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ハルヒ「みんな、ごめんなさい! 本当にごめんなさい!」前半

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:30:06.82 ID:SHXEjeKn0 [1/74]
~放課後 SOS団部室~


みくる「え? 涼宮さん今日学校に来てないんですか?」

キョン「ええ。珍しく休みみたいです」

みくる「どうしたんでしょう? 風邪でしょうか?」

キョン「分かりません。学校側にも何も連絡してないみたいですし」

キョン「古泉、お前は何か知らないか?」

古泉「機関からの報告によりますと、涼宮さんは今日家から一歩も外に出ていないようです」

キョン「そうなのか? 本当に何してるんだアイツ……」

みくる「電話してみたらどうですか?」

キョン「何度も電話掛けてみたんですが、アイツ出ないんですよ」

古泉「単なるズル休みでもなさそうですね。心配です」

キョン「何か厄介なことが起こる前触れじゃないだろうな?」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:33:06.65 ID:SHXEjeKn0
キョン「長門、お前はどうだ? 何か知らないか?」

長門「ドア」

キョン「ん? ドアがどうかしたのか?」


バーン!!


キョン「うーわ! 何だぁ!?」


ハルヒ「はぁ……はぁ……」


キョン「ハルヒ!? いきなり入ってくるなよ! びっくりしたじゃないか、まったく」

ハルヒ「……」

キョン「今日はどうしたんだよ、無断で休んだりして」

ハルヒ「……」

キョン「ハルヒ? どうした、何かあったのか?」



ハルヒ「みんな、ごめんなさい。本当にごめんなさい!」


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:36:07.50 ID:SHXEjeKn0
キョン「……」

長門「……」

みくる「……」

古泉「……」

キョン「ハッ!! あまりのことに放心してしまった!」

古泉「涼宮さん、いったい何故謝られるのでしょうか?」

みくる「そ、そうです! 何かあったんですか?」

キョン「また俺たちの知らない所で厄介なことでもしでかしたのか?」

長門「……」

ハルヒ「あたし……」

ハルヒ「あたし、今まで散々みんなに迷惑をかけてきたわ……」

キョン「え?」

ハルヒ「自分勝手で周りのことを一切考えず……SOS団のみんなだけじゃない。もっといろんな人に……」

キョン「ハルヒ……?」

ハルヒ「今まで関わってきた人たちみんなに不快な思いをさせてきたわ……」


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:39:07.18 ID:SHXEjeKn0
キョン「いやまあ、確かに強く否定はできないが……」

キョン「急にどうしたんだ? 本当に何があったんだ?」

ハルヒ「キョン」

キョン「ん? な、何だ?」

ハルヒ「今まで散々面倒な雑用ばかり押し付けてきてごめんなさい」

キョン「え、いや、あ、ああ……」

ハルヒ「あとこれ……」スッ

キョン「これって……金じゃねーか。何の金だよ?」

ハルヒ「今まで不思議探索のたびにアンタに奢らせてきたでしょ。その分を返そうと思って」

キョン「まあ返してもらえるのなら受け取るけどよ」

ハルヒ「でもごめんなさい。手持ちのお金だけじゃ足りなくて……」

キョン「いや、そこまでしなくてもいいって」

ハルヒ「ううん、足りない分はバイトしてでも返すから。それまで少しだけ待ってて」

キョン「あ、ああ、分かった」


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:42:06.77 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「……」ジー

キョン「何だよ、俺の顔に何かついてるか?」

ハルヒ「そのネクタイ……」

キョン「ネクタイ?」

ハルヒ「以前あたし、アンタのネクタイ掴んで引っ張りまわしたことがあったわよね」

キョン「そんなことあったか?」

ハルヒ「階段の踊り場まで引っ張って行って部活作りに協力させた時と、初めて部室に案内した時よ」

キョン「ああ、あったなそういえば。よく覚えてるなお前」

ハルヒ「あの時はごめんなさい。苦しかったでしょ?」

キョン「今言われて思い出したくらいだ。気にしてないっての」

ハルヒ「さあ」ズイ

キョン「何だよ?」

ハルヒ「あたしの胸倉を掴んで引っ張りまわしなさい」

キョン「するかアホ」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:45:06.67 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「いいから! ほら掴みなさい!」グイッ

キョン「こら引っ張るな! 気にしてないって言ってるだろ!」

ハルヒ「あたしの気がすまないのよ! 思う存分引っ張りまわしなさい!」グイグイッ

キョン「こら! 胸元見える! 胸元見える!」

古泉「涼宮さん、落ち着いてください」

みくる「キョンくん困ってますよぉ」

ハルヒ「あ……ご、ごめんねキョン。本当にごめんね」

キョン「まったく。今日のお前おかしいぞ」

ハルヒ「そういえば」

キョン「今度は何だ?」

ハルヒ「授業中にアンタを後ろから引っ張って、後頭部を机に打ち付けちゃったこともあったわね」

キョン「SOS団結成を思いついた時のあれか。また懐かしいことを」

ハルヒ「あたしの後頭部に机を……」

キョン「やらねえよ!」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:48:06.74 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「何よ。いいわよ自分でやるから。えいっ! 一人バックドロップ!」グラッ

キョン「危ねえ!」ガシッ!

古泉「おお、ナイスキャッチです」

キョン「気をつけろ! 下手すると大怪我だぞ!」

ハルヒ「だってあたし、アンタにひどいことしたのよ! 報いを受けるのが当然じゃない!」

キョン「気持ちは分からんでもないが、極端なんだよお前は」

ハルヒ「むー、じゃあ有希! その机をあたしに投げつけて!」

長門「了解」

キョン「投げつけて、じゃねえ! 長門も振りかぶるな!」

ハルヒ「邪魔しないでー!」


キョン(今日のハルヒはどうしたんだ? いったいどうなってるんだよ?)

キョン(しかし、今までの行いを反省しているとは言え、強引なところは変わってないんだな)


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:51:06.84 ID:SHXEjeKn0
古泉「涼宮さん、落ち着きましたか?」

ハルヒ「うん。ごめんね、取り乱しちゃって」

古泉「いえいえ、お気になさらず」

ハルヒ「古泉くん、いつもいつもごめんなさい」

古泉「おや、何のことでしょうか?」

ハルヒ「孤島とか夏祭りの会場とか、いつもいい所を見つけてくれて手配もしてもらっているのに……」

ハルヒ「あたし、ろくにお礼も言った事がなかったわ。副団長なんだから当然だなんて思ってて……」

ハルヒ「ごめんなさい! ごめんなさい!」

古泉「いいんですよ。僕は涼宮さんや皆さんに喜んでいただければ満足ですから」

ハルヒ「それと、実は古泉くんのオセロの白い部分を全部マジックで塗り潰した犯人、あたしなの。ごめんなさい」

古泉「え?」

ハルヒ「古泉くんの鞄にこっそり『悪霊退散』って落書きしたのもあたしなの。ごめんなさい」

古泉「はははそぉですか。全然気にしてませんよははは」


キョン(顔が引き攣ってる引き攣ってる)


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:54:06.59 ID:SHXEjeKn0
長門「……」

ハルヒ「有希、有希にも謝らないといけないことがあるわ」

長門「何?」

ハルヒ「以前部室にある本をフリマで売ろうとしたことがあったでしょ」

長門「……」

ハルヒ「普段ずっと本を読んでいる有希が、どれだけ本を大事にしているかなんて少し考えれば分かるものなのに」

ハルヒ「あたしはそんなこと全然考えずに軽い気持ちで本を売ろうとした。しかも有希の家にある本まで」

長門「……」

ハルヒ「有希、ごめんなさい。あたしが馬鹿だったわ」

長門「いい」

ハルヒ「お詫びに今度好きな本を買ってくるわ。バイトでお金を貯めてからだけど」

長門「そう」


キョン(あの時は結局売らなかったんだが……売ろうとしたこと自体が許せなかったってことか)


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 19:57:06.44 ID:SHXEjeKn0
みくる「涼宮さん、少し休みましょう。はい、お茶です」

ハルヒ「はい、どうもありがとうございます。朝比奈先輩」

みくる「え?」

ハルヒ「え?」

みくる「い、今なんて言いましたか?」

ハルヒ「どうもありがとうございます、と」

みくる「その後です!」

ハルヒ「朝比奈先輩」

みくる「な、何でそんな呼び方するんですか……?」

ハルヒ「だって朝比奈先輩は上級生ですし……」

みくる「いつも通り『みくるちゃん』って呼んでいいんですよ」

ハルヒ「そんな失礼な呼び方はできないですよ。今までのあたしはどうかしてたんです」

ハルヒ「上級生の朝比奈先輩に対して敬語も使わず、先輩として敬うこともせず……」

ハルヒ「朝比奈先輩、今まで本当にすみませんでした!」


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:00:06.27 ID:SHXEjeKn0
みくる「そ、そんな、頭を上げてください涼宮さん!」

ハルヒ「これからはきちんと先輩として敬っていきます」

みくる「いつもと同じように接してくれていいんですよぅ……」

ハルヒ「だめです。朝比奈先輩は上級生なんですから」

みくる「な、ならせめてその『朝比奈先輩』という呼び方だけでも変えてもらえないですか?」

ハルヒ「朝比奈先輩がそこまで言うなら……みくる先輩」

みくる「先輩はいらないです」

ハルヒ「朝比奈さん」

みくる「あの、下の名前で呼んでもらえませんか……?」

ハルヒ「みくるさん」

みくる「みくるちゃんでいいんですよ」

ハルヒ「いいえ『みくるさん』です。譲れるのはここまでです」

みくる「えう……分かりました。それでいいです……」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:03:05.80 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「みくるさん、あたし今までみくるさんに散々セクハラ行為をしてきました」

