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唯「あずにゃんの抑えが効かなくなっちゃった」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:16:04.13 ID:m4Cy3p3C0 [2/49]
あずにゃんの瞳の中の混乱が、すべてを物語ってる。
あずにゃんはコントロールを失くしてるんだ。
あずにゃんは近くを通りかかる人にすがりついてしまって、だからきっと自制心を失くしてるんだ。
過去の秘密をバラしてしまった後で、「私、また抑えがきかなくなっちゃったんです」と言う。
いつ、どこでするべきか 語りかける声がしてたとしてもね。
あずにゃんはこう言ったんだ。
「また抑えがきかなくなっちゃったんです」 って。
あずにゃんの瞳の中の混乱が、すべてを物語ってる。
あずにゃんはコントロールを失くしてるんだ。
あずにゃんは近くを通りかかる人にすがりついてしまって、だからきっと自制心を失くしてるんだ。
過去の秘密をバラしてしまった後で、「私、また抑えがきかなくなっちゃったんです」と言う。
いつ、どこでするべきか 語りかける声がしてたとしてもね。
あずにゃんはこう言ったんだ。
「また抑えがきかなくなっちゃったんです」 って。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:17:36.74 ID:m4Cy3p3C0
そしてあずにゃんは私の方に向き直ると手を取ってこう言うの。
「私、また自制心を失くしちゃいました」
私はそれがどうしてなのか知るよしもないし、理解する事も出来ない。
ただ、あずにゃんは「また抑えがきかなくなっちゃいました」と言うんだ。
悲鳴を上げ 地団駄を踏んで。
「私、また自制心を失くしてしちゃったんですよ」と。
そして、床に倒れ伏しちゃった。
あずにゃんが死んじゃったかと私は思った。
でも、あずにゃんはこう言うの。
「また抑えがきかなくなっちゃいました」
あずにゃんはまたコントロールを失くしてるみたい。
抑えが効かなくなっているみたいなの。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:22:01.57 ID:m4Cy3p3C0
私は憂に電話して症状を告げ、
「またあずにゃんの抑えがきかなくなったの」
と言わなくてはならなかった。
あずにゃんはそうやってすべての失敗と過ちを暴露するの。
そして「また抑えがきかなくなっちゃいましたね」と最後に言う。
そうやって、自制心を取り戻すまで、ずっとあずにゃんはいろいろな違ったやり方で、あずにゃん自身の事を表現してみせてくれる。
あずにゃんは逃げきれないギリギリのところまで歩いて、
「私、また抑えがきかなくなっちゃってたんですね」と笑った。
あずにゃんがまたコントロールを失くしてるよ。
抑えがきかなくなっているんだね。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:23:42.51 ID:m4Cy3p3C0
紬「梓ちゃんが最初の発作を起こしたのは、梓ちゃんが大学に入って『また一緒にやれるね」って皆の意気が上がってる時だったわ」
唯「最初、皆それが何かのパフォーマンスかと思ってた。私も『あずにゃん何か凄い!凄いよ!』って能天気に喜んじゃってた。今考えると、死にたくなる」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:24:54.89 ID:m4Cy3p3C0
澪「梓は結局バンドを続けるために強いトランキライザーで抑える事を選択したみたいだった。
なんで『だった』かって言うと、その時は私達全員がそこまでの事だって分からなくて…」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:26:41.41 ID:m4Cy3p3C0
律「今考えれば、梓が悩んでた事は、分かってたと思うんだ。
ただ、その深刻さに梓自身も含めて気付けなかった、って言うのかな」
紬「でも、医者からは、『激しい高揚するような状態は厳禁だ』って言われてたみたいなの。
きっと『それだけリスクを抱える事になるんだよ』って言われてたんだと思うの。
ちょっと考えれば当たり前の事なのにね、私達全員が軽く考えてた」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:28:12.76 ID:m4Cy3p3C0
澪「成人のてんかんについて調べてみたらね、平均寿命は40歳ぐらいだって。
その死亡理由は事故死や自殺も多いって言うんだ」
梓「先輩達みんなが、がっかりしてたのが手に取るように分かりました。勿論、私自身もですけど。
だって…、これが自分の道だって思って、でもそれが急に、その事のせいで私の寿命が縮まりますよって…、酷い話ですよね…」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:29:37.83 ID:m4Cy3p3C0
純「梓がステージ上で発作を起こしちゃった日の事は良く覚えてる。
ライブを中止にして、皆でバックステージに運び込んだんだ。
もう、その時には発作は治まっていたみたいなんだけど…。
うん、梓が凄い泣きだしたのが印象的だった。
何か、自分の事を恥じてるみたいで、胸が引き裂かれそうになったんだ…。
あの日の事思い出すと、今でも辛い気分になるよね」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:31:51.31 ID:m4Cy3p3C0
