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エイラ「サーニャがネウロイに…!?」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:08:50.05 ID:hXjMHHcO0 [1/47]
魔力の癌の一件以来
わたしとサーニャの絆はもっと深く強くなった気がする
そんなことを考えながら 二人で星を見ていた
サーニャ「ねぇ、エイラ」
エイラ「ん?ナンダ?」
サーニャ「星座の名前は言える?」
サーニャは星を指差した
関連
エイラ「そうか…死ぬのか」
魔力の癌の一件以来
わたしとサーニャの絆はもっと深く強くなった気がする
そんなことを考えながら 二人で星を見ていた
サーニャ「ねぇ、エイラ」
エイラ「ん?ナンダ?」
サーニャ「星座の名前は言える?」
サーニャは星を指差した
関連
エイラ「そうか…死ぬのか」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:09:37.40 ID:hXjMHHcO0 [2/47]
こういうときは何座だとかあの星は何かとか言えれば
カッコいいんだろうけれど
あいにくわたしは星座や星なんてあまり興味は無い
占いはするけれどタロットカードだし占星術は専門外だ
エイラ「わからいなァ~」
わたしが言うとサーニャはクスクスと笑って
サーニャ「わたしもよ」
と言った
エイラ「サーニャもか」
わたしたちはしばらく笑い合った
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:10:40.13 ID:hXjMHHcO0
エイラ「そーいえば、明日は休みだナ」
サーニャ「うん」
エイラ「そ、その、なにか明日予定とか…あるカ?」
サーニャ「うぅん 無いわ だから部屋で寝てようかなって」
エイラ「ほら、あんまり籠ってばかりだと…その、なんだ身体に良く無いから
サ」
サーニャ「?」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:11:15.58 ID:hXjMHHcO0
エイラ「ローマの街にも行っていいらしいから…い、一緒に行かないカ?」
サーニャ「街に?」
エイラ「う、うん ルッキーニが言うには美味しいアイスを売っている店もあるらしんダ」
サーニャ「ホント? じゃあ、芳佳ちゃんとかも誘って…」
エイラ「いや~宮藤はなんか忙しいとかなんとか、なんとかで…
それは嘘だった
わたしはサーニャと二人で出かけたかった
その、あれだ、所謂デートってやつをしてみたい
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:12:03.51 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「そうなの?」
サーニャは少し残念そうな顔をする
わたしはサーニャのそういう表情をあまり見たくは無いが
たまにはちょっとくらいのエゴも必要だろう
エイラ「じゃあ、決まりだ!明日シャーリーのヤツが車を出すらしいからそれに乗って行こう」
サーニャ「うん!」
わたしたちは部屋に戻ってベッドの中に入った
あ~明日が楽しみだなぁ~
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:12:35.36 ID:hXjMHHcO0
シャーリー「す、すまん…熱が下がらないんだ…」
エイラ「…」
サーニャ「大丈夫?」
しかし、明日になってシャーリーが熱を出した
おかしいな、占いは割といい結果だったのに…
シャーリー「エイラ、これ」
と熱で辛そうなシャーリーが渡して来たのは何かの鍵
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:13:21.32 ID:hXjMHHcO0
エイラ「ナンダ、コレ?」
シャーリー「裏の倉庫にあるバイクの鍵だ…それに乗って街に向かってくれ…」
エイラ「バ、バイク…!?バイクなんて乗った事…」
シャーリー「右手を捻れば動くから大丈夫だ…」
とそこで力尽きたのかシャーリーは寝てしまった
サーニャ「エイラ、どうするの?」
エイラ「うーん…」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:13:52.60 ID:hXjMHHcO0
こうなったらもう乗るしか無いんじゃないか
シャーリーの置き土産の鍵を握りしめた
エイラ「い、行こう!」
サーニャ「エイラ、バイク乗れるの?」
エイラ「右手を捻ればいいんだロ?」
サーニャ「大丈夫かなぁ…」
エイラ「なんかあったら魔法でカバーすれば良いサ!」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:15:39.78 ID:hXjMHHcO0
エイラ「サーニャ、しっかりつかまってろヨ」
サーニャ「うん」
倉庫内で少し練習したあと
いよいよ、街に向かう事にした
バイクは思ったより簡単に動かせたが
まだ、慣れない
なにより街までの道は荒れてて走りにくいだろう
大丈夫かな…
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:17:21.19 ID:hXjMHHcO0
エイラ「よ~し、発進!」
サーニャ「…」
エイラ「!」
後ろに乗っているサーニャがわたしに抱きついてくる
サーニャの良い香りがすぐ近くにあった
わたしはバイクは素晴らしい乗り物だと確信した
今度はもっと色々教えてもらおう
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:18:32.47 ID:hXjMHHcO0
わたしはシャーリーに教えてもらった通り
右手を捻った
エイラ「うわぁ…」
すると、車体が簡単に動く
これなら、なんとか街まで行けそうだ
エイラ「サ、サーニャしっかり捕まっとけよ!」
サーニャ「うん」
わたしたちはゆっくりと動き出した
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:19:36.30 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「エイラ、大丈夫?」
