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澪「NO,Thank You!」
「澪ちゃんほど片思いの似合う女子、他にいないね!」
唯がそんなことを言い出したのは、皆に新しく出来た歌詞を見せた時だった。
「ど、どういう意味だ!」
ムギがクスクスと笑う。
「だってさ~澪ちゃん、美人だし人気者なのに、
あなたが好き!…でも言えない、言わない。
みたいな乙女の心を、わたしは感じるのだよ~。」
「ああ、何かわかりますね。それ。」
「でしょ~?さすがあずにゃん。」
「澪ちゃんが書く片思いの歌詞、ステキよ~。
思いを胸にとどめる、乙女の歌詞。」
梓に、ムギまで。
片思いが似合うって…ちょっと失礼じゃないか?
まあわたしの恋は、きっと叶わない、伝えてはいけないものだからな…。
片思いの澪か。
唯がそんなことを言うもんだから、ちょっと考えてしまった。
いつも澪は、誰より先にわたしに歌詞を見せてくれる。
その歌詞はメルヘンちっくでいて、乙女。
見てるこっちが痒くなるような…そんな詞だ。
でも、澪は嘘がつけない。昔から。
本当に好きな人が居なきゃ、こんな歌詞は書けないと思うんだ。
誰を思って書いてるんだろう。
ああ…演奏中にこんなこと考えてると、力んで余計走ってしまう。
リズムキープ、リズムキープ。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:40:45.52 ID:G+cW11v50
「初めて合わせた割に、いい感じにやれたな!」
「律のドラムは、いつも以上に走ってたけどな。」
「わりーわりー。でも後半は持ち直しただろ~?」
「ドラムが走ると、ベースも釣られるんだ。
明日はもっと確認しもってやらなきゃな。」
「明日…唯と追試なんだよな~。助けてみおしゃん。」
「またわたしに頼るのか…」
「お二人さん、運命共同体ってやつですな!
ついでにわたしも助けてくだせ~...」
「唯先輩、それだと意味が重すぎますよ。
ていうか二人はまた追試ですか…。」
「ふふふ。わたし幼なじみって居ないから、うらやましいわ~。」
「じゃあまた明日な~!」
「ばいば~い!」
「唯もちゃんと勉強すんだぞ!」
「じゃあね♪」
「失礼します。」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:46:06.45 ID:G+cW11v50
みんなと別れ、律と二人の帰り道。
5人で居ると楽しい。でも、律と二人っきりの時間が一番落ち着ける。
この瞬間が大好きだった。オレンジ色の空、夕日に照らされる律。
他愛もない話をして、また明日。
「なあ澪。」
「ん?」
「いい曲になったな。」
「ああ、ムギが作る曲は本当にいい。」
「澪の歌詞も、よく合ってる。」
「あ、ありがと。律に誉められるなんて、何か照れるな。」
今のわたし、顔赤いだろうな。
律を思って書いてる、なんて…言えない。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:47:29.94 ID:G+cW11v50
ちなみに後々、ややこしくなる予定です。
今は会話文や誰の視点かを書いてないので、必要な場合レスつけてください
11 名前:律[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:52:07.92 ID:G+cW11v50
二人きりになれる帰り道。
それとなく、聞いてみようと思った。
でも…ただ歌詞について誉めることしか出来なかった。
わたしたちは、小さい頃からずっと一緒だった。
ずっと側で、澪を見てきた。近すぎるくらいだ。
だからこそ、照れ臭くて「恋」の話なんてしたことなかった。
15 名前:律[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:56:39.19 ID:G+cW11v50
「ねえ、澪ちゃんって彼氏とか居ないのかな~?」
追試を受ける前、唯がわたしに聞いてきた。
「さ~、聞いたことないな。」
「中学の時も?」
「わたしの知る限りでは居ないと思う。まあ、モテてはいたけどな。」
「ほほ~、罪な女ってやつだね!」
「すごかったんだぞ~澪。こっちは名前すら知らない相手とかな。
…でもほとんど断ってた。」
「ほほう!じゃあほとんどの残りは?」
「澪が途中で逃げたり、呼び出しに怖がって行かなかったり。
それも含めたら、全部だな。」
澪はいつだって、断っていた。
逃げ出した時も、呼び出しに応じない時も、誰も澪を責めない。
話したことない奴もいるから、相手は玉砕覚悟ってことだ。
強いて言うなら、責めるのはわたしだった。
16 名前:律・回想[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:00:24.40 ID:W1F3IlL40 [1/34]
律「澪さ、相手は相当勇気いったと思うぞ?
