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唯「じゃあ斉藤さんって童貞なんだ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:14:53.87 ID:JwXutaj90 [2/45]
放課後。
さわ子「ヘイみんな、実は昨日から音楽準備室に工事が入って
部活できなくなっちゃったのYO」
律「マジすか」
澪「今日こそは練習しようと思ってきたのに」
唯「もう2ヶ月くらい練習してないしね」
さわ子「練習したいんなら
悪いけどどこか代わりの場所を見つけてやってくれない?」
律「代わりの場所っつってもなー。
スタジオ借りるのは高いしー」
唯「ムギちゃんの家にスタジオとかない?」
紬「ありますよ」
澪「あるのかよ」
放課後。
さわ子「ヘイみんな、実は昨日から音楽準備室に工事が入って
部活できなくなっちゃったのYO」
律「マジすか」
澪「今日こそは練習しようと思ってきたのに」
唯「もう2ヶ月くらい練習してないしね」
さわ子「練習したいんなら
悪いけどどこか代わりの場所を見つけてやってくれない?」
律「代わりの場所っつってもなー。
スタジオ借りるのは高いしー」
唯「ムギちゃんの家にスタジオとかない?」
紬「ありますよ」
澪「あるのかよ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:17:08.21 ID:JwXutaj90
というわけで琴吹家にやってきた4人。
紬「ここが私の家よ」
唯「お……おおーう」
澪「でかい……」
律「端が見えない……」
琴吹家は、江戸時代末期まで徳川将軍家が居城としていた江戸城跡にある。
江戸城の内郭(内堀内)には、本丸、二の丸、三の丸、西の丸のほか、
西寄りの部分には「吹上」と呼ばれる庭園があった。
「吹上」はかつては屋敷地であったが、明暦の大火(1657年(明暦3年))以降、
火除け地として、建物が建てられないようになっていた。
琴吹家関連施設のうち、宮殿、宮内庁庁舎などは旧西の丸に位置するが、
紬の住まいである御所は江戸城の「吹上」、現在の「吹上御苑」に建てられている。
旧西の丸と吹上御苑は道灌堀という堀で隔てられている。城郭としての江戸城は本丸、
二の丸、三の丸および西の丸部分のみを言い、
道灌堀の西側にある庭園部分は厳密には江戸城には含まれないので、
御所は城郭としての江戸城跡に建っているわけではない。
現在、琴吹家一帯は東京の中央部にありながら、緑豊かな地区で、
濠の周りはジョギング道として人気が高い。
琴吹家の住所表示は東京都千代田区千代田1番1号で、
本籍として人気が高い住所になっている(郵便番号は100-0001)。
また、国有財産としての琴吹家の価値は、2146億4487万円である(財務省資料に基づく、2009年5月現在)。
衛星パノラマ画像プログラムのグーグルアースにおいては世界のランドマークの一つとして登録されている。
(以上Wikipediaより引用)
紬「実はここ別宅で。狭っ苦しいと思うけど、ごめんね」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:20:09.32 ID:JwXutaj90
唯「ムギちゃんち初めて来たけど大きいねー」
律「これで別宅だと?」
澪「はは、庶民とはもう根本的にスケールが違うなー」
斉藤「おかえりなさいませ、お嬢様」
紬「ああ斉藤、ただいま」
斉藤「こちらの方々は?」
紬「軽音楽部での下b……友人たちよ」
斉藤「そうでございましたか。
私、琴吹家で執事をしております斉藤と申します」
律「ご丁寧にどうも」
紬「斉藤、スタジオを使いたいのだけれど。
空いているわよね」
斉藤「もちろんでございます。
ささ、皆さんお荷物をお持ちいたしますのでこちらに」
澪「いえいいですよ、自分で持っていきますよ」
唯「さいとーさん、4人分も荷物持てるの?」
紬「みんな、遠慮せずに斉藤に荷物を持たせていいから」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:24:18.89 ID:JwXutaj90
澪「でも」
斉藤「お嬢様のおっしゃるとおりでございます。
私、こう見えても体だけは鍛えておりますゆえ、
この身にカバン4つにギターとベースを担ぐことなど
造作も無いことでございます」
唯「そーなんだ、じゃあおねがーい」
律「じゃあ私のも……お願いします」
斉藤「はい、あとはあなた様のお荷物も」
澪「いいいです、自分で持ちますから」
斉藤「遠慮なさらず。私はこれが仕事でございます。
さ、どうかお荷物を私めにお預け下さいませ」
澪「はあ……じゃあ」
斉藤「確かに受け取りました。ふんす」
唯「おーすごい、それだけ持ってても余裕だね」
斉藤「並の鍛え方はしておりませんので」
律「……」
紬「スタジオはこっちよ」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:28:19.24 ID:JwXutaj90
スタジオに向かう一行。
唯「わー、ほんとにすごいねームギちゃんの家」
紬「気に入ってもらえて嬉しいわ」
澪「唯、あんまりはしゃぐなよ、みっともないから。
なあ律」
律「……」
澪「律?」
律「えっ、あ……何?」
澪「ああいや、たいした用じゃないんだけど。
何ぼーっとしてんだよ」
律「あれ、ぼーっとしてたかな」
澪「してたよ」
律「そうかな……」
斉藤「スタジオまで徒歩10分で到着いたします」
唯「結構遠いね」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:33:46.96 ID:JwXutaj90
澪「なあ、唯、ムギ」
紬「なに?」
澪「なんか律の様子が変なんだけど」
唯「りっちゃんはいつだって変だよ」
澪「いやそういうんじゃなくて……
なんかボケーッとしてるって言うか」
律「…………」ぼけーっ
唯「確かに」
紬「変ね、さっきまで元気だったのに」
唯「……ん?」
澪「どうした唯」
唯「りっちゃん、斉藤さんの顔見てない?」
紬「あ、確かに……
りっちゃんの視線が斉藤に向けられているわ」
澪「言われてみれば」
律「…………」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:41:44.82 ID:JwXutaj90
唯「はっ……まさかりっちゃん、斉藤さんに惚れたとかっ」
澪「はあ?」
紬「いえ、ありえるかも知れないわ。
女子校生活のせいで男への免疫が急激に低下している今、
誰に一目惚れをしてもおかしくはないもの」
澪「いやおかしいって……
斉藤さんってお爺さんじゃん。
さすがの律もそこまで……」
唯「いやでも見てみなよ、
あのりっちゃんの潤んだ瞳、
紅潮した頬……明らかに恋する乙女の顔だよ」
紬「りっちゃんにも春が来たのね……良かったわ」
澪「いやいやいやいや、ちょっと待てよ。
なんで祝福ムードなんだよ。
まだそうだって確定したわけじゃないだろっ」
唯「じゃあちょっと探りいれてみようか」
紬「そうねっ」ふんす
澪「ノリノリだな……」
律「…………」ぼけーっ
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:45:02.78 ID:JwXutaj90
スタジオ。
斉藤「こちらスタジオでございます」
唯「おーなんだこの並の貸しスタジオより何倍も広いスタジオはー」
澪「すごいな……設備も揃ってるし」
紬「ご満足いただけた?」
澪「ああ、大満足だよ。やっぱすごいなムギは」
斉藤「ではお荷物はここに置いておきますので」
澪「あっすみません、ありがとうございました」
唯「ありがとー斉藤さんっ」
律「……」
斉藤「では私はこれで。後ほど、お茶とお菓子を持ってまいりますので」
紬「ええ、お願い」
斉藤「では失礼いたします」
ガチャバタン
唯「ムギちゃん、すごいねー斉藤さんって」
紬「そうかしら」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:48:12.02 ID:JwXutaj90
律「いやすごいよ、あんな重い荷物を軽々持ってさ。
やっぱ相当鍛えてんだろうな」
紬「まあ筋トレは欠かさずやってるみたいよ。
琴吹家の執事たるもの、ヤワな体じゃ話にならないし」
唯「そんなにハードなんだ、ひつじのお仕事って」
紬「ええ、そうね、ハードと言えばハードね。
肉体的にも精神的にもきつい仕事だと思うわ、
私が言うのもアレだけど」
律「へえ……大変だな斉藤さん」
紬「でも斉藤だってもう何十年も琴吹家に仕えてるんだから
もう慣れちゃってるんじゃないかしら。
私が見てる限りでは『これが当たり前』って感じで
毎日働いてるわ」
律「ハードな毎日が当たり前かー。
のほほんと生きてる私じゃ考えられないな」
唯「高校でたらムギちゃんちに就職しようと思ってたけど
やっぱりやめとくね」
紬「そのほうが賢明でしょうね」
澪「……」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:51:17.83 ID:JwXutaj90
唯「でもそんな生活じゃ斉藤さん疲れて倒れちゃうんじゃない」
紬「鍛えてるから大丈夫でしょ」
律「いやーいくら鍛えてても疲労は溜まると思うぞ」
紬「そうなのかしら。でも疲れてる様子なんて見たことないけど」
律「そりゃムギの前でそんな姿見せたら執事失格だろー。
疲れを表に出すことなく笑顔を絶やさず
常に仕事を第一に考える……いいねぇ」
唯「仕事に燃える男だね」
律「そうそう、そーゆーのいいよなー!
なんか引っ張ってくれるっていうか」
唯「……」
律「男らしいっていうかさー」
唯「……」
律「ん? どうしたんだよ」
唯「いや前々から思ってたんだけどさ」
律「何?」
唯「りっちゃんって男に飢えてるフシがあるよね」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:51:51.65 ID:JwXutaj90
律「なっ……なんでいきなりそんな」
唯「えーだって斉藤さんの話になったら
急にテンション上がったし」
律「べべべ別にそれはそーゆーんじゃねーよ!」
唯「そうなの?
