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和「鍵盤の魔王?」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:11:47.90 ID:S/usW+seO [1/31]
4日前、軽音楽部の紬と律が
突然、姿を消した。
誘拐されたと考えたほうがいいのかもしれない。
5年前、市内の高校生が誘拐される事件があった。
誘拐された4人には“軽音楽”という
共通点があった。
そして、今回の事件も5年前の事件同様、
シューベルト『魔王』の楽譜が事件現場と
おぼしきところに散乱していた。
4日前、軽音楽部の紬と律が
突然、姿を消した。
誘拐されたと考えたほうがいいのかもしれない。
5年前、市内の高校生が誘拐される事件があった。
誘拐された4人には“軽音楽”という
共通点があった。
そして、今回の事件も5年前の事件同様、
シューベルト『魔王』の楽譜が事件現場と
おぼしきところに散乱していた。
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/02(土) 12:13:29.05 ID:S/usW+seO [2/31]
和「私は賛成しないわ・・・犯人捜しなんて」
澪「分かっている・・・だけど2人とも大切な仲間なんだ」
梓「………」
澪「律に関しては古い付き合いだし・・・」
和「うーん・・・」
あれから学校は誘拐事件で持ちきりだ。
職員会での話し合いの結果、登下校中は
必ず友達と一緒に、が絶対となった。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/02(土) 12:15:15.55 ID:S/usW+seO
梓「大切な先輩たちなんです」
和「気持ちは解るわ・・・でも女の子なんだし」
梓「………」
澪「………」
和「何より危険すぎる」
澪「・・・やっぱり、そうだよな・・・」
梓「みお‥‥先輩‥‥」
和「警察に任せた方がいいわ」
梓「りつ‥先輩‥‥‥む、ぎ‥先輩‥‥」
泣き出した梓を澪が介抱した。
澪「なんかすまなかったな和」
和「大丈夫、・・・辛いけど頑張ろ」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:17:14.30 ID:S/usW+seO
泣き止んだ梓は目を真っ赤にしたまま、
澪と生徒会室から出ていった。
和「ただいまー」
家に着き、部屋に入ると鞄を机に置いて
ベットに仰向けになった。
衣装棚の上に視線を移す。
そこには中学の卒業式の時に
撮った唯と私の写真がある。
和「唯が死んでから1年か・・・」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:18:49.90 ID:S/usW+seO
唯は1年前、交通事故で死んでしまった。
放課後ティータイムのメンバーや
妹の憂ちゃん、下級生の純ちゃんたちは
その突然の死を嘆いた。
今は前と同じように振る舞える程、立ち直っている。
でも、3年に上がると唯に関する記憶が
消えつつあるように思えた。
和「唯・・・」
私はゆっくりと目を閉じた。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:20:26.84 ID:S/usW+seO
梓「このサイトを見てください!」
ここは学校のPC教室。
PCはオカルト系の都市伝説サイトに繋がっている。
和「鍵盤の・・・魔王?」
澪「ひょっとしたらこの事件と関係がある
んじゃないかと」
和「昨日の忠告は無視なの?」
澪「………」
梓「分かってます・・・だけど心配なんです」
和「だからね(ry」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:22:27.58 ID:S/usW+seO
澪「これは犯人捜しじゃない」
和「じゃあ、どうして?」
梓「ちょっと気になることがあるんです・・・」
和「気になること?」
梓と澪は各々の鞄から1枚の楽譜を取り出した。
シューベルトの『魔王』だ。
今朝、茶封筒に入れられ
ポストに入っていたらしい。
そして、また2人は鞄から1枚の紙切れを取り出した。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:24:34.68 ID:S/usW+seO
――――弦奏の勇者へ――――
私はクラシックこそが、音楽だと思っている。
呪われたポピュラーミュージックから解放すべく、彼女たちを誘拐した。
君たちの呪いもといてあげよう。
さぁ、こっちにおいで
――――鍵盤の魔王より――――
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:26:30.46 ID:S/usW+seO
和「鍵盤の魔王・・・」
和「弦奏の勇者ってまさか・・・」
梓「私とみお先輩のことかと」
澪「これは挑戦状というかなんというか・・・」
和「・・・ただのイタズラじゃないの?物凄く悪質な」
梓「初めはそう思いました」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:32:54.94 ID:S/usW+seO
