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キョン「俺だ」 古泉「僕です」
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:55:02.58 ID:uqd0xXxE0 [1/23]
キョン「もう一度だけ言うぞ。俺だ」
古泉「僕ですよ」
キョン「……てめえ」ガタッ
古泉「……暴力で解決ですか?」ガタッ
キョン「……」ドンッ
古泉「……何で肩を叩くんです」ドンッ
キョン「……」
古泉「……」
キョン「もう一度だけ言うぞ。俺だ」
古泉「僕ですよ」
キョン「……てめえ」ガタッ
古泉「……暴力で解決ですか?」ガタッ
キョン「……」ドンッ
古泉「……何で肩を叩くんです」ドンッ
キョン「……」
古泉「……」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 20:58:36.35 ID:uqd0xXxE0
キョン「……」ガッ
古泉「っ! ……すねを蹴りますか」ガッ
キョン「んっ! ……」グィッ
古泉「……」グィッ
ガチャ
ハルヒ「WAWAWA~……って何してんの? 胸倉掴みあって?」
キョン「……」
古泉「……」
キョン「俺だよな、ハルヒ?」
古泉「僕ですよね、涼宮さん?」
ハルヒ「え? な、何が?」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:02:00.44 ID:uqd0xXxE0
キョン「何が? だってよ、古泉」
古泉「ふふふ……」
ガッ ガツッ
ハルヒ「ちょっ! 何で殴り合ってんのよ! やめなさいよ!」
古泉「……そうですね。大人げなかったです」
キョン「……そうやって自分だけいい子ぶるのか?」
古泉「はあ?」
キョン「ああ?」
ハルヒ「いいから離れなさい!」
キョン「……」スッ
古泉「……」スッ
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:07:51.44 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「ねえ、どうしたの? 何かあったの?」
キョン「……意見の相違ってやつだ」
古泉「……現実を見れない人の相手をしていただけです」
キョン「……」ガタッ
ハルヒ「キョン! 座りなさい! 古泉くんも! 挑発しない!」
古泉「……これはどうも。僕は真実を述べただけなのですが」
キョン「真実ねえ……やれやれ」
古泉「何か文句でも?」
キョン「お前の笑顔は嘘臭いなって思っただけさ」
古泉「取り消してください……」
ハルヒ「そ、そうよキョン……」
古泉「『臭い』は構いませんが、『嘘』だけは取り消してください」
キョン「……お前の笑顔は臭い」
古泉「……まあいいでしょう」
ハルヒ「いいんだ……」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:13:47.02 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「とにかく、何があったのよ? こんなんじゃ団活もできやしないわ」
キョン「……俺なんだよ」
古泉「くどいですね。僕ですよ」
カッ! カッ! ガッ! ガッ!
ハルヒ「あー! 机の下で蹴りあいしない!」
キョン「ちっ……」
古泉「ふぅ……」
ハルヒ(みくるちゃんも有希も、こんな時にいないなんて!)
ガチャ
みくる「……」
長門「……」
ハルヒ「みくるちゃん! 有希!」
みくる「……ですよ」ボソ
長門「……違う」ボソ
ハルヒ(何かこっちも変だ!)
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:19:34.73 ID:uqd0xXxE0
みくる「絶対にわたしですよ」ツカツカ
長門「貴方では無い。私」ツカツカ
ハルヒ「み、みくるちゃん……」
みくる「あ、涼宮さん。すぐお茶淹れますね」ニコッ
ハルヒ「あっ、うん」
ヌギヌギ
ハルヒ(って、みんないるのに着替えるのー!?)
キョン「……」ゲシッ
古泉「……」ゲシッ
ハルヒ(良かった、とりあえずみくるちゃんの着替えは見てない)
長門「……」ストン ペ゚ラリ……ペラリ……
ハルヒ「あの、有希?」
長門「……何?」
ハルヒ「何かあったの?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:25:07.22 ID:uqd0xXxE0
長門「……何も無い」
ハルヒ「そ、そう?」
みくる「みなさ~ん、お茶ですよ~」ズイッ ズイッ ズイッ
ハルヒ「あ、ありがと」
キョン「ありがとうございます、朝比奈さん」
古泉「いつもすみません」
長門「……」
ハルヒ(あからさまに有希の分だけ無いー!?)
ハルヒ「あああ、あの、みくるちゃん」
みくる「はい?」
ハルヒ「有希の、お茶は?」
みくる「……はぁ」
ハルヒ「えっ……」
みくる「どうぞ、長門さん」ズイッ
ハルヒ(溜息ついた?)
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:32:37.17 ID:uqd0xXxE0
長門「朝比奈みくる」
みくる「……何ですかぁ」
長門「これはお茶では無い。水。水道水」
ハルヒ(ゲェーッ!)
みくる「すみません。長門さんの分のお茶っ葉がありませんでしたぁ」
長門「そう」
みくる「『うっかり』してましたぁ。次から気をつけますねぇ」
長門「……」
ハルヒ(『うっかり』? そんなはずないわ……これは『わざと』!)
ハルヒ(何で、こんな事をするの、みくるちゃん)
長門「……ふぅ」ツカツカ
バシャ
長門「……『うっかり』貴方に水をかけてしまった。申し訳無い」
ハルヒ(有希ィーッ!)