断るにせよ、ちゃんと聞いてやれよ。」
澪「だって、ほとんど知らない相手だぞ?怖いよ…。」
律「はいはい、モテる奴も辛いな。」
澪「やめてくれ…。」
17 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:08:39.31 ID:W1F3IlL40 [2/34]
唯「じゃあ次は澪ちゃんに聞いてみよう!」
律「わたしのことをか!?」
唯「?違うよ~、澪ちゃんのことを。
りっちゃんのこと聞いてどうするのさ~。」
律「お前今、結構失礼なこと言ってるぞ?」
唯「へへ~。じゃありっちゃんはどうなんだい。好きな人、居るのかい?」
律「いや~...」
唯「ほら~、りっちゃんに恋する乙女は似合わんよ!」
律「くそー!…そういう唯はどうなんだ?」
唯「恋人が居ます!」
律「ええええぇぇえ?」
唯「ギー太だよ。ふふふ~。」
律「…追試頑張ろうな。」
好きな人か。 わたしにもちゃんと居るぞ。
唯も、よく知ってる人だ
19 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:13:26.70 ID:W1F3IlL40 [3/34]
梓「先輩たち、まだですかね。」
紬「結構時間経ってるね。先にお茶しとこう?」
澪「…そうだな。」
梓「ですね。」
律と唯、ちゃんと追試頑張れたかな。
二人とも、頑張れば出来るのに。何でやらないんだろう?
まあ、中学の頃から律がよく泣きついてきて、慣れてるけどな。
中学の頃…律って今と変わらず、明るくて気さくで、人気者だったよな。
友チョコとか、結構貰ってたし。
でも…律は友チョコすら、誰にもあげてなかった。料理好きなのに。
聞いたことないけど、好きな人とか居ないのかな…?
21 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:20:09.65 ID:W1F3IlL40 [4/34]
律「すまん!遅くなった!かたじけない!」
唯「ムギちゃ~んケーキちょうだい...」
梓「あ、お疲れさまです。」
紬「二人ともどうだった?」
唯「じゃーん!無事1発合格でありんす!」
律「やりゃ出来るんだよ、わたしたち~!」
澪「2発合格だろ。わかってるなら初めから勉強しろ!」
律「へいへ~い冷たいなあ澪は。」
唯「頑張ったんだからちょっとくらい誉めてくれたっていいのに~。」
紬「ふふふ、お疲れさま。今お茶入れるわね!」
唯「ムギちゃん、天使とはあなたのことか~...」
律「女神だ!澪と違ってムギは女神!うん!」
澪「…バカ律。」
今日の練習は、わたしが律を振り返りながら行なった。
目が合う度に、律は笑う。
そうすると唯の声で、わたしの書いた詞が耳に入ってきて…。
思わず律から目を反らす。それの繰り返しだった。
22 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:27:01.25 ID:W1F3IlL40 [5/34]
梓「今日の演奏、ばっちりでしたね!」
梓が興奮した様子で言う。
澪「そうだな、本番でやれる時が楽しみだ!」
何だよ澪の奴。こっち見ては目反らして。
まだ根に持ってんのか?そりゃ、勉強教えてくれたのにあの態度はないか…。
二人きりになる時、ちゃんと謝るか…。
みんなと別れ、澪と二人きり。
謝らなきゃ、その事で頭がいっぱいだった。
澪「…りつ?どした?」
律「や、別に…」
澪「そうか…」
なかなか言い出せない。会話も思い付かなかった。
23 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:33:21.88 ID:W1F3IlL40 [6/34]
あ、そうだ。今日…
律「唯が澪のこと、興味津々に聞いてきたぞ。」
澪「え?わたしのことか?」
律「うん、澪ちゃんは彼氏いるのかな~?なんてさ。」
澪「何で律に?」
律「澪に聞いたら恥ずかしがるからだろ?」
澪「ああ…」
律「ちなみに知らないって言っておいた。」
澪「そ、そうか…」
律「あ、でも唯には居るらしいぞ、彼氏。」
澪「マジか!?」
律「その相手がな…なんと…!」
澪「…!」
律「ギー太らしい。」
澪「だろうな。」
律「で…さ。」
澪「なに?」
律「その…澪にも居るのか?彼氏。」
澪「ベースはベースだ。」
律「ちげーよ、ちゃんと付き合ってる人…居るの?」
澪「…居ないよ。」
正直、心の中でガッツポーズした。
付き合ってる人は、居ない。
今はまだ、澪を独り占めしてて…いいよな?
