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律「秋山澪の秋」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:49:54.93 ID:GtkdVVSMP [1/55]
放課後、軽音部部室
唯「落ち葉が舞い散ってるよ」
紬「秋だものね」
唯「切ないね、なんだか」
紬「人恋しくなるわよね」
唯「ムーギちゃん♪」 きゅっ
紬「あらあら♪」
放課後、軽音部部室
唯「落ち葉が舞い散ってるよ」
紬「秋だものね」
唯「切ないね、なんだか」
紬「人恋しくなるわよね」
唯「ムーギちゃん♪」 きゅっ
紬「あらあら♪」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:50:46.86 ID:GtkdVVSMP
律「年中春だな、あいつは」
澪「でも詞を書くには良い時期だぞ。イメージが湧きやすい」
律「そんな物かね。私は食欲の秋ってイメージだけどな」
澪「それはそれでありだろ。私達の歌も、それにまつわる物が多いし」
律「だったら、お前を食べちゃうぞー」
澪「はいはい」
律「ちぇー。そこは、無理して乗れよな」
澪「全く」 くすっ
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:51:39.54 ID:GtkdVVSMP
梓「済みません、遅れました」
唯「あずにゃん。すっかり秋が深まったね」
梓「急になんですか」
唯「舞い散る落ち葉に、漂う鰯雲に。私は秋を感じ取ってるんだよ」
梓「ああ。そういうのは、分かります。夏とは匂いが違うというか」
唯「あずにゃんはどんな匂い?」 くんかくんか
梓「意味が違います」
唯「でも良い匂いだよ」 にこっ
梓(いやいや。私よりも、唯先輩の方が♪) くんかくんか
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:52:30.67 ID:GtkdVVSMP
澪「秋、秋、秋。読書の秋、芸術の秋」
律「秋山澪の秋」
紬「ああ、なるほどっ」 ぽんっ
澪「いや。そんなに反応する事でも無いから」
梓「後はやっぱり食欲の秋ですか」
律「私達は年中って気もするけどな」
梓「それはあるかもです」
唯「ひらめいたっ」
梓(絶対曲や歌詞じゃないな)
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:53:21.13 ID:GtkdVVSMP
唯「秋と言えば、舞い散る落ち葉。落ち葉はその後どうなると思う?」
澪「業者が集めて、可燃ゴミとして燃やされるだろ」
紬「でも森の落ち葉は腐葉土になって、栄養になるのかしら」
律「たまに、澪の歌詞にもなるだろ」
梓「上手い事言いますね」
律、澪、紬「あはは」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:54:14.21 ID:GtkdVVSMP
唯「全く。みんな、何も分かってないね」 ちっ、ちっ、ちっ
律「多分お前が一番分かってないだろうけど、一応聞くか。それで、何になるんだ?」
唯「落ち葉、秋、それは食欲の秋。となれば?」
紬「・・・焼き芋?」
唯「そう。ベタだけど、一周回ってむしろ新鮮。良いアイディアでしょ」
澪「確かに、意外と否定しにくいな」
紬「私賛成。大賛成っ♪落ち葉で焼くなんて、すごい楽しそうじゃない?」 きらきら
律「まあ、それはそうだけどさ。昔町内会でやった時は、結構大変だったぞ」
梓「そもそも、落ち葉を集めないと話になりませんしね」
唯「それも込みでの、焼き芋大会だよ」
律「いつから大会になったんだよ、おい」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:55:06.80 ID:GtkdVVSMP
唯「という訳で澪ちゃん、計画表をお願いします」
律「丸投げかよ、おい。・・・しゃーない。さわちゃんに、たき火をやって良いか聞いてくるよ」
紬「だったら、私も」
梓「では、私も一応」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:55:58.86 ID:GtkdVVSMP
職員室
さわ子「落ち葉で焼き芋?最近は消防法で、そういうのはうるさいのよ」
紬「消防法、ですか」
さわ子「後は、環境問題がね。落ち葉を燃やすと、ダイオキシンが発生するんですって」
律「そ、それって猛毒なんじゃ。だったら、焼き芋やるのも命がけって事?」
紬「でも命を懸ける価値があるからこそ、唯ちゃんは焼き芋を提案したのかも知れないわよ」
律「くっ、唯の野郎。お前一人だけに、良い恰好をさせはしないぜっ」
さわ子「その芝居のオチは知らないけど、たき火くらいでは大丈夫なんですって」
律「あ、そうっすか」
紬「うふふ」
さわ子「許可は取っておくから、火の始末にだけは気を付けてね」
梓(わずかにもついて行けなかったな、今の会話には)
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:56:53.10 ID:GtkdVVSMP
軽音部部室
澪「必要な物は着火剤とバケツ。後は落ち葉。それとサツマイモか」
唯「ヨーロッパだと、秋にジャガイモを焼くんだって」
澪「ジャガイモか。それも良いな」
唯「たき火って良いよね。温かくて、ほんわかしてて」
澪「確かに雰囲気が良いな。なんだか、子供の頃を思い出す」
唯「澪ちゃんは、どんな子供だったの?」
澪「本ばかり読んでて、引っ込み思案で。あまり今と変わってないかな」
唯「そかな」
澪「・・・変わったとしたら、律に出会ったからかも知れない」
唯「りっちゃんに?」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:57:46.17 ID:GtkdVVSMP
澪「あいつには色々迷惑を掛けられてるけど、それよりも沢山助けてもらってる。
律に出会ってなければ、私は今でも部屋にこもって本を読んでるはずだ」
唯「大丈夫だよ。その時は私とムギちゃんとあずにゃんが、りっちゃんと一緒に迎えに行くから」
澪「どうやって私の家まで来るんだよ」
唯「そこは、軽音部としての絆を頼ってだよ」
澪「多分その時点では、軽音部じゃないぞ」
唯「たはは。そか、そか」
澪「全く」 くすっ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:58:38.21 ID:GtkdVVSMP
廊下
梓「律先輩って、澪先輩と小学校の頃から友達なんですよね」
律「何だ、急に」
梓「いや。私達とはちょっと付き合いの深さが違うと思って」
律「元々、私が一方的に澪へまとわりついてたからな。それが今に至る訳さ」
紬「でも良いわよね。何の気兼ねもなく、心から付き合える関係って」
律「私はムギとも梓とも、唯とも。みんなと心から付き合ってるよ」
紬「りっちゃん♪」
梓(うわ、輝いてる♪おでこ、輝いてる♪)
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:59:37.31 ID:GtkdVVSMP
軽音部部室
律「おーい、戻ったぞー」
澪「お帰り。どうだった?」
律「たき火くらいなら構わないってさ。こっちはどうだ?」
澪「必要な道具と手順を書き出した。後は生徒会で、道具を借りて来ないと」
律「おし。行ってくる」
梓「妙に息が合ってますね」
唯「夫婦みたいだね」
