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北斗「貴様ら、けいおん、という漫画を知っているか」 神山「え?」3

701 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:00:41.73 ID:4wA9uDpIO [1/72]
神山「突然ですけど僕、手品ができるんですよ」

前田「本当に唐突だな……」

北斗「ふむ、練習も飽きた。娯楽代わりに見せてもらおうか」

前田「いや、全く楽器弾いてないけどな……」

神山「では、誰かこのカーテンの中に入って下さい。僕が消してご覧になりましょう」

全員「……」

神山「誰かいませんか?」

林田「はい、はい! 俺が入るぜ」

神山「では林田君、どうぞ」

スッ。

703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:04:42.35 ID:4wA9uDpIO
神山「では、今からこの中にいる林田君が瞬間移動をします……はいっ!」バッ

子分「あ、ほ、本当に消えている!」

北斗「むう、やるな神山」

子分「き、消えた林田は一体どうなったんだ?」

神山「ご安心を。ちゃんと後ろにあるロッカーから……」

部長「……懐かしいな」

副部長「はい。以前このマジックで部長が消えてしまいましたからね。まあ、そう何度も人が消えるなんて……」

ガチャリ。

神山「……」

部長「消えてる……」

704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:10:12.72 ID:4wA9uDpIO
神山「あれ~、おかしいな~?」

北斗「おい神山よ、どうなっているのだ」

神山「いやあ、本当はこのロッカーから林田君かゴリラが出てくるはずなんですけど……」

前田「林田かゴリラってのもおかしいだろ……」

ゴリラ「ンゴ」

副部長「今回はゴリラもここにいる……」

部長「……もしや林田も、俺と同じようにマワシの国に行ったのか」

北斗「マワシの国、だと……」

部長「ああ、詳しくは説明しないが、とにかくこことは違った世界だった……」

神山「……」

神山「さ、他にマジックに協力してくれる方はいませんか?」

北斗「おい、林田はいいのか!」

神山「彼ならきっと大丈夫。すぐに戻ってきますよ」

前田「消した本人がそう言えるのも、すごい話だな……」

705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:18:00.11 ID:4wA9uDpIO
『あ……今日は私が一番のりぃ!』

……。

林田「む……ここはどこだ?」
ガタガタ

林田「目の前が真っ暗だ」

『……ま、動いた?』

林田「……そうか、神山のマジックに付き合ったからか。」

林田「ロッカーの中か……神山め、狭い場所に移してくれたな。くっ……」

ガタン ガタン

『っ! ……な、なんかガタガタ言ってるよお!』

706 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:19:34.24 ID:4wA9uDpIO
『だ、だれか中にいるの……?』

林田「くそ……このっ! 開けっ!」

バァン!

林田「ふ~、やっと出てこれた……おい、神山よ。今度はちゃんと段取りを……ん」

唯「……」

林田「お前は……も、もしかしてゆ……!」

唯『き、きゃああああ!』ダダダダッ

林田「ま、待てっておい!」

林田「……行っちまった」

林田「今のは……そう、紛れもなく唯ちゃんだった」

林田「それにこの部室、ここは……あの高校なのか?」

708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:24:00.80 ID:4wA9uDpIO
林田「待てよ、落ち着け。以前もマンホールに落ちて別の世界に行った事はあったが……今回はまた話が違う」

林田「俺は神山のマジックで、いつの間にか目の前が真っ暗になって」

林田「気が付いたらこの……けいおん部のロッカーの中にいた。そして唯ちゃんと思える人物に……むう」

バタバタ バタバタ

林田「はっ……まずい、誰か来る!」

709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:28:32.98 ID:4wA9uDpIO
律「モヒカン~?」

唯「ほ、本当にいたんだよ! こう……ロッカーから、バァ~ンって!」

律「おいおぃ、夢でも見たんじゃないの~?」

唯「りっちゃんだって見ればわかるよ!」

律「はいはい。まあ、暇だから別にいいんだけどなぁ~」

唯「……あ、開けるよ」

律「はいよ」ガチャリ

唯「は、早いよりっちゃん! 中にいるって……あ、あれ?」

ガラーン

律「全く~。何がモヒカンだよ~、ちょっとワクワクしちったじゃないか~」

唯「た、確かにいたんだよぉ~……」

710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:31:57.89 ID:4wA9uDpIO
唯「そ、そうだ! ロッカーだよ、ロッカーに隠れてるんだよ」

律「……ここにか?」

唯「そこから出てきたんだもん! 本当だもん!」

律「ほいよっ」ガチャリ

律「き、きゃあああ……」

唯「りっちゃん!」

ガラーン

律「へへっ、なんてな~。誰もいないっての」

唯「に、逃げちゃったのかな~……」

律「ハァ、これで安心したか、唯」

唯「……うん。少し、ありがとうねりっちゃん!」

律「おう、リーダーにドンと任せとけって」

唯「えへへ~」

711 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:35:03.38 ID:4wA9uDpIO
……。

『多分、林田君は……』

林田「ん、この声は……神山か!?」

ガチャリ

北斗「む、おお、林田!」

林田「こ、ここは……元の教室か」

神山「ほらね、すぐに戻ってきたでしょう」

子分「一時はどうなるかと思ったけどな」

部長「……マワシの国には行っていないようだな」

林田「……」

林田「みんな、ちょっと聞いてくれないか。本当にあった話だ」

北斗「む……」

712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:39:02.97 ID:4wA9uDpIO
林田「……という事があったんだ。信じられないとは思うけどよ……」

全員「……」

神山「林田君。僕は君の話を信じるよ」ポンッ

林田「神山……」

北斗「あながち信じられないが、夢があるいい話ではないか」

部長「俺の実体験の例もある……一概に嘘とは言えないな」

林田「みんな……」

子分「行けるもんなら、俺だって行きたいくらいだぜ」

北斗「きっかけは神山のマジックだったな……よし、神山よ」

神山「はい?」

北斗「もう一度そのマジックをやってみせてくれ。今度は俺が入ってみよう」

713 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:45:11.13 ID:4wA9uDpIO
桜ヶ丘高校

唯「あ、安心したらお手洗い行きたくなっちゃった! ちょっと行ってくるね」ダダダダッ

律「お~、気をつけてな~」


律「……全く、そんな怪しい人間いるわけないだろ」

律「唯も案外臆病なんだな。私だったらこう……大声あげて変質者なんか撃退……」

ガタガタ

律「ひっ!」

ガタガタ ガタガタ

『む……狭い。ここが例のロッカー』

律「な、な、な、な、なに……」

714 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:48:42.26 ID:4wA9uDpIO
ガタガタ バタンッ!

『とう!』

律「ひいいっ!」

北斗「む、確かにここはクロマティ高校ではない……む!」

律「い、い……」

北斗「なるほど、話は本当のようだ、おい貴様!」

律「」

北斗「……貴様に用はない。おい、今すぐムギをここに」

律「ひ、ひやぁああああ!」
ダダダダッ

北斗「やれやれ……これだからりっちゃんは」

北斗「……ふむ。ここがけいおん部の部室か。落ち着く」

北斗「しかし、部員が誰もいないのではここにいる意味が無いな」

北斗「……一度戻るか」

715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:52:58.94 ID:4wA9uDpIO
クロマティ高校

ガチャッ

北斗「戻ったぞ」

神山「あ、おかえり。どうだった」

北斗「林田の話は本当だ。どうやら神山のマジックとこのロッカーを使えば、桜ヶ丘高校に行けるらしい」

林田「……ん、北斗。お前何持ってるんだ?」

北斗「りっちゃんのカチューシャだ。逃げる時に落としたらしい」

前田「逃げるって……」

神山「いや、彼女たちからしたら僕たちは別世界の人間だからね。驚くのも無理はないよ」

前田「もっと違う事で逃げたと思うんだけどよ、こいつら見た目とか……」

林田「じゃあ、次は誰が行くんだ?」

716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 09:59:25.88 ID:4wA9uDpIO
桜ヶ丘高校

律「ほ、本当だって! 変な白い服着たおっさんがロッカーの中から……」

澪「……」

紬「……」

律「頼む! 一緒に来てくれ、この通りだ!」

澪「そりゃあ部活だから行くけどさ……」

紬「本当にそんな事があったの?」

律「ああ、唯だってモヒカンの男を見ているらしいんだ。あのロッカーには……何かがいる!」

澪「あ、あんまり怖い事言うなよ……」

紬「ちょっとだけ楽しみだわ~」

律「そんな楽しみな事じゃないんだって……もう、あの雰囲気だけで……」

澪「相当怖い体験をしたみたいだな……」

717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 10:05:09.98 ID:4wA9uDpIO
部室前

梓「……あ、みなさん来ましたよ」

唯「あ、お~い」

律「唯! 出たぞ、例の怪しい……モヒカンじゃないけど変な男が!」

唯「えっ!」

澪「まあ、そんなのいるわけないけどな」

律「……それが澪の最期の言葉だった、と」

澪「変な事を言うな!」

紬「調べてみればわかるわよ」

唯「う、うん……じゃあ、行くよ!」

ガチャッ

律「そ~っと、そ~っとだぞ……」

719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 10:08:19.32 ID:4wA9uDpIO
紬「わくわく」

澪「……」

シーン

唯「部室にはいません、りっちゃん隊長!」

律「油断するなよ~、ロッカーだ。ロッカーから来るぞ」

澪「この空きロッカーか?」

唯「そうだよ、中からモヒカンがバァ~ンと」

律「私は白い親父だった」

梓「本当ですかぁ?」

唯「油断しちゃダメだよあずにゃん」

律「そうだぞ~、今は静かでもそのうちガタガタとロッカーを揺らして……」

ガタガタ ガタガタ

澪「ひいっ!」

紬「ほ、本当に揺れてる」わくわく

律「や、やっぱり来たか……」

720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 10:15:22.87 ID:4wA9uDpIO
ガタガタ ガタガタ

澪「ま、まさか本当に……」

ガタン!