男欲しすぎて見境なくなってるのかと」
紬「そういえばりっちゃん、
さっき斉藤が荷物を運んでるとき
斉藤をうっとりとした目で見つめていたわね」
律「違うわい。
たくましいなーと思って見てはいたけど
うっとりとなんかするわけないだろっ」
唯「恋は自覚なしに始まるもんなんだよ」
律「恋じゃなーい!」
澪「律……いくら男日照りだからって、
斉藤さんみたいなシニアにまで……」ぐすっ
律「違うっつってるだろ!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:53:50.11 ID:JwXutaj90
唯「でも男に飢えてるのはほんとだよね」
律「飢えてるってお前……
まあ人並みに彼氏欲しいとは思ったりするけど」
唯「ほほう」
紬「りっちゃんはどんな男性が好みなの?」
律「うーん……まあ年上……かな」
紬「他には他には」
律「引っ張ってくれる人……とか」
紬「それでそれで」
律「仕事熱心な人……とかいいよな」
唯「やっぱり斉藤さんじゃん!」
律「ちがーう! なんでそうなるんだよ!」
ガチャ
斉藤「私がどうかしましたか?」
律「ギャーッ!」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:56:34.18 ID:JwXutaj90
斉藤「申し訳ございません、驚かせるつもりは……」
紬「どうしたの斉藤、何か用?」
斉藤「練習も一段落ついた頃合いかと思いまして、
お茶とお菓子をお持ちいたしたのですが」
唯「ああ、練習……すっかり忘れてた」
澪「せっかくこんな広いスタジオ借りたのに……」
斉藤「また後でお持ちしましょうか」
紬「いえ、置いていってくれていいわ。
練習後じゃなく練習前の茶会が恒例だから」
斉藤「そうでございますか。
では私はこれで失礼いたします」
律「……」
唯「えー、斉藤さんもお茶していこうよー」
斉藤「申し訳ございません、
お誘いいただけたのは誠に嬉しゅうございますが
私は仕事がございまして」
紬「仕事など他のメイドに任せればよいでしょう」
斉藤「いやしかし」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:59:30.10 ID:JwXutaj90
澪(おい、唯、ムギ……)こそこそ
唯(何?)
澪(なんで斉藤さんをお茶に誘うんだ)
紬(なんでって……分かってるくせに)
澪(……律をからかうためか)
唯(大正解~。
りっちゃんは間違いなく斉藤さんに惚れてるからねッ)
澪(ねえよ)
紬(あと、それとは別に……ごく個人的に)
澪(?)
紬(いえ、なんでもないわ)
律「何こそこそ話してんだ?」
唯「いやーなんでもないよー、ねームギちゃん」
紬「そうよーなんでもないわよーん」
斉藤「あの、では私、失礼いたしますので」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:02:40.47 ID:JwXutaj90
紬「ダメよ斉藤。残りなさい」
斉藤「しかし……」
紬「しかしもカカシもないわ。
今ここで私達とお茶すること、それがあなたの今の仕事よ」
斉藤「左様でございますか……
そこまでおっしゃるのでしたら、私もご一緒させていただきます」
紬「それでいいのよ」
律「おいムギ、むりやり誘わなくてもいいんじゃないのか?
斉藤さん困ってるぞ」
唯「別に困ってないよねー斉藤さん」
斉藤「はい、ほかならぬお嬢様のお誘いですので」
律「はあ……そうですか」
澪「……」
唯「じゃあ斉藤さん、りっちゃんの隣の席にどうぞ」
律「なっ、唯……!」
斉藤「では失礼して……」
律「っ……」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:05:33.94 ID:JwXutaj90
唯(りっちゃん顔真っ赤……)
澪(律……女子校生活で男との触れ合いが少ないとは言え……)さめざめ
紬「……」
斉藤「あ、お茶を淹れさせていただきます」
紬「いいのよ、私がやるから。
斉藤は座っていて」
斉藤「いえしかしお嬢様を立たせて私が座っているわけにも」
紬「気にしないで。ここは琴吹家ではなく軽音部……
斉藤、あなたは軽音部へのお客さんなのだから」
斉藤「はあ……ではお嬢様にお任せいたします」
紬「ええ、それでいいのよ」
律「……」
唯「さいとーさんってさー」
斉藤「はい」
唯「体すっごく鍛えてるよねー。
筋トレ毎日どれくらいやってるのー?」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:08:52.45 ID:JwXutaj90
斉藤「どれくらい……と申されましても
日によってまちまちでございますので……
まあ毎日最低3時間は」
唯「毎日3時間も? すごーい。
ねーねー腕とか捲って見せてぇ~」
斉藤「はい、これでよろしいので?」めくりめくり
唯「おーすごい、筋肉ガチガチだよー。
ほら澪ちゃんも触ってみなよ」
澪「あ、いいですか? 触っても……」
斉藤「はい、どうぞ。
あまり人様に自慢できるようなものでもございませんが」
澪「わ……男の人の筋肉って凄いですね。
私、初めて触りました……」さわさわ
斉藤「お褒めいただき恐縮です」
律「……」
唯「ありがとーさいとーさん、袖戻していいよっ」
斉藤「かしこまりました」もどしもどし
律「……」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:11:53.08 ID:JwXutaj90
紬「お茶が入ったわよ」
唯「わーい」
斉藤「ありがとうございますお嬢様。わざわざ申し訳ございません」
紬「いちいち謝らなくていいわよ」
斉藤「は、はい」
唯「あはは、さいとーさんってなんか可愛いですねっ」
斉藤「か、か、可愛い?」
澪「何いってんだ唯……」
唯「えー、だってこんなにマッチョでガタイいいのに
ムギちゃん相手にすっごく腰低くてペコペコしてさ。
そのギャップが可愛いなーって思って」
紬「いわゆるひとつの萌えというやつね」
斉藤「よ、よく分かりませんが……
私そのように可愛いなどと言われるのは初めてでございまして……
なんといいますかその、しっくりきませんな」
唯「そおかな~?
りっちゃんも斉藤さんの事可愛いと思うよねっ」
律「えっ!? わ、わ、私は……」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:14:50.71 ID:JwXutaj90
斉藤「……」
律「……」
斉藤「……」
律「……」
斉藤「……」
律「しっ、知らんっ、そんなのっ」
唯「え~」
澪(律、無言とはぐらかしは肯定と同義だぞ……)
紬(りっちゃん茹でダコのようだわ)
唯「ところでさいとーさんは
いつからこのおうちで働いてるんですか?」
斉藤「ああ……いつからでしたかね……
確かあれは戦後の混乱期……
幼い私は家族を戦争で失い、行く場所がなく」
澪(今何歳なんだろう……)
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:17:54.79 ID:JwXutaj90
唯「へえ、それで」
斉藤「そんな私を拾ってくれたのが
琴吹家の先々代当主でした」
澪「じゃあそれからずっと琴吹家に」
斉藤「そうですね、もう何十年もお世話になって。
琴吹家へのご恩返しのために、
ただひたすら仕事に打ち込んでまいりました」
紬「……」
唯「立派ですねー」
斉藤「あの、お茶も頂いたことですし、
私はそろそろ仕事に戻らせていただきたいのですが」
紬「ええ、いいわよ。
引き止めて悪かったわね」
斉藤「お嬢様がお気になさることはございません。
それでは、失礼いたします」
唯「ばいばーい」
斉藤「はい、またのちほど」
ガチャバタン
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:20:13.68 ID:JwXutaj90
律「……」
唯「どうしたのりっちゃん、
なんだか恋する乙女のような顔してるけど」
律「ばっ……し、してねえよそんな顔!」
唯「えー、絶対してるよ」
澪(律……そこまで男に飢えて……)しくしく
律「あーもうこの話終わり!
練習するぞ練習、せっかくスタジオ借りたんだし」
唯「おお、りっちゃんから練習しようと言い出すなんて」
紬「練習の前に……ちょっといいかしら」
澪「なんだ?」
紬「斉藤のことなんだけど」
律「っ」
唯「あ、今ムギちゃんが『斉藤』って言った瞬間ドキッとした!」
律「してねーよ!」
澪「……」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:23:42.34 ID:JwXutaj90
紬「話していいかしら」
澪「え、ああ、話してくれ」
紬「実は斉藤ね……女性経験がないみたいなの」
澪「はぁ?」
唯「じゃあ斉藤さんって童貞なんだ」
紬「まあ、そうでしょうね」
律「……」
澪「な、なんでそんなこと分かるんだよ……」
紬「さっき言っていたでしょう。
幼い頃からずっと仕事一筋に生きてきた……って。
実際、遊びも娯楽もせずにただひたすら仕事だけをして生きてきたみたい」
唯「社会人の鏡だね」
澪「脇目もふらずに仕事に打ち込んできたから
女性との接点を持つこともなかった、ってこと?」
紬「ええ……父も祖父もいつも心配していたわ。
『斉藤は寝ている時以外は常に働いている。
あれでは女と遊ぶ暇もないのではないか』ってね」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:26:36.56 ID:JwXutaj90
唯「でもそれじゃ本当に童貞かどうか分かんないじゃん。
ただの憶測でしかないし、
人の目を盗んで誰かとイチャコラしてたかもしれないでしょ」
紬「私もそう思って斉藤に尋ねてみたの」
澪「尋ねてみた……って、なんて?」
紬「『斉藤、女性と付き合ったことはあるの?』……って」
澪「ストレートだな」
唯「で、回答は」
紬「否、だったわ。
『私は仕事だけが生きがいでございます。
そのようなことにうつつを抜かしている暇はございません』だって」
唯「ほんとに童貞だったんだ。
25歳越えて童貞なんて都市伝説だと思ってた」
紬「私もよ。ちょっと驚いちゃった」
律「……」
澪「……で、斉藤さんに女性経験がないってのがどうしたんだ?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:31:12.44 ID:JwXutaj90
紬「ああ、そんな斉藤のために何かしてあげられないかなって思って」
唯「何かって言われても……」
澪「なあ……」
紬「風俗にでも連れていってあげようかと思ったんだけど
そういうとこで童貞喪失、ってのも人生の恥かと思って」
唯「まあ確かに、風俗で童貞捨てるなんてろくな男じゃないよ。
ねー澪ちゃん」
澪「私に振るなよ……
ていうか押し付けは良くないんじゃないのか?