紬「うふふ♪」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:00:28.88 ID:GtkdVVSMP
生徒会室
和「・・・たき火?あなた達、一体何部なの?」
唯「まあまあ。和ちゃんも好きでしょ、焼き芋」
和「嫌いじゃないけど。大体たき火ってどうなのよ」
唯「私は燃える女だよ」
和「初めて聞いたわ、そんな話」
梓「こっちはこっちで、絶妙に噛み合ってますね」
律「夫婦というか、親子だな」
紬「うふふ♪」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:01:20.67 ID:GtkdVVSMP
正門前、街路樹
唯「よーし、やるぞー」
紬「おー」
律「妙にやる気だな。それに、どのくらい集めれば良いんだ?」
唯「多ければ多い程良いって」
澪「そんなに落ちてないぞ、ここ」
梓「というか、ちょっと寒いですね」
唯「何言ってるの、あずにゃん。私達は、たき火のように燃え上がるんだよ」
律「随分ささやかだな、おい」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:02:19.11 ID:GtkdVVSMP
30分後
梓「それ程集まりませんね」
澪「元々木が少ないし、風で飛ばされるからな」
律「根本的に失敗って事か」
唯「う」
澪「・・・それか、他の場所を探すかだ」
律「という訳なんだが、どうする」
唯「良いの?」 おずおず
澪「当たり前だろ」 撫で撫で
唯「澪ちゃーん♪」
律「全く」 くすっ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:03:11.54 ID:GtkdVVSMP
澪「公園もそれ程落ちているイメージはないし」
律「そう考えると結構難しいな」
紬「・・・あそこ。ほら、この前のマラソン大会で走った坂の」
澪「ああ、確かに林があったな」
紬「あそこなら、すぐに集められると思うの」
律「グッドアイディアだ。唯、それで良いか」
唯「ありがとー、みんなありがとー」
梓(なんだかんだと言って、みんな優しいな)
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:04:35.70 ID:GtkdVVSMP
夕方 街外れの林
唯「おお。ここはまさにエルドラドッ」
律「いや。落ち葉が落ちてるだけだし」
澪「でも夕日を浴びて、黄金色に輝いて見えなくもないぞ」
律「詩人だな、おい。ただ今日は遅いし、集めるのは明日にしようぜ」
紬「でも明日、お休みよ」
唯「だったら、朝から集まろうよ。ね」 にこっ
梓(この笑顔を見せられて、断れる訳がない) にこっ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:05:27.05 ID:GtkdVVSMP
夜 平沢家リビング
唯「・・・という訳で、明日は落ち葉狩りを行います」
憂「そうやって言うと、風情があるね」
唯「憂も一緒に集めようよ。大勢で食べる焼き芋は、ものすごく美味しいよ」
憂「ありがとう。でも明日は、純ちゃんと用事があるの」
唯「そか、残念だな。・・・明日、晴れるかな」
憂「お姉ちゃんが楽しみにしてるのなら、絶対良い天気になるよ。・・・今から、てるてる坊主作ろうか?」
唯「分かった。頑張ろうね、憂♪」
憂「お姉ちゃん♪」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:07:01.80 ID:GtkdVVSMP
翌朝 街外れの林
律「だからてるてる坊主を、首からぶら下げてる訳か」
唯「お陰で良い天気だよ」
律「つくづく幸せな姉妹だな」
澪「風も気持ちいいし、空は高いし。あー」
紬「何もしてないのに、幸せな気分になれるわね」
澪「ああ。たまにはこういう時の過ごし方も良いな」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:07:52.25 ID:GtkdVVSMP
唯「まったりムードはここまでっ。頑張って、落ち葉を集めようっ」
梓「焼き芋も待ってますしね」
唯「その通り。みんなで落ち葉を集めて、みんなでたき火を囲んで、みんなで焼き芋を食べる。
こんな幸せな事は、もう二度とないかも知れないよ」
梓「唯先輩は大げさなんですよ。でも澪先輩が言ったように、秋の空気は良いですね」
唯「良いよねー、秋は。小さな秋はどこに隠れてるのかな。この木の皮の裏側かなー?」
梓「・・・そういう所は、絶対見ない方が良いですよ」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:08:44.03 ID:GtkdVVSMP
唯「あ、松ぼっくり」
紬「しみじみ、秋ねー」
唯「これに火が付いたら大変だね」
澪「それは焼けぼっくいだろ」
紬「だったら、松ぼっくりに火を点けても大丈夫?」
梓「乾燥してたら大丈夫らしいです」
紬「してなかったら?」
梓「大惨事になると思います」
紬「焼けぼっくいと同じね♪」 にこっ
梓(何故、笑顔)
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:09:41.38 ID:GtkdVVSMP
唯「わっせ、わっせ」
紬「よいしょ、よいしょ」
律「張り切ってるな、あいつら」
澪「見てないで、律も早く集めろ」
律「へいへい。・・・これって一人で入れるより、袋を広げる係と詰める係に分担した方が良くないか」
澪「なるほど」 かぱっ
律「よいしょ、よいしょ。・・・・そこは、「わっせ、わっせ」だろ」
澪「・・・わっせ、わっせ」
律「あははー。よいしょ、よいしょ♪」
澪「全く。わっせ、わっせ♪」
梓(見てらんないな、これは) かー
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:10:36.95 ID:GtkdVVSMP
唯「わっせ、わっせ」
紬「唯ちゃん、こっちに落ち葉が飛んで来てるー」
唯「ムギちゃんの落ち葉も飛んで来てるよ」
紬「えーい♪」
唯「えーい♪」
梓(こっちはこっちで満喫してるな)
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:11:31.63 ID:GtkdVVSMP
唯「ふー。結構集まったね」
梓「唯先輩、頭に落ち葉が付いてますよ。ムギ先輩も」 ちょいちょい
唯「あずにゃん、ありがとー」
梓「二人とも、はしゃぎ過ぎです」
紬「梓ちゃんの頭にも付いてるわよ」 そっ
梓「あ。ど、どうもです」 かー
唯「あずにゃんも紅葉してるね」 にこっ
梓「もう、唯先輩は」 くすっ
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:12:41.33 ID:GtkdVVSMP
桜が丘高校 正門
唯「とーちゃーく」
律「やっと着いたか」
梓「袋を背負いながらでしたからね」
澪「私は強烈に恥ずかしかったぞ」
紬「でも、なんだか楽しかったじゃない。サンタさんみたいで」
律「前向きな奴め。今時サンタでも、プレゼントはネット通販だぞ」
唯「そかな?私の家は、いつも起きた時に枕元へ置いてあるよ」
梓(ういーっ)
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:13:35.02 ID:GtkdVVSMP
水飲み場前 空き地
澪「場所はここ。とにかく、火の始末には気を付けてくれよ」
唯「了解です、隊長」 びしっ
澪「隊長っ♪」 びしっ
澪「誰が隊長だ。まずは地面に穴を掘って、そこにサツマイモを入れるんだ」