エイラ「なんとかナ…」
街の大きな広場のベンチにわたしは座っている
いや、座っているというよりはのしかかっていると言った方がいいと思う
それも「ぐでー」なんて効果音が付きそうな勢いだ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:21:05.20 ID:hXjMHHcO0
乗ってから気付いたんだが
あのバイクはどうやら魔力を消費するらしい
だから、初めて乗る私でも簡単に乗れたのだ
今、わたしは街に着いたばかりなのに
すっごい疲れてる
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:21:54.84 ID:hXjMHHcO0
エイラ「し、しばらく休んだらお店でも巡ろうカ…」
サーニャ「無理しなくていいのよ、エイラ」
違うんだよ、わたしはサーニャと一緒に街を歩きたいんだよ~
ちくしょー、シャーリーめ早めに言っておいてくれれば…
サーニャ「あ、ちょっと待っててエイラ」
エイラ「…?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:22:48.69 ID:hXjMHHcO0
そう言うとサーニャは遠くの屋台まで走って行った
そうして両手に何かを持って戻ってくる
サーニャ「これ、言ってたアイスじゃない?」
エイラ「…あぁ」
そんなこと言ってたのも忘れてた
そうだ、ルッキーニのヤツが言っていたアイス屋さんか…
サーニャはわたしの隣に座って、わたしにアイスを渡した
サーニャ「はい、エイラの分」
エイラ「うん、アリガト」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:23:42.68 ID:hXjMHHcO0
わたしはサーニャからアイスを受け取る
すげー嬉しい
やばい、やばい
そうして、サーニャはアイスをペロッと舐める
サーニャ「うわぁ、美味しい!エイラも食べてみてよ!」
エイラ「う、うん…」
わたしとしては、美味しいって笑ったサーニャの顔を見ていたかったが
サーニャに言われたんなら仕方ない
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:24:23.46 ID:hXjMHHcO0
ペロッ
エイラ「美味しい…」
ほどよく濃厚バニラと甘いブルーベリーのソースがかかった
アイスはとっても美味しかった
でも、なにより…
サーニャ「美味しいね、エイラ 来て良かった」
とサーニャが言ってくれたのがなによりも嬉しかった
それだけでハッピーアイスクリームだ
エイラ「ん?どうした?」
サーニャは頭を抱えている
サーニャ「ちょっと最近、頭が痛くて…」
エイラ「アイスで冷えたんじゃないカ?」
サーニャ「フフ、そうかもね」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:25:21.17 ID:hXjMHHcO0
その後、 アイスクリームで回復したわたしは
サーニャと一緒に街へ行った
ウィンドウショッピングを楽しんで笑っているサーニャ
それを見て笑うわたし
幸せ過ぎる
でも、わたしの日々にも一日くらい
こんなにいい日があったて悪くは無いだろう、うん
サーニャ「ねぇ、エイラ あれはなに?」
エイラ「ん?」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:26:29.35 ID:hXjMHHcO0
サーニャが指差したのは小さな玩具屋だった
エイラ「玩具屋ダろ?」
サーニャ「うん、それはわかるんだけど…」
サーニャが疑問に思ったのは
ショーウィンドウの奥にたたずむ、赤いマントをしたブリキの人形だった
エイラ「なんかの、ヒーローかナ?」
わたしはそんなのはわかんない
女の子「お姉ちゃん達わかんないのぉ?」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:27:19.98 ID:hXjMHHcO0
エイラ「ん?」
サーニャ「え?」
ガラスの前にいた私たちの隣にはいつのまにか小さな女の子がいた
女の子「これはね~ブリキマンって言うのよ~ お姫様を守る無敵のヒーローなんだ!」
サーニャ「そうなんだ~」
エイラ「お姫様を…」
女の子「うん じゃーね!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:28:36.41 ID:hXjMHHcO0
女の子は走っていた
エイラ「…」
お姫様を守る無敵のヒーロー…
なんか、カッコいいな
わたしもサーニャを守るために戦えるだろうか、そして死ねるだろうか
愛するために、勇気を貰うために、わたしはヒーローになれるだろうか
でも、なるしかない
サーニャの笑顔を、わたしの隣で笑ってくれるサーニャの笑顔をわたしは守るしかないのだ
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:29:06.95 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「どうしたの、エイラ?」
エイラ「うぅん、なんでもナイ」
サーニャ「変な、エイラ」
サーニャは笑う
いいんだ、それで
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:29:45.53 ID:hXjMHHcO0
おやじ「さーさー、そこのお二人 こんな宝石はいかがかな?」
エイラ「うん?」
わたしたちが歩いていると怪しい露店を出しているおやじが声をかけて来た
サーニャ「なぁに?」
エイラ「ちょ、サーニャ!」
サーニャは何に惹かれたのか露店に向かう
わたしもそれに慌てて着いて行く
おやじ「いやー、お嬢さん綺麗な指をしているね~」
エイラ「お前、サーニャに触んじゃネェ!」
おやじの汚い指がサーニャの手に触れたのでわたしはそれを払いのけた
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:30:24.47 ID:hXjMHHcO0
