それから今日学校でも……」
佐天「初春なんかいつもと違ってた」
佐天「何があったんだろって考えたらさ、昨日のあれが思い浮かんだんだ」
佐天「アタシも最初は疑問だったよ。まさか初春が!?って思ったし」
佐天「からかいながら確かめるくらいしかアタシにはできなかったけど」
佐天「今日いろいろ話してさ、やっぱしそうなんだ。って確信できた」
佐天「でも、初春は自分の気持ち隠したままだし……そりゃ、恥ずかしいと思うよ。でもね!!」
佐天「自分の気持ちと向き合って、自分の気持ちを知らなきゃ、何も始まらない!!」
佐天「もしまだそれが怖いって言うのなら、そんな恐怖はアタシがぶち壊してみせるから!!」
佐天「だから、初春には自分自身と向き合って欲しいの!!!」
目の前の親友を思っての行動だった。それを偽りの無い言葉で佐天涙子は伝える。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 00:20:38.95 ID:34ymcP4X0 [3/12]
初春「……佐天さん……」
佐天「……初春……」
二人は見つめあい、お互いの友情を確認している。
真面目な表情だった二人が笑顔に戻る。そして
初春「ありがとうございます!!私がんばってみます!!」
初春「っていうか、佐天さんがそこまで考えてるなんて思わなかったんで驚きました……けど」
佐天「……けど?」
初春「……やっぱり少しはからかってるんじゃないですか!!!!ほら今もニヤニヤしてますし!!」
佐天「え?これはちょっと、そういう意味のニヤニヤじゃ……って、ご、ごめんごめん」
初春「もうっ!!佐天さん!!!」
佐天「ごめんごめん!!でもね初春」
謝りながら佐天涙子は続ける。
佐天「協力するってのはホントだよ」
佐天「だって、大事な親友のことだもん!!!」
第一部 (思いと想い)
終わり
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:10:25.99 ID:34ymcP4X0 [7/12]
モノローグ2
(最初は、からかってるだけかと思いましたけど)
(佐天さん……)
(協力してくれるんだ!!)
(佐天さんが味方なら)
(こんなにも心強いことはないです!!)
(恋……なんてはじめてだけど)
(わたし、自分の気持ちと向き合ってみたいとおもいます)
(佐天さん……)
(ありがとう)
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:21:03.27 ID:34ymcP4X0 [8/12]
第二部 (交)
佐天「さてさて、じゃあまずはどうしよっか?」
初春「って、佐天さん。まさか何も考えずに『協力する』なんて言ったんですか?」
佐天涙子と初春飾利が話しているのは、先程のカフェだ。
せっかくその気になったのだから、今日は遅くなっても今後のことを話そうと佐天が提案した。
しかし、あんまり話は進んでいなかった。
佐天「まさかまさか。そんなことないって……」
初春「…………」
佐天「う、視線が冷たいよ。初春……まあまあ、白井さんたちに相談するのは明日で良いとしてー」
佐天「じゃあ、ここはアタシの恋愛話でも参考にしてもらおっかな?」
124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:32:04.20 ID:34ymcP4X0 [9/12]
初春「佐天さんの……恋愛話……?」
佐天「そうそう!!人生の先輩として、ためになる話を初春にしてあげよー!!」
初春「先輩って……私と同い年じゃないですか」
自信満々の佐天涙子の態度に、思わず苦笑いをする初春飾利。
初春「でも、佐天さんにもそんな経験あったんですね!?なんだか興味あります!!」
佐天「何気に傷つくこというね、キミは」
佐天「まあいいさ。えっと、あれはねーアタシがt……」
どんな話が始まるのだろうと楽しみに待っているが、佐天の弁は進まない。
佐天「えっと……あれは……???おかしいなあー」
初春「????」
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:38:33.11 ID:34ymcP4X0 [10/12]
佐天涙子はさっきから話し始めようとするものの、唸ってばかりでその話は始まらない。
初春「もしかして佐天さん……?」
初春「恋愛話があるなんて、見栄はったんですか???」
いやらしい目つきで佐天を見つめる初春に慌てて答える。
佐天「み、見栄なんかじゃないって!!」
佐天「でもおかしいなー。ど忘れしちゃったみたい……」
佐天「また今度話すよ。ごめんね期待させちゃって」
初春「まあいいですよ。それより今日はもうかなり遅くなっちゃったんで帰りましょう」
佐天「だね。明日は初春の将来に関わる大事な話しないといけないしね!!」
初春「しょしょ、将来だなんて……そんなこと……」
佐天「赤くなっちゃって何考えてんのよ!?このえろ春っ!!」
初春「佐天さんのばか!!もう一人で帰っちゃいます!!!」
佐天「あ、待ってよー」
すっかり暗くなった夜の道を、こうして二人は帰っていった。
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:47:54.17 ID:34ymcP4X0 [11/12]
そして翌日。
白井「佐天さんから呼び出し、というのもなんだか珍しいですわね。ねえお姉さま?」
御坂「そうねー、黒子。用事って事だけど、買い物かしら?それとも新しいお店ができたから一緒に?ってとこかな」
白井「なんにしても、せっかくの非番の日で……お姉さまと愛を育むチャンスでしたのに、残念ですわ」
御坂「はいはい、そうね」
二人は佐天涙子から急に呼び出され、その意図をそれぞれに想像していた。
待ち合わせの公園に着くと、既に佐天涙子と初春飾利が待っていた。
佐天「あっ!きたきたーー。さてっ、行きますか!初春!!」
初春「ううぅ、はい……」
いつもどおり元気いっぱいの佐天に比べ、初春はどこかぎこちない、ガチガチに緊張している。
佐天はその姿をニヤニヤしながら見守り、一緒に二人の元へと駆ける。
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:51:52.24 ID:34ymcP4X0 [12/12]
御坂「それで、用事って一体なんなの、佐天さん?」
佐天「それなんですけど、立ち話もなんですしちょっとお茶でもしながら話しませんか?」
白井「そうですわね、外にいるのはまだまだ暑いですしね」
初春「で、ですね~溶けちゃいそうです」
四人はまだまだ暑い夏の日差しを浴びながら、一番近いカフェに向かって歩みを進める。
道中。初春飾利は佐天涙子にこそこそと話をしている。
初春「私が話しを切り出しますから、佐天さんは余計なこと言わないでくださいね!!」
佐天「りょーかいりょーかい。がんばってね、初春!!」
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:04:39.18 ID:qVOGKTwJ0 [1/20]
カフェに着くや否や、四人は颯爽と席に座る。
外と隔離され冷房がよく効いた店内は楽園そのものだ。
各々が飲み物を注文し終わった時。
白井「さて、さっそくですけども用というのは一体なんですの?」
佐天「それについては、初春のほうから説明がありますのでー。ねっ、初春」
御坂「初春さんが?何か相談でもあるの?」
初春「は、はいっ!!そそそ、そうなんですけど……あの、ですね~」
初春「……え~っと……」
口ごもって話が進まない。それに白井黒子は腹を立てる。
白井「はっきりしませんわね初春!!くだらない用件なら私達すぐに帰りますわよ」
白井「その後はもちろん~、お姉さまと二人っきりのデートが待っておりますので~。ですから……」
御坂「そんなことないから初春さん。ゆっくり話してくれて構わないわよ」
白井の言葉を打ち消すように、御坂美琴は優しく初春に促す。
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:09:22.34 ID:qVOGKTwJ0 [2/20]
初春「えっと、ですね。ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
初春「……おとといの人って、お二人のお知り合いなんですか!?」
白井・御坂「……」
佐天「ちょっと初春。それじゃあ質問の意味が二人に分からないって」
佐天「初春が言っているのはですねー」
初春飾利の唐突過ぎる疑問を補足しようと、佐天涙子がたまらず口を挟む。
だが、言い終わらないうちに答えは返ってきた。
白井「あの類人猿のことですの?」
御坂「アイツがどうかしたの?」
しかも、それは同時だった。
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:12:50.84 ID:qVOGKTwJ0 [3/20]
初春「よかったら、えっと……あの人のこと少し教えて欲しいんですけど……」
白井「あの類人猿のことを知りたいんですの?」
御坂「それにしても、どうしてそんなことを?」
初春「え?そ、そのですね……助けてもらった相手のことくらいは知っておこうかと思いまして。あはは……」
そんな三人を尻目に佐天涙子は少し考え込み、話に加わる。
佐天「それにしても、今の初春の取り留めの無い質問で誰のことか分かるなんて」
佐天「お二人もあの人に興味あるんですか??」
その言葉に一瞬時が止まる。
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:17:45.99 ID:qVOGKTwJ0 [4/20]
白井「まさか、私が興味あるのはお姉さまだけですの!!」
御坂「わわわ、私もアイツに興味なんて……ないんだから!!」
白井(この反応……やはりまる分かりですの)
御坂美琴は何かを考え、赤面。
それを見た白井黒子は昨日抱いた危惧について、再考していた。
何かしないといけない。だが、そうはいっても何をすればよいのか?なにができるか?