唯「結構手順があるんだね」
紬「琴吹、穴を掘らせて頂きます」
澪「琴吹隊員、無理はするなよ」
律「乗ってきたな、おい」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:14:26.52 ID:GtkdVVSMP
紬「このくらいで良いかしら」
澪「大丈夫だろ。次はサツマイモを新聞紙で包んで、水を掛ける」
梓「そのまま入れないんですか」
澪「それだと、生焼けになるらしい」
唯「・・・ほら、皆既日食だって。この間だと思ってたのに、もうずっと前の事なんだね」
律「古い新聞読むのって楽しいよな」
澪「良いから、仕事しろよ」
唯「まあまあ。ほら、ビートルズ来日だって」
紬「ドリフが前座をしたっていう?」
澪「へぇ」
律「結局自分も読むのかよ。でもって、いつの新聞なんだよ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:15:19.22 ID:GtkdVVSMP
澪「穴にサツマイモを埋めて、落ち葉を掛けて。……後は火を付けるだけだ」
紬「私っ、私やりますっ」 びしっ
澪「危ないから、気を付けろよ」
紬「了解です、隊長」 びしっ
梓「ムギ隊員・・・。ムギ先輩、髪が掛かると危ないですから、後ろで束ねますね」
紬「ありがとう、梓ちゃん♪」
澪「梓も長いだろ。私が後ろで束ねてやるよ」
梓「あ、ありがとうございます」
唯「澪ちゃんも長いじゃない。私が後ろで束ねるよ」
澪「ああ、ありがとう」
律「何なんだ、この光景は」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:16:22.03 ID:GtkdVVSMP
唯「りっちゃん、りっちゃん」
律「しゃーないな。唯の髪はって、掴み所がないじゃん」
唯「たはは」
澪「なんだよ、それ」
梓「もう、二人とも何やってるんですか」
律「いやいや、お前らに言われても」
紬「うふふ♪・・・では、火を点けまーす」 カチカチッ
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:17:14.30 ID:GtkdVVSMP
ぼーっ。
唯「おお、すぐ点いたね」
澪「新聞も混ぜたからな。後は見てれば良いだけだ」
紬「暖かいわねー」
律「たき火って、妙に和むよな」
梓「はいです」
ぼー。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:18:08.28 ID:GtkdVVSMP
唯「ずっとこうしてたいね」
澪「そうは言ってもな」
唯「たはは、そか」
澪「今は綺麗で暖かくても、燃やせば消える。そういう事だ」
紬「そう思って見てると、ちょっと切ないわね」
唯「でも私達は、ずっと一緒だよ」
紬「唯ちゃん」
律「この野郎。きれいにまとめやがって」 がしっ
唯「りっちゃん、痛ーい♪」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:18:59.98 ID:GtkdVVSMP
梓「・・・消えてきましたよ」
澪「この後は熾火。消し炭になった灰の熱でゆっくり焼くんだ」
梓「華やかな時は一瞬ですね」
律「梓もおセンチになってるな」
梓「べ、別にそういう訳じゃ。ただあれだけ枯れ葉があったから、もう少し燃えてるかと思って」
唯「人生とは、とかく儚い物なのだよ。祇園精舎はインドのお寺なんだよ」
紬「うわー、思わずアンコールワットと勘違い♪」
紬「1ミリたりとも、意味が分からん」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:20:00.00 ID:GtkdVVSMP
唯「焼き芋、焼けたかな」 ごそごそ
律「一気に即物的だな、おい」
唯「・・・まだ固いね」
澪「じっくりゆっくり、時間を掛けて焼くんだよ」
唯「まだかな、まだかな♪」
律「子供か、お前は」
紬「でもこうして待ってる時間も、また楽しいわよね」
唯「まなかな、まなかな♪」
梓(何故、双子)
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:20:52.96 ID:GtkdVVSMP
澪「・・・そろそろいいんじゃないか」
唯「隊長。私がやってもよろしいでしょうか」
澪「よし、気を付けて作業に当たれ」
律「ノリノリだな。というか、結構灰が舞うな」
紬「唯ちゃん、まだ熱いから気を付けてね」
唯「可愛いお芋ちゃんのためなら、私は平気だよ」
梓「その可愛いお芋ちゃんを、今から食べる訳ですか」
律「・・・まあ、その辺は突っ込むな」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:21:48.80 ID:GtkdVVSMP
唯「出てきたよ。あったか、ほかほか。お芋ちゃんが出てきたよ」 ごろごろん
律「おー、何か良い感じ」
唯「中まで焼けてるかな。・・・あちあち」
律「何やってるんだよ。・・・あちあちっ
梓「冬のニュースで、こんなお猿さんを見ますよね」
紬「・・・あちあち」
梓(わざとやってるし。しかも、可愛いし)
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:22:42.94 ID:GtkdVVSMP
澪「後は新聞紙に包んで食べるだけだ」
唯「へへ」 ごそごそ
梓「食べないんですか?」
唯「これは家に持って帰って、憂と一緒に食べるんだー♪」
紬「唯ちゃんは、本当に憂ちゃんの事大切に思ってるのね」
唯「だって妹だもん♪」 にこっ
澪「だってさ」
律「なんだよ、もう。はいはい、私も聡に持って帰るよ」
澪「私も、ママ・・・。お母さんに持って帰ろうかな」
梓(思い切り自爆したな)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:23:56.69 ID:GtkdVVSMP
律「じゃ、食べるぞ。頂きまーす」 ぱんっ
唯、澪、紬、梓「頂きまーす」 ぱんっ
澪「・・・わ」 ぱかっ
律「旨そうだなー」 ほかほか
紬「では早速」 ぱくり
梓「あふっ」 はむはむ
唯「・・・んまいっ♪」 にこっ
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:26:02.27 ID:GtkdVVSMP
唯「あったか、ほかほか。甘くてしっとりしてて、美味しいね-」
律「案外あなどれんな、サツマイモの奴も」
澪「・・・でも太らないか、これ」
紬「ほ、ほら。甘い物は別腹って言うじゃない」
梓「もう一段階、お腹が出てくるって事なんですかね・・・」
唯「私は食べても食べても太らないけどね」 にこっ
梓(憎い、今はその笑顔が憎い)
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:27:03.75 ID:GtkdVVSMP
さわ子「みんな、やってるわね」
唯「あ、さわちゃん。どうして学校にいるの?」
さわ子「今日は当直なのよ。大人になれば、土曜も日曜も関係無くなるのよ」
紬「まあまあ。ほら、さわ子先生も食べて下さい」
さわ子「良い感じに出来たみたいね。・・・んー、何か懐かしい味がするわ」
律「疎開先で食べた味ってか?だははー」
さわ子「玉砕覚悟とは良い度胸だな、デコッパチ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:28:12.76 ID:GtkdVVSMP
律「あー、ひどい目に遭った」
澪「自業自得だ。・・・あれ、和?