おやじ「おっと、すまん、すまん」
サーニャ「…その赤い宝石はなぁに?」
おやじ「お目が高いねぇ~これはロマーニャ近海をたまに漂っている謎の宝石だ 街の女の子の中でも今流行ってるんですよ~」
そう言うとおやじは大きな赤い宝石をサーニャの手に差し出した
サーニャ「へぇ、綺麗」
エイラ「…どっかで見た事あんだけどなぁ~」
わたしはその色や形に見覚えがあった
でも、どこで見たかなんて覚えてないし記憶も無い
まぁ、そんな気にする程のことでも無いだろう
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:30:59.48 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「でも、わたしはこっちの青い色の宝石の方が好きだわ」
エイラ「よしじゃあ、そっちを買おう!」
サーニャ「うん」
おやじ「毎度、二つでいいかい?」
エイラ「良いぞ お金はわたしが出すかラ」
サーニャ「だめよ、エイラ ちゃんと二人でお金出して買わなきゃ」
エイラ「いいよ、わたしが奢るっテ」
サーニャ「だめ」
うぅ…こういうデートのときって奢るのがベターじゃないのかな…
結局、二人で一つずつ同じ色の同じ宝石を買った
そして、その日は夕方くらいに基地に戻った
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:31:33.95 ID:hXjMHHcO0
シャーリー「バイクはどうだった?」
エイラ「良いけど、疲れるナ、アレ」
シャーリー「だろ?わたしが魔導エンジンを換装して組み込んだんだ、あとは色々なところもいじってあってだな…」
夕食の時間
シャーリーは随分、体調が良くなっているみたいだった
芳佳「今日は、キノコのスープですよ~」
宮藤が持って来たスープはすごく暖かくって美味しかった
サーニャ「ごちそうさま」
エーリカ「ん?早いな、サーニャ」
でも、サーニャそんなスープを早く飲み干すと食堂を出て行ってしまった
どうしたんだろ…今日は夜間飛行も無い筈なのに
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:33:07.40 ID:hXjMHHcO0
わたしも少し急いでスープを飲んで食堂を出ると遠くからピアノの音がする
エイラ「ホールからだ」
そう思ってわたしはホールに行ってみた
エイラ「…」
案の定、サーニャがピアノを弾いている
その姿はやっぱり儚げで今にも窓の外の暗闇と同化して消えそうだった
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:33:55.54 ID:hXjMHHcO0
わたしはそんなサーニャの側まで歩く
サーニャ「エ、エイラ!?」
エイラ「何を弾いてるんダ?」
とわたしが聞くとサーニャは慌てて譜面台の楽譜を隠す
エイラ「へ?どうした?」
サーニャ「な、なんでもないのよ、エイラ」
なんだろうか…わたしになにか隠してるのかな?
それで、少しだけ悲しい気分にもなる
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:34:32.91 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「ねぇ、エイラ」
エイラ「うん?」
サーニャ「わたしは今、青い宝石と赤い宝石 両方持っているのよ」
きっと、昼間の話だろう
エイラ「ん?赤いのは結局買わなかったじゃないカ」
サーニャ「もう、持ってたから」
エイラ「ん?」
サーニャ「ほら、この前のエイラが病気になったときあったじゃない?」
エイラ「あぁ、あれか…」
あれはあれで自分が情けなくてあんまり良い思い出というわけでも無いのだが
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:35:47.94 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「そのときネウロイを倒してネウロイのコアの欠片を私が拾ったの」
エイラ「コア…」
そうだ、街で売っていた宝石はネウロイのコアの欠片に似ている
というかその話を聞く限りだと確実にコアの欠片だろう
サーニャ「うん エイラが倒れたあと芳佳ちゃんと一緒に探したんだ」
エイラ「そうか、宮藤もか」
サーニャ「二つ拾って一つはエイラを助けるために、もう一つはそれを忘れないために」
エイラ「それって、わたしが倒れたことかヨ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:36:37.47 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「違うわ、エイラ 覚えてる?エイラがわたしに言った事」
エイラ「う~ん…あの時は自分でも必死で覚えてないナ」
本当は覚えている
一字一句、サーニャの言葉も表情も涙も総て記憶している
でも、さすがに恥ずかしくて自分からは言えない
サーニャ「その言葉をずーっと忘れないため」
エイラ「サーニャ…」
恥ずかしいけど、嬉しかった
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:37:10.51 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「見て、こうやってネックレスにすれば忘れないでしょ?」
サーニャはそう言って本当に小さな赤い宝石の…ネウロイのコアが付いたネックレスをわたしに見せた
エイラ「うん、綺麗ダ よ、よく似合ってる」
サーニャ「ふふ、ありがと エイラ」
しかし、そう笑った時だった
エイラ「!」
サーニャは魔導針をポッと出すと眠るように倒れてしまった
エイラ「サ、サーニャ!?」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:38:08.55 ID:hXjMHHcO0
わたしは慌ててサーニャを抱きかかえる
大丈夫、生きているみたいだ
熱か?額に手を当てる
いや、熱じゃない…
じゃあ、なんだ?
でも魔導針が出てる
じゃあ、ネウロイも近くにいるってことか…?