みくる「……だぁいじょうぶですよぉ。水で良かったですぅ」グショグショ
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:40:16.77 ID:uqd0xXxE0
カッチ コッチ カッチ コッチ
ハルヒ(ううう……)
ハルヒ(部屋の空気が重い……)
キョン「……」
古泉「……」
みくる「……」ダンッ ダンッ
長門「……」ペラ
ハルヒ(みんな無言……いや、いつもそんな感じだけれども)
ハルヒ(キョンと古泉君は睨みあってるし)
ハルヒ(みくるちゃんは包丁でまな板を何度も刺してるし)
ハルヒ(有希なんて本読んでる……)
ハルヒ(……あ、有希はいつもと同じ、普通だ! 有希から、何とかしよう!)
ハルヒ「有希ー、……その本、面白い?」
長門「……十年前の電話帳が面白いかと聞かれれば、たいしてそうでもない、と答えるしかない」ペラ
ハルヒ(普通じゃなかったー!)
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:52:45.34 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ(落ち着くのよ、涼宮ハルヒ!)
ハルヒ(ここはいつもの通り、あたしのペースに巻き込むの!)
ハルヒ(そうすればいつもの団活に戻る、ハズ!)
ハルヒ「あー、あー暇ネー! キョン、何か面白い事やりなさいヨ!」
キョン「……」
古泉「言われてますよ」
キョン「……ハルヒ」
ハルヒ「ん、何っ?」
キョン「俺は道化か? SOS団の役割は雑用係だったと記憶してるんだが」
ハルヒ「えっ……」
ハルヒ(何なのこの雰囲気……いつものキョンじゃ、ない! でも!)
ハルヒ「ざっ、雑用係は何でもやるものヨ! みんなの笑いをとるのも仕事のうちヨ!」
キョン「……『みんなの笑い』?」
ハルヒ「そ、そうヨ?」
キョン「ふむ……なら、やらざるを得ないな、うん」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:57:28.36 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ(上手く……いった?)
キョン「……」ガタッ
キョン「ちんぴょろすっぽーん!」
古泉「……」
みくる「……」ダンッ ダンッ
長門「……」ペラ
キョン「……」ガタッ
古泉「……笑い、とれてませんよ」
キョン「……うるせぇ」
ハルヒ(何か更に空気が重くなった……)
ハルヒ(うう……お腹痛くなってきた……)
ピルルル ピルルル
キョン「古泉。携帯、鳴ってるぞ」
古泉「知ってますよ」
ピッ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:03:14.39 ID:uqd0xXxE0
古泉「バイト先からでした」
キョン「行かなくていいのか」
古泉「行きたくても行けませんよ」
ハルヒ(お願い! 行って! 一人減れば楽になるから!)
ピルルルル ピルルル
古泉「……はい」ピッ
古泉「今日は行けません」
古泉「はあ? 勝手にしてください」
古泉「全く……」ピッ
キョン「いいのか」
古泉「何か、もうもの凄いそうですが、今日は休みます」
キョン「そうか」
ハルヒ「あの、古泉君! 行ってもいいのよ?」
古泉「それは僕が決める事です。団活のほうが大事ですよね」ニコッ
ハルヒ(あたしがいつも言ってる事だけに反論しがたいー!)
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:12:40.44 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ(とにかく状況を整理しましょう)
ハルヒ(キョンと古泉君が喧嘩してるのは確かよね)
ハルヒ(みくるちゃんと有希も喧嘩してるみたい)
ハルヒ(……どうすんのコレ?)
キョン&古泉「……」ゲシッ ゲシッ
みくる「……」ダンッ ダンッ
長門「……」ペラ
ハルヒ(今こそ団長の器が試される時!)
ハルヒ(ここでみんなの仲を元に戻す!)
ハルヒ(じゃないと、SOS団は破滅だわ!)
カッチ コッチ カッチ コッチ
ハルヒ(……ええと、ええと)
ハルヒ(ダメだぁー! 中学からずっと人付き合いなんてしてなかったから仲裁の仕方なんて分かんない!)
ハルヒ(……と、普通なら考えるでしょうけど。あたしは涼宮ハルヒ!)
ハルヒ(いかなる問題も、真正面から当たって砕く!)
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:20:27.68 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ドンガラガッシャーン!
キョン「……どうした。団長机をひっくり返して」
古泉「パソコンが壊れますよ」
みくる「涼宮さん、どうしたんですかぁ」ダンッ ダンッ
長門「……」ペラ
ハルヒ「どうもこうもないわよ!」
ハルヒ「あんたたち、何を喧嘩してんの!?」
ハルヒ「部屋の空気が悪いったらありゃしない!」
ハルヒ「団長命令よ! みんな仲良く……ゲフゥッ!」
キョン「血を吐いたぞ!」
古泉「もしや急性胃炎でしょうか? 涼宮さん、今日はお帰りになられては……」
ハルヒ「この状況で帰れるわけないでしょうが!」
キョン「……さっきから何の話だ? 喧嘩なんてしてないだろうが」ゲシッ
古泉「面白い人ですね、涼宮さんは」ゲシッ
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:34:01.72 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「あんたたちの血は何色だぁーッ!」
キョン「お前の血は赤いぞ」ゲシッ
古泉「赤いですね」ゲシッ
みくる「真っ赤です」ダンッ ダンッ
長門「赤い」ペラ
ハルヒ「喧嘩をやめろって、言ってんのよっゴブァ!」
キョン「……これは喧嘩じゃない。魂の戦いなんだ」ゲシッ
古泉「そうです。涼宮さんこそ、病院に行かれたほうがいいのでは」ゲシッ
みくる「血の量が半端じゃないですよぉ」ダンッ ダンッ
長門「……胃に、穴が開いてると推測される」ペラ
ハルヒ「ここで……ここで逃げたら! 何の為の団長よ!? あたしにはッ! みんなをまとめる義務があるッ!」
キョン「らしくない事を言い始めたぞ」
古泉「救急車を呼びましょう」ピッ
メキャッ!