25 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:41:26.87 ID:W1F3IlL40 [8/34]
澪「…律はどうなんだよ。その…好きな人とか、居るのか?」
彼氏、なんて聞けなかった。
もし「居る」なんて聞いたら、泣いちゃいそうだ。
律「あ~...居るよ。」
律は照れたように、目を反らした。
そうか…律には好きな人が、居る。
誰だろう、わたしの知ってる奴か?
何にせよ…もう律を独り占めは出来ないんだな…。
澪「って何でこんな会話してんだ?唯もわたしたちも。」
律「さーなー?思春期ってやつじゃねー?
青春だよなー!」
律はそこから、異様に元気になった。
そんなにわたしに言いたかったのか?…幼なじみだもんな。
もし…付き合いだしたら、わたしに会わせたりするのかな?やだよ…。
26 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:45:19.83 ID:W1F3IlL40 [9/34]
家に帰っても、澪のことで頭がいっぱいだった。
そりゃあ…いつかは覚悟しなきゃいけないけどさ。
でも今は、いっぱい思い出作るぞ。
次の日曜、誘ってみよう。
最近は部活のみんなと一緒だったし、久々に二人きりで。
何処がいいかな~?と、雑誌のページをめくる。
ここもいい、なんて折り目を付けていくと、雑誌はとても膨らんだ。
今日はなかなか寝れないや。
27 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:48:32.48 ID:W1F3IlL40 [10/34]
家に帰っても、律のことで頭がいっぱいだった。
律には好きな人が居る。あんな風に照れた律、初めて見た。
その人には、そんな顔してるのかな。
もう…律を独り占め出来ないんだ。
何で今まで気付かなかったんだろう?こんなに一緒に居たのに。
今までを振り返る。
楽しかった記憶がよみがえる度、涙が浮かんだ。
思い出なんて、いらないよ。
29 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:51:07.53 ID:W1F3IlL40 [11/34]
律「おはよー!」
澪「おはよ…元気だな。」
律「いつものことだ!」
澪「そうだな~...」
今日の澪、元気ないな。
でも、今日はいっぱい計画練ってきたんだ。
律「今度の日曜、暇か?」
澪「え…何で?」
律「行きたいところがあるんだ!
あ、でも澪が他に行きたい場所あればそこでもいいぞ!」
澪「ん~...二人で?」
律「そう!久しぶりだろ~?」
澪「でも…ごめん、日曜は先約があるんだ。」
30 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:57:01.62 ID:W1F3IlL40 [12/34]
今日の律はいつにも増して元気だ。
そんな顔しないでくれ…なんて思った。
すると律は、次の日曜遊びに行こうと言い出す。何で?
先約なんてない。でも好きな人の話…とか?聞きたくない。
律「そっか~。じゃあ仕方ない。」
澪「悪いな、また誘ってくれ。みんなで行こう。」
31 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:00:13.77 ID:W1F3IlL40 [13/34]
みんなで?急に二人きりで誘うと、やっぱ変か?
律「何だよ、わたしと二人じゃ不満か?」
澪「や、そうじゃないけど…。」
律「ふ~ん…。」
澪「ごめんな。でも、楽しみにしてるからまた誘ってくれ。」
律「おう。澪も行きたいとこ考えとけよ!」
失敗に終わった。先約あるなら仕方ないよな。
次もあるし。でも・・・何でみんなと?