ミーナ「サーニャさんはいる!?」
そして焦った表情でホールに入って来たのはミーナ中佐
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:38:48.94 ID:hXjMHHcO0
エイラ「サーニャは…ここに」
ミーナ「…すぐに医務室に」
ミーナ中佐がそう言うと後ろから担架が来てサーニャを運んでいった
エイラ「サーニャ…」
なんとなくもう会えないような気がする
ミーナ「エイラさん、今、ローマの街で女の子が次々とネウロイ化しているの」
エイラ「に、人間がネウロイに?」
ミーナ「正確には一回死んでからネウロイ化ってことになるわね」
エイラ「原因は…?」
ミーナ「宝石として売られていたネウロイのコアよ」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:39:23.40 ID:hXjMHHcO0
エイラ「!」
あの赤い宝石だ
待てよ…じゃあ、サーニャは…
エイラ「まさか…サーニャも?」
ミーナ「わからないわ でもこうなるなら私たちも早くアレを処分しておけば…」
エイラ「そんな…」
ありえない
いやいや、なにかの冗談だろう…
嘘だろ?サーニャが死んでネウロイになるなんて馬鹿な話があって良い筈は無い
エイラ「サーニャはどうなるんだ?」
ミーナ「…」
どうして何も言ってくれないんだ中佐!
何か言ってくれ!
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:40:41.94 ID:hXjMHHcO0
ミーナ「今、エイラさん以外の全員がローマの街に向かったところよ 私もすぐに行く エイラさんはサーニャさんの隣にいてあげて」
エイラ「そんな、まるでサーニャが死ぬみたいじゃないか…」
ミーナ「何としてでも解決策は見つけるつもりよ」
ミーナ中佐は走っていった
わたしも走って医務室に向かった
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:41:12.34 ID:hXjMHHcO0
軍人「これを…」
エイラ「?」
医務室の前には一人の軍人がいた
そいつがわたしに銃を渡してくる
軍人「なにかあったときのために…」
エイラ「…っ! ふざけんナ!」
わたしは渡された銃を乱暴に床に叩きつけると
医務室の扉を開けた
エイラ「サーニャ…」
サーニャ「エイラ」
医務室にはわたしとサーニャの二人だけだった
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:41:43.91 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「エイラ、ごめんね」
サーニャは上半身を起こそうとする
エイラ「いいよ、そのまんまで」
わたしはサーニャの隣に座る
サーニャ「まるで、この前の逆ね」
エイラ「ハハ、ホントだな」
わたしの笑い声は異常に乾いている
サーニャ「…本当はネウロイのコアなんてすぐにでも捨てなきゃいけなかったの」
エイラ「じゃあ、なんで…」
サーニャ「言ったでしょ、エイラの言葉をずっと覚えておきたいからって」
エイラ「うぅ…」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:43:14.21 ID:hXjMHHcO0
わたしは泣いてしまった
もう流石に色々限界だ
視界が涙で歪んで行く
サーニャ「わたしはもうすぐ死んでネウロイになるの」
エイラ「な、ならせない…」
サーニャ「うぅん、これはきっと罰ね 命令違反の」
エイラ「嫌だ!嫌だ!サーニャと二人で生きて行くんダ、死なないでくれ、サーニャ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:43:51.80 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「…昔の人は生きる事は苦しむ事と考えていてね」
エイラ「へ?」
また、よくわからないことをサーニャは言う
サーニャ「でもね、わたしは生きる事とをエイラと一緒にいる事と認識しているから」
サーニャ「エイラと再び会うために何度でも生まれ変わりたいと思う」
サーニャ「生まれ変わって、虫になって、鳥になって、虫になって…またわたしとエイラに戻って再会するの」
サーニャ「…大好きよ、エイラ、だから殺して」
エイラ「できるわけないじゃないか!」
エイラ「そんな、そんなことわたしができるわけないじゃないか!」
サーニャ「…そうじゃないとわたしは……」
そう言うとサーニャは急に人が変わったように医務室を飛び出す
医務室の前にいた軍人2、3人を吹き飛ばし
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:44:49.96 ID:hXjMHHcO0
走って行く
わたしはそれを慌てて追った
軍人「これを!」
軍人に銃を投げ渡される
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:45:52.22 ID:hXjMHHcO0
サーニャは滑走路の一番端まで走っていた
わたしはそれに慌てて着いて行く
サーニャ「もうすぐ、わたしはネウロイになる」
エイラ「…」
サーニャ「エイラ、あの星はなぁに?」
サーニャが指差したのは光り輝く北極星
エイラ「ポーラだよ」
サーニャ「エイラ、死なないで」
記憶が混濁しているのか
どんどん、サーニャの言動はおかしくなっていく
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:46:50.40 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「見て、エイラ あれがオラーシャ」
エイラ「…うん」
サーニャの身体がどんどんネウロイになっていく
硬質化し、黒と赤の色に染まっていく
サーニャ「エ、イら…早く……大丈夫わたしはエイ…ラが血まみ…れになっても抱…いてあ…げるわ」
サーニャ「だ…から、エイラはわたしが血ま…みれになっ…ても…抱い…てく…れ…るの」
エイラ「サーニャ…」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:48:36.42 ID:hXjMHHcO0
守って、守って、守って、守って、守って、守って
守り抜く筈だったのに…果たせなかった
これから先、サーニャがネウロイになって人を襲ったり、暗闇の中を漂うのを見るのは
あまりに忍びない…
ごめんなさい、許してください…
許してください…