斉藤さんは仕事一筋の人生に満足してるんだろ、
別に女性経験がなくても本人がよければそれで……」
紬「それが、女性に未練たらたらなのよ」
唯「そうなの?」
紬「ええ、この前斉藤の部屋に行ったの。
チェスの相手をしてもらおうと思ってね」
唯「うん」
紬「斉藤の部屋のドアをノックしても返事がないのよ。
不在なのかと思ってドアノブをひねってみたら鍵が開いてたから
ドアを少し開けて中を覗いたの」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:35:12.24 ID:JwXutaj90
紬「そうしたら斉藤がヘッドホンをつけてDVDを見ていたのよ」
唯「おー、エロビデオ?」
紬「惜しいわね。
制服姿の女子高生を延々と写したやつだったのよ。
イメージビデオって言うのかしら」
澪「うわぁ」
唯「エロビデオよりキモイね」
紬「で、その時は見て見ぬふりしてドアを閉めたんだけど。
後日斉藤がいない時を見計らって部屋を探ってみたの」
唯「ほう」
紬「そしたらその類のDVDや雑誌が山ほど見つかったのよ。
他にもアイドルモノだけじゃなくて
萌えアニメやらギャルゲーやらが大量に……
極めつけは80着のセーラー服よ。どこから入手してきたのかしら」
唯「さすがの私もそれは引くわ」
澪「女に未練があるというよりただのダメオタクじゃないか」
紬「ダメオタクも女性を求めるがゆえなんだから行動原理は同じよ。
とにかく、私はそんな斉藤を救ってあげたいの」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:38:21.25 ID:JwXutaj90
唯「救ってあげたいって言われてもねー」
澪「今のままじゃ可哀想なのは分かるけどさ、
結局は斉藤さんの問題だしなあ」
唯「誰か女の子を紹介してあげたら?」
紬「それは私も考えはしたけど……
斉藤と付き合ってくれる女の子なんていないでしょう」
澪「年齢が近い人とかは……」
紬「お婆さんってこと?
でも斉藤は若い女の子を求めてるんだから駄目じゃないかしら」
澪「うーん、そうか」
唯「老人趣味の若い女の子なんていないよねー」
律「……」
紬「もしくは老人でも構わないくらい男に飢えてる女の子」
律「……」
唯紬「うーん難しい問題ですよこれは」
澪(二人とも分かって言ってるな……)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:42:15.81 ID:JwXutaj90
律「あのー……」
唯「なあに? りっちゃん」
律「良かったら……私が」
紬「え、何?」
律「私が……斉藤さんのために一肌脱いでもいいけど」
紬「そう?」
唯「えーりっちゃんはだめだよー。
斉藤さんが求めているのは『女の子』なんだよ」
澪「……というと?」
唯「童貞をこじらせた男性が求める女の子……
それは極度なまでに偶像化されているものなんだよ。
男性の理想が全て凝縮されていると言っても過言じゃない」
紬「だから私としては澪ちゃんが適任だと思うの」
澪「はぁっ!? なんで私……」
紬「その長い黒髪、巨乳、清楚な外見。
まさに童貞が求める理想の女性像そのものよ」
澪「えー……」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:46:32.35 ID:JwXutaj90
唯「斉藤さんは女性に飢えてるんだから
ここは一番女性らしさを持った人が行かないとね」
紬「そう、だからりっちゃんはちょっと適任じゃないわね。
わざわざ名乗りでてくれたけど、ごめんね」
律「なんだよさっきから、失礼だなー……
わ、私にだって女の子らしいところあるんだぞ…!」
唯「どっかで聞いたセリフ」
澪「本人がこう言ってるんだから律にやらせりゃいいじゃん……
大体最初からそのつもりなんだろ?」
紬「まあね」
律「え、何?」
紬「いえなんでもないわ。
じゃありっちゃんに頼もうかしら」
律「お、おう……どんとこいだ」
紬「じゃあ早速斉藤を呼んでくるわね」
唯「りっちゃんからかうの予想以上に楽しいね」
澪「……」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:50:50.82 ID:JwXutaj90
数分後。
斉藤「は、何のご用でしょうか」
紬「単刀直入に言うわ。
斉藤、りっちゃんとデートしなさい」
斉藤「は、はあ……?」
唯「さいとーさんいつも忙しそうだから、
こういうことする機会ないかなって思って。
ムギちゃんからのプレゼントだよっ」
斉藤「それは嬉しいのですが、私は仕事が……」
紬「もう、それがいけないのよ。
仕事仕事の人生に何があるというの。
たまには女の子と遊んで息を抜かなきゃいけないわ」
斉藤「いえしかし……
私とデートなど、その相手様にも……」
紬「大丈夫よ、相手も斉藤のこと気に入ってるから」
唯「ところで当のりっちゃんはどこにいったの?」
紬「ああ、澪ちゃんにお化粧してもらってるわ」
唯「へえ、気合入ってるね」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:55:48.24 ID:JwXutaj90
斉藤「ですが私、女性とそのようなことをしたことがなく……
どのようにすればよいのかまったく検討もつきません」
紬「相手が引っ張ってくれるから安心しなさい。
あなたはただ女の子と一緒にいるという状況を
楽しみさえすればいいの」
斉藤「はあ……」
澪「おーい、律のメイクできたぞ」
律「ど、どう……かな……」
紬「おお、すごいわ澪ちゃん……
さっきまでボス猿みたいだったのに
今はまさしく美少女という言葉がぴったりよ」
唯「りっちゃんすごーい、可愛いよ!
ねっさいとーさん、さいとーさんも可愛いと思うよねっ」
斉藤「は、はい……たいへん、可愛らしいと……///」
唯「わー、さいとーさん顔真っ赤だよー」
紬「こんな斉藤は初めて見るわ」
律「い、いやあ、はは……///」
澪(老人に可愛いと褒められて頬を赤く染める女子高生って……)
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:59:53.42 ID:JwXutaj90
紬「じゃあ早速行ってきなさい、ふたりとも」
律「あ、うん……行きましょうか、斉藤さん……」
斉藤「はい……お供させていただきます」
律「///」
斉藤「///」
律「じゃあ……行ってくるよ、みんな」
斉藤「夜には戻りますので……」
ガチャバタン
唯「……」
澪「行ったな……」
紬「ふたりとも初々しくていいわぁ~」
唯「あー私が彼氏と付き合い始めた頃を思い出すよ」
澪「えっちょっと彼氏いんのかよ」
紬「その話kwsk」
唯「いやいやそれより今は二人を尾行すべきでしょ、行くよ」
澪「え、おいちょっと待てよ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:01:14.12 ID:JwXutaj90
BGM:ぴゅあぴゅあはーと
______
. : ´ : : : : : : : : : :` : . .
. : ´ : : : : : : : : : : : : : : : : : :`: .、
, :´: : : : :.. -‐‐ ‐‐ ‐‐- i:.l : : : : : :`: 、
ノ : : :,.. '"´ ______!:|: : : : : : : : :`.、
/: : : : i´ ,. :´ ̄| : : :// : : : ; ヘl: : : : : : : : : : : .
!: : : : : :i,.<´ヽ: :_:i;|:_:ン!/ム'r-==キ: : :| : : : : : : : i
.!: l : : : :ムヒ'´ ̄` ': : :.|: : : l: : i: : :!
|: :!: : : :!´ ': :.|: : : :!: :.l: : :i
|: l : : : | ,. -―- ヽ!: : : :!.: :! : ハ
|: !: : : :l ,. -‐- ___ `、: : |: : l.: :i: :`、
|:.l: l: :∧ ‐- 、 ,ィニテミx、 ||i: :|: : l.: :|: : : ヽ
|:l :l :/:::ヘ ,ィfチミx、 ' ヒ'fv゚::i i!} リヘノ: : :!: :!ヽi⌒`ヽ
|:!:.!:.j::::::::ハ 巛 ヒ'rv:! 乂zソ '′ |l:|.: : : !: | )
!l :l: !:::::::::::::', ` 乂ソ r‐|:l|.: : : |: !
.|l: :!::!ィi:::::::::ハ ' ∧:l::|.: : : :|.:ト、.__
. ,:|!:/l:|.:!l:::::::::::八 __,.. 、 ,.イ:.:.リノ!.: : : |.:|:.:.:.:.:.`!
i:.レ'.:.リ:.|l::::::/.:.:.l:> 、 `‐-‐'′ / }|:.:.:.:.l:| : : :ハ!:.:.:.:.:.:.|
!:.:.:.i :.:.:!|::/.:.:.:.:.:l.:.:.:.:|!` ‐- __,.ィ´ |i:.:.:.:.:i:!.: :/.:.:.:.:l:.:.:.:.:.l
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,|:.:.:.:.:!:.:.!':.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:! ヽ_,/ /トh }、_/ |:.:.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.`、
/.:ヽ:.:.:.`、:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:l / /,小|| { !:.:.:.:.ノ.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:.:.:.:.>.:.:.:l { (/ | i {! | |:.:.:.`ヽ:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.::.:.:.:!