梓「ただ・・・」
和「ただ?」
梓「このまま何も解らないまま捨てるのも
気持ちが悪かったので、ちょっと調べてみたんです」
澪「そしたら、このサイトに辿り着いた」
和「なるほどね・・・」
梓「では、最初に戻ります」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:30:26.11 ID:S/usW+seO
梓は『鍵盤の魔王』をクリックした。
5年前の高校生誘拐事件について書かれている。
被害者の高校生は“軽音楽”という共通点があった。
高校では大人気のバンドだったらしい。
そして、誘拐現場とおぼしき場所には
シューベルトの『魔王』の楽譜が
散乱していた。
あの紙切れと同文のものも落ちていたそうだ。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:35:00.81 ID:S/usW+seO
この誘拐事件については、ある噂が持ち上がっていた。
―――鍵盤の魔王がギター狩りをしている―――
鍵盤の魔王は3ヶ月前の音大生殺人事件の
被害者ではないかと噂された。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:35:53.83 ID:S/usW+seO
この音大生はクラシック至上主義者であり、
アンチポピュラーミュージックとして学内では有名で、
ピアノのコンクールを総なめにする程の
実力者でもあった。
発見された絞殺死体にはギターの弦が首に巻かれていた。
死因は窒息死だった。
彼の友達の話から度々、バンド経験者と
口論になることがあったそうだ。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:36:34.55 ID:S/usW+seO
和「これが今回の事件との関係ね」
澪「そうだ」
梓「初めはゲームか何かと思ったんですが・・・」
梓「もしかして‥‥私もゆうか‥‥ぃさ‥‥れ」
梓は今にも泣き出しそうだ。
澪「・・・住所もバレてるみたいだしな」
和「もう大丈夫・・・とは言えなくなったわ」
梓「私達ぃ‥‥どう、なるん‥‥です、か?」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:38:40.97 ID:S/usW+seO
和「うーん・・・」
梓が泣き出した。
澪はハンカチを取り出し梓に差し出すと
また介抱し始めた。
・5年前の高校生誘拐事件
・シューベルトの『魔王』
・鍵盤の魔王を名乗る犯人とおぼしき人物
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:39:44.71 ID:S/usW+seO
和「とりあえず、このまま帰宅するのは危ないわ」
澪「だよな・・・」
和「どうにかならないかしら・・・」
後ろの戸が開いた。振り向くと憂が立っている。
憂「・・・すみまん、お取り込み中でしたか?」
和「ううん、大丈夫よ」
澪「どうしてここに?」
憂「その・・・さっき梓ちゃんからここにいる、と聞いて・・・」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:40:59.69 ID:S/usW+seO
梓「どぅしよぉ‥‥私ぃ‥‥私ぃ‥‥」
澪「落ち着けって梓!」
憂「あの・・・一体、何があったんですか?」
私はこれまでの話を全て憂ちゃんに話した。
憂「そんなぁ・・・」
和「一応、警察に連絡を入れておいたほうがいいわ」
和「あと家には誰かいるの?」
澪「いない・・・」
梓「いま‥‥せ、ん・・・」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:42:38.76 ID:S/usW+seO
憂「私のうちなら今日、お父さんとお母さんがいます」
憂「・・・良かったら泊まっていきませんか?」
澪「でも、迷惑じゃないか?」
憂「そんなことはありません」
憂「お姉ちゃんの友達を・・・見捨てたくありません」
和「そうね・・・警察はストーカーについては
宛にならなそうだし」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:44:12.17 ID:S/usW+seO
こうして澪と梓は唯の家に
一泊することになった。
おじさんが学校まで自動車で迎えに来てくれる。
憂「のどか先輩はどうします?」
和「私はまだ生徒会の仕事があるの」
澪「帰りは大丈夫か?」
和「さわ子先生が送ってくれるって」
澪「なら安心だな」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:45:38.23 ID:S/usW+seO
3人と別れ、私は音楽室に向かった。
扉を開くとティーセットが入った棚が、
寂しげに置かれている。
もう彼女達が楽しく
ティータイムをする日なんて訪れないのに。
さわ子「そろそろ学校出るわよー」
和「分かりました。今いきます」
音楽室の扉を閉めて階段を降りた。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:48:41.79 ID:S/usW+seO