なかなか答えが出ない問題だ。
一方。
初春「佐天さん!!!『も』なんていったらばれちゃうじゃないですか!!!」
佐天「ごめんごめんー。ん?でも、カミングアウトしないつもりなの?」
初春「佐天さんの言い方はいきなりすぎるんですよ!!!!」
こちらの二人は、こそこそ話。
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:25:19.06 ID:qVOGKTwJ0 [5/20]
白井「それにしても『興味』ということは、もしかして初春……」
初春「…………」
初春飾利はこくり、と無言で頷く。
その様子を佐天涙子は優しく見つめている。
『アイツ』のことを考え思考が飛んでいた御坂美琴だが、そんな三人のやり取りに気付き。
御坂「えっ!?ええ?それってまさか初春さんがアイツのことを!?」
佐天「御坂さんも人が悪いなー。いちいち言わせたら初春、恥ずかしさで爆発しちゃいますよー」
佐天は笑いながら言うが、当の初春は顔も真っ赤で本当に爆発しかねないような状態だった。
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:32:44.11 ID:qVOGKTwJ0 [6/20]
白井(ほほう、まさか初春が恋心を抱くなんて)
白井(珍しいこともあるものですわね……それにしても……)
白井黒子は同僚の想いを知り、驚きと共に思考する。
その内容は述べるまでもない。
御坂(どどど、どーすんのよーー!!)
御坂(まさか初春さんがアイツのこと好きになるなんて……)
御坂美琴もまた、驚きを隠せない。
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:43:00.57 ID:qVOGKTwJ0 [7/20]
御坂「へ、へーーそうなんだ。ガンバッテネ初春さん」
白井「そうですわ。私も全っっっ力で協力しますの!!」
二人は応援の言葉をかけるが、
方や半分精気が抜けたようで、しかも片言。
方やものすごい勢いでのエール。
そんな様子に気づかない初春飾利は照れながら、
初春「あ、ありがとうございます」
と、お礼を言う。
たが、佐天涙子は二人の心の中を察したようにニヤリと笑った。
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:50:47.69 ID:qVOGKTwJ0 [8/20]
その頃。
上条「へーーーっくしっ!!」
大きなくしゃみをする上条当麻。
誰か噂でもしてるのだろうか、
可愛い女の子の話題に挙がってたらいいなあ。
などど考える横で、
イン?「うわっ汚いんだよとうま」
イン?「デリカシーも何もあったものじゃないんだよ」
イン?「ついでにおなかが空いたんだよ」
居候のシスターが叫ぶ。
上条「…………」
まさか本当に女の子達の話題になっているとは、考えてもいない。
第二部 (交)
終わり
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:14:22.81 ID:qVOGKTwJ0 [12/20]
モノローグ3
(今日はなんだか恥ずかしかったです)
(自分の気持ちに素直に……)
(っていっても)
(それを周りの人に知られるのはやっぱり恥ずかしい)
(でも)
(白井さんにも、御坂さんにも話せてよかった)
(この先、どうなるのかな?)
(楽しみだけど、ちょっと不安)
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:19:56.62 ID:qVOGKTwJ0 [13/20]
第三部 (再会)
数日後。
初春飾利は『風紀委員』の仕事で街をパトロールしていた。
白井「今日は珍しく何もないですわね、いつもこのようならよいのですが」
白井「ただ、何も無いのも暇なものですわね」
その横には白井黒子も居て、日ごろの任務につい愚痴をこぼす。
初春「でも、私達が暇なのって良いことですよね」
初春「それだけ街は平和ってことですし」
白井「そうですわね、最近まで事件続きでしたから」
白井「それが当たり前のように勘違いしていましたわ」
『友人』としての彼女たちは、ふざけあったりフランクな付き合いをしているが、
『風紀委員の同僚』としての彼女たちは普段とはうって変わってすごく真面目だ。
そろそろ、完全下校時刻。
彼女たちの仕事も終わる。
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:24:44.51 ID:qVOGKTwJ0 [14/20]
白井「さて、そろそろ今日は帰るといたしましょうか」
初春「そうですね~。ふう、私ちょっと疲れちゃいました」
白井「全く。訓練が足りないせいですわよ!!」
白井は先輩として厳しい言葉をかけるが、理解している。
初春は初春で自分の活躍できる分野できちんと仕事をしていることを。
白井「ですが、たまには少し休んでから帰るとしましょうか」
初春「わ~珍しく白井さんが優しいです。変な感じがしますね」
白井「やっぱり即効帰りましょうかしら」
初春「冗談ですって~」
じゃれあいながら相談し、結局二人は近くの公園で休むことにした。
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:29:10.32 ID:qVOGKTwJ0 [15/20]
日が傾きだすと少しは涼しくなるが、それでも暑いことに変わりは無い。
冷たいジュース片手に
白井「それにしても、初春がまさか殿方に興味を抱くなんて、驚きましたわ」
初春「っ!!!と、突然なに言うんですか!?」
急に話をふられた初春はジュースを噴きそうになりながら答える。
初春「……自分でもよく分からないですけど……うぅ、なんか恥ずかしい」
白井「恥ずかしがっていてばかりでは何も変わりませんわよ。」
白井が気付く。
白井「ほら。噂をすればなんとやら。正面を御覧なさい」
初春は恥ずかしがって俯いていたが、白井の言葉に顔を上げる。
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:35:08.58 ID:qVOGKTwJ0 [16/20]
そこには、初春飾利の『気になるあの人』こと、『上条当麻』がいた。
彼はこちらに気付いていないようだが、どんどん近づいてくる。
初春「!!!どどど、どうしましょう!!白井さん!!」
白井「どうするもこうするも。まずは落ち着きなさい!!!」
完全に動揺してしまっている初春をなんとかなだめる白井。
白井「さあさ、初春。この偶然をチャンスに変えない手はございませんわ」
初春「そんな事いわれても~!!急すぎて心の準備ができてません!!」
白井「もう、仕方が無いですわね。ではここは私が……」
硬直している初春を見かね、白井が行動を起こそうとするが、それより先に上条が彼女たちに気付く。
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:41:00.50 ID:qVOGKTwJ0 [17/20]
上条「お、白井じゃねーか!!それと、隣に居るのは初春さん……だっけ?」
白井「あらあら、上条さんではございませんの」
初春「こ、こんにちは……ここ、この間はありがとうございました!!」
三人は挨拶を済ませる。若干一名ほど、所作がぎこちない人物が居たが上条は気付かない。
上条「いいって、気にすんなよ。あれから身体に異常は無いか?」
上条「どっかぶつけてたかも、て思ってたから少し心配だったんだけど」
上条が自分のことを心配してくれていた事に自然と笑みがこぼれる初春。
初春「はい。おかげさまでなんともありません!!」
白井(身体に異常はなくても心を乱しておりますのよ初春は。貴方のせいで!!)
白井(もっとも。私にとって好都合ではありますが……)
その横で白井は友人のことと、自分の欲望について同時に考える。
白井(この機会を活かさなくては……そうですわ!!!)
184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:46:32.37 ID:qVOGKTwJ0 [18/20]
上条「じゃあ、またな」
暫しの雑談を終え、帰ろうとする上条を白井が呼び止める。
白井「ちょっとお待ちなさいな。せっかくですし、少しご一緒しませんこと?」
上条「……遠慮しとくぜ」
ほとんど即答だった。
白井も初春も、ぽかーんとしているところに彼の言葉が続く。
上条「どうせお前のことだから、『お姉さまのため』とか言って俺になんかするつもりだろ?」
ギクッと白井は身を震わせる。横から初春の視線が突き刺さって、痛い。
上条「だからもう帰るわ。じゃあなー」
彼の言葉に悪意は無い。ただ自分の身を守ろうというだけだ。
そして再び去ろうとする。
185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:52:23.47 ID:qVOGKTwJ0 [19/20]
初春「ま、待ってください!!」
今度は、初春が上条を引き止める。
精一杯の勇気を振り絞って言う初春。
少し俯きながら言っているので、上条のほうからは頭の花飾りしか見えない。
上条「えっ?」
初春「お、お礼をさせてください!!ジュースおごりますからっ!!!」
上条は目の前の花飾りの少女と白井との間で何度か視線を行き来させて
上条「じゃあ少しだけ付き合うぜ」
そうして上条は彼女たちと同じベンチへと腰掛ける。
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:59:34.31 ID:qVOGKTwJ0 [20/20]
その公園には沢山のベンチがあるが、今使われているのはその内の一つだけだ。
とある男子学生、ツインテールの少女、花飾りをした少女の三人が順に座っている。
白井(失敗してしまったかと思いましたが、ナイスですわ初春!!)