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:01:55.21 ID:JwXutaj90
____-‐==ヽ
. -‐.  ̄. : :.:.:.∨/ ̄ ̄ヽ: . \
. : ´. : : : : : : : : : : : :.∧:: : : -‐‐ ∨: . \
,. : ´. : : : : : : : : : : : : : : :. :. :.:.Y´ `ヽ: : .\
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/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :. :. :. l / 'i i : : : .\
. /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : : :. :.:.∧ / ヽ 'ii i : : : : .\
/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : : : :ノ :∧ 'ii i : ト、: : : .ヽ
i. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i : : : : : : : : : : :.:.i , 'ii i :| `ー-――
. l. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i : : : : : : : :l: : : : :l. /, '^ゝ ヾi:|
l. : : : : : : : : i : : : : : : : : : : i i : : : : : : : | : : : :.l //  ̄|
l. : : : : : : : : i : : : : : : : : : : i i i : : : : : : :l : : : :l i′ i
. l. : : : : : : : i i |: : : : : : : : : i i i : : : :|: : : : : : : :l 〉
!. : : : : : i i i |: : : : : : : : : i ∧: : : :ト: : : : : :. :.| ,=ォ〈
从|. : : : i i i | : : : i|: : : : i i{.∧ : : : : : : : : : : | ゝ-' 〉
|. : : i i i i |: : : i | : : : i i i\| : : : : i.\ : ヽ| {
/. : : i i ii ii|: : : i |: : : i i i i i i|: : : : : i i .\:.\ .
/. : : : i i i i ! : :.i i| : : i i i i i i i\: : : : i i i i|\ \=‐-----‐= '
∠ -‐''"|i i i /. : i ii | : : i i i i i i i i i\ : : : i i∧::.` ‐-ゝ-‐''"
. |人/. : i i i i|: : i i i i i l i i i i i i\: : i i∧:::./´|i i i |
. 厶イi i /|. i i i i./|i i i 人i i.i.!\: i i ∨ |从 |
|/ /l. i i///,|人///,\|//,\: i \ リ
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45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:02:27.35 ID:JwXutaj90
´: : : : : : : :/ /____:_:_: :`丶、
: : : : : : : : : : |_______`丶、: \
: /: : : : :/ : : | : : \ : : : : : : :`丶、\}\
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: : : : : | : ' ´ `ヾ | : : |
: : : |: :|:/ _ | : : |
: : : | 孑≦=ミく ⌒ヽ | : : |
: : : |: :|7´ )心 リ l : : |
: : : |: :{{トイ/リ xそミく , : : : |
: : 八:.|弋しン ん'/リ }}./|: : : :j
: : : : :.| 、、 V少 イ: | : :|/
: : : : N 、 ': :|: : : |
l : : : | /| : |/| : リ
:l: : : :! 、 ` ー' `): : : :|: /
八 : :| \ /フ /V: : : '|/
\ト、 >‐r<///′ |: : /
. \/ // / / |/}
\〃 / /
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:02:59.73 ID:JwXutaj90
, '´: : : : : : :!'´, <´: : :\: : :\: :`ヽ
/: : : : : : : : : :レ´: : : : : : : : :/,斗-、!: : : :}
. /: : : : : : : : :∧: |: : : :_, -ー'´ ヽ : : |
. ': : : : : : :: : : : ∧|‐' ̄ , l : :l
l: : : : : : : : :.| : : ハ / |: : |
!: : : : : : : |: |: : : バ'' ‐- 、、 ″ |: :l
l: : : : : : : |: |: : : : : l 、` ′ |: : :!
. |: :/: :|: : ::!::!: : : : : :! 'ィ‐ュ |: : :l
. レ: : : l: : :ハ:|:, : : : : :! .- ミ '´ ,,, |: : :|
ノイ: : :|: :r‐∨: : : : : |ィ´'⌒´ " ∨: |
'´ |: : ::|: :| Tゝ: :ヽ: : :! "" }: : !
/:>、!: :\-∨: ヘ: :', ィ⌒ー‐'^l イ: : :ト、
"´ 〃ハ:  ̄V: ::\ゝ 丶二ニ -′イ∧: :/::l
/´::::::∨从l: : : :ド 丶、 /::|:::::∨::::|
. /:::::::::::::::∨::∧: : !\ ` ァ‐r ´|:::::/:::::::::::::::!
イ::::::::::::::::::∧::::::\:! \∠ l く::::/:::::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::::∧:::::::バ /i ヽ\j::::|::|:::::::::::::::::::::ト、
. /:::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー‐∧ /!.lj.ドリ ! |::ト、::::::::::::::::::::::\
l:::::::::::::::::::::::::::::\::::::::::/:::::Y `‐!| !| |::!::ヽ.\::::::::::::::::::::: \
∨:::::::::::::::::::::::::::::::\::::\:::::l l」o .|l::::::::::`ヾ 、::::::::::::::::::::\
\::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::\! o |::::::::::::::::::\ヽ::::::::::::::::::::::ヽ
!::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::| {::::::::::::::::::::::::い::::::/ ̄`ヽ}
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:08:17.38 ID:JwXutaj90
物陰から様子を伺う3人。
澪「律のやつ、あんなにイキイキして……」
唯「私たちといる時より楽しそうだよー」
紬「ちょっと悔しいわね」
澪「でも斉藤さんも楽しそうだな」
紬「ええ……あんなに笑ってる斉藤は初めてよ」
唯「ほんとに異性に飢えてたんだね、お互いに」
澪「……このままマジ惚れして両想い……なんてことは」
唯「充分ありえるねっ」
澪「もしそうなったら律があまりにも不憫だ」しくしく
紬「あっ、手をつないだ」
唯「おお、恋人つなぎだ」
紬「移動しちゃうわ、ほら早く。見失っちゃうわよ」
唯「あいあいさー」
澪「私はもう見ていられないよ……」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:14:03.91 ID:JwXutaj90
数時間後。
唯「暗くなってきたねえ」
紬「もうそろそろ解散かしら。
斉藤、夜までに帰るって言ってたし」
唯「えー、このまま何も無しで解散じゃつまんないよ。
せめて路チュー(死語)くらいはぶちかましてくれないと」
澪「老人と女子高生が路チューって
はたから見たら援助交際以外の何ものでもないぞ……」
紬「あっ、公園に入って行くわよ」
唯「公園?」
澪「ひとけのない公園だな」
唯「はっ……まさかここであんなことやこんなことを」
澪「ねーよ……」
唯「えっ私彼氏と公園でよくするけど」
澪「健全な付き合いをしろよ」
紬「あれ、なんか斉藤とりっちゃんの様子がおかしいわ」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:22:24.40 ID:JwXutaj90
唯「えっ、おかしいって何が」
紬「ほら……二人で向かい合ってるわよ。
何するつもりかしら」
澪「なんか喋ってるみたいだけど、聞こえないな」
唯「うーん、気になる……
ちょっと近づいていってみようか」
澪「えっやめろよ、バレるだろ」
紬「大丈夫よ、隠れられる場所多いから」
唯「そうそう、見つからないように近づけば大丈夫だって」
澪「えー、絶対無理だろ……あ」
唯「どうしたの?」
澪「……律、泣いてないか?」
紬「えっ、ほんとに?」
唯「確かに泣いてるような……」
紬「あ、りっちゃん走って行っちゃった」
唯「どうしたんだろう」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:27:00.84 ID:JwXutaj90
薄暗い無人の公園。
その真ん中に斉藤はただ一人、
呆然と立ち尽くしていた。
斉藤「…………」
紬「斉藤!」
斉藤「お、お嬢様、どうしてここに……」
紬「そんなことはどうでもいいの。
りっちゃんと何があったの?」
澪「律、泣いてましたよね。何をしたんですか?」
斉藤「申し訳ございません、お友達を泣かせてしまい……
このようなことになるとは……」
唯「謝罪はいいから何があったか教えてよっ」
斉藤「実は……律様から、正式にお付き合いをして欲しいと頼まれまして」
唯「なんと」
紬「Wooo......」
澪「律……いくら彼氏が欲しいからって……」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:33:19.24 ID:JwXutaj90
斉藤「私はそれをお断りしました。
『あなたにはもっと若く素敵な男性が似合う、
だからあなたと私は付き合えない』と……
そうすると律様は泣いて走って行ってしまわれました」
紬「そうだったの」
唯「せっかくの告白を振るなんてかわいそーじゃないですかー。
受け入れてあげればよかったのに、
さいとーさんだってりっちゃんのこと好きでしょ?」
斉藤「好き……という気持ちは私にはよく分かりません。
ただ律様と一緒に居させていただけた時間はとても楽しかったし、
この時間が永遠に続けばいいと思っておりました」
唯「ならそれが好きってことだよっ」
斉藤「確かに貴方のおっしゃるとおりかもしれません。
しかし私は老いぼれ、彼女は女子高生。
このような釣り合いの取れない交際は、
必ずや良い結果には終わらないでしょう」
澪「……」
斉藤「私は今日……初めて女性とデートというものをしました。
そして仕事をするだけでは得られない充実感を得られました。
私はそれで充分なのです」
唯「さいとーさんの気持ちもわかるけど、
りっちゃんの気持ちも考えてあげなきゃ」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:40:26.25 ID:JwXutaj90
斉藤「これは彼女のためを思っての判断でもあるのです。
彼女はまだ若い……
これからの人生でまだまだ素敵な出会いが待っているはずです。
私と交際してしまえば……それが全てなくなってしまう」
唯「……」
斉藤「今彼女を悲しませてしまったことは反省しております……
しかしいつか彼女には、
大きな喜びの伴う出会いがあることでしょう。
私なんかでは比べものにならないほどの……」
紬「斉藤……」
斉藤「お嬢様、本日はありがとうございました。
彼女にも感謝を伝えておいてください」
紬「……ええ、分かったわ」
斉藤「皆様もありがとうございます。
私のためにわざわざ……」
澪「いえいえ、私は何も……」
唯「さいとーさんに生身の女性の良さを知ってもらえたなら、
私たちもやった甲斐があるってもんです。
実際のデートはDVDやギャルゲーより良かったでしょー?」
紬「ちょっ……」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:42:58.56 ID:JwXutaj90
斉藤「…………な、なぜ……
そのことを……私の秘蔵コレクションを…………」
唯「え、ムギちゃんが言ってたから」
紬「……」
斉藤「お嬢様……まさか……」
紬「ごめんなさい…………見てしまったの」
斉藤「……」
紬「……」
斉藤「……」
紬「……」
斉藤「う……うわああああああああああああ!!!」だだだだだっ
紬「ああっ、待って、斉藤ー!