ハルヒ「救急車なんて要らないわよ! なんだこの携帯! 今どきメロディ着信音って無いわ!」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:42:39.32 ID:uqd0xXxE0
古泉「それは人それぞれだと思いますが……僕の携帯、壊されました」ゲシッ
キョン「俺の携帯で救急車を呼ぼう」ゲシッ
ハルヒ「口で仲良くしながら足元で喧嘩すんな!」
みくる「でもぉ、涼宮さん顔色が茶色いですよぉ?」ダンッ ダンッ
長門「休養を薦める。無理はしないで」ペラ
ハルヒ「包丁放せッ! 電話帳読むのやめろッ!」
ハルヒ「全員、机に集合! これ以上、あたしに血を吐かせるなッ」
キョン&古泉&長門&みくる「……」シブシブ ツカツカ
ハルヒ「ではァ……これよりィ……SOS団仲良し会議を開始するわよォ……!」
キョン「会議よりお前が大丈夫か?」
ハルヒ「誰のせいだと思ってんの!?」
キョン「古泉」
古泉「彼」
みくる「長門さん」
長門「朝比奈みくる」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:52:17.33 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「あああああっ! 何で人のせいにするの!?」
キョン「っ! そうか、俺が悪かった、ハルヒ!」
古泉「いいえ、僕が悪いんです! すみませんでした、涼宮さん!」
みくる「わ、わたしが全部悪いんです! 反省します! 涼宮さん!」
長門「違う。私が全面的に悪い。謝罪する、涼宮ハルヒ」
ハルヒ「謝る相手がチ・ガ・ウ・ノ・ヨ!」
ゴッ メメタァッ!
キョン「おい、机がへしゃげたぞ!」ゲシッ
古泉「涼宮さんの拳が! 指がありえない方向に曲がってます!」ゲシッ
みくる「きゅ、救急車を呼ばないと!」ダンッ ダンッ
長門「拳が机の強度に耐え切れなかった。右手は二ヶ月は動かせない」ペラ
ハルヒ「どうだっていいのよ、そんな事ッ! 謝るべき相手に謝りなさいッ!」
キョン「ハルヒ……」ゲシッ
古泉&みくる「涼宮さん……」ゲシッ ダンッ ダンッ
長門「涼宮ハルヒ……」ペラ
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:05:35.24 ID:uqd0xXxE0
キョン「ハルヒにここまで言われちゃぁな」
古泉「そうですね」
みくる「分かりましたぁ」
長門「分かった」
キョン「……すまなかったな、長門。ギスギスさせちまって」
古泉「朝比奈さん、申し訳ありませんでした」
みくる「キョンくん、ごめんなさい!」
長門「すまない、古泉一樹」
ハルヒ「あんたらわざとやってるんかああああああっ!」
ゴッ メメタァッ!
古泉「左手で壁に穴を!」
キョン「コンピ研の部長が唖然としてるぞ」
みくる「涼宮さんの左手がぐちゃぐちゃですぅ!」
長門「全治、四ヶ月……!」
ハルヒ「もう、この際! 全部! 何もかも話しなさい! 団長命れゲボロゥ!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:12:41.35 ID:uqd0xXxE0
キョン「……ハルヒの身体が持ちそうにないな」
古泉「……そうですね。これでは僕たちは失格です」
みくる「わたしが、長門さんに譲らなかったからぁ」
長門「私も同じく責任がある」
キョン「古泉。悪かった」
古泉「いいえ。僕こそ自分を過大評価しすぎでした」
みくる「長門さん。ごめんなさい」
長門「私も悪かった」
ハルヒ「そう! それでいいの! みんな、仲良く!」
キョン&古泉&みくる&長門「YES!」
ハルヒ「で! 何で喧嘩してたのかしら?」
キョン&長門「そればっかりは」
古泉&みくる「言えません」
ハルヒ「マザーファッカーッ!」
ドウッ! バリーン!
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:21:58.07 ID:uqd0xXxE0
キョン「ハルヒが窓をぶち破った!」
古泉「下に落ちたのですか!?」
みくる「で、でも地面にはいません!」
長門「血痕があるのみ」
ドドドドドドドドドドドドドドドッ!
バタンッ!
ハルヒ「言えないってどういう事よ!」
キョン「もう戻ってきたのか!?」
古泉「両足が変な方向に捻じ曲がってますよ!」
みくる「118! 118!」
長門「朝比奈みくる。それは海上保安機関への通報。救急車は119」
ハルヒ「どうだっていいのよ、そんなの! 原因が分からなかったら、今日眠れないじゃない!」
キョン「お前そのままじゃ永眠しちまうぞ!」
ハルヒ「望むところよ!」
コンピ研部長「何かすごいぞ、おいカメラ回せ」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:30:36.98 ID:uqd0xXxE0
キョン「と言ってもだな」
古泉「既に仲直りした訳ですし」
みくる「原因を話して、また喧嘩になっちゃったら……」
長門「貴方の努力を無駄にすることになる」
ハルヒ「あああ……あひあひ」
ヒラ ヒラ…… ヒラヒラ……
キョン「ハルヒの髪が!」
古泉「どんどん抜けていきます!」
みくる「一体どうして!?」
長門「推測にしか過ぎないが、恐らく急性のストレスによるものと思われる」
コンピ研部長「ライト当てろ! 音声いいか!」
コンピ研連「はい!」
ハルヒ「けんけんけん……けんかのりゆうはなんでしょね」
バサッ バサッ ドサッ チュルン
コンピ研部長「ブルーリボン賞間違い無しだ!」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:45:09.96 ID:uqd0xXxE0
キョン「ハルヒ……」
美少女は、既に美少女である事をやめていた。
両腕、両足はズタズタになり、口からは大量の血を吐き、
流麗な髪の毛は全て抜け去ってしまった――
キョン「こらコンピ研! 変なテロップ入れるな!」
コンピ研部長「しかし! 決定的瞬間だ! 俺はコレを撮る為にコンピ研に入ったんだと思う!」
古泉「素直に映画研究会にでも入ればいいと思うのは気のせいでしょうか」
みくる「涼宮さん! しっかりしてください! 目を開けてください!」
長門「心肺停止。大変危険」
キョン「くそッ! 俺たちの為にハルヒがこんな目に!」
古泉「その構えは! 貴方は『まさか』!」
キョン「そう……そのまさか! 『人工呼吸』だ!」
ズキューーーーーンッ!
コンピ研部長「う、うろたえるんじゃない! コンピュータ研究会会員はうろたえない!」
みくる「キョンくん……やっぱり、涼宮さんの事を……」
長門「脈拍がある。呼吸をしている。蘇生している……涼宮ハルヒは!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:56:20.63 ID:uqd0xXxE0
――
ハルヒ「……ここは?」
キョン「ハルヒ!」ポロポロ
古泉&みくる「涼宮さん!」ポロポロ
長門「涼宮、ハルヒ」ポロポロ
ハルヒ「あたし、何を……痛っ!」
キョン「もういい、もういいんだハルヒ」
ハルヒ「……そう、終わったのね。一つだけ聞かせて。喧嘩の理由って何だったの?」
キョン「もう……教えてもいいだろうな、みんな」
古泉「ええ」
キョン「ヒーローだ」
ハルヒ「ヒーロー……?」
キョン「俺と古泉は、その事で争っていた。……馬鹿だよな、お前にこんな辛い目に合わせてまで」
古泉「本当に……申し訳ありません。こんな、ボロ雑巾みたいになるまで僕らの為に……本末転倒です、全く」
ハルヒ「……ヒーロー。詳しく教えてくれる?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:09:36.18 ID:chh3vwL00 [1/5]
キョン「改めて聞かれると、恥ずかしいんだがな」
古泉「涼宮さんは『アンパンマン』をご存知ですか?」
ハルヒ「あん……えっ?」
キョン「『アンパンマン』……俺たちの憧れるヒーローの一人だ」
古泉「あのアニメの歌詞、『アンパンマンたいそう』にこういう一節があります」
キョン「『アンパンマンは君さ』……。笑っちまうだろ? 俺たち、どっちが『アンパンマン』かで喧嘩してたんだぜ?」
ハルヒ「えっ……おま……」
古泉「しかし、僕たちは『アンパンマン』ではなかった……」
キョン「お前だったんだよ、『アンパンマン』は」
ハルヒ「あ……が……」
古泉「みんなのために、自らの身体をはれる……見事な、『アンパンマン』です!」
キョン「……お前は、優しいヒーローだ。俺たちの、な」
ハルヒ「ちょっ、まっ」
みくる「わたしたちは、少し違うんです、涼宮さん」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:17:23.09 ID:chh3vwL00 [2/5]
ハルヒ「みくっ……ちゃ……」
みくる「わたしと長門さんは……『サザエさん』、です」
長門「貴方は知ってる? 『サザエさん』を」
ハルヒ「さっ……てめ……」
みくる「『サザエさんのうた』で、こんな一節があります」
長門「『わたしはサザエさん あなたもサザエさん』」
ハルヒ「まさ……か……」
みくる「どちらがよりSOS団のマスコットとして相応しいか……」
長門「『サザエさん』的なポジションはわたしたち二人の誰なのか」
みくる「でも、どちらでもありませんでした」
長門「あの、破天荒な暴れっぷり。貴方が『サザエさん』に相応しい」
ハルヒ「んが……んぐ……」
みくる「やっぱり、涼宮さんには敵いませんね、ふふ」ニコッ
長門「貴方こそ、『サザエさん』に相応しい」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:22:16.17 ID:chh3vwL00 [3/5]
キョン「ハルヒ、お前は」
古泉「『アンパンマン』でありながら」
みくる「『サザエさん』でもあります」
長門「相反するもの……ヒーローと庶民性を併せ持った稀有な存在」
キョン「それがお前だ」
古泉「まさか、こんな結果になろうとは」
みくる「思ってもいませんでした」
長門「やはり貴方は、素晴らしい」
ハルヒ「……」
ハルヒ「ふふ……」
ハルヒ「あはははははははははははははははははははははははははははは」
キョン「笑い、か……」
古泉「こんな清々しい気持ちは久しぶりです」
みくる「わたしも笑いたくなってきました」
長門「私も」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:30:14.97 ID:chh3vwL00 [4/5]
ハルヒ「あはははははははははははははははははははははははははははは」
キョン「あはははははははははははははははははははははははははははは」
古泉「あはははははははははははははははははははははははははははは」
みくる「あはははははははははははははははははははははははははははは」
長門「あはははははははははははははははははははははははははははは」
コンピ研部長「あはははははははははははははははははははははははははははは」
コンピ研連「あはははははははははははははははははははははははははははは」
森「あはははははははははははははははははははははははははははは」
みくる(大)「あはははははははははははははははははははははははははははは」
朝倉「あはははははははははははははははははははははははははははは」
キョン妹「あはははははははははははははははははははははははははははは」
シャミセン「あはははははははははははははははははははははははははははは」
谷口「WAWAWA~キョンいるか……って」
谷口「何だこの状況……どこに連絡すれば解決してくれるんだ? ……118?」
-END-
51 名前:南部十四朗 ◆pTqMLhEhmY [sage] 投稿日:2010/09/18(土) 00:30:56.54 ID:chh3vwL00 [5/5]
ハルヒ原作を読み返したら、ハルヒはもう少しだけでも他人に気を使えば可愛いのに、と思いました。