和「生徒会の用があって、来てたのよ。結局本当にやったのね、たき火」
唯「あったかほくほくで美味しいよ。はい、和ちゃん」
和「ありがとう。・・・ん、本当に美味しいわ」
唯「秋って味だよね-」
和「唯らしい感想ね」 くすっ
唯「そかな、たはは」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:29:20.49 ID:GtkdVVSMP
律「後片付けは良いかー」
澪「灰には水を掛けて、道具は返して。ゴミも捨てた。後は帰るだけだ」
紬「楽しかったわねー」
梓「それに、美味しかったです」
律「ま、焼き芋大会は大成功って事か。唯、良かったな」
唯「まだ終わってないよ」
律「へ?」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:30:37.31 ID:GtkdVVSMP
学外、急な坂
律「どこまで行くんだよ」
紬「・・・こっちって、もしかして」
唯「もうすぐだよ」
梓「坂、きついですね」
澪「なるほど、な」
梓「何がですか?」
澪「うふふ♪」
梓(何故、ムギ先輩風)
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:31:39.83 ID:GtkdVVSMP
街外れの林
律「おお、ここはまさにエルドラドッ」
澪「真似るなよ。・・・、落ち葉を集めた林か」
唯「そだよ。やっぱり、ここにはお世話になったからね。ちゃんとお礼を言わないと」
紬「うふふ♪ありがとうございまーす」
律「礼儀正しいな、おい」
梓「大体、そういう意味だったんですか?」
唯「もう、あずにゃんはクールなんだから。でもそこが、いいところ♪」 きゅっ
梓「ちょ、ちょっと。こんな所で抱きついたら」 ふら
唯「え?」 ふらふら-、ぱたんっ
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:32:45.50 ID:GtkdVVSMP
澪「お、おい。大丈夫か」
唯「たはは、倒れちゃった」
紬「下か落ち葉だったから良かったのね」 ほっ
唯「本当、落ち葉様々だね」
律「その落ち葉を燃やしたんだろ、おい」
梓「そうですよ。もう、唯先輩は」
唯「ごめん、ごめん。でもこうしてると、ちょっと気分良いね」 ごろーん
梓「まあ、否定はしませんけど」 ごろにゃーん
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:33:51.64 ID:GtkdVVSMP
紬「・・・あの、私もお邪魔して良いかしら」 うずうず
唯「勿論、大歓迎だよ」
梓「どうぞ、ムギ先輩」
紬「ありがとう。・・・えいっ」 ぱふっ
唯「わっ」
梓「きゃっ」
紬「わー、すごい面白いわね-」
唯「ムギちゃんはチャレンジャーだね」
梓「自分から飛び込むなんて、大胆すぎます」
紬「琴吹、一所懸命頑張りました」 びしっ
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:35:02.93 ID:GtkdVVSMP
律「楽しそうだな、おい」
澪「まあ、そうなのかな」
律「・・・分かる、澪の気持ちは分かるよ」
澪「何が」
律「私も一緒に寝転びたい。でもそんなのはしたないし、キャラじゃないし。ちょっと怖いし。
あーん。私の乙女心は、いつでも可憐でフルフルフルーチェなの♪」
澪「意味分かんないし、最後関係無いし」
律「良いから、ほれ」 ぐいっ
澪「おわっ」 ふらー、ぱたんっ
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:36:04.19 ID:GtkdVVSMP
澪「りーつー。おーまーえーなーっ」
紬「まあまあ。澪ちゃん軽いから、私は平気よ」
澪「あ」
唯「思いっきり、ムギちゃんの上に倒れたね」
律「ぷっ」
澪「ご、ごめん。で、お前が笑うな」 ぐりぐり
律「ひぇーっ」
梓「もう、皆さん何してるんですか」
唯「だって、秋だからね」
梓「全然答えになってませんよ」 くすっ
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:37:34.55 ID:GtkdVVSMP
唯「天気は良いし、空は青いし。落ち葉は柔らかいし。言う事無いね」 きゅっ
梓「はいです」 きゅっ
紬「またこうして、一緒に遊びたいわね」 きゅっ
澪「いつだって遊べるさ。だって私達は」 きゅっ
律「私達は固い絆で結ばれた、心と心の繋がり合う。・・・えーと、なんだっけ」 きゅっ
澪「上手くまとめようとして、自爆したな」 きゅーっ
律「ちぇー」 きゅーっ
唯、澪、紬、梓「あはは」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:38:45.55 ID:GtkdVVSMP
夜、平沢家リビング
唯「・・・という訳で、今夜のデザートは焼き芋です」
憂「ありがとう、お姉ちゃん♪」
唯「チンしたばかりだから、温かいよ。・・・あちあち」
憂「お姉ちゃん、大丈夫?」
唯「平気、平気。・・・はい、憂の分」 ぱかっ
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:39:45.75 ID:GtkdVVSMP
憂「ありがとう。・・・わー、美味しいね」 はむはむ
唯「本当。こんなに美味しいなら、毎日でも食べたいね」 はむはむ
憂「それは絶対に飽きるよー」
唯「そかそか。たはは」
憂「もう、お姉ちゃんったら♪」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:40:46.11 ID:GtkdVVSMP
ぴゅー
唯「外は寒そうだね」
憂「もう、すっかり秋だよ。そろそろ、こたつの準備をした方が良いのかな」
唯「良いねー。おこたは人類が生み出した、史上最大の発明品だよ」
憂「お姉ちゃん、こたつ好きだもんね」
唯「寒い時は、温かくしないとね。・・・憂、手は冷たくない?」 きゅっ
憂「大丈夫だよ。お姉ちゃんの手は、温かいね」 きゅっ
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:42:18.68 ID:GtkdVVSMP
唯「えへへ。あったか、あったか♪」
憂「あったか、あったか♪」
唯「今日は、一緒にお風呂へ入ろうか」
憂「うん」
唯「ういー♪」
憂「お姉ちゃん♪」
唯、憂「あったか、あったか♪」
終わり
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:43:22.50 ID:GtkdVVSMP
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
テーマとしては律澪を匂わせつつの、「秋」。
ちなみに寝転んでいる並び順は
唯 梓 ムギ 澪 律
となってます。
また唯の性格ですが、「普段はふにゃふにゃしてるけど、芯はしっかりしてる子」という位置づけ。
ご指摘があったように「あほの子」扱いされている事が多いため、その辺を払拭する意味も込めて書いています。
最後に。
本作とは全く関係無いですが、ふと思い付いたネタを一つだけ。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:44:24.02 ID:GtkdVVSMP
平沢家 リビング
唯「うぃーっ」
憂「お姉ちゃん、呼んだ?」