そこばっかり引っかかった。
その日、澪はあまりわたしとは話そうとしなかった。
いや、その日から…澪はわたしを避け始めた。
32 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:05:22.82 ID:W1F3IlL40 [14/34]
律「なあ澪…最近わたしのこと、避けてないか?」
律と話せなくなってから数日、律はわたしに問いかけた。
澪「いや…別に、そんなことないよ。」
律「そんなことあるだろ。わたしなんかしたか?」
何もしてない。ただ…律はもう、わたしのモノじゃないんだよ。
澪「気のせいだよ。」
苦し紛れに言った。すると律はわたしを睨みつけた。
律「おい、ちょっと話あるから昼休み部室来い。」
33 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:10:20.36 ID:W1F3IlL40 [15/34]
あの雑誌は、折り目もそのまま開かれることはなかった。
あんなに楽しかった日々が、嘘のようだ。
何でこうなった?
やっぱり…澪に気持ちがバレた?
今までのこと全部、わたしが壊してしまったのか?
部室に呼びつけたはいいが、何から話していいのか。
もう・・・戻れないのか?
澪はまだ来ない。来ない気なのかな。
35 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:16:03.12 ID:W1F3IlL40 [16/34]
ドアノブに手を掛けた。
ドアの向こうに律がいる。何話せばいいんだろう。
この数日、たった数日なのにとても長く感じた。
わたしたちが一緒に過ごした時間よりも、ずっと長く。
何で好きになっちゃったんだろう。
何で…律を応援してやれないんだろう。
わたしが律を思う以前に、律は親友だっていうのに。
でも、ダメなんだよ…律。
わたし、好きなんだよ。律のこと。
ドアを開けると、ソファに座る律がこちらを見る。
36 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:23:08.05 ID:W1F3IlL40 [17/34]
ドアがゆっくり開く。澪だ。
澪は、初めて見るような顔をしてた。
とっても悲しい目。ごめんな…そんな顔させて。
もう多くは望まない。うまく、気持ち消すから。
ただ、親友に戻ろう。
律「呼び出して悪かった。まあ、ここ座れよ。」
澪「…わたしも遅くなってごめん。待ったか?」
律「いや、大丈夫。それより、話なんだけどさ…」
澪「…何だ?」
38 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:27:30.57 ID:W1F3IlL40 [18/34]
律「こっちが聞きたいよ。」
澪「わたしが律を…避けてたこと?」
律「そうだ。何で?わたし…なんか悪いことしたか?」
澪「してない。律は、悪くないよ。」
わたしの頬を涙が伝う。
涙は床に2滴、3滴と落ちて、小さなシミを作った。
律には好きな人がいること。
それに喜んで、笑ってあげなきゃいけないんだ。
そう思う度、涙は奥から奥から流れ出た。
40 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:32:34.40 ID:W1F3IlL40 [19/34]
律「じゃあ何で泣くんだよ…
ごめん、謝るから、だから泣かないでくれよ…」
やめてくれ。もうそんな悲しい顔しないでくれ。
澪が笑ってくれたら、それでよかったんだ。
なのにわたしは、困らせて。今までを台無しにした。
律「わたしが…好きな人が居る、なんて言ったからだよな…?」
それが澪を、泣くほどまでに追い詰めたんだ。
澪は何も言わず、頷く。
やっぱり。澪は苦しんだんだ。
わたしが澪を好きなこと。その事実。
それが澪を、自ら遠ざけた。
41 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:37:33.85 ID:W1F3IlL40 [20/34]
言葉を発そうとする。
でも声は出なかった。首を縦に振って、思いを告げる。
律「そっか、ごめんな。わたし…澪を泣かせるつもりなんてなかったんだ。」
何で律まで泣いてるんだ…?
律は悪くないよ。わたしがもっと、強くならなきゃいけないんだ。
今は一番近くに居たとしても、いつかは遠くから見守らなきゃ。
律「この前さ、唯に『りっちゃんに恋する乙女は似合わん』なんて言われちゃってさ…
あいつひどいよなー!でも…その通りなんだ。」
律は涙を溜めて、ただ笑う。そんなことないよ。
「好きな人が居る」
その事実をわたしに告げた律は、あんなにいい顔をしてたんだから。
だからわたしは、こんなに泣いてしまったんだ。
42 名前:澪[]投稿日:2010/09/18(土) 01:42:03.37 ID:W1F3IlL40 [21/34]
澪「わたしにもさ、『澪ちゃんほど片思いが似合う女子は他に居ない』だって…
律も聞いただろ。失礼じゃないか?唯のやつ…憂ちゃんに叱ってもらわなきゃな…」
今、ちゃんと笑えた?