普段の行動から白井は上条に警戒されていたが、初春の勇気を持ったフォローにより助けられた。
上条が席についてから、初春は彼になにを飲みたいのか尋ね、そして買ってきた。
三人はそれから雑談を楽しんでいる。
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:08:14.29 ID:FeKbxx610 [1/17]
しかし、上条がまだ半分も飲み終えないくらいで
白井(二人っきりにしてさしあげますから、初春!!頑張りなさいな!!!)
白井(色仕掛けでもなんでも。うっふっふーー)
白井「あっ、わ、私急に用事を思い付きましたの!!では、失礼しますわ」
と、急に思いついた白井が帰ろうとする。
初春「あ、じゃあ私も」
白井「初春はもう少し休んでから帰りなさいな、上条さんまだ飲み終わっていませんし」
白井「中途半端なお礼は失礼ですわよ」
上条「い、いや俺は別に気にしな……」
白井はそんな二人の意見も聞かずにすぐさま『空間移動』の能力を使用し消えてしまった。
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:14:49.47 ID:FeKbxx610 [2/17]
公園には、二人だけが残される。
上条「……」
初春「……」
さっきまでの雑談は、主に白井が共通の知り合いとして話を二人に振っていたからできていたことだ。
だがもう白井はいない。
普段の上条なら、別に女の子と話すくらいで緊張することは無いのだが、
横の少女の様子がなんだかおかしいので自分までそれに巻き込まれていた。
上条(なんだってんだよー。なんか俺また変なことに巻き込まれてる?)
同じく初春も考えていた。
初春(う~、白井さん。いきなり帰っちゃうなんてひどいです……)
初春(何話したらいいんでしょう……?)
二人はジュースを飲み、また考える。
数秒後。痺れが切れた上条が不意に話し出す
上条「あのさ、その……飾利!!可愛いぜ!!」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:17:56.03 ID:FeKbxx610 [3/17]
その言葉は初春の心に、きゅんと突き刺さったかと思うと、
次の瞬間。それは大津波を起こし彼女の心を乱していく。
初春(え!?えぇえぇえぇえぇえぇえぇええ~~)
初春(な、なになに。なんなんですか~~)
初春(いきなり『可愛い』だなんて)
混乱は止まらない。
初春(それに『飾利』って……いきなりの呼び捨てですか~~)
ここで、彼女は気付く。
初春(あれ?そういえば……)
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:25:06.70 ID:FeKbxx610 [4/17]
初春(私、改めて自己紹介もしてないのに)
初春(なんで『飾利』って知ってるんだろう?)
疑問が頭の中で浮かび、考えが巡る。
初春(まさか……)
初春(まさかまさか……)
初春(まさかまさかまさか……)
初春(!!!!)
ようやく結論が出た。
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:31:23.33 ID:FeKbxx610 [5/17]
初春が出した結論。それは
初春(聞き間違い……!?)
それに気付いた初春は顔を一気に染め上げる。
実際に上条が言った言葉。真実はこうだ
『その花飾り、よく似合ってるぜ』
だが初春は
『花飾り』→『飾り』→『飾利』。
『似合ってるぜ』→『良いぜ』→『可愛いぜ』。
と、緊張のあまり壮大に聞き間違えてしまったのだ。
というか、もはや聞き間違いというより勘違い。
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:37:49.71 ID:FeKbxx610 [6/17]
上条(……なんかまずい事いったかな?)
初春が聞き間違いに気付くまでの間、彼もまた考えていた。
理由は分からないが横の少女の様子がどこか変だから、自分もそれに飲まれた。
いつもなら女の子の容姿をほめたりなどしないのに、そういうことを言ってしまった。
だから、余計気を悪くして、何も言ってくれないんだ。
そのように自己嫌悪していた。
上条(どうしたもんかな?)
そう思っていると、少女がやっと話し出す。
196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:43:22.25 ID:FeKbxx610 [7/17]
初春「あ、あの!!ありがとうございます」
上条「お、おう」
お互いがなんだがぎこちない。そしてまた沈黙する。
上条(こういうときは話題をそらしてっと)
上条「そういえば、初春さんって『風紀委員』だけど、何の能力もってんの?」
上条が機転を利かし、話しやすい話題に転換する。
初春「それは……その……」
その反応に上条は、これも触れてはいけない話題だったかと思う
しかし、意外とすぐ返答があった。
初春「たいした能力じゃないから、恥ずかしいんですけど……わたしの能力は」
プルルルルル
不意に携帯電話が鳴り、その声はさえぎられた。
197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:49:16.69 ID:FeKbxx610 [8/17]
上条「おっと悪い。電話が」
そういって上条はベンチを離れていく。
数分後。
初春「なにかあったんですか?」
上条「いや、大した用事じゃないんだけど、食糧危機が起こったみたいでさ」
上条「だから、悪いけど先に帰るわ!!また続きは今度なーー」
初春「あ、ちょっと、上条さんっ!!!」
言うだけ言って唐突に上条は去っていった。
一人で公園にいるのも寂しいので、初春も帰ることにした。
また逢えるかな?と期待を抱きながら。
第三部 (再会)
終わり
「ななな、何するんですか!?佐天さん!!」
佐天「何って、友達がちゃんとパンツはいてるか確認してるだけじゃんか」
佐天「っていうか、初春いい加減に学習しなよ」
スカートを捲くられた被害者の名は『初春飾利』。頭の花飾りが可愛い女の子。
加害者の名は『佐天涙子』。元気が取り柄の女の子。
初春「佐天さんこそ、いい加減にこういうのやめてください!!!」
身体を弾ませながら抗議をする初春だが、当の佐天は全く気にしていない。
佐天「それよりもさ、早く行かなきゃ待ち合わせ遅れちゃうよ」
と、言い終わらないうちに佐天は走り出す。
初春「ちょ、ちょっと待ってください~~」
佐天「ほらほら、急がないと置いてっちゃうぞー」
二人の姿はあっという間に消えていった。
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:02:37.94 ID:c3MmPlBL0
佐天「たしかここで良かったよねーって、初春?」
呼びかけた相手は返事を返さない。息を切らしてその場に座り込んでいる。
初春「さ、佐天さん…………はやすぎ、です」
佐天「いやー、ごめんごめん。遅れちゃうかと思ったから、つい。ね?」
初春「も~、反省してないでしょ佐天さん!!」
佐天「そんなことないない、きちんと反省してますってー。まあベンチでも座って休もっか」
初春「そうですね。……って、ホントにいろいろきちんと反省してください!!!」
そうして、二人はベンチで休みながら待つ事にした。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:07:14.05 ID:c3MmPlBL0
一方その頃。常盤台中学校、正門前では。
「遅いですわね、お姉さま」
ツインテールを可愛らしいリボンで止めた少女が立っている。
待ち人がなかなか来ないことに苛立ちを感じているようだ。
周りを見渡した後、少女は考え込む。
「ひょっとして、お姉さま……黒子のことを喜ばそうと何か計画なされているのでは!?」
「そうですわ、間違いありませんの!!」
「今日のこの日を黒子は……黒子は、どんなに待っていた事か……」
少女は感慨に浸っている。その表情は恍惚そのものだ。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:13:43.94 ID:c3MmPlBL0
「なーに変な顔して立ってんのよ!!」
ツインテールの少女の頭が小突かれる。
「あ、お姉さま!!黒子は待ちわびておりましたのよ~~ん」
言い終わらないうちに抱きつこうとする。
「やっぱり変な事考えてたわね!!!っていきなり抱きつくな!!暑苦しい!!!」
すかさず突っ込みを入れる人物は『御坂美琴』。常盤台中学が誇るレベル5、通称『超電磁砲』。可愛いもの好き。
待っていた少女は『白井黒子』。常盤台中学が誇る(?)『変態』さん。『空間移動』の能力を持っている。
御坂「そんな事よりほら。早く行くわよ!!初春さん達待たせちゃ悪いわ」
白井「お姉さま!!全力疾走なんてはしたないですの。もっとご自身の立場というものを……」
御坂「うるさい!!置いてくわよ!!」
白井「そんな~、待ってくださいまし~~。お姉さま~~」
二人は目的地へと急ぐ。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:20:14.87 ID:c3MmPlBL0
御坂「ふー、何とか着いたわね」
白井「お姉さま……汗びっしょりですの。なんてはしたない……!!ここは黒子が丁寧に全身を拭いてさしあg」
御坂「全力で遠慮しとくわ!!」
付き合いはそう長くは無いが、白井黒子の扱いに御坂美琴は慣れている。この日もそれは変わらない。
白井の企みに御坂が気付かないことは無い。と言ってもいいくらい彼女の行動はお見通しなのだ。
初春「あ、あれ御坂さんと白井さんじゃないですか?」
佐天「えっ、どこどこ?あ、ホントだ」
そんな彼女たちに先ほどの二人が気付く。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:30:17.90 ID:c3MmPlBL0
読んでくださっている皆様ありがとうございます。こんな時間ですがどうぞよろしくお願いします。
今回のSSは前回のパラレルですので、時間等あれば前スレ参照していただければなどと思っております。
ちなみに、そのときのタイトルは