別に気にしてない、気にしてないからぁー!!」だだっ
澪「はは……」
唯「あれ、もしかして私やっちゃった?」
澪「ああ、やっちゃったな……」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:44:41.16 ID:JwXutaj90
唯「私たちも帰ろうか」
澪「そうだな……ところで唯」
唯「なあに?」
澪「唯の彼氏って、どんな人なんだ?」
唯「ああ、私の彼氏は今モニターの前にいる、
このSSを最後まで読んでくれたみんな……だよっ☆」
お わ り
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:46:32.35 ID:JwXutaj90 [45/45]
これでおしまい
斉藤SSを書けよ諸君
というわけで琴吹家にやってきた4人。
紬「ここが私の家よ」
唯「お……おおーう」
澪「でかい……」
律「端が見えない……」
琴吹家は、江戸時代末期まで徳川将軍家が居城としていた江戸城跡にある。
江戸城の内郭(内堀内)には、本丸、二の丸、三の丸、西の丸のほか、
西寄りの部分には「吹上」と呼ばれる庭園があった。
「吹上」はかつては屋敷地であったが、明暦の大火(1657年(明暦3年))以降、
火除け地として、建物が建てられないようになっていた。
琴吹家関連施設のうち、宮殿、宮内庁庁舎などは旧西の丸に位置するが、
紬の住まいである御所は江戸城の「吹上」、現在の「吹上御苑」に建てられている。
旧西の丸と吹上御苑は道灌堀という堀で隔てられている。城郭としての江戸城は本丸、
二の丸、三の丸および西の丸部分のみを言い、
道灌堀の西側にある庭園部分は厳密には江戸城には含まれないので、
御所は城郭としての江戸城跡に建っているわけではない。
現在、琴吹家一帯は東京の中央部にありながら、緑豊かな地区で、
濠の周りはジョギング道として人気が高い。
琴吹家の住所表示は東京都千代田区千代田1番1号で、
本籍として人気が高い住所になっている(郵便番号は100-0001)。
また、国有財産としての琴吹家の価値は、2146億4487万円である(財務省資料に基づく、2009年5月現在)。
衛星パノラマ画像プログラムのグーグルアースにおいては世界のランドマークの一つとして登録されている。
(以上Wikipediaより引用)
紬「実はここ別宅で。狭っ苦しいと思うけど、ごめんね」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:20:09.32 ID:JwXutaj90
唯「ムギちゃんち初めて来たけど大きいねー」
律「これで別宅だと?」
澪「はは、庶民とはもう根本的にスケールが違うなー」
斉藤「おかえりなさいませ、お嬢様」
紬「ああ斉藤、ただいま」
斉藤「こちらの方々は?」
紬「軽音楽部での下b……友人たちよ」
斉藤「そうでございましたか。
私、琴吹家で執事をしております斉藤と申します」
律「ご丁寧にどうも」
紬「斉藤、スタジオを使いたいのだけれど。
空いているわよね」
斉藤「もちろんでございます。
ささ、皆さんお荷物をお持ちいたしますのでこちらに」
澪「いえいいですよ、自分で持っていきますよ」
唯「さいとーさん、4人分も荷物持てるの?」
紬「みんな、遠慮せずに斉藤に荷物を持たせていいから」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:24:18.89 ID:JwXutaj90
澪「でも」
斉藤「お嬢様のおっしゃるとおりでございます。
私、こう見えても体だけは鍛えておりますゆえ、
この身にカバン4つにギターとベースを担ぐことなど
造作も無いことでございます」
唯「そーなんだ、じゃあおねがーい」
律「じゃあ私のも……お願いします」
斉藤「はい、あとはあなた様のお荷物も」
澪「いいいです、自分で持ちますから」
斉藤「遠慮なさらず。私はこれが仕事でございます。
さ、どうかお荷物を私めにお預け下さいませ」
澪「はあ……じゃあ」
斉藤「確かに受け取りました。ふんす」
唯「おーすごい、それだけ持ってても余裕だね」
斉藤「並の鍛え方はしておりませんので」
律「……」
紬「スタジオはこっちよ」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:28:19.24 ID:JwXutaj90
スタジオに向かう一行。
唯「わー、ほんとにすごいねームギちゃんの家」
紬「気に入ってもらえて嬉しいわ」
澪「唯、あんまりはしゃぐなよ、みっともないから。
なあ律」
律「……」
澪「律?」
律「えっ、あ……何?」
澪「ああいや、たいした用じゃないんだけど。
何ぼーっとしてんだよ」
律「あれ、ぼーっとしてたかな」
澪「してたよ」
律「そうかな……」
斉藤「スタジオまで徒歩10分で到着いたします」
唯「結構遠いね」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:33:46.96 ID:JwXutaj90
澪「なあ、唯、ムギ」
紬「なに?」
澪「なんか律の様子が変なんだけど」
唯「りっちゃんはいつだって変だよ」
澪「いやそういうんじゃなくて……
なんかボケーッとしてるって言うか」
律「…………」ぼけーっ
唯「確かに」
紬「変ね、さっきまで元気だったのに」
唯「……ん?」
澪「どうした唯」
唯「りっちゃん、斉藤さんの顔見てない?」
紬「あ、確かに……
りっちゃんの視線が斉藤に向けられているわ」
澪「言われてみれば」
律「…………」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:41:44.82 ID:JwXutaj90
唯「はっ……まさかりっちゃん、斉藤さんに惚れたとかっ」
澪「はあ?」
紬「いえ、ありえるかも知れないわ。
女子校生活のせいで男への免疫が急激に低下している今、
誰に一目惚れをしてもおかしくはないもの」
澪「いやおかしいって……
斉藤さんってお爺さんじゃん。
さすがの律もそこまで……」
唯「いやでも見てみなよ、
あのりっちゃんの潤んだ瞳、
紅潮した頬……明らかに恋する乙女の顔だよ」
紬「りっちゃんにも春が来たのね……良かったわ」
澪「いやいやいやいや、ちょっと待てよ。
なんで祝福ムードなんだよ。
まだそうだって確定したわけじゃないだろっ」
唯「じゃあちょっと探りいれてみようか」
紬「そうねっ」ふんす
澪「ノリノリだな……」
律「…………」ぼけーっ
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:45:02.78 ID:JwXutaj90
スタジオ。
斉藤「こちらスタジオでございます」
唯「おーなんだこの並の貸しスタジオより何倍も広いスタジオはー」
澪「すごいな……設備も揃ってるし」
紬「ご満足いただけた?」
澪「ああ、大満足だよ。やっぱすごいなムギは」
斉藤「ではお荷物はここに置いておきますので」
澪「あっすみません、ありがとうございました」
唯「ありがとー斉藤さんっ」
律「……」
斉藤「では私はこれで。後ほど、お茶とお菓子を持ってまいりますので」
紬「ええ、お願い」
斉藤「では失礼いたします」
ガチャバタン
唯「ムギちゃん、すごいねー斉藤さんって」
紬「そうかしら」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:48:12.02 ID:JwXutaj90
律「いやすごいよ、あんな重い荷物を軽々持ってさ。
やっぱ相当鍛えてんだろうな」
紬「まあ筋トレは欠かさずやってるみたいよ。
琴吹家の執事たるもの、ヤワな体じゃ話にならないし」
唯「そんなにハードなんだ、ひつじのお仕事って」
紬「ええ、そうね、ハードと言えばハードね。
肉体的にも精神的にもきつい仕事だと思うわ、
私が言うのもアレだけど」
律「へえ……大変だな斉藤さん」
紬「でも斉藤だってもう何十年も琴吹家に仕えてるんだから
もう慣れちゃってるんじゃないかしら。
私が見てる限りでは『これが当たり前』って感じで
毎日働いてるわ」
律「ハードな毎日が当たり前かー。
のほほんと生きてる私じゃ考えられないな」
唯「高校でたらムギちゃんちに就職しようと思ってたけど
やっぱりやめとくね」
紬「そのほうが賢明でしょうね」
澪「……」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:51:17.83 ID:JwXutaj90
唯「でもそんな生活じゃ斉藤さん疲れて倒れちゃうんじゃない」
紬「鍛えてるから大丈夫でしょ」
律「いやーいくら鍛えてても疲労は溜まると思うぞ」
紬「そうなのかしら。でも疲れてる様子なんて見たことないけど」
律「そりゃムギの前でそんな姿見せたら執事失格だろー。
疲れを表に出すことなく笑顔を絶やさず
常に仕事を第一に考える……いいねぇ」
唯「仕事に燃える男だね」
律「そうそう、そーゆーのいいよなー!