さわ子先生に家まで送ってもらうと、
そのまま唯の家に向かった。
インターホンを鳴らし、唯のおじさんに迎えられて中に入った。
和「お邪魔します」
私は2階の唯の部屋へと向かった。
静かすぎる階段を登り、唯の部屋の扉を開けた。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:50:26.58 ID:S/usW+seO
梓はギターを澪はベースを
むぎはキーボードを抱えたまま、
律はドラムスティックを握り締めたまま
眠ったように死んでいる。
4人とも首を深紅に染めて。
そして、ベットには憂ちゃんが寝そべっている。
手にはカッターナイフが握られて、その刃は首に
あてがわれているが真っ赤に染まりよく見えない。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:51:40.36 ID:S/usW+seO
憂ちゃんの手からカッターナイフを取ると
血をハンカチで拭き取った。
和「唯、これで寂しくないわ・・・」
部屋を見渡す。
唯が死んでから1年が経つが、
部屋は当時のままになっている。
勉強机には放課後ティータイムのメンバーとの
写真が飾られている。
隣には私と唯の中学の卒業式の写真がある。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:53:17.03 ID:S/usW+seO
3年に上がると、唯はみんなの記憶から消えていった。
死んでから毎月欠かさず行っていた墓参りも、
私と憂ちゃんだけが行くようになった。
唯は中学時代いじめにあっていた。
ちょっと周りとズレていたからだ。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:54:33.05 ID:S/usW+seO
友達は幼馴染みの私だけだった。
高校に入り唯は部活を始めた。
始めは心配していたが、なんとかうまくやっているようだった。
何より私以外の友達ができたのには
驚いたし、嬉しかった。
毎日、唯の幸せそうな顔を見るだけで
心は満たされていった。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:56:37.25 ID:S/usW+seO
放課後ティータイムとして活躍する唯は
一番輝いていた。天国でも輝いて欲しいな。
そう思った矢先、この計画を思い付いたのだ。
妹の憂ちゃんにも話した。
姉の事故から目が死んでいた憂ちゃんだったが、
聞いた瞬間、目を輝かせ快諾してくれた。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:58:00.06 ID:S/usW+seO
もう一度、ゆっくりと部屋を見渡す。
和「じゃあ、私もいくね・・・唯」
目を閉じた私はカッターナイフを
自分の首にあてがった。
おわり
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/02(土) 12:59:55.98 ID:S/usW+seO [31/31]
ありがとうございました
落としておいてください
和「私は賛成しないわ・・・犯人捜しなんて」
澪「分かっている・・・だけど2人とも大切な仲間なんだ」
梓「………」
澪「律に関しては古い付き合いだし・・・」
和「うーん・・・」
あれから学校は誘拐事件で持ちきりだ。
職員会での話し合いの結果、登下校中は
必ず友達と一緒に、が絶対となった。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/02(土) 12:15:15.55 ID:S/usW+seO
梓「大切な先輩たちなんです」
和「気持ちは解るわ・・・でも女の子なんだし」
梓「………」
澪「………」
和「何より危険すぎる」
澪「・・・やっぱり、そうだよな・・・」
梓「みお‥‥先輩‥‥」
和「警察に任せた方がいいわ」
梓「りつ‥先輩‥‥‥む、ぎ‥先輩‥‥」
泣き出した梓を澪が介抱した。
澪「なんかすまなかったな和」
和「大丈夫、・・・辛いけど頑張ろ」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:17:14.30 ID:S/usW+seO
泣き止んだ梓は目を真っ赤にしたまま、
澪と生徒会室から出ていった。
和「ただいまー」
家に着き、部屋に入ると鞄を机に置いて
ベットに仰向けになった。
衣装棚の上に視線を移す。
そこには中学の卒業式の時に
撮った唯と私の写真がある。
和「唯が死んでから1年か・・・」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:18:49.90 ID:S/usW+seO
唯は1年前、交通事故で死んでしまった。
放課後ティータイムのメンバーや
妹の憂ちゃん、下級生の純ちゃんたちは
その突然の死を嘆いた。
今は前と同じように振る舞える程、立ち直っている。
でも、3年に上がると唯に関する記憶が
消えつつあるように思えた。
和「唯・・・」
私はゆっくりと目を閉じた。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:20:26.84 ID:S/usW+seO