ハルヒ「胸を揉んだり、強引に服を脱がせようとしたり、恥ずかしい姿を写真に撮ったり」

ハルヒ「みくるさんは嫌がってたのに無理矢理……本当にごめんなさい!」

みくる「あ、うん。それはちょっともうしてほしくないです……」

ハルヒ「お詫びにあたしの胸を揉んでください」

みくる「ええ!?」

キョン「やっぱりそうくるか。こら待てハルヒ」

ハルヒ「何よ。代わりにあんたが揉むの?」

キョン「揉むか!」

ハルヒ「じゃあみくるさん、あたしの服を脱がせてください! 辱めてください!」

みくる「えっと~~あの~~それは……」オロオロ

キョン「やめろハルヒ。見ろ、朝比奈さんが困ってるじゃないか」

キョン「お前は今までやってきたことを反省すると言いながら、強引すぎて結局は迷惑をかけてるぞ」

ハルヒ「え? あ、それは……でも謝りたい……でも……」オロオロ

キョン「はぁ、やれやれ」


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:06:06.40 ID:SHXEjeKn0
長門「……」パタン

古泉「おや、もう下校時刻ですね」

キョン「結局今日の団活はハルヒが謝るだけ謝って終わってしまったな」

ハルヒ「まだまだ謝り足りないわ」

キョン「たく。それで、明日の不思議探索はどうするんだ? いつも通りにやるのか?」

ハルヒ「ううん、明日は休みにするわ。あたし行かなきゃいけないところがあるから」

みくる「行かなきゃいけないところ?」

ハルヒ「神社よ」

キョン「神社? 何でまたそんなところに?」

ハルヒ「以前映画撮影の時に神社まで撮影しに行ったことがあったでしょ」

キョン「ああ、あったな」

ハルヒ「その時にあたし、神主さんにエアーガンを乱射したりしていろいろ迷惑をかけちゃったから」

キョン「ああ、あったな……」

ハルヒ「そのことを謝りに行くの。だから明日の不思議探索はなし。みんなは休んでて」


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:09:04.78 ID:SHXEjeKn0
キョン「……」

ハルヒ「どうしたのよキョン、急に黙り込んで」

キョン「……俺も行く」

ハルヒ「え?」

キョン「明日は俺も一緒に神社に行く。俺も一緒に謝る」

古泉「なら僕も行きますよ」

みくる「あたしも行きます」

長門「……」スッ

キョン「長門も行くとよ。明日は全員で謝りに行くか」

ハルヒ「みんなちょっと待って! あれはあたしが悪いのよ! みんなはただ巻き込まれただけじゃない!」

キョン「お前が神主さんを撃ったとき、結局は俺達も一緒になって逃げたんだ。だから同罪だ」

ハルヒ「で、でも……何で……」

古泉「みんな謝りたいという気持ちがあるのです。だからみんなで行きましょう」

キョン「決まりだ。時間と集合場所はいつもの不思議探索と同じということで」

ハルヒ「う……うん。分かったわ……」


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:12:04.63 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「じゃああたし、帰るわね」

キョン「おう、俺達は戸締りしてから帰るから」

ハルヒ「うん。みんな…………本当にごめんなさい」


パタン


キョン「……さて、これはいったいどういうことなんだ?」

古泉「分かりません。おそらく自宅に閉じこもっていた間に何かあったのでしょうが」

みくる「まさか涼宮さんがあんなに素直に謝ってくるなんて、びっくりしました」

キョン「反省することも謝ることもいいことだし必要なことだと思うんですけどね」

キョン「ただ、あの強引なやり方はちょっと。机に頭を打ちつけようとしたり胸を揉ませようとしたり」

古泉「とにかく普通の状態ではないことは間違いないです。早速機関のほうで調べてみますよ」

長門「……」

キョン「長門、お前も何か分からないか?」

長門「不明。何者かによる改変の痕跡がないか調査の必要がある」

キョン「そうか。頼むぞ」


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:15:04.40 ID:SHXEjeKn0
みくる「それにしても……」

キョン「朝比奈さん、どうかしましたか?」

みくる「あ、ううん、何でもないことなんだけど……」

みくる「涼宮さん、あたしとキョンくんにばかり謝ってたなぁって。そんな気がして」
 
キョン「そういえばそうでしたね。普段のハルヒによる被害は俺や朝比奈さんに集中してますからね」

古泉「そうですね。何だか申し訳ないです」

長門「……」

キョン(もっとも……普段の団活はともかく不思議絡みに関して言えば、長門と古泉は最大の被害者とも言えるんだよな……)

古泉「とにかく原因が分かるまでしばらく様子見ですね。我々もそろそろ帰るとしましょう」

みくる「あ、戸締りはあたしがしておきます。着替えなきゃいけないから」

キョン「お願いします。さて、明日に備えて早めに帰って寝るとするか」


キョン(今回のハルヒの異変……何者かによる陰謀なのか、本当にハルヒ自身が今までの行いを反省したのか)

キョン(……厄介なことにならなければいいんだけどな)


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:18:04.08 ID:SHXEjeKn0
~翌日 土曜日 駅前~


キョン「到着っと。ギリギリセーフか?」

みくる「おはようございます、キョンくん」

キョン「おはようございます朝比奈さん。長門もおはよう」

長門「おはよう」

古泉「どうも。おはようございます」

キョン「おう。ハルヒは?」

古泉「あちらにおられますよ」

キョン「お、いたいた。ようハルヒ、おは……よ……」

ハルヒ「おはよキョン。どうしたのよ、そんな顔して?」

キョン「どうしたのよってお前……何でバニーガールの格好をしてるんだよ!?」


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:21:03.79 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「映画撮影の時、みくるさんをバニーやウェイトレスの格好で連れまわしたことがあったでしょ」

ハルヒ「本当に恥ずかしい思いをさせてしまったと反省しているわ……」

ハルヒ「だからこそ! 今日あたしはこの格好で移動することにしたのよ!」

みくる「あたしはいいって言ったんですけど……」

キョン「そういうことか。しかしまた極端な」

ハルヒ「同じ辱めを受けてこそ、反省したと言えるのよ!」

キョン「お前も恥ずかしい思いをさせたという自覚はあったんだな。いや、今になって自覚したのか」

ハルヒ「じゃあみんな揃った所で出発するわよ!」

キョン「そういえばハルヒ、お前バニーでビラ配りとかしたことあったが、その時は特に恥ずかしがってなかったじゃないか」

キョン「こういうのはお前が『恥ずかしい』と思わないと意味がないんじゃないか?」

ハルヒ「……それもそうね。よし!」ヌギヌギ

キョン「おおおおい!? 何でいきなり脱ぎ始めるんだよ!」

ハルヒ「さすがにあたしも素っ裸は恥ずかしいわよ。これで償いになるでしょ」

キョン「やめろって! おいこら!」


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:24:03.55 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「離しなさいよ! バニーじゃ物足りないってアンタが言ったんじゃない!」

キョン「いや確かにそうだけど! そこまでしろとは言ってない!」

ハルヒ「脱がせなさいよー!」

キョン「目的地に着く前に捕まっちまうっての! って、うわ! 凄い馬鹿力!?」

ハルヒ「がおーー!!」ブンブン!!

キョン「ひいい!? みんな助けてくれ!」

みくる「涼宮さん、落ち落ち落ちち着いてぇ!」

長門「任せて」


10分後

ハルヒ「わ、分かったわよ……バニーで妥協するわ……」

キョン「長門は強かった。ともかくやっと納得してくれたか……」


古泉「すみませんが、あまり余計なことは言わないでいただけますか?」

キョン「すまん。本当にすまん」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:27:03.66 ID:SHXEjeKn0
~神社~


キョン「何とか無事に到着したな」

みくる「すれ違う人たちの視線が凄かったですね。あたしの時もそうだったのかなぁ……?」

古泉「では行きますか。神主さんはどこでしょう?」

ハルヒ「……」

キョン「どうしたハルヒ? 急に立ち止まったりして」

ハルヒ「みんな、映画撮影の時はごめんなさい。いろいろわがままな注文ばかりつけて」

ハルヒ「それにみんなそれぞれクラスの出し物もあったのに、SOS団を優先しろなんて勝手なこと言って」

古泉「いえいえ、気にしてませんよ」

ハルヒ「でも古泉くんのクラスは演劇だったんでしょ? 映画と演劇でセリフ覚えるの大変だったはずよ」

ハルヒ「だから償いとして、あたし百科事典を暗記することにしたの」

古泉「え?」

ハルヒ「でも時間がなくて半分しか覚えてないの。本当にごめんなさい」

みくる「充分凄いです……」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:30:05.19 ID:SHXEjeKn0
キョン「ハルヒー、まだかー?」