もう律を困らせない、そんな笑顔だった?
これでもう、終わりにしよう。
わたし、ちゃんと律を応援するよ。
もし律が好きな人と付き合えたら、「律をよろしく」ってちゃんと言うよ。
だから…
43 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:45:18.27 ID:W1F3IlL40 [22/34]
澪「片思い、やめるよ。いくら似合ってても。」
澪はめいっぱい笑って言った。
そうか、澪も好きな人いるんだな。
でも…その言葉の意味はわからなかった。
律「?いや…何でやめんだよ、やめるのはわたしの、似合わない恋する乙女だ。」
わたしもめいっぱい笑った。
そこからだ、話が噛み合わなくなったのは。
44 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:50:56.90 ID:W1F3IlL40 [23/34]
澪「え?何でやめんだよ。」
思わず律と同じセリフを発していた。
澪「律は頑張れよ、わたしが諦めるから。」
律「何でそうなるんだよ、大体何を?わたしが諦めれば済むことだろ?」
澪「律が諦めたら、わたしが泣いた意味ないだろ?」
律
「は?何?ごめん、何の話?」
ん?ちょっと話がわからなくなってきた…。
45 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:54:56.36 ID:W1F3IlL40 [24/34]
律「待て、話を整理しよう。」
どこからだ、話がこんがらがり出したのは…。
律「まずさ、何で澪はわたしを避け始めたんだ?」
澪「そりゃあ…律に好きな人がいるから…。」
律「泣かない。で、だからわたしを避けたんだろ?」
澪「そうだよ?今言ったぞ?」
律「じゃあ何で、わたしが諦めたら意味ないの?」
澪「だって…ここは身を引けば…。」
律「澪ひく?」
澪「違う、わたしが、『身』を引くんだ。」
律「何から澪は身を引くんだよ。」
澪「ごめん、今わたしの名前呼ぶとややこしい。」
律「秋山さん、何から身を引くんだ?」
澪「律からだろ?」
律「いや、わたしが身を引くんだよ、秋山さん。」
澪「えっ?」
律「えっ?」
46 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 01:58:24.40 ID:W1F3IlL40 [25/34]
澪「あのさ…律の好きな人って…誰?」
律「もう言わせるなよ~。これだけ泣いたのに恥ずかしいだろ。」
澪「いいから言え!誰だ!わたしの知ってる奴か!?」
律「知ってるも何も…本人じゃん。」
澪「えっ?えっ?」
律「秋山澪だよ!わたしの好きな、でも身を引いた人。」
澪「はあああああ?」
律「何でキレんだよ今更。」
澪「違う、待って、頭おかしくなりそ…」
律「諦めさせて、そのくせまた言わせて、何故かキレて。相変わらずひどい女だな!」
澪「違う!違う!わたしも律が好きだよ!」
律「へっ?」
澪「えっ?」
律「えっ?」
48 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:04:18.55 ID:W1F3IlL40 [26/34]
「どういうこと…?」
二人で問題を整理した。
「澪はわたしが澪を好きだって気付いて、引いたんだよな?」
「違う、わたしは律に好きな人がいるって言われて…落ち込んだ。」
「だから避けた?」
「そう、思い出なんていらない、とか言っちゃった。」
「え?何それ?」
「いやこれは今考えてる歌詞で…」
「歌詞の話、後にしてくんね?」
「ごめん…。」
「で、話の続き。」
「好きな人がいる律を、独り占めしちゃいけないって思った。」
「ほう。」
「そう思うと、うまく話せなくて…なあ恥ずかしいよ。律は?」
「わたしは…澪に彼氏が居ないって聞いて…まだ独り占め出来るって思った。」
「ほう。」
「で、いつか彼氏が出来るまでに、いっぱい思い出作ろうと思って、誘った。」
「それって…」
「「うちら両思いってこと?」」
52 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:10:03.63 ID:W1F3IlL40 [27/34]
思わず重なる声。
相当大きな声だったから、誰かに聞かれたかも。
でもこの際…もうどうでもいい…。
ポジティブ過ぎるわたし。
ネガティブすぎる澪。
同じ思いでいた二人。なのに捉え方が違い過ぎて、無駄にいくつもすれ違いあってた。
そして無駄に疲れた。
とりあえず…何だ?どうすりゃいい?