梓「このサイトを見てください!」
ここは学校のPC教室。
PCはオカルト系の都市伝説サイトに繋がっている。
和「鍵盤の・・・魔王?」
澪「ひょっとしたらこの事件と関係がある
んじゃないかと」
和「昨日の忠告は無視なの?」
澪「………」
梓「分かってます・・・だけど心配なんです」
和「だからね(ry」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:22:27.58 ID:S/usW+seO
澪「これは犯人捜しじゃない」
和「じゃあ、どうして?」
梓「ちょっと気になることがあるんです・・・」
和「気になること?」
梓と澪は各々の鞄から1枚の楽譜を取り出した。
シューベルトの『魔王』だ。
今朝、茶封筒に入れられ
ポストに入っていたらしい。
そして、また2人は鞄から1枚の紙切れを取り出した。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:24:34.68 ID:S/usW+seO
――――弦奏の勇者へ――――
私はクラシックこそが、音楽だと思っている。
呪われたポピュラーミュージックから解放すべく、彼女たちを誘拐した。
君たちの呪いもといてあげよう。
さぁ、こっちにおいで
――――鍵盤の魔王より――――
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:26:30.46 ID:S/usW+seO
和「鍵盤の魔王・・・」
和「弦奏の勇者ってまさか・・・」
梓「私とみお先輩のことかと」
澪「これは挑戦状というかなんというか・・・」
和「・・・ただのイタズラじゃないの?物凄く悪質な」
梓「初めはそう思いました」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:32:54.94 ID:S/usW+seO
梓「ただ・・・」
和「ただ?」
梓「このまま何も解らないまま捨てるのも
気持ちが悪かったので、ちょっと調べてみたんです」
澪「そしたら、このサイトに辿り着いた」
和「なるほどね・・・」
梓「では、最初に戻ります」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:30:26.11 ID:S/usW+seO
梓は『鍵盤の魔王』をクリックした。
5年前の高校生誘拐事件について書かれている。
被害者の高校生は“軽音楽”という共通点があった。
高校では大人気のバンドだったらしい。
そして、誘拐現場とおぼしき場所には
シューベルトの『魔王』の楽譜が
散乱していた。
あの紙切れと同文のものも落ちていたそうだ。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:35:00.81 ID:S/usW+seO
この誘拐事件については、ある噂が持ち上がっていた。
―――鍵盤の魔王がギター狩りをしている―――
鍵盤の魔王は3ヶ月前の音大生殺人事件の
被害者ではないかと噂された。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:35:53.83 ID:S/usW+seO
この音大生はクラシック至上主義者であり、
アンチポピュラーミュージックとして学内では有名で、
ピアノのコンクールを総なめにする程の
実力者でもあった。
発見された絞殺死体にはギターの弦が首に巻かれていた。
死因は窒息死だった。
彼の友達の話から度々、バンド経験者と
口論になることがあったそうだ。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:36:34.55 ID:S/usW+seO
和「これが今回の事件との関係ね」
澪「そうだ」
梓「初めはゲームか何かと思ったんですが・・・」
梓「もしかして‥‥私もゆうか‥‥ぃさ‥‥れ」
梓は今にも泣き出しそうだ。
澪「・・・住所もバレてるみたいだしな」
和「もう大丈夫・・・とは言えなくなったわ」
梓「私達ぃ‥‥どう、なるん‥‥です、か?」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:38:40.97 ID:S/usW+seO
和「うーん・・・」
梓が泣き出した。
澪はハンカチを取り出し梓に差し出すと
また介抱し始めた。
・5年前の高校生誘拐事件
・シューベルトの『魔王』
・鍵盤の魔王を名乗る犯人とおぼしき人物
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:39:44.71 ID:S/usW+seO
和「とりあえず、このまま帰宅するのは危ないわ」
澪「だよな・・・」
和「どうにかならないかしら・・・」
後ろの戸が開いた。振り向くと憂が立っている。
憂「・・・すみまん、お取り込み中でしたか?」
和「ううん、大丈夫よ」
澪「どうしてここに?」
憂「その・・・さっき梓ちゃんからここにいる、と聞いて・・・」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:40:59.69 ID:S/usW+seO
梓「どぅしよぉ‥‥私ぃ‥‥私ぃ‥‥」