唯「……な、中にいるのは誰!」

……ガチャッ

全員「ドキドキ……」

スーッ

バンチョーちゃん「……」

全員『か、かわいい……』


クロマティ高校

林田「ああっ、りっちゃんのカチューシャが!」

神山「こら、黄色いけどそれはバナナじゃないよ」

ゴリラ「ンゴ?」シャグ シャグ

前田「結局食ってる……」

バンチョーちゃんならオッケー。

722 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 10:21:40.21 ID:4wA9uDpIO
バンチョーちゃん「……」カキ カキ

律「なるほど、手品でねえ……」

澪「そのロッカーがそんなと繋がっているなんて……」

唯「ねえ、バンチョーちゃんの中には誰が入ってるの!」

バンチョーちゃん「……!」ドカッ

梓「あっ、壁に穴が……」

紬「唯ちゃん、そういう事は言っちゃダメよ」

唯「ご、ごめんなさい……」

唯(あ、あれ、なんで怒られるんだろう、私)

バンチョーちゃん「……」スタスタ

澪「もう帰るのか?」

バンチョーちゃん「……」コクッ

紬「他のお友達も連れてくるんですって」

律「そっか~、気をつけてな」

唯(って言うかムギちゃん言葉を理解している……?)

723 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 10:29:05.94 ID:4wA9uDpIO
唯「と、とりあえず変な人じゃなかったね」

律「私たちが見た時は変な人だったんだけどな~」

澪「そこまで言われると見てみたい気もするけど……」

梓「あの様子じゃあ、すぐに新しい人が来るんじゃないですか?」

紬「ふふっ、今度はどんな人かしら~」

ガタガタ

律「おっ、噂をすれば」

ガッタン ガッタン

724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 10:29:36.86 ID:4wA9uDpIO
唯「な、なんかずいぶん激しく揺れてるよ~」

澪「体が大きくて詰まってるのかな?」

ガタガタ……

紬「開けてあげましょう。よいしょ」

ガチャリ

フレディ「……」

全員『……』


クロマティ高校

林田「フレディ一人で大丈夫かなあ」

神山「彼は紳士だからね、きっと大丈夫だよ」

前田「……そういう問題かあ」

お茶だけ飲んで帰ってきました。

725 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 10:33:29.35 ID:4wA9uDpIO
律「……なあみんな。さっきから変な人間ばかりじゃないか?」

唯「モヒカンに白いのに……あ、着ぐるみの人は可愛かったな~」

梓「唯先輩! 次、着ぐるみなんて言ったら私が怒りますよ!」

唯(……私なんで怒られてるのかなぁ)

澪「それにさっきの外人か……思わず叫びそうになっちゃったよ」

紬「半裸だったしね~」

律「一体なんの集まりなんだ、奴らは……」

澪「確かに、少し気になるな」

紬「次に来た人に、ちゃんとお話を聞いてみるのはどうかしら?」

唯「さんせい、さんせい~」

ガタガタ

梓「あ……」

726 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 10:37:30.17 ID:4wA9uDpIO
律「もう、この音にも慣れたな」

澪「あれだけ人が来ればな」

唯「……次も変な人だったらどうしよう~」

紬「大丈夫、私たちも慣れてきているはずよ」

梓「その言い方はちょっとひどいですよ……」

ガタガタ

……ガチャリ

律「よ、いらっしゃい~。けいおん部へようこ……」

ゴリラ「……」

全員『……』


クロマティ高校

林田「おい、ゴリラがいつまで経っても戻ってこねえぞ!」

神山「彼一人はまずかったかなあ……」

バンチョーちゃん「……」

保健所へゴーゴーマニアック。

749 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 19:32:56.59 ID:4wA9uDpIO
保健所トラック『ブロロロロォ』

律「……ふう」

澪「……」

紬「……」

唯「……」

梓「……」

律「なんだったんだろうな、アレは」

澪「ゴリラ……だろうな」

唯「こ、怖かったね~」

紬「そうかしら? 何だか優しい目をしていたように見えたけど」

梓「なんか、可愛らしかったですよね」

唯(……マジで?)

750 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 19:39:06.69 ID:4wA9uDpIO
律「……今日はもう帰るか。ロッカーの中も打ち止めみたいだしな~」

澪「じゃあみんな、また明日」

梓「さよなら~」

……。

唯「た、ただいまぁ~」

憂「おかえりなさい、お姉ちゃん。どうしたの? 何だかすごい疲れているみたいだけど……」

唯「今日の出来事もそうだけど、説明するのも疲れるよ~」

憂「そう……よっぽどの出来事があったんだね?」

753 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 19:43:24.47 ID:4wA9uDpIO
唯「でも、これ聞いたら憂びっくりして腰抜かしちゃうよ~」

憂「え、なになに? 逆に楽しみだよ~」

唯「えへへ~、実はね……今日学校にゴリラさんがいたんだよ!」

憂「……」

唯「びっくりした~?」

憂「あのさ、違ったらごめんね、お姉ちゃん」

唯「んっ?」

憂「もしかして、今日学校にいたゴリラさんって……この人?」

ゴリラ「ンゴ」

唯「……」


ソファー

唯「なんであたしんちにいるのよ……」

ゴリラ「ンゴ」

これでもゴリラ、喜んでいます。

754 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 19:48:55.90 ID:4wA9uDpIO
唯「……」

憂「あ、机拭いてね~」

ゴリラ「ンゴ」フキフキ

唯「……」

ゴリラ「ンゴ」カチャッ カチャッ

憂「はい、食器並べてくれてありがとう~」

ゴリラ「ンゴ」

唯「あの、ちょっといいかな?」

憂「ん、どうかした、お姉ちゃん?

唯「あのさ、なんで彼……いえ、ゴリラさんはここにいるの?」

憂「この人帰る場所が無いんだって。もう学校にも入れないから……」

唯「いやいや、なんでここなのさ!」

憂「だって……道をさ迷っていたから可愛そうで……」ウルウル

唯「憂が拾ったんかい!」

ゴリラ「……」

755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 19:53:43.48 ID:4wA9uDpIO
憂「でもお家の手伝いもしてくれるし……いい人なんだよ」

ゴリラ「ンゴ」

唯「……あのさ、ちょっといいかな?」

憂「ん?」

唯「憂には、この人が……どんな姿に見えるの?」

憂「ゴリラさんでしょ?」

唯(……一応ゴリラには見えてるんだ)

唯「あのさ、おかしくない?」

憂「なにが?」

唯「ゴリラだよ?」

憂「ゴリラさんだね~」

唯(憂は優しすぎるよぉ……)

757 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 19:56:28.58 ID:4wA9uDpIO
唯「保健所に連絡しようよ」

憂「……それは可愛そうだよ」ウルウル

唯「うぅ……」

ゴリラ「……」ガチャリ

憂「あっ、待ってゴリラさん!」

唯「あ……」

憂「ど、どうしよう、出ていっちゃったよ!」

唯「だ、大丈夫だよ、野生だからきっと生きていけるよ!」

憂「だって……野ざらしなんて可愛そうだよ……」ウルウル

唯「……」

憂「わ、私探して来る!」ガチャッ

唯「う、憂~、ご飯は~!」

唯「……行っちゃった」

758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 19:59:41.61 ID:4wA9uDpIO
……。

唯「もう……みんな何か変だよぉ」

唯「……お腹すいたぁ~」

唯「テレビでも見よう、あ……」

唯「リモコンがきっちり整理されている。机も床もピカピカ」

唯「これ、憂だけじゃなくてゴリラさんが?」

唯「……」

唯「確かに、いい人なのかもしれない。そうだよね、ゴリラさんは何も悪い事はしてないもんね」


唯「帰ってきたら……謝ろうかな」

759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:04:47.02 ID:4wA9uDpIO
ガチャッ