サーニャ、ごめんな
本当にごめん、ごめん、ごめん
エイラ「あ…」
最後、サーニャが笑った
それを見てわたしは涙を流しながら
引き金を引いた
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:52:17.71 ID:hXjMHHcO0 [46/47]
完
今回もやっぱり筋少から順番に
「星座の名前は言えるかい」「おもちゃやめぐり」
「カーネーション・リインカネーション」
「再殺部隊」「リテイク」でした
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:55:39.31 ID:ifixGZKS0 [2/2]
サーニャはこの後165分割されるわけですね
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:57:05.45 ID:hXjMHHcO0 [47/47]
>>53
ライダーマンの右手でね
こういうときは何座だとかあの星は何かとか言えれば
カッコいいんだろうけれど
あいにくわたしは星座や星なんてあまり興味は無い
占いはするけれどタロットカードだし占星術は専門外だ
エイラ「わからいなァ~」
わたしが言うとサーニャはクスクスと笑って
サーニャ「わたしもよ」
と言った
エイラ「サーニャもか」
わたしたちはしばらく笑い合った
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:10:40.13 ID:hXjMHHcO0
エイラ「そーいえば、明日は休みだナ」
サーニャ「うん」
エイラ「そ、その、なにか明日予定とか…あるカ?」
サーニャ「うぅん 無いわ だから部屋で寝てようかなって」
エイラ「ほら、あんまり籠ってばかりだと…その、なんだ身体に良く無いから
サ」
サーニャ「?」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:11:15.58 ID:hXjMHHcO0
エイラ「ローマの街にも行っていいらしいから…い、一緒に行かないカ?」
サーニャ「街に?」
エイラ「う、うん ルッキーニが言うには美味しいアイスを売っている店もあるらしんダ」
サーニャ「ホント? じゃあ、芳佳ちゃんとかも誘って…」
エイラ「いや~宮藤はなんか忙しいとかなんとか、なんとかで…
それは嘘だった
わたしはサーニャと二人で出かけたかった
その、あれだ、所謂デートってやつをしてみたい
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:12:03.51 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「そうなの?」
サーニャは少し残念そうな顔をする
わたしはサーニャのそういう表情をあまり見たくは無いが
たまにはちょっとくらいのエゴも必要だろう
エイラ「じゃあ、決まりだ!明日シャーリーのヤツが車を出すらしいからそれに乗って行こう」
サーニャ「うん!」
わたしたちは部屋に戻ってベッドの中に入った
あ~明日が楽しみだなぁ~
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:12:35.36 ID:hXjMHHcO0
シャーリー「す、すまん…熱が下がらないんだ…」
エイラ「…」
サーニャ「大丈夫?」
しかし、明日になってシャーリーが熱を出した
おかしいな、占いは割といい結果だったのに…
シャーリー「エイラ、これ」
と熱で辛そうなシャーリーが渡して来たのは何かの鍵
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:13:21.32 ID:hXjMHHcO0
エイラ「ナンダ、コレ?」
シャーリー「裏の倉庫にあるバイクの鍵だ…それに乗って街に向かってくれ…」
エイラ「バ、バイク…!?バイクなんて乗った事…」
シャーリー「右手を捻れば動くから大丈夫だ…」
とそこで力尽きたのかシャーリーは寝てしまった
サーニャ「エイラ、どうするの?」
エイラ「うーん…」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:13:52.60 ID:hXjMHHcO0
こうなったらもう乗るしか無いんじゃないか
シャーリーの置き土産の鍵を握りしめた
エイラ「い、行こう!」
サーニャ「エイラ、バイク乗れるの?」
エイラ「右手を捻ればいいんだロ?」
サーニャ「大丈夫かなぁ…」
エイラ「なんかあったら魔法でカバーすれば良いサ!」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:15:39.78 ID:hXjMHHcO0
エイラ「サーニャ、しっかりつかまってろヨ」
サーニャ「うん」
倉庫内で少し練習したあと
いよいよ、街に向かう事にした
バイクは思ったより簡単に動かせたが
まだ、慣れない
なにより街までの道は荒れてて走りにくいだろう
大丈夫かな…
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:17:21.19 ID:hXjMHHcO0
エイラ「よ~し、発進!」
サーニャ「…」
エイラ「!」
後ろに乗っているサーニャがわたしに抱きついてくる
サーニャの良い香りがすぐ近くにあった
わたしはバイクは素晴らしい乗り物だと確信した
今度はもっと色々教えてもらおう
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:18:32.47 ID:hXjMHHcO0
わたしはシャーリーに教えてもらった通り
右手を捻った
エイラ「うわぁ…」
すると、車体が簡単に動く
これなら、なんとか街まで行けそうだ
エイラ「サ、サーニャしっかり捕まっとけよ!」
サーニャ「うん」
わたしたちはゆっくりと動き出した
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:19:36.30 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「エイラ、大丈夫?」
エイラ「なんとかナ…」
街の大きな広場のベンチにわたしは座っている
いや、座っているというよりはのしかかっていると言った方がいいと思う
それも「ぐでー」なんて効果音が付きそうな勢いだ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:21:05.20 ID:hXjMHHcO0
乗ってから気付いたんだが
あのバイクはどうやら魔力を消費するらしい