佐天(……とうまセンパイ……かあ。)
です。もしかしたらどこかにあるかと思います
「」検索で引っかからないとの事でしたので、もしかしたらどこにもないかもです。
↓↓↓
佐天「おーーーい。白井さーん!!御坂さーん!!」
声をあげて手を振る佐天涙子に御坂美琴が気付く。
御坂「佐天さん!初春さんも!ほら黒子。行くわよ」
白井「あ、お姉さま。待ってくださいまし~」
二人は急いでベンチへと駆け寄る。
初春「こんにちは、御坂さん。白井さんも」
白井「も。とはなんですの!失礼な。私はお姉さまのp」
御坂「こんなやつほっといて早く行きましょ。二人とも!」
佐天「あはは……いつもどおりですねお二人は……」
出会いの挨拶も儘に、彼女たちは目的地へ歩き始める。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:37:28.69 ID:c3MmPlBL0
その目的地とは最近できた、女の子に人気のカフェだ。
御坂「さーて、着いたわよ!!!」
御坂美琴の声はどこか気合が入っている。
それを見ながら三人がなにやら話している。
初春飾利と佐天涙子は楽しそうに、しかし白井黒子はうんざりしているようだ。
初春「白井さん。御坂さんの目的ってやっぱり」
白井「もしかしなくても、そうだと思いますわ……はぁ」
佐天「まあでも、御坂さんらしいですよね」
三人は視線を同じ方向に向けて話している。その視線の先には
『四人以上で来店のお客様にプチケーキをサービス!!』
それを御坂が目的にしているのなら、彼女も普通の女の子なんだなとほほえましく思うだけだが。その横には
『且つ!!特大パフェを完食された方にもれなく、当店限定ゲ○太マスコットをプレゼント!!!』
と、店の真正面に大きく書いてある。
つまり、御坂美琴の思考は丸分かりなのだ。本人は気付いていないが。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:45:10.74 ID:c3MmPlBL0
席に着いた四人はメニューを確認する。
一通り眺めた後、御坂美琴が話し出す。
御坂「ねえねえ、せっかくだしこの『特大パフェ』っての頼んでみない?」
御坂「いや、別にね私はゲ○太なんて興味はないんだけど、こういうのって一回みんなで食べてみたいって思ってたしさ」
佐天涙子と初春飾利は目を見合わせる。語らずともその視線は物語っている。
初春(どうやって切り出してくるかと思いましたが)
佐天(……直球……だったね)
白井(はあ、こればかりはどうしようもありませんわね。ほんとお姉さまったら)
数分後。
四人のテーブルに特大パフェが運ばれた。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 02:51:53.87 ID:c3MmPlBL0
白井「さ、さすがに『特大』というだけのことはありましたわね」
佐天「ほんとうですね……アタシ、この先一ヵ月はパフェいりません……」
初春「私もです……」
胸焼けを抑えながら三人は語る。
それを尻目に御坂美琴の瞳は輝いている。
御坂「お客さんいっぱい待ってるし、そろそろ会計すましちゃおっか?」
佐天「そうですね……出ましょう」
初春「はい」
白井「ですわね」
そんなに早くゲ○太が欲しいのか?三人は胃からむせ返る甘さにふらふらしながら考えていた。
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:02:30.67 ID:c3MmPlBL0
レジ「ありがとうございました。またお越しください。それとこれ、景品のオリジナルマスコットです」
御坂「えっ!こんなのもらえるんですか!?」
その台詞はわざとらしさで溢れている。わざとらし過ぎて店員も苦笑いだ。
御坂「うーん……こんなのもらってもみんな困っちゃうわよね?」
御坂「だからここは仕方ないから私がもらt」
佐天「アタシ欲しいです!!!!!!」
御坂美琴が目的を達成しようとした、まさにその瞬間。思わぬ横槍が入る。
レジ「あ、はい。どうぞ」
佐天「わーい、ありがとうございます!!!」
してやったり。佐天涙子の目は怪しい輝きを放っていた。
そして、御坂美琴はその場に崩れた。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:09:50.03 ID:c3MmPlBL0
佐天「もー、欲しいんなら最初からそういってくださいよ」
初春「別に誰も馬鹿になんてしませんって」
白井「そうですわよ、私みたいに自分の欲望には従うべきですわよ」
御坂「うーー。ってか黒子!!アンタは欲望に正直すぎんのよ!!」
佐天涙子がマスコットを得た直後。御坂美琴からは精気が抜けていた。
何を言っても、反応がなく。見かねた佐天がマスコットを譲ることを提案し今に至る。
御坂「それにしても。やっぱりかわいーーーー」
本当はこれは彼女の。彼女だけの心の声なのだが、興奮しすぎて口に出てしまう。
「なんだおまえ。そういうのが好みだったのかよ?」
それを聞いていた少年がいた。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:18:06.90 ID:c3MmPlBL0
御坂「あ、アンタは!!」
少年はさらに近づき、声をかける。
「常盤台のエースって言っても、ホントはまだお子ちゃまだったって事か」
その少年の名は『上条当麻』。その右手に異能の力を打ち消す『幻想殺し』を携えている高校生だ。
白井「そうなんですの。全く困ったものですわ……ってなんで私貴方みたいな類人猿に話しかけているのでしょう!!!」
白井「お姉さまの傍から早く立ち去りなさいな!!」
上条「会ってそうそうそれかよ!!」
すごい剣幕で話す白井黒子を尻目に御坂美琴は何もいわない。
というより恥ずかしさで何もいえない。
御坂「ここここ、これ。本当は私のじゃないのよ」
御坂「そうそう、これは初春さんのなんだから!!ね、初春さん!!!」
恥ずかしさを押し殺し、やっとの発言。
どう考えても嘘。彼女以外の三人はもちろん、上条当麻でさえもはっきり分かった。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:30:39.92 ID:c3MmPlBL0
御坂「ちょっと見せてもらってただけだもんね!!!」
初春「えっ!!ええっ??」
初春飾利は突然の出来事に驚く。
御坂「じゃあコレ、返すからね。初春さん!!」
そう言ってマスコット人形を無理矢理初春に渡そうとする御坂美琴。
だが、その渡す力は恥ずかしさのあまり、強い。
そして、それを受け取った初春も、突然のことに驚いていた事もあったためバランスを崩す。
初春「ちょ、ちょっと御坂さ!!」
初春の身体が傾く。
佐天「初春!!!あぶないっ!!」
佐天涙子があわてて初春を支えようとするものの、間に合わない。
白井「初春!!くっ!!間に合いませんわ」
白井黒子も駆け寄ろうとするもの、届きそうに無い。
このとき、白井の『空間移動』は役に立たなかった。自分の触れたものにしかその能力は有効でない為だ。
自分自身を移動させたとしても、慌てて座標が狂ってしまうことを考えると、能力を使うことは選択できなかった。
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:40:06.89 ID:c3MmPlBL0
初春「!!!」
床に衝突してしまう!!誰もがそう思った。
しかし、次の瞬間。初春飾利はその身体を傷つける事なく、地面に横たわっていた。
正確には地面ではなく、とある人物の胸と腕の間にしっかり抱かれ、その身を任せていた。
上条「ったく!!危ねえじゃねえか!!」
上条「おい、御坂!!聞いてんのか?」
初春の身体を支え、ゆっくりと立ち上がりながら上条当麻は言う。
野球のダイビングキャッチばりに初春飾利の身体を受け止めた彼の身体は傷だらけだった。
御坂「……ご、ごめんなさい……初春さん大丈夫?」
初春「わわ、私は大丈夫です!!私よりも……」
初春は上条の傷に気付き、申し訳なさそうに俯く。
上条「初春さんってたっけ?怪我がなくてよかったぜ」
上条「ってかよ、俺は大丈夫だって、こんなの日常茶飯事だしさ!!不本意ながら……」
上条「おっと、特売の時間じゃねえか!!じゃあな」
颯爽と上条当麻は去っていった。彼にとっては先程の傷など本当になんでもないようだ。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:46:01.26 ID:c3MmPlBL0
御坂「初春さん!!ホントにごめんなさい」
初春「……本当に大丈夫ですから……気にしないでください……」
白井「それにしても、驚きましたわ。お姉さま、きちんと反省してくださいませ!!」
佐天「ホントです。御坂さんが素直じゃないのがいけないんですからね!!」
四人は今あった出来事を確認しながら、初春が無事であったことに喜ぶ。
気付くと、時間はかなり進んでいた。
白井「お姉さま、そろそろ帰りませんと、寮監がうるさいですわよ」
御坂「そうね黒子。帰りま……あ、あの、初春さん」
初春「…………え?なんですか……あ、コレですね。はいどうぞ……」
騒動の原因だったゲ○太を初春が手渡すと、御坂と白井は帰路についた。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:50:34.63 ID:c3MmPlBL0
急に二人だけになった佐天涙子と初春飾利。
佐天「それにしてもホントびっくりしたねー」
佐天「でもでも、初春にケガがなくてよかったよ」
佐天「ねー、初春?」
佐天涙子の呼びかけに初春飾利は反応しない。
佐天「初春ってばー!?」
初春「…………」
初春飾利は少年の向かった先を、ただじっと見つめている。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 03:58:01.05 ID:c3MmPlBL0
初春「……」
佐天「……」
沈黙が続き、時が流れる。
佐天(これは、まさか)
疑問を持った佐天涙子が問いかける。
佐天「ねえ?」
初春「……」
佐天「どうしたの初春?恋でもした?」
初春「っ!!!」
佐天「……図星!?」
四人の少女と一人の少年が出会う時、物語は再び始まる!!!