憂「ただいまぁ~」

ゴリラ「ンゴ」

唯「お、おかえり!」

憂「ゴリラさん、お買い物してくれてたんだって~。お姉ちゃんの分もちゃんと……」

唯「あ、あの。ごめんねゴリラさん」

憂「お姉ちゃん?」

唯「色々とお家の事手伝ってくれて……ありがとうね」

ゴリラ「……」コクッ

憂「これで仲直りかな? ふふっ」

唯「うん! お腹すいたよ憂!」

760 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:06:19.57 ID:4wA9uDpIO
憂「すぐご飯にするね。今日はゴリラさんがお寿司を握ってくれるんだって!」

ゴリラ「ンゴ」

唯「ゴリラが……寿司?」

……。

憂「あははっ、中とろ美味しい~」

ゴリラ「ンゴ」

憂「あ、あと玉子お願いね」

ゴリラ「ンゴ」

憂「おいしい~♪」

唯「……」




ソファー

唯「憂、馴染みすぎだよぉ……」

できた妹、憂ちゃん。

762 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:10:00.50 ID:4wA9uDpIO
唯の部屋

唯「……うん、美味しかった」

唯「やっぱり、悪いゴリラさんじゃないみたい……」

唯「よ~し! 景気付けにギターでも弾こっ!」

ギュイーン

唯「うん、ギー太絶好調!」

コン コン

唯「んっ、憂? どうぞ~」

ゴリラ「ンゴ」ガチャリ

唯「あ、ゴリラさん。どうかしたの?」

ゴリラ「……」スッ

唯「え、ギター? あ、私のギー太とおんなじ! ゴリラさんの?」

ゴリラ「……」コクッ

唯「もしかして、一緒に弾きたいの?」

ゴリラ「……」コクッ

763 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:13:53.95 ID:4wA9uDpIO
唯(すごい、このゴリラさん……指さばきも、音の感じも!)

ゴリラ「……」

唯「えへへっ、何だか楽しくなってきたよ!」

ゴリラ「……」コクッ

憂「お姉ちゃん、宿題やった~?」ガチャリ

唯「……え、宿題?」ピタリ

憂「うん、明日は小テストもあるんだから勉強するんでしょ?」

唯「わ、忘れてたよ~! うわ~、早く勉強しないと。ごめんねゴリラさん、ギターはまた今度ね!」

ゴリラ「……」コクッ

764 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:16:37.27 ID:4wA9uDpIO
唯「ええっと、この問題が……む~っ……」

唯「だ、ダメだぁ! わかんないよ~。こんなんじゃ明日のテストも、うう……」

ゴリラ「……」スッ

唯「ん、な~に? え、ここの公式を……あ、本当だ」

ゴリラ「……」

唯「そっか、ここはさっきの問題と同じだね!」

ゴリラ「……」コクッ

唯「こ、これなら何とか勉強できるよ、ありがとうゴリラさん!」

ゴリラ「……」

766 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:19:30.07 ID:4wA9uDpIO
次の朝

唯「くぅ~……くぅ~……はっ!」

唯「し、しまった! つい机で寝ちゃっ……あれ?」

唯「毛布なんてしてたっけ? まさか、ゴリラさんが……?」

コンコン

憂「お姉ちゃん、起きてる~?」

唯「あ、うん。今行くよ憂~」

唯「……えへへっ」

767 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:23:19.19 ID:4wA9uDpIO
憂「あ、おはようお姉ちゃん」

唯「おはよう。あれ、ゴリラさんは?」

憂「うん、学校が開いたら早めに帰るんだってさ。みんなに見つかると迷惑になるからって」

唯「そう……なんだ」

憂「昨日宿題一緒にやってたよね?」

唯「うん、これでテストもバッチリだよ! ギターだって一緒に弾いたし!」

憂「ふふっ、お姉ちゃんもすっかりゴリラさんと仲良しだね」

唯「うん……何だか帰っちゃうのが少し寂しいなあ」

憂「お姉ちゃん……」

769 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:26:44.00 ID:4wA9uDpIO
通学中

憂「でもさ、そのロッカーからまた来られるんでしょ?」

唯「みたいだけどね~。でも次はいつ会えるかな~?」

憂「信じていれば、きっと会えるよ……だって、あんなに素敵な人なんだもの」

唯「……確かに、色々気を遣ってくれた、いいゴリラさんだったね」

771 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:31:41.61 ID:4wA9uDpIO
憂「うん。学校でもきっとみんなの人気者になれるよ!」

唯「見た目はゴリラだけどね~」

憂「あははっ、それはそうかもね。でも、本当は心優しいから……ね」

唯「うん! ……あ、あれ? 学校の周りが何か騒がしいよ?」

憂「どうしたのかな? 生徒いっぱい……」

772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:35:14.22 ID:4wA9uDpIO
さわちゃん「……あ! ゆ、唯ちゃん! 今学校に近づいちゃだめよ!」

唯「な、何かあったの、さわちゃん?」

さわちゃん「なんかね、学校の中にゴリラが逃げ込んだらしいの! 警察の人まで呼んで大騒ぎよ!」

さわちゃん「もう、桜ヶ丘高校始まって以来の大事件よ!」

さわちゃん「噂ではゴリラの皮を被った変質者とか……ああ、想像しただけで恐ろしいわ!」

警察『おい、自衛隊はまだか!』

警察『麻酔銃で眠らせるんだ!』

警察『早く学校を包囲しろ! 相手は怪しいゴリラだ、気を付けろ!』

唯 憂「……」


ベンチ

唯「やっぱり、普通の反応はこうだよね……」

憂「本当は心優しいのにね~」

とりあえず、小テストは無くなった。

773 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:40:51.35 ID:4wA9uDpIO
律「ん、あれは……おい~唯~、こっちこっち~」

唯「あ、りっちゃんにみんな~」

澪「おはよう。大変な事になってるな……」

梓「学校は大騒ぎですよ~……」

憂「み、皆さんの知り合いさんだったんですか?」

律「知り合いと言うか、ロッカー仲間というかあ……」

紬「ふふっ。でも、こんな事警察の方には言えないわよね」

唯「ゴリラさん、捕まっちゃうのかなあ?」

梓「だ、大丈夫ですよ! 今頃、ロッカーに入って元の世界に……」

憂「そうだといいね。ちょっと心配、かな」

唯「うん、心配……」

梓「あれ、唯先輩。心配してるんですか?」

唯「昨日一緒にギター弾いたりしてね~。えへへっ、ちょっと仲良し!」

775 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:47:36.75 ID:4wA9uDpIO
唯「もしゴリラさんが出てきたらさ、お話してみようと思うの。その人は悪くないって!」

律「そうだな……」

澪「うん、私も協力するぞ」

紬「事情を話せばきっと大丈夫よ。何も悪い事はしていないんだし、ね」

梓「そうですよ! 彼は優しい目をしていますから!」

憂「みなさん……」ウルウル

警察『……確保ぉぉ!』

澪「ピクッ!」

778 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 20:53:37.80 ID:4wA9uDpIO
警察『ほら、道を開けて! ほら、歩け歩け!』

律「く、来るぞ!」

紬「唯ちゃん!」

唯「ま、待って下さい! その人は、悪い人なんかじゃあ……」

神山「ち、ちょっと。いきなり何をするんですか!」

警察『うるさい、さっさと歩け。変態ゴリラ野郎が』

神山「いや、あの……意味がわかりません。僕はただゴリラと入れ替わりに……」

警察『続きは署で聞くから、ほら、歩いて』

神山「あの、ですから……」

バタン。

全員『……』


ベンチ

律「あれ、誰だろうなあ……」

澪「今までで一番まともそうな人だったのにな……」

神山、桜ヶ丘高校の歴史に名を刻む。(大事件で)

780 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:00:16.34 ID:4wA9uDpIO
桜ヶ丘高校

律「さ、今日も練習始めようか!」

梓「あ、あんな事があったのにですか?」

澪「て言うか、普通学校だって早退くらいにはなるだろ……」

律「気にしない、気にしない! にしても……あの人もロッカー部の人かな?」

紬「そうかもしれないわね。今までと同じ学生服を着ていたし……」

さわちゃん「へえ、そんな事があったんだ。にわかには信じられないけど……」

唯「……」

唯「そもそも、どうしてロッカーから色んな人が出てくるんだろうねえ?」

梓「このロッカーに、何か秘密があるんですかね?」

ガラリ。

神山「それには僕がお答えしましょう」

全員『!』

781 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:06:10.78 ID:4wA9uDpIO
さわちゃん「き、君は確か……今朝警察に連れていかれた……」

神山「神山です。けいおん部のみなさん、初めまして」

全員「……」

神山「ん、どうしましたか?」

律「いや、なんか」

澪「礼儀正しいなあ、と」

神山「初対面なんですから、当然です。挨拶をしなければ話すきっかけも生まれませんからね」

唯(……朝はすごいきっかけだったけどなあ)

さわちゃん「そ、それで。どうして君が学校のな、なかに……?」ブルブル

律「さわちゃん、震えすぎ」

782 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:10:23.01 ID:4wA9uDpIO
唯「……マジックだったんだ~」

梓「なるほど、それなら納得ですね」

澪「いや、それだけで納得するのもどうかと思う……」

紬「あ、あの。そのマジック見せてもらえませんか!」

唯「……え?」

律「いいねえ~、面白そうじゃん!」

澪「お、おい律」

神山「僕は構いませんよ。その方が勉強した甲斐もあったというものですから」

律「いやった~♪」

さわちゃん「……でも、いきなり人が消えるマジックは怖いわねえ」

神山「あ、でしたら、まずは他の物から試しましょう」

唯「物から?」

783 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:15:10.45 ID:4wA9uDpIO
神山「そこで髪を垂らしているあなた」

律「……」

唯「りっちゃん、髪止めないと私そっくり!」

律「どこかに落としちまってさ……それで、髪がどうしたんだよ!」

神山「まま、落ち着いて下さい。いいですか、この箱の中をご覧下さい」

紬「なにも、なにも入っていないわよ!」わくわく

梓「ムギ先輩、はしゃぎすぎです」

神山「はい、ここに布を被せて……ハイッ」

パッ。

唯「こ、これは!」

784 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:19:18.92 ID:4wA9uDpIO
神山「はい、出てきました」

律「……これは確かに私のカチューシャだけどさあ」

カチューシャ(ボロボロ)

律「何で、あちこちに噛んだ痕があるんだよ!」

神山「……あ、すいません。ゴリラが噛んだのを忘れていました」

紬「ふふっ、お茶目なゴリラさんなのね」

律「……いや、でも、さすがにこれはさぁ」ボロボロ

唯「ねえねえ、新しい物は出せないの?」

神山「やってみましょう。では、そのカチューシャを箱の中に」

澪「物々交換みたいなものなのかな?」

さわちゃん「ち、ちょっと興奮するわね」

785 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:25:46.05 ID:4wA9uDpIO
神山「では、いきます。ワン、ツー、スリー」

パッ

律「お……おお?」

神山「ふふっ、どうですか?」

さわちゃん「す、すごい! 確かに、これはりっちゃんのカチューシャとは違う!」

澪「……でも、何これ?」

律「なんか、頭の部分にアンテナが生えてるような」

神山「……え?」

神山「……あ」

神山(これは、高橋先輩の……『アレ』じゃないか)


梓「これ、本当にカチューシャなんですか?」

神山「……とりあえず、頭に付ける物ではあります」

律「なんだその曖昧なの~」

787 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:28:19.87 ID:4wA9uDpIO
その頃。

林田「なあ最近よ、高橋先輩のヤツ変わったと思わねえか?」

子分「ああ、何て言うか……頭からオーラが出てるよな」

高橋「……」ボロボロ

林田「俺たちも早くあんな貫禄出せるようになりてえよな!」

メカ沢「ああ、全くだぜ」

前田「……」


ベンチ

前田「ゴリラ噛んでたじゃん……」

高橋先輩の出番は、ここだけ。

788 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:34:02.72 ID:4wA9uDpIO
律「ん~……とりあえず、装着!」スチャッ

澪「おおっ、行った」

唯「ど、どう?」

律「……あ、なんだろう、これ。ちょっとつけ心地いいかもしれない」

梓「本当ですか~?」

紬「ふふっ、りっちゃん可愛い~」

律「えへへ~、似合う似合う☆」

神山「……ま、いいか」

神山「と、言うのが僕のマジックになります」

澪「いや、小さく、まいいかって……」

神山「さ、他には何かありませんか!」

澪(うわあ、一番まともだと思っていたのに……)

唯「はい、はい! 私、ゴリラさんのいる世界に行きたい!」

神山「えっ、本気ですか?」

789 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:37:34.74 ID:4wA9uDpIO
唯「うん、私たちもそのロッカーを使って違う場所に行きたい!」

さわちゃん「だ、大丈夫? 変な場所に飛ばされちゃったりしたら……」

神山「大丈夫です。僕のはマジックに毛が生えた程度の物ですから、危険はありませんよ」

澪(……いや、実際ゴリラが飛んできてるわけで)

唯「じゃあ、やるやる!」

神山「では、ここに入って下さい」

スッ

唯「えへへ~」

神山「……はいっ!」

ファサッ。

全員『あ……』

790 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:42:57.86 ID:4wA9uDpIO
唯「あ、あれ? 何にも変わってないよ~!」

澪「し、失敗?」

神山「……」

梓「本物の唯先輩ですか?」

唯「うん、なんにも変わらないよ~、あずにゃん」

神山「もしかして、こっちから向こうには行けないのかもしれません」

澪「……ちょっとガッカリ」

律「な~」

さわちゃん「んん~、残念。この布で隠すだけで違う世界に行けるなんて、ちょっと楽しみだったんだけど……」スッ

律「まあまあ、実際は世の中そんなうまくは……」

ファサッ。

……。

律「……さわちゃん?」

791 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:51:47.55 ID:4wA9uDpIO
澪「さ、さわちゃんが消えた!」

澪「ど、どうするんだよ」

神山「慌てないで下さい。マジックの布ですから……」

唯「そ、そっか。じゃあロッカーからさわちゃんが!」

ガタガタ

梓「あ、久しぶりにロッカーに反応が!」

神山「ほら、所詮はマジックですから。さあ、さわちゃん先生の登場で……」

ガチャッ。

ゴリラ「ンゴ」

全員『……』


ベンチ

律「さわちゃんどこ行ったんだよ……」

神山「以前もこんな事がありました」

澪「やっぱりダメじゃん……」

部長じゃないのに、ね。

792 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 21:57:16.45 ID:4wA9uDpIO
神山「では、僕はそろそろ帰る時間ですので、これで」ガチャリ

律「……無責任すぎるだろ」

ゴリラ「ンゴ」

澪「またゴリラか……」

唯「あの時のゴリラさん」

ゴリラ「……」コクッ

唯「よかった、また会えたね!」

梓「で、でも先生は一体どこへ……」

律「まあ、さわちゃんなら大丈夫さ~。別の場所でも元気に先生やってるよ」

澪「職業上は同じだけど、男子高校だからなあ」

紬「先生なら大丈夫よ、ふふっ」

ゴリラ「ンゴ」

律「……なんだかゴリラが嫌に馴染むなあ」

794 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 22:01:40.39 ID:4wA9uDpIO
クロマティ高校

神山「ただいま~」ガチャリ

北斗「む、遅かったな、神山よ」

神山「いやあ、ゴリラと入れ違いになったら警察に捕まっちゃって」

林田「……相変わらず無茶をする奴だ」

神山「……ところで、このロッカーから誰か出てこなかったかい?」

子分「いや、今日出てきたのは神山だけだぜ。ゴリラもいきなり消えちまったしよ」

神山「……」

林田「何か、気になる事でもあったのか?」

神山「……」

神山「いえ、特には何も」

林田「そうかあ~」

796 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 22:04:24.91 ID:4wA9uDpIO
部長「なあ、神山よ。次は俺をマジックで消してくれないか」

副部長「え、部長も行くんですか!」

部長「ああ、俺もちょっとけいおんにハマって……行きたいと思うんだ、神山よ」

神山「わかりました。じゃあ次は部長に行ってもらいましょうか。ではここに……」スッ

部長「うむ……」

798 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 22:12:28.65 ID:4wA9uDpIO
神山「はいっ」ファサッ

副部長「おおっ、消えた」

林田「で、でもよ……以前はゴリラが出てきたけど……今回は」

ガタガタ

ガチャリ

神山「む……」

さわちゃん「もう、一体ここはどこなのよ~、って、あれ?」

全員「……」


799 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 22:13:01.59 ID:4wA9uDpIO
その頃部長。

王様「おおっ、マワシの戦士ブチョーよ……再びこの地に現れるとは……」

ブチョー「……」


四角い土俵

実況『おおーっと、現役チャンピオン、ブチョー強い! その姿はまるで何かを求め続ける野獣のようだ!』

ブチョー「どうして俺だけここなんだ!」

ディフェンディングチャンピオン、ブチョー!