だから、初めて乗る私でも簡単に乗れたのだ
今、わたしは街に着いたばかりなのに
すっごい疲れてる
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:21:54.84 ID:hXjMHHcO0
エイラ「し、しばらく休んだらお店でも巡ろうカ…」
サーニャ「無理しなくていいのよ、エイラ」
違うんだよ、わたしはサーニャと一緒に街を歩きたいんだよ~
ちくしょー、シャーリーめ早めに言っておいてくれれば…
サーニャ「あ、ちょっと待っててエイラ」
エイラ「…?」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:22:48.69 ID:hXjMHHcO0
そう言うとサーニャは遠くの屋台まで走って行った
そうして両手に何かを持って戻ってくる
サーニャ「これ、言ってたアイスじゃない?」
エイラ「…あぁ」
そんなこと言ってたのも忘れてた
そうだ、ルッキーニのヤツが言っていたアイス屋さんか…
サーニャはわたしの隣に座って、わたしにアイスを渡した
サーニャ「はい、エイラの分」
エイラ「うん、アリガト」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:23:42.68 ID:hXjMHHcO0
わたしはサーニャからアイスを受け取る
すげー嬉しい
やばい、やばい
そうして、サーニャはアイスをペロッと舐める
サーニャ「うわぁ、美味しい!エイラも食べてみてよ!」
エイラ「う、うん…」
わたしとしては、美味しいって笑ったサーニャの顔を見ていたかったが
サーニャに言われたんなら仕方ない
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:24:23.46 ID:hXjMHHcO0
ペロッ
エイラ「美味しい…」
ほどよく濃厚バニラと甘いブルーベリーのソースがかかった
アイスはとっても美味しかった
でも、なにより…
サーニャ「美味しいね、エイラ 来て良かった」
とサーニャが言ってくれたのがなによりも嬉しかった
それだけでハッピーアイスクリームだ
エイラ「ん?どうした?」
サーニャは頭を抱えている
サーニャ「ちょっと最近、頭が痛くて…」
エイラ「アイスで冷えたんじゃないカ?」
サーニャ「フフ、そうかもね」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:25:21.17 ID:hXjMHHcO0
その後、 アイスクリームで回復したわたしは
サーニャと一緒に街へ行った
ウィンドウショッピングを楽しんで笑っているサーニャ
それを見て笑うわたし
幸せ過ぎる
でも、わたしの日々にも一日くらい
こんなにいい日があったて悪くは無いだろう、うん
サーニャ「ねぇ、エイラ あれはなに?」
エイラ「ん?」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:26:29.35 ID:hXjMHHcO0
サーニャが指差したのは小さな玩具屋だった
エイラ「玩具屋ダろ?」
サーニャ「うん、それはわかるんだけど…」
サーニャが疑問に思ったのは
ショーウィンドウの奥にたたずむ、赤いマントをしたブリキの人形だった
エイラ「なんかの、ヒーローかナ?」
わたしはそんなのはわかんない
女の子「お姉ちゃん達わかんないのぉ?」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:27:19.98 ID:hXjMHHcO0
エイラ「ん?」
サーニャ「え?」
ガラスの前にいた私たちの隣にはいつのまにか小さな女の子がいた
女の子「これはね~ブリキマンって言うのよ~ お姫様を守る無敵のヒーローなんだ!」
サーニャ「そうなんだ~」
エイラ「お姫様を…」
女の子「うん じゃーね!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:28:36.41 ID:hXjMHHcO0
女の子は走っていた
エイラ「…」
お姫様を守る無敵のヒーロー…
なんか、カッコいいな
わたしもサーニャを守るために戦えるだろうか、そして死ねるだろうか
愛するために、勇気を貰うために、わたしはヒーローになれるだろうか
でも、なるしかない
サーニャの笑顔を、わたしの隣で笑ってくれるサーニャの笑顔をわたしは守るしかないのだ
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:29:06.95 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「どうしたの、エイラ?」
エイラ「うぅん、なんでもナイ」
サーニャ「変な、エイラ」
サーニャは笑う
いいんだ、それで
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:29:45.53 ID:hXjMHHcO0
おやじ「さーさー、そこのお二人 こんな宝石はいかがかな?」
エイラ「うん?」
わたしたちが歩いていると怪しい露店を出しているおやじが声をかけて来た
サーニャ「なぁに?」
エイラ「ちょ、サーニャ!」
サーニャは何に惹かれたのか露店に向かう
わたしもそれに慌てて着いて行く
おやじ「いやー、お嬢さん綺麗な指をしているね~」
エイラ「お前、サーニャに触んじゃネェ!」
おやじの汚い指がサーニャの手に触れたのでわたしはそれを払いのけた
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:30:24.47 ID:hXjMHHcO0
おやじ「おっと、すまん、すまん」
サーニャ「…その赤い宝石はなぁに?」
おやじ「お目が高いねぇ~これはロマーニャ近海をたまに漂っている謎の宝石だ 街の女の子の中でも今流行ってるんですよ~」
そう言うとおやじは大きな赤い宝石をサーニャの手に差し出した
サーニャ「へぇ、綺麗」
エイラ「…どっかで見た事あんだけどなぁ~」
わたしはその色や形に見覚えがあった
でも、どこで見たかなんて覚えてないし記憶も無い
まぁ、そんな気にする程のことでも無いだろう
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:30:59.48 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「でも、わたしはこっちの青い色の宝石の方が好きだわ」
エイラ「よしじゃあ、そっちを買おう!」
サーニャ「うん」
おやじ「毎度、二つでいいかい?」
エイラ「良いぞ お金はわたしが出すかラ」