プロローグ
終わり。
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:08:06.19 ID:c3MmPlBL0
モノローグ1
(なんなんでしょう、これは?)
初春飾利は驚いていた。
(今日はいろいろあったし、あんなこともあったから)
(まだドキドキがおさまらないのかな?)
(うん、きっとそれだけです!)
(明日になったら治りますよね)
(それにしても佐天さん……)
(あんなこと聞かれるとは思いませんでした)
(とっさにごまかしちゃったけど)
(私が恋?)
(そんなことないですよ、きっと……)
(でも、なんだろう?これ)
(胸が痛くて、熱い……)
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:14:47.30 ID:c3MmPlBL0
第一部 (思いと想い)
御坂美琴は考え込んでいる。内容は昨日の出来事だ。
上条当麻が初春飾利を抱きかかえるように助けた場面が頭をよぎる。
御坂(なによアイツ。かっこつけちゃって)
御坂(私が悪かったのは分かってるけど、なんか思い出したら腹が立つっていうか)
考えれば考えるだけ、感情がどんどん高ぶっていく。
御坂「一体なんなのよ!この気持ちは!!!」
白井「嫉妬ではありませんの?」
御坂「私が嫉妬!?初春さんに?まさかぁ……でも……。って黒子!?なんであんたが?」
白井「何でって?ここは私達の部屋で、私達はルームメイトではありませんの」
御坂「そういうことじゃなくて!!人の考えてることが何で分かるのよ?アンタは」
白井「……思いっきり声に出しておられましたが……お姉さま」
白井「突っ込んだ方がよろしかったのでしょうか?」
またまた、御坂美琴の思考は漏れ出していた。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:21:28.52 ID:c3MmPlBL0
白井「それにしても……」
少し考えてから白井黒子は続ける。
白井「お姉さま、まさか本当に昨日の事で初春に嫉妬されているのですの?」
御坂「いやいや、そんなことないから!!」
御坂「私が何で初春さんに……ううん、それ以上にアイツとはなんでもないんだから」
顔を真っ赤にしながら答える御坂美琴を、じとりと見つめながら白井は言う。
白井「……ほんとうですの?ならよいのですが……」
前から目の前の『お姉さま』があの『類人猿』と多少の付き合いがあることは承知していたが、
今日の御坂美琴の態度を見るあたり、彼らの仲が自分の知らないところで進展している可能性も否定できない。
白井(このままでは私のお姉さまが……お姉さまが……)
白井(なにか、手を打つ必要がありますわね)
白井黒子は危惧を抱き、同時にそれを打ち消すため模索を始める。
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:29:13.27 ID:c3MmPlBL0
一方。佐天涙子は柵川中学校正門前に立っていた。
佐天「おっそいなー。初春……」
いつもは彼女が待たせる側なのだが、
今日は初春飾利が日直担当だったので立場が逆になっている。
佐天「あんまり待たせると、こっちも考えちゃうぞ」
佐天涙子の考えていることは、
(今日のパンツは何色かな?)とか(どうやって捲ろうかな?)など不純なものが多い。
だが、今日は少し違うことも考える。
佐天(昨日はごまかされちゃったけど……)
佐天(あやしすぎる……よね)
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:39:00.77 ID:c3MmPlBL0
初春「お待たせしました。佐天さん!!」
佐天涙子が思考している最中、初春飾利があらわれた。
佐天「わ?初春、びっくりしたー!!遅いよー」
初春「もしかして佐天さん気付いてなかったんですか?」
佐天「いや、ちょっと考え事しててね」
初春「へぇ~、佐天さんが……珍しいですね!!」
佐天「それどういう意味?」
初春「いえ、たいした意味じゃありません。って、」
初春「今私、日ごろの恨みを返すチャンスを棒に振ってしまいました!!」
初春「佐天さんのスカート捲ればよかったです!!!」
悔しそうに語る初春。その隙を佐天は見逃さなかった。
佐天「百年早い!!えいっ!!」
白と青のストライプ。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:44:29.96 ID:c3MmPlBL0
初春「!!!佐天さん!!!」
とっさにスカートを抑えるが、遅すぎる。
真っ赤になり怒りを露にする初春飾利。
佐天「さあさあ、早く行かなきゃ、間に合わないぞっ!」
佐天涙子はそんな初春の事など構わず走り出す。
初春「ちょ、ちょっと待ってください佐天さん!!」
そんな今日の二人の目的地は、映画館だ。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 22:54:12.43 ID:c3MmPlBL0
初春「今日は何が見たいんでしたっけ?」
佐天「あれだよ?初春っ!!」
佐天涙子の指差す先にはポスターが一枚。
それは、今若い世代に大人気の恋愛映画だ。
初春「コテコテの恋愛物って噂のあれですね」
佐天「そうそう、見るなら今日は良いタイミングだしね」
初春「良いタイミング?ですか?」
佐天「いやいやー、こっちの話。さあ入ろっ」
つい思っていた事が出てしまい焦るが、ごまかすことに成功し佐天涙子は思う。
佐天(これで見極めてやるんだからっ。覚悟しなさいよ初春!!)
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:02:34.58 ID:c3MmPlBL0
館内に入ったものの、さすが人気があるだけあって人で溢れている。
さらには客層に特徴があった。
どこを見てもカップル、アベック、恋人、彼氏彼女……等々。
呼び方はいろいろあるが、ようは男女のペアばかりだ。
女の子だけで見に来ている二人は少し浮いているような気がした。
初春「なんだか少し、場違いな空気がありますねぇ~」
佐天「なによ初春!!アタシより他の男と来たかったの?」
初春「そっそそ、そんなことないです!!ただちょっと場違いかなって思っただけで」
佐天「ほんとかなー?あやしいぞー?」
初春「からかうのはやめてください!!もうっ!!」
そんなこんなしているうちに上映時間になり、彼女たちはシアターに入っていった。
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:11:10.73 ID:c3MmPlBL0
佐天「……なんだか、すごかったね……」
初春「……はい……」
その映画は前評判があるだけのこともあり、内容も流石。というものだった。
各種様々な要素の詰まったラブロマンスであったために、
中学一年生という多感な少女達の心に深く響いていた。
佐天「でもさ、あんな運命的な出会いとか、感動的な別れとか」
佐天「映画の中だけって感じで、ちょっと現実的じゃなかったよねー」
初春「そうですね~、でもなんだか少しあこがれちゃいました~」
二人は映画館から出て、近くのカフェで話している。
初春「ロマンチックでしたね~~」
思い出しながら呆けている初春飾利。
そこに佐天涙子が思い切って切り出す。
佐天「あこがれるも何も。何言ってるの初春!!初春はもう、運命的に出会ってるじゃんか!?」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:20:40.84 ID:c3MmPlBL0
初春「え!?……え、あ……そそそ。って。からかわないでください!!!」
初春「私にいつそんなことがあったっていうんですか!!」
佐天「いや、昨日。御坂さんたちとあの公園で」
佐天「覚えてないとは言わせない!」
攻撃的な佐天涙子の口調に初春飾利は戸惑いながら答える。
初春「あ、あああれはただ……助けてもらっただけで……別に何でもあり……ありませんよ!!!」
明らかに動揺している口調にさらに佐天は攻勢を増す。
佐天「じゃあその動揺はなんなのよ!初春のことなんてアタシは全部お見通しなんだから」
佐天「隠しても無駄だよっ!!」
初春「だだ、だから、何も隠してなんて無いですって!!」
佐天「いーや!嘘ついてもだめ!顔に出てるんだから!!!」
佐天「あの人のこと。気になってるんでしょ!!??」
佐天涙子は核心にせまる。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:30:03.98 ID:c3MmPlBL0
初春「…………」
佐天「その沈黙が何よりの証拠だね」
初春「ちちちち、違います!そんなこと……ありません!!」
初春「佐天さんの思い違いですよ!!!」
自分に向けられた疑惑を必死に否定する初春飾利。
佐天「ほんとに?」
初春「ほんとです!!!」
沈黙が時を支配する。そして数秒後。
佐天「なーんだ……せっかく協力してあげよっかなって思ってたのにな……」
初春「えっ!?」
佐天「いやね、初春がマジで気になってるんだったら協力しようと思ってたの」
佐天「白井さん達の知り合いみたいだったしさ」
佐天「でも。思い違いだったかー。アタシとしたことが……」
佐天(さあ、どう出る!?初春!?)