読んで頂いた方々、どうもありがとうございました。
キョン「……」ガッ
古泉「っ! ……すねを蹴りますか」ガッ
キョン「んっ! ……」グィッ
古泉「……」グィッ
ガチャ
ハルヒ「WAWAWA~……って何してんの? 胸倉掴みあって?」
キョン「……」
古泉「……」
キョン「俺だよな、ハルヒ?」
古泉「僕ですよね、涼宮さん?」
ハルヒ「え? な、何が?」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:02:00.44 ID:uqd0xXxE0
キョン「何が? だってよ、古泉」
古泉「ふふふ……」
ガッ ガツッ
ハルヒ「ちょっ! 何で殴り合ってんのよ! やめなさいよ!」
古泉「……そうですね。大人げなかったです」
キョン「……そうやって自分だけいい子ぶるのか?」
古泉「はあ?」
キョン「ああ?」
ハルヒ「いいから離れなさい!」
キョン「……」スッ
古泉「……」スッ
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:07:51.44 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「ねえ、どうしたの? 何かあったの?」
キョン「……意見の相違ってやつだ」
古泉「……現実を見れない人の相手をしていただけです」
キョン「……」ガタッ
ハルヒ「キョン! 座りなさい! 古泉くんも! 挑発しない!」
古泉「……これはどうも。僕は真実を述べただけなのですが」
キョン「真実ねえ……やれやれ」
古泉「何か文句でも?」
キョン「お前の笑顔は嘘臭いなって思っただけさ」
古泉「取り消してください……」
ハルヒ「そ、そうよキョン……」
古泉「『臭い』は構いませんが、『嘘』だけは取り消してください」
キョン「……お前の笑顔は臭い」
古泉「……まあいいでしょう」
ハルヒ「いいんだ……」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:13:47.02 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「とにかく、何があったのよ? こんなんじゃ団活もできやしないわ」
キョン「……俺なんだよ」
古泉「くどいですね。僕ですよ」
カッ! カッ! ガッ! ガッ!
ハルヒ「あー! 机の下で蹴りあいしない!」
キョン「ちっ……」
古泉「ふぅ……」
ハルヒ(みくるちゃんも有希も、こんな時にいないなんて!)
ガチャ
みくる「……」
長門「……」
ハルヒ「みくるちゃん! 有希!」
みくる「……ですよ」ボソ
長門「……違う」ボソ
ハルヒ(何かこっちも変だ!)
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:19:34.73 ID:uqd0xXxE0
みくる「絶対にわたしですよ」ツカツカ
長門「貴方では無い。私」ツカツカ
ハルヒ「み、みくるちゃん……」
みくる「あ、涼宮さん。すぐお茶淹れますね」ニコッ
ハルヒ「あっ、うん」
ヌギヌギ
ハルヒ(って、みんないるのに着替えるのー!?)
キョン「……」ゲシッ
古泉「……」ゲシッ
ハルヒ(良かった、とりあえずみくるちゃんの着替えは見てない)
長門「……」ストン ペ゚ラリ……ペラリ……
ハルヒ「あの、有希?」
長門「……何?」
ハルヒ「何かあったの?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:25:07.22 ID:uqd0xXxE0
長門「……何も無い」
ハルヒ「そ、そう?」
みくる「みなさ~ん、お茶ですよ~」ズイッ ズイッ ズイッ
ハルヒ「あ、ありがと」
キョン「ありがとうございます、朝比奈さん」
古泉「いつもすみません」
長門「……」
ハルヒ(あからさまに有希の分だけ無いー!?)
ハルヒ「あああ、あの、みくるちゃん」
みくる「はい?」
ハルヒ「有希の、お茶は?」
みくる「……はぁ」
ハルヒ「えっ……」
みくる「どうぞ、長門さん」ズイッ
ハルヒ(溜息ついた?)
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:32:37.17 ID:uqd0xXxE0
長門「朝比奈みくる」
みくる「……何ですかぁ」
長門「これはお茶では無い。水。水道水」
ハルヒ(ゲェーッ!)
みくる「すみません。長門さんの分のお茶っ葉がありませんでしたぁ」
長門「そう」
みくる「『うっかり』してましたぁ。次から気をつけますねぇ」
長門「……」
ハルヒ(『うっかり』? そんなはずないわ……これは『わざと』!)
ハルヒ(何で、こんな事をするの、みくるちゃん)
長門「……ふぅ」ツカツカ
バシャ
長門「……『うっかり』貴方に水をかけてしまった。申し訳無い」
ハルヒ(有希ィーッ!)
みくる「……だぁいじょうぶですよぉ。水で良かったですぅ」グショグショ
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:40:16.77 ID:uqd0xXxE0
カッチ コッチ カッチ コッチ
ハルヒ(ううう……)
ハルヒ(部屋の空気が重い……)
キョン「……」
古泉「……」
みくる「……」ダンッ ダンッ
長門「……」ペラ
ハルヒ(みんな無言……いや、いつもそんな感じだけれども)
ハルヒ(キョンと古泉君は睨みあってるし)
ハルヒ(みくるちゃんは包丁でまな板を何度も刺してるし)
ハルヒ(有希なんて本読んでる……)
ハルヒ(……あ、有希はいつもと同じ、普通だ! 有希から、何とかしよう!)