806 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 22:53:57.66 ID:4wA9uDpIO
神山「ええ、では今の状況をまとめてみましょう。まず、マジックでさわちゃんが消え、ここにいます」

北斗「ふむ」

子分「お、ほ、本物だ!」

フレディ「……」コクッ

さわちゃん(この雰囲気、これが本当に高校生なの? なんかおっさんみたいな人もいるし)

神山「そして、今はゴリラと部長が向こうにいっているはずです」

林田「なるほど……交換留学みたいなもんな」

前田「林田、自信満々で言ってるが頭の良い発言ではないぞ」

神山「いえ、もしかしたらその考えは正しいのかもしれませんよ」

さわちゃん「ど、どういう事?」

神山「とりあえず、図で説明しましょう」

807 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:00:14.64 ID:4wA9uDpIO
さわちゃん←→部長、ゴリラ

林田「なあ、神山よ。俺たちはけっして頭がいいわけじゃない。だから聞くが……これはどういう意味だ?」

神山「……つまり、今彼女がここにいるのは、部長とゴリラが向こうにいるから、となります」

北斗「ふむ、何らかの均衡がとれている状態なのだな」

神山「おそらくは。つまり、ゴリラか部長がこちらに戻ったら、さわちゃんはまた消えてしまうかもしれません」

さわちゃん「ま、また暗い場所に行くの!?」

神山「ご安心を、とりあえずはゴリラも部長も向こうにいるでしょう。心配ならさわちゃんは向こうに帰っても大丈夫だと思いますし」

さわちゃん←→部長、ゴリラ

林田「う~ん……」

808 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:05:53.27 ID:4wA9uDpIO
神山「林田君、どうかしたかい?」

林田「いやよ、この図……足し算みたいにできねえかなって思ってよ」

前田「足し算?」

林田「ほら、さわちゃんの部分を合計にして、部長とゴリラを数字にしてみれば……」

3=1+2

子分「あ、ああっ、しっくり来るぞ」

神山「林田君にしては冴えてるね」

北斗「うむ、見直したぞ林田」

林田「へへっ、もしかしたら、こっちと向こうはこんな関係なのかもな」

809 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:07:54.34 ID:4wA9uDpIO
さわちゃん「……」

神山「じゃあ、名前に戻してみよう。何か謎が解けるかもしれないからね」スッ

子分「謎が解けたら、林田のお手柄だな!」

林田「いやあ、照れるぜ」

さわちゃん「……あのさ、そのまま足し算にしたら変な事に……」

さわちゃん=部長+ゴリラ

全員『……』

さわちゃん「……」


ベンチ

さわちゃん「だから、私言ったのに……」

イジメだよ、これ。

813 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:16:03.79 ID:4wA9uDpIO
次の日

子分「あっ、ゴリラさんおはようございます」

さわちゃん「……」

林田「部長、おはようっす」

さわちゃん「……じゃ、ない」

神山「やあ、ゴリ部長、おはようございます」

さわちゃん「変な名前で呼ぶなー!」

神山「一体、何を怒ってるんですか?」

北斗「まったく、ゴリちゃんはワガママだな」

子分「本当っすよー、わっはっはー」

さわちゃん(な、何よ、この学校……雰囲気も悪いし、バカばかりじゃないの!)

神山「早く、ゴリラと入れ替わってゴリラの世界に帰らないんですか?」

さわちゃん(特にこの神山って子……まるで悪意が無いみたいに人をバカにするから、余計に傷つくは……)

817 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:23:34.28 ID:4wA9uDpIO
神山「……そうだ、今日は先生に紹介したい子がいるんですよ」

さわちゃん「紹介したい子~?」

ガラガラッ

神山「やあ、伊東君」ポンッ

伊東「あ、か、神山さん、なんか用ですか?」

神山「……いや、理由もなくこの先生を君に紹介したくなってね」

伊東「へえ、び、美人な人じゃないですか」

さわちゃん「ま、美人だなんて……!」

神山「紹介します、こちらゴリラと部長のハーフのさわちゃん先生です」

さわちゃん(誰がハーフよ! て言うか、何か酷くなってる……)

伊東「ゴ、ゴリラ? またゴリラ絡みですか、勘弁してくださいよ」

さわちゃん(しかもまたなんだ……)

816 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 23:23:24.20 ID:Dz3TMQtB0 [5/6]
ところで神山があっち行ったときはどういう手品だったんだ?


818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:28:29.62 ID:4wA9uDpIO
>>816

回想

ガチャリ

神山「やあ、おはようゴリ。早かったね」

ゴリラ「ンゴ?」

神山「実は僕も一度向こうに行きたくてね、こうして早起きをして学校まで来てしまったんだよ」

ゴリラ「……」コクッ

神山「じゃあ、昼には多分戻るよ、林田君たちによろしく」

神山「……あ、そうだゴリ。このカーテン閉めてくれないかな。一人じゃあちょっとやりづらくてね」

ゴリラ「……」スッ

ファサッ。

>>778

821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:39:12.53 ID:4wA9uDpIO
神山「……」

さわちゃん「……」

伊東「……」

神山「いやさ、伊東君」

伊東「は、はい?」

神山「そこは男性がちゃんとリードしないといけないんじゃないのかな?」

伊東「あ、あの、リードって言われても……初対面ですし」

さわちゃん「しかも、どうして今ここにいるかもわかんないし……」

神山「ゴリラ君とさわちゃん先生は、きっと仲良くなれると思いまして」

伊東「ああ、もうっ! ゴリラじゃないですよ!」

神山「じゃあ、僕は放課後の部活があるから、また」

さわちゃん(……神山君が一番酷い人間のような気がしてきたわ)

822 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:43:47.68 ID:4wA9uDpIO
伊東「す、すいませんね。何だか僕のせいで……」

さわちゃん「えっ? あ、ああ、いいのよ気にしないで。私、先生だから、生徒のワガママには慣れているしね~」

伊東「あ、先生だったんですか。見ない人だったんでちょっとビックリしてたんですよ~」

さわちゃん「わ、理由あってここにいるの。よろしくね」

伊東「は、はい。いやあ、本当に先生って綺麗ですよね」

さわちゃん「えっ……」ドキッ

伊東「あ、い、いえ……つい。ははっ、すいません」

さわちゃん(……素直ないい子じゃない。こんな不良校にもこんな子がいるなんて、ふふっ、驚きね)

伊東「いやあ、マジで先生のファンになっちゃいましたよ!」

さわちゃん(見た目は何だかゴリラみたいだけどね)

825 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:48:31.97 ID:4wA9uDpIO
神山「……さて、あの二人の仲は深まっただろうか」

神山「さわちゃん先生もこの学校に慣れるまで大変だろうからなあ。少しでも生徒と打ち解けてもらわないと」

ワイワイ キャッキャッ

神山「……ん、教室の外からでも、こんなに騒ぎ声が聞こえるなんて」

神山「どうやら僕の目論みはうまく言ったようだな」

ガラガラッ

神山「二人とも、仲良くなった所で僕たち、青春クロマティーの練習部屋に……」

ゴリラ2「キャッキャッ」

ゴリラ3「ワイワイ」

神山「……」


ベンチ

神山「また、ゴリラが増えるのか……」

増えます。

827 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:53:56.72 ID:4wA9uDpIO
神山「えー、というわけで」

ゴリラ2「ンゴ」
ゴリラ3「ンゴ」

神山「増えました」

前田「……で、さわちゃんと伊東はどうしたんだよ?」

神山「……」

ゴリラ2
ゴリラ3

神山「彼らで無い事だけは確かです」

前田「そんなのわかってるわ!!」

子分「また新しいゴリラか……」

神山「ううむ、どうした物か」

林田「……なあ、またさっきの方程式を作ってみればいいんじゃねえか?」

北斗「む?」

林田「そうすりゃ、この何も無い状態よりはマシになるはずだぜ。答えの見えないパズルよりも、な」

神山「よし、ではやりましょう」

828 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/07(火) 23:58:31.43 ID:4wA9uDpIO [72/72]
さわちゃん=部長+ゴリラ

神山「先ほどの式はこれです。ここに、まず伊東君を足します」

北斗「新しい登場人物だからな、当然だな」

神山「伊東君はクロマティ高校側にいるので、こうなります」

伊東+さわちゃん=部長+ゴリラ

前田「……こうなるのか?」

林田「なあ、それだと右の部長側の合計は変わらねえか?」

神山「いえ、まだこれは式の途中の段階です。ここからまた数字を発展させます」

829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 00:04:01.13 ID:SJpFFhcAO [1/42]
神山「先ほどの変化で、こちら側は……こう、つまり」

伊東=ゴリラ

さわちゃん=ゴリラ

神山「こうなります」

前田「……」

林田「なるほど、ゴリラがこっちにいる状態だものな」

神山「ええ。これで、式の数字は変化しました。後はこれを当てはめれば完成です」

……。

神山「出来ました、これで消えた二人の謎が何かわかるはずです」

ゴリラ+ゴリラ=部長+ゴリラ

全員「……」


ベンチ

林田「神山よ、なんだいありゃあ……」

神山「自分でもよくわからない……」

上位が全部ゴリラ。

837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:03:33.63 ID:SJpFFhcAO [2/42]
ゴリラ+ゴリラ=部長+ゴリラ

神山「でも、まだしっくり来ないなあ。何か違和感があると言うか」

前田「いや、だから根本的によ……」

林田「なあ、ちょっといいか。確か数学の考え方にはよ、同じ種類の数は同じ場所にまとめる、って考えがあったよな」

神山「……エックスやワイの事かい?」

林田「あまりよく知らねえがよ、そうすりゃこの式もスッキリするんじゃねえの?」

神山「この式で仲間をまとめるとなると……」

ゴリラ+ゴリラ=部長+ゴリラ

3ゴリラ=部長

北斗「こうなるわけだな」

神山「……3ゴリラで1部長かあ」


839 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:09:58.45 ID:SJpFFhcAO [3/42]
子分「なあ、イコールって事はよ、部長も同じ仲間って事なのか?」

神山「種類的には似た部類に入るだろうね、この式に並んでいるくらいだから」

前田「いや、種類も何もこの式自体がおかしいだろ……」

林田「じゃあよ、最終的にはこうなるんじゃねえの?」

ゴリラ+ゴリラ=ゴリラ+ゴリラ

神山「……」

北斗「ここまで来ればあと一歩だな」

林田「ああ、これならバカの俺でもわかるぜ。つまり……最終的な答えは、こうだ!」カキカキ

ゴリラ=ゴリラ

全員「……」

林田「なあ、神山よ。結局、俺たち何を考えていたんだっけか?」

神山「……とりあえず、ここまでゴリラが増えるとは思っていなかったよ」

ごりらはぶちょう!

843 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:16:45.54 ID:SJpFFhcAO [4/42]
前田宅

前田「ただいまぁ……ったく、3ゴリラってなんだよ」

前田「ふぅ、自宅がやっぱり一番落ち着くぜ」

さわちゃん「あ、すいませんね奥様、お構い無く」

伊東「このお菓子うまいっすね」

前田母「……」

前田「……って、なんだよ! 何で俺の家にいるんだ!」

伊東「い、いやあ、気付いたらここにいて」

さわちゃん「前田君のお家だってわかったら、つい」

前田「いや、つい、の意味がわかんねーよ」

ゴリラ2「ンゴ」

ゴリラ3「ンゴ」

前田「お前らもか、っていうか誰だよ!」

前田母「……」スッ

前田「普通におもてなしするんじゃない!」


844 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:22:45.32 ID:SJpFFhcAO [5/42]
さわちゃん「まあまあ、前田君、落ち着いて」モグモグ

伊東「そうですよ先輩、これ食べたらすぐに帰りますから」

前田母「……」

前田「そっちは俺じゃない!」

前田「……とにかく、落ち着いたら帰ってくれ」ピシャッ

さわちゃん「前田君……」


自室

前田「まさか家にいるとは……」

前田「……ていうか、さわちゃんは早くロッカーくぐって帰ればいいのによ」

ワイワイ ガヤガヤ

前田「くそっ、まだいるのか、あいつら。ここはガツンと……」

ガタガタ

前田「む……クローゼットが、揺れている?」

845 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:28:29.02 ID:SJpFFhcAO [6/42]
ガタガタ

前田「だ、誰かいるのか?」

前田「ま、まさか……ここでゴリラってパターンか?」

ガタガタ

……ガチャリ

前田「……!」

部長「む、ここは一体……」

前田「あ、あんたは」

部長「ああ、俺は戻って来られたのか」

前田「む、向こうの世界に行ってた部長か?」

部長「……いや、俺はまたマワシの世界に行っていたんだ。どうやら、このクローゼットとマワシの世界が繋がっているらしいな」

846 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:28:51.93 ID:SJpFFhcAO [7/42]
前田「……」

部長「……と、言うわけで」

部長「俺はまたすぐに大会があるから、戻るぞ。またな」ガチャリ

前田「……」


居間

前田「どこでも繋げりゃいいってもんじゃないだろ……」

部長の肩には、輝くチャンピオンベルト。

847 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:35:08.08 ID:SJpFFhcAO [8/42]
次の日

神山「えー、前田君の報告により……この式の一部が間違っている事がわかりました」

伊東+さわちゃん=部長+ゴリラ

林田「またこれか……」

神山「はい、話では部長はマワシの国に行っているらしいので……こうなります」

伊東+さわちゃん=ゴリラ

林田「お、ちょっとスッキリしたな」

神山「はい、そして更に直すとこうです」

ゴリラ+ゴリラ=ゴリラ

849 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:40:03.77 ID:SJpFFhcAO [9/42]
林田「……で、神山。式をいじくり回したはいいがよ、結局これで何がわかるんだ」

前田「いや、式の元々の言い出しっぺはお前だろ……」

神山「とりあえず、数字で考えましょう」

2+3=5

林田「あ、ああっ、右の方が、ゴリラの5、になる!」

850 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:43:17.53 ID:SJpFFhcAO [10/42]
神山「違うよ林田君、これは例えばの話だから必ずしも答えが5とは限らないんだよ」

前田「いや、だからよ……なんの数字なんだよ」

神山「さて、この式を見てわかる事が一つだけあります。それは右のゴリラの方が単体で大きい数字、となる事です」

ゴリラ+ゴリラ=ゴリラ

林田「な、なるほど! 右の方がでかいのか!」

神山「さらに、彼らは同じ仲間なので一まとめにできます。つまり……」

林田「そ、そうかわかったぜ! これがこの式の答えだあ!」

ゴリラ

さわちゃん「……いや、ならないならない」

さわちゃん、結構馴染んでます。

851 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:47:29.92 ID:SJpFFhcAO [11/42]
桜ヶ丘高校

律「おっす~」ガチャリ

律「……って、誰もいないのか。最近あたしが一番のりばっかしだな~」ピコピコ

律「誰よりも早く部室に来る……これも部長の責任感ってやつ~?」ピコピコ

律「……あ、こんな所に週刊漫画がある」ピコピコ

律「……あんま面白くないや」バサッ

律「んん~……しかし暇だなあ」ピコピコ

紬「あ、おはようりっちゃん」ガチャリ

律「お~っすムギ~」

紬「まだみんな来てないんだ。お茶の用意しちゃうね」

律「頼むよ~」ピコピコ

852 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:51:44.42 ID:SJpFFhcAO [12/42]
紬「ふふっ、そのカチューシャ、似合ってるわよ」

律「これ? ああ、最初は違和感あったけど……慣れるとなかなか愛着がね~」

紬「神山さんは、もしかしたら何か不思議な体験ができるカチューシャだ、って言ってたけど……」

律「ああ、それね。全然なんも無し。まあ、あえて言うなら弟と殆ど喧嘩しなくなった事かなあ?」

紬「ふ~ん?」

律「あ、あと、最近ご飯がずっと柔らかめに炊かれている気がするくらいかな」

紬「それが不思議な事?」

律「……いや、無理やり探した結果」

紬「ふふっ、不思議ってそんな物よね」

854 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 05:59:31.09 ID:SJpFFhcAO [13/42]
……。

澪「ははっ、律の不思議もたかが知れているな」

律「むぅ~、こんなの付けただけでそんなに変わるわくないんだよ~」

唯「このご飯おいしい~」ムシャムシャ

澪「……まあ、あたしたちの不思議って言えばさ」

紬「そうねえ」

律「けいおん部の部室で、ゴリラが寿司を握っている事だよな……」

梓「あ、た、玉子と甘エビ下さい」

ゴリラ「ンゴ」ニギニギ

梓「あ、美味しい……」

唯「えへへ~」

澪「もう、すっかり慣れたけどな」

855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 06:06:26.96 ID:SJpFFhcAO [14/42]
ゴリラ「……」スッ

律「ん、どうしたゴリ~?」

ゴリラ「……」

唯「えっ、みんなが心配だから一度帰るって?」

ゴリラ「……」コクッ

梓「じ、じゃあ、帰る前に寒ブリをお願いします!」

澪「おいおい……」

ゴリラ「……」

唯「ふんふん……入れ違いになったさわちゃんも呼んできてくれるって~!」

紬「まさに、至れり尽くせりね~」

ゴリラ「……」ガチャリッ

……。

律「行っちゃったな」

澪「いないといないで、何だか部室が広く感じるよな」

唯(ああ、これが寂しいって言う事なのかなあ)

856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 06:11:42.54 ID:SJpFFhcAO [15/42]
唯「……」カキカキ

梓「唯先輩? 何書いてるんですか?」

唯「へへっ、ちょっと歌詞が浮かんだからメモ書きだよ!」

律「おっ、もしかして初めてけいおん部らしい行動したんじゃないか、これ?」

梓「いつにもまして、食べたり飲んだりばかりでしたからね……」モグモグ

律「いや、梓が一番寿司は食ってたからな~……」

紬「ゴリラさんのお寿司、美味しいわよね~」

858 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 06:18:41.55 ID:SJpFFhcAO [16/42]
ガチャリッ

さわちゃん「や、やっと帰ってきたわあ……ただいまみん」

澪「あ、おかえりなさいゴ……先生」

さわちゃん(え……)

律「ああ~、久しぶり。ゴリ……もとい、さわちゃん」

さわちゃん(今、確かにゴリって言った?)

梓「あ、ゴリラさん。私ホタテ貝が食べたいです」

唯「見てみて~、ゴリさんのために歌詞書いたんだよ~」

さわちゃん(この二人に関しては完全にゴリラだぁ!)

さわちゃん「ね、ねえ……私、そんなにゴリラ? 何か変わった、私?」

律「……いや、なんというかぁ、雰囲気?」

唯「なんか、貫禄が出てきた感じだよねぇ~」

859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 06:22:48.62 ID:SJpFFhcAO [17/42]
さわちゃん「か、貫禄?」

梓「確かに、しばらく見ないうちに、その……オーラが変わったような」

紬「なんか、先生変わりましたよね」

律「男子校にいたんなら、そりゃあ変わるか~」

さわちゃん「……」

さわちゃん「ねえ私、ゴリラなの?」

律「さ、さわちゃん?」

さわちゃん「正直に答えて。向こうでゴリラみたく扱われた私……今もちょっと、ゴリラみたい?」

全員「……」

唯「……でも、先生はやっぱり先生だよぉ?」

さわちゃん「唯……ちゃん?」

860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 06:27:04.26 ID:SJpFFhcAO [18/42]
律「まあ、正直さ、雰囲気は変わったかもしれないけど」

澪「でも、やっぱり先生がいないとけいおん部、って感じがしないよな」

さわちゃん「二人とも……」

唯「うん、さわちゃんはさわちゃんだよ。他の誰でもない、さわちゃん先生だよ!」

紬「はい、先生。お茶……ふふっ、高級な玉露茶です」

梓「そうですよ。お寿司、車エビにシャコもありますし、どうぞ先生!」

さわちゃん「み、みんな~……」ウルッ

861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 06:30:49.50 ID:SJpFFhcAO [19/42]
さわちゃん「……」グスッ

さわちゃん「よ、よ~し、先生また桜ヶ丘高校で頑張っちゃうんだからっ……」

ガチャリッ

律「あっ、さわちゃんおかえり」

ゴリラ「ンゴ」

唯「これで先生が二人揃ったね~」

梓「さ、さわちゃんゴリさん、サーモン握ってくれませんか!」

紬「はい、さわちゃんお茶」

ゴリラ「ンゴ」

さわちゃん「……」


ベンチ

さわちゃん「みんなもう、ゴリラって言ってるようなもんじゃない……」

ゴリラ「……」ポン ポン

躊躇無しは酷いよね。

864 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 06:42:57.01 ID:SJpFFhcAO [20/42]
ガチャリッ

和「ねえ、ちょっといいかしら」

唯「あ、和ちゃんだ~、どうしたの~?」

和「えっと、先週言ってた部室整理の話。はい、これ……通達書類」

律「どれどれ、えっと……な、なにい!」

澪「ど、どうした律?」

律「整理する備品の中に……あのロッカーがある……」

唯「えっ!」

和「もう、随分古いロッカーだから、整理したいって言ってたよね?」

律「あ、あれは無し! 無し!」

紬「ね、ねえ。これ、通達って事は……」

和「……ええ、もう変更はできないわよ。あくまで通達するだけだから」

唯「そ、そんな……」

865 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 06:51:00.36 ID:SJpFFhcAO [21/42]
ガタン ガタン

唯「……行っちゃったね」

澪「これで、もう会えないのかな」

律「さ、寂しい事言うなよ! 寂しいけどさ……」

梓「ゴリラさんのお寿司、もっと食べたかったなあ」

律「……今日は、もう帰るか」

澪「明日から、また部室が広くなるな」

次の日

ガチャリッ

神山「あ、すいません。入り口が部室外の非常ドアからに変更になったんで、お願いします」

全員『……』


ベンチ

澪「クロマティってすごいんだな……」

律「私たちの涙……」

どこでもいいみたいです。

867 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 06:56:16.49 ID:SJpFFhcAO [22/42]
クロマティ高校

神山「……というわけで、曲を作りましょう」

林田「曲?」

神山「ええ、青春クロマティーらしいオリジナル曲を作るんです」

北斗「うむ、自分たちの曲を持ってこそのバンドと言えよう」

前田「でもよ、曲作りって難しいんじゃねえのか?」

神山「まあ、そこは手探りでやっていくしかないね」

林田「そっちの方がやってる感じがしていいじゃねえか」

前田「……まあ、確かにそうかもな」

子分「でもよ、曲を作るって言っても何をどうすればいいんだよ」

868 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 07:05:57.91 ID:SJpFFhcAO [23/42]
神山「とりあえず、フレディに作曲をしてきてもらいました」

フレディ「……」コクッ

林田「お、デモテープがあるのか、本格的だな」

カチッ。

『ダン ダン ダン』

『ダン ダン ダン』

前田「……」

『ウィーワーウィルエー、ロックユー』

カチッ

神山「とりあえず、このメロディーに合わせて作詞……みんなには歌詞を考えてもらいます」

前田「いや、歌詞入ってんじゃん。しかもロックユーって……」

林田「難しそうだけど、やってみるぜ」

北斗「俺の音楽センスの見せどころというものだ」

前田「いや、だからよお……」

870 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 07:14:24.63 ID:SJpFFhcAO [24/42]
前田家

前田「ったくよお……結局歌詞出しあってもロックユーのまま変わらずじゃねえか」

前田「楽器だってあれから一度も弾いてねえしよお……」

前田「まあ、いいや。腹減ったな、飯はなんだ?」

前田母「……」スッ

前田「ん、今日はいやに豪勢なんだな。一体何か……あっ」

『お誕生日おめでとう』

前田「そうか、今日は俺の単純だったか……最近忙しくて、忘れていたぜ」

前田母「……」

前田「ん、まだ何かあるのか?」

ガラッ

神山「前田君」

前田「か、神山? それにみんな……どうしてここに」

871 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 07:19:09.50 ID:SJpFFhcAO [25/42]
林田「みずくせえな、友達の誕生日だろ。お祝いくらいさせてくれよ」

前田「林田……」

北斗「ふっ、部下の祝日くらい祝うのはリーダーとして当然だ」

フレディ「……」コクッ

ゴリラ「ンゴ」

前田「みんな……ありがとう」

872 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 07:23:39.25 ID:SJpFFhcAO [26/42]
神山「よし、じゃあみんなで前田君のために誕生日の歌を唄おう!」

全員「おおー!」

前田(へっ、さっきまで腐っていた自分が情けなくなるぜ)

神山「……さん、はい」

『ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー』

『ハッピーバースデーディアー……ロックユー』

前田「……」

『ハッピーバースデートゥーユー……』

パチパチ パチパチ

神山「前田君、誕生日おめでとう」

前田「……ありがとう、みんな」


トイレ

前田「ディアーロックユーって何だよ……」

とりあえず、語呂はいい。

873 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 07:28:13.67 ID:SJpFFhcAO [27/42]
のなー「この際だから、はっきり言っておくとさ」

担当「はい?」

のなー「最初は俺もけいおんキャラを使う気はなかったわけよ、借りておいてなんだけどさ」

担当「……いや、借りてはいませんから。勝手に描かれているだけで」

のなー「まあ、俺も漫画家だからよ。ただ絵を描くだけじゃなく、お話を考えないといけないわけだよな」

担当「まあ、仕事ですから」

のなー「お話、つまりアイディアがなきゃあ話だって描けやしない。当然だな」

担当「当然ですね」

874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 07:29:21.95 ID:SJpFFhcAO [28/42]
のなー「まあ、つまりもうネタがない」

担当「はい」

おわり

903 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 20:28:58.87 ID:SJpFFhcAO [29/42]
竹之内「……久しぶりだな、学校に顔を出すのも」

竹之内「俺がいない間に、何か変わった事でも起きていないか……ふっ、つい仲間を心配してしまう」

ガラッ

竹之内「よう、みんな」

神山「あ……た、竹之内君」

林田「久しぶりじゃねえか」

前田「一体今までどこに言ってたんだ?」

竹之内「ふっ、ちょっと旅に……な」

神山「ああ、旅といえばちょっと面白い物があるんですよ」

竹之内(……)

竹之内(こいつの提案で得をした事は一度もなかったからな……不安だ)

905 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 20:38:53.77 ID:SJpFFhcAO [30/42]
移動後