佐天涙子はその言葉に策を巡らせ、発する。
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:40:15.63 ID:c3MmPlBL0
佐天「なんだなんだ、アタシの勘違いかー」
佐天「じゃあそろそろ時間も遅いし、帰ろっか?」
初春「……」
佐天「どーしたの初春!?帰るよ!!」
初春「……」
初春飾利は返事をしない。
佐天(もう一押し、かな?)
佐天「じゃあ、アタシ先に帰ろっと」
彼女が席を立とうとしたとき、初春飾利はようやくその口を開く。
初春「……あ、あの!!さっきの話……本当ですか!?」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/27(水) 23:51:31.52 ID:c3MmPlBL0 [34/34]
佐天「さっきの話って、なになに?」
佐天涙子はニヤニヤしながら答える。
初春「そ、その……」
初春「きょ、協力してくれるっていう……こと。なんですけど……」
恥ずかしさでいっぱいになりながらも、初春飾利は言葉を繋げた。
佐天「ってことは。初春やっぱりあの人の事、気になってたんだ!!!」
初春「っ!!!」
途端に初春の顔がさらに赤くなる。それは、頭の花飾りもびっくりの鮮やかさ。
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 00:02:52.25 ID:34ymcP4X0 [1/12]
佐天「だったら最初からそういえば良いのに、初春ったら恥ずかしがっちゃって!!」
やはり佐天涙子はニヤニヤしながら話す。
初春「そんな風に話されたら、からかわれてるんだって思っちゃいますよ!!!」
初春「もうっ!!人の気も知らないで……」
初春飾利は目の前の佐天の態度に、ほほを膨らまし拗ねる。
佐天「人の気も知らないでって言うけどさ……」
佐天「初春は自分の気持ち分かってた!?」
さっきまでの顔立ちとは打って変わった真面目な顔で、佐天涙子は語る。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 00:11:56.70 ID:34ymcP4X0 [2/12]
佐天「昨日、あれから帰るまでの間。それから今日学校でも……」
佐天「初春なんかいつもと違ってた」
佐天「何があったんだろって考えたらさ、昨日のあれが思い浮かんだんだ」
佐天「アタシも最初は疑問だったよ。まさか初春が!?って思ったし」
佐天「からかいながら確かめるくらいしかアタシにはできなかったけど」
佐天「今日いろいろ話してさ、やっぱしそうなんだ。って確信できた」
佐天「でも、初春は自分の気持ち隠したままだし……そりゃ、恥ずかしいと思うよ。でもね!!」
佐天「自分の気持ちと向き合って、自分の気持ちを知らなきゃ、何も始まらない!!」
佐天「もしまだそれが怖いって言うのなら、そんな恐怖はアタシがぶち壊してみせるから!!」
佐天「だから、初春には自分自身と向き合って欲しいの!!!」
目の前の親友を思っての行動だった。それを偽りの無い言葉で佐天涙子は伝える。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 00:20:38.95 ID:34ymcP4X0 [3/12]
初春「……佐天さん……」
佐天「……初春……」
二人は見つめあい、お互いの友情を確認している。
真面目な表情だった二人が笑顔に戻る。そして
初春「ありがとうございます!!私がんばってみます!!」
初春「っていうか、佐天さんがそこまで考えてるなんて思わなかったんで驚きました……けど」
佐天「……けど?」
初春「……やっぱり少しはからかってるんじゃないですか!!!!ほら今もニヤニヤしてますし!!」
佐天「え?これはちょっと、そういう意味のニヤニヤじゃ……って、ご、ごめんごめん」
初春「もうっ!!佐天さん!!!」
佐天「ごめんごめん!!でもね初春」
謝りながら佐天涙子は続ける。
佐天「協力するってのはホントだよ」
佐天「だって、大事な親友のことだもん!!!」
第一部 (思いと想い)
終わり
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:10:25.99 ID:34ymcP4X0 [7/12]
モノローグ2
(最初は、からかってるだけかと思いましたけど)
(佐天さん……)
(協力してくれるんだ!!)
(佐天さんが味方なら)
(こんなにも心強いことはないです!!)
(恋……なんてはじめてだけど)
(わたし、自分の気持ちと向き合ってみたいとおもいます)
(佐天さん……)
(ありがとう)
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:21:03.27 ID:34ymcP4X0 [8/12]
第二部 (交)
佐天「さてさて、じゃあまずはどうしよっか?」
初春「って、佐天さん。まさか何も考えずに『協力する』なんて言ったんですか?」
佐天涙子と初春飾利が話しているのは、先程のカフェだ。
せっかくその気になったのだから、今日は遅くなっても今後のことを話そうと佐天が提案した。
しかし、あんまり話は進んでいなかった。
佐天「まさかまさか。そんなことないって……」
初春「…………」
佐天「う、視線が冷たいよ。初春……まあまあ、白井さんたちに相談するのは明日で良いとしてー」
佐天「じゃあ、ここはアタシの恋愛話でも参考にしてもらおっかな?」
124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:32:04.20 ID:34ymcP4X0 [9/12]
初春「佐天さんの……恋愛話……?」
佐天「そうそう!!人生の先輩として、ためになる話を初春にしてあげよー!!」
初春「先輩って……私と同い年じゃないですか」
自信満々の佐天涙子の態度に、思わず苦笑いをする初春飾利。
初春「でも、佐天さんにもそんな経験あったんですね!?なんだか興味あります!!」
佐天「何気に傷つくこというね、キミは」
佐天「まあいいさ。えっと、あれはねーアタシがt……」
どんな話が始まるのだろうと楽しみに待っているが、佐天の弁は進まない。
佐天「えっと……あれは……???おかしいなあー」
初春「????」
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:38:33.11 ID:34ymcP4X0 [10/12]
佐天涙子はさっきから話し始めようとするものの、唸ってばかりでその話は始まらない。
初春「もしかして佐天さん……?」
初春「恋愛話があるなんて、見栄はったんですか???」
いやらしい目つきで佐天を見つめる初春に慌てて答える。
佐天「み、見栄なんかじゃないって!!」
佐天「でもおかしいなー。ど忘れしちゃったみたい……」
佐天「また今度話すよ。ごめんね期待させちゃって」
初春「まあいいですよ。それより今日はもうかなり遅くなっちゃったんで帰りましょう」
佐天「だね。明日は初春の将来に関わる大事な話しないといけないしね!!」
初春「しょしょ、将来だなんて……そんなこと……」
佐天「赤くなっちゃって何考えてんのよ!?このえろ春っ!!」
初春「佐天さんのばか!!もう一人で帰っちゃいます!!!」
佐天「あ、待ってよー」
すっかり暗くなった夜の道を、こうして二人は帰っていった。
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:47:54.17 ID:34ymcP4X0 [11/12]
そして翌日。
白井「佐天さんから呼び出し、というのもなんだか珍しいですわね。ねえお姉さま?」
御坂「そうねー、黒子。用事って事だけど、買い物かしら?それとも新しいお店ができたから一緒に?ってとこかな」
白井「なんにしても、せっかくの非番の日で……お姉さまと愛を育むチャンスでしたのに、残念ですわ」
御坂「はいはい、そうね」
二人は佐天涙子から急に呼び出され、その意図をそれぞれに想像していた。
待ち合わせの公園に着くと、既に佐天涙子と初春飾利が待っていた。
佐天「あっ!きたきたーー。さてっ、行きますか!初春!!」
初春「ううぅ、はい……」
いつもどおり元気いっぱいの佐天に比べ、初春はどこかぎこちない、ガチガチに緊張している。
佐天はその姿をニヤニヤしながら見守り、一緒に二人の元へと駆ける。
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/28(木) 23:51:52.24 ID:34ymcP4X0 [12/12]
御坂「それで、用事って一体なんなの、佐天さん?」
佐天「それなんですけど、立ち話もなんですしちょっとお茶でもしながら話しませんか?」
白井「そうですわね、外にいるのはまだまだ暑いですしね」
初春「で、ですね~溶けちゃいそうです」
四人はまだまだ暑い夏の日差しを浴びながら、一番近いカフェに向かって歩みを進める。
道中。初春飾利は佐天涙子にこそこそと話をしている。
初春「私が話しを切り出しますから、佐天さんは余計なこと言わないでくださいね!!」
佐天「りょーかいりょーかい。がんばってね、初春!!」
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:04:39.18 ID:qVOGKTwJ0 [1/20]
カフェに着くや否や、四人は颯爽と席に座る。
外と隔離され冷房がよく効いた店内は楽園そのものだ。
各々が飲み物を注文し終わった時。
白井「さて、さっそくですけども用というのは一体なんですの?」
佐天「それについては、初春のほうから説明がありますのでー。ねっ、初春」
御坂「初春さんが?何か相談でもあるの?」
初春「は、はいっ!!そそそ、そうなんですけど……あの、ですね~」
初春「……え~っと……」
口ごもって話が進まない。それに白井黒子は腹を立てる。
白井「はっきりしませんわね初春!!くだらない用件なら私達すぐに帰りますわよ」
白井「その後はもちろん~、お姉さまと二人っきりのデートが待っておりますので~。ですから……」