唯「あ。ごめん、ごめん。ちょっと、ハンセンの真似してて」
憂「もう、お姉ちゃんったら」
唯「はっ、はっ、はっ」
憂「わー、ブロディ降臨だね」
唯「やっぱり超獣コンビは最強だよ。憂♪」
憂「お姉ちゃん♪」
終わり
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:45:37.08 ID:GtkdVVSMP [55/55]
本当、申し訳ございません。
過去大勢の方が使ったネタだとは思いますが、つい書いてしまいました。
イメージとしては、「プロレススーパースター「ファン」列伝」ですね。
それでは、失礼致します。
律「年中春だな、あいつは」
澪「でも詞を書くには良い時期だぞ。イメージが湧きやすい」
律「そんな物かね。私は食欲の秋ってイメージだけどな」
澪「それはそれでありだろ。私達の歌も、それにまつわる物が多いし」
律「だったら、お前を食べちゃうぞー」
澪「はいはい」
律「ちぇー。そこは、無理して乗れよな」
澪「全く」 くすっ
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:51:39.54 ID:GtkdVVSMP
梓「済みません、遅れました」
唯「あずにゃん。すっかり秋が深まったね」
梓「急になんですか」
唯「舞い散る落ち葉に、漂う鰯雲に。私は秋を感じ取ってるんだよ」
梓「ああ。そういうのは、分かります。夏とは匂いが違うというか」
唯「あずにゃんはどんな匂い?」 くんかくんか
梓「意味が違います」
唯「でも良い匂いだよ」 にこっ
梓(いやいや。私よりも、唯先輩の方が♪) くんかくんか
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:52:30.67 ID:GtkdVVSMP
澪「秋、秋、秋。読書の秋、芸術の秋」
律「秋山澪の秋」
紬「ああ、なるほどっ」 ぽんっ
澪「いや。そんなに反応する事でも無いから」
梓「後はやっぱり食欲の秋ですか」
律「私達は年中って気もするけどな」
梓「それはあるかもです」
唯「ひらめいたっ」
梓(絶対曲や歌詞じゃないな)
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:53:21.13 ID:GtkdVVSMP
唯「秋と言えば、舞い散る落ち葉。落ち葉はその後どうなると思う?」
澪「業者が集めて、可燃ゴミとして燃やされるだろ」
紬「でも森の落ち葉は腐葉土になって、栄養になるのかしら」
律「たまに、澪の歌詞にもなるだろ」
梓「上手い事言いますね」
律、澪、紬「あはは」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:54:14.21 ID:GtkdVVSMP
唯「全く。みんな、何も分かってないね」 ちっ、ちっ、ちっ
律「多分お前が一番分かってないだろうけど、一応聞くか。それで、何になるんだ?」
唯「落ち葉、秋、それは食欲の秋。となれば?」
紬「・・・焼き芋?」
唯「そう。ベタだけど、一周回ってむしろ新鮮。良いアイディアでしょ」
澪「確かに、意外と否定しにくいな」
紬「私賛成。大賛成っ♪落ち葉で焼くなんて、すごい楽しそうじゃない?」 きらきら
律「まあ、それはそうだけどさ。昔町内会でやった時は、結構大変だったぞ」
梓「そもそも、落ち葉を集めないと話になりませんしね」
唯「それも込みでの、焼き芋大会だよ」
律「いつから大会になったんだよ、おい」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:55:06.80 ID:GtkdVVSMP
唯「という訳で澪ちゃん、計画表をお願いします」
律「丸投げかよ、おい。・・・しゃーない。さわちゃんに、たき火をやって良いか聞いてくるよ」
紬「だったら、私も」
梓「では、私も一応」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:55:58.86 ID:GtkdVVSMP
職員室
さわ子「落ち葉で焼き芋?最近は消防法で、そういうのはうるさいのよ」
紬「消防法、ですか」
さわ子「後は、環境問題がね。落ち葉を燃やすと、ダイオキシンが発生するんですって」
律「そ、それって猛毒なんじゃ。だったら、焼き芋やるのも命がけって事?」
紬「でも命を懸ける価値があるからこそ、唯ちゃんは焼き芋を提案したのかも知れないわよ」
律「くっ、唯の野郎。お前一人だけに、良い恰好をさせはしないぜっ」
さわ子「その芝居のオチは知らないけど、たき火くらいでは大丈夫なんですって」
律「あ、そうっすか」
紬「うふふ」
さわ子「許可は取っておくから、火の始末にだけは気を付けてね」
梓(わずかにもついて行けなかったな、今の会話には)
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:56:53.10 ID:GtkdVVSMP
軽音部部室
澪「必要な物は着火剤とバケツ。後は落ち葉。それとサツマイモか」
唯「ヨーロッパだと、秋にジャガイモを焼くんだって」
澪「ジャガイモか。それも良いな」
唯「たき火って良いよね。温かくて、ほんわかしてて」
澪「確かに雰囲気が良いな。なんだか、子供の頃を思い出す」
唯「澪ちゃんは、どんな子供だったの?」
澪「本ばかり読んでて、引っ込み思案で。あまり今と変わってないかな」
唯「そかな」
澪「・・・変わったとしたら、律に出会ったからかも知れない」
唯「りっちゃんに?」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:57:46.17 ID:GtkdVVSMP
澪「あいつには色々迷惑を掛けられてるけど、それよりも沢山助けてもらってる。
律に出会ってなければ、私は今でも部屋にこもって本を読んでるはずだ」
唯「大丈夫だよ。その時は私とムギちゃんとあずにゃんが、りっちゃんと一緒に迎えに行くから」
澪「どうやって私の家まで来るんだよ」
唯「そこは、軽音部としての絆を頼ってだよ」
澪「多分その時点では、軽音部じゃないぞ」
唯「たはは。そか、そか」
澪「全く」 くすっ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:58:38.21 ID:GtkdVVSMP
廊下
梓「律先輩って、澪先輩と小学校の頃から友達なんですよね」
律「何だ、急に」
梓「いや。私達とはちょっと付き合いの深さが違うと思って」
律「元々、私が一方的に澪へまとわりついてたからな。それが今に至る訳さ」
紬「でも良いわよね。何の気兼ねもなく、心から付き合える関係って」
律「私はムギとも梓とも、唯とも。みんなと心から付き合ってるよ」
紬「りっちゃん♪」
梓(うわ、輝いてる♪おでこ、輝いてる♪)
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 15:59:37.31 ID:GtkdVVSMP
軽音部部室
律「おーい、戻ったぞー」
澪「お帰り。どうだった?」
律「たき火くらいなら構わないってさ。こっちはどうだ?」
澪「必要な道具と手順を書き出した。後は生徒会で、道具を借りて来ないと」
律「おし。行ってくる」
梓「妙に息が合ってますね」
唯「夫婦みたいだね」
紬「うふふ♪」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:00:28.88 ID:GtkdVVSMP
生徒会室
和「・・・たき火?あなた達、一体何部なの?」
唯「まあまあ。和ちゃんも好きでしょ、焼き芋」
和「嫌いじゃないけど。大体たき火ってどうなのよ」
唯「私は燃える女だよ」
和「初めて聞いたわ、そんな話」
梓「こっちはこっちで、絶妙に噛み合ってますね」
律「夫婦というか、親子だな」
紬「うふふ♪」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:01:20.67 ID:GtkdVVSMP
正門前、街路樹
唯「よーし、やるぞー」
紬「おー」
律「妙にやる気だな。それに、どのくらい集めれば良いんだ?」
唯「多ければ多い程良いって」
澪「そんなに落ちてないぞ、ここ」
梓「というか、ちょっと寒いですね」
唯「何言ってるの、あずにゃん。私達は、たき火のように燃え上がるんだよ」
律「随分ささやかだな、おい」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:02:19.11 ID:GtkdVVSMP
30分後
梓「それ程集まりませんね」
澪「元々木が少ないし、風で飛ばされるからな」
律「根本的に失敗って事か」
唯「う」
澪「・・・それか、他の場所を探すかだ」
律「という訳なんだが、どうする」
唯「良いの?」 おずおず
澪「当たり前だろ」 撫で撫で
唯「澪ちゃーん♪」
律「全く」 くすっ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:03:11.54 ID:GtkdVVSMP
澪「公園もそれ程落ちているイメージはないし」
律「そう考えると結構難しいな」
紬「・・・あそこ。ほら、この前のマラソン大会で走った坂の」
澪「ああ、確かに林があったな」
紬「あそこなら、すぐに集められると思うの」
律「グッドアイディアだ。唯、それで良いか」
唯「ありがとー、みんなありがとー」
梓(なんだかんだと言って、みんな優しいな)
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:04:35.70 ID:GtkdVVSMP
夕方 街外れの林
唯「おお。ここはまさにエルドラドッ」
律「いや。落ち葉が落ちてるだけだし」
澪「でも夕日を浴びて、黄金色に輝いて見えなくもないぞ」
律「詩人だな、おい。ただ今日は遅いし、集めるのは明日にしようぜ」
紬「でも明日、お休みよ」
唯「だったら、朝から集まろうよ。ね」 にこっ
梓(この笑顔を見せられて、断れる訳がない) にこっ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:05:27.05 ID:GtkdVVSMP
夜 平沢家リビング
唯「・・・という訳で、明日は落ち葉狩りを行います」
憂「そうやって言うと、風情があるね」
唯「憂も一緒に集めようよ。大勢で食べる焼き芋は、ものすごく美味しいよ」
憂「ありがとう。でも明日は、純ちゃんと用事があるの」
唯「そか、残念だな。・・・明日、晴れるかな」
憂「お姉ちゃんが楽しみにしてるのなら、絶対良い天気になるよ。・・・今から、てるてる坊主作ろうか?」
唯「分かった。頑張ろうね、憂♪」
憂「お姉ちゃん♪」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:07:01.80 ID:GtkdVVSMP
翌朝 街外れの林
律「だからてるてる坊主を、首からぶら下げてる訳か」
唯「お陰で良い天気だよ」
律「つくづく幸せな姉妹だな」
澪「風も気持ちいいし、空は高いし。あー」
紬「何もしてないのに、幸せな気分になれるわね」
澪「ああ。たまにはこういう時の過ごし方も良いな」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:07:52.25 ID:GtkdVVSMP
唯「まったりムードはここまでっ。頑張って、落ち葉を集めようっ」
梓「焼き芋も待ってますしね」
唯「その通り。みんなで落ち葉を集めて、みんなでたき火を囲んで、みんなで焼き芋を食べる。
こんな幸せな事は、もう二度とないかも知れないよ」
梓「唯先輩は大げさなんですよ。でも澪先輩が言ったように、秋の空気は良いですね」
唯「良いよねー、秋は。小さな秋はどこに隠れてるのかな。この木の皮の裏側かなー?」
梓「・・・そういう所は、絶対見ない方が良いですよ」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:08:44.03 ID:GtkdVVSMP
唯「あ、松ぼっくり」
紬「しみじみ、秋ねー」
唯「これに火が付いたら大変だね」
澪「それは焼けぼっくいだろ」
紬「だったら、松ぼっくりに火を点けても大丈夫?」
梓「乾燥してたら大丈夫らしいです」
紬「してなかったら?」
梓「大惨事になると思います」
紬「焼けぼっくいと同じね♪」 にこっ
梓(何故、笑顔)
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:09:41.38 ID:GtkdVVSMP
唯「わっせ、わっせ」
紬「よいしょ、よいしょ」
律「張り切ってるな、あいつら」
澪「見てないで、律も早く集めろ」
律「へいへい。・・・これって一人で入れるより、袋を広げる係と詰める係に分担した方が良くないか」
澪「なるほど」 かぱっ
律「よいしょ、よいしょ。・・・・そこは、「わっせ、わっせ」だろ」
澪「・・・わっせ、わっせ」
律「あははー。よいしょ、よいしょ♪」
澪「全く。わっせ、わっせ♪」
梓(見てらんないな、これは) かー
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:10:36.95 ID:GtkdVVSMP
唯「わっせ、わっせ」
紬「唯ちゃん、こっちに落ち葉が飛んで来てるー」
唯「ムギちゃんの落ち葉も飛んで来てるよ」
紬「えーい♪」
唯「えーい♪」
梓(こっちはこっちで満喫してるな)
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:11:31.63 ID:GtkdVVSMP
唯「ふー。結構集まったね」
梓「唯先輩、頭に落ち葉が付いてますよ。ムギ先輩も」 ちょいちょい
唯「あずにゃん、ありがとー」
梓「二人とも、はしゃぎ過ぎです」
紬「梓ちゃんの頭にも付いてるわよ」 そっ
梓「あ。ど、どうもです」 かー
唯「あずにゃんも紅葉してるね」 にこっ
梓「もう、唯先輩は」 くすっ
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:12:41.33 ID:GtkdVVSMP
桜が丘高校 正門
唯「とーちゃーく」
律「やっと着いたか」
梓「袋を背負いながらでしたからね」
澪「私は強烈に恥ずかしかったぞ」
紬「でも、なんだか楽しかったじゃない。サンタさんみたいで」
律「前向きな奴め。今時サンタでも、プレゼントはネット通販だぞ」
唯「そかな?私の家は、いつも起きた時に枕元へ置いてあるよ」
梓(ういーっ)
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:13:35.02 ID:GtkdVVSMP
水飲み場前 空き地
澪「場所はここ。とにかく、火の始末には気を付けてくれよ」
唯「了解です、隊長」 びしっ
澪「隊長っ♪」 びしっ
澪「誰が隊長だ。まずは地面に穴を掘って、そこにサツマイモを入れるんだ」
唯「結構手順があるんだね」
紬「琴吹、穴を掘らせて頂きます」
澪「琴吹隊員、無理はするなよ」
律「乗ってきたな、おい」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:14:26.52 ID:GtkdVVSMP
紬「このくらいで良いかしら」
澪「大丈夫だろ。次はサツマイモを新聞紙で包んで、水を掛ける」
梓「そのまま入れないんですか」
澪「それだと、生焼けになるらしい」
唯「・・・ほら、皆既日食だって。この間だと思ってたのに、もうずっと前の事なんだね」
律「古い新聞読むのって楽しいよな」
澪「良いから、仕事しろよ」
唯「まあまあ。ほら、ビートルズ来日だって」
紬「ドリフが前座をしたっていう?」
澪「へぇ」
律「結局自分も読むのかよ。でもって、いつの新聞なんだよ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:15:19.22 ID:GtkdVVSMP
澪「穴にサツマイモを埋めて、落ち葉を掛けて。……後は火を付けるだけだ」
紬「私っ、私やりますっ」 びしっ
澪「危ないから、気を付けろよ」
紬「了解です、隊長」 びしっ
梓「ムギ隊員・・・。ムギ先輩、髪が掛かると危ないですから、後ろで束ねますね」
紬「ありがとう、梓ちゃん♪」
澪「梓も長いだろ。私が後ろで束ねてやるよ」
梓「あ、ありがとうございます」
唯「澪ちゃんも長いじゃない。私が後ろで束ねるよ」
澪「ああ、ありがとう」
律「何なんだ、この光景は」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:16:22.03 ID:GtkdVVSMP
唯「りっちゃん、りっちゃん」
律「しゃーないな。唯の髪はって、掴み所がないじゃん」
唯「たはは」
澪「なんだよ、それ」
梓「もう、二人とも何やってるんですか」
律「いやいや、お前らに言われても」
紬「うふふ♪・・・では、火を点けまーす」 カチカチッ
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:17:14.30 ID:GtkdVVSMP
ぼーっ。
唯「おお、すぐ点いたね」
澪「新聞も混ぜたからな。後は見てれば良いだけだ」
紬「暖かいわねー」
律「たき火って、妙に和むよな」
梓「はいです」
ぼー。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:18:08.28 ID:GtkdVVSMP
唯「ずっとこうしてたいね」
澪「そうは言ってもな」
唯「たはは、そか」
澪「今は綺麗で暖かくても、燃やせば消える。そういう事だ」
紬「そう思って見てると、ちょっと切ないわね」
唯「でも私達は、ずっと一緒だよ」
紬「唯ちゃん」
律「この野郎。きれいにまとめやがって」 がしっ
唯「りっちゃん、痛ーい♪」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:18:59.98 ID:GtkdVVSMP
梓「・・・消えてきましたよ」
澪「この後は熾火。消し炭になった灰の熱でゆっくり焼くんだ」
梓「華やかな時は一瞬ですね」
律「梓もおセンチになってるな」
梓「べ、別にそういう訳じゃ。ただあれだけ枯れ葉があったから、もう少し燃えてるかと思って」
唯「人生とは、とかく儚い物なのだよ。祇園精舎はインドのお寺なんだよ」
紬「うわー、思わずアンコールワットと勘違い♪」
紬「1ミリたりとも、意味が分からん」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:20:00.00 ID:GtkdVVSMP
唯「焼き芋、焼けたかな」 ごそごそ
律「一気に即物的だな、おい」
唯「・・・まだ固いね」
澪「じっくりゆっくり、時間を掛けて焼くんだよ」
唯「まだかな、まだかな♪」
律「子供か、お前は」
紬「でもこうして待ってる時間も、また楽しいわよね」
唯「まなかな、まなかな♪」
梓(何故、双子)
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:20:52.96 ID:GtkdVVSMP
澪「・・・そろそろいいんじゃないか」
唯「隊長。私がやってもよろしいでしょうか」
澪「よし、気を付けて作業に当たれ」
律「ノリノリだな。というか、結構灰が舞うな」
紬「唯ちゃん、まだ熱いから気を付けてね」
唯「可愛いお芋ちゃんのためなら、私は平気だよ」
梓「その可愛いお芋ちゃんを、今から食べる訳ですか」
律「・・・まあ、その辺は突っ込むな」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:21:48.80 ID:GtkdVVSMP
唯「出てきたよ。あったか、ほかほか。お芋ちゃんが出てきたよ」 ごろごろん
律「おー、何か良い感じ」
唯「中まで焼けてるかな。・・・あちあち」
律「何やってるんだよ。・・・あちあちっ
梓「冬のニュースで、こんなお猿さんを見ますよね」
紬「・・・あちあち」
梓(わざとやってるし。しかも、可愛いし)
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:22:42.94 ID:GtkdVVSMP
澪「後は新聞紙に包んで食べるだけだ」
唯「へへ」 ごそごそ
梓「食べないんですか?」
唯「これは家に持って帰って、憂と一緒に食べるんだー♪」
紬「唯ちゃんは、本当に憂ちゃんの事大切に思ってるのね」
唯「だって妹だもん♪」 にこっ
澪「だってさ」
律「なんだよ、もう。はいはい、私も聡に持って帰るよ」
澪「私も、ママ・・・。お母さんに持って帰ろうかな」
梓(思い切り自爆したな)
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:23:56.69 ID:GtkdVVSMP
律「じゃ、食べるぞ。頂きまーす」 ぱんっ
唯、澪、紬、梓「頂きまーす」 ぱんっ
澪「・・・わ」 ぱかっ
律「旨そうだなー」 ほかほか
紬「では早速」 ぱくり
梓「あふっ」 はむはむ
唯「・・・んまいっ♪」 にこっ
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:26:02.27 ID:GtkdVVSMP
唯「あったか、ほかほか。甘くてしっとりしてて、美味しいね-」
律「案外あなどれんな、サツマイモの奴も」
澪「・・・でも太らないか、これ」
紬「ほ、ほら。甘い物は別腹って言うじゃない」
梓「もう一段階、お腹が出てくるって事なんですかね・・・」
唯「私は食べても食べても太らないけどね」 にこっ
梓(憎い、今はその笑顔が憎い)
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:27:03.75 ID:GtkdVVSMP
さわ子「みんな、やってるわね」
唯「あ、さわちゃん。どうして学校にいるの?」
さわ子「今日は当直なのよ。大人になれば、土曜も日曜も関係無くなるのよ」
紬「まあまあ。ほら、さわ子先生も食べて下さい」
さわ子「良い感じに出来たみたいね。・・・んー、何か懐かしい味がするわ」
律「疎開先で食べた味ってか?だははー」
さわ子「玉砕覚悟とは良い度胸だな、デコッパチ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:28:12.76 ID:GtkdVVSMP
律「あー、ひどい目に遭った」
澪「自業自得だ。・・・あれ、和?