竹之内「……ここは?」

神山「桜ヶ丘高校という女子高です。まあ、ちょっとした経緯から交流をしていまして」

竹之内「ほう……確かに男ばかりのクロマティよりはいい思いができそうだな」

神山「ここが、例の部室になります」

神山「お邪魔します」

ガチャリッ

さわちゃん「あっ、いらっしゃ~い」

907 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 21:10:24.98 ID:SJpFFhcAO [31/42]
紬「こんにちは~」

神山「今日は二人だけなんですか?」

さわちゃん「ええ、部活がお休みな日なのよ。あら、そっちの人は……」

竹之内「……竹之内だ、よろしく頼む」

紬「新しいお客さんね。けいおん部へようこそ~」

さわちゃん「また大きな子ね~」

竹之内(けいおん部? ……いや、それはともかくこいつら。俺の姿が怖くないのか)

竹之内(けっして怖がってほしいわけではないが、仮にもクロ高を牛耳る俺だ……)

竹之内(まあ、こいつらが最初にゴリラとでも対面していたなら、話は別だかな)

竹之内(ゴリラに比べりゃあ、人間の俺なんてまだ可愛いもんだ、うん)

908 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 21:27:09.58 ID:SJpFFhcAO [32/42]
さわちゃん「ねえ、君たち今から暇?」

神山「ん、何かあるんですか?」

紬「実は、先生が私のために色んなお店を案内してくれるの~」

さわちゃん「いい機会だからね。あなたたちもどう? 人数は多いほうが楽しいでしょ?」

竹之内(おいおい、待てよ。知り合いの神山はともかく初対面の俺までか?)

紬「そちらの、竹之内さんもお時間大丈夫ですか?」

竹之内「……あ、ああ」

さわちゃん「じゃあ決まりね! レッツゴーよ」

紬「はい~」

竹之内(……こいつらの緩い雰囲気はなんだ。これが女子高というものなのか?)

909 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 21:37:18.43 ID:SJpFFhcAO [33/42]
竹之内(まあ、気にしないのが彼女らのスタイルなんだろうな)


竹之内(それに、久しぶりの学校だ。少しくらいハメを外しても罰は当たらないだろう)

さわちゃん「じゃあ、みんな乗り込んで~」

車。

竹之内「……」

竹之内「なあ、これで出掛けるのか?」

さわちゃん「ええ、ちょっと遠出になるからね。あ、そうなるとやっぱり竹之内君は忙しいかしら?」

竹之内(一度誘ってもらい、それを断るなど言語道断。車は正直辛いが……)

竹之内(まあ、窓際で外を見つめていれば大丈夫だろう。あれから特訓もしたし)

竹之内「……いや、大丈夫だ。俺は不義理な事はしないタチだからな」

さわちゃん「そう、よかったわ~」

911 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/08(水) 21:48:21.24 ID:SJpFFhcAO [34/42]
>>909

> 竹之内(まあ、気にしないのが彼女らのスタイルなんだろうな)


> 竹之内(それに、久しぶりの学校だ。少しくらいハメを外しても罰は当たらないだろう)

> さわちゃん「じゃあ、みんな乗り込んで~」

> 車。

> 竹之内「……」

> 竹之内「なあ、これで出掛けるのか?」

> さわちゃん「ええ、ちょっと遠出になるからね。あ、そうなるとやっぱり竹之内君は忙しいかしら?」

> 竹之内(一度誘ってもらい、それを断るなど言語道断。車は正直辛いが……)

> 竹之内(まあ、窓際で外を見つめていれば大丈夫だろう。あれから特訓もしたし)

> 竹之内「……いや、大丈夫だ。俺は不義理な事はしないタチだからな」

> さわちゃん「そう、よかったわ~」

912 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 21:58:22.40 ID:SJpFFhcAO [35/42]
ミス。

さわちゃん「じゃあ、出発~」

ブロロロロ

竹之内(……)

竹之内(うん、大丈夫だ。位置は助手席、しかも何か起こしそうな神山は後ろで彼女とおしゃべりしてやがる)

竹之内(それに、放課後の外出だ、たかが出掛ける場所も知れているだろう)

ブロロロロ

913 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 22:00:32.93 ID:SJpFFhcAO [36/42]
竹之内(いいとこ、駅前のデパートや歓楽街という所だろうな)

ブロロロロ

竹之内(……まだ走るのか)

ブロロロロ

ブロロロロ

神山「そういえば、どこに行くんですか?」

さわちゃん「あ、もう着くわよ~。ほら、看板見えてきた」

紬「こ、ここが噂の……!」

『ここより先、いろは坂』

紬「きゃああ~、来たわ~」

竹之内「……」


休憩所

竹之内「いろは坂ってなんだよ……」

庶民派、ムギちゃんのリクエストです。

914 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 22:04:59.26 ID:SJpFFhcAO [37/42]
ブロロロロ クイッ

竹之内(うっ……一々左右に揺れる感じが相当くる。ヤバい、気持ち悪い……)

さわちゃん「でも、竹之内君って本当に無口ね~。坂に入ってから一言も喋らないなんて」

神山「彼は硬派な性格ですから。あ、でもけっして不愉快なわけではありません、そういう顔なんですから」

さわちゃん「ふ~ん?」

竹之内(くっ……好き放題言いやがって。何か喋って口を開いたら、それと同時に何か出てきちまうんだよ)

紬「あ、あの。お菓子持ってきたんだけど食べますか?」

さわちゃん「あ、私は運転終わったら食べるわね~」

神山「僕も休憩所でいただくよ」

紬「そうですか、竹之内さんはどうしますか?」

915 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 22:08:01.02 ID:SJpFFhcAO [38/42]
竹之内(今そんなもの食べている余裕なんてねえ……くっ、甘ったるい匂いが社内に充満してやがる)

神山「多分、竹之内君もあとで食べるんじゃないかな。よっぽど外の景色が気に入っているみたいだし」

竹之内(違う、外を見ていないと一瞬でゲームオーバーするだけだ。しかし、ナイスフォローだ神山)

紬「……わかりました。じゃあ、これはまた後で食べましょう」スッ

竹之内(……ふう、一難去ったか)

918 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 22:14:01.93 ID:SJpFFhcAO [39/42]
ブロロロロ ガクッ

竹之内「うおっ!」

さわちゃん「ち、ちょっと下りでスピード出るから! ちゃんと掴まっててね!」

ブィイイイー

紬「きゃあっ」

竹之内(ぐ、ぐおおおあ……や、ヤバい……)

竹之内(内臓が、右に左に踊ってやが……ぐっ……)

竹之内(耐えろ、耐えるんだ……初対面でゲロなんか吐いたら、そりゃあもう最悪の印象だ)

竹之内(おそらく、ゴリラと俺が並んでいても俺の周りには誰も寄らなくなるくらいの……ぐっ)

竹之内(それだけは、勘弁だ……耐えるんだ、竹之内……!)

……。

919 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 22:17:35.95 ID:SJpFFhcAO [40/42]
さわちゃん「ふぅ、ちょっと落ち着いたみたいね」

神山「まさにジェットコースターみたいなスリルでしたね」

紬「怖かったけど、楽しかったわ~、来てよかった」

竹之内(……ふう、危なかった。いくら訓練した俺とはいえ……何か『あと一押し』があったら吐いていた所だったな)

神山「いやあ、よかったよかった」

竹之内(いつもなら、その一押しをこいつがもたらすんだが……今日は大丈夫なようだ)

竹之内(ふっ、窓から入る風がいつもより気持ちよく感じる……)

922 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 22:22:53.98 ID:SJpFFhcAO [41/42]
さわちゃん「あ、もう休憩所みたいだから……あそこでひとやす……」

紬「ええ、そこで……って、き、きゃあっ!」

さわちゃん「ど、どうしたのムギちゃん?」

紬「後で食べようとしていた……みんなの分のエクレアが……」

紬「さっきの坂と揺れで混ざってぐちゃぐちゃに……」

竹之内「……」

神山「うわあ、これはひどいね」

紬「ほら、見て竹之内さん、こんなに」テロ~ン

竹之内「う……うおっ!」


紬「きゃあ~、竹之内さんが暴れてる!」

神山「こんな所で暴れちゃ危ないよ」

竹之内「う、うるせえ!」

さわちゃん「あ、そ、そんなとこ蹴ったらエアバックが作動しち」ボシュウ!

ちなみに、いろは坂行った事ありません。

925 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/09/08(水) 22:27:28.32 ID:SJpFFhcAO [42/42]
のなー「そろそろ1000だから、終わり、と」

のなー「うん」

のなー「けいおんのみんなに協力してもらってここまで来れたけど」

のなー「振り返ってみると、そうだな……」

のなー「……」

のなー「……四天王オンラインゲーム編が書いてて一番楽しかったかなあ」

ご愛読と保守、ありがとうございました。


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