御坂「そんなことないから初春さん。ゆっくり話してくれて構わないわよ」
白井の言葉を打ち消すように、御坂美琴は優しく初春に促す。
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:09:22.34 ID:qVOGKTwJ0 [2/20]
初春「えっと、ですね。ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
初春「……おとといの人って、お二人のお知り合いなんですか!?」
白井・御坂「……」
佐天「ちょっと初春。それじゃあ質問の意味が二人に分からないって」
佐天「初春が言っているのはですねー」
初春飾利の唐突過ぎる疑問を補足しようと、佐天涙子がたまらず口を挟む。
だが、言い終わらないうちに答えは返ってきた。
白井「あの類人猿のことですの?」
御坂「アイツがどうかしたの?」
しかも、それは同時だった。
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:12:50.84 ID:qVOGKTwJ0 [3/20]
初春「よかったら、えっと……あの人のこと少し教えて欲しいんですけど……」
白井「あの類人猿のことを知りたいんですの?」
御坂「それにしても、どうしてそんなことを?」
初春「え?そ、そのですね……助けてもらった相手のことくらいは知っておこうかと思いまして。あはは……」
そんな三人を尻目に佐天涙子は少し考え込み、話に加わる。
佐天「それにしても、今の初春の取り留めの無い質問で誰のことか分かるなんて」
佐天「お二人もあの人に興味あるんですか??」
その言葉に一瞬時が止まる。
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:17:45.99 ID:qVOGKTwJ0 [4/20]
白井「まさか、私が興味あるのはお姉さまだけですの!!」
御坂「わわわ、私もアイツに興味なんて……ないんだから!!」
白井(この反応……やはりまる分かりですの)
御坂美琴は何かを考え、赤面。
それを見た白井黒子は昨日抱いた危惧について、再考していた。
何かしないといけない。だが、そうはいっても何をすればよいのか?なにができるか?
なかなか答えが出ない問題だ。
一方。
初春「佐天さん!!!『も』なんていったらばれちゃうじゃないですか!!!」
佐天「ごめんごめんー。ん?でも、カミングアウトしないつもりなの?」
初春「佐天さんの言い方はいきなりすぎるんですよ!!!!」
こちらの二人は、こそこそ話。
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:25:19.06 ID:qVOGKTwJ0 [5/20]
白井「それにしても『興味』ということは、もしかして初春……」
初春「…………」
初春飾利はこくり、と無言で頷く。
その様子を佐天涙子は優しく見つめている。
『アイツ』のことを考え思考が飛んでいた御坂美琴だが、そんな三人のやり取りに気付き。
御坂「えっ!?ええ?それってまさか初春さんがアイツのことを!?」
佐天「御坂さんも人が悪いなー。いちいち言わせたら初春、恥ずかしさで爆発しちゃいますよー」
佐天は笑いながら言うが、当の初春は顔も真っ赤で本当に爆発しかねないような状態だった。
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:32:44.11 ID:qVOGKTwJ0 [6/20]
白井(ほほう、まさか初春が恋心を抱くなんて)
白井(珍しいこともあるものですわね……それにしても……)
白井黒子は同僚の想いを知り、驚きと共に思考する。
その内容は述べるまでもない。
御坂(どどど、どーすんのよーー!!)
御坂(まさか初春さんがアイツのこと好きになるなんて……)
御坂美琴もまた、驚きを隠せない。
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:43:00.57 ID:qVOGKTwJ0 [7/20]
御坂「へ、へーーそうなんだ。ガンバッテネ初春さん」
白井「そうですわ。私も全っっっ力で協力しますの!!」
二人は応援の言葉をかけるが、
方や半分精気が抜けたようで、しかも片言。
方やものすごい勢いでのエール。
そんな様子に気づかない初春飾利は照れながら、
初春「あ、ありがとうございます」
と、お礼を言う。
たが、佐天涙子は二人の心の中を察したようにニヤリと笑った。
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 00:50:47.69 ID:qVOGKTwJ0 [8/20]
その頃。
上条「へーーーっくしっ!!」
大きなくしゃみをする上条当麻。
誰か噂でもしてるのだろうか、
可愛い女の子の話題に挙がってたらいいなあ。
などど考える横で、
イン?「うわっ汚いんだよとうま」
イン?「デリカシーも何もあったものじゃないんだよ」
イン?「ついでにおなかが空いたんだよ」
居候のシスターが叫ぶ。
上条「…………」
まさか本当に女の子達の話題になっているとは、考えてもいない。
第二部 (交)
終わり
177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:14:22.81 ID:qVOGKTwJ0 [12/20]
モノローグ3
(今日はなんだか恥ずかしかったです)
(自分の気持ちに素直に……)
(っていっても)
(それを周りの人に知られるのはやっぱり恥ずかしい)
(でも)
(白井さんにも、御坂さんにも話せてよかった)
(この先、どうなるのかな?)
(楽しみだけど、ちょっと不安)
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:19:56.62 ID:qVOGKTwJ0 [13/20]
第三部 (再会)
数日後。
初春飾利は『風紀委員』の仕事で街をパトロールしていた。
白井「今日は珍しく何もないですわね、いつもこのようならよいのですが」
白井「ただ、何も無いのも暇なものですわね」
その横には白井黒子も居て、日ごろの任務につい愚痴をこぼす。
初春「でも、私達が暇なのって良いことですよね」
初春「それだけ街は平和ってことですし」
白井「そうですわね、最近まで事件続きでしたから」
白井「それが当たり前のように勘違いしていましたわ」
『友人』としての彼女たちは、ふざけあったりフランクな付き合いをしているが、
『風紀委員の同僚』としての彼女たちは普段とはうって変わってすごく真面目だ。
そろそろ、完全下校時刻。
彼女たちの仕事も終わる。
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:24:44.51 ID:qVOGKTwJ0 [14/20]
白井「さて、そろそろ今日は帰るといたしましょうか」
初春「そうですね~。ふう、私ちょっと疲れちゃいました」
白井「全く。訓練が足りないせいですわよ!!」
白井は先輩として厳しい言葉をかけるが、理解している。
初春は初春で自分の活躍できる分野できちんと仕事をしていることを。
白井「ですが、たまには少し休んでから帰るとしましょうか」
初春「わ~珍しく白井さんが優しいです。変な感じがしますね」
白井「やっぱり即効帰りましょうかしら」
初春「冗談ですって~」
じゃれあいながら相談し、結局二人は近くの公園で休むことにした。
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:29:10.32 ID:qVOGKTwJ0 [15/20]
日が傾きだすと少しは涼しくなるが、それでも暑いことに変わりは無い。
冷たいジュース片手に
白井「それにしても、初春がまさか殿方に興味を抱くなんて、驚きましたわ」
初春「っ!!!と、突然なに言うんですか!?」
急に話をふられた初春はジュースを噴きそうになりながら答える。
初春「……自分でもよく分からないですけど……うぅ、なんか恥ずかしい」
白井「恥ずかしがっていてばかりでは何も変わりませんわよ。」
白井が気付く。
白井「ほら。噂をすればなんとやら。正面を御覧なさい」
初春は恥ずかしがって俯いていたが、白井の言葉に顔を上げる。
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:35:08.58 ID:qVOGKTwJ0 [16/20]
そこには、初春飾利の『気になるあの人』こと、『上条当麻』がいた。
彼はこちらに気付いていないようだが、どんどん近づいてくる。
初春「!!!どどど、どうしましょう!!白井さん!!」
白井「どうするもこうするも。まずは落ち着きなさい!!!」
完全に動揺してしまっている初春をなんとかなだめる白井。
白井「さあさ、初春。この偶然をチャンスに変えない手はございませんわ」
初春「そんな事いわれても~!!急すぎて心の準備ができてません!!」
白井「もう、仕方が無いですわね。ではここは私が……」
硬直している初春を見かね、白井が行動を起こそうとするが、それより先に上条が彼女たちに気付く。
182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:41:00.50 ID:qVOGKTwJ0 [17/20]
上条「お、白井じゃねーか!!それと、隣に居るのは初春さん……だっけ?」
白井「あらあら、上条さんではございませんの」
初春「こ、こんにちは……ここ、この間はありがとうございました!!」
三人は挨拶を済ませる。若干一名ほど、所作がぎこちない人物が居たが上条は気付かない。
上条「いいって、気にすんなよ。あれから身体に異常は無いか?」
上条「どっかぶつけてたかも、て思ってたから少し心配だったんだけど」
上条が自分のことを心配してくれていた事に自然と笑みがこぼれる初春。
初春「はい。おかげさまでなんともありません!!」
白井(身体に異常はなくても心を乱しておりますのよ初春は。貴方のせいで!!)