和「生徒会の用があって、来てたのよ。結局本当にやったのね、たき火」
唯「あったかほくほくで美味しいよ。はい、和ちゃん」
和「ありがとう。・・・ん、本当に美味しいわ」
唯「秋って味だよね-」
和「唯らしい感想ね」 くすっ
唯「そかな、たはは」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:29:20.49 ID:GtkdVVSMP
律「後片付けは良いかー」
澪「灰には水を掛けて、道具は返して。ゴミも捨てた。後は帰るだけだ」
紬「楽しかったわねー」
梓「それに、美味しかったです」
律「ま、焼き芋大会は大成功って事か。唯、良かったな」
唯「まだ終わってないよ」
律「へ?」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:30:37.31 ID:GtkdVVSMP
学外、急な坂
律「どこまで行くんだよ」
紬「・・・こっちって、もしかして」
唯「もうすぐだよ」
梓「坂、きついですね」
澪「なるほど、な」
梓「何がですか?」
澪「うふふ♪」
梓(何故、ムギ先輩風)
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:31:39.83 ID:GtkdVVSMP
街外れの林
律「おお、ここはまさにエルドラドッ」
澪「真似るなよ。・・・、落ち葉を集めた林か」
唯「そだよ。やっぱり、ここにはお世話になったからね。ちゃんとお礼を言わないと」
紬「うふふ♪ありがとうございまーす」
律「礼儀正しいな、おい」
梓「大体、そういう意味だったんですか?」
唯「もう、あずにゃんはクールなんだから。でもそこが、いいところ♪」 きゅっ
梓「ちょ、ちょっと。こんな所で抱きついたら」 ふら
唯「え?」 ふらふら-、ぱたんっ
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:32:45.50 ID:GtkdVVSMP
澪「お、おい。大丈夫か」
唯「たはは、倒れちゃった」
紬「下か落ち葉だったから良かったのね」 ほっ
唯「本当、落ち葉様々だね」
律「その落ち葉を燃やしたんだろ、おい」
梓「そうですよ。もう、唯先輩は」
唯「ごめん、ごめん。でもこうしてると、ちょっと気分良いね」 ごろーん
梓「まあ、否定はしませんけど」 ごろにゃーん
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:33:51.64 ID:GtkdVVSMP
紬「・・・あの、私もお邪魔して良いかしら」 うずうず
唯「勿論、大歓迎だよ」
梓「どうぞ、ムギ先輩」
紬「ありがとう。・・・えいっ」 ぱふっ
唯「わっ」
梓「きゃっ」
紬「わー、すごい面白いわね-」
唯「ムギちゃんはチャレンジャーだね」
梓「自分から飛び込むなんて、大胆すぎます」
紬「琴吹、一所懸命頑張りました」 びしっ
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:35:02.93 ID:GtkdVVSMP
律「楽しそうだな、おい」
澪「まあ、そうなのかな」
律「・・・分かる、澪の気持ちは分かるよ」
澪「何が」
律「私も一緒に寝転びたい。でもそんなのはしたないし、キャラじゃないし。ちょっと怖いし。
あーん。私の乙女心は、いつでも可憐でフルフルフルーチェなの♪」
澪「意味分かんないし、最後関係無いし」
律「良いから、ほれ」 ぐいっ
澪「おわっ」 ふらー、ぱたんっ
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:36:04.19 ID:GtkdVVSMP
澪「りーつー。おーまーえーなーっ」
紬「まあまあ。澪ちゃん軽いから、私は平気よ」
澪「あ」
唯「思いっきり、ムギちゃんの上に倒れたね」
律「ぷっ」
澪「ご、ごめん。で、お前が笑うな」 ぐりぐり
律「ひぇーっ」
梓「もう、皆さん何してるんですか」
唯「だって、秋だからね」
梓「全然答えになってませんよ」 くすっ
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:37:34.55 ID:GtkdVVSMP
唯「天気は良いし、空は青いし。落ち葉は柔らかいし。言う事無いね」 きゅっ
梓「はいです」 きゅっ
紬「またこうして、一緒に遊びたいわね」 きゅっ
澪「いつだって遊べるさ。だって私達は」 きゅっ
律「私達は固い絆で結ばれた、心と心の繋がり合う。・・・えーと、なんだっけ」 きゅっ
澪「上手くまとめようとして、自爆したな」 きゅーっ
律「ちぇー」 きゅーっ
唯、澪、紬、梓「あはは」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:38:45.55 ID:GtkdVVSMP
夜、平沢家リビング
唯「・・・という訳で、今夜のデザートは焼き芋です」
憂「ありがとう、お姉ちゃん♪」
唯「チンしたばかりだから、温かいよ。・・・あちあち」
憂「お姉ちゃん、大丈夫?」
唯「平気、平気。・・・はい、憂の分」 ぱかっ
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:39:45.75 ID:GtkdVVSMP
憂「ありがとう。・・・わー、美味しいね」 はむはむ
唯「本当。こんなに美味しいなら、毎日でも食べたいね」 はむはむ
憂「それは絶対に飽きるよー」
唯「そかそか。たはは」
憂「もう、お姉ちゃんったら♪」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:40:46.11 ID:GtkdVVSMP
ぴゅー
唯「外は寒そうだね」
憂「もう、すっかり秋だよ。そろそろ、こたつの準備をした方が良いのかな」
唯「良いねー。おこたは人類が生み出した、史上最大の発明品だよ」
憂「お姉ちゃん、こたつ好きだもんね」
唯「寒い時は、温かくしないとね。・・・憂、手は冷たくない?」 きゅっ
憂「大丈夫だよ。お姉ちゃんの手は、温かいね」 きゅっ
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:42:18.68 ID:GtkdVVSMP
唯「えへへ。あったか、あったか♪」
憂「あったか、あったか♪」
唯「今日は、一緒にお風呂へ入ろうか」
憂「うん」
唯「ういー♪」
憂「お姉ちゃん♪」
唯、憂「あったか、あったか♪」
終わり
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:43:22.50 ID:GtkdVVSMP
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
テーマとしては律澪を匂わせつつの、「秋」。
ちなみに寝転んでいる並び順は
唯 梓 ムギ 澪 律
となってます。
また唯の性格ですが、「普段はふにゃふにゃしてるけど、芯はしっかりしてる子」という位置づけ。
ご指摘があったように「あほの子」扱いされている事が多いため、その辺を払拭する意味も込めて書いています。
最後に。
本作とは全く関係無いですが、ふと思い付いたネタを一つだけ。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:44:24.02 ID:GtkdVVSMP
平沢家 リビング
唯「うぃーっ」
憂「お姉ちゃん、呼んだ?」
唯「あ。ごめん、ごめん。ちょっと、ハンセンの真似してて」
憂「もう、お姉ちゃんったら」
唯「はっ、はっ、はっ」
憂「わー、ブロディ降臨だね」
唯「やっぱり超獣コンビは最強だよ。憂♪」
憂「お姉ちゃん♪」
終わり
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/10(日) 16:45:37.08 ID:GtkdVVSMP [55/55]
本当、申し訳ございません。
過去大勢の方が使ったネタだとは思いますが、つい書いてしまいました。
イメージとしては、「プロレススーパースター「ファン」列伝」ですね。
それでは、失礼致します。
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