ハルヒ「お待たせ。着替え終わったわよ」

キョン「よし。いくらなんでもバニーの格好で謝るのは失礼すぎるからな」

古泉「神主さんいましたよ。境内の方で掃除をしています」

キョン「そうか。じゃあ行くとするか」


ハルヒ「あの、すみません」

神主「おや、なんだいお嬢さん」

ハルヒ「実はお話がありまして……」

神主「はて? 君達、どこかで見たことあるような?」

キョン「ええ、実は以前俺達……」


神主「あーー! 貴様らあの時の高校生か!!」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:33:37.60 ID:SHXEjeKn0
神主「まったく! 人に向かっていきなり鉄砲を撃ってくるとは何事か!」

ハルヒ「ごめんなさい! ごめんなさい!」

キョン「本当にすみませんでした!」

神主「しかも神社の鳩にまで鉄砲を撃ちおって! この馬鹿者どもが!」

みくる「ふぇぇん、ごめんなさぁい」

古泉「大変申し訳ありませんでした」

神主「近頃の高校生はなっとらん! まったくもってなっとらん!」

長門「……ゴメンナサイ」

神主「こっちへ来なさい! たっぷりみっちり説教してやる!」

ハルヒ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」


ガミガミガミガミガミガミガミガミ…………


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:36:03.59 ID:SHXEjeKn0
神主「もう2度とあんなことはしないように! いいな!」

ハルヒ「はい……ごめんなさい……」

神主「分かればよろしい。では帰ってよし」


キョン「はぁ、やっと解放された。結局1時間近く説教されちゃったな」

ハルヒ「みんなごめんね……あたしのせいでみんなまで……」

キョン「何度も言ったろ。あれは俺達も悪かったんだって」

古泉「僕達も謝らなければいけないと思ったから謝った。それだけのことですよ」

ハルヒ「……うん」

キョン「それで、これからどうするんだ? 何か他に予定あるのか?」

ハルヒ「うん。あ、ちょっと待ってて。着替えてくるから」

キョン「またバニーになるのか? お前も律儀だな」
 

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:39:03.63 ID:SHXEjeKn0
キョン「それにしても、アイツがバニーの格好で歩いてると俺達のほうが恥ずかしくないか?」

みくる「そうですか……あたしの時も恥ずかしかったんですね……」

キョン「わああ! そんなことないですよ! すみません!」

長門「わたしもあの時は魔法使いの格好をしていた。恥ずかしかった?」

キョン「すまん。今の今までそのことをすっかり忘れてた……」


古泉「涼宮さん、遅いですね」

キョン「そういえば着替えるだけにしては時間がかかりすぎてるな」

みくる「あたし、ちょっと様子を見てきます」タタッ


キョン「なーにやってんだアイツ」

古泉「何かあったのでしょうか」

みくる「あ、あのう……」

キョン「朝比奈さん、ハルヒはどうでした? まだ着替え終わってないんですか?」

みくる「いえ、着替えはもう終わってるんですけど……」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:42:03.63 ID:SHXEjeKn0
みくる「とにかく一緒に来てくれませんか? こっちです」

キョン「そっちは境内じゃないですか。何でハルヒはそんなところに?」

古泉「行ってみましょう」


みくる「あそこです。あそこにいるんですけど……」

キョン「お、本当だ。アイツあんなところでしゃがみ込んで何やってるんだ?」

みくる「見てください。涼宮さんの前に」

古泉「あれは……」


ハルヒ「鳩さんごめんなさい、本当にごめんなさい……」

ポー ポーポー クルッポー


キョン「たくさんの鳩に謝ってる……」

古泉「おそらくあれですね。映画撮影のときに鳩が一斉に飛び立つシーンを撮るために」

キョン「鳩に向かってエアガン撃ってたな。あの時のことを謝ってるのか」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:45:03.42 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「鳩太郎さんごめんなさい、鳩子さんごめんなさい……」


キョン「ついに勝手に名前まで付け始めたぞ。止めた方がいいんじゃないか?」

みくる「でも、何か近寄りがたいというか」

キョン「放っとくわけにもいかないでしょう。おーいハルヒ、いい加減に……」スタスタ


ポー! クルクルポッポー! バサッ! バサバサバサバサッ!!!!


みくる「ああ!」

古泉「鳩がみんな逃げてしまいましたね」


ハルヒ「ちょっとキョン! まだ全部謝ってないのに逃げちゃったじゃない!」

キョン「え! す、すまん!」

ハルヒ「ああもう! 鳩さん待ってー!」ダダッ

キョン「あ! おいハルヒ! 待て!」


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:48:02.70 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「戻ってきてー! まだ謝り足りないのよー!」

キョン「お前が戻ってこーい! 追いつけるわけないだろうが!」


ハルヒ「はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ……」

キョン「やっと止まったか。本気で追いつくまで走り続けるかと思ったじゃねーか」

ハルヒ「ううう……鳩さん……」

キョン「もういいだろ。鳩にもお前の気持ちは伝わったさ」

ハルヒ「でも……あたし……」

長門「……これ」スッ

ハルヒ「有希? これは……メガフォン?」

長門「大声で叫べば伝わるはず」

キョン「へえ、気が利くじゃないか長門」

ハルヒ「ありがとう有希! よーし……」ス~…


ハルヒ「鳩さんたちーー!! あの時は本当に本当にごめんなさーーい!!」


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:51:03.10 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「はあ、はあ、ふう」

キョン「満足したか?」

ハルヒ「うん、ありがとね有希。それにしてもいつの間にこんなの用意したの?」

長門「拾った」

ハルヒ「そうなの? まあいいわ。これで心置きなく次の場所に向かえるわ!」

古泉「涼宮さん、その前に昼食にしませんか? そろそろお昼ですし」

みくる「そうしましょう。あたしもお腹ペコペコです」

ハルヒ「そうね。どこかお店に行きましょうか」

キョン「決まりだな。何か食べたいものでもあるか?」

ハルヒ「そうねー。あ、あそこに焼き鳥屋さんがあるわ。あそこにしましょう」

キョン「おい」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:54:02.41 ID:SHXEjeKn0
~午後~


キョン「さて、昼食も食べ終わったし、次はどこに行くんだ?」

ハルヒ「次は池よ」

キョン「池?」

ハルヒ「ほらほら。さっさと向かうわよ」

キョン「待て待て待て! 池ってどういうことだ!?」

みくる「池……あ! あ~~……」

キョン「朝比奈さん、どうかしましたか?」

みくる「あの、池って映画撮影の時に行ったあの……?」

キョン「映画撮影……ああ思い出した。朝比奈さんが投げ込まれた……」

ハルヒ「うん。今からそこへ行くわ」

キョン「何かまた嫌な予感がするぞ」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 20:57:02.46 ID:SHXEjeKn0
~池~


ハルヒ「到着っと」

キョン「相変わらず汚い池だな……」

長門「……」

古泉「それで涼宮さん、ここへ来たということは……?」

ハルヒ「うん……みくるさん」

みくる「はい、何でしょう?」

ハルヒ「あの時はごめんなさい。こんな汚い池に投げ込んだりして……」

みくる「ううん、あの時は最終的には自分で飛び込むって決めたから」

ハルヒ「それでもです! ただのその場の思いつきであんなことさせちゃうなんて……」

みくる「いいんですよ。こうやって謝ってくれたんだから」

ハルヒ「本当にごめんなさい! あたしが馬鹿でした!」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:00:06.85 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「もちろんただ謝るだけで済ますつもりはありません。あたしも! この池に飛び込みます!」

みくる「ええええ!」

キョン「やっぱりな。そうなるだろうと思ったよ」

キョン「念のために言っておくか。ハルヒ、やめとけって」

ハルヒ「駄目よ! 絶対に飛び込むわ!」

キョン「やっぱり説得は無駄か。ちゃんとタオルとか持ってきたのか?」

ハルヒ「その辺の準備はバッチリよ!」

キョン「そうか。分かった。気をつけろよ」

みくる「キョンくん、本当にいいんですか?」

キョン「すぐに引き上げれば大丈夫でしょう…………ってハルヒ? 何だそれ?」

ハルヒ「これ? 手足に重りを付けてるのよ。ただ飛び込むだけじゃ足りないと思って」

キョン「おま! ストップストップ!?」

ハルヒ「第1のコース、涼宮ハルヒ! いきます!」ピョーン


ザボーン!! ゴボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ…………


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:03:02.88 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「死ぬかと思ったわ……」

キョン「ただの入水自殺じゃねえか! 何考えてるんだ馬鹿野郎!」

ハルヒ「あたしの力なら何とかなると思ったんだけど……予想以上に凄い速さで沈んでいったわ」

キョン「確かにお前は凄い力もってるけど! 己の力を過信するな!」

古泉「危うく神が神に召されるところでした……」

キョン「まったく。長門が飛び込んで助けなかったら危なかったぞ」

長門「……」

ハルヒ「ごめんね有希。助かったわ」

長門「いい」

みくる「涼宮さん、大丈夫ですか?」

ハルヒ「何か気持ち悪い……水中で変なモノ飲み込んじゃったみたい……」

キョン「変なモノ? 長門、何だか分かるか?」

長門「カエルを飲み込むところを見た」

キョン「魚だ! ただの魚だハルヒ! 気にするな!」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:06:02.61 ID:SHXEjeKn0
古泉「涼宮さんも長門さんもびしょ濡れですね」