澪「落ち着けって梓!」
憂「あの・・・一体、何があったんですか?」
私はこれまでの話を全て憂ちゃんに話した。
憂「そんなぁ・・・」
和「一応、警察に連絡を入れておいたほうがいいわ」
和「あと家には誰かいるの?」
澪「いない・・・」
梓「いま‥‥せ、ん・・・」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:42:38.76 ID:S/usW+seO
憂「私のうちなら今日、お父さんとお母さんがいます」
憂「・・・良かったら泊まっていきませんか?」
澪「でも、迷惑じゃないか?」
憂「そんなことはありません」
憂「お姉ちゃんの友達を・・・見捨てたくありません」
和「そうね・・・警察はストーカーについては
宛にならなそうだし」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:44:12.17 ID:S/usW+seO
こうして澪と梓は唯の家に
一泊することになった。
おじさんが学校まで自動車で迎えに来てくれる。
憂「のどか先輩はどうします?」
和「私はまだ生徒会の仕事があるの」
澪「帰りは大丈夫か?」
和「さわ子先生が送ってくれるって」
澪「なら安心だな」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:45:38.23 ID:S/usW+seO
3人と別れ、私は音楽室に向かった。
扉を開くとティーセットが入った棚が、
寂しげに置かれている。
もう彼女達が楽しく
ティータイムをする日なんて訪れないのに。
さわ子「そろそろ学校出るわよー」
和「分かりました。今いきます」
音楽室の扉を閉めて階段を降りた。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:48:41.79 ID:S/usW+seO
さわ子先生に家まで送ってもらうと、
そのまま唯の家に向かった。
インターホンを鳴らし、唯のおじさんに迎えられて中に入った。
和「お邪魔します」
私は2階の唯の部屋へと向かった。
静かすぎる階段を登り、唯の部屋の扉を開けた。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:50:26.58 ID:S/usW+seO
梓はギターを澪はベースを
むぎはキーボードを抱えたまま、
律はドラムスティックを握り締めたまま
眠ったように死んでいる。
4人とも首を深紅に染めて。
そして、ベットには憂ちゃんが寝そべっている。
手にはカッターナイフが握られて、その刃は首に
あてがわれているが真っ赤に染まりよく見えない。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:51:40.36 ID:S/usW+seO
憂ちゃんの手からカッターナイフを取ると
血をハンカチで拭き取った。
和「唯、これで寂しくないわ・・・」
部屋を見渡す。
唯が死んでから1年が経つが、
部屋は当時のままになっている。
勉強机には放課後ティータイムのメンバーとの
写真が飾られている。
隣には私と唯の中学の卒業式の写真がある。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:53:17.03 ID:S/usW+seO
3年に上がると、唯はみんなの記憶から消えていった。
死んでから毎月欠かさず行っていた墓参りも、
私と憂ちゃんだけが行くようになった。
唯は中学時代いじめにあっていた。
ちょっと周りとズレていたからだ。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:54:33.05 ID:S/usW+seO
友達は幼馴染みの私だけだった。
高校に入り唯は部活を始めた。
始めは心配していたが、なんとかうまくやっているようだった。
何より私以外の友達ができたのには
驚いたし、嬉しかった。
毎日、唯の幸せそうな顔を見るだけで
心は満たされていった。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:56:37.25 ID:S/usW+seO
放課後ティータイムとして活躍する唯は
一番輝いていた。天国でも輝いて欲しいな。
そう思った矢先、この計画を思い付いたのだ。
妹の憂ちゃんにも話した。
姉の事故から目が死んでいた憂ちゃんだったが、
聞いた瞬間、目を輝かせ快諾してくれた。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/02(土) 12:58:00.06 ID:S/usW+seO
もう一度、ゆっくりと部屋を見渡す。
和「じゃあ、私もいくね・・・唯」
目を閉じた私はカッターナイフを
自分の首にあてがった。
おわり
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/02(土) 12:59:55.98 ID:S/usW+seO [31/31]
ありがとうございました
落としておいてください
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