なんか引っ張ってくれるっていうか」
唯「……」
律「男らしいっていうかさー」
唯「……」
律「ん? どうしたんだよ」
唯「いや前々から思ってたんだけどさ」
律「何?」
唯「りっちゃんって男に飢えてるフシがあるよね」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:51:51.65 ID:JwXutaj90
律「なっ……なんでいきなりそんな」
唯「えーだって斉藤さんの話になったら
急にテンション上がったし」
律「べべべ別にそれはそーゆーんじゃねーよ!」
唯「そうなの?
男欲しすぎて見境なくなってるのかと」
紬「そういえばりっちゃん、
さっき斉藤が荷物を運んでるとき
斉藤をうっとりとした目で見つめていたわね」
律「違うわい。
たくましいなーと思って見てはいたけど
うっとりとなんかするわけないだろっ」
唯「恋は自覚なしに始まるもんなんだよ」
律「恋じゃなーい!」
澪「律……いくら男日照りだからって、
斉藤さんみたいなシニアにまで……」ぐすっ
律「違うっつってるだろ!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:53:50.11 ID:JwXutaj90
唯「でも男に飢えてるのはほんとだよね」
律「飢えてるってお前……
まあ人並みに彼氏欲しいとは思ったりするけど」
唯「ほほう」
紬「りっちゃんはどんな男性が好みなの?」
律「うーん……まあ年上……かな」
紬「他には他には」
律「引っ張ってくれる人……とか」
紬「それでそれで」
律「仕事熱心な人……とかいいよな」
唯「やっぱり斉藤さんじゃん!」
律「ちがーう! なんでそうなるんだよ!」
ガチャ
斉藤「私がどうかしましたか?」
律「ギャーッ!」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:56:34.18 ID:JwXutaj90
斉藤「申し訳ございません、驚かせるつもりは……」
紬「どうしたの斉藤、何か用?」
斉藤「練習も一段落ついた頃合いかと思いまして、
お茶とお菓子をお持ちいたしたのですが」
唯「ああ、練習……すっかり忘れてた」
澪「せっかくこんな広いスタジオ借りたのに……」
斉藤「また後でお持ちしましょうか」
紬「いえ、置いていってくれていいわ。
練習後じゃなく練習前の茶会が恒例だから」
斉藤「そうでございますか。
では私はこれで失礼いたします」
律「……」
唯「えー、斉藤さんもお茶していこうよー」
斉藤「申し訳ございません、
お誘いいただけたのは誠に嬉しゅうございますが
私は仕事がございまして」
紬「仕事など他のメイドに任せればよいでしょう」
斉藤「いやしかし」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 20:59:30.10 ID:JwXutaj90
澪(おい、唯、ムギ……)こそこそ
唯(何?)
澪(なんで斉藤さんをお茶に誘うんだ)
紬(なんでって……分かってるくせに)
澪(……律をからかうためか)
唯(大正解~。
りっちゃんは間違いなく斉藤さんに惚れてるからねッ)
澪(ねえよ)
紬(あと、それとは別に……ごく個人的に)
澪(?)
紬(いえ、なんでもないわ)
律「何こそこそ話してんだ?」
唯「いやーなんでもないよー、ねームギちゃん」
紬「そうよーなんでもないわよーん」
斉藤「あの、では私、失礼いたしますので」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:02:40.47 ID:JwXutaj90
紬「ダメよ斉藤。残りなさい」
斉藤「しかし……」
紬「しかしもカカシもないわ。
今ここで私達とお茶すること、それがあなたの今の仕事よ」
斉藤「左様でございますか……
そこまでおっしゃるのでしたら、私もご一緒させていただきます」
紬「それでいいのよ」
律「おいムギ、むりやり誘わなくてもいいんじゃないのか?
斉藤さん困ってるぞ」
唯「別に困ってないよねー斉藤さん」
斉藤「はい、ほかならぬお嬢様のお誘いですので」
律「はあ……そうですか」
澪「……」
唯「じゃあ斉藤さん、りっちゃんの隣の席にどうぞ」
律「なっ、唯……!」
斉藤「では失礼して……」
律「っ……」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:05:33.94 ID:JwXutaj90
唯(りっちゃん顔真っ赤……)
澪(律……女子校生活で男との触れ合いが少ないとは言え……)さめざめ
紬「……」
斉藤「あ、お茶を淹れさせていただきます」
紬「いいのよ、私がやるから。
斉藤は座っていて」
斉藤「いえしかしお嬢様を立たせて私が座っているわけにも」
紬「気にしないで。ここは琴吹家ではなく軽音部……
斉藤、あなたは軽音部へのお客さんなのだから」
斉藤「はあ……ではお嬢様にお任せいたします」
紬「ええ、それでいいのよ」
律「……」
唯「さいとーさんってさー」
斉藤「はい」
唯「体すっごく鍛えてるよねー。
筋トレ毎日どれくらいやってるのー?」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:08:52.45 ID:JwXutaj90
斉藤「どれくらい……と申されましても
日によってまちまちでございますので……
まあ毎日最低3時間は」
唯「毎日3時間も? すごーい。
ねーねー腕とか捲って見せてぇ~」
斉藤「はい、これでよろしいので?」めくりめくり
唯「おーすごい、筋肉ガチガチだよー。
ほら澪ちゃんも触ってみなよ」
澪「あ、いいですか? 触っても……」
斉藤「はい、どうぞ。
あまり人様に自慢できるようなものでもございませんが」
澪「わ……男の人の筋肉って凄いですね。
私、初めて触りました……」さわさわ
斉藤「お褒めいただき恐縮です」
律「……」
唯「ありがとーさいとーさん、袖戻していいよっ」
斉藤「かしこまりました」もどしもどし
律「……」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:11:53.08 ID:JwXutaj90
紬「お茶が入ったわよ」
唯「わーい」
斉藤「ありがとうございますお嬢様。わざわざ申し訳ございません」
紬「いちいち謝らなくていいわよ」
斉藤「は、はい」
唯「あはは、さいとーさんってなんか可愛いですねっ」
斉藤「か、か、可愛い?」
澪「何いってんだ唯……」
唯「えー、だってこんなにマッチョでガタイいいのに
ムギちゃん相手にすっごく腰低くてペコペコしてさ。
そのギャップが可愛いなーって思って」
紬「いわゆるひとつの萌えというやつね」
斉藤「よ、よく分かりませんが……
私そのように可愛いなどと言われるのは初めてでございまして……
なんといいますかその、しっくりきませんな」
唯「そおかな~?
りっちゃんも斉藤さんの事可愛いと思うよねっ」
律「えっ!? わ、わ、私は……」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:14:50.71 ID:JwXutaj90
斉藤「……」
律「……」
斉藤「……」
律「……」
斉藤「……」
律「しっ、知らんっ、そんなのっ」
唯「え~」
澪(律、無言とはぐらかしは肯定と同義だぞ……)
紬(りっちゃん茹でダコのようだわ)
唯「ところでさいとーさんは
いつからこのおうちで働いてるんですか?」
斉藤「ああ……いつからでしたかね……
確かあれは戦後の混乱期……
幼い私は家族を戦争で失い、行く場所がなく」
澪(今何歳なんだろう……)
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:17:54.79 ID:JwXutaj90
唯「へえ、それで」
斉藤「そんな私を拾ってくれたのが
琴吹家の先々代当主でした」
澪「じゃあそれからずっと琴吹家に」
斉藤「そうですね、もう何十年もお世話になって。
琴吹家へのご恩返しのために、
ただひたすら仕事に打ち込んでまいりました」
紬「……」
唯「立派ですねー」
斉藤「あの、お茶も頂いたことですし、
私はそろそろ仕事に戻らせていただきたいのですが」
紬「ええ、いいわよ。
引き止めて悪かったわね」
斉藤「お嬢様がお気になさることはございません。
それでは、失礼いたします」
唯「ばいばーい」
斉藤「はい、またのちほど」
ガチャバタン
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:20:13.68 ID:JwXutaj90
律「……」
唯「どうしたのりっちゃん、
なんだか恋する乙女のような顔してるけど」
律「ばっ……し、してねえよそんな顔!」
唯「えー、絶対してるよ」
澪(律……そこまで男に飢えて……)しくしく
律「あーもうこの話終わり!
練習するぞ練習、せっかくスタジオ借りたんだし」
唯「おお、りっちゃんから練習しようと言い出すなんて」
紬「練習の前に……ちょっといいかしら」
澪「なんだ?」
紬「斉藤のことなんだけど」
律「っ」
唯「あ、今ムギちゃんが『斉藤』って言った瞬間ドキッとした!」
律「してねーよ!」
澪「……」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:23:42.34 ID:JwXutaj90
紬「話していいかしら」
澪「え、ああ、話してくれ」
紬「実は斉藤ね……女性経験がないみたいなの」
澪「はぁ?」
唯「じゃあ斉藤さんって童貞なんだ」
紬「まあ、そうでしょうね」
律「……」
澪「な、なんでそんなこと分かるんだよ……」
紬「さっき言っていたでしょう。
幼い頃からずっと仕事一筋に生きてきた……って。
実際、遊びも娯楽もせずにただひたすら仕事だけをして生きてきたみたい」
唯「社会人の鏡だね」
澪「脇目もふらずに仕事に打ち込んできたから
女性との接点を持つこともなかった、ってこと?」
紬「ええ……父も祖父もいつも心配していたわ。
『斉藤は寝ている時以外は常に働いている。
あれでは女と遊ぶ暇もないのではないか』ってね」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:26:36.56 ID:JwXutaj90
唯「でもそれじゃ本当に童貞かどうか分かんないじゃん。
ただの憶測でしかないし、
人の目を盗んで誰かとイチャコラしてたかもしれないでしょ」
紬「私もそう思って斉藤に尋ねてみたの」
澪「尋ねてみた……って、なんて?」
紬「『斉藤、女性と付き合ったことはあるの?』……って」
澪「ストレートだな」
唯「で、回答は」
紬「否、だったわ。
『私は仕事だけが生きがいでございます。
そのようなことにうつつを抜かしている暇はございません』だって」
唯「ほんとに童貞だったんだ。
25歳越えて童貞なんて都市伝説だと思ってた」
紬「私もよ。ちょっと驚いちゃった」
律「……」
澪「……で、斉藤さんに女性経験がないってのがどうしたんだ?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:31:12.44 ID:JwXutaj90
紬「ああ、そんな斉藤のために何かしてあげられないかなって思って」
唯「何かって言われても……」
澪「なあ……」
紬「風俗にでも連れていってあげようかと思ったんだけど
そういうとこで童貞喪失、ってのも人生の恥かと思って」
唯「まあ確かに、風俗で童貞捨てるなんてろくな男じゃないよ。
ねー澪ちゃん」
澪「私に振るなよ……
ていうか押し付けは良くないんじゃないのか?