ハルヒ「有希ー、……その本、面白い?」
長門「……十年前の電話帳が面白いかと聞かれれば、たいしてそうでもない、と答えるしかない」ペラ
ハルヒ(普通じゃなかったー!)
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:52:45.34 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ(落ち着くのよ、涼宮ハルヒ!)
ハルヒ(ここはいつもの通り、あたしのペースに巻き込むの!)
ハルヒ(そうすればいつもの団活に戻る、ハズ!)
ハルヒ「あー、あー暇ネー! キョン、何か面白い事やりなさいヨ!」
キョン「……」
古泉「言われてますよ」
キョン「……ハルヒ」
ハルヒ「ん、何っ?」
キョン「俺は道化か? SOS団の役割は雑用係だったと記憶してるんだが」
ハルヒ「えっ……」
ハルヒ(何なのこの雰囲気……いつものキョンじゃ、ない! でも!)
ハルヒ「ざっ、雑用係は何でもやるものヨ! みんなの笑いをとるのも仕事のうちヨ!」
キョン「……『みんなの笑い』?」
ハルヒ「そ、そうヨ?」
キョン「ふむ……なら、やらざるを得ないな、うん」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 21:57:28.36 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ(上手く……いった?)
キョン「……」ガタッ
キョン「ちんぴょろすっぽーん!」
古泉「……」
みくる「……」ダンッ ダンッ
長門「……」ペラ
キョン「……」ガタッ
古泉「……笑い、とれてませんよ」
キョン「……うるせぇ」
ハルヒ(何か更に空気が重くなった……)
ハルヒ(うう……お腹痛くなってきた……)
ピルルル ピルルル
キョン「古泉。携帯、鳴ってるぞ」
古泉「知ってますよ」
ピッ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:03:14.39 ID:uqd0xXxE0
古泉「バイト先からでした」
キョン「行かなくていいのか」
古泉「行きたくても行けませんよ」
ハルヒ(お願い! 行って! 一人減れば楽になるから!)
ピルルルル ピルルル
古泉「……はい」ピッ
古泉「今日は行けません」
古泉「はあ? 勝手にしてください」
古泉「全く……」ピッ
キョン「いいのか」
古泉「何か、もうもの凄いそうですが、今日は休みます」
キョン「そうか」
ハルヒ「あの、古泉君! 行ってもいいのよ?」
古泉「それは僕が決める事です。団活のほうが大事ですよね」ニコッ
ハルヒ(あたしがいつも言ってる事だけに反論しがたいー!)
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:12:40.44 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ(とにかく状況を整理しましょう)
ハルヒ(キョンと古泉君が喧嘩してるのは確かよね)
ハルヒ(みくるちゃんと有希も喧嘩してるみたい)
ハルヒ(……どうすんのコレ?)
キョン&古泉「……」ゲシッ ゲシッ
みくる「……」ダンッ ダンッ
長門「……」ペラ
ハルヒ(今こそ団長の器が試される時!)
ハルヒ(ここでみんなの仲を元に戻す!)
ハルヒ(じゃないと、SOS団は破滅だわ!)
カッチ コッチ カッチ コッチ
ハルヒ(……ええと、ええと)
ハルヒ(ダメだぁー! 中学からずっと人付き合いなんてしてなかったから仲裁の仕方なんて分かんない!)
ハルヒ(……と、普通なら考えるでしょうけど。あたしは涼宮ハルヒ!)
ハルヒ(いかなる問題も、真正面から当たって砕く!)
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:20:27.68 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ドンガラガッシャーン!
キョン「……どうした。団長机をひっくり返して」
古泉「パソコンが壊れますよ」
みくる「涼宮さん、どうしたんですかぁ」ダンッ ダンッ
長門「……」ペラ
ハルヒ「どうもこうもないわよ!」
ハルヒ「あんたたち、何を喧嘩してんの!?」
ハルヒ「部屋の空気が悪いったらありゃしない!」
ハルヒ「団長命令よ! みんな仲良く……ゲフゥッ!」
キョン「血を吐いたぞ!」
古泉「もしや急性胃炎でしょうか? 涼宮さん、今日はお帰りになられては……」
ハルヒ「この状況で帰れるわけないでしょうが!」
キョン「……さっきから何の話だ? 喧嘩なんてしてないだろうが」ゲシッ
古泉「面白い人ですね、涼宮さんは」ゲシッ
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:34:01.72 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「あんたたちの血は何色だぁーッ!」
キョン「お前の血は赤いぞ」ゲシッ
古泉「赤いですね」ゲシッ
みくる「真っ赤です」ダンッ ダンッ
長門「赤い」ペラ
ハルヒ「喧嘩をやめろって、言ってんのよっゴブァ!」
キョン「……これは喧嘩じゃない。魂の戦いなんだ」ゲシッ
古泉「そうです。涼宮さんこそ、病院に行かれたほうがいいのでは」ゲシッ
みくる「血の量が半端じゃないですよぉ」ダンッ ダンッ
長門「……胃に、穴が開いてると推測される」ペラ
ハルヒ「ここで……ここで逃げたら! 何の為の団長よ!? あたしにはッ! みんなをまとめる義務があるッ!」
キョン「らしくない事を言い始めたぞ」
古泉「救急車を呼びましょう」ピッ
メキャッ!