長門「……」ビッショリ…

ハルヒ「有希、これに着替えて。あたしの服だけど」

キョン「お前の分は?」

ハルヒ「着替えは1人分しか持ってきてないのよ」

キョン「しかしそのままだと身体に悪いぞお前」

みくる「そうだ! 鶴屋さんに頼んでみます。ちょっと電話してみますね」


ハルヒ「ごめんね有希、あたしのせいで。本当にごめんね」

長門「気にしなくていい」

キョン「2度とこんなことするなよ。って言っても、今のお前だとまた何かやらかしそうだな」

みくる「お待たせしました。鶴屋さんのお家に来てもいいそうですよ」

キョン「よし。じゃあ移動するか」


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:09:02.67 ID:SHXEjeKn0
~鶴屋邸~


鶴屋「やぁやぁいらっしゃいみんな! さ、どうぞどうぞ」

みくる「急にごめんね鶴屋さん、お邪魔します」

鶴屋「ハルにゃんと長門っちはこっち。シャワー浴びないとね」

ハルヒ「ごめんなさい。いきなり押しかけてきてごめんなさい」

長門「……」

鶴屋「いいっていいって! 後で着替え持っていくよ! キョンくん達はこっち!」

キョン「ありがとうございます鶴屋さん。助かります」

古泉「涼宮さんと長門さんが来るまで、しばし小休止ですね」


鶴屋「それで何があったんだい? 池に飛び込んだとは聞いたんだけど」

キョン「えーと、実はですね……」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:12:02.61 ID:SHXEjeKn0
鶴屋「へ~~、ハルにゃんの謝罪の旅か~」

キョン「別に旅してるわけじゃないんですけど」

鶴屋「でも反省して謝るのはいいことだと思うよ! ハルにゃんも成長してるのさ!」

キョン「それはいいんですけど、やり方が極端というか……」

ハルヒ「鶴屋さん……」

長門「……」

鶴屋「おっ、2人ともさっぱりしたかい?」

ハルヒ「はい。鶴屋さん、映画撮影の時にはいろいろ迷惑をかけてごめんなさい」

鶴屋「おやや? 特に迷惑だと思ったことはなかったけど? まあいいってことさ!」

ハルヒ「……」

キョン「どうしたハルヒ?」

ハルヒ「あたし、ここでもみくるさんにひどいことをしたのよね。こっそりお酒を飲ませたりして」

みくる「あ……」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:15:02.68 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「みくるさん、あの時は本当にごめんなさい!」

みくる「いいんですよ、正直酔っていたのと疲れていたのでよく覚えてないですし」

鶴屋「あれに関してはあたしも調子に乗りすぎたっさ。みくる、本当にごめんね」

みくる「鶴屋さんはあの時何度も謝ってくれたじゃないですか。もう気にしてないですよ」


キョン(それにしても、本当に朝比奈さんへの謝罪が多いな。どれだけ迷惑かけてたんだか)


ハルヒ「お詫びにコレを……」

キョン「はいストーーップ! 何だそれは!」

ハルヒ「ウォッカよ。これを一気飲みしてお詫びを……」

キョン「アホか! というかどこで手に入れたそれ!」

鶴屋「いやハルにゃん、さすがにそれは危ないよ」

ハルヒ「でも……こうしないと反省したことにならないし……」

鶴屋「飲むなら少しだけ! ちょびっとだけで我慢するにょろ!」

キョン「はあ、少しだけでも何か不安だ……」


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:18:02.60 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「きゃははははは! うひゃひゃひゃひゃひゃ!」

古泉「ものの見事に酔っ払ってしまいましたね……」

キョン「言わんこっちゃない。どうするんだよこれ」

ハルヒ「うぐ……」

みくる「ど、どうしたんですか、涼宮さん?」

ハルヒ「気持ち悪い……吐きそう……」

鶴屋「あートイレはこっちっさ。あたしも付き添ってあげるから」

ハルヒ「ううううう……」フラフラ



キョン「まったく、アイツだって酒の怖さは分かってるだろうに」

ハルヒ「……」

キョン「お、おかえりハルヒ……って、どうした? 何か様子がおかしいぞ?」

ハルヒ「吐いたら口からカエルが出てきた……」

キョン「それは報告せんでいい……」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:21:02.45 ID:SHXEjeKn0
キョン「落ち着いたか?」

ハルヒ「うん。吐いたらだいぶスッキリしたし」

みくる「よかったぁ」

ハルヒ「……みくるさん、あたしまだ謝りたいことがあるの。1番謝りたいことが」

みくる「え?」

ハルヒ「あたし……ここで酔って弱ってるみくるさんに無理矢理演技をさせました」

ハルヒ「それもかなり理不尽な……頭を叩いたりもして……それに……それに……」

ハルヒ「あたし、みくるさんのことを『おもちゃ』呼ばわりしました。本当に最低なことをしました」

ハルヒ「みくるさん、すみませんでした……本当にごめんなさい……」

みくる「涼宮さん……」

ハルヒ「キョンも……キョンは真剣にあたしのことを怒ってくれたのに、あたしはただ反発するだけで結局謝りもしなかった」

キョン「ハルヒ……」

ハルヒ「ごめんなさい……ごめんなさい……」

みくる「……いいんですよ涼宮さん。涼宮さんは本当に反省して謝ってくれました。だから許してあげます」


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:24:02.55 ID:SHXEjeKn0
~鶴屋邸 外~


キョン「もう夕方だな。今日はもう解散しないか?」

ハルヒ「そうね。みんな、今日はあたしの用事につき合わせて本当にごめんね」

古泉「いえいえ、SOS団の団員として当然ですよ」

キョン「明日は日曜日だが、何か予定あるのか?」

ハルヒ「あたしは明日も行く所があるの。いろいろとね」

キョン「む、だったら俺達も……」

ハルヒ「ううん、明日はいいわ。SOS団とは関係ない、あたしの個人的な理由で謝りにいくから」

キョン「しかし、目を離すと不安というかだな」

ハルヒ「大丈夫よ、もう」

キョン「頼むからもう今日みたいな無茶はしないでくれよ」

ハルヒ「分かってるわ! 今日はこれで解散! みんな明日はゆっくり休んでね! それじゃ!」ダッ

キョン「あっ、と。あっという間に行っちまいやがった」


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:27:02.47 ID:SHXEjeKn0
キョン「はあ、大変だったな今日は」

みくる「皆さんお疲れ様でした」

キョン「ハルヒは本当に大丈夫か? やっぱり明日もついていった方が……」

古泉「機関の監視がついていますからご心配なく。余程のことがない限り大丈夫ですよ」

キョン「本当か? 任せていいんだな?」

古泉「ええ。涼宮さんがおっしゃったように、明日はゆっくり休んでください」

キョン「分かった。そうさせてもらう」

長門「……」

キョン「長門もお疲れさん。今日はハルヒを助けてくれてありがとな」

長門「いい」

鶴屋「おや、みんな帰るのかい?」

キョン「ええ、今日はありがとうございました」

鶴屋「気をつけて帰るっさー。また来てねー」


キョン(今日は無事に終わったか。ハルヒのあの状態はいつまで続くんだろうな)


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:30:02.27 ID:SHXEjeKn0
~翌日 日曜日 キョン宅~


キョン「む~~」ゴロゴロ

キョン「お言葉に甘えて家でゴロゴロしてはいるが……」

キョン「やっぱりハルヒが気になるな」

キョン「アイツ今日はどこに行ってるんだ? また何かトラブル発生させたりしてないだろうな?」

キョン「……気になる」

キョン「このままじゃ気兼ねなくゴロゴロできん。電話して聞いてみるか」

キョン「さすがにハルヒ本人には掛けにくいな。ここはやっぱり」ピッ


古泉『おや、あなたからの電話とは珍しいですね』

キョン「んなことはどうでもいい。今日ハルヒはどうしてるんだ?」

古泉『やはり気になりますか?』

キョン「……まあな」


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:33:06.19 ID:SHXEjeKn0
古泉『涼宮さんは今日、東中時代の知り合い達に会いに行っています』

キョン「東中時代の知り合い?」

古泉『涼宮さんの元カレ達です』

キョン「元カレだぁ? って、そういえば……」

古泉『あなたも話は聞いているはずです。涼宮さんは中学時代、たくさんの男性から告白され』

キョン「その全てを断ることなく、全員と付き合ったんだよな。で、全部即効で別れたと。おいまさか」

古泉『そうです。涼宮さんは自分がフった男性全員に謝るつもりのようです』

キョン「はあ、また何と言っていいのやら……」

古泉『さすがに今日1日で全員の所へ行くのは難しそうですけどね』

キョン「それで、何かアクシデントは?」

古泉『今の所は何も。皆さん様々な反応を見せてくれていますが、大きなアクシデントは起こっていません』

キョン「そうか。分かった」

古泉『また夜に電話しますね。今日の結果報告を』

キョン「おう頼む。じゃあな」ピッ

キョン「まったく、アイツはどれだけの人に謝るつもりなんだ?」


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:36:02.27 ID:SHXEjeKn0
~その日の夜~