斉藤さんは仕事一筋の人生に満足してるんだろ、
別に女性経験がなくても本人がよければそれで……」
紬「それが、女性に未練たらたらなのよ」
唯「そうなの?」
紬「ええ、この前斉藤の部屋に行ったの。
チェスの相手をしてもらおうと思ってね」
唯「うん」
紬「斉藤の部屋のドアをノックしても返事がないのよ。
不在なのかと思ってドアノブをひねってみたら鍵が開いてたから
ドアを少し開けて中を覗いたの」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:35:12.24 ID:JwXutaj90
紬「そうしたら斉藤がヘッドホンをつけてDVDを見ていたのよ」
唯「おー、エロビデオ?」
紬「惜しいわね。
制服姿の女子高生を延々と写したやつだったのよ。
イメージビデオって言うのかしら」
澪「うわぁ」
唯「エロビデオよりキモイね」
紬「で、その時は見て見ぬふりしてドアを閉めたんだけど。
後日斉藤がいない時を見計らって部屋を探ってみたの」
唯「ほう」
紬「そしたらその類のDVDや雑誌が山ほど見つかったのよ。
他にもアイドルモノだけじゃなくて
萌えアニメやらギャルゲーやらが大量に……
極めつけは80着のセーラー服よ。どこから入手してきたのかしら」
唯「さすがの私もそれは引くわ」
澪「女に未練があるというよりただのダメオタクじゃないか」
紬「ダメオタクも女性を求めるがゆえなんだから行動原理は同じよ。
とにかく、私はそんな斉藤を救ってあげたいの」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:38:21.25 ID:JwXutaj90
唯「救ってあげたいって言われてもねー」
澪「今のままじゃ可哀想なのは分かるけどさ、
結局は斉藤さんの問題だしなあ」
唯「誰か女の子を紹介してあげたら?」
紬「それは私も考えはしたけど……
斉藤と付き合ってくれる女の子なんていないでしょう」
澪「年齢が近い人とかは……」
紬「お婆さんってこと?
でも斉藤は若い女の子を求めてるんだから駄目じゃないかしら」
澪「うーん、そうか」
唯「老人趣味の若い女の子なんていないよねー」
律「……」
紬「もしくは老人でも構わないくらい男に飢えてる女の子」
律「……」
唯紬「うーん難しい問題ですよこれは」
澪(二人とも分かって言ってるな……)
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:42:15.81 ID:JwXutaj90
律「あのー……」
唯「なあに? りっちゃん」
律「良かったら……私が」
紬「え、何?」
律「私が……斉藤さんのために一肌脱いでもいいけど」
紬「そう?」
唯「えーりっちゃんはだめだよー。
斉藤さんが求めているのは『女の子』なんだよ」
澪「……というと?」
唯「童貞をこじらせた男性が求める女の子……
それは極度なまでに偶像化されているものなんだよ。
男性の理想が全て凝縮されていると言っても過言じゃない」
紬「だから私としては澪ちゃんが適任だと思うの」
澪「はぁっ!? なんで私……」
紬「その長い黒髪、巨乳、清楚な外見。
まさに童貞が求める理想の女性像そのものよ」
澪「えー……」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:46:32.35 ID:JwXutaj90
唯「斉藤さんは女性に飢えてるんだから
ここは一番女性らしさを持った人が行かないとね」
紬「そう、だからりっちゃんはちょっと適任じゃないわね。
わざわざ名乗りでてくれたけど、ごめんね」
律「なんだよさっきから、失礼だなー……
わ、私にだって女の子らしいところあるんだぞ…!」
唯「どっかで聞いたセリフ」
澪「本人がこう言ってるんだから律にやらせりゃいいじゃん……
大体最初からそのつもりなんだろ?」
紬「まあね」
律「え、何?」
紬「いえなんでもないわ。
じゃありっちゃんに頼もうかしら」
律「お、おう……どんとこいだ」
紬「じゃあ早速斉藤を呼んでくるわね」
唯「りっちゃんからかうの予想以上に楽しいね」
澪「……」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:50:50.82 ID:JwXutaj90
数分後。
斉藤「は、何のご用でしょうか」
紬「単刀直入に言うわ。
斉藤、りっちゃんとデートしなさい」
斉藤「は、はあ……?」
唯「さいとーさんいつも忙しそうだから、
こういうことする機会ないかなって思って。
ムギちゃんからのプレゼントだよっ」
斉藤「それは嬉しいのですが、私は仕事が……」
紬「もう、それがいけないのよ。
仕事仕事の人生に何があるというの。
たまには女の子と遊んで息を抜かなきゃいけないわ」
斉藤「いえしかし……
私とデートなど、その相手様にも……」
紬「大丈夫よ、相手も斉藤のこと気に入ってるから」
唯「ところで当のりっちゃんはどこにいったの?」
紬「ああ、澪ちゃんにお化粧してもらってるわ」
唯「へえ、気合入ってるね」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:55:48.24 ID:JwXutaj90
斉藤「ですが私、女性とそのようなことをしたことがなく……
どのようにすればよいのかまったく検討もつきません」
紬「相手が引っ張ってくれるから安心しなさい。
あなたはただ女の子と一緒にいるという状況を
楽しみさえすればいいの」
斉藤「はあ……」
澪「おーい、律のメイクできたぞ」
律「ど、どう……かな……」
紬「おお、すごいわ澪ちゃん……
さっきまでボス猿みたいだったのに
今はまさしく美少女という言葉がぴったりよ」
唯「りっちゃんすごーい、可愛いよ!
ねっさいとーさん、さいとーさんも可愛いと思うよねっ」
斉藤「は、はい……たいへん、可愛らしいと……///」
唯「わー、さいとーさん顔真っ赤だよー」
紬「こんな斉藤は初めて見るわ」
律「い、いやあ、はは……///」
澪(老人に可愛いと褒められて頬を赤く染める女子高生って……)
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 21:59:53.42 ID:JwXutaj90
紬「じゃあ早速行ってきなさい、ふたりとも」
律「あ、うん……行きましょうか、斉藤さん……」
斉藤「はい……お供させていただきます」
律「///」
斉藤「///」
律「じゃあ……行ってくるよ、みんな」
斉藤「夜には戻りますので……」
ガチャバタン
唯「……」
澪「行ったな……」
紬「ふたりとも初々しくていいわぁ~」
唯「あー私が彼氏と付き合い始めた頃を思い出すよ」
澪「えっちょっと彼氏いんのかよ」
紬「その話kwsk」
唯「いやいやそれより今は二人を尾行すべきでしょ、行くよ」
澪「え、おいちょっと待てよ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:01:14.12 ID:JwXutaj90
BGM:ぴゅあぴゅあはーと
______
. : ´ : : : : : : : : : :` : . .
. : ´ : : : : : : : : : : : : : : : : : :`: .、
, :´: : : : :.. -‐‐ ‐‐ ‐‐- i:.l : : : : : :`: 、
ノ : : :,.. '"´ ______!:|: : : : : : : : :`.、
/: : : : i´ ,. :´ ̄| : : :// : : : ; ヘl: : : : : : : : : : : .
!: : : : : :i,.<´ヽ: :_:i;|:_:ン!/ム'r-==キ: : :| : : : : : : : i
.!: l : : : :ムヒ'´ ̄` ': : :.|: : : l: : i: : :!
|: :!: : : :!´ ': :.|: : : :!: :.l: : :i
|: l : : : | ,. -―- ヽ!: : : :!.: :! : ハ
|: !: : : :l ,. -‐- ___ `、: : |: : l.: :i: :`、
|:.l: l: :∧ ‐- 、 ,ィニテミx、 ||i: :|: : l.: :|: : : ヽ
|:l :l :/:::ヘ ,ィfチミx、 ' ヒ'fv゚::i i!} リヘノ: : :!: :!ヽi⌒`ヽ
|:!:.!:.j::::::::ハ 巛 ヒ'rv:! 乂zソ '′ |l:|.: : : !: | )
!l :l: !:::::::::::::', ` 乂ソ r‐|:l|.: : : |: !