ハルヒ「救急車なんて要らないわよ! なんだこの携帯! 今どきメロディ着信音って無いわ!」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:42:39.32 ID:uqd0xXxE0
古泉「それは人それぞれだと思いますが……僕の携帯、壊されました」ゲシッ
キョン「俺の携帯で救急車を呼ぼう」ゲシッ
ハルヒ「口で仲良くしながら足元で喧嘩すんな!」
みくる「でもぉ、涼宮さん顔色が茶色いですよぉ?」ダンッ ダンッ
長門「休養を薦める。無理はしないで」ペラ
ハルヒ「包丁放せッ! 電話帳読むのやめろッ!」
ハルヒ「全員、机に集合! これ以上、あたしに血を吐かせるなッ」
キョン&古泉&長門&みくる「……」シブシブ ツカツカ
ハルヒ「ではァ……これよりィ……SOS団仲良し会議を開始するわよォ……!」
キョン「会議よりお前が大丈夫か?」
ハルヒ「誰のせいだと思ってんの!?」
キョン「古泉」
古泉「彼」
みくる「長門さん」
長門「朝比奈みくる」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 22:52:17.33 ID:uqd0xXxE0
ハルヒ「あああああっ! 何で人のせいにするの!?」
キョン「っ! そうか、俺が悪かった、ハルヒ!」
古泉「いいえ、僕が悪いんです! すみませんでした、涼宮さん!」
みくる「わ、わたしが全部悪いんです! 反省します! 涼宮さん!」
長門「違う。私が全面的に悪い。謝罪する、涼宮ハルヒ」
ハルヒ「謝る相手がチ・ガ・ウ・ノ・ヨ!」
ゴッ メメタァッ!
キョン「おい、机がへしゃげたぞ!」ゲシッ
古泉「涼宮さんの拳が! 指がありえない方向に曲がってます!」ゲシッ
みくる「きゅ、救急車を呼ばないと!」ダンッ ダンッ
長門「拳が机の強度に耐え切れなかった。右手は二ヶ月は動かせない」ペラ
ハルヒ「どうだっていいのよ、そんな事ッ! 謝るべき相手に謝りなさいッ!」
キョン「ハルヒ……」ゲシッ
古泉&みくる「涼宮さん……」ゲシッ ダンッ ダンッ
長門「涼宮ハルヒ……」ペラ
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:05:35.24 ID:uqd0xXxE0
キョン「ハルヒにここまで言われちゃぁな」
古泉「そうですね」
みくる「分かりましたぁ」
長門「分かった」
キョン「……すまなかったな、長門。ギスギスさせちまって」
古泉「朝比奈さん、申し訳ありませんでした」
みくる「キョンくん、ごめんなさい!」
長門「すまない、古泉一樹」
ハルヒ「あんたらわざとやってるんかああああああっ!」
ゴッ メメタァッ!
古泉「左手で壁に穴を!」
キョン「コンピ研の部長が唖然としてるぞ」
みくる「涼宮さんの左手がぐちゃぐちゃですぅ!」
長門「全治、四ヶ月……!」
ハルヒ「もう、この際! 全部! 何もかも話しなさい! 団長命れゲボロゥ!」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:12:41.35 ID:uqd0xXxE0
キョン「……ハルヒの身体が持ちそうにないな」
古泉「……そうですね。これでは僕たちは失格です」
みくる「わたしが、長門さんに譲らなかったからぁ」
長門「私も同じく責任がある」
キョン「古泉。悪かった」
古泉「いいえ。僕こそ自分を過大評価しすぎでした」
みくる「長門さん。ごめんなさい」
長門「私も悪かった」
ハルヒ「そう! それでいいの! みんな、仲良く!」
キョン&古泉&みくる&長門「YES!」
ハルヒ「で! 何で喧嘩してたのかしら?」
キョン&長門「そればっかりは」
古泉&みくる「言えません」
ハルヒ「マザーファッカーッ!」
ドウッ! バリーン!
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:21:58.07 ID:uqd0xXxE0
キョン「ハルヒが窓をぶち破った!」
古泉「下に落ちたのですか!?」
みくる「で、でも地面にはいません!」
長門「血痕があるのみ」
ドドドドドドドドドドドドドドドッ!
バタンッ!
ハルヒ「言えないってどういう事よ!」
キョン「もう戻ってきたのか!?」
古泉「両足が変な方向に捻じ曲がってますよ!」
みくる「118! 118!」
長門「朝比奈みくる。それは海上保安機関への通報。救急車は119」
ハルヒ「どうだっていいのよ、そんなの! 原因が分からなかったら、今日眠れないじゃない!」
キョン「お前そのままじゃ永眠しちまうぞ!」
ハルヒ「望むところよ!」
コンピ研部長「何かすごいぞ、おいカメラ回せ」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:30:36.98 ID:uqd0xXxE0
キョン「と言ってもだな」
古泉「既に仲直りした訳ですし」
みくる「原因を話して、また喧嘩になっちゃったら……」
長門「貴方の努力を無駄にすることになる」
ハルヒ「あああ……あひあひ」
ヒラ ヒラ…… ヒラヒラ……
キョン「ハルヒの髪が!」
古泉「どんどん抜けていきます!」
みくる「一体どうして!?」
長門「推測にしか過ぎないが、恐らく急性のストレスによるものと思われる」
コンピ研部長「ライト当てろ! 音声いいか!」
コンピ研連「はい!」
ハルヒ「けんけんけん……けんかのりゆうはなんでしょね」
バサッ バサッ ドサッ チュルン
コンピ研部長「ブルーリボン賞間違い無しだ!」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:45:09.96 ID:uqd0xXxE0
キョン「ハルヒ……」
美少女は、既に美少女である事をやめていた。
両腕、両足はズタズタになり、口からは大量の血を吐き、
流麗な髪の毛は全て抜け去ってしまった――
キョン「こらコンピ研! 変なテロップ入れるな!」
コンピ研部長「しかし! 決定的瞬間だ! 俺はコレを撮る為にコンピ研に入ったんだと思う!」
古泉「素直に映画研究会にでも入ればいいと思うのは気のせいでしょうか」
みくる「涼宮さん! しっかりしてください! 目を開けてください!」
長門「心肺停止。大変危険」
キョン「くそッ! 俺たちの為にハルヒがこんな目に!」
古泉「その構えは! 貴方は『まさか』!」
キョン「そう……そのまさか! 『人工呼吸』だ!」
ズキューーーーーンッ!