古泉『どうも』

キョン「おう。で、どうだった? 突然謝られた男どもの反応は?」

古泉『いろいろでしたよ。ただただポカンとしていた方、あまりのことに思わず逆に謝ってしまった方』

古泉『気持ち悪いと言って逃げていった方、涼宮さんを見ただけで悲鳴をあげて逃げていった方、等等』

キョン「そりゃいきなりハルヒが来ただけでも驚くのに、さらに謝ってくるもんなぁ」

キョン「ハルヒの本性を知っている者からしたら不気味だったろうな」

古泉『ただ、中には何を今さらと怒る方、罵詈雑言を浴びせる方もいました』

キョン「そっか……ハルヒはどうしてた?」

古泉『それでもひたすら頭を下げて謝っておられました』

キョン「本来ならそっとしとくべきだよな。今さら謝りに行く必要があったのか?」

古泉『あったのでしょう。涼宮さんにとっては』

キョン「それで、何か大きなアクシデントはあったのか?」

古泉『……ええ。実はですね』


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:39:02.43 ID:SHXEjeKn0
~回想~


ハルヒ「せっかく告白してくれたのに、あたしのわがままであっさり別れて本当にごめんなさい!」

男「はぁ? いきなりそんなこと言われても訳分かんねーんだけど?」

ハルヒ「だから、あたしのせいで不快な思いをさせたと思って……」

男「うーん、お前ってそんなキャラじゃなかったろ。何だってんだよ」

ハルヒ「それは……その……」

男「……分かった、許してやる」

ハルヒ「ホントに!」

男「たーだし! ヤラせろ」

ハルヒ「え?」

男「許す代わりにお前とヤラせろって言ってんだよ。しばらく行った所にホテルあるからよ」

ハルヒ「それは……その……だめよ……」

男「いいから来いっつってんだよ! 俺に悪いと思ってんだろ!」

ハルヒ「待って! 待って!」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:42:02.05 ID:SHXEjeKn0
キョン「ハルヒが下手に出るのをいいことにそんなことしようとした奴がいたのか。とんだゲス野郎だな」

古泉『涼宮さんは謝っている人に対しては極端に下手に出るみたいで』

キョン「それでその後はどうなったんだよ?」

古泉『警官に扮した機関員が助けに入りました。みっちりとお灸をすえておきましたよ』

キョン「そうか。ところで古泉、閉鎖空間はどうなってるんだ?」

古泉『実はここ最近、1つも発生していないのですよ』

キョン「そうなのか? 最近のハルヒは随分不安定だと思うんだが」

古泉『以前にもありましたでしょう? しょんぼりしすぎて、かえって発生させていない状態のようです」

古泉『ただ、それもいつまで続くかは分かりません。いつその均衡が崩れてもおかしくない状況ですから』

キョン「そうか、今後も注意が必要だな。いろいろ報告ありがとよ」

古泉『いえいえ、それではこの辺で。おやすみなさい』プツッ


キョン「はあ、やっぱり面倒事を起こしてたか。目を離すとやっぱり不安だ」

キョン「明日からはまた学校か。今度は誰に謝るんだろうな?」


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:45:02.18 ID:SHXEjeKn0
~翌日 月曜日 教室~


キョン「危ね、遅刻ギリギリだ」

国木田「おはようキョン」

キョン「おはよーさん。あれ? ハルヒはまだ来てないのか」

国木田「うん、そうみたい。珍しいね」

キョン「まったく。もうすぐHR始まるぞ」

キョン(まーたどっかで謝ってるのか? 謝るのはいいが、日常生活に支障が出るのはどうかと思うぞ)

岡部「よーし席に着け。HR始めるぞー」

キョン(結局来なかったな。ただの遅刻ならいいんだが……)

岡部「ん? 涼宮はいないのか? 特に連絡は受けていないぞ。またこの間みたいにズル休みか?」

キョン(もう何度目だ嫌な予感。頼むから早く来てくれよハルヒ……)


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:48:04.37 ID:SHXEjeKn0
~1時限目終了 休憩時間~


キョン(まだ来ない……こりゃ電話して聞いてみたほうがいいな。心配だ)

国木田「キョン、どこか行くのかい?」

キョン「ああ、ちょっとな」スタスタ

キョン(誰もいない所……階段の踊り場あたりでいいか)


キョン「よし、ここなら誰にも見つからないな。電話電話っと」ピッ

キョン「早く出ろハルヒー……お、出た」

ハルヒ『もしもし。何よキョン?』

キョン「何よじゃないだろ、学校にも来ないで。お前今どこにいるんだよ?」

ハルヒ『空港よ』

キョン「はあ! 空港! 何でそんな所に?」

ハルヒ『ちょっとカナダまで行こうと思って』


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:51:02.19 ID:SHXEjeKn0
キョン「カナダだとぉ! 何でそんなところに行こうとしてるんだよ!」

ハルヒ『朝倉涼子よ』

キョン「へ? あ、朝倉?」

ハルヒ『入学してからしばらく、あたしがまだ誰とも話そうとしなかった頃、朝倉だけは親身に何度も話しかけてきてくれた』

ハルヒ『それなのに、あたしったらただただうざいとしか思わなくてろくな態度を取っていなかったわ』

ハルヒ『あたしはそのことを謝りたいの。だからカナダまで行かなきゃ駄目なのよ!』

キョン「事情は分かったがいくらなんでも無茶苦茶だ! 直接行かなくても電話すればいいだろう!」

ハルヒ『だって番号知らないんだもの。先生達も誰も知らなかったし』

キョン(そりゃそうだよな。そもそも朝倉はカナダにもどこにもいないんだから)

キョン「か、カナダに行くって言ってもお前アイツの詳しい住所知らないだろ! どうやって捜すんだよ!」

ハルヒ『自力で捜し当ててみせるわよ』

キョン「出来るか! いや、お前ならやっちまいそうな気もするが! とにかく一旦帰って来い!」

ハルヒ『だめよ。あたしは行かなきゃ行けないの。じゃあね』プツッ

キョン「あ! アイツ切りやがった!」


76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:54:02.19 ID:SHXEjeKn0
キョン「くそっ! もう1回掛け直すか…………あーもう! アイツ出ねぇ!」

キョン「とにかくここでジッとしていてもしょうがない! 何とかしないと!」ダッ

古泉「おっと。ここにおられましたか」

キョン「うわっとぉ! って古泉か! 今ハルヒがだな!」

古泉「その様子ですと事情は知っているようですね。部室へ移動しましょう」

キョン「え? ああ、分かった」



~部室~


みくる「キョンくん!」

長門「……」

キョン「朝比奈さん! 長門も!」

古泉「これで全員揃いましたね。さて、困ったことになりました」

キョン「ああ、どうするんだ? このままだとアイツ本当にカナダまで行っちまうぞ」


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 21:57:02.21 ID:SHXEjeKn0
古泉「今のところは機関が飛行機の離陸を遅らせています。しかしそろそろ限界のようです」

キョン「それはハルヒの能力によるものか? 『何が何でもカナダに行きたい』と願っているからとか」

古泉「それもあるかもしれませんね。それも厄介なのですが、それ以上に厄介なことが……」

キョン「何だよ、それ以上に厄介なことって?」

長門「朝倉涼子の復活」

キョン「はい?」

長門「朝倉涼子が復活する可能性がある。涼宮ハルヒが『朝倉涼子に会いたい』と強く願うことによって」

キョン「マジか!? 嫌だー! ナイフはもう嫌だー!」

みくる「キョンくん落ち着いてぇ!」

古泉「そうならないためにも何か対策を立てないといけません。長門さん、何か案はありますか?」

長門「電話を掛ける」

キョン「今のアイツは誰の説得にも耳を貸しそうにないぞ。どうするんだよ?」

長門「こうする」ブツブツブツ……

キョン「ん? 今何をした……って、うわ! 何だこの声!?」


79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:00:06.00 ID:SHXEjeKn0
みくる「きょ、キョンくんの声が女の子の声に!?」

キョン「何だコレ何だコレ!? って、これまさか朝倉の声か?」

長門「そう」

古泉「これはまた何と言いますか」

キョン(朝倉)「俺の声を朝倉の声に変えたってことは、これで朝倉のフリをしろってことか?」

長門「そう。この携帯を使って」スッ

キョン(朝倉)「……分かった。何とかやってみる」

みくる「ふわー、キョンくんの声可愛いー……」

キョン(朝倉)「朝比奈さん……と、とにかく掛けるぞ」ピッ


ハルヒ『もしもし。誰よあんた?』

キョン(朝倉)「あ、ハルヒ。じゃない涼宮さん。俺、じゃなくてわたしよわたし。朝倉涼子よ」

ハルヒ『え!? あ、朝倉!? 本当に!』

キョン(朝倉)「本当だ。じゃない、本当よ」


81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:03:02.72 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ『え? え? 何で? というか何であたしの番号知ってるの?』

キョン(朝倉)「あー、えーと、そう! 長門! じゃないや長門さんから聞いたの!」

ハルヒ『え? 有希から? そういえば同じマンションに住んでたんだっけ?』

キョン(朝倉)「え、ええ。今回の事情も長門さんから聞いたわ! わたしに話があるんだって?」

ハルヒ『あ! そうなの! あたしあなたに謝りたいことがあるの!』

キョン(朝倉)「謝りたいこと?」
 
ハルヒ『えっと、あたしがまだ誰とも打ち解けてない時期に、あなた何度も話しかけてくれたわよね』

ハルヒ『それなのにあたしったら、その好意を踏みにじるようにそっけない態度をとってたわ』

ハルヒ『だから……ごめんなさい。あの時は本当にごめんなさい』

キョン(朝倉)「あらあら。そんなこと気にしなくていいのに」

ハルヒ『ううん、あたしはどうしても謝らないといけなかったのよ』

キョン(朝倉)「分かったわ、許してあげる。気にしなくていいのよ」

ハルヒ『……やっぱり直接会って謝った方がいい?』

キョン(朝倉)「だーめ! あまりみんなに心配掛けちゃだめよ。早く帰ってあげなさい」

ハルヒ『……うん、分かった。それじゃあね』


84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:06:02.01 ID:SHXEjeKn0
キョン(朝倉)「はあ、何とかうまくいったな」

古泉「お疲れ様です。お見事でした」

みくる「キョンくんの声、やっぱり可愛いー……」

キョン(朝倉)「朝比奈さん……あ、長門。この声元に戻してくれるか?」

長門「無理。あなたの声は一生そのまま」

キョン(朝倉)「え”え”え”え”え”!!」

長門「……」ブツブツブツ…

キョン「嘘だろ長門! ってあれ? あーあーあー……元に戻った?」

長門「……」

キョン(……今のは長門なりのジョークだったのだろうか……?)