サーニャ「だめよ、エイラ ちゃんと二人でお金出して買わなきゃ」
エイラ「いいよ、わたしが奢るっテ」
サーニャ「だめ」
うぅ…こういうデートのときって奢るのがベターじゃないのかな…
結局、二人で一つずつ同じ色の同じ宝石を買った
そして、その日は夕方くらいに基地に戻った
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:31:33.95 ID:hXjMHHcO0
シャーリー「バイクはどうだった?」
エイラ「良いけど、疲れるナ、アレ」
シャーリー「だろ?わたしが魔導エンジンを換装して組み込んだんだ、あとは色々なところもいじってあってだな…」
夕食の時間
シャーリーは随分、体調が良くなっているみたいだった
芳佳「今日は、キノコのスープですよ~」
宮藤が持って来たスープはすごく暖かくって美味しかった
サーニャ「ごちそうさま」
エーリカ「ん?早いな、サーニャ」
でも、サーニャそんなスープを早く飲み干すと食堂を出て行ってしまった
どうしたんだろ…今日は夜間飛行も無い筈なのに
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:33:07.40 ID:hXjMHHcO0
わたしも少し急いでスープを飲んで食堂を出ると遠くからピアノの音がする
エイラ「ホールからだ」
そう思ってわたしはホールに行ってみた
エイラ「…」
案の定、サーニャがピアノを弾いている
その姿はやっぱり儚げで今にも窓の外の暗闇と同化して消えそうだった
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:33:55.54 ID:hXjMHHcO0
わたしはそんなサーニャの側まで歩く
サーニャ「エ、エイラ!?」
エイラ「何を弾いてるんダ?」
とわたしが聞くとサーニャは慌てて譜面台の楽譜を隠す
エイラ「へ?どうした?」
サーニャ「な、なんでもないのよ、エイラ」
なんだろうか…わたしになにか隠してるのかな?
それで、少しだけ悲しい気分にもなる
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:34:32.91 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「ねぇ、エイラ」
エイラ「うん?」
サーニャ「わたしは今、青い宝石と赤い宝石 両方持っているのよ」
きっと、昼間の話だろう
エイラ「ん?赤いのは結局買わなかったじゃないカ」
サーニャ「もう、持ってたから」
エイラ「ん?」
サーニャ「ほら、この前のエイラが病気になったときあったじゃない?」
エイラ「あぁ、あれか…」
あれはあれで自分が情けなくてあんまり良い思い出というわけでも無いのだが
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:35:47.94 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「そのときネウロイを倒してネウロイのコアの欠片を私が拾ったの」
エイラ「コア…」
そうだ、街で売っていた宝石はネウロイのコアの欠片に似ている
というかその話を聞く限りだと確実にコアの欠片だろう
サーニャ「うん エイラが倒れたあと芳佳ちゃんと一緒に探したんだ」
エイラ「そうか、宮藤もか」
サーニャ「二つ拾って一つはエイラを助けるために、もう一つはそれを忘れないために」
エイラ「それって、わたしが倒れたことかヨ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:36:37.47 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「違うわ、エイラ 覚えてる?エイラがわたしに言った事」
エイラ「う~ん…あの時は自分でも必死で覚えてないナ」
本当は覚えている
一字一句、サーニャの言葉も表情も涙も総て記憶している
でも、さすがに恥ずかしくて自分からは言えない
サーニャ「その言葉をずーっと忘れないため」
エイラ「サーニャ…」
恥ずかしいけど、嬉しかった
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:37:10.51 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「見て、こうやってネックレスにすれば忘れないでしょ?」
サーニャはそう言って本当に小さな赤い宝石の…ネウロイのコアが付いたネックレスをわたしに見せた
エイラ「うん、綺麗ダ よ、よく似合ってる」
サーニャ「ふふ、ありがと エイラ」
しかし、そう笑った時だった
エイラ「!」
サーニャは魔導針をポッと出すと眠るように倒れてしまった
エイラ「サ、サーニャ!?」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:38:08.55 ID:hXjMHHcO0
わたしは慌ててサーニャを抱きかかえる
大丈夫、生きているみたいだ
熱か?額に手を当てる
いや、熱じゃない…
じゃあ、なんだ?
でも魔導針が出てる
じゃあ、ネウロイも近くにいるってことか…?
ミーナ「サーニャさんはいる!?」
そして焦った表情でホールに入って来たのはミーナ中佐
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:38:48.94 ID:hXjMHHcO0
エイラ「サーニャは…ここに」
ミーナ「…すぐに医務室に」
ミーナ中佐がそう言うと後ろから担架が来てサーニャを運んでいった
エイラ「サーニャ…」
なんとなくもう会えないような気がする
ミーナ「エイラさん、今、ローマの街で女の子が次々とネウロイ化しているの」
エイラ「に、人間がネウロイに?」
ミーナ「正確には一回死んでからネウロイ化ってことになるわね」
エイラ「原因は…?」
ミーナ「宝石として売られていたネウロイのコアよ」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:39:23.40 ID:hXjMHHcO0
エイラ「!」
あの赤い宝石だ
待てよ…じゃあ、サーニャは…
エイラ「まさか…サーニャも?」
ミーナ「わからないわ でもこうなるなら私たちも早くアレを処分しておけば…」
エイラ「そんな…」
ありえない
いやいや、なにかの冗談だろう…
嘘だろ?サーニャが死んでネウロイになるなんて馬鹿な話があって良い筈は無い
エイラ「サーニャはどうなるんだ?」
ミーナ「…」
どうして何も言ってくれないんだ中佐!