.|l: :!::!ィi:::::::::ハ ' ∧:l::|.: : : :|.:ト、.__
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i:.レ'.:.リ:.|l::::::/.:.:.l:> 、 `‐-‐'′ / }|:.:.:.:.l:| : : :ハ!:.:.:.:.:.:.|
!:.:.:.i :.:.:!|::/.:.:.:.:.:l.:.:.:.:|!` ‐- __,.ィ´ |i:.:.:.:.:i:!.: :/.:.:.:.:l:.:.:.:.:.l
|:.:.:.:i :.:.!l/.:.:.:.:.:.:!.:.:.:.:.li、 ,>rrく / !:.:.:.:.:i|/:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.:}
,|:.:.:.:.:!:.:.!':.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:! ヽ_,/ /トh }、_/ |:.:.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.`、
/.:ヽ:.:.:.`、:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:l / /,小|| { !:.:.:.:.ノ.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:.:.:.:.>.:.:.:l { (/ | i {! | |:.:.:.`ヽ:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.::.:.:.:!
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:01:55.21 ID:JwXutaj90
____-‐==ヽ
. -‐.  ̄. : :.:.:.∨/ ̄ ̄ヽ: . \
. : ´. : : : : : : : : : : : :.∧:: : : -‐‐ ∨: . \
,. : ´. : : : : : : : : : : : : : : :. :. :.:.Y´ `ヽ: : .\
/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :. :.l 〃 ∨i: : .\
/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :. :. :. l / 'i i : : : .\
. /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : : :. :.:.∧ / ヽ 'ii i : : : : .\
/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : : : :ノ :∧ 'ii i : ト、: : : .ヽ
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. l. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i : : : : : : : :l: : : : :l. /, '^ゝ ヾi:|
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. l. : : : : : : : i i |: : : : : : : : : i i i : : : :|: : : : : : : :l 〉
!. : : : : : i i i |: : : : : : : : : i ∧: : : :ト: : : : : :. :.| ,=ォ〈
从|. : : : i i i | : : : i|: : : : i i{.∧ : : : : : : : : : : | ゝ-' 〉
|. : : i i i i |: : : i | : : : i i i\| : : : : i.\ : ヽ| {
/. : : i i ii ii|: : : i |: : : i i i i i i|: : : : : i i .\:.\ .
/. : : : i i i i ! : :.i i| : : i i i i i i i\: : : : i i i i|\ \=‐-----‐= '
∠ -‐''"|i i i /. : i ii | : : i i i i i i i i i\ : : : i i∧::.` ‐-ゝ-‐''"
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. 厶イi i /|. i i i i./|i i i 人i i.i.!\: i i ∨ |从 |
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45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:02:27.35 ID:JwXutaj90
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: /: : : : :/ : : | : : \ : : : : : : :`丶、\}\
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: : : : : i: : : / `⌒ ー<∠: : : | : : |
/ : : : :|: : / ___ `'<| : : |
: : : : : | : ' ´ `ヾ | : : |
: : : |: :|:/ _ | : : |
: : : | 孑≦=ミく ⌒ヽ | : : |
: : : |: :|7´ )心 リ l : : |
: : : |: :{{トイ/リ xそミく , : : : |
: : 八:.|弋しン ん'/リ }}./|: : : :j
: : : : :.| 、、 V少 イ: | : :|/
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47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:02:59.73 ID:JwXutaj90
, '´: : : : : : :!'´, <´: : :\: : :\: :`ヽ
/: : : : : : : : : :レ´: : : : : : : : :/,斗-、!: : : :}
. /: : : : : : : : :∧: |: : : :_, -ー'´ ヽ : : |
. ': : : : : : :: : : : ∧|‐' ̄ , l : :l
l: : : : : : : : :.| : : ハ / |: : |
!: : : : : : : |: |: : : バ'' ‐- 、、 ″ |: :l
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49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:08:17.38 ID:JwXutaj90
物陰から様子を伺う3人。
澪「律のやつ、あんなにイキイキして……」
唯「私たちといる時より楽しそうだよー」
紬「ちょっと悔しいわね」
澪「でも斉藤さんも楽しそうだな」
紬「ええ……あんなに笑ってる斉藤は初めてよ」
唯「ほんとに異性に飢えてたんだね、お互いに」
澪「……このままマジ惚れして両想い……なんてことは」
唯「充分ありえるねっ」
澪「もしそうなったら律があまりにも不憫だ」しくしく
紬「あっ、手をつないだ」
唯「おお、恋人つなぎだ」
紬「移動しちゃうわ、ほら早く。見失っちゃうわよ」
唯「あいあいさー」
澪「私はもう見ていられないよ……」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:14:03.91 ID:JwXutaj90
数時間後。
唯「暗くなってきたねえ」
紬「もうそろそろ解散かしら。
斉藤、夜までに帰るって言ってたし」
唯「えー、このまま何も無しで解散じゃつまんないよ。
せめて路チュー(死語)くらいはぶちかましてくれないと」
澪「老人と女子高生が路チューって
はたから見たら援助交際以外の何ものでもないぞ……」
紬「あっ、公園に入って行くわよ」
唯「公園?」
澪「ひとけのない公園だな」
唯「はっ……まさかここであんなことやこんなことを」
澪「ねーよ……」
唯「えっ私彼氏と公園でよくするけど」
澪「健全な付き合いをしろよ」
紬「あれ、なんか斉藤とりっちゃんの様子がおかしいわ」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:22:24.40 ID:JwXutaj90
唯「えっ、おかしいって何が」
紬「ほら……二人で向かい合ってるわよ。
何するつもりかしら」
澪「なんか喋ってるみたいだけど、聞こえないな」
唯「うーん、気になる……
ちょっと近づいていってみようか」
澪「えっやめろよ、バレるだろ」
紬「大丈夫よ、隠れられる場所多いから」
唯「そうそう、見つからないように近づけば大丈夫だって」
澪「えー、絶対無理だろ……あ」
唯「どうしたの?」
澪「……律、泣いてないか?」
紬「えっ、ほんとに?」
唯「確かに泣いてるような……」
紬「あ、りっちゃん走って行っちゃった」
唯「どうしたんだろう」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:27:00.84 ID:JwXutaj90
薄暗い無人の公園。
その真ん中に斉藤はただ一人、
呆然と立ち尽くしていた。
斉藤「…………」
紬「斉藤!」
斉藤「お、お嬢様、どうしてここに……」
紬「そんなことはどうでもいいの。
りっちゃんと何があったの?」
澪「律、泣いてましたよね。何をしたんですか?」
斉藤「申し訳ございません、お友達を泣かせてしまい……
このようなことになるとは……」
唯「謝罪はいいから何があったか教えてよっ」
斉藤「実は……律様から、正式にお付き合いをして欲しいと頼まれまして」
唯「なんと」
紬「Wooo......」
澪「律……いくら彼氏が欲しいからって……」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:33:19.24 ID:JwXutaj90
斉藤「私はそれをお断りしました。
『あなたにはもっと若く素敵な男性が似合う、
だからあなたと私は付き合えない』と……
そうすると律様は泣いて走って行ってしまわれました」
紬「そうだったの」
唯「せっかくの告白を振るなんてかわいそーじゃないですかー。
受け入れてあげればよかったのに、
さいとーさんだってりっちゃんのこと好きでしょ?」
斉藤「好き……という気持ちは私にはよく分かりません。
ただ律様と一緒に居させていただけた時間はとても楽しかったし、
この時間が永遠に続けばいいと思っておりました」
唯「ならそれが好きってことだよっ」
斉藤「確かに貴方のおっしゃるとおりかもしれません。
しかし私は老いぼれ、彼女は女子高生。
このような釣り合いの取れない交際は、
必ずや良い結果には終わらないでしょう」
澪「……」
斉藤「私は今日……初めて女性とデートというものをしました。
そして仕事をするだけでは得られない充実感を得られました。
私はそれで充分なのです」
唯「さいとーさんの気持ちもわかるけど、
りっちゃんの気持ちも考えてあげなきゃ」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:40:26.25 ID:JwXutaj90
斉藤「これは彼女のためを思っての判断でもあるのです。
彼女はまだ若い……
これからの人生でまだまだ素敵な出会いが待っているはずです。
私と交際してしまえば……それが全てなくなってしまう」
唯「……」
斉藤「今彼女を悲しませてしまったことは反省しております……
しかしいつか彼女には、
大きな喜びの伴う出会いがあることでしょう。
私なんかでは比べものにならないほどの……」
紬「斉藤……」
斉藤「お嬢様、本日はありがとうございました。
彼女にも感謝を伝えておいてください」
紬「……ええ、分かったわ」
斉藤「皆様もありがとうございます。
私のためにわざわざ……」
澪「いえいえ、私は何も……」
唯「さいとーさんに生身の女性の良さを知ってもらえたなら、
私たちもやった甲斐があるってもんです。
実際のデートはDVDやギャルゲーより良かったでしょー?」
紬「ちょっ……」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:42:58.56 ID:JwXutaj90
斉藤「…………な、なぜ……
そのことを……私の秘蔵コレクションを…………」
唯「え、ムギちゃんが言ってたから」
紬「……」
斉藤「お嬢様……まさか……」
紬「ごめんなさい…………見てしまったの」
斉藤「……」
紬「……」
斉藤「……」
紬「……」
斉藤「う……うわああああああああああああ!!!」だだだだだっ
紬「ああっ、待って、斉藤ー!
別に気にしてない、気にしてないからぁー!!」だだっ
澪「はは……」
唯「あれ、もしかして私やっちゃった?」
澪「ああ、やっちゃったな……」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:44:41.16 ID:JwXutaj90
唯「私たちも帰ろうか」
澪「そうだな……ところで唯」
唯「なあに?」
澪「唯の彼氏って、どんな人なんだ?」
唯「ああ、私の彼氏は今モニターの前にいる、
このSSを最後まで読んでくれたみんな……だよっ☆」
お わ り
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/15(水) 22:46:32.35 ID:JwXutaj90 [45/45]
これでおしまい
斉藤SSを書けよ諸君
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