古泉「さて、これで涼宮さんは今頃学校に向かってきてくれているはずです」

古泉「とりあえず危機は回避しましたし、我々も授業に戻るとしましょう」

キョン「そういや2時限目さぼっちまったな。やれやれ」


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:09:01.91 ID:SHXEjeKn0
~昼休み~


谷口「よおキョン、2時限目は何でさぼったんだ?」

キョン「黙」

谷口「喋れよ!」

国木田「そういえば最近、涼宮さんどうしたんだろうね。今日も休みだし」

谷口「そうだよな。キョン、何かあったのかよ?」

キョン「あー、まー、それはだな……」


ガラッ


ハルヒ「……」

キョン「おっ、噂をすれば。やっと来たかハルヒ」

ハルヒ「おはよ」

キョン「おはよって時間じゃないだろ。まったくまた無茶をしてみんなに心配掛けやがって」

ハルヒ「うん……ごめんね」


87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:12:02.19 ID:SHXEjeKn0
谷口「……」

国木田「……」

キョン「ん? どうしたんだお前ら?」

谷口「い、今、涼宮がお前に謝ってなかったか……?」

キョン「あ、ああ」

ハルヒ「謝ったわよ。それがどうかしたの?」

谷口「どうかしたのって……え、ええええぇぇぇぇええええぇぇええ!!」

キョン「そこまで驚かんでも……まあ驚くよなぁ」


ハルヒ「……」

キョン「どうしたハルヒ? 早く席に着けよ」

ハルヒ「……ねぇ2人とも聞いて。あんた達に謝りたいことがあるの」

国木田「え? 僕達に?」

谷口「謝りたいこと……だと……?」


88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:15:01.91 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「あんた達2人には野球大会とか映画撮影とかいろいろSOS団の活動を手伝ってもらったのに」

ハルヒ「あたしは1度もまともにお礼も言ったことがなかった……」

ハルヒ「しかも、あたしはあんた達を人数合わせとしか見てなくて、適当な扱いしかしてこなかった」

ハルヒ「だから謝りたいの。2人とも、今まで本当にごめんなさい!」

谷口「……」ポカーン

国木田「……」ポカーン

キョン「おーい、2人とも戻ってこーい」

国木田「あっと、ごめんつい。えっと涼宮さん、僕は全然気にしてないよ」

国木田「SOS団の活動に参加するのは何だかんだで楽しかったからね。むしろお礼を言いたいくらいさ」

国木田「だからさ、今度また誘ってよ。是非とも喜んで参加するからさ」

ハルヒ「……うん」

国木田「ね、谷口もそうだろう?」

谷口「……」

キョン「谷口?」


90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:18:01.64 ID:SHXEjeKn0
谷口「お前……本当に涼宮か……?」

ハルヒ「……」

谷口「お前とは5年連続で同じクラスだからよ。何だかんだで付き合い長いんだが……」

谷口「お前は絶対『ごめんなさい』なんて口にするような奴じゃねえ。そんな性格じゃねえ」

谷口「本当に……お前涼宮か……」

キョン「谷口よ、信じられん気持ちは分かるが……」

キョン「ハルヒは…………本気だ」

谷口「……」

ハルヒ「……」

谷口「えーあー、何て言うかだな、まあ気にすんな! 俺も楽しかったからよ! いいってことよ!」 

谷口「しかし本当に驚きだ! まさかお前に謝られる日が来るなんてよ! ははははは!」

キョン「だとさ、ハルヒ」

ハルヒ「うん。本当にごめんなさい」


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:21:01.72 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「あと谷口、もう1つ謝りたいことが……」

谷口「へ? 何だ?」

ハルヒ「中学の時、あんたがあたしに告白してきて付き合うことになったわよね」

キョン「え?」

国木田「え?」

谷口「げっ!?」

ハルヒ「でも結局はわずか5分で別れた。ただのあたしの一方的なわがままで」

ハルヒ「せっかく告白してきてくれたのに、ごめんなさい!」

谷口「わーわー! 待て待て! ストップストップ!」

キョン「やっぱり中学時代に最短5分でハルヒにフラれた男って……」

国木田「君だったんだね、谷口……」

谷口「ああそうさ! 無様にフラれたのさ! でも気にしてないヨ! あははけうghどいsんふぃ!」

国木田「あ、壊れた」

キョン「お前な、おもいきり傷口に塩を塗りこむなよ……」

ハルヒ「え? え? ご、ごめんなさい!?」


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:24:01.37 ID:SHXEjeKn0
~放課後 部室~


キョン「すまん。掃除が長引いちまってな……って、何してるんだみんな?」

みくる「あ、キョンくん」

古泉「どうも。あなたも手伝っていただけますか?」

長門「……」

キョン「何だ何だ? パソコンを全部持ち出して何しようってんだ?」

ハルヒ「コンピ研に返すのよ」

キョン「返す?」

ハルヒ「そう、これらは全部卑怯なやり方で巻き上げたモノだから……」

ハルヒ「だからきちんと謝罪をした上で、全て返すべきなのよ」

キョン「うーん、少しもったいない気もするが、そういうことなら」

ハルヒ「それじゃ手分けして運びましょ。キョンと古泉くんは団長机のデスクトップパソコンをお願い」

キョン「あいよ、了解」

ハルヒ「じゃあコンピ研のところに行くわよ」


96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:27:01.48 ID:SHXEjeKn0
~コンピ研 部室前~


キョン「あのー、すみませーん」

コンピ研部長「誰だい? って君達か。何の用だい?」

ハルヒ「あの、このパソコンなんですけど……」

コンピ研部長「んん? 何か君、口調がおかしくないかい?」

キョン「あーいや、そこには突っ込まないであげてください」

古泉「お宅からいただいたパソコンを返しに来ました」

コンピ研部長「はえ? パソコンを? どどどういうことだい?」

ハルヒ「このパソコン、脅迫と言う卑怯な手で強奪してしまい、本当にすみませんでした!」

ハルヒ「それにただパソコンを奪うだけでなく、精神的なダメージまで与えてしまいました」

ハルヒ「本当に本当にすみませんでした! パソコンはこの通り、全てお返しします!」

コンピ研部長「ええええええ!!」


100 名前:さるさん・・・[] 投稿日:2010/09/19(日) 22:45:02.30 ID:SHXEjeKn0
キョン「……………………という訳でして」

コンピ研部長「そ、そういうことか。いきなり謝られたからビックリしたよ」

キョン「じゃあこのパソコン全部、中に運び込みますね。朝比奈さんと長門も」

みくる「あ、はぁい」

長門「……」

コンピ研部長「ふむ……」

古泉「すみません。このパソコンはどこに置けばよろしいでしょうか?」

コンピ研部長「あー……ちょっと待ってくれたまえ」

キョン「どうかしたんですか?」

コンピ研部長「そのデスクトップパソコン、それは返してもらおう。ひどい方法でとられたからね」

ハルヒ「ごめんなさい……」

コンピ研部長「だがその4台のノートパソコンは返す必要はないよ。それは君たちの物だ」

キョン「え?」


103 名前:またさるさん・・・[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:00:04.56 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「え……な、何で?」

コンピ研部長「それは君達が僕達とのゲーム対決で勝利して勝ち取ったモノだからね」

コンピ研部長「それに、あの時は僕達の方がインチキをしてたわけだし。文句は言わないよ」

キョン(へえ、心が広いんだな。正直見直した)

ハルヒ「で、でもでもでも……」

コンピ研部長「いいんだよ。むしろうちは助かってるんだから」

キョン「助かってる?」

コンピ研部長「長門さんだよ! 彼女はどんな不具合もバグもシステムエラーも即座に直してくれるし」

コンピ研部長「さらにはメーカーも真っ青なオリジナル新型OSの開発までしてしまった!」

コンピ研部長「僕達にとっては毎日が驚きの連続だよ。まさに貴重な人材だ! 勉強になる!」

コンピ研部長「それに長門さんがいると華やかだからね。今やコンピ研のアイドルさ!」

キョン「あのー、すみません。少し落ち着いてくれますか?」

コンピ研部長「え? ああすまない。少し興奮してしまった」

コンピ研部長「今言ったように、長門さんが来るようになって、うちとしては大いに助かってるんだ」


106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:03:04.30 ID:SHXEjeKn0
コンピ研部長「ハッキリ言って、パソコン4台なんか目じゃないくらいの価値がある!」