何か言ってくれ!
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:40:41.94 ID:hXjMHHcO0
ミーナ「今、エイラさん以外の全員がローマの街に向かったところよ 私もすぐに行く エイラさんはサーニャさんの隣にいてあげて」
エイラ「そんな、まるでサーニャが死ぬみたいじゃないか…」
ミーナ「何としてでも解決策は見つけるつもりよ」
ミーナ中佐は走っていった
わたしも走って医務室に向かった
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:41:12.34 ID:hXjMHHcO0
軍人「これを…」
エイラ「?」
医務室の前には一人の軍人がいた
そいつがわたしに銃を渡してくる
軍人「なにかあったときのために…」
エイラ「…っ! ふざけんナ!」
わたしは渡された銃を乱暴に床に叩きつけると
医務室の扉を開けた
エイラ「サーニャ…」
サーニャ「エイラ」
医務室にはわたしとサーニャの二人だけだった
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:41:43.91 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「エイラ、ごめんね」
サーニャは上半身を起こそうとする
エイラ「いいよ、そのまんまで」
わたしはサーニャの隣に座る
サーニャ「まるで、この前の逆ね」
エイラ「ハハ、ホントだな」
わたしの笑い声は異常に乾いている
サーニャ「…本当はネウロイのコアなんてすぐにでも捨てなきゃいけなかったの」
エイラ「じゃあ、なんで…」
サーニャ「言ったでしょ、エイラの言葉をずっと覚えておきたいからって」
エイラ「うぅ…」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:43:14.21 ID:hXjMHHcO0
わたしは泣いてしまった
もう流石に色々限界だ
視界が涙で歪んで行く
サーニャ「わたしはもうすぐ死んでネウロイになるの」
エイラ「な、ならせない…」
サーニャ「うぅん、これはきっと罰ね 命令違反の」
エイラ「嫌だ!嫌だ!サーニャと二人で生きて行くんダ、死なないでくれ、サーニャ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:43:51.80 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「…昔の人は生きる事は苦しむ事と考えていてね」
エイラ「へ?」
また、よくわからないことをサーニャは言う
サーニャ「でもね、わたしは生きる事とをエイラと一緒にいる事と認識しているから」
サーニャ「エイラと再び会うために何度でも生まれ変わりたいと思う」
サーニャ「生まれ変わって、虫になって、鳥になって、虫になって…またわたしとエイラに戻って再会するの」
サーニャ「…大好きよ、エイラ、だから殺して」
エイラ「できるわけないじゃないか!」
エイラ「そんな、そんなことわたしができるわけないじゃないか!」
サーニャ「…そうじゃないとわたしは……」
そう言うとサーニャは急に人が変わったように医務室を飛び出す
医務室の前にいた軍人2、3人を吹き飛ばし
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:44:49.96 ID:hXjMHHcO0
走って行く
わたしはそれを慌てて追った
軍人「これを!」
軍人に銃を投げ渡される
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:45:52.22 ID:hXjMHHcO0
サーニャは滑走路の一番端まで走っていた
わたしはそれに慌てて着いて行く
サーニャ「もうすぐ、わたしはネウロイになる」
エイラ「…」
サーニャ「エイラ、あの星はなぁに?」
サーニャが指差したのは光り輝く北極星
エイラ「ポーラだよ」
サーニャ「エイラ、死なないで」
記憶が混濁しているのか
どんどん、サーニャの言動はおかしくなっていく
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:46:50.40 ID:hXjMHHcO0
サーニャ「見て、エイラ あれがオラーシャ」
エイラ「…うん」
サーニャの身体がどんどんネウロイになっていく
硬質化し、黒と赤の色に染まっていく
サーニャ「エ、イら…早く……大丈夫わたしはエイ…ラが血まみ…れになっても抱…いてあ…げるわ」
サーニャ「だ…から、エイラはわたしが血ま…みれになっ…ても…抱い…てく…れ…るの」
エイラ「サーニャ…」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:48:36.42 ID:hXjMHHcO0
守って、守って、守って、守って、守って、守って
守り抜く筈だったのに…果たせなかった
これから先、サーニャがネウロイになって人を襲ったり、暗闇の中を漂うのを見るのは
あまりに忍びない…
ごめんなさい、許してください…
許してください…
サーニャ、ごめんな
本当にごめん、ごめん、ごめん
エイラ「あ…」
最後、サーニャが笑った
それを見てわたしは涙を流しながら
引き金を引いた
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:52:17.71 ID:hXjMHHcO0 [46/47]
完
今回もやっぱり筋少から順番に
「星座の名前は言えるかい」「おもちゃやめぐり」
「カーネーション・リインカネーション」
「再殺部隊」「リテイク」でした
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:55:39.31 ID:ifixGZKS0 [2/2]
サーニャはこの後165分割されるわけですね
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/20(月) 23:57:05.45 ID:hXjMHHcO0 [47/47]
>>53
ライダーマンの右手でね
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