「とりあえず、顔洗って教室戻ろうか。秋山さん、ひどい顔だぞ。」
「澪って…呼んでくれよ…。」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:11:33.06 ID:W1F3IlL40 [28/34]
ごめん 会話文に名前入れ忘れた わかるよな?
56 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:15:52.00 ID:W1F3IlL40 [29/34]
唯とムギがこっちを見る。
二人とも赤い目して何してたの?と聞かれる。
説明する気力もない…いや、説明しちゃまずいだろ。
律が適当にごまかした。
アイツはそういうことが、昔からうまい。
そして他の二人は、基本的に「疑う」ということを知らない。
57 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:17:37.69 ID:W1F3IlL40 [30/34]
授業中、澪を見ると、珍しくウトウトしていた。
きっと泣いたことで、疲れて目がジンジンするんだろう。
「澪の分、ノートとっておくか…」
わたしは珍しく、ほぼ白に近いノートをめくり、せっせと黒板を写した。
そして、いつも通りの部活をした。
昼休み、わたしたちがたくさん泣いて、たくさん混乱して、気持ちを確かめ合った場所だ。
ちゃんと新曲の練習もしたのに、リズム隊はグダグダだった。
梓「律先輩も澪先輩も…どうしたんですか。」
梓、ごめん先輩お答え出来ません。
58 名前:律[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:21:20.02 ID:W1F3IlL40 [31/34]
部活が終わり、澪と二人きりになった。
澪「すっかり、夕方だな。」
律「だな。今日は何かすぐ寝れそうだ…。」
澪「わたしも…。」
律「でも、嬉しかったよ。」
澪「それも、わたしも…。」
澪が腫らした目で、笑った。
律「ははっ、ひどい顔ですよ秋山さん。」
澪「うるさい。で、澪って呼んでくれ。」
律「はいはい、みーおーちゃん。」
澪「でさ…部のみんなには、話すのか?」
律「澪、やだろ?」
澪「あ…うん、出来れば黙ってたい。」
律「仕方ないか~。」
澪「ごめん…。」
律「でもその代わり…次の日曜、遊んで?二人きりで。」
澪「うん、楽しみにしてる。」
59 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:25:18.78 ID:W1F3IlL40 [32/34]
大好きなこの時間。
オレンジ色の空、夕日に照らされる律。
澪「わたし、この時間好きなんだ。」
律「でも日が落ちるの早くなっちゃったな。もう時期暗くなる。」
澪「暗くなったらさ…見えないと思うんだ。
律「?うん。」
澪「手、繋いでもいいか…?」
律「もっちろん。」
家を通り過ぎて、わけもなく歩き続けた。
辺りが暗くなった途端、律が黙って手を差し伸べてくれた。
律が腕をブンブン振り回すから、何度か手が離れたしまった。
でもその度、次は離れないように強く、握りなおした。
61 名前:澪[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:31:38.76 ID:W1F3IlL40 [33/34]
約束の日曜。
律は折り目だらけの雑誌を片手に、
「次の約束、その次の約束…」とたくさん丸を付けた。
でも、約束なんていらないよ。
わたしたちには、必要ない。
新しく書いた歌詞も完成した。
いつも通り、律に見せた。
律「澪…『思い出なんていらないよ』ってあの時の…。」
澪「まあまあ、その後読んで。」
だって“今”強く、深く愛してるから
終わり。
65 名前:>>1[] 投稿日:2010/09/18(土) 02:34:05.14 ID:W1F3IlL40 [34/34]
途中グダってしまい、申し訳ない。
2回目のSS、以前書いたのも律澪でしたが、今度はEDを意識して作ってみました。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
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そういうところが気になってしまった