コンピ研部長「だからパソコンは返さなくてもいい。むしろ長門さんに手伝って貰えるなら安いくらいだ」

キョン「だとさハルヒ」

ハルヒ「……分かりました。お言葉に甘えます」

コンピ研部長「うむ! ついでに長門さんが次期コンピ研の部長になってくれると助かるんだが……」

キョン「すみませんが、それは丁重にお断りさせていただきます」

コンピ研部長「やっぱり駄目かい……残念だ」

みくる「えと、それではこのパソコンは部室に持って帰りますね」

長門「……」

古泉「では、このデスクトップパソコンだけ、中に入れておきますね」

キョン「だな。ハルヒ、ちょっとそこどいてくれ。中に入れん」

ハルヒ「……」

キョン「ハルヒ?」

ハルヒ「あたし、まだ部長さんに謝らないといけないことがあるの」


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:06:04.10 ID:SHXEjeKn0
コンピ研部長「え? まだ何かあったかい?」

ハルヒ「コンピ研の皆さんがSOS団にゲーム対決を申し込んできた時……」

コンピ研部長「ふむふむ」

ハルヒ「あたし、あなたの頭におもいきりドロップキックをぶちかましてしまいました……」

コンピ研部長「あ、あー……あったねぇそんなことも……」

キョン(部長氏が「勝負! 勝負!」と連呼してたら、真横からハルヒが飛んできたっけな)

ハルヒ「あの時は本当にすみませんでした。しかもあの後さらに話も聞かずに殴りかかろうとしたり」

コンピ研部長「ま、まあ、謝ってくれればそれでいいさ。は、はは……」

キョン(せっかく忘れてたのに思い出してしまったって顔だな)

ハルヒ「さあ」グッ

コンピ研部長「どうしたんだい? 急に中腰になったりして」

ハルヒ「あたしの頭におもいきりドロップキックをぶちかましてください!」

コンピ研部長「え、ええええ!?」

キョン「やっぱりこうなるのか……」

コンピ研部長「じょ、冗談じゃない! 女の子にそんなことできるわけないじゃないか!」


112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:09:00.65 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「遠慮しないでください! さぁさぁさぁさぁ!」

コンピ研部長「ひいいいい!!」バターン!

キョン「あ、ドア閉められちまった……」

ハルヒ「ちょっと! 開けて! 開けてくださーい!」ドンドン!

コンピ研部長『いい嫌だ! 今の君は怖い! もういいから帰ってくれ!』

キョン「あ、そういえばまだこのデスクトップパソコン、返してないですよ?」

コンピ研部長『それももういい! さっきも言ったが、長門さんで充分元は取れてるんだ!』

キョン「はあ、だとさハルヒ。もういい加減諦めろ。ドロップキックはきついっての」

ハルヒ「それだけじゃないの! まだ謝りたいことがあるの!」

キョン「まだあるんかい。お前どれだけコンピ研に迷惑かけてるんだ?」

ハルヒ「以前喜緑さんからの依頼で、部長さんのマンションに調査に行ったことがあるでしょ?」

ハルヒ「その時に部長さんの部屋に不法侵入したことを謝りたいのよ!」

キョン「あったな、そんなのも……」

ハルヒ「どうしても謝りたいのに……何とか入れないかしら? 窓から侵入するとか?」

キョン「不法侵入したことを謝りたいのに、不法侵入してどうすんだ」


114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:12:00.87 ID:SHXEjeKn0
キョン「諦めろハルヒ。これ以上は逆に迷惑になるぞ」

ハルヒ「う……せっかくお詫びの品も持ってきたのに……」

キョン「お詫びの品?」

ハルヒ「わらび餅よ。結構高いやつ。不法侵入した時に冷蔵庫にあったわらび餅食べちゃったから」

キョン「用意のいい奴だな」

ハルヒ「仕方ないわ。ではこれはみくるさんにあげます」

みくる「え? あたしにですか?」

ハルヒ「賞味期限が3日過ぎたわらび餅を、毒見として無理矢理食べさせたから……だからそのお詫びです」

みくる「あ、じゃあそれは皆さんで食べましょう。あたしお茶淹れますから」

キョン「そうですね。というかいい加減部室に戻ろう。パソコンも元に戻さないと」

ハルヒ「みんなはお茶を楽しんでて。あたしはまだ行く所があるから」

キョン「どこにだ?」

ハルヒ「先生達に謝りにいくのよ。いろいろ迷惑かけたから」

キョン「先生達に?」


115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:15:00.62 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「迷惑かけたのもそうだし、怒られても反発するだけだったから……」

ハルヒ「迷惑をかけた先生全員に謝ってくるわ。みんなは来なくていいわ。これはあたしの問題だから」

キョン「……大丈夫か? 激しく不安なんだが」

ハルヒ「大丈夫よ。じゃ行ってくるわね」ダッ

キョン「あ、おい! ってあっという間に行っちまった。本当に大丈夫か?」

古泉「大丈夫だと思いますが……」

キョン「……それで、機関の調査で何か新しく分かったことはあるのか?」

古泉「こちらではいまだに原因は分かっていません。長門さんはどうですか?」

長門「調査の結果、外部からの何らかの改変の痕跡は一切見つからなかった」

キョン「ということは、ハルヒ自身が能力で自分を変えたってことか?」

古泉「あるいは能力云々一切抜きで、今までの自分の行いを反省したと言う可能性もありますが」

キョン「それはないんじゃないか? ないと思う」

古泉「おや、ひどいですね」

みくる「皆さん、お茶が入りましたよ」

キョン「どうも。とりあえず一旦休憩にするか」


117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:18:08.55 ID:SHXEjeKn0
~夕方~


ハルヒ「ただいま……」

キョン「おかえり。随分遅かったな」

ハルヒ「1人1人に謝って周ってたら思ったよりもかかっちゃったわ。しかもまだ全員に謝ってないし」

みくる「涼宮さん、お疲れ様です」

ハルヒ「ありがとうございます、みくるさん。はぁ……」

キョン「どうした? 随分と元気ないな」

ハルヒ「ほとんどの先生は軽い注意で許してくれたんだけど、中には激しく説教してくる先生もいたから」

キョン(ハルヒに対する恨みが溜まってたのか……?)

ハルヒ「でも仕方ないわよ。あたしはそれだけのことをしたんだし……はぁ」

キョン(あのハルヒが叱られて落ち込むなんてな。以前はどんなに叱られても平然としてたのに)

ハルヒ「はああ……」ドヨーン…

キョン「重症だな。頼むから変な気は起こさないでくれよ」


120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:21:00.37 ID:SHXEjeKn0
ハルヒ「変な気って何よ?」

キョン「あ、いや、その、今の落ち込んだお前見てるとだな……その、自殺とか?」

ハルヒ「はぁ? そんなことするわけないでしょ!」

ハルヒ「いい? あたしはまだまだ謝らないといけないの! 死んでる暇なんてないわよ!」

ハルヒ「それに、自殺というのは逃げなのよ! あたしは絶対に逃げたりしないわ!」

キョン「あ、ああ、すまん。悪かったよ、変なこと言っちまって」

ハルヒ「もう。じゃあみんな帰りましょ。下校時刻過ぎちゃってるわ」

みくる「あ、は~い」

古泉「ふふ、あの様子なら大丈夫そうですね」

キョン「ああ。いかに性格が変わって弱っているとはいえ、やっぱりハルヒはハルヒか」

長門「まだハッキリとした原因は分からない。引き続き調査を進める」

キョン「ああ、頼むぞ」


キョン(まったく。ハルヒはいつまで謝り続けるんだろうな。全ての人に謝り終わるまでか?)

キョン(普段のハルヒにも手を焼くが、こんなハルヒも調子が狂っちまうな)


122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:24:01.72 ID:SHXEjeKn0
~翌日 火曜日 教室~


キョン「お、今日はちゃんと来たな」

ハルヒ「おはよキョン」

キョン「しかし俺より遅いのは珍しいな」

ハルヒ「朝に野球部のみんなに謝りに行ったのよ。野球大会の練習の時に強引にグラウンド借りたから」

キョン「……何か迷惑かけなかったろうな?」

ハルヒ「かけてないわよ。ボール磨きとかグラウンド整備とか手伝ったわ」

キョン「ほう、それは偉いじゃないか」

ハルヒ「ユニフォーム洗濯するために脱がせようとしたら、みんな逃げちゃったけど」

キョン「おい」


124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:27:00.12 ID:SHXEjeKn0
~昼休み 部室~


キョン「よう、長門。たまには部室で昼飯食おうと思ってな。いいか?」

長門「構わない」

キョン「よっこらしょっと。ハルヒの奴は休み時間のたびにすぐにいなくなりやがる」

キョン「少しでも時間があれば謝りに行ってる。謝りに行った先で騒ぎを起こさなければいいんだが」

長門「そう」

キョン「そういえばお前、今日は珍しく本を読んでないんだな」

長門「涼宮ハルヒが変化した原因に関するデータを解析中」

キョン「そうなのか。それで、何か進展あったか?」

長門「涼宮ハルヒが自分自身に何かしらの改変を行ったことは確実」

キョン「やっぱりそうなのか。しかし、何でハルヒは自分をあんなふうに変えたんだ?」

長門「分からない」

キョン「動機はいまだ不明、か。いくらなんでも1日であんなに変わるのはおかしいからな。何かあったと思うんだが」

長門「それを今調べている」


125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:30:04.24 ID:SHXEjeKn0
キョン「そうか……すまんな長門。お前に頼りっぱなしで」

長門「いい」

キョン「……」

長門「……」

キョン「……なあ長門」

長門「何?」

キョン「その解析とやら、大変か?」

長門「……そうでもない」

キョン「そうか……」

長門「そう」

キョン「……」

長門「……」

キョン「……そろそろ昼休みが終わるな。俺、教室戻るから」

長門「そう」

キョン「じゃあ、な。お前も遅れないようにな」


128 名前:またまたさるさん・・・[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:45:00.46 ID:SHXEjeKn0
~放課後 部室~


みくる「ええ! 涼宮さんがバイトですか!」

キョン「何でも今日と明日の2日、放課後にバイトをするそうです」

キョン「俺に返す金とか、他にももろもろ。以前バイトしてでも返すと言ってましたからね」

キョン「俺に説明し終わるや否や、さっさと飛び出していってしまいました」

みくる「それで、何のバイトをするんですか?」

キョン「朝比奈さんも覚えてるでしょう? 着ぐるみを着てのスーパーでの風船配りです」

みくる「風船配りって、以前夏休みにあたし達がやったバイト、ですか?」

キョン「そうです。あの時は俺達だけが働いて、ハルヒはのんびり涼しい所でアイス食ってましたからね」

キョン「その贖罪のためにこのバイトを選んだと言ってました」

古泉「ちなみに、このバイトが終わった後、もっと別のバイトを見つけてお金を稼ぐみたいですね」

古泉「今回のバイトだけでは足りないみたいで。今回のバイトは僕達に対する贖罪がメインみたいです」


130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/19(日) 23:48:01.82 ID:SHXEjeKn0
キョン「……そのことを知ってるってことは、お前も噛んでるんだな?」

古泉「ええ。僕はもっと楽に稼げるバイトを紹介したのですが、どうしてもこのバイトをと仰られましたので」

キョン「そうか」

みくる「涼宮さん……」

キョン「……」

古泉「気になりますか?」

キョン「そりゃ気になるだろう。アイツ、また変なことしてなけりゃいいんだが」

みくる「じゃ、じゃあみんなで見に行きましょう! あたしも心配ですし」

古泉「そうですね。今日は結構な暑さですしね」

キョン「決まりだ、行くか。長門、準備しろ」

長門「分かった」

キョン「さて、我らが団長様はどんな感じで働いてるんだろうな?」

131 名前:続さるさん[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:02:59.82 ID:1attf1Pk0 [1/88]
~スーパー~


キョン「ここだな。さて、ハルヒはどこだ?」

古泉「あのカエルの着ぐるみを着た方が恐らく涼宮さんかと」


カエル「ふ、風船どうぞ……あ、どうぞ……」


みくる「涼宮さん、何だかフラフラしてますね……」

キョン「この暑さですからね。そりゃあきついでしょう」


カエル「ちょ、蹴らないで……風船全部持っていかないで……」


キョン(思い出すな。あの真夏日のバイトのことを……)

キョン(俺達が苦労してるってのに、アイツ1人だけノンビリしてやがったんだよな……」


カエル「はぁ……はぁ……う…………ぜぇ……ぜぇ……」


キョン(……くそ、少しだけ自業自得だとか思っちまった)


132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:05:59.99 ID:1attf1Pk0 [2/88]
カエル「え? 終わりですか? お、お疲れ様でした……」


みくる「あ、終わったみたいですね」

古泉「では、行きますか」


ハルヒ「ぷはっ! この着ぐるみの頭、あっつい……」

キョン「よう、ハルヒ」

ハルヒ「キョン!? みんなも!? え? 何で!」

キョン「何で、はないだろ。みんなお前を心配して見に来たんだ」

みくる「そうですよ涼宮さん」

古泉「今日はお疲れ様でした」

長門「……」

ハルヒ「みんな……ごめんね、わざわざ来てくれて」


133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:09:01.03 ID:1attf1Pk0 [3/88]
キョン「しっかしこの着ぐるみ、相変わらず暑そうだな」

みくる「はい涼宮さん、お水です」

ハルヒ「あ、ありがとうございます」

キョン「早く着ぐるみ脱いで着替えて来いよ。見てるほうも暑い」

ハルヒ「そうね。ちょっと着替えて……あ、あれ……?」フラフラ

キョン「おっとっと! 気をつけろよ。何かフラフラしてるぞ」

ハルヒ「ご、ごめん……」

キョン「……お前、まさかまた罪滅ぼしのためとかで重りとか付けてるんじゃないだろうな?」

ハルヒ「そんなモノ付けてないわよ」

キョン「そうか、ならいいんだが」

ハルヒ「身体中にホッカイロ貼り付けてるだけで……」

キョン「何だホッカイロかこのスーパー馬鹿!!」


135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:12:00.31 ID:1attf1Pk0 [4/88]
キョン「剥がせ! 今すぐホッカイロ全部剥がせ!」グイグイ

ハルヒ「ちょちょちょっとキョン! どこ触ってるのよ!」

キョン「ああもう! 朝比奈さん! 長門!」

みくる「は、はい! 涼宮さん、剥がしますよ! 着ぐるみも脱いでください!」

長門「……」グイグイ

ハルヒ「ゆ、有希!? 脱がすのは着ぐるみだけでいいのよ!?」

古泉「僕はお店で氷を貰ってきますね」ダッ

キョン「後は涼しい所に移動させて……何か扇ぐものも……」

みくる「あつっ! 涼宮さん、身体が熱いです!?」

長門「水分補給が必要。飲んで」

ハルヒ「ごぼぼぼぼ……」

キョン「よくこんな状態でバイトやり遂げたな。って感心してる場合じゃないな。まったくこの馬鹿は」


137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:15:01.15 ID:1attf1Pk0 [5/88]
キョン「どうだハルヒ、大丈夫か?」

ハルヒ「少しボーとするけど、もう平気よ」

キョン「……長門、どうだ?」

長門「容態は安定している。もう動いても大丈夫」

キョン「そうか。頑丈な奴だなお前は」

ハルヒ「当然よ!」

古泉「この調子なら本当に大丈夫そうですね。安心しました」

キョン「……で、何でこんなことした?」

ハルヒ「だって……あたし、みんなが必死に働いている時、自分だけ涼しい所でノンビリしてたから……」 

ハルヒ「みんなの苦労を……苦しみを……あたしも味わうべきだと思ったのよ」

キョン「いい加減にしろ! 何度も言ってるだろう! そこまでする必要はないって!」

キョン「何度同じこと繰り返せば気が済む! そうやって無茶するたびに俺達に心配を掛けて……!」

ハルヒ「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……」

キョン「ハルヒ、もう2度とこんな無茶はするな。絶対だ! 明日のバイトは普通にやれ。分かったな!」

ハルヒ「うん……ごめんなさい……本当にごめんなさい……」


138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:18:00.61 ID:1attf1Pk0 [6/88]
キョン「はぁ、少し言い過ぎたか?」

古泉「……いえ、我々も同じ気持ちでしたから」

みくる「涼宮さん、あれで本当に無茶をやめてくれればいいんですけど」

古泉「おっと」ピッ

キョン「どうした?」

古泉「機関からです。どうやら久々に閉鎖空間が発生したみたいです」

キョン「……やっぱりさっきのあれが原因か?」

古泉「いえ、ここ数日はいつ閉鎖空間が発生してもおかしくない状態でしたので」

古泉「それがたまたま今のタイミングで発生しただけですよ」

キョン「そうか」

古泉「では、僕はこれで。行って来ます」

キョン「な、なあ古泉」

古泉「何でしょうか?」

キョン「やっぱり閉鎖空間の処理……というか神人退治って……大変か?」


140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:20:59.90 ID:1attf1Pk0 [7/88]
古泉「あなたが僕にそのようなことを聞いてくるとは珍しいですね」

キョン「……」

古泉「……そうですね。大変じゃないと言えばもちろん嘘になりますが」

古泉「これが……僕の使命ですから」

キョン「使命……か」

古泉「おっと、迎えが来たようです。では、僕はこれで」タッ


みくる「あたし達も帰ります。キョンくん、じゃあね」

長門「……」

キョン「ええ、また明日。長門も気をつけてな」


キョン「……」

キョン「なーんで俺は古泉にあんなことを聞いちまったんだ? 何かハルヒに影響されたか?」

キョン「にしてもハルヒにはきつく言い過ぎたか? 俺だって人に偉そうに言える立場じゃないだろうに」

キョン「……人に偉そうに言える立場じゃない……か」


141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 00:24:01.06 ID:1attf1Pk0 [8/88]
~夜 キョン宅~


(キョン「その解析とやら、大変か?」)

(長門「……そうでもない」)

キョン「……」

(キョン「やっぱり閉鎖空間の処理……というか神人退治って……大変か?」)

(古泉「……そうですね。大変じゃないと言えばもちろん嘘になりますが」)

(古泉「これが……僕の使命ですから」)


キョン「……くそ、あいつらの言葉が頭から離れん」

キョン「長門、古泉、そして朝比奈さんも……みんないつもハルヒ絡みの事件を解決するために裏で苦労している」

キョン「分かってたつもりだったが……何で今になってこんなに考えちまうんだ……」

キョン「これもハルヒの影響か……?」

キョン「あ~~~~」ゴロゴロゴロゴロ…

キョン「眠れん……」

ハルヒ「みんな、ごめんなさい! 本当にごめんなさい!」後半
に続きます

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