憂「ライブを途中で中止しちゃった事で客が凄い怒ってましたね。
で、その事に対して律さんが逆に腹を立てて、友達の事を思っての事なので、それは当然の事だと思うんですけど、ステージに投げ込まれたボトルを思いっきり投げ返したんですよね。
それが最前列のファンの頭に当たって、その人が血出して倒れて…。
そしたら、ライブハウス全体が暴動みたいになってしまったんです。
紬さんがキーボードを振り回してステージに登って来る客を叩いて落してたのが、不謹慎な事だと思うんですけど、モグラ叩きみたいでおかしいなって、隅で怯えながら見てました」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:33:44.13 ID:m4Cy3p3C0
唯「あの頃、あずにゃんと一緒に住んでたんだけど、あずにゃんの発作の事や、バンドのこれから先の事とか色々考えなくちゃいけな事がたくさんあり過ぎて、凄いストレスを感じてた。
だから、お互いに文句ばっか言って、すぐ喧嘩みたいになっちゃってたんだ。
その事がまたあずにゃんのストレスになっちゃって…。
あの時は何で、あんなに優しく出来なかったんだろうって、今でも思い出しても凄い後悔する」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:36:45.17 ID:m4Cy3p3C0
律「あの当時、梓と唯は同棲してて、でも、唯は梓の事とか、その事が引き起こすバンドの問題とかで、一杯一杯だったんだ。
それは勿論、私も澪もムギも一緒だったんだけど、一緒に住むのと、ミーティングで顔を合わせるだけってのじゃ、そこにある摩擦も段違いでさ。
だから、私達の前ではそうでも無かったけど、唯と梓二人だけの時は結構口論とか多かったみたいなんだ。
二人から、それぞれ相談されたりもしたけど…、どっちの気持ちも分かるから、どっちに味方したら良いかも分からないって言う感じで、お為ごかしみたいな事しか言えなかった」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:38:35.71 ID:m4Cy3p3C0
紬「二人の同棲生活は駄目になりかけてたの。
梓ちゃんは、ああ言う状況だったから、あまり外にも出ないで半分引き籠りみたいになってたし、唯ちゃんも梓ちゃんのいる家に帰りたく無いからって、純ちゃんの家に入り浸りになってて。
勿論、唯ちゃんと純ちゃんが、浮気してたかどうかは分からないけど、ただ、梓ちゃんはそう思ってたみたい。
普通はそう思ってしまうように」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:40:24.21 ID:m4Cy3p3C0
澪「梓から、何度か相談されてたんだ。
『バンド辞めて中古盤屋を田舎に開いて、そこでギター教室かなんかをやりながらだったら、唯先輩との生活もこんなに大きなストレスにならないですよね?』って。
私は答えられなかったけどね、梓の中では答えは出てたんじゃないかな」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:42:42.01 ID:m4Cy3p3C0
唯「あずにゃんは、私達が言えば何でもその通りに受け入れてくれてたよ。
私達は良く、『あずにゃんはどうしたい』って聞いてたけど、そう聞かれた時、あずにゃんはきっと私達が言って欲しい言葉を考えて答えてたんだろうね。
今になれば分かるけど」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:44:33.00 ID:m4Cy3p3C0
澪「私達は皆傲慢だったんだと思う。
勢いづいていたバンドを止めない事が第一で、だから、梓の事は二の次でって。
梓もそれに賛同してくれてたけど、ああ言う風に中にいたら、自分自身の気持ちであっても、そんなコントロールなんて効く訳無かったと思うよ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:46:04.98 ID:m4Cy3p3C0
純「あの時はもううんざりしてた。
唯先輩の事は…、いや、それよりも、ちゃんと私に不満を伝えてくれない梓にも。
だって、梓とは友達なのにさ。
そんなこんなでくたくたで、でも、唯先輩は愚痴を私に言うばかりだったし」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:50:01.42 ID:m4Cy3p3C0
憂「お姉ちゃんは梓ちゃんとの良い思い出の事があるから、特に嫌だったんだと思う。
何もかも、遠くに押しやってしまいたかったんじゃないかな。
純ちゃんには気の毒だと思うけど、そのためだけに選ばれたんだろうなって思ってました。
私には何も出来ないって事は辛い事でしたけど、姉妹って言う事でそれは仕方の無い事だよねって、自分を慰めたりしましたね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:52:04.08 ID:m4Cy3p3C0
律「あの日、梓から電話があったんだ。
『明日、三人で会うんだけど、どうしたら良いんでしょうか?』って。
『取り合えずは相手の気持ちじゃ無くて、自分の思いを吐き出してみろよ』って言ったのを覚えてる。
唯には私達がいるし、梓にも私達がいるって言う軽い気持ちからだったんだけどね。
後になれば、少し能天気過ぎたかな、って思う」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:54:36.73 ID:m4Cy3p3C0
梓「私は不幸でいる事を楽しんでたかも知れないんです。不幸に溺れてたって言うか」
純「梓のあの頃の精神状態を『ああ、恋愛関係における~だね』って済まされると言うのはちょっと納得いかないかな。
私が当事者だったって言うのもあるんだけど、梓が自分自身にシナリオ付けしてしまったって言う事にも問題があったのは事実だと思うんだ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:59:31.41 ID:m4Cy3p3C0
紬「同棲生活が駄目になったのと、てんかんを抑え込むために大量のバルビツール酸系の薬を飲んでたのが良く無かったと思うの。
私、後々に調べてみて、あの薬を大量摂取する事は本当に良くないって言う医学的研究も見つけたりして、本当にゾッとした。
感情の振り幅が大きくなって、笑った次の瞬間には怒るとか、そんな感じになってしまうんだって書いてあったの。
体調を崩して、人間関係を壊して、それで精神的におかしくしてしまうって、まさに梓ちゃんの場合と一緒じゃない、って」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:00:40.05 ID:m4Cy3p3C0
澪「ミーティングがある日に梓が現れなかったんだ。
いつもは皆より早く来てたのに、律がいつもみたいに約束時間から少し遅れてやって来て、それなのに梓が来ないから、どうしてだろうって思ってたんだ。
律は唯に『昨日三人であったんだよな?』とかって聞いても、唯も不機嫌そうな顔して答えなかったから、ちょっと二人の間は険悪になってた。
それで、私とムギはちょっと嫌な空気だなって話してたのを覚えてる」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:01:57.25 ID:m4Cy3p3C0
紬「そうしたら、唯ちゃんの携帯に梓ちゃんの携帯番号から電話が掛かって来たの」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:03:20.73 ID:m4Cy3p3C0
律「唯は最初出ようとしなかったから、私が引っ手繰って無理矢理通話ボタンを押したんだ。
最初、唯は『はい、なんですかー』みたいな感じで凄くぞんざいな口をきいてたんだけど、途中からどんどん深刻そうな口調になっていって、顔色も真っ青になってっいってた」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:04:12.46 ID:m4Cy3p3C0
紬「唯ちゃんは、電話を切った後、りっちゃんが『唯、どうしたんだ?!』って聞いても最初返事出来ないぐらい憔悴してた」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:05:41.13 ID:m4Cy3p3C0
澪「唯が急に涙を流して『あずにゃんが…、わたしのせいだぁ!!』って言って泣き出したから、どうしたんだろうって訳が分からなかったよ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:06:53.03 ID:m4Cy3p3C0
律「唯はもう途中からほとんど何を言ってるのか分からなかったんだけど、梓が自殺未遂を起した事だけは理解出来た」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:08:12.34 ID:m4Cy3p3C0
唯「あずにゃんが手首を切ってるのを最初に発見したのは憂なの。
それで、あずにゃんの携帯から電話をくれて…。
私はどうしたら良いか分からなくなって、何も出来なかった。
りっちゃんが『取り合えず病院へ行かないとな』って言ってくれなかったら、私はびびっちゃって顔も出せなかったと思う」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:09:26.96 ID:m4Cy3p3C0
どんな気分で唯先輩は私を扱っていたんでしょう?
私に手を掛けて、私がどんな人間かって告げてる時に。
私と唯先輩の間にすれ違いがありました。
その時、唯先輩の言った言葉が思い出されます。
今の私がどんな気分か分かりますか?
出来たら唯先輩の口から、今の私の気分がどんな感じか聞いてみたかったです。
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:10:14.35 ID:m4Cy3p3C0
先輩達は、過去から終末まで続く、休暇をずっと生きて行くんでしょうね。
先輩達は立ち去って、もう二度と戻っては来ないかも知れないと思ってます。
私は未だに、言うべきことを言うという事は、とても難しい事だと思ってます。
でも、私は絶対信じています 唯先輩が教えてくれるのを。
私が今日一日、どんな気分で過ごせば良いかって事を。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:11:06.84 ID:m4Cy3p3C0
ねえ、一艘の船が港に係留されてるのが見えるんです。
私はついて行けますし、また実際、ついて行こうと思ってました。
でも仮に、唯先輩自身の不幸によるものでは無かったのだとしても
私は今日、天国の住人なれるような気がします。
ええ、今、私と唯先輩の間にすれ違いがあった事が思い出されます。
唯先輩の言った言葉が思い出されます。
今の私がどんな気分か分かりますか?
出来たら唯先輩の口から、今の私の気分がどんな感じか聞いてみたかったです。
私はここに立ったまま、待っていますから。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:11:52.86 ID:m4Cy3p3C0
私が唯先輩に「放っておいて下さい」と言ったことがありましたね。
浜辺を歩いてる時の事でしたよね。
私の心臓がどんどん冷たくなって行く時、
私の言葉は、唯先輩をどんな気分にさせるんでしょうね。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:13:28.41 ID:m4Cy3p3C0
私の心臓がどんどん冷たくなって行く…。
冷たくなって行く…。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:14:27.16 ID:m4Cy3p3C0
あれ…?
遠くから誰かの声。
?「…ず…ん…」
誰?
あ…、私の頬に何か暖かい感触が…。
?「あずにゃん…、あずにゃん…」
梓「唯…、先輩…」
唯「あずにゃん…?」
私の目の前には涙を流して縋りつく唯先輩の顔が見える。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:20:41.64 ID:m4Cy3p3C0
唯「あずにゃん、良かった、良かったよぅ…」
澪「おい、梓が目を覚ましたみたいだぞ!」
律「梓!!」
紬「梓ちゃん…」
唯先輩でけでなく、皆が私を覗き込むようにしていた。
部屋の隅には、申し訳無さそうに立っているモップ頭とそれに声を掛ける憂が見えた。
純は涙を目にためて、本当にらしくない表情を浮かべてる。
純「梓…、ごめん…、なさい…」
私はクスリと笑ってちゃんと言い返してやる。
梓「純が殊勝な態度なんて明日はきっと雪だね…」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:27:29.69 ID:m4Cy3p3C0
・・・
インタビュアー「放課後ティータイムは各メンバーのソロ活動は活発ですし、またアルバムこそコンスタントに出していますが、既に、いえ最初から崩壊しているバンドと言う評も聞かれます」
律「私達の事を知らない音楽マスコミにはそう言う風に言わせておくさ。
そんな戯言に付き合ってる暇は私達には無いからさ」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:31:27.74 ID:m4Cy3p3C0
インタビュアー「確かにインディーズ時代にライブをやっていたと言う記録はありますけど、HTTとしてのライブは既に行っていませんし、また五人揃って表に出てくる事すらありませんよね?
特に中野梓に関しては、もはや、正規メンバーですら無いと言う意見も聞かれるようですが」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:33:22.57 ID:m4Cy3p3C0
澪「それは誰のどこで発表されてるもの?」
インタビュアー「いえ、ファンの間と言うかネットの…」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:39:44.98 ID:m4Cy3p3C0
紬「音楽マスコミの方々がその質問から何を引き出そうと考えているかは、分かりますけど、それに関して答えるつもりはありません。
ただ、私達は自分たちが大切にしているもののために、放課後ティータイムをスタジオワーク中心のバンドにするって決めたんです」
澪「誰が言い出した訳でも無い。そう、皆で話し合って決めたんだ」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:41:11.14 ID:m4Cy3p3C0
唯「だから、マスコミに何言われても平気だし。
それと、ファンの人には申し訳無いけど、ライブは今のところする予定は無いかな」
律「HTTでやることは特別なんだ。
ソロとはちょっと違う。
まあ、私は澪と組んでやるばっかだから純粋にソロと言う訳でも無いんだけどね(笑)」
・・・
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:45:43.47 ID:m4Cy3p3C0
唯「あの後、結局あずにゃんとは分かれることになっちゃったんだ。
でも、それで、二人とも傷付けあわないで済むなら、仕方ないかなって。
だって、やっぱり大事な人と傷付け合うんじゃ悲し過ぎるし。
でも、またよりを戻す事を諦めてる訳じゃないけどね、うん(笑)」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:50:05.03 ID:m4Cy3p3C0
憂「純ちゃんと話した事があります。
純ちゃんはその時『愛ゆえに、二人はまた引き裂かれていくんだね』みたいな格好付けた事いってましたね(微笑)」
純「いや、あれは憂が…、いえ、良いです…。
私はあの時から道化って役割を受け入れる事にしてますから(苦笑)」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:52:08.19 ID:m4Cy3p3C0
梓「先輩達には感謝してます。
私のために確実に夢の何割かを諦めさせてしまうのに、私の方を選択してくれたんですからね。
でも、そのことに対して以前のように後ろめたさみたいなものは感じていません」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 19:00:09.22 ID:m4Cy3p3C0
唯「変な言い方だけど、あのあずにゃんのアレがあったからわたし達は未だにバンドを組んでるだと思う。
そうでなければ今頃、お互いのエゴでバンドを解散させてたかも知れないよね。
だからって、あの頃あずにゃんの心を傷付けたことが許されるとは思って無いけどね」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 19:02:04.48 ID:m4Cy3p3C0
梓「え、今ですか?幸せですよ。
明日死ぬことになっても後悔しない、とかそんな事は言わないですけど(笑)
だって、今のこの緩やかな幸せがそこで途切れてしまう訳ですからね。
きっと、いつかは死ぬんでしょうけど、でも、それを出来るだけ先延ばしにしたいなって思うぐらいにね、ええ、それぐらいには幸せを感じてます」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 19:12:33.33 ID:m4Cy3p3C0
「Azunyan Is Lost Control」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 19:15:25.50 ID:m4Cy3p3C0
終わりです。
そしてあずにゃんは私の方に向き直ると手を取ってこう言うの。
「私、また自制心を失くしちゃいました」
私はそれがどうしてなのか知るよしもないし、理解する事も出来ない。
ただ、あずにゃんは「また抑えがきかなくなっちゃいました」と言うんだ。
悲鳴を上げ 地団駄を踏んで。
「私、また自制心を失くしてしちゃったんですよ」と。
そして、床に倒れ伏しちゃった。
あずにゃんが死んじゃったかと私は思った。
でも、あずにゃんはこう言うの。
「また抑えがきかなくなっちゃいました」
あずにゃんはまたコントロールを失くしてるみたい。
抑えが効かなくなっているみたいなの。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:22:01.57 ID:m4Cy3p3C0
私は憂に電話して症状を告げ、
「またあずにゃんの抑えがきかなくなったの」
と言わなくてはならなかった。
あずにゃんはそうやってすべての失敗と過ちを暴露するの。
そして「また抑えがきかなくなっちゃいましたね」と最後に言う。
そうやって、自制心を取り戻すまで、ずっとあずにゃんはいろいろな違ったやり方で、あずにゃん自身の事を表現してみせてくれる。
あずにゃんは逃げきれないギリギリのところまで歩いて、
「私、また抑えがきかなくなっちゃってたんですね」と笑った。
あずにゃんがまたコントロールを失くしてるよ。
抑えがきかなくなっているんだね。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:23:42.51 ID:m4Cy3p3C0
紬「梓ちゃんが最初の発作を起こしたのは、梓ちゃんが大学に入って『また一緒にやれるね」って皆の意気が上がってる時だったわ」
唯「最初、皆それが何かのパフォーマンスかと思ってた。私も『あずにゃん何か凄い!凄いよ!』って能天気に喜んじゃってた。今考えると、死にたくなる」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:24:54.89 ID:m4Cy3p3C0
澪「梓は結局バンドを続けるために強いトランキライザーで抑える事を選択したみたいだった。
なんで『だった』かって言うと、その時は私達全員がそこまでの事だって分からなくて…」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:26:41.41 ID:m4Cy3p3C0
律「今考えれば、梓が悩んでた事は、分かってたと思うんだ。
ただ、その深刻さに梓自身も含めて気付けなかった、って言うのかな」
紬「でも、医者からは、『激しい高揚するような状態は厳禁だ』って言われてたみたいなの。
きっと『それだけリスクを抱える事になるんだよ』って言われてたんだと思うの。
ちょっと考えれば当たり前の事なのにね、私達全員が軽く考えてた」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:28:12.76 ID:m4Cy3p3C0
澪「成人のてんかんについて調べてみたらね、平均寿命は40歳ぐらいだって。
その死亡理由は事故死や自殺も多いって言うんだ」
梓「先輩達みんなが、がっかりしてたのが手に取るように分かりました。勿論、私自身もですけど。
だって…、これが自分の道だって思って、でもそれが急に、その事のせいで私の寿命が縮まりますよって…、酷い話ですよね…」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:29:37.83 ID:m4Cy3p3C0
純「梓がステージ上で発作を起こしちゃった日の事は良く覚えてる。
ライブを中止にして、皆でバックステージに運び込んだんだ。
もう、その時には発作は治まっていたみたいなんだけど…。
うん、梓が凄い泣きだしたのが印象的だった。
何か、自分の事を恥じてるみたいで、胸が引き裂かれそうになったんだ…。
あの日の事思い出すと、今でも辛い気分になるよね」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:31:51.31 ID:m4Cy3p3C0
憂「ライブを途中で中止しちゃった事で客が凄い怒ってましたね。
で、その事に対して律さんが逆に腹を立てて、友達の事を思っての事なので、それは当然の事だと思うんですけど、ステージに投げ込まれたボトルを思いっきり投げ返したんですよね。
それが最前列のファンの頭に当たって、その人が血出して倒れて…。
そしたら、ライブハウス全体が暴動みたいになってしまったんです。
紬さんがキーボードを振り回してステージに登って来る客を叩いて落してたのが、不謹慎な事だと思うんですけど、モグラ叩きみたいでおかしいなって、隅で怯えながら見てました」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:33:44.13 ID:m4Cy3p3C0
唯「あの頃、あずにゃんと一緒に住んでたんだけど、あずにゃんの発作の事や、バンドのこれから先の事とか色々考えなくちゃいけな事がたくさんあり過ぎて、凄いストレスを感じてた。
だから、お互いに文句ばっか言って、すぐ喧嘩みたいになっちゃってたんだ。
その事がまたあずにゃんのストレスになっちゃって…。
あの時は何で、あんなに優しく出来なかったんだろうって、今でも思い出しても凄い後悔する」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:36:45.17 ID:m4Cy3p3C0
律「あの当時、梓と唯は同棲してて、でも、唯は梓の事とか、その事が引き起こすバンドの問題とかで、一杯一杯だったんだ。
それは勿論、私も澪もムギも一緒だったんだけど、一緒に住むのと、ミーティングで顔を合わせるだけってのじゃ、そこにある摩擦も段違いでさ。
だから、私達の前ではそうでも無かったけど、唯と梓二人だけの時は結構口論とか多かったみたいなんだ。
二人から、それぞれ相談されたりもしたけど…、どっちの気持ちも分かるから、どっちに味方したら良いかも分からないって言う感じで、お為ごかしみたいな事しか言えなかった」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:38:35.71 ID:m4Cy3p3C0
紬「二人の同棲生活は駄目になりかけてたの。
梓ちゃんは、ああ言う状況だったから、あまり外にも出ないで半分引き籠りみたいになってたし、唯ちゃんも梓ちゃんのいる家に帰りたく無いからって、純ちゃんの家に入り浸りになってて。
勿論、唯ちゃんと純ちゃんが、浮気してたかどうかは分からないけど、ただ、梓ちゃんはそう思ってたみたい。
普通はそう思ってしまうように」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:40:24.21 ID:m4Cy3p3C0
澪「梓から、何度か相談されてたんだ。
『バンド辞めて中古盤屋を田舎に開いて、そこでギター教室かなんかをやりながらだったら、唯先輩との生活もこんなに大きなストレスにならないですよね?』って。
私は答えられなかったけどね、梓の中では答えは出てたんじゃないかな」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:42:42.01 ID:m4Cy3p3C0
唯「あずにゃんは、私達が言えば何でもその通りに受け入れてくれてたよ。
私達は良く、『あずにゃんはどうしたい』って聞いてたけど、そう聞かれた時、あずにゃんはきっと私達が言って欲しい言葉を考えて答えてたんだろうね。
今になれば分かるけど」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:44:33.00 ID:m4Cy3p3C0
澪「私達は皆傲慢だったんだと思う。
勢いづいていたバンドを止めない事が第一で、だから、梓の事は二の次でって。
梓もそれに賛同してくれてたけど、ああ言う風に中にいたら、自分自身の気持ちであっても、そんなコントロールなんて効く訳無かったと思うよ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:46:04.98 ID:m4Cy3p3C0
純「あの時はもううんざりしてた。
唯先輩の事は…、いや、それよりも、ちゃんと私に不満を伝えてくれない梓にも。
だって、梓とは友達なのにさ。
そんなこんなでくたくたで、でも、唯先輩は愚痴を私に言うばかりだったし」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:50:01.42 ID:m4Cy3p3C0
憂「お姉ちゃんは梓ちゃんとの良い思い出の事があるから、特に嫌だったんだと思う。
何もかも、遠くに押しやってしまいたかったんじゃないかな。
純ちゃんには気の毒だと思うけど、そのためだけに選ばれたんだろうなって思ってました。
私には何も出来ないって事は辛い事でしたけど、姉妹って言う事でそれは仕方の無い事だよねって、自分を慰めたりしましたね」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:52:04.08 ID:m4Cy3p3C0
律「あの日、梓から電話があったんだ。
『明日、三人で会うんだけど、どうしたら良いんでしょうか?』って。
『取り合えずは相手の気持ちじゃ無くて、自分の思いを吐き出してみろよ』って言ったのを覚えてる。
唯には私達がいるし、梓にも私達がいるって言う軽い気持ちからだったんだけどね。
後になれば、少し能天気過ぎたかな、って思う」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:54:36.73 ID:m4Cy3p3C0
梓「私は不幸でいる事を楽しんでたかも知れないんです。不幸に溺れてたって言うか」
純「梓のあの頃の精神状態を『ああ、恋愛関係における~だね』って済まされると言うのはちょっと納得いかないかな。
私が当事者だったって言うのもあるんだけど、梓が自分自身にシナリオ付けしてしまったって言う事にも問題があったのは事実だと思うんだ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 17:59:31.41 ID:m4Cy3p3C0
紬「同棲生活が駄目になったのと、てんかんを抑え込むために大量のバルビツール酸系の薬を飲んでたのが良く無かったと思うの。
私、後々に調べてみて、あの薬を大量摂取する事は本当に良くないって言う医学的研究も見つけたりして、本当にゾッとした。
感情の振り幅が大きくなって、笑った次の瞬間には怒るとか、そんな感じになってしまうんだって書いてあったの。
体調を崩して、人間関係を壊して、それで精神的におかしくしてしまうって、まさに梓ちゃんの場合と一緒じゃない、って」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:00:40.05 ID:m4Cy3p3C0
澪「ミーティングがある日に梓が現れなかったんだ。
いつもは皆より早く来てたのに、律がいつもみたいに約束時間から少し遅れてやって来て、それなのに梓が来ないから、どうしてだろうって思ってたんだ。
律は唯に『昨日三人であったんだよな?』とかって聞いても、唯も不機嫌そうな顔して答えなかったから、ちょっと二人の間は険悪になってた。
それで、私とムギはちょっと嫌な空気だなって話してたのを覚えてる」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:01:57.25 ID:m4Cy3p3C0
紬「そうしたら、唯ちゃんの携帯に梓ちゃんの携帯番号から電話が掛かって来たの」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:03:20.73 ID:m4Cy3p3C0
律「唯は最初出ようとしなかったから、私が引っ手繰って無理矢理通話ボタンを押したんだ。
最初、唯は『はい、なんですかー』みたいな感じで凄くぞんざいな口をきいてたんだけど、途中からどんどん深刻そうな口調になっていって、顔色も真っ青になってっいってた」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:04:12.46 ID:m4Cy3p3C0
紬「唯ちゃんは、電話を切った後、りっちゃんが『唯、どうしたんだ?!』って聞いても最初返事出来ないぐらい憔悴してた」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:05:41.13 ID:m4Cy3p3C0
澪「唯が急に涙を流して『あずにゃんが…、わたしのせいだぁ!!』って言って泣き出したから、どうしたんだろうって訳が分からなかったよ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:06:53.03 ID:m4Cy3p3C0
律「唯はもう途中からほとんど何を言ってるのか分からなかったんだけど、梓が自殺未遂を起した事だけは理解出来た」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:08:12.34 ID:m4Cy3p3C0
唯「あずにゃんが手首を切ってるのを最初に発見したのは憂なの。
それで、あずにゃんの携帯から電話をくれて…。
私はどうしたら良いか分からなくなって、何も出来なかった。
りっちゃんが『取り合えず病院へ行かないとな』って言ってくれなかったら、私はびびっちゃって顔も出せなかったと思う」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:09:26.96 ID:m4Cy3p3C0
どんな気分で唯先輩は私を扱っていたんでしょう?
私に手を掛けて、私がどんな人間かって告げてる時に。
私と唯先輩の間にすれ違いがありました。
その時、唯先輩の言った言葉が思い出されます。
今の私がどんな気分か分かりますか?
出来たら唯先輩の口から、今の私の気分がどんな感じか聞いてみたかったです。
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:10:14.35 ID:m4Cy3p3C0
先輩達は、過去から終末まで続く、休暇をずっと生きて行くんでしょうね。
先輩達は立ち去って、もう二度と戻っては来ないかも知れないと思ってます。
私は未だに、言うべきことを言うという事は、とても難しい事だと思ってます。
でも、私は絶対信じています 唯先輩が教えてくれるのを。
私が今日一日、どんな気分で過ごせば良いかって事を。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:11:06.84 ID:m4Cy3p3C0
ねえ、一艘の船が港に係留されてるのが見えるんです。
私はついて行けますし、また実際、ついて行こうと思ってました。
でも仮に、唯先輩自身の不幸によるものでは無かったのだとしても
私は今日、天国の住人なれるような気がします。
ええ、今、私と唯先輩の間にすれ違いがあった事が思い出されます。
唯先輩の言った言葉が思い出されます。
今の私がどんな気分か分かりますか?
出来たら唯先輩の口から、今の私の気分がどんな感じか聞いてみたかったです。
私はここに立ったまま、待っていますから。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:11:52.86 ID:m4Cy3p3C0
私が唯先輩に「放っておいて下さい」と言ったことがありましたね。
浜辺を歩いてる時の事でしたよね。
私の心臓がどんどん冷たくなって行く時、
私の言葉は、唯先輩をどんな気分にさせるんでしょうね。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:13:28.41 ID:m4Cy3p3C0
私の心臓がどんどん冷たくなって行く…。
冷たくなって行く…。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:14:27.16 ID:m4Cy3p3C0
あれ…?
遠くから誰かの声。
?「…ず…ん…」
誰?
あ…、私の頬に何か暖かい感触が…。
?「あずにゃん…、あずにゃん…」
梓「唯…、先輩…」
唯「あずにゃん…?」
私の目の前には涙を流して縋りつく唯先輩の顔が見える。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:20:41.64 ID:m4Cy3p3C0
唯「あずにゃん、良かった、良かったよぅ…」
澪「おい、梓が目を覚ましたみたいだぞ!」
律「梓!!」
紬「梓ちゃん…」
唯先輩でけでなく、皆が私を覗き込むようにしていた。
部屋の隅には、申し訳無さそうに立っているモップ頭とそれに声を掛ける憂が見えた。
純は涙を目にためて、本当にらしくない表情を浮かべてる。
純「梓…、ごめん…、なさい…」
私はクスリと笑ってちゃんと言い返してやる。
梓「純が殊勝な態度なんて明日はきっと雪だね…」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:27:29.69 ID:m4Cy3p3C0
・・・
インタビュアー「放課後ティータイムは各メンバーのソロ活動は活発ですし、またアルバムこそコンスタントに出していますが、既に、いえ最初から崩壊しているバンドと言う評も聞かれます」
律「私達の事を知らない音楽マスコミにはそう言う風に言わせておくさ。
そんな戯言に付き合ってる暇は私達には無いからさ」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:31:27.74 ID:m4Cy3p3C0
インタビュアー「確かにインディーズ時代にライブをやっていたと言う記録はありますけど、HTTとしてのライブは既に行っていませんし、また五人揃って表に出てくる事すらありませんよね?
特に中野梓に関しては、もはや、正規メンバーですら無いと言う意見も聞かれるようですが」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:33:22.57 ID:m4Cy3p3C0
澪「それは誰のどこで発表されてるもの?」
インタビュアー「いえ、ファンの間と言うかネットの…」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:39:44.98 ID:m4Cy3p3C0
紬「音楽マスコミの方々がその質問から何を引き出そうと考えているかは、分かりますけど、それに関して答えるつもりはありません。
ただ、私達は自分たちが大切にしているもののために、放課後ティータイムをスタジオワーク中心のバンドにするって決めたんです」
澪「誰が言い出した訳でも無い。そう、皆で話し合って決めたんだ」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:41:11.14 ID:m4Cy3p3C0
唯「だから、マスコミに何言われても平気だし。
それと、ファンの人には申し訳無いけど、ライブは今のところする予定は無いかな」
律「HTTでやることは特別なんだ。
ソロとはちょっと違う。
まあ、私は澪と組んでやるばっかだから純粋にソロと言う訳でも無いんだけどね(笑)」
・・・
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:45:43.47 ID:m4Cy3p3C0
唯「あの後、結局あずにゃんとは分かれることになっちゃったんだ。
でも、それで、二人とも傷付けあわないで済むなら、仕方ないかなって。
だって、やっぱり大事な人と傷付け合うんじゃ悲し過ぎるし。
でも、またよりを戻す事を諦めてる訳じゃないけどね、うん(笑)」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:50:05.03 ID:m4Cy3p3C0
憂「純ちゃんと話した事があります。
純ちゃんはその時『愛ゆえに、二人はまた引き裂かれていくんだね』みたいな格好付けた事いってましたね(微笑)」
純「いや、あれは憂が…、いえ、良いです…。
私はあの時から道化って役割を受け入れる事にしてますから(苦笑)」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 18:52:08.19 ID:m4Cy3p3C0
梓「先輩達には感謝してます。
私のために確実に夢の何割かを諦めさせてしまうのに、私の方を選択してくれたんですからね。
でも、そのことに対して以前のように後ろめたさみたいなものは感じていません」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 19:00:09.22 ID:m4Cy3p3C0
唯「変な言い方だけど、あのあずにゃんのアレがあったからわたし達は未だにバンドを組んでるだと思う。
そうでなければ今頃、お互いのエゴでバンドを解散させてたかも知れないよね。
だからって、あの頃あずにゃんの心を傷付けたことが許されるとは思って無いけどね」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 19:02:04.48 ID:m4Cy3p3C0
梓「え、今ですか?幸せですよ。
明日死ぬことになっても後悔しない、とかそんな事は言わないですけど(笑)
だって、今のこの緩やかな幸せがそこで途切れてしまう訳ですからね。
きっと、いつかは死ぬんでしょうけど、でも、それを出来るだけ先延ばしにしたいなって思うぐらいにね、ええ、それぐらいには幸せを感じてます」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 19:12:33.33 ID:m4Cy3p3C0
「Azunyan Is Lost Control」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/21(木) 19:15:25.50 ID:m4Cy3p3C0
終わりです。
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