コンピ研部長「う、うろたえるんじゃない! コンピュータ研究会会員はうろたえない!」
みくる「キョンくん……やっぱり、涼宮さんの事を……」
長門「脈拍がある。呼吸をしている。蘇生している……涼宮ハルヒは!」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/17(金) 23:56:20.63 ID:uqd0xXxE0
――
ハルヒ「……ここは?」
キョン「ハルヒ!」ポロポロ
古泉&みくる「涼宮さん!」ポロポロ
長門「涼宮、ハルヒ」ポロポロ
ハルヒ「あたし、何を……痛っ!」
キョン「もういい、もういいんだハルヒ」
ハルヒ「……そう、終わったのね。一つだけ聞かせて。喧嘩の理由って何だったの?」
キョン「もう……教えてもいいだろうな、みんな」
古泉「ええ」
キョン「ヒーローだ」
ハルヒ「ヒーロー……?」
キョン「俺と古泉は、その事で争っていた。……馬鹿だよな、お前にこんな辛い目に合わせてまで」
古泉「本当に……申し訳ありません。こんな、ボロ雑巾みたいになるまで僕らの為に……本末転倒です、全く」
ハルヒ「……ヒーロー。詳しく教えてくれる?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:09:36.18 ID:chh3vwL00 [1/5]
キョン「改めて聞かれると、恥ずかしいんだがな」
古泉「涼宮さんは『アンパンマン』をご存知ですか?」
ハルヒ「あん……えっ?」
キョン「『アンパンマン』……俺たちの憧れるヒーローの一人だ」
古泉「あのアニメの歌詞、『アンパンマンたいそう』にこういう一節があります」
キョン「『アンパンマンは君さ』……。笑っちまうだろ? 俺たち、どっちが『アンパンマン』かで喧嘩してたんだぜ?」
ハルヒ「えっ……おま……」
古泉「しかし、僕たちは『アンパンマン』ではなかった……」
キョン「お前だったんだよ、『アンパンマン』は」
ハルヒ「あ……が……」
古泉「みんなのために、自らの身体をはれる……見事な、『アンパンマン』です!」
キョン「……お前は、優しいヒーローだ。俺たちの、な」
ハルヒ「ちょっ、まっ」
みくる「わたしたちは、少し違うんです、涼宮さん」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:17:23.09 ID:chh3vwL00 [2/5]
ハルヒ「みくっ……ちゃ……」
みくる「わたしと長門さんは……『サザエさん』、です」
長門「貴方は知ってる? 『サザエさん』を」
ハルヒ「さっ……てめ……」
みくる「『サザエさんのうた』で、こんな一節があります」
長門「『わたしはサザエさん あなたもサザエさん』」
ハルヒ「まさ……か……」
みくる「どちらがよりSOS団のマスコットとして相応しいか……」
長門「『サザエさん』的なポジションはわたしたち二人の誰なのか」
みくる「でも、どちらでもありませんでした」
長門「あの、破天荒な暴れっぷり。貴方が『サザエさん』に相応しい」
ハルヒ「んが……んぐ……」
みくる「やっぱり、涼宮さんには敵いませんね、ふふ」ニコッ
長門「貴方こそ、『サザエさん』に相応しい」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:22:16.17 ID:chh3vwL00 [3/5]
キョン「ハルヒ、お前は」
古泉「『アンパンマン』でありながら」
みくる「『サザエさん』でもあります」
長門「相反するもの……ヒーローと庶民性を併せ持った稀有な存在」
キョン「それがお前だ」
古泉「まさか、こんな結果になろうとは」
みくる「思ってもいませんでした」
長門「やはり貴方は、素晴らしい」
ハルヒ「……」
ハルヒ「ふふ……」
ハルヒ「あはははははははははははははははははははははははははははは」
キョン「笑い、か……」
古泉「こんな清々しい気持ちは久しぶりです」
みくる「わたしも笑いたくなってきました」
長門「私も」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/18(土) 00:30:14.97 ID:chh3vwL00 [4/5]
ハルヒ「あはははははははははははははははははははははははははははは」
キョン「あはははははははははははははははははははははははははははは」
古泉「あはははははははははははははははははははははははははははは」
みくる「あはははははははははははははははははははははははははははは」
長門「あはははははははははははははははははははははははははははは」
コンピ研部長「あはははははははははははははははははははははははははははは」
コンピ研連「あはははははははははははははははははははははははははははは」
森「あはははははははははははははははははははははははははははは」
みくる(大)「あはははははははははははははははははははははははははははは」
朝倉「あはははははははははははははははははははははははははははは」
キョン妹「あはははははははははははははははははははははははははははは」
シャミセン「あはははははははははははははははははははははははははははは」
谷口「WAWAWA~キョンいるか……って」
谷口「何だこの状況……どこに連絡すれば解決してくれるんだ? ……118?」
-END-
51 名前:南部十四朗 ◆pTqMLhEhmY [sage] 投稿日:2010/09/18(土) 00:30:56.54 ID:chh3vwL00 [5/5]
ハルヒ原作を読み返したら、ハルヒはもう少しだけでも他人に気を使えば可愛いのに、と思いました。
読んで頂いた方々、どうもありがとうございました。
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