白井(もっとも。私にとって好都合ではありますが……)
その横で白井は友人のことと、自分の欲望について同時に考える。
白井(この機会を活かさなくては……そうですわ!!!)
184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:46:32.37 ID:qVOGKTwJ0 [18/20]
上条「じゃあ、またな」
暫しの雑談を終え、帰ろうとする上条を白井が呼び止める。
白井「ちょっとお待ちなさいな。せっかくですし、少しご一緒しませんこと?」
上条「……遠慮しとくぜ」
ほとんど即答だった。
白井も初春も、ぽかーんとしているところに彼の言葉が続く。
上条「どうせお前のことだから、『お姉さまのため』とか言って俺になんかするつもりだろ?」
ギクッと白井は身を震わせる。横から初春の視線が突き刺さって、痛い。
上条「だからもう帰るわ。じゃあなー」
彼の言葉に悪意は無い。ただ自分の身を守ろうというだけだ。
そして再び去ろうとする。
185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:52:23.47 ID:qVOGKTwJ0 [19/20]
初春「ま、待ってください!!」
今度は、初春が上条を引き止める。
精一杯の勇気を振り絞って言う初春。
少し俯きながら言っているので、上条のほうからは頭の花飾りしか見えない。
上条「えっ?」
初春「お、お礼をさせてください!!ジュースおごりますからっ!!!」
上条は目の前の花飾りの少女と白井との間で何度か視線を行き来させて
上条「じゃあ少しだけ付き合うぜ」
そうして上条は彼女たちと同じベンチへと腰掛ける。
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/29(金) 23:59:34.31 ID:qVOGKTwJ0 [20/20]
その公園には沢山のベンチがあるが、今使われているのはその内の一つだけだ。
とある男子学生、ツインテールの少女、花飾りをした少女の三人が順に座っている。
白井(失敗してしまったかと思いましたが、ナイスですわ初春!!)
普段の行動から白井は上条に警戒されていたが、初春の勇気を持ったフォローにより助けられた。
上条が席についてから、初春は彼になにを飲みたいのか尋ね、そして買ってきた。
三人はそれから雑談を楽しんでいる。
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:08:14.29 ID:FeKbxx610 [1/17]
しかし、上条がまだ半分も飲み終えないくらいで
白井(二人っきりにしてさしあげますから、初春!!頑張りなさいな!!!)
白井(色仕掛けでもなんでも。うっふっふーー)
白井「あっ、わ、私急に用事を思い付きましたの!!では、失礼しますわ」
と、急に思いついた白井が帰ろうとする。
初春「あ、じゃあ私も」
白井「初春はもう少し休んでから帰りなさいな、上条さんまだ飲み終わっていませんし」
白井「中途半端なお礼は失礼ですわよ」
上条「い、いや俺は別に気にしな……」
白井はそんな二人の意見も聞かずにすぐさま『空間移動』の能力を使用し消えてしまった。
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:14:49.47 ID:FeKbxx610 [2/17]
公園には、二人だけが残される。
上条「……」
初春「……」
さっきまでの雑談は、主に白井が共通の知り合いとして話を二人に振っていたからできていたことだ。
だがもう白井はいない。
普段の上条なら、別に女の子と話すくらいで緊張することは無いのだが、
横の少女の様子がなんだかおかしいので自分までそれに巻き込まれていた。
上条(なんだってんだよー。なんか俺また変なことに巻き込まれてる?)
同じく初春も考えていた。
初春(う~、白井さん。いきなり帰っちゃうなんてひどいです……)
初春(何話したらいいんでしょう……?)
二人はジュースを飲み、また考える。
数秒後。痺れが切れた上条が不意に話し出す
上条「あのさ、その……飾利!!可愛いぜ!!」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:17:56.03 ID:FeKbxx610 [3/17]
その言葉は初春の心に、きゅんと突き刺さったかと思うと、
次の瞬間。それは大津波を起こし彼女の心を乱していく。
初春(え!?えぇえぇえぇえぇえぇえぇええ~~)
初春(な、なになに。なんなんですか~~)
初春(いきなり『可愛い』だなんて)
混乱は止まらない。
初春(それに『飾利』って……いきなりの呼び捨てですか~~)
ここで、彼女は気付く。
初春(あれ?そういえば……)
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:25:06.70 ID:FeKbxx610 [4/17]
初春(私、改めて自己紹介もしてないのに)
初春(なんで『飾利』って知ってるんだろう?)
疑問が頭の中で浮かび、考えが巡る。
初春(まさか……)
初春(まさかまさか……)
初春(まさかまさかまさか……)
初春(!!!!)
ようやく結論が出た。
193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:31:23.33 ID:FeKbxx610 [5/17]
初春が出した結論。それは
初春(聞き間違い……!?)
それに気付いた初春は顔を一気に染め上げる。
実際に上条が言った言葉。真実はこうだ
『その花飾り、よく似合ってるぜ』
だが初春は
『花飾り』→『飾り』→『飾利』。
『似合ってるぜ』→『良いぜ』→『可愛いぜ』。
と、緊張のあまり壮大に聞き間違えてしまったのだ。
というか、もはや聞き間違いというより勘違い。
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:37:49.71 ID:FeKbxx610 [6/17]
上条(……なんかまずい事いったかな?)
初春が聞き間違いに気付くまでの間、彼もまた考えていた。
理由は分からないが横の少女の様子がどこか変だから、自分もそれに飲まれた。
いつもなら女の子の容姿をほめたりなどしないのに、そういうことを言ってしまった。
だから、余計気を悪くして、何も言ってくれないんだ。
そのように自己嫌悪していた。
上条(どうしたもんかな?)
そう思っていると、少女がやっと話し出す。
196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:43:22.25 ID:FeKbxx610 [7/17]
初春「あ、あの!!ありがとうございます」
上条「お、おう」
お互いがなんだがぎこちない。そしてまた沈黙する。
上条(こういうときは話題をそらしてっと)
上条「そういえば、初春さんって『風紀委員』だけど、何の能力もってんの?」
上条が機転を利かし、話しやすい話題に転換する。
初春「それは……その……」
その反応に上条は、これも触れてはいけない話題だったかと思う
しかし、意外とすぐ返答があった。
初春「たいした能力じゃないから、恥ずかしいんですけど……わたしの能力は」
プルルルルル
不意に携帯電話が鳴り、その声はさえぎられた。
197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/30(土) 00:49:16.69 ID:FeKbxx610 [8/17]
上条「おっと悪い。電話が」
そういって上条はベンチを離れていく。
数分後。
初春「なにかあったんですか?」
上条「いや、大した用事じゃないんだけど、食糧危機が起こったみたいでさ」
上条「だから、悪いけど先に帰るわ!!また続きは今度なーー」
初春「あ、ちょっと、上条さんっ!!!」
言うだけ言って唐突に上条は去っていった。
一人で公園にいるのも寂しいので、初春も帰ることにした。
また逢えるかな?と期待を抱きながら。
第三部 (再会)
終わり
<<初春「……」佐天「どうしたの初春?恋でもした?」-2 | ホーム | 紬「ラブコメ主人公は鼻血で勃起を防いでいる」>>
コメント
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |